JP6156864B2 - イオンの生成方法 - Google Patents
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a)となるようなオーブン温度に調整される。
る複数種類の試料の粉末を混合した混合試料を装填することにより、オーブン温度を段階的に昇温するだけでイオン種が変更できるようにした。
例えば、ターゲットの表面をより詳細に解析することができるため、イオン種の速やかな変更を実現可能なイオン生成方法のイオン種に用いることで、各種ターゲットを解析する能力の更なる向上等を図ることが可能である。
前記オーブンを昇温して、Mn+イオンを生成し、前記Mn+イオンを生成した後に、前記CoCl2からイオンが生成される温度となるように前記オーブンを更に昇温してCo+イオンを生成するものであってもよい。上記イオン生成方法は、このような金属イオンであっても適用可能であり、イオン種の速やかな変更を実現することができる。
図1は、実施形態に係るイオン生成方法を実現するイオン注入装置の構成図の一例である。イオン注入装置1は、試料からイオンを生成するイオン源2と、イオン源2で発生したイオン種群の中から照射したい所定の種類のイオンを選択する質量分析電磁石3とを備えており、チェンバー4内のターゲットに所定の種類のイオンを照射する。
及び接地電極孔17がそれぞれ形成されている。
上述したイオン注入装置1を使って本実施形態に係るイオン生成方法を実現する際は、特定のイオン強度に達する際のオーブン温度が相異なる複数種類の試料の粉末を混合した混合試料を用意し、イオン源2のオーブン6に試料5として装填する。混合試料を構成する各試料が特定のイオン強度に達する際のオーブン温度は、各種の技術文献或いは実験等によって予め把握し、イオン注入装置1を使ったイオン生成の開始前には既知の状態にしておく。
本実施例では、上記実施形態のイオン注入装置1の一例にあたる日新イオン機器株式会社(旧日新電機株式会社)製のイオン注入装置(NH−40SR)を用いた。図3は、イオン注入装置(NH−40SR)を上側から見た内部構成図である。また、図4は、イオン注入装置(NH−40SR)を正面側から見た内部構成図である。なお、イオン源には、同社のイオン源(NIB−01353)を用いた。また、オーブンには、同社のオーブン(NID−24460)を用いた。
電圧発生回路(コッククロフト回路)、高電圧デッキ内のイオン源、電磁石、真空ポンプ等の機器に電力を供給する絶縁トランス等も備わっている。イオン源、質量分析電磁石等を内蔵した高電圧デッキは、デッキ真下の高電圧発生回路によって発生した電圧によってデ
ッキ全体が一定の高電位に保たれる。高電圧発生回路は19段の対称型コッククロフト回路であり、16kHz、±10kVの高周波電力を入力することで最高370kVまで昇圧することができる。イオン源部は、高電圧ターミナル電位に対し最大で30kV高い電圧が印加され、引出し電極によりイオン源内で生成された正イオンが引き出される。質量分析電磁石は、曲率半径が30cm、偏向能力3.125(amu・MeV)で質量分解能(M/ΔM)が100である。加速管は、全長が1115.5mmでアルミニウム電極とセラミックス絶縁体による24段構造になっており、各電極間は、33MΩ(100MΩ、3本並列)の抵抗で均等に電位分割されている。イオン注入装置(NH−40SR)には、各機器を遠隔で制御するための制御装置が接続されている。
C60フラーレンの粉末とC70フラーレンの粉末との混合物を混合試料として用意し、本願で開示するイオン生成方法を、上記イオン注入装置(NH−40SR)を使って実施した。
ー内へ送られる。
オン(僅かながらに生成されるC70 +イオンを含む)がチェンバー内に照射されるのを防
いでいる。この結果、チェンバー内のターゲットには、C60 +イオンが照射されることに
なる。
レンのうちC60フラーレンよりも特定のイオン強度に達する際のオーブン温度が高いC70
フラーレンから生成されるイオンが照射されるように、C70フラーレンからイオンが生成される温度の一例である420℃となるように温度制御器を再調整してオーブンを更に昇温し、照射するイオンの種類を切り替えた。また、質量分析電磁石がC70 +イオンを選択
するように制御装置の設定変更操作を行った。
がオーブン温度380℃のときより増大するものの、C60 +イオンの強度も増大すること
になる。これは、オーブン温度が420℃の状態だとC70フラーレンが蒸発し始めるのみならず、C60フラーレンが蒸発する量も増大するためである。よって、オーブン温度が420℃の状態では、C60フラーレンによるイオン生成室内の汚れの影響が大きい。そこで、本願で開示するイオン生成方法は、C60フラーレンの粉末とC70フラーレンの粉末とを混合した混合試料からC60 +イオンを生成した後に、オーブンを更に昇温してC70 +イオンを生成することにより、C70 +イオンを生成する際にオーブン内に残留するC60フラーレ
ンの量を少しでも減らしておき、イオン生成室内の汚れの抑制を図っている。
イオン(C60 +イオンを含む)がチェンバー内に照射されるのを防いでいる。よって、オ
ーブンが420℃に昇温されることにより生成されるC60 +イオンは質量分析電磁石にお
いて選択的に取り除かれる。この結果、チェンバー内のターゲットには、C70 +イオンが
照射されることになる。
