JP6179911B1 - 変状度判定方法及び変状度判定システム - Google Patents

変状度判定方法及び変状度判定システム Download PDF

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Abstract

【課題】地上の対象物の測定や判定を効率的かつ精度高く行うことができる、変状度判定方法及び変状度判定システムを提供することを目的とする。【解決手段】合成開口レーダを用いて測定される地表面上の対象物の変位量を取得する工程と、変位量と変状判定基準とを用いて対象物の変状度を判定する工程とを備える、変状度判定方法を提供する。また、合成開口レーダを用いて測定される地表面上の対象物の変位量を取得する、変位量取得部と、変位量と変状判定基準とを用いて対象物の変状度を判定する変状度判定部とを備える、変状度判定システムを提供する。【選択図】図5

Description

本発明は地表面上の対象物の変状度を判定する方法、システムに関し、特に合成開口レーダ(SAR:Synthetic Aperture Radar)を用いて変状度を判定する方法、システムに関する。
地表面上の施設、設備、人工構造物、自然物の変状に係る危険度の判定は、従来は徒歩等での現地調査による目視での点検や測量により行われていた。一例として、土木インフラの通常点検においては、点検者が現場を巡回しつつ目視点検を行い、変状の顕著な箇所を抽出し、その後の経過観察を通して正常、異常の判別や補修の必要性を判断している。非特許文献1等によれば、河川堤防等の縦横断測量は5年以内に1回、測量間隔200mで実施されている。
例えば河川堤防については、出水期前後や台風期に目視により点検を実施することとされている(非特許文献2参照)。また、港湾施設については、通常点検施設は5年以内に1回、重点点検施設は3年以内に1回、陸上或いは海上からの外観目視により実施することとされている(非特許文献3参照)。
特開2015−74376号公報
"河川砂防技術基準 維持管理編(河川編)"、[online]、平成27年3月改訂、国土交通省、[平成28年5月23日検索]。インターネット<URL:http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/gijutsu/gijutsukijunn/ijikanri/> "堤防等河川管理施設及び河道の点検要領について(通知)"、[online]、平成24年5月17日、国土交通省、[平成28年5月23日検索]。インターネット<URL:http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/kasen/pdf/tenken_youryou_h240517.pdf> "港湾の施設の維持管理計画策定ガイドライン"、[online]、平成27年4月、国土交通省、[平成28年5月23日検索]。インターネット<URL:http://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_fr5_000051.html> "社会インフラへのモニタリング技術の活用推進に関する技術研究開発に係る公募について"、[online]、平成26年9月8日、国土交通省、[平成28年5月23日検索]。インターネット<URL:http://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000268.html> "国土地理院 干渉SARホームページ"、[online]、平成16年〜平成28年、国土地理院、[平成28年5月23日検索]。インターネット<URL:http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/sar/index.html> 大内和夫著、「リモートセンシングのための合成開口レーダの基礎」、第2版、東京電機大学出版局、平成21年6月 "SRTMの観測原理(詳細) その1"、[online]、平成11年、宇宙航空研究開発機構、[平成28年5月23日検索]。インターネット<URL:http://iss.jaxa.jp/shuttle/flight/sts99/mis_principle_1.html> 小野誠、「合成開口レーダー」、光学、日本光学会、昭和61年2月、第15巻、第1号、pp.18-24 "国土交通省 九州地方整備局[河川部] よく使われる河川用語"、[online]、国土交通省、[平成28年5月26日検索]。インターネット<URL:http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/yougo/yougo_02.html> P. Berardino, G. Fornaro, R. Lanari, and E. Sansosti, "A new algorithm for surface deformation monitoring based on small baseline differential SAR interferograms," IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing, vol. 40, no. 11, pp. 2375-2383 2002. A. Ferretti, C. Prati, and F. Rocca, "Nonlinear subsidence rate estimation using permanent scatterers in differential SAR interferometry," IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing, vol. 38, no. 5, pp. 2202-2212 2000. A. Ferretti, A. Fumagalli, F. Novali, C. Prati, F. Rocca, and A. Rucci, "A New Algorithm for Processing Interferometric Data-Stacks: SqueeSAR," IEEE Transactions on Geoscience and Remote Sensing, vol. 49, no. 9, pp. 3460-3470, 2011.
