実施の形態1.
本発明は、自動車のフロントパネル、遊技機の映像表示部分又は家庭用ゲーム機の映像表示装置などにもっとも効果を発揮する。これらは、観察者が座席に座って使用するなど、使用時に観察者の視点が変化しない。また、本発明は、立体映像と平面映像が1つの映像の中に混合して表示できるという利点がある。
実施の形態1は、自動車のフロントパネルに用いられる投射型の映像表示装置ついて説明する。この映像表示装置は、速度メーターの表示などの立体映像を立体表示面に適合して表示する。また、この映像表示装置は、カーナビゲーションシステムなどの平面映像を立体表示面に平面的に表示する。
図1は、実施の形態1に係る自動車のフロントパネルP1の模式図である。図1は、フロントパネルP1を正面から見た図である。「正面から見た」とは、「運転者側から見た」という意味である。図1のフロントパネルP1は、映像が何も映っていない状態である。フロントパネルP1の表示面は、全体として凹形状である。しかし、斜線で示した2つの円形状の凸型領域P2,P3は凸型に飛び出している。ここで、「凹形状」とは、図面に対して奥側に突き出た形状である。また、「凸形状」とは、図面に対して手前側に突き出た形状である。なお、図1に示したフロントパネルP1の表面形状は一例である。フロントパネルP1の表面形状は、どの位置にどのような内容を表示するかによって設計される。例えば、フロントパネルP1は、湾曲したスクリーンで出来ている。フロントパネルP1は、この湾曲したスクリーンの背面からプロジェクターで映像を投射する方法で実現される。スクリーンの背面からプロジェクターで映像を投射する方式は、リアプロジェクション方式ともよばれる。湾曲したスクリーンは、立体表示面である。
図2は、フロントパネルP1を採用したリアプロジェクションシステムR1を示す構成図である。リアプロジェクションシステムR1は、表示光学エンジンR2及び立体スクリーンR4を有する。ここで、「光学エンジン」とは、スクリーンに映像を投影する装置である。例えば、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)、光源及びレンズなどを有している。また、リアプロジェクションシステムR1は、装置を小型化するために、反射ミラーR3を有することができる。図2では、反射ミラーR3を採用することで、図面上の左右方向の寸法を小さくすることができる。
光学エンジンR2は、一般的な平面スクリーンに投射するための光学エンジンである。「平面スクリーン」とは、平面的な表示面である。「平面的な表示面」を「平面表示面」とよぶ。つまり、平面スクリーンは、平面表示面である。また、立体スクリーンR4は、湾曲したスクリーンであり、立体表示面である。光学エンジンR2は、外部から入力される映像信号に基づいて映像光を照射する。「映像光」とは、画像情報を有する光のことである。
映像光は、反射ミラーR3で反射されて、立体スクリーンR4に投影される。上述のように、光学エンジンR2は、平面スクリーン用の光学エンジンであるので、外部から入力された映像が平面映像(平面的な映像)であれば、立体スクリーン上に投影される映像は歪んで表示される。ここで、「平面映像」は、平面スクリーンに投写される映像で、歪み補正されていない映像である。
実施の形態1では、フロントパネルP1を投射型の映像表示装置で説明しているが、フロントパネルP1は、表示面を湾曲型に整形した有機ELディスプレイパネルなど、他の映像表示装置で実施してもよい。
以下では、本発明による自動車のフロントパネルを例として、図3に示す映像信号処理装置B1の構成について説明する。映像信号処理装置B1は、電気信号処理回路で実現されている。
図3は、映像信号処理装置B1及び立体表示機器B6の構成を示したブロック図である。表示装置Bは、映像信号処理装置B1及び立体面表示機器B6を有している。映像信号処理装置B1は、映像生成指示部B2、内部映像生成部B3、映像合成部B4及び歪み補正部B5を有している。映像信号処理装置B1は、補正後映像信号S7を生成する。補正後映像信号S7は、映像信号処理装置B1から出力されて、立体面表示機器B6に入力される。立体面表示機器B6は、図1に示したフロントパネルP1である。上述のように、フロントパネルP1は、図2に示したリアプロジェクションシステムR1などで実現されている。
補正後映像信号S7は、次の3つの信号を含む。第1の信号は、立体映像の信号である。第2の信号は、平面映像の信号を立体表示面上で平面的に見える映像に補正した信号である。この映像信号を補正平面映像の信号とよぶ。また、平面映像の信号を立体表示面上で平面的に見える映像に補正した映像を「補正平面映像」とよぶ。第3の信号は、立体映像の信号及び補正平面映像の信号の両方を含む信号である。
図3に示す構成により、立体表示面上で立体映像の表示又は立体表示面上で平面的な映像の表示をすることができる。また、図3に示す構成により、立体表示面上で、部分的に立体映像の表示を行うとともに、部分的に平面的な映像の表示を行うことができる。これらの表示により、観察者に対して視覚効果の高い映像を提示することができる。
映像信号処理装置B1は、外部映像信号S4及び内部映像生成補助信号S15を外部から入力として受け取る。また、映像信号処理装置B1は、観察者視点信号S16及び表示画面指示信号S17を外部から入力として受け取る。外部映像信号S4は、平面映像の映像信号である。内部映像生成補助信号S15は、例えば、自動車の速度の情報、エンジンの回転数の情報又は燃料の残量の情報などの情報信号である。また、観察者視点信号S16は、ドライバーなどの表示面を見る人の位置の情報である。表示画面指示信号S17は、フロントパネルP1にどのような表示をするかをドライバー等が外部から入力する信号である。立体映像は映像信号処理装置B1の内部で生成される。外部映像信号S4は、平面表示面に表示される2次元の映像である。平面表示面は、例えば、一般的なフラットパネルである。
映像信号の伝送方式は、実施の形態1では、順次走査方式で伝送される方法を用いて説明する。しかし、順次走査方式に限るものではない。
