以降、図を参照していくつかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各図中には同一箇所に同一符号を付している。各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能である。
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101の外観斜視図である。図2(A)は表面実装型アンテナ101の平面図であり、図2(B)は表面実装型アンテナ101の底面図であり、図2(C)は図2(A)におけるA−A断面図である。なお、図2(C)において、各部の厚みは誇張して図示している。以降の各実施形態における断面図についても同様である。
表面実装型アンテナ101は、第1主面VS1および第1主面VS1に対向する第2主面VS2を有する基材1と、基材1に形成されるコイル導体(後に詳述する)とを備える。本発明では、この第1主面VS1が「実装面」に相当し、第2主面VS2が「天面」に相当する。
基材1は、長手方向が横方向(図2(A)におけるX方向)に一致した直方体状の絶縁体である。基材1は、図1に示すように、第1基材層11、第2基材層12および第3基材層13の積層体であり、第1基材層11の両主面(第1主面LS1および第2主面LS2)を第2基材層12と第3基材層13で挟んだ構成である。
第1基材層11は、直方体形状の磁性体板であり、第2基材層12および第3基材層13は、直方体形状の非磁性体板である。第1基材層11は例えば磁性体フェライトであり、第2基材層12および第3基材層13は例えば非磁性体フェライトである。
第2基材層12は第1基材層11の第1主面LS1に積層され、第3基材層13は第1基材層11の第2主面LS2に積層される。つまり、図2(C)に示すように、第2基材層12は基材1の第1主面VS1側に配置され、第3基材層13は基材1の第2主面VS2側に配置される。また、第2基材層12には、表面実装用の接続端子2A,2BおよびNC端子3A,3Bが形成されている。言い換えると、基材1は、第1主面VS1に表面実装用の接続端子2A,2BおよびNC端子3A,3Bを有する。表面実装用の接続端子2A,2BおよびNC端子3A,3Bは平面形状が矩形の導体パターンであり、例えばCuやNi,Auを主成分とした金属膜である。
また、表面実装型アンテナ101は、第1線状導体パターン21A,21B,21C,21D、第2線状導体パターン51A,51B,51C,51D,51E、第1金属ポスト31A,31B,31C,31D,31Eおよび第2金属ポスト41A,41B,41C,41D,41Eを有する。
第1線状導体パターン21A,21B,21C,21Dは、第1基材層11の第1主面LS1に形成される。つまり、第1線状導体パターン21A〜21Dは、図2(C)に示すように、基材1の内部に形成される。第1線状導体パターン21A〜21Dは例えば第1基材層11の第1主面LS1にめっき法等によってCu膜等の導体膜を形成し、これをフォトリソグラフィによってパターニングして形成される導体パターンである。また、導電性ペーストをスクリーン印刷することによって第1線状導体パターン21A〜21Dを形成してもよい。本実施形態では、これら第1線状導体パターン21A〜21Dが、本発明に係るコイル導体の「第1主面側導体」に相当する。
第2線状導体パターン51A,51B,51C,51D,51Eは、第1基材層11の第2主面LS2に形成される。つまり、第2線状導体パターン51A〜51Eは、図2(C)に示すように、基材1の内部に形成される。第2線状導体パターン51A〜51Eは例えば第1基材層11の第2主面LS2にめっき法等によってCu膜等の導体膜を形成し、これをフォトリソグラフィによってパターニングして形成される導体パターンである。また、導電性ペーストをスクリーン印刷することによって第2線状導体パターン51A〜51Eを形成してもよい。本実施形態では、これら第2線状導体パターン51A〜51Eが、本発明に係るコイル導体の「第2主面側導体」に相当する。
第2線状導体パターン51A〜51Eは、基材1の長手方向(図2(A)におけるX方向)に配列され、基材1の短手方向(図2(A)におけるY方向)に延伸している。本実施形態では、図2(A)に示すように、基材1の長手方向(X方向)の中央に配列される第2線状導体パターン51Cが、基材1の短手方向(Y方向)に向かって直線状に形成されている。そして、第2線状導体パターン51A,51B,51D,51Eは、基材1の短手方向(Y方向)の中央部が基材1の長手方向(X方向)の中央部に向かって屈曲するように形成されている。言い換えると、第2線状導体パターン51A,51B,51D,51Eは、基材1の短手方向(Y方向)の中央部が第2線状導体パターン51Cに向かって屈曲するように形成されていると言える。
第1金属ポスト31A〜31Eおよび第2金属ポスト41A〜41Eは、例えば円柱状のCu製ピンである。これらは例えば、断面円形のCuワイヤーを所定長単位で切断することで得られ、そのアスペクト比(高さ/底面の直径)は5以上30未満であることが好ましい。
第1金属ポスト31A〜31Eは、基材1の第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びるように配置され、かつ、第1基材層11の第1主面LS1および第2主面LS2に達する。また、第1金属ポスト31A〜31Eは、図1等に示すように、基材1の第1主面VS1に対して法線方向へ延びるように配置され、基材1の第1側面VS3の近傍に配置されている。第1金属ポスト31A〜31Eの第1端は、表面実装用の接続端子2Aおよび第1線状導体パターン21A〜21Dに接続される。
具体的には、第1金属ポスト31Aの第1端は表面実装の接続端子2Aに接続される。第1金属ポスト31Bの第1端は第1線状導体パターン21Aに接続される。第1金属ポスト31Cの第1端は第1線状導体パターン21Bに接続される。第1金属ポスト31Dの第1端は第1線状導体パターン21Cに接続される。第1金属ポスト31Eの第1端は第1線状導体パターン21Dに接続される。
第2金属ポスト41A〜41Eは、基材1の第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びるように配置され、かつ、第1基材層11の第1主面LS1および第2主面LS2に達する。また、第2金属ポスト41A〜41Eは、図1等に示すように、基材1の第1主面VS1に対して法線方向へ延びるように配置され、基材1の第2側面VS4の近傍に配置されている。第2金属ポスト41A〜41Eの第1端は、表面実装用の接続端子2Bおよび第1線状導体パターン21A〜21Dに接続される。
具体的には、第2金属ポスト41Aの第1端は第1線状導体パターン21Aに接続される。第2金属ポスト41Bの第1端は第1線状導体パターン21Bに接続される。第2金属ポスト41Cの第1端は第1線状導体パターン21Cに接続される。第2金属ポスト41Dの第1端は第1線状導体パターン21Dに接続される。第2金属ポスト41Eの第1端は表面実装用の接続端子2Bに接続される。
また、第2線状導体パターン51A〜51Eの第1端は第1金属ポスト31A〜31Eの第2端に接続され、第2線状導体パターン51A〜51Eの第2端は第2金属ポスト41A〜41Eの第2端に接続される。
具体的には、第2線状導体パターン51Aの第1端は第1金属ポスト31Aの第2端に接続され、第2線状導体パターン51Aの第2端は第2金属ポスト41Aの第2端に接続される。第2線状導体パターン51Bの第1端は第1金属ポスト31Bの第2端に接続され、第2線状導体パターン51Bの第2端は第2金属ポスト41Bの第2端に接続される。第2線状導体パターン51Cの第1端は第1金属ポスト31Cの第2端に接続され、第2線状導体パターン51Cの第2端は第2金属ポスト41Cの第2端に接続される。第2線状導体パターン51Dの第1端は第1金属ポスト31Dの第2端に接続され、第2線状導体パターン51Dの第2端は第2金属ポスト41Dの第2端に接続される。第2線状導体パターン51Eの第1端は第1金属ポスト31Eの第2端に接続され、第2線状導体パターン51Eの第2端は第2金属ポスト41Eの第2端に接続される。
