JP6173334B2 - 原子炉の核分裂領域内に吸収部材および/または緩和材を起動し挿入する装置および、そのような装置を備えた核燃料集合体 - Google Patents

原子炉の核分裂領域内に吸収部材および/または緩和材を起動し挿入する装置および、そのような装置を備えた核燃料集合体 Download PDF

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Description

(技術分野および従来技術)
本発明は、少なくとも1つの挿入対象要素のスタンドアローンでの起動および挿入装置に関する。挿入対象要素(複数)は、全体的な炉心溶融の場合にのみ吸収および/または緩和する。緩和材は、核燃料集合体内で核燃料棒のクラッディングを形成する材料との共晶を低融点で形成することができ、かつ、原子炉の炉心において溶融した炉心または吸収コリウムおよび/または緩和材の排出を妨げるプラグの形成を防止する材料である。
スタンドアローン起動および挿入装置の用途は特に、ナトリウム冷却高速炉(SFR)、およびそのような装置を備えた核燃料集合体である。
原子炉の炉心の活動を調整して炉の誤動作の影響を制限するために、中性子吸収材を含む要素が原子炉に挿入されるべきであるということが計画されている。これらの要素は、正常動作中は炉心上方に懸架された制御棒の形式であってよい。炉の反応性を低減する必要が検出された場合、吸収要素は核分裂領域に挿入される。
例えば、ナトリウム冷却炉の場合にはポンプの運転停止が液体ナトリウムの循環を遅らせるため、炉の誤動作は例えば第1冷却材システムなどの炉冷却システムでの問題でありえる。炉の誤動作は、ヒートシンクの欠如であり、すなわち、炉冷却材システムを介して抽出される熱がもはや正しく排出されないことである。
挿入された負の反応度がない場合、これらの誤動作は炉心温度上昇につながり、それは1つまたは複数の集合体の溶融を引き起こすばかりか、全体的な炉心の溶融を引き起こして炉の健全性喪失につながる。
炉心に吸収要素を挿入する目的は、中性子反応を鎮圧して、炉心を、考慮された誤動作に関して認められた基準を満たすように選択された温度に安定化することである。
さらに、炉制御における最大の安全性を維持して共通モードの欠陥を補償するために、いくつかの重複した多様で独立した運転停止システムが配設される。
過去にSFR原子炉に使用された運転停止システム(従来型と認定されうる)は、吸収要素の挿入が、外部電力制御により、または電気信号の喪失により起動されるという意味において能動装置に基づく。
次世代のSFR原子炉に関しては、従来型の運転停止システムが故障した場合に備えて新たな運転停止システムを追加することが計画された。したがって、この「緊急」運転停止システムの装置は、従来型運転停止システムより先に起動されてはならない。装置多様化の論理に基づき、また、電気的器具、制御および論理システムの故障のリスクを排除するために受動装置を使用することが想定されるが、受動装置とは、吸収要素の挿入が、電気的制御ではなく、物理的現象に直接追従して起動されるという意味のものである。例えば、流れの変動または温度上昇に感応する起動手段を想定することが可能であろう。これらの受動装置は、詳細に研究されてきたが、未だ原子炉に使用されるものはなかった。
特許文献1は、制御棒を原子炉に自動挿入する機構を開示しており、この機構は、温度変動に感応するシステム(以後「温度センサ」と称する)と、制御棒を燃料要素の上方に懸架した位置に保持する手段とを備える。保持手段は、原子炉の堅牢な部分の上に枢動自在に据え付けられたフックを備え、 枢動要素はフックの上および「温度センサ」の上に枢着されている。温度上昇は「温度センサ」の長さを増加させ、それが枢動要素の回転とフックの枢動を引き起こして制御棒を解放し、すると制御棒は重力により燃料要素の間に落下する。
第1に、この機構は互いに枢着されたいくつかの部品を備えており、故に、ウェッジング(例えば食い付きによって)のリスクが増加するが、ウェッジングは、棒が起動される信頼性を増加させることにつながらない。さらに、回転ヒンジのところにどうしても空きが設けられてしまう。したがって、望ましくない棒の解放のリスクがある。例えば、ハンドリング中のショックまたは振動の影響下でフックが十分に枢動しうる。
したがって、起動の信頼性および、非起動の信頼性が改善されることが理解される。
欧州特許第0392991号明細書
(発明の提示)
したがって、本発明の目的は、炉心異常時動作の場合も通常動作の場合も、卓越した動作信頼性を持つ受動起動および挿入装置を提供することである。炉心の異常時動作は、所定閾値を超えた温度上昇につながり、その場合吸収および/または緩和要素は実際に挿入され、通常動作時には吸収および/または緩和要素の意図せざる挿入は防止される。
上述の目的は、挿入対象集合体を挿入ゾーンの上方に懸架する手段と、懸架手段をロックする手段と、挿入対象集合体を解放する手段と、挿入対象集合体の保持手段をロックし、挿入対象集合体を単純な動作によってロック解除して解放する部品とを備えた吸収および/または緩和要素からなる、挿入対象集合体の起動および挿入装置によって達成される。
本発明の起動および挿入装置は、冷却材の温度が所定の閾値を超えない場合に挿入対象集合体の解放を防止することによって、挿入対象集合体が偶発的に落下してしまうことを防止する。
本発明の起動および挿入装置は、設計することが単純であって非常に堅牢であり、誤動作のリスクを顕著に低減する。
特に有利には、この起動および挿入装置は、核燃料集合体の上方部分、好ましくはほぼその集合体の軸上に配置される。キャリア燃料集合体の燃料束からの全流れ出力は、標準的燃料集合体からの流れ出力に事実上等しく、次に全流れ出力は起動および挿入装置を通り、それが起動精度および、デバイスの、ならびに挿入対象集合体の解放の信頼性を改善する。
好ましくは、挿入対象集合体はカプセルに収容され、その頂部に本発明の起動および挿入装置が嵌っている。
好ましくは、核燃料と挿入対象集合体との両方を収容しているキャリア集合体が作製され、その集合体の挿入は本発明の装置によって制御され、この装置はキャリア集合体の頂部に配置されている。燃料集合体への冷却材供給流速は、吸収集合体への冷却材供給流速よりもずっと高いため、挿入は、吸収材および/または緩和材専用の特定要素集合体の場合よりも迅速かつ厳密に起動される。
