次に、本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。尚、以下では、図柄の変動表示の終了に伴い当り図柄が停止表示されると、遊技者に所定量の遊技利益(例えば、賞球)を付与可能な当り遊技を実行可能なパチンコ遊技機に、本発明を適用した例を説明する。
図1乃至図3に示すように、実施例1のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えており、遊技盤2は遊技機枠50から着脱自在に構成されている。図3は、遊技盤2を遊技機枠50から取り外した状態のものを示す。遊技機枠50は、装飾面を有する前面枠51と、遊技盤2等を取り付ける本体枠52と、パチンコ遊技機1をホールの島設備に取り付けるための外枠53と、を有して構成されており、前面枠51、本体枠52及び外枠53は、一側端側で軸支され夫々開閉可能に構成されている。
また、前面枠51には、遊技者の操作量(回転角度)に応じた発射強度で遊技球を発射させるための発射ハンドル60、遊技球を貯留し貯留した遊技球を発射装置側に供給可能な打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される遊技演出の実行中などに、遊技者が操作可能な第1演出ボタン63a、第2演出ボタン63b(これら2個の演出ボタンを総称して単に「演出ボタン63」ともいう)が設けられている。複数の演出ボタンは、遊技演出の種類に応じて使用する演出ボタンを使い分けることができる。
また、前面枠51には、装飾用の枠ランプ66及びスピーカ67が設けられている。尚、演出ボタン63の構成は本実施例1の態様に限らず、遊技者からの入力を検知できるものであればたり、遊技者が直接ボタン部に接触して入力を行う入力検知手段(例えば、出没式、タッチセンサ式等)であってもよいし、遊技者の身体の一部が近接したことを検知して入力を行う非接触式の入力検知手段(光電式等)であってもよい。遊技盤2には、発射ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また、遊技盤2には、装飾用の盤面ランプ5が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技釘16が突設されている。また、レール部材4の先端には球戻り防止片6が設けられており、一旦遊技領域へ誘導された遊技球が発射装置側へ戻るのを防止することができる。
また、遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置からなる画像表示装置7が設けられている。画像表示装置7の表示画面7aには、演出図柄8L、8C、8R(単に「演出図柄8」ともいう)が表示される演出図柄表示領域7b(「演出図柄表示部」ともいう)が設けられており、当該演出図柄8L、8C、8Rは、後述の第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄の変動表示に同期して変動表示を行う。演出図柄表示領域7bは、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなり、左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。
また、演出図柄8L、8C、8Rはそれぞれ、例えば「1」〜「9」までの数字をあらわした複数の図柄(識別情報)からなる。演出図柄表示領域7bに停止表示される左、中、右の演出図柄によって、後述(図4参照)の第1特別図柄表示器41a(「第1特別図柄表示部」ともいう)に表示される第1特別図柄の変動表示の結果、及び第2特別図柄表示器41b(「第2特別図柄表示部」ともいう)に表示される第2特別図柄の変動表示の結果(つまり、特別図柄当否判定(単に「当否判定」ともいう)の結果)を、遊技者が認識し易いように表示する。尚、第1特別図柄、第2特別図柄、演出図柄のいずれかを指して単に「図柄」や「識別情報」ということもある。
例えば、特別図柄当否判定の結果が大当りとなった場合には、「777」などの3桁同一のゾロ目(「当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、小当りとなった場合には「135」などの予め設定したチャンス図柄や「3★3」などの専用図柄(「小当り演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。また、外れとなった場合には「637」や「373」などの3つの図柄のうち少なくとも1つの図柄が異なるバラケ目図柄(「外れ演出図柄」ともいう)で演出図柄を停止表示することが可能である。
これにより、遊技者は停止表示した演出図柄を見ることで、遊技の進行状況を容易に把握することが可能となる。つまり遊技者は、一般的には特別図柄当否判定の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bに表示される特別図柄を見て直接的に把握するのではなく、演出図柄表示領域7bに表示される演出図柄を見て把握する。尚、左・中・右の図柄表示エリアの位置は夫々区別して設ける必要はなく、左・中・右の演出図柄の表示エリアをそれぞれ図柄表示エリア(演出図柄表示領域7b)の全体としてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下、左右、斜め方向等にスクロール表示する態様がある。
画像表示装置7の表示画面7a上では、前述のような演出図柄を用いた遊技演出(演出図柄遊技演出)を表示するほか、当り遊技に伴って実行される当り遊技演出や、客待ち用のデモ演出などが表示される。尚、演出図柄遊技演出や当り遊技演出やデモ演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また、画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留の記憶数に応じて第1演出保留9aを表示する第1演出保留表示領域9c(第1演出保留表示部)と、後述の第2特図保留の記憶数に応じて第2演出保留9bを表示する第2演出保留表示領域9d(第2演出保留表示部)とがある。第1演出保留又は第2演出保留の表示態様(表示数)により、後述の第1特図保留表示器43a(図4参照)にて表示される第1特図保留の記憶数及び第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、演出図柄表示領域7bを取り囲むように、センター装飾体10が設けられている。センター装飾体10の下部には、遊技球が転動可能な遊技球転動面を有するステージ部11が設けられている。またセンター装飾体10の左部には、中空状のワープ部12が設けられている。ワープ部12にはワープ入口とワープ出口とが設けられており、遊技領域3を流下する遊技球をワープ入口から受け入れ、当該遊技球をワープ出口から排出しステージ部11へと誘導する。ステージ部11の転動面に誘導された遊技球は、ステージ部11に誘導されない遊技球と比して高い可能性で、後述の第1始動口20に入球可能とされている。さらにセンター装飾体10の上部には、LED等の電飾部材(盤面ランプ5)を有し遊技状態に応じて点灯可能であって、文字や図形等を象った装飾部材13が配されている。
また、センター装飾体10の上部であって、装飾部材13の後方には、遊技演出に伴って動作可能な可動装飾部材14が設けられている。図3では、可動装飾部材14の一部分のみが視認可能となっているが、例えば、比較的当りの可能性の高い遊技演出の実行に伴って、可動装飾部材が下方に落下し、当該可動装飾部材が表示画面7aの前面を覆い、その大部分が視認可能となる。
これにより、遊技者は当りへの期待感を高めることとなる。遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが変化しない非可変式の第1始動口20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第1特別図柄に係る当否判定(第1特別図柄当否判定)が実行されると共に第1特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。
第1始動口20の下方には、遊技球の入球し易さが変化する可変式の第2始動口21を備える可変入賞装置22(「可変式始動口」ともいう)が設けられている。第2始動口21への遊技球の入球に基づいて、特別図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると第2特別図柄の当否判定(第2特別図柄当否判定)が実行されると共に第2特別図柄が変動表示され、当否判定の結果に基づいて停止表示される。可変入賞装置22は、可動部材23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。
この開閉動作によって、第2始動口21は、第1の態様(閉状態)から当該第1の態様よりも遊技球の入球可能性が高い第2の態様(開状態)へと変化可能である。可動部材23は、第2始動口ソレノイド24(図5参照)により駆動される。本実施例1では、第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能とされ、可動部材23が閉状態にあるときには遊技球が入球不能となっている。尚、第2始動口21は、可動部材23が閉状態にあるときは開状態にあるときよりも遊技球が入球困難となるものであれば、可動部材23が閉状態にあるときに完全に入球不能となるものでなくてもよい。
遊技領域3における第1始動口20の右方には、第1大入賞口30を備えた第1大入賞装置31(「第1可変入球口」ともいう)が設けられている。第1大入賞装置31は、開閉部材32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図5参照)により駆動される。第1大入賞口30は、開閉部材32が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第1可変入球口31は、開閉部材32の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の上方であってセンター装飾体10の右下部には、第2大入賞口35を備えた第2大入賞装置36(「第2可変入球口」ともいう)が設けられている。第2大入賞装置36は、開閉部材(羽根部材)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図5参照)により駆動される。第2大入賞口35は、開閉部材37が開状態にあるときだけ遊技球が入球可能となる。すなわち、第2可変入球口36は、開閉部材37の開閉動作により、遊技球が入球不能な入球不能状態(閉状態)と遊技球が入球可能な入球可能状態(開状態)とに変化可能である。
また、第2大入賞装置36は、第2大入賞口35に入球した遊技球が通過可能な特定領域39及び非特定領域49と、第2大入賞口35に入球した遊技球を特定領域39又は非特定領域49に誘導する(振り分ける)ための可動片150を含んで構成されている。可動片150は、可動片ソレノイド151(図5参照)により駆動されるもので、可動片150は、第2大入賞口35の開放、換言すると開閉部材37の開放動作の開始を契機として、その動作が開始される。可動片ソレノイド151がOFFのとき、すなわち可動片150が動作していないときは(非動作状態)、第2大入賞口35に入球した遊技球は非特定領域49に誘導されて、特定領域39を通過することが不可能となる。
一方、可動片ソレノイド151がONのとき、すなわち可動片150が動作しているときは(動作状態)、第2大入賞口35に入球した遊技球は特定領域39に誘導されて、特定領域39を通過することが可能となる。本パチンコ遊技機1では、第2大入賞口35に入球した遊技球の少なくとも1個が特定領域39を通過したことが検知されることに基づいて、後述の高確率状態を発生させている。つまり特定領域39は、確変作動口となっている。このような特定領域39は、第1大入賞装置31には設けられていない。
遊技領域3におけるセンター装飾体10の右側領域には、遊技球が通過可能なゲート28(遊技球通過口)が設けられている。ゲート28への遊技球の通過に基づいて、普通図柄当否判定用乱数等が取得され、予め定められた所定条件が成立すると、第2始動口21を開状態とするか否かを判定する普通図柄当否判定が実行されると共に普通図柄が変動表示され、普通図柄当否判定の結果に基づいて停止表示される。当り普通図柄が停止表示すると第2始動口21を開状態となる。
さらに、遊技領域3の下部には、複数の一般入球口27が設けられている。このように各種入球口等が配されている遊技領域3を、左右方向の中央より左側の左遊技領域(第1遊技領域)3Aと、右側の右遊技領域(第2遊技領域)3Bと、に分けることができる。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちといい、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本パチンコ遊技機1では、遊技開始の際は左打ちにて第1始動口20への入球を狙う。一方、第1始動口20への入球に基づく当否判定において当りとなり遊技状態が変化した際には、右打ちにてゲート28、第2始動口21、第1大入賞口30、及び第2大入賞口35への入球を狙うこととなる。そして、第1始動口、第2始動口、第1大入賞口、第2大入賞口、及び一般入球口に遊技球が入球した場合には、夫々の入球口において予め定められた数の遊技球(「賞球」ともいう)が払い出される。
また、図3及び図4に示すように、遊技盤2の右下部には主表示器40が配置されている。主表示器40には、第1特別図柄を変動表示及び停止表示する第1特別図柄表示器41a(第1特別図柄表示部)、第2特別図柄を変動表示及び停止表示する第2特別図柄表示器41b(第2特別図柄表示部)、及び、普通図柄を変動表示及び停止表示する普通図柄表示器42(普通図柄表示部)が含まれている。また主表示器40には、第1特別図柄に係る当否判定情報(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄に係る当否判定情報(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、及び、普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
また、主表示器40には、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当り(特定結果)になったことを示す当り表示器48、第1特別図柄当否判定又は第2特別図柄当否判定の結果が当りになった場合に、実行される当り遊技のラウンド数を示すラウンド表示器45、確率変動機能が作動することを示す遊技状態表示器46、及び、遊技球の発射方向、すなわち右打ちすべき状態か左打ちすべき状態かを示す発射方向表示器47が含まれている。これら主表示器40に含まれる各種表示器は後述の主制御部によって表示制御される。
第1特別図柄の変動表示は、第1始動口20への遊技球の入球を契機として行われる。第2特別図柄の変動表示は、第2始動口21への遊技球の入球を契機として行われる。尚、以下の説明では、第1特別図柄及び第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41a及び第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示部41ということがある。また、第1特図保留表示器43a及び第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示部43ということがある。
特別図柄表示部41では、特別図柄(識別情報)を所定時間変動表示した後停止表示し、停止表示された特別図柄(停止図柄)によって第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づく抽選(特別図柄当否判定、大当り抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄は、特別図柄当否判定によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定識別情報)である場合(すなわち、大当り図柄や小当り図柄である場合)には、停止表示された特定特別図柄の種類に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当り遊技、小当り遊技)が行われる。尚、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30及び第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的に、図4に示すとおり、第1特別図柄表示器41aは、「i〜p」で示す8個のLEDで構成されており、第1特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。例えば、第1特別図柄当否判定の結果が、第1の結果(15R大当り)となった場合には、「ijn」の3個のLEDを点灯し残りを消灯する。また、第2の結果(2R大当り)となった場合には、「jnkl」の4個のLEDを点灯し、残りを消灯する。また、第3の結果(小当り)となった場合には、「mnop」の4個のLEDを点灯し残りを消灯する。また、外れとなった場合には、「lo」の2個のLEDを点灯し、残りを消灯することができる。
また、第2特別図柄表示器41bは、「a〜h」で示す8個のLEDで構成されており、第2特別図柄当否判定の結果に応じた特別図柄を表示する。停止表示態様については、第1特別図柄表示器41bと同様に、第2特別図柄当否判定の結果に応じて夫々異なる表示態様に定められている。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば予め定められた順序で、左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯する態様とすることができる。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球があると、その入球に基づいて特別図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は、主制御部のRAMに形成される特図保留記憶部85に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入球であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85aに記憶され、第2始動口21への入球であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85bに記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な(未消化の)特図保留の数には上限が設定されており、本実施例1における上限値はそれぞれ4個となっている。これら第1特図保留記憶部85a及び第2特図保留記憶部85bを、夫々「第1取得情報記憶手段」及び「第2取得情報記憶手段」ともいい、総じて「取得情報記憶手段」ともいう。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の変動表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する特別図柄当否判定用乱数等を判定(大当りか小当りか外れか大当り種別を何れか等)して、その判定結果を示すための特別図柄の変動表示を実行することをいう。従って、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20又は第2始動口21への遊技球の入球に基づく特別図柄の変動表示がその入球時にすぐに実行できない場合、すなわち特別図柄の変動表示の実行中や特別遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その入球に対する特別図柄当否判定の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、第1特図保留表示器43a及び第2特図保留表示器43bに表示される。具体的には第1特図保留表示器43aは、「uv」の2個のLEDで構成されており、第1特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第1特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が0の場合は「u□v□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が1の場合は「u□v●」というようにuのLEDを消灯vのLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数が2の場合は「u●v□」というようにuのLEDを赤色で点灯させvのLEDを消灯する表示態様とすることができる。また、保留数が3の場合は「u●v●」というように両方のLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。
また、保留数が4(上限数)の場合は「u▲v▲」というように両方のLEDを緑色で点灯させ表示態様とすることができる。また、第2特図保留表示器43bは、「wx」の2個のLEDで構成されており、第2特図保留の数に応じてLEDを表示制御することにより、第2特図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が0の場合は「w□x□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数1〜4についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
