JP6177159B2 - 熱延コイル材の冷却方法、及び熱延コイル材の製造方法 - Google Patents

熱延コイル材の冷却方法、及び熱延コイル材の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6177159B2
JP6177159B2 JP2014034275A JP2014034275A JP6177159B2 JP 6177159 B2 JP6177159 B2 JP 6177159B2 JP 2014034275 A JP2014034275 A JP 2014034275A JP 2014034275 A JP2014034275 A JP 2014034275A JP 6177159 B2 JP6177159 B2 JP 6177159B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coil material
temperature
rolled
hot
coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014034275A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014195833A (ja
Inventor
正宜 小林
正宜 小林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2014034275A priority Critical patent/JP6177159B2/ja
Publication of JP2014195833A publication Critical patent/JP2014195833A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6177159B2 publication Critical patent/JP6177159B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)
  • Winding, Rewinding, Material Storage Devices (AREA)
  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

本発明は、熱間圧延鋼板のような長尺の圧延材が圧延ラインから出てコイル状に巻き取られたコイル材の冷却方法に関するものであって、特に、コイル材の均一な冷却を実現することで、所望とする製品特性を備えた熱延圧延鋼板を製造する方法に関する。
一般に、熱間圧延鋼板(熱延材)を製造するに際しては、加熱した鋳片を複数の圧延機で連続的に圧延を施して帯状の圧延材とし、その後、冷却手段にて所定の冷却速度で冷却し、ダウンコイラなどの巻き取り機によって巻き取り、コイル材とする。
圧延材が軟鋼の場合、水冷手段で目標の巻き取り温度まで冷却する過程で変態は完了する。一方、高炭素鋼や近年開発が進んでいるハイテン鋼でC、Si、Mnを多く含む材料については、コイル材に巻き取った時点では変態が完了しないか、もしくは変態がほとんど進行していないことが明らかになってきた。
コイル材に巻き取った時点で変態が始まっていない場合、コイル材の外周側や縁端部が先に冷え、コイル材の内周側が徐冷される状況となるため、製品となったコイル材は、不均一な組織、強度を有するものとなって、製品としての性能が満たされないなど大きな問題となっていた。
係る状況は、例えば高強度冷延鋼板において、顕著に発生することが知られている。
すなわち、高強度冷延鋼板の素材である熱延鋼板は、C,Si,Mn等を多く含む高成分系であるため、熱延コイルに巻き取られた段階では変態が完了せず、過冷オーステナイトの状態であることがある。そのような場合、熱延後に巻き取られたコイル材は、コイル材の状態で変態が進行するが、外周側および縁端部から空冷されて温度が低下していくため、冷却速度の速い外周側及び縁端部では硬質なベイナイト組織やマルテンサイト組織が多く生じ、硬度が高くなって、次工程である冷延での圧延加工性を低下させる。(圧下率の制約、端部割れ等)。
上記した状況を改善するためには、熱延後に巻き取られたコイル材を保温し、フェライト中心の組織とすることで軟質化を図ることが考えられる。
このようなコイル材の徐冷技術としては、例えば、特許文献1に熱延鋼板コイルの冷却法が開示されている。この技術では、コイル材における結晶粒の成長、AlN、MnS、鉄炭化物の析出、粗大化に着目して、「高温巻取り後のコイル放冷中の保温装置」を設置している。保温装置はコイル材を覆う保温カバーを有しており、この保温カバーを被せ、コイル外周部温度が(巻取り温度−250)℃になるまでの領域を平均冷却速度5℃/分以下で冷却することとしている。