したがって、本発明の主題は、略垂直である長軸を持つ、冷却材が循環する原子炉の核分裂領域に挿入されることになっている集合体の起動および挿入装置であり、その装置は、長手方向の固定部分(10)と長手方向の可動部分とを備え、固定部分は、挿入対象集合体を核分裂領域上方に懸架した位置に保持する手段を備え、前記挿入対象集合体は、可動部分の動作により解放されることができ、可動部分は、ロック手段と、挿入対象集合体を懸架した位置に保持する手段と、挿入対象集合体を保持手段から解放する手段とを備え、前記ロック手段は、ストップ面と呼ばれる少なくとも1つの第1の面から形成され、挿入対象集合体を解放する手段は、解放面と呼ばれる少なくとも1つの第2の面と、前記ストップ面(24)と解放面を長軸に沿って変位させる手段から形成され、前記変位手段は、冷却材の温度上昇の影響下で、固定部分に対して長手方向に差動的に拡張できるシェルによって形成される。前記ストップ面と前記解放面の構成は以下のようである:冷却材の温度が上昇した場合、ストップ面が保持手段から離れる方向に軸方向に動き、解放面が保持手段に接近する方向に軸方向に動く。冷却材が正常な原子炉作動温度にあるときに、ストップ面は保持手段から遠ざかる方向に動かされて保持手段がロック解除されるようにし、冷却材の温度が閾値温度を越えたときに、解放面は保持手段に推力をかけて挿入対象集合体が解放されるようにする。
例えば、保持手段は、長軸の周りに分配されて固定部分に回転可能に枢着された少なくとも2つ、好ましくは3つのピンを備えており、長軸に接近した位置へと移動して挿入対象集合体をピン間に保持し、また、長軸から離れた位置へと移動して、その位置では挿入対象集合体は解放される。
ストップ面は、ピンの半径方向外側に配置されて、ロック位置にあるときにピンが長軸から遠ざかる方向に動くことを防止する面でありうる。解放面は、長軸に対して直角な面でありうる。ピンはカム面を備えることができ、そのカム面と解放面が連携してピンを長軸から離れる方向に枢動させる。
別の特徴によれば、固定部分は、長軸と同軸の少なくとも1つの略筒状部分を備えうる。その略筒状部分の中に挿入対象集合体が懸架され、略筒状部分は可動部分内部に配置され、ピン回転ヒンジはその略筒状部分の外面によって支持され、前記略筒状部分は、ピンが貫通する開口部を備え、ピンの自由端は筒状部分内へと突き出している。例えば可動部分は解放面とロック面とを支持するヘッドを備えうる。前記ヘッドはシェルによって延長され、前記シェルは、コントロールヘッドに連結された長手方向端部とは反対側の長手方向端部で固定部分に固定されている。
例えば、シェルはオーステナイト鋼で製造されうる。固定部分はタングステンベース合金で製造される。シェルはZ10 CNDT15.15B鋼で製造されうる。固定部分はW−5Reで製造されうる。
別の特徴によれば、冷却材の循環チャンネルをシェルと固定部分の間で区切るために、シェルと固定部分の間にラジアルクリアランスが設けられ、シェルは前記チャンネル内での冷却材の循環のためのオリフィスを備えている。
本発明の別の主題は、本発明による起動および挿入装置と、長軸を具え固定部分を形成しているカプセルと、中性子吸収体とを備えた起動および挿入システムであって、前記カプセルは挿入対象集合体が収容される長軸を持つ筒状胴部と、それを介してシステムが把持されうる把持ヘッドとを備え、起動および挿入装置は、冷却材の流れ方向沿いの把持ヘッドの上流側に配置されている。
好ましくは、カプセルの下方部分は冷却材供給オリフィスを備えている。
一つの例示的実施形態において、中性子吸収体の長手方向寸法は、カプセルの総長手方向寸法の半分以下である。
好ましくは、起動および挿入装置は、挿入対象集合体の落下を減衰する手段を備えている。
本発明の別の主題は、長軸を持つボックスと、核分裂領域と、核分裂領域の上端から核分裂領域の高さの少なくとも一部にわたり延在する核分裂領域内の自由中央空間と、本発明の起動および挿入装置とを備えた核燃料集合体であり、カプセルの下方端は、自由中央空間または本発明の起動および挿入装置(DI)に挿入され、固定部分は少なくとも自由中央空間の上方に配置されている。
挿入対象集合体の挿入を超音波テレメトリによって検出する手段を集合体が備えていると有利である。例えば、検出手段は、カプセルのヘッド上方に配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサと、トランスデューサに面したカプセルのヘッドに設置されたリフレクタとを備え、リフレクタの長手方向位置は、中性子吸収体が保持手段によって定位置に保持されているか否かによって制御され、前記リフレクタは、カプセルヘッドを貫通している長手方向リーミング内で自在に摺動するように設置され、挿入対象集合体に載置することによってリフレクタをその非挿入状態に保持する長尺要素を介して、中性子吸収体に接続されている。
中性子吸収体が存在する場合に圧縮され、挿入対象集合体が不在の場合に拡張して、リフレクタを動かすために長尺要素に引張力を加える弾性手段を、核燃料集合体は備えうる。
例えば、核燃料集合体は、自由中央空間を縁取ってカプセルの下端を保持するシースを備える。シースは、六角形の外形断面と六角形または円形の内断面を持ちうる。
挿入対象集合体は、少なくとも1つの中性子吸収および/または緩和要素を含みうる。好ましくは、挿入対象集合体は複数の中性子吸収および/または緩和要素を含む。
本発明の別の主題は原子炉であり、例えば、核燃料棒と本発明による少なくとも1つの燃料集合体のみを収容する集合体を備えたナトリウム冷却高速炉である。
本発明は、以下の説明と添付の図面を読めばよりよく理解されるであろう。
例えばハンドリング温度にある本発明の起動および挿入システムの例示的実施形態の正面図である。 図1のハンドリング温度にある起動および挿入システムの長手方向断面図である。 通常作動温度にある図1の起動および挿入システムの長手方向断面図である。 吸収材を炉心に挿入する直前の、起動温度にある図1の起動および挿入システムの長手方向断面図である。 吸収材を炉心に挿入中の、起動温度にある図1の起動および挿入システムの長手方向断面図である。 図1のシステムの頂面図である。 図2Cに示した平面A−Aに沿った、図1のシステムの断面図である。 図1のシステムの核燃料集合体への統合の一例の全体図であり、吸収要素の組が核分裂領域の上方に懸架されている。 図5の集合体の図であり、吸収要素の組が核分裂領域に挿入されている。 図6の集合体の、核分裂領域および吸収要素にわたる断面図である。
