JP6191103B2 - 移動状態算出方法及び移動状態算出装置 - Google Patents

移動状態算出方法及び移動状態算出装置 Download PDF

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Description

本発明は、移動体の移動状態を算出するための方法等に関する。
移動空間を移動する移動体の位置や速度、移動方向といった諸量を含む移動状態を、状態空間における状態推定の手法を用いて推定する技術が考案されている。この状態推定の手法の中でも広く知られているのは、カルマンフィルターである。例えば特許文献1には、カルマンフィルターを利用して移動体の位置を推定する手法が記載されている。
特開2010−266468号公報
カルマンフィルターを利用した移動状態の推定では、誤差を含む観測情報を利用して、時々刻々と変化する移動体の移動状態を逐次的に推定する。観測情報としては、例えば外部のセンサー(例えばGPS(Global Positioning System)センサーや慣性センサー、地磁気センサー等のセンサー、以下包括的に「参照用センサー」と称す。)によって検出された参照情報が用いられる。
しかし、上記の手法では、移動状態の推定精度が、もっぱら参照用センサーの検出精度に依存してしまうという問題がある。つまり、参照用センサーの検出精度が低いと、正確でない参照情報が観測情報としてカルマンフィルターの演算で用いられることになるため、この観測情報に引きずられて、推定される移動状態の正確性が低下するという問題があった。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、移動体の移動状態を正しく算出するための新しい手法を提案することにある。
以上の課題を解決するための第1の形態は、移動空間を移動する移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含む第1の移動状態を推定することと、前記第1の移動状態と、過去に算出した移動空間を移動する前記移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含む第2の移動状態とを用いて、新たに第2の移動状態を算出する際の拘束条件を設定することと、前記拘束条件を用いて前記第1の移動状態を修正することによって、新たな第2の移動状態を算出することと、を含む移動状態算出方法である。
また、他の形態として、移動空間を移動する移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含む第1の移動状態を推定する推定部と、前記第1の移動状態と、過去に算出した移動空間を移動する前記移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含む第2の移動状態とを用いて、新たに第2の移動状態を算出する際の拘束条件を設定する設定部と、前記拘束条件を用いて前記第1の移動状態を修正することによって、新たな第2の移動状態を算出する修正部と、を備えた移動状態算出装置を構成することとしてもよい。
この第1の形態等によれば、移動空間を移動する移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含む第1の移動状態を推定する。そして、この第1の移動状態と、過去に算出した移動空間を移動する当該移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含む第2の移動状態とを用いて、新たに第2の移動状態を算出する際の拘束条件を設定し、当該拘束条件を用いて第1の移動状態を修正することによって、新たな第2の移動状態を算出する。第1の移動状態の推定は、公知の状態推定の手法(例えばカルマンフィルター)によって実現可能である。単純に第1の移動状態の推定を行うばかりでなく、所定の拘束条件を用いて第1の移動状態を修正することによって新たな第2の移動状態を算出することで、移動体の移動状態を従来よりも正しく算出することが可能となる。
また、第2の形態として、第1の形態の移動状態算出方法における前記設定することは、前記第1の移動状態を過去に算出した前記第2の移動状態の状態変化の傾向に沿うように修正することに用いる条件を前記拘束条件として設定することを含む、移動状態算出方法を構成することとしてもよい。
この第2の形態によれば、第1の移動状態を過去に算出した第2の移動状態の状態変化の傾向に沿うように修正することに用いる条件を拘束条件として設定する。
この場合の拘束条件としては、例えば第3の形態として、過去に算出した第2の移動状態の状態変化が直進傾向を示している場合には、継続して直進するように第1の移動状態を修正することに用いる条件を拘束条件として設定することができる。
この第3の形態によれば、直進傾向を示すように第1の移動状態を修正することによって、新たな第2の移動状態を算出することが可能となる。
また、例えば第4の形態として、過去に算出した第2の移動状態の状態変化が旋回傾向を示している場合には、継続して旋回するように第1の移動状態を修正することに用いる条件を拘束条件として設定するようにすることも可能である。
この第4の形態によれば、旋回傾向を示すように第1の移動状態を修正することによって、新たな第2の移動状態を算出することが可能となる。
また、第5の形態として、第2〜第4の何れかの形態における前記設定することは、前記第1の移動状態を過去に算出した前記第2の移動状態の状態変化の傾向に適応させる程度を示すパラメーターを算定することを含み、前記修正することは、前記パラメーターを用いて前記第1の移動状態を前記拘束条件を満たす状態に近づけることを含む、移動状態算出方法を構成することとしてもよい。
