JP6187854B2 - 微生物培養具 - Google Patents
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Description
本実施の形態による微生物培養具は、例えば、食品メーカーや食品研究所などで製造された製品から抽出された検体を検査するために用いられる。ここで「製品」とは、市販されるものだけでなく、無料で提供される試供品や、研究段階において作製される試作品なども含む概念である。以下、図1乃至図3を参照して、本実施の形態における微生物培養具1Aの構造について説明する。図1は、微生物培養具1Aを示す平面図であり、図2は、図1の微生物培養具1Aを矢印Aの方向から見た場合を示す側面図である。図3は、微生物培養具1Aを示す斜視図である。なお図1においては、後述するカバーフィルム40よりも下側にある枠体20、接合部25および培養層30などの微生物培養具1Aの構成要素が、透視されて点線で示されている。
また図1に示すように、微生物培養具1Aには、検査対象となっている製品から抽出され、培養層30によって培養される検体に関する情報を含む検体情報が表示されている。検体情報は、検体に関する情報を含む第1検体情報70および第2検体情報75を含んでいる。第1検体情報70の表示形式と第2検体情報75の表示形式は、同一であってもよく異なっていてもよいが、本実施の形態においては、第1検体情報70が第1表示形式で示され、第2検体情報75が、第1表示形式とは異なる第2表示形式で示される例について説明する。例えば図1に示すように、第1検体情報70は、デジタルフォントなどの文字で示された文字情報であり、第2検体情報75は二次元コードである。図1に示す例において、第1検体情報70および第2検体情報75はいずれも、カバーフィルム40の上面に表示されている。
二次元コードとは、二方向において、例えば第1方向、および第1方向に直交する第2方向の両方において情報を有する形式のコードのことである。二次元コードは、文字情報に比べて高い密度で情報を提供することができる、という長所を有している。一方、二次元コードは、二方向において情報を有するため、文字情報や一次元バーコードに比べて汚れに弱い、という短所を有している。二次元コードとしては、例えばQRコード(登録商標)などが用いられ得る。
なお、二次元コードからなる第2検体情報75に含まれる情報は、専用のコードリーダを用いることにより読み取られ得る。
また図1に示すように、微生物培養具1Aには、微生物培養具1Aの製造情報を少なくとも含む第1培養具情報80がさらに表示されていてもよい。第1培養具情報80の種類が特に限られることはなく、微生物培養具1の製造者における微生物培養具1Aの管理手法や、微生物培養具1の使用者の要望に応じて、適宜設定される。例えば図1に示すように、第1培養具情報80は、微生物培養具1AのIDに関する情報を示すID表示81と、微生物培養具1Aの使用期限に関する使用期限表示82と、を含んでいる。ID表示81によって微生物培養具1Aを個々に識別することができる限りにおいて、ID表示81の具体的な形式が特に限られることはない。例えばID表示81は、図1に示すように、「AC130123−01」というロット番号と、「000013」というシリアル番号とから構成されている。図1に示す使用期限表示82は、微生物培養具1Aの使用期限が2013年7月であることを表している。
次に図4および図5を参照して、微生物培養具1Aの層構成について説明する。図4および図5は、図1の微生物培養具1Aの基材シート10およびカバーフィルム40をB−B方向から見た場合を示す縦断面図である。はじめに図4を参照して、基材シート10および基材シート10の上面に設けられる枠体20および培養層30について説明する。
基材シート10には、培養層30を形成するために基材シート10上に塗布される培地液によって劣化しない程度の耐溶剤性や培養時に必要な耐水性が求められる。また、培養層30を形成する際の乾燥処理に耐え得る耐熱性も求められる。また、培養層30において培養される微生物が好気性細菌である場合、基材シート10には、酸素透過性が求められる。基材シート10が酸素透過性を有することにより、好気性細菌に酸素を供給することが可能となる。
培養層30は、少なくともゲル化剤を含む乾式の培養層であって、微生物を培養するよう構成された層である。ここで、乾式の培養層とは、溶媒を含んだ培地液を乾燥させて溶媒を揮発させることにより得られるものである。例えば培養層30は、固着剤、ゲル化剤、栄養成分および可塑剤を含んでいる。また培養層30は、発色指示薬や選択剤等などをさらに含んでいてもよい。培養層30の各成分は、培養の対象となる微生物に応じて適宜選択される。以下、各成分の役割、および各成分を構成する材料の例について説明する。
