JP6162312B1 - 抗酸化剤及び抗酸化用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗酸化作用、抗小胞体ストレス、概日リズム調整に有用な食品、医薬品、化粧品などの材料を提供する。【解決手段】5−ヒドロキシ−4−フェニルブテノライド又はその塩を有効成分として含む抗酸化剤、抗小胞体ストレス剤、概日リズム調整剤、並びに、5−ヒドロキシ−4−フェニルブテノライド又はその塩を含む抗酸化用組成物、抗小胞体ストレス用組成物、概日リズム調整用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、抗酸化、抗小胞体ストレス及び概日リズム調整等の作用を有する剤及び食品組成物に関する。
フリーラジカルや活性酸素は、生体、組織の損傷、さらに種々の疾患の原因となっている。
また、細胞が外界から種々のストレスを受けると、小胞体でのタンパク質の折り畳みに不具合を生じ、この小胞体ストレスは細胞のアポトーシスの原因となる。小胞体ストレスは、特に神経細胞で問題となる。
さらに、ヒトは体内時計により一日の睡眠・覚醒等のリズムを制御されている。航空機により短時間に長距離を移動する渡航者は、出発地と到着地で時差を経験し、勤務時間帯が不規則な交替勤務者は、概日リズムの乱れによる体調不全を経験しやすい。
5−ヒドロキシ−4−フェニルブテノライドは香醋に含まれ、抗肥満作用、糖尿病の予防ないし改善作用を有することが知られている(特許文献1)。
さらに、香醋もしくは黒酢の抽出物が内臓脂肪型肥満、脂質代謝異常、糖尿病などに有効であることが知られている(特許文献2,3)。
WO2016/006548 特開2009-249322 特開2011-51952
本発明は、抗酸化作用、抗小胞体ストレス、概日リズム調整に有用な食品、医薬品、化粧品などの材料を提供することを目的とする。
本発明者は、5−ヒドロキシ−4−フェニルブテノライド又はその塩が抗酸化作用、抗小胞体ストレス作用を有し、概日リズムを調整できることを見出した。
本発明は、以下の抗酸化、抗小胞体ストレス及び概日リズム調整用の剤及び組成物を提供するものである。
本発明によれば、抗酸化作用、抗小胞体ストレス作用、概日リズム調整作用を有する剤、組成物(食品組成物、化粧品組成物、医薬組成物)を提供できる。
酸化ストレスは、外見及び内面の老化に密接に関与し、多数の疾患との関連についても調べられている。小胞体ストレスは細胞死を誘発し、特に増殖しない神経細胞の細胞死により神経系の疾患が誘発される。また、概日リズムの乱れは体調不良の原因となる。
本発明の組成物及び剤は、抗酸化作用、抗小胞体ストレス作用及び概日リズム調整作用を有し、これらを同時に改善できるので、サプリメント、化粧料及び医薬として優れている。本発明の化粧品組成物は、抗酸化作用により美白効果を有する。
5-hydroxy-4-phenyl-butenolide (5H4PB) の構造式 5H4PBが細胞生存率に及ぼす影響 マウス繊維芽細胞株A9を96ウェルプレート1ウェルあたり3×104個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、合成5-hydroxy-4-phenyl-butenolide (5H4PB) を添加し、24時間CO2インキュベーターで培養した。24時間後に5H4PB添加培地を除去し、細胞生存率をWST-1試薬で計測した。 5H4PBによる過酸化水素誘発細胞死の抑制効果 マウス繊維芽細胞株A9を96ウェルプレート1ウェルあたり3×104個播種し、1晩CO2インキュベーターで培養後、5, 10, 20 μMの合成5H4PBを添加し、一晩CO2インキュベーターで培養した。24時間後に5H4PB添加培地を除去し、1, 2, 3, 4 mM過酸化水素添加24時間後の細胞生存率をWST-1試薬で計測した。 5H4PBによるAntioxidant Response Element (ARE) 依存的転写活性化(a) A9細胞に導入したコンストラクト。(1)抗酸化ストレス関連遺伝子の転写領域にあるARE応答配列 の下流に恒常的発現型のチミジンキナーゼ (TK) プロモーター及び赤色発光ルシフェラーゼSLR3を連結したコンストラクト、(2)TKプロモーターに緑色発光ルシフェラーゼSLGを連結したコンストラクト。(b) 樹立したA9を96ウェルプレートに1ウェルあたり3×104個播種した。