JP6176576B2 - シロッコファン - Google Patents

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Description

本発明は、シロッコファンに関する。
渦巻き型のケーシングの軸方向一方の面にモータを備え、モータの軸方向からケーシングの内部に空気を取り入れ、渦巻き型のケーシングの周方向開口部に空気を吹き出すシロッコファンがある。軸方向からケーシングの内部に空気を取り入れるには、モータのシャフトに固定されたインペラの回転によるが、インペラの構造はモータの外周の離間した位置に配置される多翼部とシャフトに固定されるロータハウジングと、これらをつなぐスポークによって形成される。ケーシングの吸入口から流入した空気は、ロータハウジングと多翼部の間を通り、翼の間の隙間から外周に排出される。この時流入した空気はスポークにも衝突するため、空力性能が低下し、有効な仕事ができないという問題がある。これを解決するためにスポークの前縁上部と後縁下部を面取りした形状が知られている(たとえば特許文献1参照)。特許文献1ではこの構造により空気の衝突を最小限に抑えることができるとしている。
特開2001−271791号公報
しかしながら、空気のスポークへの衝突は、空気の流入方向の垂直な面でかつ径方向の多翼部に近い部分で強く起きているため、スポークの前縁上部と後縁下部を面取りしただけでは、十分な効果は得られず、空力性能の低下は防げない。よって効率の低下や消費電力の上昇を招いている。
本発明はこのような問題に鑑みて行われたものであり、空気のスポークへの衝突を低減し、効率を上昇し消費電力を改善したシロッコファンの提供を目的とする。
上記課題を解決するために、(1)本発明は、軸方向から空気を取り入れる吸入口と、周方向に空気を吐き出す排出口を有するシロッコファンであって、ベース部を一方の面に有するケーシングと、前記ベース部にシャフトが垂直方向に取り付けられたモータ部と、前記モータ部の駆動によって前記シャフトの周りに回転するロータハウジングと、前記ロータハウジングの周りに前記シャフトと同軸に配置される多翼部と、前記ロータハウジングと前記多翼部とを連結するスポークと、を備え、前記スポークは前記ロータハウジングに接続する側の幅よりも前記多翼部に接続する側の幅が幅狭となっており、前記スポークの両辺のうち回転方向前縁側の辺は、半径線と平行な線よりも後縁側に傾いているシロッコファンを提供する。
(2)上記構成において、前記軸方向からの空気を取り入れる前記吸入口は、前記ベース部を有する面とは逆の面にあり、前記多翼部と前記ロータハウジングをつなぐ前記スポークの軸方向の位置は、前記ロータハウジングの中央付近に連結している(1)に記載のシロッコファンを提供する。
(3)上記構成において、前記軸方向からの空気を取り入れる前記吸入口は、前記ベース部を有する面と前記ベース部を有する面の逆の面の両方にあり、前記多翼部と前記ロータハウジングをつなぐ前記スポークの軸方向の位置は、前記ロータハウジングの中央付近に連結している(1)に記載のシロッコファンを提供する。
(4)上記構成において、前記軸方向からの空気を取り入れる前記吸入口は、前記ベース部を有する面と前記ベース部を有する面の逆の面の両方にあり、前記多翼部と前記ロータハウジングをつなぐ前記スポークの軸方向の位置は、前記ロータハウジングのベース部側に近い箇所に連結している(1)に記載のシロッコファンを提供する。
本発明によれば、空気のスポークへの衝突を低減し、効率を上昇し消費電力を改善したシロッコファンを提供することができる。
本発明の実施形態に係るシロッコファンの上面図である。 本発明の実施形態に係るシロッコファンのインペラを示す図である。 本発明の実施形態に係るシロッコファンのスポークを説明するための図である。 図1の側断面図であって、片面吸い込みのシロッコファンの例を示す図である。 他の実施形態に係るシロッコファンの側断面図である。 他の実施形態に係るシロッコファンの側断面図である。 シミュレーションによる圧力変動を示す図である。 (a)は、図4で示した実施形態のシロッコファンと従来品のP−Q特性と消費電力を比較したグラフ、(b)は、図4で示した実施形態のシロッコファンと従来品のP−Q特性と効率を比較したグラフを示す図である。 (a)は、図5で示した実施形態のシロッコファン1Bと従来品のP−Q特性と消費電力を比較したグラフ、(b)は、図5で示した実施形態のシロッコファン1Bと従来品のP−Q特性と効率を比較したグラフを示す図である。 (a)は、図6で示した実施形態のシロッコファン1Cと従来品のP−Q特性と消費電力を比較したグラフ、(b)は、図6で示した実施形態のシロッコファン1Cと従来品のP−Q特性と効率を比較したグラフを示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
