JP6161582B2 - 画像処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、1つの撮像デバイスを複数のアプリケーションで共有する画像処理装置に関する。
従来、このような分野の技術として、例えば特許文献1に記載されたものがある。この文献に記載の画像処理装置は、画像を取得する撮像デバイスと、複数のアプリケーションから撮像デバイスを制御するコントロール部と、複数のアプリケーションが1つの撮像デバイスから時間的に重なることなく画像データの取り込みのタイミングを決定する画像取り込みスケジューリング部とを備える。上述の構成を有する画像処理装置によれば、カメラパラメータを動的に変化させる複数のアプリケーションで1つの撮像デバイスを信頼性高く共有することができる。
特開2008−278515号公報
しかしながら、上記した画像処理装置では、1つの撮像デバイスを共有するには、複数のアプリケーションで共通の機能を使用することが必要とされている。例えば、レーン逸脱警報とレーン維持走行支援とのようにレーン認識機能を共通して使用するアプリケーションの間でだけ、撮像デバイスで撮像した画像を共有することが可能である。このため、1つの撮像デバイスを複数のアプリケーションで共有できる状況が限られていた。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、1つの撮像デバイスを複数のアプリケーションで共有する状況を拡大できる画像処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の画像処理装置は、撮像デバイスで撮像した画像に基づいて複数のアプリケーションが実行される画像処理装置であって、各アプリケーションの実行に必要な画像に関する撮像パラメータの範囲をそれぞれ取得するパラメータ範囲取得手段と、前記パラメータ範囲取得手段で取得した各撮像パラメータの範囲に基づいて、前記撮像デバイスで撮像した画像を複数のアプリケーションで共有するための共有撮像パラメータを決定するパラメータ決定手段と、前記パラメータ決定手段で決定した共有撮像パラメータに基づいて、前記撮像デバイスの撮像を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る画像処理装置によれば、各撮像パラメータの範囲に基づき撮像デバイスで撮像した画像を共有するための共有撮像パラメータが決定されるので、例えば各撮像パラメータの共通する部分又は類似する部分があった場合に、撮像デバイスにより撮像される画像を複数のアプリケーションで共有することが可能になる。したがって、従来のように共通の機能を使用する場合のみに共有できる態様と比べて、画像を共有できる態様を広げることができる。その結果、1つの撮像デバイスを複数のアプリケーションで共有する状況を拡大することができる。
第1実施形態に係る画像処理装置の全体構成を示すブロック図。 第1実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャート。 撮像条件定義の例を示す図。 要求性能定義の例を示す図。 アプリAの撮像パラメータ定義の例を示す図。 アプリBの撮像パラメータ定義の例を示す図。 アプリA及びアプリBの撮像パラメータ定義の例を示す図。 アプリA及びアプリBで画像を共有する場合の撮像時間の例を示す図。 第2実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャート。 (a)アプリA及びアプリBで画像を共有する場合の撮像時間の例を示す図、(b)アプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像する場合の撮像時間の例を示す図。 (a)第3実施形態に係るアプリA及びアプリBで画像を共有する場合の撮像時間の例を示す図、(b)第3実施形態に係るアプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像する場合の撮像時間の例を示す図、(c)第3実施形態に係るアプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像する場合の撮像時間の他の例を示す図。
