JP6197190B2 - 熱交換器用チューブ - Google Patents

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本発明は、熱交換器用チューブに関する。
従来の熱交換器用チューブとしては、特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。
これらの従来の熱交換器用チューブは、両外側が出入口を除いてビードで形成され、その中央部に仕切りビードが設けられて媒体がU字状に流れる流路が形成されたチューブ部材を有している。この流路には、流通する媒体を撹拌して放熱性能を向上させるために、内側へ向けて突出される多数の突出部が設けられている。このように形成された2個のチューブ・プレートは、互いに組み付けられてチューブを構成する。
特開平02-169127号公報 国際公開1983/004090号
多数の突出部が流路内に配列されていると、放熱性能は向上するものの、流通抵抗が増加してしまうという問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、媒体が流れる場合の流通抵抗の増加を抑えつつ放熱性能を向上させることできるようにした熱交換器用チューブを提供することにある。
この目的のため本発明による熱交換器用チューブは、2枚の半割のチューブ・プレートを組み付けることによって構成され、前記第1プレートおよび前記第2プレートに、前記上流側直線流路部または前記下流側直線流路部において記熱交換器用チューブの厚さ方向に突出する突出部を設け、
前記媒体は前記突出部により区画され流路を流通し、
前記第1プレートまたは前記第2プレートの前記突出部は、前記厚さ方向から見て前記直線流路部の長手方向における一方の端部から他方の端部まで連続して延在する波状であり、
前記第1プレートの前記突出部と前記第2プレートの前記突出部とは、前記厚さ方向から見たときに交差し、この交差部分で互いに接触するとともに、他の部分が前記直線流路部の幅方向で互いに離間し、
前記第1プレートの前記突出部により区画された第1流路と、前記第2プレートの前記突出部により区画された第2流路であって、前記交差部分において前記第1流路に対し前記幅方向で隣接する第2流路とは、前記第1プレートの前記突出部と前記第2プレートの前記突出部とが前記幅方向で互いに離間した部分において相互に連通するようにした。
本発明の熱交換器用チューブにあっては、第1プレートの突出部により区画された第1流路と、第2プレートの突出部により区画された第2流路であって、前記交差部分において前記第1流路に対し前記幅方向で隣接する第2流路とは、前記第1プレートの前記突出部と前記第2プレートの前記突出部とが前記幅方向で互いに離間した部分において相互に連通するようにしたので、媒体が連通する部分によって攪拌されることで放熱性能を向上させることできる。
本発明の実施例1に係る熱交換器用チューブの断面図である。 本発明の実施例2に係る熱交換器用チューブの断面図である。 図2においてS3-S3線に沿って切断してみた、実施例2に係る熱交換器用チューブの断面図である。 図2においてS4-S4線に沿って切断してみた、実施例2に係る熱交換器用チューブの断面図である。
〔実施例1〕
まず、実施例1の熱交換器用チューブの全体構成を説明する。
図1に示すように、実施例1の熱交換器用チューブ1は、本実施例では、内燃機関エンジンに付属され、吸入空気を圧縮するチャージャ(ターボチャージャやスーパーチャージャ)の圧縮空気をエンジンの冷却水で冷却する水冷式チャージ・エア・クーラに用いられる。
熱交換器用チューブ1は、半割のチューブ・プレートを組み付けることで構成される。
チューブ1は、入口部2と出口部3とを除き、その外周に沿って、その厚さ方向(高さ方向)内方に向けて突出した外周リブ部1aが設けられている。
また、チューブ1の一端側に配置した入口部2と出口部3の間からチューブの長手方向(図1の左右方向)に向けて、チューブ1の幅方向(図1の上下方向)
の中央位置で、チューブ1の他端側で、後で説明するUターン流路部4C付近まで仕切りリブ部(仕切り部に相当)1bが延在されて、チューブ1を幅方向に2つの領域、すなわち上流側直線流路部4Aと、下流側直線流路部4Bとに区分する。
