JP6189075B2 - 静電容量推定回路、タッチパネルシステム、及び電子機器 - Google Patents

静電容量推定回路、タッチパネルシステム、及び電子機器 Download PDF

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本発明は、センスラインに交差する1本以上のドライブラインに一端が接続され、他端がセンスラインに接続された1個以上の静電容量の容量値を推定するためのデータを取得する静電容量推定回路、並びにこれを備えたタッチパネルシステム及び電子機器に関する。
マトリックス状に分布した静電容量値を検出する装置、例えば、M本のドライブラインとL本のセンスラインとの間に形成される静電容量行列の静電容量値の分布を検出する容量検出装置が、特許文献1に開示されている。この容量検出装置は、指やペンでタッチパネルに触れると、触れられた静電容量の容量値が変化するので、容量値変化を検出して、指やペンのタッチを検出する。
(従来の静電容量検出回路91の構成)
図16は、従来の静電容量検出回路91の構成を示す回路図である。静電容量検出回路91は、センスラインSLに交差するドライブラインDL1〜DL4にそれぞれ一端が接続され、他端がセンスラインSLに接続された静電容量C1〜C4の容量値を推定するためのデータを取得する。
静電容量検出回路91は、駆動回路8を備えている。駆動回路8は、ドライブラインDL1〜DL4に電圧Vin1〜Vin4を印加する。センスラインSLには、センスライン寄生容量Cpが存在する。センスライン寄生容量Cpには、外部からノイズNZが印加される。静電容量検出回路91には、センスアンプ2が設けられている。センスアンプ2は、電圧Vin1〜Vin4の印加により静電容量C1〜C4に蓄積された電荷を、センスラインSLを通して読み出す。
センスアンプ2は、オペアンプ10を有している。オペアンプ10の反転入力端子はセンスラインSLに接続されており、非反転入力端子は基準電圧Vrに接続されている。センスアンプ2には、オペアンプ10の反転入力端子とオペアンプ10の出力とに接続された積分容量Cf及びスイッチSWRが互いに並列に設けられている。
(従来の静電容量検出回路91の動作)
例えば、液晶ディスプレイ上に形成されたタッチパネルの場合、液晶ディスプレイの表面上に検出対象容量が形成されるため、センスラインSLは液晶の画素を駆動する配線との間にセンスライン寄生容量Cpが形成され、液晶の画素を駆動する電圧が該寄生容量に印加されセンスアンプの出力Voutにノイズとして重畳される。
今、図16の静電容量検出回路91が、駆動電圧Vin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とした状態でリセット用スイッチSWRを閉じて、時刻t0においてスイッチSWRを開いたとする。その後ドライブラインDL1〜DL4が駆動電圧Vin1、Vin2、Vin3、及びVin4で駆動されている時刻tにおけるセンスアンプ2の出力電圧Vout(t)は、以下の式(1)で表わされる。
Vout(t)=−(Vin1・C1+Vin2・C2+Vin3・C3+Vin4・C4+(Vn(t)−Vn(t0))・Cp)/Cf+Vr …式(1)
ここで、ノイズNZの時刻tにおける電圧をVn(t)と表わしている。
式(1)から判るように、ノイズ電圧の差{Vn(t)−Vn(t0)}とセンスライン寄生容量Cpとの積の絶対値が、{Vin1・C1+Vin2・C2+Vin3・C3+Vin4・C4}の絶対値に比べて十分小さくなければ、出力電圧Vout(t)を用いて静電容量C1、C2、C3、及びC4を推定する場合に誤差が生じる。
誤差を小さくするためリセット、駆動電圧Vin1、Vin2、Vin3、及びVin4の印加、及び出力Voutの読み出しという動作を複数回繰り返して行い出力を平均化することが知られている。この場合、出力Voutの読み出しごとに{Vn(t)−Vn(t0)}の値が無相関に分布すれば、平均化によりサンプル個数の平方根に反比例してノイズの値が減少する。
また、特許文献1には、検出対象静電容量を駆動電圧で充電して、充電された電荷を積分アンプに積分して放電させるという過程を繰り返すことで積分アンプの出力の信号対ノイズ比が改善することが記載されている。
特開2010-250522号公報(2010年11月4日公開)
しかしながら、静電容量C1〜C4をリセットし、駆動電圧Vin1〜Vin4により静電容量C1〜C4を再充電して静電容量C1〜C4の電荷をセンスアンプ2で読み出すという処理は、ドライブラインDL1〜DL4、センスラインSLの電圧を変化させるため、この電圧変化が収束するまでにはそれらのラインの持つ時定数で律速された時間がかかり、容量値の推測に求められる限られた時間内に行える平均化の回数が不足するという課題があった。
駆動回路8がドライブラインDL1〜DL4に電圧を印加している間に、センスアンプ2の出力を複数回サンプリングするといった構成を採用することにより、静電容量C1〜C4をリセット及び再充電してセンスアンプ2で読み出すという処理を繰り返す構成よりも、処理時間を短縮することが可能である。しかしながら、センスアンプ2の出力電圧Voutに混入するノイズのうち、特に低周波ノイズを低減することが困難であった。また、上述の処理の繰返しにおいて静電容量の充放電に関わる消費電力を低減し、変化する駆動信号に起因する不要輻射を抑圧することは困難であった。このことは、特に、静電容量を多数備えるタッチパネルにおいて顕著である。
本発明の目的は、以上の課題を鑑みてタッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することにある。
また本発明の一態様に係る静電容量値推定回路は、センスラインに交差する1本以上のドライブラインに一端が接続され、他端が前記センスラインに接続された1個以上の静電容量の容量値を推定するための容量値推定データを取得する静電容量値推定回路であって、第1駆動電圧と、前記第1駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧と、第2駆動電圧と、前記第2駆動電圧の極性を反転させた第2反転駆動電圧とを、この順番に前記ドライブラインに印加する駆動回路と、前記第1駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び第2容量信号と、前記第1反転駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び第2反転容量信号と、前記第2駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号及び第4容量信号と、前記第2反転駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び第4反転容量信号とを順番に読み出すセンスアンプと、前記第1容量信号及び前記第2容量信号を平均化した信号と、前記第1反転容量信号及び前記第2反転容量信号を平均化した信号との差成分である第1検出信号と、前記第3容量信号及び前記第4容量信号を平均化した信号と、前記第3反転容量信号及び前記第4反転容量信号を平均化した信号との差成分である第2検出信号とを演算し、前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて前記容量値推定データを演算する演算回路とを備える。
また本発明の一態様に係る静電容量値推定回路は、第1センスラインに交差する1本以上のドライブラインに一端が接続され、他端が前記第1センスラインに接続された1個以上の第1静電容量、第2センスラインに交差する前記ドライブラインに一端が接続され、他端が前記第2センスラインに接続された1個以上の第2静電容量との容量差を推定するための容量差推定データを取得する静電容量推定回路であって、前記ドライブラインに駆動電圧を印加する駆動回路と、前記駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2容量信号を読み出した後、前記駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4容量信号を読み出すセンスアンプとを備え、前記駆動回路は、前記駆動電圧の極性を反転させた反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、前記センスアンプは、前記反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2反転容量信号を読み出した後、前記反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4反転容量信号を読み出し、前記第1容量信号と前記第2容量信号との差、前記第3容量信号と前記第4容量信号との差、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差、及び前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差の4個の差成分を表す信号に基づいて、前記容量差推定データを演算する演算回路をさらに備える。
また本発明の一態様に係る静電容量値推定回路は、第1センスラインに交差する1本以上のドライブラインに一端が接続され、他端が前記第1センスラインに接続された1個以上の第1静電容量と、第2センスラインに交差する前記ドライブラインに一端が接続され、他端が前記第2センスラインに接続された1個以上の第2静電容量との間の容量差を推定するための容量差推定データを取得する静電容量推定回路であって、前記ドライブラインに第1駆動電圧を印加する駆動回路と、前記第1駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号を前記第1センスラインから読み出し、及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2容量信号を前記第2センスラインから読み出した後、前記第1駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号を前記第1センスラインから読み出し、及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4容量信号を前記第2センスラインから読み出すセンスアンプとを備え、前記駆動回路は、前記第1駆動電圧を印加した後、前記第1駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、前記センスアンプは、前記第1反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2反転容量信号を読み出した後、前記第1反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4反転容量信号を読み出し、前記駆動回路は、前記第1反転駆動電圧を印加した後、前記ドライブラインに第2駆動電圧を印加し、前記センスアンプは、前記第2駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第5容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第6容量信号を読み出した後、前記第2駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第7容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第8容量信号を読み出し、前記駆動回路は、前記第2駆動電圧を印加した後、前記第2駆動電圧の極性を反転させた第2反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、前記センスアンプは、前記第2反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第5反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第6反転容量信号を読み出した後、前記第2反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第7反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第8反転容量信号を読み出し、前記第1容量信号と前記第2容量信号との差と前記第3容量信号と前記第4容量信号との差とを平均化した信号と、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差と前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差とを平均化した信号との間の差を表す第1検出信号と、前記第5容量信号と前記第6容量信号との差と前記第7容量信号と前記第8容量信号との差とを平均化した信号と、前記第5反転容量信号と前記第6反転容量信号との差と前記第7反転容量信号と前記第8反転容量信号との差とを平均化した信号との間の差を表す第2検出信号とに基づいて、前記容量差推定データを演算する演算回路とを備える。
本発明の一態様によれば、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
