JP6156879B2 - 溶融塩電解槽 - Google Patents

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Description

本発明は、金属Mgの製造等に用いられる溶融塩電解槽に関し、より詳しくは、槽内の溶融塩の浴面変動を抑制することにより、その浴面変動による電流効率の低下、及び生成金属への不純物の侵入を抑制する溶融塩電解槽に関する。
従来よりスポンジチタンの製造にはクロール法と呼ばれる還元法が使用されている。クロール法によるスポンジチタンの製造では、反応容器内の溶融Mgに四塩化チタンの液体を滴下し、その四塩化チタンをMgで還元することにより、反応容器内にスポンジチタンが生成し、副生物としてMgCl2 が生成する。副生物であるMgCl2 は溶融塩電解法により金属Mgに戻され、前記クロール法に還元剤として再使用される。
溶融塩電解法による金属Mgの製造では、耐火レンガにより構築された電解槽が使用される。この電解槽は電解室とMg回収室とに分かれており、操業ではMgCl2 の溶融塩を槽内に投入し、電解室での電気分解によりMgを生成する。電解室で生成したMgは槽内での溶融塩の対流により隣接するMg回収室に運ばれて、回収室内の溶融塩上に浮上し、逐次回収される。電解室ではMgの生成と同時に塩素ガスが発生する。
このような金属Mgの製造では、製造コストのなかで電力コストが多くを占めるため、電解槽での電流効率を高めることが、Mgの製造コストを引き下げる上で非常に重要な要件となっている。電解槽での電流効率を低下させる要因は様々あるが、その一つは電解槽内の溶融塩の浴面レベル変動である。
すなわち、電解槽内の溶融塩の浴面レベルが基準レベルより高いと、電極より上の浴塩部分が多くなるため、ここを電流が短絡し、所謂カレントリークが発生する。反対に、電解槽内の溶融塩の浴塩レベルが基準レベルより低いと、電極部分にMgが滞留し、電極同士の短絡を発生させることにより、カレントリークが発生し、電流効率を悪化させる。
これらのため、電解槽内の溶融塩の浴面レベルを基準レベルに管理することは非常に重要な技術課題であり、その課題を解決するために不活性ガスを使用した浴面レベル調整装置が従来より用いられている。すなわち、この浴面レベル調整装置としては、特許文献1に示されているように、コップを伏せたような無底容器状の構造物を、電解槽内の浴面レベルより下に設置し、その構造物内に不活性ガスを注入することにより、構造物内から溶融塩を押し出して電解槽内の浴面レベルを上昇させると共に、その構造物内から不活性ガスを抜き出すことにより、構造物内へ溶融塩を引き込んで電解槽内の浴面レベルを低下させる装置が一般的である。
電解槽内の溶融塩の浴面レベルを変動させる要因としては、金属Mgの生成に伴う溶融塩の連続的な消費と、生成した金属Mgの汲み上げとがある。前者の浴面レベル変動は、溶融塩の電気分解による消費に伴う浴面の緩やかな低下であり、特許文献1に記載されている。電気分解による溶融塩の消費量は、一般に、1分間あたりで電解槽内容量の0.01〜0.02%ある。後者の浴面レベル変動は、生成した金属Mgの汲み上げ作業が数分間という短時間で行われることに伴うもので、前者のレベル変動に比して、浴面の急激で大きな低下となる。
従来は、通常操業時の溶融塩消費による連続的な浴面レベル低下に対しては、無底容器状の構造物内に不活性ガスを連続的に供給する。このとき溶融塩の対流や塩素ガスの発生などの影響により浴面レベルの小さな変動が生じる。このため、流量制御弁による流量制御が行われる。一方、Mg汲み上げによる浴面レベルの急激な低下に対しては、その流量制御弁を全開にして最大流量の不活性ガスを供給することで対応していた。
溶融塩電解法による金属Mgの製造での別の問題点としては、生成される金属Mgの不純物侵入による汚染がある。
特開昭58−161788号公報
