JP6158388B1 - スプレーヘッド及びそれを備えるスプレー装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ダイカスト鋳造においては、一般に、鋳物をダイカスト金型から型抜きし易くするために、ダイカスト金型の内面に離型剤等の処理液が付与される(処理液付与工程)。
そして、処理液を付与した後は、作業効率の観点から、当該処理液に含まれる水分を除去するために、エアーが吹き付けられる(エアーブロー工程)。なお、エアーブロー工程は、処理液自体を除去する工程ではなく、エアーを吹き付けて、処理液をダイカスト金型の面方向に延展させると共に、処理液に含まれる水分を蒸発(除去)させ、ダイカスト金型に処理液の有効成分を定着させる工程である。
例えば、スプレーノズルに離型剤供給用配管及びエアー供給用配管が接続され、両配管に電磁切換弁を配設したダイカスト用スプレー装置(例えば、特許文献1参照)や、離型剤供給用機器及びエア供給用機器を内蔵した流体回路ボックスと、該流体回路ボックスから供給される離型剤及びエアを混合するミキシングバルブと、該ミキシングバルブにてエアと混合された離型剤を分配するミキシングブロックと、該ミキシングブロックにて分配された離型剤をダイカスト金型にスプレーするノズルユニットと、該ノズルユニットを移動させる移動機構とを備えた離型剤スプレー装置等(例えば、特許文献2参照)が知られている。
これらのスプレー装置においては、離型剤とエアーとを同じノズルから吹き付けることが可能となっている。すなわち、処理液を吹き付けた後、スプレー装置を移動させることなく、同じ位置に、エアーを吹き付けることができるため、処理液を延展させる共に、処理液に含まれる水分を除去することができる。
また、仮に、離型剤の流路が弁等で閉じられていたとしても、エアーの流通により、ノズル内に負圧が生じるため、一部の離型剤が引き込まれて、エアーと共に吹き付けられてしまう場合がある。
さらに、離型剤の経時的な吹き付けによりノズルの先端に付着した離型剤の固形分が、エアーブロー工程の際に剥がれて、エアーと共にダイカスト金型に吹き付けられ、当該ダイカスト金型に付着するという問題がある。
例えば、離型剤を吐出する1本の静電塗布スプレーノズル及び圧力エアーを吐出する2本のエアーノズル(スプレーヘッド)と、モーターにより回転可能な円板と、制御部と、を含む静電スプレー装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
本発明は、(5)エンドプレートには、ピストンバルブを付勢するための付勢エアーを流入させるパイロットエアー孔と、処理液用口金部から処理液を乗せて吹き付けるための一対のスプレーエアー孔と、エアー用口金部から吹き付けるエアーを流入させるためのエアーブロー孔と、処理液用口金部から吹き付ける処理液を流入させる処理液孔とが設けられており、エアーブロー孔から流入されたエアーが、エアー流路を流通し、処理液用口金部を囲うリング状の中継路を介して、該中継路に連通した複数のエアー用口金部のエアー吹付口から吹き付けられるものであり、パイロットエアー孔から流入される付勢エアーが処理液流路を閉じる方向にピストンバルブを付勢するものであり、スプレーエアー孔から流入されるスプレーエアーが処理液流路を開く方向にピストンバルブを付勢するものである上記(4)記載のスプレーヘッドに存する。
本発明のスプレーヘッドにおいては、エアー用口金部が処理液用口金部を囲むように配置されているので、スプレーヘッド自体をコンパクトなものとすることができる。
本発明のスプレーヘッドにおいては、処理液用口金部とエアー用口金部とが別になっているので、エアー用口金部に処理液が残存することはなく、負圧により処理液が引き込まれることもない。
また、エアー用口金部の先端に経時的に処理液の固形分が付着することもない。
これらのことにより、上記スプレーヘッドによれば、ダイカスト金型に対して、処理液の付与と、処理液の延展及び処理液に含まれる水分の除去とを効率良く行うことができる。
また、清掃等のメンテナンスをし易く、破損等による処理液用口金部の交換も簡単に行うことができる。
本発明に係るスプレーヘッドは、処理液付与工程において、ダイカスト金型に処理液を付与し、その後、エアーブロー工程において、ダイカスト金型にエアーを吹き付けるためのものである。
ここで、処理液とは、特に限定されないが、例えば、水、離型剤、潤滑剤、洗浄剤等が挙げられる。なお、離型剤、潤滑剤、洗浄剤は、公知のものを使用することができる。
図1の(a)に示すように、本実施形態に係るスプレーヘッド100は、本体部10と、処理液を吹き付けるための処理液用口金部1と、エアーを吹き付けるためのエアー用口金部2と、を備える。