また、特許文献2は、熱間圧延機の後段に水冷手段とダウンコイラとを配置した熱間圧延ラインにおいて、圧延後の圧延材を水冷手段で所定の温度で冷却してダウンコイラで熱延コイルに巻き取った後、コイル置き台に載置して熱延コイル搬送コンベアで搬送するにあたり、熱延コイルの外周部における平均冷却速度が33℃/hr以下の冷却速度を実現する徐冷カバーで熱延コイル搬送コンベアを覆うといった技術を開示している。
特開昭54−124808号公報 特開2010−94710号公報
特許文献1に開示された技術は、熱延後に巻き取られたコイル材を保温し、フェライト中心の組織とすることで軟質化を図ることを意図しているものであるが、コイル材の成分が多岐に亘る現状では、単に「外周部温度が(巻取り温度−250)℃になるまでの領域を平均冷却速度5℃/分以下で冷却する」だけでは、確実にコイル材の軟質化、材質の均一化を図ることは困難であると思われる。
一方、特許文献2の技術は、熱延後の圧延材を巻き取ったコイルの変形を抑制し、生産性や歩留りの向上を図ることを意図した技術であり、やはり、コイル材の軟質化、材質の均一化を図ることは困難であると思われる。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、熱延後に巻き取られたコイル材を適切に冷却することで、フェライト主体であって軟質で均一な組織とする熱延コイル材の冷却方法、及び熱延コイル材の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の熱延コイル材の冷却方法は、熱間圧延された圧延材を巻取ってなるコイル材の冷却方法であって、
(i) 圧延材の鋼種成分によって定まるベイナイト変態温度を基に決まる温度TA以上の巻取温度CTにて圧延材をコイル材へと巻き取り、
(ii) 前記圧延材の鋼種成分と巻取温度CTとを基に、コイル材がフェライト・パーライト組織になるまでの保持時間taを求め、
(iii) コイル材に対する伝熱計算を行うことで、コイル材の外周部の温度低下状況を算出し、算出された温度低下状況を基に、前記コイル材が当該コイル材の鋼種成分によって定まるマルテンサイト変態温度TB以下となるまでの時間tbを求め、
(iv) 時間ta>時間tbとなる場合、コイル材の巻取り後、時間tb経過する以前に、コイル材を保温し、時間ta>時間tbとならない場合、コイル材を保温しない
ことを特徴とする。
また、本発明の熱延コイル材の製造方法は、上記した冷却方法を用いて熱延コイル材を製造するに際しては、前記熱間圧延されたコイル材を保温する前に、前記コイル材の内周部の温度と前記コイル材の外周部の温度との少なくとも一方を計測し、前記計測された温度がマルテンサイト変態温度TBを下回る場合には、前記計測された温度とマルテンサイト変態温度TBとの温度差に基づいて、前記マルテンサイト変態温度TBを下回るコイル材の領域Pを求め、前記保温後に、前記求めたコイル材の領域Pを切断して取り除き、前記領域Pが取り除かれたコイル材を製品とすることを特徴とする。
本発明の熱延コイル材の冷却方法を用いることで、熱延後に巻き取られたコイル材を適切に冷却することで、フェライトを中心とした軟質で均一な組織とすることが可能となる。
熱間圧延ラインの概略を示す図である。 コイル材の冷却状況をTTT線図上で示したものである。 コイル材を保温した上で冷却する状況をTTT線図上で示したものである。 本発明のコイル材の製造方法を示す図である。
以下、本発明に係る熱延コイル材Sの冷却方法の実施形態を、図を基に説明する。
なお、以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1に、本発明の実施形態に係る冷却方法が行なわれる熱間圧延ライン1の概略を示す。図1に示すように、連続仕上圧延機2や水冷手段3を備えた熱間圧延ライン1で圧延された圧延材Wは、通常400〜600℃程度の温度において巻き取り機で巻き取られてコイル材Sとなり、その後、熱延コイル搬送コンベア(搬送手段)により熱延コイル置場4に搬送されて、そこで室温まで冷却される。なお、熱延コイル搬送コンベアにコイル材Sが載置されて搬送される。
「発明が解決しようとする課題」にて精説したが、高炭素鋼や近年開発が進んでいるハイテン鋼でC、Si、Mnを多く含む材料が圧延材Wの場合、コイル材Sに巻き取った時点では変態が完了しないか、もしくは変態がほとんど進行していない。それ故、コイルに巻き取った時点で変態が始まっていない場合、コイル材Sの外周側や縁端部が先に冷え、コイル材Sの内周側が徐冷される状況となるため、製品となったコイル材Sは、不均一な組織、不適切な強度を有するものとなって、製品としての性能が満たされないなどの不都合が生じる。
