以下に、本発明にかかる3相スイッチ整流器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
実施の形態1にかかる3相スイッチ整流器100iについて説明する前に、基本の形態にかかる3相スイッチ整流器100について図12を用いて説明する。図12は、3相スイッチ整流器100の構成を示す図である。
3相スイッチ整流器100は、3相交流電源PSから入力側端子IT−r,IT−s,IT−tを介して入力される3相交流電力を直流電力に変換して出力側端子OT−(+)、OT−(−)から機器MC,MC’に出力する。3相交流電力は、例えば、R相の交流電力、S相の交流電力、及びT相の交流電力を含む。
具体的には、3相スイッチ整流器100は、筐体101、3相リアクトル8、入力コンデンサ9、パワーモジュールPM、直流リアクトル2、及びコンデンサ10を備える。パワーモジュールPMは、全波整流回路4、双方向スイッチ回路3、及び制御部7を有する。
筐体101は、3相リアクトル8、入力コンデンサ9、パワーモジュールPM、直流リアクトル2、及びコンデンサ10をその内側に収容している。筐体101上には、複数の入力側端子IT−r〜IT−n及び複数の出力側端子OT−(+),OT−(−)が設けられている。
入力側端子IT−r,IT−s,IT−tは、それぞれ、3相交流電源PSのR相端子PSr、S相端子PSs、T相端子PStが接続されるように設けられている。3相交流電源PSのR相端子PSr、S相端子PSs、T相端子PStからは、それぞれ、R相電圧、S相電圧、T相電圧が供給される。入力側端子IT−nは、3相交流電源PSのN相端子PSnが接続されるように設けられている。N相端子PSnからは、N相が入力される。N相は、R相、S相、T相の基準となる中性相である。
3相リアクトル8は、入力側端子IT−r〜IT−tと双方向スイッチ回路3との間に接続されている。入力コンデンサ9は、入力側端子IT−r〜IT−tと双方向スイッチ回路3との間に接続されている。
全波整流回路4は、双方向スイッチ回路3と出力側端子OT−(+)、OT−(−)との間に接続されている。全波整流回路4は、例えば、ブリッジ接続された6つのダイオードを有し、6つのダイオードを用いて、双方向スイッチ回路3を介して供給された3相交流電力を全波整流して直流電力を生成する。
双方向スイッチ回路3は、入力側端子IT−r〜IT−t側と全波整流回路4の各相の入力ノードとの接続をON/OFFする。すなわち、双方向スイッチ回路3は、3相交流電源PSから全波整流回路4への各相の交流電力の供給をON/OFFする複数のスイッチング素子SE(例えば、図13参照)を有する。
制御部7は、3相交流電源PSの各相の電圧を検出して、各相の検出電圧に基づいて、双方向スイッチ回路3をスイッチング制御する。すなわち、制御部7は、双方向スイッチ回路3をスイッチング制御するための波形を組み立てる。
具体的には、制御部7は、パワーモジュール電源回路(制御用の電源回路)72、スイッチングパターン発生器5、及び駆動回路6を有する。
パワーモジュール電源回路72は、3相交流電源PSから供給された交流電力から制御用の電力を生成する。例えば、パワーモジュール電源回路72は、入力側端子IT−nに接続され、N相の電力が供給されるとともに、入力側端子IT−tに接続され、T相の電力が供給される。パワーモジュール電源回路72は、N相の電力及びT相の電力を用いて制御用の電力を生成する。パワーモジュール電源回路72は、生成された制御用の電力をスイッチングパターン発生器5及び駆動回路6にそれぞれ供給する。
スイッチングパターン発生器5は、3相交流電源PSの各相の電圧を検出して、各相の検出電圧に基づいて、双方向スイッチ回路3をON/OFFさせるための各相のスイッチングパターンを生成し、生成されたスイッチングパターンを駆動回路6へ供給する。駆動回路6は、生成されたスイッチングパターンに従って、双方向スイッチ回路3の各相のスイッチング素子SE(図13参照)をスイッチング制御する。
このとき、スイッチングパターン発生器5及び駆動回路6は、それぞれ、パワーモジュール電源回路72から供給された制御用の電力を電源電力として用いて動作する。例えば、スイッチングパターン発生器5は、パワーモジュール電源回路72から供給された制御用の電力を用いて、各相のスイッチングパターンを生成して駆動回路6に供給する。例えば、駆動回路6は、パワーモジュール電源回路72から供給された制御用の電力を用いて、各相のスイッチングパターンに応じたスイッチング信号を生成して各相のスイッチング素子SEに供給する。
直流リアクトル2は、全波整流回路4と出力側端子OT−(+)との間に接続されている。直流リアクトル2は、例えば、全波整流回路4と出力側端子OT−(+)との間の(+)側ラインに直列に挿入されている。
コンデンサ10は、全波整流回路4と出力側端子OT−(+)、OT−(−)との間に接続されている。コンデンサ10は、例えば、一端の電極10(+)が全波整流回路4と出力側端子OT−(+)との間の(+)側ラインに接続され、他端の電極10(−)が全波整流回路4と出力側端子OT−(−)との間の(−)側ラインとを接続されている。
なお、機器MCは、例えば、インバータINV、モータM、及び被可動要素ELを有する。インバータINVは、3相スイッチ整流器100から供給された直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力をモータMに供給することで、モータMを駆動し、モータMを介して被可動要素ELを動作させる。モータMは、例えば、ACモータである。被可動要素ELは、例えば、コンプレッサの圧縮部である。
また、機器MC’は、例えば、モータM’、及び被可動要素EL’を有する。モータM’は、3相スイッチ整流器100から供給された直流電力を用いて駆動され被可動要素EL’を動作させる。モータM’は、例えば、DCモータである。被可動要素EL’は、例えば、送風ファンである。
次に、双方向スイッチ回路3について図13を用いて説明する。図13は、双方向スイッチ回路3の1つの相のスイッチの構成例を示す回路図である。
双方向スイッチ回路3は、例えば図13に示すように、複数のダイオードD1〜D5とIGBT等のスイッチング素子SEとで構成される。双方向スイッチ回路3では、スイッチング素子SEがオンした際に複数のダイオードD1〜D4を介して左右の双方向に電流が流れ得る。ダイオードD5は、スイッチング素子SEを保護するための還流ダイオードとして機能する。双方向スイッチ回路3では、この構成を3相分設ける。例えば、双方向スイッチ回路3では、3相に対応した複数のスイッチング素子SE1〜SE3を含む。
なお、3相スイッチ整流器100において、図13に示す回路構成を3相分設けることで双方向スイッチ回路3を構成する代わりに、双方向スイッチ回路3と全波整流回路4とを組み合わせて図21に示すような回路構成としてもよい。すなわち、図21に示すような回路構成において、1点鎖線で示すダイオードD1〜D15及びスイッチング素子SE1〜SE3を含む部分が双方向スイッチ回路3として機能する部分であり、破線で示すダイオードD3、D4、D8、D9、D13、D14を含む部分が全波整流回路4として機能する部分である。図21に示すような回路構成を、図12のイ〜チに接続することにより、同様に機能させることが可能である。
次に、スイッチングパターン発生器5の構成について図14〜図17を用いて説明する。図14は、スイッチングパターン発生器5の一例を示すブロック図である。図15は、スイッチングパターン発生器5でスイッチングパターンを生成する場合に使用される鋸歯状波W1、W2の波形例を示す図である。図16は、スイッチングパターン発生器5のパターン信号発生器11の構成例を示す回路図である。図17は、スイッチングパターン発生器5の相電圧判別器13の構成例を示す図である。