映像生成指示部B2は、表示画面指示信号S17を入力として受け取る。そして、表示画面指示信号S17を基に、映像生成指示部B2は、内部映像生成指示信号S1及び内部映像・外部映像選択信号S2を生成する。表示画面指示信号S17は、例えば、ドライバーがフロントパネルP1の表示画面の種類を指示する信号である。映像生成指示部B2は、内部映像生成指示信号S1及び内部映像・外部映像選択信号S2により、立体面表示機器B6に対して表示する内容を指示する。
内部映像生成指示信号S1は、立体面表示機器B6の立体表示面に合わせた映像の内容を指示する信号である。内部映像生成指示信号S1は、例えば、図4に示されている速度メーターP4、エンジン回転数メーターP5又は燃料メーターP6の内のどれを表示するかを指示する信号である。つまり、後述するどの「モード」を表示するかを指示する信号である。
内部映像生成部B3は、立体映像を「モード」という形で保持している。保持している立体映像には、画像情報及び表示位置情報が含まれている。例えば、「標準モード」は、図4に示すように、3種類のメーターの表示を全て行う場合である。この場合には、フロントパネルP1に表示する映像は、全て立体映像となる。つまり、内部映像生成部B3は、フロントパネルP1に表示する各メーターの映像情報及びその表示位置の情報を保持している。また、「平面映像表示モード」は、フロントパネルP1に外部映像信号S4のみを表示するモードである。この場合には、内部映像生成部B3は、何も映像を出力しない。内部映像生成部B3は、立体映像の一部の映像を保持し、外部から入力として受け取る情報を基に立体映像を生成して出力する。
内部映像・外部映像選択信号S2は、内部映像生成部B3がどのモードの映像信号を内部映像信号S3として出力するかを映像合成部B4に示す信号である。映像生成指示部B2は、内部映像・外部映像選択信号S2として、内部映像生成部B3から出力される立体映像に対して、画素ごとに「立体映像」であることを示す符号を出力する。また、映像生成指示部B2は、内部映像・外部映像選択信号S2として、映像合成部B4が入力として受け取る外部映像信号S4に対して、画素ごとに「平面映像」であることを示す符号を出力する。つまり、内部映像・外部映像選択信号S2は、後述する内部映像信号S3を使用するか、外部映像信号S4を使用するかを示す2値の信号となる。映像生成指示部B2は、映像合成部B4が入力として受け取る映像の各画素に、歪み補正の要否を示す符号を出力する。
映像合成部B4は、内部映像信号S3及び外部映像信号S4の各画素に、「立体映像」であること示す符号又は「平面映像」であることを示す符号を付す。この情報は、内部映像・外部映像選択信号S2に含まれている。映像信号が順次走査方式で伝送される場合には、内部映像・外部映像選択信号S2は、各クロックタイミングにおいて、映像上の各画素に対応して示される。
映像生成指示部B2は、例えば、カーナビゲーションの映像信号を外部映像信号S4として外部から受け取る。外部映像信号S4は、例えば、自動車に取り付けられた周辺を監視するカメラ画像とすることができる。外部映像信号S4の画像情報は、「平面映像」で入力される。
内部映像生成部B3は、内部映像生成指示信号S1及び内部映像生成補助信号S15を入力として受け取り、内部映像信号S3を生成する。内部映像生成部B3は、内部にレンダリング機能を持つ。「レンダリング」とは、画像や画面の内容を指示するデータの集まりをコンピュータプログラムで処理して、具体的な画素の集合を得ることである。「画像や画面の内容を指示するデータの集まり」とは、数値、数式のパラメータ又は描画ルールを記述したものなどである。
また、内部映像生成部B3は、立体面表示機器B6の立体表示面の立体形状の情報及び立体表示面上での映像の画素の表示位置の情報を保持している。立体表示面の立体形状の情報は、「立体表示面情報」とよぶ。映像の画素の表示位置の情報は、「画素位置情報」とよぶ。
内部映像生成部B3は、内部映像生成指示信号S1に基づいて表示すべき内容を決定する。内部映像生成部B3は、レンダリング機能を用いて立体面表示機器B6の立体表示面の立体形状に合わせた映像を生成する。内部映像生成部B3は、例えば、図4に示されている速度メーターP4、エンジン回転数メーターP5又は燃料メーターP6の表示情報を保持している。また、内部映像生成部B3は、外部から内部映像生成補助信号S15を入力として受け取る。上述のように、内部映像生成補助信号S15は、例えば、自動車の速度の情報、エンジンの回転数の情報又は燃料の残量の情報などの情報信号である。内部映像生成部B3は、保持している表示情報と内部映像生成補助信号S15の情報とを合成して、速度メーターP4、エンジン回転数メーターP5又は燃料メーターP6などの表示画像を生成する。内部映像生成部B3の行う「合成」は、例えば、速度メーターP4などの枠の映像に数値を示す針や数字を当てはめることである。
内部映像生成部B3は、映像の画素の表示位置の情報に基づいて内部映像生成部B3の有する映像情報を画素情報に変換する。内部映像生成部B3は、変換された画素情報を内部映像信号S3として出力する。「映像の画素の表示位置の情報」は、「画素位置情報」である。
内部映像信号S3は、外部映像信号S4と同じように、2次元の画素配列を順次走査方式で出力される。レンダリング機能を実現する方法としては、専用の集積回路を設計してもよいし、GPU(Graphics Processing Unit)などのグラフィック用のプロセッサによって実現してもよい。「GPU」とは、3Dグラフィックスの表示に必要な計算処理を行う半導体チップのことである。立体表示面情報及び画素位置情報は書き換え可能な不揮発性のFlashメモリー又は書き換え不可能なROM(リードオンリーメモリー)などに保持する方法が考えられる。
映像合成部B4は、内部映像・外部映像選択信号S2、内部映像信号S3及び外部映像信号S4を入力として受け取る。そして、映像合成部B4は、合成映像信号S5及び補正有効信号S6を出力する。映像合成部B4は、内部映像・外部映像選択信号S2に基づき、画素ごとに内部映像信号S3又は外部映像信号S4のいずれかを選択する。そして、映像合成部B4は、合成映像信号S5を出力する。合成映像信号S5は、画素ごとに選択された内部映像信号S3及び外部映像信号S4を1つの映像として合成した映像信号である。
