次に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態である搬送システム10の上面図である。図2は、搬送システム10の接続関係を示すブロック図である。搬送システム10は、ワイヤーコンベア20と、シート支持装置25と、ネットコンベア30と、搬送装置40と、空気供給装置80と、コントローラー90と、を備えている。この搬送システム10は、炭素繊維入り樹脂シートとして構成された搬送対象としてのシート98を、ワイヤーコンベア20,搬送装置40,ネットコンベア30によりこの順で搬送するシステムとして構成されている。
ワイヤーコンベア20は、搬送方向にリング状に掛け渡された複数のワイヤー21と、ワイヤー21が掛け渡されて自身の回転によりワイヤー21を搬送方向に移動(回転)させる複数の搬送ローラー22と、を備えている。なお、搬送方向は、前後方向(図1の上下方向)とした。ワイヤー21は、本実施形態では、左右方向に14本等間隔に配置されているものとした。このワイヤーコンベア20は、例えば炭素繊維入り樹脂シートであるシート98の原料を押し出し成形する成形炉の一部として構成されており、押し出し成形後のシート98をワイヤー21により成形炉の図示しない炉体から搬送方向下流(下方向)へ搬出する。ワイヤー21は、搬出されたシート98を、ワイヤーコンベア20の搬送方向の端部であり搬送装置40へのシート98の受け渡し位置である所定位置P1(図の破線枠)まで搬送する。
シート支持装置25は、所定位置P1の下方に設けられた機構であり、複数の支持部材26と、昇降装置27とを備えている。支持部材26は、左右方向の幅が、隣接するワイヤー21間の距離よりも小さい部材である。この支持部材26は、図1に示すように、前後方向に複数個(本実施形態では5個)配置されたものを1列として、左右方向に複数列(本実施形態では10列)が配置されている(支持部材26は合計50個)。支持部材26の各列は、上面視で隣接するワイヤー21の間に配置されており、基本的には各ワイヤー21間に1列ずつ配置されている。ただし、後述する搬送装置40の第1〜第6挿入針41〜46と干渉しないように、ワイヤー21間に支持部材26が配置されていない部分がある。本実施形態では、10列の支持部材26のうち、右から1列目と2列目との間、中央、左から1列目と2列目との間、の3箇所は、ワイヤー21間に支持部材26が配置されていない。昇降装置27は、複数の支持部材26を昇降させる機構である。図3は、昇降装置27が複数の支持部材26を昇降する様子を示す説明図である。なお、図3は、シート支持装置25を右方向からみた様子を示している。図3(a)に示すように、支持部材26の上面は、初期位置ではワイヤー21の上側部分(シート98に接触して搬送する部分)よりも下方に位置している。そのため、この状態では、ワイヤー21によるシート98の搬送を支持部材26が妨げることはない。この状態から、昇降装置27は、図3(b)に示すように複数の支持部材26を上昇させて、複数のワイヤー21の間から支持部材26の上面が飛び出すようにすることができる。これにより、シート支持装置25は、ワイヤー21により所定位置P1まで搬送されたシート98をワイヤー21から離間して上昇させ、複数の支持部材26の上面でシート98を支持する。このような昇降装置27による支持部材26の上昇は、搬送装置40にシート98を受け渡す際に行われる。
ネットコンベア30は、搬送方向(前後方向)にリング状に掛け渡されたネット31と、ネット31が掛け渡されて自身の回転によりネット31を搬送方向に移動(回転)させる複数の搬送ローラー32と、を備えている。このワイヤーコンベア20は、例えばシート98をプレスして所定形状に加工するプレス機の一部として構成されており、シート98をネット31により搬送方向下流(下方向)へ搬送してプレス機の図示しない本体内部に搬入する。ネット31は、搬送装置40からの受け渡し位置である所定位置P2(図の破線枠)に載置されたシート98を搬送する。
搬送装置40は、所定位置P1まで搬送されたシート98を所定位置P2まで搬送する装置であり、保持ユニット40aと、昇降用エアシリンダ67と、アームユニット68と、を備えている。図4は、図1を拡大した搬送装置40の拡大上面図である。図5は、図4のA−A断面図である。図6は、第1〜第6挿入針固定部51〜56及び第1〜第6挿入針41〜46の様子を示す部分斜視図である。図7は、第1挿入針41及び第2挿入針42の右面図である。図8は、押え部材70の上面図である。保持ユニット40aは、複数の針でシート98を保持する機構であり、図4,図5に示すように、第1〜第6挿入針固定部51〜56と、第1〜第6挿入用エアシリンダ61〜66と、接続プレート59と、押え部材70と、を備えている。
第1挿入針固定部51は、図6に示すように、長手方向が前後方向である略直方体の部材である。この第1挿入針固定部51は、側面が上下方向(鉛直方向)から傾斜するように配置されている。第1挿入針固定部51は、下面が右下方向を向くように傾斜している。この第1挿入針固定部51は、複数(本実施形態では12本)の第1挿入針41が下面に取り付けられている。この複数の第1挿入針41は、直線状の針であり、互いに前後方向に沿って等間隔且つ平行に配置されている。なお、複数の第1挿入針41の各々は、前方から後方に向けて、第1挿入針41A,41B,・・・41Lと称する。また、複数の第1挿入針41は、いずれも自身の長手方向が上下方向から左右に傾斜しており、後端から先端に向かう方向(第1挿入針41の軸方向)が右下方向になるように配置されている。第1挿入針固定部51の傾斜と第1挿入針41の傾斜とは、同じ角度である。