上流側直線流路部4Aの下流側端と下流側直線流路部4Bの上流側端とは、チューブ1の他端側でUターン流路部4Cにて連通される。
一方、入口部2と出口部3とは、チューブ1の幅方向に並べて設けられ、これらの貫通孔を介して媒体であるエンジンの冷却水やエンジンの冷却水の一部を導入した並列回路、又はエンジンの冷却水とは異なる独立した回路(例えばチャージャ・エア・クーラ用の冷却水回路)が出入りすることができるようにしてある。入口部2は上流側直進通路4Aの上流側端に、また出口部3は下流側直進流路部4Bの下流側端にそれぞれ連続するように接続される。
上流側直進通路4Aには、図1の上側の外周リブ部1aと仕切りリブ部1bとの間に形成され、これらのリブ部1a、1b間に厚さ方向内側(図1に対して手前側)に突出し、厚さ方向上方からみて波状をなす波状突出部5a、5bが複数列並行に設けられ、3本の上流側流路4A1、4A2、4A3が形成される。
同様に、下流側直進通路4Bには、図1の下側の外周リブ部1aと仕切りリブ部1bとの間に形成され、これらのリブ部1a、1b間に厚さ方向に突出し、厚さ方向上方からみて波状をなす波状突出部5c、5dが複数列並行に設けられ、3本の下流側流路4B1、4B2、4B3が形成される。
なお、波状突出部5a、5b、5c、5dは、本発明の波状部に相当する。
一方、Uターン流路部4Cは、チューブ1の他端側の外周リブ部1aの内側に設けられて厚さ方向内側へ突出し、厚さ方向上方からみて円弧状をなす複数の円弧状突出部6a、6bが設けられる。ここで、曲率は円弧状突出部6aの方を円弧状突出部6bの方より大きく設定してある。
したがって、Uターン流路部4Cでは、外周リブ部1aと外側の円弧状突出部6aとの間、外側の円弧状突出部6aと内側の円弧状突出部6bとの間、および内側の円弧状突出部6bと仕切りリブ部1bの他端側端部との間に、それぞれ合計3本のUターン通路4C1、4C2、4C3の流路が形成される。なお、これらのUターン通路4C1、4C2、4C3は、媒体の流入方向と流出方向を180度方向転換させるようにそれらの曲率が設定されている。
この場合、外側の円弧状突出部6aの両端部は、波状突出部5aの下流側端と波状突出部5dの上流側端にそれぞれ連続させられて、媒体が入口部2、外側の上流側流路4A1、外側のUターン通路4C1、外側の下流側流路4B1、出口部3を流れるようにされる。
また、内側の円弧状突出部6bの両端部は、波状突出部5bの下流側端と波状突出部5cの上流側端にそれぞれ連続させられて、媒体が入口部2、中央の上流側流路4A2、中央のUターン通路4C2、中央の下流側流路4B2、出口部3を、また入口部2、内側の上流側流路4A3、内側のUターン通路4C3、外側の下流側流路4B3、出口部3を流れるようにされる。
なお、外側の円弧状突出部6aの上流側端部および波状突出部5aの下流側端の間と、内側の円弧状突出部6bの上流側端部および波状突出部5bの下流側端の間は、それぞれ仕切りリブ部1bの下流側端部より上流側へ所定距離伸ばした直線突出部7a、7bで接続されている。
図示しないが、図1に向けてこの上方に並行配置した鏡で鏡面反射させた像の形状および位置となる波状突出部や弧状突出部を有する別のチューブ・プレートがさらに成形、用意される。
そうして、図1の形状のチューブ・プレートと上記別のチューブ・プレートとが、組み付けられる。この組み付け状態では、両チューブ・プレートの波状突出部同士、弧状突出部同士、直線突出部同士は、同じ位置で互いに対面した状態となる。
この状態で、両チューブ・プレートは、これらの波状突出部同士、弧状突出部同士、直線突出部同士、外周リブ部同士、仕切りリブ部同士がロウ付け等で固着されることで、チューブ1が得られる。
上記のように構成された熱交換器用チューブでは、入口部2から流入された冷却水は、上流側直線流路部4A内を波状突出部5a、5bでコントロールされながら、3本の上流側流路4A1、4A2、4A3を蛇行して流れ、直線部7a、7bに沿ってUターン流路部4Cへ流入する。
Uターン流路部4Cでは、弧状突出部6a、6bに沿って円弧の3本のUターン通路4C1、4C2、4C内で、冷却水の流れ方向を徐々に180度変更し、3本の下流側流路4B1、4B2、4B3へ導く。
その後、媒体は、波状突出部5c、5dでコントロールされながら、3本の波状の下流側流路4B1、4B2、4B3内を蛇行して進み、出口部3から流出される。
