以下、本発明の実施の形態による月経周期に伴うホルモンバランス推定装置を添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図17は第1の実施の形態を示している。図において、1は後述する外部の処理装置13と一緒にホルモンバランス推定装置を構成するウエアラブルセンサ装置(以下、センサ装置1という)で、該センサ装置1は、後述のケーシング2、体表温度検出部3、外気温度検出部4、コントロールユニット6、表示部11等によって大略構成されている。
2はセンサ装置1の本体(主支持体)をなすケーシングで、該ケーシング2は、図1ないし図3に示すように例えば樹脂材料を用いて略楕円形(卵形)の箱形状に形成され、その内部には後述の回路基板5等が収容されている。
3は体表の温度を検出する体表温度検出部(体表温度検出手段)で、該体表温度検出部3は、例えばサーミスタ等からなる測温素子によって構成されている。該体表温度検出部3は、ケーシング2のうち被測定者Hの体表面側に配置される。このため、被測定者Hの体表面H0にケーシング2が接触し、体表温度がケーシング2を通じて測温素子に熱伝導する。ここで、ケーシング2の該体表温度検出部3が接触する部分の樹脂素材は、薄く加工されている。これにより、体表温度検出部3は、測温素子によって被測定者Hの体表温度に応じた信号を出力する。
なお、体表温度検出部3は、被測定者Hの体表面H0に接触して体温を直接的に検出する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば体表温度検出部3と被測定者Hの体表面H0との間に下着等を挟む場合には、体表温度検出部3は、下着等を介して被測定者Hの体温を間接的に検出する構成としてもよい。即ち、体表温度検出部3は、被測定者Hの絶対的な体温を検出する必要はなく、体温に対応して変化する相対的な温度を検出すれば足りる。従って、毎日の計測条件がほぼ一定であれば、例えば下着1枚を挟んで体表温度検出部3を被測定者Hの体表面H0に密着させる構成としてもよい。また、体表温度検出部3は、被測定者Hの体表面H0の温度を検出するものに限らず、例えば被測定者Hの体内の温度を検出する深部温度計を用いる構成としてもよい。
4は外気温度を検出する外気温度検出部(外気温度検出手段)で、該外気温度検出部4は、図3に示すように、ケーシング2のうち被測定者Hの体表面H0とは反対側(背面側)に位置している。外気温度検出部4と体表温度検出部3との間には、後述の回路基板5が配置されている。そして、外気温度検出部4は、ケーシング2の背面側に位置しているから、ケーシング2を介して外気温度を検出し、外気温度に応じた信号を測温素子から出力する。
5はケーシング2の内部に収容された回路基板で、該回路基板5には、図4に示すようにマイクロコンピュータ等からなる読込み手段としてのコントロールユニット6が搭載されている。そして、コントロールユニット6は、その入力側が体表温度検出部3および外気温度検出部4に接続されると共に、その出力側が後述の表示部11に接続されている。また、コントロールユニット6には記憶手段として例えばROM、RAM等からなる記憶部7が設けられている。
ここで、記憶部7には、コントロールユニット6を作動させるプログラムと該プログラムで使用する開始時刻ts、終了時刻te、時間間隔Δtが予め格納されている。また、記憶部7には、コントロールユニット6の作動によって後述の体表温度検出データD1、外気温度検出データD2、体温データD3が記憶される構成となっている。
このとき、開始時刻tsと終了時刻teは就寝中の時刻として例えば午前0時(ts=0:00am)と午前6時(te=6:00am)とにそれぞれ設定され、時間間隔Δtは例えば10分程度の値に設定される。なお、開始時刻ts、終了時刻teは、被測定者Hが例えば夜間勤務者であれば、その就寝の開始時刻および終了時刻に設定されるものである。また、時間間隔Δtも、10分に限らず、例えば1〜30分程度の間で測定条件等に応じて適宜設定されるものである。
また、コントロールユニット6は、時刻を計時するタイマ8を有すると共に、例えば3個のボタンスイッチ9A〜9Cからなるスイッチ部9が接続されている。そして、コントロールユニット6は、ケーシング2に搭載されたコイン型リチウム電池等の電源10によって駆動し、スイッチ部9を操作することによって記憶部7からプログラムを読出して作動する。これにより、コントロールユニット6は、タイマ8による時刻が開始時刻tsに達すると、開始時刻tsから終了時刻teまでの間に亘って一定の時間間隔Δt毎に体表温度検出部3から検出温度に応じた体表温度検出データD1を読込むと共に、外気温度検出部4から検出温度に応じた外気温度検出データD2を読込む。
そして、コントロールユニット6は、これらの体表温度検出データD1と外気温度検出データD2を記憶部7に順次記憶する。これにより、記憶部7には、開始時刻tsから終了時刻teまでの複数の体表温度検出データD1からなる時系列の体表温度データ群DG1と、複数の外気温度検出データD2からなる時系列の外気温度データ群DG2とが記憶される。
また、記憶部7は、コントロールユニット6による温度検出データD1,D2のうち予め設定された温度の許容範囲(例えば32℃〜40℃)以内の値で、かつ温度変化の許容範囲(例えば±1℃/10分)以内の値を正常な値とし、許容範囲以外の値を異常な値としてデータ群DG1,DG2を記憶する。具体的には、正常な値は温度検出データD1,D2をそのまま記憶し、異常な値は欠損データ(例えば正常な値と識別可能なエラーフラグ)が記憶される。
ここで、一般に人体の体温計測範囲は32℃〜40℃程度とされるため、温度の許容範囲は、熱平衡状態で体表温度検出部3によって検出される温度が例えば32℃〜40℃の範囲を逸脱することはないとの考えに基づいて決められている。また、就寝中は被測定者Hの体温は比較的安定している。このため、温度変化の許容範囲は、例えば10分程度の時間間隔Δtの前,後で±1℃の許容範囲を超えて変化することはないとの考えに基づいて決められている。
なお、温度の許容範囲および温度変化の許容範囲は、例示した値に限らず、測定条件等を考慮して適宜設定してもよい。
また、体表温度検出データD1は、体表温度検出部3によって検出した温度T1そのものでもよく、例えば予め設定された基準温度数値T0と温度T1との差分値でもよい。同様に、外気温度検出データD2は、外気温度検出部4によって検出した温度T2そのものでもよく、基準温度数値T0と温度T2との差分値でもよい。この場合、基準温度数値T0は、データ容量を削減する意味から、例えば温度T1,T2の平均値(例えば34℃)等に設定するのが好ましい。
ここで、通常の生活可能な室温の環境下で被測定者Hが身体にセンサ装置1を装着した場合、ケーシング2が温められる過程において、熱源となる被測定者Hの身体がより近い場所に位置する体表温度検出部3は外気温度検出部4より先に温度が上がり、熱平衡に達した場合も含め、その温度はT1≧T2となる。もし、T1<T2となった場合は、外気側に何らかの熱源があり外側から温められる要因の影響を受けていると考えられる。例えば、就寝中にうつぶせ寝が長く続いて腹部から放熱が蓄熱し高温となるうつ熱状態や、体温よりも高温を発する電気毛布、懐炉、湯たんぽ等の使用、こたつ寝、体温の高い子供やペットとの添い寝などの場合が想定される。
このため、コントロールユニット6は、基礎体温変動の指標となる代表温度T3の決定において、温度検出データD1,D2のうち、D1<D2となる場合は候補から外し、温度検出データD1のうちの最高値を当日の代表温度T3に決定する。最高値以外の体表温度検出データD1は、外部から冷やされる要因の影響を受けたと考えられるため、センサ装置1の装着時にケーシング2が一番よい条件で身体深部温度を反映していると推測できる最高値を代表温度T3として決定し、この代表温度T3に応じた体温データD3を記憶部7に記憶する。なお、体温データD3は、温度検出データD1,D2と同様に、代表温度T3そのものでもよく、基準温度数値T0と温度T3との差分値でもよい。
11はケーシング2の背面側に設けられた液晶画面等からなる表示部で、該表示部11はコントロールユニット6に接続され、例えばコントロールユニット6の駆動状態を表示する。また、表示部11は、記憶部7に記憶した体表温度検出データD1、外気温度検出データD2および体温データD3を後述する外部の処理装置13に転送する転送手段を構成し、スイッチ部9を操作することによって、例えばQRコード(登録商標)等の2次元コードを表示する。ここで、この2次元コードは、記憶部7に記憶した1日分(1晩分)のデータD1〜D3およびURL(Uniform Resource Locator)等のようにデータの送信先アドレスの情報を含む。このため、被測定者Hは、2次元コードの読取り機能を有する携帯電話PT等を使用することによって、携帯電話PT内に2次元コード内の情報を読み込む。これにより、被測定者Hは、図5に示すように、インターネット等の通信網を介して携帯電話PTを外部の処理装置13にアクセスし、処理装置13に向けてデータD1〜D3を転送することができる。
また、被測定者Hは、センサ装置1のスイッチ部9を操作することにより、月経開始日データを入力する構成としてもよい。この場合、被測定者Hは、センサ装置1および携帯電話PTを用いて前述と同様に2次元コードの表示、読込み、送信の操作を行うことによって、月経開始日データを処理装置13に転送することができる。
なお、転送手段は、表示部11による2次元コード表示を用いる構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、コントロールユニット6と携帯電話PTとの間を例えばケーブル接続による有線方式または赤外線、Bluetooth(登録商標)による無線方式を用いて接続するコネクタ等の接続部を設け、該接続部によって転送手段を構成してもよい。また、例えば体温データD3および月経開始日は、処理装置13にアクセスして直接入力してもよい。
12はケーシング2を被測定者Hに取付ける装着手段としてのクリップで、該クリップ12は、ケーシング2の中央側に位置してケーシング2の表面を覆い、その先端が自由端となってケーシング2に弾性的に押付けられている。また、クリップ12のうち表示部11と対応した位置には、クリップ12を厚さ方向に貫通した開口部12Aが設けられている。これにより、表示部11は、開口部12Aを通じて目視可能になっている。そして、クリップ12とケーシング2との間には、衣服等を挟持可能になっている。このため、クリップ12は、図1に示すように、ショーツ等の下着を挟むことによって、センサ装置1を被測定者Hの腹部に固定する。