固着剤は、ゲル化剤、栄養成分、可塑剤、発色指示薬、選択剤等の他の成分を基材シート10に固着させる役割を有するものである。固着剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール等が挙げられ、特に、ポリビニルピロリドンが好ましい。ポリビニルピロリドンを用いる場合、アルコール系溶媒に可溶であるので、培地液の粘度を容易に調整することができる。また、ポリビニルピロリドンを用いる場合、アルコール系溶媒を使用することができるので、ゲル化剤を溶解させずに、分散させた培地液を調製することができる。これにより、ゲル化剤に起因する培地液の著しい粘度上昇を抑制することができる。更に、所定のパターンで培地液を基材シート10上に塗布した後に、高温で加熱することなく培地液から溶媒を除去することができる。またポリビニルピロリドンの皮膜性が高いので、ゲル化剤、栄養成分、可塑剤、発色指示薬、選択剤等の他の成分を取り込んで成膜することができる。また、基材シート10との密着性に優れている。
ゲル化剤は、被検液35Aが供給された培養層30をゲル化させ、これによって、培養層30の粘度を、微生物の培養に良好なものとするためのものである。また、培養層30がゲル化剤を含むことにより、培養層30がカバーフィルム40に密着しやすくなるため、培養時の培養層30からの水分の蒸発を抑制することができる。
栄養成分は、微生物の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、一般生菌検査用としては、ソルビトール・ピルビン酸ナトリウム・酵母エキス・ペプトン・ブドウ糖混合物、肉エキス・ペプトン混合物、ペプトン・大豆ペプトン・ブドウ糖混合物等や、これらにリン酸二カリウム及び/又は塩化ナトリウムを加えた混合物が挙げられる。大腸菌・大腸菌群検査用としては、デソキシコール酸ナトリウム・ペプトン・クエン酸鉄アンモニウム・塩化ナトリウム・リン酸二カリウム・乳糖混合物、ペプトン・乳糖・リン酸二カリウム混合物等が挙げられる。ブドウ球菌用としては、肉エキス・ペプトン・塩化ナトリウム・マンニット・卵黄混合物、ペプトン・肉エキス・酵母エキス・ピルビン酸ナトリウム・グリシン・塩化リチウム・亜テルル酸卵黄液混合物等が挙げられる。ビブリオ用としては、酵母エキス・ペプトン・蔗糖・チオ硫酸ナトリウム・クエン酸ナトリウム・コール酸ナトリウム・クエン酸第2鉄・塩化ナトリウム・牛胆汁混合物等が挙げられる。腸球菌用としては、牛脳エキス・ハートエキス・ペプトン・ブドウ糖・リン酸二カリウム・窒化ナトリウム混合物等が挙げられる。真菌用としては、ペプトン・ブドウ糖混合物、酵母エキス・ブドウ糖混合物、ポテトエキス・ブドウ糖混合物等が挙げられる。これらの中から、発育させようとする微生物の種類に応じて、1種類又はそれ以上を選択し、混合して使用することができる。
可塑剤は、ポリビニルピロリドンなどの固着剤によって構成される培養層30の被膜が硬く脆い場合に添加されるものである。可塑剤としては、例えば、グリセリンやグリセリン誘導体系可塑剤、ポリエチレングリコール等が挙げられる。このような可塑剤を添加することにより、培養層30の被膜に柔軟性を与えることができる。このことにより、例えば、基材シート10の外縁近傍がカールしてしまうことを抑制することができる。なお培養層30中における可塑剤の含有比率が高くなりすぎると、微生物の培養特性や視認性が低下してしまうことが考えらえる。従って、培養層30中における可塑剤の含有比率は、培養層30における所望の柔軟性、培養特性や視認性などの様々な点を考慮して決定される。例えば可塑剤としてグリセリンが用いられる場合、好ましくは、培養層30の固形分(アルコールなどの溶媒を除く成分)の全体に対するグリセリンの重量%が10〜15%の範囲内となっている。
発色指示薬は、培養過程で発育する微生物の代謝により産出される特異物質との反応、pH変化の認識、酵素との反応等によって発色してコロニーを着色するものである。発色指示薬を用いることにより、コロニー数の計数を極めて容易にすることができる。発色指示薬としては、例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロライド(以下、TTCとする)、p−トリルテトラゾリウムレッド、テトラゾリウムバイオレット、ペテトリルテトラゾリウムブルー等のテトラゾリム塩や、ニュートラルレッド混合物、フェノールレッド、ブロムチモールブルー、チモールブルー混合物等のpH指示薬が挙げられる。また発色指示薬として、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−B−D−グルクロニドシクロヘキシルアンモニウム水和物、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルフォスフェートなどを用いることもできる。