本発明の目的は、溶融塩電解法による金属Mgの製造等で問題となる電流効率の低下と生成金属の不純物による汚染とを、共に効果的に防止できる溶融塩電解槽を提供することにある。
ところで、溶融塩電解法による金属Mgの製造で問題となる溶融塩の浴面レベル変動であるが、電解槽に現在装備されている浴面調整装置による浴面レベル制御によれば、その浴面レベル変動による電流効率の低下は最早発生しないと考えられていた。しかし、本発明者が、溶融塩の浴面レベル変動と電流効率の低下との関係について詳細に調査検討したところ、溶融塩の浴面レベル変動による電流効率の低下は、依然として発生し続けていることが判明した。
すなわち、従来の浴面レベル調整装置による浴面レベルの制御状況を図2中に破線で示す。同破線から分かるように、通常操業時においては、金属Mgの生成に伴う溶融塩の連続的な消費による浴面の穏やかな低下を補うために、浴面レベルの精密制御が行われる。浴面レベルの精密制御とは、浴面レベルを基準レベルに合わせるべく、浴面レベル調整装置の容器状構造物内への不活性ガスの供給量を、基準レベルからの偏差に応じて高精度に制御するものである。生成した金属Mgの汲み上げ作業に起因する急激な浴面レベル低下を補うときは、その浴面レベルが下限レベルより低くなるレベル異常検知時点を契機として、最大流量の不活性ガスを容器状構造物内へ短時間で供給する高速制御が行われる。
通常操業時の精密制御では不活性ガス流量を穏やかに制御するのが望ましいが、制御速度を遅くしすぎると、流量制御弁の応答性を始めとする種々の弁特性による制限から、汲み出し作業時の高速制御における応答速度が制限される。高速制御における応答速度が制限されると、液面レベルの回復に時間がかかり、浴面レベルが下限レベルを超える時間が長くなる。このため、制御速度を制限しすぎるのは問題となり、その結果として、ある程度の制御速度を確保することが必要となるが、そうすると、通常操業時の精密制御において制御速度が速くなり、結果的に制御精度が悪化するため、浴面レベルの基準レベルを中心とする比較的大きな経時的な周期変動が残る。
精密制御で浴面レベルに経時的な周期変動が生じるのは、前でも触れたが、溶融塩の対流や塩素ガスの発生、Mg汲み出しに伴う液面レベルの回復動作の影響を受けるためであり、その変動幅は、基準レベルに対して±数cm程度である。また、Mg汲み出し時の高速制御においては、浴面レベルが制御範囲より下がったレベル異常検知時点に全開指令を受けたとして、実際に弁が全開し最大流量に達するまでの間に時間がかかるため、一旦大幅に低下した浴面レベルが、精密制御での制御範囲内に回復するまでには相当の時間がかかる。
本発明者の詳細な検討によると、通常操業時の精密制御での浴面レベルの経時的な周期変動も、Mg汲み出し作業時の高速制御での浴面レベルの制御範囲内への回復遅れも、共に、未だなお、電流効率の低下原因となっていることが判明した。すなわち、前者の精密制御での浴面レベルの経時的な周期変動は変動幅は±数cmと小さくても、制御時間が操業の大半を占める程度に長いために、その影響を無視し得ず、後者の高速制御での浴面レベル制御範囲内への回復遅れは、変動幅が非常に大きいため、時間が短く、頻度が高くなくても、その影響を無視し得ないのである。
また、これらの電流効率の低下原因である浴面レベル変動は、同時に、生成した金属Mgの不純物による汚染原因となっていることが判明した。ここにおける不純物は鉄、酸素・窒素、シリカなどである。汚染のメカニズムは以下のように考えられる。
鉄については、Mg中のFe量は、溶融塩の温度制御が高精度であれば、Mgへの溶解度以上となることはない。しかし、調査すると、Feがそれ以上にMg中に混入していることが判明した。Mg中のFeの状態を調査すると、溶解しているものに加え、酸化鉄などの微細な粒子が混入していることが確認された。鉄部材は、基本的には溶融塩中に浸漬し、酸素や塩素から保護されているが、浴面レベルが変動すると、鉄部材が溶融塩から空間へ露出する頻度が増加し、酸化や塩化による浸食が進行する。結果、鉄部材から腐食により剥離した鉄分が混入し、品質を悪化させていることが分かった。
