JP6186773B2 - 測色器、画像形成装置、画像形成方法およびプログラム - Google Patents

測色器、画像形成装置、画像形成方法およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、測色器、画像形成装置、画像形成方法およびプログラムに関する。
プリンタや複写機、複合機などの画像形成装置では、入力した画像に対してユーザ操作に応じた様々な加工を行って出力する機能を持つものがある。
例えば、特許文献1には、入力した画像の中の指定された領域に対して異なる画質モードの画像処理を施した複数のモニタ画像を生成し、これら複数のモニタ画像を1つの記録媒体に集約して印刷出力する機能を持った画像形成装置が開示されている。この特許文献1に記載の画像形成装置では、ユーザが印刷出力された画像を参照することで画質モードごとの画像処理の結果が一目でわかるので、最適な画質モードを容易に判断することができる。
しかし、特許文献1に記載の技術は、画像処理の画質モードを最適化するという用途では便利であるが、画像の一部の領域の色を変更したいといった要望に対応することができない。また、画像の一部の領域の色を変更するには、パーソナルコンピュータにインストールされた画像加工用のソフトウェアを用いて画像を加工する方法もあるが、このような方法では、ユーザの操作負担が大きいという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡単な操作で任意の領域の色を得ることができる測色器、画像形成装置、画像形成方法およびプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、画像形成装置のキャリッジに着脱可能に取り付けられた測色器であって、測色対象を撮像する2次元イメージセンサを支持する筐体と、当該測色器が前記キャリッジから取り外されると前記筐体から突出するように前記筐体に設けられたガイド部材と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、簡単な操作で任意の領域の色を得ることができるという効果を奏する。
図1は、画像形成装置の内部を透視して示す斜視図である。 図2は、画像形成装置の内部の機械的構成を示す上面図である。 図3は、キャリッジに搭載される記録ヘッドの配置例を説明する図である。 図4−1は、キャリッジに取り付けられた測色器の正面図である。 図4−2は、キャリッジに取り付けられた測色器の側面図である。 図4−3は、キャリッジに取り付けられた測色器の上面図である。 図5は、測色器を本体外装体の外部に取り出した様子を示す斜視図である。 図6−1は、測色器の縦断面図(図6−3中のX1−X1線断面図)である。 図6−2は、測色器の縦断面図(図6−3中のX2−X2線断面図)である。 図6−3は、測色器の内部を透視して示す上面図である。 図6−4は、筐体の底面部を図6−1中のX3方向から見た平面図である。 図7は、キャリッジから取り外された測色器の縦断面図である。 図8は、基準チャートの具体例を示す図である。 図9は、測色器の制御ブロック図である。 図10は、画像形成装置の機能ブロック図である。 図11は、オペレーションパネルの構成例を示す図である。 図12は、第1タッチパネルの画面遷移の一例を示す図である。 図13は、画像形成装置が実行する一連の処理の流れを示すフローチャートである。 図14は、基準測色値および基準RGB値を取得する処理と基準値線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。 図15は、初期基準RGB値の一例を示す図である。 図16は、測色処理の概要を説明する図である。 図17は、基準RGB間線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。 図18は、初期基準RGB値と測色時基準RGB値との関係を示す図である。 図19は、基本測色処理を説明する図である。 図20は、基本測色処理を説明する図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像形成装置、画像形成方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。
まず、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の機械的構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図、図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部の機械的構成を示す上面図、図3は、キャリッジ5に搭載される記録ヘッド6の配置例を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動して、副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体Pに対して画像を形成するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、イエロー(Y)インクを吐出する記録ヘッド6y、マゼンタ(M)インクを吐出する記録ヘッド6m、シアン(C)インクを吐出する記録ヘッド6c、およびブラック(Bk)インクを吐出する複数の記録ヘッド6k(以下、記録ヘッド6y,6m,6c,6kを総称する場合は、記録ヘッド6という。)が搭載されている。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体P側)に向くように、キャリッジ5に支持されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6とは図示しないパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、例えば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ12がエンコーダシート13のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構14を備える。維持機構14は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン15が設けられている。プラテン15は、記録ヘッド6から記録媒体P上にインクを吐出する際に、記録媒体Pを支持するためのものである。本実施形態に係る画像形成装置100は、キャリッジ5の主走査方向の移動距離が長い広幅機である。このため、プラテン15は、複数の板状部材を主走査方向(キャリッジ5の移動方向)に繋いで構成している。記録媒体Pは、図示しない副走査モータによって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン15上を、副走査方向に間欠的に搬送される。
記録ヘッド6は、複数のノズル列を備えており、プラテン15上を搬送される記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体Pに画像を形成する。本実施形態では、キャリッジ5の1回の走査で記録媒体Pに形成できる画像の幅を多く確保するため、図3に示すように、キャリッジ5に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド6kは、カラーのインクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6cの2倍の数だけキャリッジ5に搭載している。また、記録ヘッド6y,6mは左右に分離して配置されている。これは、キャリッジ5の往復動作で色の重ね順を合わせ、往路と復路とで色が変わらないようにするためである。なお、図3に示す記録ヘッド6の配列は一例であり、図3に示す配列に限定されるものではない。
上記の各構成要素は、本体外装体1の内部に配置されている。本体外装体1にはカバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、本体外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。また、キャリッジ5に着脱可能に取り付けられた後述の測色器20(図2参照)をキャリッジ5から取り外し、この測色器20で本体外装体1の外部にある任意の測色対象を測色する場合には、カバー部材2を開けることにより、測色器20を本体外装体1の外部に取り出すことができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、原稿を光学的に読み取るスキャナ16と、各種情報を表示するとともにユーザの操作を受け付けるオペレーションパネル17(表示部)とを備える。スキャナ16およびオペレーションパネル17は、原稿テーブル18aと一体になったスキャナフレーム18に支持されている。スキャナ16およびオペレーションパネル17は、連結ケーブル19a,19bを介して、本体外装体1内部の後述するメイン制御基板に接続されている。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン15上の記録媒体P上にインク(記録材)を吐出して、記録媒体Pに画像を形成する。