スイッチングパターン発生器5は、直流電圧の脈動と入力電流の高調波を抑制するために、以下に説明するような、相双方向スイッチ回路3のスイッチングパターン(R相パルス、S相パルス、T相パルス)を生成する。スイッチングパターン発生器5は、スイッチング周期の立ち上がり等の所定のタイミングで、3相交流電源PSの各相の電圧の最大電位相、中間電位相、および最小電位相をそれぞれ検出し、最大電位相および最小電位相の場合は、それぞれの電位に比例する時間ONとなり、かつ、スイッチング周期T内で少なくとも一方がONとなるスイッチングパターンを生成し、また、中間電位相の場合は、常にONとなるスイッチングパターンを生成する(図19参照)。なお、スイッチング周期Tは、電源周波数(例えば、50Hz)に対して十分短い周期(例えば、1/100kHz=10μsec)に決定する。
スイッチングパターン発生器5は、図14に示すように、パターン信号発生器11、電圧設定器12、相電圧判別器13、コンパレータ14R〜14T、コンパレータ15R〜15T、AND回路16R〜16T、AND回路17R〜17T、AND回路18R〜18T、及びOR回路19R〜19Tを備えている。
電圧設定器12は、パターン信号発生器11に、直流電圧設定値(降圧したい目標の電圧)に応じて決定した直流電圧設定ゲインk(但し、k=0.5〜1)を設定する。
パターン信号発生器11は、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを−1〜+1にそれぞれ規格化した後、電圧設定器12から入力される直流電圧設定ゲインk(0.5〜1)との積を演算して、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcとして出力する。
相電圧判別器13は、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cを比較して、いずれの相電圧が最大、最小、中間かを判別し、R相、S相、T相の最大判定信号(最大の場合「1」、最大でない場合「0」)、最小判定信号(最小の場合「1」、最小でない場合「0」)、中間判定信号(中間の場合「1」、中間でない場合「0」)をそれぞれ出力する。
コンパレータ14R〜14Tは、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcと鋸歯状波W1(図15参照)とをそれぞれ比較して、比較信号を出力する。コンパレータ15R〜15Tは、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcと鋸歯状波W2(図15参照)とをそれぞれ比較して、比較信号を出力する。AND回路16R〜16Tは、コンパレータ14R〜14Tの比較信号とR、S、T相最大判定信号とのAND演算をそれぞれ行う。AND回路17R〜17Tは、コンパレータ15R〜15Tの比較信号とR、S、T相最小判定信号とのAND演算をそれぞれ行う。AND回路18R〜18Tは、固定値「1」とR、S、T相中間判定信号とのAND演算をそれぞれ行う。OR回路19R〜19Tは、AND回路16R〜18Rの出力、AND回路16S〜18Sの出力、AND回路16T〜18Tの出力をそれぞれOR演算して最終のR、S、T相パルス(スイッチングパターン)として駆動回路6に出力する。
R相に関する動作を説明する。コンパレータ14Rは、パターン信号発生器11から入力されるR相制御電圧kaと鋸歯状波W1とを比較し、比較信号(R相制御電圧ka>鋸歯状波W1の場合に「1」、R相制御電圧ka≦鋸歯状波W1の場合に「0」)をAND回路16Rに出力する。AND回路16Rは、コンパレータ14Rから入力される比較信号と、R相最大判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Rに出力する。
コンパレータ15Rは、鋸歯状波W2とパターン信号発生器11から入力されるR相制御電圧kaとを比較し、比較信号(鋸歯状波W2>R相制御電圧kaの場合に「1」、鋸歯状波W2≦R相制御電圧kaの場合に「0」)をAND回路17Rに出力する。AND回路17Rは、コンパレータ15Rから入力される比較信号と、R相最小判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Rに出力する。
AND回路18Rは、固定信号「1」とR相中間判別信号とのAND演算を行って、OR回路19Rに出力する。OR回路19Rは、AND回路16R〜18Rの出力をOR演算して最終のR相パルスとして出力する。
S相に関する動作を説明する。コンパレータ14Sは、パターン信号発生器11から入力されるS相制御電圧kbと鋸歯状波W1とを比較し、比較信号(S相制御電圧kb>鋸歯状波W1の場合に「1」、S相制御電圧ka≦鋸歯状波W1の場合に「0」)をAND回路16Sに出力する。AND回路16Sは、コンパレータ14Sから入力される比較信号と、S相最大判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Sに出力する。
コンパレータ15Sは、鋸歯状波W2とパターン信号発生器11から入力されるS相制御電圧kbとを比較し、比較信号(鋸歯状波W2>S相制御電圧kbの場合に「1」、鋸歯状波W2≦S相制御電圧kbの場合に「0」)をAND回路17Sに出力する。AND回路17Sは、コンパレータ15Sから入力される比較信号と、S相最小判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Sに出力する。
AND回路18Sは、固定信号「1」とS相中間判別信号とのAND演算を行って、OR回路19Sに出力する。OR回路19Sは、AND回路16S〜18Sの出力をOR演算して最終のS相パルスとして出力する。
T相に関する動作を説明する。コンパレータ14Tは、パターン信号発生器11から入力されるT相制御電圧kcと鋸歯状波W1とを比較し、比較信号(T相制御電圧kc>鋸歯状波W1の場合に「1」、T相制御電圧kc≦鋸歯状波W1の場合に「0」)をAND回路16Tに出力する。AND回路16Tは、コンパレータ14Tから入力される比較信号と、T相最大判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Tに出力する。
コンパレータ15Tは、鋸歯状波W2とパターン信号発生器11から入力されるT相制御電圧kcとを比較し、比較信号(鋸歯状波W2>S相制御電圧kcの場合に「1」、鋸歯状波W2≦T相制御電圧kcの場合に「0」)をAND回路17Tに出力する。AND回路17Tは、コンパレータ15Tから入力される比較信号と、T相最小判定信号とのAND演算を行って、OR回路19Tに出力する。
AND回路18Tは、固定信号「1」とT相中間判別信号とのAND演算を行って、OR回路19Tに出力する。OR回路19Tは、AND回路16T〜18Tの出力をOR演算して最終のT相パルスとして出力する。
パターン信号発生器11は、図16に示すように、R、S、T相電圧a、b、cと電圧設定器12から出力される直流電圧制御ゲインkとをそれぞれ乗算して、R相、S相、T相制御パターンka、kb、kcをそれぞれ出力する乗算器30R、30S、30Tを備えている。
相電圧判別器13は、図17に示すように、コンパレータ40R、40S、40Tと、AND回路41R、41S、41Tと、AND回路42R、42S、42Tと、NOR回路43R、43S、43Tとを備えている。
コンパレータ40Rは、R相電圧aとS相電圧bとを比較して、比較信号(R相電圧a>S相電圧bの場合に「1」、R相電圧a≦S相電圧bの場合に「0」)をAND回路41R、42S、41T、42Tに出力する。コンパレータ40Sは、S相電圧bとT相電圧cとを比較して、比較信号(S相電圧b>T相電圧cの場合に「1」、R相電圧a≦T相電圧cの場合に「0」)をAND回路41R、42R、41S、42Tに出力する。コンパレータ40Tは、T相電圧cとR相電圧aとを比較して、比較信号(T相電圧c>R相電圧aの場合に「1」、T相電圧c≦R相電圧aの場合に「0」)をAND回路42R、41S、42S、41Tに出力する。