この第5の形態によれば、第1の移動状態を過去に算出した第2の移動状態の状態変化の傾向に適応させる程度を示すパラメーターを算定する。そして、当該パラメーターを用いて第1の移動状態を拘束条件を満たす状態に近づける。これにより、第1の移動状態を適切に修正することによって、新たな第2の移動状態を算出することが可能となる。
また、第6の形態として、第5の形態の移動状態算出方法における前記設定することは、過去に算出した前記第2の移動状態を用いて基準移動方向を定めることを含み、前記算定することは、前記第1の移動状態に含まれる移動方向と前記基準移動方向との差違に基づいて前記パラメーターを算定することを含む、移動状態算出方法を構成することとしてもよい。
この第6の形態によれば、過去に算出した第2の移動状態を用いて基準移動方向を定める。そして、第1の移動状態に含まれる移動方向と基準移動方向との差違に基づくことで、第1の移動状態を過去に算出した第2の移動状態の状態変化の傾向に適応させる程度を示すパラメーターとして適切な値を設定することができる。
移動状態推定に係る手順を示すフローチャート。 (1)直進性条件の説明図。(2)適応度合パラメーターの設定方法の説明図。 (1)平滑化条件の説明図。(2)適応度合パラメーターの設定方法の説明図。 位置算出装置の機能構成の一例を示す図。 位置算出処理の流れを示すフローチャート。 (1)直進性条件を適用した場合の位置算出結果の一例を示す図。(2)平滑化条件を適用した場合の位置算出結果の一例を示す図。
1.原理
1−1.総論
最初に、変数等の定義を行う。本実施形態では、移動体の移動空間を状態空間とする。移動空間における移動状態を「x」を用いて表記し、時刻「k」における移動状態を「xk」と表記する。また、観測値を「y」を用いて表記し、時刻「k」において取得された観測値を「yk」と表記する。また、時刻kまでの観測値でなる観測値の集合を観測信号と称し、「Yk={y0,y1,・・・,yk}」と表記する。
従来から知られている状態推定の手法を移動状態の推定に適用する場合、移動状態の予測と移動状態の補正とを繰り返すことによって逐次的に移動状態を推定する。移動状態の予測は、1時刻前に推定された移動状態から現在の移動状態を予測する。これは、過去の観測から未来を推論することを意味する。時刻kにおける移動状態xkの予測は、時刻k−1までの観測信号Yk-1={y0,y1,・・・,yk-1}が与えられたときの移動状態xkの条件付き確率密度関数を用いて、次式(1)のように表現することができる。
Figure 0006191103
移動状態の補正は、移動状態の予測で得られた予測値を、新たに取得した観測値を用いて補正する。具体的には、時刻kにおいて新たに取得した観測値ykを用いて移動状態xkを補正する。観測信号Yk-1={y0,y1,・・・,yk-1}が既に与えられている状態で新たに観測値ykが取得されるため、観測信号はYk={y0,y1,・・・,yk}となる。この場合、移動状態xkの補正は、観測信号Ykが与えられたときの移動状態xkの条件付き確率密度関数を用いて、次式(2)のように表現することができる。
Figure 0006191103
ここまでの移動状態の推定演算は、従来公知の状態推定手法を適用したに過ぎない。本実施形態では、上記の移動状態の推定演算を行うことで推定された移動状態(以下、「第1の移動状態」と称す。)と、過去に算出した移動状態(以下、「第2の移動状態」と称す。)とを用いて、新たに第2の移動状態を算出する際の拘束条件を設定する。そして、設定した拘束条件を用いて第1の移動状態を修正することによって、新たな第2の移動状態を算出する。これが本実施形態の大きな特徴の1つである。
拘束条件を導入するため、移動状態xkの条件付き確率密度関数の変数として、拘束条件を表す変数を導入する。拘束条件については詳細に後述するが、ここでは、拘束条件を規定するために必要なパラメーターとして、拘束条件規定値「d」と称するパラメーターを導入する。時刻「k」における拘束条件規定値を「dk」と表記する。また、時刻kまでの拘束条件規定値でなる拘束条件規定値の集合を拘束条件信号と称し、「Dk={d0,d1,・・・,dk}」と表記する。
図1は、本実施形態における移動状態算出に係る手順(移動状態算出方法)を示すフローチャートである。
最初に、移動状態推定処理を行う(ステップA1)。移動状態推定処理では、前述したように、移動状態の予測(ステップA3)と、移動状態の補正(ステップA5)との2つを行う。
ステップA3では、1時刻前に算出された第2の移動状態を用いて、現在の時刻における移動状態xを予測する。具体的には、時刻kにおける移動状態xkの予測は、時刻k−1までの観測信号Yk-1={y0,y1,・・・,yk-1}と、時刻k−1までの拘束条件信号Dk-1={d0,d1,・・・,dk-1}とが与えられたときの移動状態xkの条件付き確率密度関数を用いて、次式(3)のように表現することができる。
Figure 0006191103
ステップA5では、ステップA3で予測した移動状態xkを、新たに取得した観測値ykを用いて補正する。時刻k−1までの観測信号Yk-1={y0,y1,・・・,yk-1}が与えられている状態で新たに観測値ykが取得されることで、観測信号はYk={y0,y1,・・・,yk}となる。この場合、移動状態xkの補正は、観測信号Ykと、時刻k−1までの拘束条件信号Dk-1とが与えられたときの移動状態xkの条件付き確率密度関数を用いて、次式(4)のように表現することができる。
Figure 0006191103
ステップA1の移動状態推定処理の後、拘束条件を適用するか否かを判定する(ステップA7)。拘束条件を適用しないと判定した場合は(ステップA7;No)、移動状態推定処理で推定した移動状態(第1の移動状態)を、新たな移動状態(第2の移動状態)として算出する(ステップA17)。そして、ステップA19へと移行する。
