(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図1乃至図6を参照して説明する。図1は、本実施形態の処置システム1を示す図である。図1に示すように、処置システム1は、エネルギー処置具2及び制御装置(エネルギー制御装置)3を備える。エネルギー処置具2は、長手軸Cを有する。ここで、エネルギー処置具2では、長手軸Cに沿う方向の一方側を先端側(矢印C1側)とし、先端側とは反対側を基端側(矢印C2側)とする。
エネルギー処置具2は、保持可能なハウジング5と、ハウジング5の先端側に連結されるシース(シャフト)6と、シース6の先端部に設けられるエンドエフェクタ7と、を備える。エネルギー処置具2のハウジング5には、ケーブル10の一端が接続される。ケーブル10の他端は、制御装置3に分離可能に接続される。また、ハウジング5には、グリップ(固定ハンドル)11が設けられるとともに、ハンドル(可動ハンドル)12が回動可能に取付けられる。ハンドル12がハウジング5に対して回動することにより、ハンドル12はグリップ11に対して開く又は閉じる。なお、本実施形態では、ハンドル12は、グリップ11に対して先端側に位置し、グリップ11に対して開く又は閉じる動作において長手軸Cに対して略平行に移動するが、これに限るものではない。例えば、ある実施例では、ハンドル12がグリップ11に対して基端側に位置してもよい。また、別のある実施例では、ハンドル12は、長手軸Cに対してグリップ11とは反対側に位置し、グリップ11に対して開く又は閉じる動作における移動方向が、長手軸Cに対して交差してもよい(略垂直であってもよい)。
シース6は、長手軸Cに沿って延設される。また、エンドエフェクタ7は、第1の把持片15と、第1の把持片15との間が開閉する第2の把持片16と、を備える。ハンドル12とエンドエフェクタ7との間は、シース6の内部に長手軸Cに沿って延設される可動部材17を介して、連結される。開閉操作入力部であるハンドル12をグリップ11に対して開く又は閉じることにより、可動部材17がシース6及びハウジング5に対して長手軸Cに沿って移動し、一対の把持片15,16の間が開く又は閉じる。把持片15,16の間が閉じることにより、把持片15,16の間で血管等の生体組織を処置対象として把持する。把持片15,16のそれぞれの開閉方向(矢印Y1及び矢印Y2の方向)は、長手軸Cに対して交差する(略垂直となる)。
なお、エンドエフェクタ7は、ハンドル12の開動作及び閉動作のそれぞれに対応して、一対の把持片15,16の間が開く又は閉じる構成であればよい。例えば、ある実施例では、把持片15,16の一方は、シース6と一体である、又は、シース6に固定されるとともに、把持片15,16の他方は、シース6の先端部に回動可能に取付けられる。別のある実施例では、把持片15,16の両方が、シース6の先端部に回動可能に取付けられる。さらに別のある実施例では、シース6にロッド部材(図示しない)が挿通され、ロッド部材(プローブ)のシース6からの先端側への突出部分によって、把持片15,16の一方が形成される。そして、把持片15,16の他方は、シース6の先端部に回動可能に取付けられる。また、ある実施例では、ハウジング5に回転操作ノブ(図示しない)が取付けられてもよい。この場合、回転操作ノブをハウジング5に対して長手軸C回りに回転することにより、シース6及びエンドエフェクタ7は、回転操作ノブと一緒にハウジング5に対して長手軸C回りに回転する。これにより、エンドエフェクタ7の長手軸C回りについての角度位置が調整される。
図2は、処置システム1での制御構成を示す図である。図2に示すように、制御装置3は、処置システム1全体を制御するプロセッサ(制御部)21と、記憶媒体22と、を備える。プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含む集積回路から形成される。プロセッサ21は、1つの集積回路から形成されてもよく、複数の集積回路から形成されてもよい。プロセッサ21での処理は、プロセッサ21又は記憶媒体22に記憶されたプログラムに従って行われる。また、記憶媒体22には、プロセッサ21で用いられる処理プログラム、及び、プロセッサ21での演算で用いられるパラメータ及びテーブル等が記憶される。プロセッサ21は、インピーダンス検出部23、判断部25及び出力制御部26を備える。インピーダンス検出部23、判断部25及び出力制御部26は、プロセッサ21の一部として機能し、プロセッサ21によって行われる処理の一部を行う。
エネルギー処置具2のエンドエフェクタ7では、第1の把持片15に第1の電極27が設けられ、第2の把持片16に第2の電極28が設けられる。電極27,28は、導電材料から形成される。制御装置3は、バッテリー又はコンセント等である電源31と、エネルギー出力源(第1のエネルギー出力源)32と、を備える。エネルギー出力源32は、ケーブル10の内部を通って延設される電気供給経路(第1の電気供給経路)33を介して、電極27,28に電気的に接続される。エネルギー出力源32は、変換回路及びアンプ回路等を備え、電源31からの電力を変換する。そして、エネルギー出力源32は、変換された電気エネルギー(高周波電力)を出力する。エネルギー出力源32から出力された電気エネルギーは、電気供給経路33を通して、電極27,28に供給される。プロセッサ21の出力制御部26は、エネルギー出力源32の駆動を制御し、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を制御する。これにより、エネルギー出力源32での出力電力P、出力電流I及び出力電圧Vのいずれかが調整され、電極27,28への電気エネルギーの供給が制御される。
把持片15,16の間で処置対象が把持される状態で電極27,28にエネルギー出力源32から電気エネルギーが供給されることにより、電極27,28に接触した状態で把持される処置対象を通して電極27,28の間に高周波電流が流れる。すなわち、高周波電流が、処置エネルギーとして処置対象に付与される。処置対象に高周波電流が流れることにより、処置対象において熱が発生し、熱によって処置対象が変性される。これにより、高周波電流を用いて血管等の処置対象が封止される(凝固される)。前述のように、エネルギー出力源32からエネルギー処置具2の電極27,28に電気エネルギーが供給されることにより、把持片15,16の間で把持される処置対象に処置エネルギー(高周波電流)が付与される。したがって、本実施形態では、把持片15,16が、把持される処置対象(血管)に処置エネルギーとして高周波電流を付与するエネルギー付与部となる。
電気供給経路33には、電流検出回路35及び電圧検出回路36が設けられる。エネルギー出力源32から電気エネルギーが出力されている状態では、電流検出回路35は出力電流Iを検出し、電圧検出回路36は出力電圧Vを検出する。エネルギー制御装置3には、A/D変換器37が設けられる。A/D変換器37には、電流検出回路35で検出された電流Iに関するアナログ信号、及び、電圧検出回路36で検出された電圧Vに関するアナログ信号が伝達される。A/D変換器37は、電流Iに関するアナログ信号及び電圧Vに関するアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号をプロセッサ21に伝達する。
エネルギー出力源32から電気エネルギーが出力されている状態では、プロセッサ21は、エネルギー出力源32での出力電流I及び出力電圧Vに関する情報を取得する。そして、プロセッサ21のインピーダンス検出部23は、出力電流I及び出力電圧Vに基づいて、把持される処置対象(血管)及び電極27,28を含む電気供給経路33のインピーダンスを検出する。これにより、一対の把持片15,16の間のインピーダンスZ(すななわち、把持される処置対象のインピーダンス)が検出される。
図1に示すように、ハウジング5には、エネルギー操作入力部として操作ボタン18が取付けられる。操作ボタン18を押圧することにより、制御装置3に対し、エネルギー出力源32からエネルギー処置具2へ電気エネルギーを出力させる操作(信号)が入力される。なお、操作ボタン18の代わりに又は加えて、エネルギー処置具2とは別体のフットスイッチ等が、エネルギー操作入力部として設けられてもよい。図2に示すように、プロセッサ21は、操作ボタン18等のエネルギー操作入力部での操作入力の有無を検出する。プロセッサ21の出力制御部26は、操作ボタン18での操作入力に基づいて、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を制御する。
また、本実施形態の処置システム1では、エネルギー処置具2とは別体の鉗子80が用いられ、鉗子80で血管を挟む。これにより、血管の把持片15,16の間で把持される部位において、血流を止めることが可能となる。
図1及び図2に示すように、処置システム1は、観察要素(観察機器)として硬性鏡(内視鏡)60を備える。硬性鏡60は、長手軸C´を有する。ここで、硬性鏡60では、長手軸C´に沿う方向の一方側が先端側(矢印C´1側)であり、先端側とは反対側が基端側(矢印C´2側)である。硬性鏡60は、長手軸C´に沿って延設される挿入部61と、挿入部61の基端側に設けられる保持可能な保持部62と、を備える。また、処置システム1は、画像処理装置65及びモニタ等の表示装置67を備える。硬性鏡60の保持部62には、ユニバーサルコード66の一端が接続される。ユニバーサルコード66の他端は、画像処理装置65に分離可能に接続される。画像処理装置65は、表示装置67に電気的に接続される。
硬性鏡60の挿入部61の先端部には、CCD等の撮像素子71が設けられる。撮像素子71によって被写体が撮像される。例えば、把持片15,16の間で血管(処置対象)が把持される状態では、把持される血管及び把持片15,16(エンドエフェクタ7)等が、撮像素子71によって被写体として撮像される。この際、撮像素子71は、例えばステレオ撮影を行う。また、撮像素子71による被写体の撮像は、経時的に継続して行われる。前述ようにして、硬性鏡60を用いて、把持される血管の観察が行われる。
画像処理装置65は、画像処理等を行うプロセッサ(画像処理部)72と、記憶媒体73と、を備える。プロセッサ72は、CPU、ASIC又はFPGA等を含む集積回路から形成される。プロセッサ72は、1つの集積回路から形成されてもよく、複数の集積回路から形成されてもよい。プロセッサ72での処理は、プロセッサ72又は記憶媒体73に記憶されたプログラムに従って行われる。また、記憶媒体73には、プロセッサ72で用いられる処理プログラム、及び、プロセッサ72での演算で用いられるパラメータ及びテーブル等が記憶される。プロセッサ72は、有線又は無線によって、制御装置3のプロセッサ21との間で通信可能である(情報交換可能である)。