そして、スプレーヘッド100においては、エアー用口金部2が12か所に設けられており、これらのエアー用口金部2は、処理液用口金部1を囲むように配置されている。なお、12か所のエアー用口金部2は、全て同じ形状である。
また、エアー用口金部2からエアーを吹き付けることができる。これにより、エアーブロー工程が行われる。
このとき、スプレーヘッド100においては、処理液用口金部1を囲むように、エアー用口金部2が配置されているので、処理液付与工程において処理液が付与された領域全体に、エアーブロー工程においてエアーを吹き付けることが可能となる。このため、スプレーヘッド100を移動させることなく、同じ位置で、処理液付与工程及びエアーブロー工程を行うことができる。
また、スプレーヘッド100自体をコンパクトなものとすることができる。
さらに、処理液用口金部1とエアー用口金部2とが別になっているので、エアー用口金部2に処理液が残存することはなく、エアー用口金部2の先端に経時的に処理液の固形分が付着することもない。
したがって、上記スプレーヘッド100によれば、ダイカスト金型に対して、処理液の付与と、処理液の延展及び処理液に含まれる水分の除去とを効率良く行うことができる。なお、処理液の延展とは、付与された処理液にエアーを吹き付けることにより、処理液を延ばして、付与された処理液の領域を広げることである。
また、複数のエアー用口金部2は、隣り合うエアー用口金部2のエアー吹付口2a同士の間の距離H2が全て同じとなるように、等間隔で配置されている。
すなわち、エアー吹付口2aは、第ノズル口部1aを中心とする正十二角形の各頂点に相当する位置に配置されている。
図2の(a)に示すように、処理液吹付工程において、処理液吹付口1aから吹き付けられる処理液は、放射状に飛翔し、図示しないダイカスト金型の表面において、円状の処理液領域1a1に付与される。
また、図2の(b)に示すように、エアーブロー工程において、複数のエアー吹付口2aから吹き付けられるエアーは、それぞれ放射状に飛翔し、図示しないダイカスト金型の表面において、複数の円が重なり合ったエアー領域2a1に付与される。
スプレーヘッド100においては、エアー領域2a1が処理液領域1a1を完全に覆うことができるため、確実に処理液に含まれる水分を除去することが可能となる。
また、処理液領域1a1の中心と、エアー領域2a1の中心とが一致するため、スプレーヘッド100を移動させずに、同じ位置で処理液吹付工程及びエアーブロー工程を行うことができる。これにより、付与された処理液に対して、処理液の延展及び処理液に含まれる水分の除去を効率良く行うことができる。
また、処理液領域1a1の中心から外側に行くに従って、付与される処理液の密度が小さくなっていくのに対し、エアーの重なりも無くなるため、吹き付けるエアーの密度も小さくなる。
このように、スプレーヘッド100においては、処理液領域1a1の中心部分やその周辺において、処理液の付与密度に対応したエアーを吹き付けることができるので、処理液をダイカスト金型の面方向に沿って効率良く延展させることができると共に、処理液に含まれる水分を効率良く除去することが可能となる。その結果、ダイカスト金型に対して、処理液の有効成分がムラなく均一に付与されることになる。
なお、例えば、エアーの吹き付け方向が、内側(処理液用口金部1側)に傾斜している場合、上述したエアー領域2a1が比較的小さくなるため、エアー領域2a1が処理液領域1a1を完全に覆うことができない場合が生じ、結果としてスプレーヘッドを移動させる必要が生じる。
一方、エアーの吹き付け方向が、処理液用口金部1の外側に傾斜している場合、例えば、エアー用口金部2から吹き付けられるエアー同士がエアー領域2a1の中心で重なり合わない場合が生じる。
図3の(a)は、図1に示すスプレーヘッドの背面図であり、(b)は、(a)に示すスプレーヘッドをA−A線で切断した断面図であり、(c)及び(d)は、(a)に示すスプレーヘッドをB−B線で切断した断面図であり、(e)は、(a)に示すスプレーヘッドをC−C線で切断した断面図である。なお、図3の(c)は、ピストンバルブが流路を閉じた状態を示しており、図3の(d)は、ピストンバルブが流路を開いた状態を示している。
図3の(a)に示すように、本体部10の背面には、3種類のエアーと、処理液とを流通させるための孔が設けられている。
すなわち、本体部10の背面には、中央に設けられたパイロットエアー孔Pと、一対のスプレーエアー孔Sと、エアーブロー孔Vと、処理液孔Yとが設けられている。
スプレーエアー孔Sは、処理液用口金部1から処理液を乗せて吹き付けるためのスプレーエアーを流入させる孔である。