選択剤は、検出対象ではない微生物の発育を抑えるために培養層30に添加されるものである。このような選択剤としては、メチシリン、セフタメタゾール、セフィキシム、セフタジジム、セフスロジン、バシトラシン、ポリミキシンB、リファンピシン、ノボビオシン、コリスチン、リンコマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、アザクタム、アクリフラビン等の抗生物質、サルファ剤、ナリジクス酸、オラキンドックス等の合成抗菌剤、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、マラカイトグリーン、メチレンブルー等の静菌又は殺菌作用を有する色素、Tergitol7、ドデシル硫酸塩、ラウリル硫酸塩、コール酸ナトリウム等の界面活性剤、亜セレン酸塩、亜テルル酸塩、亜硫酸塩、窒化ナトリウム、塩化リチウム、シュウ酸塩、アジ化ナトリウム、高濃度の塩化ナトリウム等の無機塩等が挙げられる。
枠体20は、上述のように、培養層30を囲うよう基材シート10の上面に設けられるものである。このような枠体20を設けることにより、被検液35Aを培養層30上に供給するときに、被検液35Aが枠体20を超えて拡がることを防止することができるとともに、被検液35Aが広がる領域を一定にすることができる。従って、カバーフィルム40を被せるたけで被検液35Aを拡げることができるため、スプレッダを用いて培養層30上の被検液35Aを拡げる作業を省くことができ、このことにより、検査工程に要する時間を短縮することができる。また、被検液35Aが基材シート10上に洩れてしまうことを防ぐこともできる。
接合部25は、カバーフィルム40を基材シート10に対して接合するためのものである。カバーフィルム40が接合部25を軸として基材シート10に対して変位し、これによって、枠体20および培養層30がカバーフィルム40によって覆われている被覆状態と、枠体20および培養層30がカバーフィルム40によって覆われていない開放状態と、を実現することができる限りにおいて、接合部25の具体的な構成が特に限られることはない。例えば図2および図4に示すように、接合部25を、基材シート10およびカバーフィルム40とは別個の部材を用いて構成してもよい。この場合、接合部25として、例えば一般的な両面テープやホットメルト剤や粘着剤を用いることができる。若しくは、図示はしないが、接合部25を、基材シート10およびカバーフィルム40と同一の材料を用いて構成してもよい。例えば、一枚のプラスチックシートや積層シートを準備し、このシートを折り曲げることによって、一連のシート上に基材シート10およびカバーフィルム40を画定してもよい。この場合、基材シート10とカバーフィルム40との間に位置する折り曲げられた領域が、カバーフィルム40を基材シート10に対して接合する接合部25となる。
次に図5を参照して、カバーフィルム40について説明する。カバーフィルム40は、培養中の落下菌等による汚染を防止するとともに、培養層30の水分蒸発を防止するという作用を有する。またカバーフィルム40は、培養層30上に供給された被検液35Aの塊を培養層30の全域にわたって拡げるという作用も有する。カバーフィルム40は、図5に示すようにベース層46を含んでいる。
図5に示すように、ベース層46の下面側に、上述の枡目線40aを構成する印刷層47が設けられていてもよい。印刷層47は、好ましくは、水に不溶性であり、かつ微生物の生育に影響を与えないインクを用いることによって構成されている。印刷層47によって構成される枡目線40aは、コロニーが多数形成された場合に、数ヶ所の枡目内の菌数を計測し、枡目の合計数に比例した数を掛けるだけで、おおよその全体数を求めるために形成されるものである。枡目の大きさは、10mm角程度が適当である。
カバーフィルム40のうち培養層30と対向する領域に、特定成分層48が形成されていてもよい。特定成分層としては、例えば、固着剤を溶解、又は分散した液に、ゲル化剤、栄養成分、発色指示薬、選択剤及び基質からなる群から選択される1種以上を配合した特定成分溶液を塗布することにより得られる層が用いられる。なお、カバーフィルム40に設けられた特定成分層48が発色指示薬を含んでいる場合、培養層30や被検液35Aに発色指示薬を添加する手間を省くことができる。
また図5に示すように、上述の着色領域40Cを構成するための着色層49が、ベース層46の下面側に設けられていてもよい。
はじめに、微生物培養具1を製造する方法について、図6(a)〜(d)を参照して説明する。ここでは、複数の微生物培養具1を多面付けによって一度に製造する方法について説明する。
次に、図7乃至図9を参照して、微生物培養具1に対して、製品から抽出される検体に関する検体情報を印刷する印刷方法について説明する。図7は、検体情報が表示された微生物培養具1Aを準備するための印刷方法S10と、検体情報が表示された微生物培養具1Aを用いて検体を検査する検査方法S20と、を示すフローチャートである。図8は、検体情報を微生物培養具1に印刷するための印刷システム60を示す図である。