第1線状導体パターン21A〜21D、第1金属ポスト31A〜31E、第2線状導体パターン51A〜51Eおよび第2金属ポスト41A〜41Eによって5ターンの矩形ヘリカル状のコイル導体が構成される。本実施形態では、これら第1線状導体パターン21A〜21D、第1金属ポスト31A〜31E、第2線状導体パターン51A〜51Eおよび第2金属ポスト41A〜41Eが、本発明に係る「ヘリカル状のコイル導体」に相当する。
上記コイル導体は、図1および図2(C)等に示すように、基材1に形成され、第1主面VS1および第2主面VS2に沿った方向に巻回軸AX1を有する。巻回軸AX1は、図2(A)に示すように、第1主面VS1から視て、横方向(X方向)に延びる直線で表すことができる。
図3(A)は、第2線状導体パターン51A〜51Eの形成領域PA2を示す、表面実装型アンテナ101の平面図であり、第2主面VS2から視た(−Z方向に透視した)図である。図3(B)は、第1線状導体パターン21A〜21Dの形成領域PA1を示す、表面実装型アンテナ101の平面図であり、第2主面VS2から視た(−Z方向に透視した)図である。図3(C)は、第1線状導体パターン21A〜21Dの形成領域PA1と、第2線状導体パターン51A〜51Eの形成領域PA2とを比較する図である。
なお、図3(A)において、第1基材層および第3基材層の図示が省略されている。また、図3(B)において、第3基材層の図示が省略されている。
表面実装型アンテナ101の第1線状導体パターン21A〜21Dの形成領域PA1は、図3(B)に示すように、第2主面VS2から視て、平行四辺形状である。また、表面実装型アンテナ101の第2線状導体パターン51A〜51Eの形成領域PA2は、図3(A)に示すように、第2主面VS2から視て、基材1の短手方向(Y方向)の中央部が内側に向かって屈曲した形状である。
また、図3(C)に示すように、第2主面VS2から視た同一位置(基材1の短手方向(Y方向)の中央部)での、第2線状導体パターン51A〜51Eの形成領域PA2の巻回軸AX1方向における長さX2は、第1線状導体パターン21A〜21Dの形成領域PA1の巻回軸AX1方向における長さX1に比べて短い。
このように、表面実装型アンテナ101のコイル導体は、第2主面VS2から視た同一位置での、第2線状導体パターン51A〜51Eの形成領域PA2の巻回軸AX1方向における長さX2が、第1線状導体パターン21A〜21Dの形成領域PA1の巻回軸AX1方向における長さX1よりも短い部分SP1(X2<X1の関係が成り立つ領域)を有する。
そのため、図2(C)に示すように、上記構成でない場合のコイル開口C0に比べて、上記コイル導体のコイル開口C1が大きくでき(C1>C0)、アンテナとして機能する実質的なコイル開口が大きくできる。
なお、本発明での「第2主面VS2から視た同一位置」における「位置」とは、第2主面VS2から視た巻回軸AX1方向(X方向)に対する直交方向(Y方向)での位置をいう。すなわち、本発明における「同一位置」とは、第2線状導体パターン51A〜51Eの形成領域PA2および第1線状導体パターン21A〜21Dの形成領域PA1において、第2主面VS2から視た巻回軸AX1方向に対する直交方向(Y方向)での同じ位置をいう。
また、コイル導体の第2主面側(第2線状導体パターン51A〜51E)は、図2(C)に示すように、短手方向(Y方向)の中央部の巻回軸AX1方向における線間距離D1が、コイル導体の第1主面側(第1線状導体パターン21A〜21D)の巻回軸AX1方向における線間距離D2に比べて、狭い(D1<D2)。
また、本実施形態では、コイル導体のうち、第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びる部分が、第1金属ポスト31A〜31Eおよび第2金属ポスト41A〜41Eで構成される。したがって、コイル導体のうち、第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びる部分は、磁性体部材である第1基材層の内部に形成される。
また、表面実装型アンテナ101のコイル導体は、図1等に示すように、磁性体部材である第1基材層11の内外を巻回する構成である。したがって、本実施形態では、第1基材層11がコイル導体の磁芯を構成する。
次に、表面実装型アンテナ101の動作原理について、図を参照して説明する。図4(A)は第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101の動作原理を示す平面図であり、図4(B)は表面実装型アンテナ101の動作原理を示す断面図である。
図4(B)に示すように、コイル導体のコイル開口に対して、第1主面VS1(実装面)に沿った方向に磁束φ1が鎖交すると、コイル導体に磁束φ1を打ち消す方向の磁束を発生させる電流i1が誘起される。
また、コイル導体は、第2主面VS2から視た同一位置での、第2線状導体パターン51A〜51Eの形成領域PA2の巻回軸AX1方向における長さX2が、第1線状導体パターン21A〜21Dの形成領域PA1の巻回軸AX1方向における長さX1よりも短い部分SP1を有する。そのため、表面実装型アンテナ101の短手方向(Y方向)の中央部では、図4(B)に示すように、表面実装型アンテナ101の斜め上方から入り、斜め上方へ通過しようとする磁束φ2がコイル導体のコイル開口に鎖交して、コイル導体に磁束φ2を打ち消す方向の磁束を発生させる電流i1が誘起される。
このように、実装面に沿った方向だけでなく、表面実装型アンテナ101の斜め上方に入出射する磁束もコイル導体のコイル開口に鎖交させることができるため、実装面(基材1の第1主面VS1)に沿った方向より上方に指向性を有する表面実装型アンテナを実現できる。
次に、表面実装型アンテナ101を回路基板上に実装した場合の動作について、図を用いて説明する。図5は、回路基板80上に表面実装型アンテナ101を実装した場合において、コイル導体のコイル開口に鎖交する磁束の経路を示す断面図である。
表面実装型アンテナ101は、図5に示すように、内部にグランド導体81を有する回路基板80の一方主面(図5における上面)に実装され、かつ、回路基板80の縁端部の近傍に配置されている。回路基板80は例えばプリント配線板である。表面実装型アンテナ101および回路基板80は、図示しない電子機器の内部に備えられている。
また、グランド導体81は回路基板80の略全面に形成されている。そのため、表面実装型アンテナ101は、グランド導体81の縁端部の近傍に配置される。
この構成により、表面実装型アンテナ101のコイル導体のコイル開口には、上述した磁束φ1,φ2に加えて、表面実装型アンテナ101の実装面(図5における下面)側に向かって回りこむ磁束φ3も鎖交する。このように、コイル導体のコイル開口に鎖交する磁束が、回路基板80に形成されるグランド導体81によって妨げられることを抑制できる。
なお、上述の例では、表面実装型アンテナ101が受信側アンテナである場合についての作用を説明したが、アンテナの可逆定理(相反定理)により、送受が反転しても成り立つ。すなわち、表面実装型アンテナ101が送信側アンテナである場合にも同様に作用する。
本実施形態によれば次のような効果を奏する。
(a)上述の通り、実装面に沿った方向だけでなく、表面実装型アンテナ101の斜め上方に入出射する磁束もコイル導体のコイル開口に鎖交させることができるため、実装面(基材1の第1主面VS1)に沿った方向より上方に指向性を有する表面実装型アンテナを実現できる。そのため、表面実装型アンテナ101をプリント配線板等に実装した場合でも、プリント配線板等の主面に実装される他の電子部品や周囲の構造物によって、コイル導体のコイル開口に鎖交する磁束が妨げられることを抑制できる。
(b)また、上述の通り、アンテナとして機能する実効的なコイル開口が大きくなるため、磁束を放射(集磁)する範囲および距離が大きくなり、通信相手側のコイルアンテナと結合し易くなる。したがって、大型のコイルを用いることなく、通信特性に優れた表面実装型アンテナを実現できる。
(c)コイル導体の第2主面側は、短手方向(Y方向)の中央部の巻回軸AX1方向における線間距離D1が、コイル導体の第1主面側の巻回軸AX1方向における線間距離D2に比べて狭い(D1<D2)。そのため、コイル導体の第2主面側の短手方向(Y方向)の中央部では、隣接するコイル導体(第2線状導体パターン)から発生する磁束同士の相殺が抑制されて、インダクタンスが向上する。したがって、結果的にアンテナに寄与するインダクタンス値が高まり、Q値の高い表面実装型アンテナを実現できる。