第2挿入針固定部52は、取付角度が異なる以外は、第1挿入針固定部51と同様の形状をした略直方体の部材である。第2挿入針固定部52は、第1挿入針固定部51と左右方向に対向するように配置されている。第2挿入針固定部52は、下面が左下方向を向くように傾斜している。この第2挿入針固定部52は、複数(本実施形態では12本)の第2挿入針42(第2挿入針42A〜42L)が下面に取り付けられている。この複数の第2挿入針42は、直線状の針であり、互いに前後方向に沿って等間隔且つ平行に配置されている。なお、複数の第2挿入針42の各々は、前方から後方に向けて、第2挿入針42A,42B,・・・42Lと称する。また、複数の第2挿入針42は、いずれも自身の長手方向が上下方向(垂直)から左右に傾斜しており、後端から先端に向かう方向(第2挿入針42の軸方向)が左下方向になるように配置されている。第2挿入針固定部52の傾斜と第2挿入針42の傾斜とは、同じ角度である。
なお、第1挿入針固定部51と第2挿入針固定部52とは、保持ユニット40aの左右方向の中心を通る上下方向に沿った面を対称面として、互いに対称に配置されている。そのため、例えば図5に示すように左右方向に沿った断面で第1挿入針固定部51及び第2挿入針固定部52を断面視したときには、両者は左右対称に位置している。第1挿入針41と第2挿入針42とは、形状が同一で、傾斜する向きが反対になっている。また、第1挿入針41と第2挿入針42とは、1つずつを一対の針として、対となる第1挿入針41と対となる第2挿入針42とが、左右方向に沿った断面で第1挿入針固定部51及び第2挿入針固定部52を断面視したときに、左右対称に位置している(図5参照)。なお、本実施形態では、第1挿入針41Aと第2挿入針42Aとが対となり、第1挿入針41Bと第2挿入針42Bとが対となり、以降同様にして前方向から数えた順番が同じ第1挿入針41と第2挿入針42とが、一対の針となる。また、対となる第1挿入針41と第2挿入針42とは、前後方向に少しずれて位置している(図7参照)。本実施形態では、対となる第1挿入針41と第2挿入針42との前後方向の距離(例えば第1挿入針41Aと第2挿入針42Aとの距離)は、隣接する第1挿入針41間の距離や隣接する第2挿入針42間の距離よりも小さいものとした。
第3挿入針固定部53及び第4挿入針固定部54は、第1挿入針固定部51及び第2挿入針固定部52よりも左側に配置された部材である。第3挿入針固定部53及び第4挿入針固定部54は、それぞれ複数(本実施形態では12本)の第3挿入針43(第3挿入針43A〜43L)及び第4挿入針44(第4挿入針44A〜44L)を備えている。第3挿入針固定部53及び第3挿入針43は、第1挿入針固定部51及び第1挿入針41と同様の構成であり、第1挿入針固定部51及び第1挿入針41と同じ部材を左方向に平行移動して配置したものに相当する。第4挿入針固定部54及び第4挿入針44は、第2挿入針固定部52及び第2挿入針42と同様の構成であり、第2挿入針固定部52及び第2挿入針42と同じ部材を左方向に平行移動して配置したものに相当する。そのため、第3挿入針固定部53,第4挿入針固定部54,第3挿入針43,第4挿入針44についての詳細な説明は省略する。
第5挿入針固定部55及び第6挿入針固定部56は、第1挿入針固定部51及び第2挿入針固定部52よりも右側に配置された部材である。第5挿入針固定部55及び第6挿入針固定部56は、それぞれ複数(本実施形態では12本)の第5挿入針45(第5挿入針45A〜45L)及び第6挿入針46(第6挿入針46A〜46L)を備えている。第5挿入針固定部55及び第5挿入針45は、第1挿入針固定部51及び第1挿入針41と同様の構成であり、第1挿入針固定部51及び第1挿入針41と同じ部材を右方向に平行移動して配置したものに相当する。第6挿入針固定部56及び第6挿入針46は、第2挿入針固定部52及び第2挿入針42と同様の構成であり、第2挿入針固定部52及び第2挿入針42と同じ部材を右方向に平行移動して配置したものに相当する。そのため、第5挿入針固定部55,第6挿入針固定部56,第5挿入針45,第6挿入針46についての詳細な説明は省略する。
第1挿入用エアシリンダ61〜第6挿入用エアシリンダ66は、それぞれ第1挿入針固定部51〜第6挿入針固定部56を直線移動させる機構である。第1挿入用エアシリンダ61〜第6挿入用エアシリンダ66は、それぞれ第1挿入針固定部51〜第6挿入針固定部56の上部に取り付けられている(図5参照)。第1挿入用エアシリンダ61〜第6挿入用エアシリンダ66は、それぞれ2本のロッドを有する複動形のエアシリンダとして構成されている。第1挿入用エアシリンダ61〜第6挿入用エアシリンダ66のロッドは、それぞれが取り付けられた第1挿入針固定部51〜第6挿入針固定部56の上述した傾斜に沿った方向に移動可能に構成されており、第1挿入針固定部51〜第6挿入針固定部56を上述した傾斜に沿った方向に直線的に往復動させる。例えば、第1挿入用エアシリンダ61は、第1挿入針固定部51及び第1挿入針41を上述した傾斜(第1挿入針41の針の長手方向と同じ向きの傾斜)に沿って右下方向に押したり(往動)、左上方向に引いたり(復動)する。第2挿入用エアシリンダ62は、第2挿入針固定部52及び第2挿入針42を上述した傾斜(第2挿入針42の針の長手方向と同じ向きの傾斜)に沿って左下方向に押したり(往動)、右上方向に引いたり(復動)する。第3〜第6挿入用エアシリンダ63〜66についても同様である。これらの第1〜第6挿入用エアシリンダ61〜66は、平板上の接続プレート59に取り付けられて、固定されている。なお、図5〜7は、第1〜第6挿入用エアシリンダ61〜66が各ロッドを引いた状態を図示している。