AND回路41Rは、コンパレータ40Rの比較信号とコンパレータ40Sの比較信号とのAND演算結果をR相最大判定信号として出力する。AND回路42Rは、コンパレータ40Sの比較信号とコンパレータ40Tの比較信号とのAND演算結果をR相最小判定信号として出力する。AND回路41Sは、コンパレータ40Sの比較信号とコンパレータ40Tの比較信号とのAND演算結果をS相最大判定信号として出力する。AND回路42Sは、コンパレータ40Tの比較信号とコンパレータ40Rの比較信号とのAND演算結果をS相最小判定信号として出力する。AND回路41Tは、コンパレータ40Tの比較信号とコンパレータ40Rの比較信号とのAND演算結果をT相最大判定信号として出力する。AND回路42Tは、コンパレータ40Rの比較信号とコンパレータ40Sの比較信号とのAND演算結果をT相最小判定信号として出力する。
NOR回路43Rは、R相最大判定信号とR相最小判定信号とのNOR演算結果をR相中間判定信号として出力する。NOR回路43Sは、S相最大判定信号とS相最小判定信号とのNOR演算結果をS相中間判定信号として出力する。NOR回路43Tは、T相最大判定信号とT相最小判定信号とのNOR演算結果をT相中間判定信号として出力する。
つぎに、基本の形態における直流電圧の脈動と入力電流の高調波を低減する原理を説明する。基本の形態では、スイッチングパターン発生器5および駆動回路6によって、双方向スイッチ回路3を以下のようにスイッチングすることで、直流電圧の脈動と入力電流の高調波との低減を図る。図18は、R相電圧、S相電圧、T相電圧の各区間を説明するための図である。図19は、R、S、T相制御電圧ka、kb、kcと、鋸歯状波W1、W2と、R、S、T相パルス(スイッチングパターン)の一例を示す図である。
まず、直流電圧について説明する。図18において、3相交流電圧は、R相電圧、S相電圧、T相電圧の大小関係により、モード(区間)I〜VIの6つに区分する。R>T>SをモードI、R>S>TをモードII、S>R>TをモードIII、S>T>RをモードIV、T>S>RをモードV、T>R>SをモードVIに区分する。
ここでは、区間IIのR相最大、S相中間、T相最小の場合について説明する。R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cは、上述したように、相電圧を「−1」と「1」の間で規格化したものである。直流電圧設定ゲインkは、上述したように、電圧設定器12において直流電圧設定値に応じて決定されるゲインで、0.5〜1の間の定数となる。直流電圧設定ゲインkは、パターン信号発生器11において、R相電圧a、S相電圧b、T相電圧cに乗算され、乗算されたR相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcは、鋸歯状波1、2と切り合いする波形となる(図19参照)。
図19において、Tはスイッチング周期、xはR相パルス幅、yはS相パルス幅、zはT相パルス幅を示している。区間1、2、3の直流電圧は、それぞれ、区間1電圧=ST間電圧=b−c、区間2電圧=RT間電圧=a−c、区間3電圧=RS間電圧=a−bとなる。区間1の幅は、T−x、区間2の幅は、x−(T−z)=x+z−T、区間3の幅は、T−zである。一方、R相パルス幅xは、T:x=1:kaよりx=kaT、T相パルス幅zは、T:z=1:−kcよりz=−kcTである。よって、区間1の幅は、T−x=T−kaT=T(1−ka)、区間3の幅は、T−z=T−(−kcT)=T(1+kc)、区間2の幅は、x+z−T=kaT+(−kcT)−T=T(ka−kc−1)となる。
スイッチング周期Tの直流電圧の平均は、それぞれの区間ごとに直流電圧を積算しそれぞれを加算してスイッチング周期Tで除して、以下のように表すことができる。
スイッチング周期Tの電圧の平均={(b−c)×T×(1−ka)+(a−c)×T×(ka−kc−1)+(a−b)×T×(1+kc)}/T
=k(a2+c2)−kb(a+c)
ここで、a+b+c=0(3相条件)を考慮すると、
=k(a2+b2+c2)
さらに、交流理論から、a2+b2+c2=3/2より
=k×3/2
なお、上記スイッチング周期Tの電圧の平均は、相電圧に基づいて表されている。また、3相条件は、R相、S相、T相の3相についてN相を基準として互いに振幅及び位相のバランスがとられていることに基づいている。
従って、直流電圧のスイッチング区間の平均値は一定となり、直流電圧設定ゲインk×3/2となり、鋸歯状波W1、W2と比較する直流電圧設定ゲインkに比例する。このため、直流電圧設定ゲインkを選定することで、降圧して得られる直流電圧の大きさを制御できる。ここで、R相パルスとT相パルスがスイッチング周期Tの中で両方ONするために、直流電圧設定ゲインkの最小値は0.5であり、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcが鋸歯状波W1、W2を越えないために、直流電圧設定ゲインkの最大値は、1となる。したがって、kの設定可能範囲は、0.5〜1の範囲内である。
つぎに、入力電流について説明する。R相の入力電流は、R相制御電圧kaの時間に比例する正の電流が流れる。T相の入力電流は、T相制御電圧kcの絶対値|kc|に比例する負の電流、すなわち、T相制御電圧kcに比例する電流が流れる。S相の入力電流は、区間1=T×(1−ka)で正の電流が流れ、区間3=T×(1+kc)で負の電流が流れる。従って、流れる正の電流は、T×(1−ka)−T×(1+kc)=T×(−ka−kc)=T×k×(−a−c)=T×k×bとなり、スイッチング周期Tの平均をTで除するとS相制御電圧kbとなる。このように、R相、S相、T相の電流は、R相制御電圧ka、S相制御電圧kb、T相制御電圧kcに比例する電流が流れることになり、入力の電圧に比例する電流が平均的に流れることになる。
本スイッチングによる直流電圧と入力電流をまとめると次のようになる。
(1)スイッチング周期Tにおける直流電圧の平均値は、降圧された一定の電圧値となる。
(2)スイッチング周期Tにおける入力電流の平均値は、入力の電圧比に分配される。
つぎに、入力電流が正弦波になることを説明する。3相交流電圧のR相電圧をVsin(ωt)、S相電圧をVsin(ωt+120)、T相電圧をVsin(ωt+240)とする。上記(2)より、入力電流は、R相電流をI(t)sin(ωt)、S相電流をI(t)sin(ωt+120)、T相電流をI(t)sin(ωt+240)と一般化して書くことができる。但し、I(t)は入力電流の振幅である。
この時の入力電力Pは、以下のように表すことができる。
P=Vsin(ωt)×I(t)sin(ωt)+Vsin(ωt+120)×I(t)sin(ωt+120)Vsin(ωt+240)+I(t)sin(ωt+240)
=V×I(t)sin2(ωt)+V×I(t)sin2(ωt+120)+V×I(t)sin2(ωt+240)
=V×I(t){sin2(ωt)+sin2(ωt+120)+sin2(ωt+240)}
{ }内を計算すると、{ }内は、定数3/2であるので、
P=V×I(t)×3/2を変形して、I(t)=P/V×2/3
ここで、Pが一定の場合、Vは一定であるので、I(t)は、時間に依存しない一定値となる。即ち、入力電流は、正弦波である。
(3)上記(2)の条件の下で、電力が一定である場合、入力電流は正弦波となる。