はじめに、微生物培養具1に印刷されるべき検体情報を生成する検体情報生成工程S11を実施する。ここでは、制御装置61によって検体情報が生成される。
次に、検体情報生成工程S11において生成された検体情報を微生物培養具1に印刷する印刷工程を、検体情報を微生物培養具1に付与するための検体情報付与工程S12として実施する。まず印刷工程の前段階として、微生物培養具1を、印刷工程を実施する印刷装置64に向けて順に供給する(供給工程)。次に、印刷装置64が、微生物培養具1のカバーフィルム40の上面に対してインクを所定のパターンで供給する。これによって、上述の図1に示すように、第1検体情報70および第2検体情報75が印刷された微生物培養具1Aを得ることができる。なお、印刷装置64のタイプが特に限られることはなく、インクジェット方式、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式などの様々な方式の印刷装置が用いられ得る。
次に、微生物培養具1Aに印刷された情報を認識する情報認識工程S13を実施する。例えば、検体情報70,75を認識する検体情報認識工程を実施する。ここでは、情報認識装置65によって検体情報70,75が認識される。
次に、検体情報認識工程S13において認識された検体情報70,75と、検体情報生成工程S11において生成された検体情報とを照合する照合工程S14を実施する。例えば、制御装置61は、検体情報認識装置65によって取得された検体情報と、制御装置61によって生成された検体情報とを照合することができるよう構成されていてもよい。ここで照合とは、検体情報認識装置65によって認識された検体情報70,75と、制御装置61によって生成された検体情報とが互いに一致しているかどうかを判定することを意味している。このような照合工程を実施することにより、誤った検体情報が表示された微生物培養具1Aや、検体情報認識装置65に検体情報が認識されなかった微生物培養具1Aが、検査において用いられてしまうことを防ぐことができる。なお、適切な検体情報70,75が微生物培養具1Aに表示されていることが確認された場合、制御装置61によって保管されている、図9に示す検体情報に、確認が完了した旨を表す情報を追加してもよい。
なお情報認識工程S13は、第1培養具情報80を読み取る培養具情報認識工程をさらに実施してもよい。例えば、検体情報70,75の場合と同様にして、情報認識装置65のOCR部を用いることにより、ID表示81および使用期限表示82を認識することができる。なお、情報認識装置65によって得られた第1培養具情報80は、検体情報70,75と関連付けて記録されてもよい。これによって、仮に後の工程において第1培養具情報80が読み取り不可能な状態になってしまった場合であっても、微生物培養具1に示されている検体情報70,75を参照することにより、微生物培養具1に関する情報を得ることができる。その逆に、検体情報70,75が読み取り不可能な状態になってしまった場合であっても、第1培養具情報80を参照することにより、検体に関する情報を得ることができる。
次に、微生物培養具1Aを用いて微生物を検査する方法について、図10(a)〜(d)および図11を参照して説明する。
次に、図10(b)に示すように、微生物培養具1Aの培養層30上に被検液35Aを滴下する被検液滴下工程S21を実施する。被検液35Aは、所定の希釈率で希釈された検体を含んでいる。被検液35Aは例えば、培養層30の一部分に塊として供給される。被検液滴下工程においては、図10(b)に示すように、カバーフィルム40が基材シート10から持ち上げられている。このとき、基材シート10の上面に第1検体情報70を表示するようにすると、検査者は第1検体情報70を見ながら被検液35Aを滴下することができるため、作業の確実性を向上させることができる。
次に、孵卵器を用いて微生物を培養する培養工程S22を実施する。具体的には、被検液35Aが滴下された培養層30がゲル化した後、微生物培養具1Bが孵卵器に入れられる。微生物培養具1Bを孵卵器に入れる時間は、被検液35Aや培養層30の種類に応じて適宜設定されるが、例えば35度で48時間に設定される。なお、孵卵器に入れられる前の微生物培養具1B全体の画像を、例えば情報認識装置65を用いて取得してもよい。この画像は、好ましくは、検体情報70,75や第1培養具情報80と関連付けて記録される。このことにより、例えば、後の検査工程において異常な検査結果を示す微生物培養具1Bが存在する場合に、培養工程が実施される前の当該微生物培養具1Bの状態を画像で確認することが可能となる。このことにより、検査結果の信頼性を高めることができる。
次に、培養された微生物を観察する観察工程S23を実施する。具体的には、孵卵器において所定の時間にわたって微生物を培養した後、微生物培養具1Bを孵卵器から取り出し、発生したコロニー90(図12参照)の状態を観察する。このようにして、製品から抽出された検体を含む被検液35Aに含まれる微生物を検査することができる。
