JP6168136B2 - 温熱衣料 - Google Patents
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Description
本発明は、繊維加工材を少なくとも3層に重ねてなる温熱衣料に関する。
従来、炭素材料による遠赤外線効果を利用した衣料が種々提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この種のものは、複数の繊維加工材を重ねてなり、その中間には織物を炭化してなる織物炭化材層が配されている。
このものは、織物炭化材層に加えて放射線物質層を有しており、織物炭化材層による遠赤外線の効果と、放射線物質層によるマイナスイオン発生による効果とにより、疲労回復、血行促進を図っている。
ところで近年、発汗による健康増進を目的として着用されるサウナスーツが開発、販売されている。このサウナスーツを着用して運動すれば、発汗による代謝機能が促進され、ダイエット効果が奏せられる。したがって、サウナスーツのように身体の温熱化を主たる目的とした衣料としては、よりすぐれた発熱性能を有した温熱効果の高いものが適切とされている。
しかしながら、上記特許文献のものは、遠赤外線を利用しておもに健康増進を図ったものであり、温熱効果を上げることに特化したものではない。よって、サウナスーツのような身体を温める温熱衣料として使用することには向いていない。なお特許文献1には、足首に巻きつけて足先のしびれ、痛みを和らげることを目的とした帯形装着具や、肩の凝りを和らげることを目的とした肩当て着などが例示してある。
温熱衣料としての機能を十分に発揮させるためには、遠赤外線による発熱性能を向上させること、外気の進入を阻止することが必要であり、さらに遠赤外線で発生した熱が外部に拡散しないようにすることも必要である。
本発明は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、炭素材料の遠赤外線による発熱性能、外部からの冷気を遮断する断熱性能および発生した熱の拡散を防止する熱拡散防止性能がすぐれた温熱衣料を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の温熱衣料は、繊維加工材を少なくとも3層に重ねてなる温熱衣料であって、裏面層の繊維加工材として設けた炭素材料を混入した発熱シートと、表面層の繊維加工材として設けた裏面側からの熱を反射する熱反射シートと、中間層の繊維加工材として設けた空隙を十分に有した断熱シートとよりなり、それら3層の繊維加工材は、部分的に表裏間で溶着して、キルティング加工されており、発熱シートは表裏2種の材料で構成され、裏面材料が天然素材、中間層に面する表面材料が化学繊維材とされ、化学繊維材に炭素材料が混入されていることを特徴とする。
請求項2に記載の温熱衣料は、断熱シートが不織布に炭素材料を混入してなることを特徴とする。
請求項3に記載の温熱衣料は、熱反射シートがアルミ繊維よりなることを特徴とする。
請求項4に記載の温熱衣料は、外観形状がフード付きマント形状とされることを特徴とする。
請求項1に記載の温熱衣料によれば、上述した構成となっているため、炭素材料の遠赤外線による発熱性能、外部からの冷気を遮断する断熱性能および発生した熱の拡散を防止する熱拡散防止性能のいずれをも高めることができる。
また、請求項1に記載の温熱衣料によれば、上述した構成となっているため、製造過程において発熱シートに炭素材料を混入させやすく、製造を容易にできる。また、発熱シートの裏面材料が天然素材であるため、温熱衣料を皮膚の上に直接着ける場合に肌触りを良好にすることができる。
請求項2に記載の温熱衣料によれば、上述した構成となっているため、さらなる温熱効果や保温効果が奏せられる。
請求項3に記載の温熱衣料によれば、熱反射シートとして入手しやすいアルミ繊維を用いているため、簡易にかつ低コストで発熱シートを形成でき、製造効率を良好にすることができる。
請求項4に記載の温熱衣料によれば、外観形状がフード付きマント形状であるため、炭素材料により発生した熱が逃げにくく、たとえばマント型のサウナスーツなどに利用することができる。