3相スイッチ整流器100(図12参照)において、スイッチングパターン発生器5および駆動回路6で上記のスイッチングを行い、スイッチング周期T内での直流電圧の変動を除去する直流リアクトル2を全波整流回路4の出力側に接続したため、直流電圧は、上記(1)より一定となる。基本の形態では、機械MCの負荷が、短時間(100msec程度)において、一定電力とみなす。スイッチング周期T内での入力電流変動を除去する入力コンデンサ9を双方向スイッチ回路3の入力側に接続することで、上記(3)より、入力電流は、正弦波となる。
なお、上記では、スイッチングパターンを生成するために、鋸歯状波を使用した場合を説明したが、これに限られるものではなく、最大電圧相と最小電圧相に対する制約を満足させるものであればよく、例えば、三角波等のキャリア波形を用いることにしてもよい。
次に、基本の形態における直流電圧および直流電流のシミュレーション結果について図20を用いて説明する。図20は、3相スイッチ整流器100の入力交流電流(図20(a))、出力直流電圧(図20(b))、及び出力直流電流(図20(c))のシミュレーション結果を示している。3相スイッチ整流器100(図12参照)において、直流入力電圧3相=200V(線間電圧)、機器MCの負荷として負荷抵抗=20Ω、入力の3相リアクトル8として系統のリアクタンスを考慮して100μH、入力コンデンサ9=3μF/相、コンデンサ10=2μF、直流リアクトル2=2mH、スイッチング周波数50kHz、直流電圧設定ゲインk=0.9の条件でシミュレーションを行った。3相電圧の全波整流のリップルの下限の電圧(直流電圧として取り出せる最大の電圧)は200×21/2×(31/2/2)=245Vであるのに対し、図20(b)に示すように、基本の形態では、直流電圧は、DC約220Vで一定でほぼ理論通りであり、降圧されており、また、直流電流も一定となっており、入力電流もスイッチングに伴う変動はあるものの正弦波状になっている。なお、上記シミュレーションは、線間電圧に基づいており、直流電圧と直流電流はそれぞれ機器(負荷)MCの両端の電圧と機器(負荷)MCに流入する電流である。
このように、3相スイッチ整流器100の入力側において3相交流電源PSが適正に接続されていると、直流電圧の脈動や入力電流の高調波を低減でき、歪みの少ない直流電力を機器MC,MC’へ供給することができる。
しかし、3相スイッチ整流器100の入力側において3相交流電源PSのN相端子PSnが誤接続されることがある。例えば、図12に示すように、3相スイッチ整流器100の筐体101上に複数の入力側端子IT−r,IT−s,IT−t,IT−nが集合的に設けられている場合、3相交流電源PSを3相スイッチ整流器100に接続する作業者が、3相交流電源PSのN相端子PSnを誤って入力側端子IT−r〜IT−tのいずれかに接続する可能性がある。3相スイッチ整流器100の入力側において3相交流電源PSのN相端子PSnが誤接続されると、N相の電力を受けるべき制御用の電源回路(例えば、パワーモジュール電源回路72)に想定外の電圧がかかって劣化又は破損する可能性がある。
例えば、3相交流電源のT相端子PStが入力側端子IT−tに接続され、3相交流電源のN相端子PSnが入力側端子IT−nに接続されていれば、パワーモジュール電源回路72に例えば、AC約200Vの電圧(振幅約200Vの正弦波の交流電圧)が供給される。すなわち、3相交流電源PSのN相端子PSnが適正に接続されている場合、パワーモジュール電源回路72に例えば、AC約200Vの電圧が供給される。
一方、例えば、3相交流電源のT相端子PStが入力側端子IT−tに接続され、3相交流電源のN相端子PSnが入力側端子IT−rに接続され、3相交流電源のR相端子PSrが入力側端子IT−nに接続されていれば、パワーモジュール電源回路72に例えば、AC約400Vの電圧(振幅約400Vの正弦波の交流電圧)が供給される。すなわち、3相交流電源PSのN相端子PSnが誤接続されている場合、パワーモジュール電源回路72に、例えばAC約400Vの電圧が供給される。
このとき、パワーモジュール電源回路72は、例えば、AC約200Vの電圧で動作するように設計されているので、想定外の電圧がかかって内部の素子(例えば、トランジスタ等)が劣化又は破損する可能性がある。パワーモジュール電源回路72が劣化又は破損すると、スイッチングパターン発生器5及び駆動回路6のそれぞれへ適正な制御用の電力を供給することが困難になるので、3相スイッチ整流器100を正しく動作できない可能性がある。
例えば、3相スイッチ整流器は、3相4線入力に欠相、誤配線が発生すると、スイッチング素子SE(図13参照)へ適切なPWM変調ができず、パワーモジュールPMの異常動作や回路破壊となる可能性がある。電源確保のためにもN相は正しく接続される必要がある。
そこで、実施の形態1では、図1に示すように、3相スイッチ整流器100iにおいて、スイッチボックス60iを設けて切り替えることで、3相スイッチ整流器100iの入力側における3相交流電源PSのN相端子PSnの誤接続による影響の低減を目指す。図1は、3相スイッチ整流器100iの構成を示す図である。以下では、基本の形態と異なる部分を中心に説明する。
具体的には、3相スイッチ整流器100iは、スイッチボックス(接続回路)60iをさらに備える。スイッチボックス60iは、複数の入力側端子IT−r〜IT−nとパワーモジュールPMとの間に設けられ、3相交流電源PSを後段の回路(例えば、パワーモジュールPM)に接続する。スイッチボックス60iは、例えば、複数の入力側端子IT−r〜IT−nと3相リアクトル8との間に電気的に接続される。
スイッチボックス60iは、複数の入力側端子L1〜L4、複数の出力側端子R,S,T、N相出力側端子N、及び切り替え部63iを有する。
複数の入力側端子L1〜L4は、それぞれ、3相交流電源の3相及びN相のいずれかの端子が接続される。入力側端子L1,L2,L3,L4は、それぞれ、3相スイッチ整流器100iの入力側端子IT−r,IT−s,IT−t,IT−nに電気的に接続されている。各入力側端子L1〜L4は、対応する入力側端子に接続された3相交流電源PSの端子から3相交流電力のいずれかの相電力及びN相が入力される。
複数の出力側端子R〜Tは、それぞれ、3相の電力のいずれかが出力されるように設けられている。例えば、出力側端子Rは、R相の電力が出力されるように設けられている。例えば、出力側端子Sは、S相の電力が出力されるように設けられている。例えば、出力側端子Tは、T相の電力が出力されるように設けられている。出力側端子R,S,Tは、それぞれ、パワーモジュールPMの入力ノードN−r,N−s,N−tに電気的に接続されている。入力ノードN−r,N−s,N−tは、それぞれ、R相、S相、T相の電力の供給が予定されている入力ノードである。
N相出力側端子Nは、N相が出力されるように設けられている。N相は、R相、S相、T相に対して基準となる中性相である。N相出力側端子Nは、パワーモジュールPMのパワーモジュール電源回路(制御用の電源回路)72に接続されている。
切り替え部63iは、複数の入力側端子L1〜L4とN相出力側端子Nとの間の電気的な接続を切り替えるように構成されている。例えば、切り替え部63iは、コントローラ200iによる制御のもと、複数の入力側端子L1〜L4のうち3相交流電源PSのN相端子PSnが接続された入力側端子をN相出力側端子Nに接続するように、複数の入力側端子L1〜L4とN相出力側端子Nとの間の電気的な接続を切り替える。
より具体的には、スイッチボックス60iの切り替え部63iは、図2に示すように、構成されている。図2は、スイッチボックス60iの構成を示す図である。
スイッチボックス60iの切り替え部63iは、複数のスイッチSW1〜SW5を有する。