撮像素子71によって被写体の撮像が行われると、撮像信号がプロセッサ72に伝達される。これにより、プロセッサ72は、把持される血管等の被写体の観察画像を生成する。この際、撮像素子71でステレオ撮影が行われると、プロセッサ72は、被写体の観察画像として立体画像を生成する。また、経時的に継続して被写体が撮像されるため、プロセッサ72では、経時的に継続して観察画像が生成される。プロセッサ72で生成された観察画像は、表示装置67に表示される。
また、プロセッサ72は、画像処理を行うことにより、生成された観察画像から被写体に関する情報を取得する。例えば、プロセッサ72は、把持片15,16の観察画像での位置を特定する。この際、例えば、エンドエフェクタ7にマーカー(図示しない)が取付けられ、観察画像におけるマーカーの位置から把持片15,16の位置を特定する。また、観察画像を形成する画素の輝度又は色等に基づいて、把持片15,16の位置を特定してもよい。そして、観察画像において、血管が把持片15,16によって把持される位置(血管の把持位置)を特定する。そして、プロセッサ72は、観察画像において、血管が把持される位置(血管の把持位置)を中心とする所定の範囲を検出範囲としてエネルギー処置具2とは別体の鉗子80を検出する。ここで、所定の範囲は、例えば血管の把持位置から所定の距離Lth以下となる範囲であり、この場合、所定の距離Lthは、記憶媒体73等に記憶されている。鉗子80を検出する処理では、例えば、鉗子80にマーカー(図示しない)が取付けられ、マーカーに基づいて鉗子80を検出する(抽出する)。また、観察画像の画素の色又は輝度等に基づいて、鉗子80を検出してもよい。プロセッサ72で生成された観察画像の画像データは制御装置3のプロセッサ21に伝達されるとともに、観察画像における血管が把持される位置(血管の把持位置)及び鉗子80の検出結果等のプロセッサ72での画像処理の結果も制御装置3のプロセッサ21に伝達される。
プロセッサ21の判断部25は、生成された観察画像の画像データ及びプロセッサ72での画像処理の結果に基づいて、血管が把持される位置(血管の把持位置)から所定の範囲内に鉗子80が存在するか否かを判断する。すなわち、判断部25は、把持片15,16の間で把持される部分が鉗子80の近傍であるか否か、を判断する。そして、プロセッサ21の出力制御部26は、鉗子80についての判断結果に基づいて、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を制御する。エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力状態に対応して、エネルギー処置具2の作動状態が第1のモード(第1の作動モード)と第2のモード(第2の作動モード)との間で切り替わる。本実施形態では、第1のモードと第2のモードとの間において、エネルギー付与部(把持片15,16)から把持される処置対象への処置エネルギー(高周波電流)の付与状態が、互いに対して異なる。
なお、ある実施例では、超音波トランスデューサ46がエネルギー処置具2(ハウジング5の内部)に設けられてもよい。この場合、超音波トランスデューサ46の先端側にロッド部材が接続され、ロッド部材のシース6から先端側への突出部分によって、把持片15,16の一方(例えば第1の把持片15)が形成される。また、本実施例では、制御装置3に、エネルギー出力源32に加えてエネルギー出力源(第2のエネルギー出力源)47が、設けられる。エネルギー出力源47は、ケーブル10の内部を通って延設される電気供給経路(第2の電気供給経路)48を介して、超音波トランスデューサ46に電気的に接続される。ここで、エネルギー出力源47は、エネルギー出力源32と一体であってもよく、エネルギー出力源32とは別体で形成されてもよい。
本実施例では、エネルギー出力源47は、変換回路及びアンプ回路等を備え、電源31からの電力を変換する。そして、エネルギー出力源47は、変換された電気エネルギー(交流電力)を出力する。エネルギー出力源47から出力された電気エネルギーは、電気供給経路48を通して、超音波トランスデューサ46に供給される。プロセッサ21の出力制御部26は、エネルギー出力源47の駆動を制御し、エネルギー出力源47からの電気エネルギーの出力を制御する。
本実施例では、エネルギー出力源47から出力された電気エネルギー(交流電力)が超音波トランスデューサ46に供給されることにより、超音波トランスデューサ46で超音波振動が発生する。発生した超音波振動がロッド部材(振動伝達部材)において基端側から先端側へ伝達されることにより、把持片15,16の一方(例えば第1の把持片15)を含むロッド部材が振動する。把持片15,16の間で処置対象が把持される状態でロッド部材が振動することにより、処置対象に超音波振動が処置エネルギーとして付与される。この際、振動による摩擦熱が発生し、摩擦熱によって血管等の処置対象を封止(凝固)しながら切開することが可能となる。
なお、別のある実施例では、超音波トランスデューサ46の代わりにヒータ(図示しない)がエンドエフェクタ7(把持片15,16の少なくとも一方)に設けられてもよい。この場合、エネルギー出力源(47)から出力された電気エネルギー(直流電力又は交流電力)が、電気供給経路(48)を通してヒータに供給される。これにより、ヒータで熱が発生し、ヒータで発生した熱によって血管等の処置対象を封止(凝固)しながら切開することが可能となる。把持される処置対象(血管)に超音波振動及びヒータ熱等のそれぞれが処置エネルギーとして付与される場合でも、把持片15,16の少なくとも一方が処置対象に処置エネルギーを付与するエネルギー付与部として機能する。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。処置システム1を用いて処置を行う際には、術者はエネルギー処置具2のハウジング5を保持し、エンドエフェクタ7を腹腔等の体腔に挿入する。そして、把持片15,16の間に血管(処置対象)を配置し、ハンドル12をグリップ11に対して閉じることにより、把持片15,16の間を閉じる。これにより、把持片15,16の間で血管が把持される。この際、硬性鏡60の挿入部61も体腔内に挿入し、撮像素子71は、把持される血管及び把持片15,16を被写体として経時的に継続して撮像する。これにより、把持される血管の観察が行われる。そして、例えば高周波電流を処置エネルギーとして血管に付与し、把持される血管の封止処置を行う。
図3は、本実施形態の処置システム1を用いた血管の封止処置におけるプロセッサ21,72での処理を示すフローチャートである。図3に示すように、血管の封止処置を行う際には、プロセッサ72は、撮像素子71によって撮像された被写体像に基づいて、観察画像を生成する(ステップS101)。そして、プロセッサ72は、エンドエフェクタ7に取付けられるマーカーの位置に基づいて、把持片15,16の位置を特定する。なお、画素の輝度又は輝度等に基づいて、把持片15,16の位置を特定してもよい。そして、プロセッサ72は、観察画像での血管が把持される位置(血管の把持位置)を特定する(ステップS102)。この際、表示装置67の表示画面がタッチパネルであり、観察画像において血管が把持される位置を示す操作が表示装置67のタッチパネルで術者等によって入力されてもよい。この場合、タッチパネルでの操作入力に基づいて、プロセッサ72は、観察画像での血管が把持される位置(血管の把持位置)を特定する。そして、プロセッサ72は、観察画像において鉗子80の検出を行う検出範囲を、血管が把持される位置(血管の把持位置)を中心とする所定の範囲に設定する(ステップS103)。この際、例えば、血管の把持位置から所定の距離Lth以下となる範囲が、検出範囲として設定される。そして、プロセッサ72は、設定された検出範囲において、鉗子80の検出処理を行う(ステップS104)。なお、鉗子80の検出処理は、前述したように、例えば鉗子80に取付けられるマーカーに基づいて行われる。
そして、制御装置3のプロセッサ21は、操作ボタン(エネルギー操作入力部)18での操作入力が行われたか否か(すなわち、操作入力がONかOFFか)を判断する(ステップS105)。操作入力が行われていない場合は(ステップS105−No)、処理は、ステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が順次行われる。このため、観察画像の生成及び設定された検出範囲での鉗子80の検出処理が、繰り返し行われる。操作入力が行われると(ステップS105−Yes)、プロセッサ21の判断部25は、鉗子80の検出処理における検出結果に基づいて、血管が把持される位置(血管の把持位置)から所定の範囲内に鉗子80が存在するか否かを判断する(ステップS106)。この際、操作入力がOFFからONに切り替えられた時点又はその直近での観察画像及び鉗子80の検出処理における検出結果に基づいて、判断が行われる。
所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合は(ステップS106−No)、プロセッサ21の出力制御部26は、第1の封止モードでエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力制御を行う(ステップS107)。血管が把持される位置から所定の範囲内に鉗子80(鉗子80によって血管が挟まれる部位)が存在すると判断した場合は(ステップS106−Yes)、出力制御部26は、第1の封止モードとは異なる第2の封止モードでエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力制御を行う(ステップS108)。なお、操作ボタン(エネルギー操作入力部)18での操作入力が行われ、把持される血管に処置エネルギーが付与されている状態においても、プロセッサ72は、撮像素子71によって撮像された被写体像に基づいて、観察画像を生成する。
図4は、第1の封止モードでの出力制御におけるプロセッサ21の処理を示すフローチャートである。図4に示すように、第1の封止モードでの出力制御において、プロセッサ21は、エネルギー出力源(第1のエネルギー出力源)32からの電気エネルギー(高周波電力)の出力を開始する(ステップS111)。これにより、電極27,28に電気エネルギーが供給され、把持される血管に高周波電流が流れ、血管が封止される。
エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力開始からある程度経過すると、出力制御部26は、エネルギー出力源32からの出力電圧Vを第1の電圧値V1で経時的に一定に保つ定電圧制御を行う(ステップS112)。また、エネルギー出力源32から電気エネルギーの出力が開始されると、プロセッサ21のインピーダンス検出部23は、電流検出回路35での出力電流Iの検出結果及び電圧検出回路36での出力電圧Vの検出結果に基づいて、把持片15,16の間のインピーダンスZ(すななわち、把持される処置対象のインピーダンス)を検出する(ステップS113)。そして、プロセッサ21は、検出されたインピーダンスZがインピーダンス閾値(第1のインピーダンス閾値)Zth1以上であるか否かを判断する(ステップS114)。インピーダンス閾値Zth1は、術者等によって設定されてもよく、記憶媒体22に記憶されてもよい。
インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1より小さい場合は(ステップS114−No)、処理は、ステップS112に戻り、ステップS112以降の処理が、順次行われる。インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1以上の場合は(ステップS114−Yes)、出力制御部26は、エネルギー出力源32からの電気エネルギー(高周波電力)の出力を停止する(ステップS115)。これにより、電極27,28への電気エネルギーの供給が停止される。プロセッサ21が、第1の封止モードでエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力制御を行うことにより、エネルギー処置具2は、把持される処置対象を凝固する(血管を封止する)第1のモードで作動される。処置対象が把持される位置から所定の範囲内に鉗子80が存在しない際において処置対象を凝固する場合は、エネルギー処置具2は第1のモードで作動される。
第2の封止モードでの出力制御においても、第1の封止モードでの出力制御と同様に、プロセッサ21は、ステップS111及びS113〜S115の処理を行う。ただし、第2の封止モードでは、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力開始からある程度経過すると、出力制御部26は、エネルギー出力源32からの出力電圧Vを第1の電圧値V1より小さい第2の電圧値V2で経時的に一定に保つ定電圧制御を行う。第1の電圧値V1より小さい第2の電圧値V2で定電圧制御が行われるため、第2の封止モードでは、第1の封止モードに比べて、エネルギー出力源32から出力される電気エネルギーが小さい。すなわち、プロセッサ21の出力制御部26は、エネルギー出力源32から出力される電気エネルギーを、第1の封止モードに比べて第2の封止モードにおいて小さくする。プロセッサ21が、第2の封止モードでエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力制御を行うことにより、エネルギー処置具2は、把持される処置対象を凝固し(血管を封止し)、かつ、第1のモードとは異なる第2のモードで作動される。処置対象が把持される位置から所定の範囲内に鉗子80が存在する際において処置対象を凝固する場合は、エネルギー処置具2は第2のモードで作動される。前述のように、本実施形態では、プロセッサ21は、鉗子80の判断結果に基づいてエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を制御することにより、第1のモード(第1の作動モード)と第2のモード(第2の作動モード)との間でエネルギー処置具2の作動状態を切り替える。第1の封止モードと第2の封止モードとの間では、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力状態が異なるため、エネルギー処置具2では、第1のモードと第2のモードとの間において、エネルギー付与部(把持片15,16)から把持される処置対象への処置エネルギー(高周波電流)の付与状態が、互いに対して異なる。
なお、第1の封止モードに比べて第2の封止モードにおいてエネルギー出力源32から出力される電気エネルギーが小さければ、第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれにおいて定電圧制御以外で出力制御が行われてもよい。例えば、ある実施例では、第1の封止モードにおいて、出力制御部26は、エネルギー出力源32からの出力電力Pを第1の電力P1で経時的に一定に保つ定電力制御を行う。そして、第2の封止モードにおいて、出力制御部26は、エネルギー出力源32からの出力電力Pを第1の電力P1より小さい第2の電力P2で経時的に一定に保つ定電力制御を行う。また、別のある実施例では、第1の封止モードにおいて、出力電圧Vを第1の電圧値V1で経時的に一定に保つ定電圧制御、及び、出力電力Pを第1の電力P1で経時的に一定に保つ定電力制御の両方を行うことが可能であり、インピーダンスZに対応させて定電圧制御と定電力制御との間が切り替えられる。そして、第2の封止モードにおいて、出力電圧Vを第1の電圧値V1より小さい第2の電圧値V2で経時的に一定に保つ定電圧制御、及び、出力電力Pを第1の電力P1より小さい第2の電力P2で経時的に一定に保つ定電力制御の両方を行うことが可能であり、インピーダンスZに対応させて定電圧制御と定電力制御との間が切り替えられる。ただし、いずれの実施例においても、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、エネルギー出力源32から出力される電気エネルギーが小さい。
また、本実施形態では、第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれにおいて、高周波電流のみが処置エネルギーとして血管に付与され、超音波振動及びヒータ熱等の高周波電流以外の処置エネルギーは、血管(処置対象)に付与されない。例えば、超音波トランスデューサ46がエネルギー処置具2に設けられる実施例では、第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれにおいて、プロセッサ21は、エネルギー出力源47から超音波トランスデューサ46への電気エネルギーの出力を停止する。このため、第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれでは、超音波トランスデューサ46に電気エネルギーが供給されず、超音波トランスデューサ46で超音波振動が発生しない。同様に、ヒータがエネルギー処置具2に設けられる実施例では、第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれにおいて、プロセッサ21は、エネルギー出力源からヒータへの電気エネルギーの出力を停止する。このため、第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれでは、ヒータに電気エネルギーが供給されず、ヒータで熱が発生しない。
ある実施例では、第1の封止モードでの出力制御又は第2の封止モードでの出力制御が終了すると、電極27,28、超音波トランスデューサ46及びヒータ等に電気エネルギーが供給されず、処置対象に高周波電流、超音波振動及びヒータ熱等の処置エネルギーが付与されない状態となる。また、別のある実施例では、第1の封止モードでの出力制御又は第2の封止モードでの出力制御が終了すると、自動的に切開モードへの出力制御へ移行する。この場合、超音波トランスデューサ46がエネルギー処置具2に設けられる実施例では、切開モードにおいて、プロセッサ21は、エネルギー出力源47から超音波トランスデューサ46へ切開レベル(高い出力レベル)で電気エネルギーを出力させる。これにより、超音波トランスデューサ46で超音波振動が発生し、把持片15,16の一方に超音波振動が伝達される。そして、伝達した超音波振動が処置エネルギーとして把持される血管(処置対象)に付与され、超音波振動による摩擦熱によって血管が切開される。同様に、ヒータがエネルギー処置具2に設けられる実施例では、切開モードにおいて、プロセッサ21は、エネルギー出力源からヒータへ切開レベル(高い出力レベル)で電気エネルギーを出力させる。これにより、ヒータで熱が発生する。そして、ヒータ熱が処置エネルギーとして把持される血管に付与され、血管が切開される。
図5は、プロセッサ21が第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれで出力制御を行っている状態での、一対の把持片15,16の間のインピーダンスZ(すなわち、把持される処置対象のインピーダンス)の経時的な変化の一例を示す図である。図5では、縦軸にインピーダンスZ、横軸にエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力開始を基準とする時間tを示している。また、図5では、第1の封止モードでのインピーダンスZの経時的な変化を実線で、第2の封止モードでのインピーダンスZの経時的な変化を破線で示している。図5に示すように、エネルギー出力源32から電気エネルギーの出力が開始され、高周波電流が血管(処置対象)に流れ始めると、通常は、しばらくの間は、インピーダンスZは経時的に減少する挙動を示す。そして、ある程度までインピーダンスZが経時的に減少すると、通常は、高周波電流に起因する熱によって処置対象の温度が上昇することに対応して、インピーダンスZは経時的に増加する挙動を示す。
本実施形態では、前述のように、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、エネルギー出力源32から出力される電気エネルギーが小さい。このため、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、血管(処置対象)に流れる高周波電流に起因して発生する単位時間当たりの熱量が小さい。したがって、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、処置対象(血管)の温度の上昇率が小さく、インピーダンスZが経時的に増加する状態でのインピーダンスZの増加率が小さい。このため、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力開始からインピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1に到達するまでの時間が、長くなる。実際に、図5の一例では、第1の封止モードでは時間t1にインピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1に到達するのに対し、第2の封止モードでは時間t1より後の時間t2にインピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1に到達する。本実施形態では、前述のように、第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれにおいて、インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1以上になったことに基づいて、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止される。したがって、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力時間が長い。