以下の説明において、「上方」および「下方」という用語は図面の頂部と底部に配置された要素の部分を指すために使用され原子炉内の要素の配置構成に対応する。用語「上流」および「下流」は、集合体内の冷却材の循環方向、例えば下方部分から上方部分に向かうことを指す。
(特定の実施形態の詳細な説明)
この説明全体を通して、「キャリア集合体」は核燃料と吸収要素の両方を備えた本発明による集合体を指し、「標準型集合体」は、核燃料のみを備えた集合体を指す。
さらに、「通常動作」は、通常温度状態下での原子炉の動作を指し、「異常時動作」は、所与の温度閾値を超えた冷却材の温度上昇を生む、温度が安全性閾値を越えている原子炉の状態を指す。
さらに以下の説明において、挿入対象集合体は中性子吸収材からなる一組の要素であると説明されているが、本発明は、一組の緩和要素の挿入にも適用可能である。
一般に、原子炉は容器を備え、その容器内に複数の核燃料集合体が、互いに隣接して配置されている。この集合体が原子炉の炉心を形成する。一般にSFRでは、この集合体は六角形の外形断面を有する。他の種類の原子炉では、集合体は、円形または長方形の断面などの他の種類の外形断面を有しうる。冷却材は集合体内で、また、集合体間で循環して、核燃料によって生じた熱を抽出し、原子炉冷却材システムを形成する。集合体は核燃料を、例えば燃料棒に分配して収容する。核燃料を含んでいる集合体の部分は核分裂領域と呼ばれる。炉心の動作を統御するために、中性子吸収材を導入することによって負の反応度が核分裂領域に挿入される。特定のSFRでは(例えばフランスにおいては)、制御棒の吸収材は集合体内に留まり(より厳密には、吸収剤の移動距離は集合体内に保証される)、それらの挿入機構が、集合体と炉心カバープラグ(BCC)との間の接続を形成する。通常動作時、吸収材は核分裂領域に部分的に挿入されるか(制御棒)、または、核分裂領域の上方に懸架されており(相補形ストップ棒)、原子炉を停止するために、それらは棒束内の核分裂領域へと完全に挿入される。
例えば、吸収材は制御棒の形態であるか、相補形ストップ棒であるか、または有利には吸収材からなる要素の連、例えば楕円または円筒形状、好ましくは球状の形態である。
図1〜4は、本発明による起動および挿入システムSIの例示的実施形態を示し、システムは、温度が閾値温度未満である場合に吸収要素の組2を核分裂領域の上方に保持し(図1、図2A〜2C)、温度が閾値温度より上の場合に吸収要素の組2を解放する(図2Dおよび2E)起動および挿入装置DIを備えている。
図示された例では、集合体2は、ケーブル6(破線で示す)上に挿入されて幾分かの融通性をもたらす、中性子吸収材からなる複数の球状要素4を備えている。
図示された例では、集合体2はその頂端に上方端要素2.1を備え、上方端要素2.1は、起動および挿入装置と協働するように設計されているという点において他の要素と異なっている。特定の例では、要素2.1の形状は、球状要素に面した大面積の基部と側方面からなるテーパー付き形状である。
簡略化のため、「吸収要素の組」2を以後「集合体」2と呼び、部分2.1を「アタッチメントヘッド」と呼ぶ。
図1からわかるように、図示されている特定の実施形態では、システムSIは集合体2が収容される、長軸Xを持つ筒状胴部から形成されるカプセル10を備えている。
カプセル10は上方域ZIを備え、懸架位置における吸収材集合体2は上方域ZIに配置され、それは、図5からわかるように、システムが集合体内に設置されたときに燃料棒の上方に位置している。カプセル10は、燃料棒内の核分裂領域に配置された下方域ZIIをも備えている。下方域ZIIは、集合体が解放されたときに集合体を収容する(図6)。起動および挿入装置DIとカプセル10とによって形成される集合体は、後で説明する起動および挿入システムSIを形成する。
中性子吸収材の落下運動の終盤で落下を減衰する手段が、カプセルの下方域ZIIに配設されている。例えば、カプセルの内径が下方域ZIIにおいて狭くされている。
カプセル10は、カプセルをハンドリングするため、また、より全般的には起動および挿入システムSIをハンドリングするために使用される把持ヘッド13をも含む。図1において把持ヘッド13は、外部取り扱い装置(図示せず)によってシステムを把持する手段を備えている。
冷却材、例えば液体ナトリウムは、集合体内を長軸Xに沿って底部から頂部まで流れる。
カプセル10の下方部分は、冷却材をカプセル10に充填するために使用される供給オリフィスを含み、その下方供給オリフィスには、非常に高い圧力損失を持つ多孔性ベントが設けられている。したがって、上方出力オリフィスの寸法に拘わらず、大きな流れを生じさせずに充填を行うことが可能となる。好ましくは、集合体2は低質量でありナトリウムはかなりの粘度を持っていて、結果としてカプセル内の冷却材の流れは可能な限り低く、そのため、中性子吸収材の落下を減速させることはなく、したがって落下時間を増加させる。
起動および挿入装置DIはカプセルの上方域ZIの周りに配置されている。装置DIは、集合体2を保持する手段11と、保持手段11をロックする手段と、異常状態時に集合体2を解放する受動起動手段とを備えている。
起動および挿入装置DIは、長軸X周りの回転体の形状をしている。
起動および挿入装置DIは、底部から頂部への冷却材循環方向を考慮してその上流側端部を介してカプセル10へと固定されるシェル19をその下方部分に備えるとともに、そのシェルを延長しシェルに軸方向に固定されるコントロールヘッド18をその上方部分に備えている。
コントロールヘッド18は、カプセル10の周りに摺動自在に設置されている。カプセルの外径とコントロールヘッド18の内径の間にラジアルクリアランスが設けられている。
保持手段11は、カプセル10の胴体の上方部分に枢着設置されたピン20を備えている。
コントロールヘッド18とピン20は、中性子束が最小限である、核分裂炉心から離れた領域内の、カプセル10の上方域に配置されると有利である。
好ましくは、集合体に均一な支持を提供するために互いから略120°のところに3つのピン20が配置される。しかし、2つのピンまたは、3つ以上のピンを設けることも可能である。保持位置においてピン20は、長軸X方向に傾いている。