(d)表面実装型アンテナ101は基材1に磁芯を構成する磁性体部材を有するため、コイルを大型化することなく、所定のインダクタンス値の表面実装型アンテナが得られる。
(e)コイル導体を構成するパターンの一部に金属ポストを利用するため、コイル導体の一部を、多層基板内のビア導体で構成する必要がなく、複雑な配線を引き回す必要もない。そのため、比較的大きな高さ寸法を持ち、コイル開口サイズの設計上の自由度に優れたコイル導体を容易に実現できる。また、コイル導体の低抵抗化が可能であるので、高感度の表面実装型アンテナ、または高感度の割に小型の表面実装型アンテナが得られる。
(f)比較的大きな高さ寸法を持った部分を金属ポストによって形成できるので、例えば層間接続導体を有する複数の基材層を積層して高さ方向の接続部を形成する場合に比べて、接続箇所を減らすことができ、コイル導体の電気的信頼性が高まる。
(g)金属ポストが持つ直流抵抗成分は、例えば導電性ペーストの金属粒の凝集体や、導電性薄膜のエッチングによる薄膜金属体等の導体膜の直流抵抗(DCR)より十分に小さくできる。したがって、この構成により、Q値が高い(低損失の)コイル導体を備える表面実装型アンテナが得られる。
(h)表面実装型アンテナ101は、コイル導体の第2主面側(第2線状導体パターン51A〜51E)が、磁性体部材である第1基材層11の表面に形成されて露出するため、磁束のマイナーループ(局部的ループ)が生じにくく、磁界を効率よく放射することができる。
(i)表面実装型アンテナ101は、コイル導体のうち、第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びる部分が、磁性体部材である第1基材層11の内部に形成されるため、シールド効果により、基材1の側面からの磁界の放射が抑制される。したがって、プリント配線板等の主面に実装される他の電子部品や周囲の構造物との不要な結合が抑制される。
(j)グランド導体81の縁端部の近傍に表面実装型アンテナ101を配置することにより、コイル導体のコイル開口に鎖交する磁束が、回路基板80に形成されるグランド導体81によって妨げられることを抑制できる。したがって、通信相手側のコイルアンテナと鎖交する磁束が多くなり、通信距離を大きくすることができる。また、グランド導体の縁端部の近傍に表面実装型アンテナを配置することにより、通信相手側のコイルアンテナと結合する範囲を大きくできる。
なお、本実施形態では、5ターンの矩形ヘリカル状のコイル導体を構成する例を示したが、この構成に限定されるものではない。コイル導体の形状、ターン数等は、適宜変更可能である。
なお、本実施形態では、基材1が第1基材層11、第2基材層12および第3基材層13の積層体である例を示したが、この構成に限定されるものではない。本発明の表面実装型アンテナにおいて、第2基材層12および第3基材層13は必須の構成ではない。例えば、基材1は、第1基材層11のみで構成されていてもよく、第2基材層12または第3基材層13のいずれかが第1基材層11の一方主面にのみ積層される構成でもよい。
本実施形態では、表面実装用の接続端子2A,2BおよびNC端子3A,3Bの平面形状が矩形である例を示したが、この構成に限定されるものではない。表面実装用の接続端子2A,2BおよびNC端子3A,3Bの平面形状は適宜変更可能である。また、本発明の表面実装型アンテナにおいて、NC端子3A,3Bは必須の構成ではない。
本実施形態では、第1金属ポスト31A〜31Eおよび第2金属ポスト41A〜4Eが、基材1に埋設される例を示したが、この構成に限定されるものではない。第1金属ポスト31A〜31Eおよび第2金属ポスト41A〜41Eの側部が、基材1の第1側面VS3および第2側面VS4から一部露出する構成であってもよい。
なお、本実施形態において、コイル導体の巻回軸AX1は、図1および図2(C)等に示すように、プリント配線板等への実装面の上方を向くように湾曲している。すなわち、本発明において、コイル導体の巻回軸AX1が第1主面VS1および第2主面VS2に「沿った」状態とは、例えば巻回軸AX1が第1主面VS1および第2主面VS2に対して0°から±45°未満の範囲内をいう。これは以降に示す実施形態についても同様である。
《第2の実施形態》
図6(A)は第2の実施形態に係る表面実装型アンテナ102Aの平面図であり、図6(B)は表面実装型アンテナ102Aの底面図であり、図6(C)は、図6(A)および図6(B)におけるB−B断面図である。図7(A)は第2の実施形態に係る表面実装型アンテナ102Bの平面図であり、図7(B)は表面実装型アンテナ102Bの底面図であり、図7(C)は、図7(A)および図7(B)におけるC−C断面図である。
第2の実施形態に係る表面実装型アンテナ102A,102Bは、第2線状導体パターン52A〜52Eの形状が表面実装型アンテナ101と異なる。また、表面実装型アンテナ102A,102Bは、NC端子を有しておらず、表面実装用の接続端子2A,2Bの平面形状が表面実装型アンテナ101と異なる。その他の構成は、第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101と同じである。
以下、第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101と異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態に係る表面実装型アンテナ102Aは、図6(A)に示すように、第2線状導体パターン51Bが、基材の短手方向(Y方向)に向かって直線状に形成されている。そして、第2線状導体パターン51A,51C,51D,51Eは、基材1の短手方向(Y方向)の中央部が第2線状導体パターン51Bに向かって屈曲するように形成されている。また、表面実装用の接続端子2A,2Bは、平面形状がL字状の導体パターンであり、第2基材層12(基材1)の長手方向(X方向)の両辺に近接して配置されている。
このような構成であっても、図6(A)および図6(B)に示すように、表面実装型アンテナ102Aのコイル導体は、第2主面VS2から視た同一位置(基材の短手方向(Y方向)の中央部から第1側面VS4寄りの位置)での、第2線状導体パターン52A〜52Eの形成領域の巻回軸AX2A方向における長さX2が、第1線状導体パターン22A〜22Dの形成領域の巻回軸AX2A方向における長さX1よりも短い部分(X2<X1の関係が成り立つ領域)を有する。したがって、表面実装型アンテナ101と同様の作用・効果を奏する。
なお、表面実装型アンテナ102Aのコイル導体の巻回軸AX2Aは、図6(B)に示すように、表面実装型アンテナ101のコイル導体の巻回軸AX1と異なる。そのため、表面実装型アンテナ101とは指向性の異なる表面実装型アンテナ102Aを実現できる。
次に、本実施形態に係る表面実装型アンテナ102Bは、図7(B)に示すように、第2線状導体パターン52A,52B,52C,52D,52Eが、第2線状導体パターン51Aと第2線状導体パターン51Bとの間に向かって屈曲するように形成されている。なお、第2線状導体パターン52A〜52Eは、基材1の短手方向(Y方向)の中央部ではなく、基材1の短手方向(Y方向)の一辺(図7(A)における上辺)寄りの部分が屈曲している。
また、表面実装用の接続端子2A,2Bは、平面形状がL字状の導体パターンであり、第2基材12(基材1)の長手方向(X方向)の両辺に近接して配置される。
このような構成であっても、図7(A)および図7(B)に示すように、表面実装型アンテナ102Bのコイル導体は、第2主面VS2から視た同一位置(基材の短手方向(Y方向)の中央部から第2側面VS4寄りの位置)での、第2線状導体パターン52A〜52Eの形成領域の巻回軸AX2B方向における長さX2が、第1線状導体パターン22A〜22Dの形成領域の巻回軸AX2B方向における長さX1よりも短い部分(X2<X1の関係が成り立つ領域)を有する。したがって、表面実装型アンテナ101と同様の作用・効果を奏する。
なお、本実施形態で示すように、コイル導体の第2主面側(第2線状導体パターン)は、基材1の短手方向(Y方向)の中央部が屈曲するように形成される構成に限定されるものではない。第2線状導体パターンは、表面実装型アンテナ102Bで示したように、基材1の短手方向(Y方向)の中央部ではなく、基材1の短手方向(Y方向)の一辺寄りの部分が屈曲するように形成されていてもよい。