一方、拘束条件を適用すると判定した場合は(ステップA7;Yes)、移動状態修正処理を行う(ステップA9)。移動状態修正処理では、最初に拘束条件を設定する(ステップA11)。時刻k−1までの拘束条件信号Dk-1={d0,d1,・・・,dk-1}が与えられている状態で時刻kにおいて新たに拘束条件が設定されることで、拘束条件信号はDk={d0,d1,・・・,dk}となる。
次いで、ステップA11で設定した拘束条件を用いて、移動状態推定処理で推定した移動状態(第1の移動状態)を修正する(ステップA13)。この第1の移動状態の修正は、観測信号Ykと、拘束条件信号Dkとが与えられたときの移動状態xkの条件付き確率密度関数を用いて、次式(5)のように表現することができる。
Figure 0006191103
移動状態修正処理を行ったならば、修正した移動状態(第1の移動状態)を、新たな移動状態(第2の移動状態)として算出する(ステップA15)。
ステップA15又はA17の後、移動状態の算出を終了するか否かを判定し(ステップA19)、移動状態の算出を継続すると判定した場合は(ステップA19;No)、ステップA1に戻る。また、移動状態の算出を終了すると判定した場合は(ステップA19;Yes)、移動状態の算出に係る処理を終了する。
1−2.各論
次に、図1の各ステップで行われる処理について詳細に説明する。
1−2−1.移動状態推定処理
図1では、ステップA1の移動状態推定処理における移動状態の予測及び補正を、それぞれ移動状態xkの条件付き確率密度関数を用いて表現した。移動状態の予測を表す式(3)と移動状態の補正を表す式(4)とにそれぞれガウス性の仮定を導入することで、移動状態推定処理を、カルマンフィルターを用いた移動状態推定処理として実現することができる。
カルマンフィルターにおける状態方程式は、次式(6)のように表現される。
Figure 0006191103
式(6)において、「Fk」は移動状態xの時間遷移に関する線形モデルである。「wk」はシステムのノイズであり、共分散Qk且つ零平均の多変数正規分布に従う。つまり、「wk〜N(0,Qk)」である。
また、カルマンフィルターにおける観測方程式は、次式(7)のように表現される。
Figure 0006191103
式(7)において、「Hk」は状態空間を観測空間に線形写像する観測モデルである。「vk」は観測値のノイズであり、共分散Rk且つ零平均の多変数正規分布に従う。つまり、「vk〜N(0,Rk)」である。
カルマンフィルターを用いた移動状態推定処理では、式(6)で表される状態方程式と式(7)で表される観測方程式とに基づいて、移動状態xの予測及び補正を行う。なお、カルマンフィルターの予測及び補正に係る演算式は従来公知であるため、ここでは説明を省略する。
1−2−2.移動状態修正処理
移動状態修正処理では、拘束条件を用いて第1の移動状態を修正する。本実施形態では、拘束条件を、次式(8)に示すような拘束方程式によって記述する。
Figure 0006191103
式(8)において、「dk」は拘束条件規定値であり、「gk(・)」は拘束条件を与えるモデル関数(以下、「拘束条件モデル関数」と称す。)である。「εk」は拘束条件の誤差項である。本実施形態では、この拘束条件の誤差項εkを、共分散Sk且つ零平均の多変数正規分布に従うと仮定する。つまり、「εk〜N(0,Sk)」と仮定する。
拘束条件モデル関数gk(・)は、設定する拘束条件の種類に応じて個別に設定される。この拘束条件モデル関数gk(・)には、線形の関数のみならず、非線形の関数を適用することができる。非線形の関数をモデル関数として設定する場合、そのままの形では計算が困難であるため、モデル関数を線形化する。
時刻kにおいて移動状態推定処理で推定された移動状態を「x+ k」と表記する。このとき、この既知の移動状態x+ kの近傍で拘束条件モデル関数gk(・)を1次の項までテイラー展開すると、次式(9)が導出される。
Figure 0006191103
但し、「Gk」はgk(xk)をxkで偏微分することで得られる行列(以下、「拘束行列」と称す。)である。
このとき、式(9)を式(8)に代入して式を整理すると、次式(10)が導かれる。
Figure 0006191103
式(10)は、カルマンフィルターにおいて外部入力ukを受ける状態方程式と同じ形となっている。そこで、カルマンフィルターに基づき、式(10)から移動状態xkを修正するための修正演算式を導出する。
その結果、次式(11)〜(13)に示すような修正演算式が導出される。
Figure 0006191103
Figure 0006191103
Figure 0006191103
但し、「Lk」は移動状態xkを修正するための補正係数(ゲイン)であり、「Pk」は移動状態xkの誤差共分散である。「I」は単位行列である。上付きの添え字の「+」は、移動状態推定処理で推定された値を意味する。つまり、「x+ k」は移動状態推定処理で推定された移動状態を意味し、「P+ k」は移動状態推定処理で推定された誤差共分散を意味する。
図1の移動状態修正処理のステップA13では、式(11)〜式(13)で表される修正演算式に従って、ステップA1の移動状態推定処理で推定された第1の移動状態を修正する。
1−2−3.拘束条件の設定
本実施形態では、第1の移動状態を過去に算出した第2の移動状態の状態変化の傾向に沿うように修正することに用いる条件を拘束条件として設定する。式(11)〜式(13)に従って第1の移動状態を修正するためには、拘束条件モデル関数gk(xk)と、拘束条件規定値dkと、共分散Skとを定める必要がある。