各ピン20は、長軸Xに対して直角なY軸周りにカプセル10の胴体に回転可能に枢着された第1の長手方向端部20.1と、アタッチメントヘッド2.1に接触した支持面を形成している第2の長手方向端部20.2を有する。カプセル10は長手方向スロットを有し、その長手方向スロット内に、ピン20が、ピン20の第2の端部20.2がカプセル10内に配置されるように取り付けられる。
有利には、各ピンの第2の端部20.2は、図2Dに特に明確に見られる2つの面22.1,22.2によって区切られたノッチ22を備える。一方の面22.1はアタッチメントヘッド2.1の大面積の基部に接触して担持し、他方の面22.2は、図2A〜2Cに特に明確に見られるように側方面に接触して担持する。
コントロールヘッド18はピン20をロックする手段を、集合体2の保持位置、すなわち長軸X方向に傾いた位置に支持する。
ロック手段は、ピン20がその保持位置から動いてずれることを防止するためにピン20の半径方向外側に配置されたストップ24を備えている。図示された例において、各ピン20は、ストップ面24に面したそのエッジ20.3に突出部を備える。有利にはその突出部とストップ面24の間にラジアルクリアランスが設けられて、摩擦と食い付きのリスクを防止する。
図示された例において、ストップ面24は、コントロールヘッド18内に形成されたX軸を持つ単一の環状面によって支持されている。図示された例において、この面はカプセル10のピン回転軸から下流にある。
さらにコントロールヘッド18は、集合体2を起動させる手段を非通常位置に支持する。解放手段は、例えば長軸に対して直角な横方向面に沿って配向したスラスト面26によって形成され、スラスト面26はピン20に接触して担持してピン20に推力をかけ、ピン20をピン20の回転軸周りに枢動させる。
スラスト面26は、ピン20の回転軸から半径方向内側に配置されたピン20のカム面28に当接する。
図示された例において、スラスト面26はカプセル10のピン20の回転軸より上流に配置されている。
図示された例において、コントロールヘッド18はキャビティ30を備えており、キャビティ30の内側においてピン20がその内周の周りに嵌る。
カプセル10の筒状胴部の外面は、ピン20の回転ヒンジを支える3つの半径方向に突出するタブ32を備えている。
シェル19とコントロールヘッド18によって受動起動手段が形成される。シェル19とコントロールヘッド18は、カプセル10が製造される材料の膨張係数よりも高い高膨張係数の材料から製造される。
図1〜2Dでわかるように、シェルの内径は、冷却材が流れることができるように、シェルとカプセル10の外面との間にチャンネルを形成するように選択されている。冷却材の供給と排出のために、シェル19の上流部分および下流部分に開口36が設けられている。
カプセル10の外面とシェル19の内面との直径の差は、冷却材の流れの大部分がこのチャンネル内を循環するように十分に大きく選択される。
シェル19の軸方向寸法が非常に大きくなるよう選択されると有利である。シェルの大きな軸方向寸法から生まれる第1の利点は、それが大きな軸方向の拡張部を有することである。第2の利点は、シェルが冷却材と非常に大きな熱交換領域を持つことであり、そのため、起こりうる局所的温度不均一性が管理され、したがって起動信頼性が改良されうる。
例えば温度ヒューズなどの小型温度センサとは違って、シェルの大きな軸方向寸法は、起動信頼性の点で非常に魅力的である。
有利には、本発明によるキャリア集合体の説明で後に見られるように、中性子束に起因する材料の膨張のリスクを避けるため、シェルは核分裂領域に対し遥かに上方に配置される。
起動および挿入システムSIは、キャリア集合体と呼ばれる核燃料集合体内に設置される。
ここで、図5および図6に示されている、本発明の起動および挿入システムSIを備えたそのようなキャリア集合体Aの例示的実施形態を説明する。
本発明による集合体は、円筒形形状と六角形の断面を持つ、長軸X1を持つボックス40を備えている。この六角形の断面は決して限定的なものではなく、長方形または円形の断面も本発明の範囲内にある。
ボックス40は、核燃料棒41が嵌る核分裂領域と呼ばれる中心部42を備えている。
ボックス40は、集合体を原子炉内に保持する集合体スタンド44と呼ばれる下方部分を備え、集合体スタンド44は、エンドトラックと呼ばれる支持体上に設置されるように設計されている。ボックス40は、開放した上方部分48をも備える。集合体スタンドは冷却材供給オリフィス46をも備えている。
冷却材は矢印Fで示すように底部から頂部へと集合体Aを貫通して通り、ポンプによって循環し、冷却材は燃料棒によって発生した熱を抽出する。冷却材は集合体の外部でも、集合体間、所謂集合体間領域でも循環する。
本発明による集合体は、核分裂領域の全長にわたり延出する軸X1を持つハウジング52をも備える。このハウジング52は、シース54によって区切られ、その外側断面はボックスの外側断面に対して相似比の関係にある。シース54は、起動および挿入装置DIを燃料棒束内に保持して燃料棒束のアーキテクチャを整合的にする。そのため、SFRの場合、シース54はボックスのように六角形の外形断面を有する。図示された例において、シース54の内断面はカプセル10の内断面のように円形である。別法として、シース54の内断面は六角形でありうる。
シース54がカプセル10のハウジングを区切るという事実とは別に、シース54は起動および挿入システムSIと集合体との機械的隔離性を改良もする。それは、その剛性構造が起動および挿入システムSIを、照射下での棒の膨張から保護するからである。このようにシース54は格子ピッチで機械的隔離に全般的に貢献する。
シース54は、その下方端に1つまたはいくつかの冷却材供給オリフィスを備え、それは統合されたカプセルに冷却材を供給する。
キャリア集合体に搭載されると、カプセル10は、その下方端がシース54の中線領域に配置されるように、シース内へと部分的に挿入される。
例えば、シース54は棒2環分に取って代わる。
カプセル10はシース54に挿入される。カプセル10の外径は、シース54に挿入できるように、シース54の内径よりも若干小さくなっている。カプセル10のヘッドはキャリア集合体内の定位置に保持される。