なお、センサ装置1は被測定者Hの腹部に限らず、例えば被測定者Hの胸部に固定する構成としてもよい。この場合、クリップ12は、就寝時に着用する下着等に取付けるものである。
13は図5に示すようにセンサ装置1によって計測した体温データD3を用いて被測定者Hが高温期と低温期とのうちいずれの状態にあるかを推定する処理装置で、該処理装置13は、周期平均温度演算手段、平均月経周期日数特定手段、移行時期特定手段、女子力指数演算手段、表示手段等を備えている。また、処理装置13は、例えばサーバコンピュータ等によって構成され、ROM、RAM等からなる記憶回路(図示せず)を有している。
そして、処理装置13は、図7に示すように、複数日間(例えば6ヶ月間)の体温データD3に基づいて、過去、現在、未来における被測定者Hのホルモンバランス状態を推定する。
なお、処理装置13は、センサ装置1から転送された体温データD3を用いる場合に限らない。処理装置13は、例えばセンサ装置1のコントロールユニット6と同様の処理を行うことによって、当日の体表温度データ群DG1と外気温度データ群DG2とに基づいて体温データD3(代表温度データ)を求めてもよい。また、処理装置13には複数周期分の体温データD3が記憶されているのが好ましいが、必ずしも複数周期分が記憶されている必要はなく、少なくとも1周期分の体温データD3が記憶されていればよい。
本実施の形態によるホルモンバランス推定装置は上述のような構成を有するもので、次に図7を用いてホルモンバランス推定処理について説明する。
ここで、被測定者Hがセンサ装置1から処理装置13に毎日の体温データD3を転送することによって、処理装置13には、図6に示すように、予め複数周期分(n周期分)の体温データD3が体温データ系列S0として蓄積されているものとする。そして、処理装置13は、被測定者Hからの要請指令等を受け取ることによって、後述のホルモンバランス推定処理を開始する。
また、ここでは、直前に終了した月経周期MC1について、ホルモンバランス状態等を推定する場合を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限らず、例えば月経周期MC1よりも前の月経周期MC2〜MCnについても同様に適用することができる。
まず、ステップ1では、月経開始日を入力すると共に、例えば月経による出血の有無のような月経継続情報を入力する。なお、月経開始日および月経継続情報は、センサ装置1等によって予め入力され、記憶回路に格納されていてもよく、新たに入力してもよい。また、処理装置13の記憶回路には、体温データD3が蓄積された期間内における複数の月経開始日Ds0〜Dsnおよび月経継続日数DX0〜DXnが記憶される。このとき、月経開始日Ds0が最新の月経開始日を表し、月経開始日Dsnが最古の月経開始日を表している。また、月経継続日数DX0が最新の月経継続日数を表し、月経継続日数DXnが最古の月経継続日数を表している。
続くステップ2では、蓄積されたn周期分の体温データD3のうち欠損データを補充する。例えば被測定者Hが測定し忘れた日や測定状態の不備により体温データD3としてエラーフラグが入力された日については、欠損データが発生する。このため、この欠損データが発生した場合には、例えばその前日および後日の体温データD3を用いて線形補間を行い、欠損データを補充する。また、該当周期の平均値±1℃の範囲から外れた体温データD3は、発熱や計測不備による不適切な値であると考えられる。このため、このような体温データD3についても、欠損データと同様に線形補間によって求めた値に置換する。これにより、体温データ系列S0は、欠損データが補充された体温データ系列S1に変換される。なお、欠損データ等の補充は、線形補間に限らず、各種の補間処理を用いて補充してもよい。
次に、ステップ3では、図8に示すように、平均月経周期日数Nmを特定する平均月経周期日数特定処理を行う。ステップ4では、図9に示すように、低温期と高温期の判定を行う月経周期MC1において、体温データD3を平均して周期平均温度Tmを演算する周期平均温度演算処理を行う。
ステップ5では、図10に示すように、ステップ4で算出した周期平均温度Tmを用いて月経周期MC1における低温期と高温期を判定する。ステップ6では、図11に示すように、ホルモンバランスに応じた女子力指数WPを演算する女子力指数演算処理を行う。ステップ7では、図12に示すように、排卵期および月経開始日の推定処理を実行する。
最後に、ステップ8では、ステップ5によって特定した低温期と高温期の判定結果と、ステップ6によって算出した女子力指数WPの演算結果と、ステップ7によって推定した次回排卵期および次回月経開始日とを、被測定者Hの携帯電話PT、コンピュータ等の画面に表示する。なお、次回排卵期および次回月経開始日の推定結果は、今回の月経開始日が入力されたときに、自動的に表示してもよく、被測定者Hの要請に応じて表示してもよい。
次に、ステップ3による平均月経周期日数特定処理について、図8を参照しつつ説明する。
ステップ11では、自己申告周期日数N0を入力する。なお、自己申告周期日数N0は、センサ装置1等によって予め入力され、記憶回路に格納されていてもよく、新たに入力してもよい。
ステップ12では、低温期から高温期への移行時期を特定する月経周期MC1を基準として、該月経周期MC1とその前回の月経周期MC2とその前々回の月経周期MC3とからなる直近3周期分(月経周期MC1〜MC3)の月経周期日数Nmc1〜Nmc3を算出する。具体的には、直近3周期分の月経開始日Ds0〜Ds3を読み出し、月経開始日Ds0の前日から月経開始日Ds1までの日数を第1の月経周期日数Nmc1として算出する。同様に、月経開始日Ds1の前日から月経開始日Ds2までの日数を第2の月経周期日数Nmc2として算出し、月経開始日Ds2の前日から月経開始日Ds3までの日数を第3の月経周期日数Nmc3として算出する。
ステップ13では、自己申告周期日数N0に基づいてそれぞれの月経周期日数Nmc1〜Nmc3が正常範囲内か否かを判定する。具体的には、月経周期日数Nmc1〜Nmc3が、自己申告周期日数N0を基準としてその前,後6日の範囲内(N0−6日≦Nmc1〜Nmc3≦N0+6日)にあるときには、正常であると判定し、それ以外の値になるときには非正常であると判定する。
なお、ここでは、自己申告周期日数N0の前,後6日の範囲を正常範囲とした。しかし、正常範囲の基準はこれに限らず、例えば自己申告周期日数N0に対して前,後2日〜8日の範囲でもよく、自己申告周期日数N0に対して前,後10〜30%程度の範囲でもよく、被測定者Hの個人差、測定条件等を考慮して適宜設定できるものである。
次に、ステップ14では、直近3周期分の月経周期日数Nmc1〜Nmc3が全て正常か否かを判定する。そして、ステップ14で「YES」と判定したときには、月経周期日数Nmc1〜Nmc3がいずれも正常範囲内にあるから、ステップ15に移行して、直近3周期分の月経周期日数Nmc1〜Nmc3を用いて平均月経周期日数Nmを算出する。具体的には、正常な月経周期日数Nmc1〜Nmc3の平均値によって平均月経周期日数Nmを算出する。
一方、ステップ14で「NO」と判定したときには、ステップ16に移行して、直近3周期分の月経周期日数Nmc1〜Nmc3が全て非正常か否かを判定する。そして、ステップ16で「YES」と判定したときには、月経周期日数Nmc1〜Nmc3がいずれも正常範囲を外れているから、ステップ17に移行して、自己申告周期日数N0を平均月経周期日数Nmとして算出する。
ステップ16で「NO」と判定したときには、ステップ18に移行して、月経周期日数Nmc1〜Nmc3のうち正常なものと自己申告周期日数N0とを用いて、平均月経周期日数Nmを算出する。例えば2つの月経周期日数Nmc1,Nmc2が正常で、1つの月経周期日数Nmc3が非正常の場合には、2つの月経周期日数Nmc1,Nmc2と1つの自己申告周期日数N0とを平均して平均月経周期日数Nmを算出する。また、1つの月経周期日数Nmc1が正常で、2つの月経周期日数Nmc2,Nmc3が非正常の場合には、1つの月経周期日数Nmc1と1つの自己申告周期日数N0とを平均して平均月経周期日数Nmを算出する。
これにより、特定の月経周期日数だけが使用されることがなく、月経周期日数に基づく偏り等を低減することができる。そして、ステップ15,17,18が終了すると、リターンする。
なお、平均月経周期日数Nmに小数点以下の値が発生する場合には、例えば切り上げ、切り捨て、四捨五入等の基準に基づいて、平均月経周期日数Nmが自然数になるようにする。
また、以上の平均月経周期日数特定処理は、直前に終了した月経周期MC1について、低温期から高温期への移行時期を特定するために、直近3周期分の月経周期MC1〜MC3に基づいて平均月経周期日数Nmを算出した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば過去のm番目(m<n)の月経周期MCmについて移行時期を特定するときには、月経周期MCmとその前回の月経周期MCm+1とその次回の月経周期MCm-1とからなる前後3周期分の月経周期MCm-1〜MCm+1に基づいて平均月経周期日数Nmを算出してもよい。さらに、月経周期MCmとその次回の月経周期MCm-1とその次々回の月経周期MCm-2とからなる直後3周期分の月経周期MCm-2〜MCmに基づいて平均月経周期日数Nmを算出してもよい。
次に、ステップ4による周期平均温度演算処理について、図9を参照しつつ説明する。
ステップ21では、今回の月経周期日数Nmc1と平均月経周期日数Nmとを比較する。具体的には、月経周期日数Nmc1が平均月経周期日数Nm以下であるか否かを判定する。
ステップ21で「YES」と判定したときには、ステップ22に移行して、月経周期MC1について周期全体の体温データD3を平均して周期平均温度Tmを算出し、リターンする。
一方、ステップ21で「NO」と判定したときには、ステップ23に移行して、月経周期MC1について周期最終日(月経開始日Ds0の前日)から数えて平均月経周期日数Nm分の体温データD3を平均して周期平均温度Tmを算出し、リターンする。
例えばストレス等により被測定者Hの排卵が遅れて低温期(卵胞期)が長引き、正常時に比べて低温期が長期間となる場合がある。このように、月経周期日数Nmc1が平均月経周期日数Nmよりも長期になるのは、多くの場合は低温期が長引いたことによるものと考えられる。この場合、周期全体の体温データD3の平均値は低くなるから、低温期から高温期への移行を判定するためには、不適切な基準値になる傾向がある。
