以下、本発明にかかる実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明における平面方向とは遊技領域902に沿う(平行な)方向を、前後方向とは遊技領域902に直交する方向(遊技者側を前、その反対側を後とする)を、左右方向(幅方向)とは図1の左右方向を、上下方向とは図1の上下方向をいうものとする。
まず、図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する金属製の薄板からなる帯状のガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
遊技領域902には、表示装置91、第一始動入賞口904、第二始動入賞口905、大入賞口906、アウト口907などが設けられている。表示装置91は、例えば液晶表示装置が用いられ、表示装置91の表示画面(表示部)において識別図柄や普通図柄等が表示される。かかる表示装置91の表示画面は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能である。
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
このような遊技機1では、発射装置(図示省略)を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904、905や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。その他、大当たりの抽選方法や演出等は、公知の遊技機と同様のものが適用できるため、説明は省略する。なお、本実施形態にかかる遊技機1は、いわゆるぱちんこ遊技機であるが、スロットマシン等、他の種類の遊技機であってもよい。
本実施形態にかかる遊技機1は、遊技盤の後方であって、開口901の右下に位置するように設けられた演出装置1aを備える。以下、演出装置1aの構成について具体的に説明する。図2〜図5に示す演出装置1aは、駆動源10と、第一回転体20と、第二回転体30と、区画部材40と、を備える。
駆動源10は、詳細を後述する第一回転体20および第二回転体30を回転させるための動力源である。本実施形態における駆動源10はモータである。本実施形態では、一の駆動源10が、第一回転体20と第二回転体30の両方を回転させる。駆動源10の動力は、第一伝達列を介して第一回転体20に伝達されるとともに、第二伝達列を介して第二回転体30に伝達される。駆動源10および各伝達列を構成する歯車等は、第二回転体30の後方に位置するベース部材11に支持されている。本実施形態における両伝達列の構成は次の通りである(図4に両伝達列を示す)。
第二伝達列は複数の歯車を含む。具体的には、第一歯車51、第二歯車52、およびリング歯車53を含む。平歯車である第一歯車51には、平歯車である第二歯車52が噛み合っている。第二歯車52は、リング歯車53の大径歯部531(外歯)に噛み合っている。駆動源10の動力が第一歯車51および第二歯車52を介してリング歯車53に伝達される。リング歯車53には、第二回転体30が固定されており、リング歯車53が回転することによって第二回転体30が回転する。
第一伝達列は複数の歯車を含む。具体的には、第一歯車51、第二歯車52、リング歯車53、中継歯車54、および出力歯車55を含む。第一歯車51および第二歯車52は、第一伝達列を構成する歯車であるとともに、第二伝達列を構成する歯車でもある。リング歯車53には、上記大径歯部531より小径(ピッチ円直径が小さい)の小径歯部532(内歯)が設けられており、当該小径歯部532に中継歯車54が噛み合っている。中継歯車54は、リング歯車53と回転中心が同じである出力歯車55にも噛み合っている。小径歯部532が内歯車、中継歯車54が遊星歯車、出力歯車55が太陽歯車である遊星歯車機構(ただし、中継歯車54は公転しない)が構築されているとも言える。
駆動源10の動力が第一歯車51および第二歯車52を介してリング歯車53に伝達されることで、リング歯車53が回転する。リング歯車53が回転、すなわち小径歯部532が回転すると、それに噛み合っている中継歯車54がその回転中心軸の位置を変化させずに回転(自転)する。中継歯車54が回転すると、それに噛み合っている出力歯車55が回転する。出力歯車55には第一回転体20が固定されており、出力歯車55が回転することによって第一回転体20が回転する。