拘束条件モデル関数gk(xk)と拘束条件規定値dkとによって、拘束条件を表す拘束方程式(式(8))が定められる。また、共分散Skによって、移動状態推定処理で推定された第1の移動状態を過去に算出した第2の移動状態の状態変化の傾向に適応させる程度が決定付けられる。
共分散Skを大きくすると、第1の移動状態を過去に算出した第2の移動状態の状態変化の傾向に適応させる程度を低くする作用が働く。なぜならば、式(11)において共分散Skを“+∞”に近付けると(Sk→+∞)、補正係数Lkは“0”に近づく。すると、式(12)は「xk=x+k」となる。これは、移動状態推定処理で推定された第1の移動状態をそのまま維持することを表しており、拘束条件の作用をゼロにすることを意味する。これとは逆に、共分散Skを小さくすると、移動状態推定処理で推定された第1の移動状態を過去に算出した第2の移動状態の状態変化の傾向に適応させる程度を高める作用が働く。つまり、拘束条件の作用を強めて移動状態を修正することが可能となる。
このことから、共分散Skは、移動状態推定処理で推定された第1の移動状態を過去に算出した第2の移動状態の状態変化の傾向に適応させる程度を示すパラメーターであると言える。そこで、以下では、共分散Skのことを「適応度合パラメーター」と称して説明する。
ここで、拘束条件の具体例を挙げる。移動状態xkを移動体(例えば自動車)の速度ベクトルvkとし、速度ベクトルvkに対する拘束条件を設定する場合を例示する。速度ベクトルvkは移動体の速度及び移動方向を表しているため、この例では移動体の速度及び移動方向を移動状態xkとして定めることになる。
図2は、拘束条件の一例である直進性条件の説明図である。直進性条件は、過去に算出した第2の移動状態の状態変化が直進傾向を示している場合に、継続して直進するように第1の移動状態を修正することに用いる条件である。例えば、自動車が真っ直ぐな道路(高速道路等)を走行する場面では、自動車の移動方向は進行方向に沿った真っ直ぐな方向となる。従って、移動状態xkとして算出される速度ベクトルvkは直進傾向を示すことが望まれる。そこで、直進傾向を示す速度ベクトルvkが算出されるように、移動方向に対する制約を与えるのである。
図2(1)には、時刻k−4〜時刻kにおける自動車の速度ベクトルを模式的に図示している。始点が黒丸である速度ベクトルは、過去に算出された速度ベクトルを示している。始点が白丸である速度ベクトルは、移動状態推定処理によって推定された最新の速度ベクトルを示している。
移動状態推定処理によって時刻kにおける速度ベクトルvkが推定された状態を考える。このとき、例えば、時刻kから遡って過去所定期間分(例えば過去3時刻分)の速度ベクトルを平均した平均速度ベクトルvaveを算出する。そして、時刻kにおいて推定された速度ベクトルの単位ベクトルvk/||vk||と、平均速度ベクトルの単位ベクトルvave/||vave||との内積を求める関数を、拘束条件モデル関数gk(・)として設定する。
具体的には、例えば次式(14)に示すような拘束条件モデル関数gk(vk)を設定する。
Figure 0006191103
但し、「θk」は速度ベクトルvkと平均速度ベクトルvaveとの成す角度である。
速度ベクトルvkの向きと平均速度ベクトルvaveの向きとを揃えるためには、速度ベクトルvkと平均速度ベクトルvaveとの成す角度θkを0度とするような拘束、つまり、式(14)に従って計算される内積を“1”とするような拘束を与えればよい。従って、式(8)の拘束方程式における拘束条件規定値dkを“1”とする(dk=1)。
図2(2)は、この場合における適応度合パラメーターSkの設定方法の説明図である。図2(2)において、横軸は式(14)に従って計算される内積cosθkであり、縦軸は適応度合パラメーターSkの設定値である。速度ベクトルvkの向きと平均速度ベクトルvaveの向きとが一致している場合は「cosθk=1」となる。この場合は、速度ベクトルvkに拘束を与える必要がない。そこで、拘束の作用を最小とするために、適応度合パラメーターSkの設定値を所与の規定最大値Smaxとする。
これとは逆に、速度ベクトルvkの向きと平均速度ベクトルvaveの向きとが逆向きである場合は「cosθk=−1」となる。この場合は、速度ベクトルvkの向きを平均速度ベクトルvaveの向きに合わせるために、拘束の強さを最大限とする必要がある。そこで、拘束の作用を最大とするために、適応度合パラメーターSkの設定値を所与の規定最小値Sminとする。
「−1<cosθk<1」の範囲では、θkが小さくなるにつれて拘束の作用を徐々に弱めていけばよい。このため、例えば図2(2)に示すように、規定最小値Sminと規定最大値Smaxとを結ぶ線形の増加関数に従って適応度合パラメーターSkを算定する。
なお、この場合における適応度合パラメーターSkの算定に係る関数は、必ずしも図2(2)のような関数としなければならないわけではなく、例えば非線形の増加関数としてもよい。
この適応度合パラメーターSkの設定方法では、過去に算出した速度ベクトルを用いて平均速度ベクトルを定め、この平均速度ベクトルと、推定した最新の速度ベクトルとの内積によって、適応度合パラメーターSkの値を算定している。ベクトルの内積は、ベクトル同士の成す角度と等価である。従って、上記の手法では、平均速度ベクトルの向きを基準移動方向として定め、推定した最新の移動方向と基準移動方向との差違に基づいて、適応度合パラメーターSkを算定していることになる。
なお、上記の例では、平均速度ベクトルvaveと最新の速度ベクトルvkとの内積を求める関数を拘束条件モデル関数として定義したが、これに代えて、推定した最新の速度ベクトルvkと、1時刻前に算出された速度ベクトルvk-1との内積を求める関数を拘束条件モデル関数として定義することとしてもよい。