スイッチ(第1のスイッチ)SW1は、入力側端子(第1の入力側端子)L1と出力側端子(第1の出力側端子)R及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW1は、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L1を出力側端子Rに接続した状態と入力側端子L1をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW1は、端子T10〜T12を有する。端子T10は、入力側端子L1に電気的に接続されている。端子T11は、出力側端子Rに電気的に接続されている。端子T12は、N相出力側端子Nに電気的に接続されている。スイッチSW1は、コントローラ200iによる制御に従い、端子T10が端子T11に接続された状態と端子T10が端子T12に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW1は、入力側端子L1を出力側端子Rに接続した状態と入力側端子L1をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
スイッチ(第2のスイッチ)SW2は、入力側端子(第2の入力側端子)L2と出力側端子(第2の出力側端子)S及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW2は、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L2を出力側端子Sに接続した状態と入力側端子L2をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW2は、端子T20〜T22を有する。端子T20は、入力側端子L2に電気的に接続されている。端子T21は、出力側端子Sに電気的に接続されている。端子T22は、N相出力側端子Nに電気的に接続されている。スイッチSW2は、コントローラ200iによる制御に従い、端子T20が端子T21に接続された状態と端子T20が端子T22に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW2は、入力側端子L2を出力側端子Sに接続した状態と入力側端子L2をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
スイッチ(第3のスイッチ)SW3は、入力側端子(第3の入力側端子)L3と出力側端子(第3の出力側端子)T及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW3は、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L3を出力側端子Tに接続した状態と入力側端子L3をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW3は、端子T30〜T32を有する。端子T30は、入力側端子L3に電気的に接続されている。端子T31は、出力側端子Tに電気的に接続されている。端子T32は、N相出力側端子Nに電気的に接続されている。スイッチSW3は、コントローラ200iによる制御に従い、端子T30が端子T31に接続された状態と端子T30が端子T32に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW3は、入力側端子L3を出力側端子Tに接続した状態と入力側端子L3をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
スイッチ(第4のスイッチ)SW4は、入力側端子(第4の入力側端子)L4とスイッチ(第5のスイッチ)SW5との間に電気的に接続されている。スイッチSW4は、コントローラ200iによる制御に従い、オン状態とオフ状態とを切り替える。スイッチSW4は、オンすることで入力側端子L4をスイッチSW5に導通させ、オフすることで入力側端子L4をスイッチSW5から遮断させる。例えば、スイッチSW4は、スイッチSW5が切り替わる過渡的な期間において、オフした状態に維持され、スイッチSW5の切り替わり動作中に入力側端子L4に供給された電力が不適切な出力側端子へ供給されてないようにする。そして、スイッチSW4は、スイッチSW5の切り替わりが完了したら、オンした状態に維持され、入力側端子L4に供給された電力が適切な出力側端子へ供給されるようにする。
例えば、スイッチSW4は、端子T40,T41を有する。端子T40は、入力側端子L4に電気的に接続されている。端子T41は、スイッチSW5に電気的に接続されている。出力側端子スイッチSW4は、コントローラ200iによる制御に従い、端子T40が端子T41に接続された状態と端子T40が端子T41から遮断された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW4は、入力側端子L4をスイッチSW5に接続した状態と入力側端子L4がスイッチSW5から遮断された状態とを切り替える。
スイッチ(第5のスイッチ)SW5は、スイッチSW4と出力側端子R〜T及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW5は、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L4をオープンにした状態と、入力側端子L4を出力側端子Rに接続した状態と、入力側端子L4を出力側端子Sに接続した状態と、入力側端子L4を出力側端子Tに接続した状態と、入力側端子L4をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW5は、端子T50〜T55を有する。端子T50は、スイッチSW4を介して入力側端子L4に電気的に接続されている。端子T51は、オープンにされている。端子T52は、出力側端子Rに電気的に接続されている。端子T53は、出力側端子Sに電気的に接続されている。端子T54は、出力側端子Tに電気的に接続されている。端子T55は、N相出力側端子Nに電気的に接続されている。スイッチSW5は、コントローラ200iによる制御に従い、端子T50が端子T51に接続された状態と、端子T50が端子T52に接続された状態と、端子T50が端子T53に接続された状態と、端子T50が端子T54に接続された状態と、端子T50が端子T55に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW5は、入力側端子L4をオープンにした状態と、入力側端子L4を出力側端子Rに接続した状態と、入力側端子L4を出力側端子Sに接続した状態と、入力側端子L4を出力側端子Tに接続した状態と、入力側端子L4をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
切り替え部63iにおける各スイッチSW1〜SW5の制御は、コントローラ200iにより行われる。例えば、コントローラ200iは、図1に示すように、誤接続判定回路202i、誤接続判定用電源203i、及び切替制御回路204iを有する。誤接続判定回路202i、誤接続判定用電源203i、及び切替制御回路204iは、例えば、誤接続判定用基板201i上に実装されている。
誤接続判定用電源203iは、誤接続判定回路202iによる判定動作に必要な電源として、広範囲の電源電圧(例えば、AC約200V〜AC約400V)を生成する。誤接続判定用電源203iは、生成された電源電圧を誤接続判定回路202iへ供給する。
誤接続判定回路202iは、スイッチボックス60iにおける各入力側端子L1〜L4の電圧を検知することができる。例えば、誤接続判定回路202iは、複数の入力側端子L1〜L4のうち1組の入力側端子を選択し、選択された組の2つの入力側端子間の電圧を閾値と比較する。誤接続判定回路202iは、このような比較を、複数の入力側端子L1〜L4のうちから選択された異なる複数の組について行う。誤接続判定回路202iは、その比較を複数の組(例えば、3組以上)について行った結果に応じて、複数の入力側端子L1〜L4のうち3相交流電源PSのN相端子PSnが接続された入力側端子を特定する。誤接続判定回路202iは、3相交流電源PSのN相端子PSnが接続されたものとして特定された入力側端子を切替制御回路204iに通知する。