特に、画像形成装置100の色調整を行う調整時などにおいては、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列から実際にプラテン15上の記録媒体P上にインクを吐出して、多数のパッチ200が並ぶテストパターンを形成する。そして、このテストパターンに含まれる各パッチ200に対する測色を行う。テストパターンに含まれる各パッチ200は、基準色のパッチを画像形成装置100が出力することで得られる画像であり、画像形成装置100に固有の特性を反映している。したがって、これらのパッチ200の測色値を用いて、画像形成装置100に固有の特性を記述したデバイスプロファイルを生成、あるいは修正することができる。そして、このデバイスプロファイルに基づいて標準色空間と機器依存色との間の色変換を行うことで、画像形成装置100は再現性の高い画像を出力することができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体Pに形成したテストパターンに含まれる各パッチ200に対する測色を行う測色器20を備える。測色器20は、キャリッジ5に着脱可能に取り付けられており、キャリッジ5と一体となって主走査方向に往復移動する。パッチ200の測色を行う場合は、テストパターンが形成された記録媒体Pがプラテン15上にセットされる。そして、記録媒体Pの副走査方向への搬送と、キャリッジ5の主走査方向への移動とにより、測色器20がパッチ200と対向する位置に移動してパッチ200の測色を行う。
また、測色器20は、キャリッジ5から取り外して本体外装体1の外部に取り出すことが可能である。測色器20を本体外装体1の外部に取り出すことにより、この測色器20を用いて本体外装体1の外部にある任意の測色対象を測色することができる。
図4−1乃至図4−3は、キャリッジ5に対する測色器20の取り付け構造の一例を示す図である。図4−1は、キャリッジ5に取り付けられた測色器20の正面図、図4−2は、キャリッジ5に取り付けられた測色器20の側面図、図4−3は、キャリッジ5に取り付けられた測色器20の上面図である。
測色器20は、枠体21と基板22とを組み合わせて構成された筐体23を備える。枠体21の左右の側面部には、それぞれ外側に向かって張り出す一対のアーム24が設けられている。また、枠体21の左右の側面部には、キャリッジ5に設けられた後述の突起32が入り込む一対の凹部25が設けられている。基板22上には、測色器20をキャリッジ5から取り外して任意の測色対象を測色する際に、ユーザが測色の実行を指示するためのスイッチ26が設けられている。また、基板22上には、ケーブル30の一端が装着されるコネクタ27が設けられている。
一方、測色器20が取り付けられるキャリッジ5の正面部には、一対の受け台31と、一対の突起32と、ケーブル30の他端が装着されるコネクタ33と、が設けられている。コネクタ33は、図示しないハーネスを介して、後述のメイン制御基板に接続されている。
測色器20は、枠体21に設けられた一対のアーム24をキャリッジ5の一対の受け台31上に載せた状態で、アーム24と受け台31とが締結部材34で締結されることにより、キャリッジ5に取り付けられる。このとき、キャリッジ5の突起32が、測色器20の枠体21に設けられた凹部25内に入り込むようになっている。また、測色器20の基板22に設けられたコネクタ27にケーブル30の一端が装着され、キャリッジ5に設けられたコネクタ33にケーブル30の他端が装着されることで、測色器20は後述のメイン制御基板と接続される。なお、ケーブル30には、測色器20に電源供給が可能なUSB(Universal Serial Bus)ケーブルを用いることが望ましい。また、ケーブル30を用いた通信に代えて、無線通信によって測色器20とメイン制御基板を接続するようにしてもよい。
以上のようにキャリッジ5に取り付けられた測色器20は、アーム24と受け台31とを締結している締結部材34を外すことで、キャリッジ5から容易に取り外すことができる。このように、測色器20は、キャリッジ5に対して着脱可能に取り付けられている。本実施形態に係る画像形成装置100では、図5に示すように、カバー部材2を開けて測色器20をキャリッジ5から取り外し、ケーブル30をより長い外部ケーブル35に付け替えることで、測色器20を本体外装体1の外部に取り出すことができる。そして、この測色器20を用いて、本体外装体1の外部にある任意の測色対象を測色し、その測色値をメイン制御基板に送ることができる。なお、外部ケーブル35には、ケーブル30と同様に、測色器20に電源供給が可能なUSBケーブルを用いることが望ましい。また、外部ケーブル35を用いた通信に代えて、無線通信によって測色器20とメイン制御基板を接続するようにしてもよい。
なお、以上説明した測色器20の取り付け構造は一例であり、これに限定されるものではない。測色器20は、キャリッジ5に対して着脱可能であれば、どのような構造でキャリッジ5に取り付けられていてもよい。
次に、測色器20の具体的な構成例について説明する。図6−1乃至図6−4は、測色器20の機械的構成の一例を示す図であり、図6−1は、測色器20の縦断面図(図6−3中のX1−X1線断面図)、図6−2は、測色器20の縦断面図(図6−3中のX2−X2線断面図)、図6−3は、測色器20の内部を透視して示す上面図、図6−4は、筐体23の底面部を図6−1中のX3方向から見た平面図である。
測色器20は、上述したように、枠体21と基板22とを組み合わせて構成された筐体23を備える。枠体21は、筐体23の上面となる一端側が開放された有底筒状に形成されている。基板22は、枠体21の開放端を閉塞して筐体23の上面を構成するように、締結部材40によって枠体21に締結され、枠体21と一体化されている。
筐体23は、その底面部が所定の間隙dを介してプラテン15上の記録媒体Pと対向するように、キャリッジ5に取り付けられている。なお、図6−1中の矢印A方向が主走査方向である。記録媒体Pと対向する筐体23の底面部には、記録媒体Pに形成されたパッチ200などの測色対象を、筐体23の内部から撮影可能にするための開口部41が設けられている。
筐体23の内部には、センサ部42が設けられている。センサ部42は、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの2次元イメージセンサ43と、撮像範囲の光学像を2次元イメージセンサ43のセンサ面に結像する結像レンズ44とを備える。2次元イメージセンサ43は、センサ面が筐体23の底面部側に向くように、例えば、基板22の内面(部品実装面)に実装されている。結像レンズ44は、その光学特性に応じて定められる位置関係を保つように2次元イメージセンサ43に対して位置決めされた状態で固定されている。
筐体23の底面部のセンサ部42と対向する内面側には、開口部41と隣り合うようにして、基準チャート50が配置されている。基準チャート50は、予め測色値が判明している多数の基準パッチを有している。この基準チャート50は、パッチ200などの測色対象とともにセンサ部42の2次元イメージセンサ43により撮像される。つまり、2次元イメージセンサ43は、筐体23の底面部に設けられた開口部41を介して筐体23外部の測色対象を撮像すると同時に、筐体23の底面部の内面側に配置された基準チャート50を撮像する。
また、筐体23の内部には、2次元イメージセンサ43がパッチ200などの測色対象と基準チャート50とを同時に撮像する際に、これら測色対象および基準チャート50を照明する照明光源45が設けられている。照明光源45としては、例えばLED(Light Emitting Diode)が用いられる。本実施形態においては、照明光源45として、センサ部42を中心として対称となる位置に配置された2つのLEDを用いる。照明光源45として用いるこれら2つのLEDは、例えば、2次元イメージセンサ43とともに、基板22の内面に実装される。ただし、照明光源45は、筐体23外部の測色対象と基準チャート50とを概ね均一に照明できる位置に配置されていればよく、必ずしも基板22に直接実装されていなくてもよい。また、本実施形態では、照明光源45としてLEDを用いているが、光源の種類はLEDに限定されるものではない。例えば、有機ELなどを照明光源45として用いるようにしてもよい。有機ELを照明光源45として用いた場合は、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度の向上が期待できる。