普通図柄の変動表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を所定時間変動表示した後、停止表示し、停止表示された普通図柄(停止図柄)によって、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄当否判定の結果を報知する。停止表示される普通図柄は、普通図柄当否判定によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(当り普通図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。尚、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には図4に示す通り、普通図柄表示器42は、「st」の2個のLEDから構成されており、その点灯態様によって普通図柄当否判定の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば、判定結果が当りである場合には、「s■t■」(例えば、■:点灯、□:消灯とする)というように両LEDが点灯した当り普通図柄を停止表示する。また判定結果が外れである場合には、「s□t■」というようにtのLEDのみが点灯した態様の外れ普通図柄を表示する。尚外れ普通図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には予め定められた所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示が実行されるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯・消滅を繰り返す態様である。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に基づいて普通図柄当否判定用乱数等の各種情報(「取得情報」ともいう)を取得し、取得した各種情報は主制御部のRAMに形成される普図保留記憶部86に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限が設定されており、本実施例1における上限値は4個となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の変動表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄当否判定用乱数を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の変動表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の変動表示がその通過時にすぐ実行できない場合、すなわち普通図柄の変動表示の実行中や補助遊技の実行中である場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄当否判定の権利を留保することができるようになっている。そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。
具体的には普図保留表示器44は、「qr」の2個のLEDで構成されており、普図保留の数に応じてLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。例えば、保留数が0の場合は「q□r□」(例えば、□:消灯、●:赤点灯、▲:緑点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様とし、保留数が1の場合は「q□r●」というようにqのLEDを消灯しrのLEDを赤色で点灯させる表示態様とすることができる。また、保留数2〜4についても第1特図保留表示器43aと同様に定められている。
次に図2及び図5に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。本実施例1のパチンコ遊技機1は、特別図柄当否判定や普通図柄当否判定や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板80(「主制御部」ともいい、「遊技制御部」ともいう)、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板90(「サブ制御部」ともいい、「演出制御部」ともいう)、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110(「払出制御部」ともいう)、画像表示装置7に表示される演出図柄8、演出表示器102に表示される図柄、第1演出保留表示器103a及び第2演出保留表示器103b等の表示制御を行う画像制御基板100(「画像制御部」ともいう)等を備えている。また、図2に示すように、パチンコ遊技機1の後面側(裏面側)の略中央部には主制御基板80を収納した主制御基板収納ケースが設けられ、この主制御基板ケースの上方には、音声制御基板106、ランプ制御基板107及び画像制御基板100を収納した画像制御基板等収納ケースが設けられ、その画像制御基板等収納ケース上にはサブ制御基板90を収納したサブ制御基板収納ケースが設けられている。また、主制御基板ケースの下方左側には、払出制御基板を収納する払出制御基板ケースが設けられ、その右側には、電源基板109を収納する電源基板ケースが設けられている。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。遊技制御用マイコン81は、入出力回路87(I/Oポート部)を介して他の基板等とデータ(情報)の送受信を行う。入出力回路87は、遊技制御用マイコン81に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。遊技制御用マイコン81のRAMには、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85a及び第2特図保留記憶部85b)、普図保留記憶部86、電源電圧の低下を検知した場合(電源遮断が発生した場合)にその時の遊技状態を示す情報(「遊技状態情報」ともいう)を記憶保持するバックアップ領域161(「主制御バックアップ領域」ともいう)等が設けられている。尚、このバックアップ領域161は、主制御部80のRAMに記憶される情報のうち、予め定められたバックアップ対象の遊技状態情報を、電力供給が停止した後も所定期間記憶保持するための退避領域である。そして、電力供給が再開された際に、このバックアップ領域161に記憶保持した遊技状態情報に基づいて、電源電圧の低下を検知した際の所定の遊技状態を復帰(復旧)させることが可能となる。これらの処理を「遊技状態情報復旧手段」ともいう。
また、図5及び図6に示すように、主制御基板80には、第1特別図柄当否判定及び第2特別図柄当否判定において大当りと判定する確率や、小当りと判定する確率や、大当りと判定した場合の大当り種別を判定する確率を変更可能な「モード設定スイッチ82」が設けられている。この「モード設定スイッチ82」は、図6に示すように、5段階に設定を切り替え可能なスライド式のスイッチとされている。また、遊技店員等がこのモード設定スイッチ82の操作部82aを左方向又は右方向にスライドさせ(所定の入力操作を行うことにより)、任意の遊技モードを選択することが可能である。尚、図6では、操作部82aが「遊技モード3」を選択する位置におかれており、遊技モードの設定は「遊技モード3」に設定されているものとする。
ここで、本実施例のパチンコ遊技機1では、モード設定スイッチ82への入力操作によって、5種類の遊技モードから任意の遊技モードを選択することが可能である。5種類の遊技モードとして、遊技モード1、遊技モード2、遊技モード3、遊技モード4、及び、遊技モード5を備えている。そして、図6において、モード設定スイッチ82の左端の設定位置([1]の位置)に操作部82aを位置させることで、遊技モードの設定を遊技モード1に設定することが可能となる。また、モード設定スイッチ82の左から2番目の設定位置([2]の位置)に操作部82aを位置させることで、遊技モードの設定を遊技モード2に設定することが可能となる。また、モード設定スイッチ82の左から3番目の設定位置([3]の位置)に操作部82aを位置させることで、遊技モードの設定を遊技モード3に設定することが可能となる(図6の設定態様)。また、モード設定スイッチ82の右から2番目の設定位置([4]の位置)に操作部82aを位置させることで、遊技モードの設定を遊技モード4に設定することが可能となる。また、モード設定スイッチ82の右端の設定位置([5]の位置)に操作部82aを位置させることで、遊技モードの設定を遊技モード5に設定することが可能となる(図6を参照)。
また、このモード設定スイッチ82の操作部82aを、任意の設定位置に移動させる(位置させる)ことで、遊技モードを設定者の任意の遊技モードに設定可能である。そして、このモード設定スイッチ82の設定状態、すなわち操作部82aの位置は、主制御基板80のCPUで監視されており、当該CPUによって、モード設定スイッチ82の操作部82aの位置(操作者によって選択された遊技モードを示す選択情報)を認識している。そして、遊技店員等の操作者が、遊技モードを変更するべく、モード設定スイッチ82に所定の入力操作を行い、選択情報が変更された場合には、主制御基板80のCPUは、後述する所定の変更条件を満たしているかどうかを判定し、満たしていれば当該選択情報に対応する遊技モードを設定し(モード変更し)、満たしていなければ当該選択情報に対応する遊技モードを設定しない(モードを変更しない)ものとしている。この変更条件を具備する場合に、遊技モードを設定する(設定変更する)手段を「判定確率設定手段」ともいう。また、モード設定スイッチ82を、「判定確率選択手段」ともいい、モード設定スイッチ82によって選択している位置(選択している設定)を示す情報を「選択情報」ともいう。
ここで、図10を用いて、各遊技モード(遊技モード1〜遊技モード5)について説明する。遊技モードが、「遊技モード1」に設定されると、大当り確率(第1特別図柄当否判定において大当りと判定される確率、及び第2特別図柄当否判定において大当りと判定される確率)が、低確率状態(通常状態)において1/630、高確率状態において1/63とされる。また、小当り確率は、第1特別図柄当否判定及び第2特別図柄当否判定共に1/160とされている。また、第1特別図柄当否判定において大当りとなったときの大当り種別(大当り種別決定判定)は、15R第1大当りが40%、15R第2大当りが50%、2R第3大当りが10%の割合で振分されている。大当り種別決定用乱数は、0〜99の100個の値で構成され、始動口(第1始動口又は第2始動口)への入球タイミングで何れかの値が取得され、当該取得値によって大当り種別が決定される。また、第2特別図柄当否判定において大当りとなったときの大当り種別(大当り種別決定判定)は、15R第4大当りが100%の割合とされている。すなわち、第2特別図柄当否判定において大当りと判定された場合には、必ず15R第4大当りとなる。
次に、遊技モードが、「遊技モード2」に設定されると、大当り確率(第1特別図柄当否判定において大当りと判定される確率、及び第2特別図柄当否判定において大当りと判定される確率)が、低確率状態(通常状態)において1/315、高確率状態において1/63とされる。その他の条件は、遊技モード1と同様である。次に、遊技モードが、「遊技モード3」に設定されると、大当り確率(第1特別図柄当否判定において大当りと判定される確率、及び第2特別図柄当否判定において大当りと判定される確率)が、低確率状態(通常状態)において1/210、高確率状態において1/63とされる。その他の条件は、遊技モード1と同様である。これら、遊技モード1〜3を比較すると、低確率状態における大当り確率(所謂初当りとなる確率)が異なるものとされており、遊技モード3が遊技者にとって最も有利であり、次に遊技モード2が有利であり、遊技モード3が遊技者にとって最も不利な遊技モードとなっている。
次に、遊技モードが、「遊技モード4」に設定されると、大当り確率(第1特別図柄当否判定において大当りと判定される確率、及び第2特別図柄当否判定において大当りと判定される確率)が、低確率状態(通常状態)において1/315、高確率状態において1/42とされる。また、小当り確率は、第1特別図柄当否判定及び第2特別図柄当否判定共に1/90とされている。また、第1特別図柄当否判定において大当りとなったときの大当り種別(大当り種別決定判定)は、15R第1大当りが30%、15R第2大当りが60%、2R第3大当りが10%の割合で振分されている。この遊技モード4は、低確率状態における大当り確率は遊技モード2と同じ確率とされ、高確率状態における大当り確率が1/42とされ、高確率状態における大当り確率が、遊技モードの中で最も高くされている。後述する通り、本実施例1のパチンコ遊技機1は、高確率状態において所定回数特別図柄当否判定を行って、大当りと判定することがない場合には、低確率状態に移行することとなる(所謂「ST機」、「確変回数切り遊技機」といわれる仕様とされる)。そのため、この遊技モード4は、他の遊技モードに比べて、高確率状態において次回の大当りが発生する可能性が最も高いものとされている。すなわち、この遊技モード4は、高確率状態を、大当りを発生することなく終了してしまう可能性が最も低い設定(遊技モード)といえる。
一方、大当り種別の判定においては、他の遊技モードと比較して不利に設定されている。具体的に、第1特別図柄当否判定において大当りとなったときの大当り種別判定において、特典(高確率状態)が付与される可能性が高い15R第1大当りとなる割合を他の遊技モードよりも低く設定し、特典(高確率状態)が付与される可能性が低い15R第2大当りとなる割合を他の遊技モードよりも高く設定している。これにより、遊技モード4は、高確率状態において次の大当りが発生する可能性は高いが、当該大当りに基づいて高確率状態が継続する可能性は低いものとされている。
次に、遊技モードが、「遊技モード5」に設定されると、大当り確率(第1特別図柄当否判定において大当りと判定される確率、及び第2特別図柄当否判定において大当りと判定される確率)が、低確率状態(通常状態)において1/315、高確率状態において1/90とされる。また、小当り確率は、第1特別図柄当否判定及び第2特別図柄当否判定共に1/210とされている。また、第1特別図柄当否判定において大当りとなったときの大当り種別(大当り種別決定判定)は、15R第1大当りが50%、15R第2大当りが40%、2R第3大当りが10%の割合で振分されている。この遊技モード5は、低確率状態における大当り確率は遊技モード2と同じ確率とされ、高確率状態における大当り確率が1/90とされ、高確率状態における大当り確率が、遊技モードの中で最も低くされている。そのため、この遊技モード5は、他の遊技モードに比べて、高確率状態において次回の大当りが発生する可能性が最も低く、高確率状態を、大当りを発生させることなく終了してしまう可能性が最も高い設定といえる。一方、大当り種別の判定においては、他の遊技モードと比較して有利に設定されている。具体的に、第1特別図柄当否判定において大当りとなったときの大当り種別判定において、特典(高確率状態)が付与される可能性が高い15R第1大当りとなる割合を他の遊技モードよりも高く設定し、特典(高確率状態)が付与される可能性が低い15R第2大当りとなる割合を他の遊技モードよりも低く設定している。これにより、遊技モード5は、高確率状態において次の大当りが発生する可能性は低いが、大当りとなった場合には、当該大当りに基づいて高確率状態が継続する可能性は高いものとされている。
この様に、他と比較して不利な遊技モードや有利な遊技モードを備えると共に、高確率状態(特典付与状態中)における大当りの発生可能性は高いが大当りとなった場合に高確率状態が継続する可能性(再度特典が付与される可能性)が低い遊技モードや、高確率状態における大当りの発生可能性は低いが大当りとなった場合に高確率状態が継続する可能性が高い遊技モード等、多様な遊技者の趣向に対応可能な多様な遊技モードを備えている。これにより、遊技機を選択する遊技者は、自身の好みの遊技モードに設定された遊技機であることを期待して、所定の遊技機を選択して遊技を行うこととなる。また、遊技モード1乃至3と、遊技モード4と、遊技モード5と、では、小当り確率が異なっているので、遊技者は、遊技中の小当り発生回数等を計数することで、設定されている遊技モードをある程度推測することが可能となる。これにより、遊技者は、遊技中の遊技機が、希望の遊技モードに設定されているかどうかを推測し、遊技を継続する指標とすることも可能となる。これにより、新たな遊技興趣を付与し、遊技興趣を高めることが可能となる。
また、これらの遊技モードにおいて、表示される識別情報(演出図柄)や、出現するキャラクタや、リーチ演出(キャラクタ演出)等の態様の一部又は全部を異ならせることも可能となる。これにより、遊技者が遊技に飽きてしまうのを防止し、遊技機の稼働率を向上させることが可能となる。
また、実施例1のパチンコ遊技機は、図5及び図6等に示すように、主制御基板80や払出制御基板110やその他の制御基板(サブ制御基板90、画像制御基板100)等に対して駆動電力を供給する電源基板109を備えている。この電源基板109には、各制御基板等に駆動電力を供給(電力供給)するための電源部104と、電源基板に供給される電源電圧の低下を監視する電圧低下監視回路105と、を設けている。また、電源基板109には、遊技店員等が所定の入力操作を行うスイッチとして、所定操作(左側部を押圧操作することでON、右側部を押圧操作することでOFFとなる)を行うことで電源電圧の供給を開始又は停止させることが可能な電源スイッチ84と、所定の入力操作を行うことで主制御部80のRAMに設けられたバックアップ領域及び払出制御部110のRAMに設けられたバックアップ領域の記憶内容を消去して初期化させるRAMクリアスイッチ83と、を備えている。この電源基板109を「電力供給手段」ともいう。また、電源基板109は、1枚の基板で構成されてもよいし、複数枚の基板で構成されてもよい。これは、主制御基板80や払出制御基板110や、サブ制御基板90や、その他の制御基板についても同様である。
パチンコ遊技機1に電力が供給されていない状態(電源OFF状態)で、電源スイッチ84だけをON操作すると、電源基板109に電源電圧が供給されると共に、電源基板109から各種制御基板に対して必要な駆動電力が供給される。そして、バックアップ領域に電源OFF時(電力低下時)の遊技状態情報が正常に記憶(記憶保持)されている場合には、当該遊技状態情報に基づいて、電源OFF時(電力低下時)の遊技状態を復旧したうえで、遊技可能な状態とする(これを「遊技状態情報復旧手段」ともいう)。一方、電源スイッチ84をON操作する際において、RAMクリアスイッチ83を所定期間押圧操作しながら電源スイッチ84をON操作すると、電源基板109から当該RAMクリアスイッチの入力情報(RAMクリア信号)が主制御部80及び払出制御部110に入力され、バックアップ領域(主制御部80及び払出制御部110)に記憶した遊技状態情報があれば、当該記憶された遊技状態情報を消去して、初期化したうえで、遊技可能な状態とする(これを「遊技状態情報初期化手段」ともいう)。これにより、パチンコ遊技機1を初期状態に初期化することが可能となる。
また、電圧低下監視回路105は、パチンコ遊技機1において使用される所定電圧(例えば、DC24VやDC12VやDC5V等)の電圧値を監視し、当該監視する電圧値が予め定められた所定値まで低下すると(電源電圧の低下を検知すると)、その旨を示す「電源断信号」を主制御部80のCPUや払出制御部110のCPU等に対して出力するものとされる(図6を参照)。また、電源基板109から送信された電源断信号を受信した主制御基板80のCPU及び払出制御基板110のCPUは、夫々のRAMに記憶されている遊技状態情報を、バックアップ領域に記憶保持する後述の電源断監視処理を行う。ここで、この主制御基板80のRAM及び払出制御基板110のRAMにおいて、遊技中の遊技状態情報を記憶する記憶領域を「遊技状態情報記憶手段」ともいい、電源電圧の低下を検知したときにバックアップ対象の遊技状態情報を記憶するバックアップ領域を「記憶保持手段」ともいう。
また、主制御基板80のRAM及び払出制御基板110のRAMの一部又は全部はバックアップ領域とされ、電源基板109の電源部が有するバックアップ電源(バックアップ電圧)によってバックアップされている。すなわち、停電の発生や電源OFF操作により、パチンコ遊技機1に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、これらRAMに記憶されているバックアップ対象(記憶保持対象)の内容(遊技状態情報)は保存(記憶保持)される。この遊技状態情報には、少なくとも、設定されている遊技モードを示す情報、遊技状態を示すデータ、すなわち、主制御部の制御状態に応じたデータ(特別図柄ステータスフラグ、普通図柄ステータスフラグ、保留記憶カウンタの値、確変フラグ、時短フラグ等)や、未払出賞球数を示すデータ等を含む。そして、これらの遊技状態情報は、バックアップ電源により電力供給が維持されるバックアップ領域(バックアップRAM)に保存(記憶保持)される。尚、「主制御部の制御状態に応じたデータ」とは、停電等が生じた後であって、再度電力供給が開始された場合に、制御状態(遊技状態)を、停電等が生じたとき(停電発生前)の制御状態(遊技状態)に復旧させるために必要なデータである。また、図示はしないが、サブ制御部90のRAMにも主制御部80等と同様にバックアップ領域を設け、停電等が発生した際にサブ制御部90のRAMで記憶されている遊技状態情報(保留記憶数、先読み情報、確変フラグ、時短フラグ等)を記憶保持可能とし、遊技機に対する電力供給が停止しても所定期間RAMのバックアップ領域の内容を保存するようにしてもよい。
主制御基板80には、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、及び一般入球口センサ27aが接続されている。これら各種センサを「検知手段」ともいう。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて第1始動口20に入球した遊技球を検知するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて第2始動口21に入球した遊技球を検知するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検知するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入球した遊技球を検知するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入球した遊技球を検知するものである。特定領域センサ39aは、第2大入賞口35内の特定領域39に設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球のうち特定領域39を通過した遊技球を検知するものである。非特定領域センサ49aは、第2大入賞口35内の非特定領域49に設けられており、第2大入賞口35に入球した遊技球のうち非特定領域49を通過した遊技球を検知するものである。一般入球口センサ27aは、各一般入球口27内にそれぞれ設けられて一般入球口27に入球した遊技球を検知するものである。
