以下、本発明の実施形態に係るランプ装置について図1乃至図10を参照して説明する。図1乃至図6は、ランプ装置を示し、図7及び図8は、発光モジュールを示し、図9及び図10は、本実施形態と比較例における製造工程の一部を示している。なお、各図において同一部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
図1乃至図6に示すように、ランプ装置は、本体1と、光源部2としての発光モジュールと、口金部3と、点灯装置4と、絶縁部材5と、グローブ6とを備えている。このようなランプ装置は、略薄型円盤状の外観に形成され、前面側を光の照射面とし、背面側を照明装置のソケットへの取付面としている。
本体1は、熱伝導性を有していて、熱伝導性の良好な材料、例えば、アルミニウム合金製のダイカスト成形で作られている。また、本体1は、ベース部11、筒状部12及び放熱フィン13を一体的に有して白色の塗装が施されている。
ベース部11は、略円形板状に形成されており、前面側に光源部2の取付面14が形成され、背面側に筒状部12及び複数の放熱フィン13が形成されている。取付面14は、図3及び図6に示すように、円形状の厚板に形成されており、その中央部には光源部2の配設部分の周囲を略四角形状に取り囲むようにリブ状に突出する突出壁15が形成されている。
なお、この突出壁15により、例えば、本体1を静電塗装する場合、突出壁15内、つまり、光源部2の配設部分への塗料の流れ込みを抑制することができる。すなわち、本体1への静電塗装は、取付面14へ冶具を配置し取付面14が塗装されないように行われる。そして、塗装後は本体1を加熱し塗料を定着させる。ここで、本体1を加熱する前に本体1から冶具を取り除く必要があるが、冶具を取り除く際に取付面14と冶具との間に負圧が発生し、取付面14の周囲に付着した塗料が取付面14側に吸い込まれる現象が生じる。しかしながら、本実施形態では取付面14の周囲に突出壁15を形成しているので、この吸い込みを抑制し、取付面14への塗料の付着を低減させることができる。したがって、光源部2と取付面14との間に塗料が介在して熱伝導を妨げるのを防止することができる一方、光源部2の配設部分以外への塗装を確実に行うことが可能となる。
また、ベース部11における前面側の外周部には、円筒状のグローブ嵌合部16が形成
されている。
さらに、図1乃至図3、図5に示すように、ベース部11の背面側には、略円筒状に立設された筒状部12が形成されており、この筒状部12によって内側に配設凹所18(図5参照)が形成されている。この配設凹所18には、点灯装置4が配設されるようになっている。
図1乃至図6に示すように、ベース部11の背面側から鉛直方向に立設するように複数の放熱フィン13が設けられている。
詳しくは、放熱フィン13は、筒状部12の外周及びベース部11の背面側に接続されていて、筒状部12の外周から放射状に延出するように配設されている。また、図3に代表して示すように、各放熱フィン13は、略長方形状の板状に形成されており、隣接する相互の放熱フィン13は、ほぼ等間隔を空けて配設されている。
このような放熱フィン13は、図3に代表して示すように、筒状部12の外周に接続された長さ寸法、すなわち、接続長さ寸法Laよりベース部11の背面側に接続された長さ寸法、すなわち、接続長さ寸法Lbが大きく形成されており、La<Lbの寸法関係となっている。
さらに、筒状部12の厚さ寸法taより取付面14の厚さ寸法tbが大きく形成されており、ta<tbの寸法関係となっている。
なお、放熱フィン13が接続されるベース部11の厚さ寸法を、取付面14の厚さ寸法tbと同等として筒状部12の厚さ寸法taより大きくなるように形成してもよい。
なお、ベース部11における光源部2の取付面14には、光源部2と点灯装置4とを電気的に接続する電線を通すための四角形状の配線孔11aや光源部2を取付面14に取付けるための図示を省略する取付ねじが貫通する貫通孔11b、口金部3を本体1の背面側に取付ける取付ねじが貫通する貫通孔11c等が形成されている。
図3、図6乃至図8に示すように、光源部2は発光モジュールによって構成されており、基板21と、この基板21に実装された複数の発光素子22とを備えている。基板21は、アルミニウム等の熱伝導性が良好で放熱性に優れたべース板の一面に絶縁層が積層された金属製のべース基板からなり、略四角形状に形成されている。絶縁層の上には銅箔の配線パターン層24が形成されており、また、適宜白色のレジスト層が積層されるようになっている。