映像合成部B4の行う「合成」は、内部映像信号S3の立体映像の領域及び外部映像信号S4の平面映像の領域を1つの映像信号上に並べて配置することである。そのため、立体映像の領域及び平面映像の領域の境界部分を除いて2つの映像の領域を重ねて表示することはない。また、内部映像信号S3が平面映像であった場合には、内部映像信号S3の平面映像の領域及び外部映像信号S4の平面映像の領域を1つの映像信号上に並べて配置することである。そのため、2つの平面映像の領域の境界部分を除いて2つの映像の領域を重ねて表示することはない。
また、外部映像信号S4を選択した場合には、映像合成部B4は、補正有効信号S6を出力する。この場合の補正有効信号S6は、外部映像信号S4を選択した画素を歪み補正部B5で補正することを示す信号である。つまり、歪み補正部B5は、平面映像を補正して補正平面映像を生成する。
内部映像信号S3を選択した場合には、映像合成部B4は、補正有効信号S6を出力する。この場合の補正有効信号S6は、内部映像信号S3を選択した画素を補正しないことを示す信号である。
このように、映像合成部B4は、歪み補正部B5に対して「平面映像」を「補正平面映像」に補正する必要があるか否かを示す補正有効信号S6を画素ごとに出力する。
前述のとおり、内部映像信号S3及び外部映像信号S4は、順次走査方式の信号である。そのため、内部映像信号S3のタイミングクロック、外部映像信号S4のタイミングクロック及び内部映像・外部映像選択信号S2のタイミングクロックが同期している場合には、映像合成部B4の動作は、合成映像信号S5の出力画素の選択と補正有効信号S6の出力画素の選択となり比較的に単純な動作となる。
また、内部映像・外部映像選択信号S2のタイミングクロック、内部映像信号S3のタイミングクロック及び外部映像信号S4のタイミングクロックが同期していない場合には、映像合成部B4は、バッファーとして信号をRAM(ランダムアクセスメモリー)に蓄える機能を備えていればよい。
歪み補正部B5は、合成映像信号S5及び補正有効信号S6を入力として受け取る。そして、歪み補正部B5は、補正後映像信号S7を出力する。歪み補正部B5は、合成映像信号S5の映像のうち、補正有効信号S6が補正することを示した画素に対して歪み補正を行う。上述のように、ここでの補正は、「平面映像」を「補正平面映像」にする補正である。すなわち、内部映像信号S3から生成された領域の画素は補正されず、外部映像信号S4から生成された領域の画素は補正される。
歪み補正部B5は、立体面表示機器B6上での湾曲した表示面の形状に対応した画素位置情報を保持している。この画素位置情報は、外部映像信号S4を補正するために使用される。つまり、歪み補正部B5は、保持している画素位置情報を基に、平面映像である外部映像信号S4を補正平面映像に変換する。
歪み補正部B5で行われる歪み補正は、観察者の視点位置から立体面表示機器B6を見た映像の歪みを除去するように画素を補正する。このため、歪み補正部B5は、外部から観察者視点信号S16を入力として受け取る。もっとも、簡単に歪み補正を実現するには、各画素について画素移動の変換テーブルを作成する方法が考えられる。
すなわち、観察者の視点位置から立体面表示機器B6の表示面を見て、補正がされずに表示された映像の各画素の位置と、歪み補正が行われて平面的に表示された映像の各画素の位置との差をテーブルとして持つ。そして、その各画素の位置の差がなくなるように各画素を移動させる方法が考えられる。ここで、「補正がされずに表示された映像」は、歪んだ状態で表示された映像である。つまり、立体表示面に平面映像を表示した場合である。また、「歪み補正が行われて平面的に表示された映像」は、立体表示面に補正平面映像を表示した場合である。
観察者が自動車の運転席又は助手席に座って立体面表示機器B6であるフロントパネルを観察する際には、ほとんど視点が変更されない。このため、画素の変換テーブルは1つだけ保持していればよい。つまり、複雑な演算処理は不要であり、画素移動や画素の加重平均で補正後の映像信号S7を生成できる。
変換テーブルは、立体面表示機器B6の表示面の形状と観察者の使用時の視点位置とに基づき、予め作成する。この他に、一般的な既存の歪み補正方法を用いても良い。既存の歪み補正方法は、例えば、フロントプロジェクターのキーストーン補正などである。「キーストーン」とは、プロジェクターを設置した時に、投写面に対しプロジェクターが仰角又は俯角を持っていると、投影画像の上部または下部が目立って広くなり、台形になる現象である。「キーストーン補正」とは、この台形の歪みを電子的にキャンセルする補正である。
また、表示面の解像感又は表示内容に応じて、歪み補正方法を変更できるようにしても良い。また、複数の変換テーブルを保持する構成としても良い。この場合には、映像信号処理装置B1外部のカメラ又はセンサー等によって、観察者の細かな視点移動又は観察者の座席の移動などを検出する。そして、観察者の視点移動に応じて変換テーブルを切り替える。これにより、高品位な歪み補正を行うことができる。また、観察者が外部制御機器などを通じて変換テーブルの変更を指示してもよい。ここで、「外部制御機器」とは、例えば、フロントパネルP1の表示画面を操作するためのリモコン等である。カーナビゲーションシステムが操作機能を有する場合などには、カーナビゲーションシステムを外部制御機器とすることも考えられる。
また、変換テーブルを保存しているメモリーは外部に公開されており、可動式の立体表示面を用いて、変換された立体表示面に適応して変換テーブルを変更してもよい。また、観察者の位置によって変換テーブルを変更してもよい。「可動式の立体表示面」とは、例えば、特許文献1で示されたアクチュエーターによって変形する凹型の立体面スクリーンである。ここで、「外部に公開されている」とは、外部機器から変換テーブルを保存しているメモリーにアクセスできるということである。つまり、可動式の立体表示面のコントローラなどが、メモリーにアクセスして、変更された立体表示面に合わせてメモリーの内容を変更できる。