1晩CO2インキュベーターで培養後、5H4PBを添加し、CO2導入型ルミノメーター(ATTO社製)を用いリアルタイム発光計測を行った。SLR3発光強度をSLG発光強度で補正した後、5H4PB非添加群の発光強度を100%とした際の相対的ARE依存的転写活性化率を算出した。 5H4PBによる抗酸化遺伝子群の発現促進 マウス繊維芽細胞株A9を6ウェルプレートに1ウェルあたり9×105個播種し、1晩CO2インキュベーターで培養後、50 μMの合成5H4PBを添加し、4、12、24時間後に細胞を回収、RNA抽出後にcDNA合成し、リアルタイムPCR法により、抗酸化遺伝子であるHeme oxygenase-1 (HO-1)、Catalase (CAT)、Superoxide disumutase-1 (SOD-1)遺伝子の発現量を解析した。 5H4PBによる細胞内活性酸素種 (ROS) の消去効果 マウス繊維芽細胞株A9を6ウェルプレートに1ウェルあたり9×105個播種し、1晩CO2インキュベーターで培養後、5, 10, 20 μMの合成5H4PBを添加し、一晩CO2インキュベーターで培養した。培地を除去し、2, 3, 4 mM過酸化水素を添加後し、更に2時間培養した際の細胞内の活性酸素種(ROS)量を蛍光試薬2′,7′-dichlorodihydrofluorescein diacetate (DCFH-DA)およびフローサイトメーターを用いて計測した。 過酸化水素により誘発されるDNA損傷に対する5H4PBの効果 マウス繊維芽細胞株A9を6ウェルプレートに1ウェルあたり9×105個播種し、1晩CO2インキュベーターで培養後、20 μMの合成5H4PBを添加し、24時間CO2インキュベーターで培養した。培地を除去後、4 mM過酸化水素を添加し、更に6時間培養した際のDNA損傷レベルをコメットアッセイにより計測した。 マウス由来初代肝細胞における5H4PBによる過酸化水素誘発細胞死の抑制効果 メスのICRマウスから単離した初代肝細胞をコラーゲンコート済み96ウェルプレートに1ウェルあたり3×104個播種し、6時間CO2インキュベーターで培養後、10, 60, 100 μMの合成5H4PBを添加し、更に24時間CO2インキュベーターで培養した。24時間後に5H4PB添加培地を除去し、200, 400, 600, 800 μM過酸化水素添加24時間後の細胞生存率をWST-1試薬で計測した。 5H4PBによるツニカマイシン誘発細胞死の抑制効果 マウス繊維芽細胞株A9を96ウェルプレートに1ウェルあたり3×104個播種し、1晩CO2インキュベーターで培養後、0.5 μg/mlの小胞体ストレス誘導剤ツニカマイシンおよび各濃度の合成5H4PBを添加し、48時間後に細胞生存率をWST-1試薬で計測した。 5H4PBによるUnfolded Protein Response Element (UPRE) 依存的転写活性化の緩和効果(a)A9細胞に導入したコンストラクト。(1)小胞体ストレス関連遺伝子の転写領域にあるUPRE応答配列の下流に恒常的発現型のチミジンキナーゼ (TK) プロモーター及び赤色発光ルシフェラーゼSLR3を連結したコンストラクト、(2)TKプロモーターに緑色発光ルシフェラーゼSLGを連結したコンストラクト。(b) 樹立したA9を96ウェルプレートに1ウェルあたり3×104個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、CO2導入型ルミノメーター(ATTO社製)を用いリアルタイム発光計測を行った。SLR3発光強度をSLG発光強度で除した後、0.1 μg/ml ツニカマイシン処置群の値を100%としたときの相対的UPRE依存的転写活性化率を算出した。 時計遺伝子発現に及ぼす5H4PBの影響(a) A9細胞に導入したコンストラクト。時計遺伝子mPer2及びmBmal1プロモーターの下流にタンパク分解配列PESTを付与した緑色発光ルシフェラーゼELucおよび赤色発光ルシフェラーゼSLR3を連結したコンストラクト。(b, c) 樹立したA9を35 mmディッシュに6×105個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、ディッシュ型リアルタイム発光測定装置(Kronos、ATTO社製)を用いリアルタイム発光計測を行った。(d) コントロールの第1ピーク位相との比較。横軸のマイナスは位相前進時間、プラスは位相後退時間を示す。