以下、図面を参照して本発明に係る画像処理装置の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る画像処理装置の全体構成を示すブロック図である。画像処理装置1は、車両に搭載され、ステレオカメラ8で撮像した画像を処理してN個のアプリケーション11〜1Nを実行することにより、車の安全運転を実現する装置である。なお、本実施形態に係る撮像とは、画像の取り込みを意味している。図1に示すように、画像処理装置1は、メモリ2、CAN(Controller Area Network)インタフェース部3、パラメータ範囲取得部5、パラメータ決定部6、及びカメラ制御部7を備えている。
メモリ2は、画像処理装置1の動作に関する情報を格納するものである。本実施形態において、メモリ2には自車状況21、外界状況22及びアプリケーション情報23が格納されている。自車状況21および外界状況22は、車両の現在の走行状態に係る様々な状況であり、アプリケーション11〜1Nの処理結果または車内の他のシステムから得られるデータが含まれている。
自車状況21としては、例えば、自車の走行速度、加速度、ハンドル操作、ギア操作、ペダル操作の状況が挙げられる。外界状況22としては、例えば、先行車及び対向車の位置、自車周辺の歩行者の位置、周囲の明るさ、天候、道路状況等が挙げられる。アプリケーション情報23は、各アプリケーションの実行に必要な情報を含んでおり、例えば、撮像条件定義、要求性能定義、及び撮像パラメータ定義等から構成されている。
CANインタフェース部3は、メモリ2に接続され、互いにデータ転送が可能に構成されている。また、CANインタフェース部3は、CANバス4を介して、車内の他のシステムとのやりとりを行うことが可能である。例えば、自車にハンドル操作があった場合、そのハンドル操作に関する情報がCANバス4とCANインタフェース部3とを経由してメモリ2に入力され、自車状況21に格納される。
パラメータ範囲取得部5は、メモリ2に接続され、メモリ2に格納された各情報を参照し、各アプリケーションの実行に必要な画像に関する撮像パラメータの範囲を取得する。
撮像パラメータは、ステレオカメラ8の撮像に関わる各設定値であり、例えば、撮像時間、露光時間、解像度、ホワイトバランス(色調)、画像サイズ、ゲイン等が挙げられる。パラメータ決定部6は、メモリ2及びパラメータ範囲取得部5にそれぞれ接続されている。このパラメータ決定部6は、メモリ2に格納されたアプリケーション情報を参照し、各アプリケーションに求められた撮像パラメータの範囲等に基づいて、ステレオカメラ8で撮像した画像を複数のアプリケーションで共有するための共有撮像パラメータを決定する。
ここで、共有撮像パラメータを決定するとは、共有する撮像パラメータの具体名称のみならず、そのパラメータの値または範囲も決定することを意味している。例えば、共有する撮像パラメータが露光時間であった場合に、パラメータ決定部6は、露光時間を共有撮像パラメータとして決定するとともに、その具体値(例えば、30ms)も決定する。したがって、パラメータ範囲取得部5で決定した共有撮像パラメータには、パラメータの具体名称のほか、その値または範囲も含まれている。そして、パラメータ決定部6は、その決定した共有撮像パラメータをカメラ制御部7に送信する。
カメラ制御部7は、パラメータ決定部6に接続され、パラメータ決定部6より送信された共有撮像パラメータに基づき、ステレオカメラ8に制御信号を送り、ステレオカメラ8の撮像を制御する。ステレオカメラ8に関する制御信号として、例えば露光、ゲイン、色情報等の制御に関するものが挙げられる。また、カメラ制御部7は、アプリケーション11〜1Nとそれぞれ接続され、ステレオカメラ8で撮像した画像を各アプリケーションに送信する。
アプリケーション11〜1Nは、カメラ制御部7を介してステレオカメラ8で撮像した画像を取得し、その画像に基づいてそれぞれのプログラムに従い実行される。アプリケーション例としては、例えば車両・歩行者認識、標識認識、配光制御、レーン逸脱警報、割り込み車両警報、追い越し車両警報、レーン維持走行支援等が挙げられる。