本実施形態では、「第一伝達列の減速比:第二伝達列の減速比=3:1」となるように設定されている。つまり、駆動源10が駆動すると第一回転体20と第二回転体30の両方が同じ回転中心軸で回転することとなるが、第一回転体20が一回転(360度回転)する度に、第二回転体30が1/3回転(120度回転)するように設定されている。第一回転体20が3回転すると、第二回転体30が一回転する。このように、駆動源10の単位駆動量あたりの第一回転体20の回転量と第二回転体30の回転量が異なるように設定されていれば、両伝達列の構成は適宜変更可能である。
図1〜図3に示すように、第一回転体20および第二回転体30は、平面方向に沿うようにして前後方向で互いに重なるように設けられた円板状の部材である。第一回転体20は、第二回転体30よりも前方に設けられた円板状の部材である。上述したように、第一回転体20と第二回転体30の回転中心は同じである。また、第一回転体20の大きさと第二回転体30の大きさも略同じである。第一回転体20には、第一透過部21が設けられている。本実施形態における第一透過部21は、光透過性材料で形成された部分である。つまり、第一透過部21を通じて後方に位置するものが視認できる。第一透過部21は、中心角が約120度の略扇形状である。第一透過部21は、第一透過部21と重なる後方に位置するものが視認できればよい。つまり、第一回転体20の一部を切欠き(貫通孔含む)、当該切欠き部分を第一透過部21としてもよい。
また、第一回転体20における第一透過部21が形成された箇所以外の少なくとも一部の前面には、前側装飾部22が形成されている。本実施形態では、第一透過部21以外の部分が前側装飾部22となっている。つまり、本実施形態における前側装飾部22は、中心角が240度の扇形である。前側装飾部22の形成手法はどのようなものであってもよい。第一回転体20自体を着色する等して形成してもよいし、第一回転体20にシール等を付着させることにより形成してもよい。第一透過部21と異なり、前側装飾部22の後方に位置する部分は視認できない。
第二回転体30は、第一回転体20の後方に設けられた円板状の部材である。第二回転体30の前面には後側装飾部31〜33が形成されている。本実施形態における第二回転体30には、三種の後側装飾部(第一後側装飾部31、第二後側装飾部32、第三後側装飾部33)が形成されている。各後側装飾部31〜33は、中心角が120度の扇形である。本実施形態における各後側装飾部31〜33は、当否判定が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)を示唆するような文言や図形等を含む。態様が異なるものであることを遊技者が認識できるものであれば、各後側装飾部31〜33の態様はどのようなものであってもよい。
区画部材40は、第一回転体20と第二回転体30に設けられた部材である。区画部材40の前方に第一回転体20が位置し、区画部材40の後方に第二回転体30が位置する。区画部材40には、第二透過部41が形成されている。本実施形態における第二透過部41は、切り欠かれた部分(貫通孔含む)である。区画部材40は、第一回転体20や第二回転体30と中心を略同じとする円板状の部分の一部が扇形に切り欠かれたものである。本実施形態における第二透過部41は、中心角が約120度の略扇形状である。つまり、第一透過部21と第二透過部41の形状は略同じである。第二透過部41は、第二透過部41と重なる後方に位置するもの(第二回転体30の一部)が視認できればよい。つまり、区画部材40の一部を透過性材料によって構成することで第二透過部41を形成してもよい。区画部材40自体は、光透過性がほとんどない材料で形成されている。したがって、区画部材40における第二透過部41が形成された箇所以外の箇所は、第二透過部41よりも光透過性が低い部分(以下、遮蔽部42と称する)となっている。本実施形態における遮蔽部42は、中心角が約240度の略扇形状である。
第一回転体20や第二回転体30と異なり、区画部材40は変位(回転)するものではない。第一回転体20や第二回転体30を支持する回転軸が区画部材40に支持されている。また、区画部材40は詳細を後述する抵抗付与部材60が支持される部分でもある(図2、図3等参照)。