以上で、自動車のフロントパネルに適用した、映像信号処理装置B1を含む表示装置の構成について説明した。
次に、本発明による自動車のフロントパネルとしての表示装置の動作を、3通りの映像表示例を示して説明する。
図4は、本発明に係る表示装置に、立体表示面に合わせた立体映像を表示している例である。図1に示したフロントパネルP1にメーター類を表示している。フロントパネルP1の中央には、速度メーターP4が表示されている。フロントパネルP1の左側には、エンジン回転数メーターP5が表示されている。フロントパネルP1の右側には、燃料メーターP6が表示されている。
速度メーターP4は、凸型領域P2の位置に表示される。エンジン回転数メーターP5は、凸型領域P3の位置に表示される。速度メーターP4及びエンジン回転数メーターP5は、立体表示面の凸型の形状を活かして立体的な半球状のデザインで表示される。また、燃料メーターP6は、フロントパネルP1の凹形状に沿って表示される。ここで、「半球状」とは、球形の一部を切り出した形状である。つまり、球形を半分にした形状とは限らない。
図4に示した表示の映像信号処理装置B1の信号処理は次のようになる。まず、映像生成指示部B2は、内部映像生成部B3に、速度メーターP4の映像、エンジン回転数メーターP5の映像又は燃料メーターP6の映像を生成するように指示を出す。この指示は、内部映像生成指示信号S1によってなされる。つまり、内部映像生成指示信号S1は、表示を予定している立体映像のうち、どの表示を行うかを示す信号である。
3種類のメーターの表示を全て行う場合には、映像生成指示部B2は、例えば「標準モード」として、特定の符号「01」を割り付けている。そして、映像生成指示部B2は、符号「01」の内部映像生成指示信号S1を内部映像生成部B3に出力する。つまり、内部映像生成指示信号S1は、符号「0(ゼロ)」である。「標準モード」で指示される映像は立体映像なので、フロントパネルP1に表示される映像信号は、すべて内部映像生成部B3で生成される。
よって、映像生成指示部B2は、フロントパネルP1の全領域に内部映像信号S3を表示することを示す特定の符号の信号(S2)を映像の全領域に対して出力する。この特定の符号は、例えば「0(ゼロ)」である。つまり、内部映像・外部映像選択信号S2は、符号「0(ゼロ)」である。
内部映像生成部B3は、内部映像生成指示信号S1の指示によって「標準モード」の内部映像を生成して、内部映像信号S3を出力する。内部映像の生成方法は、例えば、次のようになる。まず、内部映像生成部B3は、自動車の電気信号処理系などから速度、エンジン回転数又は燃料残量の情報を内部映像生成補助信号S15として取得する。
次に、内部映像生成部B3は、内部映像生成補助信号S15に基づき、速度メーターP4の指針位置、エンジン回転数メーターP5の指針位置又は燃料メーターP6の指針位置などを決定する。そして、内部映像生成部B3は、GPUなどにより立体映像をレンダリングする。
内部映像・外部映像選択信号S2は、映像の全領域に対して符号「0(ゼロ)」である。映像合成部B4は、内部映像信号S3の各画素に内部映像・外部映像選択信号S2の符号「0(ゼロ)」を対応づける。そのため、映像合成部B4は、フロントパネルP1に表示する映像の全領域に対して内部映像信号S3を合成映像信号S5として出力する。映像合成部B4は、歪み補正を行わないことを示す特定の符号を出力する。この特定の符号は、例えば、「0(ゼロ)」である。つまり、補正有効信号S6は、符号「0(ゼロ)」である。
歪み補正部B5は、補正有効信号S6が映像の全領域に対して「0(ゼロ)」であるので、映像の全領域に対して合成映像信号S5に歪み補正を施さないまま補正後映像信号S7として出力する。
以上のように生成された補正後映像信号S7は、内部映像生成部B3にて生成されたメーターの立体映像である。メーターの立体映像は、フロントパネルP1の形状に適合し、立体的な表現になる。フロントパネルP1は、図3に示す立体面表示機器B6である。
図5は、本発明に係る表示装置に、立体表示面に補正平面映像を表示している例である。つまり、図5に示す表示装置は、平面映像を補正して、立体表示面上で平面的に見えるように表示している例である。つまり、図5に示す表示装置は、平面映像を補正平面映像に補正している例である。
図5は、図1に示したフロントパネルP1に、カーナビゲーション画面を表示している図である。カーナビゲーションシステムは、表示装置の外部に存在する。映像信号処理装置B1は、平面的なカーナビゲーションの画面映像を外部映像信号S4の入力として受け取る。フロントパネルP1に表示されたカーナビゲーション画面は、フロントパネルP1の凹型形状及び凸型領域P2,P3によって起きる歪みが補正されている。それにより、カーナビゲーション画面は、観察者の視点からは平面的に認識される。
図5に示した表示の映像信号処理装置B1の信号処理は次のようになる。まず、映像生成指示部B2は、内部映像生成部B3に内部映像生成の必要がないことを指示する。この指示は、内部映像生成指示信号S1によってなされる。映像生成指示部B2は、平面映像のみを表示する状態を、例えば、「平面映像表示モード」として特定の符号を割り付ける。特定の符号は、例えば「00(ゼロゼロ)」である。映像生成指示部B2は、符号「00(ゼロゼロ)」の内部映像生成指示信号S1を内部映像生成部B3に出力する。つまり、内部映像生成指示信号S1は、符号「00(ゼロゼロ)」である。
また、「平面映像表示モード」は、外部映像信号S4の映像のみを表示するモードである。このため、映像生成指示部B2は、外部映像信号S4を表示することを示す特定の符号を映像の全領域に対して出力する。この特定の符号は、例えば「1」である。つまり、内部映像・外部映像選択信号S2は、符号「1」である。映像合成部B4は、外部映像信号S4の各画素に内部映像・外部映像選択信号S2の符号「1」を対応づける。
内部映像生成部B3は、立体映像を生成しない。このため、内部映像信号S3は無信号の状態となる。「無信号の状態」とは、信号が出力されない状態である。