ステレオカメラ8は、車両の前方の様子を撮像している。ステレオカメラ8は、所定の間隔を開けて取り付けられた左カメラ81と右カメラ82とを有する。これらのカメラ81,82は、それぞれカメラ制御部7に接続され、カメラ制御部7からの制御信号を受信しその制御指令に従って撮像を行い、更に撮像したデータをカメラ制御部7に送信する。なお、カメラ81,82は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子から構成されている。
以下、図2を参照して画像処理装置1の処理手順を説明する。図2は、第1実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態に係る画像処理装置1は、通常では、設定された撮像スケジュール(すなわち、ステレオカメラ8からの画像取り込み順序)に基づいて周期的に撮像を行っているが、所定のタイミングで撮像スケジュールの再設定を行うことが可能にされている。例えば、アプリケーションの起動時、アプリケーションの停止時、自車又は外界の状況に変化があったとき、あるいは所定の時間が経過したときに、撮像スケジュールの再設定が行われる。そして、撮像スケジュールの再設定は、例えば撮像順番の入れ替えや、撮像時間の変更等が考えられる。
まず、ステップS11において、パラメータ範囲取得部5は、自車状況21、外界状況22及びアプリケーション情報23内の要求性能定義を参照して、実行中のアプリケーションの要求性能を求める。例えば、車両・歩行者認識、標識認識及び配光制御のアプリケーションが実行されている場合、パラメータ範囲取得部5は、まず、メモリ2に格納された自車状況21、外界状況22及びこれらのアプリケーション情報23内の要求性能定義に関する情報を取得する。次に、パラメータ範囲取得部5は、その取得した情報を基にこれらのアプリケーションの要求性能をそれぞれ求める。なお、各アプリケーションの要求性能は、自車状況21及び外界状況22によって常に変化するものである。
図3は撮像条件定義の例を示す図である。図3に示すように、車両・歩行者認識、標識認識及び配光制御のアプリケーションの場合、撮像条件として画像種別と撮像頻度が挙げられている。具体的には、車両・歩行者認識アプリケーションの場合、視差情報が必要であるため、ステレオ画像が要求される。一方、標識認識アプリケーション及び配光制御アプリケーションの場合、単眼画像であれば足りる。そして、3つのアプリケーションの撮像頻度はともに50ms毎である。なお、撮像条件は上述した画像種別と撮像頻度のほか、例えば、画質や露光時間(シャッタスピード)等も挙げられる。
図4は要求性能定義の例を示す図である。図4に示すように、車両・歩行者認識、標識認識及び配光制御のアプリケーションの要求性能は、ともに検知距離であり、自車速度が50km/h未満であるか否かによって分かれている。自車速度が50km/h未満の場合、車両・歩行者認識アプリケーション及び標識認識アプリケーションの要求性能は検知距離50m以上、配光制御アプリアプリケーションの要求性能は検知距離100m以上である。一方、自車速度が50km/h以上の場合、これらのアプリケーションの要求性能は、ともに検知距離100m以上である。
ここでは、自車速度が50km/h以上の例を挙げて説明する。この場合、パラメータ範囲取得部5は、自車状況21より自車速度に関する情報を取得し、その取得した情報を基に図4に示す車両・歩行者認識、標識認識及び配光制御のアプリケーションの要求性能を参照し、これらのアプリケーションの要求性能(すなわち、検知距離100m以上であること)を求める。
ステップS12において、パラメータ範囲取得部5は、ステップS11で求めた各アプリケーションの要求性能に基づき、各アプリケーションに求められた撮像パラメータの範囲を取得する。例えば、標識認識アプリケーション(以下、アプリAと称する)と配光制御アプリケーション(以下、アプリBと称する)の場合、パラメータ範囲取得部5は、これらのアプリケーションの要求性能を満たすことを前提に、アプリケーション情報23内の撮像パラメータ定義を参照して、各アプリケーションの実行に必要な画像に関する撮像パラメータの範囲を取得する。
