JP6190612B2 - フィルム試料サンプリング治具とサンプリング方法 - Google Patents

フィルム試料サンプリング治具とサンプリング方法 Download PDF

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Description

本発明は、試料の平坦性が特に必要とされるX線反射率法等の表面分析を行うための表面分析用フィルム試料およびフィルム試料サンプリング治具とサンプリング方法に関する。
微小角入射が必要なX線反射率法等の表面分析を行う際には、正確な測定を行うために試料の平坦性、とくに試料表面の平坦性が求められる(例えば、特許文献1)。このような測定には、従来、平坦性の高いシリコンウェハや白板が基材として用いられている。近年では、フィルム基材などの薄膜構造評価も行われ始めているが、フィルム基材上においてより正確な薄膜構造評価を行うためには、適正なフィルム試料を準備することが重要となる。
特開2006−105748号公報
しかしながら、フィルム試料の場合、試料の裁断部の形状の平坦性が低くなりやすいことや裁断部のバリ等のために、分析用ビームの微小角入射が必要なX線反射率法等の表面分析を行うことが困難になることがある。例えば、通常の機械強度などを測定する分析用では、フィルム試料を、カッターマット上で裁断を行う場合が多いが、このような裁断方法では裁断部にうねりが生じるという問題があり、表面分析用では使用が困難であるという問題がある。例えば、後述の平坦性(最大振幅)の説明の項で示すようなうねりやバリが生じ、そのようなうねりやバリの大きさが許容値を超えると、表面分析を行うことが困難になる。
そこで本発明の課題は、このような問題点に着目し、X線反射率法等の表面分析を行うためのフィルム試料に関して、表面分析を適切に行うことが可能な高い平坦性を有する表面分析用フィルム試料およびフィルム試料サンプリング治具とサンプリング方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る表面分析用フィルム試料は、表面分析試料のエッジ部の表面が、分析表面と同一高さの位置または分析表面よりも低い位置にあって、前記エッジ部における形状の分析試料の厚み方向における最大振幅が500nm以下であることを特徴とするものからなる。この最大振幅の好ましい範囲は、200nm以下である。
このような本発明に係る表面分析用フィルム試料においては、表面分析試料のエッジで囲まれた部分の表面が分析用の表面となるが、エッジ部の表面が、分析表面と同一高さの位置または分析表面よりも低い位置にあるため、側方から分析用ビームが必要な微小角にて入射することが可能になる。そして、エッジ部における形状の分析試料の厚み方向における最大振幅が500nm以下に抑えられているので、分析用ビームが入射する際に、分析用ビームがエッジ部における試料のうねりやバリに当たることは回避され、所望の分析が的確に行われる。その結果、従来技術では試料エッジ部のうねりやバリのために分析が困難であったフィルム試料に対しても、目標とする高精度の表面分析を適切に行うことが可能になる。
上記本発明に係る表面分析用フィルム試料においては、とくに好ましい形態として、四角形に裁断された平面形状を有し、該四角形の4辺全ての切断面における上記エッジ部の表面の位置が、分析表面と同一高さの位置または分析表面よりも低い位置にあり、かつ、4辺全てのエッジ部における形状の分析試料の厚み方向における最大振幅が500nm以下である表面分析用フィルム試料を挙げることができる。このような表面分析用フィルム試料においては、4辺のどの方向からも分析用ビームを微小角で入射させることが可能であるので、目標とする高精度の表面分析をより適切にかつより容易に行うことが可能になる。
本発明に係る表面分析用フィルム試料の厚みは特に限定されないが、裁断性の観点からは500μm以下が好ましく、ハンドリングの容易性からは5μm以上が好ましい。さらに、10μm以上200μm以下の厚みがより好ましい。
また、本発明に係る表面分析用フィルム試料の材質についても特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタールのいずれかのポリマーからなるものを使用できる。
上記のような表面分析用フィルム試料は、後述の如く、種々の方式によってサンプリングすることができるが、本発明では、とくに、次のような好ましいフィルム試料サンプリング治具を提供する。