上述の本実施の形態において、第1検体情報70および第2検体情報75が、インクジェット印刷や熱転写などの印刷方法によって生成される例を示したが、これに限られることはない。例えば図13に示すように、第1検体情報70および第2検体情報75はそれぞれシール70c,75cとして設けられていてもよい。具体的には、文字情報や二次元コードが印刷されたシール70cやシール75cを微生物培養具1に貼ることによって、第1検体情報70や第2検体情報75が微生物培養具1に表示されてもよい。なお、第1検体情報70および第2検体情報75の両方がシールとして設けられていてもよく、若しくは一方のみがシールとして設けられていてもよい。このようにシールを用いることによって、任意の段階で様々な検体情報を微生物培養具1に容易に追加することができる。
また上述の本実施の形態において、第1検体情報70および第2検体情報75がいずれもカバーフィルム40の上面に表示される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1検体情報70および第2検体情報75のうちの少なくともいずれか一方が、カバーフィルム40の下面や、基材シート10の上面または下面に表示されていてもよい。例えば図14に示すように、第1検体情報70をカバーフィルム40の上面に表示し、第2検体情報75を基材シート10の下面に表示してもよい。この場合、仮にカバーフィルム40の上面および基材シート10の下面のうちいずれか一方の面が汚れてしまい、この面に設けられている情報が読み取れなくなった場合であっても、他方の面の情報を読み取ることにより、検体に関する情報を得ることができる。すなわち、検体に関する情報の冗長性を高めることができる。
次に、検体情報70,75が基材シート10の上面に表示される場合の、検体情報70,75の表示位置の好ましい例について、図18(a)〜(c)を参照して説明する。
また上述の本実施の形態および変形例において、第1検体情報70が文字情報から構成され、第2検体情報75が二次元コードから構成される例を示した。しかしながら、第1検体情報70または第2検体情報75として、その他の表示形式で示された情報が用いられてもよい。例えば図19(a)(b)に示すように、第1検体情報70または第2検体情報75として、一次元コードが用いられてもよい。一次元コードとは、一方向において、例えば図19(a)(b)において矢印sで示されるスキャン方向sにおいて情報を有する表示形式のコードのことであり、例えばバーコードを挙げることができる。一次元コードが第1検体情報70または第2検体情報75として用いられる場合、スキャン方向sにおいて少なくとも部分的に一次元コードを読み取ることができれば、第1検体情報70または第2検体情報75を得ることができる。例えば図19(b)に示すように、バーコードが、バーコードのうちスキャン方向sに直交する方向における端部近傍で被検液35Aによって汚れてしまっている場合であっても、バーコードを読み取ることが可能である。このため、二次元コードが用いられる場合に比べて、情報の冗長性を高めることができる。また一次元コードは、文字情報に比べて高い密度で情報を提供することができる。
その他にも、第1検体情報70または第2検体情報75として、絵や図形が用いられてもよい。
また上述の本実施の形態および変形例において、第1検体情報70および第2検体情報75が同一の段階で微生物培養具1に設けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第1検体情報70および第2検体情報75を、互いに異なる段階で微生物培養具1に設けてもよい。
また上述の本実施の形態および変形例において、検体に関する情報の冗長化が図られている例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、微生物培養具1に関する情報についても冗長化が図られていてもよい。例えば図20に示すように、第1培養具情報80だけでなく第2培養具情報85がさらに微生物培養具1,1A,1Bに表示されていてもよい。この場合、第1培養具情報80および第2培養具情報85は、第1培養具情報80に含まれる情報と第2培養具情報85に含まれる情報とが少なくとも部分的に重複するよう構成されている。このため、第1培養具情報80および第2培養具情報85のうちの一方が読み取れなくなってしまった場合であっても、他方を読み取ることによって、微生物培養具1に関する情報を得ることができる。すなわち、培養具情報に関する冗長性を高めることができる。