このような状況を鑑み、本発明は、熱延コイル材Sを適正に冷却し、不均一な組織、不適切な強度を備えないコイル材Sとなるようなコイル材Sの冷却方法を提供するものである。
本発明の冷却方法は、熱間圧延された圧延材Wを巻取ってなるコイル材Sの冷却方法であって、ベイナイト変態温度TA以上での巻き取りを行う「コイル材巻き取り工程」と、保持時間taを算出する「時間ta算出工程」と、コイル材Sがマルテンサイト組織に到達する時間を算出する「時間tb算出工程」と、コイル材Sを保温する「保温工程」の4つの工程を有する。
以下、各工程(特に、時間ta算出工程、時間tb算出工程)の詳細を説明し、その後、具体的なコイル材Sの冷却手順について説明する。
図2には、対象とされている熱延鋼材のTTT線図が示されている。
図2に示す如く、熱延鋼材の巻き取り温度をCTとした場合、この温度及び熱延鋼材の鋼種成分から、当該熱延材がフェライト・パーライト組織になるまでの時間taを求める。
まず、熱延鋼材の巻き取り温度CTに関しては、温度TA以上とする。この温度TAは、ベイナイト変態温度を基に決まるものであり、例えば、ベイナイト変態温度Bsと同じ値にしてもよく、ベイナイト変態がほぼ完了した温度(例えば、80%程度進んだ温度)とすることも可能である。
本実施形態の場合、温度TAをベイナイト変態温度Bsとしている。ベイナイト変態温度Bsは、Steven & Haynesの式(W. STEVEN and A. G. HAYNES, J. Iron Steel Inst. 183 (1956) 349; Iron and Steel, 29 (1956), 634.)を用い求めることとする。
TA(℃)=Bs=830-270C - 90Mn - 37Ni - 70Cr - 83Mo(in weight%)
一方、時間taは、図2のようなTTT線図(実測線図又は計算線図)を用いて算出する。求めた時間taは、巻き取り温度CTで巻き取ったコイル材Sを時間ta以上保温状態のままで保持することで、当該コイル材Sはフェライト・パーライト組織になることを意味する。
さらに、図2に示すように、熱延鋼材の巻き取り温度をCTとした場合、この温度及び熱延鋼材の鋼種成分、コイル材Sの形状、コイル材Sが置かれている雰囲気の温度(外気温)などから、当該熱延材を保温せず自然冷却した際に、コイル材Sの外周部がマルテンサイト組織になるまでの時間tbを求める。なぜならば、鋼組織がベイナイト又はマルテンサイト主体となると硬質化し、フェライト・パーライト組織となると軟質化するからであり、パーライト変態が完了する時間(先に求めた時間ta)を軟質化の目安としたからである。
この時間tbを求めるに際しては、コイル材Sの組織がマルテンサイト組織になる温度Ms(マルテンサイト変態の終了温度)を知る必要がある。この温度Msは、各鋼種毎に実験に基づきCCT線図を作成し、作成したCCT線図に基づいて求めてもよいし、変態速度式より数値計算してもよい。なお、実操業上は、鋼種成分ごとにまとめたグループや巻取温度CTごとに決める必要がある。
本実施形態の場合、マルテンサイト変態温度Msを温度TBとして、この温度TBに、コイル材Sの温度が到達する時間tbを求める。なお、温度TBは、マルテンサイト変態が完全に終了する温度に限定されず、変態がほぼ完了する温度(例えば、80%程度完了する温度)を採用してもよい。本実施形態では、Steven & Haynesを用いて温度Msを求めた(W. STEVEN and A. G. HAYNES, J. Iron Steel Inst. 183 (1956) 349; Iron and Steel, 29 (1956), 634.)。
TB(℃)=Ms=561 - 474C - 33Mn - 17Cr - 17Ni - 21Mo(in weight%)
このようにして得られた温度TBに、コイル材Sが到達する時間tbを求める。
コイル材Sの温度低下履歴は、本実施形態では数値シミュレーションにより求めた。シミュレーション計算の概略は以下の通りである。
Figure 0006177159
以上の計算方法に基づき、巻き取り温度CTで巻き取られたコイルの最外周端部がTBとなるまでの時間tbを求めた。なお、他の手法として、巻き取り温度CT毎に製造月毎に最低気温を想定し、数値計算して予め決めておいてもよく、伝熱モデルから得られる温度降下式を予め準備しておき、係る温度降下式を用いるなどの手法が採用可能である。
以上述べた熱延コイル材Sの冷却方法を用いて熱延後のコイル材Sを冷却し、所望とする製品特性を備えた熱延圧延鋼板を製造する方法について、説明を行う。