酸素・窒素については、電解槽では槽内の圧力が管理されている。これは、電流効率の向上のためもあるが、槽内が負圧となることで大気中の酸素・窒素が槽内に侵入し、槽内のMgと反応とするのを防ぐためである。槽内のMgが酸素・窒素と反応すると、MgOやMg3 N2 が発生し、Ti汚染を引き起こす原因となる。浴面レベルが変動すると、槽内の空間部分の容積が変化する。この変化は、槽内圧力の変動を引き起こし、負圧となる頻度が増加する。その結果、Mgの酸化・窒化が進行し、Tiの酸素値・窒素値を増加させる原因になる。
シリカについては次のとおりである。Tiの品質で重要な因子の一つに酸素がある。その混入経路を特定するために、Tiの原料であるMgを分析すると、Mg中にシリカ粒子が多く確認された。Mg電解槽においては比重の関係上、溶融塩の表層部上にMgが浮く形となる。シリカ質のレンガはMgによって還元されやすいため、浴面付近のレンガとしては、シリカ質のレンガよりMgに対する耐性が高いアルミナ質のレンガが使用されている。しかし、アルミナ質のレンガは非常に高価なため、その施工部分は浴面付近に限定されている。浴面レベルが変動すると、浴面がアルミナ質レンガの施工範囲から逸脱してしまい、シリカ質レンガと接する頻度が上昇する。これが、Mg中にシリカ粒子を増加させている原因であることが確認された。
これらの新たな知見事実から、本発明者は浴面レベル変動を抑制することの重要性を再認識し、電解槽に装備される浴面調整装置の不活性ガス供給系統を、通常操業時の精密制御を専用に行う第1制御系と、Mg汲み出し作業時の高速制御を専用に行う第2制御系との二つに分け、第1制御系では従来の精密制御よりも更に制御精度の高い超精密制御を行い、第2制御系では従来の高速制御よりも不活性ガスを短時間で多量に供給して浴面レベル回復時間を短縮する超高速制御を行うことにより、浴面レベル変動を顕著に抑制でき、そのレベル変動に起因する諸問題(電流効率の低下・Mgの不純物汚染)を効果的に解決できるとの結論に至った。
すなわち、浴面調整装置への不活性ガス供給系統を従来の1系統から、精密制御系と高速制御系との2系統に分けると、精密制御系で超精密制御を行っても、それによる制約が高速制御に及ぶことがなく、同様に、高速制御系で超高速制御を行っても、それによる制約が精密制御に及ぶことがないのである。本発明者は、精密制御での制御精度を浴面レベルの変動幅で数mmレベルまで小さくした超精密制御を行ったところ、Mg汲み出し作業に伴う高速制御での浴面レベルの回復時間が著しく増大し、電流効率の向上効果も金属Mgの不純物汚染低減効果も得られず、むしろ両者ともに悪化する傾向を確認した。
本発明の溶融塩電解槽は、かかる一連の知見事項を基礎として完成されたものであり、浴面レベル維持のために浴面下に設置された容器状の構造物内に不活性ガスを供給し、また前記構造物内から不活性ガスを排出することにより、浴面レベルを調整する浴面調整装置を装備した溶融塩電解槽であって、前記構造物内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給系として、通常操業時に溶融塩の電解消費による浴面レベル低下を補う際に不活性ガス供給量を制御して浴面レベルの変動を抑制する精密制御系と、電解生成金属の汲み出し作業に伴う浴面レベルの異常低下時に不活性ガス供給量を急増させて浴面レベルを回復させる高速制御系とを具備している。
本発明の溶融塩電解槽においては、不活性ガス供給系が精密制御系と高速制御系との2系統により構成されているので、精密制御系における制御精度を高めることにより、通常操業時の浴面レベル変動幅が小さくなると共に、その影響が高速制御系に及ぶことがない。これにより、高速制御系においては、浴面レベル異常低下時の応答性を高めることが可能となり、その結果として、浴面レベル異常低下時の浴面レベル回復時間を短くすることができ、そのことが精密制御系に影響を及ぼすこともない。これらの結果、通常操業時の浴面レベル変動幅が小さくなることにより電流効率が向上すると共に、生成金属の不純物汚染が抑制され、金属汲み出し作業時の浴面レベル回復時間が短くなることによっても、電流効率が向上すると共に、生成金属の不純物汚染が抑制される。