またソレノイド類としては、第2始動口ソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38及び可動片ソレノイド151が接続されている。これら各種ソレノイドを「駆動手段」ともいう。第2始動口ソレノイド24は、可変入賞装置22の可動部材23を駆動するためのもので、第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するためのものである。また、第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するためのもので、可動片ソレノイド151は、第2大入賞装置36の可動片150を駆動するものである。さらに主制御基板80には、第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄表示器41b、普通図柄表示器42、第1特図保留表示器43a、第2特図保留表示器43b、普図保留表示器44、ラウンド表示器45、遊技状態表示器46、発射方向表示器47、及び当り表示器48が接続されている。すなわち、これらの主表示器40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球や貸球を払い出す払出装置120、及びカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されたプリペイドカード(遊技価値記憶媒体)等に記憶されている情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御基板111(「発射制御部」ともいう)を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、発射ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技球の払い出しを制御する払出制御用ワンチップマイコン116(「払出制御用マイコン」ともいう)が実装されている。払出制御用マイコン116には、遊技球の払い出しを制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。払出制御用マイコン116は、入出力回路117を介し、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、払出装置120の払出モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球の払い出しを行ったりする。払い出される遊技球は、その計数のため払出センサ122、123により検知される。尚遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチセンサ114が発射ハンドル60への遊技者の接触を検知し、発射ボリューム115が発射ハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動制御されることとなる。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
また図5に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン91(「演出制御用マイコン」)が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って遊技演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM、ワークメモリとして使用されるRAM、ROMに記憶されたプログラムを実行するCPUが含まれている。演出制御用マイコン91は、入出力回路95を介して他の基板等とデータの送受信を行う。入出力回路95は、演出制御用マイコン91に内蔵されていてもよい。また、ROMは外付けであってもよい。
サブ制御基板90には、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101(「画像制御用マイコン」)のCPUに、画像表示装置7、演出表示器102、第1演出保留表示器103a、及び第2演出保留表示器103bの表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAMは、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROMには、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字及び記号等(演出図柄、保留図柄等を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPUは、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROMから画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
演出表示器102は、2個のLEDからなり、演出図柄8の変動表示及び停止表示にあわせて変動表示及び停止表示を行い、2個のLEDの点灯・消灯、又は色の組合せにより、演出図柄8の表示結果(特別図柄当否判定の結果)を示す表示態様で停止表示する。また、第1演出保留表示器103a、及び第2演出保留表示器103bも同様に2個のLEDからなる。そして、2個のLEDの点灯・消灯、又は色の組合せにより、第1演出保留表示器103aは第1演出保留表示領域9cに表示される保留個数及び第1特図保留表示器43aで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。また、第2演出保留表示器103bは第2演出保留表示領域9dに表示される保留個数及び第2特図保留表示器43bで表示される保留個数と同じ保留個数を示す表示態様で表示制御される。これは、キャラクタ図柄を表示画面7a(演出図柄表示部)の略全体に表示したり、可動装飾部材14を動作させて表示画面7aの演出図柄表示領域7b(演出図柄表示部)の略全体を被覆したりすることで、演出図柄、第1演出保留表示部、又は第2演出保留表示部の一部又は全部が視認できない状態になることがあるため、この様な表示器が設けられている。尚、画像制御基板100の画像制御用ワンチップマイコン101に換えて、又は加えてVDP(Video Display Processor)を設けてもよい。
また、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROMに格納されている。尚、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROMに音響データを格納してもよい。また、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を、ROMに格納されているデータから決定し、ランプ制御基板107を介して枠ランプ66や盤面ランプ5等のランプ(LED)の点灯制御を行う。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に中継基板108を介して接続された可動装飾部材14を動作させる。尚可動装飾部材14は、図1では一部分のみ視認可能となっているが、センター装飾体10に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。演出制御用マイコン91は、可動装飾部材14を所定の動作態様で動作させるための動作パターンデータ(「駆動データ」ともいう)を、サブ制御基板90のROMに格納されているデータから決定し、決定した動作パターンデータに基づいて可動装飾部材14の動作を制御する。尚、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や可動装飾部材14の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
また、サブ制御基板90には、第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63b(図1参照)が操作(押す、回転、引く等)されたことを検知する第1演出ボタン検知スイッチ63c及び第2演出ボタン検知スイッチ63dが接続されている。従って、第1演出ボタン63a又は第2演出ボタン63bに対して遊技者が所定の入力操作を行うと、対応する演出ボタン検知スイッチらサブ制御基板90に対して信号が出力される。
次に、本実施例1のパチンコ遊技機1における当否判定に係る制御について説明する。特別図柄当否判定の結果として、「大当り」、「小当り」、「外れ」がある。「大当り」のときには、特別図柄表示部41に「大当り図柄」が停止表示される。また「小当り」のときには、特別図柄表示部41に「小当り図柄」が停止表示される。また「外れ」のときには、特別図柄表示部41に「外れ図柄」が停止表示される。大当り又は小当りと判定されると、停止表示された特別図柄の種類に応じた開放パターンにて、第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放する「特別遊技」が実行される。大当りとなって実行される特別遊技を「大当り遊技」と言い、小当りとなって実行される特別遊技を「小当り遊技」と言う。尚、停止表示する特別図柄の種類は、「大当り」、「小当り」、「外れ」において、夫々1又は複数の特別図柄を設けてもよい。
大当りには複数の種別が設けられている。図7に示すように当りの種別としては、「15R(ラウンド)第1大当り」、「15R第2大当り」、「2R第3大当り」、及び「15R第4大当り」がある。「15R第1大当り」及び「15R第4大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であり、1ラウンド目と2ラウンド目に、特定領域39(単に「V」ともいう)への遊技球の通過が可能(容易)な態様で第2大入賞口35を開放させる大当りである。この特定領域39への遊技球の通過を狙う(特定領域を遊技球が通過した場合に所定の特典が付与される)ラウンドを、Vラウンドやチャンスラウンドやチャレンジラウンドということができる。尚、このVラウンド(特定ラウンド)は、可動片150を動作させるラウンドであり、Vラウンド以外のラウンド(非特定ラウンド)は可動片150を動作させない。すなわち、第2大入賞口35を開放させるラウンドであっても、Vラウンド以外のラウンドである場合には、可動片150が動作せず、特定領域39が常に閉状態とされており、たとえ遊技球が第2大入賞口35に入給しても当該遊技球が特定領域39に誘導されることはない。すなわち、Vラウンド以外のラウンドは「遊技球が特定領域を通過不能なラウンド」ともいえる。
また、「15R第2大当り」は、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が15回であるものの、前述のチャンスラウンドである1ラウンド目及び2ラウンド目の開放時間が極短時間(一瞬開閉)とされ、第2大入賞口35への入球が困難であると共に、特定領域39への遊技球の通過が困難(不可能としてもよい)な大当りとされている。すなわち、この「15R第2大当り」は、特定領域39への遊技球の通過が可能(容易)な態様で第2大入賞装置36を開放させることのない大当りであるといえる。「2R第3大当り」は、大入賞口(第2大入賞口35)の開放回数(ラウンド数)が2回であり、Vラウンドである1ラウンド目及び2ラウンド目において、夫々、それ程長くはないものの第2大入賞口35への遊技球が入球可能な態様で開放する。具体的に、夫々のラウンドにおいて、「0.9s」の開放を1回行う。すなわち、2R第3大当りは、特定領域39への遊技球の通過が可能な態様で第2大入賞装置36を開放させる大当りである。但し、第2大入賞口35の開放時間が1ラウンド目と2ラウンド目を合わせても1.8秒であるので、特定領域39への遊技球の通過は可能であるものの、15R第1大当りより特定領域39への遊技球の通過可能性が低いものとなっている。
本実施例1のパチンコ遊技機1では、大当り遊技中の特定領域39への遊技球の通過に基づいて、その大当り遊技の終了後の遊技状態を、後述の高確率状態に移行させる。従って、特別図柄当否判定の結果が前述の15R第1大当り、2R第3大当り、又は15R第4大当りとなった場合には、特定領域への遊技球の通過可能性が(15R第2大当りと比較して)比較的高い態様で1ラウンド目及び2ラウンド目のVラウンドが実行されるため、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることで、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させることが可能となる。これに対して、15R第2大当りとなった場合には、1ラウンド目と2ラウンド目のチャンスラウンドの開放時間が各0.1秒であるので、Vラウンドではあるものの、第2大入賞口へ遊技球を入球させるのが非常に困難であるので、当該大当り遊技の実行中に特定領域39へ遊技球を通過させることができず、その大当り遊技後の遊技状態は、後述の通常状態(低確率状態)となる可能性が非常に高い(低確率状態になるといってもよい)。
一方、小当りとなった場合に実行される小当り遊技の開放パターンは、第2大入賞口35を、0.9秒間に亘って開放する開放動作を2回行う(入球可能状態とする)ものとされている。この小当り遊技の開放パターンは、見かけ上2R第3大当り遊技と同じ開放パターンとされており、遊技者からは小当り遊技か2R大当り遊技かを認識するのが困難な開放パターンとされている。従って、これらの開放パターンをみるだけでは、実行する当り遊技が、小当り遊技か2R大当り遊技か区別することはできないものとされる。すなわち、小当りになると、第2大入賞口35に遊技球が入球可能な態様で第2大入賞装置36を2回開放させる。然しながら、小当り遊技の実行中に、可動片150が動作することはないので、第2大入賞口35に遊技球が入球しても当該遊技球が特定領域39を通過することはない。仮に、何らかの事情で特定領域39への遊技球の通過があったとしても、Vラウンド以外のラウンドでは、特定領域39の通過(特定領域センサ39aでの検知)を有効なものとして処理しない無効期間とされており、当該特定領域39の通過に基づいて何らかの特典が付与されることはない。
従って、小当り遊技の実行後の遊技状態を小当り遊技の実行前から変化させないものとなっている。そのため、小当り遊技の実行前の遊技状態が通常状態(低確率状態)であれば、小当り遊技の実行後の遊技状態も通常状態となる。そして遊技者から見れば、上記の2R第3大当りと小当りとは大入賞口(第2大入賞口35)の開放パターンを見ても区別することが困難なものとされている。すなわち、遊技者は大入賞口の開放パターンから、特別図柄当否判定の結果が、2R第3大当りになったのか小当りになったのかを認識するのが困難である。また、演出上も、2R第3大当りに係る大当り遊技と、小当りに係る小当り遊技と、の実行中において、並びに、その後の演出図柄の変動表示中において、遊技者が両者を区別困難なように、共通の演出(演出態様)を実行可能としている。そのため、2R第3大当りとしての特別遊技中に特定領域39へ遊技球を通過させたとしても、それだけでは、その後の遊技状態が高確率状態に移行したかどうかを認識するのは困難である。尚、第2大入賞口35の内部の可動片150の動作態様や遊技球が特定領域を通過したかどうかについても、遊技者が視認し難い構造とされている。その結果、小当りとなった場合、及び2R第3大当りになった場合には、当り遊技(小当り遊技又は大当り遊技)終了後が高確率状態であるかもしれないという期待感を持ちつつ遊技を進行することが可能となり、遊技興趣を高めることが可能となる。尚、小当りにおいては大入賞口の開放回数を、ラウンド数とは言わず、単に開放回数という。
より具体的には、本実施例1のパチンコ遊技機1における各大当り及び小当りとなったときの大入賞口の開放パターンは、図6のようになっている。すなわち、15R第1大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第1大当り図柄が停止表示された場合)、及び15R第4大当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに15R第4大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまでは第2大入賞口35を最大28秒開放し、3R〜15Rまでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この当りでは、1R目及び2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々28秒あるため、そのラウンド中に特定領域39へ遊技球を通過させることが容易となっている。
また、15R第2大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに15R第2大当り図柄が停止表示された場合)には、1R〜2Rまでは第2大入賞口35を最大0.1秒開放し、3R〜15Rまでは第1大入賞口30を最大28秒開放させる。この当りでは、1R目及び2R目における第2大入賞口35の開放時間が夫々最大0.1秒と極短時間とされている(一瞬開閉)ため、そのラウンド中に特定領域39へ遊技球を通過させることはほぼ不可能となっている。すなわち、15R第2大当り用の開放パターンは、15R第1大当り用の開放パターンと第1ラウンド及び第2ラウンドの開放態様が異なる。つまり、15R第1大当りでは、Vラウンドである1ラウンド目及び2ラウンド目に第2大入賞口35が28秒開放するため、第2大入賞口35へ遊技球が容易に入球する。そして、可動片150も動作しているため、第2大入賞口35へ入球した遊技球は、高い可能性で特定領域39を通過する。これに対して、15R第2大当りでは、1ラウンド目及び2ラウンド目に第2大入賞口35が0.1秒しか開放しない。そのため、第2大入賞口35へ遊技球が入球することは非常に困難である。従って、15R第2大当りの実行中に、遊技球が特定領域39を通過する可能性は15R第1大当りと比してかなり低くなっている。また、遊技球が特定領域39を通過する可能性は限りなく0に近いため、通過しないといってもよい。
また、図7に示すように、2R第3大当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに2R第3大当り図柄が停止表示された場合)には、1R目及び2R目において、第2大入賞口35を夫々最大0.9秒開放させる。この当りでは、1R目と2R目とを合計した第2大入賞口35の開放時間は最大1.8秒であるため、何れかのラウンド中に第2大入賞口35に遊技球を入球させ、可動片150が動作して開状態となった特定領域39へ遊技球を通過させることが可能となっている。尚、本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。よって、第2大入賞口35の開放時間が1.8秒あれば、第2大入賞口35へ遊技球を入球させることは十分に可能である。またこの2R第3大当りは、第2大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、他の15R大当りのように多くの賞球(遊技利益)を望めるものではない。すなわち他の大当り(15R大当り)に比してほとんど賞球を獲得できない大当りである。
また、第1小当りとなった場合(第1特別図柄表示器41aに第1小当り図柄が停止表示された場合)、及び、第2小当りとなった場合(第2特別図柄表示器41bに第2小当り図柄が停止表示された場合)には、第2大入賞口35において最大0.9秒間の開放を2回行う。すなわち、2R第3大当りの大当り遊技において開放する大入賞口と同じ大入賞口を、同じ開放パターンで開放させる。また、小当り遊技における1回目の開放と2回目の開放との間の閉鎖時間、及び、2R第3大当りにける1ラウンド目と2ラウンド目のインターバル時間、は同じ時間に設定されている。これにより、2R第3大当りに係る大当り遊技と小当りに係る小当り遊技とを識別するのが困難とされている。また、この小当りにおいても、第2大入賞口35の開放時間が総計すると最大1.8秒あるため、第2大入賞口35に遊技球を入球可能となっている。しかし前述の通り、小当り遊技はVラウンドを有していないため、可動片150が動作することはなく、特定領域39を遊技球が通過することはない。また、この小当りは、大入賞口の総開放時間が1.8秒と短いため、2R第3大当りと同様に多くの賞球を望めるものではない。すなわち小当りは、遊技状態の移行という点についても、賞球という点についても、遊技者にとっての特典がほぼないもの(入球による賞球のみ)となっている。すなわち、本実施例では、第2大入賞口35の開放パターンとして、遊技球が特定領域39を通過可能(通過容易)な第1の開放パターンと(15第1大当り、15R第4大当り)、遊技球が特定領域39を通過困難(通過不能)な第2の開放パターンと(15R第2大当り)、遊技球が特定領域を通過可能であって第1の開放パターンより通過可能性が低い第3の開放パターンと(2R第3大当り、小当り)、を有するものとすることができる。
尚、第1特別図柄(特図1)の当否判定における各大当りへの振分確率は、前述した様に、各遊技モードに対応して設定されている。また、第2特別図柄(特図2)の当否判定における大当りは、全て15R第4大当りとなっている。すなわち、後述の開放延長機能の作動(高ベース状態の発生)により入球容易となった第2始動口21への入球に基づく当否判定により大当りとなった場合には、必ず15R第4大当りとなる。この様に、本パチンコ遊技機1では、第1始動口20に遊技球が入球して行われる当否判定(第1特別図柄の大当り抽選)において大当りとなるよりも、第2始動口21に遊技球が入球して行われる当否判定(第2特別図柄の大当り抽選)において大当りとなる方が、遊技者にとって有利となる可能性が高くなるように設定されている。すなわち、遊技者は、第2始動口21への入球を期待して遊技を行う。特に第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能の作動中においては顕著である。
ここで本パチンコ遊技機1では、大当りか、小当りか、外れかの判定は、「特別図柄当否判定用乱数(「当否判定用情報」ともいう)」に基づいて行われ、大当りとなった場合の大当りの種別の判定は「大当り種別決定用乱数(「図柄決定用乱数」、「図柄決定用情報」ともいう)」に基づいて行われる。この特別図柄当否判定、及び大当り種別決定判定の夫々を「当否判定(判定)」ともいい、総じて「当否判定(判定)」ということもある。図8(A)に示すように、特別図柄当否判定用乱数は0〜629までの範囲で値をとる。大当り種別決定用乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。尚、第1始動口20又は第2始動口21への入球に基づいて取得される乱数(取得情報)には、特別図柄当否判定用乱数及び大当り種別決定用乱数の他に、「リーチ乱数(「リーチ情報」ともいう)」及び「変動パターン乱数(「変動パターン情報」ともいう)」がある。