また、本発明の表面実装型アンテナにおいて、基材1の短手方向(Y方向)に向かって直線状に形成される第2線状導体パターン(例えば、表面実装型アンテナ102Aにおける第2線状導体パターン51B)は、必須の構成ではない。表面実装型アンテナ102Bで示したように、第2線状導体パターンが全て屈曲した構成であってもよい。
《第3の実施形態》
図8(A)は第3の実施形態に係る表面実装型アンテナ103の平面図であり、図8(B)は表面実装型アンテナ103の底面図であり、図8(C)は、図8(A)および図8(B)におけるD−D断面図である。
第3の実施形態に係る表面実装型アンテナ103は、コイル導体の構成が表面実装型アンテナ101と異なる。また、表面実装型アンテナ103は、基材1が複数の第1基材層11a,11b,11c,11dの積層体である点で表面実装型アンテナ101と異なる。その他の構成は、第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101と同じである。
表面実装型アンテナ103は、第1主面VS1および第2主面VS2を有する基材1と、基材1に形成されるコイル導体(後に詳述する)とを備える。
基材1は、図8(C)に示すように、積層方向(Z方向)に対して、複数の第1基材層11a〜11dの順に積層した積層体である。複数の第1基材層11a〜11dは、直方体形状の磁性体板である。基材1は、第1主面VS1に表面実装用の接続端子2A,2Bを有する。表面実装用の接続端子2A,2Bは平面形状が矩形の導体パターンである。
さらに、表面実装型アンテナ103は、第1線状導体パターン23A,23B,23C,23D,23E、第2線状導体パターン53A,53B,53C,53D,53E,53F、複数の内部導体パターン5および複数の層間接続導体6を有する。複数の導体パターン5は、複数の第1基材層11a〜11dの主面に形成され、複数の層間接続導体6は複数の第1基材層11a〜11dの積層方向(Z方向)に延伸する導体である。複数の層間接続導体は例えばビア導体である。
第1線状導体パターン23A〜23Eは、基材1の第1主面VS1に形成される導体パターンであり、基材1の長手方向(X方向)に配列される。第2線状導体パターン53A〜53Fは、基材1の第2主面VS2に形成される導体パターンであり、基材1の長手方向(X方向)に配列され、基材1の短手方向(Y方向)に延伸している。表面実装用の接続端子2A,2Bは、基材1の第1主面VS1に形成される平面形状が矩形状の導体パターンであり、基材1の角部近傍に配置されている。
第1線状導体パターン23A〜23Eおよび表面実装用の接続端子2A,2Bは、図8(C)に示すように、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第2線状導体パターン53A〜53Fに接続される。なお、図8(C)では、第1線状導体パターン23Aと第2線状導体パターン53Aとを接続する複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6のみ代表して図示している。
具体的には、表面実装用の接続端子2Aは、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第2線状導体パターン53Aの第2端に接続される。第2線状導体パターン53Aの第1端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第1線状導体パターン23Aの第1端に接続される。第1線状導体パターン23Aの第2端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第2線状導体パターン53Bの第2端に接続される。第2線状導体パターン53Bの第1端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第1線状導体パターン23Bの第1端に接続される。第1線状導体パターン23Bの第2端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第2線状導体パターン53Cの第2端に接続される。第2線状導体パターン53Cの第1端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第1線状導体パターン23Cの第1端に接続される。
第1線状導体パターン23Cの第2端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第2線状導体パターン53Dの第2端に接続される。第2線状導体パターン53Dの第1端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第1線状導体パターン23Dの第1端に接続される。第1線状導体パターン23Dの第2端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第2線状導体パターン53Eの第2端に接続される。第2線状導体パターン53Eの第1端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第1線状導体パターン23Eの第1端に接続される。第1線状導体パターン23Eの第2端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、第2線状導体パターン53Fの第2端に接続される。第2線状導体パターン53Fの第1端は、複数の導体パターン5および複数の層間接続導体6を介して、表面実装用の接続端子2Bに接続される。
第1線状導体パターン23A〜23E、複数の導体パターン5、複数の層間接続導体6、第2線状導体パターン53A〜53Fによって6ターンのヘリカル状のコイル導体が構成される。本実施形態では、これら第1線状導体パターン23A〜23E、複数の導体パターン5、複数の層間接続導体6、第2線状導体パターン53A〜53Fが、本発明に係る「ヘリカル状のコイル導体」に相当する。
上記コイル導体は、図8(B)に示すように、第1主面VS1および第2主面VS2に沿った方向に巻回軸AX3を有する。巻回軸AX3は、図8(A)に示すように、第1主面VS1から視て、横方向(X方向)に延びる直線で表すことができる。
図8(A)および図8(B)に示すように、表面実装型アンテナ103のコイル導体は、第2主面VS2から視た同一位置(基材1の短手方向(Y方向)の中央部)での、第2線状導体パターン53A〜53Fの形成領域の巻回軸AX3方向における長さX2が、第1線状導体パターン23A〜23Eの形成領域の巻回軸AX3方向における長さX1よりも短い部分(X2<X1の関係が成り立つ領域)を有する。この構成により、上記構成でない場合のコイル開口に比べて、上記コイル導体のコイル開口が大きくでき、アンテナとして機能する実質的なコイル開口が大きくできる。
また、本実施形態では、コイル導体のうち、第1主面VS1から第2主面VS2に延びる部分が、層間接続導体6で構成されている。
このような構成であっても、表面実装型アンテナ103の基本的な構成は、第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101と同じであり、表面実装型アンテナ101と同様の作用・効果を奏する。
《第4の実施形態》
図9(A)は第4の実施形態に係る表面実装型アンテナ104の平面図であり、図9(B)は表面実装型アンテナ104の底面図であり、図9(C)は、図9(A)および図9(B)におけるE−E断面図である。
第4の実施形態に係る表面実装型アンテナ104は、コイル導体のうち、基材1の第1主面VS1から第2主面VS2に延びる部分が金属ポストである点で、第3の実施形態に係る表面実装型アンテナ103と異なる。その他の構成は、第3の実施形態に係る表面実装型アンテナ103と同じである。
本実施形態の基材1は、フェライト粉等の磁性体粉を含む磁性体の樹脂部材である。
表面実装型アンテナ104は、第1線状導体パターン24A,24B,24C,24D,24E、第1金属ポスト34A,34B,34C,34D,34E,34F、第2金属ポスト(図示省略)、第2線状導体パターン54A,54B,54C,54D,54E,54Fおよび表面実装用の接続端子2A,2Bを有する。
第1線状導体パターン24A〜24E、第2線状導体パターン54A〜54Fおよび表面実装用の接続端子2A,2Bの構成は、第3の実施形態に係る表面実装型アンテナ103と同じである。
