JP6187854B2 - 微生物培養具 - Google Patents

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Description

本発明は、微生物を培養するための微生物培養具に関する。
微生物の存在を確認し、又は微生物数を測定する方法としては、寒天平板混釈法がある。この寒天平板混釈法では、あらかじめ滅菌したシャーレに形成した寒天培地(培養層)を使用する。このため、寒天培地を高圧蒸気滅菌するためのオートクレーブや、微生物検査を無菌的に行うための検査室を必要とする。また、微生物のサンプリングから試料液の調製、分注、培地との混釈、培養、計数に至る微生物検査の操作に、熟練を要する。そこで、高度な熟練を必要とせず、簡易に微生物検査を行うことができる培養層を備える微生物培養具が開発されている。
例えば特許文献1において、水をベースとする接着剤組成物と、接着剤組成物の上に付着され、ゲル化剤を含む冷水可溶性粉体と、を含む培養層を備える微生物培養具が開示されている。また特許文献2において、方形の粘着シート上に積層された円形の多孔質マトリックス層および水溶性高分子化合物層を含む培養層と、その上に配置された透明なカバーフィルムと、を備える微生物培養具が開示されている。
特許第3383304号公報 特許第4396078号公報
微生物培養具を用いた検査においては、検査対象から抽出された検体を含む被検液を微生物培養具の培養層上に滴下する被検液滴下工程を実施する。この際、培養層上に滴下された被検液の検体がどの検査対象から抽出されたものであるかを特定するため、例えば被検液滴下工程の前に、検体に関する検体情報が微生物培養具に付与される。具体的には、検査者が検体情報を微生物培養具に書き込むことが考えらえる。
ところで、上述の被検液滴下工程は、一般に人の手によって実施される。このため、人為的なミスが生じること、例えば滴下位置が培養層からずれてしまうことがある。このような人為的なミスによって仮に被検液が、微生物培養具に書き込まれた上述の検体情報に到達してしまった場合、検体情報が汚れてしまい、これによって検体情報が読み取れなくなってしまうことが生じ得る。
本発明は、このような課題を効果的に解決し得る微生物培養具を提供することを目的とする。
本発明は、微生物を培養するよう構成された培養層を備える微生物培養具であって、前記微生物培養具には、前記培養層によって培養される検体に関する情報を含む第1検体情報および第2検体情報が表示されており、前記第1検体情報は、第1表示形式で表示されており、前記第2検体情報は、前記第1表示形式とは異なる第2表示形式で表示されており、前記第1検体情報に含まれる情報と、前記第2検体情報に含まれる情報とは、少なくとも部分的に重複している、微生物培養具である。
本発明による微生物培養具において、前記第1表示形式および前記第2表示形式は、文字情報、一次元コードまたは二次元コードのいずれかであってもよい。
本発明による微生物培養具において、前記第1検体情報および前記第2検体情報はいずれも、検体の抽出元となった製品の製品名に関する情報を含んでいてもよい。
本発明による微生物培養具において、前記第1検体情報に含まれる情報と前記第2検体情報に含まれる情報とが同一であってもよい。
本発明による微生物培養具において、前記第1検体情報または前記第2検体情報の一方に含まれる情報の全てが、前記第1検体情報または前記第2検体情報の他方に含まれていてもよい。
本発明による微生物培養具は、前記培養層をその上面に保持する基材シートと、前記基材シートの上面に接合され、前記培養層を覆うことができるカバーフィルムと、を備えていてもよい。この場合、前記カバーフィルムまたは前記基材シートのうちの少なくともいずれか一方に、前記第1検体情報または前記第2検体情報のうちの少なくともいずれか一方が表示されていてもよい。例えば、前記第1検体情報および前記第2検体情報はいずれも、前記カバーフィルムに表示されていてもよい。または、前記第1検体情報および前記第2検体情報はいずれも、前記基材シートに表示されていてもよい。または、前記第1検体情報および前記第2検体情報のうちの一方が前記カバーフィルムに表示され、他方が前記基材シートに表示されていてもよい。
本発明による微生物培養具は、前記培養層を収容するシャーレを備えていてもよい。この場合、前記第1検体情報および前記第2検体情報はいずれも、前記シャーレの側面または底面に表示されていてもよい。
本発明による微生物培養具において、前記第1検体情報および前記第2検体情報のうち少なくともいずれか一方は、シールとして設けられていてもよい。
本発明による微生物培養具において、前記微生物培養具には、前記微生物培養具に関する情報を含む第1培養具情報および第2培養具情報がさらに表示されており、前記第1培養具情報に含まれる情報と、前記第2培養具情報に含まれる情報とは、少なくとも部分的に重複していてもよい。
本発明の微生物培養具には、培養層によって培養される検体に関する情報を含む第1検体情報および第2検体情報が表示されている。また、第1検体情報に含まれる情報と、第2検体情報に含まれる情報とは、少なくとも部分的に重複している。このため、仮に第1検体情報または第2検体情報のうちの一方が汚れて読み取れなくなってしまった場合であっても、第1検体情報または第2検体情報のうちの他方を読み取ることによって、検体に関する情報を得ることができる。すなわち、検体に関する情報の冗長性を高めることができる。
図1は、本発明の実施の形態における微生物培養具を示す平面図。 図2は、図1の微生物培養具を矢印Aの方向から見た場合を示す側面図。 図3は、カバーフィルムが持ち上げられた状態の微生物培養具を示す斜視図。 図4は、図1の微生物培養具の基材シートをB−B方向から見た場合を示す縦断面図。 図5は、図1の微生物培養具のカバーフィルムをB−B方向から見た場合を示す縦断面図。 図6(a)〜(d)は、微生物培養具の製造工程を示す平面図。 図7は、微生物培養具に検体情報を付与する方法、および、微生物培養具を用いて検体を検査する方法を示すフローチャート。 図8は、微生物培養具に検体情報を印刷する印刷システムを示す図。 図9は、製品に対して実施されるべき検査に関する情報が記録されている検査データベースの一例を示す図。 図10(a)〜(d)は、微生物培養具に被検液を接種させる方法の一例を示す図。 図11は、作業台上に並べられた微生物培養具を示す平面図。 図12は、微生物のコロニーが形成された微生物培養具を示す平面図。 図13は、第1検体情報および第2検体情報がシールとして設けられる例を示す平面図。 図14は、第1検体情報および第2検体情報がそれぞれカバーフィルムおよび基材シートに表示される例を示す図。 図15は、第1検体情報および第2検体情報がいずれも基材シートに表示される例を示す図。 図16(a)〜(d)は、図15の微生物培養具の製造工程を示す平面図。 図17は、第1検体情報および第2検体情報がそれぞれ基材シートの上面および下面に表示される例を示す断面図。 図18(a)(b)(c)は、第1検体情報および第2検体情報が表示される位置の例を示す平面図。 図19(a)(b)は、検体情報が一次元コードで表される例を示す平面図。 図20は、第1培養具情報および第2培養具情報がさらに表示された微生物培養具を示す平面図。 図21は、第1検体情報が略号表示からなる例を示す平面図。 図22は、微生物培養具が、培地を収容するシャーレを備える例を示す斜視図。
以下、図1乃至図12を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
微生物培養具
本実施の形態による微生物培養具は、例えば、食品メーカーや食品研究所などで製造された製品から抽出された検体を検査するために用いられる。ここで「製品」とは、市販されるものだけでなく、無料で提供される試供品や、研究段階において作製される試作品なども含む概念である。以下、図1乃至図3を参照して、本実施の形態における微生物培養具1Aの構造について説明する。図1は、微生物培養具1Aを示す平面図であり、図2は、図1の微生物培養具1Aを矢印Aの方向から見た場合を示す側面図である。図3は、微生物培養具1Aを示す斜視図である。なお図1においては、後述するカバーフィルム40よりも下側にある枠体20、接合部25および培養層30などの微生物培養具1Aの構成要素が、透視されて点線で示されている。
図1に示すように、微生物培養具1Aは、平面図で見た場合に略四角形状の輪郭を有している。この微生物培養具1Aは、図1および図2に示すように、基材シート10と、基材シート10の上面に設けられた培養層30と、培養層30を囲うよう基材シート10の上面に設けられた枠体20と、を備えている。また微生物培養具1Aは、培養層30および枠体20を覆うことができるカバーフィルム40をさらに備えている。
図1に示すように、基材シート10およびカバーフィルム40はいずれも、平面図で見た場合に、すなわち基材シート10の法線方向から見た場合に、略四角形状の輪郭を有している。具体的には、基材シート10は、基材シート10の法線方向から見た場合に、直線状の第1外縁11と、第1外縁11に対向する直線状の第2外縁12と、第1外縁11および第2外縁12の間を延び、互いに対向する直線状の第3外縁13および第4外縁14と、を含む輪郭を有している。同様に、カバーフィルム40は、各々が直線状の第1外縁41,第2外縁42,第3外縁43および第4外縁44を含む輪郭を有している。
図2に示すように、基材シート10には、カバーフィルム40の一部分を基材シート10の一部分に接合する接合部25が設けられていてもよい。これによって、カバーフィルム40は、接合部25を軸として基材シート10に対して変位することが可能となる。このことにより、カバーフィルム40の操作や取り扱いを容易にすることができる。また、基材シート10に対するカバーフィルム40の位置を確実に定めることができる。図3においては、カバーフィルム40の一部分が接合部25によって基材シート10に対して固定されながら、カバーフィルム40が基材シート10に対して持ち上げられた状態にある微生物培養具1Aが示されている。