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る温熱衣料10は、繊維加工材を少なくとも3層に重ねてなる身体を温めるための衣料である。裏面層の繊維加工材は炭素材料を混入した発熱シート11よりなり、表面層の繊維加工材は裏面側からの熱を反射する熱反射シート13よりなり、中間層の繊維加工材は空気を十分に含ませた断熱シート12よりなる。それら3層の繊維加工材は、部分的に表裏間で溶着して、キルティング加工されている。
本実施形態に係る温熱衣料10は、繊維加工材を少なくとも3層に重ねてなる身体を温めるための衣料である。裏面層の繊維加工材は炭素材料を混入した発熱シート11よりなり、表面層の繊維加工材は裏面側からの熱を反射する熱反射シート13よりなり、中間層の繊維加工材は空気を十分に含ませた断熱シート12よりなる。それら3層の繊維加工材は、部分的に表裏間で溶着して、キルティング加工されている。
ついで、温熱衣料10について詳細に説明する。
この温熱衣料10は、たとえば後述するサウナスーツ20、20A(図2および図3参照)などのような、身体の温熱化と、それによる発汗とを目的とした温熱着や、冬季、寒冷地でのスポーツ着(観戦用のものを含む)、その他防寒着、各種インナーなどに適用が可能である。ようするに、身体の外側に配する衣料であればどのようなものでもよい。身体の皮膚の上に直接着けるものでなくてもよく、衣服の上から着けるものでもよい。また、身に着けて動作できる衣服に限られず、たんに身体の外側に配した状態のもの、たとえば寝袋や簡易サウナ室用カバー30(図4参照)などに適用が可能である。
この温熱衣料10は、たとえば後述するサウナスーツ20、20A(図2および図3参照)などのような、身体の温熱化と、それによる発汗とを目的とした温熱着や、冬季、寒冷地でのスポーツ着(観戦用のものを含む)、その他防寒着、各種インナーなどに適用が可能である。ようするに、身体の外側に配する衣料であればどのようなものでもよい。身体の皮膚の上に直接着けるものでなくてもよく、衣服の上から着けるものでもよい。また、身に着けて動作できる衣服に限られず、たんに身体の外側に配した状態のもの、たとえば寝袋や簡易サウナ室用カバー30(図4参照)などに適用が可能である。
図1は本温熱衣料10の説明図であり、図1(a)は温熱衣料10の部分縦断面図および部分拡大縦断面図であり、図1(b)は温熱衣料10の部分平面図である。
図1(a)に示すように、この温熱衣料10は、複数の繊維加工材を重ねてなり、発熱シート11、断熱シート12、熱反射シート13の3層構造となっている。本例では、これらのシートのうちの発熱シート11は、それ自体が表裏別素材による2層構造となっている。
また、温熱衣料10は、図1(b)に示すようにキルティング加工がなされている。このキルティング加工は溶着によりなされており、具体的には、3層の繊維加工材が表裏間で部分的に高周波誘電加熱法により加熱され溶着されている。なお、図1(b)において2重の波線で描いた部位が溶着部14である。
この高周波溶着は、被加熱物の溶着する箇所のみを内部加熱させるようになっているため、短時間で溶着できる。また、溶着しない箇所に熱の影響を与えないため、美しい風合いの仕上がりとなる。
溶着の他の方法としては、被加熱物の外部にある熱源から熱伝導によって加熱する熱溶着法や、超音波を用いた超音波溶着法であってもよい。
このように、この温熱衣料10は溶着によりキルティング加工がなされているため、縫い糸を用いた縫合とは異なり、縫合孔がない。そのため、温熱衣料で包み込んだ身体の熱や、温熱衣料10の内部の熱は外部に漏れにくくなっている。また、溶着部14で模様や図柄を形成するようにしてもよい。もちろんキルティング加工であるため、3層の繊維加工材のずれの発生を防止することができる。
ついで、本温熱衣料10の各層を構成する繊維加工材について説明する。
裏面の繊維加工材である発熱シート11は、温熱衣料10を身に着けたときに皮膚に近い位置に配せられる裏地材である。この発熱シート11は、本実施形態では上述したようにそれ自体が2層構造とされ、その裏面層11a(裏面材料)が木綿(天然素材)、断熱シート12に面する表面層11b(表面材料)がポリエステル繊維材(化学繊維材)とされる。たとえば、ポリエステル繊維材に横糸として木綿材を入れることで発熱シート11を構成すればよい。