第1金属ポスト34A〜34Fは、基材1の第1主面VS1から第2主面VS2に延びるように配置され、かつ、基材1の第1主面VS1および第2主面VS2に達する。また、第1金属ポスト34A〜34Fは、図9(C)に示すように、基材1の第1主面VS1に対して所定の角度となるように配置され、基材1の第1側面VS3の近傍に配置されている。
第1金属ポスト34A〜34Fの第1端は、表面実装用の接続端子2Bおよび第1線状導体パターン24A〜24Eに接続される。
第2金属ポストは、基材1の第1主面VS1から第2主面VS2に延びるように配置され、かつ、基材1の第1主面VS1および第2主面VS2に達する。また、第2金属ポストは、第1金属ポスト34A〜34Fと同様に、基材1の第1主面VS1に対して所定の角度となるように配置され、基材1の第2側面VS4の近傍に配置されている。
なお、本実施形態において、上述の「所定の角度」とは鋭角であり、例えば基材1の第2主面VS2と第1金属ポスト34A〜34Fまたは第2金属ポストとの間の成す角が0°を超え、±90°未満の角度をいう。
第2金属ポストの第1端は、表面実装用の接続2Aおよび第1線状導体パターン24A〜24Eに接続される。
また、第2線状導体パターン54A〜54Fの第1端は第1金属ポスト34A〜34Fの第2端に接続され、第2線状導体パターン54A〜54Fの第2端は第2金属ポストの第2端に接続される。
第1線状導体パターン24A〜24E、第1金属ポスト34A〜34F、第2金属ポストおよび第2線状導体パターン53A〜53Fによって6ターンのヘリカル状のコイル導体が構成される。本実施形態では、これら第1線状導体パターン24A〜24E、第1金属ポスト34A〜34F、第2金属ポストおよび第2線状導体パターン53A〜53Fが、本発明に係る「ヘリカル状のコイル導体」に相当する。
このような構成であっても、表面実装型アンテナ104の基本的な構成は、第3の実施形態に係る表面実装型アンテナ103と同じであり、表面実装型アンテナ103と同様の作用・効果を奏する。
《第5の実施形態》
図10は第5の実施形態に係る表面実装型アンテナ105の外観斜視図である。図11(A)は表面実装型アンテナ105の平面図であり、図11(B)は、表面実装型アンテナ105から第2基材層12を除いた底面図であり、図11(C)は表面実装型アンテナ105の底面図である。図12は、図11(A)、図11(B)および図11(C)におけるF−F断面図である。
第5の実施形態に係る表面実装型アンテナ105は、接続端子2A,2B、第1線状導体パターン25A〜25Fおよび第2線状導体パターン55A〜55Eの形状が表面実装型アンテナ101と異なる。その他の構成は、第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101と実質的に同じである。
以下、第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101と異なる部分についてのみ説明する。
表面実装型アンテナ105では、図11(B)に示すように、第1線状導体パターン25A,25B,25C,25D,25E,25Fが、第1基材層11の第2主面LS2の略全面に形成される。第1線状導体パターン25A〜25Fは、第1基材層11の長手方向(X方向)に沿って順に配列されている。
第1線状導体パターン25Aは、平面形状が直角三角形の導体パターンである。第1線状導体パターン25Aは、その底辺が第1基材層11の短手方向の一辺(図11(B)における第1基材層11の上辺)に隣接し、第1基材層11の短手方向の一辺から他辺(図11(B)における第1基材層11の下辺)に向かって細くなる先細り形状である。第1線状導体パターン25Aは、第1基材層11の長手方向の一辺(図11(B)における第1基材層11の左辺)近傍に配置されている。
第1線状導体パターン25Fは、平面形状が直角三角形の導体パターンである。第1線状導体パターン25Fは、その底辺が第1基材層11の短手方向の他辺に近接し、第1基材層11の短手方向の他辺から一辺に向かって細くなる先細り形状である。第1線状導体パターン25Fは、第1基材層11の長手方向の他辺(図11(B)における第1基材層11の右辺)近傍に配置されている。
第1線状導体パターン25B,25C,25D,25Eは、平面形状が平行四辺形の導体パターンであり、第1基材層11の短手方向の一辺から他辺に向かって延伸する。第1線状導体パターン25B,25C,25D,25Eは、第1線状導体パターン25A,25Fの間に配置される。
表面実装型アンテナ105では、第2線状導体パターン55A,55B,55C,55D,55Eが、第1基材層11の第1主面LS1に形成される。第2線状導体パターン55A〜55Eは、第1基材層11の長手方向に沿って順に配列されている。
第2線状導体パターン55Cは、第1基材層11の長手方向の中央に配置されており、第1基材層11の短手方向(Y方向)に向かって直線状(I字状)に形成されている。第2線状導体パターン55B,55Dは、第1基材層11の短手方向(Y方向)の中央部が、第2線状導体パターン55Cに向かって抉れるよう(凹むよう)な形状に形成されている。第2線状導体パターン55A,55Eは、第1基材層11の短手方向(Y方向)の中央部が、第2線状導体パターン55Cに向かって屈曲するように形成されている。
第1金属ポスト35A1,35A2,35B1,35B2,35C1,35C2,35D1,35D2,35E1,35E2は、基材1の第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びるように配置され、かつ、第1基材層11の第1主面LS1および第2主面LS2に達する。第1金属ポスト35A1〜35E2は、基材1(第1基材層11)の長手方向(X方向)に沿って配置されている。第1金属ポスト35A1〜35E2の第1端は、第1線状導体パターン25A〜21Eに接続される。
具体的には、第1金属ポスト35A1,35A2の第1端は、第1線状導体パターン25Aに並列に接続される。第1金属ポスト35B1,35B2の第1端は、第1線状導体パターン25Bに並列に接続される。第1金属ポスト35C1,35C2の第1端は、第1線状導体パターン25Cに並列に接続される。第1金属ポスト35D1,35D2の第1端は、第1線状導体パターン25Dに並列に接続される。第1金属ポスト35E1,35E2の第1端は、第1線状導体パターン25Eに並列に接続される。
第2金属ポスト45A1,45A2,45B1,45B2,45C1,45C2,45D1,45D2,45E1,45E2は、基材1(第1基材層11)の第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びるように配置され、かつ、第1基材層11の第1主面LS1および第2主面LS2に達する。第2金属ポスト45A1〜45E2は、基材1の長手方向(X方向)に沿って配置されている。第2金属ポスト45A1〜45E2の第1端は、第1線状導体パターン25A〜21Eに接続される。
具体的には、第2金属ポスト45A1,45A2の第1端は、第1線状導体パターン25Bに並列に接続される。第2金属ポスト45B1,45B2の第1端は、第1線状導体パターン25Cに並列に接続される。第2金属ポスト45C1,45C2の第1端は、第1線状導体パターン25Dに並列に接続される。第2金属ポスト45D1,45D2の第1端は、第1線状導体パターン25Eに並列に接続される。第2金属ポスト45E1,45E2の第1端は、第1線状導体パターン25Fに並列に接続される。
また、第2線状導体パターン55A〜55Eの第1端は第1金属ポスト35A1〜35E2の第2端に接続され、第2線状導体パターン55A〜55Eの第2端は第2金属ポスト45A1〜45E2の第2端に接続される。
具体的には、第2線状導体パターン55Aの第1端は、第1金属ポスト35A1,35A2の第2端に接続され、第2線状導体パターン55Aの第2端は、第2金属ポスト45A1,45A2の第2端に接続される。第2線状導体パターン55Bの第1端は、第1金属ポスト35B1,35A2の第2端に接続され、第2線状導体パターン55Bの第2端は、第2金属ポスト45B1,45B2の第2端に接続される。第2線状導体パターン55Cの第1端は、第1金属ポスト35C1,35C2の第2端に接続され、第2線状導体パターン55Cの第2端は、第2金属ポスト45C1,45C2の第2端に接続される。第2線状導体パターン55Dの第1端は、第1金属ポスト35D1,35D2の第2端に接続され、第2線状導体パターン55Dの第2端は、第2金属ポスト45D1,45D2の第2端に接続される。第2線状導体パターン55Eの第1端は、第1金属ポスト35E1,35E2の第2端に接続され、第2線状導体パターン55Eの第2端は、第2金属ポスト45E1,45E2の第2端に接続される。