接合部25は、例えば、基材シート10の第1外縁11の近傍に配置されている。ここで「近傍」とは、接合部25が第1外縁11に接するよう接合部25が配置されている場合、および、接合部25が第1外縁11に接してはいないが、接合部25と第1外縁11との間の距離が接合部25と他の外縁12,13,14との間の距離よりも小さくなっている場合の両方を含む概念である。
枠体20は、培養層30上に供給される後述する被検液の吸水範囲を確実に限定するためのものである。図3においては、枠体20と培養層30との間には隙間がなく、両者が接触している例が示されている。しかしながら、被検液が枠体20の外側に洩れることを防ぐことができる限りにおいて、枠体20と培養層30との間の位置関係が特に限定されることはない。
なお図1および図2に示すように、カバーフィルム40は、基材シート10の第2外縁12を超えて延びるよう構成されていてもよい。例えば、基材シート10の第1外縁11から第2外縁12に向かう方向を第1方向とするとき、第1方向におけるカバーフィルム40の寸法は、第1方向における基材シート10の寸法よりも大きくなっていてもよい。これによって、後述するようにカバーフィルム40をめくり上げる際、カバーフィルム40の第2外縁12近傍の領域が掴みやすいものとなる。
図3においては、枠体20が円形状の輪郭を有する例が示されている。しかしながら、培養層30上に供給される被検液の吸水範囲が所定の面積にわたって広がることができる限りにおいて、枠体20の輪郭が特に限定されることはない。例えば枠体20は、方形、楕円形、多角形、不定形等の輪郭を有していてもよい。
図3に示すように、カバーフィルム40には、カバーフィルム40の法線方向から見た場合にカバーフィルム40を複数の領域に区画する枡目線40aが形成されていてもよい。枡目線40aは、培養層30によって培養された微生物の数を算出する際の目安となるものである。このような枡目線40aは、カバーフィルム40に含まれる、後述する印刷層47などによってもたらされ得る。なお、このような枡目線は、カバーフィルム40ではなく基材シート10に形成されていてもよい。
また、カバーフィルム40のうち少なくとも第2外縁42を含む領域の色と、基材シート10のうち平面図で見た場合に上記第2外縁42を含む領域に隣接する領域の色と、が異なっていてもよい。例えば図1に示すように、カバーフィルム40のうち第2外縁42を含むよう第2外縁42に沿って延びる、符号40Cで示される領域を、基材シート10とは異なる色で着色された着色領域40Cとしてもよい。これによって、カバーフィルム40をめくり上げる際に基材シート10とカバーフィルム40との境界が認識され易くなり、このことにより、カバーフィルム40を、より掴み易いものとすることができる。なお第2外縁42に沿って延びる着色領域40Cに加えて、若しくは第2外縁42に替えて、第1外縁41に沿って延びる領域を着色領域40Cとしてもよい。
なお、着色領域40Cの色は、微生物培養具1Aのタイプに応じて異なっていてもよい。例えば、製品の検体に含まれ得る微生物の種類に応じて複数のタイプの微生物培養具1Aが準備される場合、微生物培養具1Aのタイプに応じて着色領域40Cの色が異なっていてもよい。なお、異なるタイプの微生物培養具1Aの間においては、例えば、培養対象とする微生物の種類に対応して、設けられている培養層30の組成や構造などが異なっている。
検体情報
また図1に示すように、微生物培養具1Aには、検査対象となっている製品から抽出され、培養層30によって培養される検体に関する情報を含む検体情報が表示されている。検体情報は、検体に関する情報を含む第1検体情報70および第2検体情報75を含んでいる。第1検体情報70の表示形式と第2検体情報75の表示形式は、同一であってもよく異なっていてもよいが、本実施の形態においては、第1検体情報70が第1表示形式で示され、第2検体情報75が、第1表示形式とは異なる第2表示形式で示される例について説明する。例えば図1に示すように、第1検体情報70は、デジタルフォントなどの文字で示された文字情報であり、第2検体情報75は二次元コードである。図1に示す例において、第1検体情報70および第2検体情報75はいずれも、カバーフィルム40の上面に表示されている。
なお本実施の形態において、文字情報とは、平仮名などの音節文字、アルファベットなどの音素文字、漢字などの表語文字、および数字などの表意文字を適宜組み合わせることにより表現される情報のことである。文字情報は、人が目で見て理解しやすいという利点を有している。また文字情報は、OCRなどを用いることによって機械的に読み取ることもできる。またデジタルフォントとは、コンピュータ画面に表示したり、媒体に印刷したりするために利用できるようにした書体データのことを指す。書体とは、一定の文字体系のもとにある文字について、それぞれの字体が一貫した特徴と独自の様式を備えた字形として表現されているものをいう。
二次元コードとは、二方向において、例えば第1方向、および第1方向に直交する第2方向の両方において情報を有する形式のコードのことである。二次元コードは、文字情報に比べて高い密度で情報を提供することができる、という長所を有している。一方、二次元コードは、二方向において情報を有するため、文字情報や一次元バーコードに比べて汚れに弱い、という短所を有している。二次元コードとしては、例えばQRコード(登録商標)などが用いられ得る。
なお以下の説明において、検体情報70,75が表示されている微生物培養具を符号1Aで示し、検体情報70,75が表示されていない微生物培養具、すなわち検体情報70,75が付与される前の微生物培養具を符号1で示す、という符号の使い分けをすることもある。
第1検体情報70および第2検体情報75に含まれる情報の種類が特に限られることはなく、微生物培養具1Aの使用方法に応じて、適宜設定される。例えば図1に示すように、第1検体情報70は、検体が抽出された製品の製品名および検体の検査日に関する情報を含むよう構成されている。例えば図1に示す例において、第1検体情報70は、「チキンカレー甘口」という、製品名を直接的に表示する製品名表示71と、「20130125」という、検査日が2013年1月25日であることを表示する検査日表示72と、を含んでいる。このため検査者は、微生物培養具1Aに表示されている第1検体情報70を見ることによって、微生物培養具1Aに滴下されている被検液の検体が抽出された製品を即座に認識することができる。このことにより、検査の作業性を向上させることができる。なお「製品名」は、製品に付されている名称を意味する場合もあり、若しくは、製品に用いられている原材料の名称を意味する場合もある。また「検査日」は、検査が実施される日を意味する場合もあり、若しくは、製品から検体が抽出された日を意味する場合もある。なお検査日は、年月日を含んでいてもよく、若しくは、月日や日のみを含んでいてもよい。
第1検体情報70に含まれる情報と第2検体情報75に含まれる情報とが少なくとも部分的に重複する限りにおいて、第1検体情報70と第2検体情報75との間の関係が特に限定されることはない。例えば、第1検体情報70に含まれる情報と第2検体情報75に含まれる情報とが同一であってもよい。すなわち、第2検体情報75は、第1検体情報70と同様に、検体が抽出された製品の製品名および検体の検査日に関する情報を含んでいてもよい。若しくは、第1検体情報70または第2検体情報75の一方に含まれる情報の全てが、第1検体情報70または第2検体情報75の他方に含まれるよう、第1検体情報70および第2検体情報75が構成されていてもよい。例えば第2検体情報75は、検体が抽出された製品の製品名に関する情報を含み、検体の検査日に関する情報を含んでいなくてもよい。その逆に、第2検体情報75は、検体が抽出された製品の製品名および検体の検査日に関する情報を含むとともに、第1検体情報70には含まれていない情報をさらに含んでいてもよい。さらに、第1検体情報70が第2検体情報75に含まれない情報を少なくとも1つ含み、また第2検体情報75が第1検体情報70に含まれない情報を少なくとも1つ含むよう、第1検体情報70および第2検体情報75が構成されていてもよい。また、第1検体情報70および第2検体情報75のいずれにも分類されないさらなる情報が微生物培養具1Aに表示されていてもよい。
なお、二次元コードからなる第2検体情報75に含まれる情報は、専用のコードリーダを用いることにより読み取られ得る。
好ましくは、第1検体情報70および第2検体情報75はいずれも、製品名表示71など、検体が抽出された製品の製品名に関する情報を含むよう構成されている。これによって、第1検体情報70または第2検体情報75のうちの少なくとも一方を読み取ることによって、検体が抽出された製品の製品名に関する情報を得ることができる。このことにより、製品名の情報に関する冗長性を高めることができる。
第1検体情報70や第2検体情報75などの検体情報が適切に読み取られ得る限りにおいて、検体情報が表示される位置が特に限られることはない。例えば図1に示す例において、検体情報70,75は、カバーフィルム40の上面のうち、接合部25の近傍の位置に表示されている。なお「接合部25の近傍」とは、接合部25がカバーフィルム40の第1外縁41の近傍に位置している場合、第1外縁41と検体情報70との間の距離が、第1外縁41に対向する第2外縁42と検体情報70との間の距離よりも小さくなっていることを意味している。
また好ましくは、検体情報70,75は、カバーフィルム40の上面の領域のうち、基材シート10の法線方向から見た場合に培養層30と重ならない領域に配置されている。これによって、検体情報70,75が培養層30と重なる場合に比べて、検体情報70,75の視認性を高くすることができる。
培養具情報
また図1に示すように、微生物培養具1Aには、微生物培養具1Aの製造情報を少なくとも含む第1培養具情報80がさらに表示されていてもよい。第1培養具情報80の種類が特に限られることはなく、微生物培養具1の製造者における微生物培養具1Aの管理手法や、微生物培養具1の使用者の要望に応じて、適宜設定される。例えば図1に示すように、第1培養具情報80は、微生物培養具1AのIDに関する情報を示すID表示81と、微生物培養具1Aの使用期限に関する使用期限表示82と、を含んでいる。ID表示81によって微生物培養具1Aを個々に識別することができる限りにおいて、ID表示81の具体的な形式が特に限られることはない。例えばID表示81は、図1に示すように、「AC130123−01」というロット番号と、「000013」というシリアル番号とから構成されている。図1に示す使用期限表示82は、微生物培養具1Aの使用期限が2013年7月であることを表している。