切替制御回路204iは、スイッチボックス60iにおいて、上記の特定された入力側端子がN相出力側端子Nに電気的に接続されるように、各スイッチSW1〜SW5の制御信号を生成する。切替制御回路204iは、生成された制御信号を各スイッチSW1〜SW5へ供給する。
より具体的には、コントローラ200iは、図3に示すように3相スイッチ整流器100iを制御する。図3は、3相スイッチ整流器100iの制御を示すフローチャートである。なお、制御部7(図12参照)は、双方向スイッチ回路3をスイッチング制御するための波形を予め組み立てているものとする。
ステップS10において、コントローラ200iは、3相スイッチ整流器100iの複数の入力側端子IT−r〜IT−nについて、欠相又はアンバランスの有無を検知する。欠相は、例えば、R相、S相、T相のうち少なくとも1つの相が欠けていることである。アンバランスは、前述したようなR相電圧a+S相電圧b+T相電圧c=0の3相条件が成り立たないこと(例えば、3相のいずれかの相電圧が、規定の電圧値に満たなかったり、他の相電圧との位相差が120°にならないこと)である。コントローラ200iは、欠相又はアンバランスがある場合、処理を終了し、欠相もアンバランスもない場合、処理をステップS20へ進める。例えば、ステップS10では、ステップS11〜ステップS14の処理が行われる。
ステップS11において、コントローラ200iは、複数の入力側端子L1〜L4のうち1組の入力側端子を選択する。コントローラ200iは、2回目以降の処理であれば、複数の入力側端子L1〜L4のうち未選択の1組の入力側端子を選択する。コントローラ200iは、選択された組の2つの入力側端子間の電圧(すなわち、線間電圧)を検知する。
例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2)の線間電圧を検知する。あるいは、例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2)が既選択であれば、組(L1,L3)の線間電圧を検知する。あるいは、例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2),(L1,L3)が既選択であれば、組(L1,L4)の線間電圧を検知する。あるいは、例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2),(L1,L3),(L1,L4)が既選択であれば、組(L2,L3)の線間電圧を検知する。あるいは、例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2),(L1,L3),(L1,L4),(L2,L3)が既選択であれば、組(L2,L4)の線間電圧を検知する。あるいは、例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2),(L1,L3),(L1,L4),(L2,L3),(L2,L4)が既選択であれば、組(L3,L4)の線間電圧を検知する。
ステップS12において、コントローラ200iは、ステップS11で検知された線間電圧を閾値TH1と比較する。閾値TH1は、欠相又はアンバランスの有無を検知するための閾値であって、例えば、AC約150Vである。コントローラ200iは、線間電圧が閾値TH1を超えている場合(ステップS12でNo)、検知対象の線間には欠相又はアンバランスがないものとして、処理をステップS13へ進める。コントローラ200iは、線間電圧が閾値TH1以下である場合(ステップS12でYes)、検知対象の線間には欠相又はアンバランスがあるものとして、処理をステップS14へ進める。例えば、コントローラ200iは、線間電圧が有限値(線間電圧≦TH1)である場合、3相のうち少なくとも1相の欠相が発生したか、又は2相の間で位相及び振幅の少なくとも一方のアンバランスが発生したものと判断することができる。
ステップS13において、コントローラ200iは、複数の入力側端子L1〜L4のうち選択可能な全ての組についてステップS11,S12の処理が行われたか否かを判断する。コントローラ200iは、未選択の組が存在する場合(ステップS13でNo)、処理をステップS11へ戻し、未選択の組が存在しない場合(ステップS13でYes)、処理をステップS20へ進める。
ステップS14において、コントローラ200iは、3相スイッチ整流器100iの起動を禁止するように、3相スイッチ整流器100iを制御する。
なお、コントローラ200iは、エラー内容を報知してもよい。例えば、コントローラ200iは、線間電圧が0近傍の値(−ΔV≦線間電圧≦ΔV)である場合、3相のうち少なくとも1相の欠相が発生したことをエラー内容に含めることができる。例えば、コントローラ200iは、線間電圧が有限値(ΔV<線間電圧≦TH1)である場合、3相のうち少なくとも2相の間で位相及び/又は振幅のアンバランスが発生したことをエラー内容に含めることができる。コントローラ200iは、エラー内容を、表示装置への表示又は音声装置への音声出力などにより報知できる。
ステップS20において、コントローラ200iは、3相スイッチ整流器100iの複数の入力側端子IT−r〜IT−nについて、3相交流電源PSのN相端子PSnが誤接続されている入力側端子を特定して繋ぎ直す。例えば、ステップS20では、ステップS21〜ステップS25の処理が行われる。
ステップS21において、コントローラ200iは、複数の入力側端子L1〜L4のうち1組の入力側端子を選択する。コントローラ200iは、2回目以降の処理であれば、複数の入力側端子L1〜L4のうち未選択の1組の入力側端子を選択する。コントローラ200iは、選択された組の2つの入力側端子間の電圧(すなわち、線間電圧)を検知する。
例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2)の線間電圧を検知する。あるいは、例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2)が既選択であれば、組(L1,L3)の線間電圧を検知する。あるいは、例えば、コントローラ200iは、組(L1,L2),(L1,L3)が既選択であれば、組(L1,L4)の線間電圧を検知する。
なお、コントローラ200iは、ステップS11で検知した際に検知結果(組と線間電圧とが対応付けられたテーブル)を記憶しておき、ステップS21において参照することで選択された組の線間電圧を取得してもよい。
ステップS22において、コントローラ200iは、ステップS21で検知(又は取得)された線間電圧を閾値TH2と比較する。閾値TH2は、N相端子PSnの誤接続の有無を判断するための閾値であって、例えば、AC約300Vである。コントローラ200iは、線間電圧が閾値TH2未満である場合(ステップS22でYes)、検知対象の線間にはN相が含まれるものとして、処理をステップS23へ進める。コントローラ200iは、線間電圧が閾値TH2以上である場合(ステップS22でNo)、検知対象の線間にはN相が含まれないものとして、処理をステップS21へ戻す。
ステップS23において、コントローラ200iは、複数の入力側端子L1〜L4のうち異なる3以上の組についてステップS21,S22の処理が行われたか否かを判断する。コントローラ200iは、3以上の組について行われていない場合(ステップS23でNo)、処理をステップS21へ戻し、3以上の組について行われた場合(ステップS23でYes)、処理をステップS24へ進める。