図5はアプリAの撮像パラメータ定義の例を示す図であり、図6はアプリBの撮像パラメータ定義の例を示す図である。アプリA及びアプリBの要求性能がともに検知距離100m以上であったため、図5の場合、その条件を満たすアプリAの撮像パラメータ(ここでは露光時間)の範囲は10〜40msである。一方、図6の場合、その条件を満たすアプリBの撮像パラメータ(ここでは露光時間)の範囲は20〜50msである。
ステップS13において、パラメータ範囲取得部5は、ステップS12で求めた各アプリケーションの撮像パラメータの範囲に基づき、撮像時間の範囲を取得する。撮像時間は、画像サイズ・露光時間・ゲイン等により決定されているが、本実施例では、単純に撮像時間=露光時間とする。したがって、アプリAの撮像時間の範囲は10〜40ms、アプリBの撮像時間の範囲は20〜50msになる。
ステップS14において、パラメータ決定部6は、各アプリケーションの撮像パラメータの範囲のうち、共通範囲があるか否かを判定する。共通範囲があった場合、処理がステップS15へ進む。一方、共通範囲がない場合、処理がステップS16へ進む。図7はアプリA及びアプリBの撮像パラメータ定義の例を示す図である。図7の場合、アプリA及びアプリBの撮像パラメータが撮像時間であり、両者の撮像時間の共通範囲が20〜40msであるため、パラメータ決定部6は、撮像パラメータの範囲に共通範囲があると判定する。
ステップS15において、パラメータ決定部6は、ステレオカメラ8で撮像した画像を複数のアプリケーションで共有するための共有撮像パラメータを決定する。ここでは、撮像パラメータが撮像時間であるので、パラメータ決定部6は、共有撮像時間を決定する。図7に示すように、アプリA及びアプリBの撮像時間の共通範囲20〜40msのうち、撮像時間が30msのときに、これらのアプリケーションの性能を高く維持しつつ、アプリAのグラフとアプリBのグラフとが交差している。したがって、アプリA及びアプリBの高い性能を確保できる観点から、撮像時間30msを共有撮像時間として決定するのが好適である。図8はアプリA及びアプリBで画像を共有する場合の撮像時間の例を示す図である。図8に示すように、アプリA及びアプリBで画像を共有する共有撮像時間が30msであり、これらのアプリケーションの撮像周期が50ms(すなわち、撮像頻度が50ms毎)である。
ステップS16において、カメラ制御部7は、パラメータ決定部6により決定された共有撮像時間に従い、ステレオカメラ8による画像の取り込みを制御する。ここでは、アプリA及びアプリBの実行に必要な画像がともに単眼画像であるため、カメラ制御部7は、例えばステレオカメラ8のうち、左カメラ81だけを撮像させるように制御する。そして、カメラ制御部7は、左カメラ81により撮像された画像をアプリA及びアプリBにそれぞれ送信する。
一方、ステップS14で撮像パラメータの範囲に共通範囲がないと判定した場合、処理がS16に進むが、ここでは、カメラ制御部7は、例えば各アプリケーションの実行に必要な画像の取り込みを通常の個別撮像方式で行うようにステレオカメラ8を制御する。カメラ制御部7は、個別撮像方式で撮像した画像を各アプリにそれぞれ送信する。これによって、一連の処理を終了する。
以上の構成を有する画像処理装置1では、パラメータ範囲取得部5が各アプリケーション11〜1Nの実行に必要な画像に関する撮像パラメータの範囲をそれぞれ取得し、パラメータ決定部6が各撮像パラメータの範囲のうち、共通範囲があったときにステレオカメラ8で撮像した画像を複数のアプリケーション11〜1Nで共有するための共有撮像パラメータ(共有撮像時間)を決定する。したがって、従来のように共通の機能を使用する場合のみに共有できる態様と比べて、画像を共有できる態様を広げることができる。その結果、1つの撮像デバイスを複数のアプリケーションで共有する状況を拡大することができる。また、ステレオカメラ8で撮像した画像を共有できる状況を広げることで、カメラの数を増やさずに、限られた期間内により多くのアプリケーションを実行することができ、画像処理装置のコストを削減する効果を奏する。
<第2実施形態>