図2に示す如く、まず、熱延コイル材Sの冷却方法を実施するに際しては、事前の準備として、コイル材Sの鋼種成分と巻取温度CTとを基に、コイル材Sがフェライト・パーライト主体の組織になるまでの保持時間taを求める「時間ta算出工程」を行い、時間taの具体的な数値を求めておく。合わせて、コイル材Sに対する伝熱計算を行うことで、コイル材Sの外周部の温度低下状況を算出し、算出された温度低下状況を基に、コイル材Sが鋼種成分によって定まるマルテンサイト変態温度TB以下となるまでの時間tbを求める。すなわち「時間tb算出工程」を行って、時間tbの具体的な数値を求めておく。
その後、図1に示す熱間圧延ライン1により、鋳片を圧延し、所定の板厚にされた圧延材Wを巻取温度CTにおいて巻き取り機で巻き取るようにする。巻取温度CTは、圧延材Wの鋼種成分によって定まる「ベイナイト変態温度TA」以上とされる(コイル材巻き取り工程)。
巻き取り機で巻き取られたコイル材Sは、熱延コイル搬送コンベアにより熱延コイル置場4に搬送されて、そこで室温まで冷却される。この際、時間ta算出工程で求めた時間taが、時間tb算出工程で求めた時間tbより長い場合、コイル材Sの巻取り後、時間tb経過する以前に、コイル材Sを保温するようにする(保温工程)。コイル材Sの保温は、断熱材で構成された保温カバーをコイル材Sに被せるなどの手法が採用可能である。なお、保温を止める時間はta以上とすることが好ましい。
このように、コイル材Sの巻取り後、時間tb経過する以前に、コイル材Sを保温するようにすることで、図3に示す如く、本来であれば、図3中の(i)→(ii)→(iii)のようにコイル材Sの温度が低下してゆき、コイル材Sの外周側や周縁端がマルテンサイト組織となり、硬化する可能性大だった状況が回避される。その代わりに、図3中の(i)→(ii)→(iv)のようにコイル材Sの温度が変遷し、コイル材Sの外周側や周縁端がフェライト・パーライト組織となり、その後、図3中の(iv)→(v)のようにコイル材Sが冷却されるため、製品となったコイル材Sはフェライト中心の軟質な鋼材となって、コイル材S全体として均一な組織となる。
表1には、上記した熱延コイル材Sの冷却方法によりコイル材Sを冷却した例(実施例)と保温を実施しなかった比較例が示されている。
なお、コイル材Sの保温方法は、セラミックファイバー断熱材50mmをコイル材Sの周囲に巻くことにした。また、時間taに関しては、巻き取り温度CTがTA以下となる場合、taは存在しないこととした。
また、表1における軟質化結果であるが、コイル材Sの定常部(先端部や尾端部以外の長手方向中央部)における幅方向の硬度分布を測定し、中央部と縁端部の差が引張応力に換算した値で50MPa以上の場合、硬化が進んでいると判断して、軟質化結果:“×”とした。コイル材Sを保温した時間は、本実施例では全て3時間とした。
Figure 0006177159
表1の結果から明らかなように、本実施形態の熱延コイル材Sの冷却方法を適用したコイル材Sは、確実にフェライト・パーライト組織となり、軟質化が実現できた(実施例a,c,d,g,h,k,l,n,o)。一方で、比較例b,e,f,j,qでは、巻き取り温度CT<TAとなったため、コイル材Sのは軟質化しなかった。また、比較例i,m,pは、tb経過するまでに保温開始(もしくは保温そのもの)しなかったので、コイル材Sは軟質化しなかった。比較例rは、保温しなかったが、ta<tbとなる条件であったので、コイル材Sは軟質化した。
以上述べたように、本発明の熱延コイル材Sの冷却方法を採用することで、熱延後に巻き取られたコイル材Sを適切に冷却することで、フェライトをした軟質で均一な組織とすることができる。また、本発明の熱延コイル材Sの冷却方法及びその考え方を導入することで、全てのコイル材Sを保温する必要が無くなり、必要なコイル材Sのみを保温することができ、ひいては、熱延コイル置場4の有効活用が可能となる。
次に、本発明のコイル材Sの製造方法について説明する。
例えば、屋外から吹き込む風の影響でコイル材Sが予想よりも速く冷却される場合や、コイル材Sを保管する環境の温度が急激に変化するなどして予想以上の速度で冷却が進行するような場合には、上述した冷却方法で得られた時間tbが経過するより前に保温を開始したとしても、マルテンサイト変態が実際よりも速く起こってしまうといったことが起こり得る。このような場合には、保温を実施することを判断したタイミングにおける予測よりコイル材Sが早く冷えてしまい、保温実施時にはマルテンサイト変態温度TB以下までコイル材Sの温度が低下する可能性がある。そのため、時間tbが経過するより前に保温を開始したとしても、コイル材Sの一部がマルテンサイト変態を起こし、材質や強度の均一性が損なわれる可能性が出てくる。
そこで、本発明の熱延コイル材の製造方法では、上記した難点を克服すべく、上述した冷却方法を用いてコイル材S(熱延コイル材)を製造するに際しては、熱間圧延されたコイル材Sを保温する前に、コイル材Sの内周部の温度TCとコイル材Sの外周部の温度TCとの少なくとも一方を計測し、計測された温度TC、TCがマルテンサイト変態温度TBを下回る場合には、計測された温度TC、TCとマルテンサイト変態温度TBとの温度差に基づいて、マルテンサイト変態温度TBを下回るコイル材の領域Pを求め、保温後に、求めたコイル材の領域Pを切断して取り除き、領域Pが取り除かれたコイル材Sを製品としている。