押え部材70は、図8に示すように、上面視で外形が矩形状に形成された金属製の部材である。押え部材70は、第1〜第3押え板71〜73と、構造材74,74a,74b,75と、を備えている。
第1〜第3押え板71〜73は、長手方向が前後方向である平板状の部材である。第1〜第3押え板71〜73は、左右方向に等間隔に隙間を形成して配置されている。第1押え板71は左右方向の中央に配置され、第2押え板72は左端に配置され、第3押え板73は右端に配置されている。第1挿入用エアシリンダ61及び第2挿入用エアシリンダ62が上述したロッドを引いた状態において、第1押え板71は、複数の第1挿入針41及び複数の第2挿入針42の先端側(下側)に位置するように、接続プレート59との上下方向の位置関係(距離)が定められている(図5参照)。また、第1押え板71に複数(本実施形態では12個)の第1穴76(第1穴76A〜76L)が形成されている。この第1穴76は、前後方向に等間隔に配置され、第1穴76A〜76Lの1つずつが、それぞれ第1挿入針41及び第2挿入針42の一対と対向しており、第1挿入針41及び第2挿入針42が挿入可能になっている。例えば、図5に示すように、第1穴76Fは、一対の第1挿入針41F及び第2挿入針42Fと対向している。第2押え板72及び第3押え板73は、第1押え板71と同様に複数(本実施形態では12個)の第2穴77(第2穴77A〜77L)及び第3穴78(第3穴78A〜78L)を有している。第2押え板72は、第3挿入針43及び第4挿入針44に対向しており、第3押え板73は、第5挿入針45及び第6挿入針46に対向している。これらの位置関係は上述した第1押え板71と第1挿入針41及び第2挿入針42との関係と同様であるため、説明を省略する。
構造材74,74a,74bは、長手方向が左右方向である平板状の部材であり、第1〜第3押え板71〜73を接続してこれらの位置関係を固定している。構造材74は、図8に示すように複数(本実施形態では4本)配置され、第1押え板71と第2押え板72との間をそれぞれ前端及び後端で接続し、第2押え板72と第3押え板73との間をそれぞれ前端及び後端で接続している。構造材74aは、前後方向の中央やや前方に複数(本実施形態では2本)配置されている。構造材74aは、1本が第1押え板71と第2押え板72との間を接続し、もう一本が第1押え板71と第3押え板73との間を接続している。同様に、構造材74bは、前後方向の中央やや後方に複数(本実施形態では2本)配置されている。構造材74bは、1本が第1押え板71と第2押え板72との間を接続し、もう一本が第1押え板71と第3押え板73との間を接続している。第1〜第3押え板71〜73及び構造材74,74a,74bは、それぞれ左右の端部に上方に向かう立ち上がり部を有しており(図5参照)、この立ち上がり部の側面で隣接する部材間が互いに溶接されている。これにより、第1〜第3押え板71〜73の位置関係が構造材74,74a,74bを介して固定されている。また、構造材74a,74bには、それぞれ構造材75が1本ずつ接続されている(図5,図8参照)。構造材75は、長手方向が上下方向の略直方体の部材であり、接続プレート59の下面と構造材74a,74bとの間を上下方向に接続して、接続プレート59に対する第1〜第3押え板71〜73の上下方向の位置を固定している(図5参照)。
こうして構成された保持ユニット40aは、昇降用エアシリンダ67により昇降可能になっており、アームユニット68により水平方向(前後左右方向)に移動可能になっている。図5に示すように、昇降用エアシリンダ67は、接続プレート59に接続されたロッドを有する複動形のエアシリンダとして構成されている。昇降用エアシリンダ67は、ロッドを上下方向に直線移動させることで、接続プレート59を介して保持ユニット40a全体を上下方向に移動(昇降)させる。アームユニット68は、図示しない駆動モーターによりアームを旋回させることで、保持ユニット40aを水平に移動させる。アームユニット68は、保持ユニット40aを、少なくとも上面視で所定位置P1と所定位置P2との間を往復移動させることができるようになっている。
空気供給装置80は、第1〜第6挿入用エアシリンダ61〜66及び昇降用エアシリンダ67に対して圧縮空気を供給するものである。この空気供給装置80は、図1に示すようにネットコンベア30の前側に配置されて、ワイヤーコンベア20,搬送装置40,ネットコンベア30によるシート98の搬送を妨げないように配置されている。空気供給装置80は、図2に示すように、第1〜第4電磁弁81〜84と、コンプレッサ85と、を備えている。第1電磁弁81は、第1挿入用エアシリンダ61及び第2挿入用エアシリンダ62にコンプレッサ85からの圧縮空気を供給する経路を切り換える機構である。この切り換えにより、第1挿入用エアシリンダ61及び第2挿入用エアシリンダ62のロッドは往動したり復動したりする。この第1電磁弁81と第1挿入用エアシリンダ61及び第2挿入用エアシリンダ62は、圧縮空気を供給する配管で接続されている。この配管には、往動用の配管(図2の実線で示した)と復動用の配管(図2の破線で示した)とがある。第1電磁弁81からの往動用の配管は、第1挿入用エアシリンダ61と第2挿入用エアシリンダ62とで共通になっており、途中で第1挿入用エアシリンダ61用と第2挿入用エアシリンダ62用とに分岐して、それぞれのエアシリンダに供給される。第1電磁弁81からの復動用の配管も、同様に第1挿入用エアシリンダ61と第2挿入用エアシリンダ62とで共通になっており、途中で第1挿入用エアシリンダ61用と第2挿入用エアシリンダ62用とに分岐して、それぞれのエアシリンダに供給される。