第1培養具情報80が表示される階層や位置は特には限られないが、好ましくは第1培養具情報80は、外部に露出しない位置に表示されている。例えば、第1培養具情報80は、カバーフィルム40の下面または基材シート10の上面のうちの少なくともいずれか一方に表示されている。第1培養具情報80の表示位置をこのように決定することにより、第1培養具情報80が外部に露出してしまうことを、対向する基材シート10またはカバーフィルム40によって防ぐことができる。このことにより、例えば微生物培養具1Aを用いた検査を実施する場所へ微生物培養具1を搬送する際に、複数の微生物培養具1Aの間で生じる摩擦に起因して第1培養具情報80が摩滅してしまうことを防ぐことができる。
なお、第1培養具情報80の形式が特に限られることはない。例えば第1培養具情報80は、JANコードなどの1次元コードやQRコードなどの2次元コードを含むバーコードであってもよく、カラーマトリックスであってもよい。
微生物培養具の層構成
次に図4および図5を参照して、微生物培養具1Aの層構成について説明する。図4および図5は、図1の微生物培養具1Aの基材シート10およびカバーフィルム40をB−B方向から見た場合を示す縦断面図である。はじめに図4を参照して、基材シート10および基材シート10の上面に設けられる枠体20および培養層30について説明する。
(基材シート)
基材シート10には、培養層30を形成するために基材シート10上に塗布される培地液によって劣化しない程度の耐溶剤性や培養時に必要な耐水性が求められる。また、培養層30を形成する際の乾燥処理に耐え得る耐熱性も求められる。また、培養層30において培養される微生物が好気性細菌である場合、基材シート10には、酸素透過性が求められる。基材シート10が酸素透過性を有することにより、好気性細菌に酸素を供給することが可能となる。
基材シート10を構成する材料としては、耐水性及び耐熱性、および必要に応じて酸素透過性を有している限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックシートを使用することができる。これらのプラスチックシートは、透明性に優れる点において好ましい。後述するように、微生物培養具1Aは、培養層30中で発育した微生物のコロニーを観察、計数するものである。基材シート10の透明性が高いと、微生物培養具1Aの下側(基材シート10側)からの投射光や側面側からの入射光によりコロニーの視認性を高めることができ、コロニーの計測が容易となる。ただし、必ずしも透明である必要はなく、微生物の種類、コロニーの着色の有無等によって、基材シート10の光学特性を適宜選択することができる。例えば、発泡により白色を呈するものや、着色されたものを基材シート10として使用することもできる。
基材シート10は、単層であってもよいし、2層以上の積層シートであってもよい。積層シートとしては、上記プラスチックシートの2種以上を積層したものが挙げられる。その他、上記プラスチックシートに紙基材を積層した積層シートや、紙基材に合成樹脂をコーティングした積層シート等も好適に使用することができる。このような積層シートとしては、例えば、ポリエチレンフィルムと紙基材との積層シートが挙げられる。また、基材シート10に上述の酸素透過性が求められる場合、合成樹脂を主原料とした合成紙を好適に使用することができる。このような合成紙の市販品としては、例えば、ユポ・コーポレーション社製の「ユポ」、東洋紡社製の「クリスパー」等が挙げられる。
基材シート10の上面には、培養層30との密着性を向上させるために、あらかじめ表面処理が実施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いる酸化処理、酸素ガス又は窒素ガス等を用いる低温プラズマ処理等の公知の表面処理を用いることができる。
また基材シート10の上面や下面には、インクの保持性を高めるための改質処理が施されていてもよい。これによって、上述の第1培養具情報80などがインクジェットや熱転写によって基材シート10に印刷される場合に、インクを基材シート10の上面や下面に安定に固着させることができる。若しくは、図示はしないが、基材シート10の上面や下面に、インクを保持するよう構成された層がさらに設けられていてもよい。
また、アンカーコート剤を基材シート10の上面に塗布するという表面処理を行ってもよい。このようなアンカーコート剤としては、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジエン系、有機チタン系、その他のアンカーコーティング剤が例示できる。より好ましくは、例えば、トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、又はヘキサメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート等の多官能イソシアナートと、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリアクリレートポリオール、その他のヒドロキシル基含有化合物との反応によって得られるポリエーテルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、ポリアクリレートポリウレタン系樹脂を主成分とするものである。
基材シート10は、カール等がなく平坦であることが好ましい。基材シート10の厚さは、特に限定されないが、通常、25〜1500μmの範囲内であり、好ましくは50〜500μmの範囲内である。
(培養層)
培養層30は、少なくともゲル化剤を含む乾式の培養層であって、微生物を培養するよう構成された層である。ここで、乾式の培養層とは、溶媒を含んだ培地液を乾燥させて溶媒を揮発させることにより得られるものである。例えば培養層30は、固着剤、ゲル化剤、栄養成分および可塑剤を含んでいる。また培養層30は、発色指示薬や選択剤等などをさらに含んでいてもよい。培養層30の各成分は、培養の対象となる微生物に応じて適宜選択される。以下、各成分の役割、および各成分を構成する材料の例について説明する。
〔固着剤〕
固着剤は、ゲル化剤、栄養成分、可塑剤、発色指示薬、選択剤等の他の成分を基材シート10に固着させる役割を有するものである。固着剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられ、特に、ポリビニルピロリドンが好ましい。ポリビニルピロリドンを用いる場合、アルコール系溶媒に可溶であるので、培地液の粘度を容易に調整することができる。また、ポリビニルピロリドンを用いる場合、アルコール系溶媒を使用することができるので、ゲル化剤を溶解させずに、分散させた培地液を調製することができる。これにより、ゲル化剤に起因する培地液の著しい粘度上昇を抑制することができる。更に、所定のパターンで培地液を基材シート10上に塗布した後に、高温で加熱することなく培地液から溶媒を除去することができる。またポリビニルピロリドンの皮膜性が高いので、ゲル化剤、栄養成分、可塑剤、発色指示薬、選択剤等の他の成分を取り込んで成膜することができる。また、基材シート10との密着性に優れている。
〔ゲル化剤〕
ゲル化剤は、被検液35Aが供給された培養層30をゲル化させ、これによって、培養層30の粘度を、微生物の培養に良好なものとするためのものである。また、培養層30がゲル化剤を含むことにより、培養層30がカバーフィルム40に密着しやすくなるため、培養時の培養層30からの水分の蒸発を抑制することができる。
ゲル化剤としては、水吸収性(または水膨潤性)を有し、水を吸収しまたは水により膨潤した際に実質的にその形状を保持し得るものを使用することができる。例えば、ゲル化剤として、ポリビニルアルコール(PVA)、変性PVA、セルロース誘導体、澱粉およびその誘導体、セルロース誘導体および澱粉以外の多糖類、アクリル酸およびその誘導体、ポリエーテル、およびタンパク質などの水溶性ポリマーの架橋物;澱粉系吸水性ポリマー;セルロース系吸水性ポリマー;アクリル系吸水性ポリマー;無水マレイン酸系コポリマー;ビニルピロリドン系コポリマー;ポリエーテル系吸水性ポリマー;アクリル繊維加水分解物;およびその他の吸水性ポリマー、グアーガム、サイリウムシードガム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ローカストビーンガム、アルギン等が挙げられる。これらを単独で使用してもよく、又は2種以上を混合して使用することができる。
〔栄養成分〕
栄養成分は、微生物の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、一般生菌検査用としては、ソルビトール・ピルビン酸ナトリウム・酵母エキス・ペプトン・ブドウ糖混合物、肉エキス・ペプトン混合物、ペプトン・大豆ペプトン・ブドウ糖混合物等や、これらにリン酸二カリウム及び/又は塩化ナトリウムを加えた混合物が挙げられる。大腸菌・大腸菌群検査用としては、デソキシコール酸ナトリウム・ペプトン・クエン酸鉄アンモニウム・塩化ナトリウム・リン酸二カリウム・乳糖混合物、ペプトン・乳糖・リン酸二カリウム混合物等が挙げられる。ブドウ球菌用としては、肉エキス・ペプトン・塩化ナトリウム・マンニット・卵黄混合物、ペプトン・肉エキス・酵母エキス・ピルビン酸ナトリウム・グリシン・塩化リチウム・亜テルル酸卵黄液混合物等が挙げられる。ビブリオ用としては、酵母エキス・ペプトン・蔗糖・チオ硫酸ナトリウム・クエン酸ナトリウム・コール酸ナトリウム・クエン酸第2鉄・塩化ナトリウム・牛胆汁混合物等が挙げられる。腸球菌用としては、牛脳エキス・ハートエキス・ペプトン・ブドウ糖・リン酸二カリウム・窒化ナトリウム混合物等が挙げられる。真菌用としては、ペプトン・ブドウ糖混合物、酵母エキス・ブドウ糖混合物、ポテトエキス・ブドウ糖混合物等が挙げられる。これらの中から、発育させようとする微生物の種類に応じて、1種類又はそれ以上を選択し、混合して使用することができる。