精密制御系と高速制御系とは、前者がPID制御弁のような流量制御弁を有し、後者が流路開閉弁(オン・オフ制御弁)を有する二つの独立した配管系統、若しくは流量制御弁に対して流路開閉弁(オン・オフ制御弁)をバイパス経路として設けた一部独立配管系により構成し、それらの配管系の機械的切替えを行うのが一般的であるが、配管系統が1系統でも、そこにおける制御弁を流量制御と開閉制御の切替えが可能な構成とすることでも2系統化は可能であり、この場合は電気的なバルブ操作により系統の切替えを行うことになる。
系統の切替えは、具体的には浴面レベルの測定値に基づいて自動で行うのが望ましく、より具体的には、浴面レベルの基準レベルに対するレベル偏差が基準値より大となったときに精密制御系から急速制御系へ自動で切替え、前記レベル偏差が基準値より小となったときに急速制御系から精密制御系へ自動で切替えるのが望ましい。
精密制御系は、制御精度が高いことが重要である。その制御精度は、通常操業時の浴面変動幅で表して1cm未満のmmオーダー精度が望ましい。そのような流量制御では制御弁(流量制御弁)の応答性が低下するため、電解生成金属汲み出し作業時の急激な浴面レベル低下に対応することはできない。
これに対し、高速制御系は、電解生成金属汲み出し作業時の急激な浴面レベル低下に対する応答性が高く、短時間で大量の不活性ガスを供給できることが重要となる。その応答性は、浴面レベルが精密制御範囲の下限レベルなどの基準値より低下するレベル異常検知時に最大どれほどの流量を確保できるかで表すことができ、この異常検知時の最大可能流量は、通常操業時の平均流量の5倍以上が好ましく、25倍以上が更に好ましく、100倍以上が最も好ましい。
一方、精密制御系に設けられる流量制御弁の応答性は、この浴面レベル異常低下検知時の最大可能流量で表すならば、通常操業時の平均流量と大差なく、時間経過と共に徐々に流量を増大させ、異常検知(全開指示)から実際に最大流量(全開状態)となるまでの時間で表せば、60〜120秒程度である。また、高速制御系における流路開閉弁の応答性を、この異常検知(全開指示)から実際に最大流量(全開状態)となるまでの時間で表せば、瞬時である。
他方、精密制御系と高速制御系との区別がない従来の不活性ガス供給系統に設けられる流量制御弁も、浴面レベル異常低下検知から時間経過と共に徐々に流量を増大させるが、異常検知(全開指示)から最大流量(全開状態)となるまでの時間は、15〜30秒程度と、精密制御系に設けられる流量制御弁よりかは短い。
本発明の溶融塩電解槽は、浴面レベル調整用の容器状構造物内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給系として、通常操業時に溶融塩の電解消費による浴面レベル低下を補う際に不活性ガス供給量を制御して浴面レベルの変動を抑制する精密制御系と、電解生成金属の汲み出し作業に伴う浴面レベルの異常低下時に不活性ガス供給量を急増させて浴面レベルを回復させる高速制御系との2系統を具備することにより、通常操業時における浴面レベル変動幅を小さく抑制しつつ、金属汲み出し作業時における浴面レベル回復時間を短く抑制し得るので、これら両面から電流効率の向上を図り、且つ生成金属の不純物汚染を抑制して、その品質向上を図る。
本発明の一実施形態を示す溶融塩電解槽の構成図である。 浴面レベルの経時的変動を従来の電解槽及び本発明の電解槽について示すグラフである。
以下に本発明の実施形態を説明する。