リーチ乱数は、特別図柄当否判定の結果が外れである場合に、演出図柄を用いてその結果を示す遊技演出(演出図柄遊技演出)においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは例えば、左と右の2個の演出図柄8R、8Lが同じ図柄で停止(仮停止)され、残り1個の中演出図柄8Cが変動中の状態をいう(「7↓7」の状態)。そして、変動中の中演出図柄8Cが停止中の演出図柄8R、8Lと同じ図柄で停止すれば、3つの演出図柄が同一の図柄で停止することとなり、当りとなる。尚、この場合の演出図柄の停止(仮停止)には、演出図柄表示領域7b内で多少揺れているような表示(揺れ変動)も含まれる。このリーチ乱数は、0〜126までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜198までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図8(B)に示す普通図柄当否判定用乱数がある。普通図柄当否判定用乱数は、第2始動口21を開放させる補助遊技を行うか否かの判定(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜240までの範囲で値をとる。
次に、本実施例1のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1は、特別図柄及び普通図柄に対する確率変動機能、変動時間短縮機能、及び、開放延長機能の各機能が作動状態又は非作動状態となる組合せにより、複数の遊技状態を有している。特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常状態(「低確率状態」ともいう)」という。高確率状態では、特別図柄当否判定(第1特別図柄当否判定及び第2特別図柄当否判定)において大当りと判定される確率が通常状態よりも高くなっている。すなわち、通常状態では通常状態用の大当り判定テーブルを用いて当否判定を行うものの、高確率状態では、大当りと判定される特別図柄当否判定用乱数の値が多い高確率状態用の大当り判定テーブルを用いて、当否判定を行う(図9(A)参照)。つまり、特別図柄の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の変動表示の結果が大当りとなる(停止図柄が大当り図柄となる)確率が高くなる。
また、特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)について変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示の開始時から確定表示時までの時間)の平均値が、非時短状態における特別図柄の変動時間の平均値よりも短くなっている。すなわち、時短状態においては、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図9参照)。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入球(特図保留として記憶され得る入球)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当りを狙うことができる。
特別図柄(第1特別図柄及び第2特別図柄)についての確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄の確率変動機能及び変動時間短縮機能は、特別図柄の時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄当否判定における当り確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当りと判定される普通図柄乱数(当り乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当り判定テーブルよりも多い普通図柄当り判定テーブルを用いて、普通図柄当否判定(普通図柄の判定)を行う(図8(D)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄の変動表示の結果が当りとなる(停止図柄が普通当り図柄となる)確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本実施例1では、普通図柄の変動時間は非時短状態では30秒であるが、時短状態では1秒である(図8(E)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における第2始動口21の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。すなわち、可変入賞装置22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における第2始動口21の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。すなわち、可変入賞装置22の開放回数増加機能が作動している。具体的に、非時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の開閉部材37が0.2秒の開放動作を1回行い、その期間第2始動口が開状態となる。また時短状態において普通図柄当否判定の結果が当りになると、可変入賞装置22の開閉部材37が2.0秒の開放動作を3回行うものとされる。
普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、第2始動口21が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球の入球頻度が高くなる(「高頻度状態」ともいう)。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当りを狙うことができる。
高ベース状態(高頻度状態)は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄についての確率変動機能及び変動時間短縮機能、並びに、可変入賞装置22の開放時間延長機能及び開放回数増加機能のうち少なくとも一つの機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも第2始動口が開放され易く(入球頻度が高く)なっていればよい。また、高ベース状態は、特別図柄の時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。この様な高ベース状態を発生する機能を「高ベース発生機能」ということもできる。
図7に示す様に、本実施例1のパチンコ遊技機1では、15R第1大当りとなった場合の特別遊技後の遊技状態は、その特別遊技中に特定領域39の通過がなされていれば、特別図柄の高確率状態且つ特別図柄の時短状態、且つ高ベース状態となる。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、予め定められた回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、又は、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
また、15R第2大当りとなった場合の特別遊技後の遊技状態は、その特別遊技中に特定領域39を通過することは極めて困難であるので、特別図柄の通常状態且つ特別図柄の時短状態、且つ高ベース状態となる。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態(「時短モード」ともいう)」という。低確高ベース状態は、所定回数(例えば100回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、大当りに当選してその大当り遊技が実行されることにより終了する。可能性は限りなく低いが、仮に特定領域39を通過した場合には、「高確高ベース状態」となる。また、通常状態(低確低ベース状態)において、2R第3大当りとなった場合の特別遊技後の遊技状態は、その特別遊技中に特定領域39の通過がなされていれば、特別図柄の高確率状態且つ特別図柄の非時短状態、且つ低ベース状態となる。この遊技状態を特に、「高確低ベース状態」という。高確低ベース状態は、予め定められた回数の特別図柄の変動表示が実行されるか、又は、大当りとなって大当り遊技が実行されることにより終了する。
この高確低ベース状態は、高確率状態であることが潜伏している状態、すなわち高確率状態であることが遊技者にとって認識困難な状態である。つまり高確低ベース状態は、いわゆる「潜伏確変状態」である。また、この様に現在の特別図柄当否判定の大当り確率が低確率か高確率か(低確率状態か高確率状態か)を報知しない状態を、「確率非報知状態」という。これに対して、上記の高確高ベース状態は、高確率状態であることが遊技者にとって明らかな状態である。つまり高確高ベース状態は、いわゆる「確変遊技状態(「確変モード」ともいう)」である。また、高ベース状態において、2R第3大当りとなった場合の特別遊技後の遊技状態は、その特別遊技中に特定領域39の通過がなされていれば、特別図柄の高確率状態且つ特別図柄の時短状態、且つ高ベース状態となる。すなわち、特別図柄の時短機能及びベース状態については、特別遊技の実行前の状態と同じ状態とされる。尚、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、特別図柄の通常状態且つ特別図柄の非時短状態、且つ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。
また、高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3Bへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。また、高ベース状態では、低ベース状態と比べて第2始動口21が開放されやすくなっており、第1始動口20への入球よりも第2始動口21への入球の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄当否判定の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入球させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御され、右遊技領域へ発射すべきことを報知する。
これに対して、高確低ベース状態や低確低ベース状態といった低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3Aへ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。また低ベース状態では、高ベース状態と比べて第2始動口21が開放されにくくなっており、第2始動口21への入球よりも第1始動口20への入球の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入球させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入球(特別図柄当否判定の機会)を得ることができる。この状態のとき、発射方向表示器47が所定の態様で点灯制御(表示制御)され、左遊技領域へ発射すべきことを報知する。具体的には発射方向表示器47は、「yz」の2個のLEDで構成されており、遊技状態に応じてLEDを点灯させることにより発射方向を示すものである。例えば、低ベース状態では、「y□z□」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを消灯する表示態様として左遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。また、高ベース状態では、「y■z■」(例えば、□:消灯、■:点灯とする)というように両LEDを点灯する表示態様として右遊技領域へ発射すべきことを報知することができる。
[主制御メイン処理]
次に、図12〜図42に基づいて遊技制御用マイコン81の動作(主制御部による制御処理)について説明する。尚、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、主制御基板80のRAMに設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、主制御基板80のROMから図12に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理ではまず、後述する初期設定処理を行う(S101)。初期設定処理(S101)では、例えば、遊技状態の復旧処理や遊技状態の初期化処理等の処理の他、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、主制御基板80のCPUの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定や、各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。フラグの初期値は「0」つまり「OFF」であり、ステータスの初期値は「1」であり、カウンタの初期値は「0」である。尚、初期設定処理(S101)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降(遊技開始後)は実行されない。尚、実施例及び図面において、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」、第1特別図柄を「特図1」「第1特図」、第2特別図柄を「特図2」「第2特図」ということがある。
また、初期設定処理(S101)に次いで、後述するモード設定処理(S106)を実行する。このモード設定処理では、後述する所定の変更条件(変更タイミング、変更操作)を満たしているかどうかを判定し、変更条件を満たしていれば、モード設定スイッチ82で選択した遊技モードへの設定変更を可能とする処理である。このモード設定処理(S106)は、初期設定処理(S101)と同様、電源投入後に、当該電源投入に伴って一回だけ実行され、それ以降(遊技開始後)は実行されないものとされる。また、モード設定処理(S106)に次いで、割り込みを禁止し(S102)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)では、図7に示した種々の乱数カウンタの値を1加算する更新を行う。各乱数カウンタの値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。尚各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。更新された乱数カウンタ値は主制御基板80のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)が終了すると、割り込みを許可する(S104)。割り込み許可中は、割り込み処理(S105)の実行が可能となる。この割り込み処理(S105)は、例えば4ms周期で主制御基板80のCPUに繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。そして、割り込み処理(S105)が終了してから、次に割り込み処理(S105)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。尚、割り込み禁止状態のときにCPUに割り込みパルスが入力された場合は、割り込み処理(S105)はすぐには開始されず、割り込み許可(S104)がされてから開始される。
[初期設定処理]
次に、初期設定処理(S101)について説明する。図13に示す様に、初期設定処理(S101)ではまず、割込みを禁止し(S3001)、スタック領域を確保するためのスタック領域を設定するスタックポインタ設定処理を行う(S3002)。次いで、割込みモードを設定する割込設定処理(S3003)、CTC(カウンタ・タイマ・サーキット)やPIO(周辺機器インターフェイス)等、各種内蔵デバイスの設定を行う内蔵デバイス設定処理を行い(S3004)、S3006の処理に移行する。
S3006では、RAMクリアスイッチがONか否か、すなわち押圧操作がなされているかどうかが判定される(S3006)。S3006で、RAMクリアスイッチがOFFである、すなわち、RAMクリアスイッチが操作されることなく電源投入がされたと判定した場合(S3006でNO)、ついで、電源断フラグが正常にONとされているかどうかが判定される(S3007)。S3007で、電源断フラグがONであると判定されると(S3007でYES)、RAMにおけるバックアップ領域(161、162)に関してRAMのチェックデータを算出する(S3008)。RAMのチェックデータは、入力ポートの状態、電源断フラグの値及び電源断時に保護したRAM領域の内容を1バイトごとに加算した後、全ビットを反転して算出される。
次いで、S3008で算出したチェックデータと電源遮断時(「電断時」ともいう)にRAMに保存されたRAMの保存チェックデータとを比較して、チェックデータが正常かどうかを判定する(S3009)。S3009で、算出したRAMのチェックデータと保存したチェックデータとが一致すると判定した場合(S3009でYES)、電源遮断時にRAMのバックアップ領域(161、162)に保存したバックアップデータが正常であると判断し、電源復旧処理を行う際に使用するRAMの領域(バックアップエリア等)以外の領域を初期化(0にクリア)し、電断発生時の遊技状態(確率状態、時短状態、保留数、遊技モード、特別図柄ステータス、普通図柄ステータス等)を復元(復旧)する(S3010)。次いで電断フラグをOFFにし(S3011)、「電断復旧時の電源投入コマンド(電断復旧コマンド)」」をサブ制御基板90に送信し(S3012)、S3016の処理に移行する。尚、「電断復旧コマンド」には、遊技状態(低確率状態、高確率状態、時短中か否か、ステータス情報等)に応じた設定値が含まれ、この設定値に基づいてサブ制御基板90の制御状態も電断発生時(電断発生前)の制御状態に復帰する。
一方、S3006で、RAMクリアスイッチがONである、すなわち、RAMクリアスイッチが操作された状態で電源投入がされた(RAMクリアを押圧したまま電源投入した)と判定した場合(S3006でYES)、又は、S3007で、電源断フラグが正常にONとなっていない(すなわち、OFFか異常)と判定された場合(S3007でNO)、又は、RAMのチェックデータが一致しないと判定された場合(S3009でNO)には、RAM(主制御部80及び払出制御部のRAM)の全領域(バックアップ領域を含む)を初期化し(S3013)、前述した「電断復旧時の電源投入コマンド」とは異なって識別可能となるように、「RAMクリア時の電源投入コマンド(RAMクリアコマンド)」を、サブ制御基板90に送信し(S3014)、初期化フラグをONにし(S3015)、S3016の処理に移行する。S3016では、CPU周辺デバイスの設定処理を順に行い、割込み許可を設定して(S3016)、処理を終える。
本処理を行うことで、電源スイッチOFFの状態において、RAMクリアスイッチを操作したまま(ONにしたまま)電源スイッチをONにし、所定時期まで当該RAMクリアスイッチをONにしておくと、RAMクリア信号が主制御基板80に送信され、バックアップ領域を含む全RAM領域が初期化されることとなる。一方、その様な操作をせずに電源をONにした場合には、バックアップ領域に記憶される遊技状態情報(遊技モードを含む)に基づいて、電断時の遊技状態(制御状態)が復旧されることとなる。これにより、不測の停電等が発生した場合にも、電力供給が再開した際に、遊技途中の遊技状態(制御状態)を復旧させることが可能となり、遊技者が不測の損害を受けるのを防止することが可能となる。
[モード設定処理]
次に、モード設定処理(S106)について説明する。モード設定処理では、前述した遊技モード1乃至遊技モード5の5種類から選択するいずれかの遊技モードを設定する処理である。このモード設定処理では、所定の変更条件が設定されており、当該変更条件を満たさない限り、たとえモード設定スイッチを操作したとしても、遊技モードの設定を変更することはない。具体的に、モード設定処理(S106)ではまず、初期化フラグがONかどうか、すなわち、電源投入時にRAMクリアスイッチを操作してRAMを初期化したかどうかを判定する(S3101)。S3101で、初期化フラグがONであると判定した場合(S3101でYES)、モード設定スイッチの選択情報を読込(S3102)、読込んだ選択情報に対応する遊技モードを設定し(S3103)、処理を終える。この様に、電源投入時にRAMクリアスイッチを操作することによって、バックアップ領域を含むRAMを初期化して遊技機を立ち上げた場合には、モード設定スイッチの選択情報(設定変更操作)を有効にすることによって、遊技モードの変更(設定)を可能としている。
一方、S3101で、初期化フラグがONでないと判定した場合(S3101でNO)、モード設定スイッチの選択情報を読込(S3104)、当該読込んだモード選択スイッチの選択情報と、前述した初期設定処理の復旧処理によってRAMに記憶されている(現在設定中の)遊技モードと、が一致しているかどうかを判定する(S3105)。次いで、S3106では、S3105の判定の結果が一致していると判定した場合(S3106でYES)、次いで、S3108の処理に移行する。S3108では、エラー報知中かどうかを判定し(S3108)、エラー報知中でないと判定した場合(S3108でNO)、処理を終える。すなわち、電源投入時に、RAMクリアスイッチに所定の操作を行うことなく、バックアップ領域に記憶保持された遊技状態情報に基づいて電断時の遊技状態(制御状態)を復旧させた場合であって、モード設定スイッチの設定状態を変更していない場合には、この様な処理順序となり、遊技を開始可能な状態とする。