具体的には、本発明の製造方法では、以降に示すような手順でコイル材Sを製造することとしている。すなわち、図4に示すように、熱間圧延されたコイル材Sを保温する前に、まずコイル材Sの内周部の温度TCと、コイル材Sの外周部の温度TCとを計測する。このコイル材の内・外周部の温度計測には、実際には熱電対を用いた温度センサが用いられる。例えば、先端に熱電対を有する温度センサを、保温前のコイル材Sの巻芯側に挿し込み、巻芯側で計測された温度をコイル材Sの内周部の温度TCとする。また、温度センサを保温前のコイル材Sの巻外側に押し当て、巻外側で計測された温度をコイル材Sの外周部の温度TCとする。
このようにして計測された内周部の温度TC及び外周部の温度TCの計測データを、制御部に送る。この制御部では、計測された温度TC及びTCが、上述したマルテンサイト変態温度TBを下回るかどうかが、最初に判断される。温度TC及びTCのいずれかがマルテンサイト変態温度TBを下回る場合には、保温する前にコイル材Sのマルテンサイト変態が起こっていると考えることができ、マルテンサイト変態により生成された硬質な不良部を切り捨てるカット処理が必要となる。
そこで、制御部では、このカット処理で切り捨てるコイル材Sの領域P、つまり「カット処理を行う領域P」を、次に決定する。
この領域Pの決定は、計測された温度TC及びTCとマルテンサイト変態温度TBとの温度差に基づいて行われる。
すなわち、コイル材Sの内部では径方向に沿って温度が一定の変化率で変化していると考えれば、計測された内周部の温度TC及び外周部の温度TCの計測データを用いて、コイル材Sの径方向における単位長さ当たりの温度変化率α(℃/mm)を求めることができる。このようにして温度変化率αが得られたら、計測された温度TC及びTCとマルテンサイト変態温度TBとの温度差δTを計算により求める。例えば、外周部の温度TCがマルテンサイト変態温度TBより低い場合であれば、外周部の温度TCとマルテンサイト変態温度TBとの温度差δTをまず計算により求める。求められた温度差δTを温度変化率αで除したものが、マルテンサイト変態温度TBよりも低い温度を示す領域Pとなる。このようにして求められた領域Pは、コイル材の巻外から径内側に向かって不良部がどの程度の厚み(径方向に沿った長さ)存在するかを示しており、巻外から巻芯側にP(m)の厚みだけコイル材をカットすれば、硬質な不良部が製品コイルに含まれることを防止することが可能となる。
なお、上述したPは巻外からの厚みとして示したが、Pをコイル材Sの巻き数として示して、不良部のカットを行っても良い。例えば、コイル材Sの板厚h(mm)が既知の場合は、δTをαとhとで除したものが、巻き数で示されたカット処理を行う領域Pとなる。
このようにしてカットして取り除かれるコイル材Sの領域Pが決定されたら、保温後のコイルを適宜カットできるラインに送り、決定されたコイル材Sの領域Pをカットして取り除く。このようにすれば硬質な不良部を取り除くことができ、不良部を含まないコイル材を製品として得ることが可能となる。
表2には、上記した熱延コイル材Sの製造方法により製造されたコイル材Sの実施例が示されている。これらの実験例s〜uは、いずれも上述した方法により硬質な不良部を切り取ったものである。各実験例のマルテンサイト変態温度TBは423℃〜415℃の範囲でそれぞれ異なっており、このTBを用いて算出される領域Pも実験例毎に異なる巻き数(実験例sが0巻、実験例tが5巻、実験例uが7巻)となっている。このようにして決定された領域Pを外周から不良部分としてカットで除いた結果、軟質化の結果も良好なものとなっている。これらの結果からも、上述した方法で決定された領域Pをカットした場合には、マルテンサイト変態により硬質化した不良部分が含まれないコイル材Sを確実に得ることができると判断される。
Figure 0006177159
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
例えば、上述した熱延コイル材Sの製造方法では、コイル材Sの巻外側の温度と巻芯側の温度とを計測した例を挙げたが、温度の計測場所は2箇所に限定されない。巻外側及び巻芯側の2箇所以外にも、巻中側の温度を計測するようにして、3箇所以上の温度を計測するようにしても良い。また、温度を計測する箇所も、径方向に離れた場所であれば良く、巻外側や巻芯側に限定されるものではない。
1 熱間圧延ライン
2 連続仕上圧延機
3 水冷手段
4 熱延コイル置場
S コイル材
W 圧延材