図7は、図5および図6の集合体の、核分裂領域における、吸収要素を貫いた断面図である。燃料棒41、シース54、カプセル10および吸収集合体2の要素の相対的構成も見られる。
ここで、本発明の起動および挿入装置DIの動作を説明する。
本発明の起動および挿入装置の動作において、適用される温度に応じて4つの主要な状態に区別される。
−キャリア集合体への起動および挿入装置SIの設置状態: 「設置温度」と呼ばれる、例えば20℃である周囲温度;
−起動および挿入装置SIを嵌め込んだキャリア集合体の、炉心内でのハンドリング状態:「ハンドリング温度」と呼ばれる、180℃〜250℃程度の温度;
−作動状態:集合体が炉心内で作動しているときの、550℃程度の作動温度;
−起動状態:核分裂炉心への吸収材の挿入が要求される、本発明では例えば660℃程度の閾値温度。
設置状態は図示されていないが、図2Aに示された状態と非常に似ている。設置状態において、起動および挿入システムの種々の要素は熱膨張による変形を被っていない。ピン20は集合体2を支持している。ストップ面はピン20の突出部に面しており、スラスト面26はカム面28から距離を置いている。したがって、ピン20はロックされ、集合体2は解放されえない。システムは、燃料棒束への意図せざる挿入のリスクを一切伴わずに完全な安全状態で処理されうる。
ハンドリング状態において、起動および挿入システムは、原子炉内に配置されたキャリア集合体に設置される。炉内温度により、また、カプセル10の材料とシェル19およびコントロールヘッド18の材料との膨張係数の違いにより、カプセル10と、シェル19およびコントロールヘッド18からなる集合体との間に差分をもった膨張が発生する。したがって、カプセル10と、シェル19およびコントロールヘッド18からなる集合体とでは差分をもった変形があり、また、コントロールヘッド18によって支持されているストップ面24とスラスト面26の、ピン20に対する相対的変位がある。
したがって、図2Aに示されたハンドリング状態では、起動および挿入システムの要素は若干膨張し始める。この変形は主に長軸に沿って発生する。
しかし、設置状態とハンドリング状態の膨張の差分は、ストップ面24がピン20に対して移動しても、ストップ面24はピン20の突出部に未だ部分的に面しており、ピンを集合体2の保持位置に未だロックしているような程度である。したがって、ピン20は集合体2を支持している。その集合体は解放されえない。したがって、システムは、核分裂炉心への挿入のリスクを一切伴わずに完全に安全な状態でハンドリングされうる。
作動状態は図2Bに示されている。起動および挿入システムの種々の要素が、作動温度で冷却材に浸漬されている。シェル19は、シェル19とカプセル10との間に形成されたチャンネルを介して冷却材によって包囲されているため、集合体の作動状態に対して感応する。
ハンドリング状態と作動状態との間での冷却材の温度上昇は、起動および挿入システムの要素の変形が熱膨張によって増加し続けていることを意味している。作動状態の温度において、シェル19とカプセル10の膨張差分の程度は、ストップ面24がもはやピン20の突出部に面しておらず、そのためピン20が解放されるというところまで達している。スラスト面26はちょうどカム面28と接触し、そのためピン20は、集合体2の保持位置で長軸方面に傾いている。
作動温度と起動温度の間で冷却材の温度が上昇するので要素の膨張が続く。スラスト面26はピン20のカム面28に長手方向上向きの推力をかけ、それがピン20を上向きに傾かせる。ピン20のY軸周りの回転が、集合体2の上向きの軸方向変位を引き起こす。この、起動および挿入システムの動作運動力学により、不純物の酸化および凝集により可動部分と固定部分の間に形成された連結、例えば、集合体2のアタッチメント部分とカプセル10の胴部との間の連結があるとすればそれらが同時に失われる。
図2Cは起動状態を示し、そこで、ピン20は最終回転位相にあり、集合体2は事実上解放されている。図2Dにおいて、ピンは傾斜し終わって、集合体2は解放されて核分裂炉心のほうに落下している。
吸収要素の挿入は、是正処置を行うために十分に長い期間の間炉心支持構造の健全性を維持するのに適合する温度にて炉心溶融を短期で防止するために、中性子連鎖反応を止める。
シェルとカプセルとの間のチャンネルによって起動および挿入システムが冷却材中に浸漬されているため、システムの温度は冷却材の温度と同じであり、システムは非常に厳密な温度で起動される。
シェル19とコントロールヘッド18は膨張係数が高い材料、例えば鋼鉄、より特定的には、加工硬化されたZ10 CNDT15.15B(15/15Ti)鋼などの燃料棒クラッディングに使用されるようなオーステナイト鋼から製造される。
カプセル10に関しては、受動起動手段を形成する材料の膨張率よりも著しく低い膨張率の材料が選択される。タングステンベースの合金、例えばW−5Re合金、すなわち、5%のレニウムを含有するタングステン合金が選択されうる。W−ODS(タングステン酸化物分散強化型合金)などの合金も想定されうる。低膨張率とは別に、タングステンには、その耐火性の性質により、想定される温度での照射下の膨張が非常に僅かであるという利点がある。
有利なことに、W−5Re合金は、考慮されるデザインルール下での許容可能な柔軟性をも有している。
別法として、起動および挿入装置をそのように適合させることにより、カプセル用にZ10 CNDT15.15B合金が選択され、W−5Re合金がシェル用に選択されうる。
図示された例において、ストップ面24は半径方向面を形成し、スラスト面26は長軸に垂直な面を形成する。しかしこの構成は決して限定的なものではない。
集合体2の意図せざる挿入が発生したかどうかをテストするために、起動および挿入装置の状態を検出する手段が設けられていると有利である。第1の技法は、直接的に中性子検出器によって、または、冷却材出口温度を測定するために集合体の頂部に配置されたサーモカプラを使用することからなる間接的な「炉心温度処理(TRTC)」によって、炉心への負の反応度の挿入を検出することからなる。吸収材が落下した場合、キャリア集合体のパワーが落ち、支持集合体からの冷却材の出口温度が降下する。結果として、冷却材温度の降下が検出された場合に負の反応度の挿入が検出される。
もう1つの技法は、吸収要素の組の状態(懸架されているか否か)を検出することからなる。