ステップS24において、コントローラ200iは、3以上の組について行われたステップS22の比較結果に応じて、複数の入力側端子L1〜L4のうち3相交流電源PSのN相端子PSnが接続された入力側端子を特定する。
例えば、3つの組(L1,L2),(L1,L3),(L1,L4)のうち、全ての組(L1,L2),(L1,L3),(L1,L4)の線間電圧が閾値TH2未満である場合、入力側端子L1をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定できる。
例えば、3つの組(L1,L2),(L1,L3),(L1,L4)のうち、組(L1,L2)の線間電圧が閾値TH2未満であり、他の組(L1,L3),(L1,L4)の線間電圧がそれぞれ閾値TH2以上である場合、入力側端子L2をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定できる。
例えば、3つの組(L1,L2),(L1,L3),(L1,L4)のうち、組(L1,L3)の線間電圧が閾値TH2未満であり、他の組(L1,L2),(L1,L4)の線間電圧がそれぞれ閾値TH2以上である場合、入力側端子L3をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定できる。
例えば、3つの組(L1,L2),(L1,L3),(L1,L4)のうち、組(L1,L4)の線間電圧が閾値TH2未満であり、他の組(L1,L2),(L1,L3)の線間電圧がそれぞれ閾値TH2以上である場合、入力側端子L4をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定できる。
ステップS25において、コントローラ200iは、スイッチボックス60iにおいて、ステップS24で特定された入力側端子がN相出力側端子Nに電気的に接続されるように、繋ぎ直させる。
例えば、コントローラ200iは、入力側端子L1をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、図4(a)に示すようにスイッチボックス60iの各スイッチSW1〜SW5を制御する。これに応じて、スイッチボックス60iの切り替え部63iは、スイッチSW1が入力側端子L1をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW2〜SW5が入力側端子L2〜L4を出力側端子R〜Tに接続するように切り替える。
あるいは、例えば、コントローラ200iは、入力側端子L2をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、図4(b)に示すようにスイッチボックス60iの各スイッチSW1〜SW5を制御する。これに応じて、スイッチボックス60iの切り替え部63iは、スイッチSW2が入力側端子L2をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW1,SW3〜SW5が入力側端子L1,L3〜L4を出力側端子R〜Tに接続するように切り替える。
あるいは、例えば、コントローラ200iは、入力側端子L3をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、図4(c)に示すようにスイッチボックス60iの各スイッチSW1〜SW5を制御する。これに応じて、スイッチボックス60iの切り替え部63iは、スイッチSW3が入力側端子L3をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW1,SW2,SW4,SW5が入力側端子L1,L2,L4を出力側端子R〜Tに接続するように切り替える。
あるいは、例えば、コントローラ200iは、入力側端子L4をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、図4(d)に示すようにスイッチボックス60iの各スイッチSW1〜SW5を制御する。これに応じて、スイッチボックス60iの切り替え部63iは、スイッチSW4,SW5が入力側端子L4をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW1〜SW3が入力側端子L1〜L3を出力側端子R〜Tに接続するように切り替える。
ステップS30において、コントローラ200iは、3相スイッチ整流器100iの複数の入力側端子IT−r〜IT−nについて、3相の入力側端子を特定して、波形を組み立て直す。例えば、ステップS30では、ステップS31〜ステップS33の処理が行われる。
ステップS31において、コントローラ200iは、複数の入力側端子L1〜L4のうちステップS24で特定された入力側端子を除く3つの入力側端子を3相用の入力側端子とする。コントローラ200iは、3つの入力側端子のうち2つの入力側端子を選択して、2つの入力側端子の電圧の位相差を検知する。
例えば、2つの入力側端子のそれぞれについて図示しないツェナーダイオード及び増幅回路を接続し、増幅回路から出力されるゼロクロス信号でセロクロス点のタイミングを検知する。例えば、増幅回路としてバイポーラトランジスタを用意し、ツェナーダイオードのアノードを入力側端子に接続し、ツェナーダイオードのカソードをバイポーラトランジスタのベースに接続すると、入力側端子の電圧波形がゼロクロスするタイミングでバイポーラトランジスタが大きな増幅率を示し、大きなコレクタ電流をゼロクロス信号として出力する。増幅回路からそのゼロクロス信号が出力されるタイミングをセロクロス点のタイミングとして検知できる。そして、2つの入力側端子についてセロクロス点のタイミングの差から2つの入力側端子の電圧の位相差を求めることができる。
ステップS32において、コントローラ200iは、ステップS31で検知された結果に応じて、3つの入力側端子のそれぞれに3相交流電源PSのどの相の端子が接続されているのかを特定する。
例えば、3つの入力側端子がL1〜L3である場合、入力側端子L1の電圧を基準として入力側端子L2の電圧が120度の位相差を有すれば、入力側端子L1,L2,L3に、それぞれ、3相交流電源PSのR相端子PSr、S相端子PSs、T相端子PStが接続されているものと特定できる。
あるいは、例えば、3つの入力側端子がL1〜L3である場合、入力側端子L1の電圧を基準として入力側端子L2の電圧が240度の位相差を有すれば、入力側端子L1,L2,L3に、それぞれ、3相交流電源PSのR相端子PSr、T相端子PTt、S相端子PSsが接続されているものと特定できる。
ステップS33において、コントローラ200iは、ステップS32で特定された結果に応じて、波形の組み立て直しを行う。
例えば、3つの入力側端子がL1〜L3である場合、入力側端子L1,L2,L3に、それぞれ、3相交流電源PSのR相端子PSr、S相端子PSs、T相端子PStが接続されているものと特定されれば、コントローラ200iは、適正に接続されているものとして、3相スイッチ整流器100iの制御部7(図12参照)を制御する。これに応じて、スイッチパターン発生器5は、図19に示すようなR相パルス、S相パルス、T相パルスを発生させ、駆動回路6は、そのスイッチパターンに応じてR相、S相、T相のスイッチング素子SE(図13、図21参照)を駆動させる。
あるいは、例えば、3つの入力側端子がL1〜L3である場合、入力側端子L1,L2,L3に、それぞれ、3相交流電源PSのR相端子PSr、T相端子PSt、S相端子PSsが接続されているものと特定されれば、コントローラ200iは、S相とT相とが逆に接続されているものとして、3相スイッチ整流器100iの制御部7(図12参照)を制御する。これに応じて、スイッチパターン発生器5は、図5に示すようなR相パルス、S相パルス、T相パルスを発生させ、駆動回路6は、そのスイッチパターンに応じてR相、S相、T相のスイッチング素子SE(図13、図21参照)を駆動させる。