また、S3106で、S3105の判定結果が一致しないと判定した場合(S3106でNO)、エラー報知を行う(S3107)と共に、再度S3106の処理に移行する。そして、S3106で一致すると判定するまで、S3106及びS3107の処理を繰り返し、エラー報知を継続する(S3107)。尚、S3106で、一致すると判定するまで、エラー報知を継続すると共に、遊技を開始可能な状態に移行しないものとしている。すなわち、遊技停止状態とされている。この様に、S3106で一致しないと判定する場合は、バックアップ領域に記憶保持された遊技状態情報に基づいて電断時の遊技状態(制御状態)を復旧させた(初期設定処理で遊技状態復旧処理を行った)場合であって、モード設定スイッチの設定状態を変更した場合に起こり得る。また、エラー報知においては、画像表示装置7の表示画面7aに「モード設定スイッチが不正に操作された」ことを示すエラー表示を行ったり、盤面ランプ5や枠ランプ66やスピーカ67で所定のエラー報知を行ったりすることが可能である。また、エラー報知において、正しい遊技モードの設定及びモード設定スイッチによって選択されている遊技モードの両方を何らかの表示で示してもよい。これにより、モード設定スイッチ82による遊技モードの設定位置を速やかに修正し、エラー報知を終了させることが可能となる。
一方、エラー報知の実行中に、モード設定スイッチの設定状態を遊技機に設定されている遊技モードに対応する位置(すなわち、電断時の状態)に戻すことで、S3106で一致すると判定され(S3106でYES)、S3108の処理に移行することが可能となる。S3108では、エラー報知中かどうかを判定し(S3108)、エラー報知中であると判定すると(S3108でYES)、エラー報知を終了し(S3109)、処理を終える。これにより、遊技を開始可能な状態とする。また、このエラー報知を終了させる(解除する)他の方法として、一旦電源スイッチをOFFにし、RAMクリアスイッチをに所定の入力操作を行って電源スイッチをONにする方法がある。すなわち、遊技機を初期化することにより、エラー報知を終了させ、遊技モードを、モード設定スイッチ82の選択情報に対応する遊技モードに変更する方法によっても、エラー報知(エラー処理)を終了させることが可能となる。
本実施例のような遊技モードの設定変更機能を備えるパチンコ遊技機においては、メンテナンス等で遊技機枠を開放したときに、遊技店員や業者等が不用意に(誤って)モード設定スイッチ82に接触し、意図せずモード設定スイッチを操作してしまう可能性がある。この様な場合に、誤って操作してしまったことに気付けば元の設定位置に戻すことも可能であるが、誤って操作してしまったことに気付かない場合もある。また、何者かが、不正に遊技機枠を開放して、モード設定スイッチ82を操作する可能性もある。これにより、モード設定スイッチが示す(選択する)遊技モード(選択情報)が変更されてしまう場合がある。この様な場合に、制限なく(遊技開始後であっても)遊技モードを変更可能としたり、電源投入時に特別な制限なく、モード設定スイッチ82の選択情報を読込んで遊技モードを変更可能としたりすると、遊技モードが、遊技店の意図しない遊技モードに変更したり、不正遊技者に有利な遊技モードを変更したりして、遊技店等が不測の不利益を被る虞がある。そこで、本実施例のパチンコ遊技機では、所定の変更条件を設定し、この変更条件を満たさない限り、モード設定スイッチ82を操作して、操作部82aを任意の遊技モードを設定可能な位置に移動させても、当該位置(選択情報)に対応する遊技モードに変更することはない。
これにより、不正に遊技モードを変更することを困難にすると共に、誤ってモード設定スイッチを操作した場合にも、容易には遊技モードの設定が変更されないようにすることが可能となる。また、電源投入に伴って、遊技機を初期化した際にのみ遊技モードの変更を可能としたことで、不正の余地を少なくすることが可能となる。具体的に、遊技中や、遊技状態の復旧処理を行った際にも、遊技モードの変更が可能であるとすると、例えば、低確率状態では低確率状態における大当り確率が最も高い「遊技モード3」に設定し、高確率状態に突入すると、「遊技モード4」や「遊技モード5」に設定変更し、高確率状態での大当り発生確率を高めたり、高確率状態の継続率を高めたりするといった不正が発生しうる。然しながら、本実施例では遊技モードの設定変更を行うためには、必ず遊技機を初期化(RAMクリア)する必要が生じるため、例えば高確率状態で設定変更するためには、確率状態を低確率状態にする必要がある。これにより、こういった不正が発生することはない。
この様に、遊技モードの変更タイミングを、「電源投入(電力供給の開始)のとき」としたこと、遊技モードの変更を「遊技機を初期化したとき」だけ可能としたこと、等を「遊技モードの変更条件」ということが可能である。また、電源投入後、遊技開始前の期間に行う処理(モード設定処理)においてのみ、遊技モードの変更を可能としているので、遊技状態が初期状態から変化した状態(例えば、高確率状態、高ベース状態、時短状態、大当り遊技中、図柄の変動表示中)において、遊技モードの変更をすることはできない。
[割り込み処理]
次に、割り込み処理(S105)について説明する。図11に示すように、割り込み処理(S105)では、まず出力処理(S201)を実行する。出力処理(S201)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAMに設けられた出力バッファにセットされたコマンド(制御信号)等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。ここで出力するコマンド等には、遊技状態、特別図柄当否判定の結果、大当り種別としての図柄、変動パターン等に関する情報等が挙げられる。尚コマンドは、例えば2バイトの情報からなる。上位1バイトは、コマンドの種類に関する情報であり、下位1バイトはコマンドの内容に関する情報である。
出力処理(S201)に次いで行われる入力処理(S202)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、一般入球口センサ27a等(図5参照))が検知した検知信号を読み込み、賞球情報としてRAMの出力バッファに記憶する。また、下皿62の満杯を検知する下皿満杯検知センサからの検知信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAMの出力バッファに記憶する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)は、図10の主制御メイン処理で行う普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S103)と同じである。即ち、図7に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、タイマ割り込み処理(S105)の実行期間と、それ以外の期間(割り込み処理(S105)の終了後、次の割り込み処理(S105)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S203)に次いで、後述する始動口センサ検知処理(S204)、普図動作処理(S205)、特図動作処理(S206)、特定領域センサ検知処理(S207)、始動入球時処理(S208)、電源断監視処理(S209)、及び、モード設定監視処理(S210)を実行する。その後、本発明に深く関連しないその他の処理(S210)を実行して、割り込み処理(S105)を終了する。そして、次に主制御基板80のCPUに割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のS102〜S104の処理が繰り返し実行され、割り込みパルスが入力されると(約4ms後)、再び割り込み処理(S105)が実行される。再び実行された割り込み処理(S105)の出力処理(S201)においては、前回の割り込み処理(S105)にてRAMの出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[始動口センサ検知処理]
図16に示すように、始動口センサ検知処理(S204)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S301)。ゲート28を遊技球が通過していれば(S301でYES)、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAMに設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4以上であるか否か判定し(S302)、遊技球がゲート28を通過していなければ(S301でNO)、S305に進む。
普通図柄保留球数が4以上であれば(S302でYES)、S305に進む。一方、普通図柄保留球数が4以上でなければ(S302でNO)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S303)、普通図柄乱数取得処理(S304)を行う。普通図柄乱数取得処理(S304)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)を取得し、その取得乱数値(取得情報)を、主制御基板80のRAMに設けられた普図保留記憶部のうち現在の普通図柄保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
S305では、第2始動口21に遊技球が入球したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S305)。第2始動口21に遊技球が入球していない場合(S305でNO)にはS309に進むが、第2始動口21に遊技球が入球した場合には(S305でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否か判定する(S306)。そして、特図2保留球数が4個に達している場合(S306でYES)には、S309に進むが、特図2保留球数が4個未満である場合には(S306でNO)、特図2保留球数に1を加算する(S307)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S308)を行う。特図2関係乱数取得処理(S308)では、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図8(A)に示す乱数の値を取得し)、それら取得乱数値(取得情報)を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
続いて始動口センサ検知処理(S204)では、第1始動口20に遊技球が入球したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検知されたか否かを判定する(S309)。第1始動口20に遊技球が入球していない場合(S309でNO)には処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入球した場合には(S309でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的には主制御部80のRAMに設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が4個(上限数)に達しているか否か判定する(S310)。そして、特図1保留球数が4個に達している場合(S310でYES)には、処理を終えるが、特図1保留球数が4個未満である場合には(S310でNO)、特図1保留球数に「1」を加算する(S311)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S312)を行う。特図1関係乱数取得処理(S312)では、特図2関係乱数取得処理(S308)と同様に、RAMの更新値記憶領域(図示せず)に記憶されている特別図柄当否判定用カウンタの値(ラベル−TRND−A)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタの値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタの値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図8(A)に示す乱数値を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じたアドレス空間に格納する。
[普図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検知処理(S204)に次いで、図17に示す普図動作処理(S205)を行う。普図動作処理(S205)では、普通図柄表示器42及び可変入賞装置22に関する処理を4つの段階に分け、それらの各段階に「普図動作ステータス1、2、3、4」を割り当てている。そして、「普図動作ステータス」が「1」である場合には(S401でYES)、普通図柄待機処理(S402)を行い、「普図動作ステータス」が「2」である場合には(S401でNO、S403でYES)、普通図柄変動中処理(S404)を行い、「普図動作ステータス」が「3」である場合には(S401、S403で共にNO、S405でYES)、普通図柄確定処理(S406)を行い、「普図動作ステータス」が「4」である場合には(S401、S403、S405の全てがNO)、普通電動役物処理(S407)を行う。尚普図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[普通図柄待機処理]
図18に示すように、普通図柄待機処理(S402)ではまず、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定し(S501)、「0」であれば(S501でYES)この処理を終える。一方「0」でなければ(S501でNO)、後述の普通図柄当否判定処理を行う(S502)。また、普通図柄当否判定処理(S502)に次いで、普通図柄変動パターン選択処理を行う(S503)。普通図柄変動パターン選択処理では、図8(E)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が30秒の普通図柄変動パターンを選択する。また普通図柄変動パターン選択処理に次いで後述の普通図柄乱数シフト処理(S504)を行う。また、普通図柄乱数シフト処理(S504)に次いで、普通図柄変動開始処理を行い(S505)、処理を終える。普通図柄変動開始処理では、S503で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始するとともに、普通動作ステータスを「2」にセットする。また普通図柄変動開始処理では、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
[普通図柄当否判定処理]
図19に示すように、普通図柄当否判定処理(S502)ではまず、普図保留記憶部に格納されている普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)を読み出す(S601)。次いで、時短フラグがONか否か(すなわち遊技状態が時短状態であるか否か)を判定する(S602)。S602で、時短フラグがONである、すなわち時短状態であると判定された場合(S602でYES)、図8(D)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」〜「239」)に基づく高確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S604)、S605の処理に移行する。すなわち、読み出した普通図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−H)が当り判定値の何れかと一致するか否かを判定する。一方、S602で、時短フラグがONでない、すなわち、非時短状態であると判定された場合(S602でNO)、図8(D)に示す普通図柄当り判定テーブルのうち非時短状態用のテーブル(当り判定値が「0」、「1」)に基づく低確率普図当否判定により、当りか否かを判定し(S603)、S605の処理に移行する。
そして、S605で、普図当否判定(S603、S604)の結果が、当り(普図当り)か否かを判定し(S605)、外れと判定された場合(S605でNO)、停止表示する外れ普通図柄(普図外れ図柄)を決定し(S606)、処理を終える。一方、S605で当り(普図当り)と判定された場合(S605でYES)、停止表示する当り普通図柄(普図当り図柄)を決定し(S607)、普図当りフラグをONにして(S608)、処理を終える。
[普通図柄乱数シフト処理]
普通図柄変動パターン選択処理(S503)に次いで普通図柄乱数シフト処理(S504)を実行する。図20に示すように、普通図柄乱数シフト処理(S504)ではまず、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S701)。次いで、普図保留記憶部における各普図保留の格納場所を、現在の位置から読み出される側に一つシフトする(S702)。そして、普図保留記憶部における最上位の保留記憶の格納場所であるアドレス空間を空(「0」)にして、即ち普図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S703)、処理を終える。このようにして、普図保留が保留順に消化されるようにしている。
[普通図柄変動中処理]
図21に示すように、普通図柄変動中処理(S404)ではまず、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S801)、経過していなければ(S801でNO)処理を終える。一方、経過していれば(S801でYES)、普通図柄変動停止コマンドをセットする(S802)とともに、普図動作ステータスを「3」にセットする(S803)。そして、普通図柄の変動表示を、普通図柄当否判定用乱数の判定結果に応じた表示結果(当り普通図柄又は外れ普通図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S804)、この処理を終える。
[普通図柄確定処理]
図22に示すように、普通図柄確定処理(S406)ではまず、普図当りフラグがONであるか否かを判定する(S901)。普図当りフラグがONでなければ(S901でNO)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S905)、この処理を終える。一方、普図当りフラグがONであれば(S901でYES)、続いて時短フラグがONであるか否か、すなわち時短状態中か否かを判定する(S902)。そして時短状態中であれば(S902でYES)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして時短状態中の開放パターンをセットする(S903)。時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、2.0秒の開放を3回繰り返す開放パターンである。従って、第2始動口21の開放回数をカウントする第2始動口開放カウンタに「3」をセットする。
これに対して、非時短状態中であれば(S902でNO)、可変入賞装置22(第2始動口21)の開放パターンとして非時短状態中の開放パターンをセットする(S906)。非時短状態中の開放パターンとは、前述の通り、0.2秒の開放を1回行う開放パターンである。従って、第2始動口開放カウンタに「1」をセットする。そして、開放パターンのセット(S903、S906)に続いて、普図動作ステータスを「4」にセットし(S904)、この処理を終える。
[普通電動役物処理]
図23に示すように、普通電動役物処理(S407)ではまず、普図当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S1001)。普図当り終了フラグは、当りとなって実行された補助遊技において、第2始動口21の開放が終了したことを示すフラグである。普図当り終了フラグがONでなければ(S1001でNO)、第2始動口21の開放中か否かを判定する(S1002)。開放中でなければ(S1002でNO)、第2始動口21を開放させる時期(タイミング)に至ったか否かを判定し(S1003)、至っていなければ(S1003でNO)処理を終え、至っていれば第2始動口21を開放させ(S1004)、処理を終える。一方、第2始動口21の開放中であれば(S1002でYES)、第2始動口21を閉鎖させる時期(タイミング)に至ったか否か(すなわち第2始動口21を開放してから予め定められた開放時間が経過したか否か)を判定し(S1005)、至っていなければ(S1005でNO)処理を終え、至っていれば(S1005でYES)第2始動口21を閉状態(閉鎖)とする(S1006)。
そして第2始動口21の閉鎖処理(S1006)に次いで、第2始動口開放カウンタの値を1ディクリメントし(S1007)、第2始動口開放カウンタの値が「0」であるか否か判定する(S1008)。「0」でなければ(S1008でNO)、再び第2始動口21を開放させるためにそのまま処理を終える。一方「0」であれば(S1008でYES)、補助遊技を終了させる普図当り終了処理を行う(S1009)とともに、普図当り終了フラグをセットして(S1010)処理を終える。尚、第2始動口開放カウンタは、時短状態中であれば第2始動口21の開放(可動部材23の開放動作)が3回なされると「0」になり、非時短状態中であれば第2始動口21の開放が1回なされると「0」になる。
これに対してS1001において普図当り終了フラグがONであれば(S1001でYES)、S903又はS906にてセットされた回数の第2始動口21の開放動作は終了しているので、普図当り終了フラグをOFFするとともに(S1011)、普図当りフラグをOFFし(S1012)、普図動作ステータスを「1」にセットして(S1013)処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、普図動作処理(図17)として再び普通図柄待機処理(S402)が実行されることになる。
[特図動作処理]
遊技制御用マイコン81は、普図動作処理(S205)に次いで特図動作処理(S206)を行う。特図動作処理(S206)では、図24に示すように、特別図柄表示器41及び大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)に関する処理を5つの段階に分け、それらの各段階に「特図動作ステータス1、2、3、4、5」を割り当てている。そして、「特図動作ステータス」が「1」である場合には(S1101でYES)、特別図柄待機処理(S1102)を行い、「特図動作ステータス」が「2」である場合には(S1101でNO、S1103でYES)、特別図柄変動中処理(S1104)を行い、「特図動作ステータス」が「3」である場合には(S1101、S1103で共にNO、S1105でYES)、特別図柄確定処理(S1106)を行い、「特図動作ステータス」が「4」である場合には(S1101、S1103、S1105で共にNO、S1107でYES)、大当り遊技としての特別電動役物処理1(S1108)を行い、「特図動作ステータス」が「5」である場合には(S1101、S1103、S1105、S1107の全てがNO)、小当り遊技としての特別電動役物処理2(S1109)を行う。尚、特図動作ステータスは、初期設定では「1」である。