MnCl2の粉末とCoCl2の粉末との混合物を混合試料として用意し、本願で開示するイオン生成方法を、上記イオン注入装置(NH−40SR)を使って実施した。
0℃となるように温度制御器を調整した。また、質量分析電磁石がMn+イオンを選択す
るように制御装置の設定を行った。
れる。
の汚れの影響は小さい。
る。この結果、チェンバー内のターゲットには、Mn+イオンが照射されることになる。
MnCl2よりも特定のイオン強度に達する際のオーブン温度が高いCoCl2から生成されるイオンが照射されるように、CoCl2からイオンが生成される温度の一例である4
20℃となるように温度制御器を再調整してオーブンを更に昇温し、照射するイオンの種類を切り替えた。また、質量分析電磁石がCo+イオンを選択するように制御装置の設定
変更操作を行った。
化され、Co+イオンはMn+イオンと共に質量分析電磁石へ送られる。よって、図7において下段側に「オーブン温度420℃」として示したマススペクトルから明らかなように、オーブンが420℃の状態ではMn+イオンの強度がオーブン温度400℃のときより
増大するものの、Mn+イオンの強度も増大することになる。これは、オーブン温度が4
20℃の状態だとCoCl2が蒸発し始めるのみならず、MnCl2が蒸発する量も増大するためである。よって、オーブン温度が420℃の状態では、Mnによるイオン生成室内の汚れの影響が大きい。そこで、本願で開示するイオン生成方法は、MnCl2の粉末と
CoCl2の粉末とを混合した混合試料からMn+イオンを生成した後に、オーブンを更に昇温してCo+イオンを生成することにより、Co+イオンを生成する際にオーブン内に残留するMnCl2の量を少しでも減らしておき、イオン生成室内の汚れの抑制を図ってい
る。
イオン(Mn+イオンを含む)がチェンバー内に照射されるのを防いでいる。よって、オ
ーブンが420℃に昇温されることにより生成されるMn+イオンは質量分析電磁石にお
いて選択的に取り除かれる。この結果、チェンバー内のターゲットには、Co+イオンが
照射されることになる。
なお、本願で開示するイオン生成方法が適用できるイオン種の組み合わせは、上記第1実施例や第2実施例に挙げたものの他、例えば、以下のような組み合わせについても適用できる。
Claims (6)
- イオン源のオーブンに、特定のイオン強度に達する際のオーブン温度が相異なる複数種類の試料の粉末を混合した混合試料を装填し、
前記複数種類の試料のうち特定のイオン強度に達する際のオーブン温度が相対的に低い何れか一種の試料からイオンが生成される温度となるように前記オーブンを昇温し、昇温によって生成されるイオンのうち前記何れか一種の試料から生成されるイオンを質量分析電磁石に選択させ、
前記何れか一種の試料から生成されるイオンを前記質量分析電磁石に選択させた後に、前記複数種類の試料のうち前記何れか一種の試料よりも特定のイオン強度に達する際のオーブン温度が高い何れか他種の試料からイオンが生成される温度となるように前記オーブンを更に昇温し、昇温によって生成されるイオンのうち前記何れか他種の試料から生成されるイオンを前記質量分析電磁石に選択させる、
イオン生成方法。 - 前記オーブンに、第1の試料の粉末と、特定のイオン強度に達する際のオーブン温度が前記第1の試料よりも高い第2の試料の粉末とを混合した混合試料を装填し、
前記第1の試料からイオンが生成される温度となるように前記オーブンを昇温し、昇温によって生成されるイオンのうち前記第1の試料から生成されるイオンを前記質量分析電磁石に選択させ、
前記第1の試料から生成されるイオンを前記質量分析電磁石に選択させた後に、前記第2の試料からイオンが生成される温度となるように前記オーブンを更に昇温し、昇温によって生成されるイオンのうち前記第2の試料から生成されるイオンを前記質量分析電磁石に選択させる、
請求項1に記載のイオン生成方法。 - 前記イオン源は、電子衝撃型イオン源である、
請求項1または2に記載のイオン生成方法。 - 前記イオン源は、フリーマン型イオン源である、
請求項1または2に記載のイオン生成方法。 - 前記オーブンに、C60フラーレンの粉末とC70フラーレンの粉末とを混合した混合試料を装填し、
前記C60フラーレンからイオンが生成される温度となるように前記オーブンを昇温し、昇温によって生成されるイオンのうちC60 +イオンを前記質量分析電磁石に選択させ、
前記C60 +イオンを前記質量分析電磁石に選択させた後に、前記C70フラーレンからイオンが生成される温度となるように前記オーブンを更に昇温し、昇温によって生成されるイオンのうちC70 +イオンを前記質量分析電磁石に選択させる、
請求項1から4の何れか一項に記載のイオン生成方法。 - 前記オーブンに、MnCl2の粉末とCoCl2の粉末とを混合した混合試料を装填し、
前記MnCl2からイオンが生成される温度となるように前記オーブンを昇温し、昇温によって生成されるイオンのうちMn+イオンを前記質量分析電磁石に選択させ、
前記Mn+イオンを前記質量分析電磁石に選択させた後に、前記CoCl2からイオンが生成される温度となるように前記オーブンを更に昇温し、昇温によって生成されるイオンのうちCo+イオンを前記質量分析電磁石に選択させる、
請求項1から4の何れか一項に記載のイオン生成方法。
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