以下、図9及び図10を参照して第2実施形態について説明する。本実施形態に係る画像処理装置は、その処理手順において第1実施形態と異なっているが、装置の構成等は第1実施形態と同様であるため、重複する説明を省略する。
本実施形態の特徴的な部分は、パラメータ決定部6が共有撮像時間のほか、各アプリケーションに必要な画像を個別に撮像する個別撮像時間を更に仮決定し、個別撮像時間と共有撮像時間とを比較して最終の撮像時間を決定することである。以下、その特徴的な部分を中心に説明する。図9は、第2実施形態に係る画像処理装置の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態において、アプリA及びアプリBが実行されている。
処理S21〜S23は第1実施形態の処理S11〜S13と同様である。S23に続く処理は、平行に進むステップS24〜S25と、ステップS26〜S27に分かれている。ステップS24において、パラメータ決定部6は、撮像パラメータの範囲に共通範囲があるか否かを判定する。共通範囲があった場合、処理がステップS25へ進む。一方、共通範囲がない場合、処理がステップS28へ進む。
上述の図7に示すように、アプリA及びアプリBの撮像時間の共通範囲が20〜40msであるため、パラメータ決定部6は、撮像パラメータの範囲に共通範囲があると判定する。ステップS25において、パラメータ決定部6は、ステレオカメラ8で撮像した画像をアプリA及びアプリBで共有するための共有撮像時間を決定する。図10(a)は、アプリA及びアプリBで画像を共有する場合の撮像時間の例を示す図である。図10(a)に示すように、ここでは、パラメータ決定部6は、共有撮像時間をアプリA及びアプリB双方の性能を高く確保できる撮像時間30msと決定した。
一方、ステップS26において、パラメータ決定部6は、アプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像するときの撮像時間の合計値が所定の撮像周期内であるか否かを判定する。撮像時間の合計値が所定の撮像周期内と判定した場合、処理がステップS27へ進む。撮像時間の合計値が所定の撮像周期内でないと判定した場合、処理がステップS28へ進む。
具体的には、パラメータ決定部6は、まず、ステップS23で取得したアプリA及びアプリBの撮像時間の範囲を参照し、これらのアプリケーションの実行に必要な画像をそれぞれ撮像する場合の最短の撮像時間の合計値を算出する。次に、パラメータ決定部6は、その合計値が所定の撮像周期内であるか否かを判定する。
上記の例において、アプリAの実行に必要な画像の最短の撮像時間は10ms(図5参照)、アプリBの実行に必要な画像の最短の撮像時間は20ms(図6参照)であるので、両者の合計値は30msである。そして、所定の撮像周期が50msであるため、両者の最短の撮像時間の合計値が所定の撮像周期内になる。したがって、パラメータ決定部6は、撮像時間の合計値が所定の撮像周期内であると判定し、処理がS27に進む。
ステップS27において、パラメータ決定部6は、各アプリケーションに必要な画像を個別に撮像する個別撮像時間を仮決定する。図10(b)はアプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像する場合の撮像時間の例を示す図である。単純な構成では、アプリAの実行に必要な画像の撮像時間をその最短の撮像時間である10ms、アプリBの実行に必要な画像の撮像時間をその最短撮像時間である20msとそれぞれ決定すれば良いが、ここでは、パラメータ決定部6は、更に所定の撮像周期(50ms)の範囲内でこれらの撮像時間の調整を行い、各アプリケーションの性能を高める。
本実施形態では、パラメータ決定部6は、アプリAの実行に必要な画像の撮像時間を20ms、アプリBの実行に必要な画像の撮像時間を30msとなるように調整した(図10(b)参照)。このようにすれば、各アプリケーションの性能をより高めることができる。すなわち、アプリAの場合、最短の撮像時間である10msと比べて撮像時間が20msのときに、検知距離が更に長くなるので(図5参照)、アプリAの性能をより良くすることができる。同様に、アプリBの場合、最短の撮像時間である20msと比べて撮像時間が30msのときに、検知距離が更に長くなるので、アプリBの性能もより良くすることが可能になる。