ところで、筐体23外部のパッチ200などの測色対象を、筐体23の内部に配置された基準チャート50と同一の照明条件により照明するには、撮像時に外光が測色対象に当たらないようにして、照明光源45からの照明光のみで測色対象を照明する必要がある。測色時に測色対象に外光が当たらないようにするには、筐体23の底面部と測色対象との間の間隙d(測色対象が記録媒体Pに形成されたパッチ200の場合は、筐体23の底面部と記録媒体Pとの間の間隙d)を小さくすることが有効である。ただし、間隙dを小さくしすぎると、パッチ200の測色時に記録媒体Pが筐体23の底面部に接触してしまう虞がある。そこで、間隙dの大きさは、記録媒体Pの平面性を考慮して、記録媒体Pが筐体23の底面部に接触しない範囲で小さな値に設定することが望ましい。例えば、間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、記録媒体Pが筐体23の底面部に接触することなく、記録媒体Pに形成されたパッチ200に外光が当たることを有効に防止できる。
また、筐体23の底面部と測色対象との間の間隙dを1mm〜2mm程度と小さくすれば、センサ部42から測色対象までの光路長と、センサ部42から基準チャート50までの光路長との差を、センサ部42の被写界深度の範囲内として、測色対象と基準チャート50との双方にピントの合った画像を撮像することもできる。なお、センサ部42の被写界深度は、センサ部42の絞り値や結像レンズ44の焦点距離、センサ部42と被写体との間の距離などに応じて定まる、センサ部42に固有の特性である。本実施形態の測色器20においては、筐体23の底面部と記録媒体Pとの間の間隙dを例えば1mm〜2mm程度の十分に小さな値としたときに、センサ部42から測色対象までの光路長と、センサ部42から基準チャート50までの光路長との差が被写界深度の範囲内となるように、センサ部42が設計されている。
筐体23を構成する枠体21には、測色器20をキャリッジ5から取り外して任意の測色対象を測色する際に、筐体23の底面部と測色対象との間の距離を上記の間隙dに維持するためのガイド部材46が取り付けられている。このガイド部材46は、例えば、枠体21の形状に倣った筒状に形成され、測色器20をキャリッジ5から取り外したときに、先端部が筐体23の底面部から突出するように、枠体21に取り付けられている。
具体的には、ガイド部材46は、図6−1および図6−2に示すように、基端部が圧縮バネ47を圧縮させた状態で枠体21に収納されている。測色器20がキャリッジ5に取り付けられている状態では、ガイド部材46は、その先端部が枠体21の凹部25に入り込んだキャリッジ5の突起32に当接しているため、移動が規制されている。そして、測色器20がキャリッジ5から取り外され、枠体21の凹部25が開放されると、図7に示すように、圧縮バネ47の付勢力によりガイド部材46が押され、ガイド部材46の先端部が筐体23の底面部から外側に向かって突出する。このガイド部材46の突出量は、ガイド部材46の先端部を任意の測色対象Cに当接させたときに、筐体23の底面部と測色対象Cとの間の距離が、上記の間隙dとなるように設計されている。
ガイド部材46は、ほぼすべての波長の光を吸収する黒色の部材により構成されていることが望ましい。ガイド部材46を黒色の部材で構成することにより、ガイド部材46で反射される光が測色に影響を及ぼすことを有効に防止でき、任意の測色対象を安定的に測色することができる。
なお、以上説明したガイド部材46の構成はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。ガイド部材46は、測色器20をキャリッジ5から取り外したときに筐体23の底面部から突出して、筐体23の底面部と測色対象との間を距離を上記の間隙dに維持できる構成であればよい。
図8は、測色器20の筐体23内部に配置される基準チャート50の具体例を示す図である。図8に示す基準チャート50は、基準パッチを配列した複数の基準パッチ列51〜54、ドット径計測用パターン列56、距離計測用ライン55およびチャート位置特定用マーカ57を有する。
基準パッチ列51〜54は、YMCKの1次色のパッチを階調順に配列した基準パッチ列51と、RGBの2次色のパッチを階調順に配列した基準パッチ列52と、グレースケールのパッチを階調順に配列した基準パッチ列(無彩色の階調パターン)53と、3次色のパッチを配列した基準パッチ列54と、を含む。ドット径計測用パターン列56は、大きさが異なる円形パターンが大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列であり、記録媒体Pに記録された画像のドット径の計測に用いることができる。
距離計測用ライン55は、複数の基準パッチ列51〜54やドット径計測用パターン列56を囲む矩形の枠として形成されている。チャート位置特定用マーカ57は、距離計測用ライン55の四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカとして機能する。2次元イメージセンサ43の撮像により得られる基準チャート50の画像データから、距離計測用ライン55とその四隅のチャート位置特定用マーカ57を特定することで、基準チャート50の位置及び各パターンの位置を特定することができる。
基準パッチ列51〜54を構成する各パッチは、測色器20が撮像を行う際の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる。なお、基準チャート50に配置されている測色用の基準パッチ列51〜54の構成は、図8に示す例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を適用することが可能である。例えば、可能な限り色範囲が広く特定できるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色の基準パッチ列51や、グレースケールの基準パッチ列53は、画像形成装置100に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、RGBの2次色の基準パッチ列52は、画像形成装置100で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、Japan Colorなどの測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の基準パッチ列51〜54を有する基準チャート50を用いているが、基準チャート50は、必ずしもこのような基準パッチ列51〜54を有する形態でなくてもよい。基準チャート50は、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
基準チャート50は、上述したように、測色器20の筐体23の底面部に、開口部41と隣り合うように配置されているため、センサ部42の2次元イメージセンサ43によってパッチ200などの測色対象と同時に撮像することができる。
なお、以上説明した測色器20の構成はあくまで一例であり、この構成に限定されるものではない。本実施形態の測色器20は、画像形成装置100の外部で任意の測色対象を測色できる構成であればよく、上記の構成に対して様々な変形や変更が可能である。
測色器20は、上述したように、筐体23内部の2次元イメージセンサ43により筐体23の底面部に設けられた開口部41を介して筐体23外部のパッチ200などの測色対象を撮像するとともに、筐体23内部に設けられた基準チャート50を撮像する。そして、測色器20は、2次元イメージセンサ43の撮像により得られた測色対象と基準チャート50の画像データ(RGB値)に基づいて、測色対象の測色値(標準色空間における表色値であり、例えばL色空間におけるL値(以下、LをLabと表記する。))を算出する。測色器20が算出した測色値は、画像形成装置100のメイン制御基板に送られる。
次に、図9を参照しながら、測色器20の制御機構の構成例について具体的に説明する。図9は、測色器20の制御ブロック図である。
測色器20は、図9に示すように、2次元イメージセンサ43、インターフェース部60、フレームメモリ61、平均化処理部62、測色演算部63、不揮発性メモリ64、タイミング信号発生部65、スイッチ26、光源駆動制御部66、および照明光源45を備える。これらの各部は、例えば、測色器20の筐体23の上面部を構成する基板22に実装されている。