〔可塑剤〕
可塑剤は、ポリビニルピロリドンなどの固着剤によって構成される培養層30の被膜が硬く脆い場合に添加されるものである。可塑剤としては、例えば、グリセリンやグリセリン誘導体系可塑剤、ポリエチレングリコール等が挙げられる。このような可塑剤を添加することにより、培養層30の被膜に柔軟性を与えることができる。このことにより、例えば、基材シート10の外縁近傍がカールしてしまうことを抑制することができる。なお培養層30中における可塑剤の含有比率が高くなりすぎると、微生物の培養特性や視認性が低下してしまうことが考えらえる。従って、培養層30中における可塑剤の含有比率は、培養層30における所望の柔軟性、培養特性や視認性などの様々な点を考慮して決定される。例えば可塑剤としてグリセリンが用いられる場合、好ましくは、培養層30の固形分(アルコールなどの溶媒を除く成分)の全体に対するグリセリンの重量%が10〜15%の範囲内となっている。
〔発色指示薬〕
発色指示薬は、培養過程で発育する微生物の代謝により産出される特異物質との反応、pH変化の認識、酵素との反応等によって発色してコロニーを着色するものである。発色指示薬を用いることにより、コロニー数の計数を極めて容易にすることができる。発色指示薬としては、例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロライド(以下、TTCとする)、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウムバイオレット、ペテトリルテトラゾリウムブルー等のテトラゾリム塩や、ニュートラルレッド混合物、フェノールレッド、ブロムチモールブルー、チモールブルー混合物等のpH指示薬が挙げられる。また発色指示薬として、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−B−D−グルクロニドシクロヘキシルアンモニウム水和物、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェートなどを用いることもできる。
〔選択剤〕
選択剤は、検出対象ではない微生物の発育を抑えるために培養層30に添加されるものである。このような選択剤としては、メチシリン、セフタメタゾール、セフィキシム、セフタジジム、セフスロジン、バシトラシン、ポリミキシンB、リファンピシン、ノボビオシン、コリスチン、リンコマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、アザクタム、アクリフラビン等の抗生物質、サルファ剤、ナリジクス酸、オラキンドックス等の合成抗菌剤、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、マラカイトグリーン、メチレンブルー等の静菌又は殺菌作用を有する色素、Tergitol7、ドデシル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、コール酸ナトリウム等の界面活性剤、亜セレン酸塩、亜テルル酸塩、亜硫酸塩、窒化ナトリウム、塩化リチウム、シュウ酸塩、アジ化ナトリウム、高濃度の塩化ナトリウム等の無機塩等が挙げられる。
上記の構成成分を含む培養層30を形成するために基材シート10上に塗布される培地液に使用する溶媒としては、選択した構成成分を溶解又は分散し得るものであれば特に限定されるものではないが、アルコール系溶媒を使用することが好ましい。アルコール系溶媒は、水やトルエン等の高沸点溶媒とは異なり、溶媒除去の際に高温加熱する必要がない。このため、各成分が熱分解するおそれがなく、また、溶媒除去に長時間を要しないので、生産効率に優れる点において好ましい。アルコール系溶媒としては、炭素数1〜5のアルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの中でも、沸点が低く、乾燥による溶媒除去が容易であって、且つ、微生物の発育を阻害しないメタノールが最も好ましい。なお、上記溶媒は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。溶媒の使用量は、培地液の構成成分や溶媒の種類によって、適宜選択するとよい。
なお図4においては、培養層30が1層で構成されている例を示したが、これに限られることはなく、培養層30を2層以上の多層で構成してもよい。例えば、固着剤およびゲル化剤を含む培地液を用いて第1培養層を形成し、その上に、固着剤、ゲル化剤および/または栄養成分を含む培地液を用いて第2培養層を形成してもよい。
(枠体)
枠体20は、上述のように、培養層30を囲うよう基材シート10の上面に設けられるものである。このような枠体20を設けることにより、被検液35Aを培養層30上に供給するときに、被検液35Aが枠体20を超えて拡がることを防止することができるとともに、被検液35Aが広がる領域を一定にすることができる。従って、カバーフィルム40を被せるたけで被検液35Aを拡げることができるため、スプレッダを用いて培養層30上の被検液35Aを拡げる作業を省くことができ、このことにより、検査工程に要する時間を短縮することができる。また、被検液35Aが基材シート10上に洩れてしまうことを防ぐこともできる。
枠体20は、培養層30の形成前に形成されてもよく、若しくは培養層30の形成後に形成されてもよいが、培養層30の形成後に形成されると、枠体20と培養層30との間に隙間が生じやすくなることが考えられる。この場合、微生物を培養した際にその隙間に菌が遊走し、正確なコロニー数の計測が困難となることがある。従って、培養層30の形成前に枠体20が形成されることが好ましい。また、培養層30の形成前に枠体20を形成することにより、培地液が拡がる範囲、すなわち培養層30が形成される範囲を画定することができるため、高価な微生物培養材料が無駄になることを低減することができる。
枠体20の幅は、最細部が幅0.5〜5.0mmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mmの範囲内である。上記範囲であれば、培養層30が吸水して膨潤した場合であっても、枠体20の形状が崩れるおそれが少ない。
被検疫35Aを滴下してカバーフィルム40を被せたときに、被検液35Aがカバーフィルム40に接触するように、枠体20の高さが設定される。枠体20は、培養層30の高さより100〜1200μm高くなるよう設定され、より好ましくは200〜1000μm高くなるよう設定され、特に好ましくは300〜800μm高くなるよう設定される。枠体20の高さと培養層30の高さの差を100μmより大きくすることにより、被検液の拡がりを十分に抑制することができ、これによって、基材シート10上への漏れが生じることを防ぐことができる。また、枠体20の高さと培養層30の高さの差を1200μmよりも小さくすることにより、被検液35Aおよび培養層30とカバーフィルムとの間の密着性を確保することができる。これによって、被検液35Aを培養層30に給水させながら被検液35Aを培養層30の全域に拡げることができる。
枠体20の高さh、すなわち基材シート10から枠体20の上端までの距離は、300〜1400μmとなっており、好ましくは500〜900μmとなっている。枠体20の高さhを300μmより大きくすることにより、被検液35Aを滴下するためにカバーフィルム40をめくり上げる際に、基材シート10とカバーフィルム40との間に指が入りやすくなるため、カバーフィルム40をめくり上げやすくすることができる。また、枠体20の高さhを1400μmより小さくすることにより、高価である培地液を基材シート10上に塗布する量を減らすことができるため、微生物培養具1のコストを下げることができる。
枠体20を構成する材料としては、好ましくは、疎水性を有する材料が用いられ、例えば疎水性樹脂が用いられる。疎水性樹脂としては、例えば、UV硬化樹脂、ホットメルト樹脂、熱発泡インクやUV発泡剤等を好適に使用することができる。これらは着色されていてもよい。
UV硬化樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ラジカル型では、アクリレート系や不飽和ポリエステル系等が挙げられ、カチオン型では、エポキシアクリレート系、オキセタン系やビニルエーテル系等が挙げられる。
ホットメルト樹脂としては、軟化点温度が120度以下、より好ましくは100度以下のものを好適に使用することができる。例えば、ホットメルト樹脂として、ウレタン系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリエステル系、エチレン酢酸ビニル系、スチレンブタジエンゴム系やウレタンゴム系等の合成ゴム系等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
その他にも、枠体20を構成する疎水性樹脂として、熱発泡インクやUV発泡剤等も好適に使用することができる。例えば、バインダーとしてポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、そして、塩素化ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、また、塩化ゴムや環化ゴム等のゴム類等を用いたインクを使用することができる。これらのインクは、撥水性を有していれば更に好ましく、この点から上記の樹脂にシリコーン類やワックス類を添加したインクが更に好ましい。
枠体20に用いる疎水性樹脂は、疎水性、撥水性を有すると同時に、その塗膜の厚さが大きくできるものであることが好ましい。この観点からは、上記の樹脂に従来公知の発泡剤等を添加して、発泡インクとして使用することが効果的である。このようなUV発泡インクとして、少なくともアクリレート反応性希釈剤又はメタクリレート反応性希釈等の反応性希釈剤と、ウレタンアクリレート光重合性オリゴマー、ポリエステルアクリレート光重合性オリゴマー、エポキシアクリレート光重合性オリゴマー、アクリル系光重合性オリゴマー、特殊光重合性オリゴマー等の光重合性オリゴマーと、光重合開始剤からなる紫外線硬化型インクに、無機発泡剤、有機発泡剤、液体発泡剤等の発泡剤を含有してなる紫外線硬化型発泡インクを挙げることができる。