内部映像・外部映像選択信号S2は、映像の全領域に対して「1」である。そのため、映像合成部B4は、映像の全領域に対してカーナビゲーションの画面映像を合成映像信号S5として出力する。カーナビゲーション画面映像は、外部映像信号S4である。合成映像信号S5は、平面映像の信号である。
また、映像合成部B4は、合成映像信号S5の歪み補正を行うことを示す特定の符号を出力する。この特定の符号は、例えば、「1」である。つまり、補正有効信号S6は、符号「1」である。
歪み補正部B5は、補正有効信号S6が映像の全領域に対して「1」であるので、映像の全領域に対して合成映像信号S5に歪み補正を施し補正後映像信号S7として出力する。つまり、合成映像信号S5が平面映像の信号で、補正後映像信号S7が補正平面映像の信号である。すでに説明したように、歪み補正部B5は立体面表示機器B6の形状を反映した変換テーブルによって画素移動などを行うことで歪み補正を行う。なお、上述したように、歪み補正部B5に入力される観察者視点信号S16に基づいて合成映像信号S5の補正内容を修正することができる。
以上のように生成された補正後映像信号S7は、歪み補正部B5によって歪み補正されたカーナビゲーションの画面映像である。カーナビゲーションの画面映像は、フロントパネルP1の形状に適合して、平面的な表現になる。フロントパネルP1は、図3に示す立体面表示機器B6である。
図6は、本発明に係る表示装置に、立体的な映像表現と平面的な映像表現を混合して表示している例である。図1に示したフロントパネルP1に速度メーター及びカーナビゲーション画面を混合して表示している。
フロントパネルP1の中央付近から右側には、カーナビゲーション画面P8が表示されている。フロントパネルP1の左側には、速度メーターP7が表示されている。速度メーターP7は、図1で示した凸型領域P3の位置に表示されている。図4で説明した回転数メーターP5と同じように、速度メーターP7は、立体表示面の凸型の形状を活かして立体的な半球状のデザインで表示される。
また、図5で説明したカーナビゲーション画面P8と同じように、図6に示すカーナビゲーション画面P8は、フロントパネルP1の立体表示面によって起きる歪みが補正され、観察者の視点からは平面的に認識される。立体表示面は、フロントパネルP1の凹型形状及び凸型領域P2の半球状の形状を有している。
図6に示した表示の映像信号処理装置B1の信号処理は次のようになる。まず、映像生成指示部B2は、速度メーターP7の映像を生成するように、内部映像生成部B3に指示を出す。この指示は、内部映像生成指示信号S1によってなされる。映像生成指示部B2は、速度メーターP7及びカーナビゲーション画面P8を表示する状態を、例えば、「混合表示モード」として、特定の符号「10」を割り付ける。映像生成指示部B2は、符号「10」の内部映像生成指示信号S1を内部映像生成部B3に出力する。
また「混合表示モード」の映像は、内部映像信号S3及び外部映像信号S4を混合して表示する。このため、映像生成指示部B2は、内部映像・外部映像選択信号S2として、符号「0(ゼロ)」及び符号「1」を各領域の画素に合わせて映像合成部B4に出力する。符号「0(ゼロ)」は、内部映像信号S3を表示することを示す符号である。符号「1」は、外部映像信号S4を表示することを示す符号である。内部映像信号S3は、内部映像生成部B3で生成される。
内部映像生成部B3は、内部映像生成指示信号S1の指示によって「混合表示モード」の立体映像を生成して、内部映像信号S3を出力する。図4で説明した速度メーターP7と同じように、内部映像生成部B3は、自動車の電気信号処理系などから速度の情報を内部映像生成補助信号S15として取得して指針位置などを決定する。そして、内部映像生成部B3は、GPUなどを用いて立体映像をレンダリングする。
映像生成指示部B2は、画素ごとに内部映像・外部映像選択信号S2として符号「0(ゼロ)」又は符号「1」を出力する。映像合成部B4は、内部映像・外部映像選択信号S2の符号「0(ゼロ)」又は符号「1」に応じて、合成映像信号S5及び補正有効信号S6を出力する。
すなわち、内部映像・外部映像選択信号S2が符号「0」の場合には、映像合成部B4は、内部映像信号S3を合成映像信号S5として出力する。また、映像合成部B4は、補正有効信号S6として、歪み補正を行わないことを示す符号「0(ゼロ)」を出力する。
一方、内部映像・外部映像選択信号S2が符号「1」の場合には、映像合成部B4は、外部映像信号S4を合成映像信号S5として出力する。また、映像合成部B4は、補正有効信号S6として、歪み補正を行うことを示す符号「1」を出力する。
歪み補正部B5は、補正有効信号S6に応じて、合成映像信号S5に歪み補正を施すか否かを決定する。つまり、補正有効信号S6が符号「0」の場合には、歪み補正部B5は、合成映像信号S5として受け取った画素を補正しない。また、補正有効信号S6が符号「1」の場合には、歪み補正部B5は、合成映像信号S5として受け取った画素を補正する。
すなわち、補正有効信号S6が符号「0(ゼロ)」の場合には、歪み補正部B5は、合成映像信号S5に歪み補正を施さずに補正後映像信号S7として出力する。一方、補正有効信号S6が符号「1」の場合には、歪み補正部B5は、合成映像信号S5に歪み補正を施して補正後映像信号S7として出力する。
歪み補正部B5で行う補正方法の課題は、補正を行わない領域と補正を行う領域との境界の処理である。この課題の解決手段は、例えば、補正する領域の映像の補正を行う際には、補正する領域の映像のみを用いて補正を行うことが考えられる。つまり、境界部分の補正を行う際には、隣接する補正しない領域の映像を参照しない。このように、映像を補正することで、2種類の映像の境界の歪みを抑えられる。また、補正しない領域の映像と補正する領域の映像とが入り乱れることを抑えられる。
また、補正しない領域と補正する領域との境界の変化を滑らかにするために、境界付近の補正しない領域の映像を参照して、境界付近の補正する領域の映像にブレンドすることも考えられる。ここで、「ブレンド」とは、例えば、加重平均などの処理である。「加重平均」とは、値を単純に平均するのではなく、値の重みを加味して平均することである。