しかしながら、非特許文献4にも記載されているように、上記徒歩等での現地調査による目視での点検や測量においては、
(1)長大な形状サイズを有する堤防等の変状を迅速に把握することが困難である。
(2)経年的且つ広範囲に亘る堤体の沈下等、把握が困難な場合がある。
(3)調査者の主観に頼る部分が多く、能力、経験に依存するため、堤体等の変状(外観)の把握を客観的に評価することが困難である。
等の問題があった。
本発明はこのような問題を解決するものであり、地上の対象物の測定や判定を効率的かつ精度高く行うことができる、変状度判定方法及び変状度判定システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、合成開口レーダを用いて測定される地表面上の対象物の変位量を取得する工程と、変位量と変状判定基準とを用いて対象物の変状度を判定する工程とを備える、変状度判定方法を提供する。
一例として、リモートセンシング技術(人工衛星、航空機、車両等の移動体による遠隔計測技術)によって地表面上の観測対象物(人工・自然の構造物等)の変位量を解析する技術を用い、測定された変位量と現場等で管理されている変状判定の閾値とを用いて変状度を判定し、その結果を危険性の判断に用いる。
上記方法の一態様において、変位量は、合成開口レーダから対象物へと送出された電磁波が対象物によって反射されてなる反射波により測定される位相の、異なる2時点間での差分を用いて決定することができる。この場合、時系列干渉解析を用いることにより変位量の誤差を推定及び/又は除去することも可能である。
上記方法における上記対象物の一例として河川堤防又は防波堤が挙げられ、上記変状判定基準の一例として計画高水位が挙げられる。また上記方法における上記対象物の一例として、任意の河川構造物又は設置物、もしくは岸壁、桟橋等、任意の港湾構造物又は設置物が挙げられ、上記変状判定基準の別の一例として、当該河川構造物又は設置物、もしくは港湾構造物又は設置物の取得済の変位量が挙げられる。
また本発明は、合成開口レーダを用いて測定される地表面上の対象物の変位量を取得する、変位量取得部と、変位量と変状判定基準とを用いて対象物の変状度を判定する変状度判定部とを備える、変状度判定システムを提供する。
本発明が奏する有利な技術的効果として、以下が挙げられる。
・現地調査のための人員の削減による、変状度判定作業の高効率化
・目視点検を行う調査者の熟練度等に影響を受けない均質なモニタリングを可能とすること
すなわち、高度経済成長期に設置されて老朽化が進んだ土木インフラの管理費用(人件費)の高騰を抑え、また管理技術者の人材不足を解消することができると期待される。特に本発明の一態様として、人工衛星等のリモートセンシング技術による測定結果を利用する変状度の判定技術を導入することで、広範囲を一括で観測するという効率化によりコスト低減が図られるとともに、均質な判定方法により調査者の技量に依らない変状度判定が可能となる。
人工衛星に搭載された合成開口レーダにより対象物の変位量を測定する原理を示した概念図。 本発明の一態様に係る変状度判定システムのシステムブロック図。 変位量測定の対象物の一例である河川堤防又は防波堤の概略図。 陸域観測技術衛星だいち(ALOS)により撮影された河川堤防付近の衛星画像。 対象区間の各地点における変位速度を衛星画像上にマッピングした沈下速度マップ。 変位量測定を行った地点(距離標位置)を衛星画像に書き入れた図。 測定結果を解析して得られた、河川堤防の各地点における天端高の経年変動量を示すグラフ。 河川堤防の沈下速度について、合成開口レーダによる測定データを解析して得られた結果と、現場測量により得られた結果とを比較したグラフ。
これより図面を用いて、本発明に係る変状度判定方法、及び変状度判定システムを説明する。但し、本発明に係る変状度判定方法、及び変状度判定システムの構成は、各図面にて示される特定の具体的構成へと限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば、以下において合成開口レーダは人工衛星に搭載されたSARアンテナ及び各種制御回路等からなるとして説明するが、合成開口レーダは航空機等、人工衛星以外の飛翔体や、車両等、任意の移動体に搭載しても構わない。合成開口レーダによる測定に用いる電磁波も、以下の実施例で用いるマイクロ波に限らず任意の波長域のものであってよい。「変状度」も、以下の実施例では河川堤防又は防波堤の天端の沈降度合とするが、対象物が水平方向に移動した長さ等、任意の量によって変状度を規定してよい。