さらに、基板21には、コネクタ23が配設されており、このコネクタ23に点灯装置4の図示しない出力線が接続されるようになっている。
詳しくは、図7及び図8に示すように、基板21は、角部がカットされた略長方形状をなしていて、角部には、外側に開放して切欠かれた円弧状のねじ取付貫通部21aが形成されている。
配線パターン層24は、基板21の略中央部の一面に多角形状の領域をなして形成されている。この領域は、多数のブロック状のパターンによって形成されており、各ブロック状のパターンに複数の発光素子22及びコネクタ23が電気的に接続されるようになっている。
本実施形態の基板21は、基板21の外周端から配線パターン層24までの最小距離αが4mm以上になるように形成されている。つまり、充電部である配線パターン層24が形成される領域の周囲は、沿面距離を確保し絶縁性能を保つため、基板21の外周端から4mm以上の距離が空くように形成されている。これにより、例えば、基板21の裏面側と基板21が取付けられる本体1との間に格別な絶縁体を介在させることなく絶縁性を確保することが可能となり、部品点数を少なくすることができる。
具体的には、基板21の外周端から配線パターン層24までの距離が最小となるのは、コネクタ23が接続される部位の配線パターン層24であり、少なくともこの部分において最小距離αが4mm以上になるように形成されている。因みに、本実施形態においては、この最小距離αは、7mm程度となっている。
また、配線パターン層24が形成された領域の面積S1と基板面の面積S2との比率は、基板面において略直交する各線上、すなわち、水平線上LH及び垂直線上LVにおける配線パターン層24が形成された領域の最大幅寸法をA及びBとし、基板21の外周端から配線パターン層24までの最小距離をαとしたとき、1:1+(4α2+2α(A+B))/AB以上となるように形成されている。
すなわち、配線パターン層24が形成された領域の面積S1は、近似的にA×Bによって求められる。一方、基板面の面積S2は、絶縁距離を勘案、つまり、基板21の外周端から配線パターン層24までの最小距離αを勘案すると、水平線上LHの幅寸法は、A+2αとなり、垂直線上LVの幅寸法は、B+2αとなるため、近似的に(A+2α)×(B+2α)によって求められる。
これらに基づき、配線パターン層24が形成された領域の面積S1と基板面の面積S2との比率を求めると、1:1+(4α2+2α(A+B))/ABとなる。
したがって、この比率以上に配線パターン層24の面積S1と基板面の面積S2とを規定することにより、絶縁性が確保され、基板面の面積S2が所定の広さに設定され放熱性を向上することが可能となる。つまり、基板面の面積S2が広く設定されることにより、基板21の裏面側と基板21が取付けられる本体1との接触面積が増加し、伝熱が良好に行われるようになる。
また、配線パターン層24が形成された領域の面積S1と基板面の面積S2との比率を1:1+(4α2+2α(A+B))/ABに近づけることにより、基板面の面積S2が減少し、基板21の裏面側と基板21が取付けられる本体1との接触面積が減少する傾向となるが、基板21を小形化してコストアップの抑制を図ることが可能となる。
なお、上記配線パターン層24が形成された領域の面積S1と基板面の面積S2との関係を換言すれば、配線パターン層24が形成された領域の面積S1に対する基板面の面積S2の比は、基板面において略直交する各線上LH及びLVにおける配線パターン層24が形成された領域の最大幅寸法をA及びBとし、基板21の外周端から配線パターン層24までの最小距離をαとしたとき、1+(4α2+2α(A+B))/AB以上であるということができる。
上記説明において、基板21の形状は、略長方形状に形成されたものについて説明したが、例えば、略正方形状であってもよく、また、一辺が円弧状に形成される場合や対向する一対の辺が円弧状に形成される場合であってもよく、格別その形状が限定されるものではない。加えて、配線パターン層24が形成された領域についても同様に、格別その形状が限定されるものではない。