このように構成される演出装置1aの作用(動作)について説明する。中心軸を同じにして重なる第一回転体20、区画部材40、第二回転体30のうち、最も前方に位置する第一回転体20の前側装飾部22が区画部材40の第二透過部41に重なる状態にあるとき、区画部材40の後方に位置する第二回転体30は視認できない、または視認困難な状態にある。具体的には、第二透過部41は前側装飾部22によって覆われ、第一透過部21の後方には遮蔽部42が位置しているため、第二回転体30における各透過部を通じて視認できる部分は存在しない。つまり、前側装飾部22のみが視認できる状態にある(図2、図5(a)参照)。本実施形態では、かかる状態が基本状態として設定されている。演出装置1aは、遊技中の大部分においてかかる基本状態にある。
当該基本状態から駆動源10を駆動させ、第一回転体20を約180度回転させると、第一回転体20の第一透過部21と、区画部材40の第二透過部41が重なる。このような状態となることで、両透過部が重なった部分、すなわち中心角が略120度の扇形の部分を通じて、第二回転体30の一部が視認可能となる。本実施形態では、第一透過部21と第二透過部41が重なった状態となったとき、両透過部に第二回転体30に形成された複数種の後側装飾部31〜33のうちのいずれかが重なるように設定されている。つまり、複数種の後側装飾部31〜33のうちのいずれかが両透過部を通じて視認可能な状態となる(図5(b)〜(d)参照)。
このように、第一透過部21と第二透過部41が重なった状態から、第一回転体20を一回転させる(360度回転させる)と、再び第一透過部21と第二透過部41が重なった状態となる。ただし、上述したように、本実施形態では、第一回転体20が一回転(360度回転)する度に、第二回転体30が1/3回転(120度回転)するように設定されているため、第一回転体20を一回転させたときに視認可能となる後側装飾部31〜33は、第一回転体20を一回転させる前に視認可能となっていた後側装飾部31〜33と異なるものとなる。つまり、駆動源10の単位駆動量あたりの第一回転体20と第二回転体30の回転量が異なる(第二回転体30の回転量が第一回転体20の回転量の1/3)に設定されているから、これを利用して両透過部を通じて視認可能となる後側装飾部31〜33の種類を切り替えることが可能である。
具体的には、本実施形態における演出装置1aでは、いずれかの後側装飾部31〜33が視認可能となる状態として、第一後側装飾部31が視認可能となる第一状態(図5(b)参照)と、第二後側装飾部32が視認可能となる第二状態(図5(c)〜(d)参照)と、第三後側装飾部33が視認可能となる第三状態(図5(d)参照)が設定されており、これらの状態を切り替え制御することが可能である。さらに具体的に言えば、上記第一状態〜第三状態と、基本状態(図5(a)参照)の四種の状態を切り替え制御することが可能である。第一状態〜第三状態は、第一回転体20を360度回転させる度に切り替わり、基本状態は、第一状態〜第三状態のいずれかの状態から第一回転体20を180度回転させることにより設定することができる。
このように構成される演出装置1aは、本実施形態では光透過性を有する材料で形成された遊技盤の後方に設けられている(図1参照)。具体的には、第一回転体20、区画部材40、第二回転体30の上側の一部分は、遊技盤の後方視認性の高い部分(遊技釘や各種入賞口等、視界を遮る部材等が比較的少ない部分)に重なり、少なくともこれらのうち最も前方に位置する第一回転体20の上側の一部分が当該後方視認性の高い部分を通じて視認できるように設けられている。一方、第一回転体20、区画部材40、第二回転体30の下側の一部分は、遊技盤の後方視認性の低い部分(遊技釘や各種入賞口等、視界を遮る部材等が比較的多い部分)に重なるため、後方視認性の低い部分に重なる領域よりも後方視認性の高い部分に重なる領域の方が後方に位置する部材を視認しやすい。つまり、第一回転体20の上側の部分の方が、それ以外の部分(下側の部分)よりも視認しやすい。
なお、このような視認性の高低を設定する手法はどのようなものであってもよい。例えば、第一回転体20、区画部材40、第二回転体30の上側の一部分が、遊技盤に重ならず、当該遊技盤に形成された開口を通じてそのままの態様で視認可能となるのに対し、第一回転体20、区画部材40、第二回転体30の下側の一部分は、遊技盤に重なるため、上側に比して視認性に劣る(または全く視認できない)構成としてもよい。