第2電磁弁82は、第3挿入用エアシリンダ63及び第4挿入用エアシリンダ64にコンプレッサ85からの圧縮空気を供給する経路を切り換える機構である。第3電磁弁83は、第5挿入用エアシリンダ65及び第6挿入用エアシリンダ66にコンプレッサ85からの圧縮空気を供給する経路を切り換える機構である。第2電磁弁82,第3電磁弁83の配管も、第1電磁弁81の配管と同様に、往動用の配管と復動用の配管とがそれぞれ対応する2つのエアシリンダで共通になっている。第4電磁弁84は、昇降用エアシリンダ67にコンプレッサ85からの圧縮空気を供給する経路を切り換える機構である。この切り換えにより、昇降用エアシリンダ67のロッドは往動したり復動したりする。
コントローラー90は、CPU91を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶するROM92、作業領域として用いられるRAM93、各種データを記憶するHDD94、タッチパネル式の液晶ディスプレイとして構成された操作パネル95などを備えており、これらはバスを介して接続されている。操作パネル95は、、表示部と、この表示部を含んで構成された操作部とを備える。この操作パネル95は、メニューや項目を選択する選択/設定ボタン、各種数値を入力するための数字ボタン、熱処理を開始するスタートボタンなどを表示してタッチ操作を受け付け、タッチ操作に基づく操作信号を入力する。また、CPU91からの表示指令を受信すると、表示指令に基づく画像や文字,数値などを表示部に表示する。
このコントローラー90は、ワイヤーコンベア20,昇降装置27,ネットコンベア30,アームユニット68,第1〜第4電磁弁81〜84,コンプレッサ85に制御信号を出力したり、操作パネル95により表示データに基づく画面を作業者に表示したりする。また、コントローラー90は、ワイヤーコンベア20の図示しないセンサからシート98が所定位置P1に搬送されたことを表す信号を入力したり、操作パネル95により作業者からの操作信号を入力したりする。
次に、こうして構成された搬送システム10を用いてシート98を搬送する様子について説明する。図9は、コントローラー90のCPU91により実行される搬送処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、コントローラー90のHDD94に記憶され、例えばワイヤーコンベア20により搬送されたシート98が所定位置P1に到達したことを表す信号をワイヤーコンベア20から入力したときに実行される。なお、コントローラー90のCPU91は、図示しないモーターにより予めワイヤーコンベア20の搬送ローラー22を常時回転させておき、押し出し成形炉からシート98が順次搬出されるようにしておくものとした。また、シート98が所定位置P1に到達したときに、CPU91は搬送ローラー22の回転を一端停止して、シート98を所定位置P1で停止させるものとした。
このルーチンが開始されると、コントローラー90のCPU91は、まず、昇降装置27を制御して、支持部材26をワイヤー21よりも上方まで上昇させる(ステップS100)。これにより、所定位置P1に搬送されたシート98は、図3(b)に示したようにワイヤー21から離間して支持部材26により支持された状態になる。
次に、CPU91は、アームユニット68及び第4電磁弁84を制御して、保持ユニット40aを所定の挿入用位置に移動させる(ステップS110)。なお、挿入用位置は、シート98に第1〜第6挿入針41〜46を挿入するための位置であり、所定位置P1の上方(シート98の上方)の位置且つ昇降用エアシリンダ67のロッドが往動して保持ユニット40aが下降した状態における保持ユニット40aの位置として、予め定められている。図10は、このときの保持ユニット40a及びシート98の様子を示す斜視図である。図11は、このときの保持ユニット40a及びシート98の様子を示す断面図である。なお、図10では、保持ユニット40aのうち第1〜第6挿入針固定部51〜56、第1〜第6挿入針41〜46、押え部材70の構造材74、第1〜第3押え板71〜73のみ示した。また、図11は、図5と同じ断面でみた様子を示している。図10,図11に示すように、この挿入用位置は、第1〜第3押え板71〜73の裏面である第1〜第3対向面71a〜73aがシート98の表面(上面)と離間して対向するように、例えばシート98の押し出し成形後の厚さなどに基づいて予め定められている。また、シート98の表面と第1〜第3対向面71a〜73aとの上下方向の距離は、第1〜第6挿入針41〜46をシート98に挿入可能なように、第1〜第6挿入用エアシリンダ61〜66のロッドのストローク(往動可能な長さ)も考慮して定められている。なお、第1〜第3対向面71a〜73aは同じ平面(水平面)上に位置している。構造材74,74a,74bの裏面(下面)も、第1〜第3対向面71a〜73aと同じ平面上に位置している。また、図10,11では、押え部材70とシート98との前後左右の大きさがほぼ同じ大きさとして示しているが、特にこれに限らず、シート98は第1〜第6挿入針41〜46をシート98に挿入可能な大きさであればよい。シート98は押え部材70よりも前後左右の長さが大きくてもよいし、小さくてもよい。