この技法を適用する検出装置DTが図2Aから図2Dに示されている。それは、集合体ヘッドの上方に配置されている1つまたは複数のトランスデューサとリフレクタとの間の距離を測定するように設計された超音波テレメトリ装置であり、トランスデューサに対するリフレクタの距離は、吸収要素の組が挿入されたか否かに依存する。
装置DTは、カプセル10の把持ヘッド13に形成された長手方向リーミング65内で自在に摺動するように設置されたゲージ64を備えている。ゲージ64の長さは、その下方端が、吸収要素の集合体2のアタッチメントヘッド2.1に接して載り、上方端が把持ヘッド13の上方端から突出するようなものとなっている。
ゲージ64の上方端はリフレクタ66を備えている。ゲージ64の下方端は吸収材集合体のアタッチメントヘッドに単純に接して載り、そのためゲージはブロックされている場合にも連の挿入を妨げることはない。それは、ゲージと連が一体に固定されていないからである。ゲージ64の小さい断面はリフレクタを形成するには不十分なため、結果としてゲージ64の上方端の形状は、その断面がリーミング内の棒の断面よりも大きくなり、リフレクタ66を形成している。例えば、それは円錐形状をしていて上向きにテーパー状となり、円錐の底面がリフレクタを形成する。ゲージが落下するとき、円錐はリーミングの上方部に接触して停止する。しかし、超音波検出に十分である数センチの落下をすることも可能である。例えば13mmという距離が選択されうる。
把持ヘッド13を貫通するゲージによって支持されるリフレクタ66は、可能な限り集合体ヘッドに接近して配置され(図2Aから図2Dに図式的に示す)、それが超音波立体反射角を増加させて把持ヘッドを包囲している構造へのエコーを制限する。
トランスデューサ67(図2Aから図2Dに図式的に示す)は集合体ヘッドの上方に配置されている。集合体2の挿入中のリフレクタの軸方向変位が、集合体の検出と位置決めを可能にする。例えば、トランスデューサは炉心カバープラグ格子上に固定される。
ゲージの底端とリーミングの底端の間に圧縮して設置されたばね68が設けられていると有利である。このばねは通常動作、すなわち、集合体2が非挿入位置にあり、アタッチメントヘッドがピン20によって定位置に保持されているときに圧縮される。集合体2がアタッチメントヘッドを担持しながら落下すると、ばね68が拡張し、ゲージ64を下方に変位させる。有利には、ばね68はゲージ64の落下を阻止しない。ゲージ64の質量が低いため、腐食現象、または例えば不純物の存在による食い付きが、ゲージ64の落下を阻止しうる。そのような妨害は、拡張するときのばね68がかける力によって克服され、ゲージ64は落下し、装置は連2が落下したことを検出する。ばねによってかかる力は、核分裂炉心からばねが離れているという事実により、照射クリープによって弛められる可能性はない。したがって、ばね68はテレメトリ装置の検出信頼性を改良する。
変形形態として、トランスデューサはリフレクタと垂直に整合していない。超音波ビームをリフレクタ66のほうに方向付けるために、集合体の内面に固定式鏡が配置されている。または、ゲージ64によって支持されているリフレクタ66が、例えば束の案内を改良するために、いくつかのファセットを持つ面を有して三面鏡を形成できる。これらの変形形態は有利には、1つのトランスデューサをいくつかの集合体で使用することを可能にする。
ここで、この検出装置の動作について簡潔に説明する。
図2Aから図2Dの場合に集合体2が懸架されているとき、ゲージ64は吸収材集合体2のアタッチメントヘッドに接触して載っていてばね68は圧縮されており、リフレクタ66はトランスデューサ(複数)から離れて配置され、それは、負の反応度の非挿入状態に対応する。
閾値温度に達したため、あるいは意図せざる起動の間に集合体が落下する(図2D)と、ゲージ64はもはや、ばね68の膨張動作および重力を受けてアタッチメントヘッド上に支持されず、ゲージ64はリフレクタ66を伴いながらリーミング65内を下方に摺動し、把持ヘッド13に載る第2の位置へと動く。トランスデューサ67はトランスデューサ67とリフレクタ66の間の距離の増加を測定して、それにより集合体2の挿入を検出する。
この検出器は特に信頼性が高い。ゲージ64は小さい断面を有しているため、結果として曲げに関して可撓性があり、リーミング内に大きな機械的クリアランスが形成される。把持ヘッド13が軸の歪曲および/またはリーミングの潰れにより著しく変形したとしても、機械的妨害の全てのリスクは防止されうる。
この検出装置は、この連の起動および挿入に関する信頼性を何ら損なうことなく、落下した吸収要素の、炉心における検出と位置決めを全ての条件下で保証する。
この検出装置は、挿入された負の反応度を検出する手段を多様化するために、TRTCおよび/または核分裂室に加えて使用されるか、または、これらの技法の代わりに使用されうる。
図示された例では、起動および挿入システムは集合体の中に加えられ、すると、キャリア集合体から完全に独立しており、したがって、燃料集合体から独立して管理されうる。
したがって、例えば現場外での集合体2の起動および落下テスト、すなわち原子炉外での動作テストを、カプセル10のみに対して実行することが可能である。これらの動作テストは、集合体Aへの初期組み込みの前に系統立てて実行されうる。
必要ならば、起動および挿入装置は検査または交換され、または、システム誤動作がある場合は、他の燃料集合体要素から独立して再装備されうる。この交換または再装備は、集合体全体を取り除かなくとも成立しうる。これが可能であると、挿入システムの寿命を燃料集合体の寿命から独立して管理するという利点があり、それは、組立コスト削減、またはポストサイクル用の活性廃棄物の量の最小化が要求される場合に有用でありうる。
本発明による起動および挿入装置は、取り外し可能な起動および挿入システムに特に適している。起動および挿入装置によって、また、より特定的には、ハンドリング温度まではロック状態を保証するストップ面24によって、処理中にピンがロック解除されるというリスクはすべて回避され、吸収要素の組は、ピン、アタッチメントヘッド、またはケーブルが破損したのでもなければ、キャリア集合体へのカプセルの設置中、例えば衝撃がある場合には落下しえない。このことは、集合体の炉心への統合中(前に説明したハンドリング状態)にも有利である。