本実施形態の溶融塩電解槽は、クロール法で副生したMgCl2 から金属Mgを再生するためのMg電解槽である。本電解槽は、図1に示すように、溶融塩2を収容する矩形の槽本体1を有している。槽本体1の内部は、槽長方向の中間部に設けた隔壁3により電解室4とMg回収室5とに2分されており、電解室4には、溶融塩2を電気分解するために、陽極6と陰極7とが横幅方向に交互に配列されている。電解室4とMg回収室5との間で溶融塩2を循環対流させるために、隔壁3には開口部11が上下2段に設けられている。
一方、Mg回収室5には、浴面レベル調整装置の主要構成部材である無底容器状の構造物12が設置されている。無底容器状の構造物12はカップを伏せた釣り鐘状であり、全体が槽本体1内の溶融塩2中に常時浸漬するように、第1の縦管によって浴面レベルより下に支持されている。無底容器状の構造物12には、不活性ガスの供給・排出系が構造物12の支持部材を兼ねる第1の縦管17を介して接続されている。
不活性ガスの供給・排出系のうち、不活性ガス供給系20は2系統からなる。第1の系統は精密制御系20Aであり、第2の系統は高速制御系20Bである。精密制御系20Aは、流量制御弁22Aが介装された第1のガス供給管21A(横管)からなり、第1の縦管17の上に接続された給排用の縦管18に連結されている。ガス供給管21Aの上流側は、図示されないArガス源に接続されている。
高速制御系20Bは、流路開閉弁22Bが介装された第2のガス供給管21B(横管)からなり、第2のガス供給管21Bは第1のガス供給管21Aと共に給排用の縦管18に連結されている。ガス供給管21Bの上流側は、ガス供給管21Aの上流側と共に、図示されないArガス源に接続されている。
これらに対し、不活性ガス排出系30は1系統であり、不活性ガス供給系の下流側において給排用の縦管18から分岐したガス排出管31(横管)と、当該ガス排出管31に介装された流路開閉弁32とからなる。ガス排出管31の下流側は、図示されない不活性ガス回収装置に接続されている。
Mg回収室5には又、槽本体1内の溶融塩2を温度制御するために、コイル状の熱交換器13が無底容器状の構造物12を包囲するように設けられると共に、溶融塩2の温度を測定する温度計14と、溶融塩の浴面レベルを測定するレベル計15とが、槽本体1の上から天井部を貫通して溶融塩2に達する状態に挿入されている。16はMg回収室5内の溶融塩2上に浮遊した金属Mg層である。
不活性ガスの供給・排出系に装備された流量制御弁22A並びに流路開閉弁22B及び32は、制御器40により、レベル計15の出力信号を基にして開度を制御される。制御器40の動作の詳細は後で説明する。熱交換器13は冷却器であり、図示されない別の制御器により、温度計14の出力信号に基づいて空気の流通量を制御されることにより、溶融塩2を適正温度に管理する。ちなみに、溶融塩2の電解反応は温度上昇を伴う。
次に、本実施形態の溶融塩電解槽を使用して金属Mgを生成する方法について説明する。
溶融塩2としてのMgCl2 を槽本体1内に満たした状態で、電解室4内の陽極6と陰極7との間に所定の電圧を印加して電解室4内で溶融塩2を電気分解することにより、金属Mgが生成される。電解室4で生成された金属Mgは、槽本体1内での溶融塩2の対流によりMg回収室5内に運ばれ、Mg回収室5内の溶融塩2上にMg層16として蓄積される。溶融塩2の電気分解に伴って電解室4で発生した塩素ガスは適宜、室外へ抜き取られる。
このような溶融塩2の電解操業に伴って溶融塩2が消費され、これを放置すると、溶融塩2の浴面レベルが徐々に低下していく。このような通常操業時の浴面レベル低下を阻止するために、制御器40は、図2に示すように、精密制御系20A内の流量制御弁22Aを通して不活性ガスを無底容器状の構造物12内に注入する。これにより、無底容器状の構造物12内から溶融塩2が押し出され、溶融塩2の浴面レベルはマクロ的、平均的には基準レベルに一致するが、溶融塩2の対流や塩素ガスの発生、後述するMg汲み出し作業の影響などにより経時的な周期変動が生じる。この浴面レベルの経時的な周期変動を小さく抑制するために、制御器40は流量制御弁22Aの開度を細かく調整するのである。