図1は、本発明の実施形態に係るシロッコファンの上面図である。図2は、本発明の実施形態に係るシロッコファンのインペラを示す図である。図1及び図2に示すように、シロッコファン1Aは、軸方向から空気を取り入れる吸入口15(図4参照)と、周方向に空気を吐き出す排出口16を有する。シロッコファン1Aは、渦巻き型のケーシング10を有し、このケージングは、ベース部11を一方の面に有する。
ベース部11にはモータ部20がシャフト21を垂直方向にして取り付けられている。このモータ部20は、ステータヨークに絶縁のためのインシュレータを嵌合させ、インシュレータ外周に巻き線が巻回され、ケーシングのベース部11に固定されたステータと、ステータの外周に配置されたロータヨークと、ロータヨークの内周面に固定されたマグネットと、ロータヨークの中心軸に固定され、回転可能に支持されたシャフト21とを備えたロータによって形成されている。
ロータハウジング22は、モータ部20の駆動によってシャフト21の周りに回転するよう構成されている。ロータハウジング22の周りにはシャフト21と同軸に配置される多翼部30が配置されている。ロータハウジング22と多翼部30は複数のスポーク25によって連結され、インペラ40を構成する。
図3は、本発明の実施形態に係るシロッコファンのスポークを説明するための図である。図3に示すように、スポーク25の形状は、ロータハウジング22に接続する側の幅よりも多翼部30に接続する側の幅が幅狭となっており、スポーク25の両辺のうち回転方向前縁側の辺26は、半径線と平行な線よりも後縁側に傾いている構造となっている。本実施形態のスポーク25の前縁側の辺26は、従来のスポークの前縁側の辺Aよりも、後縁側の辺27側に傾いている構造となっている。
図4は、図1の側断面図である。図4に示すように、片面吸い込みのシロッコファン1Aは、軸方向からの空気を取り入れる吸入口15がベース部11を有する面とは逆の面に設けられている。多翼部30とロータハウジング22をつなぐスポーク25の軸方向の位置は、ロータハウジング22の軸方向中央付近に連結している。
図5は、他の実施形態に係るシロッコファン1Bの側断面図である。図5は、両面吸い込みの場合のシロッコファン1Bの例である。図5に示すように、シロッコファン1Bは、軸方向からの空気を取り入れる吸入口15B、ベース部11Bを有する面とベース部11Bを有する面の逆の面の両方の上下に設けられている。多翼部30とロータハウジング22をつなぐスポーク25Bは、回転方向前縁側の辺が、半径線と平行な線よりも後縁側に傾いている。スポーク25Bの軸方向の位置は、ロータハウジング22の軸方向中央付近に連結している。
図6は、他の実施形態に係るシロッコファン1Cの側断面図である。図6は、両面吸い込みの場合のシロッコファン1Cの例である。図6に示すように、シロッコファン1Cは、軸方向からの空気を取り入れる吸入口15C、15Cが、ベース部11Cを有する面とベース部11Cを有する面の逆の面の両方の上下に設けられている。多翼部30とロータハウジング22をつなぐスポーク25Cは、回転方向前縁側の辺が、半径線と平行な線よりも後縁側に傾いている。スポーク25Cの軸方向の位置は、ロータハウジング22の軸方向ベース部11C側に近い箇所に連結している。
図7は、シミュレーションによる圧力変動を示す図である。図7において、一般のスポークを持つインペラの上面図に圧力変動の高い部分を、ハッチング表示している(参照符号B)。通常のスポークの形状は、ロータハウジングに接続する側と多翼部に接続する側の幅は等しいのに対して、本実施形態では、多翼部30側に接続する側の幅をロータハウジング22に接続する側の幅よりも幅狭にしている。さらにスポーク25の両辺のうち回転方向前縁側の辺は、半径線と平行な線よりも後縁側に傾いたスポーク25としている。その理由は、図7に示すシミュレーションの結果より明らかなように、スポークは回転方向前縁側でかつ、多翼部側にて高い圧力変動を受けているからである。この圧力変動の高い部分を取り除いてやることにより、流入空気のスポークへの衝突が軽減され、無理なく外周に空気が流出されるようになるため、効率が上昇し消費電力が減少すると考えられる。
図1〜図4に示したシロッコファン1Aでは、ケーシング10上部のみに吸入口15が開口した状態でロータハウジング22の中央にスポーク25が設置された状態では、流入空気は吸入口15からスポーク25の軸方向上下に流れ込むため、流入空気がスポーク25を通過する際にスポーク25への衝突が起きるため、本実施形態のスポーク25の形状を採用するのが有効となる。