このように冷却水は、従来のディンプル等のように撹拌され、チューブ内を流れていくが、波状に蛇行していくため、流通抵抗の増加を押さえつつ放熱性能を確保する。また、上述のようにUターン部でも、徐々に方向が変えられていく。このため、チューブのこの端部に冷却水が強く当たってエロージョンにより破損するのを抑制する。
一方、このチューブの外側を流れる高温の圧縮空気は、チューブを通るとき、冷却水と熱交換を行うことで、冷却される。この空気には、燃料が吹き込まれて、この混合気がエンジンの燃焼室で燃焼される。
以上、説明したように、実施例1の熱交換器のチューブは、以下の効果を得ることができる。
すなわち、上流側流通路部4Aと下流側流通路部4Bとに、それぞれ波状突出部5a、5b、5c、5dを設けたので、冷却水が流れる場合の流通抵抗を抑制し、かつ冷却水が波状突出部5a、5b、5c、5dに沿って流れることで放熱性能を向上させることできる。
半分割のチューブ・プレートを互いに組み付けることで、チューブ1を製造するようにしたので、容易かつ安価にチューブ1を製造することができる。
また、この場合、両チューブ・プレートの波状突出部5a、5b、5c、5dが同じ位置となるように配置し、波状突出部5a、5b、5c、5d同士が連続して対面するようにしたので蛇行するようにすることができる。
また、Uターン流路部4Cの弧状突出部6a、6bの端部が、仕切りリブ部1bの下流側端を跨ぐように配置したので、ここでの冷却水の乱れを抑制することができる。
〔実施例2〕
図2に実施例2の熱交換器のチューブ1を示す。実施例2の熱交換器のチューブ1は、実施例1と同じ構成のチューブ・プレートが2枚用意される。
そして、一方が反転されて他方に組み付けられてチューブ1が構成される。
この場合、実施例1の鏡面反射した別チューブ・プレートを用いるわけではないので、他方のチューブ・プレートに形成した上流側直線流路部4A、下流側直線流路部4Bの波状突出部5a、5b、5c、5dやUターン流路部4Cの弧状突出部6a、6bは、図2に破線で示すようになる。
この場合、両チューブ・プレートの波状突出部5a、5b、5c、5d同士や直線突出部7a、7bの部分は、これらの一部分のみが対面し、他の部分はチューブ1の幅方向にお互いずれるようになる。これに対し、Uターン流路部4Cの弧状突出部6a、6bは、同じ位置にあって連続して対面することになる。
その他の構成は、実施例1と同様である。
図3は、図2で上記互いに対面しない部分を通るS3-S3線に沿ってみた横断面図、図4は、お互いに対面する上記一部分を通るS4-S4線に沿ってみた断面図である。
この断面形状をみて分かるように、従来技術の多数のディンプルのように、冷却水を大きく撹拌するようなことはない。
実施例2の熱交換器のチューブ1にあっては、実施例1の場合よりも攪拌が可能となるため、放熱性能が向上する。この場合、流通抵抗は実施例1の場合より若干増加することになる。
ただし、組み付ける両チューブ・プレートとも同じチューブ・プレートを用いることができるので、実施例1の場合より安価にチューブ1を製造することができるようになる。
以上、本発明を上記実施例に基づき説明してきたが、本発明は上記実施例に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更等があった場合でも、本発明に含まれる。
たとえば、上記実施例1では、波状突出部5a、5b、5c、5dを上流側直線流路部4Aおよび下流側直線流路部4Bの両方に設けたが、いずれか一方にのみ設けるようにしてもよい。
また、波状突出部5a、5b、5c、5dや弧状突出部6a、6bに代えて、インナ・フィンを用いて媒体を導くようにしてもよい。
また、仕切りリブ部1bの下流側端部より上流側へ所定距離伸ばした直線突出部7a、7bで接続したが、直線突出部7a、7bを波状突出部に代えて、同一形状の両チューブ・プレートを組み付けることで、さらに安価にチューブ1を製造することができる。
また、本発明の熱交換器のチューブは、水冷式チャージ・エア・クーラに用いたが、これに限られず、他の熱交換器に用いるようにしてもよい。
1 チューブ
1a 外周リブ部
1b 仕切りリブ部(仕切り部)
2 入口部
3 出口部
4A 上流側直線流路部
4B 下流側直線流路部
4C Uターン流路部