2次元イメージセンサ43は、結像レンズ44を介して入射した光を電気信号に変換し、撮像範囲の画像データを出力する。2次元イメージセンサ43は、光電変換により得られたアナログ信号をデジタルの画像データにAD変換し、その画像データに対してシェーディング補正やホワイトバランス補正、γ補正、画像データのフォーマット変換などの各種の画像処理を行った後に出力する機能を内蔵している。なお、画像データに対する各種の画像処理は、その一部あるいは全部を2次元イメージセンサ43の外部で行うようにしてもよい。
インターフェース部60は、2次元イメージセンサ43から画像データを出力し、また、画像形成装置100のメイン制御基板101から送られてきた各種設定信号やタイミング信号発生部65が生成したタイミング信号、スイッチ26の操作により発生するタイミング信号を2次元イメージセンサ43に入力するためのインターフェースである。各種設定信号は、2次元イメージセンサ43の動作モードを設定する信号や、上述したシャッタスピード、AGCのゲインなどの撮像条件を設定する信号を含む。
フレームメモリ61は、2次元イメージセンサ43から出力された画像データを一時的に格納する。
平均化処理部62は、フレームメモリ61に格納された画像データから測色対象の領域の画素データを平均化するとともに、基準チャート50の各基準パッチの領域の画素データを各々平均化し、平均化した値をそれぞれ測色対象のRGB値、基準チャート50の各基準パッチのRGB値として測色演算部63に出力する。
測色演算部63は、平均化処理部62の処理によって得られた測色対象のRGB値と、基準チャート50の各基準パッチのRGB値とに基づいて、測色対象の測色値を算出する。測色演算部63が算出した測色値は、画像形成装置100のメイン制御基板101へと送られる。なお、測色演算部63による処理の具体例については、詳細を後述する。
不揮発性メモリ64は、測色演算部63が測色対象の測色値を算出するために必要な各種データを格納する。
タイミング信号発生部65は、2次元イメージセンサ43による撮像開始のタイミングを制御するタイミング信号を生成し、インターフェース部60を介して2次元イメージセンサ43に入力する。測色器20がキャリッジ5から取り外されている場合は、このタイミング信号発生部65は動作せず、スイッチ26の操作に応じて、2次元イメージセンサ43による撮像が開始される。
光源駆動制御部66は、照明光源45を駆動するための光源駆動信号を生成して、照明光源45に供給する。
本実施形態に係る画像形成装置100は、以上のように構成される測色器20を用いて、画像形成装置100が出力したテストパターンに含まれるパッチ200を測色する。そして、その測色値を用いて画像形成装置100に固有のデバイスプロファイルが生成あるいは修正される。画像形成装置100は、このデバイスプロファイルに基づいて画像形成を行うことにより、出力する画像の色再現性を高めることができる。また、本実施形態に係る画像形成装置100は、測色器20をキャリッジ5から取り外して本体外装体1の外部に取り出し、測色器20を用いて任意の測色対象を測色し、その測色値を用いて印刷対象の画像の一部の領域の色を任意の色に置き換えて出力することもできる。さらに、測色器20をキャリッジ5から取り外して本体外装体1の外部に取り出した場合、その測色器20を用いて任意の測色対象を測色し、その測色値をオペレーションパネル17に表示するといった使い方もできる。
次に、図10を参照しながら、画像の一部の領域を任意の色に置き換えて出力する機能を実現するための画像形成装置100の機能的な構成例について具体的に説明する。図10は、画像形成装置100の機能ブロック図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図10に示すように、メイン制御基板101を備える。メイン制御基板101には、受信部111、スキャナ制御部112、分割部113、表示制御部114、入力部115、置換部116、およびヘッド駆動部117の各機能部が設けられている。これら各機能部は、例えば、メイン制御基板101に実装された図示しないプロセッサが主記憶部を用いて所定のプログラムを実行することによって実現される。また、これら各機能部の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することもできる。また、これら各機能部の一部または全部を、上述したプログラムと専用のハードウェアとを組み合わせて実現する構成であってもよい。
受信部111は、パーソナルコンピュータ(PC)、USBメモリなどの外部記憶装置など、画像形成装置100に接続された外部装置120から、画像を受信する。スキャナ制御部112は、スキャナ16の動作を制御して、スキャナ16によって読み取られた原稿の画像を取得する。
本実施形態に係る画像形成装置100は、コピージョブを実行する機能とプリントジョブを実行する機能とを持つ。ユーザによりコピージョブが指示された場合は、画像形成装置100は、スキャナ制御部112の制御によりスキャナ16を動作させ、スキャナ16により読み取られた原稿の画像を印刷対象とする。また、ユーザによりプリントジョブが指示された場合は、画像形成装置100は、受信部111が受信した画像(装置内部の画像メモリなどに保存している画像)のうち、ユーザにより選択された画像を印刷対象とする。
分割部113は、色置換コピーや色置換プリントの指定がなされた場合に、印刷対象の画像に対して領域分割処理を行い、印刷対象の画像を、例えば、オブジェクト領域や背景領域などの複数の領域に分割する。色置換コピーや色置換プリントは、印刷対象の画像の一部の領域の色を任意の色に置換して印刷出力するものである。なお、分割部113が実行する領域分割処理の具体例としては、例えば特開平7−225848号公報に開示される方法など、公知の方法を採用することができる。
表示制御部114は、オペレーションパネル17による各種情報の表示を制御する。また、表示制御部114は、オペレーションパネル17を用いたユーザの各種操作入力を受け付ける機能を持つ。具体的には、表示制御部114は、分割部113によって領域分割された印刷対象の画像をオペレーションパネル17に表示させたり、オペレーションパネル17に表示された画像の中で任意の領域を指定するユーザ操作を受け付けたりといった処理を行う。また、表示制御部114は、ユーザの指定に応じて、任意の領域の色が置換部116により任意の色に置換された印刷対象の画像をオペレーションパネル17に表示させたり、任意の領域の色が任意の色に置換された印刷対象の画像の印刷出力を指示するユーザ操作を受け付けたりといった処理を行う。なお、表示制御部114による制御のもとでオペレーションパネル17に表示される画面の具体例については、詳細を後述する。
入力部115は、本体外装体1の外部に取り出された測色器20から、この測色器20によって測色された任意の測色対象の測色値を入力する。測色器20には、上述したように、ユーザが操作可能なスイッチ26が設けられている。ユーザが、測色器20をキャリッジ5から取り外して本体外装体1の外部に取り出し、上述したガイド部材46の先端部を任意の測色対象に当接させた状態でスイッチ26を操作すると、測色器20の2次元イメージセンサ43によって、測色対象の画像が基準チャート50とともに撮像され、測色演算部63により、測色対象の測色値が算出される。そして、この測色演算部63により算出された測色値が、外部ケーブル35を介してメイン制御基板101に伝達され、入力部115に入力される。
置換部116は、オペレーションパネル17に表示された画像の中でユーザにより指定された領域の色を、入力部115が入力した測色値に対応する色に置換する処理を行う。入力部115が入力する測色値は、ユーザが測色器20を用いて任意の測色対象を測色することによって得られる測色値である。つまり、置換部116は、印刷対象の画像の中でユーザにより指定された領域の色を、ユーザが測色器20を用いて測色した測色対象の色に置換する。
ヘッド駆動部117は、ユーザによる印刷開始の指示を受けて、記録ヘッド6を駆動して、置換部116によって任意の領域の色が任意の色に置換された印刷対象の画像を印刷出力する。置換部116によって任意の領域の色が任意の色に置換された印刷対象の画像は、上述したデバイスプロファイルに基づいて色調整や階調補正などが行われ、出力画像データに変換されてヘッド駆動部117に入力される。ヘッド駆動部117は、この画像データに基づいて記録ヘッド6を駆動することにより、任意の領域の色が任意の色に置換された印刷対象の画像を、記録媒体Pに印刷出力する(出力部)。
次に、オペレーションパネル17における画面遷移の一例を例示しながら、画像形成装置100の動作の具体例について説明する。図11は、オペレーションパネル17の構成例を示す図であり、図12は、オペレーションパネル17の第1タッチパネル171の画面遷移例を示す図である。