図3は、拘束条件の別例である平滑化条件の説明図である。平滑化条件は、過去に算出した第2の移動状態の状態変化が旋回傾向を示している場合に、継続して旋回するように第1の移動状態を修正することに用いる条件である。例えば、自動車がカーブに沿って旋回する場合に、カーブの曲線に沿った速度ベクトルが算出されるように、速度ベクトルに拘束を与える条件である。
図3(1)には、時刻k−3〜時刻kにおける自動車の速度ベクトルを模式的に示している。図の見方は図2(1)と同じである。平滑化条件では、時系列に得られる速度ベクトルについて、隣り合う速度ベクトルの成す角度θを同じとする条件を拘束条件として与える。
時刻kにおける速度ベクトルvkと、時刻k−1における速度ベクトルvk-1との成す角度をθkと表記する。そして、角度θkを、速度ベクトルvkと速度ベクトルvk-1との内積及び外積を用いて計算する。内積を用いて角度θkの大きさを求め、外積を用いて隣り合う速度ベクトルの相対的な回転方向を求めることになる。隣り合う速度ベクトルの相対的な回転方向に応じて、角度θkの正負の符号が変化する。
このとき、隣り合う速度ベクトルの成す角度を過去所定期間分(例えば過去3時刻分)平均した平均角度θaveを計算する。そして、拘束条件モデル関数gk(・)として、時刻kにおける角度θkと平均角度θaveとの角度差Δθkを求める次式(15)に示すようなモデル関数を設定する。
Figure 0006191103
平滑化条件では、隣り合う速度ベクトルの成す角度を同じとするために、式(15)に従って計算される角度差Δθkをゼロとする制約を与えればよい。従って、式(8)の拘束方程式における拘束条件規定値dkを“0”とする(dk=0)。
図3(2)は、この場合における適応度合パラメーターSkの設定方法の説明図である。図3(2)において、横軸は式(15)に従って計算される角度差Δθkの絶対値|Δθk|であり、縦軸は適応度合パラメーターSkの設定値である。上記のように、平滑化条件では、角度差Δθkがゼロとなるのが理想的な状態である。従って、「Δθk=0」の場合の適応度合パラメーターSkの設定値を、拘束の作用を最小とするために、所与の規定最大値Smaxとする。
そして、|Δθk|が大きくなるにつれて拘束の作用を強めるように、適応度合パラメーターSkの設定値を小さくする。具体的には、例えば図3(2)に示すように、|Δθk|の増加に伴い、規定最大値Smaxから所与の規定最小値Sminに漸次近付くような非線形の減少関数に従って、適応度合パラメーターSkを算定する。
なお、この場合における適応度合パラメーターSkの算定に係る関数は、必ずしも図3(2)のような関数としなければならないわけではなく、例えば線形の減少関数としてもよい。
また、上記の例では、最新の角度θkと過去所定期間分の平均角度θaveとの角度差を求める関数を拘束条件モデル関数として定義したが、これに代えて、最新の角度θkと1時刻前に算出した角度θk-1との角度差を求める関数を拘束条件モデル関数として設定することとしてもよい。
上記の直進性条件及び平滑化条件は、拘束条件の一例である。これらの拘束条件は、移動体の速度ベクトルvkを算出対象とする場合のみならず、移動体の位置pkを算出対象とする場合についても実質的に同一に適用可能である。単位時間当たりの位置の変化量は速度に相当するため、速度ベクトルvkの代わりに位置ベクトルの差分pk−pk-1を用いることで、式(14)や式(15)に示した直進性条件や平滑化条件に係るモデル関数を同様に定式化することができる。このようにして定式化したモデル関数を用いることで、移動体の位置pkを状態変数として、拘束条件を用いた位置pkの修正演算を行うことができる。
2.実施例
次に、移動状態算出装置の実施例について説明する。本実施例では、移動状態算出装置の一例として、移動体の位置を状態変数とし、移動体の位置を算出する位置算出装置の実施例について説明する。但し、本発明を適用可能な実施例が以下説明する実施例に限定されるわけでないことは勿論である。
2−1.構成
図4は、本実施例における位置算出装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。位置算出装置1は、処理部10と、衛星信号受信部20と、センサー部30と、操作部40と、表示部50と、音出力部60と、通信部70と、時計部80と、記憶部90とを備えて構成される。
処理部10は、記憶部90に記憶されているシステムプログラム等の各種プログラムに従って位置算出装置1の各部を統括的に制御するプロセッサーであり、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサーを有して構成される。
本実施例において、処理部10は、主要な機能部として、位置推定部11と、拘束条件設定部13と、位置修正部15とを有する。但し、これらの機能部は一実施例として記載したものに過ぎず、必ずしもこれら全ての機能部を必須構成要素としなければならないわけではない。また、これら以外の機能部を必須構成要素としてもよい。
位置推定部11は、例えばカルマンフィルターを利用した位置推定処理を行って、位置算出装置1が設置された移動体の位置を推定する。
拘束条件設定部13は、位置推定部11によって推定された位置と、過去に算出した位置とを用いて、新たに位置を算出する際の拘束条件を設定する。
位置修正部15は、拘束条件設定部13によって設定された拘束条件を用いて位置推定部11によって推定された位置を修正することによって、新たな位置を算出する。
衛星信号受信部20は、測位用衛星の一種であるGPS衛星から発信されているGPS衛星信号を受信する受信装置である。衛星信号受信部20は、不図示のGPSアンテナで受信されたRF(Radio Frequency)信号に対する信号処理を行ってGPS衛星信号を捕捉し、捕捉したGPS衛星信号に係る諸量(以下、「メジャメント情報」と称す。)を演算・取得する。メジャメント情報には、GPS衛星信号を受信した信号のコード位相やドップラー周波数といった諸量や、位置算出装置1とGPS衛星との間の擬似距離や擬似距離変化率といった諸量が含まれる。衛星信号受信部20は、取得したメジャメント情報を処理部10に出力する。