本明細書において、抗酸化作用、抗小胞体ストレス作用、概日リズム調整作用を有する有効成分として、下記式(I)
Figure 0006162312
(式中、RはCHO、COOHを示す。RはCOOHを示す。或いは、RとRはそれらが結合している炭素原子と一緒になって下記式(II)
Figure 0006162312
(式中、R、Rは一方が水素原子、他方がOHを表すか、R、Rとそれらが結合している炭素原子が一緒になってカルボニル基(C=O)を示す。)
で表される基を示す。)
で表される化合物又はその塩を使用する。この式(I)の化合物は公知であり、例えば特許文献1に記載されているか(R3,R4がH,OHである)、またはその化合物を過酸化水素、二酸化マンガンなどの公知の酸化剤によってCHOをCOOHに酸化することにより製造することができる。
本発明の式(I)の化合物は、以下の化合物(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)を含む
Figure 0006162312
本発明の好ましい化合物は、式(Ia)で表される5−ヒドロキシ−4−フェニルブテノライド(以下、「フレグライド1」又は「5H4PB」と略すことがある。)である。化合物(Ia)、(Ib)、(Ic)は互変異性体であり、化合物(Id)はCHOがCOOHに酸化された化合物であり、化合物(Ia)、(Ib)、(Ic)の代謝物として生体内で生成され得る。フレグライド1は香醋や黒酢にも含まれているので、フレグライド1を豊富に含む香醋もしくは黒酢を使用することもできる。
本発明の抗酸化剤、抗小胞体ストレス剤、概日リズム調整剤及び医薬組成物の剤形としては、散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、ドリンク剤、懸濁剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、粘付剤、吸入剤、注射剤等があげられる。これらの製剤は常法に従って調製される。
製剤化のために用いることができる添加剤には、例えば乳糖、デンプン、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、D−マンニトール、レシチン、アラビアガム、ソルビトール液、糖液等の賦形剤、甘味料、大豆油、サフラー油、オリーブ油、胚芽油、ひまわり油、牛脂、魚油等の動物性油、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の界面活性剤、精製水、着色料、pH調整剤、香料などが挙げられる。
本発明の式(I)の化合物を含有する食品組成物としては、抗酸化作用、抗小胞体ストレス作用、概日リズム調整作用が得られるものであれば限定されない。そのような食品組成物としては、例えば、サプリメント(顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠、シロップ、液剤等)、飲料(緑茶、ウーロン茶、紅茶、コーヒー、炭酸飲料、スポーツ飲料等)、菓子(グミ、ゼリー、ガム、チョコレート、クッキー、キャンデー等)、油脂食品(マヨネーズ、ドレッシング、バター、クリーム、マーガリン等)、食酢(穀物酢、米酢、黒酢、香醋など)、ケチャップ、ソース、流動食(粥、ドリンクゼリーなど)、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ等)、麺類(うどん、そば、ラーメン、パスタ、きしめん、そーめん、ひやむぎ、ビーフン等)が挙げられる。
本発明に用いられる式(I)の化合物を含有する食品組成物には、必要に応じて各種栄養素(タンパク質、炭水化物、脂質)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE等)、ミネラル、食物繊維、多価不飽和脂肪酸、乳化剤、甘味料、呈味成分(クエン酸、リンゴ酸等)、香料等を配合することができる。
本発明の化粧品組成物としては、クリーム、乳液、化粧水、口紅、マッサージ用ジェル、マッサージ用クリーム、ファンデーション、ローションなどの形態が挙げられる。
本発明の食品組成物、医薬組成物並びに抗酸化剤、抗小胞体ストレス剤、概日リズム調整剤において、式(I)の化合物は成人1日当たり0.001〜1000mg程度を摂取すればよい。