すなわち、本発明に係るフィルム試料サンプリング治具は、表面分析用フィルム試料を分析対象となるフィルムからサンプリングするサンプリング治具であって、前記フィルムが載置される平坦な上面を有し、該上面に四角形に延びるように刻設された下刃溝を有するサンプリング台と、該サンプリング台の上方から下方に向けて移動可能で、前記下刃溝の形状に対応する形状の上刃を有し、該上刃と前記下刃溝の協働により前記フィルムの裁断が可能な上刃部材とを有することを特徴とするものからなる。
このようなフィルム試料サンプリング治具を用いることにより、前述のようなエッジ部における最大振幅が小さい表面分析用フィルム試料が、容易にサンプリング可能となる。
また、このようなフィルム試料サンプリング治具においては、表面分析用フィルム試料の分析表面を極力非接触状態に保っておくことが望まれる場合には、次のような形態を採用することができる。すなわち、上記上刃部材が、上記上刃と上記下刃溝の協働により上記フィルムを裁断する際に上記下刃溝の四角形の外側で上記分析対象となるフィルムを接触保持する面と、上記下刃溝の四角形の内側で上記分析対象となるフィルムに対し非接触に保たれる面とを備えている形態を採用することができる。
上記フィルム試料サンプリング治具は、上刃と下刃溝の協働によりフィルムを裁断する際に上刃にかかる裁断負荷を検出し、調整することが可能な負荷調整手段を備えていることが好ましい。このような負荷調整手段を備えていることにより、フィルム試料の表面と裏面とで材質が異なる場合においても、それぞれの面に同等の応力を加えながら裁断することが可能となるため、フィルム試料の平坦性を保ちやすくなり、裁断時にうねりやバリが生じにくくなる。裁断負荷を検出し調整する方法としては、例えば、上刃とフィルム試料表面との接触時に表面の硬さを検出し、検出された表面硬さに応じて上刃の角度を調整する方法や、それぞれの刃先に空気を噴出できる微細な孔を形成し、孔から噴出する空気の量によって裁断負荷を調整する方法などが挙げられる。
上刃の形状はとくに限定されないが、裁断の円滑さの観点からは、上刃が、下刃溝の四角形の4点の角部から辺部にかけて順次切断可能な形状を有していることが好ましい。このような構成によれば、打ち抜き型のサンプリング治具と比較してより滑らかな裁断が可能となり、フィルム試料の平坦性をより保ちやすくなる。この場合において、四角形のそれぞれの辺における切断方向は問わないが、フィルム試料全体に均一に力をかけながら裁断する観点から、対辺の切断方向は反対方向であることが好ましい。例えば、フィルム試料の角部4点を、基点から順番にA、B、C,Dとした場合、A→B、C→D方向に同時に裁断することが好ましい。また、全ての辺において同一方向に切断していくことがより好ましい。例えば、上記のようにフィルム試料の角部4点を、基点から順番にA、B、C,Dとした場合、A→B、B→C,C→D、D→A方向に同時に裁断することが好ましい。
また、本発明は、表面分析用フィルム試料を分析対象となるフィルムからサンプリングする方法であって、裁断具を用いて前記フィルムを直線状に連続して裁断することにより所定形状のフィルム試料を作成し、作成されるフィルム試料の少なくとも表面分析用ビームの入射側のエッジ部の表面を、分析表面と同一高さまたは分析表面よりも低く位置させるとともに、前記エッジ部における形状のフィルム試料の厚み方向における最大振幅を500nm以下とすることを特徴とする、フィルム試料サンプリング方法についても提供する。
このフィルム試料サンプリング方法においては、上記裁断具として、前述したようなフィルム試料サンプリング治具を用いることができる。例えば、裁断具として前述のフィルム試料サンプリング治具を用い、フィルムを裁断するごとに、フィルム試料サンプリング治具のサンプリング台に載置されたフィルムを、サンプリング台に対し所定の距離だけ相対的に平行移動させることで、フィルムを直線状に連続して裁断する方法などが挙げられる。
このように、本発明によれば、試料表面と裁断部の平坦性が求められ、分析用ビームの微小角入射が必要なX線反射率法等の表面分析を行う際に、分析面、とくに試料エッジ部が平坦な、望ましい形態の表面分析用フィルム試料を得ることができ、それによって、目標とする高精度の表面分析を適切に行うことが可能になる。