[特別図柄待機処理]
図25に示すように、特別図柄待機処理(S1102)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1201)。特図2保留球数が「0」である場合(S1201でYES)、即ち、第2始動口21への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1206)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1206でYES)、即ち、第1始動口20への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶もない場合には、画像表示装置7の表示画面7aを待機画面とする処理中(客待ち用のデモ画面の実行中)であるか否かを判定し(S1211)、そうであれば(S1211でYES)処理を終え、そうでなければ(S1211でNO)待機画面を表示するために待機画面設定処理を実行する(S1212)。
S1201において特図2保留球数が「0」でない場合(S1201でNO)、即ち、第2始動口21への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図2当否判定処理(S1202)、特図2変動パターン選択処理(S1203)、特図2乱数シフト処理(S1204)、特図2変動開始処理(S1205)をこの順に行う。また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)、即ち、第2始動口21に係る乱数カウンタ値の記憶はないが、第1始動口20への入球に起因して取得した乱数カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、後述の特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。このように本実施例1では、第1特図保留に基づく第1特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1201でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化(第2特別図柄の変動表示)は、第1特図保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行される。そして本実施例1では、第2特図保留に基づく当否判定の方が、第1特図保留に基づく当否判定よりも、遊技者にとって利益の大きい大当りになりやすくなっている。
[特図2当否判定処理]
図26に示すように、特図2当否判定処理(S1202)ではまず、判定値として、RAMの第2特図保留記憶部85bの最下位の領域(即ち第2特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている(最も古い記憶の)特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)を読み出す(S1301)。次いで、確変フラグがONか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1302)。そして、高確率状態でなければ(S1302でNO)、すなわち通常状態であれば、大当り判定テーブル(図9(A))のうち設定されている遊技モード(例えば、遊技モード2)に対応する通常状態用の大当り判定テーブル(大当り判定値が「3」及び「397」)に基づいて当否判定を行う(S1303)。一方、高確率状態であれば(S1302でYES)、大当り判定テーブル(図9(A))のうち設定されている遊技モード(例えば、遊技モード2)に対応する高確率状態用の大当り判定テーブルに基づいて当否判定を行う(S1307)。高確率状態用の大当り判定テーブルでは、大当り判定値は、「3」、「53」、「113」、「173」、「227」、「281」、「337」、「397」、「449」、「503」とされている。また、詳細な説明は省略するが、遊技モードが、遊技モード2以外の他の遊技モードに設定されている場合には、図9に示す設定されている遊技モードに対応する大当り判定テーブルに基づいて当否判定を行うものとされる。その際の大当り判定値についても図9に示す通りである。
大当り判定(S1303、S1309)の結果が「大当り」と判定された場合(S1304でYES)、大当り種別決定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−AS)を読み出して、図10に示す設定されている遊技モードに対応する大当り種別判定テーブルに基づいて大当り種別を判定し(S1310)、当該大当り種別決定用乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し(S1311)、大当りフラグをONにして(S1312)、処理を終える。尚、第1特別図柄に係る当否判定の場合は、第1特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定し、第2特別図柄に係る当否判定の場合は、第2特別図柄用の大当り種別判定テーブルを用いて大当り種別を判定する。また、第1特別図柄(特図1)の当否判定にて大当りと判定された場合は、15R第1大当り、15R第2大当り及び2R第3大当りのうち何れかが実行される。また、第2特別図柄(特図2)の当否判定にて大当りと判定された場合は、全て15R第4大当りとされる(図8(B))。
また、大当りフラグには、大当りの種別が15R第1大当り又は15R第2大当りであった場合にONする長当りフラグと、2R第3大当りであった場合にONする短当りフラグとがある。ここで、ラウンド表示器45は、2R用ランプと15R用ランプとの2個のLEDで構成されており、2R第3大当りとなって短当りフラグがONにされると、2R第3大当り図柄が確定表示するタイミングで、2R用ランプの方が点灯表示される。具体的には、「2R▲15R△」(例えば、▲:点灯、△:消灯とする)の様な表示態様となる。また、15R第1大当り、15R第2大当り、及び15R第4大当りの何れかとなって長当りフラグがONにされると、対応する大当り図柄が確定表示するタイミングで、15R用ランプの方が点灯表示される。具体的には、「2R△15R▲」の様な表示態様となる。
一方、大当り判定(S1303、S1307)の結果が「大当り」でないと判定された場合(S1304でNO)、設定されている遊技モード(例えば、遊技モード2)に対応する小当り判定テーブルに対応する小当り用の小当り判定テーブルを用いて小当りか否かを判定する(S1305)。すなわち、遊技モード2の場合には、特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(ラベル−TRND−A)が、小当り判定値である「101」〜「105」の何れかと一致するか否か判定する(図9)。そして、小当りでないと判定された場合(S1305でNO)、外れ図柄を決定し(S1308)、処理を終える。小当りであると判定された場合(S1305でYES)、小当り図柄を決定し(S1306)、小当りフラグをONにして(S1306)、処理を終える。尚、小当りか否かを決める乱数を、特別図柄当否判定用乱数とは別に設けてもよい。
[特図2変動パターン選択処理]
特別図柄待機処理(図25)では、特図2当否判定処理(S1202)に次いで、特図2変動パターン選択処理を行う(S1203)。図27及び図28に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1203)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1401)。そして、時短状態でなければ(S1401でNO)、すなわち非時短状態であれば、大当りフラグがONか否かを判定し(S1402)、ONであれば(S1402でYES)、非時短状態中大当り用テーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ大当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1403)。尚、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。また本実施例1では、非時短状態中大当り用テーブルは、大当りが長当り(15R大当り)か短当り(2R大当り)かによっても分かれている。しかし本処理は、特図2についての変動パターン選択処理なので、特図2の抽選にて当選する大当りには15R第4大当り(長当り)しかない。従って本処理にて参照される箇所は、常に長当りの箇所となり、変動パターンP1又は変動パターンP2が選択される。尚、非時短状態中大当り用テーブルは、長当り用と短当り用とに分かれていなくてもよい。これは後述の時短状態中大当り用テーブルについても同様である。
一方、大当りフラグがONでなければ(S1402でNO)、小当りフラグがONか否かを判定する(S1405)。そして、小当りフラグがONであれば(S1405でYES)、非時短状態中小当り用テーブル(図9に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ小当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1409)。具体的には、本実施例1では必ず変動パターンP4が選択される。
また、小当りフラグがONでなければ(S1405でNO)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1406)。図8(C)に示すように、リーチ成立乱数値は時短状態であれば「0」〜「5」であり、非時短状態であれば「0」〜「13」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりも外れ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ演出無し外れがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。
リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)がリーチ成立乱数値である場合(S1406でYES)、即ち、リーチ有外れの場合には、非時短状態中リーチ有外れ用テーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つリーチ有外れに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1407)。本実施例1では、変動パターンP5又はP6が選択される。
リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)がリーチ成立乱数値でない場合(S1406でNO)、即ち、リーチ無外れの場合には、非時短状態中リーチ無外れ用テーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つリーチ無外れに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1408)。このリーチ無外れ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」〜「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。本実施例1では、変動パターンP7又はP8が選択される。
また、S1401において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1401でYES)には、図28に示すように、参照する変動パターンテーブルを時短状態中用のテーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は、上記ステップS1402〜S1609と同様の流れで処理(S1410〜S1416)を行う。すなわち、大当りであれば図11の時短状態中且つ大当りに該当する部分を参照し、小当りであれば図9の時短状態中且つ小当りに該当する部分を参照し、リーチ有外れであれば図11の時短状態中且つリーチ有外れに該当する部分を参照し、リーチ無外れであれば図11の時短状態中且つリーチ無外れに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する。
尚、時短状態中の変動パターンテーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち時短状態に該当する部分)では、リーチ無外れ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が保留球数「2」〜「4」のときに働く。すなわち、非時短状態中よりも短縮変動が選択され易くなっている。また、大当りのうち長当りに当選した場合に、非時短状態中よりも変動時間の短い変動パターンが選択され易くなっている。つまり、時短状態中の変動パターンテーブルは、非時短状態中の変動パターンテーブルよりも特別図柄の変動時間の平均値が短くなるようなテーブルとなっている。
前述のようにして変動パターンの選択を行った後は、図27に示すその他の処理(S1404)を行ってこの処理を終える。尚、その他の処理(S1404)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする。セットした変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御基板90に送られる。
[特図2乱数シフト処理]
図29に示すように、特図2乱数シフト処理(S1204)ではまず、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1501)。次いで、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側(例えば第2特図保留記憶部85bがアドレス「0000」〜「0003」に対応するアドレス空間からなる場合、アドレス「0000」側)にシフトする(S1502)。そして、第2特図保留記憶部85bの最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第2特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1503)、この処理を終える。
特図2乱数シフト処理(S1204)を実行した後は、図25の特図2変動開始処理(S1205)を実行する。特図2変動開始処理(S1205)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。図25の特別図柄待機処理(S1102)において、特図2保留球数が「0」であり、且つ、特図1保留球数が「0」でない場合(S1201でYES、S1206でNO)には、特図1当否判定処理(S1207)、特図1変動パターン選択処理(S1208)、特図1乱数シフト処理(S1209)、特図1変動開始処理(S1210)をこの順に行う。
[特図1当否判定処理]
図30に示すように、特図1当否判定処理(S1207)では、図26に示した特図2当否判定処理(S1202)と同様の流れで処理(S1601〜S1609)を行う。従って本処理の詳細な説明は省略する。但し、本処理は特図1に関する処理であるので、S1601では、RAMの第1特図保留記憶部85aの最下位の領域(即ち第1特図保留の1個目に対応するRAM領域)に記憶されている特別図柄当否判定用乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)を読み出す。また、S1608における大当りの種別判定では、15R第1大当り、15R第2大当り、及び2R第3大当りのいずれとも判定される可能性がある(図10)。図10の第1特別図柄(特図1)の欄に示すように、各大当りの振分率は、遊技モードによって定められている。この大当りの種別判定で15R第1大当り又は15R第2大当りと判定された場合には、ステップS1609において大当りフラグとして長当りフラグをONする。一方、2R第3大当りと判定された場合には、S1609において大当りフラグとして短当りフラグをONする。
[特図1変動パターン選択処理]
図31及び図32に示すように、特図1変動パターン選択処理(S1208)では、図27及び図28に示した特図2変動パターン選択処理(S1403)と同様の流れで処理(S1701〜S1720)を行う。従って本処理の詳細な説明は割愛する。但し、本処理は特図1に関する処理であるので、S1702でYESの場合(すなわち大当りフラグがONの場合)には、さらに大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り又は15R第2大当りのいずれか)であるか否かを判定する(S1703)。そして15R大当りである場合には(S1703でYES)、非時短状態中15R大当り用テーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ長当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)に基づいて変動パターンを選択する(S1704)。具体的には、変動パターンP1又は変動パターンP2が選択される。
一方、S1703において15R大当りでないと判定した場合(S1703でNO)、即ち2R第3大当りである場合には、非時短状態中2R大当り用テーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち非時短状態且つ短当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1706)。具体的には、変動パターンP3が選択される。
また、この特図1変動パターン選択処理では、S1712でYESの場合(すなわち大当りフラグがONの場合)にも、さらに大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り又は15R第2大当りのいずれか)であるか否かを判定する(S1713)。そして15R大当りである場合には(S1713でYES)、時短状態中15R大当り用テーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち時短状態且つ長当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1714)。具体的には、変動パターンP9〜P11のいずれかが選択される。
一方、S1713において15R大当りでないと判定した場合(S1713でNO)、即ち2R第3大当りである場合には、時短状態中2R大当り用テーブル(図11に示す変動パターンテーブルのうち時短状態且つ短当りに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1715)。具体的には、変動パターンP12が選択される。
この特図1変動パターン選択処理において、変動パターンの選択(S1704、S1706、S1709、S1710、S1711、S1714、S1715、S1718、S1719、S1720)を行った後は、その他の処理(S1705、図27)を行って、この処理を終える。その他の処理(S1705)では、選択した変動パターンに応じた変動パターン指定コマンドをRAMの出力バッファにセットする。セットした変動パターン指定コマンドは、後述の変動開始コマンドに含められて、出力処理(S201)によりサブ制御基板90に送られる。
[特図1乱数シフト処理]
図33に示すように、特図1乱数シフト処理(S1209)ではまず、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1801)。次いで、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所を、1つ下位側にシフトする(S2002)。そして、第1特図保留記憶部85aの最上位のアドレス空間に「0」をセットして、即ち、(上限数まで記憶されていた場合)第1特図保留の4個目に対応するRAM領域を0クリアして(S1803)、この処理を終える。特図1乱数シフト処理(S1209)を実行した後は、図25の特図1変動開始処理(S1210)を実行する。特図1変動開始処理(S1210)では、特図動作ステータスを「2」にセットすると共に、変動開始コマンドをRAMの出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。
[特別図柄変動中処理]
図34に示すように、特別図柄変動中処理(S1104)ではまず、特別図柄の変動時間(図25のS1203又はS1208で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図11参照)が経過したか否かを判定する(S1901)。変動時間が経過していないと判定した場合(S1901でNO)、処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。一方、変動時間が経過したと判定した場合(S1901でYES)、変動停止コマンドをセットする(S1902)。そして、確変フラグがONか否か判定し(S1903)、ONであれば(S1903でYES)、確変カウンタを1減算し(S1904)、確変カウンタの値が「0」か否かを判定する(S1905)。S1905で確変カウンタが「0」であると判定した場合、確変フラグをOFFし、S1907の処理に移行する。一方、確変フラグがONでないと判定した場合(S1903でNO)、及び確変カウンタが「0」でないと判定した場合(S1905でNO)、S1907の処理に移行する。
そしてS1907では、時短フラグがONか否かを判定し(S1907)、時短フラグがONであると判定した場合(S1907でYES)、時短状態中に実行した特別図柄の変動表示回数をカウントする時短カウンタの値を1減算し(S1908)、時短カウンタの値が「0」か否かを判定し(S1909)、「0」であれば(S1909でYES)、時短フラグをOFFにし(S1910)、S1911の処理に進む。また、時短フラグがONでないと判定した場合(S1907でNO)、及び時短カウンタの値が「0」でないと判定した場合(S1909でNO)、S1911の処理に進む。S1911では、特図動作ステータスを「3」にセットする(S1911)。そして、特別図柄の変動表示を、特別図柄当否判定乱数及び大当り種別決定用乱数の判定結果に応じた結果で停止させる等のその他の処理を行い(S1912)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]