前述のように、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、出力制御部26(プロセッサ21)は、エネルギー出力源32から出力される電気エネルギーを小さくするとともに、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力時間を長くする。このため、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、血管において高周波電流に起因して発生する単位時間当たりの熱量が小さく、血管に高周波電流が付与される時間が長い。すなわち、エネルギー処置具2では、第1のモード(第1の作動モード)に比べて第2のモード(第2の作動モード)において、エネルギー付与部(把持片15,16)から処置対象(血管)への処置エネルギー(高周波電流)の付与時間が長い。第1の封止モードで処置対象に付与される処置エネルギー(高周波電流)の総量の大きさは、例えば、図5中に実線で示すインピーダンスZと時間tとの間の面積の大きさに対応する。そして、第2の封止モードで処置対象に付与される処置エネルギー(高周波電流)の総量の大きさは、例えば、図5中に破線で示すインピーダンスZと時間tとの間の面積の大きさに対応する。ここで、図5中では、破線で示す第2の封止モードにおけるインピーダンスZの下側の面積が、実線で示す第1の封止モードにおけるインピーダンスZの下側の面積に比べて、大きい。したがって、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、高周波電流による血管の封止性能が高くなる。
図6は、血管X1を把持片15,16の間で把持している状態においてプロセッサ72によって生成される観察画像の一例を示す図である。血管X1を把持する際には、図6に示すように、鉗子80によって血管X1を挟み、血管X1の把持片15,16の間で把持される部位において血流を止めることがある。この場合、鉗子80によって挟まれる部位の近傍で、血管X1が把持片15,16によって把持されることがある。ここで、鉗子80によって挟まれる部位の近傍を、鉗子80から離れた部位を封止する場合と同様に処置すると、血管X1を高周波電流等の処置エネルギーを用いて封止する処置に影響を及ぼすおそれがある。このため、封止された血管X1の耐圧値等の血管X1の封止性能に影響を及ぼす可能性がある。
本実施形態では、プロセッサ21が、観察画像において血管が把持される位置(血管の把持位置)から所定の範囲内(所定の距離Lth以下となる範囲)に鉗子80が存在するか否かを判断する。そして、所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合は、第1の封止モードで出力制御が行われ、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合は、第2の封止モードで出力制御が行われる。このため、鉗子80が存在すると判断した場合は、鉗子80が存在しないと判断した場合に比べて、エネルギー出力源32から出力される電気エネルギーが小さく、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力時間が長い。すなわち、エネルギー処置具2では、鉗子80が処置対象が把持される位置から所定の範囲内に存在しないと判断した場合の第1のモード(第1の作動モード)に比べて、鉗子80が所定の範囲内に存在すると判断した場合の第2のモード(第2の作動モード)において、エネルギー付与部(把持片15,16)から処置対象(血管)への処置エネルギー(高周波電流)の付与時間が長い。したがって、鉗子80によって挟まれる部位の近傍で血管が把持される場合は、処置システム1のエネルギー処置具2の高周波電流による血管の封止性能が第1の封止モードよりも高い第2の封止モードで処置を行うため、鉗子80によって挟まれる部位から離れた部位で血管が把持される場合と同程度に血管が封止される。したがって、処置システム1のエネルギー処置具2を用いることにより、封止された血管の耐圧値(封止した部位への血液の流れ難さ)等の血管の封止性能は、鉗子80によって挟まれる部位の近傍で血管が把持される場合も維持され易い。
前述のように本実施形態では、血管が把持される位置(血管の把持位置)から所定の範囲内に鉗子80(鉗子80によって挟まれる部位)が存在しても、高周波電流による血管の封止性能を高くすることにより、把持される血管が適切に封止される。すなわち、鉗子80の近傍で血管が把持されても、高周波電流等の処置エネルギーを用いて血管X1が適切に封止され、適宜の処置性能(封止性能)が発揮される。
(第1の実施形態の変形例)
なお、第1の実施形態の第1の変形例では、第2の封止モードでの出力制御におけるプロセッサ21の処理が、第1の実施形態とは異なる。本変形例でも、第1の封止モードでの出力制御において、プロセッサ21は、第1の実施形態と同様の処理を行う(図4参照)。第2の封止モードでの出力制御においても、第1の封止モードでの出力制御と同様に、プロセッサ21は、ステップS111〜S113の処理を行う。ただし、第2の封止モードでは、ステップS114の処理の代わりに、プロセッサ21は、検出されたインピーダンスZがインピーダンス閾値(第2のインピーダンス閾値)Zth2以上であるか否かを判断する。ここで、インピーダンス閾値Zth2は、インピーダンス閾値(第1のインピーダンス閾値)Zth1より大きい。また、インピーダンス閾値Zth2は、術者等によって設定されてもよく、記憶媒体22に記憶されてもよい。
そして、インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth2より小さい場合は、処理は、ステップS112に戻り、ステップS112以降の処理が、順次行われる。インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth2以上の場合は、出力制御部26は、エネルギー出力源32からの電気エネルギー(高周波電力)の出力を停止する。したがって、本変形例の第2の封止モードでは、インピーダンスZがインピーダンス閾値(第1のインピーダンス閾値)Zth1より大きいインピーダンス閾値(第2のインピーダンス閾値)Zth2以上になったことに基づいて、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止される。本変形例でも、プロセッサ21は、鉗子80の判断結果に基づいてエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を制御することにより、第1のモード(第1の作動モード)と第2のモード(第2の作動モード)との間でエネルギー処置具2の作動状態を切り替える。そして、本変形例でも、第1の封止モードと第2の封止モードとの間では、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力状態が異なるため、エネルギー処置具2では、第1のモードと第2のモードとの間において、エネルギー付与部(把持片15,16)から把持される処置対象への処置エネルギー(高周波電流)の付与状態が、互いに対して異なる。
図7は、本変形例のプロセッサ21が第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれで出力制御を行っている状態での、一対の把持片15,16の間のインピーダンスZの経時的な変化の一例を示す図である。図7では、縦軸にインピーダンスZ、横軸にエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力開始を基準とする時間tを示している。また、図7では、第1の封止モードでのインピーダンスZの経時的な変化を実線で、第2の封止モードでのインピーダンスZの経時的な変化を破線で示している。
前述のように本変形例では、第1の封止モードにおいて、インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1以上になったことに基づいて、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止されるのに対し、第2の封止モードにおいて、インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth2以上になったことに基づいて、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止される。そして、インピーダンス閾値Zth2は、インピーダンス閾値Zth1より大きい。このため、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力時間が長い。実際に、図7の一例では、第1の封止モードでは時間t3に電気エネルギーの出力が停止されるのに対し、第2の封止モードでは時間t3より後の時間t4に電気エネルギーの出力が停止される。
前述のように、本変形例では、第1の封止モードに比べて第2の封止モードにおいて、出力制御部26(プロセッサ21)は、出力を停止する基準となるインピーダンス閾値(Zth1;Zth2)を大きく設定し、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力時間を長くする。すなわち、本変形例のエネルギー処置具2でも、処置対象が把持される位置から所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合の第1のモード(第1の作動モード)に比べて、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合の第2のモード(第2の作動モード)において、エネルギー付与部(把持片15,16)から処置対象(血管)への処置エネルギー(高周波電流)の付与時間が長い。このため、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、血管に高周波電流が付与される時間が長く、血管に付与される処置エネルギー(高周波電流)の総量が大きくなるため、高周波電流による血管の封止性能が高くなる。したがって、本変形例でも、鉗子80によって挟まれる部位の近傍で血管が把持される場合は、処置システム1のエネルギー処置具2の高周波電流による血管の封止性能が第1の封止モードよりも高い第2の封止モードで処置を行うため、鉗子80によって挟まれる部位から離れた部位で血管が把持される場合と同程度に血管が封止される。したがって、処置システム1のエネルギー処置具2を用いることにより、封止された血管の耐圧値(封止した部位への血液の流れ難さ)等の血管の封止性能は、鉗子80の近傍で血管が把持される場合も維持され易い。