以上のように、補正後映像信号S7は、立体的な速度メーターP7の映像と歪み補正されたカーナビゲーション画面P8とが混合された映像信号である。補正後映像信号S7は、歪み補正部B5で生成される。立体的な速度メーターP7の映像は、内部映像生成部B3で生成される。歪み補正されたカーナビゲーション画面P8(補正平面映像)は、歪み補正部B5で生成される。補正後映像信号S7の映像は、フロントパネルP1の形状に適合し、立体的な表現と平面的な表現とが混合した映像表現となる。フロントパネルP1は、立体面表示機器B6である
図1から図6までで示した例では、内部映像信号S3は、立体表示面に合わせた立体映像である。そして、歪み補正部B5は、内部映像信号S3の歪みを補正しない。内部映像信号S3は、内部映像生成部B3によって生成される信号である。
しかし、例えば、凸型領域P2以外の位置に速度メーターP4などを表示する場合が考えられる。このようなモードの場合には、内部映像生成部B3は、「平面映像」としての速度メーターの画像を保持している。例えば、速度メーターP7がフロントパネルP1の燃料メーターP6の位置に表示される映像である。この映像は、「平面映像」として内部映像生成部B3に保持されている。
歪み補正部B5は、「平面映像」である内部映像信号S3を、立体表示面上で平面的に見える映像に補正する。この場合には、速度メーターP7が燃料メーターP6の位置に位置する画像を内部映像生成部B3が保持している。内部映像生成部B3は、その画像に内部映像生成補助信号S15として受け取った速度情報を合成して、内部映像信号S3を生成する。内部映像・外部映像選択信号S2は、符号「1」を出力する。映像合成部B4は、「平面映像」である内部映像信号S3を合成映像信号S5として出力する。また、映像合成部B4は、補正有効信号S6として、歪み補正を行うことを示す符号「1」を出力する。
以下で、内部映像生成部B3によって生成される平面的な映像が歪み補正部B5によって歪み補正される場合の動作について説明する。映像生成指示部B2は、内部映像生成部B3に平面的な映像を生成する指示の信号を出力する。この指示は、内部映像生成指示信号S1で行われる。内部映像生成指示信号S1は、例えば、符号「100」である。
また、映像生成指示部B2は、映像合成部B4に対して、内部映像信号S3が「平面映像」であることを指示する。この指示は、内部映像・外部映像選択信号S2で行われる。内部映像・外部映像選択信号S2は、例えば、符号「01」である。
映像生成指示部B2が、映像合成部B4に対して、映像を補正することを指示する信号を出力する場合には、内部映像・外部映像選択信号S2は2値の信号ではなく、3値以上の信号となる。映像を補正することを指示する信号は、補正有効信号S6である。この場合、補正有効信号S6の符号は、例えば、符号「100」である。
内部映像生成指示信号S1に基づき、内部映像生成部B3は、例えば、速度メーターP4の映像を平面映像として出力する。この場合、内部映像信号S3は、平面映像である。また、内部映像生成指示信号S1は、符号「100」である。
映像合成部B4は、内部映像・外部映像選択信号S2に基づき映像を補正することを表す信号として補正有効信号S6を歪み補正部B5に対して出力する。この場合、内部映像・外部映像選択信号S2は、符号「01」である。
図1から図6までで示した例と同様に、歪み補正部B5は、補正有効信号S6に基づいて、合成映像信号S5の歪み補正を行う。この歪み補正は、平面映像を立体表示面上に平面的に見えるようにする補正である。
以上のように、内部映像生成部B3によって生成される平面的な映像が歪み補正部B5によって歪み補正される場合の動作について説明した。また、同様の動作で、内部映像信号S3の映像信号のうち、一部の領域のみを歪み補正部B5で歪み補正する場合も考えられる。
また、図6で示した例と同様に、内部映像信号S3の平面映像を立体表示面上で平面的に見えるように補正された映像と外部映像信号S4の平面映像を立体表示面上で平面的に見えるように補正された映像とを混合して表示することも可能である。
以上のように、本発明による自動車のフロントパネルとしての表示装置の動作を、主に3通りの映像表示例を示して説明した。
このように、本発明による映像表示装置を用いれば、外部機器から制御信号の指示又は観察者の指示を受けて立体表示面の形状に合わせた映像と平面的な映像との両方の映像又は片方の映像を切換えて表示することが可能である。本実施の形態では自動車のフロントパネルを例に説明したが、遊技機の映像表示部分又は家庭用ゲーム機の映像表示部分などにも適用できる。
歪み補正部B5は、平面的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される平面映像を入力として受け取り、平面映像の歪み補正を行い、立体的な表示面に平面的な映像と認識できる補正平面映像を生成する。歪み補正部B5は、合成映像を入力として受け取り、合成映像の平面映像の領域の歪み補正を行う。
映像合成部B4は、立体的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される映像及び立体的な表示面に立体的な映像と認識できるように表示される立体映像を入力として受け取り、1つの映像に合成した合成映像を生成する。映像合成部B4は、立体的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される映像として平面的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される平面映像を入力として受け取る。
また、実施の形態1では、平面映像と立体映像とを映像合成部B4で合成しているが、平面映像の領域と立体映像の領域とを有する1つの映像を入力として受け取り、平面映像の領域の歪み補正を行い、平面映像の領域を立体的な表示面に平面的な映像と認識できる補正平面映像とした補正後映像を出力することもできる。
映像表示装置Bは、立体的な表示面を有する立体面表示機器B6と映像信号処理装置B1とを備える。映像信号処理装置B1は、立体映像の領域及び補正平面映像の領域を有する補正後映像を立体面表示機器B6に出力する。
実施の形態2.