続いて、CPU91は、第1電磁弁81を制御して、第1挿入針41及び第2挿入針42をシート98に挿入させる(ステップS120)。図12は、第1挿入針41F及び第2挿入針42Fをシート98に挿入した様子を示す断面図である。図13は、第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとの位置関係を示す説明図である。なお、図13(a)は第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとを後方から見た図であり、図13(b)は第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとを右方から見た図であり、図13(c)は、第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとを上方から見た図である。図12に示すように、第1電磁弁81の切り換えにより第1挿入用エアシリンダ61及び第2挿入用エアシリンダ62のロッドが往動することで、第1挿入針41F及び第2挿入針42Fはそれぞれ自身の長手方向(針の後端から先端に向かう方向)に移動する。これにより、第1挿入針41F及び第2挿入針42Fは、第1押え板71の第1穴76Fを貫通してからシート98に挿入される。なお、本実施形態では、シート98は押し出し成形炉で加熱及び成型されただけの状態であり、炉内で加熱され且つ比較的柔らかい状態であるものとした。そのため、シート98には問題なく針を挿入することができる。また、本実施形態では、第1挿入針41F及び第2挿入針42Fはシート98を貫通するものとした。
そして、本実施形態では、この挿入後の状態における第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとの位置関係は、シート98の厚さ方向(上下方向)に沿った直線Sに関して、互いに対称な位置関係(第1の位置関係とも称する)となっている(図13参照)。言い換えると、対称軸となるようなシート98の厚さ方向に沿った直線Sが存在するように、第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとの挿入後の位置関係が定められている。また、第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとの位置関係は、シート98の厚さ方向に垂直且つ第1挿入針41Fのシート98への挿入点(シート98の上面と第1挿入針41Fとの交点)と第1挿入針41Fの先端とを結ぶ直線に垂直な方向に沿ってシート98を仮想的に透過したときに、第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとが交差する位置関係(第2の位置関係とも称する)になっている。なお、第1挿入針41Fは直線状の針であるため「第1挿入針41Fのシート98への挿入点と第1挿入針41Fの先端とを結ぶ直線」は、第1挿入針41Fの軸方向に沿った直線と同じであり、左右に傾斜し前後には傾斜していない上下方向の直線である。そのため、「シート98の厚さ方向に垂直」且つ「第1挿入針41Fのシート98への挿入点と第1挿入針41Fの先端とを結ぶ直線に垂直」な方向とは、前後方向となる。図12や図13(a)に示すように、後方からシート98を仮想的に透過したときに第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとが交差しており(前方から見た場合も同様)、第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとが第2の位置関係にあることがわかる。
また、図12に示すように、対となる第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとは、シート98の表面上の長手方向(前後方向)に平行な中心線(=シート98の左右方向の中心線)を含み且つ厚さ方向に平行な仮想面Fと交差するように、挿入されている。なお、本実施形態では、後方からシート98を仮想的に透過したときの第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとの交点が仮想面F上にある。そのため、この仮想面Fは図13で示した直線Sを含む面となっている。
なお、図12と図13では第1挿入針41Fと第2挿入針42Fとの位置関係について説明したが、第1挿入針41及び第2挿入針42の対となる針の全てが同様の位置関係にある。例えば、第1挿入針41Aと第2挿入針42Aとは、上述した第1の位置関係及び第2の位置関係にある。また、複数の第1挿入針41及び複数の第2挿入針42の全てが、仮想面Fと交差している。このように、本実施形態では、対となる第1挿入針41の挿入部分と第2挿入針42の挿入部分とが立体交差するように、対となる第1挿入針41及び第2挿入針42をシート98に挿入する。
なお、上述したように第1挿入用エアシリンダ61と第2挿入用エアシリンダ62とは第1電磁弁81から共通の配管を介して圧縮空気が供給されているため、ステップS120では、第1挿入針41と第2挿入針42とはほぼ同時にシート98に挿入される。
次に、CPU91は、第2電磁弁82及び第3電磁弁83を制御して、第3〜第6挿入針43〜46をシート98に挿入させる(ステップS130)。図14は、第3〜第6挿入針43F〜46Fをシート98に挿入した様子を示す断面図である。図示するように、第3〜第6挿入針43F〜46Fは、第1挿入針41及び第2挿入針42と同様にシート98に挿入される。したがって、第3挿入針43F及び第4挿入針44Fは、第2押え板72の第2穴77Fを貫通してからシート98にほぼ同時に挿入される。第5挿入針45F及び第6挿入針46Fは、第3押え板73の第3穴78Fを貫通してからシート98にほぼ同時に挿入される。また、挿入後の第3挿入針43Fと第4挿入針44Fとの位置関係や、挿入後の第5挿入針45Fと第6挿入針46Fとの位置関係は、上述した第1の位置関係及び第2の位置関係にある。第3〜第6挿入針43F〜46F以外の他の第3〜第6挿入針43〜46についても、同様である。