フィルム試料の縦断面形状の一例を示す模式図である。 フィルム試料の縦断面形状の別の例を示す模式図である。 本発明の一実施態様に係るフィルム試料サンプリング治具の概略縦断面図である。 図3の治具のサンプリング台の平面図である。 図3の治具の上刃部材の底面図である。 参考実施例1でサンプリングされたフィルム試料を光学顕微鏡により観察した図である。 参考実施例2でサンプリングされたフィルム試料を光学顕微鏡により観察した図である。 比較例1でサンプリングされたフィルム試料を光学顕微鏡により観察した図である。 上刃部材に備えられた上刃の形状の一例を示す模式図である。
以下に、本発明について、実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明者らは、微小角入射を必要とするX線反射率法等の表面分析のために、とくに裁断部の形状が平坦性の高いフィルム試料を得ることを目的として、フィルム試料、そのサンプリング治具や方法に関して、鋭意検討を重ね、例えば、特定の刃形状を有する治具、はさみ、押し切りカッターなどの裁断装置を用いたところ、前述の課題を解決できることを見出したものである。
[フィルム試料]
本発明において使用するフィルム基材としては、有機高分子化合物であれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタール等の各種ポリマーからなるフィルムを使用することができる。フィルム基材を構成するポリマーは、ホモポリマー、コポリマーのいずれでもよく、単独のポリマーであってもよいし、複数のポリマーのブレンドであってもよい。
また、フィルム基材として、単層フィルム、あるいは2層以上の、例えば、共押し出し法で製膜したフィルムや、一軸方向あるいは二軸方向に延伸されたフィルムを使用してもよい。
また、所望の特性付与を目的として、フィルム基材の片面もしくは両面に有機層や無機層、あるいはこれらの混合層が一層あるいは複数層、コーティング等により積層されていても構わない。有機層を形成する塗液の塗布手段としては、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法などを用いることができる。中でも、0.5μm以上、10.0μm以下の厚みの有機層を平坦に塗工することが好適な手法として、グラビアコート法が好ましい。無機層を形成する手段としては、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法、有機金属CVD法、レーザーCVD法、触媒CVD法、ALD法などを用いることができる。
また、フィルム基材の表面には、コーティング層との密着性を良くするために、コロナ処理、イオンボンバード処理、溶剤処理、粗面化処理、および、有機物または無機物あるいはそれらの混合物で構成されるアンカーコート層の形成処理、といった前処理が施されていても構わない。
本発明に使用するフィルム基材の厚さは特に限定されないが、前述したように、裁断性の観点から500μm以下が好ましく、ハンドリングの容易性から5μm以上が好ましい。さらに、10μm以上200μm以下の厚みのフィルム基材がより好ましい。
[表面分析]
本発明で作製したフィルム試料は、いかなる表面分析測定の際であっても使用することは可能であるが、特に、X線反射率法、微小角入射X線散乱法、X線回折法、全反射蛍光X線分析法、分光エリプソメトリー法などの分析用ビームの微小角入射が必要であって、試料表面の平坦性および端部形状が重要となる分析法に好適に用いることができる。
[サンプリング治具およびサンプリング方法]
本発明に使用するサンプリング治具、とくにフィルム裁断具について以下に説明する。裁断具は、試料を裁断する際に過剰な力がかからず、裁断部を変形させるものでなければ特に限定されず、はさみ式裁断具、押し切りカッター、スリッターなどを使用することができる。
はさみ式裁断具は、フィルム試料をはさみ込み、両刃を動作することによって切断できる道具であれば、特に限定されないが、刃の形状が、刃渡り20〜150mm、板厚0.3〜2.5mm、刃先角度10〜70°であることが好ましい。裁断面の平坦性、裁断性の観点から、刃先角度20〜50°、刃渡り50〜120mm、板厚1.0〜1.5mmであることがより好ましい。