オペレーションパネル17は、例えば図11に示すように、第1タッチパネル171と、第2タッチパネル172と、各種操作ボタンとを備えた構成とされる。第1タッチパネル171は、上述した領域分割された印刷対象の画像の表示や、任意の領域の色が置換された印刷対象の画像の表示、各種メッセージの表示、ユーザによるタッチ操作の受け付けなどを行う。第2タッチパネル172は、印刷設定を行うための各種情報の表示や、ユーザによるタッチ操作の受け付けなどを行う。第2タッチパネル172は、測色器20を用いた処理(測色値の表示、色置換プリント、色置換コピーなど)を指示するための「測色」ボタン173を含む。各種操作ボタンは、ユーザによって押圧操作されるメカニカルなボタンであり、印刷出力の開始を指示する「スタート」ボタン174や、再設定や停止を指示する「クリア/ストップ」ボタン175などを含む。
図11に示すオペレーションパネル17上で、ユーザが第2タッチパネル172の「測色」ボタン173をタッチ操作すると、表示制御部114による制御のもとで、まず、図12(a)に示すような機能選択画面D1が第1タッチパネル171に表示される。この図12(a)に例示する機能選択画面D1では、例えば「機能を選択して下さい」といったメッセージとともに、色置換プリントを指示するための「色置換プリント」ボタン176、色置換コピーを指示するための「色置換コピー」ボタン177、および測色値の表示を指示するための「測色値表示」ボタン178が操作可能に表示される。
次に、ユーザが第1タッチパネル171に表示された機能選択画面D1を参照し、この機能選択画面D1上で「色置換プリント」ボタン176をタッチ操作すると、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171に、図12(b)に示すようなジョブ選択画面D2が表示される。この図12(b)に例示するジョブ選択画面D2では、例えば「色置換プリントしたいジョブを選択して下さい」といったメッセージとともに、受信部111が外部装置120から受信して画像メモリなどに保存している画像のファイル名一覧179が、項目ごとの選択を受付可能に表示される。
次に、ユーザが第1タッチパネル171に表示されたジョブ選択画面D2を参照し、このジョブ選択画面D2のファイル名一覧179の中から所望の項目をタッチ操作により選択すると、分割部113によって、選択されたファイル名の画像に対して領域分割処理が行われる。そして、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171に、図12(c)に示すような領域指定画面D3が表示される。この図12(c)に示す領域指定画面D3では、例えば「色置換する領域を指定して下さい」といったメッセージとともに、領域分割された画像が、領域ごとの指定を受付可能に表示される。
次に、ユーザが第1タッチパネル171に表示された領域指定画面D3を参照し、この領域指定画面D3に表示された画像の中から、色置換したい領域をタッチ操作により指定すると、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171に、図12(d)に示すような確認画面D4が表示される。この図12(d)に例示する確認画面D4では、ユーザが領域指定画面D3で指定した領域を他の領域と区別可能にマスクした画像が表示されるとともに、例えば「マスクされた領域でよければ測色器をセットしてスイッチを押して下さい」といったメッセージが表示される。
ユーザは、この確認画面D4で表示されたメッセージに従って、画像形成装置100のカバー部材2を開け、キャリッジ5に着脱可能に取り付けられている測色器20をキャリッジ5から取り外す。そして、ケーブル30を外部ケーブル35に付け替えて測色器20を本体外装体1の外部に取り出し、この測色器20を、任意の測色対象にセットする。この場合の測色対象は、領域指定画面D3で指定した領域の色と置換したい色を持つ物体や画像である。
測色器20は、上述したように、キャリッジ5から取り外されると、ガイド部材46の先端が筐体23の底面部から突出する構造となっている。そして、ガイド部材46の突出量は、筐体23の底面部と測色対象との間の距離を上述した間隙dに維持する大きさとなっている。したがって、ガイド部材46の先端部が任意の測色対象に当接するように測色器20をセットすれば、筐体23内部の2次元イメージセンサ43と測色対象との間の距離を適正な距離に保つことができる。また、ガイド部材46は、枠体21の形状に倣った筒状に形成されているため、ガイド部材46の先端部が任意の測色対象に当接するように測色器20をセットすれば、外光を遮断することができる。また、ガイド部材46は黒色に形成されているため、筐体23内部の照明光源45により測色対象を均一に照明してフレアの発生などを有効に抑制することができる。
ユーザは以上のように測色器20を任意の測色対象にセットして、測色器20の基板22などに設けられたスイッチ26を押圧操作する。これにより、測色器20によって測色対象に対する高精度な測色が行われ、その測色値が外部ケーブル35を介してメイン制御基板101に伝送され、入力部115に入力される。測色器20で測色された測色値が入力部115に入力されると、置換部116により、色置換処理が行われる。色置換処理は、領域指定画面D3でユーザが指定した領域の色を、入力部115が入力した測色値に対応する色に置換する処理である。
置換部116による色置換処理が行われると、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171に、図12(e)に示すようなプレビュー画面D5が表示される。この図12(e)に例示するプレビュー画面D5では、色置換処理が行われた画像が表示されるとともに、例えば「プレビューでOKであれば、スタートを押してください。プリントします。」といったメッセージが表示される。そして、ユーザが、このプレビュー画面D5を参照し、オペレーションパネル17の「スタート」ボタン174を押圧操作すると、色置換処理が行われた画像の印刷出力が実行される。なお、図12(d)に例示した確認画面D4や図12(e)に例示したプレビュー画面D5が第1タッチパネル171に表示されている状態で、オペレーションパネル17の「クリア/ストップ」ボタン175が押圧操作されると、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171の画面が、図12(c)に例示した領域指定画面D3、あるいは図12(b)に例示したジョブ選択画面D2に戻る。
また、図12(a)に例示した機能選択画面D1上で、ユーザが「色置換コピー」ボタン177をタッチ操作した場合には、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171に、図12(f)に示すようなメッセージ画面D6が表示される。このメッセージ画面D6では、例えば「スキャナに原稿をセットしてスタートを押して下さい」といったメッセージが表示される。
ユーザは、このメッセージ画面D6で表示されたメッセージに従って、スキャナ16に原稿をセットし、「スタート」ボタン174を押圧操作する。これにより、スキャナ制御部112による制御のもとで、スキャナ16による原稿の読み取りが行われ、原稿の画像がスキャナ制御部112に入力される。そして、分割部113により原稿の画像に対して領域分割処理が行われ、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171に、図12(c)に示すような領域指定画面D3が表示される。その後の処理は、「色置換プリント」ボタン176がタッチ操作された場合と同様であるため、説明を省略する。
また、図12(a)に例示した機能選択画面D1上で、ユーザが「測色値表示」ボタン178をタッチ操作した場合には、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171に、図12(g)に示すようなメッセージ画面D7が表示される。このメッセージ画面D7では、例えば「測色器をセットしてスイッチを押して下さい」といったメッセージが表示される。
ユーザは、このメッセージ画面D7で表示されたメッセージに従って、上述した方法で測色器20を本体外装体1の外部に取り出し、この測色器20を任意の測色対象にセットしてスイッチ26を押圧操作する。これにより、測色器20によって測色対象に対する高精度な測色が行われ、その測色値が外部ケーブル35を介してメイン制御基板101に伝送され、入力部115に入力される。入力部115に入力された測色値は、表示制御部114に渡される。そして、表示制御部114による制御のもとで、第1タッチパネル171に、図12(h)に示すような測色値表示画面D8が表示される。
なお、上述したオペレーションパネル17の構成や第1タッチパネル171の画面遷移はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。オペレーションパネル17は、少なくとも、分割部113で分割された領域ごとの指定を受付可能な状態で、印刷対象の画像を表示できればよい。