なお、ここでの調整は全てのアプリケーションの撮像時間を対象にしなくてもよく、必要に応じて複数のアプリケーションの一部の撮像時間を調整すればよい。例えば、アプリA及びアプリBのうち、アプリBの性能を最大化する要求があった場合に、アプリBの撮像時間を検知距離が最も長いときの露光時間35msまで長くする。一方、アプリAの撮像時間を最短の撮像時間10msのままにする。このように必要に応じて撮像時間を調整することができるので、装置に対する様々な要求に対応することが可能にある。
ステップS28において、パラメータ決定部6は、ステップS24〜S25とステップS26〜S27でそれぞれ決定した撮像時間を比較し、最終の撮像時間を決定する。具体的には、パラメータ決定部6は、共有撮像時間及び個別撮像時間のうち、アプリA及びアプリBの性能をより高める方を選択して最終の撮像時間とする。
一方、両者の間にアプリケーション性能の差異がない場合に、パラメータ決定部6は、例えばカメラ駆動による消費電力が少ない方を選択して最終の撮像時間とする。なお、上述した共有撮像時間及び個別撮像時間のうち、どちらを選択するかは状況によって変化するが、パラメータ決定部6は、そのときの状況に応じて各アプリケーションの性能をより高めていく方を最終の撮像時間として決定すればよい。一方、ステップS24で撮像パラメータ範囲に共通範囲がないと判定した場合、共有撮像時間が決定されないため、パラメータ決定部6は、個別撮像時間を最終の撮像時間として決定する。
ステップS29において、カメラ制御部7は、ステップS28で決定した最終の撮像時間に従い、ステレオカメラ8による画像の取り込みを制御する。ここでは、アプリA及びアプリBの実行に必要な画像がともに単眼画像であるため、カメラ制御部7は、例えばステレオカメラ8のうち、左カメラ81のみを撮像させるように制御する。そして、カメラ制御部7は、左カメラ81により撮像された画像をアプリA及びアプリBにそれぞれ送信する。これによって、一連の処理を終了する。
本実施形態に係る画像処理装置は、第1実施形態と同様な作用効果を得られるほか、共有撮影時間と個別撮像時間とを比較して、各アプリケーションの性能をより高める方を選択して最終の撮像時間として決定することで、各アプリケーションの高い性能を実現することができる。
<第3実施形態>
以下、図11を参照して第3実施形態について説明する。本実施形態の特徴的な部分は、単眼画像を必要とするアプリA及びアプリBのほか、ステレオ画像を必要とするアプリCも実行されることである。以下、その特徴的な部分を中心に説明する。装置の構成及び処理手順等は第2実施形態と同様であるため、重複する説明を省略する。
図11(a)は第3実施形態に係るアプリA及びアプリBで画像を共有する場合の撮像時間の例を示す図であり、(b)は第3実施形態に係るアプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像する場合の撮像時間の例を示す図であり、(c)は第3実施形態に係るアプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像する場合の撮像時間の他の例を示す図である。
本実施形態において、標識認識アプリケーション(アプリA)、配光制御アプリケーション(アプリB)及び車両・歩行者認識アプリケーション(以下、アプリCと称する)が実行される。図3に示すように、アプリCの場合、視差情報が必要であるため、ステレオ画像が要求される。一方、アプリA及びアプリBの場合、単眼画像であれば足りる。なお、これらのアプリケーションの撮像周期はともに50msである。
アプリCの実行にはステレオ画像が必要であるため、左カメラ81及び右カメラ82で同時に撮像することが必要である。一方、アプリA及びアプリBの実行に必要な画像が単眼画像であるので、左カメラ81及び右カメラ82のうち、片方を用いて撮像すれば良い。本実施形態において、3つのアプリケーションのうち、アプリCの優先順位が最も高い。したがって、アプリCは優先してステレオカメラ8を使用し、その空き時間にアプリAとアプリBとの実行に必要な画像を撮像する。