また変状度判定の対象物も、以下の実施例では主に河川堤防であるとして説明するが、これ以外の任意の物を対象物とすることができる(例えば、海辺や川辺に設置された消波ブロック等、水害の防止を目的として水際に造成又は設置される任意の構造物又は設置物であってもよいし、高速道路の盛り土や距離標(キロポスト)等、陸上に造成又は設置される任意の構造物又は設置物であってもよいし、あるいは任意の建造物を対象物とし、液状化や地盤沈下等を検出することもできる)。また本発明に係る変状度判定システムの構成が図2のシステムブロック図で示される特定の構成に限られるわけでもなく、例えば図2中、通信回路の担う機能と処理部の担う機能とを単独の処理装置が担ってもよいし、逆に図2中、処理部が担う機能を複数の処理装置等に分散させる等してもよい。本発明の教示する変状度判定のために行われる1以上の任意の機能を、1以上の任意の要素に任意に分担させることが可能である。図2の変状度判定システムが存在する場所は、一例としては地上であるが、これに限らず任意である。
人工衛星に搭載された合成開口レーダにより対象物の変位量を測定する原理を、図1に概念的に示す。合成開口レーダは、移動体に搭載したレーダを移動させながら電磁波を照射して対象物を測定することにより、開口の大きいアンテナを備えたレーダを用いたときと同様の高い分解能を得ることができるレーダである。
図1に示す人工衛星1は、本体部1a、太陽電池パドル1b、SARアンテナ1c、通信アンテナ1dを備えている(軌道制御用の推進器、推進器や太陽電池パドル等の各機能部の動作を制御する動作制御回路、各アンテナによる通信を制御する通信回路、反射波の強度や位相を検出する検出回路や、SARアンテナによる測定値から変位量を決定するための処理回路等、人工衛星の各種構成要素は詳細に図示しない。)。人工衛星1は軌道方向4に軌道運動しつつ、SARアンテナ1cから地表面2上の対象物3へと斜め方向にマイクロ波を照射する(地表面2上、対象物3の位置から人工衛星1を見たときの仰角をθとする。)。
マイクロ波が対象物3により反射されてなる反射波(反射信号)をSARアンテナ1cで受信することにより、合成開口レーダは対象物3の測定を行う。具体的に、合成開口レーダは受信された反射波の強度から対象物3を検知し、受信された反射波の位相を測定する。
対象物3の変位量は、対象物3に対して同じ位置の人工衛星1から位相観測を2回以上行って得られる、2つの測定値の差から決定される(非特許文献5参照)。1回目の観測において受信された反射波の位相をδ1[rad]とし、2回目の観測において受信された反射波の位相をδ2[rad]とすると、SARアンテナ1cからの送信マイクロ波の送信時点での位相が同一であったとすれば、マイクロ波の波長をλとして
で表される量だけ、1回目の観測時よりも2回目の観測時にマイクロ波の往復経路が短くなったこととなり、すなわち人工衛星1から見て対象物3が
で表される量だけ変位した(近づいた)ことになる。対象物3の変位方向が地表面2に垂直であった場合、上記式(2)で表わされる量は、「対象物3の地表面垂直方向変位量」に仰角θの正弦値sinθを乗じたものであり、すなわち対象物3の地表面垂直方向変位量は
で表される。
ただし、上記式(1)〜(3)による変位量の決定は、合成開口レーダによる変位量の決定手法を極めて概略的に説明したものであり、実際には、2回の観測時における人工衛星の位置のずれ等、さまざまな条件を組み込んだ補正計算が行われる。また垂直方向以外の変位量も同様に、観測された反射波の位相差を用いて決定できる(非特許文献5〜8参照)。
変状度判定システム
図2に、本発明の一態様に係る変状度判定システム5のシステムブロック図を示す。変状度判定システム5は、人工衛星1から測定データを受信する通信アンテナと、受信データの復号等、通信に関するデータ処理を行う通信回路と、受信データを用いて変状度判定等の解析処理を行う処理部(典型的には、中央演算処理装置(CPU)と一時メモリ等から構成される。)と、変状度判定に用いる変状判定基準データ等を記憶するデータベース(典型的にはハードディスクドライブ等、記憶装置から構成される。)と、各種のインターフェースI/F(外部メモリやディスプレイ等、外部デバイスとの間の各種データ入出力ポート)とを含む(外部とのデータ入出力が不要であればインターフェースI/Fは不要)。