押し切りカッターは、フィルム試料をはさみ込み、片刃のみを動作することによって切断できる道具であれば、特に限定されないが、刃先角度5〜70°、板厚1.0〜20.0mm、クリアランス0.05〜1.0mmであることが好ましい。裁断面の平坦性および裁断性の観点から、刃先角度10〜50°、板厚5.0〜10.0mm、クリアランス0.25〜0.5mmであることがより好ましい。また、刃の形状としては、ストレート、円弧状など、特に限定されるものではないが、裁断性の観点から、円弧状であることが好ましい。
スリッターは、ロール状フィルム試料を巻き戻しながら、任意の縦方向幅に連続して切断するものであり、その切断方式は、レザーカット、シャーカット、スコアカットのいずれであってもよい。スリッターナイフは、上刃の厚み0.1〜2.0mm、下刃の厚み2〜40mmであることが好ましい。また、レザーカットの場合、刃の厚みは0.1〜1.0mmが好ましい。裁断性の観点から、0.2〜0.6mmがより好ましい。
裁断具に使用される刃の材質は、炭素工具鋼鋼材、ステンレス、超硬合金などの金属製のもの、あるいはセラミックであれば、特に限定されるものではない。また、それらはフッ素コートやブルーイングなどのコーティングが施されていても構わない。
上記のような裁断具を用いてフィルム試料を裁断する際には、端部に過剰な力をかけないこと、連続的に裁断すること、可能な限り直線的に裁断することに注意して行えば、裁断法は特に限定されない。
表面分析試料の形状としては、四角形が好ましく、四角形であれば、正方形、長方形、台形、平行四辺形、ひし形など、特に限定されない。試料の測定容易性の観点から、正方形、長方形であることが好ましい。試料の形状が四角形であり、その全ての辺に関して、分析表面と同一高さまたは分析表面より低い位置にあって、試料のエッジ部における形状の最大振幅が500nm以下である場合、試料台に試料を載置するときに平坦さを得やすくなる、および、固定治具に試料を固定するときに平行状態を取りやすくなることで、試料のねじれが生じにくくなるなどの利点が得られる。
[平坦性の定義]
例えば図1に示すように、フィルム試料1を断面方向から観察した場合、うねり曲線の最大断面高さWtで平坦性を定義する。フィルム試料1の裁断を行った際、表面分析を行う観点から、とくにエッジ部におけるうねり2の最大断面高さWt(本発明における最大振幅)が500nm以下であることが好ましい。また、測定精度の観点からは、200nm以下であることがより好ましい。
また、裁断面にうねりが存在しなかった場合でも、図2に示すように、裁断部がフィルム試料1の表面よりも外側(図の上側)にはみ出ている、つまりバリ3が存在すると、微小角度で入射したX線が試料表面に正確に入射しなくなるために、表面分析が困難となる。したがって、裁断部の高さは試料表面と同一もしくは、試料内側にあることが好ましい。
[フィルム試料サンプリング治具]
本発明では、とくに図3〜図5に例示するようなフィルム試料サンプリング治具とすることが好ましい。図に示すフィルム試料サンプリング治具10は、表面分析用フィルム試料12を分析対象となるフィルム11からサンプリングするサンプリング治具であって、フィルム11が載置される平坦な上面を有し、該上面に四角形に延びるように刻設された下刃溝13を有するサンプリング台14と、該サンプリング台14の上方から下方に向けて移動可能で、下刃溝13の形状に対応する形状の上刃15を有し、該上刃15と下刃溝13の協働によりフィルム11の裁断が可能な上刃部材16とを有している。このようなフィルム試料サンプリング治具10を使用すれば、フィルム11を上刃15と下刃溝13の間に挟み込むだけで、迅速かつ容易に所望の四角形のフィルム試料12をサンプリングすることができる。
このようなフィルム試料サンプリング治具においては、裁断する直前にフィルム11を押さえることのできる機構が備えられていてもよい。例えば、下刃溝13の周りを全て押さえることのできる機構、また、表面分析測定で使用しない対辺を押さえることのできる機構である。また、上刃部材16におけるこのような押さえ面をフィルム11への接触面21とし、表面分析測定に使用されるフィルム試料12に対向する面を非接触面22とすることもできる。