実施の形態2では、実施の形態1で示した映像信号処理装置B1の代わりにコンピューターなどのプログラミング可能な情報処理機器B7を用いて補正後映像信号S7を生成し、立体面表示機器B6に入力する方法を示す。
図7は、本実施の形態の情報処理機器B7を含めた表示装置Bを示している。表示装置Bは情報処理機器B7及び立体面表示機器B6を有している。情報処理機器B7は、外部映像信号S4を入力として受け取る。そして、情報処理機器B7は、補正後映像信号S7を出力する。補正後映像信号S7は、立体面表示機器B6に入力される。
実施の形態1と同様に、補正後映像信号S7は、次の3つの信号を含む。第1の信号は、立体映像の信号である。第2の信号は、平面映像の信号を立体表示面上で平面的に見える映像に補正した信号である。この映像信号を補正平面映像の信号とよぶ。また、平面映像の信号を立体表示面上で平面的に見える映像に補正した映像を「補正平面映像」とよぶ。第3の信号は、立体映像の信号及び補正平面映像の信号の両方を含む信号である。
情報処理機器B7は、外部映像信号S4を外部から入力として受け取る。外部映像信号S4は、「平面映像」の信号である。情報処理機器B7は、外部映像信号S4を基に、立体面表示機器B6の表示面の湾曲形状に合わせた映像を生成する。実施の形態1と同様に、外部映像信号S4は一般的なフラットパネルに表示される2次元の映像である。
また、情報処理機器B7は、外部から外部映像信号S4を入力として受け取る代わりに、内部で外部映像信号S4に相当する信号を生成してもよい。例えば、情報処理機器B7は、内部のソフトウェアなどでカーナビゲーションシステムを実現している。情報処理機器B7は、このカーナビゲーション画面を外部映像信号S4とすることができる。
図8は、実施の形態2による情報処理機器B7の映像処理方法を示したフローチャートである。実施の形態2による映像処理方法は、映像生成指示処理F1、内部映像生成処理F2、映像合成処理F3及び歪み補正処理F4を有している。図8に示したフローチャートにより1フレームの映像を生成するので、連続した映像を生成するために繰り返して処理が行われる。
映像生成指示処理F1は、実施の形態1で示した映像生成指示部B2の行う処理と同様である。映像生成指示処理F1は、立体面表示機器B6に表示する内容を指示する。ここで、「表示する内容」とは、上述した「表示モード」のことである。また、映像生成指示処理F1は、表示する画素が「立体映像」又は「補正平面映像」のいずれであるかを示す処理を行う。
内部映像生成処理F2は、実施の形態1で示した内部映像生成部B3の行う処理と同様である。内部映像生成処理F2は、映像生成指示処理F1によって決定された映像の内容に基づき、立体面表示機器B6の立体面の湾曲形状に合わせた映像をレンダリングして生成する処理を行う。
映像合成処理F3は、実施の形態1で示した映像合成部B4の行う処理と同様である。映像合成処理F3は、内部映像生成処理F2により生成された映像及び外部映像信号S4を合成した映像を生成する。また、映像合成処理F3は、合成した映像の画素ごとに、歪み補正処理を行う画素を特定する。歪み補正を行う画素は、映像生成指示処理F1が行う「立体映像」又は「補正平面映像」のいずれの画素であるかを示す処理に基づいて決められる。映像合成処理F3は、立体的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される映像及び立体的な表示面に立体的な映像と認識できるように表示される立体映像を入力として受け取り、1つの映像に合成して出力する。
歪み補正処理F4は、実施の形態1で示した歪み補正部B5の行う処理と同様である。映像合成処理F3によって生成された合成映像のうち「平面映像」の画素の歪み補正を行い、補正後映像信号S7を生成する。歪み補正処理F4は、平面的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される平面映像を入力として受け取り、平面映像の歪み補正を行い、立体的な表示面に平面的な映像と認識できる補正平面映像を生成する。
情報処理機器B7にGPUを搭載することで、内部映像生成処理F2の3Dレンダリングを高速化してもよい。
情報処理機器B7にRAMを搭載し、外部から入力される外部映像信号S4を蓄えるバッファー機能を備えて、処理順序や処理速度を緩和してもよい。
情報処理機器B7にフラッシュメモリーやROMを搭載し、立体面表示機器B6の立体面の立体形状と立体面の映像画素の各表示位置を示した情報を保持する方法が考えられる。
本実施の形態による映像処理手順は、フローチャート通りの順番で処理されることが基本であるが、並列処理を行って高速化を行ってもよい。
また、実施の形態1と同様に、内部映像生成処理F2は「平面映像」を生成し、歪み補正処理F4によって歪み補正されるようにしてもよい。
このように、本発明による表示装置Bを用いれば、実施の形態1と同様に、外部機器からの制御信号を入力として受け取り又は観察者の指示を受けて、「立体映像」、「補正平面映像」又はそれらの混合映像を表示することが可能である。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態1で示した映像信号処理装置B1の代わりに内部構成が異なる映像信号処理装置B8を用いて合成映像信号S14を生成し、立体面表示機器B6に入力する方法を示す。立体面表示機器B6は、実施の形態1に示した立体面表示機器B6と同様である。
図9は、表示装置Bの構成を示すブロック図である。表示装置Bは、映像信号処理装置B8及び立体面表示機器B6を有している。実施の形態3の映像信号処理装置B8と実施の形態1の映像信号処理装置B1との相違点は、歪み補正部の処理と映像合成部の処理との順番が異なる点である。
映像信号処理装置B1は、映像合成部B4で立体映像と平面映像とが合成された後に歪み補正部B5で歪み補正が行われる。一方、映像信号処理装置B8は、歪み補正部B11で平面映像の歪み補正が行われた後に映像合成部B12で立体映像と平面映像とが合成される。