センサー部30は、例えば加速度センサーやジャイロセンサーといった慣性センサーを有して構成されるセンサーユニットである。センサー部30は、その検出結果を処理部10に出力する。
操作部40は、例えばタッチパネルやボタンスイッチ等を有して構成される入力装置であり、押下されたキーやボタンの信号を処理部10に出力する。この操作部40の操作により、位置算出要求等の各種指示入力がなされる。
表示部50は、LCD(Liquid Crystal Display)等を有して構成される表示装置であり、処理部10から出力される表示信号に基づいた各種表示を行う。表示部50には、位置の算出結果や時刻情報等が表示される。
音出力部60は、スピーカー等を有して構成される音出力装置であり、処理部10から出力される音出力信号に基づいた各種音出力を行う。音出力部60からは、各種アプリケーションに係る音声や音楽等が音出力される。
時計部80は、位置算出装置1の内部時計であり、水晶振動子及び発振回路でなる水晶発振器等を有して構成される。時計部80の計時時刻は処理部10に随時出力される。
記憶部90は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置を有して構成され、処理部10が位置算出装置1を制御するためのシステムプログラムや、各種アプリケーション処理を実行するための各種プログラムやデータ等を記憶する。
記憶部90には、処理部10によって読み出され、位置算出処理(図5参照)として実行される位置算出プログラム91が記憶されている。位置算出プログラム91は、位置推定処理として実行される位置推定プログラム911と、位置修正処理として実行される位置修正プログラム913とをサブルーチンとして含む。
また、記憶部90には、適応度合パラメーター設定用データ93と、メジャメントデータ95と、算出位置データ97とが記憶される。
適応度合パラメーター設定用データ93は、適応度合パラメーターSkを設定するために用いるデータである。例えば、図2(2)に示したような直進性条件での適応度合パラメーターSkの算定に係る関数を定めたデータや、図3(2)に示したような平滑化条件での適応度合パラメーターSkの算定に係る関数を定めたデータがこれに含まれる。
メジャメントデータ95は、衛星信号受信部20から出力されるメジャメント情報が記憶されたデータである。このメジャメント情報は、位置推定処理において位置の補正演算を行うために使用される。
算出位置データ97は、位置修正部15によって最終的な算出位置として算出された位置が記憶されたデータである。
2−2.処理の流れ
図5は、処理部10が、記憶部90に記憶されている位置算出プログラム91に従って実行する位置算出処理の流れを示すフローチャートである。この処理においては、衛星信号受信部20においてGPS衛星信号の捕捉及びメジャメント情報の取得が随時行われ、処理部10がメジャメント情報を随時取得可能な状態にあるものとして説明する。
最初に、処理部10は、初期設定を行う(ステップB1)。具体的には、移動体の位置pkを移動状態xkと定義し(xk=pk)、その初期値x0として所与の初期位置p0を設定する。例えば、位置算出装置1の概略位置を操作部40からユーザーに入力させ、その概略位置を初期位置p0として設定するなどすればよい。
次いで、位置推定部11は、記憶部90に記憶されている位置推定プログラム911に従って位置推定処理を行う(ステップB3)。位置推定処理では、位置推定部11は、KF予測演算を実行する(ステップB5)。具体的には、カルマンフィルターの公知の予測演算式に従って、1時刻前の位置pk-1から現在の位置pkを予測する予測演算を行う。
その後、位置推定部11は、衛星信号受信部20からメジャメント情報(例えばコード位相や擬似距離)を観測値として取得し、記憶部90のメジャメントデータ95に記憶させる(ステップB7)。
次いで、位置推定部11は、KF補正演算を実行する(ステップB9)。具体的には、ステップB7で取得した観測値を用いて、カルマンフィルターの公知の補正演算式に従って、ステップB5で予測した位置pkを補正する補正演算を行う。
その後、処理部10は、移動傾向判定処理を行う(ステップB11)。具体的には、例えば、センサー部30を構成する加速度センサーの検出加速度やジャイロセンサーの検出角速度を利用して、移動体が直進傾向にあるか、旋回傾向にあるか、それ以外であるかを判定する。
次いで、処理部10は、記憶部90に記憶されている位置修正プログラム913に従って位置修正処理を行う(ステップB13)。位置修正処理では、拘束条件設定部13が、移動傾向判定処理の判定結果に基づいて(ステップB15)、拘束条件を設定する。
すなわち、移動傾向が直進傾向であった場合は(ステップB15;直進傾向)、拘束条件設定部13は、直進性条件を設定する(ステップB17)。この場合の直進性条件の設定では、前述したように、速度ベクトルvkの代わりに位置の差分pk−pk-1を用いて式(14)の拘束条件モデル関数gk(・)を定式化する。拘束条件規定値dkや適応度合パラメーターSkの設定方法は、図2を用いて説明した通りである。
次いで、位置修正部15は、ステップB17で設定された直進性条件を利用して、式(11)〜式(13)に従って、位置推定処理で推定された位置pkを修正する(ステップB19)。