図35に示すように、特別図柄確定処理(S1106)ではまず、大当りフラグがONであるか否かを判定する(S2001)。大当りフラグがONであれば(S2001でYES)、続いて大当りの種別が15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り、又は15R第4大当りのいずれか)か否かを判定する(S2002)。S2002で、大当りの種別が15R大当りであると判定した場合(S2002でYES)、大当り遊技中に実行するラウンドの回数をカウントするラウンドカウンタの値に「15」をセットし(S2003)、S2005の処理に移行する。一方、S2002で、大当りの種別が15R大当りでないと判定した場合(S2002でNO)、すなわち、この場合の大当りの種別は、2R大当りであるので、ラウンドカウンタの値に「2」をセットし(S2004)、S2005の処理に移行する。
S2005では、大当りの種類に応じた大入賞口開放パターンをセットし(S2005)、S2006の処理に移行する。ここで、大入賞口の開放パターンは、大当りの種別に応じて定められており(図6参照)、本実施例では、特定のラウンドにおいて開閉動作する大入賞口を固定化している。具体的に、何れの大当りにおいても、1ラウンド及び2ラウンドは第2大入賞口35を開閉し、(3ラウンド以上の大当りであれば)3ラウンド〜15ラウンドは第1大入賞口30を開閉するものとしている。一方で、異なる大当りの種別において、特定のラウンドにおいて同じ大入賞口(例えば、1ラウンド目は第2大入賞口35)を開閉させるものの、その開閉パターン(開放パターン)は異なる場合がある。
すなわち、本実施例では、大当りの種別毎に、大入賞口の開放パターンが定められている。具体的には、15R第1大当りであれば、15R第1大当り用の開放パターンをセットし、15R第1大当り遊技の実行中に当該15R第1大当り用の開放パターンを実行するものとされる。また、15R第2大当りであれば15R第2大当り用の開放パターンをセットし、2R第3大当りであれば2R第3大当り用の開放パターンをセットし、15R第4大当りであれば15R第4大当り用の開放パターンをセットする。そして、夫々の大当り遊技において対応する大当り用開放パターンを実行するものとされる。
S2006では、大当り遊技を開始するべく、大当りのオープニングコマンドをセットする(S2006)。オープニングコマンドは、大当りの種別によって定められており、15R大当り(15R第1大当り、15R第2大当り及び15R第4大当り)用オープニングコマンド、2R第3大当り用オープニングコマンド等、各大当りに対応して夫々設けられている。そして、セットされたオープニングコマンドによって、その後、対応するオープニング期間が実行される。また、S2007では、大当り遊技のオープニング期間を開始し(S2007)、特図動作ステータスを「4」にセットする(S2008)。
また、S2001において大当りフラグがONでないと判定された場合(S2001でNO)、次いで、小当りフラグがONであるか否かを判定する(S2009)。小当りフラグがONであれば(S2009でYES)、小当り用開放パターンをセットし(S2010)、S2011の処理に移行する。ここで、小当りの開放パターンは、第2大入賞口35を2回、各0.9秒に亘って開放するものとしている。これは、2R大当りの開放パターンと同様の開放パターンとされている。S2011では、小当り遊技を開始するべく、小当り遊技のオープニングコマンドをセットすると共に(S2011)、小当り遊技のオープニング期間を開始し(S2012)、特図動作ステータスを「5」にセットする(S2013)。そして、主制御部80は、セットした小当り用オープニングコマンドを、出力処理(S201)により、所定のタイミングでサブ制御部90に対して送信し、当該小当り用オープニングコマンドを受信したサブ制御部90では、オープニング期間に対応した所定の遊技演出を行うものとされる。尚、S2009において、小当りフラグがONでないと判定した場合(S2009でNO)、大当り遊技も小当り遊技も開始しないため、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2014)、処理を終える。
[特別電動役物処理1(大当り遊技)]
図36に示すように、特別電動役物処理1(S1108)ではまず、確変フラグがONか否かを判定し(S2101)、確変フラグがONであると判定した場合(S2101でYES)、確変フラグをOFFし(S2102)、次いで、時短フラグがONか否かを判定する(S2103)。S2103で、時短フラグがONであると判定した場合(S2103でYES)、時短フラグをOFFし(S2104)、S2105の処理に移行する。尚、S2101でNOと判定された場合、確変フラグをOFFにすることなくS2103の処理に移行し、S2103でNOと判定された場合、時短フラグをOFFにすることなくS2105の処理に移行する。つまり、大当り遊技の実行中は、低確率状態且つ非時短状態に制御される。本実施例1では非時短状態中は常に低ベース状態であるので、大当り遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。
次に、大当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2105)。大当り終了フラグは、大当り遊技において大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)の開放が全て終了(大当り遊技が終了)したことを示すフラグである。大当り終了フラグがONでないと判定した場合(S2105でNO)、次いで所定のラウンドの実行中かどうか、すなわち所定のラウンドに定められた大入賞口(第1大入賞口又は第2大入賞口)の開放パターン(開閉パターン)の実行中かどうかを判定する(S2106)。S2106で、ラウンドの実行中でないと判定した場合(S2106)、次いで、ラウンド開始時期かかどうかを判定する(S2107)。これは、前述した大当り種別毎に設定した大当り遊技の開放パターンに基づいて判定する。例えば、1ラウンド目の開始前であれば、オープニング期間が終了して1ラウンド目の最初の開放処理を実行するタイミングであるかどうかによって判定する。また、既に1ラウンド目を開始した後であれば、前のラウンドが終了し、且つ、所定のインターバル期間が経過したかどうかによって判定する。尚、ラウンドを、単に「R」ともいう。
S2107で、ラウンド開始時期であると判定した場合(S2107でYES)、対応するラウンドのラウンド開始コマンドをセットし(S2108)、大入賞口開放処理を行い(S2109)、S2110の処理に移行する。これにより、大入賞口が開放状態となり所定のラウンドが開始することとなる。尚、S2108では、1ラウンド目の開始であれば「1R開始コマンド」、2ラウンド目の開始であれば「2R開始コマンド」のように、開始するラウンドを特定可能なラウンド開始コマンドがセットされる。セットされたラウンド開始コマンドは、S201の出力処理により、サブ制御部90に送信される。また、S2109の大入賞口開放処理では、実行される大当りの種別に応じて定められた大当り開放パターンであって、開始されるラウンドに定められた開放パターンが開始される。S2110では、開始するラウンドがVラウンド(1ラウンド目又は2ラウンド目)かどうか、すなわち、開始するのが、内部に特定領域39を有する第2大入賞口35(「Vアタッカー」ともいう)を開放するラウンドであって、可動片150を動作させる(特定領域39を遊技球が通過可能な状態とする)ラウンドであるかどうかを判定する(S2110)。本実施例では、1ラウンド目及び2ラウンド目の2個のラウンドが、可動片150を動作させるVラウンドに設定されている。
S2110で、開始するラウンドがVラウンド(1ラウンド目又は2ラウンド目)でない、すなわち、3ラウンド目以降であると判定した場合(S2110でNO)、処理を終える。これは、大当り種別毎に、ラウンドカウンタの値を用いて判定してもよいし、別途実行するラウンドが何ラウンド目かをカウントするラウンドカウンタを設けて判定してもよい。一方、S2110で、開始するラウンドがVラウンド(1ラウンド目又は2ラウンド目)であると判定した場合(S2110でYES)、予め定められた特定領域有効パターンに基づいて特定領域の有効期間を設定する(S2111)と共に、予め定められた特定領域開閉動作パターンに基づいて特定領域の開閉動作を開始し(S2112)、処理を終える。一方、S2107で、ラウンド開始時期でないと判定した場合(S2107でNO)、処理を終える。ここで、ラウンド開始時期でないと判定する場合として、例えば、1ラウンド開始前のオープニング期間実行中や、ラウンド終了後のインターバル期間中を挙げることができる。
ここで、Vラウンドにおいて、特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで、遊技状態表示器46を所定の表示態様とし、大当り遊技終了後の遊技状態が高確率状態となることを報知する。具体的には、遊技状態表示器46は「a1a2a3」の3個のLEDで構成されている。そして、本実施例1では、通常状態(低確率状態)においては、「a1□a2□a3□」(例えば、□:消灯、■:点灯)の表示態様とされる。また、大当り遊技中の特定領域センサ39aによって遊技球が検知され、VフラグがONになったタイミングで、「a1■a2■a3■」の表示態様とされる。そして、大当り遊技が終了し、遊技状態が高確率状態に設定されると「a1□a2□a3□」の表示態様とされる。また、遊技状態表示器46の点灯制御タイミングはこのようなタイミングに限定されず、大当り遊技中は、遊技球が特定領域を通過しても「a1□a2□a3□」の表示態様のままとし、大当り遊技終了後の高確率状態へ移行するタイミングで「a1■a2■a3■」とし、高確率状態から低確率状態に移行するタイミングで「a1□a2□a3□」の表示態様としてもよい。
すなわち、後述の特定領域センサ検知処理(図39)では、V有効期間中のV通過(特定領域39への遊技球の通過)の検知時のみVフラグをONし、V有効期間外(V無効期間中)にV通過検知があったとしてもVフラグをONしないこととしている。尚、VフラグがONである場合には、所定のタイミングで確変フラグがONにされる。すなわち、大当り遊技後の遊技状態が高確率状態に設定される(後述の遊技状態設定処理(図33))。このようにすることで、不正行為によるV通過に基づいてVフラグがONされることのないように、すなわち、不正に高確率状態に設定されることのないようにしている。
尚、本実施例1では、V有効期間設定処理(S2111)において、15R第2大当りである場合にも特定領域センサ39aによる遊技球の検知を有効と判定する期間(第1期間)に設定するが、他の態様として、15R第2大当りの場合は1R目及び2R目において第1期間を設定しないものとしてもよい。すなわち、15R第2大当りの場合は1R目及び2R目を第2期間に設定するようにしてもよい。15R第2大当りに係る大当り遊技では、第2大入賞口35の開放時間を0.1秒と極短時間に設定しているため遊技球が第2大入賞口35へ入球する可能性は限りなく低いが、第2期間に設定しておけば、万が一入球した場合でもVフラグをONにしてしまうことがない。これにより、不正にVフラグをONにしたり、まれな入球によりVフラグがONになったりしてしまうのを防止することができる。尚、本実施例では、Vラウンドを1ラウンド目及び2ラウンド目としているが、他のラウンドに設定してもよいし、Vラウンドを1個のラウンドだけとしてもよいし、3個以上のラウンドに設定してもよい。
S2106で、ラウンドの実行中であると判定した場合(S2106でYES)、そのラウンドにおける大入賞口への入球個数が規定の最大入球個数(本実施例1では1ラウンド当り10個)に達しているか否かを判定する(S2113)。規定入球個数に達していなければ(S2113でNO)、実行中のラウンドの終了時期かどうか(ラウンドに定められた開放パターンを全て終了したかどうか)を判定する(S2114)。そして、S2114で、ラウンドの終了時期でないと判定した場合(S2114でNO)、処理を終える。
これに対して、S2113で規定入球個数(当該ラウンドにおける入球数が10個)に達したと判定した場合(S2113でYES)、又は、S2114でラウンドの終了時期である(ラウンドに定められた開放パターンを全て終了した)と判定した場合(S2114でYES)、すなわち、2つのラウンド終了条件のうちのいずれかが成立した場合には、S2115の処理に移行する。S2115では、対応するラウンドのラウンド終了コマンドをセットし(S2115)、S2116の処理に移行する。尚、S2115では、1ラウンド目の終了であれば「1R終了コマンド」、2ラウンド目の終了であれば「2R終了コマンド」のように、終了するラウンドを特定可能なラウンド終了コマンドがセットされる。セットされたラウンド終了コマンドは、S201の出力処理により、サブ制御部90に送信される。S2116では、所定の大入賞口閉鎖処理を実行し(S2116)、次いで、ラウンドカウンタの値を1ディクリメントし(S2117)、ラウンドカウンタの値が「0」かどうかを判定する(S2118)。ラウンドカウンタの値が「0」でないと判定された場合(S2118でNO)、次のラウンドを開始するため、処理を終える。
一方、ラウンドカウンタの値が「0」であると判定された場合(S2118でYES)、大当り遊技を終了させる大当り終了処理として、大当りのエンディングコマンドをセットすると共に(S2119)、大当りのエンディング演出を開始する(S2120)。そして、大当り終了フラグをONにし(S2121)、処理を終える。尚、ラウンドカウンタは、長当り(15R大当り)であればラウンド(ラウンド遊技)が15回実行されると「0」になり、短当り(2R大当り)であればラウンド(ラウンド遊技)が2回実行されると「0」になる。
また、S2105において大当り終了フラグがONであれば(S2105でYES)、最終ラウンドが終了しているので、大当りのエンディング演出の実行時間が経過したか否かを判定し(S2122)、エンディング時間が経過していなければ(S2122でNO)、処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S2122でYES)、大当り終了フラグをOFFにし(S2123)、後述の遊技状態設定処理(S2124)を行う。そして、大当りフラグをOFFにし(S2125)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2126)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(図24)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。
[遊技状態設定処理]
図37に示すように、遊技状態設定処理(S2121)ではまず、VフラグがONであるかどうかを判定する(S2201)。Vフラグは後述の特定領域センサ検知処理(図35)にてONするフラグである。S2201で、VフラグがONであると判定した場合(S2201でYES)、確変フラグをONすると共に(S2202)、確変カウンタに「140」をセットし(S2203)、VフラグをOFFにし(S2204)、S2205の処理に進む。すなわち、本パチンコ遊技機1では、この遊技状態設定処理においてVフラグがONになっているか否かに基づいて、大当り遊技後の遊技状態を高確率状態に設定するか否かを決めている。
S2205では、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りか否かを判定する。そして、15R大当りでない、すなわち、2R第3大当りであると判定した場合(S2205でNO)、次いで大当り遊技前の遊技状態、すなわち2R第3大当りとなった際の遊技状態が、時短状態か否かを判定する(S2208)。時短状態でなかったと判定された場合(S2208でNO)、時短フラグをONにすることなく、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技後の遊技状態が高確率状態且つ特別図柄の非時短状態且つ低ベース状態(すなわち高確低ベース状態)になる。この高確低ベース状態は、特別図柄が140回変動表示すること、及び、次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。
一方、S2205で、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りであると判定した場合(S2205でYES)、又は、S2208で、2R第3大当りとなった際の遊技状態が時短状態であったと判定した場合(S2208でYES)、時短フラグをONにし(S2206)、時短カウンタに「140」をセットし(S2207)、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技後の遊技状態が高確率状態且つ特別図柄の時短状態且つ高ベース状態(すなわち高確高ベース状態)になる。この高確高ベース状態は、特別図柄が140回変動表示すること、及び、次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。
一方、S2201で、VフラグがOFFであると判定した場合(S2201でNO)、前述と同様に、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りか否かを判定する(S2209)。そして、S2209で、15R大当りでない、すなわち、2R第3大当りであると判定した場合(S2209でNO)、次いで大当り遊技前の遊技状態、すなわち2R第3大当りとなった際の遊技状態が、時短状態か否かを判定する(S2210)。S2210で、時短状態でなかったと判定した場合(S2210でNO)、時短フラグをONにすることなく、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技後の遊技状態が低確率状態且つ特別図柄の非時短状態且つ低ベース状態(すなわち低確低ベース状態)になる。一方、S2209で、終了した大当り遊技(今回実行した大当り遊技)が15R大当りであると判定した場合(S2209でYES)、又は、S22100で、2R第3大当りとなった際の遊技状態が時短状態であったと判定した場合(S2210でYES)、時短フラグをONにし(S2211)、時短カウンタに「100」をセットし(S2212)、処理を終える。これにより、今回の大当り遊技後の遊技状態が低確率状態且つ特別図柄の時短状態且つ高ベース状態(すなわち低確高ベース状態)になる。この低確高ベース状態は、特別図柄が100回変動表示すること、及び、次の大当りが発生すること、の何れかの条件の成立により終了する。また、この時短カウンタ及び確変カウンタは、第1特別図柄の変動表示回数と第2特別図柄の変動表示回数とを合算した回数を計数するものである。
また、2R第3大当りとなった場合において、大当り遊技前の遊技状態が時短状態かどうかを判定する処理(S2208、S2210)を行うのは、大当り遊技前後の時短機能の作動状態、及び高ベース機能(開放延長機能)の作動状態を小当りと同じにするためである。これらの作動状態が小当りと2R第3大当りとで異なっていると、大入賞口の開放パターンで何れの当りかを認識困難にしたとしても、その後の作動状態によって、何れの当りか(大当りか小当りか)が判別されてしまうからである。これにより、小当りと2R第3大当りとを大入賞口の開放パターンでの判別を困難にすると共に、その後発生する時短機能や高ベース発生機能の作動状態によっても判別困難としている。
[特別電動役物処理2(小当り遊技)]
図38に示すように、特別電動役物処理2(S1109)ではまず、小当り終了フラグがONであるか否かを判定する(S2301)。小当り終了フラグは、小当り遊技において大入賞装置(第1大入賞装置31及び第2大入賞装置36)の開放が全て終了したことを示すフラグである。S2301で、小当り終了フラグがONでないと判定した場合(S2301でNO)、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)の開放動作中かどうか、すなわち、小当り用開放パターンを実行中かどうか判定する(S2302)。S2302で、大入賞口が開放動作中でないと判定した場合(S2302でNO)、大入賞口(第2大入賞口35)を開放させる時期(タイミング)に至ったか否か、すなわち小当りのオープニング期間が経過して、所定の開放動作を開始する時期(タイミング)に至ったかどうかを判定する(S2303)。
S2303で、大入賞口の開放時期でないと判定した場合(S2303でNO)、そのまま処理を終える。一方、S2303で、大入賞口の開放時期であると判定した場合(S2303でYES)、V無効期間設定処理を行い(S2304)、小当り用開放パターン(図7参照)に従って第2大入賞口35を開放させ(S2305)、処理を終える。V無効期間設定処理(S2304)では、小当り遊技における第2大入賞口35の開放中及び第2大入賞口35の閉鎖後の数秒間を、特定領域センサ39aによる遊技球の検知を無効と判定する期間(第2期間)に設定する。また、本実施例1では、前述のV有効期間設定処理(S2111)で有効期間に定める期間以外の期間は無効期間(第2期間)とされている。従って、このV無効期間設定処理では、有効期間となっていないか、すなわち無効期間に設定されているかを確認する。具体的には、V有効期間の経過をカウントダウンにて計測するVタイマ(主制御基板80のRAMに設けられている)が「0」(すなわち有効期間無しの状態)に設定されているかを確認する。Vタイマが「0」でなければVタイマに「0」をセットする。尚、Vタイマが「0」か否かを確認することなく、Vタイマに「0」をセットする。すなわち、有効期間無しの状態に設定するようにしてもよい。これにより、小当り中にV通過があっても、小当り遊技前の遊技状態が通常状態であればその小当り遊技後の遊技状態を高確率状態に移行させないようにしている。もっとも、小当り遊技中は特定領域39の通過を許容する可動片150が動作しないため、不測の事態(故障、不具合、不正等)が発生しない限り、遊技球が特定領域を通過することはない。
S2302において、大入賞口(第2大入賞口35)の開放動作中であると判定した場合(S2302でYES)、小当り遊技中における大入賞口への入球個数が、規定の最大入球個数(本実施例1では10個)に達しているか否かを判定する(S2306)。規定入球個数に達していなければ(S2306でNO)、開放動作の終了時期かどうか(小当り用開放パターンを全て終了したかどうか)を判定する(S2307)。そして、大入賞口の開放動作が終了していないと判定した場合(S2307でNO)、処理を終える。