アプリA及びアプリBに関する撮像時間については、図11に示す3通りがあると考えられる。まず、図11(a)に示すように、アプリA及びアプリBに関する撮像パラメータの範囲に共通範囲があり、これらのアプリケーションの実行に必要な画像を共有撮像時間で撮像する。この場合の処理は、上述した図9のステップS24〜S25でパラメータ決定部6によって行われる。
次に、図11(b)に示すように、アプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像するときの撮像時間の合計値が所定の撮像周期内であった場合、左カメラ81及び右カメラ82の片方(ここでは、右カメラ82)を用いて個別撮像時間で画像を撮像する。この場合の処理は、上述した図9のステップS26〜S27でパラメータ決定部6によって行われる。
更に、図11(c)に示すように、アプリA及びアプリBの実行に必要な画像を個別に撮像するときのそれぞれの撮像時間が所定の撮像周期内であった場合、左カメラ81と右カメラ82との双方を用いて個別撮像時間で画像を撮像する。本実施形態では、アプリAの実行に必要な画像を右カメラ82、アプリBの実行に必要な画像を左カメラ81で個別に撮像する。また、図11(c)において、アプリA及びアプリBの実行に必要な撮像を同時に行う場合を示しているが、これらの撮像は必ずしも同時に行う必要がなく、タイミングをずらして行っても良い。なお、この場合の処理は、上述した図9のステップS26〜S27でパラメータ決定部6によって行われる。
続いて、パラメータ決定部6は、上記3通りの撮像時間に基づいて、最終の撮像時間を決定する。ここでは、優先順位のほか、例えば得られるアプリケーションの性能の確保、あるいはカメラ駆動による消費電力の削減等を考慮して最終の撮像時間を決定するのが好適である。例えば、撮像を共有できる観点から、図11(a)に示す撮像時間の方が最も良い。
また、図11(a)及び(b)の場合、左カメラ81及び右カメラ82の片方(ここでは、右カメラ82)を用いてアプリA及びアプリBの実行に必要な画像を撮像するため、もう片方のカメラ(左カメラ81)が空いたため、別のアプリの実行に必要な画像を撮像することが可能である。したがって、カメラの数を増やさずに、限られた期間内により多くのアプリケーションを実行できるメリットがある。
一方、図11(c)の場合、カメラを2台使うため、カメラ駆動による消費電力の増加、制御回路の複雑化になるデメリットがある。しかし、アプリB(配光制御アプリケーション)の場合に、自車のヘッドライトのハイビーム又はロービームの自動制御を含む配光制御を実現するため、数百メートル離れた先行車のテールライト又は対向車のヘッドライトを検知する必要がある。そのため、他のアプリケーション(ここでは、アプリA)よりも長い露光時間での撮像が好ましい。したがって、アプリBが実行される場合、上記3通りの撮像時間のうち、図11(c)に示す場合の撮像時間を最終の撮像時間として決定するのが好ましい。このようにすれば、配光制御アプリケーションの性能をより高めることができる。なお、このように3通りの撮像時間のうち、どれが選択するかは状況によって変化するので、そのときの状況に応じて最適となる撮像時間を選択して最終の撮像時間として決定すればよい。
本実施形態に係る画像処理装置は、上述の実施形態と同様な作用効果を得られるほか、各アプリケーションの実行に必要な画像の種別に基づいて、ステレオカメラ8の2つのカメラを効率良く使い分けることができる。また、図11に示すような複数の撮像時間を選択することが可能であるため、必要に応じて最適となる撮像時間を選び、装置の適用性を高めることができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。例えば、上述の実施形態では、撮像パラメータとして撮像時間=露光時間の例を挙げて説明したが、撮像パラメータは露光時間に限定されず、本発明はその他の撮像パラメータにも適用される。撮像パラメータの他の例として、解像度(画像数)も考えられる。この場合、アプリケーションによって最適な解像度が異なる。解像度は高いほど情報量が増え、それを処理するには時間がかかるが、限られた処理能力で所定の時間内に処理結果を出すには、必要且つ十分な解像度を設定する必要がある。