精密制御系20Aが担当する液面レベルの制御範囲を、図2に「精密制御範囲」として示す。本実施形態の溶融塩電解槽では、精密制御系20A内の流量制御弁22Aによる精密制御精度を高めるために、その流量制御弁22Aとして、従来よりも制御精度が高いPID制御弁が用いられている。これにより、通常操業時は、浴面レベルの精密制御として、流量制御弁22Aによる超精密制御が行われる。このため、浴面レベルの変動幅は、精密制御範囲内に収まることは勿論、その精密制御範囲内において、従来の±cmオーダーから±mmオーダーにまで抑制される。
その結果、通常操業時においては、電流効率が上り、合わせて、生成Mgの不純物汚染が抑制される。
溶融塩2の電解操業に伴ってMg回収室5内の溶融塩2上に蓄積したMg層16が所定量に達すると、Mg汲み出し作業が行われる。この汲み出し作業は数分間と非常に短時間で行われ、また金属Mgの汲み出し量も多いため、Mg汲み出し作業に伴って浴面レベルが急激に大きく低下する。このような浴面レベルの急激な変化に流量制御弁22Aは対応できないため、浴面レベルは、一時的には精密制御範囲の下限より下へ大きく下がる。
そうすると、制御器40は、直ちに高速制御系20B内の流路開閉弁22Bに開放指示を与える。これを受けて、流路開閉弁22Bは閉状態から開状態へ瞬時に切り替わり、大量のArガスが無底容器状の構造物12内に注入し始める。これによりMg汲み出し作業に伴う浴面レベルの急激な低下が急速に回復し始める。浴面レベルが精密制御範囲内に戻ると、流路開閉弁22Bは開状態から閉状態へ瞬時に切り替わり、再び精密制御系20A内の流量制御弁22Aによる超精密制御が行われる。
本実施形態の溶融塩電解槽においては、Mg汲み出し作業に伴う急激な浴面レベルの低下が、このようにして短時間で回復する。その結果、浴面レベルが精密制御範囲の下限より低下している時間(高速制御での液面レベル回復時間であり、図2にTで示す)が著しく短くなり、これよっても電流効率が上り、合わせて、生成Mgの不純物汚染が抑制される。
従来の溶融塩電解槽においては、不活性ガス供給系が1系統であり、そこにおける流量制御弁が通常操業時の精密制御とMg汲み上げ作業時の高速制御との両方を担当するため、精密制御での制御精度を高めた場合は、高速制御での液面レベル回復時間Tが、図2中にT1に示すように極端に長くなり、これによる電流効率の低下及び生成Mgの不純物汚染が顕著となる。このため、精密制御での制御精度を極端に高めることはできず、その結果として、精密制御での浴面レベル変動幅も大きくなる。
本実施形態の溶融塩電解槽は、精密制御と高速制御を精密制御系20A、高速制御系20Bという2つ独立した系統で行うことにより、精密制御での制御精度を極端に高めることができ、同時に高速制御での液面レベル回復時間Tを極端に短くすることができるのである。
通常操業を長時間続けることにより、溶融塩2の消費が増え、不活性ガスを使用した浴面レベル調整装置の能力が限界に近づく。そうなると、槽本体1内に溶融塩2を補充するそうすると、今度は溶融塩2の浴面レベルが短時間で急激に上昇する。その液面レベルが精密制御範囲の上限を超えると、制御器40は不活性ガス排出系30内の流路開閉弁32を閉状態から開状態に切り替える。これにより、無底容器状の構造物12内からArガスが大気圧により排出され、浴面レベルが下がることにより、その浴面レベルが精密制御範囲内に戻る。
流路開閉弁22B及び32が開放している間、流量制御弁22Aは、ここでは制御形態が切り替わった時点の状態を維持するが、作動を続けたままでもよく、また一旦、初期状態(オフ状態)へ戻すことも可能である。
本発明の実施例として、本実施形態の溶融塩電解槽により実際にMg電解操業を実施した。そのときの、浴面レベルの標準偏差、電解生成された金属Mg中の不純物量、及び電解操業での電流効率を調査した。浴面レベルの精密制御範囲は、基準レベルに対して±20mmとした。