また上述の本実施の形態および変形例において、文字情報として示される第1検体情報70が、製品名を直接的に表示する製品名表示71と、検査日表示72とを含む例を示した。しかしながら、検体情報70を見た検査者が製品名および検体の検査日に関する情報を容易に認識することができる限りにおいて、文字情報の内容が特に限られることはない。例えば図21に示すように、検体情報70は、製品名表示71や検査日表示72に加えて、若しくは製品名表示71や検査日表示72に替えて、ロット番号などの略号を用いて製品名に関する情報を表現する略号表示73を有していてもよい。略号表示73は、製品名略号表示73a、検査日表示73b(検査日略号表示とも称する)、製造ライン略号表示73c、n数表示73d、検査者略号表示73eまたは希釈率略号表示73fなどを含むことができる。図21に示す例において、製品名略号表示73aは、チキンカレー甘口という製品名を表現する、「CM」という略号である。また検査日表示73bは、2013年1月25日という検査日を表現する、「20130125」という数字(略号)である。また製造ライン略号表示73cは、製品が製造ラインAで製造されたということを表現する、「A」という略号である。またn数表示73dは、対象の製品に対して実施される検査のn数(検査枚数)が1であることを表現する、「1」という略号である。また検査者略号表示73eは、検査者のイニシャルなど、検査者が誰であるかを表現する「KT」という略号である。また希釈率略号表示73fは、製品の検体を含む被検液の希釈の倍率が102であることを表現する、「2」という略号である。
また上述の本実施の形態および変形例において、微生物培養具1が、培養層30をその上面に保持する基材シート10と、基材シート10に接合されたカバーフィルム40と、から構成される例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図22に示すように、微生物培養具1は、培養層30を収容するシャーレ3によって構成されていてもよい。本変形例においても、図22に示すように、検体が抽出された製品の製品名および検体の検査日に関する情報などを含む第1検体情報70および第2検体情報75がシャーレ3に設けられている。このため、検体の情報に関する冗長性を高めることができる。第1検体情報70および第2検体情報75が設けられる位置は特には限られないが、例えば第1検体情報70および第2検体情報75は、シールとしてシャーレ3の側面に設けられている。また図示はしないが、第1検体情報70および第2検体情報75は、シャーレ3の底面に表示されていてもよい。
1A 検体情報が付与された微生物培養具
1B 被検液が接種された培養具培養具
3 シャーレ
5 作業台
10 基材シート
20 枠体
25 接合部
30 培養層
35A 被検液
40 カバーフィルム
40C 着色領域
60 印刷システム
70 第1検体情報
75 第2検体情報
80 第1培養具情報
85 第2培養具情報
90 コロニー
Claims (6)
- 微生物を培養するよう構成された培養層を備える微生物培養具であって、
前記培養層をその上面に保持する基材シートと、
前記基材シートの上面に接合され、前記培養層を覆うことができるカバーフィルムと、を備え、
前記微生物培養具には、前記培養層によって培養される検体に関する情報を含む第1検体情報および第2検体情報が印刷されており、
前記第1検体情報および前記第2検体情報はいずれも、前記カバーフィルムを前記基材シートに対して接合する接合部の近傍の位置において前記基材シートの上面に表示されており、
前記第1検体情報は、第1表示形式で表示されており、
前記第2検体情報は、前記第1表示形式とは異なる第2表示形式で表示されており、
前記第1検体情報に含まれる情報と、前記第2検体情報に含まれる情報とは、少なくとも部分的に重複している、微生物培養具。 - 前記第1表示形式および前記第2表示形式は、文字情報、一次元コードまたは二次元コードのいずれかである、請求項1に記載の微生物培養具。
- 前記第1検体情報および前記第2検体情報はいずれも、検体の抽出元となった製品の製品名に関する情報を含む、請求項1または2に記載の微生物培養具。
- 前記第1検体情報に含まれる情報と前記第2検体情報に含まれる情報とが同一である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の微生物培養具。
- 前記第1検体情報または前記第2検体情報の一方に含まれる情報の全てが、前記第1検体情報または前記第2検体情報の他方に含まれている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の微生物培養具。
- 前記微生物培養具には、前記微生物培養具に関する情報を含む第1培養具情報および第2培養具情報がさらに表示されており、
前記第1培養具情報に含まれる情報と、前記第2培養具情報に含まれる情報とは、少なくとも部分的に重複している、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の微生物培養具。
Priority Applications (1)
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