なお、ある変形例では、第1の実施形態とその第1の変形例を組み合わせてもよい。この場合、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、プロセッサ21は、エネルギー出力源32から出力される電気エネルギーを小さくするとともに、出力を停止する基準となるインピーダンス閾値(Zth1;Zth2)を大きく設定する。本変形例でも、第1の封止モードと第2の封止モードとの間では、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力状態が異なるため、エネルギー処置具2では、第1のモードと第2のモードとの間において、エネルギー付与部(把持片15,16)から把持される処置対象への処置エネルギー(高周波電流)の付与状態が、互いに対して異なる。
また、第1の実施形態の第2の変形例では、第2の封止モードでの出力制御において、プロセッサ21は図8に示す処理を行う。本変形例でも、第1の封止モードでの出力制御において、プロセッサ21は、第1の実施形態と同様の処理を行う(図4参照)。本変形例では、第2の封止モードでの出力制御において、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力回数Nが、パラメータとして規定される。第2の封止モードでの出力制御においては、プロセッサ21は、出力回数Nを初期値として0に設定する(ステップS121)。そして、第1の封止モードでの出力制御と同様に、プロセッサ21は、ステップS111〜S115の処理を行う。
ステップS115での処理によってエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止されると、プロセッサ21は、出力回数Nを1だけ加算する(ステップS122)。そして、プロセッサ21は、加算された出力回数Nが基準回数Nrefと同一であるか否かを判断する(ステップS123)。基準回数Nrefは、2以上の自然数であり、術者等によって設定されてもよく、記憶媒体22に記憶されてもよい。出力回数Nが基準回数Nrefと同一の場合、すなわち、出力回数Nが基準回数Nrefに到達した場合は(ステップS123−Yes)、プロセッサ21は、第2の封止モードでの出力制御を終了する。これにより、例えば、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止された状態が、継続して維持される。
ここで、ステップS115での処理によってエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止された時点の中の直近の時点を0とする時間(経過時間)ΔTを、規定する。出力回数Nが基準回数Nrefと同一でない場合、すなわち、出力回数Nが基準回数Nrefに到達していない場合は(ステップS123−No)、プロセッサ21は、時間ΔTをカウントする(ステップS124)。そして、プロセッサ21は、カウントしている時間ΔTが基準時間ΔTref以上であるか否かを判断する(ステップS125)。基準時間ΔTrefは、例えば10msecであり、術者等によって設定されてもよく、記憶媒体22に記憶されてもよい。
時間ΔTが基準時間ΔTrefより短い場合は(ステップS125−No)、処理は、ステップS124に戻り、ステップS124以降の処理が、順次行われる。すなわち、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止された状態が維持されるとともに、時間ΔTが継続してカウントされる。時間ΔTが基準時間ΔTref以上の場合は(ステップS125−Yes)、処理は、ステップS111に戻り、ステップS111以降の処理が、順次行われる。すなわち、エネルギー出力源32から電気エネルギーが再び出力される。
前述のような処理が行われるため、第2の封止モードでの出力制御において、プロセッサ21の出力制御部26は、エネルギー出力源32から電気エネルギーの出力を開始した後において電気エネルギーの出力を停止するとともに、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を一旦停止した後に再び電気エネルギーの出力を開始する。すなわち、第2の封止モードでは、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を一旦停止した時点から基準時間ΔTref経過すると、エネルギー出力源32から電気エネルギーが再び出力される。そして、第2の封止モードでの出力制御において、プロセッサ21は、間欠的に基準回数Nrefだけ(複数回)エネルギー出力源32から電気エネルギーを出力させる。本変形例でも、プロセッサ21は、鉗子80の判断結果に基づいてエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を制御することにより、第1のモード(第1の作動モード)と第2のモード(第2の作動モード)との間でエネルギー処置具2の作動状態を切り替える。本変形例でも、第1の封止モードと第2の封止モードとの間では、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力状態が異なるため、エネルギー処置具2では、第1のモードと第2のモードとの間において、エネルギー付与部(把持片15,16)から把持される処置対象への処置エネルギー(高周波電流)の付与状態が、互いに対して異なる。
図9は、本変形例のプロセッサ21が第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれで出力制御を行っている状態での、一対の把持片15,16の間のインピーダンスZの経時的な変化の一例を示す図である。図9では、縦軸にインピーダンスZ、横軸にエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力開始を基準とする時間tを示している。また、図9では、第1の封止モードでのインピーダンスZの経時的な変化を実線で、第2の封止モードでのインピーダンスZの経時的な変化を破線で示している。図9に示す一例では、第1の封止モード及び第2の封止モードのそれぞれにおいて、インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1に到達したことに基づいて、時間t5にエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止される。
前述のように本変形例では、第2の封止モードにおいて、間欠的に複数回(基準回数Nref)エネルギー出力源32から電気エネルギーが出力される。このため、図9に示す一例では、第2の封止モードにおいて、出力が停止された時間t5から基準時間ΔTref経過した時間t6において、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が再び開始される。この際、インピーダンスZは、インピーダンス閾値Zth1より小さい。そして、時間t6(電気エネルギーの再出力開始時)より後の時間t7において、インピーダンスZがインピーダンス閾値Zth1に到達したことに基づいて、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が再び停止される。なお、図9の一例では、基準回数Nrefは、2である。
前述のように、本変形例では、第2の封止モードにおいて、出力制御部26(プロセッサ21)は、出力を一旦停止した後に再び電気エネルギーの出力を開始する。これにより、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、エネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力時間が長くなり、血管に高周波電流が付与される時間が長くなる。すなわち、本変形例のエネルギー処置具2でも、処置対象が把持される位置から所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合の第1のモード(第1の作動モード)に比べて、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合の第2のモード(第2の作動モード)において、エネルギー付与部(把持片15,16)から処置対象(血管)への処置エネルギー(高周波電流)の付与時間が長い。このため、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、高周波電流による血管の封止性能が高くなる。したがって、本変形例でも、鉗子80によって挟まれる部位の近傍で血管が把持される場合は、処置システム1のエネルギー処置具2の高周波電流による血管の封止性能が第1の封止モードよりも高い第2の封止モードで処置を行うため、鉗子80によって挟まれる部位から離れた部位で血管が把持される場合と同程度に血管が封止される。したがって、処置システム1のエネルギー処置具2を用いることにより、封止された血管の耐圧値(封止した部位への血液の流れ難さ)等の血管の封止性能は、鉗子80の近傍で血管が把持される場合も維持され易い。
また、第1の実施形態の第3の変形例では、第2の封止モードでの出力制御において、プロセッサ21は図10に示す処理を行う。本変形例でも、第1の封止モードでの出力制御において、プロセッサ21は、第1の実施形態と同様の処理を行う(図4参照)。また、第2の封止モードでの出力制御においても、第1の封止モードでの出力制御と同様に、プロセッサ21は、ステップS111〜S115の処理を行う。