そこで、予め被測定者Hの平均月経周期日数Nmを算出しておき、月経周期日数Nmc1が平均月経周期日数Nmを超えた場合には、周期最終日から平均月経周期日数Nmの体温データD3を平均して周期平均温度Tmを算出する。これにより、周期平均温度Tmが過剰に低下するのを防止できると共に、周期平均温度Tmを算出するときに不安定になり易い月経開始日Ns1付近の体温データD3を省くことができる。この結果、低温期の長期化に伴う周期平均温度Tmの低下を防ぐことができ、高温期か否かを判定する基準として適切な周期平均温度Tmを算出することができる。
次に、ステップ5による低温期と高温期の判定処理について、図10を参照しつつ説明する。
ステップ31では、予め決められた所定の期間内で体温データD3と周期平均温度Tmとを比較する。ここで、所定の期間としては、例えば月経周期のうち低温期から高温期への移行が生じる可能性の高い期間として、月経開始日Ds1から12日以降で、かつ周期最終日である月経開始日Ds0の前日から16日以内が設定される。これは、日本産科婦人科学会が、卵胞期(低温期)日数の正常範囲を17.9日±6.2日とし、黄体期(高温期)日数の正常範囲を12.7日±1.6日と定めていることに基づいている。即ち、正常な低温期は少なくとも12日を超えると共に、正常な高温期は16日以内であると考えられるためである。
なお、適切な移行時期を把握するための所定の期間としては、上述したものに限らない。所定の期間としては、例えば月経開始日Ds1から10日〜14日以降としてもよく、周期最終日から14日〜18日以内としてもよい。即ち、所定の期間は、被測定者Hの個人差等を考慮して、適宜設定することができる。
次に、ステップ32では、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったか否かを判定する。ステップ32で「YES」と判定したときには、ステップ33,34に移行して高温期と低温期の移行時期を特定し、高温期と低温期を判定する。具体的には、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときの初日とその前日との間に低温期から高温期に移行したものと判定する。
このため、ステップ33では、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときの初日から周期最終日までの間を高温期と判定する。このとき、高温期の日数(高温期日数NH)も併せて算出する。また、ステップ34では、月経開始日Ds1から高温期の前日までを低温期と判定する。このとき、低温期の日数(低温期日数NL)も併せて算出する。そして、ステップ34が終了すると、リターンする。
一方、ステップ32で「NO」と判定したときには、ステップ35に移行して、高温期に移行しなかったものと判定する。このとき、低温期日数NLおよび高温期日数NHは算出せず、リターンする。
次に、ステップ6による女子力指数演算処理について、図11を参照しつつ説明する。
ステップ41では、高温期への移行があったか否かを判定する。ステップ41で「YES」と判定したときには、後述するステップ43以降の処理を行い、女子力指数WPを演算する。一方、ステップ41で「NO」と判定したときには、高温期に移行しなかったため、ステップ42に移行して、女子力指数WPを演算せずに、評価なしとしてリターンする。
ステップ43では、低温期日数NLに基づいて第1の指数P1を演算する。具体的には、日本産科婦人科学会が定める卵胞期日数正常範囲に基づいて、低温期日数NLが11日〜24日までの範囲内であれば正常であると評価し、第1の指数P1として予め決められた正の値からなる第1の基準点P10(P10>0)を付与する(P1=P10)。一方、低温期日数NLが25日以上の場合は、減点対象とし、以下の数1の式に基づいて、低温期超過指数P11を計算する。このとき、第1の指数P1には、第1の基準点P10から低温期超過指数P11を減算した値が付与される(P1=P10−P11)。なお、数1の式中で、CLは予め決められた係数(定数)である。
次に、ステップ44では、高温期日数NHに基づいて第2の指数P2を演算する。具体的には、日本産科婦人科学会が定める黄体期日数正常範囲に基づいて、高温期日数NHが11日〜16日までの範囲内であれば正常であると評価し、第2の指数P2として予め決められた正の値からなる第2の基準点P20(P20>0)を付与する(P2=P20)。一方、高温期日数NHが10日以下の場合は、減点対象とし、以下の数2の式に基づいて、高温期短縮指数P21を計算する。このとき、第2の指数P2には、第2の基準点P20から高温期短縮指数P21を減算した値が付与される(P2=P20−P21)。なお、数2の式中で、CHは予め決められた係数(定数)である。
次に、ステップ45では、低温期全体の体温データD3を平均して低温期平均温度TmLを算出する。ステップ46では、高温期全体の体温データD3を平均して高温期平均温度TmHを算出する。
ステップ47では、高温期平均温度TmHから低温期平均温度TmLを減算して、温度差ΔTを算出する。続くステップ48では、温度差ΔTに基づいて第3の指数P3を演算する。一般的に低温期と高温期の温度差は0.3℃〜0.5℃と言われていることから、温度差ΔTが0.5℃以上であれば正常であると評価し、第3の指数P3として予め決められた正の値からなる第3の基準点P30(P30>0)を付与する(P3=P30)。一方、温度差ΔTが0.5℃未満の場合は、減点対象とし、以下の数3の式に基づいて、2相差不全指数P31を計算する。このとき、第3の指数P3には、第3の基準点P30から2相差不全指数P31を減算した値が付与される(P3=P30−P31)。なお、数3の式中で、Cdは予め決められた係数(定数)である。
なお、2相差不全指数P31は、温度差ΔTが0.5℃の場合を基準に算出するものとしたが、本発明はこれに限らず、例えば一般的な正常範囲の下限である0.3℃を基準に算出してもよく、0.3℃〜0.5℃の間で適当な値に設定してもよい。温度差ΔTは黄体ホルモンの影響が反映され易いので、基準の値を大きくした方が黄体ホルモンに応じた第3の指数P3を算出することができる。基準となる温度差ΔTの値は、センサ装置1の検出精度等を考慮して適宜設定することができる。
最後に、ステップ49では、第1〜第3の指数P1〜P3を用いて、ホルモンバランスの状態に応じた指数である女子力指数WPを演算する。この女子力指数WPは、被測定者Hの月経周期MC1全体を評価する指数である。具体的には、以下の数4の式に示すように、第1〜第3の指数P1〜P3を加算して女子力指数WPを算出する。この際、被測定者Hがホルモンバランス状態を容易に把握できるようにするために、女子力指数WPは良好状態と考えられる第1〜第3の基準点P10〜P30を加算した値を例えば10点満点や100点満点とし、低温期超過指数P11、高温期短縮指数P21、2相差不全指数P31を順次減算する。係数CL,CH,Cdは、ホルモンバランスに対する低温期超過指数P11、高温期短縮指数P21、2相差不全指数P31の影響等を考慮して適宜設定される。ステップ49が終了すると、リターンする。
なお、低温期超過指数P11、高温期短縮指数P21、2相差不全指数P31が大きくなると、女子力指数WPは負の値になるが、例えば−10点や−100点のように負の満点で飽和してもよく、0点で飽和してもよい。また、女子力指数WPだけを算出する場合には、必ずしも第1〜第3の基準点P10〜P30に分ける必要はなく、これらを加算した値を基準点として、この基準点から低温期超過指数P11、高温期短縮指数P21、2相差不全指数P31を減算してもよい。
また、低温期日数NLは個人差が大きく、かつ正常な範囲が広いため、ホルモンバランス状態の把握は限定的になる傾向がある。一方、高温期日数NHおよび温度差ΔTは、ホルモンバランス状態に応じて変動し易く、ホルモンバランス状態との相関性が高い傾向がある。このため、女子力指数WPを演算するときは、低温期日数NLに比べて、高温期日数NHおよび温度差ΔTの2つの要素を重視するのが好ましい。この点を考慮して、第2,第3の基準点P20,P30は、第1の基準点P10に比べて、大きな値に設定するのが好ましい(P20,P30>P10)。
次に、ステップ7による排卵期および月経開始日の推定処理について、図12を参照しつつ説明する。
ステップ51では、図11等に示す女子力指数演算処理を直近3周期分に対して実行し、直近3周期分の女子力指数WP1〜WP3を算出する。具体的には、直近3周期分(月経周期MC1〜MC3)について、低温期日数NLと、高温期日数NHと、低温期平均温度TmLおよび高温期平均温度TmHの温度差ΔTとに基づいて、それぞれの月経周期MC1〜MC3に応じた女子力指数WP1〜WP3を算出する。なお、低温期から高温期への移行が判定できない月経周期MC1〜MC3については、女子力指数WP1〜WP3は算出しない。
続くステップ52では、女子力指数WP1〜WP3が全て正常範囲か否かを判定する。具体的には、ステップ52では、女子力指数WP1〜WP3と予め決められた所定の判定基準値WPthとを比較する。そして、女子力指数WP1〜WP3がいずれも所定の判定基準値WPth以上のとき(WP1〜WP3≧WPth)には、月経周期MC1〜MC3は全て正常な月経周期であると考えられるので、ステップ52で「YES」と判定し、ステップ53に移行する。
このとき、所定の判定基準値WPthとしては、女子力指数WP1〜WP3の満点に対して例えば70%程度の値が設定される。なお、女子力指数WP1〜WP3が正常範囲か否かの判定基準値WPthは、女子力指数WP1〜WP3の満点に対して70%の値に限らず、例えば50%〜90%の範囲内の値、好ましくは60%〜80%の範囲内の値で、被測定者Hの個人差等を考慮しつつ適宜設定されるものである。
ステップ53では、直近3周期分の低温期日数NL1〜NL3を用いて平均低温期日数NLmを算出する。具体的には、低温期日数NL1〜NL3の平均値(NL1+NL2+NL3)/3によって平均低温期日数NLmを算出する。
続くステップ54では、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3を用いて平均高温期日数NHmを算出する。具体的には、高温期日数NH1〜NH3の平均値(NH1+NH2+NH3)/3によって平均高温期日数NHmを算出する。
一方、ステップ52で「NO」と判定したときには、ステップ55に移行して、直近3周期分の女子力指数WP1〜WP3が全て非正常範囲か否かを判定する。具体的には、ステップ55では、女子力指数WP1〜WP3と予め決められた所定の判定基準値WPthとを比較する。そして、女子力指数WP1〜WP3がいずれも所定の判定基準値WPthよりも小さいとき(WP1〜WP3<WPth)、または女子力指数WP1〜WP3が算出されていないときには、月経周期MC1〜MC3は全て非正常な月経周期であると考えられるので、ステップ55で「YES」と判定し、ステップ56に移行する。