本発明の実施形態1に係る静電容量検出回路の構成を示す回路図である。 図1に示す静電容量検出回路を駆動してセンスアンプの出力を取得する際の基本的な駆動パターンを示すタイミングチャートである。 図1に示す静電容量検出回路の8重サンプリング中にリセット動作を8回行ってセンスアンプの出力電圧を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。 図1に示す静電容量検出回路の8重サンプリング中にリセット動作を8回行ってセンスアンプの出力電圧を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。 図1に示す静電容量検出回路の8重サンプリング中にリセット動作を4回行ってセンスアンプの出力電圧を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。 図1に示す静電容量検出回路の8重サンプリング中にリセット動作を2回行ってセンスアンプの出力電圧を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。 図1に示す静電容量検出回路の8重サンプリング時にリセット動作を1回行ってセンスアンプの出力電圧を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。 図1に示す静電容量検出回路を図2から図7に示す駆動パターンにより駆動させた際の周波数特性を比較したグラフである。 図8のグラフにおいて周波数を示す横軸を対数表記にしたグラフである。 図1に示す静電容量検出回路を図2から図7に示す駆動パターンにより駆動させた際のノイズレベルを比較した表である。 図10に示す表について、横軸を駆動パターンの種類とし、縦軸をノイズレベルとしたときのグラフである。 本発明の実施形態2に係る静電容量検出回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施形態3に係る静電容量検出回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施形態4に係る静電容量検出回路の構成を示す回路図である。 本発明の実施形態5に係る携帯電話の構成を示すブロック図である。 従来技術に係る静電容量検出回路の構成を示す回路図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
〔実施形態1〕
本発明の他の実施形態について、図1〜図11に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
<静電容量検出回路1の構成>
図1は、本実施形態に係る静電容量検出回路(静電容量推定回路)1の構成を示す回路図である。静電容量検出回路1は、センスラインSLに交差するドライブラインDL1〜DL4にそれぞれ一端が接続され、他端がセンスラインSLに接続された静電容量C1〜C4の容量値を推定するためのデータを取得する。
静電容量検出回路1は、駆動回路8を備えている。駆動回路8は、ドライブラインDL1〜DL4に電圧Vin1〜Vin4を印加する。センスラインSLには、センスライン寄生容量Cpが存在する。センスライン寄生容量Cpには、外部からノイズNZが印加される。静電容量検出回路1には、センスアンプ2が設けられている。センスアンプ2は、電圧Vin1〜Vin4の印加により静電容量C1〜C4に蓄積された電荷を、センスラインSLを通して読み出す。
センスアンプ2は、オペアンプ10を有している。オペアンプ10の反転入力端子はセンスラインSLに接続されており、非反転入力端子は基準電圧Vrに接続されている。センスアンプ2には、オペアンプ10の反転入力端子とオペアンプ10の出力とに接続された積分容量Cf及びスイッチSWRが互いに並列に設けられている。
センスアンプ2は、集積化されており、センスラインSLに接続された入力端子9を有している。
静電容量検出回路1は、アナログデジタル(AD)変換器3を備えている。AD変換器3は、駆動回路8がドライブラインDL1〜DL4に電圧Vin1〜Vin4を印加している間に、センスアンプ2の出力を複数回繰り返してサンプリングし、サンプリング毎にデジタル値に変換する。AD変換器3には、擬似乱数発生回路7が接続されている。擬似乱数発生回路7は、AD変換器3のサンプリング周期を制御するために、予め定められた範囲内の乱数を生成してAD変換器3に供給する。
静電容量検出回路1には、デジタル演算回路(演算回路)4が設けられている。デジタル演算回路4は、AD変換器3により変換された複数のデジタル値を平均化する。
ここで、駆動回路8は、駆動符号生成部20と接続されており、駆動符号生成部20から駆動符号を受け取る。駆動符号とは、駆動符号生成部20により生成される符号であって、駆動回路8がドライブラインDL1〜DL4に印加する電圧の極性を指示する正または負の符号を意味する。
また、デジタル演算回路4は、駆動符号生成部20と接続されており、駆動符号生成部20から駆動回路8が受け取った駆動符号を検知することができる。そして、デジタル演算回路4は、当該駆動符号に応じて、センスアンプ2の出力VoutがAD変換器3により変換されたデジタル値に対して処理を行うことができる。
<静電容量検出回路1の動作>
(静電容量検出回路1の駆動方法)
静電容量C1、C2、C3、及びC4のセンスラインSLと繋がらない方の端子に、ドライブラインDL1〜DL4を通して電圧Vin1、Vin2、Vin3、及びVin4を印加して、そのときのセンスアンプ2の出力電圧をAD変換器3により複数回繰り返して読み出すことで容量C1、C2、C3、及びC4の値を推定するためのデータを得る。センスラインSLの電荷をリセットするため、まずスイッチSWRを閉じて、ドライブラインDL1〜DL4への印加電圧Vin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とする。
AD変換器3による読み出しの繰り返し回数は、実際には、駆動方式や外来ノイズの状況、必要とされる信号対ノイズ比(S/N;Signal-to-Noise ratio)により、数回から1000回以上まで多様な数値を取り得る。ここで、S/Nとは、センスアンプ2の出力電圧Voutに含まれる容量C1〜C4に起因する信号成分とノイズNZに起因する雑音成分の比を表す。ここで、AD変換器3によるセンスアンプ2の出力電圧Voutの複数回繰り返しサンプリングにおいては、指やペンのタッチ位置を検出するために必要とされるS/N比を実現でき、かつ一回のタッチ位置検出に許容される時間内に完了できる適切な繰り返し回数を選ぶ。
その後、時刻t0においてスイッチSWRを開き、さらにその後、駆動電圧をVin1=Vd、Vin2=Vin3=Vin4=0にして出力が収束した後の時刻tにおける出力電圧値は、
Vout(t)=−{Vd・C1+(Vn(t)−Vn(t0))・Cp}/Cf+Vr …式(1)、
となり、Vn(t)−Vn(t0)というノイズで決まる誤差を許容すると静電容量C1の値を推定できる。ここで、ノイズによる誤差を削減するために、駆動電圧をVin1=Vd、Vin2=Vin3=Vin4=0にして、出力が収束した後の出力電圧を時刻t11、t12、…t1nにおいてAD変換器3によりn回繰り返してサンプリングしてデジタル値に変換し、デジタル演算回路4によりそれらのデジタル値の加算平均Vout_aveを求めると、
Vout_ave=−{n・Vd・C1+(Vn(t11)+Vn(t12)+・・・+Vn(t1n)−n・Vn(t0))・Cp}/(n・Cf)+Vr、
となる。この加算平均値に含まれるノイズの項、(Vn(t11)+Vn(t12)+・・・+Vn(t1n)−n・Vn(t0))/nはサンプル間のノイズ電圧Vn(t11)、Vn(t12)、…Vn(t1n)に相関が無ければ、rms値(二乗平均平方根、Root Mean Square)は1/sqrt(n)に比例して小さくなる。ここで、sqrt(n)とは、数値nの平方根を意味し、以下おいても同様である。
一般に寄生容量Cpを介してセンスラインSLに影響するノイズ電圧Vnは、液晶ディスプレイの表示画面に依存してランダムな変化があり、サンプル間の相関は小さいことが期待される。しかしながら、ノイズ電圧が液晶ディスプレイの画面走査の周期で周期的に変動したり、あるいは、タッチパネルを操作する人体を介して混入する外部の周期的変動ノイズの場合には、周期的なサンプリングではサンプル間の相関が大きくなることもあり得る。この様な場合でも、平均化により効果的にノイズ量を削減するために、擬似乱数発生回路7によりサンプリングの時刻を非周期的にすることが推奨される。
(静電容量検出回路1の他の駆動方法)
静電容量検出回路1の他の駆動方法による容量値の推定方法を以下に説明する。上述した駆動方法と同様に、センスラインSLの電荷をリセットするため、まずスイッチSWRを閉じて、ドライブラインDL1〜DL4への印加電圧Vin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とする。その後、時刻t01においてスイッチSWRを開き、さらにその後、(Vin1、Vin2、Vin3、Vin4)=(Vd、Vd、Vd、Vd)を印加した時の出力を時刻t1でサンプリングした値をVout(t1)とすると、
Vout(t1)=−Vd(C1+C2+C3+C4)/Cf−(Vn(t1)−Vn(t01))Cp/Cf+Vr …式(2)、
となる。
次に、センスラインSLの電荷をリセットするため、スイッチSWRを閉じて、ドライブラインDL1〜DL4への印加電圧Vin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とする。その後、時刻t02においてスイッチSWRを開き、さらにその後、(Vin1、Vin2、Vin3、Vin4)=(Vd、−Vd、Vd、−Vd)を印加した時の出力を時刻t2でサンプリングした値をVout(t2)とすると、
Vout(t2)=−Vd(C1−C2+C3−C4)/Cf−(Vn(t2)−Vn(t02))Cp/Cf+Vr …式(3)、
となる。
次に、センスラインSLの電荷をリセットするため、スイッチSWRを閉じて、ドライブラインDL1〜DL4への印加電圧Vin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とする。その後、時刻t03においてスイッチSWRを開き、さらにその後、(Vin1、Vin2、Vin3、Vin4)=(Vd、Vd、−Vd、−Vd)を印加した時の出力を時刻t3でサンプリングした値をVout(t3)とすると、
Vout(t3)=−Vd(C1+C2−C3−C4)/Cf−(Vn(t3)−Vn(t03))Cp/Cf+Vr …式(4)、
となる。
次に、センスラインSLの電荷をリセットするため、スイッチSWRを閉じて、ドライブラインDL1〜DL4への印加電圧Vin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とする。その後、時刻t04においてスイッチSWRを開き、さらにその後、(Vin1、Vin2、Vin3、Vin4)=(Vd、−Vd、−Vd、Vd)を印加した時の出力を時刻t4でサンプリングした値をVout(t4)とすると、
Vout(t4)=−Vd(C1−C2−C3+C4)/Cf−(Vn(t4)−Vn(t04))Cp/Cf+Vr …式(5)、
となる。
そして、式(2)、式(3)、式(4)、及び式(5)で得られた電圧値の4つの線形和を以下のように求める。
Vout(t1)+Vout(t2)+Vout(t3)+Vout(t4)
=−4Vd・C1/Cf−(Vn(t1)+Vn(t2)+Vn(t3)+Vn(t4))・Cp/Cf+(Vn(t01)+Vn(t02)+Vn(t03)+Vn(t04))・Cp/Cf+4Vr …式(6)、
Vout(t1)−Vout(t2)+Vout(t3)−Vout(t4)
=−4Vd・C2/Cf−(Vn(t1)−Vn(t2)+Vn(t3)−Vn(t4))・Cp/Cf+(Vn(t01)−Vn(t02)+Vn(t03)−Vn(t04))・Cp/Cf …式(7)、
Vout(t1)+Vout(t2)−Vout(t3)−Vout(t4)
=−4Vd・C3/Cf−(Vn(t1)+Vn(t2)−Vn(t3)−Vn(t4))・Cp/Cf+(Vn(t01)+Vn(t02)−Vn(t03)−Vn(t04))・Cp/Cf …式(8)、
Vout(t1)−Vout(t2)−Vout(t3)+Vout(t4)
=−4Vd・C4/Cf−(Vn(t1)−Vn(t2)−Vn(t3)+Vn(t4))・Cp/Cf+(Vn(t01)−Vn(t02)−Vn(t03)+Vn(t04))・Cp/Cf …式(9)、
これらの演算結果により、ノイズ電圧Vn(t)に依存した誤差を許容すれば、静電容量C1、C2、C3、C4を推定することが可能である。ノイズ電圧を削減するためには、出力Vout(t1)、Vout(t2)、Vout(t3)、及びVout(t4)を得るためのサンプリングをそれぞれAD変換器3により複数回繰り返し行ってデジタル値に変換し、デジタル演算回路4によりそれらのデジタル値の加算平均Vout_ave1、Vout_ave2、Vout_ave3、及びVout_ave4を求めて、式(6)、式(7)、式(8)、及び式(9)における出力Vout(t1)、Vout(t2)、Vout(t3)、Vout(t4)を置き換えることでノイズを小さくすることが可能である。この場合も、平均化により効果的にノイズ量を削減するために、擬似乱数発生回路7によりサンプリングの時刻をランダム化することが推奨される。
<静電容量検出回路1の駆動パターン>
以下では、図1に示す静電容量検出回路1おいて、スイッチSWRを閉じて駆動回路8がドライブラインDL1〜DL4に印加する電圧を0とするリセット動作のタイミング、駆動回路8によるドライブラインDL1〜DL4への電圧の印加(ドライブ)動作のタイミング、センスアンプ2の出力電圧Voutの値を取得するデータ取得動作のタイミングを表す駆動パターンについて説明する。
また、以下では、センスアンプ2、2B、2D、または2Fの出力電圧Voutの値を「出力値」と呼称する。また、以下では、駆動回路8、8B、8D、または8FがドライブラインDL1〜DL4に印加する電圧を「駆動電圧」と呼称する。