図13は、色置換プリントや色置換コピーを行う場合に画像形成装置100において実行される一連の処理の流れを示すフローチャートである。この図13のフローチャートで示す一連の処理は、色置換プリントや色置換コピーの機能が選択され、印刷対象の画像が確定されることにより開始される。
印刷対象の画像が確定すると、分割部113が、印刷対象の画像に対して領域分割処理を行う(ステップS101)。分割部113により領域分割処理が行われた印刷対象の画像は、表示制御部114に渡される。
表示制御部114は、領域分割された印刷対象の画像を分割部113から受け取ると、例えば、上述した領域指定画面D3のように、分割された領域ごとの指定を受付可能な表示形態で、領域分割された印刷対象の画像をオペレーションパネル17に表示させる(ステップS102)。
表示制御部114は、オペレーションパネル17に表示された画像の中からユーザが任意の領域を指定する操作を行うのを待ち(ステップS103)、任意の領域を指定する操作が行われると(ステップS103:Yes)、例えば、上述した確認画面D4のように、選択された領域を他の領域と区別できるように、オペレーションパネル17の表示を更新させる(ステップS104)。
次に、置換部116が、測色器20から測色値が入力部115に入力されるのを待ち(ステップS105)、入力部115に測色値が入力されると(ステップS105:Yes)、印刷対象の画像の中でユーザにより指定された領域の色を、入力部115が入力した測色値に対応する色に置換する色置換処理を行う(ステップS106)。置換部116により色置換処理が行われた印刷対象の画像は、表示制御部114に渡される。
表示制御部114は、色置換処理が行われた印刷対象の画像を置換部116から受け取ると、例えば、上述したプレビュー画面D5のように、ユーザが選択した領域の色を測色器20で測色した色に置換した印刷対象の画像が表示されるように、オペレーションパネル17の表示を更新させる(ステップS107)。
次に、ヘッド駆動部117は、ユーザにより「スタート」ボタン174が押圧操作されるのを待ち(ステップS108)、「スタート」ボタン174が押圧操作されると(ステップS108:Yes)、色調整や階調補正が行われた画像データに基づいて記録ヘッド6を駆動して、置換部116によって色置換処理が行われた印刷対象の画像を印刷出力する(ステップS109)。
次に、本実施形態に係る画像形成装置100において、測色器20を用いて測色対象の測色値を算出する具体的な方法の一例について、図14乃至図20を参照しながら詳細に説明する。以下で説明する方法は、画像形成装置100が初期状態のとき(製造やオーバーフォールなどによって初期状態となっているとき)に実施される前処理と、画像形成装置100の色調整を行う調整時など、実際に測色対象の測色値を算出する際に実施される測色処理とを含む。
図14は、基準測色値および基準RGB値を取得する処理と基準値線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。図14に示すこれらの処理は、前処理として実施される。前処理では、多数の基準パッチKPが配列形成された基準シートKSが用いられる。基準シートKSの基準パッチKPは、測色器20が備える基準チャート50のパッチと同等のものである。
まず、基準シートKSの複数の基準パッチKPの測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図14の例では、Lab値とXYZ値の双方)が、それぞれのパッチ番号に対応させて、例えば測色器20の基板22に実装された不揮発性メモリ64などに設けられるメモリテーブルTb1に格納される。基準パッチKPの測色値は、分光器BSなどを用いた測色により事前に得られる値である。基準パッチKPの測色値が既知であれば、その値を用いればよい。以下、メモリテーブルTb1に格納された基準パッチKPの測色値を「基準測色値」という。
次に、基準シートKSがプラテン15上にセットされ、キャリッジ5の移動を制御することで、基準シートKSの複数の基準パッチKPを被写体として、測色器20の2次元イメージセンサ43による撮像が行われる。そして、2次元イメージセンサ43の撮像により得られた基準パッチKPのRGB値が、不揮発性メモリ64のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応して格納される。つまり、メモリテーブルTb1には、基準シートKSに配列形成された複数の基準パッチKPそれぞれの測色値とRGB値が、各基準パッチKPのパッチ番号に対応して格納される。以下、メモリテーブルTb1に格納された基準パッチKPのRGB値を「基準RGB値」という。基準RGB値は、測色器20の特性を反映した値である。
画像形成装置100のメイン制御基板101に実装されたプロセッサは、基準パッチKPの基準測色値および基準RGB値が不揮発性メモリ64のメモリテーブルTb1に格納されると、同じパッチ番号の基準測色値であるXYZ値と基準RGB値との対に対して、これらを相互に変換する基準値線形変換マトリックスを生成し、不揮発性メモリ64に格納する。メモリテーブルTb1に基準測色値としてLab値のみが格納されている場合は、Lab値をXYZ値に変換する既知の変換式を用いてLab値をXYZ値に変換した後に、基準値線形変換マトリックスを生成すればよい。
また、測色器20の2次元イメージセンサ43が基準シートKSの複数の基準パッチKPを撮像する際には、測色器20に設けられた基準チャート50も同時に撮像される。この撮像により得られた基準チャート50の各パッチのRGB値も、パッチ番号に対応させて、不揮発性メモリ64のメモリテーブルTb1に格納される。この前処理によりメモリテーブルTb1に格納された基準チャート50のパッチのRGB値を「初期基準RGB値」という。図15は、初期基準RGB値の一例を示す図である。図15(a)は初期基準RGB値(RdGdBd)をメモリテーブルTb1に格納した様子を示し、初期基準RGB値(RdGdBd)とともに、初期基準RGB値(RdGdBd)をLab値に変換した初期基準Lab値(Ldadbd)やXYZ値に変換した初期基準XYZ値(XdYdZd)も対応付けて格納されることを示している。また、図15(b)は基準チャート50の各パッチの初期基準RGB値をプロットした散布図である。
以上の前処理が終了した後、画像形成装置100は、外部から入力される画像データや印刷設定などに基づいて、主走査モータ8や副走査モータ、記録ヘッド6を駆動して、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送させつつ、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、記録ヘッド6からインクを吐出させて、記録媒体Pに画像を形成する。このとき、記録ヘッド6からのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化などによって変化することがあり、このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。そこで、画像形成装置100は、色調整を行う所定のタイミングで、記録媒体Pに形成されたパッチ200の測色値を求める測色処理を実施する。そして、測色処理により得られたパッチ200の測色値に基づいてデバイスプロファイルの生成あるいは修正を行って、このデバイスプロファイルに基づいて色調整を行うことにより、出力画像の色再現性を高める。
図16は、測色処理の概要を説明する図である。画像形成装置100は、色調整を行う調整時に、まず、プラテン15上にセットされた記録媒体P上に記録ヘッド6からインクを吐出して、多数のパッチ200が並んだテストパターンを形成する。以下、テストパターンが形成された記録媒体Pを「調整シートCS」という。この調整シートCSには、画像形成装置100の調整時における出力特性、特に、記録ヘッド6の出力特性を反映したパッチ200が形成されている。なお、テストパターンを形成するための画像データは、不揮発性メモリ64などに予め格納されている。
次に、画像形成装置100は、図16に示すように、この調整シートCSがプラテン15上にセットされるか、調整シートCSを作成した段階で排紙することなくプラテン15上に保持された状態において、この調整シートCS上でキャリッジ5を主走査方向に移動させながら、測色器20の2次元イメージセンサ43で画像の撮像を行う。そして、2次元イメージセンサ43から出力される画像データから、パッチ200のRGB値が求められる。また、2次元イメージセンサ43は、測色対象のパッチ200と同時に基準チャート50を撮像しているため、基準チャート50に含まれる各基準パッチのRGB値も得られる。以下、測色対象のパッチ200のRGB値を「測色対象RGB値」といい、基準チャート50の基準パッチのRGB値を「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」という。「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」は、不揮発性メモリ64などに格納される。