続いて、CPU91は、アームユニット68及び第4電磁弁84を制御して、保持ユニット40aによりシート98を保持しつつシート98を所定位置P2まで搬送する(ステップS140)。図14に示したように、シート98には第1〜第6挿入針41〜46が挿入されており、これによりシート98は保持ユニット40aに保持されている。そのため、保持ユニット40aを移動させることでシート98を搬送することができる。保持ユニット40aの移動は、具体的には、以下のように行う。まず、第4挿入用エアシリンダ64を復動させて保持ユニット40aを上昇させ、アームユニット68により保持ユニット40aを所定位置P2の上方まで移動させる。そして、第4挿入用エアシリンダ64を往動させてシート98を下降させてシート98を所定位置P2(ネット31の上面)まで移動させる。なお、シート98を搬送する間も、押え部材70は、シート98と上下に離間した状態が維持される。
そして、CPU91は、第1〜第3電磁弁81〜83を制御して、第1〜第6挿入用エアシリンダ61〜66のロッドを復動させ、第1〜第6挿入針41〜46をシート98から引き抜き(ステップS150)、本ルーチンを終了する。なお、第1〜第6挿入針41〜46をシート98から引き抜く際には、第1〜第6挿入針41〜46の移動に伴ってシート98が上方に動こうとする場合があるが、その場合はシート98の上面が押え部材70の下面(特に第1〜第3対向面71a〜73a)に接触する。これにより、シート98が上方へ移動することが第1〜第3対向面71a〜73aで規制される。図15は、第1〜第6挿入針41F〜46Fをシート98から引き抜いた様子を示す断面図である。これにより、シート98と保持ユニット40aとが分離して、シート98はネット31上に載置される。以降は、コントローラー90がネットコンベア30の図示しないモーターを制御して搬送ローラー32を回転させ、ネット31によりシート98の搬送を行う。搬送されたシート98は、プレス機に搬入されてプレスされ、例えば自動車用部品や飛行機用部品などの所望形状にプレス成形される。
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の第1挿入針41が本発明の第1針に相当し、第2挿入針42が第2針に相当し、第3〜第6挿入針43〜46が第3針に相当し、第1〜第2挿入針41〜42,第1〜第2挿入針固定部51〜52,及び第1〜第2挿入用エアシリンダ61〜62が第1挿入手段に相当し、第3〜第6挿入針43〜46,第3〜第6挿入針固定部53〜56,及び第3〜第6挿入用エアシリンダ63〜66が第2挿入手段に相当し、昇降用エアシリンダ67及びアームユニット68がシート搬送手段に相当する。また、第1挿入用エアシリンダ61が第1針挿入機構に相当し、第2挿入用エアシリンダ62が第2針挿入機構に相当し、空気供給装置80が気体供給部に相当し、第1挿入針固定部51が第1針固定部に相当し、第2挿入針固定部52が第2針固定部に相当し、接続プレート59が接続部に相当し、第1押え板71が第1貫通部材に相当し、第2〜第3押え板72〜73が第2貫通部材に相当し、第1対向面71aが第1平面に相当し、第2〜第3対向面72a〜73aが第2平面に相当する。なお、本実施形態では、搬送システム10の動作を説明することにより本発明の搬送方法の一例も明らかにしている。
以上説明した本実施形態の搬送システム10では、まず、複数の第1挿入針41と複数の第2挿入針42との1つずつを一対の針として複数の第1挿入針41及び複数の第2挿入針42を複数の対とし、複数の第1挿入針41と複数の第2挿入針42とをシート98に挿入する。このとき、複数の対の各々を構成する第1挿入針41の挿入部分と第2挿入針42の挿入部分との位置関係が、上述した第1の位置関係及び第2の位置関係になるようにする。このようにすることで、複数の第1挿入針41と第2挿入針42とを挿入したときのシート98の位置ずれがより抑制される。続いて、第1挿入針41及び第2挿入針42をシート98に挿入したあと、複数の第3〜第6挿入針43〜46を、挿入部分がシート98の厚さ方向に対して傾斜するようにシート98に挿入する。そして、複数の第1〜第6挿入針41〜46がシート98に挿入された状態で、これらの針を介してシート98を搬送する。このように、搬送装置40では、第1挿入針41と第2挿入針42とを挿入してまずシート98を固定し、その後に第3〜第6挿入針43〜46を挿入するから、第3〜第6挿入針43〜46を挿入したときにシート98が位置ずれするのをより抑制できる。しかも、第1挿入針41と第2挿入針42とは、挿入による位置ずれをより抑制するような上述した位置関係で挿入されるため、第1挿入針41と第2挿入針42との挿入時のシート98の位置ずれも抑制されている。これらにより、シート98を搬送するための複数の第1〜第6挿入針41〜46を挿入する際のシート98の位置ずれをより抑制することができる。なお、第1〜46挿入針41〜46が挿入されることでシート98には穴が開くが、その後にシート98がプレスされる際に穴は塞がるため、問題はない。また、第3〜第6挿入針43〜46についても第1挿入針41と第2挿入針42との位置関係と同様な位置関係で挿入するため、位置ずれを抑制する効果がさらに高まる。なお、本実施形態では、シート98の位置ずれを抑制しつつ第1〜第2挿入針41〜42を挿入することができるが、第1〜第2挿入針41〜42だけでシート98を搬送すると、シート98の一部(本実施形態では中央)だけでシート98を保持することになるため、例えばシート98が変形するなどの問題が生じる場合がある。一方、第1〜第6挿入針41〜46の全てを一度に挿入しようとすると、位置ずれが生じやすい。本実施形態では、第1〜第2挿入針41〜42を先に挿入してから第3〜第6挿入針43〜46を挿入することで、第1〜第6挿入針41〜46の全てを一度に挿入する場合と比べてシート98の位置ずれをより抑制しつつ、針でシートを保持して搬送する際のシート98の変形をより抑制することができる。