ステップ56では、平均低温期日数NLmを各年代の平均値に設定する。具体的には、各年代における低温期日数NLの平均値を予め記憶しておき、記憶した各年代の低温期日数NLの平均値のうち被測定者Hの年齢が属する年代のものを選択して、平均低温期日数NLmに設定する。
続くステップ57では、平均高温期日数NHmを各年代の平均値に設定する。具体的には、各年代における高温期日数NHの平均値を予め記憶しておき、記憶した各年代の高温期日数NHの平均値のうち被測定者Hの年齢が属する年代のものを選択して、平均高温期日数NHmに設定する。
なお、各年代の平均値は、例えば10代、20代等のように10歳間隔の年齢層で求めた平均値でもよく、例えば20代前半と20代後半のように5歳間隔の年齢層で求めた平均値でもよい。また、各年代に限らず、各年齢の平均値でもよい。
ステップ55で「NO」と判定したときには、ステップ58に移行して、低温期日数NL1〜NL3のうち女子力指数WP1〜WP3が正常範囲と判定されたものを用いて平均低温期日数NLmを算出する。具体的には、女子力指数WP1〜WP3のうち2つの値(例えば女子力指数WP1,WP2)が正常範囲であるときには、低温期日数NL1〜NL3のうちこれらに対応した2つの値(例えば低温期日数NL1,NL2)の平均値(例えば(NL1+NL2)/2)によって平均低温期日数NLmを算出する。また、女子力指数WP1〜WP3のうち1つの値(例えば女子力指数WP1)だけが正常範囲と判定されたときには、これに対応した値(例えば低温期日数NL1)を平均低温期日数NLmとして算出する。
続くステップ59でも、ステップ58による平均低温期日数NLmの算出処理を同様な処理を行うことによって、高温期日数NH1〜NH3のうち女子力指数WP1〜WP3が正常範囲と判定されたものを用いて平均高温期日数NHmを算出する。
これにより、特定の低温期日数や高温期日数だけが使用されることがなく、低温期日数や高温期日数に基づく偏り等を低減することができる。
なお、平均低温期日数NLm、平均高温期日数NHmに小数点以下の値が発生する場合には、例えば切り上げ、切り捨て、四捨五入等の基準に基づいて、平均低温期日数NLm、平均高温期日数NHmが自然数になるようにする。
また、以上では、直近3周期分の低温期日数NL1〜NL3に基づいて平均低温期日数NLmを算出した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば直近1周期分、直近2周期分の低温期日数に基づいて平均低温期日数NLmを算出してもよく、直近4〜6周期分の低温期日数に基づいて平均低温期日数NLmを算出してもよい。この点は、平均高温期日数NHmを算出する場合も同様である。即ち、直近1周期分、直近2周期分または直近4〜6周期分の高温期日数に基づいて、平均高温期日数NHmを算出してもよい。
ステップ54,57,59が終了すると、ステップ60に移行して、次回排卵期の推定処理を実行する。第1の実施の形態では、今回(最新)の月経開始日Ds0と平均低温期日数NLmとに基づいて、次回の排卵期を推定する。具体的には、今回(最新)の月経開始日Ds0から平均低温期日数NLm後の日を中心に、その前,後2日の範囲内を排卵期と推定する。例えば平均低温期日数NLmが18日であれば、月経開始日Ds0から16日後〜20日後までの5日間を排卵期と推定する。平均高温期日数NHmが22日であれば、月経開始日Ds0から20日後〜24日後までの5日間を排卵期と推定する。平均低温期日数NLmが他の日数(例えば11日〜17日、19日〜21日、23日、24日)のときも同様である。
なお、排卵期を推定する所定範囲は、今回の月経開始日Ds0から平均低温期日数NLm後の日を中心に、その前,後2日の範囲としたが、前,後1日の範囲でもよく、前,後3日の範囲でもよく、被測定者Hの個人差、測定条件等を考慮して適宜設定できるものである。
続くステップ61では、今回の月経開始日Ds0と、平均低温期日数NLmと、平均高温期日数NHmとに基づいて、次回の月経開始日Dsxを推定する。具体的には、今回(最新)の月経開始日Ds0から平均低温期日数NLmと平均高温期日数NHmとを加算した日数(NLm+NHm)後の日を次回の月経開始日Dsxとして推定する。
なお、平均低温期日数NLmと平均高温期日数NHmとを加算した日数に代えて、ステップ3の平均月経周期日数特定処理によって特定された平均月経周期日数Nmを用いてもよい。
次に、ステップ62では今回の月経周期MC0の途中に高温期への移行があったか否かを判定する。ここで、ステップ62では、高温期への移行の有無を今回の月経周期MC0の途中で判定する。このとき、月経周期MC0全体の体温データD3が揃っておらず、周期平均温度Tmを求めることができないから、ステップ32に示した判定方法では、高温期の移行を判定することができない。
そこで、ステップ62では、体温データD3が所定の高温期基準温度を上回ったときに低温期から高温期への移行が生じたものとして、低温期から高温期への移行時期を特定する。このとき、所定の高温期基準温度は、例えば特許第4933227号公報に開示されているように、低温期基準温度として月経周期MC0の4日目から11日目までの体温データD3の平均値に対して所定の温度差(例えば0.3℃)を加えた値に設定される。
なお、低温期基準温度は、月経周期MC0の4日目から11日目までの体温データD3の平均値に限らず、例えば月経周期MC0の1日目から11日目までの体温データD3の平均値としてもよく、他の方法で特定してもよい。また、所定の温度差は、0.3℃に限らず、例えば被測定者Hの個人差等を考慮して0.2℃〜0.4℃の範囲で適宜設定してもよい。
ステップ62で「YES」と判定したときには、高温期への移行が生じたから、ステップ63に移行する。ステップ63では、次回の月経開始日Dsxとして、高温期への移行日から平均高温期日数NHm後の日、即ち低温期の最終日から平均高温期日数NHmだけ経過した日を推定する。これにより、ステップ61で推定した月経開始日Dsxを、高温期への移行判定に伴って更新した後、リターンする。
一方、ステップ62で「NO」と判定したときには、高温期への移行は生じておらず、低温期を維持しているものと考えられる。このため、ステップ61で推定した月経開始日Dsxを維持して、そのままリターンする。
ステップ60で求めた次回の排卵期の推定結果、およびステップ61,63で求めた次回の月経開始日Dsxは、例えば図13ないし図15に示すホルモンバランス推定結果の画面中に一緒に表示してもよく、被測定者Hの要求や操作に応じてホルモンバランス推定結果とは別個に表示してもよい。
本実施の形態では、上述したホルモンバランス推定処理を行うもので、次にこの処理を用いたときの被測定者Hのホルモンバランス状態の推定結果について説明する。
まず、処理装置13は、予め蓄積された6ヶ月分の体温データD3からなる体温データ系列S0に対して、欠損データを補充する。次に、欠損データを補充した体温データ系列S1を用いて月経周期MC1付近での平均月経周期日数Nmを特定すると共に、この平均月経周期日数Nmに基づいて周期平均温度Tmを演算する。そして、周期平均温度Tmを用いて低温期から高温期への移行時期を特定し、低温期日数NL、高温期日数NH、低温期平均温度TmLおよび高温期平均温度TmHを求める。その後、低温期日数NLと、高温期日数NHと、低温期平均温度TmLおよび高温期平均温度TmHの温度差ΔTとに基づいて、ホルモンバランス状態に応じた女子力指数WPを算出する。また、直近3周期分の女子力指数WP1〜WP3に基づいて、月経周期MC1〜MC3が正常か否か判定し、正常な月経周期MC1〜MC3の低温期日数NLと高温期日数NHとに基づいて、次回の排卵期と次回の月経開始日Dsxを推定する。
最後に、特定した低温期と高温期の判定結果と、女子力指数WPの演算結果と、次回の排卵期および月経開始日Dsxとを、被測定者Hの携帯電話PT、コンピュータ等の画面に表示する。
このとき、処理装置13は、体温データ系列S1を体温データD3の棒グラフの集合として表示する。具体的には、図13ないし図15に示すように、月経周期MC1分の体温データD3の系列を日々の体温データD3の棒グラフで表すと共に、この棒グラフを低温期と高温期とで互いに異なる色に分けて表示する。色分けの仕方としては、色の3属性である色相、明度、彩度のいずれが異なるものでもよく、これらが複合的に異なるものでもよい。例えば低温期の棒グラフは寒色(例えば青、緑等)で表示し、高温期の棒グラフは暖色(赤、黄等)で表示すると、両者の違いが明確化すると共に、棒グラフの集合を目視したときの印象と低温期と高温期が整合し易くなり、低温期と高温期の把握が容易になる。
また、被測定者Hが温度変化を把握し易いように、周期平均温度Tm、低温期平均温度TmL、高温期平均温度TmHの補助線を併せて表示する。さらに、棒グラフの周囲には、月経周期日数Nmc1、低温期日数NL、高温期日数NH、周期平均温度Tm、低温期平均温度TmL、高温期平均温度TmH、平均温度TmL,TmHの温度差ΔT、第1〜第3の指数P1〜P3、女子力指数WP、次回の排卵期、次回の月経開始日Dsxを併せて表示する。
図13ないし図15は、第1の基準点P10が2点、第2の基準点P20が5点、第3の基準点P30が3点にそれぞれ設定され、10点満点で女子力指数WPを評価した場合を例示している。このとき、係数CLは3日、係数CHは1日、係数Cdは0.1℃としている。温度差ΔTが0.3℃までを正常範囲と考えると、8点程度まではホルモンバランスが比較的良好な状態にあると考えられる。
図13は、ホルモンバランス状態は比較的良好な状態と考えられる場合を例示している。図13に示す月経周期では、低温期日数NLはやや長期間であるものの、低温期と高温期とが区別された2相性がはっきりと認識可能になっている。このとき、高温期日数NHは正常範囲内の13日であるから、第2の指数P2は基準点P20になっている。一方、低温期日数NLは正常範囲の上限である24日を超えて29日になっている。このため、第1の指数P1は基準点P10から0.7点減点されて1.3点になっている。また、温度差ΔTも0.5℃に近い値となっているから、第3の指数P3は基準点P30に近い値になっている。この結果、女子力指数WPも満点に近い9.2点になっている。
図14は、温度差ΔTが小さい場合を例示している。このとき、低温期日数NLは正常範囲内の18日であるから、第1の指数P1は基準点P10になっている。また、高温期日数NHは正常範囲の14日であるから、第2の指数P2は、基準点P20になっている。一方、温度差ΔTは0.12℃程度になっているから、第3の指数P3は、基準点P30から3.8点減点されて−0.8点になっている。このため、女子力指数WPは、満点から3.8点減点されて6.2点になっている。