本発明による燃料集合体構造によって、また、本発明の起動および挿入システムの統合によって、体積当たりの燃料比が若干減少し、結果として炉心の中性子性能もまた若干減少する。
さらに、本発明の集合体のデザインは、最新技術による集合体の燃料サイクルを、最小数の修正で適用することを可能にし、従って、コストを最適化する。
さらに、本発明の集合体の構造がキャリア燃料集合体の圧力損失に与える影響は非常に小さいため、炉心熱水力を最適化する。
本発明の起動および挿入装置と関連付けられた本発明の集合体は、燃料集合体の流れを最適に利用し、それが最大限の起動速度および精度を保証する。本発明の集合体においてシェルが中央位置にあること、ならびにその構造によって、シェル内の流れは標準的燃料集合体内での流れに非常に似たものとなり、したがってその膨張は冷却材温度を表し、したがって、その集合体の状態を表す。
本発明は負の反応度の挿入の信頼性を最適化する。カプセルは、顕著な剛性を持つシースによって変形から保護されているため、また、カプセル挿入後に大きなラジアルクリアランスがあるため、燃料棒束の変形から機械的に隔離される。シースと六角形の管の間に棒束が存在することも、格子ピッチに影響する変形からカプセルが機械的に隔離されうることを意味するが、それは、燃料棒束が、燃料棒とスペーサワイヤの間のクリアランスの存在によって六角形の管の変形に対応する能力を多少有するからである。
吸収要素は任意の中性子吸収材から製造されうる。例えば、多少の10B濃縮を施した炭化ホウ素(BC)でありうる。
吸収要素はハフニウムベースの材料でありうる。これらの材料は落下時間を減少できる高い密度を有し、照射下でガスを放出しないため、膨張を引き起こさず、その負の反応度が、照射下で大きく損じられることがない。
例えばTiBやHfBなどの、溶融温度が3300℃程度の耐火性ホウ化物タイプの吸収材を使用することも可能である。6ホウ化ユウロピウムEuB6を使用することも可能である。また、Euを使用することも可能である。これは照射下でガス様生成物を生成せず、高い吸収能力をも有している。
加圧水型原子炉の場合、吸収要素に使用される材料は例えば、ハフニウム、Dy11、Gd11、Sm11Er11、天然HfBおよび天然TiBである。
挿入される集合体は緩和効果を持ちうる。例えば、ハフニウムは一般的な炉心溶融の場合に緩和剤として使用されうる。
冷却材は、例えばナトリウムなどの任意の適切な液体金属から構成されうる。鉛および鉛ビスマスは、高速炉で使用されうる他の液体金属である。
ナトリウムは、熱伝導性が良いため優先的に使用される。さらに、ホウ化吸収材の場合、液体金属媒体は、10Bから派生するヘリウムのために、容器(棒、カプセルその他)の強い加圧という潜在的な問題を回避する。最後に、金属媒体の高い粘度は、落下距離の終盤における顕著な累進的減速をも可能にし、それが吸収セラミックの破砕のリスクを強く制限する。
図解的例として、本発明の集合体サイジングの例を挙げる。
システムのオペレーションに関して、Z10CNDT15.15から形成されたシェルとW−5Reから製造されたカプセルと仮定して、起動温度は660℃と想定し、選択された構成要素寸法を持つ約800mmの高さのシェルの場合、カプセルに対するシェルの差動的軸方向変位は、以下のように計算される:
−周囲温度と作動温度の間では: 5.65mm、
−作動温度と起動温度の間では: 1.44mm。
作動温度と起動温度の間でのアクチュエータピンのヘッドの変位は計算されうる。ピンの線状変位は5.4mmであり、角度変位は7.2°である。
作動温度と起動温度の間での集合体2のアタッチメントヘッドの軸方向変位は、そのとき3.5mmである。
本発明の起動および挿入システムは他の停止システムから完全に独立しており、かつ、多様な設計を使用しているため、本発明の起動および挿入システムで、非常に大きな世界規模の安全性レベルが達成される。
この起動および挿入システムは、簡素で非常に堅牢な構造を有しており、部品数が少なく、特に可動部品の数が少ない。図示された例において、装置は回転自在な3つのピンと、平進運動自在な可動リングを備えている。
本発明の起動および挿入装置、起動および挿入システムならびにキャリア集合体は、ナトリウム冷却高速中性子炉での使用に特に適している。それらは他の種類の原子炉(鉛または鉛ビスマスなどの他の液体金属で冷却される高速炉、ガス冷却式高速炉、加圧液体または沸騰水型原子炉)にも適用可能である。
2 集合体(連)
2.1 アタッチメントヘッド
4 球状要素
6 ケーブル
10 カプセル
11 保持手段
13 把持ヘッド
18 コントロールヘッド
19 シェル
20 ピン
20.1 第1の長手方向端部
20.2 第2の長手方向端部
20.3 エッジ
22 ノッチ
24 ストップ面
26 スラスト面・解放面
28 カム面
30 キャビティ
32 タブ
40 ボックス
41 核燃料棒
42 中心部(核分裂領域)
44 集合体スタンド
46 供給オリフィス
48 開放した上方部分
52 ハウジング
54 シース
64 ゲージ
66 リフレクタ
67 トランスデューサ
68 ばね
X1 長軸
DI 起動および挿入装置
SI 起動および挿入システム
ZI 上方域
ZII 下方域

Claims (19)

  1. 冷却材が循環している原子炉の核分裂領域への挿入対象集合体の起動および挿入装置であって、略垂直となる長軸を有し、長軸方向の固定部分と前記長軸方向の可動部分とを備え、前記固定部分は、前記挿入対象集合体を前記核分裂領域の上方に懸架した位置に保持する保持手段を備え、前記挿入対象集合体は、前記可動部分の動作により解放され、前記可動部分は、前記保持手段をロックするロック手段と、前記挿入対象集合体を前記保持手段から解放する手段とを備え、前記ロック手段は、ストップ面と呼ばれる少なくとも1つの第1の面から形成され、前記挿入対象集合体を解放する手段は、解放面と呼ばれる少なくとも1つの第2の面から形成され、前記可動部分はさらに、前記ストップ面と前記解放面の前記長軸方向に沿った変位手段を備え、前記変位手段は、冷却材の温度上昇の影響を受けて前記固定部分に対して前記長軸方向に差動的に拡張できるシェルによって形成され、前記ストップ面と前記解放面の配置構成は、冷却材の温度が上昇すると、前記シェルは、前記長軸方向に沿って上方に拡張するので、前記保持手段よりも上方にあった前記ストップ面が上方に移動することによって前記保持手段から遠ざかるように前記長軸方向に沿って移動して、前記保持手段よりも下方にあった前記解放面が上方に移動することによって前記保持手段に接近するように前記長軸方向に沿って移動し、冷却材の温度が通常の原子炉作動温度にあるとき、前記ストップ面が前記保持手段から遠ざかるように移動して、前記保持手段がロック解除されるようにし、さらに、冷却材の温度が閾値温度を超えた場合、前記解放面が前記保持手段に推力をかけて、前記挿入対象集合体が解放されるようにし、