発光素子22は、LEDであり、SMD(surface mount device)のパッケージである。概略的にはセラミックスや合成樹脂で形成されたキャビティに配設されたLEDチップと、このLEDチップを封止するエポキシ系樹脂やシリコーン樹脂等のモールド用の透光性樹脂とから構成されている。このようなLEDが基板21に複数個実装されている。
LEDチップは、青色光を発光する青色のLEDチップである。透光性樹脂には、蛍光体が混入されており、白色光を出射できるようにするために、青色の光とは補色の関係にある黄色系の光を放射する黄色蛍光体が使用されている。
なお、LEDは、LEDチップをCOB(chip on board)方式で直接基板に実装するようにしてもよく、実装方式や形式は、格別限定されるものではない。
以上のような発光モジュールにおいて、基板21における配線パターン層24は、基板21の外周端から最小距離αが4mm以上になるように形成されている。また、配線パターン層24が形成された領域の面積S1に対する基板面の面積S2の比は、1+(4α2+2α(A+B))/AB以上となるように規定されている。このような構成により、絶縁性能が確保され、放熱性を向上することができる好適な発光モジュールの実現が可能となる。
また、基板21がベース部11の取付面14における突出壁15に囲まれるように配置されねじ止めされて配設されている。したがって、基板21の側面は、突出壁15にガイドされて配置され位置決めされるようになる。このため、基板21の配置作業が効率的に行うことができる。また、基板21の裏面側は、取付面14に密着し、熱的に結合されるようになる。
図1乃至図3、図5及び図6に示すように、口金部3は、IEC規格のGX53形の口金構造に形成されたものであり、口金部本体31、突出部32及び一対の電極ピン33を有して形成されている。
口金部本体31及び突出部32は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等の合成樹脂により、それぞれ平坦状の背面壁31a、32a、及び円筒状の側面壁31b、32bを有して一体成形されている。突出部32は、口金部本体31の背面壁31aの中央部において背面側方向に突出されていて、図示しない周知のソケット装置の挿通孔に挿入可能な大きさに形成されている。
一対の電極ピン33は、例えば、黄銅からなり、先端部は、径大に形成され、口金部本体31の背面壁31aに形成された孔31cに内側から嵌入されている。また、背面壁31aの面上に突出して設けられているとともに、突出部32に隣接しかつ突出部32を挟んで対向する位置に設けられている。
この一対の電極ピン33は、口金部本体31の内部において、点灯装置4の入力端子に接続されている。このような一対の電極ピン33は、図示しないソケット装置の一対の受金に電気的に接続されるようになっている。
また、図3乃至図6に示すように、口金部本体31の側面壁31bにおける開口縁には、通気口31dが形成されている。通気口31dは、略台形状に切欠かれた切欠口であり、側面壁31bの開口縁において120°の間隔を空けて複数形成されており、具体的には、3箇所に通気口31dが形成されている。
さらに、図6に代表して示すように、口金部本体31の内側には、複数個のボス31eが突出形成されている。このボス31eは、口金部本体31の周回方向において、120°の間隔を空けて複数形成されている。ボス31eには、ねじ穴が形成されており、本体1のベース部11における前面側から絶縁部材5を介して図示しない取付けねじがボス31eのねじ穴にねじ込まれる。
これにより、本体1の背面側と口金部3の前面側との間に、点灯装置4及び絶縁部材5が配設されて一体化されている。
図3、図5及び図6に示すように、点灯装置4は、回路基板41及び回路基板41に実装された点灯回路部品42を有している。回路基板41は、例えば、ガラスエポキシ樹脂等の合成樹脂基板からなり、略四角形状に形成され、抵抗、電解コンデンサ、トランス、半導体素子等の電子部品等からなる点灯回路部品42を実装している。
また、回路基板41には、図示しない入力端子及び出力端子が配設されている。入力端子には、一対の電極ピン33が接続されており、外部電源の交流電圧(例えば、AC100V)が点灯装置4に入力されるようになっている。また、出力端子には、光源部2のコネクタ23に接続される出力線が接続されている。