また、図14に示した月経周期では、温度差ΔTが0.2℃以下(ΔT≦0.2℃)であり、2相性が不十分であると考えられる。このため、低温期と高温期のうち少なくともいずれか一方の棒グラフの表示を、温度差ΔTが0.2℃よりも大きい(ΔT>0.2℃)場合とは異なるものにする。具体的には、温度差ΔTが0.2℃よりも大きいときには、高温期の棒グラフを例えば橙色で表示し、温度差ΔTが0.2℃以下のときには、高温期の棒グラフを例えば黄色で表示する。これにより、被測定者は、2相性が不十分である点が把握し易くなる。
図15は、低温期が正常範囲に比べてかなり長期に亘った場合を例示している。このとき、高温期日数NHは正常範囲内の11日であるから、第2の指数P2は基準点P20になっている。一方、低温期日数NLは正常範囲の上限である24日を超えて35日になっている。このため、第1の指数P1は基準点P10から3.7点減点されて−1.7点になっている。また、温度差ΔTは0.28℃程度になっているから、第3の指数P3は、基準点P30から2.2点減点されて0.8点になっている。このため、女子力指数WPは、満点から5.9点減点されて4.1点になっている。
このように、女子力指数WPは低温期日数NL、高温期日数NHおよび温度差ΔTに応じて変化するから、女子力指数WPを参照することによって、ホルモンバランスの状態を把握することができる。これに加え、女子力指数WPが低下したときには、第1〜第3の指数P1〜P3を併せて参照することによって、ホルモンバランス状態が乱れた要因を詳細に検討することができる。また、図13ないし図15に示すように、低温期日数NL、高温期日数NHおよび温度差ΔTについて、正常範囲外となったものは、通常とは異なる表示を行うことによって、注意を喚起してもよい。
また、処理装置13は、ホルモンバランスの評価結果として、図16および図17に示すレーダーチャート等を表示することができる。
図16および図17に示すレーダーチャートでは、月経周期日数の評価値、月経継続日数の評価値、低温期日数評価値、高温期日数評価値、温度差評価値に対応した5つの軸を有している。
これらの評価値は、以下の表1ないし表5に基づいて、月経周期日数Nmc1、月経継続日数DX1、低温期日数NL、高温期日数NH、温度差ΔTを、それぞれ5段階評価したものである。表1ないし表5中の評価値は、各年代に亘る3997名から得られた37148周期のデータを調査した結果に基づいて決定している(図18ないし図22参照)。
ここで、表1ないし表5の評価値について、図18ないし図22を用いて具体的に説明する。日本産科婦人科学会が定める正常な月経周期日数は25日〜38日であるのに対し、実際の被測定者から得られたデータを集計すると、月経周期日数と度数との関係は図18に示すようなヒストグラムとなった。このため、月経周期日数が正常範囲(25日〜38日)のときには、月経周期日数の評価値を満点(例えば5点)に設定した。また、図18に示すように、月経周期日数の度数は、正常範囲(25日〜38日)付近のときに高く、正常範囲から外れるに従って概ね低下した。このため、月経周期日数が正常範囲から外れるに従って、月経周期日数の評価値を低下させるようにした。このとき、評価値の低下の度合いは、月経周期日数の正常範囲の度数と他の範囲の度数との関係に基づいて、決定した。
図19に示すように、月経継続日数の度数は、4日〜7日が高く、これらの日数から外れるに従って概ね低下する。このため、月経継続日数の評価値は、度数が高い4日〜7日を満点とし、これらの日数から外れるに従って、低下させるようにした。
日本産科婦人科学会が定める正常月経での低温期日数は17.9日±6.2日である。この点を考慮して、低温期日数が正常範囲(12日〜25日)のときは低温期日数の評価値を満点とした。また、図20に示すように、低温期日数の度数は、正常範囲付近が高く、正常範囲から外れるに従って概ね低下する。このため、低温期日数が正常範囲から外れるに従って、低温期日数の評価値を低下させるようにした。このとき、評価値の低下の度合いは、低温期日数の正常範囲の度数と他の範囲の度数との関係に基づいて、決定した。
日本産科婦人科学会が定める正常月経での高温期日数は12.7日±1.6日である。この点を考慮して、高温期日数が正常範囲(10日〜16日)のときは高温期日数の評価値を満点とした。また、図21に示すように、高温期日数の度数は、正常範囲が高く、正常範囲から短縮するに従って概ね低下する。このため、高温期日数が正常範囲から短縮するに従って、高温期日数の評価値を低下させるようにした。このとき、評価値の低下の度合いは、高温期日数の正常範囲の度数と他の範囲の度数との関係に基づいて、決定した。
図22に示すように、温度差の度数は、0.35℃付近が高く、この値から外れるに従って低下する。一方、温度差は大きな値の方が、小さい値に比べて2相性が明確化し、ホルモンバランス状態が良好であると考えられる。このため、温度差が0.3℃以上のときは、温度差が正常範囲であるとして、温度差の評価値を満点にした。温度差の度数は、温度差が正常範囲よりも小さくなるに従って概ね低下する。このため、温度差が正常範囲から小さくなるに従って、温度差の評価値を低下させるようにした。このとき、評価値の低下の度合いは、温度差の正常範囲の度数と他の範囲の度数との関係に基づいて、決定した。
また、図16および図17に示す表示画面には、前述の評価値によるレーダーチャートに加えて、月経周期日数Nmc1、月経継続日数DX1、低温期日数NL、高温期日数NH、温度差ΔTの評価値に基づいて、ホルモンバランス状態を総合評価した総合点が、併せて表示される。
このとき、総合点は、月経周期日数Nmc1、月経継続日数DX1、低温期日数NL、高温期日数NH、温度差ΔTの評価値を、予め決められた重み(ウエイト)で重み付けし、加算したものである。
このとき、重みは、目視確認によってホルモンバランス状態の評価結果に対する相関性を考慮して設定した。具体的に説明すると、まず7名による合計379周期のデータを目視確認によってホルモンバランス状態を評価した。この結果と月経周期日数Nmc1、月経継続日数DX1、低温期日数NL、高温期日数NH、温度差ΔTとの相関係数を調べたところ、表6に示すように、高温期日数NH、温度差ΔTの相関係数が高いことが分かった。このような結果を踏まえて、月経周期日数Nmc1、月経継続日数DX1、低温期日数NLの重み(例えば、重みはいずれも1)に比べて、高温期日数NHの重み(例えば、重みは3)、温度差ΔTの重み(例えば、重みは4)を大きくしている。
図16および図17に示すレーダーチャートは、以上の表1ないし表5に基づいて、月経周期日数Nmc1、月経継続日数DX1、低温期日数NL、高温期日数NH、温度差ΔTを評価したものである。図16および図17に示す表示画面には、月経周期日数Nmc1、月経継続日数DX1、低温期日数NL、高温期日数NH、温度差ΔTの総合点も併せて表示されると共に、ホルモンバランス評価の信頼度を明確化するために、データ送信の日数およびデータ送信率(データ率)も併せて表示される。なお、図16および図17は、図13および図14の月経周期にそれぞれ対応している。
図16に示すレーダーチャートでは、5つの評価値は、5段階評価の4または5となっており、いずれも高い値となっている。また、100点満点で示す総合点も、満点に近い96点になっている。このため、ホルモンバランス状態が比較的良好であると考えられる。
一方、図17に示すレーダーチャートでは、温度差ΔTが小さいため、2相性の評価値が5段階評価の1になっている。その他の4つの評価値は、5段階評価の4または5となっている。また、100点満点で示す総合点は、66点になっている。このため、ホルモンバランス状態が低下しているものと考えられる。
このように、レーダーチャートおよび総合点の評価結果は、図13および図14に示した女子力指数WPの結果と同様の傾向を示しており、これらによってもホルモンバランス状態が把握できることが分かる。
かくして、本実施の形態によれば、処理装置13は、低温期日数NLと、高温期日数NHと、低温期平均温度TmLと高温期平均温度TmHとの温度差ΔTとに基づいて女子力指数WPを演算する。このとき、低温期日数NLと、高温期日数NHと、温度差ΔTとは、いずれもホルモンバランスの影響を受け易い3つの要素であるから、ホルモンバランスに応じた指標として女子力指数WPを算出することができる。
また、低温期日数NLは個人差が大きく、かつ正常な範囲が広いため、ホルモンバランス状態の把握は限定的になる傾向があるのに対し、高温期日数NHおよび温度差ΔTは、ホルモンバランス状態に応じて変動し易く、ホルモンバランス状態との相関性が高い傾向がある。この点を考慮して、処理装置13は、低温期日数NLに比べて、高温期日数NHおよび温度差ΔTの2つの要素を重視して女子力指数WPを演算する。このため、ホルモンバランス状態の影響が女子力指数WPに反映され易くなる。
処理装置13は、このようにして算出された女子力指数WPに基づいてホルモンバランス状態が良好な正常な月経周期か否かを判定することができる。この結果、処理装置13は、正常な月経周期の体温データD3を用いて次回の排卵期を推定するから、排卵期の推定確度を高めることができる。
また、処理装置13は、今回の月経開始日Ds0から平均低温期日数NLm後の日を中心に予め決められた所定の期間内を次回の排卵期として推定する。このとき、低温期日数NLは個人差が大きいが、処理装置13は、被測定者Hの平均低温期日数NLmに基づいて排卵期の中心日を決めるから、被測定者Hの個人差に応じた適切な排卵期を推定することができる。
これに加えて、処理装置13は、月経開始日Ds0から平均低温期日数NLmと平均高温期日数NHmとを加算した日数後の日を次回の月経開始日Dsxとして推定する。このため、低温期日数NLおよび高温期日数NHに個人差が大きいときでも、被測定者Hの個人差に応じた適切な次回の月経開始日Dsxを推定することができる。
また、処理装置13は、月経周期内で低温期から高温期への移行時期を判定したときに、次回の月経開始日Dsxの推定結果を更新する。このため、高温期への移行時期を考慮して次回の月経開始日Dsxを推定するから、高温期への移行時期を考慮しない場合に比べて、低温期日数NLの変動部分の影響を受けることがなく、次回の月経開始日Dsxの推定確度を高めることができる。