また、対となる第1挿入針41と第2挿入針42とを同時に挿入するため、第1挿入針41と第2挿入針42とを挿入したときのシート98の位置ずれを抑制する効果が高まる。第3〜第6挿入針43〜46についても、対となる第3挿入針43と第4挿入針44とを同時に挿入し、対となる第5挿入針45と第6挿入針46とを同時に挿入するため、同様の効果が得られる。
さらに、搬送装置40は、シート98の表面に沿った方向(水平方向)で、第1挿入針41及び第2挿入針42の両側に第3〜第6挿入針43〜46を挿入する。こうすることで、複数の第3〜第6挿入針43〜46の間で第1挿入針41及び第2挿入針42がシート98を固定することになる。そのため、例えばシート98の表面上の一端(例えば右端)を第1挿入針41及び第2挿入針42で固定し他端(例えば左端)に第3〜第6挿入針43〜46を挿入するような場合と比べて、第3〜第6挿入針43〜46を挿入する際の位置ずれをより抑制できる。
さらにまた、搬送装置40は、複数の第1挿入針41及び複数の第2挿入針42の全てが上述した仮想面Fと交差するように、複数の第1挿入針41及び複数の第2挿入針42を挿入する。こうすれば、第1挿入針41及び第2挿入針42が、シート98の中心に沿った位置に挿入されるため、例えばシート98の端部のみに第1挿入針41及び第2挿入針42を挿入する場合と比べて、第3〜第6挿入針43〜46を挿入する際の位置ずれをより抑制できる。
そしてまた、第1〜第6挿入針41〜46は、直線状の針であるため、シート98に挿入しやすい。また、搬送装置40は、第1挿入針41をシート98に挿入する第1挿入用エアシリンダ61と、第2挿入針42をシート98に挿入する第2挿入用エアシリンダ62と、を有し、空気供給装置80は第1挿入用エアシリンダ61及び第2挿入用エアシリンダ62に共通の配管を介して圧縮空気を供給する。そのため、対となる第1挿入針41と第2挿入針42とを同時にシート98に挿入しやすい。第3〜第6挿入用エアシリンダ63〜66についても、同様の効果が得られる。
そしてまた、搬送装置40は、第1挿入針41が固定された第1挿入針固定部51と、第2挿入針42が固定された第2挿入針固定部52と、を有し、第1挿入用エアシリンダ61及び第2挿入用エアシリンダ62が第1挿入針固定部51及び第2挿入針固定部52を移動させることで第1挿入針41及び第2挿入針42をシート98に挿入する。そのため、複数の第1挿入針41と第2挿入針42とをまとめて挿入できる。また、例えば対となる第1挿入針41と第2挿入針42とを同時に挿入しようとする場合に、複数の対についての挿入タイミングを別個に調整する必要がない。第3〜第6挿入針固定部53〜56についても、同様の効果が得られる。
そしてまた、搬送装置40は、第1〜第6挿入用エアシリンダ61〜66を接続してこれらの位置関係を固定する接続プレート59を備えている。また、搬送装置40は、挿入前の複数の第1挿入針41及び複数の第2挿入針42の先端側に位置するように構造体74,74a,74b,75を介して接続プレート59に固定され、挿入時に複数の第1挿入針41と複数の第2挿入針42とが貫通可能な複数の第1穴76と、複数の第1挿入針41及び複数の第2挿入針42が第1穴76を貫通したときに針が飛び出す側の面である第1対向面71aと、を有する第1押え板71を備えている。また、搬送装置40は、挿入前の第3〜第4挿入針43〜44の先端側に位置するように構造体74,74a,74b,75を介して接続プレート59に固定され、挿入時に複数の第3〜第4挿入針43〜44が貫通可能な複数の第2穴77と、複数の第3〜第4挿入針43〜44が第2穴77を貫通したときに針が飛び出す側の面であり第1対向面71aと同一平面上に位置し且つ第1対向面71aとの間に隙間が存在する第2対向面72aと、を有する第2押え板72を備えている。また、搬送装置40は、挿入前の第5〜第6挿入針45〜46の先端側に位置するように構造体74,74a,74b,75を介して接続プレート59に固定され、挿入時に複数の第5〜第6挿入針45〜46が貫通可能な複数の第3穴78と、複数の第5〜第6挿入針45〜46が第3穴78を貫通したときに針が飛び出す側の面であり第1対向面71aと同一平面上に位置し且つ第1対向面71aとの間に隙間が存在する第3対向面73aと、を有する第3押え板73を備えている。さらに、昇降用エアシリンダ67及びアームユニット68は、接続プレート59を移動させることで保持ユニット40aを移動させて、シート98に対して複数の第1〜第6挿入針41〜46の挿入が可能であり且つ第1〜第3対向面71a〜73aがシート98の表面と離間して対向する挿入用位置に移動可能であり。また、昇降用エアシリンダ67及びアームユニット68は、複数の第1〜第6挿入針41〜46がシート98に挿入された状態で、第1〜第3押え板71〜73がシート98と離間した状態を維持するようにシート98を搬送可能である。