(基本的な駆動パターン)
図2は、図1に示す静電容量検出回路1を駆動して出力値を取得する際の基本的な駆動パターンを示すタイミングチャートである。図2に示すように、まず、Reset_int信号がオンされる。これを受けて、静電容量検出回路1では、上述のリセット動作が実施される。つまり、reset1で示すタイミング(Reset_int信号の立ち下がり)のデータをリセットデータ(基準データ)とする。
次に、Drive信号がオンされる。これを受けて、静電容量検出回路1では、上述のドライブ動作が実施される。そして、Data1で示すタイミングにて、データ取得動作が実施される。
本発明に係る静電容量検出回路では、Data1で取得されるデータは、Data1時点の値とreset1時点の値(リセットデータ(基準データ))との差分データである。つまり、Data1で取得されるデータは、相関2重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)が行われたデータである。CDSとは、サンプリングする信号中の雑音を抑制するためのサンプリング方法であって、本発明においては、ドライブ動作後の出力値から、リセット動作後の出力値を減算することを意味する。そして、図2に示す駆動パターンでは、Data1で取得されるデータは、Data1時点の値とreset1時点の値(リセットデータ(基準データ))とCDS処理が行われている。当該減算は、図1に示すオペアンプ10のリセット動作(SWRの閉開)によって、実現されている。より詳細に説明すると、Reset_int信号がH(ハイ)期間の時に、スイッチSWRが閉じられる。そして、Reset_int信号の立ち下がりのタイミングをリセット(基準値)として、その時点からの電荷の変化をオペアンプ10は出力する。したがって、ドライブ後のData1のタイミングで取得されるオペアンプ10の出力には、Reset_int信号の立ち下がりのタイミングをリセット(基準値)とした差成分が出力されている。
なお、ドライブ前信号をAD変換器3で取り込んで、この値をリセット値(基準値)として、ドライブ後の値をAD変換器3で取り込んで、AD変換器3によりAD変換が実施された後にデジタル演算回路4の内部で減算する信号処理構成でも良い。
以下では、このようなCDSによって取得された減算値を「CDS値」と呼称する。特に、(reset1時点での値を基準にした)Data1時点で得られる値を「Data1及びreset1のCDS値」のごとく呼称する。
ここで、reset1で示すタイミングからData1で示すタイミングまでの期間は、例えば1マイクロ秒であってもよい。以下では、この期間を「CDS期間」と呼称する。特に、reset1で示すタイミングからData1で示すタイミングまでのCDS期間を「reset1及びData1のCDS期間」のごとく呼称する。
駆動符号「D0」とは、駆動電圧の極性が正である、正の駆動符号を意味する。
Phase(フェイズ)とは、センスラインSLが複数存在する場合に、当該複数のセンスラインのうち、どのセンスラインをセンスアンプ2へ入力して静電容量検出回路1を駆動するのかを示す駆動単位を意味する。つまり、フェイズ「p0」からフェイズ「p1」へ移行する場合には、センスアンプ2へ入力されていたセンスラインSLが、例えば図示しない切替回路により他のセンスラインへ切り替えられる。
なお、図2に示す駆動パターンでは、駆動回路8が駆動電圧の印加を開始する、つまり駆動電圧をオフからオンにする、または、駆動電圧をオンからオフする動作の回数は2回である。以下では、駆動電圧をオフからオンにする、または、駆動電圧をオンからオフにする動作の回数を「トグル回数」と呼称する。また、以下では、駆動電圧の極性が変化する回数も、トグル回数として数える。
(多重サンプリングを行う駆動パターン)
図3は、静電容量検出回路1の8重サンプリング中にリセット動作を8回行って出力値を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。図3に示すように、フェイズ「p0」が続く期間において、CDS値が8回取得されている。そして、当該取得された複数のCDS値(Data1及びreset1のCDS値、Data2及びreset2のCDS値、…、並びにData8及びreset8のCDS値)は、最終的に、図1に示すデジタル演算回路4により平均化される。そして、当該平均化により、ノイズNZに起因して静電容量検出回路1の出力Doutに混入するノイズを抑制することができる。
このように、同じフェイズにおいて、CDS値を複数回取得することを、以下では「多重サンプリング」と呼称する。特に、CDS値を8回取得する場合には、「8重サンプリング」のごく呼称する。
ここで、reset1及びData1のCDS期間、reset2及びData2のCDS期間、…、並びにreset8及びData8のCDS期間は、例えば1マイクロ秒であってもよい。
なお、図3に示す駆動パターンでは、トグル回数は16回である。
(反転駆動中に多重サンプリングを行う駆動パターン)
図4は、図1に示す静電容量検出回路1の8重サンプリング中にリセット動作を8回行って出力値を複数回取得する際の他の駆動パターンを示すタイミングチャートである。図4に示すように、駆動符号「D0b」により静電容量検出回路1を駆動する期間が存在する。
ここで、駆動符号「D0b」とは、駆動電圧の極性が負である、負の駆動符号を意味する。しかしながら、この構成に限定されるわけではない。例えば、上述の駆動符号「D0」は、駆動電圧の極性が負である負の駆動符号を意味するとともに、上述の駆動符号「D0b」は、駆動電圧の極性が正である正の駆動符号を意味してもよい。以下では、図4に示すように正及び負の駆動符号を混在させて静電容量検出回路を駆動する駆動方法を「反転駆動」と呼称する。
以下では、図4に示すタイミングチャートを順に説明する。まず、Data1及びreset1のCDS値が取得される。当該CDS値が取得された後、再度Reset_int信号がオンされる。次に、reset2で示すタイミング(Reset_int信号の立ち下がり)のデータをリセットデータ(基準データ)とする。ここで、駆動符号「D0b」により、静電容量は反転駆動される。そして、当該反転駆動時に、Data2で示すタイミングにて、データ取得動作が実施される。次に、当該反転駆動時のData2及びreset2のCDS値が取得される。同様にして、Data3及びreset3のCDS値、反転駆動時のData4及びreset4のCDS値、Data5及びreset5のCDS値、反転駆動時のData6及びreset6のCDS値、Data7及びreset7のCDS値、反転駆動時のData8及びreset8のCDS値が取得される。
そして、当該取得された複数のCDS値は、反転駆動時のCDS値を反転させた上で、最終的に、図1に示すデジタル演算回路4により平均化される。当該CDS値の反転は、図示しない反転器などにより行われてもよいし、図1に示すAD変換器3によりAD変換が実施される前にAD変換器3の内部で行われてもよいし、AD変換器3によりAD変換が実施された後にデジタル演算回路4の内部で行われてもよい。
ここで、reset1及びData1のCDS期間、reset2及びData2のCDS期間、…、及びreset8及びData8のCDS期間は、例えば1マイクロ秒であってもよい。
図3に示す8重サンプリングを利用した駆動パターンによっても静電容量検出回路1の出力Doutに混入するノイズを抑制可能であるものの、当該ノイズのうち低周波ノイズを充分に抑制できない場合がある。しかしながら、図4に示すように、反転駆動中に多重サンプリングを行うことによって、後述するように低周波ノイズを充分に抑制することができる。
なお、図4に示す駆動パターンでは、トグル回数は8回であり、図3に示す駆動パターンでのトグル回数と比較して、トグル回数が2分の1になっている。ここで、トグル回数が少ない場合にはトグル回数が多い場合と比較して駆動信号の周波数が低くなるので、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧にも効果がある。したがって、図4に示す駆動パターンでは、図3に示す駆動パターンと比較して駆動信号に起因する不要輻射を低減することができる。
(同一の駆動符号が続く期間に複数回CDS値の取得を行う駆動パターン)
図5は、図1に示す静電容量検出回路の8重サンプリング中にリセット動作を4回行って出力値を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。図5に示すように、フェイズ「p0」が続く期間において、Reset_intは4回オンされている。そして、駆動符号「D0」が続く各期間において、CDS値の取得が2回行われている。また、駆動符号「D0b」が続く各期間において、CDS値の取得が2回行われている。
以下では、図5に示すタイミングチャートを順に説明する。まず、Data1及びreset1のCDS値が取得される。その後、Reset_int信号がオンされることなく、駆動符号「D0」が続く期間において、Data2及びreset1のCDS値が取得される。次に、Reset_int信号がオンされる。そして、駆動符号「D0b」が続く期間において、反転駆動中のData3及びreset3のCDS値並びに反転駆動中のData4及びreset3のCDS値が取得される。同様にして、Data5及びreset5のCDS値、Data6及びreset5のCDS値、反転駆動中のData7及びreset7のCDS値、並びに反転駆動中のData8及びreset7のCDS値が取得される。
そして、当該取得された複数のCDS値は、反転駆動時のCDS値を反転させた上で、最終的に、図1に示すデジタル演算回路4により平均化される。
ここで、reset1及びData1のCDS期間、reset3及びData3のCDS期間、reset5及びData5のCDS期間、並びにreset7及びData7のCDS期間は、例えば1マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData2のCDS期間、reset3及びData4のCDS期間、reset5及びData6のCDS期間、並びにreset7及びData8のCDS期間は、例えば3マイクロ秒であってもよい。
なお、図5に示す駆動パターンでは、トグル回数は4回であり、図3に示す駆動パターンでのトグル回数と比較して4分の1になっている。したがって、図5に示す駆動パターンでは、図3及び図4に示す駆動パターンと比較して駆動信号に起因する不要輻射を低減することができる。
(同一の駆動符号が続く期間に複数回CDS値の取得を行う他の駆動パターン)
図6は、図1に示す静電容量検出回路の8重サンプリング中にリセット動作を2回行って出力値を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。図6に示すように、フェイズ「p0」が続く期間において、Reset_intは2回オンされている。そして、駆動符号「D0」が続く期間において、CDS値の取得が4回行われている。また、駆動符号「D0b」が続く期間において、CDS値の取得が4回行われている。
以下では、図6に示すタイミングチャートを順に説明する。まず、Data1及びreset1のCDS値が取得される。その後、Reset_int信号がオンされることなく、駆動符号「D0」が続く期間において、Data2及びreset1のCDS値、Data3及びreset1のCDS値、並びにData4及びreset1のCDS値が取得される。次に、Reset_int信号がオンされる。そして、駆動符号「D0b」が続く期間において、反転駆動中のData5及びreset5のCDS値、反転駆動中のData6及びreset5のCDS値、反転駆動中のData7及びreset5のCDS値、並びに反転駆動中のData8及びreset5のCDS値が取得される。
そして、当該取得された複数のCDS値は、反転駆動時のCDS値を反転させた上で、最終的に、図1に示すデジタル演算回路4により平均化される。
ここで、reset1及びData1のCDS期間並びにreset5及びData5のCDS期間は、例えば1マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData2のCDS期間並びにreset5及びData6のCDS期間は、例えば3マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData3のCDS期間並びにreset5及びData7のCDS期間は、例えば5マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData4のCDS期間並びにreset5及びData8のCDS期間は、例えば7マイクロ秒であってもよい。
なお、図6に示す駆動パターンでは、トグル回数は2回であり、図3に示す駆動パターンでのトグル回数と比較して8分の1になっている。したがって、図6に示す駆動パターンでは、図3〜図5に示す駆動パターンと比較して駆動信号に起因する不要輻射を低減することができる。
(1度のリセット動作に対して複数回CDS値の取得を行う駆動パターン)
図7は、図1に示す静電容量検出回路1の8重サンプリング時にリセット動作を1回行って出力値を複数回取得する際の駆動パターンを示すタイミングチャートである。図7に示すように、フェイズ「p0」が続く期間において、Reset_intは1回オンされている。そして、駆動符号「D0」が続く期間において、CDS値の取得が8回行われている。つまり、図7に示す駆動パターンにおいては、反転駆動が行われない。また、換言するならば、図7に示す駆動パターンは、1度のドライブ(ドライブラインDL1〜DL4への駆動電圧の印加)中に、出力値を複数回サンプリングする構成である。