点灯装置4は、点灯回路部品42により発光素子22を点灯制御する点灯回路を形成している。したがって、点灯装置4に外部電源が給電されると、点灯装置4が動作し、外部電源の交流電圧を整流平滑し、所定の直流電圧に変換して、発光素子22に定電流を供給する。
このような点灯装置4は、本体1における筒状部12の内側に配設されている。具体的には、点灯装置4は、筒状部12によって形成された配設凹所18に絶縁部材5を介して配設され、背面側が口金部3に覆われて収容されるようになっている。
図3乃至図6に示すように、絶縁部材5は、例えば、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂からなり、平坦状の底板部51及び、この底板部51の周縁から立設するように形成された立上部52を有して浅皿状に形成されている。さらに、立上部52の縁部には、120°の間隔を空けて3箇所に切欠口52aが形成されている。
絶縁部材5は、本体1の背面側、すなわち、筒状部12の内側の配設凹所18に配置され、主として本体1と点灯装置4とを絶縁する機能を有している。このように絶縁部材5の周縁には、立上部52が形成されているので、平板状の絶縁部材5の強度を向上することが可能となる。また、この立上部52は、後述するように通気経路の通気抵抗として作用するようになっている。
さらに、絶縁部材5の底板部51には、前記一対の電極ピン33を裏側から支持する円筒状の突起部53や本体1に形成された配線孔11aを貫通して絶縁性を保持する角筒状の絶縁筒部54が形成されている。
図3、図5及び図6に示すように、グローブ6は、本体1におけるグローブ嵌合部16に取付けられている。グローブ6は、透光性を有する例えば、PC(ポリカーボネート)樹脂にて有底扁平筒状に形成されたものであり、平面部61、側壁部62及び係止片63を有している。
平面部61は、円形状であって、その内外面がそれぞれ平面状に形成されている。側壁部62は、平面部61の外周縁にその周回に亘って連設するとともに、平面部61に対して略直角に起立するように形成されている。
さらに、平面部61の内面側における外周部には、フレネルレンズ64が形成されている。フレネルレンズ64は、平面部61の中央部を中心として同心円上に複数形成され、断面が略三角形状に形成された凹凸から構成されている。このフレネルレンズ64によって発光モジュールから出射された光が例えば、平行光となって前面側へ放射されるようになる。
係止片63は、側壁部62に120°の間隔を空けて、側壁部62に連設し平面部61に対して略直角に起立して設けられ、先端側に爪部を有している。そして、グローブ6は、側壁部62が本体1のグローブ嵌合部16の内周面に嵌め込まれ、係止片63の爪部がグローブ嵌合部16の内周側に形成された係止凹部に係止して、本体1に取り付けられる。
このように、グローブ6は、その平面部61が光源部2に正対し、本体1の前面側を覆っている。
次に、上記ランプ装置が装着された照明装置について図11を参照して説明する。照明装置は、例えば、天井面に埋め込まれて設置されるダウンライトである。ダウンライトは、装置本体100と、反射板101と、ソケット装置102と、このソケット装置102に装着されたランプ装置とを備えている。
装置本体100は、下端側に開口部を有して箱状に形成されており、この装置本体100内には、例えば、白色塗装により反射面が形成された反射板101が収容されている。また、反射板101の中央部には、ソケット装置102が配設されており、反射板101の開口縁部には、外方に延出する環状のフランジ部が形成されている。
ソケット装置102は、GX53形の口金である口金部3を装着する周知の構成で形成されている。ランプ装置は、その口金部3の突出部32がソケット装置102の図示しない挿通孔に挿入され、その一対の電極ピン33がソケット装置102の図示しない一対の接続孔に挿入された後、回動されることにより、ソケット装置102に固定されている。同時に、一対の電極ピン33がソケット装置102の図示しない一対の受金に電気的に接続されている。つまり、一対の電極ピン33は、ソケット装置102に機械的、電気的に接続されるようになっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。ソケット装置102を通じて点灯装置4に給電されると、点灯装置4が動作し、発光素子22が発光する。各発光素子22から出射された白色光の多くは、グローブ6を透過して装置本体100の反射板101の開口から外方に放射され、被照射面、例えば、床面に照射される。