演出装置1aが基本状態にあるとき、第一回転体20の前側装飾部22が上側に位置しているため、当該前側装飾部22が後方視認性の高い部分を通じて視認できる状態となる。本実施形態では、前側装飾部22が視認できる状態にあることをもって、演出装置1aによる演出状態が基本状態(通常状態)であるということを示す。
本実施形態では、演出装置1aが基本状態ではない第一状態〜第三状態にあるときには、演出装置1aによる特定の演出(いわゆる大当たり信頼度が高まったことを示す演出)が実行されているということになる。本実施形態では、第一後側装飾部31は「継続」という文字を含むものであり、第二後側装飾部32は「チャンス」という文字を含むものであり、第三後側装飾部33は「激熱」という文字を含むものとなっている(図3、図5(b)〜(d)参照)。
第一後側装飾部31は、連続演出に用いられるものである。連続演出は周知の技術であるため詳細な説明は省略するが、連続演出としては擬似連続演出や保留連続演出が例示できる。擬似連続演出は、ある一つの当否判定を報知するに際し、組み合わせによって当否判定結果を報知する識別図柄が擬似的に停止した後再び変動することを一または複数回繰り返すものである。保留連続演出は、ある当否判定を報知する演出を、それよりも前の一または複数の当否判定を報知する演出から継続しているかのような演出とするものである(当該「継続」を示すための具体的な演出手法はどのようなものであってもよい。例えば、背景色が青、緑、赤・・・というようにステップアップしていくようなものであってもよい)。擬似連続演出や保留連続演出は、発生することによって当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)が高まるものであるし、擬似連続演出の場合は擬似連続回数(擬似的な停止の回数)、保留連続演出の場合は連続する回数(ある当否判定を報知するに際し、X回前の当否判定を報知する演出から演出の継続性が保たれているような場合には、Xが連続する回数となる)によって当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が変化するものである。よって、この種の連続演出において、演出が発生するかどうかや、演出が継続するか否かは遊技者が注目するところである。
そこで、本実施形態にかかる遊技機1では、このような連続演出において演出が発生するときや演出が継続するときの少なくとも一部において、第一後側装飾部31が含む「継続」という文字を示すことで、当該事象が発生することを遊技者に示唆する。つまり、連続演出において演出が発生するときや演出が継続するときの少なくとも一部において、演出装置1aが第一状態となることがある。
一方、第二状態や第三状態は、当否判定が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり信頼度)を示唆するものである。第三状態が実行されたときの大当たり信頼度は、第二状態が実行されたときの大当たり信頼度よりも高い。各状態の大当たり信頼度(大当たり確率)等は適宜設定することができる。
各状態は、一連の演出において切り替わることがある。例えば、連続演出が継続することを第一状態とすることによって示唆した後、第二状態や第三状態とすることによって大当たりとなる期待度を示唆することがある。このように状態が切り替わる場合、第一回転体20を360度以上回転させる必要がある。また、基本状態にあった第一回転体20が回転した場合、遊技者は第一状態〜第三状態のいずれかで停止するのではないかということを期待する。第一回転体20を一定速度以上で回転させると、第二回転体30が回転していることに加え、前側装飾部22が第二透過部41を覆った状態にもなることから、どの種類の後側装飾部31〜33が停止しそうかが分かりにくい。つまり、駆動源10が停止するまで、どの状態となるかが判別しづらいため、演出への興味を最後まで引っ張ることが可能である。
なお、このような基本状態、第一状態〜第三状態の演出への利用はあくまで一例である。各後側装飾部31〜33が文字を含むものではなく、装飾効果のみを発現するもの等であってもよい。第一状態〜第三状態のいずれか、すなわちいずれかの後側装飾部31〜33が視認できる状態を、基本状態(大当たり信頼度が低い状態)として設定してもよい。いずれの後側装飾部31〜33も視認できず、前側装飾部22が視認できる状態を特定の状態(大当たり信頼度が高まった状態)としてもよい。基本状態から第一回転体20が回転し、第一状態〜第三状態のいずれかに変化するのではないかとみせかけて基本状態に戻る、第一状態〜第三状態のいずれかから第一回転体20が回転し、第一状態〜第三状態のいずれかに変化する(より大当たりの期待がもてる状態にステップアップする)のではないかとみせかけて基本状態に戻る、といったような演出が発生しうる設定としてもよい。