第2の封止モードでは、ステップS115での処理によってエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止されると、プロセッサ21の出力制御部26は、エネルギー出力源47から超音波トランスデューサ46へ電気エネルギーの出力を開始する(ステップS131)。この際、エネルギー出力源47では、出力レベルの低い封止レベルで電気エネルギーが出力される。すなわち、封止レベルでの電気エネルギーの出力では、前述した切開レベルでの電気エネルギーの出力に比べて、出力レベルが低い。このため、切開レベルでの出力に比べて封止レベルでの出力では、超音波トランスデューサ46へ供給される電気エネルギーは小さく、把持片15,16の一方に伝達される超音波振動の振幅は小さい。したがって、封止レベルでの出力では、超音波振動による摩擦熱の熱量が小さく、摩擦熱によって把持される血管は切開されず、血管の封止のみが行われる。なお、図10では、エネルギー出力源32から電極27,28への電気エネルギーの出力をHF(high-frequency)出力と示し、エネルギー出力源47から超音波トランスデューサ46への電気エネルギーの出力をUS(ultrasonic)出力と示す。
ここで、ステップS131での処理によってエネルギー出力源47から封止レベルで電気エネルギーの出力が開始された時点(ステップS115での処理によってエネルギー出力源32からの出力が停止された時点)を0とする時間(経過時間)ΔT´を、規定する。エネルギー出力源47から封止レベルで電気エネルギーの出力が開始されると、プロセッサ21は、時間ΔT´をカウントする(ステップS132)。そして、プロセッサ21は、カウントしている時間ΔT´が基準時間ΔT´ref以上であるか否かを判断する(ステップS133)。基準時間ΔT´refは、術者等によって設定されてもよく、記憶媒体22に記憶されてもよい。
時間ΔT´が基準時間ΔT´refより短い場合は(ステップS133−No)、処理は、ステップS132に戻り、ステップS132以降の処理が、順次行われる。すなわち、時間ΔT´が継続してカウントされる。時間ΔT´が基準時間ΔT´ref以上の場合は(ステップS133−Yes)、出力制御部26は、エネルギー出力源47からの封止レベルでの電気エネルギーが出力を終了する(ステップS134)。この際、エネルギー出力源47から超音波トランスデューサ46への電気エネルギーの出力が停止されてもよく、自動的に切開モードでの出力制御へ移行し、切開レベル(高い出力レベル)で超音波トランスデューサ46へ電気エネルギーが出力される状態に自動的に切替えられてもよい。また、ある実施例では、ステップS132,S133の処理の代わりに、操作ボタン(エネルギー操作入力部)18での操作入力が解除されたこと(すなわち、操作入力がOFFになったこと)に基づいて、出力制御部26は、エネルギー出力源47からの封止レベルでの電気エネルギーが出力を終了してもよい。
前述のように、本変形例では、第2の封止モードにおいて、出力制御部26(プロセッサ21)は、電極27,28への電気エネルギーの出力を停止すると、超音波トランスデューサ46への電気エネルギーの出力を開始する。すなわち、プロセッサ21は、鉗子80の判断結果に基づいてエネルギー出力源32,47からの電気エネルギーの出力を制御することにより、第1のモード(第1の作動モード)と第2のモード(第2の作動モード)との間でエネルギー処置具2の作動状態を切り替える。そして、本変形例では、第2の封止モードでのみ、エネルギー出力源47から電気エネルギーの出力されるため、エネルギー処置具2では、第1のモードと第2のモードとの間において、エネルギー付与部(把持片15,16)から把持される処置対象への処置エネルギー(高周波電流及び超音波振動)の付与状態が、互いに対して異なる。このため、第2の封止モードでは、電極27,28への電気エネルギーの出力が停止された後でも、超音波振動(摩擦熱)によって把持される血管が封止される。すなわち、第2の封止モードでは、インピーダンスZが高くなり、血管に高周波電流が流れ難い状態でも、超音波振動に起因する摩擦熱によって血管が封止される。このため、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、処置エネルギーによる血管の封止性能が高くなる。したがって、本変形例でも、鉗子80によって挟まれる部位の近傍で血管が把持される場合は、処置システム1のエネルギー処置具2の処置エネルギーによる血管の封止性能が第1の封止モードよりも高い第2の封止モードで処置を行うため、鉗子80によって挟まれる部位から離れた部位で血管が把持される場合と同程度に血管が封止される。したがって、処置システム1のエネルギー処置具2を用いることにより、封止された血管の耐圧値(封止した部位への血液の流れ難さ)等の血管の封止性能は、鉗子80の近傍で血管が把持される場合も維持され易い。
なお、ある変形例では、第2の封止モードにおいて、ステップS115での処理によってエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力が停止されると、プロセッサ21の出力制御部26は、ヒータへ電気エネルギーの出力を開始する。この際も、前述した切開レベルに比べて出力レベルの低い封止レベルで電気エネルギーが出力される。このため、切開レベルでの出力に比べて封止レベルでの出力では、ヒータへ供給される電気エネルギーは小さい。したがって、封止レベルでの出力では、ヒータで発生する熱の熱量が小さく、ヒータ熱によって把持される血管は切開されず、血管の封止のみが行われる。本変形例では、第2の封止モードにおいて、高周波電流に加えてヒータ熱によって血管の封止が行われる。すなわち、本変形例でも、エネルギー処置具2では、第1のモードと第2のモードとの間において、エネルギー付与部(把持片15,16)から把持される処置対象への処置エネルギー(高周波電流及びヒータ熱)の付与状態が、互いに対して異なる。したがって、第1の封止モードに比べて第2の封止モードでは、処置エネルギーによる血管の封止性能が高くなる。このため、第1の実施形態の第3の変形例と同様の作用及び効果を奏する。
また、把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合において所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合に比べて処置エネルギーによる血管の封止性能を高くする電気エネルギーの出力制御は、高周波電流が血管に付与されず、高周波電流以外の処置エネルギー(超音波振動及びヒータ熱等)のみが血管に付与される実施例にも適用可能である。例えば、超音波トランスデューサ46へ封止レベルで電気エネルギーを出力し、超音波振動のみを用いて血管を封止するある変形例では、プロセッサ21は、第1の封止モード(エネルギー処置具2の第1のモード)に比べて第2の封止モード(エネルギー処置具2の第2のモード)において、エネルギー出力源47から超音波トランスデューサ46に出力される電気エネルギーを小さくするとともに、超音波トランスデューサ46への電気エネルギーの出力時間を長くする。これにより、第1の封止モード(鉗子80が存在しないと判断した場合)に比べて第2の封止モード(鉗子80が存在すると判断した場合)では、血管に超音波振動が付与される時間が長く、超音波振動による血管の封止性能が高くなる。また、ヒータへ封止レベルで電気エネルギーを出力し、ヒータ熱のみを用いて血管を封止するある変形例では、プロセッサ21は、第1の封止モードに比べて第2の封止モードにおいて、エネルギー出力源からヒータに出力される電気エネルギーを小さくするとともに、ヒータへの電気エネルギーの出力時間を長くする。これにより、第1の封止モード(鉗子80が存在しないと判断した場合)に比べて第2の封止モード(鉗子80が存在すると判断した場合)では、血管にヒータ熱が付与される時間が長く、ヒータ熱による血管の封止性能が高くなる。したがって、処置システム1のエネルギー処置具2を用いることにより、封止された血管の耐圧値(封止した部位への血液の流れ難さ)等の血管の封止性能は、鉗子80の近傍で血管が把持される場合も維持され易い。
また、ある変形例では、第1の封止モードでプロセッサ21に出力制御させるか、又は、第2の封止モードでプロセッサ21に出力制御させるかを術者等が判断してもよい。本変形例では、エネルギー操作入力部である操作ボタン等が2つ設けられ、操作ボタンの一方で操作入力が行われると、プロセッサ21(出力制御部26)は、第1の封止モードで電気エネルギーの出力制御を行い、エネルギー処置具2は処置対象を凝固する第1のモード(第1の作動モード)で作動される。そして、操作ボタンの他方で操作入力が行われると、プロセッサ21は、第1の封止モードに比べて処置エネルギーによる血管の封止性能が高い第2の封止モードで電気エネルギーの出力制御を行う。これにより、エネルギー処置具2は、処置対象を凝固し、かつ、第1のモードとは処置対象への処置エネルギーの付与状態が異なる第2のモード(第2の作動モード)で作動され、第2のモードでは、第1のモードに比べて、処置エネルギーによる処置対象の凝固性能(処置エネルギーによる血管の封止性能)が高い。本変形例では、血管が把持される位置(血管の把持位置)から所定の範囲内に鉗子80が存在するか否かの判断結果を示す告知部(図示しない)が、例えば制御装置3に設けられる。ある実施例では、告知部はLEDであり、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断された場合に点灯する。また、別の実施例では、告知部は、ブザー又は表示画面等であってもよい。
また、別のある変形例では、表示装置67が告知部として機能し、表示装置67に観察画像及び画像処理の結果の少なくとも一方が表示される。本変形例では、表示装置67に表示される観察画像及び/又は画像処理の結果に基づいて、術者が、血管が把持される位置(血管の把持位置)から所定の範囲内に鉗子80(鉗子80によって血管が挟まれる部位)が存在するか否かを判断する。そして、術者は、2つの操作ボタンのいずれで操作入力を行うかを判断し、第1の封止モードでプロセッサ21に出力制御させるか、又は、第2の封止モードでプロセッサ21に出力制御させるかを選択する。
また、第1の実施形態の第4の変形例では、血管の封止処置において、プロセッサ21,72は図11に示す処理を行う。本変形例でも前述の実施形態等と同様に、血管の封止処置において、プロセッサ21,72は、ステップS101〜S106の処理を行う。そして、血管の把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合は(ステップS106−No)、プロセッサ21は、封止モードで電気エネルギーの出力制御を行う(ステップS141)。封止モードでの出力制御では、プロセッサ21は、例えば第1の実施形態の第1の封止モードでの出力制御と同様の処理を行う(図4参照)。プロセッサ21が、封止モードで電気エネルギーの出力制御を行うことにより、エネルギー処置具2は、把持される処置対象を凝固する(血管を封止する)第1のモードで作動される。また、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合は(ステップS106−Yes)、プロセッサ21は、操作ボタン18での操作入力の有無に関係なく、電気エネルギーの出力の停止を維持する(ステップS142)。この際、エネルギー処置具2は、第2のモードで作動される。すなわち、エネルギー出力源32,47等からの電気エネルギーの出力を継続して停止する。このため、鉗子80が存在すると判断した場合は、操作ボタン18で操作入力が行われても、把持される血管に高周波電流等の処置エネルギーは付与されない。したがって、本変形例でも、プロセッサ21は、鉗子80の判断結果に基づいてエネルギー出力源32からの電気エネルギーの出力を制御することにより、第1のモード(第1の作動モード)と第2のモード(第2の作動モード)との間でエネルギー処置具2の作動状態を切り替える。本変形例では、第2のモードにおいてエネルギー出力源32,47等からの電気エネルギーの出力が停止されるため、エネルギー処置具2では、第1のモードと第2のモードとの間において、エネルギー付与部(把持片15,16)から把持される処置対象への処置エネルギー(高周波電流等)の付与状態が、互いに対して異なる。