また、処理装置13は、月経周期MC1内で2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときに、その初日が低温期から高温期への移行時期であると特定するから、例えば低温期の途中で体温データD3が高温になる日が存在しても、高温になる日が連続して発生しない限り高温期への移行を誤認することがない。このため、低温期から高温期への移行時期を適切に特定することができ、ホルモンバランス状態を適切に把握することができる。
従来技術でも、基礎体温の変動を把握することはある程度は可能であるが、低温期から一気に0.3℃以上の上昇が認められない場合には、高温となった状態かを区別することが難しい。さらに、2相性の把握においては、0.3℃の上昇という微妙な温度変化を捉えると共に、疾病等による発熱、計測環境の影響、計測不備によるデータの揺らぎを排除しなければならないという問題がある。
これに対し、本実施の形態では、月経周期MC1内で2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったか否かによって高温期への移行を特定するから、例えば図29中のII型のように、低温期から徐々に体温データD3が上昇する場合でも、速やかに高温期への移行を特定することができる。このため、例えば高温期の温度を基準に高温期への移行を特定する場合に比べて、高温期への移行時期が遅れることがなく、高温期への移行を適切に把握することができる。
また、処理装置13は、月経周期MC1のうち例えば低温期から高温期への移行が生じる可能性の高い所定の期間として、月経開始日Ds1から12日以降で、かつ周期最終日である月経開始日Ds0の前日から16日内で移行時期を特定する。このため、移行時期として例えば月経開始日Ds1付近のような不適切な期間を除外することができ、移行時期を適切に把握することができる。
また、処理装置13は、平均月経周期日数Nmに基づいて周期平均温度Tmを演算するから、例えば周期平均温度Tmが低温側や高温側に偏ることがなく、被測定者Hの身体状態に応じた値を算出することができる。
また、処理装置13は、月経周期日数Nmc1が自己申告周期日数N0を基準として所定の正常範囲内にあるものを、正常な月経周期であると判定するから、例えば正常状態に比べて低温期が長くなって月経周期日数Nmc1が自己申告周期日数N0から大きく逸脱したものを除くことができる。このため、処理装置13は、正常な月経周期の日数に基づいて平均月経周期日数Nmを演算することができる。
さらに、処理装置13は、直近3周期分の月経周期MC1〜MC3のうち正常と判定された月経周期の日数に基づいて平均月経周期日数Nmを演算するから、被測定者Hの体調が近い時期の体温データD3に基づいて平均月経周期日数Nmを算出することができる。また、処理装置13は、正常な月経周期の日数と自己申告周期日数N0とを用いて平均月経周期日数Nmを演算するから、被測定者Hの正常状態における平均月経周期日数Nmを算出することができる。
処理装置13は、月経周期日数Nmc1が、平均月経周期日数Nm以下のときには、その月経周期全体の体温データD3を平均して周期平均温度Tmを演算する。このとき、周期平均温度Tmを演算する上で低温期および高温期の長さが適切な範囲内に入っているものと考えられる。このため、処理装置13は、月経周期全体の体温データD3を平均することによって、月経周期MC1での適切な周期平均温度Tmを算出することができる。
一方、処理装置13は、移行時期を特定する月経周期MC1の日数(月経周期日数Nmc1)が、平均月経周期日数Nmを超えるときには、周期最終日から数えて平均月経周期日数Nmの体温データD3を平均して周期平均温度Tmを演算する。このとき、周期平均温度Tmを演算する上で低温期が過剰に長くなっている可能性がある。このため、処理装置13は、周期最終日から数えて平均月経周期日数Nmの体温データD3を平均することによって、その月経周期MC1での適切な周期平均温度Tmを算出することができる。
さらに、処理装置13は、低温期と高温期で体温データD3の棒グラフを互いに異なる色に分けて表示するから、被測定者Hは棒グラフの集合を目視するだけで、低温期と高温期を容易に認識することができる。
また、処理装置13は、高温期日数評価値の軸と温度差評価値の軸とを含むレーダーチャートを表示する。このため、ホルモンバランスの影響を受け易い高温期日数NHと温度差ΔTとの2つの要素を含めてレーダーチャートを表示することができるから、レーダーチャートに基づいてホルモンバランス状態を把握することができる。
さらに、処理装置13は、低温期日数NLの評価値と、月経周期日数Nmc1の評価値と、月経継続日数DX1の評価値とのうち少なくともいずれか1つの軸を含んでレーダーチャートに表示する。このため、高温期日数NHと温度差ΔTに加えて、ホルモンバランスの影響を受け易い他の要素を含めてレーダーチャートを表示することができるから、レーダーチャートにホルモンバランス状態を反映し易くなり、ホルモンバランス状態の把握が容易になる。
次に、本発明の第2の実施の形態を、図23に示す。第2の実施の形態の特徴は、体温データが周期平均温度を上回る部分を高温期の間で積算した高温期温度超過指数を演算し、この高温期温度超過指数を用いて女子力指数を演算したことにある。なお、第2の実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第2の実施の形態でも、センサ装置1および処理装置13は、第1の実施の形態とほぼ同様である。但し、女子力指数演算処理において、図11中のステップ44に代えて、図23中のステップ71を実行して第2の指数を演算する点で、第1の実施の形態とは異なっている。
このステップ71では、高温期の体温データD3と周期平均温度Tmに基づいて第2の指数P2を演算する。具体的には、周期平均温度Tmに対する体温データD3の超過分を高温期全体で積算した積算値からなる高温期温度超過指数P22を演算すると共に、この高温期温度超過指数P22に所定の係数Cを掛けて第2の指数P2を演算する(P2=C×P22)。なお、係数Cは、ホルモンバランスに対する高温期温度超過指数P22の影響を考慮して適宜設定される。そして、ステップ49では、第1〜第3の指数P1〜P3を加算することによって、女子力指数WPを演算する。
かくして、第2の実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。第2の実施の形態では、高温期温度超過指数P22を用いて女子力指数WPを演算するから、女子力指数WPには高温期での温度上昇が反映され易くなり、黄体ホルモンの状態を把握し易くなる。
次に、本発明の第3の実施の形態を、図24ないし図27に示す。第3の実施の形態の特徴は、低温期の平均温度が高温期の平均温度よりも低いときだけ女子力指数を演算したこと、および、月経周期日数が予め決められた所定日数よりも短いか否かに基づいて女子力指数を演算したことにある。なお、第3の実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
第3の実施の形態でも、センサ装置1および処理装置13は、第1の実施の形態とほぼ同様である。但し、女子力指数演算処理において、ステップ47とステップ48との間でステップ81を実行して温度差ΔTの判定処理を行う点、ステップ48の後にステップ82を実行して月経周期日数Nmc1に基づいて第4の指数P4を演算し、ステップ83を実行して第1〜第4の指数P1〜P4に基づいて女子力指数WPを演算する点で、第1の実施の形態とは異なっている。
具体的には、ステップ81では、高温期平均温度TmHから低温期平均温度TmLを減算した温度差ΔTが正の値(ΔT>0)か否かを判定する。ステップ81で「NO」と判定したときには、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回っているものの、高温期に移行しなかった可能性が高い。このため、ステップ42に移行して、女子力指数WPを演算せずに、評価なしとしてリターンする。
一方、ステップ81で「YES」と判定したときには、ステップ48に移行し、前述したように、温度差ΔTに基づいて第3の指数P3を演算する。ステップ48が終了すると、ステップ82に移行する。
ステップ82では、月経周期日数Nmc1に基づいて第4の指数P4を演算する。具体的には、月経周期日数Nmc1が正常と考えられる下限日数として例えば25日よりも短いか否か(Nmc1<25日)を判定する。月経周期日数Nmc1が25日以上であれば正常であると評価し、女子力指数WPの加点対象と減点対象のいずれにもせずに、第4の指数P4として0を付与する(P4=0)。
一方、月経周期日数Nmc1が25日未満なときには、低温期日数NLと高温期日数NHがいずれも正常な範囲か否かを判定する。即ち、低温期日数NLが11日〜24日までの範囲内であり、かつ、高温期日数NHが11日〜16日までの範囲内か否かを判定する。低温期日数NLと高温期日数NHのうち少なくともいずれか一方が正常な範囲外であるときには、第1の指数P1または第2の指数P2で減点対象となっているから、月経周期日数Nmc1に基づく減点は行わず、第4の指数P4として0を付与する(P4=0)。これに対し、低温期日数NLと高温期日数NHがいずれも正常な範囲であるときには、第1の指数P1および第2の指数P2で減点対象となっていないから、月経周期日数Nmc1に基づく減点を行うために、第4の指数P4には、予め決められた減点値(−P40<0)が付与される(P4=−P40)。
最後に、ステップ83では、第1〜第4の指数P1〜P4を用いて、ホルモンバランスの状態に応じた指数である女子力指数WPを演算する。具体的には、以下の数5の式に示すように、第1〜第4の指数P1〜P4を加算して女子力指数WPを算出する。この際、被測定者Hがホルモンバランス状態を容易に把握できるようにするために、女子力指数WPは良好状態と考えられる第1〜第3の基準点P10〜P30を加算した値を例えば10点満点や100点満点とし、低温期超過指数P11、高温期短縮指数P21、2相差不全指数P31を順次減算する。また、第4の指数P4に減点値(−P40)が付与されているときには、この減点値(−P40)だけ女子力指数WPを低下させる。ステップ83が終了すると、リターンする。
図25ないし図27に、第4の実施の形態によるホルモンバランス推定結果の表示画面の一例を示す。このとき、第1〜第3の基準点P10〜P30、係数CL,CH,Cdは、第1の実施の形態と同様な値に設定され、10点満点で評価している。また、減点値(−P40)は、−1としている。