このように、本実施形態における演出装置1aは、駆動源10の単位駆動量あたりの第一回転体20の回転量と第二回転体30の回転量が異なるように設定されているため、駆動源10を駆動させることによって第一回転体20とそれに対する後側装飾部31〜33の相対位置が変位する。つまり、第一回転体20に対する後側装飾部31〜33の位置が種々変化した様々な演出形態を構築することができるため、回転体を用いた演出の趣向性を向上させることが可能である。
また、本実施形態における演出装置1aは、第一回転体20に第一透過部21が形成され、当該第一開口部から第二回転体30の一部が視認可能となる構成であるため、第一透過部21から視認できる第二回転体30の一部と、第一回転体20とが組み合わされたような演出形態を構築することが可能である。
また、第一回転体20における第一透過部21が形成された箇所以外の箇所には前側装飾部22が設けられているため、第二回転体30を見せないようにして、当該前側装飾部22を強調する演出(本実施形態でいう基本状態)を実行することが可能である。
そして、本実施形態における演出装置1aは、第一透過部21から視認できる後側装飾部31〜33が切り替えられる構成であるため、演出の趣向性を高めることが可能である。具体的には、第一透過部21から視認できる各後側装飾部31〜33に意味等をもたせることにより、演出のバリエーションを増加させることが可能である。
また、本実施形態のように、第一回転体20と第二回転体30の間に区画部材40を設けることも可能である。区画部材40には第一透過部21と重なったときに第二回転体30の一部を視認可能とする第二透過部41を設けておけばよい。
そして、区画部材40には、第二透過部41よりも光透過性が低い遮蔽部42を設けておくことにより、第二回転体30における第二透過部41を通じて視認可能となる部分以外の部分が遮蔽部42に覆われた状態となるから、第一透過部21および第二透過部41を通じて視認可能な部分を強調することが可能である。
このような演出効果を発現する演出装置1aには、抵抗付与部材60が設けられている(図2、図3等参照)。抵抗付与部材60は、第一回転体20および第二回転体30の少なくともいずれか一方の外周面に接触する。本実施形態における抵抗付与部材60は、第一回転体20の外周面に接触するように設けられている。抵抗付与部材60は、付勢部材61によって第一回転体20側に付勢されたローラである。したがって、第一回転体20が回転すると、第一回転体20と抵抗付与部材60間の摩擦力によってローラである抵抗付与部材60も回転する。
抵抗付与部材60が接触する第一回転体20の外周面には、わずかに中心側に窪んだ凹部23が形成されている(図2、図3等参照)。第一回転体20が回転し、その凹部23が、抵抗付与部材60が設けられた位置まで到達すると、付勢部材61によって第一回転体20側に付勢された抵抗付与部材60が凹部23内に入り込む。かかる状態(以下係合状態と称することもある)となったときに、第一回転体20の回転に与える抵抗付与部材60の抵抗力が最大となる。
本実施形態における凹部23は、底の中央が最も窪んだ形状(最底部)である。つまり、凹部23の側縁から最底部に向かって傾斜する形状である。最底部(先端)は滑らかな曲面である。凹部23は、先端が滑らかな曲面である略「V」字形状であるともいえる(円弧形状であってもよい)。また、凹部23の側縁と外周面における窪んでいない円弧面24との境界は、滑らかな曲面で繋がるような形状となっている。換言すれば、第一回転体20の外周面には、凹部23を形成することによって生ずるエッジは存在せず、円弧面24と凹部23の内面とが滑らかな曲面で連続するような形状となっている(図6等参照)。