発光素子22の発光中は熱が発生する。発光素子22から発生する熱は、主として基板21の裏面側から本体1のベース部11における取付面14から放熱フィン13に伝導され、各放熱フィン13間の所定の間隔に作用する対流を伴って放熱される。
この場合、基板21における配線パターン層24は、基板21の外周端から最小距離αが4mm以上になるように形成されており、配線パターン層24が形成された領域の面積S1に対する基板面の面積S2の比は、前記のように所定の値に規定されている。したがって、絶縁性能が確保され、放熱性を向上することができる好適な発光モジュールが実現されている。
また、ベース部11における筒状部12の内側には、発熱源となる点灯装置4が配設されている。このため、筒状部12は、点灯装置4から発生する熱の影響を受けやすく、温度が上昇する傾向となり、筒状部12と放熱フィン13との接続部位を介しての放熱フィン13への熱伝導は効率的に行われにくく、放熱が効果的に行われない場合がある。
したがって、仮に、放熱フィン13において、筒状部12の外周に接続される接続長さ寸法Laを大きくして放熱フィン13と筒状部12との接続断面積を大きくすると、放熱性能が良好にならないばかりではなく、各放熱フィンの高さ寸法が大きくなり、ランプ装置の高さ寸法が大きくなって薄型化の実現が困難になるという問題が生じる。
本実施形態においては、放熱フィン13は、筒状部12に接続された接続長さ寸法Laよりベース部11に接続された接続長さ寸法Lbが大きく形成されて、La<Lbの寸法関係となっている。このため、放熱フィン13と筒状部12との接続断面積より放熱フィン13とベース部との接続断面積が大きく、取付面14から放熱フィン13とベース部との接続部位を介して放熱フィン13への熱伝導が効率的に行われ、熱分布が均一化され、放熱性を向上することが可能となる。加えて、ランプ装置の薄型化を維持することが可能となる。
なお、放熱フィン13が接続されるベース部11の厚さ寸法を、筒状部12の厚さ寸法taより大きくなるように形成した場合には、厚板の取付面14から放熱フィン13が接続されるベース部11に効率的に伝熱され、一方、筒状部12への伝熱は、熱抵抗を小さくすることができるので、放熱フィン13の全体にわたって熱分布を一層均一化しやすく、放熱性を高めることが期待できる。
ここで、ランプ装置の使用中に、点灯装置4の点灯回路部品42である例えば、電界コンデンサに過電圧が加わった場合や寿命末期の異常時において、電解液の蒸発ガスでコンデンサのケース内の圧力が所定圧力以上に達したとき、ケースが破裂するのを防止するため安全弁が作動し電解液の蒸発ガスが外部に噴出する場合がある。
安全弁が作動することは、ケース内の異常な圧力上昇を抑えることを目的とした正常な動作であるが、外部に噴出した電解液の蒸発ガスが煙に見えることから、使用者が焼損による発煙と誤認し、火災と判断してしまいやすい現象を呈する。この噴出する煙状の蒸発ガスは、口金部本体31に形成された通気口31dから外へ流出しようとする。
図4に代表して示すように、本実施形態では、通気口31dを経て外部へ連通する通気経路は、非直線状に形成されている。詳しくは、通気経路は、図示矢印で示すように、点灯回路部品42から通気口31dと対向するように位置された絶縁部材5における立上部52の切欠口52aを通って通気口31dの方へ向かい、この通気口31dを経て口金部本体31の側面壁31bにおける外周側と本体1の筒状部12における内周側との間隙を経由して外部へ向かうようになっている。
したがって、前記煙状の蒸発ガスは、通気口31dから直接的に外部へ流出することなく、絶縁部材5における立上部52に接触して立上部52が通気抵抗として作用するとともに、前記間隙を通過す際に、筒状部12や側面壁31bに接触して冷却され、結露して液化状態になる。したがって、蒸発ガスのままの状態で流出することは少なく、煙状での流出が抑制される。