以下では、図7に示すタイミングチャートを順に説明する。まず、Data1及びreset1のCDS値が取得される。その後、Reset_int信号がオンされることなく、駆動符号「D0」が続く期間において、Data2及びreset1のCDS値、Data3及びreset1のCDS値、…、並びにData8及びreset1のCDS値が取得される。
そして、当該取得された複数のCDS値は、最終的に、図1に示すデジタル演算回路4により平均化される。
ここで、reset1及びData1のCDS期間は、例えば1マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData2のCDS期間は、例えば3マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData3のCDS期間は、例えば5マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData4のCDS期間は、例えば7マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData5のCDS期間は、例えば9マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData6のCDS期間は、例えば11マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData7のCDS期間は、例えば13マイクロ秒であってもよい。また、reset1及びData8のCDS期間は、例えば15マイクロ秒であってもよい。
なお、図7に示す駆動パターンでは、トグル回数は1回であり、図3に示す駆動パターンでのトグル回数と比較して16分の1になっている。したがって、図7に示す駆動パターンでは、図3〜図6に示す駆動パターンと比較して駆動信号に起因する不要輻射を低減することができる。
図7に示す駆動パターンにて駆動する静電容量検出回路1では、以上のようにして、駆動回路8がドライブラインDL1〜DL4に電圧を印加している間に、センスアンプ2の出力を複数回サンプリングし、サンプリング毎にデジタル値に変換する。このため、静電容量C1〜C4をリセットして駆動電圧を与えてセンスアンプ2で読み出すという処理を繰り返す構成よりも処理時間を短縮することができる。
(駆動パターンの比較)
図8は、図1に示す静電容量検出回路1を図2から図7に示す駆動パターンにより駆動させた際の周波数特性を比較したグラフである。当該周波数特性は、ノイズNZをシステムの入力、静電容量検出回路1の出力Doutの信号変化量をシステムの出力としたときの、当該システムの周波数特性である。
まず、図2に示す駆動パターンによる駆動(基本サンプリング)では、周波数が500kHzであるときに最大の信号変化量となっている。また、200kHz〜800kHzの周波数帯域にて、信号変化量は0dbを越えている。つまり、当該周波数帯域では、静電容量検出回路1の出力Doutの信号変化量は、ノイズNZと比較して大きくなることがわかる。
しかしながら、図3〜図7に示す駆動パターンによる駆動((1)8重サンプリング〜(5)8重サンプリング)では、200kHz〜800kHzの周波数帯域にて、信号変化量は、基本サンプリングと比較して概ね小さくなっていることがわかる。つまり、多重サンプリングを採用することにより、ノイズを抑制することができる。
図9は、図8のグラフにおいて周波数を示す横軸を対数表記にしたグラフである。換言するならば、図9は、図8のグラフにおいて低周波帯域の信号変化量を強調したグラフである。図9から、曲線CL2で示す「(2)8重サンプリング(図4に示す駆動パターンによる駆動に対応)」の信号変化量は、他と比較して小さくなっていることがわかる。一方、当該信号変化量と比較して、曲線CL3で示す「(3)8重サンプリング(図5に示す駆動パターンによる駆動に対応)」の信号変化量は大きくなっている。また、当該信号変化量と比較して、曲線CL4で示す「(4)8重サンプリング(図6に示す駆動パターンによる駆動に対応)」の信号変化量は、さらに大きくなっている。また、当該信号変化量と比較して、曲線CL5で示す「(5)8重サンプリング(図7に示す駆動パターンによる駆動に対応)」の信号変化量は、さらにより大きくなっている。また、曲線CL1で示す「(1)8重サンプリング(図3に示す駆動パターンによる駆動に対応)」の信号変化量は、概ね、曲線CL2で示す信号変化量と曲線CL5で示す信号変化量との中間程度になっている。このような信号変化量の大小関係を、以下では数値で表して比較する。
図10は、図1に示す静電容量検出回路1を図2から図7に示す駆動パターンにより駆動させた際のノイズレベルを比較した表である。図10では、図8に示す各信号変化量を0〜1000kHzの周波数の範囲において積分し、基本サンプリングの積分値に対する各8重サンプリングの積分値(ノイズレベル)を求めている。また、図10では、ノイズNZをホワイトノイズ及び1/fノイズとして、ノイズレベルを求めている。ここで、ホワイトノイズとは、全周波数帯域においてパワーが変化しないようなノイズを意味する。また、1/fノイズとは、そのパワーが周波数に反比例して変化するようなノイズを意味する。
ここで、8重サンプリングを行った際のノイズレベルの理論値は、1/sqrt(8)(=0.35)である。(1)及び(2)の8重サンプリングでは、ノイズレベルは0.33〜0.37となっており、ほぼ理論値となっていることがわかる。一方、(3)の8重サンプリングでは、ノイズレベルは0.43、0.50となっており、(1)及び(2)と比較して大きくなっていることがわかる。そして、(5)の8重サンプリングでは、ノイズレベルは0.75、1.01となっており、8重サンプリングの中で最も大きなノイズレベルとなっていることがわかる。
(1)と(2)の8重サンプリングでは、上述のリセット動作をサンプリング期間中に8回行っている。また、(3)の8重サンプリングでは、リセット動作をサンプリング期間中に4回行っている。また、(4)の8重サンプリングでは、リセット動作をサンプリング期間中に2回行っている。また、(5)の8重サンプリングでは、リセット動作をサンプリング期間中に1回行っている。
図11は、図10に示す表について、横軸を駆動パターンの種類とし、縦軸をノイズレベルとしたときのグラフである。図11からもわかるように、リセット回数が少ない8重サンプリングほど、ノイズレベルが大きくなっている。
したがって、多重サンプリングにおいては、リセット回数を多くするほど、ノイズレベルが小さくなっていると言える。一方、リセット回数を多くするほど、トグル回数が増えるので、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力が大きくなる。この関係に応じて、静電容量検出回路1では、駆動符号生成部20を備えることにより、1回のリセット動作に対する出力値の取得回数を、所望の回数に変更することができる。
<静電容量検出回路1の効果>
本実施形態によれば、静電容量に充電された電荷量をセンスアンプで読み出すための処理時間の短縮と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
ここで、静電容量検出回路1の出力Doutに対するノイズNZに起因するノイズの影響を抑制するためには、静電容量C1〜C4のリセット回数及びセンスアンプ2の出力取得回数(積分回数)を増やすことが有効であるものの、例えば静電容量検出回路1をタッチパネルに利用したとき、当該タッチパネルにおいて高速にタッチを検出するためには、静電容量検出回路1におけるセンスアンプ2の出力の取得動作も高速化する必要があり、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力が大きくなる。
また、タッチパネルに利用する静電容量の容量値を大きくした場合には、リセットによるその静電容量の充放電に関わる消費電力がさらに大きくなる。特に、液晶パネルにタッチパネルの機能を内蔵させた、いわゆるインセル型のタッチパネルにおいては、利用される静電容量の容量値が大きくなる傾向があるため、当該静電容量の充放電に関わる消費電力がさらにより大きくなり得る。
本実施形態によれば、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズを低減しつつ、静電容量のリセット回数を所望の数とすることで、低消費電力化と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
すなわち、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<静電容量検出回路1Bの構成>
図12は、本実施形態に係る静電容量検出回路(静電容量推定回路)1Bの構成を示す回路図である。図12において、静電容量検出回路1Bは、駆動回路8Bとセンスアンプ2BとAD変換器3Bとデジタル演算回路(演算回路)4Bとを備えている。
<静電容量検出回路1Bの動作及び効果>
静電容量C1、C2、C3、C4のセンスラインSLと繋がらない方の端子に電圧Vin1、Vin2、Vin3、Vin4を印加して、そのときのセンスアンプ2Bの出力電圧を複数回繰り返して読み出すことで静電容量C1、C2、C3、及びC4を推定するためのデータを得る。センスラインSLの電荷をリセットするため、まずスイッチSWRを閉じて、ドライブラインDL1〜DL4への印加電圧Vin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とする。その後、時刻t0においてスイッチSWRを開き、さらにその後、駆動電圧を第1の駆動電圧の組Vin1=Vin11、Vin2=Vin21、Vin3=Vin31、Vin4=Vin41にして、出力が収束した後の時刻t1における出力電圧値は、
Vout(t1)=−(Vin11・C1+Vin21・C2+Vin31・C3+Vin41・C4)/Cf−(Vn(t1)−Vn(t01))・Cp/Cf+Vr+Voff …式(10)、
となる。ここで、Voffはセンスアンプ2Bの入力オフセット電圧である。
次に、駆動電圧を第2の駆動電圧の組Vin1=Vin12、Vin2=Vin22、Vin3=Vin32、Vin4=Vin42にして、出力が収束した後の時刻t2における出力電圧値は、
Vout(t2)=−(Vin12・C1+Vin22・C2+Vin32・C3+Vin42・C4)/Cf−(Vn(t2)−Vn(t01))・Cp/Cf+Vr+Voff …式(11)、
となる。
式(10)と式(11)とより、
Vout_cds=Vout(t2)−Vout(t1)
=−{(Vin12−Vin11)・C1+(Vin22−Vin21)・C2+(Vin32−Vin31)・C3+(Vin42−Vin41)・C4−(Vn(t2)−Vn(t1))・Cp/Cf、
となる。
これは、相関2重サンプリングの原理により、時刻t1におけるノイズと時刻t2におけるノイズとに含まれる相関成分をキャンセルすることを目的としている。Vout_cdsに含まれるノイズの項であるVn(t2)−Vn(t1)は、時刻t1と時刻t2におけるノイズに相関があればキャンセルされる。また、上の式には表記していないが、センスアンプ2Bのノイズも時刻t1と時刻t2で相関のある部分はキャンセルされる。特に、センスアンプ2Bの入力オフセットのように時間変動のないノイズは完全にキャンセルされる。複数のセンスアンプ2Bを並列して使う場合には、個々のセンスアンプ2Bの入力オフセット電圧のばらつきが問題になるため、相関2重サンプリングの採用が望ましい。
ここで、第1の駆動電圧を加えた時の出力電圧をAD変換器3Bにより複数回繰り返してサンプリングしてデジタル演算回路4Bにより加算平均を取ると、式(10)より、加算平均値は、
Vout_ave1=−(Vin11・C1+Vin21・C2+Vin31・C3+Vin41・C4)/Cf−(Vn(t1)_ave−Vn(t01))・Cp/Cf+Vr+Voff …式(12)、
となる。ここでVn(t1)_aveは、第1の印加電圧を加えた状態で複数回サンプリングした時のノイズVn(t)の加算平均を表す。
さらに、第2の印加電圧を加えた時の出力電圧をAD変換器3Bにより複数回サンプリングしてデジタル演算回路4Bにより加算平均を取ると、式(11)より、加算平均値は、
Vout_ave2=−(Vin12・C1+Vin22・C2+Vin32・C3+Vin42・C4)/Cf−(Vn(t2)_ave−Vn(t01))・Cp/Cf+Vr+Voff …式(13)、
となる。ここでVn(t2)_aveは、第2の印加電圧を加えた状態で複数回サンプリングした時のノイズVn(t)の加算平均を表す。
デジタル演算回路4Bにより式(12)、式(13)で表わされる加算平均値の差をとると、
Vout_cds_ave=Vout_ave2−Vout_ave1
=−{(Vin12−Vin11)・C1+(Vin22−Vin21)・C2+(Vin32−Vin31)・C3+(Vin42−Vin41)・C4−(Vn(t2)_ave−Vn(t1)_ave)・Cp/Cf、
となる。
Vn(t1)_ave、Vn(t2)_aveともに、サンプル間の相関が小さければVn(t1)、Vn(t2)と比較して小さくなることが期待される。この場合でも、平均化により効果的にノイズ量を削減するために、擬似乱数発生回路7により、サンプリングの時刻をランダム化することが推奨される。
ここで、駆動回路8Bは、第1駆動電圧と、前記第1駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧と、第2駆動電圧と、前記第2駆動電圧の極性を反転させた第2反転駆動電圧とを、この順番に前記ドライブラインDL1〜DL4に印加する。