移動傾向が旋回傾向であった場合は(ステップB15;旋回傾向)、拘束条件設定部13は、平滑化条件を設定する(ステップB21)。この場合の平滑化条件の設定では、前述したように、速度ベクトルvkの代わりに位置の差分pk−pk-1を用いて式(15)の角度θkを定めて拘束条件モデル関数gk(・)を定式化する。拘束条件規定値dkや適応度合パラメーターSkの設定方法は、図3を用いて説明した通りである。
次いで、位置修正部15は、ステップB21で設定された平滑化条件を利用して、式(11)〜式(13)に従って、位置推定処理で推定された位置pkを修正する(ステップB23)。
なお、移動傾向が直進傾向でも旋回傾向でもなかった場合には(ステップB15;それ以外)、位置修正部15は、位置pkの修正を行うことなく、ステップB25へと移行する。
次いで、処理部10は、算出位置を出力する(ステップB25)。拘束条件を用いて位置pkを修正した場合は、その修正位置を算出位置として出力する。また、拘束条件を用いて位置pkを修正しなかった場合は、位置推定処理で推定した推定位置を算出位置として出力する。
次いで、処理部10は、処理を終了するか否かを判定し(ステップB27)、処理を継続すると判定した場合は(ステップB27;No)、ステップB3に戻る。また、処理を終了すると判定した場合は(ステップB27;Yes)、位置算出処理を終了する。
2−3.実験結果
図6は、位置算出装置1を用いて移動体の位置を実際に算出する実験を行った実験結果の一例を示す図である。図6(1)は、直進性条件を利用して位置算出を行った実験結果の一例を示し、図6(2)は、平滑化条件を適用して位置算出を行った実験結果の一例を示す。
図6(1)の実験では、位置算出装置1を設置した自動車を直線道路に沿って走行させ、その場合に位置算出装置1によって算出される位置を時系列にプロットした。黒丸のプロットは直進性条件を適用した場合の算出位置を示しており、白丸のプロットは直進性条件を適用しない場合の算出位置を示している。この実験結果を見ると、直進性条件を適用しない場合は、算出位置は蛇行した軌跡を描いているが、直進性条件を適用した場合は、道路に沿ったほぼ真っ直ぐな軌跡を描いており、直進傾向を反映した算出位置が得られていることがわかる。
図6(2)の実験では、位置算出装置1を設置した自動車をカーブに沿って走行させ、その場合に位置算出装置1によって算出される位置を時系列にプロットした。図の見方は図6(1)と同じである。この実験結果を見ると、平滑化条件を適用しない場合は、算出位置は滑らかな軌跡を描いていないが、平滑化条件を適用した場合は、カーブに沿った滑らかな軌跡を描いており、旋回傾向を反映した算出位置が得られていることがわかる。
2−4.作用効果
位置算出装置1において、位置推定部11は、移動空間を移動する移動体の位置を推定する。そして、拘束条件設定部13は、位置推定部11によって推定された移動体の位置と、過去に算出された移動体の位置とを用いて、新たに位置を算出する際の拘束条件を設定する。そして、位置修正部15が、拘束条件設定部13によって設定された拘束条件を用いて位置を修正することによって、新たな位置を算出する。位置の推定処理は、例えばカルマンフィルターを用いた推定処理として実現可能である。位置推定処理で推定した位置を最終的な算出位置とするのではなく、所定の拘束条件を用いて推定位置を修正することによって新たな位置を算出する手法により、移動体の位置を正しく算出することが可能となる。
拘束条件には、推定位置を過去に算出した位置の状態変化の傾向に沿うように修正することに用いる条件を設定する。例えば、過去に算出した位置の位置変化が直進傾向を示している場合には、継続して直進するように位置を修正することに用いる条件(直進性条件)を拘束条件として設定する。また、過去に算出した位置の位置変化が旋回傾向を示している場合には、継続して旋回するように位置を修正することに用いる条件(平滑化条件)を拘束条件として設定する。これにより、過去に算出した位置の状態変化の傾向に沿った適切な位置を算出することが可能となる。
3.変形例
本発明を適用可能な実施例は、上記の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。以下、変形例について説明する。
3−1.移動状態推定処理
移動状態推定処理は、通常のカルマンフィルターを適用した推定処理に限らず、状態空間における状態推定の手法を用いて処理であれば、任意の処理を適用可能である。例えば、拡張カルマンフィルターやアンセンテッドカルマンフィルター、パーティクルフィルター、Hフィルターといったフィルターを適用した処理としてもよい。
3−2.移動状態
算出対象とする移動状態の成分は、移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含んでいればよい。この場合、位置、速度及び移動方向の要素をそれぞれ単体で移動状態の成分としてもよいし、複数の要素を組み合わせて移動状態の成分としてもよい。
例えば、上記の実施例では、移動体の位置を移動状態の成分として、移動体の位置を算出する位置算出装置の実施例を一例として説明したが、速度及び移動方向(つまり速度ベクトル)を移動状態の成分として、移動体の速度ベクトルを算出する速度ベクトル算出装置の実施例としてもよい。
3−3.移動体
また、移動状態算出装置は、種々の移動体に設置して利用することが可能である。具体的には、人間や自転車、自動車、電車、船舶、飛行機といった各種の移動体に移動状態算出装置を設置して移動状態の算出を行うことが可能である。
3−4.修正演算
上記の実施例では、移動体の移動傾向を判定する移動傾向判定処理を行い、その判定結果に応じた拘束条件を設定して、移動状態の修正演算を行うこととして説明した。しかし、移動傾向判定処理を省略し、同時に複数種類の拘束条件を設定して、移動状態の修正演算を行う構成とすることも可能である。