本実施形態では、第一回転体20が基本状態または第一状態〜第三状態のいずれかとなったときに上記係合状態となるような位置に凹部23が形成されている。つまり、基本状態となったときに抵抗付与部材60が嵌まり込む第一凹部231と、第一状態〜第三状態のいずれか(いずれの状態にあるときであっても第一回転体20の回転方向位置(周方向位置)は同じである)となったときに抵抗付与部材60が嵌まり込む第二凹部232が形成されている。本実施形態では、基本状態にあるときの第一回転体20の回転方向位置と、第一状態〜第三状態のいずれかにあるときの第一回転体20の回転方向位置の差(位相差)は180度であるから、第一凹部231と第二凹部232は対向する位置(両凹部23の最底部を結んだ直線上に第一回転体20の回転中心が位置する位置)に位置する(図6等参照)。
演出装置1aが基本状態にあるとき、抵抗付与部材60は第一凹部231に係合している。そこから駆動源10を駆動させ、第一回転体20が回転すると、第一凹部231に係合している抵抗付与部材60が第一凹部231内から抜け出す。円弧面24と凹部23の内面とが滑らかな曲面で連続するような形状となっており、かつ抵抗付与部材60自身も回転可能であるから、抵抗付与部材60が第一凹部231内から抜け出す際に第一回転体20にかかる抵抗は小さい。基本状態から第一回転体20が180+360×n(nは0を含む自然数)度回転すると、抵抗付与部材60が第二凹部232に係合する。駆動源10の駆動量の制御誤差や、駆動源10の動力を伝達する歯車のバックラッシ等によって第一回転体20の位置がわずかにずれていたとしても、抵抗付与部材60は第一回転体20の中心方向に付勢されているため、抵抗付与部材60が第二凹部232の傾斜面を押し(図8(a)参照)、第一回転体20をわずかに回転させ、第二凹部232の最底部に位置する(図8(b)参照)。このようにして、第一回転体20は、第一状態〜第三状態のいずれかの状態を構成する回転方向位置に位置する。上述したように、第一伝達列を構成する歯車と第二伝達列を構成する歯車は一部が共通しているから、第一回転体20の回転方向位置が正しい位置となることにより、第二回転体30の回転方向位置も正しい位置となる。
同様に、抵抗付与部材60が第二凹部232に係合している状態から、第一回転体20が180+360×n(nは0を含む自然数)度回転すると、抵抗付与部材60が第一凹部231内に嵌まり込むことによって第一回転体20は基本状態を構成する回転方向位置に位置する。これに合わせて第二回転体30も基本状態を構成する回転方向位置に位置する。このように、抵抗付与部材60は、基本状態や第一状態〜第三状態を構成する正確な位置に第一回転体20および第二回転体30を位置させるために機能する。
本実施形態における抵抗付与部材60は、第一回転体20の外周面に接触するものであるが、第二回転体30の外周面に接触するように設けてもよい。本実施形態では、一方の回転体の回転量(回転方向位置)を規制することにより、自動的に他方の回転体の回転量(回転方向位置)を規制することができるものであるからである。ただし、抵抗付与部材60が第一回転体20に接触するものとすることには、次のような利点がある。
本実施形態では、第一回転体20は、基本状態を構成する回転方向位置と、第一状態〜第三状態を構成する回転方向位置という、二つの回転方向位置のいずれかで停止させられるものであるから、二つの凹部23(第一凹部231と第二凹部232)を形成すればよい。一方、第二回転体30は、少なくとも第一状態〜第三状態の各状態を構成する三つの回転方向位置のいずれかで停止させられるものである(基本状態とする回転方向位置を加えてもよい。その場合は四つの回転方向位置のいずれかで停止させられるものとなる)から、第二回転体30に凹部23を形成するとすれば、三つ以上の凹部23を形成しなければならない。つまり、駆動源10の単位駆動量あたりの回転量(角速度)が第二回転体30に比して大きく、所定の演出作用を発現する状態(基本状態と第一状態〜第三状態)を構成する回転方向位置の数が第二回転体30に比して少ない第一回転体20の方に抵抗付与部材60が係合する凹部23が形成される態様とすることで、形成される凹部23の数を少なくすることができる。形成される凹部23の数が少なければ(凹部23の数が多いときよりも)、抵抗付与部材60が回転する回転体に与える抵抗を小さくすることができる。
このように、本実施形態にかかる演出装置1aには、第一回転体20と第二回転体30の少なくともいずれか一方の回転に抵抗を与える抵抗付与部材60が設けられているため、駆動機構を構成する歯車のバックラッシ等によって、第一回転体20と第二回転体30(後側装飾部31〜33)の回転方向位置がずれてしまうのを抑制することが可能である。