センスアンプ2Bは、前記第1駆動電圧により前記静電容量C1〜C4に蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び第2容量信号と、前記第1反転駆動電圧により前記静電容量C1〜C4に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び第2反転容量信号と、前記第2駆動電圧により前記静電容量C1〜C4に蓄積された電荷に基づく第3容量信号及び第4容量信号と、前記第2反転駆動電圧により前記静電容量C1〜C4に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び第4反転容量信号とを順番に読み出す。
AD変換器3Bは、前記センスアンプにより読み出された前記第1容量信号、前記第2容量信号、前記第1反転容量信号、前記第2反転容量信号、前記第3容量信号、前記第4容量信号、前記第3反転容量信号、及び前記第4反転容量信号をAD変換してデジタル演算回路4Bに供給する。
デジタル演算回路4Bは、前記第1容量信号及び前記第2容量信号を平均化した信号と、前記第1反転容量信号及び前記第2反転容量信号を平均化した信号との差成分である第1検出信号と、前記第3容量信号及び前記第4容量信号を平均化した信号と、前記第3反転容量信号及び前記第4反転容量信号を平均化した信号との差成分である第2検出信号とを演算し、前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて前記容量値推定データを演算する。
なお、前記第2駆動電圧は、前記第1駆動電圧の極性を反転させた電圧であってもよい。
上記構成により、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<静電容量検出回路1Dの構成>
図13は、本実施形態に係る静電容量検出回路(静電容量推定回路)1Dの構成を示す回路図である。図13において、静電容量検出回路1Dは、センスラインSLA・SLBに交差するドライブラインDL1〜DL4にそれぞれ一端が接続され、それぞれ他端がセンスラインSLA・SLBに接続された静電容量C1A〜C4A、C1B〜C4Bの容量値を推定するためのデータを取得する。
静電容量検出回路1Dは、駆動回路8を備えている。駆動回路8は、ドライブラインDL1〜DL4に電圧Vin1〜Vin4を印加する。センスラインSLA・SLBには、それぞれセンスライン寄生容量CpA・CpBが存在する。センスライン寄生容量CpA・CpBには、それぞれ外部からノイズNZA・NZBが印加される。静電容量検出回路1Dには、センスアンプ2Dが設けられている。センスアンプ2Dは、電圧Vin1〜Vin4の印加により静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷及び静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷の差を、センスラインSLA・SLBを通して読み出す。
センスアンプ2Dは、差動オペアンプ11Dを有している。差動オペアンプ11Dの非反転入力端子はセンスラインSLBに接続されており、反転入力端子はセンスラインSLAに接続されている。
センスアンプ2Dには、差動オペアンプ11Dの非反転入力端子と差動オペアンプ11Dの一方の出力とに接続された積分容量CfB及びスイッチSWRBが互いに並列に設けられており、差動オペアンプ11Dの反転入力端子と差動オペアンプ11Dの他方の出力とに接続された積分容量CfA及びスイッチSWRAが互いに並列に設けられている。
静電容量検出回路1Dは、AD変換器3Dを備えている。AD変換器3Dは、駆動回路8がドライブラインDL1〜DL4に電圧Vin1〜Vin4を印加している間に、センスアンプ2Dの一対の出力を複数回繰り返してサンプリングし、サンプリング毎にデジタル値に変換する。AD変換器3Dには、擬似乱数発生回路7が接続されている。擬似乱数発生回路7は、AD変換器3Dのサンプリング周期を制御するために、予め定められた範囲内の乱数を生成してAD変換器3Dに供給する。
静電容量検出回路1Dには、デジタル演算回路(演算回路)4Dが設けられている。デジタル演算回路4Dは、AD変換器3Dにより変換された複数のデジタル値を平均化する。
<静電容量検出回路1Dの動作及び効果>
図13は、センスラインSLAとセンスラインSLBとに繋がった静電容量対(C1A、C1B)、(C2A、C2B)、(C3A、C3B)、(C4A、C4B)の容量差C1A−C1B、C2A−C2B、C3A−C3B、C4A−C4Bを推定する場合の回路例を示している。
センスラインSLAとセンスラインSLBとの電荷をリセットするため、スイッチSWRAとSWRBとを閉じて、ドライブラインDL1〜DL4への印加電圧をVin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とする。その後、時刻t0においてスイッチSWRAとスイッチSWRBとを開き、さらにその後、駆動電圧Vin1、Vin2、Vin3、Vin4を与えて出力が収束した後のセンスアンプ2Dの出力電圧値をAD変換器3Dで複数回繰り返してサンプリングしてデジタル化し、それをデジタル演算回路4Dにより平均化して出力の推定値を得る。この平均化により、センスラインSLA・SLBに形成された寄生容量CpA及びCpBを介したノイズ電圧Vn、Vn’の影響を軽減することができる。
具体的には、サンプリング時刻tにおけるセンスアンプ2Dの差動出力電圧Vout_d(t)は、
Vout_d(t)=−{Vin1・(C1A−C1B)+Vin2・(C2A−C2B)+Vin3・(C3A−C3B)+Vin4・(C4A−C4B)+(Vn(t)−Vn(t0))・CpA−(Vn’(t)−Vn’(t0))・CpB}/CfA、
と表される。ただし、CfA=CfBとしている。
従って、n回サンプリングしたVout_dを加算平均すると、サンプル毎のノイズ電圧Vnに相関が無く、かつサンプル毎のノイズ電圧Vn’に相関が無ければ(Vn(t)−Vn(t0))・CpA−(Vn’(t)−Vn’(t0))・CpBは1/sqrt(n)に小さくなり、信号対ノイズ比が改善する。この場合も、平均化により効果的にノイズ量を削減するために、サンプリングの時刻をランダム化することが推奨される。
ここで、駆動回路8Dは、ドライブラインDL1〜DL4に駆動電圧を印加する。センスアンプ2Dは、前記駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第2容量信号を読み出した後、前記駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第3容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第4容量信号を読み出す。
駆動回路8Dは、前記駆動電圧の極性を反転させた反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加する。前記センスアンプ2Dは、前記反転駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第2反転容量信号を読み出した後、前記反転駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第4反転容量信号を読み出す。
AD変換器3Dは、前記第1容量信号と前記第2容量信号との差、前記第3容量信号と前記第4容量信号との差、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差、及び前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差の4個の差成分を表す信号をAD変換してデジタル演算回路4Dに供給する。
デジタル演算回路4Dは、前記4個の差成分を表す信号に基づいて、前記容量差推定データを演算する。
上記構成により、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
また、差成分に基づいて容量差推定データを演算することにより、差を取得する前の信号に含まれるノイズを相殺でき、且つ、信号(容量)成分の絶対値を扱うことなく、信号(容量)成分の差(相対値)のみを扱うので、推定する静電容量値に対するダイナミックレンジを広くすることができる。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<静電容量検出回路1Fの構成>
図14は、本実施形態に係る静電容量検出回路(静電容量推定回路)1Fの構成を示す回路図である。図14において、静電容量検出回路1Fは、AD変換器3D、デジタル演算回路4Dの代わりにAD変換器3F、デジタル演算回路(演算回路)4Fを備えている。
<静電容量検出回路1Fの動作及び効果>
図14は、センスラインSLAとセンスラインSLBとに繋がった静電容量対(C1A、C1B)、(C2A、C2B)、(C3A、C3B)、(C4A、C4B)の容量差C1A−C1B、C2A−C2B、C3A−C3B、C4A−C4Bを推定する場合の回路例を示している。
センスラインSLAとセンスラインSLBとの電荷をリセットするため、スイッチSWRAとSWRBとを閉じて、ドライブラインDL1〜DL4への印加電圧をVin1=Vin2=Vin3=Vin4=0とする。その後、時刻t0においてスイッチSWRAとSWRBとを開き、さらにその後、第1の駆動電圧Vin1=Vin11、Vin2=Vin21、Vin3=Vin31、Vin4=Vin41でドライブラインDL1〜DL4を駆動してセンスアンプ2Fの差動出力の収束値をAD変換器3Fで複数回繰り返してサンプリング及びデジタル化して、それらをデジタル演算回路4Fにより加算平均してデジタル出力
Dout_1=−{Vin11(C1A−C1B)+Vin21(C2A−C2B)+Vin31(C3A−C3B)+Vin41(C4A−C4B)+(Vn(t1)_ave−Vn(t0))CpA−(Vn’(t1)_ave−Vn’(t0))CpB}/Cf+Voff、
を得る。
ここで、Voffはセンスアンプ2Fの入力オフセット電圧であり、Vn(t1)_aveは第1の駆動電圧を加えた状態で複数回繰り返してサンプリングした時のノイズVn(t)の加算平均、Vn’(t1)_aveは第1の駆動電圧を加えた状態で複数回繰り返してサンプリングした時のノイズVn’(t)の加算平均を表す。
次に、第2の駆動電圧Vin1=Vin12、Vin2=Vin22、Vin3=Vin32、Vin4=Vin42でドライブラインDL1〜DL4を駆動してセンスアンプ2Fの差動出力の収束値をAD変換器3Fで複数回サンプリング及びデジタル化して、それらをデジタル演算回路4Fにより加算平均してデジタル出力
Dout_2=−{Vin12(C1A−C1B)+Vin22(C2A−C2B)+Vin32(C3A−C3B)+Vin42(C4A−C4B)+(Vn(t2)_ave−Vn(t0))CpA−(Vn’(t2)_ave−Vn’(t0))・CpB}/CfA+Voff
を得る。
ここで、Vn(t2)_aveは第2の駆動電圧を加えた状態で複数回繰り返してサンプリングした時のノイズVn(t)の加算平均、Vn’(t2)_aveは第2の駆動電圧を加えた状態で複数回サンプリングした時のノイズVn’(t)の加算平均を表す。デジタル演算回路4Fにより、Dout_2からDout_1を減算して、
Dout_2−Dout_1=−{(Vin12−Vin11)(C1A−C1B)+(Vin22−Vin21)(C2A−C2B)+(Vin32−Vin31)(C3A−C3B)+(Vin42−Vin41)(C4A−C4B)}+(Vn(t2)_ave−Vn(t1)_ave)CpA−(Vn’(t2)_ave−Vn’(t1)_ave)CpB}/CfA、
となる。したがって、相関2重サンプリングと加算平均によりノイズが有効に減少することが期待できる。
ここで、駆動回路8Fは、前記ドライブラインDL1〜DL4に第1駆動電圧を印加する。センスアンプ2Fは、前記第1駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第1容量信号を前記センスラインSLAから読み出し、及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第2容量信号を前記センスラインSLBから読み出した後、前記第1駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第3容量信号を前記センスラインSLAから読み出し、及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第4容量信号を前記センスラインSLBから読み出す。
駆動回路8Fは、前記第1駆動電圧を印加した後、前記第1駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧を前記ドライブラインDL1〜DL4に印加する。前記センスアンプ2Fは、前記第1反転駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第2反転容量信号を読み出した後、前記第1反転駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第4反転容量信号を読み出す。
前記駆動回路8Fは、前記第1反転駆動電圧を印加した後、前記ドライブラインDL1〜DL4に第2駆動電圧を印加する。前記センスアンプ2Fは、前記第2駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第5容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第6容量信号を読み出した後、前記第2駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第7容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第8容量信号を読み出す。