それぞれの調査結果を、精密制御系と高速制御系とが1系統にまとめられた従来の溶融塩電解槽の場合を100とする相対値にて表1に示す。浴面レベルの標準偏差は、1ヶ月間の浴面変動データから求めた。Mg中の不純物量とは、Fe量、酸素量、窒素量及びシリカ量であり、具体的には分光分析や中和滴定などで評価した。また、電流効率は、電解槽の操業開始時から寿命の80%に至るまでの電流効率の平均値である。
従来例は、精密制御系と高速制御が1系統の不活性ガス供給系を用いた電解槽の場合である。参考例として、本実施形態の溶融塩電解槽に採用された精密制御系のみで1系統の不活性ガス供給系を構成した。本発明例としては、精密制御系と高速制御系の切替えを手動で行った場合と自動で行った場合の2種類を実施した。
Figure 0006156879
本発明例は、従来例と比べて、浴面レベルの標準偏差が小さくなっており、電流効率、製品品質ともに向上している。本発明例のなかでも、自動切替えは手動切替えより、浴面レベルの標準偏差低下、これによる電流効率向上、製品品質向上に有効である。比較例で、通常操業時の浴面レベル変動幅は本発明並に小さくなるが、Mg抜取り作業時の浴面レベル回復時間Tが図2中にT2で示すように極端に長くなり、浴面レベルの標準偏差が従来例よりも大きくなることにより、電流効率、製品品質ともに低下する。
1 槽本体
2 溶融塩
3 隔壁
4 電解室
5 Mg回収室
6 陽極
7 陰極
11 開口部
12 無底容器状の構造物
13 熱交換器
14 温度計
15 レベル計
16 Mg層
17,18 縦管
20 不活性ガス供給系
20A 精密制御系
20B 高速制御系
21A,21B ガス供給管
22A 流量制御弁
22B 流路開閉弁(オン・オフ制御弁)
30 不活性ガス排出系
31 ガス排出管
32 流路開閉弁(オン・オフ制御弁)
40 制御器

Claims (6)

  1. 浴面レベル維持のために浴面下に設置された容器状の構造物内に不活性ガスを供給し、また前記構造物内から不活性ガスを排出することにより、浴面レベルを調整する浴面調整装置を装備した溶融塩電解槽であって、
    前記構造物内へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給系として、通常操業時に溶融塩の電解消費による浴面レベル低下を補う際に不活性ガス供給量を制御して浴面レベルの変動を抑制する精密制御系と、
    電解生成金属の汲み出し作業に伴う浴面レベルの異常低下時に不活性ガス供給量を急増させて浴面レベルを回復させる高速制御系とを具備する溶融塩電解槽。
  2. 請求項1に記載の溶融塩電解槽において、精密制御系と高速制御系とが切替え可能である溶融塩電解槽。
  3. 請求項2に記載の溶融塩電解槽において、精密制御系と高速制御系との切替えが浴面レベルの測定値に基づいて自動で行われる溶融塩電解槽。
  4. 請求項3に記載の溶融塩電解槽において、浴面レベルの基準レベルに対するレベル偏差が基準値より大となったときに精密制御系から急速制御系への切替えが自動で行われ、前記レベル偏差が基準値より小となったときに急速制御系から精密制御系への切替えが自動で行われる溶融塩電解槽。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の溶融塩電解槽において、精密制御系と高速制御系とは、前者が流量制御弁を有し、後者が流路開閉弁を有する二つの独立した配管系統により構成されている溶融塩電解槽。
  6. 請求項1〜4の何れかに記載の溶融塩電解槽において、精密制御系と高速制御系とは、流量制御弁に対して流路開閉弁をパイパス経路として設けることにより構成されている溶融塩電解槽。
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