また、本実施形態では、第一回転体20が所定の演出作用を発現する状態(基本状態と第一状態〜第三状態)を構成する回転方向位置に位置したときに抵抗付与部材60が嵌まり込む凹部23が形成されているから、回転方向位置のずれを抑制する効果が高い。つまり、第一回転体20と第二回転体30の少なくともいずれか一方の回転に抵抗を与える抵抗付与部材60が設けられていれば、(凹部23が形成されていなくても)ある程度の位置規制効果が発現されるが、本実施形態のように抵抗付与部材60が嵌まり込む凹部23が形成されていれば、当該位置規制効果をさらに高めることが可能である。
そして、凹部23が形成されていない部分(円弧面24)と、凹部23の内側の面とが、曲面で連続するように形成されているから、抵抗付与部材60が凹部23に嵌まり込んだり、凹部23に嵌り込んだ状態にある抵抗付与部材60が凹部23から抜け出たりする際の回転体の回転に与える抵抗を小さくすることができる。つまり、抵抗付与部材60によって回転体の回転が著しく阻害されてしまうのを抑制することが可能である。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
上記実施形態における演出装置1aは、第二回転体30の一部が第一回転体20に設けられた第一透過部21を通じて視認可能となるものであることを説明したが、このような第一透過部21が設けられていない構成としてもよい。具体的には、図8に示すように、第二回転体30cに、第一回転体20cに重ならずに前方から視認可能となる後側装飾部31cを設けた構成とする。かかる構成とすれば、駆動源を駆動させることによって第一回転体20cに対する後側装飾部31cの回転方向位置が変化(変位)する演出装置とすることができる。第一回転体20cに対する後側装飾部31cの回転方向位置が決まっておらず、両回転体が組み合わされた無数の演出形態を構築することができる構成(無段階制御される構成)としてもよいし、第一回転体20cに対する後側装飾部31cの回転方向位置が決まっており、両回転体が組み合わされた複数の演出形態を構築することができる構成としてもよい。
図8に示した構成は、後側装飾部31cが第一回転体20cに向かうような「矢印」を含むもの(または「矢印」を模した形状)であり、第一回転体20cの前方の面には各々が扇形状を有する複数の前側装飾部22cが設けられる。各前側装飾部22cは、遊技に関する情報を示唆するような文言やキャラクタ等を含む。「矢印」を含む後側装飾部31cが、どの前側装飾部22cを指し示すかによって、遊技の進行や大当たり期待度を示唆等する、あたかも「ルーレット」が行われているかのような演出を実行することが可能である。この場合、第一回転体20cの前方の面を表示装置で構成し、各前側装飾部22cの割合(面積比)をその都度変化させることができる構成とすると、演出の趣向性をさらに高めることが可能である。
上記実施形態における各装飾部の態様、各透過部の形状等は適宜変更可能である。また、第一回転体20の前側装飾部22や、第二回転体30の各後側装飾部31〜33を表示装置で構成し、装飾態様が種々変化しうるものとしてもよい。また、第一透過部21や第二透過部41を、画像が表示されていない領域が光透過性を有する透過型表示装置(イルミパネル等)で構成し、上記第一状態〜第三状態のいずれかの状態において、第一透過部21や第二透過部41に画像を表示せず、そのままの態様で後側装飾部31〜33が視認できる演出状態と、第一透過部21や第二透過部41に画像を表示することで、当該画像が後側装飾部31〜33に重なる演出状態とが切り替え制御可能な構成としてもよい。
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
手段1にかかる遊技機は、駆動源と、前記駆動源によって回転する第一回転体と、前記駆動源によって回転する回転体であって、前記第一回転体の後方に位置し、前記第一回転体を通じてまたは前記第一回転体に重ならずに前方から視認可能となる後側装飾部を有する第二回転体と、を備え、前記駆動源の駆動量あたりの前記第一回転体の回転量と前記第二回転体の回転量が異なるように設定されており、前記駆動源を駆動させることで前記第一回転体に対する前記後側装飾部の回転方向位置が変位することを特徴とする。