4A1、4A2、4A3 上流側流路
4B1、4B2、4B3 下流側流路
4C1、4C2、4C3 Uターン通路
5a、5b、5c、5d 波状突出部
6a、6b 弧状突出部
7a、7b 直線突出部

Claims (8)

  1. 媒体の入口部と、
    前記媒体の出口部と、
    前記入口部および前記出口部間を結び、前記媒体が流通する流路部として、仕切り部により分けられた上流側直線流路部および下流側直線流路部、ならびに前記上流側直線流路部と前記下流側直線流路部とをつなぐUターン流路部と、
    を備えた熱交換器用チューブにおいて、
    前記熱交換器用チューブは、2枚の半割のチューブ・プレートである第1プレートと第2プレートとを組み付けることによって構成され、
    前記第1プレートおよび前記第2プレートに、前記上流側直線流路部または前記下流側直線流路部において記熱交換器用チューブの厚さ方向に突出する突出部を設け、
    前記媒体は前記突出部により区画され流路を流通し、
    前記第1プレートまたは前記第2プレートの前記突出部は、前記厚さ方向から見て前記直線流路部の長手方向における一方の端部から他方の端部まで連続して延在する波状であり、
    前記第1プレートの前記突出部と前記第2プレートの前記突出部とは、前記厚さ方向から見たときに交差し、この交差部分で互いに接触するとともに、他の部分が前記直線流路部の幅方向で互いに離間し、
    前記第1プレートの前記突出部により区画された第1流路と、前記第2プレートの前記突出部により区画された第2流路であって、前記交差部分において前記第1流路に対し前記幅方向で隣接する第2流路とは、前記第1プレートの前記突出部と前記第2プレートの前記突出部とが前記幅方向で互いに離間した部分において相互に連通する、
    ことを特徴とする熱交換器用チューブ。
  2. 請求項1に記載の熱交換器用チューブにおいて、
    前記第1プレートおよび前記第2プレートに、設けられた前記突出部は、前記熱交換器用チューブの幅方向において、上流側直線流路部または前記下流側直線流路部に設けた複数の突出部からなる
    ことを特徴とする熱交換器用チューブ。
  3. 請求項1または請求項2のいずれか1項に記載の熱交換器用チューブにおいて、
    前記2枚の半割の第1プレートおよび第2プレートの前記突出部は、前記厚さ方向から見て前記直線流路部の長手方向における一方の端部から他方の端部まで連続して延在する波状である
    ことを特徴とする熱交換器用チューブ。
  4. 請求項に記載の熱交換器用チューブにおいて、
    前記熱交換用チューブの厚さ方向に隣り合う前記波状の突出部は、互いに位相がずれた形状に形成されている
    ことを特徴とする熱交換器用チューブ。
  5. 請求項4に記載の熱交換器用チューブにおいて、
    前記熱交換器用チューブの厚さ方向に隣り合う前記波状の突出部は、互いの位相が逆位相となる形状に形成されている
    ことを特徴とする熱交換器用チューブ。
  6. 請求項に記載の熱交換器用チューブにおいて、
    前記第1プレートの波状の突出、前記第2プレートの波状の突出のどちらかの前記波状の突出部の端部から長手方向に延在する直線状をなす直線部を設けた
    ことを特徴とする熱交換器用チューブ。
  7. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の熱交換器用チューブにおいて、
    前記入口部と前記出口部とは、前記熱交器換用チューブの一端側に配置し、該熱交換器用チューブの他端側に設けられた前記Uターン流路部には前記熱交換器用チューブの第1プレートおよび第2プレートに、前記熱交換器用チューブの厚さ方向に突出し、前記上流側直線流路部および前記下流側直線流路部に設けた前記突出部に連続する弧状の突出部を設けた
    ことを特徴とする熱交換器用チューブ。
  8. 請求項に記載の熱交換器用チューブにおいて、
    前記Uターン流路部のUターン端部は、前記上流側直線流路部および前記下流側直線流路部を分ける仕切り部の端部を、内方に跨ぐように配置した
    ことを特徴とする熱交換器用チューブ。
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