また、画像形成装置100は、上述した色置換プリントや色置換コピーを行う場合に、ユーザの操作に応じて測色器20で測色された任意の測色対象の測色値を入力する。つまり、任意の測色対象の測色を行う場合も、色調整時にパッチ200の測色を行う場合と同様に、測色器20の2次元イメージセンサ43によって、任意の測色対象が基準チャート50とともに撮像される。そして、任意の測色対象のRGB値が基準チャートの50の各基準パッチのRGB値とともに取得される。以下では、このように取得された任意の測色対象のRGB値も「測色対象RGB値」として説明を行う。
測色器20の測色演算部63は、後述する基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理を行う(ステップS10)。初期化測色対象RGB値(RsGsBs)は、測色対象RGB値から、前処理を行った初期状態のときから測色処理を行う調整時に至るまでの間に生じる測色器20の撮像条件の経時変化、例えば、照明光源45の経時変化や2次元イメージセンサ43の経時変化の影響を排除したものである。
その後、測色演算部63は、測色対象RGB値から変換された初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、後述する基本測色処理を実行することにより(ステップS20)、測色対象のパッチ200(または任意の測色対象)の測色値であるLab値を取得する。
図17は、基準RGB間線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図であり、図18は、初期基準RGB値と測色時基準RGB値との関係を示す図である。測色演算部63は、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理(ステップS10)を行う前に、この変換に用いる基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。すなわち、測色演算部63は、図17に示すように、画像形成装置100が初期状態のときに前処理として得られた初期基準RGB値(RdGdBd)と、調整時において得られる測色時基準RGB値(RdsGdsBds)とを不揮発性メモリ64から読み出し、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。そして、測色演算部63は、生成した基準RGB間線形変換マトリックスを不揮発性メモリ64に格納する。
図18において、図18(a)で薄く描かれている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図18(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動しており、これらのrgb空間上での変動方向は、図18(b)に示すように概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように、同じ基準チャート50のパッチを撮像してもRGB値が変動する要因としては、照明光源45の経時変化、2次元イメージセンサ43の経時変化などがある。
このように、測色器20による撮像によって得られるRGB値が変動している状態で、パッチ200(または任意の測色対象)を撮像することで得られる測色対象RGB値を用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に誤差が発生する虞がある。そこで、初期基準RGB値RdGdBdと測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で、最小2乗法などの推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換し、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを対象として、後述する基本測色処理を実行することで、測色対象のパッチ200(または任意の測色対象)の測色値を精度よく取得できるようにしている。
この基準RGB間線形変換マトリックスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよく、rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
測色演算部63は、上述したように、測色対象RGB値を、基準RGB間線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換した後(ステップS10)、この初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、ステップS20の基本測色処理を行う。
図19および図20は、基本測色処理を説明する図である。測色演算部63は、まず、前処理において生成して不揮発性メモリ64に格納した基準値線形変換マトリックスを読み出し、基準値線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第1XYZ値に変換し、不揮発性メモリ64に格納する(ステップS21)。図19では、初期化測色対象RGB値(3、200、5)が基準値線形変換マトリックスにより第1XYZ値(20、80、10)に変換された例を示している。
次に、測色演算部63は、ステップS21で初期化測色対象RGB値(RsGsBs)から変換された第1XYZ値を、既知の変換式を用いて第1Lab値に変換し、不揮発性メモリ64に格納する(ステップS22)。図19では、第1XYZ値(20、80、10)が既知の変換式により第1Lab値(75、−60、8)に変換された例を示している。
次に、測色演算部63は、前処理において不揮発性メモリ64のメモリテーブルTb1に格納された複数の基準測色値(Lab値)を検索し、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準測色値(Lab値)を持つ複数のパッチ(近傍色パッチ)の組を選択する(ステップS23)。距離の近いパッチを選択する方法としては、例えば、メモリテーブルTb1に格納されたすべての基準測色値(Lab値)に対して、第1Lab値との距離を算出し、第1Lab値に対して距離の近いLab値(図19では、ハッチングの施されているLab値)を持つ複数のパッチを選択するといった方法を用いることができる。
次に、測色演算部63は、図20に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、ステップS23で選択した近傍色パッチのそれぞれについて、Lab値と対になっているRGB値(基準RGB値)とXYZ値を取り出して、これら複数のRGB値とXYZ値のなかから、RGB値とXYZ値との組み合わせを選択する(ステップS24)。そして、測色演算部63は、選択した組み合わせ(選択組)のRGB値をXYZ値に変換するための選択RGB値線形変換マトリックスを、最小二乗法などを用いて求め、求めた選択RGB値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ64に格納する(ステップS25)。
次に、測色演算部63は、ステップS25で生成した選択RGB値線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第2XYZ値に変換する(ステップS26)。さらに、測色演算部63は、ステップS26で求めた第2XYZ値を、既知の変換式を用いて第2Lab値に変換し(ステップS27)、得られた第2Lab値を、測色対象のパッチ200(または任意の測色対象)の最終的な測色値とする。
なお、上述した測色器20は、筐体23に基準チャート50を設けて、2次元イメージセンサ43によって測色対象のパッチ200(または任意の測色対象)と基準チャート50とを同時に撮像する構成となっている。しかし、上述したように、基準チャート50の撮像により得られる初期基準RGB値や測色時基準RGB値は、測色対象RGB値に対して、測色器20の撮像条件の経時変化、例えば、照明光源45の経時変化や2次元イメージセンサ43の経時変化の影響を排除するために用いられる。つまり、基準チャート50の撮像により得られる初期基準RGB値や測色時基準RGB値は、上述した基準RGB間線形変換マトリックスを算出し、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換するために用いられる。