また、第1〜第6挿入用エアシリンダ61〜66は、シート98の所定位置P2への搬送後に、シート98に挿入したときとは逆向きに複数の第1〜第6挿入針41〜46を移動させて、複数の第1〜第6挿入針41〜46をシート98から引き抜く。こうすれば、シート98から針を引き抜く際にシート98が針の移動に伴って上方に動こうとするような場合でも、第1〜第3押え板71〜73の第1〜第3対向面71a〜73aがシート98の上方への移動を抑制できるため、シート98から第1〜第6挿入針41〜46を引き抜きやすい。しかも、第1〜第3対向面71a〜73aは互いの間に隙間が存在するため、シート98の表面全体が第1〜第3対向面71a〜73aに接触することはないから、第1〜第3対向面71a〜73aにシート98が接触する際の影響(例えば、加熱されたシート98が接触部分で冷却されてしまうなど)をより抑制できる。さらに、第1〜第3押え板71〜73は、針の挿入時やシート98の搬送時においては、第1〜第3対向面71a〜73aがシート98の表面と離間しているため、第1〜第3対向面71a〜73aにシート98の表面が不要に接触して影響を受けることをより抑制できる。
そしてまた、搬送システム10は、シート98を所定位置P1まで搬送するワイヤーコンベア20と、所定位置P1に搬送されたシート98をワイヤー21から離間させてシート98を複数の支持部材26により支持するシート支持装置25と、を備えている。そのため、第1〜第3挿入針41〜46を挿入する際にシート98がワイヤー21で支持されている場合と比べて、ワイヤー21がたるむなどの影響がないため、挿入時のシート98の変形をより抑制できる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、複数の第1挿入針41と第2挿入針42との全てが、図12に示した仮想面Fと交差するものとしたが、第1挿入針41と第2挿入針42とのうち一対以上の針が、仮想面Fと交差すればよい。また、第1挿入針41と第2挿入針42とが、仮想面F(シート98の表面上の長手方向に平行な中心線を含み且つ厚さ方向に平行な仮想面)と交差するものとしたが、シート98の表面上の短手方向に平行な中心線を含み且つ厚さ方向に平行な仮想面(=シート98の前後方向の中心線を通る上下方向に平行な仮想面)と交差するようにしてもよい。また、上述した実施形態では、後方からシート98を仮想的に透過したときの対となる第1挿入針41と第2挿入針42との交点が仮想面F上にあるものとしたが、交点は仮想面F上になくてもよい。
上述した実施形態では、図12及び図13に示すように、後方からシート98を仮想的に透過したときの対となる第1挿入針41と第2挿入針42との交点はシート98内部にあるものとしたが、交点がシート98の外部にあってもよい。
上述した実施形態では、第1〜第6挿入針41〜46はいずれも直線状の針としたが、曲線状の針としてもよい。
上述した実施形態では、第1〜第6挿入針41〜46はいずれも左右方向に傾斜しているが、これに限られない。シート98を保持するためには、第1〜第6挿入針41〜46が傾斜してシート98に挿入されていればよい。言い換えると、挿入する針が直線状であり且つシート98の表面に対して垂直に挿入するような場合以外であれば、挿入した針を介してシート98を保持して搬送することができる。
上述した実施形態では、第1挿入用エアシリンダ61〜第6挿入用エアシリンダ66を用いて第1〜第6挿入針41〜46をシート98に挿入するものとしたが、他の機構を用いてもよい。
上述した実施形態では、対となる第1挿入針41と第2挿入針42との位置関係が、上述した第1の位置関係及び第2の位置関係にあるものとしたが、少なくとも第1挿入針41と第2挿入針42との挿入部分が、上述した第1の位置関係及び第2の位置関係にあればよい。第3〜第6挿入針43〜46についても同様である。
上述した実施形態では、第1挿入針固定部51により複数の第1挿入針41を固定して、複数の第1挿入針41をまとめてシート98に挿入するものとしたが、これに限られない。例えば複数の第1挿入針41を別々の機構で挿入してもよい。この場合、複数の第1挿入針41は、必ずしも全て同じ形状である必要はないし、必ずしも全て同じ方向に傾斜している必要はない。第2〜第6挿入針42〜46についても同様である。
上述した実施形態において、第1〜第2挿入針41〜42の挿入タイミングと第3〜第6挿入針43〜46の挿入タイミングとの時間差はコントローラー90が第1電磁弁81を制御するタイミングと第2〜第3電磁弁82〜83を制御するタイミングとをずらすことで行うものとしたが、これに限られない。例えば、第1〜第2挿入用エアシリンダ61〜62と第3〜第6挿入用エアシリンダ63〜66とのストロークや取付位置を変えるなど、制御タイミングが同じでも挿入に時間差が生じるような構造を採用してもよい。
上述した実施形態では、ステップS100における支持部材26の上昇が完了した後にステップS110における保持ユニット40aの移動を行うものとしたが、これに限られない。例えば、ステップS100とステップS110とを平行して行ってもよいし、ステップS110を先に行ってもよい。
上述した実施形態では、押し出し成型を行う成形炉から搬出されたシート98を、プレス機へ搬入されるように搬送装置40がシート98を搬送するものとしたが、これに限られない。例えば、ワイヤーコンベア20が、押し出し成形後に冷えて硬化した炭素繊維入り樹脂シートを再加熱して軟化させる加熱炉の一部として構成されていてもよい。この場合でも、再加熱して軟化したシート98を搬送装置40が搬送するため、上述した実施形態と同様に針を挿入することでシート98を保持して搬送することができる。