これに対して、S2306で小当り遊技中における大入賞口への入球個数が規定入球個数に達したと判定した場合(S2506でYES)、又は、S2307で大入賞口の開放動作の終了時期であると判定した場合(S2307でYES)には、所定の大入賞口閉鎖処理を行い(S2308)、S2311の処理に移行する。すなわち、小当り遊技の終了条件として、(1)実行中の小当り遊技に定められた開放動作を終了したこと(例えば、0.9sの開放を2回)(2)実行中の小当り遊技において、定められた規定数(例えば、10球)の遊技球が入球したこと、の2個の条件が定められている。そして、何れか一方の条件が成立すると、当該先に成立した条件に基づいて小当り遊技の終了条件が成立となる。S2311では、小当り遊技を終了させる小当り終了処理として、小当り遊技のエンディングコマンドをセットすると共に(S2311)、小当りのエンディング期間を開始し(S2312)、小当り終了フラグをONにし(S2313)、処理を終える。ここで、S2311における小当り終了処理では、エンディングコマンドをセットする処理が行われるところ、小当り用のエンディングコマンドがセットされる。また、小当り用のエンディング期間は、2R第3大当りに係るエンディング期間と同じ期間とされており、これによっても、小当りと2R第3大当りとの区別をし難いものとしている。
S2301において、小当り終了フラグがONであると判定した場合(S2301でYES)、次いで、小当りのエンディング期間(エンディング時間)が経過したか否かを判定し(S2315)、エンディング期間が経過していないと判定した場合(S2315でNO)、処理を終える。一方、S2315で、エンディング期間が経過したと判定した場合(S2315でYES)、小当り終了フラグをOFFにするとともに(S2316)、小当りフラグをOFFにし(S2317)、特図動作ステータスを「1」にセットし(S2318)、処理を終える。これにより、次回の割り込み処理において、特図動作処理(図24)として再び特別図柄待機処理(S1102)が実行されることになる。尚、小当り遊技の開始に際して確変フラグや時短フラグをONからOFFに切り変えることはしない。また、小当り遊技の終了に際しては、遊技状態設定処理(S2124、図33)を行わない。すなわち、本パチンコ遊技機1では、小当り遊技の実行前と実行後において遊技状態を変化させないものとしている。
[特定領域センサ検知処理]
遊技制御用マイコン81は、特図動作処理(S206)に次いで特定領域センサ検知処理(S207)を行う。特定領域センサ検知処理(S207)では図39に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S2401)。検知がないと判定された場合(S2401でNO)、処理を終了する。S2401で検知があると判定された場合(S2401でYES)、V有効期間中か否かを判定する(S2402)。V有効期間は、前述の特別電動役物処理1(図36)におけるV有効期間設定処理(S2111)にて設定される期間である。V有効期間は、大当り遊技における1ラウンド目と2ラウンド目に設定される。
また、S2402でV有効期間中であると判定した場合(S2402でYES)、VフラグをONにすると共に(S2403)、現在実行中の大当り遊技が2R大当り(2R第3大当り)であるか否かを判定する(S2404)。そして、2R大当りでないと判定した場合(S2404でNO)、すなわち15R大当りであれば、第1V通過コマンドをセットし(S2405)、処理を終える。一方、2R大当りであると判定した場合(S2404でYES)、第2V通過コマンドをセットし(S2406)、処理を終える。主制御基板80のCPUは、所定のタイミングでこのV通過コマンドをサブ制御基板90に送信し、サブ制御基板90は受信したV通過コマンドの種別や、そのときの遊技状態等によって、演出図柄表示領域等で遊技演出を実行する。
また、S2402でV有効期間中でないと判定した場合(S2402でNO)、VフラグをONにすることなく、無効期間通過コマンドをセットし(S2407)、処理を終える。尚、原則として、第1V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知制御を行わせるためのコマンドである。これに対して、第2V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過の報知制御を原則行わせないためのコマンドである。また、無効期間通過コマンドは、主制御基板80やサブ制御基板90に特定領域の無効期間に遊技球が特定領域を通過した。すなわち、何らかの不具合や不正が発生しているおそれがあることを報知させるためのコマンドである。この報知は、表示画面7aや枠ランプや盤面ランプやスピーカ等を用いて行ってもよいし、ホールコンピュータに当該情報を送信して、ホールコンピュータにおいて行ってもよい。また、遊技制御用マイコン81は、このような特定領域センサ検知処理(S207)やV有効期間設定処理(S2111)を実行することにより、特定領域39への遊技球の通過の有効無効を切り替える手段(特定領域状態切替手段)として機能する。
[始動入球時処理]
遊技制御用マイコン81は、特定領域センサ検知処理(S207)に次いで始動入球時処理(S208)を行う。図40に示すように、始動入球時処理(S208)ではまず、主制御基板80のRAMに記憶されている特図1保留球数、特図2保留球数及び普通図柄保留球数を読み出す(S2501)。次いで、特図2保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S2502)。S2502で、特図2保留球数が「1」増加したと判定した場合(S2502でYES)、S2503の処理に移行する。これは、第2始動口に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS307で特図2保留球数に「1」を加算した場合が該当する。
一方、特図2保留球数が増加していないと判定した場合(S2502でNO)、S2506の処理に移行する。S2503では、直前の始動口センサ検知処理(S204)における特図2関係乱数取得処理(S308)で取得して第2特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出す(S2503)。次いで、S2504で、読み出した第2特別図柄に係る取得乱数値を判定する(S2504)。具体的に、始動口への入球時に取得した特別図柄当否判定用乱数カウンタの値(特別図柄当否判定用乱数値)が、現在の遊技状態(低確率状態か、高確率状態か)に応じて、大当りか、外れかを判定する。また、判定結果(事前判定結果)が大当りである場合には、大当りの種別を判定する。これは、特図2保留についての当否判定(大当りか否かの判定)を、後述の特図2当否判定処理(S1202)における当否判定(S1303,S1309)に先立って行う事前判定(所謂「保留先読み」)に相当するものである。
尚、事前判定は、設定されている遊技モードに対応する大当り判定テーブルであって(図9(A)を参照)、高確率状態であれば高確率状態用の大当り判定テーブル、通常状態(低確率状態)であれば通常状態用の大当り判定テーブル、に基づいて、大当り判定値と一致するか否かを判定することが可能である。また、他の事前判定態様として、変動パターン情報を判定可能な変動パターン情報判定テーブルとして、通常状態用(低確率状態用)の変動パターン情報判定テーブルと、高確率状態用(高確率状態用)の変動パターン情報判定テーブルと、を有するものとする。そして、事前判定においては、取得乱数値(特別図柄当否判定用乱数カウンタの値等)と、遊技状態に応じた変動パターン情報判定テーブルと、に基づいて、所定の変動パターン情報を選択するものとすることが可能である。そして、この選択した変動パターン情報から、大当りかどうかや、大当り種別や、大当り信頼度の高い遊技演出が実行されるかどうか等を識別可能とすることができる。
次いでS2505では、S2501で読み出した第2特別図柄に係る保留球数データと、S2504で事前判定した情報(事前判定情報)と、を少なくとも含む遊技情報を、特図2始動入球コマンドとして生成し、主制御基板80のRAMに設けられた、サブ制御基板90へのコマンド送信用の出力バッファにセットする(S2505)。尚、特図2始動入球コマンドとして、S2503で読み出した特図2取得乱数の値の一部又は全部を、そのままサブ制御基板に送信するようにしてもよいし、特図2取得乱数の値はそのまま送信せず、特図2取得乱数の値に基づいて取得した遊技情報(例えば、前述の変動パターン情報等)を送信するようにしてもよい。
また、主制御部80から送信した特図2始動入球コマンドをサブ制御部90で解析することで、大当りに係る情報であるかどうか、第2特別図柄の保留球数はいくつか、大当り種別は何れか等を、サブ制御部90が識別できるものとされている。また、本実施例1では、これに加えて、特図2始動入球コマンドを解析することで、取得した特図2取得乱数が高確率状態で判定した場合に大当りとなるかどうか、及び低確率状態で判定した場合に大当りとなるかどうか、を特定可能とされている。これにより、サブ制御部は、受信した特図2始動入球コマンドを保留(演出保留情報)として記憶し、特定のタイミングで当該演出保留情報を事前判定し、低確率状態で当否判定した場合に大当りと判定される演出保留情報が記憶されているかどうかを判定することが可能となる。
尚、不正防止の観点から、S2503で読み出した取得乱数値のうち特別図柄当否判定用乱数値を、そのままサブ制御部に送信することはせず、その他の大当り種別決定用乱数カウンタの値(大当り種別決定用乱数値)とリーチ乱数カウンタの値(リーチ乱数値)と変動パターン乱数カウンタの値(変動パターン乱数値)を示す情報と、事前判定の結果を示す情報とを含むコマンドデータを特図2始動入球コマンドとして生成し、セットすることが可能である。
次いでS2506では、前述の特図2に係る処理と同様に、特図1保留球数が「1」増加したか否かを判定する(S2506)。S2506で、特図1保留球数が「1」増加したと判定した場合(S2506でYES)、S2507の処理に移行する。これは、第1始動口に遊技球が入球したことに基づいて、始動口センサ検知処理(S204)におけるS311で特図1保留球数に「1」を加算した場合が該当する。一方、S2506で、特図1保留球数が増加していないと判定した場合(S2506でNO)、そのまま処理を終える。
S2507では、時短フラグがONであるか否かを判定し(S2507)、時短フラグがONである、すなわち高ベース状態であると判定した場合(S2507でYES)、そのまま処理を終える。一方、S2507で、時短フラグがOFFである、すなわち低ベース状態であると判定した場合(S2507でNO)、S2508以降の事前判定に係る処理に進む。ここで、時短フラグがONである場合、すなわち現在の遊技状態が高ベース状態である場合、第2始動口21への入球頻度が高まる開放延長機能が作動しており、特図2の当否判定が行われやすい状態となっている。また、本実施例1では、後述するように特図2保留の消化(第2特別図柄の変動表示)を特図1保留の消化(第1特別図柄の変動表示)に優先して実行するもの(所謂特図2優先変動機)としている。このような構成において、例えば特図1の事前判定を行い、その結果を予告等の演出により遊技者に報知し、その事前判定の結果が大当りであることが明示された場合、遊技者は、特図2保留消化の優先を利用して、任意のタイミングで特図2保留を意図的に無くして(「0」にして)、事前判定の結果が示された特図1に係る大当りを意図的に発生させるといった技術介入が可能となる。このような大当りの発生タイミングを遊技者が調整できることは、遊技の公平性の観点から好ましくない。このため、現在の遊技状態が低ベース状態でなく高ベース状態である場合(S2507でYES)、S2508以降の特図1の事前判定に係る処理を行わず、本処理を終えることとしている。
S2508〜S2510の処理は、前述したS316〜S318と同様の処理を特図1について行うものである。すなわち、始動口センサ検知処理(S204)における特図1関係乱数取得処理(S312)で取得して第1特図保留記憶部に記憶した最新の取得乱数値(取得情報)を読み出し(S2508)、読み出した取得乱数値について事前判定を行い(S2509)、S2501で読み出した第1特別図柄に係る保留球数データと、S2509で事前判定した情報(事前判定情報)と、を少なくとも含む遊技情報を、特図1始動入球コマンドとして生成し、主制御基板80のRAMに設けられた、サブ制御基板90へのコマンド送信用の出力バッファにセットする(S2510)。尚、S2509の事前判定(保留先読み)は、後述の特図1当否判定処理(S1207)における当否判定(S1603,S1609)に先立って行うものである。
[電源断監視処理]
遊技制御用マイコン81は、保留球数処理(S208)に次いで電源断監視処理(S209)を行う。電源断監視処理(S209)では図41に示すように、まず、電源断信号の入力の有無を判定する(S2601)。これは、前述した電圧低下監視回路105が電源電圧の低下を検知した場合に送信される「電源断信号」に基づいて判定される。S2601で、電源電圧の入力がないと判定した場合(S2601でNO)、処理を終了する。一方、S2601で、電源断信号の入力があると判定した場合(S2601でYES)、主制御部80のRAMに記憶されている遊技状態情報、及び、払出制御部110に記憶されている遊技状態情報を、夫々のRAMのバックアップ領域に記憶し(S2602)、電源断フラグをONし(S2603)、その後は割り込み処理(図11)に戻ることなくループ処理をする。
また、電源断信号を受信した場合にバックアップ領域に記憶するバックアップ対象の遊技状態情報として、少なくとも、設定されている遊技モードを示す情報(遊技モード設定情報)、特別図柄ステータスフラグ、普通図柄ステータスフラグ、保留記憶カウンタ(特図、普図)の値、確変フラグの値、時短フラグの値、大当り遊技の進捗状況を示す情報、小当り遊技の進捗状況を示す情報、特別図柄の残り変動時間、未払出賞球数を示す情報をあげることができる。これらの遊技状態情報は、バックアップ電源により電力供給が維持されるバックアップ領域(バックアップRAM)に保存(記憶保持)される。また、これらのバックアップした遊技状態情報は、停電等が生じた後に再度電力供給が開始された場合、制御状態(遊技状態)を、停電等が生じたとき(停電発生前)の制御状態(遊技状態)に復旧させるために必要な情報(データ)である
[モード設定監視処理]
次に、モード設定監視処理(S210)について説明する。このモード設定監視処理は、電力の供給中において(遊技開始後において)、常時、モード設定スイッチの設定状態を監視する処理である。本実施例のパチンコ遊技機では、電源投入時で、且つ、遊技機を初期化する場合にのみ、遊技モードの設定を変更可能としているため、当該変更条件を満たさない限り、遊技開始後に(電力供給状態で)モード設定スイッチを操作したとしても、すぐさま遊技モードが変更されることはない。然しながら、遊技機に実際に設定されている遊技モードと、モード設定スイッチ82の操作部82aが示す遊技モードと、が一致しないといった事態は好ましいことではない。また、この様な不一致があると、遊技店員等が遊技機の設定を確認する際に、遊技機に設定されている遊技モードを誤認してしまう虞もある。例えば、本来変更が必要であるにも拘らず、既に変更したものと誤認してしまうといった事態が発生する可能性がある。
この様な事態を防ぐため、本実施例のパチンコ遊技機1では、常に(所定の制御周期毎に)モード設定スイッチ82の設定状態(選択情報)を監視することで、前述のような不一致を速やかに発見し、所定の報知(エラー報知)を行うことで、周囲に知らせることが可能となる。具体的に、モード設定監視処理(S210)ではまず、、モード設定スイッチの選択情報を読込(S3201)、次いで、当該読込んだ選択情報に対応する遊技モードと、RAMに記憶されている遊技モード、すなわち、遊技機に現在設定されている遊技モードと、を比較判定する(S3202)。そして、S3203では、S3202で行った比較の結果が一致すると判定した場合(S3203でYES)、エラー報知中かどうかを判定し(S3205)、エラー報知中でないと判定した場合(S3205)、処理を終える。遊技開始後に、誤って又は不正に、モード設定スイッチ82の設定状態を変更するようなことがなければ、この様になる。
一方、S3203で、S3202で行った比較の結果が一致しないと判定した場合(S3203でNO)、所定のエラー報知を行い(S3204)、処理を終える。エラー報知においては、画像表示装置7の表示画面7aに「モード設定スイッチが不正に操作された」ことを示すエラー表示を行ったり、盤面ランプ5や枠ランプ66やスピーカ67で所定のエラー報知を行ったりすることが可能である。また、エラー報知において、正しい遊技モードの設定及びモード設定スイッチによって選択されている遊技モードの両方を何らかの態様で示してもよい。これにより、モード設定スイッチ82による遊技モードの設定位置を速やかに修正し(復帰させ)、エラー報知を終了させることが可能となる。尚、本エラー処理(エラー報知)は、遊技を続行可能な状態を維持しながら行うものとしている。これは、遊技機を初期化しない限り、遊技モードの変更はできない(遊技モードは変更されていない)ためである。
また、このエラー報知中(エラー処理中)において、再度S3203を実行し、一致すると判定した場合(S3203でYES)、次いでエラー報知中かどうかを判定し(S3205)、エラー報知中であると判定した場合(S3205でYES)、エラー報知を終了し(S3206)、処理を終える。これにより、エラー報知のない正常な遊技に復帰することが可能となる。これにより、本実施例のパチンコ遊技機1は、電力供給中になされたモード設定スイッチ82の操作を監視すると共に、電力の供給が停止されている間については、復旧した遊技状態情報に基づいて電力遮断時の遊技モードと一致するかどうかを判定することで、監視することが可能となる。これにより、不正に又は誤って遊技モードが変更されてしまうことを防止することが可能となる。
[サブ制御メイン処理]
次に、図43に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。尚、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、フラグ、ステータス、バッファ等は、サブ制御基板90(サブ制御部)のRAMに設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、サブ制御基板90のROMから図38に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種のフラグ、ステータス及びカウンタのリセット等を行う。
続いて、S4002で、電源断信号がONで且つサブ制御基板90のRAMの内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そして、この判定結果がNOであれば(S4002でNO)、サブ制御基板90のRAMの初期化をし(S4003)、S4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、サブ制御基板90のRAMを初期化することなくS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAMの内容が正常でない場合には(S4002でNO)、サブ制御基板90のRAMを初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAMの内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAMを初期化しない。RAMを初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタの値はリセットされる。尚、このS4001〜S4003は、電源投入後に(電源投入に際して)一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
S4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。更新された乱数カウンタ値はサブ制御基板90のRAMの所定の更新値記憶領域(図示せず)に逐次記憶される。尚、演出決定用乱数には、予告演出を決定する予告演出決定用乱数や、演出図柄を決定する演出図柄決定用乱数がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。演出決定用乱数は、予め定められたタイミングで取得される。このタイミングとしては、例えば主制御基板80から始動入球があった旨を通知する制御信号(始動入球コマンド)が送信されてきたときや、主制御基板80から変動開始を通知する制御信号(変動開始コマンド)が送信されてきたときや、後述の変動演出パターンを決定するときなどとすることができる。取得した演出決定用乱数の格納場所は、サブ制御基板90のRAMの所定の乱数カウンタ値記憶領域(図示せず)である。尚、本実施例1では、予告演出決定用乱数として、キャラクタ予告決定用乱数、ステップアップ予告決定用乱数、疑似変動予告決定用乱数、可動部予告決定用乱数を有しており、これらの予告演出決定用乱数の取得値と各予告決定テーブルを用いて実行する予告演出を決定する。
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM内の出力バッファに格納されている各種のコマンド(制御信号)を、画像制御基板100、音声制御基板106、及びランプ制御基板107に送信する。コマンドを受信した各制御基板(各制御部)は、受信したコマンドに従い各種の演出装置(画像表示装置7、スピーカ67、盤面ランプ5、枠ランプ66及び可動装飾部材14等)を用いて各種の演出(演出図柄遊技演出や、大当り遊技及び小当り遊技に伴う特別遊技演出等)を実行する。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、S4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、2msタイマ割り込み処理(S4009)、及び10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。これらの制御処理を実行することで、画像表示装置7の表示画面7a(演出図柄表示領域7b)上で実行される演出図柄等の表示制御や、各種ランプの点灯制御や、可動装飾部材の動作制御や、スピーカからの音声出力制御等を行うことが可能となる。