したがって、要求される測色の精度に対して測色器20の撮像条件の経時変化が無視できるレベルであれば、基準チャート50が省略された構成の測色器20を用いてパッチ200(または任意の測色対象)の測色値を算出するようにしてもよい。この場合、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値に変換する処理(図16のステップS10)が省略され、測色対象RGB値を対象として、基本測色処理(図16のステップS20、図19および図20)が行われる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る画像形成装置100では、分割部113が、印刷対象の画像に対して領域分割処理を行い、表示制御部114が、領域分割された印刷対象の画像を領域の指定を受付可能にオペレーションパネル17に表示させる。そして、測色器20で測色された任意の測色対象の測色値を入力部115が入力し、置換部116が、印刷対象の画像に対して色置換処理を行って、印刷対象の画像の中でユーザにより指定された領域の色を、入力部115が入力した測色値に対応する色に置換する。そして、ヘッド駆動部117が、記録ヘッド6を駆動して、色置換処理が行われた画像を印刷出力する。したがって、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、ユーザは、オペレーションパネル17に表示された画像の中で所望の領域を指定し、測色器20を用いて任意の測色対象を測色するといった簡単な操作で、任意の領域の色を任意の色に置換した画像を得ることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100では、画像の出力に用いる記録ヘッド6がキャリッジ5に搭載されており、このキャリッジ5に測色器20が着脱可能に取り付けられた構造である。したがって、画像形成装置100の色調整時にテストパターンに含まれるパッチ200を測色するために用いる測色器20をキャリッジ5から取り外して、そのまま任意の測色対象を測色するための測色器20として用いることができ、利便性が高い。
また、測色器20は、2次元イメージセンサ43で撮像された測色対象のRGB値をマトリックス変換して測色演算部63が測色値を算出する構成であるため、高精度な測色を安価に実現することができる。
また、測色器20は、キャリッジ5から取り外されることに連動して筐体23の底面部から突出し、測色対象と2次元イメージセンサ43との間の距離を一定に保つガイド部材46を備えているので、画像形成装置100の外部に取り出された状態でも安定した測色を行うことができる。また、ガイド部材46の色が黒とされているので、ガイド部材46で反射される光が測色に影響を及ぼすことを有効に防止でき、任意の測色対象を安定的に測色することができる。
なお、上述した実施形態では、2次元イメージセンサ43で撮像した画像のRGB値からマトリックス演算によって測色対象の測色値を算出する構成の測色器20を用いているが、測色器20の構成は特に限定されるものではなく、反射型センサを用いたものや、分光測色器など、様々なタイプの測色器を利用することができる。
また、上述した実施形態では、キャリッジ5に対して着脱可能に取り付けられた測色器20を用いて任意の測色対象を測色するようにしているが、画像形成装置100とは別個に構成された外部の測色器を用いて任意の測色対象を測色し、その測色値を入力する構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、測色対象の測色値を算出する機能を測色器20に持たせるようにしているが、測色器20の外部で測色値を算出するように構成してもよい。例えば、画像形成装置100のメイン制御基板101上で測色対象の測色値を算出するように構成することができる。この場合、測色器20は、測色対象の測色値の代わりに、測色対象や基準チャート50のRGB値を、メイン制御基板101に送る構成となる。
なお、上述した本実施形態に係る画像形成装置100の機能的な構成要素は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実現することができる。本実施形態に係る画像形成装置100の機能的な構成要素をソフトウェアにより実現する場合は、メイン制御基板101に実装されたプロセッサが処理シーケンスを記述したプログラムを実行する。プロセッサにより実行されるプログラムは、例えば、画像形成装置100内部のROMなどに予め組み込まれて提供される。また、プロセッサが実行するプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するようにしてもよい。
また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
5 キャリッジ
6 記録ヘッド
16 スキャナ
17 オペレーションパネル
20 測色器
43 2次元イメージセンサ
45 照明光源
50 基準チャート
100 画像形成装置
101 メイン制御基板
111 受信部
112 スキャナ制御部
113 分割部
114 表示制御部
115 入力部
116 置換部
117 ヘッド駆動部
200 パッチ
C 任意の測色対象
特開2006−60830号公報

Claims (8)

  1. 画像形成装置のキャリッジに着脱可能に取り付けられた測色器であって、
    測色対象を撮像する2次元イメージセンサを支持する筐体と、
    当該測色器が前記キャリッジから取り外されると前記筐体から突出するように前記筐体に設けられたガイド部材と、を有することを特徴とする測色器
  2. 前記ガイド部材の色が黒であることを特徴とする請求項に記載の測色器
  3. 前記測色対象を照明する光源と
    記2次元イメージセンサが出力する前記測色対象の画像に基づいて前記測色対象の測色値を算出する演算部と、をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の測色器
  4. 前記測色対象とともに前記2次元イメージセンサに撮像される基準チャートをさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の測色器。
  5. 録媒体上を移動するキャリッジと、
    前記キャリッジに搭載され、前記記録媒体に記録材を吐出して画像を形成する記録ヘッドと
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の測色器と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
  6. 画像を複数の領域に分割する分割部と、
    前記領域の指定を受付可能に前記画像を表示する表示部と、
    前記測色器で測色された任意の色の測色値を入力する入力部と、
    指定された前記領域の色を前記測色値に対応する色に置換する置換部と、をさらに備え、
    前記記録ヘッドは、前記領域の色が置換された前記画像を形成することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
  7. 測色対象を撮像する2次元イメージセンサを支持する筐体と、画像形成装置のキャリッジから取り外されると前記筐体から突出するように前記筐体に設けられたガイド部材と、を有する測色器が前記キャリッジに着脱可能に取り付けられた画像形成装置において実行される画像形成方法であって、
    分割部が、画像を複数の領域に分割する工程と、
    表示部が、前記領域の指定を受付可能に前記画像を表示する工程と、
    入力部が、測色器で測色された任意の色の測色値を入力する工程と、
    置換部が、指定された前記領域の色を前記測色値に対応する色に置換する工程と、
    出力部が、前記領域の色が置換された前記画像を出力する工程と、を含むことを特徴とする画像形成方法。
  8. 測色対象を撮像する2次元イメージセンサを支持する筐体と、画像形成装置のキャリッジから取り外されると前記筐体から突出するように前記筐体に設けられたガイド部材と、を有する測色器が前記キャリッジに着脱可能に取り付けられた画像形成装置において実行されるプログラムであって、
    画像を複数の領域に分割する機能と、
    前記領域の指定を受付可能に前記画像を表示する機能と、
    測色器で測色された任意の色の測色値を入力する機能と、
    指定された前記領域の色を前記測色値に対応する色に置換する機能と、
    前記領域の色が置換された前記画像を出力する機能と、を前記画像形成装置に実現させるためのプログラム。
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