エアーブロー孔Vは、エアー用口金部2から吹き付けるエアーを流入させる孔である。
処理液孔Yは、処理液用口金部1から吹き付ける処理液を流入させる孔である。
ここで、中継路V2は、処理液用口金部1を囲うようにリング状となっており、該中継路V2に各エアー用口金部2が連通した構造となっている。
当該ピストンバルブ12は、パイロットエアー孔Pから流入される付勢エアーによって、ノズル部側(図3の(c)でいう左側)に付勢されている。これにより、処理液流路が閉じた状態となる。
そして、上述したスプレーエアーが処理液用口金部1の両側から処理液を押し出すことにより、処理液が加速された状態で、処理液用口金部1の処理液吹付口1aから吹き付けられることになる。
図4に示すように、スプレーヘッド100は、エアー用口金部2が形成されたキャップ部11と、処理液用口金部1と、本体部10と、ピストンバルブ12と、スプリング13と、エンドプレート14とからなる。
すなわち、スプレーヘッド100は、本体部10の一方側から、処理液用口金部1を、パッキン15bを介して本体部10に取り付け、その上から、キャップ部11を、パッキン15aを介して本体部10に取り付ける。
そして、本体部10の他方側から、パッキン15cを介してピストンバルブ12を装着し、スプリング13を介して、エンドプレート14を本体部10に取り付けることにより組み立てられる。
なお、エンドプレート14には、上述したパイロットエアー孔Pと、一対のスプレーエアー孔Sと、エアーブロー孔Vと、処理液孔Yとが設けられており、本体部10に内蔵されたピストンバルブ12、スプレーエアー流路S1、エアー流路V1及び処理液流路Y1とそれぞれ対応するようになっている。
このことにより、スプレーヘッド100においては、付与すべき処理液の量に応じて内径の異なる処理液用口金部1に適宜交換して使用することができ、付与すべきエアーの量に応じて内径の異なるエアー用口金部2が形成されたキャップ部11に適宜交換して使用することができる。
また、スプレーヘッド100を分解することにより、清掃等のメンテナンスをし易く、破損等による処理液用口金部1やキャップ部11の交換も簡単に行うことができる。
図5に示すように、処理液用口金部1は、ノズル管11aと、該ノズル管11aを支持するノズル本体部11bとからなる。
すなわち、処理液用口金部1は、ノズル本体部11bにノズル管11aを取り付けることにより形成されている。なお、取り付け方法は、特に限定されず、接着剤による接着であってもよく、圧入によるものであってもよい。
ここで、スプレーヘッド100においては、ノズル本体部11bのみであっても、処理液を吹き付けることは可能であるが、この場合、ノズルの内側の直径を0.4mmよりも小さくすることは技術的に困難である。
それに対し、処理液用口金部1においては、ノズル本体部11bに敢えてノズル管11aを取り付けることにより、ノズルの内側の直径を0.1mm〜0.3mmとすることが可能となる。なお、ノズルの内側の直径を0.1mm未満とすると、十分な量の処理液の付与に時間がかかるという欠点がある。
このため、処理液用口金部1を備えるスプレーヘッド100によれば、処理液付与工程において、付与する処理液の量を可及的に減らすことができる。
また、ノズル管11aがノズル本体部11bから着脱自在となっている場合、例えば、用途に合わせて直径の異なるノズル管に適宜交換することも可能である。
なお、ノズル管11aは、耐腐食性の観点から、ステンレス鋼材であることが好ましい。
図6の(a)は、本実施形態にスプレー装置を示す上面図であり、(b)は、(a)の矢印A’から見た側面図である。
図6に示すように、スプレー装置101は、図示しないダイカスト金型に着脱自在となっている金属製の枠体3と、当該枠体3に固定された複数のスプレーヘッド100と、を備える。
そして、複数のスプレーヘッド100は、互いに等間隔となるように固定されている。
なお、スプレーヘッド100の向きは、回動させることにより、ダイカスト金型の形状に合わせて調整することが可能となっている。
図7の(a)〜(d)は、他の実施形態に係るスプレーヘッドを示す上面図である。
図7の(a)に示すように、エアー用口金部21は、処理液用口金部1を囲むように3か所に設けられていてもよく、図7の(b)に示すように、エアー用口金部22は、処理液用口金部1を囲むように4か所に設けられていてもよく、図7の(c)に示すように、エアー用口金部23は、処理液用口金部1を囲むように6か所に設けられていてもよく、図7の(d)に示すように、エアー用口金部24は、処理液用口金部1を囲むように8か所に設けられていてもよい。