また、撮像パラメータの他の例として、ホワイトバランス(色調)も考えられる。この場合、アプリケーションによって画像中の注目する物体が異なるため、色調の設定が必要となる。例えば、先行車のデールライトを識別するために画像中の赤色を際立たせたり、処理時間を短縮するために画像を白黒(無彩色)にしたりする。
また、第1実施形態において、ステレオカメラ8を用いて説明したが、実行されるアプリケーション(例えば、アプリA及びアプリB)に必要な画像が単眼画像だけの場合、ステレオカメラ8に代えて通常の単眼カメラを用いても良い。
1 画像処理装置
2 メモリ
3 CANインタフェース部
4 CANバス
5 パラメータ範囲取得部
6 パラメータ決定部
7 カメラ制御部
8 ステレオカメラ
11〜1N アプリケーション
81 左カメラ
82 右カメラ

Claims (5)

  1. 撮像デバイスで撮像した画像に基づいて複数のアプリケーションが実行される画像処理装置であって、
    各アプリケーションの実行に必要な画像に関する撮像パラメータの範囲をそれぞれ取得するパラメータ範囲取得手段と、
    前記パラメータ範囲取得手段で取得した各撮像パラメータの範囲に基づいて、前記撮像デバイスで撮像した画像を複数のアプリケーションで共有するための共有撮像パラメータを決定するパラメータ決定手段と、
    前記パラメータ決定手段で決定した共有撮像パラメータに基づいて、前記撮像デバイスの撮像を制御する制御手段と、を備え
    前記パラメータ決定手段は、前記各撮像パラメータの範囲のうち、共通範囲があるか否かを判定し、共通範囲があったときに、その共通範囲を有する複数のアプリケーションでの前記共有撮像パラメータを決定し、
    前記撮像パラメータは、撮像時間であり、
    前記共有撮像パラメータは、前記撮像デバイスで撮像した画像を共有するための共有撮像時間であり、
    前記パラメータ決定手段は、前記共通範囲を有する複数のアプリケーションの実行に必要な画像を個別に撮像するときの撮像時間の合計値が所定の撮像周期内であったときに、これらのアプリケーションの実行に必要な画像を個別に撮像する個別撮像時間を仮決定し、更に、前記個別撮像時間と前記共有撮像時間に基づいて、最終の撮像時間を決定することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記パラメータ決定手段は、前記個別撮像時間及び前記共有撮像時間のうち、前記共通範囲を有する複数のアプリケーションの性能をより高める方を前記最終の撮像時間として決定することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  3. 前記撮像デバイスは、ステレオカメラであり、
    前記共通範囲を有する複数のアプリケーションの実行に必要な画像が単眼画像であった場合に、その単眼画像は前記ステレオカメラの片方又は双方のカメラによって個別に撮像されることを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  4. 前記パラメータ決定手段は、前記共通範囲を有する複数のアプリケーションの実行に必要な画像を個別に撮像するときの最短の撮像時間の合計値と、前記所定の撮像周期とを比較し、前記最短の撮像時間の合計値が前記所定の撮像周期内であったときに、前記所定の撮像周期内の範囲で個別に撮像するときの各撮像時間のうち、少なくとも一つの撮像時間を調整し、前記個別撮像時間を仮決定することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
  5. 前記撮像デバイスの配光を制御するアプリケーションが実行される場合に、前記パラメータ決定手段は、前記ステレオカメラの双方を用いて個別に撮像する個別撮像時間を最終の撮像時間として決定することを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
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