前述のように出力制御が行われることにより、本変形例では、血管が把持される位置(血管の把持位置)から所定の範囲内に鉗子80が存在する場合は、血管に処置エネルギーが付与されない。すなわち、鉗子80によって挟まれる部位の近傍で血管が把持される場合等の封止性能に影響を及ぼす状態では、血管に処置エネルギーが付与されない。鉗子80によって挟まれる部位から離れた部位で血管が把持される場合等の封止性能への影響が小さい状態でのみ血管に処置エネルギーが付与されるため、高周波電流等の処置エネルギーを用いて血管が適切に封止され、適宜の処置性能(封止性能)が発揮される。
また、ある変形例では、封止モードで電気エネルギーを出力させるか否かを術者等が判断してもよい。本変形例では、前述した告知部が、例えば制御装置3に設けられる。そして、血管の把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在しないと告知された又は判断した場合は、術者は、操作ボタン18で操作入力を行い、封止モードでプロセッサ21に出力制御させる。これにより、エネルギー出力源32,47等から電気エネルギーが出力され、エネルギー処置具2は、第1のモード(第1の作動モード)で作動される。一方、所定の範囲内に鉗子80(鉗子80によって挟まれる部位)が存在すると告知された又は判断した場合は、術者は、操作ボタン18で操作入力を行わない。このため、エネルギー出力源32,47等から電気エネルギーが出力されず、エネルギー処置具2は、第1のモードとは異なる第2のモード(第2の作動モード)で作動される。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について、図12乃至図14を参照して、説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態の構成を次の通り変形したものである。なお、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。
図12は、本実施形態での処置システム1での制御構成を示す図である。図12に示すように、本実施形態では、把持力調整要素51がエネルギー処置具2に設けられる。把持力調整要素51の駆動状態に対応して、把持片15,16の間での処置対象(血管)の把持力が変化する。すなわち、把持力調整要素51によって、把持片15,16の間での処置対象の把持力が、調整される。また、本実施形態では、制御装置3に、駆動電力出力源52が、設けられる。駆動電力出力源52は、ケーブル10の内部を通って延設される電気供給経路53を介して、把持力調整要素51に電気的に接続される。ここで、駆動電力出力源52は、前述のエネルギー出力源32,47等と一体であってもよく、エネルギー出力源32,47等とは別体で形成されてもよい。
駆動電力出力源52は、変換回路及びアンプ回路等を備え、電源31からの電力を把持力調整要素51への駆動電力へ変換する。そして、駆動電力出力源52は、変換された駆動電力を出力し、出力された駆動電力は、電気供給経路53を通して、把持力調整要素51に供給される。プロセッサ21は、駆動電力出力源52の駆動を制御し、駆動電力出力源52からの駆動電力の出力を制御する。これにより、把持力調整要素51への駆動電力の供給が制御され、把持力調整要素51の駆動が制御される。本実施形態では、把持力調整要素51の駆動状態に対応して、エネルギー処置具2の作動状態が第1のモード(第1の作動モード)と第2のモード(第2の作動モード)との間で切り替わる。本実施形態では、第1のモードと第2のモードとの間において、把持片15,16の間での処置対象(血管)の把持力が、互いに対して異なる。
図13は、把持力調整要素51の一例を示す図である。図13に示す実施例では、把持力調整要素51としてヒータ55及び体積変化部56が、第2の把持片16に設けられる。体積変化部56は、パリレン、ナイロン又はセラミックス等の電気的に絶縁材料から形成され、把持片15,16の間を閉じることにより第1の把持片15(第1の電極27)に当接可能である。体積変化部56が第1の把持片15に当接した状態では、電極27,28は互いに対して離間し、体積変化部56によって電極27,28同士の接触が防止される。また、体積変化部56は、熱膨張率が高い材料から形成されている。
駆動電力出力源52からヒータ55に駆動電力が出力されることにより、把持力調整要素51が駆動され、ヒータ55で熱が発生する。ヒータ55で発生した熱によって、体積変化部56の温度が上昇し、体積変化部56が膨張する(体積変化部56の体積が大きくなる。)。把持片15,16の間で血管(処置対象)が把持される状態で体積変化部56が膨張することにより、把持片15,16の間の距離が小さくなり、把持片15,16の間での処置対象の把持力が大きくなる。なお、本実施例では、ヒータ55で発生する熱によって、処置対象の凝固及び切開等は行われない。
また、別のある実施例では、ヒータ55の代わりにペルチェが設けられてもよい。この場合、駆動電力出力源52からペルチェに駆動電力が出力されることにより、ペルチェは体積変化部56側へ熱を移動させる。ペルチェによる熱の移動によって、体積変化部56の温度が上昇し、体積変化部56が膨張する。このため、把持片15,16の間で血管(処置対象)が把持される状態では、前述のように、把持片15,16の間の距離が小さくなり、把持片15,16の間での処置対象の把持力が大きくなる。
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。図14は、本実施形態の処置システム1を用いた血管の封止処置におけるプロセッサ21,72での処理を示すフローチャートである。本実施形態でも前述の実施形態等と同様に、血管の封止処置において、プロセッサ21は、ステップS101〜S106の処理を行う。そして、血管の把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合は(ステップS106−Yes)、プロセッサ21は、駆動電力出力源52から把持力調整要素51への駆動電力の出力が停止されている状態を維持する(ステップS151)。このため、把持力調整要素51は駆動されず、体積変化部56は膨張しない。したがって、把持片15,16の間での処置対象の把持力が維持される。そして、プロセッサ21は、封止モードでエネルギー出力源32等からの電気エネルギーの出力制御を行う(ステップS152)。封止モードでの出力制御では、プロセッサ21は、例えば第1の実施形態の第1の封止モードでの出力制御と同様の処理を行う(図4参照)。プロセッサ21によって駆動電力出力源52から把持力調整要素51への駆動電力の出力が停止され、把持力調整要素51が駆動されない状態では、エネルギー処置具2は、把持される処置対象を凝固する(血管を封止する)第1のモード(第1の作動モード)で作動される。
一方、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合は(ステップS106−No)、プロセッサ21は、駆動電力出力源52から把持力調整要素51への駆動電力の出力を開始する(ステップS153)。このため、把持力調整要素51は駆動され、体積変化部56は膨張する。したがって、把持片15,16の間での処置対象の把持力が大きくなる。そして、プロセッサ21は、封止モードでエネルギー出力源32等からの電気エネルギーの出力制御を行う(ステップS154)。封止モードでの出力制御では、プロセッサ21は、例えば第1の実施形態の第1の封止モードでの出力制御と同様の処理を行う(図4参照)。封止モードでの出力制御が終了すると、プロセッサ21は、駆動電力出力源52から把持力調整要素51への駆動電力の出力を停止する(ステップS155)。プロセッサ21によって駆動電力出力源52から把持力調整要素51への駆動電力が出力され、把持力調整要素51が駆動される状態では、エネルギー処置具2は、把持される処置対象を凝固し(血管を封止し)、かつ、第1のモードとは異なる第2のモード(第2の作動モード)で作動される。前述のように、本実施形態では、プロセッサ21は、鉗子80の判断結果に基づいて駆動電力出力源52からの駆動電力の出力を制御することにより、第1のモード(第1の作動モード)と第2のモード(第2の作動モード)との間でエネルギー処置具2の作動状態を切り替える。エネルギー処置具2では、第1のモードと第2のモードとの間において、把持力調整要素51の駆動状態が異なるため、第1のモードと第2のモードとの間では、把持片15,16の間での処置対象(血管)の把持力が、互いに対して異なる。
前述のようにプロセッサ21による制御が行われることにより、本実施形態では、プロセッサ21は、血管の把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合において、所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合に比べて、把持片15,16の間での血管(処置対象)の把持力を大きくする。すなわち、エネルギー処置具2では、第1のモード(第1の作動モード)に比べて、第2のモード(第2の作動モード)において、把持片15,16の間での血管(処置対象)の把持力が大きい。このため、血管が把持された位置(血管の把持位置)から所定の範囲内に鉗子80(鉗子80によって挟まれる部分)が存在しても、把持片15,16の間での血管の把持力を大きくすることにより、把持される血管が適切に封止される。すなわち、鉗子80の近傍で血管が把持されても処置エネルギーを用いて血管が適切に封止され、適宜の処置性能(封止性能)が発揮される。
(第2の実施形態の変形例)