前記駆動回路8Fは、前記第2駆動電圧を印加した後、前記第2駆動電圧の極性を反転させた第2反転駆動電圧を前記ドライブラインDL1〜DL4に印加する。前記センスアンプ2Fは、前記第2反転駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第5反転容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第6反転容量信号を読み出した後、前記第2反転駆動電圧により前記静電容量C1A〜C4Aに蓄積された電荷に基づく第7反転容量信号及び前記静電容量C1B〜C4Bに蓄積された電荷に基づく第8反転容量信号を読み出す。
AD変換器3Fは、前記第1容量信号と前記第2容量信号との差と、前記第3容量信号と前記第4容量信号との差と、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差と、前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差と、前記第5容量信号と前記第6容量信号との差と、前記第7容量信号と前記第8容量信号との差と、前記第5反転容量信号と前記第6反転容量信号との差と、前記第7反転容量信号と前記第8反転容量信号との差とをAD変換してデジタル演算回路4Fに供給する。
デジタル演算回路4Fは、前記第1容量信号と前記第2容量信号との差と前記第3容量信号と前記第4容量信号との差とを平均化した信号と、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差と前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差とを平均化した信号との間の差を表す第1検出信号と、前記第5容量信号と前記第6容量信号との差と前記第7容量信号と前記第8容量信号との差とを平均化した信号と、前記第5反転容量信号と前記第6反転容量信号との差と前記第7反転容量信号と前記第8反転容量信号との差とを平均化した信号との間の差を表す第2検出信号とに基づいて、前記容量差推定データを演算する。
なお、前記第2駆動電圧は、前記第1駆動電圧の極性を反転させた電圧であってもよい。
上記構成により、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
なお、“信号[A]および[B]の平均”とは、任意の時刻において、信号[A]の振幅と信号[B]の振幅とを平均した大きさの振幅を有する信号を表す。
また、差成分に基づいて容量差推定データを演算することにより、差を取得する前の信号に含まれるノイズを相殺でき、且つ、信号(容量)成分の絶対値を扱うことなく、信号(容量)成分の差(相対値)のみを扱うので、推定する静電容量値に対するダイナミックレンジを広くすることができる。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(携帯電話機60の構成)
図15は、本実施形態に係る携帯電話機(電子機器)60の構成を示すブロック図である。携帯電話機60は、CPU65と、RAM73と、ROM72と、カメラ66と、マイクロフォン67と、スピーカ68と、操作キー69と、表示パネル70と、表示制御回路71と、タッチパネルシステム61とを備えている。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。
CPU65は、携帯電話機60の動作を制御する。CPU65は、たとえばROM72に格納されたプログラムを実行する。操作キー69は、携帯電話機60のユーザによる指示の入力を受ける。RAM73は、CPU65によるプログラムの実行により生成されたデータ、または操作キー69を介して入力されたデータを揮発的に格納する。ROM72は、データを不揮発的に格納する。
また、ROM72は、EPROM(Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュメモリなどの書込み及び消去が可能なROMである。なお、図15には示していないが、携帯電話機60が、他の電子機器に有線により接続するためのインターフェイス(I/F;Interface)を備える構成としてもよい。
カメラ66は、ユーザの操作キー69の操作に応じて、被写体を撮影する。なお、撮影された被写体の画像データは、RAM73や外部メモリ(たとえば、メモリカード)に格納される。マイクロフォン67は、ユーザの音声の入力を受付ける。携帯電話機60は、当該入力された音声(アナログデータ)をデジタル化する。そして、携帯電話機60は、通信相手(たとえば、他の携帯電話機)にデジタル化した音声を送る。スピーカ68は、たとえば、RAM73に記憶された音楽データなどに基づく音を出力する。
タッチパネルシステム61は、タッチパネル62と静電容量または静電容量差を検出する静電容量検出回路1とタッチ位置検出回路64とを有している。ここで、静電容量検出回路1は、静電容量検出回路1B、1D、1Fであってもよい。CPU65は、タッチパネルシステム61の動作を制御する。
表示パネル70は、表示制御回路71により、ROM72、RAM73に格納されている画像を表示する。表示パネル70は、タッチパネル62に重ねられているか、タッチパネル62を内蔵している。なお、タッチパネルシステム61により生成されてタッチパネル62上のタッチ位置を示すタッチ認識信号に、操作キー69が操作されたことを示す信号と同じ役割を持たせることもできる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る静電容量値推定回路(静電容量検出回路1)は、センスラインSLに交差する1本以上のドライブラインDL1〜DL4に一端が接続され、他端が前記センスラインに接続された1個以上の静電容量(静電容量C1〜C4)の容量値を推定するための容量値推定データを取得する静電容量値推定回路であって、前記ドライブラインに駆動電圧を印加する駆動回路8と、前記駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び第2容量信号を順番に読み出すセンスアンプ2とを備え、前記駆動回路は、前記駆動電圧の極性を反転させた反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、前記センスアンプは、前記反転駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び第2反転容量信号を順番に読み出し、前記第1容量信号、前記第2容量信号、前記第1反転容量信号、及び前記第2反転容量信号に基づいて、前記容量値推定データを演算する演算回路(デジタル演算回路4)をさらに備える。
上述の構成によれば、第1容量信号、第2容量信号、第1反転容量信号、及び第2反転容量信号に基づいて、演算回路が容量値推定データを演算することで、各信号をサンプリングする瞬間にセンスライン寄生容量を介して混入するノイズ成分が平均化され、信号対ノイズ比の向上が可能である。そして、駆動回路がドライブラインに電圧を印加している間に、センスアンプの出力を複数回サンプリングし、サンプリング毎にデジタル値に変換するので、容量をリセットして駆動電圧を与えてセンスアンプで読み出すという処理を繰り返す構成よりも処理時間を短縮することができる。また、駆動回路は、駆動電圧の極性を反転させた反転駆動電圧をドライブラインに印加する。そして、センスアンプは、反転駆動電圧により静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び第2反転容量信号を順番に読み出す。これにより、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズを抑制することができる。
ここで、容量信号として、第1容量信号及び第2容量信号の2つの信号を取得し、反転容量信号として、第1反転容量信号及び第2反転容量信号の2つの信号を取得している。しかしながら、当該取得する各信号の数は2に限定されるわけではなく、3以上であってもよい。つまり、当該取得する各信号の数を、3以上の所望の数にすることができる。そして、取得する各信号の数が増えるほど、静電容量に充電された電荷量をセンスアンプで読み出すための処理時間が長くなるが、図8および図9に示すように周波数特性が変化しノイズ抑圧特性が良化し得る。よって、タッチパネルコントローラを使用する環境において、例えば特定周波数のノイズが多い場合には、上記取得する信号処理数を増やして当該ノイズを抑制してもよい。
すなわち、静電容量値推定回路は、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
本発明の態様2に係る静電容量値推定回路は、前記態様1において、前記センスアンプにより読み出された前記第1容量信号、前記第2容量信号、前記第1反転容量信号、及び前記第2反転容量信号をAD変換して前記演算回路に供給するAD変換器3をさらに備えてもよい。
上述の構成によれば、演算回路は、センスアンプの出力をAD変換器を介してデジタル値として取得可能なため、演算回路をデジタル回路により実装することができる。なお、AD変換に伴う量子化ノイズが支配的になり、問題となる場合は、サンプル回路(サンプリング容量回路、積分器など)を用いたアナログ回路で平均化の信号処理をしても良い。
本発明の態様3に係る静電容量値推定回路(静電容量検出回路1B)は、センスラインSLに交差する1本以上のドライブラインDL1〜DL4に一端が接続され、他端が前記センスラインに接続された1個以上の静電容量(静電容量C1〜C4)の容量値を推定するための容量値推定データを取得する静電容量値推定回路であって、第1駆動電圧と、前記第1駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧と、第2駆動電圧と、前記第2駆動電圧の極性を反転させた第2反転駆動電圧とを、この順番に前記ドライブラインに印加する駆動回路8Bと、前記第1駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び第2容量信号と、前記第1反転駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び第2反転容量信号と、前記第2駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号及び第4容量信号と、前記第2反転駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び第4反転容量信号とを順番に読み出すセンスアンプ2Bと、前記第1容量信号及び前記第2容量信号を平均化した信号と、前記第1反転容量信号及び前記第2反転容量信号を平均化した信号との差成分である第1検出信号と、前記第3容量信号及び前記第4容量信号を平均化した信号と、前記第3反転容量信号及び前記第4反転容量信号を平均化した信号との差成分である第2検出信号とを演算し、前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて前記容量値推定データを演算する演算回路(デジタル演算回路4B)とを備える。
上述の構成によれば、第1検出信号と第2検出信号との間の差に基づいて、演算回路が容量値推定データを演算することで、各信号をサンプリングする瞬間にセンスライン寄生容量を介して混入するノイズ成分が平均化され、信号対ノイズ比の向上が可能である。そして、駆動回路がドライブラインに電圧を印加している間に、センスアンプの出力を複数回サンプリングし、サンプリング毎にデジタル値に変換するので、容量をリセットして駆動電圧を与えてセンスアンプで読み出すという処理を繰り返す構成よりも処理時間を短縮することができる。また、駆動回路は、駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧をドライブラインに印加する。そして、センスアンプは、第1反転駆動電圧により静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び第2反転容量信号を順番に読み出す。これにより、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズを抑制することができる。また、第2反転駆動電圧により静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び第4反転容量信号についても同様である。
ここで、容量信号として、第1容量信号、第2容量信号、第3容量信号、及び第4容量信号の4つの信号を取得し、反転容量信号として、第1反転容量信号、第2反転容量信号、第3反転容量信号、第4反転容量信号の4つの信号を取得している。しかしながら、当該取得する各信号の数は4に限定されるわけではなく、5以上であってもよい。つまり、当該取得する各信号の数を、5以上の所望の数にすることができる。そして、取得する各信号の数が増えるほど、静電容量に充電された電荷量をセンスアンプで読み出すための処理時間が長くなるが、図8および図9に示すように周波数特性が変化しノイズ抑圧特性が良化し得る。よって、タッチパネルコントローラを使用する環境において、例えば特定周波数のノイズが多い場合には、上記取得する信号処理数を増やして当該ノイズを抑制してもよい。
すなわち、静電容量値推定回路は、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