裏面の繊維加工材である発熱シート11は、温熱衣料10を身に着けたときに皮膚に近い位置に配せられる裏地材である。この発熱シート11は、本実施形態では上述したようにそれ自体が2層構造とされ、その裏面層11a(裏面材料)が木綿(天然素材)、断熱シート12に面する表面層11b(表面材料)がポリエステル繊維材(化学繊維材)とされる。たとえば、ポリエステル繊維材に横糸として木綿材を入れることで発熱シート11を構成すればよい。
表面層11bのポリエステル繊維材には、上述したように、炭素材料、具体的にはサイズが3ミクロン以下の炭素(グラファイト(黒鉛))粉が20%程度、分散混入されている。炭素粉はポリエステル繊維材を製造する際に、分散剤とともに混入され、ポリエステル繊維材内に均一に分散されている。炭素材料としてはピッチ系、PAN系の炭素繊維を用いてもよい。
発熱シート11の構成としては上記のものに限られず、その他種々の繊維加工材の組み合わせでもよく、レーヨンやアセテートなどの再生繊維材、半合成繊維材を用いてもよいし、他の合成繊維材を用いてもよい。また、裏面層11aとして木綿以外の天然繊維材や他の素材を用いてもよい。さらに、発熱シート11は表裏2層の構造でなくてもよく、1層のものであってもよい。ようするに、少なくとも炭素材料が混入されたシート材であればよい。
ポリエステル繊維材は柔軟であるため、またレーヨンは吸放湿性にすぐれているため、いずれも裏地材として好適に利用することができる。また、裏面層11aを木綿で形成しているため、皮膚の上に直接着ける場合には肌触りがよく、汗もよく吸う。
中間層の繊維加工材である断熱シート12は、空隙が多く、空気を多く含んだ不織布が主たる材料とされ、その材料には炭素材料として活性炭が混入されている。この炭素材料としては、活性炭に限られず、発熱シート11に分散混入されたグラファイトであってもよいし、他の炭素材料であってもよい。
また、表面の繊維加工材である熱反射シート13は、アルミ繊維を縦横に編んでシート状に形成してなる。なお、熱反射シート13は入手しやすいアルミ繊維を用いることが望ましいが、これには限られず、発熱シート11からの熱を反射することが可能な、銀色等に着色した樹脂糸材を縦横に編んで形成したシート材を用いてもよい。
以上のように、温熱衣料10の3層のうちの発熱シート11には炭素粉が含まれているため、温熱衣料10を身体に着けたときには、その炭素材料による遠赤外線効果である温熱効果により身体および温熱衣料10の全体層が加熱される。
また、断熱シート12の不織布にも炭素材料が含まれているため、その炭素材料ともあいまって、さらなる温熱効果が奏せられる。もちろん、断熱シート12には空気を含んだ不織布で構成されているため断熱効果があり、外気による温度の低下を防止できる。
このように身体の表面側で発生した熱は、断熱シート12、熱反射シート13を介して外側に発散しようとするが、熱反射シート13の裏側で発生した熱は熱反射シート13で反射されて温熱衣料10の内部にこもる。特に、断熱シート12は空気を十分に含んでいるため、不織布の空間に温熱が充満し、保温を促進する。
また、上述したように、本温熱衣料10はキルティング加工が溶着によりなされ、縫合孔が形成されていないため、温められた空気の外部への流出を少なくすることができる。
本温熱衣料10は、図2に示したようなフード付き、羽織式のマント形状の衣料として、または図3に示したような上下に分かれたスウェットスーツ形状の衣料として適用が可能である。これらの形状の衣料としては、冬季、寒冷地でのスポーツ着(観戦用のものを含む)などに適用が可能である。
図2に示したサウナスーツ20は、腕を外部に出さないマント式であり、おもに身体のうちの上半身、腰、腕および頭部を覆うことができ、着用した後に下端開口部24を絞って熱の出入り口を塞げば、内部の温められた空気は外部へ流出するおそれはないし、外部から冷たい空気が進入するおそれもない。
また、このサウナスーツ20は、顔開口22の下端より胸部まではファスナーで開閉でき、空気の入れ替えができるようになっている。もちろん、ファスナーで前部を下端まで開けられるようにしてもよい。さらに、腕出し口23もファスナーで開閉できるようになっている。サウナ用に使用する場合には、これらを閉じて使用すればよく、スポーツやその他外出など一般生活に使用する際には、腕出し口23を開け、腕を出して使用すればよい。