図25は、温度差ΔTが負の値になった場合を例示している。このとき、例えば4月29日と4月30日で2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回っているが、温度差ΔTが負の値になっており、高温期に移行しなかった可能性が高い。このため、第1の指数P1と第2の指数P2が適切な値か否かが不明であるため、女子力指数WPの評価は行わない。また、2相性の有無も不明なため、全ての棒グラフが低温期と同じ表示になっている。
図26は、温度差ΔTが正の値であるものの、0.2℃以下(ΔT≦0.2℃)の場合を例示している。このとき、2相性が不十分であると考えられるため、図14と同様に、高温期の棒グラフを、温度差ΔTが0.2℃よりも大きいときの色(例えば橙色)とは異なる色(例えば黄色)で表示する。
また、図26および図27は、月経周期日数Nmc1が25日未満である場合を例示している。図26の場合、月経周期日数Nmc1は24日である。このとき、低温期日数NLは11日で、高温期日数NHは13日であり、いずれも正常な範囲内である。このため、第4の指数P4には、減点値として−1が付与されている。この結果、女子力指数WPは、第1の実施の形態に比べて、減点値の分だけ低下し、5.2点になっている。
図27の場合、月経周期日数Nmc1は23日であり、低温期日数NLは12日であり、高温期日数NHは11日である。この場合、低温期日数NLおよび高温期日数NHはいずれも正常な範囲内であるが、月経周期日数Nmc1が正常な日数である25日よりも短くなっている。このため、第4の指数P4には、減点値として−1が付与されている。但し、図27の場合は、第4の指数P4によって減点されるものの、第1〜第3の指数P1〜P3が満点であるため、女子力指数WPは、9点になっている。
かくして、第3の実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。第3の実施の形態では、高温期平均温度TmHから低温期平均温度TmLを減算した温度差ΔTが0以下(ΔT≦0)のときには女子力指数WPを演算せず、温度差ΔTが正の値(ΔT>0)のときに女子力指数WPを演算する。このため、低温期平均温度TmLが高温期平均温度TmHよりも低くなって、低温期から高温期への移行が確実に生じたときに、女子力指数WPを演算することができる。
また、月経周期日数Nmc1が正常な下限日数よりも短いか否かも考慮して女子力指数WPを演算する。ここで、低温期日数NLと高温期日数NHが正常な範囲であっても、月経周期日数が正常と考えられる日数(例えば25日)よりも短いときには、ホルモンバランスの乱れが生じている可能性がある。このため、この点を反映させた女子力指数WPを演算することができ、女子力指数WPによってホルモンバランスを適切に把握することができる。
なお、第3の実施の形態は、第1の実施の形態に適用した場合を例に挙げて説明したが、第2の実施の形態に適用してもよい。また、第3の実施の形態では、図24中のステップ81に示すように、低温期の平均温度が高温期の平均温度よりも低いときだけ女子力指数を演算し、かつ、図24中のステップ82,83に示すように、月経周期日数が予め決められた所定日数よりも短いか否かに基づいて女子力指数を演算する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、これら2つの構成のうちいずれか一方のみを実行してもよい。具体的には、図24中のステップ81を省く構成してもよい。また、図24中のステップ82,83に代えて、図11中のステップ49を実行する構成としてもよい。
次に、本発明の第4の実施の形態を、図28に示す。第4の実施の形態の特徴は、次回予定の月経開始日から平均高温期日数前の日を中心に予め決められた所定の期間内を排卵期として推定することにある。なお、第4の実施の形態では、前記第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
次に、第4の実施の形態では、図12中のステップ60に示す次回排卵期の推定処理として、図28に示す処理を行う。このため、第4の実施の形態による次回排卵期の推定処理について、図28を参照しつつ説明する。
ステップ91では、ステップ31〜33と同様な処理を直近3周期分に対して実行し、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3を算出する。具体的には、直近3周期分(月経周期MC1〜MC3)について2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったか否かを判定し、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときの初日とその前日との間に低温期から高温期に移行したものと判定する。このため、2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときの初日から周期最終日までの間を高温期と判定し、高温期日数NH1〜NH3を算出する。なお、低温期から高温期への移行が判定できないときには、その月経周期MC1〜MC3について、高温期日数NH1〜NH3は算出しない。また、図12中のステップ52,55で非正常と判定された月経周期MC1〜MC3については、高温期日数NH1〜NH3は算出しない。
続くステップ92では、高温期日数NH1〜NH3が全て算出されたか否かを判定する。そして、ステップ92で「YES」と判定したときには、高温期日数NH1〜NH3がいずれも算出されているから、ステップ93に移行して、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3を用いて平均高温期日数NHmを算出する。具体的には、高温期日数NH1〜NH3の平均値(NH1+NH2+NH3)/3によって平均高温期日数NHmを算出する。
一方、ステップ92で「NO」と判定したときには、ステップ94に移行して、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3が全て非算出か否かを判定する。そして、ステップ94で「YES」と判定したときには、低温期から高温期への移行が判定できない、またはデータの蓄積不足によって、高温期日数NH1〜NH3がいずれも算出されていないものと考えられる。このため、ステップ95に移行して、後述するように一般的に排卵期との整合性が高い日数である13日に、平均高温期日数NHmを設定する。
ステップ94で「NO」と判定したときには、ステップ96に移行して、高温期日数NH1〜NH3のうち算出されたものを用いて平均高温期日数NHmを算出する。具体的には、高温期日数NH1〜NH3のうち2つの値(例えば高温期日数NH1と高温期日数NH2)だけが算出されたときには、これらの平均値(例えば(NH1+NH2)/2)によって平均高温期日数NHmを算出する。また、高温期日数NH1〜NH3のうち1つの値(例えば高温期日数NH1)だけが算出されたときには、このときの値(NH1)を平均高温期日数NHmとして算出する。
これにより、特定の高温期日数だけが使用されることがなく、高温期日数に基づく偏り等を低減することができる。
なお、平均高温期日数NHmに小数点以下の値が発生する場合には、例えば切り上げ、切り捨て、四捨五入等の基準に基づいて、平均高温期日数NHmが自然数になるようにする。
また、以上では、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3に基づいて平均高温期日数NHmを算出した。しかし、本発明はこれに限らず、直近1周期分、直近2周期分の高温期日数に基づいて平均高温期日数NHmを算出してもよく、直近4周期分以上の高温期日数に基づいて平均高温期日数NHmを算出してもよい。
ステップ93,95,96が終了すると、ステップ97に移行して次回予定の月経開始日Dsを特定する。具体的には、今回の月経開始日Ds0からステップ3の平均月経周期日数特定処理によって特定された平均月経周期日数Nmだけ経過した日を次回予定の月経開始日Dsとして特定する。
続くステップ98では、平均高温期日数NHmが正常範囲内か否かを判定する。具体的には、平均高温期日数NHmが11日〜16日までの範囲内であれば正常であると判定し、それ以外の値になるときは非正常であると判定する。
なお、ここでは、11日〜16日までの範囲を平均高温期日数NHmの正常範囲とした。しかし、平均高温期日数NHmの正常範囲の基準はこれに限らず、例えば10日〜17日でもよく、12日〜15日でもよく、被測定者Hの個人差、測定条件等を考慮して適宜設定できるものである。
ステップ98で「YES」と判定したときには、ステップ99に移行して、次回予定の月経開始日Dsから平均高温期日数NHm前の日を中心に、その前,後2日の範囲内を排卵期と推定する。例えば平均高温期日数NHmが11日であれば、月経開始日Dsよりも9日前〜13日前までの5日間を排卵期と推定する。平均高温期日数NHmが16日であれば、月経開始日Dsよりも14日前〜18日前までの5日間を排卵期と推定する。平均高温期日数NHmが12日〜15日のときも同様である。
なお、排卵期を推定する所定範囲は、次回予定の月経開始日Dsから平均高温期日数NHm前の日を中心に、その前,後2日の範囲としたが、前,後1日の範囲でもよく、前,後3日の範囲でもよく、被測定者Hの個人差、測定条件等を考慮して適宜設定できるものである。
一方、ステップ98で「NO」と判定したときには、ステップ100に移行して、平均高温期日数NHmが11日よりも短いときには、平均高温期日数NHmが正常範囲の最小日数となる11日であると仮定して、ステップ99と同様な処理によって排卵期を推定する。即ち、平均高温期日数NHmが11日よりも短い(NHm<11日)ときには、次回予定の月経開始日Dsから11日前の日を中心に、その前,後2日の範囲内を排卵期と推定する。
また、平均高温期日数NHmが16日よりも長いときには、平均高温期日数NHmが正常範囲の最大日数となる16日であると仮定して、ステップ99と同様な処理によって排卵期を推定する。即ち、平均高温期日数NHmが16日よりも長い(NHm>16日)ときには、次回予定の月経開始日Dsから16日前の日を中心に、その前,後2日の範囲内を排卵期と推定する。
ステップ99,100が終了すると、リターンする。ステップ99,100で求めた排卵期の推定結果は、例えば図13ないし図15に示すホルモンバランス推定結果の画面中に一緒に表示してもよく、被測定者Hの要求や操作に応じてホルモンバランス推定結果とは別個に表示してもよい。
かくして、第4の実施の形態でも第1の実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、第4の実施の形態では、次回予定の月経開始日Dsから平均高温期日数NHm前の日を中心に予め決められた所定の期間内を排卵期として推定するから、被測定者Hの個人差に応じた適切な排卵期を推定することができる。