    前記保持手段は、少なくとも2つのピンを備え、前記ピンは、前記挿入対象集合体を前記ピンの間に保持するための前記長軸に接近した位置と、前記挿入対象集合体が解放される前記長軸から距離を置いた位置へと移動するために、前記長軸の周りに分散されて前記固定部品に回転可能に枢着され、
    前記固定部分は前記長軸と同軸である少なくとも1つの略筒状部分を備え、その内部に前記挿入対象集合体が懸架され、前記略筒状部分は前記可動部分内部に配置され、前記ピンの回転ヒンジは前記略筒状部分の外面によって支持され、前記略筒状部分は開口を備え、その開口に前記ピンが挿通し、前記ピンの自由端は前記筒状部分の内側に突き出し、
    前記可動部分は前記解放面とロック面を支持するコントロールヘッドを上方に備え、前記コントロールヘッドは前記シェルによって延長され、前記シェルは、前記コントロールヘッドに接続されている長軸方向端部の反対側の長軸方向端部である下方において前記固定部分に固定されている、起動および挿入装置。
  2. 前記ストップ面は、前記ピンの半径方向外側に配置されて、ロック位置にあるときに前記ピンが前記長軸から外れるように動くことを防止する面である、請求項記載の起動および挿入装置。
  3. 前記解放面は、前記長軸に対して直角な面であり、前記ピンは前記ピンを前記長軸から離れるように枢動させるために前記解放面が協働する相手であるカム面を備えている、請求項または請求項に記載の起動および挿入装置。
  4. 前記シェルはオーステナイト鋼製であり、前記固定部分はタングステンベースの合金から製造される、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の起動および挿入装置。
  5. 前記シェルはZ10 CNDT 15.15 B(15/15Ti)鋼から製造され、前記固定部分は5%のレニウムを含有するタングステン合金であるW−5Reから製造される、請求項に記載の起動および挿入装置。
  6. 前記シェルと前記固定部分の外面との間に冷却水が流れるように形成された循環チャンネルが設けられ、前記シェルは前記循環チャンネル内での冷却材の循環のためのオリフィスを備えている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の起動および挿入装置。
  7. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の起動および挿入装置と、前記固定部分を形成しているカプセルと、中性子吸収体とを備えた起動および挿入システムであって、前記カプセルは前記挿入対象集合体が収容される長軸を持つ筒状胴部と、それによってシステムが把持される把持ヘッドとを備え、前記起動および挿入装置は、冷却材の流れ方向に沿って前記把持ヘッドの上流側に配置され、
    前記中性子吸収体の長軸方向寸法は、前記カプセルの総長軸方向寸法の半分以下である、起動および挿入システム。
  8. 前記カプセルの下方部分は冷却材供給オリフィスを備えている、請求項に記載の起動および挿入システム。
  9. 前記挿入対象集合体の落下を減衰するように、前記カプセルの内径を下方域において狭くした、請求項7または請求項8に記載の起動および挿入システム。
  10. 長軸を持つボックスと、核分裂領域と、前記核分裂領域の上端から前記核分裂領域の高さの少なくとも一部にわたって延出する核分裂領域内の自由中央空間と、請求項から請求項のいずれか1項に記載の起動および挿入システムとを備えた核燃料集合体であって、前記カプセルの下端は、自由中央空間(52)または請求項1から請求項のいずれか1項に記載の起動および挿入装置に挿入され、前記固定部分は少なくとも前記自由中央空間(52)の上方に配置されている、核燃料集合体。
  11. 前記挿入対象集合体の挿入を超音波テレメトリによって検出する手段を備えた、請求項10に記載の核燃料集合体。
  12. 前記検出手段は、前記カプセルの前記把持ヘッド上方に配置された少なくとも1つの超音波トランスデューサと、前記トランスデューサに面した前記カプセルの前記把持ヘッドに設置されたリフレクタとを備え、前記リフレクタの長軸方向位置は、前記中性子吸収体が前記保持手段によって定位置に保持されているか否かによって制御され、前記リフレクタは、前記カプセルの前記把持ヘッドを貫通している長軸方向リーミング内で自在に摺動するように設置され、前記挿入対象集合体に載ることによって前記リフレクタをその非挿入状態に保持する長尺要素を介して前記中性子吸収体に接続されている、請求項11に記載の核燃料集合体。
  13. 前記中性子吸収体の存在によって圧縮され、前記挿入対象集合体がない場合に拡張して、前記リフレクタを動かすために前記長尺要素に引張力を加える弾性手段を備えた、請求項12に記載の核燃料集合体。
  14. 前記自由中央空間を縁取って前記カプセルの下端を保持するシースを備えた、請求項10から請求項13のいずれか1項に記載の核燃料集合体。
  15. 前記シースは、六角形の外形断面と六角形または円形の内断面を有している、請求項14に記載の核燃料集合体。
  16. 前記挿入対象集合体は、少なくとも1つの中性子吸収要素および/または緩和材を含、請求項12から請求項15のいずれか1項に記載の核燃料集合体。
  17. 前記挿入対象集合体は複数の中性子吸収要素および/または緩和材を含む、請求項16に記載の核燃料集合体。
  18. 核燃料棒のみを収容する集合体と、請求項10から請求項17のいずれか1項に記載の少なくとも1つの燃料集合体と、を備えた原子炉。
  19. ナトリウム冷却高速炉である、請求項18に記載の原子炉。
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