また、図2に示したように、このサウナスーツ20は溶着によるキルティング加工がなされている。図中の25は溶着部である。
また、図3に示したサウナスーツ20Aは、上半身と下半身とを個別に覆うものである。このものは、スウェットスーツ形状であり、上着28の胴体部28aの下端開口28b、腕部28cの先端開口28d、ズボン29の腰開口29a、脚部29bの先端開口29cはゴムなどで絞られており、熱の出入りを制限できるようになっている。なお、図3において、21はフード、22は顔開口、25は溶着部である。
また、たとえば熱拡散防止機能を向上させるために、上着とズボンとを一体とした、つなぎスーツでサウナスーツを構成してもよい。
このようなサウナスーツ20、20Aは、サウナチェアに腰掛けた状態でも利用することができる。サウナチェアの内部にアロマオイルを配して腰掛面より、スチームやミストとともにアロマを発散させるように使用すればよい。
また、以上に説明した温熱衣料10は、サウナスーツ20、20Aやスポーツ着など身に着けて動作できるものに限られず、図3に示したような簡易サウナ室用カバー30にも適用が可能である。
このサウナ室30Aは、骨格部(不図示)に外面カバー(簡易サウナ室用カバー30)として、図1に示したような温熱衣料10を被せてなる簡易式のものである。簡易サウナ室用カバー30を構成する、少なくとも正面カバー31、側面カバー32および背面カバーが一体または別体の温熱衣料10で形成されている。それぞれのカバーは、図1に示したものと同様に、複数層構造であり、溶着によるキルティング加工がなされている。図中の35は溶着部である。
湾曲状に設置した正面カバー31には出入り口33が形成され、中央のファスナーで左右に開閉可能とされ、その上部には首出し開口34が形成されている。使用者は椅子などに腰掛けた状態で、首出し開口34より頭のみを出した状態で全身温浴をすることができる。
温熱衣料10はさらに通常の生活で使用する防寒着にも利用できる。たとえばコートに利用してもよいし、ダウンジャケット様の防寒着に利用してもよい。また、寝袋としての適用も可能である。
上述した温熱衣料10は3層構造であるが、4層以上で構成されたものでもよい。上述したように、裏面層の繊維加工材として炭素材料入りの発熱シート11が配され、表面層の繊維加工材として熱反射シートが配され、それらの中間の層の繊維加工材として、空隙が多く空気を十分に含ませた断熱シート12が配されたものであればよい。
10 温熱衣料
11 発熱シート
11a 裏面層
11b 表面層
12 断熱シート
13 熱反射シート
14 溶着部
20、20A サウナスーツ(温熱衣料)
25 溶着部
30A サウナ室
30 簡易サウナ室用カバー(温熱衣料)
31 正面カバー
32 側面カバー
35 溶着部
11 発熱シート
11a 裏面層
11b 表面層
12 断熱シート
13 熱反射シート
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20、20A サウナスーツ(温熱衣料)
25 溶着部
30A サウナ室
30 簡易サウナ室用カバー(温熱衣料)
31 正面カバー
32 側面カバー
35 溶着部
Claims (4)
- 繊維加工材を少なくとも3層に重ねてなる温熱衣料であって、
裏面層の繊維加工材として設けた炭素材料を混入した発熱シートと、表面層の繊維加工材として設けた裏面側からの熱を反射する熱反射シートと、中間層の繊維加工材として設けた空隙を有した断熱シートとよりなり、
前記3層の繊維加工材は、部分的に表裏間で溶着して、キルティング加工されており、
前記発熱シートは、表裏2種の材料で構成され、裏面材料が天然素材、前記中間層に面する表面材料が化学繊維材とされ、該化学繊維材に前記炭素材料が混入されていることを特徴とする温熱衣料。 - 請求項1において、
前記断熱シートは、不織布に炭素材料を混入してなることを特徴とする温熱衣料。 - 請求項1または2において、
前記熱反射シートはアルミ繊維よりなることを特徴とする温熱衣料。 - 請求項1〜3のいずれか1項において、
外観形状がフード付きマント形状とされることを特徴とする温熱衣料。
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