本発明の態様4に係る静電容量値推定回路は、前記態様3において、前記センスアンプにより読み出された前記第1容量信号、前記第2容量信号、前記第1反転容量信号、前記第2反転容量信号、前記第3容量信号、前記第4容量信号、前記第3反転容量信号、及び前記第4反転容量信号をAD変換して前記演算回路に供給するAD変換器3Bをさらに備えてもよい。
上述の構成によれば、演算回路は、センスアンプの出力をAD変換器を介してデジタル値として取得可能なため、演算回路をデジタル回路により実装することができる。なお、AD変換に伴う量子化ノイズが支配的になり、問題となる場合は、サンプル回路(サンプリング容量回路、積分器など)を用いたアナログ回路で平均化の信号処理をしても良い。
本発明の態様5に係る静電容量値推定回路(静電容量値検出回路1D)は、第1センスライン(センスラインSLA)に交差する1本以上のドライブラインDL1〜DL4に一端が接続され、他端が前記第1センスラインに接続された1個以上の第1静電容量(静電容量C1A〜C4A)、第2センスライン(センスラインSLB)に交差する前記ドライブラインに一端が接続され、他端が前記第2センスラインに接続された1個以上の第2静電容量(静電容量C1B〜C4B)との容量差を推定するための容量差推定データを取得する静電容量差推定回路であって、前記ドライブラインに駆動電圧を印加する駆動回路8Dと、前記駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2容量信号を読み出した後、前記駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4容量信号を読み出すセンスアンプ2Dとを備え、前記駆動回路は、前記駆動電圧の極性を反転させた反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、前記センスアンプは、前記反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2反転容量信号を読み出した後、前記反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4反転容量信号を読み出し、前記第1容量信号と前記第2容量信号との差、前記第3容量信号と前記第4容量信号との差、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差、及び前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差の4個の差成分を表す信号に基づいて、前記容量差推定データを演算する演算回路(デジタル演算回路4D)をさらに備える。
上述の構成によれば、前記第1〜第4容量信号、及び前記第1〜第4反転容量信号に基づいて、演算回路が容量差推定データを演算することで、各信号をサンプリングする瞬間にセンスライン寄生容量を介して混入するノイズ成分が平均化され、信号対ノイズ比の向上が可能である。そして、駆動回路がドライブラインに電圧を印加している間に、センスアンプの出力を複数回サンプリングし、サンプリング毎にデジタル値に変換するので、容量をリセットして駆動電圧を与えてセンスアンプで読み出すという処理を繰り返す構成よりも処理時間を短縮することができる。また、駆動回路は、駆動電圧の極性を反転させた反転駆動電圧をドライブラインに印加する。そして、センスアンプは、反転駆動電圧により第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び第2反転容量信号を順番に読み出す。これにより、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズを抑制することができる。また、反転駆動電圧により第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び第4反転容量信号についても同様である。
ここで、容量信号として、第1〜第4容量信号の4つの信号を取得し、反転容量信号として、第1〜第4反転容量信号の4つの信号を取得している。しかしながら、当該取得する各信号の数は4に限定されるわけではなく、5以上であってもよい。つまり、当該取得する各信号の数を、5以上の所望の数にすることができる。そして、取得する各信号の数が増えるほど、静電容量に充電された電荷量をセンスアンプで読み出すための処理時間が長くなるが、図8および図9に示すように周波数特性が変化しノイズ抑圧特性が良化し得る。よって、タッチパネルコントローラを使用する環境において、例えば特定周波数のノイズが多い場合には、上記取得する信号処理数を増やして当該ノイズを抑制してもよい。
すなわち、静電容量値推定回路は、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
また、差成分に基づいて容量差推定データを演算することにより、差を取得する前の信号に含まれるノイズを相殺でき、且つ、信号(容量)成分の絶対値を扱うことなく、信号(容量)成分の差(相対値)のみを扱うので、推定する静電容量値に対するダイナミックレンジを広くすることができる。
本発明の態様6に係る静電容量値推定回路は、前記態様5において、前記4個の差成分を表す信号をAD変換して前記演算回路に供給するAD変換器3Dをさらに備えてもよい。
上述の構成によれば、演算回路は、センスアンプの出力をAD変換器を介してデジタル値として取得可能なため、演算回路をデジタル回路により実装することができる。なお、AD変換に伴う量子化ノイズが支配的になり、問題となる場合は、サンプル回路(サンプリング容量回路、積分器など)を用いたアナログ回路で平均化の信号処理をしても良い。
本発明の態様7に係る静電容量値推定回路(静電容量値検出回路1F)は、第1センスライン(センスラインSLA)に交差する1本以上のドライブラインDL1〜DL4に一端が接続され、他端が前記第1センスラインに接続された1個以上の第1静電容量(静電容量C1A〜C4A)と、第2センスライン(センスラインSLB)に交差する前記ドライブラインに一端が接続され、他端が前記第2センスラインに接続された1個以上の第2静電容量(静電容量C1B〜C4B)との間の容量差を推定するための容量差推定データを取得する静電容量差推定回路であって、前記ドライブラインに第1駆動電圧を印加する駆動回路8Fと、前記第1駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号を前記第1センスラインから読み出し、及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2容量信号を前記第2センスラインから読み出した後、前記第1駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号を前記第1センスラインから読み出し、及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4容量信号を前記第2センスラインから読み出すセンスアンプ2Fとを備え、前記駆動回路は、前記第1駆動電圧を印加した後、前記第1駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、前記センスアンプは、前記第1反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2反転容量信号を読み出した後、前記第1反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4反転容量信号を読み出し、前記駆動回路は、前記第1反転駆動電圧を印加した後、前記ドライブラインに第2駆動電圧を印加し、前記センスアンプは、前記第2駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第5容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第6容量信号を読み出した後、前記第2駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第7容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第8容量信号を読み出し、前記駆動回路は、前記第2駆動電圧を印加した後、前記第2駆動電圧の極性を反転させた第2反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、前記センスアンプは、前記第2反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第5反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第6反転容量信号を読み出した後、前記第2反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第7反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第8反転容量信号を読み出し、前記第1容量信号と前記第2容量信号との差と前記第3容量信号と前記第4容量信号との差とを平均化した信号と、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差と前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差とを平均化した信号との間の差を表す第1検出信号と、前記第5容量信号と前記第6容量信号との差と前記第7容量信号と前記第8容量信号との差とを平均化した信号と、前記第5反転容量信号と前記第6反転容量信号との差と前記第7反転容量信号と前記第8反転容量信号との差とを平均化した信号との間の差を表す第2検出信号とに基づいて、前記容量差推定データを演算する演算回路(デジタル演算回路4F)とを備える。
上述の構成によれば、前記第1検出信号と前記第2検出信号との間の差、及び、前記第3検出信号と前記第4検出信号との間の差に基づいて、演算回路が容量差推定データを演算することで、各信号をサンプリングする瞬間にセンスライン寄生容量を介して混入するノイズ成分が平均化され、信号対ノイズ比の向上が可能である。そして、駆動回路がドライブラインに電圧を印加している間に、センスアンプの出力を複数回サンプリングし、サンプリング毎にデジタル値に変換するので、容量をリセットして駆動電圧を与えてセンスアンプで読み出すという処理を繰り返す構成よりも処理時間を短縮することができる。また、駆動回路は、第1及び第2駆動電圧の極性を反転させた第1及び第2反転駆動電圧をドライブラインに印加する。そして、センスアンプは、第1及び第2反転駆動電圧により第1及び第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第1〜第8反転容量信号を読み出す。これにより、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズを抑制することができる。
ここで、容量信号として、第1〜第8容量信号の8つの信号を取得し、反転容量信号として、第1〜第8反転容量信号の8つの信号を取得している。しかしながら、当該取得する各信号の数は8に限定されるわけではなく、9以上であってもよい。つまり、当該取得する各信号の数を、9以上の所望の数にすることができる。そして、取得する各信号の数が増えるほど、静電容量に充電された電荷量をセンスアンプで読み出すための処理時間が長くなるが、図8および図9に示すように周波数特性が変化しノイズ抑圧特性が良化し得る。よって、タッチパネルコントローラを使用する環境において、例えば特定周波数のノイズが多い場合には、上記取得する信号処理数を増やして当該ノイズを抑制してもよい。
また、第1センスラインに混入するノイズと、第2センスラインに混入するノイズとに相関がある場合には、演算回路が容量差推定データを演算することにより、各ノイズの影響を抑制することができる。
すなわち、静電容量値推定回路は、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
なお、“信号[A]および[B]の平均”とは、任意の時刻において、信号[A]の振幅と信号[B]の振幅とを平均した大きさの振幅を有する信号を表す。
また、差成分に基づいて容量差推定データを演算することにより、差を取得する前の信号に含まれるノイズを相殺でき、且つ、信号(容量)成分の絶対値を扱うことなく、信号(容量)成分の差(相対値)のみを扱うので、推定する静電容量値に対するダイナミックレンジを広くすることができる。
本発明の態様8に係る静電容量値推定回路は、前記態様7において、前記第1容量信号と前記第2容量信号との差と、前記第3容量信号と前記第4容量信号との差と、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差と、前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差と、前記第5容量信号と前記第6容量信号との差と、前記第7容量信号と前記第8容量信号との差と、前記第5反転容量信号と前記第6反転容量信号との差と、前記第7反転容量信号と前記第8反転容量信号との差とをAD変換して前記演算回路に供給するAD変換器3Fをさらに備えてもよい。
上述の構成によれば、演算回路は、センスアンプの出力をAD変換器を介してデジタル値として取得可能なため、演算回路をデジタル回路により実装することができる。なお、AD変換に伴う量子化ノイズが支配的になり、問題となる場合は、サンプル回路(サンプリング容量回路、積分器など)を用いたアナログ回路で平均化の信号処理をしても良い。