手段1かかる遊技機によれば、駆動源の単位駆動量あたりの第一回転体の回転量と第二回転体の回転量が異なるように設定されているため、駆動源を駆動させることによって第一回転体とそれに対する後側装飾部の相対位置が変位する。つまり、第一回転体に対する後側装飾部の位置が種々変化した様々な演出形態を構築することができるため、回転体を用いた演出の趣向性を向上させることが可能である。
手段2にかかる遊技機は、手段1に記載の遊技機において、前記第一回転体には、光透過性を有する材料で構成されたまたは切り欠かれた、少なくとも一部が前記第二回転体と重なる第一透過部が形成されており、当該第一透過部を通じて前記第二回転体の一部が視認可能となるように構成されていることを特徴とする。
手段2にかかる遊技機によれば、第一透過部から視認できる第二回転体の一部と、第一回転体とが組み合わされたような演出形態を構築することが可能である。
手段3にかかる遊技機は、手段2に記載の遊技機において、前記第一回転体における前記第一透過部が形成された以外の箇所の少なくとも一部には、前側装飾部が形成されていることを特徴とする。
手段3にかかる遊技機によれば、前側装飾部を強調する演出を実行することが可能である。
手段4にかかる遊技機は、手段2または手段3に記載の遊技機において、前記第二回転体には、複数種の前記後側装飾部が設けられており、前記第一回転体の回転方向位置が所定位置となる度に、前記第一透過部を通じて視認可能となる前記後側装飾部の種類が切り替わるように構成されていることを特徴とする。
手段4にかかる遊技機によれば、第一透過部から視認できる後側装飾部が切り替えられるため、演出の趣向性を高めることが可能である。具体的には、第一透過部から視認できる各後側装飾部に意味等をもたせることにより、演出のバリエーションを増加させることが可能である。
手段5にかかる遊技機は、手段2から手段4のいずれかに記載の遊技機において、前記第一回転体と前記第二回転体との間には、光透過性を有する材料で構成されたまたは切り欠かれた第二透過部が形成された区画部材が設けられており、前記第一回転体の回転方向位置が所定位置となる度に、前記第一透過部と前記第二透過部の少なくとも一部が重なり、当該両透過部を通じて前記第二回転体の一部が視認可能となるようにすることを特徴とする。
手段5にかかる遊技機のように、第一回転体と第二回転体の間に区画部材を設けることも可能である。区画部材に上記のような第二透過部が形成されていれば、区画部材によって第二回転体全体が覆われてしまうといったことを防止することが可能である。当該区画部材は、少なくともいずれか一方の回転体を支持する等のベース部材としても機能しうる。
手段6にかかる遊技機は、手段5に記載の遊技機において、前記区画部材には、前記第二透過部よりも光透過性が低い遮蔽部が設けられており、前記第二回転体における前記第二透過部を通じて視認可能となる部分以外の部分は、前記遮蔽部に覆われた状態となるようにすることを特徴とする。
手段6にかかる遊技機のように、第二回転体における第二透過部を通じて視認可能となる部分以外の部分が遮蔽部に覆われた状態となるようにすれば、第二透過部を通じて視認可能な部分を強調することが可能である。
手段7にかかる遊技機は、手段1から手段6のいずれかに記載の遊技機において、径方向内側に向かって付勢され、前記第一回転体と前記第二回転体の少なくともいずれか一方の外周面に接触する抵抗付与部材を備えることを特徴とする。
手段7にかかる遊技機によれば、駆動機構を構成する歯車のバックラッシ等によって、第一回転体と第二回転体(後側装飾部)の回転方向位置がずれてしまうのを抑制することが可能である。
手段8にかかる遊技機は、手段7に記載の遊技機において、前記第一回転体と前記第二回転体の少なくともいずれか一方の外周面には、前記第一回転体が前記所定位置に位置したときに前記抵抗付与部材が嵌まり込む凹部が形成されていることを特徴とする。
手段8にかかる遊技機によれば、第一回転体と第二回転体(後側装飾部)の回転方向位置がずれてしまうのを抑制する効果をさらに高めることが可能である。
手段9にかかる遊技機は、手段8に記載の遊技機において、前記抵抗付与部材が接触する前記第一回転体と前記第二回転体の少なくともいずれか一方の外周面は、前記凹部が形成されていない部分と、前記凹部の内側の面とが、曲面で連続するように形成されていることを特徴とする。
手段9にかかる遊技機によれば、抵抗付与部材が凹部に嵌まり込んだり、凹部に嵌り込んだ抵抗付与部材が凹部から抜け出したりする際に、第一回転体と第二回転体の少なくともいずれか一方の回転が著しく阻害されてしまうのを抑制することが可能である。