本発明の化粧品組成物は、式(I)の化合物を0.00001〜10mg/g程度の濃度で含むものである。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
マウス繊維芽細胞株A9を96ウェルプレート1ウェルあたり3×104個播種し、1晩CO2インキュベーターで培養後、合成5-hydroxy-4-phenyl-butenolide (5H4PB、図1) を添加し、一晩CO2インキュベーターで培養した。5H4PB添加培地を除去し、細胞生存率をWST-1試薬で計測した。対照群(control)の細胞生存率を100%として算出した結果、5H4PBは100 μMまでは細胞生存率に影響を及ぼさないことが明らかとなった(図2, n=4)。本結果から、以下の実験は100 μM以下の濃度域での検討を進めた。
マウス繊維芽細胞株A9を96ウェルプレート1ウェルあたり3×104個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、5, 10, 20 μMの合成5H4PBを添加し、更に24時間培養した。その後、5H4PB添加培地を除去し、1, 2, 3, 4 mM 過酸化水素を添加し24時間培養した際の細胞生存率をWST-1試薬で計測した。対照群(control)の細胞生存率を100%として算出した結果、5H4PBは濃度依存的に過酸化水素により誘発される細胞死を抑制することが明らかとなった(図3, n=4)。
抗酸化ストレス関連遺伝子の転写領域にあるAntioxidant Response Element (5’-TCACAGTGACTCAGCAAAATT-3’ (配列番号1)の5回繰り返し配列;ARE) の下流に恒常的発現型のチミジンキナーゼ (TK) プロモーター及び赤色発光ルシフェラーゼSLR3を連結したコンストラクト、TKプロモーターに緑色発光ルシフェラーゼSLGを連結したコンストラクトをA9細胞に導入し(図4a)、酸化ストレスに応じて赤色発光が増強する細胞を樹立した。A9細胞を96ウェルプレートに1ウェルあたり3×104個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、CO2導入型ルミノメーター(ATTO社製)を用いたリアルタイム発光計測により、合成5H4PBのKeap1-Nrf2シグナル伝達経路の活性化効果を検証した。緑色および赤色発光ルシフェラーゼの発光強度から、5H4PBによるARE依存的な転写活性化を以下の計算により算出した。
(5H4PB処理群のSLG値/ 5H4PB処理群のSLR3値)/(コントロール群のSLG値/ コントロール群のSLR3値)
5H4PB非添加群の発光強度を100%として算出した結果、合成5H4PBの濃度依存的に相対発光強度が増加することが明らかとなり、5H4PBは代表的な酸化ストレスシグナル伝達経路であるKeap1-Nrf2経路を活性化し、抗酸化遺伝子の発現を誘導することにより酸化ストレス耐性を細胞に付与する可能性が示唆された(図4b, n=4)。
マウス繊維芽細胞株A9を6ウェルプレートに1ウェルあたり9×105個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、50 μMの合成5H4PBを添加し、4、12、24時間後に細胞を回収、RNA抽出後にcDNA合成し、リアルタイムPCR法により、抗酸化遺伝子であるHeme oxygenase-1 (HO-1)、Catalase (CAT)、Superoxide disumutase-1 (SOD-1)遺伝子の発現量を解析した。PCRには、以下のプライマーを用いた。
HO-1: 5’- GCTCGAATGAACACTCTGG-3’ (配列番号2), 5’- GTTCCTCTGTCAGCATCAC-3’ (配列番号3)
CAT: 5’- AGATGGAGAGGCAGTCTATT-3’ (配列番号4), 5’- AGATCTCGGAGGCCATAAT-3’ (配列番号5)
SOD-1: 5’- GAGACCTGGGCAATGTGACT-3’ (配列番号6), 5’-GTTTACTGCGCAATCCCAAT-3’ (配列番号7)
β-actin: 5’- TTCTTTGCAGCTCCTTCGTT-3’ (配列番号8), 5’-GACCAGCGCAGCGATATC-3’ (配列番号9).