本発明の態様9に係る静電容量値推定回路では、前記態様2、4、6、及び8の何れか1態様において、前記AD変換器は、非周期的なサンプリングタイミングにより前記センスアンプの出力または差動出力をサンプリングしてもよい。
上述の構成により、平均化により効果的にノイズを削減することができる。
本発明の態様10に係る静電容量値推定回路では、前記態様1〜8の何れか1態様において、前記センスアンプは、集積化されており、前記センスライン、または、前記第1センスライン及び前記第2センスラインに接続された入力端子9を有していてもよい。
上述の構成により、センスアンプを集積化することができるので、よりコンパクトな静電容量推定回路を得ることができる。
本発明の態様11に係るタッチパネルシステム61は、前記センスラインと、前記ドライブラインと、前記静電容量、または、前記第1静電容量及び前記第2静電容量とは、タッチパネル62を構成し、態様10における静電容量値推定回路と、当該静電容量値推定回路により推定された前記静電容量から前記タッチパネルにおけるタッチ位置を検出するタッチ位置検出回路64とを備える。
上述の構成により、タッチパネルシステムは、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
本発明の態様12に係る電子機器(携帯電話機60)は、態様10における静電容量値推定回路を備え、前記センスラインと、前記ドライブラインと、前記静電容量、または、前記第1静電容量及び前記第2静電容量とは、タッチパネル62を構成し、前記タッチパネルに重ねられているか、前記タッチパネルを内蔵した表示パネル70をさらに備える。
上述の構成により、電子機器は、タッチパネルに利用される静電容量の充放電に関わる消費電力の低減と、駆動信号に起因する不要輻射の抑圧と、センスアンプの出力に混入する低周波ノイズの低減とを、所望の程度で両立することができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、センスラインに交差する1本以上のドライブラインに一端が接続され、他端がセンスラインに接続された1個以上の静電容量の容量値を推定するためのデータを取得する静電容量推定回路、並びにこれを備えたタッチパネルシステム及び電子機器に利用することができる。
1 静電容量検出回路(静電容量推定回路)
1B 静電容量検出回路(静電容量推定回路)
1D 静電容量検出回路(静電容量推定回路)
1F 静電容量検出回路(静電容量推定回路)
2 センスアンプ
2B センスアンプ
2D センスアンプ
2F センスアンプ
3 AD変換器
3B AD変換器
3D AD変換器
3F AD変換器
4 デジタル演算回路(演算回路)
4B デジタル演算回路(演算回路)
4D デジタル演算回路(演算回路)
4F デジタル演算回路(演算回路)
7 擬似乱数発生回路
8 駆動回路
8B 駆動回路
8D 駆動回路
8F 駆動回路
9 入力端子
60 携帯電話機(電子機器)
61 タッチパネルシステム
62 タッチパネル
64 タッチ位置検出回路
70 表示パネル
C1〜C4 静電容量
C1A〜C4A 静電容量(第1静電容量)
C1B〜C4B 静電容量(第2静電容量)
DL1〜DL4 ドライブライン
SL センスライン
SLA センスライン(第1センスライン)
SLB センスライン(第2センスライン)

Claims (10)

  1. センスラインに交差する1本以上のドライブラインに一端が接続され、他端が前記センスラインに接続された1個以上の静電容量の容量値を推定するための容量値推定データを取得する静電容量値推定回路であって、
    第1駆動電圧と、前記第1駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧と、第2駆動電圧と、前記第2駆動電圧の極性を反転させた第2反転駆動電圧とを、この順番に前記ドライブラインに印加する駆動回路と、
    前記第1駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び第2容量信号と、前記第1反転駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び第2反転容量信号と、前記第2駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号及び第4容量信号と、前記第2反転駆動電圧により前記静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び第4反転容量信号とを順番に読み出すセンスアンプと、
    前記第1容量信号及び前記第2容量信号を平均化した信号と、前記第1反転容量信号及び前記第2反転容量信号を平均化した信号との差成分である第1検出信号と、前記第3容量信号及び前記第4容量信号を平均化した信号と、前記第3反転容量信号及び前記第4反転容量信号を平均化した信号との差成分である第2検出信号とを演算し、前記第1検出信号と前記第2検出信号とに基づいて前記容量値推定データを演算する演算回路とを備える、ことを特徴とする静電容量値推定回路。
  2. 前記センスアンプにより読み出された前記第1容量信号、前記第2容量信号、前記第1反転容量信号、前記第2反転容量信号、前記第3容量信号、前記第4容量信号、前記第3反転容量信号、及び前記第4反転容量信号をAD変換して前記演算回路に供給するAD変換器をさらに備える、請求項1に記載の静電容量値推定回路。
  3. 第1センスラインに交差する1本以上のドライブラインに一端が接続され、他端が前記第1センスラインに接続された1個以上の第1静電容量、第2センスラインに交差する前記ドライブラインに一端が接続され、他端が前記第2センスラインに接続された1個以上の第2静電容量との容量差を推定するための容量差推定データを取得する静電容量値推定回路であって、
    前記ドライブラインに駆動電圧を印加する駆動回路と、
    前記駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2容量信号を読み出した後、前記駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4容量信号を読み出すセンスアンプとを備え、
    前記駆動回路は、前記駆動電圧の極性を反転させた反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、
    前記センスアンプは、前記反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2反転容量信号を読み出した後、前記反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4反転容量信号を読み出し、
    前記第1容量信号と前記第2容量信号との差、前記第3容量信号と前記第4容量信号との差、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差、及び前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差の4個の差成分を表す信号に基づいて、容量差推定データを演算する演算回路をさらに備える、ことを特徴とする静電容量値推定回路。
  4. 前記4個の差成分を表す信号をAD変換して前記演算回路に供給するAD変換器をさらに備える、請求項3に記載の静電容量値推定回路。
  5. 第1センスラインに交差する1本以上のドライブラインに一端が接続され、他端が前記第1センスラインに接続された1個以上の第1静電容量と、第2センスラインに交差する前記ドライブラインに一端が接続され、他端が前記第2センスラインに接続された1個以上の第2静電容量との間の容量差を推定するための容量差推定データを取得する静電容量値推定回路であって、
    前記ドライブラインに第1駆動電圧を印加する駆動回路と、
    前記第1駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1容量信号を前記第1センスラインから読み出し、及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2容量信号を前記第2センスラインから読み出した後、前記第1駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3容量信号を前記第1センスラインから読み出し、及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4容量信号を前記第2センスラインから読み出すセンスアンプとを備え、
    前記駆動回路は、前記第1駆動電圧を印加した後、前記第1駆動電圧の極性を反転させた第1反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、
    前記センスアンプは、前記第1反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第1反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第2反転容量信号を読み出した後、前記第1反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第3反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第4反転容量信号を読み出し、
    前記駆動回路は、前記第1反転駆動電圧を印加した後、前記ドライブラインに第2駆動電圧を印加し、
    前記センスアンプは、前記第2駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第5容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第6容量信号を読み出した後、前記第2駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第7容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第8容量信号を読み出し、
    前記駆動回路は、前記第2駆動電圧を印加した後、前記第2駆動電圧の極性を反転させた第2反転駆動電圧を前記ドライブラインに印加し、
    前記センスアンプは、前記第2反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第5反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第6反転容量信号を読み出した後、前記第2反転駆動電圧により前記第1静電容量に蓄積された電荷に基づく第7反転容量信号及び前記第2静電容量に蓄積された電荷に基づく第8反転容量信号を読み出し、
    前記第1容量信号と前記第2容量信号との差と前記第3容量信号と前記第4容量信号との差とを平均化した信号と、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差と前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差とを平均化した信号との間の差を表す第1検出信号と、前記第5容量信号と前記第6容量信号との差と前記第7容量信号と前記第8容量信号との差とを平均化した信号と、前記第5反転容量信号と前記第6反転容量信号との差と前記第7反転容量信号と前記第8反転容量信号との差とを平均化した信号との間の差を表す第2検出信号とに基づいて、前記容量差推定データを演算する演算回路とを備える、ことを特徴とする静電容量値推定回路。
  6. 前記第1容量信号と前記第2容量信号との差と、前記第3容量信号と前記第4容量信号との差と、前記第1反転容量信号と前記第2反転容量信号との差と、前記第3反転容量信号と前記第4反転容量信号との差と、前記第5容量信号と前記第6容量信号との差と、前記第7容量信号と前記第8容量信号との差と、前記第5反転容量信号と前記第6反転容量信号との差と、前記第7反転容量信号と前記第8反転容量信号との差とをAD変換して前記演算回路に供給するAD変換器をさらに備える、請求項5に記載の静電容量値推定回路。
  7. 前記AD変換器は、非周期的なサンプリングタイミングにより前記センスアンプの出力または差動出力をサンプリングすることを特徴とする請求項2、4、及び6の何れか1項に記載の静電容量値推定回路。
  8. 前記センスアンプは、集積化されており、前記センスライン、または、前記第1センスライン及び前記第2センスラインに接続された入力端子を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の静電容量値推定回路。
  9. 前記センスライン、または、前記第1センスライン及び前記第2センスラインと、前記ドライブラインと、前記静電容量、または、前記第1静電容量及び前記第2静電容量とは、タッチパネルを構成し、
    請求項8に記載の静電容量値推定回路と、
    当該静電容量値推定回路により推定された前記静電容量から前記タッチパネルにおけるタッチ位置を検出するタッチ位置検出回路とを備えることを特徴とするタッチパネルシステム。
  10. 請求項8に記載の静電容量値推定回路を備え、
    前記センスライン、または、前記第1センスライン及び前記第2センスラインと、前記ドライブラインと、前記静電容量、または、前記第1静電容量及び前記第2静電容量とは、タッチパネルを構成し、
    前記タッチパネルに重ねられているか、前記タッチパネルを内蔵した表示パネルをさらに備えたことを特徴とする電子機器。
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