また、表面実装用の接続端子2A,2Bは、平面形状が直線状(I字状)の導体パターンであり、第2基材層12の長手方向(X方向)の両辺に近接して配置されている。
第1金属ポスト35A3,35A4は、基材1の第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びるように配置され、かつ、第1基材層11の第1主面LS1および基材1の第1主面VS1に達する。第1金属ポスト35A3,35A4は、表面実装用の接続端子2Aと第1線状導体パターン25Aとの間を並列に接続する。
第2金属ポスト45E3,45E4は、基材1の第1主面VS1から第2主面VS2に向かって延びるように配置され、かつ、第1基材層11の第1主面LS1および基材1の第1主面VS1に達する。第2金属ポスト45E3,45E4は、表面実装用の接続端子2Bと第1線状導体パターン25Fとの間を並列に接続する。
第1線状導体パターン25A〜25F、第1金属ポスト35A1,35A2,35B1,35B2,35C1,35C2,35D1,35D2,35E1,35E2、第2線状導体パターン55A〜55Eおよび第2金属ポスト45A1,45A2,45B1,45B2,45C1,45C2,45D1,45D2,45E1,45E2によって約4.5ターンのヘリカル状のコイル導体が構成される。本実施形態では、これら第1線状導体パターン25A〜25F、第1金属ポスト35A1〜35E2、第2線状導体パターン55A〜55Eおよび第2金属ポスト45A1〜45E2が、本発明に係る「ヘリカル状のコイル導体」に相当する。
上記コイル導体は、図12等に示すように、基材1に形成され、第1主面VS1および第2主面VS2に沿った方向に巻回軸AX5を有する。巻回軸AX5は、図2(A)に示すように、第1主面VS1から視て、横方向(X方向)に延びる直線で表すことができる。
このような構成であっても、図11(A)および図11(B)に示すように、表面実装型アンテナ105のコイル導体は、第2主面VS2から視た同一位置(基材1の短手方向(Y方向)の中央部)での、第2線状導体パターン55A〜55Eの形成領域の巻回軸AX5方向における長さX2が、第1線状導体パターン25A〜25Dの形成領域の巻回軸AX5方向における長さX1よりも短い部分(X2<X1の関係が成り立つ領域)を有する。したがって、表面実装型アンテナ101と同様の作用・効果を奏する。
なお、本実施形態では、図11(B)に示すように、第1線状導体パターン25A〜25Fの幅(第1線状導体パターンの巻回軸AX5方向における長さが)が、隣接する第1線状導体パターンの間隙(隣接する第1線状導体パターンの巻回軸AX5方向における間隙)に比べて大きい。また、図11(A)に示すように、第2線状導体パターン55A〜55Eの幅は、隣接する第2線状導体パターンの間隙に比べて大きい。そのため、コイル導体の直流抵抗(DCR)を小さくすることができる。また、この構成により、隣接する線状導体パターン(第1線状導体パターンおよび第2線状導体パターン)の間隙から磁束が漏れることによるマイナーループ(局部的ループ)が生じにくくなり、磁界を効率よく放射することができる。
また、本実施形態では、図12等に示すように、金属ポスト35A1〜35E2、45A1〜45E2が、第1線状導体パターン25A〜25Fおよび第2線状導体パターン55A〜55Eにそれぞれ並列に接続され、かつ、基材1の長手方向(X方向)に沿って配置されている。そのため、本実施形態では、コイル導体の直流抵抗(DCR)をさらに小さくすることができる。また、本実施形態では、隣接する金属ポスト35A1〜35E2、45A1〜45E2の間隙が、上述の実施形態における金属ポストに比べて小さい。したがって、隣接する金属ポスト35A1〜35E2、45A1〜45E2の間隙から磁束が漏れることによるマイナーループ(局部的ループ)がさらに生じにくくなる。
さらに、本実施形態では、図11(B)に示すように、第1線状導体パターン25A〜25Fが、第1基材層11の第2主面LS2の略全面に形成され、かつ、隣接する第1線状導体パターン25A〜25Fの間隙が小さい。そのため、隣接する第1線状導体パターンの間隙から漏れる磁束を少なくできる。したがって、表面実装型アンテナを基板に実装した場合に、グランド導体等の金属部材が基板に形成されていたとしても、上記金属部材とコイルアンテナとの間の不要結合が抑制され、結果的にコイルアンテナの通信特性の変化を抑制することができる。
《第6の実施形態》
図13は第6の実施形態に係る無線ICデバイス201の外観斜視図である。図14(A)は無線ICデバイス201の平面図であり、図14(B)は無線ICデバイス201の底面図であり、図14(C)は基材1の平面図(基板4の第1主面PS1を視た図)である。
無線ICデバイス201は、基材1と、コイル導体(後に詳述する)と、RFIC素子61とを備える。本実施形態では、このRFIC素子61が、本発明に係る「コイル導体に接続される給電回路」に相当する。また、本実施形態の基材1は、樹脂部材70と、第1主面PS1および第2主面PS2を有する平板状の基板4とを有する。
樹脂部材70は、直方体状であり、第1主面VS1と、第1主面VS1に対向する第2主面VS2と、第1主面VS1と第2主面VS2に連接する第1側面VS3および第2側面VS4を有する。基板4は、平面形状が矩形状のプリント配線板であり、基板4の第1主面PS1(図13の視点で、基板4の上面)には配線導体パターン7A,7B、給電端子8A,8BおよびNC端子9A,9Bが形成される。これらの配線導体パターン7A,7B、給電端子8A,8BおよびNC端子9A,9Bは、例えばCu箔のエッチング等によりパターニングされたものである。
図13に示すように、基板4は、基板4の第2主面PS2と樹脂部材70の第2主面VS2とが同一面になるように樹脂部材70に埋設されている。この同一面となる基板4の第2主面PS2および樹脂部材70の第2主面VS2に第1線状導体パターン26A,26B,26C,26D,26E,26F,26Gが形成される。
基板4は層間接続導体10A,10B(スルーホールめっき)を備える。第1線状導体パターン26Aと配線導体パターン7Aとは層間接続導体10Aを介してそれぞれ電気的に接続され、第1線状導体パターン26Gと配線導体パターン7Bとは層間接続導体10Bを介してそれぞれ電気的に接続される。つまり、第1線状導体パターン26Aは、給電端子8Aを含む配線導体パターン7Aに対して直列に接続され、第1線状導体パターン26Gは、給電端子8Bを含む配線導体パターン7Bに対して直列に接続される。
なお、層間接続導体10A,10Bは、上記のようなスルーホール導体型の層間導体であってもよいが、基板の端面に塗布等により導体を形成した端面導体型の層間導体であってもよいし、基板に貫通孔を形成し、ここに導電性ペースト等を充填してなるビアホール型の層間導体であってもよい。
また、無線ICデバイス201は第1金属ポスト36A,36B,36C,36D,36E,36Fおよび第2金属ポスト46A,46B,46C,46D,46E,46Fを有する。
第1金属ポスト36A〜36Fは、樹脂部材70の第2主面VS2に対して法線方向へ延びるように配置され、かつ、樹脂部材70の第1主面VS1および第2主面VS2に達する。また、第1金属ポスト36A〜36Fは、図13に示すように、樹脂部材70の第1側面VS3の近傍に配置されている。第1金属ポスト36A〜36Fの第1端は、第1線状導体パターン26B〜26Gに接続される。
具体的には、第1金属ポスト36Aの第1端は第1線状導体パターン26Bに接続される。第1金属ポスト36Bの第1端は第1線状導体パターン26Cに接続される。第1金属ポスト36Cの第1端は第1線状導体パターン26Dに接続される。第1金属ポスト36Dの第1端は第1線状導体パターン26Eに接続される。第1金属ポスト36Eの第1端は第1線状導体パターン26Fに接続される。第1金属ポスト36Fの第1端は第1線状導体パターン26Gに接続される。