この効果について、以下に詳細に検討する。例えば荻野学説では、月経周期の長短に拘らず、次回予定月経前の12日〜16日の5日間を排卵期と考える。排卵は基礎体温が低温から高温へ移行する排卵期のどの時期でも起こり得るため、体温変動のみから排卵日を特定することはできない。このため、多くのシステムでは、前述した荻野学説と同様に、次回予定月経前の12日〜16日の5日間を排卵期(排卵が生じ得る時期)として予測している。
しかし、各年代女性の実際の体温変動を集計してみると、個人差が大きく、特にホルモンバランスの乱れが生じ易い10代や40代半ば以降では、上述の荻野学説による予測方法は適しているとは言えない。また、社会環境の変化に伴うストレスの増加が生活習慣の乱れから、20代や30代でもホルモンバランスを乱すケースが増加している。
以下の表7は、高温期の予測日数を11日〜16日としたときに、次回予定の月経開始日から高温期の予測日数だけ前の日を中心に前,後2日を排卵期とし、この排卵期に低温期から高温期への移行時期(高温期移行時期)が一致したときの確率(一致率)を示している。
なお、表7は、10名の被測定者についてそれぞれ3年〜5年程度、延べ525周期分の体温変動を記録したデータに基づいている。また、高温期移行日は、体温変動の折れ線グラフにおいて、低温期から高温期への移行が生じたときを目視確認することによって特定した。次回予定の月経開始日は、直前の月経開始日から平均月経周期日数Nmだけ後の日とした。表7中で、四角で囲った部分は、被測定者毎の一致率の最高値を示している。
表7の結果から分かるように、高温期の平均日数は個人差が大きい。また、次回予定の月経開始日から被測定者毎の高温期の平均日数だけ前の日を中心に前,後2日の範囲を排卵期としたときに、排卵期の一致率が比較的高くなることが分かる。この場合、高温期の平均日数は小数点以下を切り上げるのが好ましい。
本実施の形態では、以上の点を考慮して、今回(最新)の月経開始日Ds0から平均月経周期日数Nm後の日を次回予定の月経開始日Dsとして特定すると共に、次回予定の月経開始日Dsから平均高温期日数NHm前の日を中心に予め決められた所定の期間内を排卵期として推定した。このため、平均月経周期日数Nmや平均高温期日数NHmに大きな個人差が生じるときでも、これらの被測定者毎の個人差に応じた適切な排卵期を推定することができる。
また、表7に示すように、高温期の予測日数を13日としたときに、他の予測日数に比べて、一致率の平均値が高くなる。このため、第4の実施の形態では、平均高温期日数NHmが算出できない場合には、平均高温期日数NHmが13日であると仮定して排卵期を推定している。但し、高温期の予測日数を14日としたときでも、13日としたときに近い一致率が得られるため、13日に代えて14日を用いてもよい。また、高温期の日数は各年代でばらつきが生じる傾向があるため、平均高温期日数NHmが算出できない場合には、平均高温期日数NHmを各年代の平均値に設定して、排卵期を推定してもよい。
なお、第4の実施の形態は、直近3周期分の高温期日数NH1〜NH3がいずれも算出されないときに、平均高温期日数NHmを13日に設定したが、例えば直近3周期分のデータが蓄積される前は、高温期日数NH1,NH2が算出されるか否かに拘らず、平均高温期日数NHmを13日や14日に設定してもよく、各年代の平均値に設定してもよい。
また、第4の実施の形態は、第1の実施の形態に適用した場合を例に挙げて説明したが、第2,第3の実施の形態に適用してもよい。また、第4の実施の形態では、今回の月経開始日Ds0から平均月経周期日数Nm後の日を次回予定の月経開始日Dsとして特定したが、例えば平均月経周期日数Nmに代えて自己申告周期日数N0を用いて次回予定の月経開始日Dsを特定してもよく、第1の実施の形態と同様に、今回の月経開始日Ds0から平均低温期日数NLmと平均高温期日数NHmとを加算した日数後の日を次回予定の月経開始日Dsとして特定してもよい。
また、前記各実施の形態では、図7中のステップ5および図10に示す高温期と低温期の判定処理が移行時期特定手段の具体例を示し、図7中のステップ6および図11、図23、図24に示す女子力指数演算処理が女子力指数演算手段の具体例を示し、図12中のステップ52,55が月経周期正常判定手段の具体例を示し、図12中のステップ60および図28に示す次回排卵期の推定処理が排卵期推定手段の具体例を示している。
また、前記各実施の形態では、図12中のステップ53,56,58が平均低温期日数特定手段の具体例を示し、図12中のステップ54,57,59が平均高温期日数特定手段の具体例を示し、図12中のステップ61〜63が月経開始日推定手段の具体例を示している。
また、前記各実施の形態では、図7中のステップ3および図8に示す平均月経周期日数特定処理が平均月経周期日数特定手段の具体例を示し、図8中のステップ13が正常月経周期判定手段の具体例を示し、図8中のステップ14〜18が日数演算手段の具体例を示し、図7中のステップ4および図9に示す周期平均温度演算処理が周期平均温度演算手段の具体例を示している。
また、前記各実施の形態では、表1が月経周期日数評価手段の具体例を示し、表2が月経継続日数評価手段の具体例を示し、表3が低温期日数評価手段の具体例を示し、表4が高温期日数評価手段の具体例を示し、表5が温度差評価手段の具体例を示し、図7中のステップ8および図16、図17に示す表示画面が表示手段の具体例を示している。
また、前記各実施の形態では、低温期日数NLに応じた第1の基準点P10よりも、高温期日数NHに応じた第2の基準点P20と、低温期平均温度TmLと高温期平均温度TmHとの温度差ΔTに応じた第3の基準点P30とを大きくすることによって、低温期日数NLに比べて、高温期日数NHおよび温度差ΔTの2つの要素を重視して女子力指数WPを演算するものとした。しかし、本発明はこれに限らず、図16および図17に示す総合点を算出したときと同様に、低温期日数NLの重みに比べて、高温期日数NHおよび温度差ΔTの重みを大きくして女子力指数WPを演算してもよい。即ち、女子力指数WPには、図16および図17に示す総合点を用いてもよく、総合点から月経周期日数Nmc1、月経継続日数DX1の成分を省いたものを用いてもよい。これらの場合でも、低温期日数NLに比べて、高温期日数NHおよび温度差ΔTの2つの要素を重視して女子力指数WPを演算することができる。
また、図16および図17に示すレーダーチャートは、月経周期日数の評価値、月経継続日数の評価値、低温期日数評価値、高温期日数評価値、温度差評価値に対応した5つの軸を有する五角形状に形成した。しかし、本発明によるレーダーチャートはこれに限らず、高温期日数評価値、温度差評価値以外は、例えば月経周期日数の評価値、月経継続日数の評価値および低温期日数評価値のうち少なくともいずれか1つを有するものでもよい。このため、例えば低温期日数評価値、高温期日数評価値、温度差評価値に対応した3つの軸を有する三角形状のレーダーチャートを形成してもよく、月経周期日数の評価値、低温期日数評価値、高温期日数評価値、温度差評価値に対応した4つの軸を有する四角形状のレーダーチャートを形成してもよい。さらに、前述した5つの軸に加え、例えば当日の体調等の評価値も追加して、6つ以上の軸を有するレーダーチャートを形成してもよい。
また、前記各実施の形態では、処理装置13は、棒グラフの集合によってホルモンバランスの状態を表示する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば円グラフ、折れ線グラフによってホルモンバランスの状態を表示してもよい。
また、前記各実施の形態では、処理装置13は、低温期と高温期で棒グラフを色分けするものとしたが、これに加えて欠損データを補充したものは淡い色で表示する等によって実際に測定した体温データD3と区別してもよい。この場合、欠損データの多少を容易に把握することができ、データやホルモンバランス推定結果の信頼性を判断し易くなる。
また、前記各実施の形態では、センサ装置1は計測の開始時間と終了時間を予め設定しておき、これらの間で一定時間毎に体表温度検出データD1および外気温度検出データD2を検出する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、センサ装置1は、例えば体表温度検出部3によって検出した温度T1が一定温度(例えば32℃)を超えて上昇すると、温度検出データD1,D2の読込み、記憶を開始し、一定温度よりも低下すると、温度検出データD1,D2の読込み等を終了する構成としてもよい。
さらに、センサ装置1にマイクロ方位スイッチを設け、被測定者が座位または立位から臥位に姿勢を変更すると、方位スイッチがオン状態となり、被測定者が臥位から座位または立位に姿勢を変更すると、方位スイッチがオフ状態となる構成としてもよい。これにより、センサ装置1は、方位スイッチのオン状態、オフ状態に応じて温度検出データD1,D2の読込み等を開始、終了を行うことができる。
また、センサ装置1は、体表温度検出データD1だけを検出し、記憶する構成としてもよい。また、前記各実施の形態では、就寝中の体表温度検出データD1を1日当り複数回検出する構成としたが、例えば体温が十分に安定した後に1日当り1回だけ検出する構成としてもよい。
さらに、就寝中の体表温度検出データD1に基づいて代表温度となる体温データD3を求める構成としたが、例えば起床直後の安定した状態で口中温度や耳内温度等のように、一般的な基礎体温を計測した体温データを用いる構成としてもよい。
また、図10に示す低温期と高温期の判定処理では、月経周期内で2日以上続けて体温データD3が周期平均温度Tmを上回ったときに、その初日から高温期に移行したものとして低温期から高温期への移行時期を特定した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば所定の期間内で体温データD3が周期平均温度Tmを1日でも上回ったときに低温期から高温期への移行時期を特定してもよく、特許第4933227号公報に開示されたように体温データD3が所定の高温期基準温度を上回ったときに低温期から高温期への移行時期を特定してもよい。
また、前記各実施の形態では、処理装置13は平均月経周期日数Nmに基づいて周期平均温度Tmを演算した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば平均月経周期日数Nmに関係なく、低温期から高温期への移行時期を特定する月経周期を決めたときに、その月経周期全体の体温データD3を平均して周期平均温度Tmを演算してもよい。