なお、上記疎水性樹脂には、添加剤として、消泡剤、重合禁止剤、顔料分散剤等を添加してもよい。また、通常使用される着色顔料を、15質量%未満の範囲で含有してもよい15質量%を超えると、発泡を阻害するおそれがあるため好ましくない場合がある。
本実施の形態による微生物培養具1Aにおいては、枠体20の材料として、上記いずれの疎水性樹脂も好適に使用することができるが、UV硬化樹脂又はホットメルト樹脂が好ましく、ホットメルト樹脂がより好ましい。枠体20の形成には、一定の高さを有するパターン形成が必要であるが、UV硬化樹脂やホットメルト樹脂は、非溶媒系の状態でディスペンサー等による塗布により容易に形状加工ができ、加工後も光照射や冷却により硬化させるだけで容易にパターン形成できるからである。ただし、UV照射に起因して変質する成分が培養層30に含まれている場合には、UV照射の際に培養層30を金属等で覆う必要があり、作業が煩雑となるため、ホットメルト樹脂を使用するとよい。
なお、疎水性材料のくりぬき品を基材シート10の上面に接着して枠体20を形成してもよい。もしくは基材シート10を熱成形、プレス成形、しぼり成形などを用いて枠体状に成形することにより、枠体20を形成してもよい。
(接合部)
接合部25は、カバーフィルム40を基材シート10に対して接合するためのものである。カバーフィルム40が接合部25を軸として基材シート10に対して変位し、これによって、枠体20および培養層30がカバーフィルム40によって覆われている被覆状態と、枠体20および培養層30がカバーフィルム40によって覆われていない開放状態と、を実現することができる限りにおいて、接合部25の具体的な構成が特に限られることはない。例えば図2および図4に示すように、接合部25を、基材シート10およびカバーフィルム40とは別個の部材を用いて構成してもよい。この場合、接合部25として、例えば一般的な両面テープやホットメルト剤や粘着剤を用いることができる。若しくは、図示はしないが、接合部25を、基材シート10およびカバーフィルム40と同一の材料を用いて構成してもよい。例えば、一枚のプラスチックシートや積層シートを準備し、このシートを折り曲げることによって、一連のシート上に基材シート10およびカバーフィルム40を画定してもよい。この場合、基材シート10とカバーフィルム40との間に位置する折り曲げられた領域が、カバーフィルム40を基材シート10に対して接合する接合部25となる。
(カバーフィルム)
次に図5を参照して、カバーフィルム40について説明する。カバーフィルム40は、培養中の落下菌等による汚染を防止するとともに、培養層30の水分蒸発を防止するという作用を有する。またカバーフィルム40は、培養層30上に供給された被検液35Aの塊を培養層30の全域にわたって拡げるという作用も有する。カバーフィルム40は、図5に示すようにベース層46を含んでいる。
カバーフィルム40のベース層46は、防水性、水蒸気不透過性を有すると同時に、透明性を有することが好ましい。これによって、微生物の培養後、カバーフィルム40を通してコロニーを観察したり、計数したりすることができる。例えばベース層46を構成する材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムを使用することができる。
また、カバーフィルム40のベース層46には、基材シート10の項で記載したコロナ放電処理等の表面処理がなされていてもよい。なお、カバーフィルム40は、培養する微生物の種類により、適した気体透過性、主に酸素透過性、又は酸素非透過性を有することが好ましく、この点も考慮して選定するとよい。
カバーフィルム40は、被検液35Aを培養層30上に供給するためにカバーフィルム40を基材シート10から持ち上げる際に、適度の柔軟性が確保されることが好ましい。したがって、カバーフィルム40の厚さは、10〜200μm程度が好ましく、20〜70μm程度が更に好ましい。
またカバーフィルム40の上面や下面には、インクの保持性を高めるための改質処理が施されていてもよい。これによって、上述の検体情報70,75などがインクジェットや熱転写によってカバーフィルム40に印刷される場合に、インクをカバーフィルム40の上面や下面に安定に固着させることができる。若しくは、図示はしないが、カバーフィルム40の上面や下面に、インクを保持するよう構成された層がさらに設けられていてもよい。
以下、カバーフィルム40に含まれ得るその他の層についてさらに説明する。
〔印刷層〕
図5に示すように、ベース層46の下面側に、上述の枡目線40aを構成する印刷層47が設けられていてもよい。印刷層47は、好ましくは、水に不溶性であり、かつ微生物の生育に影響を与えないインクを用いることによって構成されている。印刷層47によって構成される枡目線40aは、コロニーが多数形成された場合に、数ヶ所の枡目内の菌数を計測し、枡目の合計数に比例した数を掛けるだけで、おおよその全体数を求めるために形成されるものである。枡目の大きさは、10mm角程度が適当である。
〔特定成分層〕
カバーフィルム40のうち培養層30と対向する領域に、特定成分層48が形成されていてもよい。特定成分層としては、例えば、固着剤を溶解、又は分散した液に、ゲル化剤、栄養成分、発色指示薬、選択剤及び基質からなる群から選択される1種以上を配合した特定成分溶液を塗布することにより得られる層が用いられる。なお、カバーフィルム40に設けられた特定成分層48が発色指示薬を含んでいる場合、培養層30や被検液35Aに発色指示薬を添加する手間を省くことができる。
〔着色層〕
また図5に示すように、上述の着色領域40Cを構成するための着色層49が、ベース層46の下面側に設けられていてもよい。
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。ここでは、はじめに、微生物培養具1を製造する方法について説明する。次に、微生物培養具1に検体情報を印刷する方法について説明する。その後、検体情報が印刷された微生物培養具1Aを用いて検体を検査する方法について説明する。
微生物培養具の製造方法
はじめに、微生物培養具1を製造する方法について、図6(a)〜(d)を参照して説明する。ここでは、複数の微生物培養具1を多面付けによって一度に製造する方法について説明する。
はじめに、複数の微生物培養具1、例えば6枚分の微生物培養具1に相当する面積を有する基材シート10を準備する。次に図6(a)に示すように、基材シート10の上面の6ヶ所に第1培養具情報80を設ける。第1培養具情報80を設ける方法が特に限られることはなく、インクジェット印刷や熱転写など公知の方法が適宜用いられる。
次に図6(b)に示すように、ディスペンサーなどを用いて、ホットメルト樹脂などから構成される円形状の枠体20を基材シート10の上面に形成する。また、培養層30を形成するための培地液を、枠体20によって囲まれた領域内に、ディスペンサーなどを用いて塗布する。その後、塗布した培地液に熱をかけて溶媒を除去し、乾燥させる。これによって、図6(b)に示すように、基材シート10の上面の6ヶ所に培養層30が形成される。
次に図6(c)に示すように、両面テープやホットメルト剤などからなる接合部25を、基材シート10の上面に設ける。その後、6枚分の微生物培養具1に相当する面積を有するカバーフィルム40を準備し、このカバーフィルム40を接合部25に接合する。次に図6(d)に示すように、基材シート10およびカバーフィルム40の接合体を6枚に切断する。このようにして、6枚の微生物培養具1を製造することができる。
なお各微生物培養具1には、6枚分の区画のうちのいずれの部分から各々が取り出されたのかを示すための割り付け情報が設けられていてもよい。例えば図6(c)(d)に示すように、割り付け情報は、カバーフィルム40の上面に設けられた割り付け表示84によって、文字情報として表示されていてもよい。すなわち、割り付け情報は、文字情報から構成される第1培養具情報80の一部であってもよい。割り付け表示84の具体的な内容は特には限られない。例えば割り付け表示84は、図6(d)に示すように2行3列に多面付された6枚の微生物培養具1のうちの右上の微生物培養具1を起点として時計回りに付された「A」〜「F」の記号となっていてもよい。
印刷方法
次に、図7乃至図9を参照して、微生物培養具1に対して、製品から抽出される検体に関する検体情報を印刷する印刷方法について説明する。図7は、検体情報が表示された微生物培養具1Aを準備するための印刷方法S10と、検体情報が表示された微生物培養具1Aを用いて検体を検査する検査方法S20と、を示すフローチャートである。図8は、検体情報を微生物培養具1に印刷するための印刷システム60を示す図である。
図8に示すように、印刷システム60は、微生物培養具1を搬送する搬送装置63と、微生物培養具1に検体情報を印刷する印刷装置64と、微生物培養具1を印刷装置64に向けて1つずつ順に供給する供給装置62と、印刷装置64を制御する制御装置61と、を備えている。また印刷システム60は、印刷装置64の下流側に配置され、微生物培養具1Aに表示されている検体情報や培養具情報などの情報を認識する情報認識装置65をさらに備えていてもよい。
〔検体情報生成工程〕
はじめに、微生物培養具1に印刷されるべき検体情報を生成する検体情報生成工程S11を実施する。ここでは、制御装置61によって検体情報が生成される。