遺伝子発現量は、以下の計算により算出した。
(5H4PB処理群の目的遺伝子発現量/ 5H4PB処理群のβ-actin発現量)/(コントロール群の目的遺伝子発現量/ コントロール群のβ-actin発現量)
5H4PB非添加群の遺伝子発現量を1として算出した結果、合成5H4PBは代表的な抗酸化関連遺伝子であるHO-1、CAT、SOD-1の発現を誘導することが明らかとなった(図5, n=3)。
マウス繊維芽細胞株A9を6ウェルプレートに1ウェルあたり9×105個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、5, 10, 20 μMの合成5H4PBを添加し、更に24時間培養した。培地除去後、2, 3, 4 mMの過酸化水素を添加し、引き続き2時間培養した後、細胞内の活性酸素種(ROS)量を蛍光試薬2′,7′-dichlorodihydrofluorescein diacetate (DCFH-DA)およびフローサイトメーターを用いて計測した。5H4PB非添加群の蛍光強度を1として算出した結果、合成5H4PB添加により、過酸化水素により発生する細胞内ROS量の増加が5H4PB濃度依存的に抑制されることが明らかとなった(図6, n=3)。
マウス繊維芽細胞株A9を6ウェルプレートに1ウェルあたり9×105個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、20 μMの合成5H4PBを添加し、更に一晩CO2インキュベーターで培養した。培地を除去後、4 mM過酸化水素を添加し、更に6時間培養した後、DNA損傷レベルをコメットアッセイにより計測した。DNA損傷の指標の1つであるテイル長を基にDNA損傷を評価した結果、過酸化水素処理によるDNA損傷の増加が5H4PB濃度依存的に抑制されることが明らかとなった(図7, n=150)。
メスのICRマウスから単離した初代肝細胞をコラーゲンコート済み96ウェルプレートに1ウェルあたり3×104個播種し、6時間CO2インキュベーターで培養後、10, 60, 100 μMの合成5H4PBを添加し、更に24時間CO2インキュベーターで培養した。その後、5H4PB添加培地を除去し、200, 400, 600, 800 μM過酸化水素を添加し24時間培養した際の細胞生存率をWST-1試薬で計測した。対照群(control)の細胞生存率を100%として算出した結果、マウス由来初代肝細胞においても5H4PBは濃度依存的に過酸化水素により誘発される細胞死を抑制することが明らかとなった(図8, n=4)。
以上の結果より、合成5H4PBはKeap1-Nrf2経路を活性化することで抗酸化関連遺伝子の発現を誘導し、細胞内ROSの発生を抑えることにより、酸化ストレスを低減する効果を有することが明らかとなった。
実施例2
マウス線維芽細胞株A9を96ウェルプレートに1ウェルあたり3×104個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、0.5 μg/mlの小胞体ストレス誘導剤ツニカマイシンおよび合成5H4PBを添加し、48時間後に細胞生存率をWST-1試薬で計測した。対照群(control)の細胞生存率を100%として算出した結果、0.5 μg/mlツニカマイシン処置では24.3 ±1.1%であった細胞生存率は、25, 50あるいは100 μMの5H4PB同時処置により、各々44.3 ±4.7, 70.9 ±5.4及び87.6 ±2.5%となり、5H4PB濃度依存的にツニカマイシン誘発細胞死が抑制された(図9, n=6)。