第2金属ポスト46A〜46Fは、樹脂部材70の第2主面VS2に対して法線方向へ延びるように配置され、かつ、樹脂部材70の第1主面VS1および第2主面VS2に達する。また、第2金属ポスト46A〜46Fは、図13に示すように、樹脂部材70の第2側面VS4の近傍に配置されている。第2金属ポスト46A〜46Fの第1端は、第1線状導体パターン26A〜26Fに接続される。
具体的には、第2金属ポスト46Aの第1端は第1線状導体パターン26Aに接続される。第2金属ポスト46Bの第1端は第1線状導体パターン26Bに接続される。第2金属ポスト46Cの第1端は第1線状導体パターン26Cに接続される。第2金属ポスト46Dの第1端は第1線状導体パターン26Dに接続される。第2金属ポスト46Eの第1端は第1線状導体パターン26Eに接続される。第2金属ポスト46Fの第1端は第1線状導体パターン26Fに接続される。
また、無線ICデバイス201は、樹脂部材70の第1主面VS1に形成される第2線状導体パターン56A,56B,56C,56D,56D,56E,56Fを有する。第2線状導体パターン56A〜56Fの第1端は第1金属ポスト36A〜36Fの第2端に接続され、第2線状導体パターン56A〜56Fの第2端は第2金属ポスト46A〜46Fの第2端に接続される。
具体的には、第2線状導体パターン56Aの第1端は第1金属ポスト36Aの第2端に接続され、第2線状導体パターン56Aの第2端は第2金属ポスト46Aの第2端に接続される。第2線状導体パターン56Bの第1端は第1金属ポスト36Bの第2端に接続され、第2線状導体パターン56Bの第2端は第2金属ポスト46Bの第2端に接続される。第2線状導体パターン56Cの第1端は第1金属ポスト36Cの第2端に接続され、第2線状導体パターン56Cの第2端は第2金属ポスト46Cの第2端に接続される。第2線状導体パターン56Dの第1端は第1金属ポスト36Dの第2端に接続され、第2線状導体パターン56Dの第2端は第2金属ポスト46Dの第2端に接続される。第2線状導体パターン56Eの第1端は第1金属ポスト36Eの第2端に接続され、第2線状導体パターン56Eの第2端は第2金属ポスト46Eの第2端に接続される。第2線状導体パターン56Fの第1端は第1金属ポスト36Fの第2端に接続され、第2線状導体パターン56Fの第2端は第2金属ポスト46Fの第2端に接続される。
第1線状導体パターン26A〜26Gは、樹脂部材70の長手方向(図14(B)におけるY方向)に延び、第2線状導体パターン56A〜56Fは樹脂部材70の長手方向(Y方向)に延びる。ここで、「樹脂部材70の長手方向(Y方向)に延びる」の意味は、第1線状導体パターン26A〜26Gおよび第2線状導体パターン56A〜56Fがすべて平行であることに限るものではなく、第1線状導体パターン26A〜26Gおよび第2線状導体パターン56A〜56Fが延びる方向が概略的に樹脂部材70の長手方向(Y方向)を向くこと、すなわち実質的にY方向に延びること、をも含む。
第2線状導体パターン56A〜56Fは、樹脂部材70の短手方向(図14(A)におけるX方向)に配列され、樹脂部材70の長手方向(Y方向)に延伸している。本実施形態では、図14(A)に示すように、樹脂部材70の短手方向(X方向)の中央に配列される第2線状導体パターン56C,56Dが、樹脂部材70の長手方向(Y方向)に向かって直線状に形成されている。そして、第2線状導体パターン56A,56B,56E,56Fは、樹脂部材70の長手方向(Y方向)の中央部が樹脂部材70の短手方向(X方向)の中央部に向かって屈曲するように形成されている。言い換えると、第2線状導体パターン56A,56B,56E,56Fは、樹脂部材70の長手方向(Y方向)の中央部が第2線状導体パターン56C,56Dに向かって屈曲するように形成されていると言える。
第1金属ポスト36A〜36Fは、図13等に示すように、樹脂部材70の短手方向(X方向)に配列され、樹脂部材70の高さ方向(Z方向)に延びる。同様に、同様に、第2金属ポスト46A〜46Fは、樹脂部材70の短手方向(X方向)に配列され、樹脂部材70の高さ方向(Z方向)に延びる。つまり、これらの金属ポストは互いに平行である。
第1線状導体パターン26A〜26G、第1金属ポスト36A〜36F、第2線状導体パターン56A〜56Fおよび第2金属ポスト46A〜46Fによって6ターンの矩形ヘリカル状のコイル導体が構成される。本実施形態では、これら第1線状導体パターン26A〜26G、第1金属ポスト36A〜36F、第2線状導体パターン56A〜56Fおよび第2金属ポスト46A〜46Fが、本発明に係る「ヘリカル状のコイル導体」に相当する。
上記コイル導体は、図14(A)および図14(B)に示すように、第1主面VS1および第2主面VS2に沿った方向に巻回軸AX6を有する。巻回軸AX6は、図14(A)に示すように、第1主面VS1から視て、横方向(X方向)に延びる直線で表すことができる。
図14(A)および図14(B)に示すように、無線ICデバイス201のコイル導体は、第2主面VS2から視た同一位置(基材1または樹脂部材70の短手方向(Y方向)の中央部から第1側面VS3寄りの位置)での、第2線状導体パターン56A〜56Fの形成領域の巻回軸AX6方向における長さX2が、第1線状導体パターン26B〜26Fの形成領域の巻回軸AX6方向における長さX1よりも短い部分(X2<X1の関係が成り立つ領域)を有する。この構成により、上記構成でない場合のコイル開口に比べて、上記コイル導体のコイル開口が大きくでき、アンテナとして機能する実質的なコイル開口が大きくできる。したがって、無線ICデバイス201の基本的な構成は、第1の実施形態に係る表面実装型アンテナ101と同じであり、表面実装型アンテナ101と同様の作用・効果を奏する。
配線導体パターン7Aの給電端子8Aおよび配線導体パターン7Bの給電端子8Bには、RFICチップ(ベアチップ)がパッケージングされたRFIC素子61が接続される(実装される)。すなわち、給電回路であるRFIC素子61は表面実装型アンテナのコイル導体に接続される。
図13に示すように、RFIC素子61は、基板4の第1主面PS1に搭載され、樹脂部材70に埋設される。RFIC素子61は、ベアチップ状のRFICであってもよい。この場合、RFICはAu電極端子を持ち、給電端子のAuメッキ膜に対して超音波接合により接続される。
また、無線ICデバイス201には、基板4にRFIC素子61だけでなくチップキャパシタ62,63が実装される。チップキャパシタ62,63は、RFIC素子61と同様に、配線導体パターン7Aおよび配線導体パターン7Bに接続されており、基板4の第1主面PS1に搭載され、樹脂部材70に埋設される。
図15は無線ICデバイス201の回路図である。RFIC素子61に上記コイル導体ANTが接続され、コイル導体ANTにチップキャパシタ62,63が並列接続される。コイル導体ANTとチップキャパシタ62,63とRFIC素子61自身が持つ容量成分とでLC共振回路が構成される。チップキャパシタ62,63のキャパシタンスは上記LC共振回路の共振周波数がRFIDシステムの通信周波数と実質的に等しい周波数(例えば13.56MHz)となるように選定される。チップキャパシタ62,63の一方は粗調整用のキャパシタ、他方は微調整用のキャパシタである。なお、共振周波数設定用のキャパシタは1つでもよい。
なお、[発明を実施するための形態]において、「RFID素子」は、RFICチップそのものであってもよいし、RFICチップに整合回路等を一体化したRFICパッケージであってもよい。また、「RFIDタグ」は、RFIC素子とRFIC素子に接続されたコイル導体とを有したものであって、電波(電磁波)または磁界を用いて、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする情報媒体と定義する。つまり、本実施形態の無線ICデバイスはRFIDタグとして構成される。
RFIC素子61はHF帯RFIDシステム用の例えばHF帯の高周波無線ICチップを備える。無線ICデバイス201は、例えば管理対象の物品に設けられる。その物品に取り付けられた無線ICデバイス201(つまりRFIDタグ)をリーダ/ライタ装置に近接させることで、無線ICデバイス201のコイル導体とRFIDのリーダ/ライタ装置のコイル導体とが磁界結合する。このことで、RFIDタグとリーダライタ装置との間でRFID通信がなされる。