なお、処理液をより均一に延展させ、且つ、処理液に含まれる水分をより効率良く除去するという観点から、エアー用口金部2は、処理液用口金部1を囲むように4か所以上に設けられていることが好ましく、6か所以上に設けられていることがより好ましい。
但し、エアー領域2a1が処理液領域1a1を完全に覆うように調整することが好ましい。具体的には、エアー用口金部2から吹き付けられる円の半径Rの大きさが、処理液吹付口1aとエアー吹付口2aとの間の距離H1以上であることが好ましい(図2参照)。
本発明のスプレーノズル及びスプレー装置によれば、ダイカスト金型に対して、処理液の付与と、処理液の延展及び処理液に含まれる水分の除去とを効率良く行うことができる。
10・・・本体部
100・・・スプレーヘッド
101・・・スプレー装置
11・・・キャップ部
11a・・・ノズル管
11b・・・ノズル本体部
12・・・ピストンバルブ
13・・・スプリング
14・・・エンドプレート
15a,15b,15c・・・パッキン
1a・・・処理液吹付口
1a1・・・処理液領域
2,21,22,23,24・・・エアー用口金部
2a・・・エアー吹付口
2a1・・・エアー領域
3・・・枠体
H1,H2・・・距離
P・・・パイロットエアー孔
S・・・スプレーエアー孔
S1・・・スプレーエアー流路
Sa・・・エアー開放部
Sb・・・処理液開放部
V・・・エアーブロー孔
V1・・・エアー流路
V2・・・中継路
Y・・・処理液孔
Y1・・・処理液流路
Claims (7)
- ダイカスト金型に処理液又はエアーを吹き付けるためのスプレーヘッドにおいて、
前記処理液が流通する処理液流路、該処理液を飛翔させるためのスプレーエアーが流通するスプレーエアー流路、及び、前記ダイカスト金型に吹き付ける前記エアーが流通するエアー流路が内蔵された本体部と、
前記処理液を吹き付けるための処理液用口金部と、
前記エアーを放射状に吹き付けるためのエアー用口金部と、
を備え、
前記エアー用口金部が3か所以上に設けられており、且つ、前記処理液用口金部を囲むように配置されているスプレーヘッド。 - 前記処理液用口金部の処理液吹付口と、それぞれの前記エアー用口金部のエアー吹付口との間の距離が全て同じであり、
前記処理液が付与された前記ダイカスト金型の表面における円状の処理液領域の半径の大きさが、前記処理液吹付口と前記エアー吹付口との間の距離以上である請求項1記載のスプレーヘッド。 - 隣り合う前記エアー用口金部のエアー吹付口同士の間の距離が全て同じであり、
前記処理液用口金部から吹き付けられる処理液の吹き付け方向と、複数の前記エアー用口金部から吹き付けられるエアーの吹き付け方向とが平行となっている請求項1又は2に記載のスプレーヘッド。 - 前記本体部の一方側から前記処理液用口金部を介して前記本体部に取り付けられるキャップ部と、
前記本体部の他方側から装着され前記処理液流路を開閉するためのピストンバルブと、
該ピストンバルブを付勢するスプリングと、
前記ピストンバルブ及び前記スプリングを介して前記本体部に取り付けられるエンドプレートと、
を更に備え、
前記エアー用口金部が前記キャップ部に形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。 - 前記エンドプレートには、前記ピストンバルブを付勢するための付勢エアーを流入させるパイロットエアー孔と、前記処理液用口金部から処理液を乗せて吹き付けるための一対のスプレーエアー孔と、前記エアー用口金部から吹き付けるエアーを流入させるためのエアーブロー孔と、前記処理液用口金部から吹き付ける処理液を流入させる処理液孔とが設けられており、
前記エアーブロー孔から流入されたエアーが、前記エアー流路を流通し、前記処理液用口金部を囲うリング状の中継路を介して、該中継路に連通した複数の前記エアー用口金部の前記エアー吹付口から吹き付けられるものであり、
前記パイロットエアー孔から流入される付勢エアーが前記処理液流路を閉じる方向に前記ピストンバルブを付勢するものであり、
前記スプレーエアー孔から流入されるスプレーエアーが前記処理液流路を開く方向に前記ピストンバルブを付勢するものである請求項4記載のスプレーヘッド。 - 前記処理液用口金部が前記本体部から着脱自在となっており、
前記処理液用口金部が、ノズル管と、該ノズル管を支持するノズル本体部とからなる請求項1〜5のいずれか1項に記載のスプレーヘッド。 - ダイカスト金型に着脱自在となっている枠体と、
請求項1〜6のいずれか1項に記載のスプレーヘッドと、
を備え、
該スプレーヘッドが前記枠体に互いに等間隔となるように複数固定されており、
前記枠体が前記ダイカスト金型に対して横方向にスライド可能となっているスプレー装置。
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