小胞体ストレス関連遺伝子の転写領域にあるUnfolded Protein Response Element (5’-GTCGAGACAGGTGCTGACGTGGCATTC-3’(配列番号10)の5回繰り返し配列;UPRE) の下流に恒常的発現型のチミジンキナーゼ (TK) プロモーター及び赤色発光ルシフェラーゼSLR3を連結したコンストラクト、TKプロモーターに緑色発光ルシフェラーゼSLGを連結したコンストラクトをA9細胞に導入し(図10a)、小胞体ストレスに応じて赤色発光が増強する細胞を樹立した。樹立したA9細胞を96ウェルプレートに1ウェルあたり3×104個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、CO2導入型ルミノメーター(ATTO社製)を用いたリアルタイム発光計測により、合成5H4PBの小胞体ストレス緩和効果を検証した。緑色および赤色発光ルシフェラーゼの発光強度から、5H4PBによるUPRE依存的な転写活性化を以下の計算により算出した。
(5H4PB処理群のSLG値/ 5H4PB処理群のSLR3値)/(コントロール群のSLG値/ コントロール群のSLR3値)
さらに、0.1 μg/mlツニカマイシン添加5H4PB非添加群の発光強度を100%として算出した結果、1〜125 μMの合成5H4PB添加により、濃度依存的にUPRE依存的な転写活性が低下した(図10b, n=6)。以上の結果より、合成5H4PBは小胞体ストレス軽減効果を有することが明らかとなった。
実施例3
体内時計を制御する代表的時計遺伝子mPer2およびmBmal1プロモーターの下流にタンパク分解配列PESTを融合した緑色発光ルシフェラーゼELuc-PEST及び赤色発光ルシフェラーゼSLR3-PESTを各々連結したコンストラクトをA9細胞に導入し (図11a)、時計遺伝子発現をモニターできる株化細胞を樹立した。樹立したA9細胞を35 mmディッシュに6×105個播種し、一晩CO2インキュベーターで培養後、ディッシュ型リアルタイム発光測定装置(Kronos、ATTO社製)を用いたリアルタイム発光計測により、合成5H4PBの時計遺伝子発現に及ぼす影響を検証した。100 nM デキサメタゾンを2時間処置後、各濃度の合成5H4PB存在下でmPer2およびmBmal1プロモーターの発光リズムを同時測定した結果、5H4PB濃度依存的に発光リズムの位相後退が観察され(図11b、c、d)、合成5H4PBは時計遺伝子発現の位相を後退させる効果を有することが明らかとなった。

Claims (3)

  1. 下記式(I)
    Figure 0006162312
    (式中、R1はCHO、COOHを示す。R2はCOOHを示す。或いは、R1とR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって下記式(II)
    Figure 0006162312
    (式中、R3、R4は一方が水素原子、他方がOHを表すか、R3、R4とそれらが結合している炭素原子が一緒になってカルボニル基(C=O)を示す。)
    で表される基を示す。)
    で表される化合物又はその塩のみからなる抗酸化剤。
  2. 下記式(I)
    Figure 0006162312
    (式中、R1はCHO、COOHを示す。R2はCOOHを示す。或いは、R1とR2はそれらが結合している炭素原子と一緒になって下記式(II)
    Figure 0006162312
    (式中、R3、R4は一方が水素原子、他方がOHを表すか、R3、R4とそれらが結合している炭素原子が一緒になってカルボニル基(C=O)を示す。)
    で表される基を示す。)
    で表される化合物又はその塩のみを有効成分として含む抗酸化用組成物。
  3. 前記組成物が、食品組成物、化粧品組成物または医薬組成物である、請求項に記載の抗酸化用組成物。
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