なお、本実施形態によれば、さらに次のような効果を奏する。
(a)無線ICデバイス201におけるRFIC素子61の実装面はコイル導体の巻回軸(X軸)に平行方向であるため、RFIC素子61の実装用電極(ランドパターン)がコイル導体の磁界の形成を妨げにくい。また、コイル導体の磁界によるRFIC素子61への悪影響(誤動作や不安定動作等)が小さい。更にRFIC素子61のデジタル回路部から発生するノイズによるコイル導体への悪影響(受信感度の低下・送信信号の受信回路への回り込み等)が小さい。
(b)コイル導体を構成するパターンのうち、X軸方向に延びる第1線状導体パターン26A〜26Gおよび第2線状導体パターン56A〜56Fは、全てCu等のめっき膜を形成することにより、膜厚を厚くできる。そのため、コイル導体の直流抵抗成分をさらに低減できる。
(c)無線ICデバイス201はRFIC素子に接続されるキャパシタを備えるため、RFIC素子61とコイル導体との整合用または共振周波数設定用の回路を容易に構成でき、外部の回路を無くしたり、簡素化したりできる。
(d)RFIC素子61、チップキャパシタ62,63等の表面実装チップ部品および金属ポスト36A〜36F、46A〜46Fは樹脂部材70で保護されるので、無線ICデバイス201全体は堅牢である。特に、この無線ICデバイス201を樹脂成型物品に埋設する際、射出成型時に流動する高温の樹脂(例えば300℃以上の高温樹脂)に対して上記表面実装チップ部品のはんだ接続部が保護される。また、はんだ接合部は高温化で一旦溶融する場合でも、樹脂部材70と基板4は樹脂同士の接合により接着しており、実装部品や金属ポストが外れたり変形したりしないので、冷却後、はんだ接合部の接合状態は正常に戻る。また、そのため、コイル導体のインダクタンス値を維持できる。
(e)RFIC素子61は無線ICデバイス201の外方へ露出することがなく、RFIC素子61の保護機能が高くなり、RFIC素子61を外部に搭載することによる大型化が避けられる。また、基板4に対するRFIC素子61の接続部の信頼性が高まる。これにより、プラスチック等の樹脂成形品に内蔵可能な、つまり、射出成形時の高温下にも耐えられる、高耐熱性の無線ICデバイスを実現できる。
(f)無線ICデバイス201では、基板4の第2主面PS2と樹脂部材70の第2主面VS2とが同一面になるように基板4を樹脂部材70に埋設した構造である。したがって、第1線状導体パターン26A,26Gは基板4の第2主面PS2と樹脂部材70の第2主面VS2とを跨って引回される。これにより、基板4の層間接続導体10A,10Bと第1線状導体パターン26A,26Gとの接続を容易にすることができる。
(g)基板4に金属ポスト(第1金属ポスト36A〜36F、第2金属ポスト46A〜46F)を実装する構成ではないため、基板4に金属ポストを実装するためのランドを形成する必要がなく、狭いピッチで金属ポストを配列することができる。そのため、ターン数の割には(つまり金属ポストの本数が増えても)、小型化できる。
(h)また、第1線状導体パターン26B〜26Fは、Z方向から視て基板4の第2主面PS2と重なる領域を通って、第1金属ポスト36A〜36Eの第1端と第2金属ポスト46B〜46Fの第1端とを接続している。つまり、RFIC素子61が搭載された第1主面PS1とは反対側の第2主面PS2を利用して、ブリッジパターン(ジャンパー配線)を形成することができる。
(i)無線ICデバイス201のRFIC素子61は、基板4の第1主面PS1に形成された配線導体パターン7A,7Bを介して、層間接続導体10A,10Bに接続されている。そのため、上記ブリッジパターンの形成が容易になる。なお、RFIC素子61は、直接的に層間接続導体10A,10Bに接続してもよいが、引回し用の配線導体パターン7A,7Bを介して層間接続導体10A,10Bに接続することで、基板4の第2主面PS2のうちの任意の位置に層間接続導体10A,10Bを引き出すことができる。
(j)配線導体パターン7A,7Bに給電端子8A,8Bが形成され、給電端子8A,8BにRFIC素子61が接続されているため、RFIC素子61や実装用電極がコイル導体の磁界の形成を妨げにくくなり、コイル導体とRFIC素子61との相互干渉を最小限に抑制することができる。
《第7の実施形態》
図16は第7の実施形態に係る電子機器301の斜視図である。図18は図17の部分拡大図である。
電子機器301は、例えばスマートフォンなどの携帯電子機器であり、無線ICデバイス201および共振周波数を持つブースターアンテナ120を備える。図16の視点で電子機器301の上面側に下部筐体401があって、下面側に上部筐体402がある。下部筐体401と上部筐体402とで囲まれる空間の内部に、回路基板80、無線ICデバイス201および共振周波数を持つブースターアンテナ120を備える。
無線ICデバイス201は第6の実施形態で示したとおりである。無線ICデバイス201は、図17、図18に表れるように、回路基板80に実装される。回路基板80には無線ICデバイス201以外の部品も実装される。
共振周波数を持つブースターアンテナ120は下部筐体401の内面に貼付される。このブースターアンテナ120はバッテリーパック130と重ならない位置に配置される。ブースターアンテナ120は、絶縁体基材123および絶縁体基材123に形成されるコイルパターン121,122を含む。
無線ICデバイス201は、そのコイル導体およびブースターアンテナ120に対して磁束が鎖交するように配置される。すなわち、無線ICデバイス201のコイル導体はブースターアンテナ120のコイルと磁界結合するように、無線ICデバイス201とブースターアンテナ120は配置される。図18中の破線はその磁界結合に寄与する磁束を概念的に表す。
無線ICデバイス201のRFIC素子61は回路基板80側を向き(近接し)、コイル導体がブースターアンテナ120側を向く(近接する)。そのため、無線ICデバイス201のコイル導体とブースターアンテナ120との結合度は高い。また、RFIC素子61と他の回路素子とをつなぐ配線(特にデジタル信号ラインや電源ライン)はコイル導体の磁束と実質的に平行に配線されるのでコイル導体との結合は小さい。
図19はブースターアンテナ120の斜視図である。図20はブースターアンテナ120の回路図である。ブースターアンテナ120は、第1コイルパターン121と第2コイルパターン122はそれぞれ矩形渦巻状にパターン化された導体であり、平面視で同方向に電流が流れる状態で容量結合するようにパターン化される。第1コイルパターン121と第2コイルパターン122の間には浮遊容量が形成される。第1コイルパターン121および第2コイルパターン122のインダクタンスと浮遊容量のキャパシタンスとでLC共振回路が構成される。このLC共振回路の共振周波数は、このRFIDシステムの通信周波数と実質的に等しい。通信周波数は例えば13.56MHz帯である。
本実施形態によれば、ブースターアンテナの大きなコイル開口を利用して通信できるので、通信可能最長距離を拡張できる。
この構成により、HF帯やUHF帯の通信システムに用いられる表面実装型アンテナを備える電子機器を実現できる。
また、本実施形態で示すように、本発明における表面実装型アンテナ(更にはRFIDタグ)は、ブースターアンテナに磁界を供給するための一次アンテナとして利用することも可能である。
《その他の実施形態》
なお、上述の実施形態では、基材1の第1主面VS1に接続端子2A,2Bを有する例を示したが、この構成に限定されるものではない。コイル導体に接続される接続端子は、基材1の第1主面VS1以外に形成される構成であってもよい。
なお、本発明における表面実装型アンテナ(更にはRFIDタグ)は、HF帯に限定されるものではなく、UHF帯にも適用できる。UHF帯用の表面実装型アンテナの場合は、コイル導体の一端および他端を給電端としてもよいが、一端を給電端とし、他端を開放端としてもよい。
コイル導体を構成する第1主面VS1(実装面)側の第1線状導体パターンと第2主面VS2(天面)側の第2線状導体パターンとは、基材1の側面で接続される構造であってもよい。すなわち、金属ポストや層間接続導体は基材1の側面に露出していてもよい。さらに、コイル導体を構成する第1線状導体パターンと第2線状導体パターンとは、金属ポストや層間接続導体を用いず、基材1の側面に形成される導体パターンによって接続されていてもよい。