次に、図9及び図10を参照して本実施形態の製造工程の一部を説明する。図9は、放熱フィンを有する本体を例えば、アルミニウム合金製のダイカスト成形によって製作する場合を模式的に示しており、図9(a)は、本実施形態を示し、図9(b)は、比較例を示している。なお、図において放熱フィンに対応する金型の凹凸形状の図示は省略している。
また、図10は、ダイカスト成形によって製作された本体の表面に吹き付け塗装を行う場合を模式的に示しており、図10(a)は、本実施形態を示し、図10(b)は、比較例を示している。
[ダイカスト成形]本実施形態のような複数の放熱フィン13を有する本体1を製作する場合には、一般的には、熱伝導性が良好で軽量化が可能なアルミニウムやマグネシウム等の軽金属材料が用いられる。また、プレス加工等による加工は困難であり、ダイカスト成形による加工法が適用される。
図9(a)に示すように、図示上、上下の金型に溶融したアルミニウム合金を流し込み、金型内で冷却して形状を形成し(左図)、その後、金型を上下にスライドさせて開き、金型内の成形品(本体1)を取り出す(右図)。
この場合、本実施形態では、放熱フィン13は、筒状部12に接続された接続長さ寸法Laよりベース部11に接続された接続長さ寸法Lbが大きく形成されて放熱性の向上を図っている。このため、金型をスライドさせて開く幅が小さく(右図参照)、金型の開閉時間が短く、タクトタイムが短くなるので、生産性の向上を図ることが可能となる。
一方、図9(b)に示すように、放熱フィン13´の高さ寸法を大きくして背面側へ伸ばし放熱性を向上する場合には、金型をスライドさせて開く幅が大きく(右図参照)、金型の開閉時間が長く、タクトタイムが長くなるので、生産性に有利ではなくコストアップを招く虞がある。
以上のように本実施形態の構成によれば、複数の放熱フィン13を有する本体1を製作するにあたり、生産性の向上を図ることができる。
[吹き付け塗装]本体の表面を例えば、外観性、耐食性や放熱性の向上を図るため、吹き付け塗装が行われる。吹き付け塗装は、塗料を霧状にして高圧空気とともにノズルから塗料を本体の表面に吹きつけるものである。
図10(a)に示すように、本体1の上下及び放熱フィン13間の溝部に向けて下方から塗料を吹き付ける。この場合、放熱フィン13の高さ寸法は小さく形成されているので、塗料は、各放熱フィン13間に入り込み塗布されるようになる。
一方、図10(b)に示すように、放熱フィン13´の高さ寸法が大きい場合には、塗料が各放熱フィン13´間に入り込みにくく、側方からも塗料を吹き付ける必要性が生じる。 したがって、塗装作業の手間が増加し、生産性が低下する虞が生じる。
したがって、本実施形態の構成によれば、塗装作業が簡素化でき、生産性の向上を図ることができる。
以上のように本実施形態によれば、絶縁性能を確保するとともに放熱性の向上を図るのに好適な発光モジュール、この発光モジュールを用いるランプ装置及び照明装置を提供することができる。
次に、前記通気経路の形成に関する別の実施形態について図12及び図13を参照して説明する。図12は、絶縁部材を示し、図13は、図4に相当する拡大図である。なお、上記実施形態と同一又は相当部分には、同一符号を付し重複した説明は省略する。
図12に示すように、絶縁部材5は、上記実施形態と同様な構成であるが、立上部52には、120°の間隔を空けて3箇所に内側方向へ凹んだ略四角形状の凹部52aが形成されている。
図13に示すように、立上部52の凹部52aは、通気口31dに対向するように位置され、この凹部52aによって通気経路は、非直線状の一部が形成されるようになる。
したがって、通気経路は、図示矢印で示すように、点灯回路部品42から水平方向に向かい立上部52の凹部52aの壁面によって直進性が阻害され、凹部52aを乗り越えて通気口31dの方へ向かい、この通気口31dを経て口金部本体31の側面壁31bにおける外周側と本体1の筒状部12における内周側との間隙を経由して外部へ向かうようになっている。
このような非直線状の通気経路によれば、経路を複雑化でき、点灯回路部品42から流出する蒸発ガスの煙状での流出が一層効果的に抑制できる。
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していないものである。