図3に、合成開口レーダを用いた変位量測定、そして変位量を用いた変状度判定の対象物3の一例である河川堤防6の概略図を示す。河川堤防6は、河川7の増水時に氾濫を防ぐ等の目的で河川7付近に造成されており、河川7の水位が計画高水位8(計画高水流量を安全に流下させうる計画河道の計画上の水位のこと。計画高水流量は、洪水を防御するために行う河道計画、施設計画の基本となる流量をいい、基本高水流量をダム等で洪水調節したあとの流量をいう。非特許文献9の定義による。)まで上昇した場合であっても、天端高6c(河川7の水位から天端6aまでの高さ。天端6aは、河川堤防6の最高位部分。)が所定の高さ(マージン9)だけ確保されるよう設計されている。河川堤防6が築堤後の自重による沈下、地震、地盤沈下、液状化等、さまざまな原因により沈下等の変状を起こして変位すると、計画高水位から天端6aまでのマージン9も変化することとなるが、このマージン9が不十分であれば、大雨等により河川7が氾濫を起こし河川堤防6を越えて集落等に浸水する恐れがある。これを未然に防ぐべく、河川堤防6の変位、特に天端6aの沈降を監視し、沈降の程度(変状度)が大きい場合には修復工事をする等の対応をすることが求められる。
変状度判定方法
以下、図2の変状度判定システム5を用いて図3の河川堤防6の変状度を判定する方法を説明する(防波堤の変状度も同様に判定可能。)。
変状度判定システム5は、まず通信アンテナによって、人工衛星1が合成開口レーダを用いて測定する河川堤防6の変位量を取得する。人工衛星1は、SARアンテナ1cから河川堤防6の天端6aに対してマイクロ波を照射し、反射波の位相を測定する。過去のある時点に同様の方法で測定しておいた位相をδ1とし(人工衛星1に搭載されたメモリ等に予め記憶されているか、通信アンテナ1dによって外部から受信するとする。)、今回測定した位相をδ2とすれば、2回の測定の間に河川堤防6が変位した量(天端6aの地表面2に対する垂直方向の変位)は、単純な一例においては上記式(3)で表わされる。人工衛星1の処理回路による計算の結果、変位量が決定される。特に天端6aが沈降していた場合、式(3)の変位量は負の値をとる。ただし、変位量の絶対値が位相にしてπを超える場合、追加の処理が必要となる。誤推定を回避する処理の基本的な一例としてはアンラップ処理等が挙げられる。変状度判定システム5は、このように測定された変位量を示すデータを、人工衛星1の通信アンテナ1dから、自己の通信アンテナによって受信する。
なお、上記式(3)等による変位量の計算は、上述のとおり人工衛星1に搭載された処理回路で行ってもよいし、あるいは、変状度判定システム5は人工衛星1から位相、強度等の測定値データを受信し、変状度判定システム5内の処理部で上記式(3)等により変位量を計算してもよい。本実施例において変状度判定システム5が変位量を「取得する」とは、計算により得られた変位量を変状度判定システム5が人工衛星1から通信アンテナで「受信して取得する」ことであってもよいし(この場合、変状度判定システム5中、通信アンテナと通信回路により変位量取得部が構成される。)、あるいは、変状度判定システム5が人工衛星1から位相の測定値データを受信し、変状度判定システム5が処理部での「計算により変位量を取得する」ことであってもよい(この場合、変状度判定システム5中、通信アンテナ、通信回路、及び処理部により変位量取得部が構成される。)。なお、SARアンテナ1cは広範囲に亘ってマイクロ波を照射可能であり、地表面2上のさまざまな地点において位相、強度等を短時間で測定することが可能である。SARアンテナ1cを用いれば地表面2上のさまざまな地点における変位量を短時間で取得可能であり、変状度判定システム5の処理部によりさまざまな地点の変位量を地表面画像にマッピングする等、変位量データの利用も可能である(後述の図5参照)。変状度判定システム5が人工衛星1から位相、強度等の測定値データを受信し、変状度判定システム5が処理部での「計算により変位量を取得する」場合においては、人工衛星1がSARアンテナ1cを用いて取得したさまざまな地点におけるマイクロ波の測定データ(強度、位相等)を変状度判定システム5が受信し、観測条件も反映させつつ測定データを処理部にて画像化し、画像化された位相から変位量を計算することも可能である。
また、上記式(3)のように、測定された位相の2時点間での差分から変位量を決定する手法(差分干渉解析)に加えて、それらの干渉を時系列的に処理することで高精度化を図る(時系列干渉解析)ことも可能である。単純な一例においては、より多くの異なる時点で上記位相を測定して変位量の時間的変化を求め、これに時間・軌道位置などの多変数に相関をもつ係数を最小二乗法で推定することで、変位量の時間的変化や軌道位置の変数として表れる誤差値を推定し、また、余剰項の時間軸上の周波成分の解析などで当該測定誤差を除去することができる。時系列干渉解析手法としては、SBAS(Small BAseline Subset)(非特許文献10)、PSI又はPSInSAR(非特許文献11)、SqueeSAR(非特許文献12)等が挙げられる。