Claims (2)

  1. 熱間圧延された圧延材を巻取ってなるコイル材の冷却方法であって、
    (i) 圧延材の鋼種成分によって定まるベイナイト変態温度を基に決まる温度TA以上の巻取温度CTにて圧延材をコイル材へと巻き取り、
    (ii) 前記圧延材の鋼種成分と巻取温度CTとを基に、コイル材がフェライト・パーライト組織になるまでの保持時間taを求め、
    (iii) コイル材に対する伝熱計算を行うことで、コイル材の外周部の温度低下状況を算出し、算出された温度低下状況を基に、前記コイル材が当該コイル材の鋼種成分によって定まるマルテンサイト変態温度TB以下となるまでの時間tbを求め、
    (iv) 時間ta>時間tbとなる場合、コイル材の巻取り後、時間tb経過する以前に、コイル材を保温し、時間ta>時間tbとならない場合、コイル材を保温しない
    ことを特徴とする熱延コイル材の冷却方法。
  2. 請求項1に記載の冷却方法を用いて熱延コイル材を製造するに際しては、
    前記熱間圧延されたコイル材を保温する前に、前記コイル材の内周部の温度と前記コイル材の外周部の温度との少なくとも一方を計測し、
    前記計測された温度がマルテンサイト変態温度TBを下回る場合には、前記計測された温度とマルテンサイト変態温度TBとの温度差に基づいて、前記マルテンサイト変態温度TBを下回るコイル材の領域Pを求め、
    前記保温後に、前記求めたコイル材の領域Pを切断して取り除き、前記領域Pが取り除かれたコイル材を製品とする
    ことを特徴とする熱延コイル材の製造方法。
JP2014034275A 2013-03-07 2014-02-25 熱延コイル材の冷却方法、及び熱延コイル材の製造方法 Active JP6177159B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014034275A JP6177159B2 (ja) 2013-03-07 2014-02-25 熱延コイル材の冷却方法、及び熱延コイル材の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013045681 2013-03-07
JP2013045681 2013-03-07
JP2014034275A JP6177159B2 (ja) 2013-03-07 2014-02-25 熱延コイル材の冷却方法、及び熱延コイル材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014195833A JP2014195833A (ja) 2014-10-16
JP6177159B2 true JP6177159B2 (ja) 2017-08-09