なお、把持力調整要素51は、前述の構成に限るものではない。例えば、ある変形例では、把持力調整要素51として電動モータ及び当接部材が設けられる。この場合、ハンドル12をグリップ11に対して閉じることにより、ハンドル12が当接部材に当接し、ハンドル12は当接部材に当接するまでグリップ11に対して閉じる。そして、プロセッサ21(出力制御部26)は、駆動電力出力源52から電動モータへの駆動電力の出力を制御し、電動モータの駆動を制御する。電動モータが駆動されることにより、当接部材が移動し、当接部材の位置が変化する。これにより、ハンドル12がグリップ11に対して閉じる際の、ハンドルのストロークが変化する。本変形例では、プロセッサ21は、負荷σに基づいて当接部材の位置を調整することにより、血管の把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合(エネルギー処置具2の第2のモード)において、所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合(エネルギー処置具2の第1のモード)に比べて、ハンドル12が閉じる際のストロークを大きくする。これにより、本変形例でも、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合において、所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合に比べて、把持片15,16の間での血管(処置対象)の把持力が大きくなる。
また、シース6に挿通されるロッド部材によって把持片15,16の一方が形成される構成であれば、シース6の内部において最も先端側でロッド部材を支持する支持部材、及び、駆動されることによりその支持部材を移動させる電動モータ等が、把持力調整要素51として設けられる。この場合、鉗子80についての判断結果に応じて電動モータ等を駆動させることにより、支持部材によってロッド部材が支持される位置を変化させる。これにより、把持片15,16の間での処置対象(血管)を把持している状態において、ロッド部材の先端部(把持片15,16の一方)の撓み量が変化し、把持片15,16の間での把持力が変化する。また、第2の実施形態のように把持力を調整する制御は、把持片15,16の間での処置対象(血管)の把持力を変化させる把持力調整要素51が設けられれば、適宜適用可能である。
また、別のある変形例では、駆動電力出力源52から駆動電力を出力させる駆動操作入力部として操作ボタン等が設けられてもよい。本変形例では、駆動電力を出力させるか否かを術者等が判断する。また、本変形例では、前述した告知部が、例えば制御装置3又は表示装置67に設けられる。そして、血管の把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在しないと告知された又は判断した場合は、術者は、操作ボタン(駆動操作入力部)で操作入力を行わない。このため、駆動電力出力源52から把持力調整要素51(ヒータ55)に駆動電力は出力されず、体積変化部56は膨張しない。これにより、エネルギー処置具2は、第1のモード(第1の作動モード)で作動される。一方、所定の範囲内に鉗子80(鉗子80によって挟まれる部位)が存在すると告知された又は判断した場合は、術者は、操作ボタン18で操作入力を行う。これにより、駆動電力出力源52から把持力調整要素51(ヒータ55)に駆動電力は出力され、ヒータ55で発生した熱によって、体積変化部56が膨張する。したがって、エネルギー処置具2は、第2のモード(第2の作動モード)で作動され、把持片15,16の間での処置対象の把持力が大きくなる。
(その他の変形例)
なお、ある変形例では、第1の実施形態及びその変形例のいずれか及び第2の実施形態及びその変形例のいずれかを組み合わせてもよい。この場合、血管の把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合は、プロセッサ21は、第1の封止モードでエネルギー出力源32,47等からの電気エネルギーの出力制御を行い、血管に処置エネルギーを付与する。そして、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合は、プロセッサ21は、第1の封止モードに比べて処置エネルギーによる血管の封止性能が高くなる第2の封止モードでエネルギー出力源32,47等からの電気エネルギーの出力制御を行い、血管に処置エネルギーを付与する。すなわち、本変形例でも第1の実施形態と同様に、エネルギー処置具2の第2のモードでは、第1のモードに比べて、処置エネルギーによる血管の封止性能が高い。また、本変形例では、プロセッサ21は、所定の範囲内に鉗子80が存在すると判断した場合(エネルギー処置具2の第2のモード)において、所定の範囲内に鉗子80が存在しないと判断した場合(エネルギー処置具2の第1のモード)に比べて、把持片15,16の間での処置対象の把持力を大きくする。
また、ある変形例では図15に示すように、プロセッサ72は、観察画像での血管が把持される位置を特定すると(ステップS102)、観察画像全体を検出範囲として鉗子80の検出処理を画像処理として行う(ステップS161)。そして、画像処理装置65のプロセッサ72は、鉗子80の検出処理において検出された鉗子80の位置を特定し、検出された鉗子80(鉗子80によって挟まれる部位)と血管の把持位置との距離Lの算出処理を行う(ステップS162)。なお、本変形例でも、鉗子80の検出処理は、前述したように、例えば鉗子80に取付けられるマーカーに基づいて行われるか、画素の輝度又は色等に基づいて行われる。また、本変形例でも、操作入力が行われていない場合は(ステップS105−No)、処理は、ステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が順次行われる。このため、観察画像の生成及び観察画像全体での鉗子80の検出処理が、繰り返し行われる。
そして、操作入力が行われると(ステップS105−Yes)、プロセッサ21の判断部25は、鉗子80の検出処理における検出結果に基づいて、観察画像全体について鉗子80が存在するか否かを判断する(ステップS163)。鉗子80が存在しないと判断した場合は(ステップS163−No)、プロセッサ21は、例えば第1の封止モードでの出力制御を行う(ステップS107)。一方、鉗子80が存在すると判断した場合は(ステップS163−Yes)、判断部25は、検出された鉗子80と血管の把持位置との距離Lの算出処理における算出結果に基づいて、算出された距離Lが所定の距離Lth以下であるか否かを判断する(ステップS164)。所定の距離Lは、例えば記憶媒体22等に記憶される。距離Lが所定の距離Lthより大きかった場合は(ステップS164−No)、プロセッサ21は、例えば第1の封止モードでの出力制御を行う(ステップS107)。一方、距離Lが所定の距離Lth以下であった場合は、プロセッサ21は、例えば第2の封止モードでの出力制御を行う(ステップS108)。
本変形例では、観察画像において鉗子80が検出された場合、鉗子80(鉗子80によって挟まれる部位)と血管の把持位置との距離Lが算出され、距離Lが所定の距離Lth以下であるかが判断される。これにより、検出された鉗子80の位置が血管の把持位置から所定の範囲内(把持位置から所定の距離Lth以下となる範囲)であるか否かが適切に判断される。したがって、本変形例でも、血管の把持位置から所定の範囲内に鉗子80が存在するか否かが適切に判断される。
また、図3、図11、図14及び図15に示すそれぞれの処理は、制御装置(エネルギー制御装置)3のプロセッサ21及び画像処理装置65のプロセッサ72のいずれかで行われればよい。例えば、ある変形例では、制御装置3のプロセッサ21が、設定された範囲において鉗子80の検出処理を行い(ステップS104)、別のある実施例では、画像処理装置65のプロセッサ72が、血管が把持される位置(血管の把持位置)から所定の範囲内に鉗子80が存在するか否かを判断する(ステップS106)。また、別のある変形例では、制御装置3及び画像処理装置65の両方の機能を有する一体の装置が、処置システム1に設けられてもよい。本変形例では、その一体の装置に設けられるプロセッサによって、図3、図11、図14及び図15に示すそれぞれの処理が行われる。
前述の実施形態等では、処置システム(1)のエネルギー処置具(2)は、第1の把持片(15)と、第1の把持片(15)との間が開閉し、第1の把持片(15)との間で処置対象を把持する第2の把持片(16)と、を備える。そして、エネルギー処置具(2)は、処置対象が把持される位置から所定の範囲内に鉗子(80)が存在しない際に処置対象を凝固させる第1のモードと、鉗子(80)が所定の範囲内に存在する際に処置対象を凝固させる第2のモードと、の間で作動状態が切り替えられる。また、処置システム(1)では、エネルギー出力源(32;47;32,47)は、エネルギー処置具(2)に供給される電気エネルギーを出力し、電気エネルギーがエネルギー処置具(2)に供給されることにより、第1の把持片(15)と第2の把持片(16)との間で把持される処置対象に処置エネルギーが付与される。観察要素(60)は、把持される処置対象を観察する。プロセッサ(21,72)は、観察要素(60)での観察画像に基づいて、処置対象が把持される位置から所定の範囲内に鉗子(80)が存在するか否かを判断する。プロセッサ(21,72)は、鉗子(80)の判断結果に基づいてエネルギー出力源(32;47;32,47)からの電気エネルギーの出力を制御すること、及び、鉗子(80)が存在すると判断した場合において鉗子(80)が存在しないと判断した場合に比べて第1の把持片(15)と第2の把持片(16)との間での処置対象の把持力を大きくすることの少なくとも一方を行う。
以上、本発明の実施形態等について説明したが、本発明は前述の実施形態等に限るものではなく、発明の趣旨を逸脱することなく種々の変形ができることは、もちろんである。
以下、特徴的事項を付記する。
(付記項1)
第1の把持片と第2の把持片との間を閉じ、前記第1の把持片と前記第2の把持片との間で処置対象を把持することと、
把持される前記処置対象を観察することと、
エネルギー出力源からエネルギー処置具に電気エネルギーを供給し、前記第1の把持片と前記第2の把持片との間で把持される前記処置対象に処置エネルギーを付与することと、
前記処置対象の観察画像に基づいて前記処置対象が把持される位置から所定の範囲内に鉗子が存在するか否かを判断することと、
前記鉗子の判断結果に基づいて前記エネルギー出力源からの前記電気エネルギーの出力を制御すること、及び、前記鉗子が存在すると判断した場合において前記鉗子が存在しないと判断した場合に比べて前記第1の把持片と前記第2の把持片との間での前記処置対象の把持力を大きくすることの少なくとも一方を行うことと、
を具備する処置方法。