次に、変状度判定システム5は、上述のとおり取得した変位量と、データベースに記憶された変状判定基準とを用いて、処理部(変状度判定部)にて河川堤防6の変状度を判定する。一例として、データベースにはマージンの許容下限値(閾値)を示すデータが記憶されており、上記取得した変位量から決定される(今回の測定時の)天端6aの計画高水位からの高さ(マージンの現在値)が許容下限値を下回っていた場合、「変状度が許容範囲を超えている」と判定する。判定の具体的態様は任意であり、例えばマージンの現在値が許容下限値をどれだけ上回っているか、あるいは下回っているかに応じて危険度レベルを決定する等の態様も可能である。なお、変状度判定システム5のデータベースには、上記過去のある時点(上記式(3)における位相δ1に対応)における天端6aの高さを示すデータが予め記憶されており、この過去のある時点における高さと上記今回測定した変位量とから、今回の測定時の天端6aの高さを決定してもよい。
その後、変状度判定システム5は、変状度の判定結果をインターフェースI/Fを通して外部のディスプレイ等に出力する。ディスプレイに表示された判定結果が、河川堤防6の大幅な沈下等、緊急性の高いことを示す結果である場合には、堤防の修復措置等、採るべき対応策を併せて表示してもよい。
上述の変状度判定の一例においては、計画高水位を変状度判定基準として用いることにより変状度を判定したが、変状度判定基準としてはその他の任意の基準を用いてもよい。一例として、合成開口レーダを用いて任意の河川構造物又は設置物、もしくは港湾構造物又は設置物の変状度を判定する際には、過去のある時点で合成開口レーダを用いて測定しておいた位相から、その時点における河川構造物又は設置物、もしくは港湾構造物又は設置物の(ある基準時点からの)変位量を取得しておき、今回同様の方法により位相測定して取得した(上記基準時点からの)変位量と、当該過去のある時点における変位量を用いることで変状度判定してもよい。具体的には、過去のある時点における変位量を用いて河川構造物又は設置物、又は港湾構造物又は設置物の当該ある時点における高さを決定し、今回取得した変位量を用いて当該構造物又は設置物の現時点における高さを決定し、現時点の高さが所定の閾値を下回った時、あるいは上記ある時点における高さと比べて所定値以上低くなった時に変状度が大きいと判定する等の態様が可能である。
変状度判定の実証試験
円山川右岸に造成された河川堤防を対象として、変状度判定の実証試験を行った。
図4は、陸域観測技術衛星だいち(ALOS)により取得された河川堤防付近の衛星画像である。同図中、四角形で囲まれた領域10に関して位相測定データを解析することにより変位量を算出し、さらに変位速度(沈下速度)を算出した。算出された沈下速度(mm/年)を衛星画像上にマッピングした沈下速度マップを図5に示す。なお、図5はカラー図面をグレースケールに変換したものであるため、各ポイントの沈下速度を正確に読み取ることが困難である点に留意する必要がある。図5のように衛星画像上に沈下速度をマッピングした沈下速度マップから、沈下速度が周囲とは大きく異なる箇所が点在していることが読み取れ、その箇所を優先的に修復する等、修復計画の立案に当該マップを供することができる。目視による従来の定期点検では測定点の数に限りがあるため、このように沈下の程度を面によって把握することは困難である。すなわち、本発明により水準測量の測点を補完し面上で変状の全貌を把握することが可能となるのであり、これは従来の調査手法とは質的に異なる。
さらに、ALOSの運用期間(平成18年から平成23年)に取得した15シーンのデータを利用し、河川堤防の13.2km地点、13.4km地点、13.6km地点、13.8km地点、14.0km地点(図6参照)における変位量を解析して、従来の目視による測量成果(平成17年度、平成22年度の定期横断測量結果)と比較した。