実施の形態1と同様に、補正後映像信号S14は、次の3つの信号を含む。第1の信号は、立体映像の信号である。第2の信号は、平面映像の信号を立体表示面上で平面的に見える映像に補正した信号である。この映像信号を補正平面映像の信号とよぶ。また、平面映像の信号を立体表示面上で平面的に見える映像に補正した映像を「補正平面映像」とよぶ。第3の信号は、立体映像の信号及び補正平面映像の信号の両方を含む信号である。
映像信号処理装置B8は、「平面映像」である外部映像信号S4を外部から入力として受け取る。この外部映像信号S4は、実施の形態1の外部映像信号S4と同様である。「立体映像」は、映像信号処理装置B8の内部で生成される。実施の形態1と同様に、外部映像信号S4は一般的なフラットパネルに表示される2次元の映像である。
映像信号処理装置B8は、映像生成指示部B9、内部映像生成部B10、と歪み補正部B11及び映像合成部B12を有する。
映像生成指示部B9は、実施の形態1における映像生成指示部B2と同様に、内部映像生成指示信号S8及び内部映像・外部映像選択信号S9を生成して出力する。内部映像生成指示信号S8は、内部映像生成指示信号S1と同様である。内部映像・外部映像選択信号S9は、内部映像・外部映像選択信号S2と同様である。内部映像生成指示信号S8は、内部映像生成部B10に出力される。内部映像・外部映像選択信号S9は、映像合成部B12に出力される。
映像生成指示部B9は、さらに補正有効信号S10を生成して出力する。補正有効信号S10は、歪み補正部B11に出力される。この点において、映像生成指示部B9は、映像生成指示部B2と異なる。補正有効信号S10は、補正有効信号S6と同様である。
内部映像生成部B10は、内部映像生成部B3と同様の処理を行う。内部映像生成部B10は、内部映像信号S11を出力する。内部映像信号S11は、内部映像信号S3と同様である。
歪み補正部B11は、実施の形態1の歪み補正部B5と同様に、「平面映像」を「補正平面映像」に補正する。しかし、歪み補正部B11は、歪み補正部B5と異なり、内部映像信号S11と外部映像信号S4とを合成する前に、外部映像信号S4の補正を行う。そして、歪み補正部B11は、外部映像信号S4、内部映像生成指示信号S8及び補正有効信号S10を入力として受け取る。また、歪み補正部B11は、観察者視点信号S16を入力として受け取ることができる。そして、歪み補正部B11は、補正有効信号S10を基に、補正後内部信号S12及び補正後外部信号S13を生成して出力する。
歪み補正部B11は、補正有効信号S10に基づいて内部映像信号S11の映像を補正する。しかし、内部映像信号S11の映像は通常「立体映像」であるので、この補正は行われない。この補正は、内部映像信号S11の映像が「平面映像」である場合に行われる。歪み補正部B11は、観察者視点信号S16に基づいて、立体面表示機器B6に表示された場合に観察者の視点位置から平面的に表示されるように補正後内部信号S12を生成する。
また、歪み補正部B11は、外部映像信号S4の全ての映像領域に対して歪み補正を行う。歪み補正部B11は、観察者視点信号S16に基づいて、立体面表示機器B6に表示された場合に観察者の視点位置から平面的に表示されるように補正後外部信号S12を生成する。
図9に示した例では、歪み補正部B11は、3種類の信号を入力として受け取り、2種類の信号を出力する。しかし、補正有効信号S10及び内部映像信号S11を入力として受け取り、補正後内部信号S12を生成して出力するブロックと、外部映像信号S4を入力として受け取り、補正後外部映像信号S13を生成して出力するブロックとを並列に配置する構成としてもよい。
映像合成部B12は、内部映像・外部映像選択信号S9、補正後内部信号S12及び補正後外部信号S13を入力として受け取る。そして、映像合成部B12は、合成映像信号S14を出力する。映像合成部B12は、内部映像・外部映像選択信号S9に基づき、補正後内部信号S12及び補正後外部信号S13を合成する。そして、映像合成部B12は、合成映像信号S14を出力する。
例えば、補正後内部信号S12及び補正後外部信号S13の各々の信号が、フロントパネルP1全体の画素情報を持っている場合には、内部映像・外部映像選択信号S9を用いて、補正後内部信号S12の内の補正後外部信号S13の表示される領域のノイズ信号を除去することができる。同様に、内部映像・外部映像選択信号S9を用いて、補正後外部信号S13の内の補正後内部信号S12の表示される領域のノイズ信号を除去することができる。
このように、本発明による表示装置Bを用いれば、実施の形態1と同様に、外部機器からの制御信号を入力として受け取り又は観察者の指示を受けて、「立体映像」、「補正平面映像」又はそれらの混合映像を表示することが可能である。
歪み補正部B11は、平面的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される平面映像を入力として受け取り、平面映像の歪み補正を行い、立体的な表示面に平面的な映像と認識できる補正平面映像を生成する。
映像合成部B12は、立体的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される映像及び立体的な表示面に立体的な映像と認識できるように表示される立体映像を入力として受け取り、1つの映像に合成した合成映像を生成する。映像合成部B12は、立体的な表示面に平面的な映像と認識できるように表示される映像として補正平面映像を入力として受け取る。
なお、「湾曲」とは、半球状に限定されず、凹形状及び凸形状が組み合わされた複雑な形状も含む。つまり、「立体」とは、半球状に限定されず、凹形状及び凸形状が組み合わされた複雑な形状も含む。
また、以上のように本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限るものではない。