この場合は、拘束条件別に設定する拘束条件モデル関数gk(・)、拘束条件規定値dk及び適応度合パラメーターSkのそれぞれについて、複数の拘束条件に係る関数や規定値、パラメーターを一纏めにした行列を定義し、これらの行列を用いて、式(11)〜式(13)の修正演算式に従って修正演算を行うようにすればよい。
具体的には、複数の拘束条件に係るモデル関数gk(・)を含む拘束条件モデル関数行列gk(・)として、次式(16)に示すような行列を設定する。
Figure 0006191103
但し、上付きの括弧書きで示した数字は、拘束条件の番号を示す。つまり、g(1) k(・)は第1の拘束条件(例えば直進性条件)に係る拘束条件モデル関数を示し、g(2) k(・)は第2の拘束条件(例えば平滑化条件)に係る拘束条件モデル関数を示す。
また、複数の拘束条件に係る拘束条件規定値dkを成分とする拘束条件規定値行列として、次式(17)に示すような行列を設定する。
Figure 0006191103
但し、d(1) kは第1の拘束条件に係る拘束条件規定値を示し、d(2) kは第2の拘束条件に係る拘束条件規定値を示す。
また、複数の拘束条件に係る適応度合パラメーターSkを成分とする適応度合パラメーター行列として、次式(18)に示すような行列を設定する。
Figure 0006191103
但し、S(1) kは第1の拘束条件に係る適応度合パラメーターを示し、S(2) kは第2の拘束条件に係る適応度合パラメーターを示す。
3−5.拘束条件の種類
上記の実施形態では、拘束条件として直進性条件及び平滑化条件を例に挙げて説明したが、拘束条件はこれらに限られるわけではない。例えば、移動体が停止している場合の拘束条件として、速度ベクトル(或いは位置ベクトルの差分)をゼロとする拘束条件を設定するなどしてもよい。
3−6.移動体の移動傾向の判定
上記の実施例では、センサー部30の検出結果に基づいて、移動体が直進傾向にあるか、旋回傾向にあるか、それ以外であるかを判定しているが、センサー部30を用いないで、過去に算出した位置の変化や速度の変化に基づいて、移動体が直進傾向にあるか、旋回傾向にあるか、それ以外であるかを判定してもよい。
3−7.衛星測位システム
上記の実施例では、位置算出装置が備える衛星信号受信装置を、GPSを適用したGPS衛星信号受信装置として説明したが、GPS以外の衛星測位システムであるWAAS(Wide Area Augmentation System)やQZSS(Quasi Zenith Satellite System)、GLONASS(GLObal NAvigation Satellite System)、GALILEO等の衛星測位システムを適用した衛星信号受信装置としてもよい。
1 位置算出装置、 10 処理部、 20 衛星信号受信部、 30 センサー部、 40 操作部、 50 表示部、 60 音出力部、 70 通信部、 80 時計部、 90 記憶部

Claims (2)

  1. 旋回傾向にある移動体の移動状態を算出する移動状態算出方法であって、
    前記移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含む第1の移動状態を推定するステップと、
    前記第1の移動状態、及び前記推定がされるまでに算出したN個(N≧2)の第2の移動状態を用いることにより、新たに第2の移動状態を算出する際の拘束条件を設定するステップと、
    前記拘束条件を用いて前記第1の移動状態を修正することにより、前記新たな第2の移動状態を算出するステップと、
    を含み、
    前記設定するステップは、
    前記N個の第2の移動状態において時間的に隣り合う第2の移動状態に基づく変化角度から、基準変化角度を求めるステップと、
    前記推定の直前の前記第2の移動状態及び前記第1の移動状態に基づく最新変化角度を求めるステップと、
    前記第1の移動状態を前記基準変化角度で移動する移動状態に近づける度合を示すパラメーターを、前記基準変化角度と前記最新変化角度との角度差が大きいほど、前記近づける度合を漸次強くする値算定することにより前記拘束条件を設定するステップと、
    を含み、
    前記第1の移動状態の前記修正は、
    前記パラメーターに従って、前記第1の移動状態を前記基準変化角度で移動する移動状態に近づけるように修正する、
    移動状態算出方法。
  2. 旋回傾向にある移動体の移動状態を算出する移動状態算出装置であって、
    前記移動体の位置、速度及び移動方向の何れかを含む第1の移動状態を推定する推定部と、
    前記第1の移動状態、及び前記推定がされるまでに算出したN個(N≧2)の第2の移動状態を用いることにより、新たに第2の移動状態を算出する際の拘束条件を設定する設定部と、
    前記拘束条件を用いて前記第1の移動状態を修正することにより、前記新たな第2の移動状態を算出する修正部と、
    を備え、
    前記設定部は、
    前記N個の第2の移動状態において時間的に隣り合う第2の移動状態に基づく変化角度から、基準変化角度を求め、
    且つ、前記推定の直前の前記第2の移動状態及び前記第1の移動状態に基づく最新変化角度を求め、
    且つ、前記第1の移動状態を前記基準変化角度で移動する移動状態に近づける度合を示すパラメーターを、前記基準変化角度と前記最新変化角度との角度差が大きいほど、前記近づける度合を漸次強くする値算定することにより前記拘束条件を設定し、
    前記修正部は、
    前記パラメーターに従って、前記第1の移動状態を前記基準変化角度で移動する移動状態に近づけるように修正することにより、前記新たな第2の移動状態を算出する、
    移動状態算出装置。
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