図7に、ALOSによる測定結果を解析して得られた、河川堤防の各地点における天端高の経年変動量を表わすグラフを示す。縦軸は変動量(mm)を表わし、その正値は沈下を表わし、負値は隆起を表わす。横軸は年(経過年)を表わす。測定地点によって変動の程度は異なり、特に年を経るに従って差異が増大していく傾向が読み取れる。この点からも、限られた数の測定点だけで変状を点検するのではなく、干渉SAR解析手法により変状を面上で把握し、位置による変状の程度の違いを細かく把握することが有効であるといえる。なお図8に、河川堤防の沈下速度について、合成開口レーダによる測定データを解析して得られた結果と、現場測量により得られた結果とを比較したグラフを示す。合成開口レーダによる、マイクロ波の位相を測定して変位量を解析する手法によって、地表面に対する面的な変動の把握が行えるようになっただけでなく、より正確に変位量を決定することが可能になったといえる。
本発明の変状度判定方法及び変状度判定システムは、水害防止用の構造物や設置物等、防災用の構造物や設置物を初めとして、任意の対象物の変状度を判定するために利用することができる。
1 人工衛星(合成開口レーダ)
1a 本体部
1b 太陽電池パドル
1c SARアンテナ
1d 通信アンテナ
2 地表面
3 対象物
4 軌道方向
5 変状度判定システム
6 河川堤防
6a 天端
6b 河川敷
6c 天端高
7 河川
8 計画高水位
9 マージン
10 領域

Claims (12)

  1. 干渉合成開口レーダを用いて測定される構造物又は設置物の対象部の変位量を取得する工程と、
    前記対象部の変位量から、前記対象部の判定基準からの高さを決定する工程と、
    前記対象部の判定基準からの高さと、データベースに記憶された前記対象部の判定基準からの高さの許容下限値とを比較し、危険度レベルを判定する工程と
    を備える、危険度判定方法。
  2. 前記危険度レベルを判定する工程は、前記対象部の判定基準からの高さが、前記許容下限値を下回っていた場合、危険であると判定する、請求項1に記載の危険度判定方法。
  3. 前記危険度レベルを判定する工程は、更に前記対象部の沈下速度を用いて前記危険度レベルを判定する、請求項1又は2に記載の危険度判定方法。
  4. 干渉合成開口レーダを用いて測定される構造物又は設置物の対象部の変位量を取得する、変位量取得部と、
    前記対象部の変位量から、前記対象部の判定基準からの高さを決定する対判定基準高さ決定部と、
    前記対象部の判定基準からの高さと、データベースに記憶された前記対象部の判定基準からの高さの許容下限値とを比較し、危険度レベルを判定する危険度レベル判定部と
    を備える、危険度判定システム。
  5. 前記危険度レベル判定部は、前記対象部の判定基準からの高さが、前記許容下限値を下回っていた場合、危険であると判定する、請求項4に記載の危険度判定システム。
  6. 前記危険度レベル判定部は、更に前記対象部の沈下速度を用いて前記危険度レベルを判定する、請求項4又は5に記載の危険度判定システム。
  7. 干渉合成開口レーダを用いて測定される河川堤防又は防波堤の天端の変位量を取得する工程と、
    前記天端の変位量から、前記天端の計画高水位からの高さを決定する工程と、
    前記天端の計画高水位からの高さと、データベースに記憶された前記天端の計画高水位からの高さの許容下限値とを比較し、危険度レベルを判定する工程と
    を備える、危険度判定方法。
  8. 前記危険度レベルを判定する工程は、前記天端の計画高水位からの高さが、前記許容下限値を下回っていた場合、危険であると判定する、請求項に記載の危険度判定方法。
  9. 前記危険度レベルを判定する工程は、更に前記天端の沈下速度を用いて前記危険度レベルを判定する、請求項又はに記載の危険度判定方法。
  10. 干渉合成開口レーダを用いて測定される河川堤防又は防波堤の天端の変位量を取得する、変位量取得部と、
    前記天端の変位量から、前記天端の計画高水位からの高さを決定する対計画高水位天端高さ決定部と、
    前記天端の計画高水位からの高さと、データベースに記憶された前記天端の計画高水位からの高さの許容下限値とを比較し、危険度レベルを判定する危険度レベル判定部と
    を備える、危険度判定システム。
  11. 前記危険度レベル判定部は、前記天端の計画高水位からの高さが、前記許容下限値を下回っていた場合、危険であると判定する、請求項10に記載の危険度判定システム。
  12. 前記危険度レベル判定部は、更に前記天端の沈下速度を用いて前記危険度レベルを判定する、請求項10又は11に記載の危険度判定システム。
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