Family

ID=52357071

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014034275A Active JP6177159B2 (ja) 2013-03-07 2014-02-25 熱延コイル材の冷却方法、及び熱延コイル材の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6177159B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3858540B2 (ja) * 1999-11-30 2006-12-13 Jfeスチール株式会社 材質均一性に優れた高加工性熱延高張力鋼板の製造方法
JP2005206938A (ja) * 2003-12-25 2005-08-04 Jfe Steel Kk 構造用Fe−Cr系鋼板とその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014195833A (ja) 2014-10-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6855894B2 (ja) 無方向性電磁鋼板及びその製造方法
KR20160048991A (ko) 선재, 과공석 베이나이트 강선 및 그것들의 제조 방법
JP7008532B2 (ja) 冷間圧延方法
JP2021154388A (ja) 熱延鋼板の製造方法、熱延鋼板の温度履歴予測方法及び熱延鋼板の硬質化部予測方法
JP2016501133A (ja) 高強度鋼の形状矯正及び圧延方法と形状矯正装置
JP6252499B2 (ja) 熱延鋼帯、冷延鋼帯及び熱延鋼帯の製造方法
JP2000256740A (ja) 熱間圧延線材の製造方法
JP5796781B2 (ja) ばね加工性に優れた高強度ばね用鋼線材およびその製造方法、並びに高強度ばね
JP6177159B2 (ja) 熱延コイル材の冷却方法、及び熱延コイル材の製造方法
JP2003183733A (ja) 線材の製造方法
JP6948565B2 (ja) マルテンサイト系ステンレス鋼帯の製造方法
JP2021528562A (ja) 980MPa以上の冷間圧延または亜鉛めっき二相鋼板の製造方法
JP2009214112A (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP6884589B2 (ja) 冷間圧延方法
JP5776846B2 (ja) マルエージング鋼コイルの製造方法
JP2015116596A (ja) 熱延鋼帯の製造方法
JP2017124411A (ja) 連続鋳造スラブの切断後の加熱方法および加熱設備
US20200392600A1 (en) High-carbon cold rolled steel sheet and method for manufacturing same
JP5344329B2 (ja) 熱間圧延マルエージング鋼帯の巻取り方法
US6682612B2 (en) Method of heat treatment of wire
US20240216967A1 (en) Method for producing steel sheet for cold rolling and method for producing cold-rolled steel sheet
JP2017221968A (ja) 棒鋼の冷却方法
JP2022146666A (ja) 熱延コイルの製造方法
CN117344121A (zh) 一种多用途热卷热处理设备
KR20130134332A (ko) 철근 및 그 제조 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160901

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170524

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170530

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170628

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170711

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170711

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6177159

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150