制御装置61は、微生物培養具1に印刷されるべき検体情報を保持している。図9は、制御装置61に保持されている検体情報の一例を示す図である。図9に示すように、検体情報は、検査ID、検査日、製品名、ロット番号、検査者、検査対象となる微生物の種類(菌種)、検体の希釈率、対象の製品に対して実施される検査のn数(検査枚数)などに関する情報を含むことができる。なお、図9に示されていない検体情報、例えば検査開始時刻、検査終了時刻、検体の採取場所、検体の培養条件(希釈液の種別、培養時の温度や湿度、培養時間など)、検体の培養場所(孵卵器の番号、段数など)が、制御装置61にさらに保持され、また微生物培養具1に印刷されてもよい。本実施の形態においては、例えば、図9に示す製品名および検査日に関する情報が、第1検体情報70として、すなわち文字情報として微生物培養具1に表示される。同様に、図9に示す製品名および検査日に関する情報が、第2検体情報75として、すなわちQRコードとして微生物培養具1に表示される。
検体情報を生成する方法が特に限られることはなく、様々な方法が採用され得る。例えば、検査者が検体情報を、制御装置61または制御装置61として機能するコンピュータなどに手動で入力し、これによって検体情報を制御装置61に認識させてもよい。若しくは、制御装置61は、生産管理データベース(図示せず)と検査データベース(図示せず)とを参照して、微生物培養具1に印刷されるべき検体情報を生成するよう構成されていてもよい。
〔印刷工程〕
次に、検体情報生成工程S11において生成された検体情報を微生物培養具1に印刷する印刷工程を、検体情報を微生物培養具1に付与するための検体情報付与工程S12として実施する。まず印刷工程の前段階として、微生物培養具1を、印刷工程を実施する印刷装置64に向けて順に供給する(供給工程)。次に、印刷装置64が、微生物培養具1のカバーフィルム40の上面に対してインクを所定のパターンで供給する。これによって、上述の図1に示すように、第1検体情報70および第2検体情報75が印刷された微生物培養具1Aを得ることができる。なお、印刷装置64のタイプが特に限られることはなく、インクジェット方式、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式などの様々な方式の印刷装置が用いられ得る。
〔情報認識工程〕
次に、微生物培養具1Aに印刷された情報を認識する情報認識工程S13を実施する。例えば、検体情報70,75を認識する検体情報認識工程を実施する。ここでは、情報認識装置65によって検体情報70,75が認識される。
情報認識装置65は、微生物培養具1Aに印刷された検体情報70,75それぞれを読み取ることができるよう構成されている。例えば情報認識装置65は、微生物培養具1Aに印刷された検体情報70,75を撮影して検体情報70,75の画像を取得する撮影部と、取得された画像中の第1検体情報70を解析して第1検体情報70を文字データとして認識するOCR部と、取得された画像中の第2検体情報75を解析して情報を抽出するコードリーダ部と、を含んでいる。
ここで本実施の形態によれば、上述のように、第1検体情報70にはデジタルフォントが利用されている。このため、検体情報認識装置65を用いて第1検体情報70を認識する際に読み取りエラーが発生する確率を低くすることができる。
〔照合工程〕
次に、検体情報認識工程S13において認識された検体情報70,75と、検体情報生成工程S11において生成された検体情報とを照合する照合工程S14を実施する。例えば、制御装置61は、検体情報認識装置65によって取得された検体情報と、制御装置61によって生成された検体情報とを照合することができるよう構成されていてもよい。ここで照合とは、検体情報認識装置65によって認識された検体情報70,75と、制御装置61によって生成された検体情報とが互いに一致しているかどうかを判定することを意味している。このような照合工程を実施することにより、誤った検体情報が表示された微生物培養具1Aや、検体情報認識装置65に検体情報が認識されなかった微生物培養具1Aが、検査において用いられてしまうことを防ぐことができる。なお、適切な検体情報70,75が微生物培養具1Aに表示されていることが確認された場合、制御装置61によって保管されている、図9に示す検体情報に、確認が完了した旨を表す情報を追加してもよい。
〔培養具情報認識工程〕
なお情報認識工程S13は、第1培養具情報80を読み取る培養具情報認識工程をさらに実施してもよい。例えば、検体情報70,75の場合と同様にして、情報認識装置65のOCR部を用いることにより、ID表示81および使用期限表示82を認識することができる。なお、情報認識装置65によって得られた第1培養具情報80は、検体情報70,75と関連付けて記録されてもよい。これによって、仮に後の工程において第1培養具情報80が読み取り不可能な状態になってしまった場合であっても、微生物培養具1に示されている検体情報70,75を参照することにより、微生物培養具1に関する情報を得ることができる。その逆に、検体情報70,75が読み取り不可能な状態になってしまった場合であっても、第1培養具情報80を参照することにより、検体に関する情報を得ることができる。
また情報認識装置65は、検体情報70,75や第1培養具情報80だけでなく、微生物培養具1A全体の画像を取得するよう構成されていてもよい。これによって、検体情報70,75や第1培養具情報80と関連付けて、被検液が接種される前の微生物培養具1Aの状態を画像として記録することができる。このことにより、例えば、後の検査工程において異常な検査結果を示す微生物培養具1Bが存在する場合に、被検液が接種される前の当該微生物培養具1Aの培養層30の状態を画像で確認することが可能となる。例えば、被検液が接種される前の当該微生物培養具1Aに、ゴミなどが付着していないかどうかを確認することができる。このことにより、検査結果の信頼性を高めることができる。
検査方法
次に、微生物培養具1Aを用いて微生物を検査する方法について、図10(a)〜(d)および図11を参照して説明する。
はじめに図10(a)に示すように、微生物培養具1Aを作業台5の上に配置する。ここで作業台5は、図11に示すように、微生物培養具1Aの培養層30上に被検液を供給する作業を実施するための作業領域5aと、被検液が供給された後の微生物培養具1Bを一時的に保管するための保管領域5bと、を含んでいる。図10(a)に示す工程において、微生物培養具1Aは、作業台5の作業領域5a内に配置される。なお、以下の説明において、被検液が接種された微生物培養具1Aを符号1Bで示すこともある。
(被検液滴下工程)
次に、図10(b)に示すように、微生物培養具1Aの培養層30上に被検液35Aを滴下する被検液滴下工程S21を実施する。被検液35Aは、所定の希釈率で希釈された検体を含んでいる。被検液35Aは例えば、培養層30の一部分に塊として供給される。被検液滴下工程においては、図10(b)に示すように、カバーフィルム40が基材シート10から持ち上げられている。このとき、基材シート10の上面に第1検体情報70を表示するようにすると、検査者は第1検体情報70を見ながら被検液35Aを滴下することができるため、作業の確実性を向上させることができる。
次に、微生物培養具1Aの培養層30および枠体20を、微生物培養具1Aのカバーフィルム40を用いて覆う。例えば図10(c)に示すように、接合部25を軸としてカバーフィルム40を基材シート10に向けて変位させる。このとき、カバーフィルム40の下面が被検液35Aに接触する。被検液35Aは、カバーフィルム40と接触することによって、培養層30上で拡がっていく。これによって、図10(d)に示すように、被検液35Aを培養層30の全域に行き渡らせることができる。ここで本実施の形態によれば、培養層30は、培養層30よりも大きい厚み(高さ)を有する枠体20によって囲われている。このため、被検液35Aが基材シート10上に洩れてしまうことを抑制しながら、被検液35Aを培養層30の全域に迅速に行き渡らせることができる。このようにして、培養層30に被検液35Aを接種することができる。
(培養工程)
次に、孵卵器を用いて微生物を培養する培養工程S22を実施する。具体的には、被検液35Aが滴下された培養層30がゲル化した後、微生物培養具1Bが孵卵器に入れられる。微生物培養具1Bを孵卵器に入れる時間は、被検液35Aや培養層30の種類に応じて適宜設定されるが、例えば35度で48時間に設定される。なお、孵卵器に入れられる前の微生物培養具1B全体の画像を、例えば情報認識装置65を用いて取得してもよい。この画像は、好ましくは、検体情報70,75や第1培養具情報80と関連付けて記録される。このことにより、例えば、後の検査工程において異常な検査結果を示す微生物培養具1Bが存在する場合に、培養工程が実施される前の当該微生物培養具1Bの状態を画像で確認することが可能となる。このことにより、検査結果の信頼性を高めることができる。
ところで、被検液35Aが滴下された培養層30がゲル化するためには所定の時間を有する。このため、図11に示すように、被検液35Aが接種されてから培養層30がゲル化するまでの間、微生物培養具1Bを保管領域5bで保管してもよい。これによって、培養層30のゲル化を待つ間に、次の被検液35Aを次の微生物培養具1Aに滴下する作業を作業領域5aで実施することができる。
(観察工程)
次に、培養された微生物を観察する観察工程S23を実施する。具体的には、孵卵器において所定の時間にわたって微生物を培養した後、微生物培養具1Bを孵卵器から取り出し、発生したコロニー90(図12参照)の状態を観察する。このようにして、製品から抽出された検体を含む被検液35Aに含まれる微生物を検査することができる。
ところで、検体情報70,75が表示された微生物培養具1A,1Bを用いて検体を検査する各工程においては、検体情報70,75の視認性が低下したり損なわれたりしてしまう危険性が数多く存在している。例えば被検液滴下工程S21においては、被検液35Aが第1検体情報70上または第2検体情報75上にこぼれてしまい、これによって第1検体情報70または第2検体情報75が汚れてしまうことが考えられる。また、複数の微生物培養具1A,1Bが重ねられる場合、摩擦に起因して第1検体情報70または第2検体情報75が摩滅してしまうことも考えられる。
ここで本実施の形態によれば、上述のように、第1検体情報70に含まれる情報と第2検体情報75に含まれる情報とが少なくとも部分的に重複している。このため、第1検体情報70および第2検体情報75のうちの一方が読み取れなくなってしまった場合であっても、第1検体情報70または第2検体情報75のうちの他方を読み取ることによって、検体に関する情報を得ることができる。すなわち、検体情報に関する冗長性を高めることができる。