図9は、上刃の形状の例を示しており、とくに、上刃が、下刃溝の四角形の4点の角部から辺部にかけて順次切断可能な形状を有する場合を例示している。例えば、図9(A)の上刃部材30aにおいて、上刃31aは、両側の端部が低く中央部が高いアーチ型に形成されている。このような上刃部材30aによれば、上刃と下刃溝の協働によりフィルムを裁断する際、上刃31aの両側の端部によって下刃溝の四角形の4点の角部に対応する部分が最初に切断され、その後、両端の角部から辺部の中央にかけて順次フィルムが切断されるので、裁断の全工程にわたって上刃とフィルムとの接触面積が必要最小限に抑えられる。また、図9(B)の上刃部材30bにおいて、上刃31bは、両側の端部が低く中央部が高い山型に形成されているが、この上刃部材30bを用いることによっても図9(A)の上刃部材30aと同様の効果を得ることができる。
さらに、図9(C)の上刃部材30cにおいては、上刃31cは、一方の端部が低く他方の端部が高い形状に形成されている。このような上刃部材30cによれば、上刃と下刃溝の協働によりフィルムを裁断する際、上刃31aの低い側の端部によって下刃溝の四角形の4点の角部に対応する部分が最初に切断され、その後、一方の角部から他方の角部まで辺部に沿って順次フィルムが切断されるので、やはり裁断の全工程にわたって上刃とフィルムとの接触面積が必要最小限に抑えられる。このように、上刃とフィルムとの接触面積とを小さく保ちつつ裁断することによって、上刃の動作に起因するフィルムの位置ずれが防止されるとともに、各辺部に沿って均一に力をかけつつ裁断することが可能となり、フィルム試料の平坦性をより保ちやすくなる。なお、図9(A)〜(C)は上刃の形状の例を示すものであり、上刃の形状はこれらの例に限定されるものではない。
以下、本発明を実施例に基づき、より具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[評価方法]
まず、実施例および比較例における評価方法を説明する。評価数nは、特に断らない限りn=5とし、それらの平均を求めた。結果に関しては、表1に記載する。
(1)光学顕微鏡による断面観察
様々な裁断具により裁断したフィルム試料に関して、光学顕微鏡(Nikon社製、OPTIPHOT200)を使用して、裁断面の観察を行った。対物レンズには5〜20倍のレンズを使用した。フィルム試料表面に明らかなうねりが存在している場合には、観察像から、うねりの最大断面高さを算出した。光学顕微鏡を用いて、うねりの算出が困難な場合には、走査型電子顕微鏡によって観察した観察像を用いて、最大断面高さを算出した。参考実施例1,2、比較例1における光学顕微鏡による観察結果を図6〜図8に示す。図におけるFが観察されたフィルム試料の端面を示している。
参考実施例1)
厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをコクヨ社製はさみ“エアロフィット”(ステンレス製)で裁断を行い、フィルム試料をサンプリングした。最大断面高さ(最大振幅)の測定結果を表1に示す。
参考実施例2)
厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをゾーリンゲン社製ダーレカッター564型で裁断を行い、フィルム試料をサンプリングした。測定結果を表1に示す。
参考実施例3)
厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをスリッターで裁断を行い、フィルム試料をサンプリングした。測定結果を表1に示す。
参考実施例4)
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをゾーリンゲン社製ダーレカッター564型で裁断を行い、フィルム試料をサンプリングした。測定結果を表1に示す。
参考実施例5)
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをゾーリンゲン社製ダーレカッター564型で裁断を行い、フィルム試料をサンプリングした。測定結果を表1に示す。
(比較例1)
厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをNTカッター社製カッターL−500G(炭素工具鋼鋼製、刃厚0.45mm)で裁断を行い、フィルム試料をサンプリングした。測定結果を表1に示す。
(比較例2)
厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをフェザー社製片刃FHS−5(ステンレス製、刃厚0.23mm)で裁断を行い、フィルム試料をサンプリングした。測定結果を表1に示す。
(比較例3)
厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムをNTカッター社製カッターL−500G(炭素工具鋼鋼製、刃厚0.45mm)で裁断を行い、フィルム試料をサンプリングした。測定結果を表1に示す。
Figure 0006190612
本発明は、表面分析用のあらゆるフィルム試料のサンプリングに適用可能である。
1 フィルム試料
2 うねり
3 バリ
10 フィルム試料サンプリング治具
11 フィルム
12 フィルム試料
13 下刃溝
14 サンプリング台
15 上刃
16 上刃部材
21 接触面
22 非接触面
30a、30b、30c 上刃部材
31a、31b、31c 上刃

Claims (8)

  1. 表面分析用フィルム試料を分析対象となるフィルムからサンプリングするサンプリング治具であって、前記フィルムが載置される平坦な上面を有し、該上面に四角形に延びるように刻設された下刃溝を有するサンプリング台と、該サンプリング台の上方から下方に向けて移動可能で、前記下刃溝の形状に対応する形状の上刃を有し、該上刃と前記下刃溝の協働により前記フィルムの裁断が可能な上刃部材とを有し、(α)前記上刃の両側の端部によって前記下刃溝の四角形の4点の角部に対応する部分が最初に切断され、その後、両端の角部から辺部の中央にかけて順次フィルムが切断される、または(β)前記上刃の低い側の端部によって前記下刃溝の四角形の4点の角部に対応する部分が最初に切断され、その後、一方の角部から他方の角部まで辺部に沿って順次フィルムが切断されるフィルム試料サンプリング治具であって、
    前記表面分析用フィルム試料のエッジ部の表面が、分析表面と同一高さの位置または分析表面よりも低い位置にあって、前記エッジ部における形状の分析試料の厚み方向における最大振幅が500nm以下であることを特徴とするフィルム試料サンプリング治具。
  2. 前記表面分析用フィルム試料が四角形に裁断された平面形状を有し、該四角形の4辺全ての切断面における前記エッジ部の表面の位置が、分析表面と同一高さの位置または分析表面よりも低い位置にあり、かつ、4辺全てのエッジ部における形状の分析試料の厚み方向における最大振幅が500nm以下である、請求項1に記載フィルム試料サンプリング治具
  3. 前記表面分析用フィルム試料の厚みが5μm以上500μm以下である、請求項1または2に記載フィルム試料サンプリング治具
  4. 前記表面分析用フィルム試料が、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体の鹸化物、ポリアクリロニトリル、ポリアセタールのいずれかのポリマーからなる、請求項1〜3のいずれかに記載フィルム試料サンプリング治具
  5. 前記上刃部材が、前記上刃と前記下刃溝の協働により前記フィルムを裁断する際に前記下刃溝の四角形の外側で前記分析対象となるフィルムを接触保持する面と、前記下刃溝の四角形の内側で前記分析対象となるフィルムに対し非接触に保たれる面とを備えている、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム試料サンプリング治具。
  6. 前記上刃と前記下刃溝の協働により前記フィルムを裁断する際に前記上刃にかかる裁断負荷を検出し、調整することが可能な負荷調整手段を備えている、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム試料サンプリング治具。
  7. 前記上刃は、前記下刃溝の四角形の4点の角部から辺部にかけて順次切断可能な形状を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム試料サンプリング治具。
  8. 表面分析用フィルム試料を分析対象となるフィルムからサンプリングするサンプリング方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム試料サンプリング治具からなる裁断具を用いて前記フィルムを直線状に連続して裁断することにより所定形状のフィルム試料を作成し、作成されるフィルム試料の少なくとも表面分析用ビームの入射側のエッジ部の表面を、分析表面と同一高さまたは分析表面よりも低く位置させるとともに、前記エッジ部における形状のフィルム試料の厚み方向における最大振幅を500nm以下とすることを特徴とする、フィルム試料サンプリング方法。
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