図5に示したシロッコファン1Bでは、ケーシング10の上部と下部の両方に吸入口15Bが設置され、ロータハウジング22の中央にスポーク25Bが設置された状態では、上下からの流入空気がスポーク25Bに衝突するため、本実施形態のスポーク25Bの形状を採用するのが有効となる。
図6に示したシロッコファン1Cでは、ケーシング10の上部と下部の両方に吸入口15Cが設置され、ロータハウジング22のベース部11C側に近い箇所にスポーク25Cが設置された状態では、下方からの流入空気がスポーク25Cを通過する際にスポーク25Cに衝突するため、本実施形態のスポーク25Cの形状を採用するのが有効となる。なお、ケーシング10上部のみに吸入口が設置されロータハウジング22のベース部11よりにスポークを設置した場合は、流入空気がスポークを通過する量が少ないため、本実施形態の形状を採用しても効果は薄い。なお、スポーク25の本数は、送風機の大きさや、モータの性能によって、随時設計される。
次に、本構造の実証結果について説明する。図8(a)は、図4で示した実施形態のシロッコファン1Aと従来品のP−Q特性と消費電力を比較したグラフ、(b)は、図4で示した実施形態のシロッコファン1Aと従来品のP−Q特性と効率を比較したグラフを示す図である。図9(a)は、図5で示した実施形態のシロッコファン1Bと従来品のP−Q特性と消費電力を比較したグラフ、(b)は、図5で示した実施形態のシロッコファン1Bと従来品のP−Q特性と効率を比較したグラフを示す図である。図10(a)は、図6で示した実施形態のシロッコファン1Cと従来品のP−Q特性と消費電力を比較したグラフ、(b)は、図6で示した実施形態のシロッコファン1Cと従来品のP−Q特性と効率を比較したグラフを示す図である。図8〜図10に示すように、P−Q特性ではほとんど差はないが、効率が上昇し消費電力が改善されていることがわかる。
本実施形態のシロッコファン1A、1B、1Cによれば、ロータハウジング22と多翼部30を連結するスポーク25、25B、25Cは、ロータハウジング22側の幅よりも多翼部30側の幅が幅狭となっており、スポーク25、25B、25Cの両辺のうち回転方向前縁側の辺26は、半径線と平行な線よりも後縁側に傾いている。したがって、スポークへの流入空気の衝突を軽減できるため、効率が上昇し消費電力が減少する。
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1A、1B、1C シロッコファン
11、11B、11C ベース部
15、15B、15C 吸入口
16 排出口
20 モータ部
22 ロータハウジング
25、25B、25C スポーク
30 多翼部

Claims (4)

  1. 軸方向から空気を取り入れる吸入口と、周方向に空気を吐き出す排出口を有するシロッコファンであって、
    ベース部を一方の面に有するケーシングと、
    前記ベース部にシャフトが垂直方向に取り付けられたモータ部と、
    前記モータ部の駆動によって前記シャフトの周りに回転するロータハウジングと、
    前記ロータハウジングの周りに前記シャフトと同軸に配置される環状の多翼部と、
    前記ロータハウジングと前記環状の多翼部の内周とを連結するスポークと、を備え、
    前記スポークは前記ロータハウジングに接続する側の幅よりも前記多翼部に接続する側の幅が幅狭となっており、前記スポークの両辺のうち回転方向前縁側の辺は、半径線と平行な線よりも後縁側に傾いていることを特徴とするシロッコファン。
  2. 前記軸方向からの空気を取り入れる前記吸入口は、前記ベース部を有する面とは逆の面にあり、
    前記多翼部と前記ロータハウジングをつなぐ前記スポークの軸方向の位置は、前記ロータハウジングの中央付近に連結していることを特徴とする請求項1に記載のシロッコファン。
  3. 前記軸方向からの空気を取り入れる前記吸入口は、前記ベース部を有する面と前記ベース部を有する面の逆の面の両方にあり、
    前記多翼部と前記ロータハウジングをつなぐ前記スポークの軸方向の位置は、前記ロータハウジングの中央付近に連結していることを特徴とする請求項1に記載のシロッコファン。
  4. 前記軸方向からの空気を取り入れる前記吸入口は、前記ベース部を有する面と前記ベース部を有する面の逆の面の両方にあり、
    前記多翼部と前記ロータハウジングをつなぐ前記スポークの軸方向の位置は、前記ロータハウジングのベース部側に近い箇所に連結していることを特徴とする請求項1に記載のシロッコファン。
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