また本実施の形態によれば、上述のように、第1検体情報70の表示形式と第2検体情報75の表示形式とが異なっている。すなわち、第1検体情報70は、文字で示された文字情報からなっており、第2検体情報75は、二次元コードからなっている。情報の表示形式が異なると、汚れに対する耐性も一般に異なる。例えば文字は、その種類が限られているため、仮にその一部分が汚れたり欠けたりしていても、その他の部分に基づいて文字を認識することができる場合がある。また、文字情報によって第1検体情報70を構成することにより、第1検体情報70に含まれる情報を目視で認識することができ、このため、検査者などは、即座に第1検体情報70を得ることができる。これによって、検査作業などを迅速に進めることができる。一方、二次元コードは、第1方向と第1方向に直交する第2方向の両方において情報を有するため、第1方向または第2方向のいずれか一方において二次元コードが汚れたり欠けたりしただけでも、二次元コードの認識が困難になる場合がある。しかしながら、二次元コードは、文字に比べて高い密度で情報を提供することができる、という長所を有している。従って、表示形式の異なる複数の情報を採用することにより、作業の容易性および検体情報に関する冗長性を高めながら、高い密度で情報を提供することができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
検体情報の表示方法の変形例
上述の本実施の形態において、第1検体情報70および第2検体情報75が、インクジェット印刷や熱転写などの印刷方法によって生成される例を示したが、これに限られることはない。例えば図13に示すように、第1検体情報70および第2検体情報75はそれぞれシール70c,75cとして設けられていてもよい。具体的には、文字情報や二次元コードが印刷されたシール70cやシール75cを微生物培養具1に貼ることによって、第1検体情報70や第2検体情報75が微生物培養具1に表示されてもよい。なお、第1検体情報70および第2検体情報75の両方がシールとして設けられていてもよく、若しくは一方のみがシールとして設けられていてもよい。このようにシールを用いることによって、任意の段階で様々な検体情報を微生物培養具1に容易に追加することができる。
検体情報の表示面の変形例
また上述の本実施の形態において、第1検体情報70および第2検体情報75がいずれもカバーフィルム40の上面に表示される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1検体情報70および第2検体情報75のうちの少なくともいずれか一方が、カバーフィルム40の下面や、基材シート10の上面または下面に表示されていてもよい。例えば図14に示すように、第1検体情報70をカバーフィルム40の上面に表示し、第2検体情報75を基材シート10の下面に表示してもよい。この場合、仮にカバーフィルム40の上面および基材シート10の下面のうちいずれか一方の面が汚れてしまい、この面に設けられている情報が読み取れなくなった場合であっても、他方の面の情報を読み取ることにより、検体に関する情報を得ることができる。すなわち、検体に関する情報の冗長性を高めることができる。
図14に示すように第1検体情報70および第2検体情報75を設ける方法が特に限られることはない。例えば第1検体情報70は、上述の本実施の形態の場合と同様に、検査者が印刷を実施することによって設けられることができる。また第2検体情報75は、図13に示す変形例の場合と同様に、第2検体情報75が印刷されたシール75cを検査者が基材シート10の下面に貼ることによって、設けられることがきる。
また図15に示すように、第1検体情報70および第2検体情報75がいずれも基材シート10に表示されていてもよい。この場合、検体情報70,75は、上述の本実施の形態の場合のように、検査者、すなわち微生物培養具1を使用する側の者(使用者)によって微生物培養具1に設けられてもよいが、その他にも、微生物培養具1の製造者によって微生物培養具1に設けられてもよい。ここでは、検体情報70,75が微生物培養具1の製造者によって微生物培養具1に設けられる例について、図16を参照して説明する。なお微生物培養具1の製造者は、微生物培養具1に表示されるべき検体情報70,75の内容を微生物培養具1の使用者から予め入手しているものとする。
はじめに、複数の微生物培養具1、例えば6枚分の微生物培養具1に相当する面積を有する基材シート10を準備する。次に図16(a)に示すように、基材シート10の上面の6ヶ所に第1検体情報70、第2検体情報75および第1培養具情報80を設ける。次に図16(b)に示すように、基材シート10の上面の6ヶ所に枠体20および培養層30を形成する。その後、図16(c)に示すように、接合部25を介してカバーフィルム40を基材シート10に接合する。次に図16(d)に示すように、基材シート10およびカバーフィルム40の接合体を6枚に切断する。このようにして、基材シート10の上面に第1検体情報70、第2検体情報75および第1培養具情報80が表示された6枚の微生物培養具1Aを製造することができる。
その他の変形例として、例えば図17に示すように、第1検体情報70および第2検体情報75のうちの少なくとも一方、例えば第1検体情報70が基材シート10の上面に表示され、他方、すなわち第2検体情報75が基材シート10の下面に表示されていてもよい。本変形例においても、第1検体情報70および第2検体情報75が表示される面を異ならせることにより、検体に関する情報の冗長性を高めることができる。
検体情報の表示位置の好ましい例
次に、検体情報70,75が基材シート10の上面に表示される場合の、検体情報70,75の表示位置の好ましい例について、図18(a)〜(c)を参照して説明する。
被検液35Aが接種されてから培養層30がゲル化するまでの間、微生物培養具1Bを上述のように保管領域5bで保管する場合、ゲル化する前の培養層30を含む微生物培養具1Bが作業領域5aから保管領域5bへ搬送される。この場合、搬送の際の振動や衝撃に起因して、被検液35Aが枠体20を超えて培養層30から基材シート10の上面に漏れ出すことが考えられる。ところで、このような被検液35Aの漏れ出しの多くは、微生物培養具1Bが搬送中に傾けられることに起因して生じる。このため、被検液35Aの漏れ出しは、主に、培養層30を起点として一方向に生じる。従って、上述のように基材シート10の上面に第1検体情報70および第2検体情報75という2種類の情報が設けられる場合、培養層30から第1検体情報70に向かう方向と培養層30から第2検体情報75に向かう方向とが異なるように検体情報70,75の表示位置を定めることにより、第1検体情報70および第2検体情報75の両方が被検液35Aによって同時に汚れてしまうことを抑制することができる。以下、このような観点から考えられる好ましい配置の例について説明する。
例えば図18(a)に示すように、第2検体情報75を、第1検体情報70と培養層30の中心点Cとの間に位置する部分と重ならないよう、基材シート10の上面に配置することが考えられる。図18(a)において、第1検体情報70の表示位置と培養層30の中心点Cとの間に位置する部分であって、培養層30および枠体20を除く部分が、斜線部分R1として示されている。なお斜線部分R1は、第1検体情報70が表示される領域の両端部70a,70bと培養層30の中心点Cとを結ぶ一対の直線L1の内側に位置する部分として表現することもできる。このような斜線部分R1と重ならないよう第2検体情報75を表示することにより、第1検体情報70および第2検体情報75の両方が被検液35Aによって同時に汚れてしまうことを抑制することができる。
また図18(b)に示すように、第2検体情報75を、第1検体情報70の表示位置と培養層30とを結ぶ一対の包絡線L2の内側の部分と重ならないよう、基材シート10の上面に表示することも考えられる。図18(b)において、一対の包絡線L2の内側の部分であって、培養層30および枠体20を除く部分が、斜線部分R2として示されている。このような斜線部分R2と重ならないよう第2検体情報75を表示することにより、第1検体情報70および第2検体情報75の両方が被検液35Aによって同時に汚れてしまうことをさらに抑制することができる。
さらに図18(c)に示すように、第2検体情報75を、第1検体情報70の表示位置および培養層30の中心点Cを結ぶ直線L3と、中心点Cに対して第1検体情報70の反対側に位置する部分で重なるよう、基材シート10の上面に表示してもよい。これによって、第1検体情報70および第2検体情報75の両方が被検液35Aによって同時に汚れてしまうことをより確実に防ぐことができる。
検体情報の表示形式の変形例
また上述の本実施の形態および変形例において、第1検体情報70が文字情報から構成され、第2検体情報75が二次元コードから構成される例を示した。しかしながら、第1検体情報70または第2検体情報75として、その他の表示形式で示された情報が用いられてもよい。例えば図19(a)(b)に示すように、第1検体情報70または第2検体情報75として、一次元コードが用いられてもよい。一次元コードとは、一方向において、例えば図19(a)(b)において矢印sで示されるスキャン方向sにおいて情報を有する表示形式のコードのことであり、例えばバーコードを挙げることができる。一次元コードが第1検体情報70または第2検体情報75として用いられる場合、スキャン方向sにおいて少なくとも部分的に一次元コードを読み取ることができれば、第1検体情報70または第2検体情報75を得ることができる。例えば図19(b)に示すように、バーコードが、バーコードのうちスキャン方向sに直交する方向における端部近傍で被検液35Aによって汚れてしまっている場合であっても、バーコードを読み取ることが可能である。このため、二次元コードが用いられる場合に比べて、情報の冗長性を高めることができる。また一次元コードは、文字情報に比べて高い密度で情報を提供することができる。
その他にも、第1検体情報70または第2検体情報75として、絵や図形が用いられてもよい。
なお、第1検体情報70の表示形式(第1表示形式)と第2検体情報75の表示形式(第2表示形式)の組合せ方が特に限られることはない。例えば、第1検体情報70および第2検体情報75として、一次元コードおよび二次元コードの組合せが用いられてもよく、また、文字情報および一次元コードの組合せが用いられてもよい。また、第1検体情報70および第2検体情報75として、同一の表示形式を有する情報が用いられてもよい。例えば、第1検体情報70および第2検体情報75がいずれも一次元コードまたは二次元コードから構成されていてもよい。なお、文字情報によってもたらされる、情報認識の容易性という利点、並びに、一次元コードおよび二次元コードによってもたらされる、情報の高密度化という利点の両方を享受することを考えると、第1表示形式または第2表示形式の一方が文字情報であり、他方が一次元コードまたは二次元コードであることが好ましい。
また上述の本実施の形態および変形例において、第1検体情報70の表示形式と第2検体情報75の表示形式との間の相違が、色の相違として表現されていてもよい。例えば、第1検体情報70が赤色の文字情報から構成され、第2検体情報75が青色の文字情報から構成されていてもよい。この場合、例えば被検液35Aが赤色に近い色であり、このため被検液35Aによって第1検体情報70が汚れて読み取れなくなった場合であっても、青色の第2検体情報75を読み取ることにより、検体に関する情報を得ることができる。
また、第1検体情報70および第2検体情報75に加えて、第1検体情報70または第2検体情報75のうちの少なくとも一方に含まれる情報と同一の情報を含む第3検体情報が、微生物培養具1Aにさらに設けられていてもよい。例えば、各々が検体の抽出元となった製品の製品名および検体の検査日に関する情報を含む、文字情報、一次元コードおよび二次元コードが、第1検体情報70、第2検体情報75および第3検体情報として微生物培養具1Aに表示されていてもよい。
検体情報が設けられる段階の変形例
また上述の本実施の形態および変形例において、第1検体情報70および第2検体情報75が同一の段階で微生物培養具1に設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1検体情報70および第2検体情報75を、互いに異なる段階で微生物培養具1に設けてもよい。
例えば、はじめに、微生物培養具1の製造者が第1検体情報70を基材シート10に設け、その後、上述の検査方法S20が実施される前に、検査者が第2検体情報75をカバーフィルム40に設けてもよい。例えば検査者は、微生物培養具1に表示されている第1検体情報70を読み取った上で、第1検体情報70に追加されるべき情報を含む第2検体情報75を微生物培養具1に設けることができる。
若しくは、はじめに、検査方法S20が実施される前に、微生物培養具1の製造者または検査者が第1検体情報70を微生物培養具1に設け、その後、検査方法S20が実施された後に、検査者が、自身が実施した検査の内容に関する情報を含む第2検体情報75を微生物培養具1に設けてもよい。この場合、第2検体情報75は、検体に関する情報の冗長性を高めるという役割だけでなく、検査が完了したことを証明するという役割も果たすことになる。また、第1検体情報70に含まれる情報と第2検体情報75に含まれる情報とが少なくとも部分的に一致するかどうかを判定することにより、検査が適切に実施されたかどうかを確認することもできる。
培養具情報が冗長化される例
また上述の本実施の形態および変形例において、検体に関する情報の冗長化が図られている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、微生物培養具1に関する情報についても冗長化が図られていてもよい。例えば図20に示すように、第1培養具情報80だけでなく第2培養具情報85がさらに微生物培養具1,1A,1Bに表示されていてもよい。この場合、第1培養具情報80および第2培養具情報85は、第1培養具情報80に含まれる情報と第2培養具情報85に含まれる情報とが少なくとも部分的に重複するよう構成されている。このため、第1培養具情報80および第2培養具情報85のうちの一方が読み取れなくなってしまった場合であっても、他方を読み取ることによって、微生物培養具1に関する情報を得ることができる。すなわち、培養具情報に関する冗長性を高めることができる。
第1培養具情報80の表示形式と第2培養具情報85の表示形式は、同一であってもよく異なっていてもよい。例えば図20に示すように、第1培養具情報80が、文字で示された文字情報であり、第2培養具情報が二次元コードであってもよい。
略号表示が用いられる例
また上述の本実施の形態および変形例において、文字情報として示される第1検体情報70が、製品名を直接的に表示する製品名表示71と、検査日表示72とを含む例を示した。しかしながら、検体情報70を見た検査者が製品名および検体の検査日に関する情報を容易に認識することができる限りにおいて、文字情報の内容が特に限られることはない。例えば図21に示すように、検体情報70は、製品名表示71や検査日表示72に加えて、若しくは製品名表示71や検査日表示72に替えて、ロット番号などの略号を用いて製品名に関する情報を表現する略号表示73を有していてもよい。略号表示73は、製品名略号表示73a、検査日表示73b(検査日略号表示とも称する)、製造ライン略号表示73c、n数表示73d、検査者略号表示73eまたは希釈率略号表示73fなどを含むことができる。図21に示す例において、製品名略号表示73aは、チキンカレー甘口という製品名を表現する、「CM」という略号である。また検査日表示73bは、2013年1月25日という検査日を表現する、「20130125」という数字(略号)である。また製造ライン略号表示73cは、製品が製造ラインAで製造されたということを表現する、「A」という略号である。またn数表示73dは、対象の製品に対して実施される検査のn数(検査枚数)が1であることを表現する、「1」という略号である。また検査者略号表示73eは、検査者のイニシャルなど、検査者が誰であるかを表現する「KT」という略号である。また希釈率略号表示73fは、製品の検体を含む被検液の希釈の倍率が10であることを表現する、「2」という略号である。
シャーレが用いられる例
また上述の本実施の形態および変形例において、微生物培養具1が、培養層30をその上面に保持する基材シート10と、基材シート10に接合されたカバーフィルム40と、から構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図22に示すように、微生物培養具1は、培養層30を収容するシャーレ3によって構成されていてもよい。本変形例においても、図22に示すように、検体が抽出された製品の製品名および検体の検査日に関する情報などを含む第1検体情報70および第2検体情報75がシャーレ3に設けられている。このため、検体の情報に関する冗長性を高めることができる。第1検体情報70および第2検体情報75が設けられる位置は特には限られないが、例えば第1検体情報70および第2検体情報75は、シールとしてシャーレ3の側面に設けられている。また図示はしないが、第1検体情報70および第2検体情報75は、シャーレ3の底面に表示されていてもよい。
なお、上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
1 微生物培養具
1A 検体情報が付与された微生物培養具
1B 被検液が接種された培養具培養具
3 シャーレ
5 作業台
10 基材シート
20 枠体
25 接合部
30 培養層
35A 被検液
40 カバーフィルム
40C 着色領域
60 印刷システム
70 第1検体情報
75 第2検体情報
80 第1培養具情報
85 第2培養具情報
90 コロニー

Claims (6)

  1. 微生物を培養するよう構成された培養層を備える微生物培養具であって、
    前記培養層をその上面に保持する基材シートと、
    前記基材シートの上面に接合され、前記培養層を覆うことができるカバーフィルムと、を備え、
    前記微生物培養具には、前記培養層によって培養される検体に関する情報を含む第1検体情報および第2検体情報が印刷されており、
    前記第1検体情報および前記第2検体情報はいずれも、前記カバーフィルムを前記基材シートに対して接合する接合部の近傍の位置において前記基材シートの上面に表示されており、
    前記第1検体情報は、第1表示形式で表示されており、
    前記第2検体情報は、前記第1表示形式とは異なる第2表示形式で表示されており、
    前記第1検体情報に含まれる情報と、前記第2検体情報に含まれる情報とは、少なくとも部分的に重複している、微生物培養具。
  2. 前記第1表示形式および前記第2表示形式は、文字情報、一次元コードまたは二次元コードのいずれかである、請求項1に記載の微生物培養具。
  3. 前記第1検体情報および前記第2検体情報はいずれも、検体の抽出元となった製品の製品名に関する情報を含む、請求項1または2に記載の微生物培養具。
  4. 前記第1検体情報に含まれる情報と前記第2検体情報に含まれる情報とが同一である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の微生物培養具。
  5. 前記第1検体情報または前記第2検体情報の一方に含まれる情報の全てが、前記第1検体情報または前記第2検体情報の他方に含まれている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の微生物培養具。
  6. 前記微生物培養具には、前記微生物培養具に関する情報を含む第1培養具情報および第2培養具情報がさらに表示されており、
    前記第1培養具情報に含まれる情報と、前記第2培養具情報に含まれる情報とは、少なくとも部分的に重複している、請求項1乃至のいずれか一項に記載の微生物培養具。
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