以上のように、実施の形態1では、3相スイッチ整流器100iにおいて、3相交流電源PSを後段の回路(例えば、パワーモジュール電源回路72を含むパワーモジュールPM)に接続するスイッチボックス60iを設ける。スイッチボックス60iにおいて、切り替え部63iが、複数の入力側端子L1〜L4とN相出力側端子Nとの間の電気的な接続を切り替える。これにより、3相スイッチ整流器100iの入力側において3相交流電源PSのN相端子PSnが誤接続されている場合に、スイッチボックス60iの入力側で3相交流電源のN相端子が接続された入力側端子をスイッチボックス60iの出力側のN相出力側端子Nに繋ぎ直すことができる。
これにより、3相スイッチ整流器の入力側で3相交流電源のN相端子Nが誤接続されていることによる影響を低減できる。例えば、スイッチボックス60iの後段に接続された電源回路(例えば、パワーモジュール電源回路72)に想定外の電圧が印加されることを抑制でき、スイッチボックス60iの後段の電源回路の劣化又は破損を抑制できる。したがって、パワーモジュールPMの適正な電源を確保でき、パワーモジュールPMの異常動作及び回路破壊を防止できる。
したがって、3相スイッチ整流器100iの電力供給先である複数の機器MC−1〜MC−7の劣化又は破壊も防止できる。なお、複数の機器MC−1〜MC−7は、例えば、コンプレッサMC−1、四方弁MC−2、室外熱交換器(図示せず)、膨張弁MC−4、電磁コンダクタMC−5、室内熱交換器(図示せず)、アキュムレータ(図示せず)、室外ファンMC−7、及び室内ファン(図示せず)を有する。3相スイッチ整流器100iの出力側端子OT−p、OT−nには、図1に示すように、コンプレッサMC−1、室外ファンMC−7、及び基板電源PS2が並列に接続されている。基板電源PS2は、例えば、室外機基板PCB上に実装され、室外機基板PCB上の導電パターンを介して、四方弁MC−2、膨張弁MC−4、電磁コンダクタMC−5が並列に接続されている。コンプレッサMC−1及び室外ファンMC−7のそれぞれにおけるモータM’として、例えば、3相スイッチ整流器100iから出力された直流電力で動作するDCモータを用いることができる。
また、実施の形態1では、3相スイッチ整流器100iのスイッチボックス60iにおいて、切り替え部63iがスイッチSW1〜SW5を有する。スイッチSW1は、入力側端子L1と出力側端子R及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW2は、入力側端子L2と出力側端子S及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW3は、入力側端子L3と出力側端子T及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW4は、入力側端子L4に電気的に接続されている。スイッチSW5は、スイッチSW4と出力側端子R〜T及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。これにより、複数の入力側端子L1〜L4とN相出力側端子Nとの間の電気的な接続を切り替えることができる。
また、実施の形態1では、3相スイッチ整流器100iのパワーモジュールPMにおいて、制御部7が、スイッチボックス60iにおける複数の入力側端子L1〜L4と複数の出力側端子R〜Tとの電気的な接続に合うように、複数のスイッチング素子SEのスイッチングパターンを制御する。これにより、3相スイッチ整流器100iの入力側において3相交流電源PSの3相の端子PSr〜PStを誤接続した場合に、スイッチボックス60iにおける複数の入力側端子L1〜L4と複数の出力側端子R〜Tとの電気的な接続に合うように、パワーモジュールPMにおけるスイッチング制御に用いられる波形をソフトウェア的に組み立て直すことができる。この結果、3相スイッチ整流器100iの入力側で3相交流電源の3相の端子PSr〜PStが誤接続されていることによる影響を低減できる。
また、実施の形態1では、3相スイッチ整流器100iの制御方法(図3参照)において、3相のいずれかの電力及びN相がそれぞれ入力される複数の入力側端子L1〜L4のうち選択された組の2つの入力側端子間の電圧を閾値と比較する(ステップS21,S22参照)。その比較を複数の組(例えば、3組以上)について行った結果に応じて、複数の入力側端子L1〜L4のうち3相交流電源のN相端子PSnが接続された入力側端子を特定する(ステップS23,S24参照)。N相出力側端子Nに、上記の特定された入力側端子が電気的に接続されるように、複数の入力側端子L1〜L4とN相出力側端子Nとの間の電気的な接続を切り替える(ステップS25参照)。
これにより、3相スイッチ整流器100iの入力側において3相交流電源PSのN相端子PSnが誤接続されている場合に、スイッチボックス60iの入力側で3相交流電源のN相端子が接続された入力側端子を特定してスイッチボックス60iの出力側のN相出力側端子Nに繋ぎ直すことができる。すなわち、コントローラ200iによるソフトウェア判定とスイッチボックス60iによる繋ぎ直しとを複合で利用することで、接続配線フリーの正常整流動作を必要最小限の回路構成で実現できる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2にかかる3相スイッチ整流器100jについて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1では、3相交流電源PSの3相の端子PSr〜PStの誤接続に対してスイッチング制御の波形をソフトウェア的に組み立て直すことで対応しているが、実施の形態2では、3相交流電源PSの3相の端子PSr〜PStの誤接続に対してスイッチボックス60j内でハードウェア的に繋ぎ直すことで対応する。
具体的には、3相スイッチ整流器100jは、スイッチボックス60i(図2参照)に代えて、図6に示すようなスイッチボックス60jを備える。スイッチボックス60jは、複数の入力側端子L1〜L4と複数の出力側端子R〜Tとの間の電気的な接続を切り替える。
より具体的には、スイッチボックス60jは、スイッチSW2,SW3に代えて、スイッチSW2j,SW3jを有する。
スイッチ(第2のスイッチ)SW2jは、入力側端子(第2の入力側端子)L2と出力側端子(第2の出力側端子)S、出力側端子(第3の出力側端子)T、及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW2jは、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L2を出力側端子Sに接続した状態と入力側端子L2をN相出力側端子Nに接続した状態と入力側端子L2を出力側端子Tに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW2jは、端子T20〜T23を有する。端子T20は、入力側端子L2に電気的に接続されている。端子T21は、出力側端子Sに電気的に接続されている。端子T22は、N相出力側端子Nに電気的に接続されている。端子T23は、出力側端子Tに電気的に接続されている。スイッチSW2jは、コントローラ200iによる制御に従い、端子T20が端子T21に接続された状態と端子T20が端子T22に接続された状態と端子T20が端子T23に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW2jは、入力側端子L2を出力側端子Sに接続した状態と入力側端子L2をN相出力側端子Nに接続した状態と入力側端子L2を出力側端子Tに接続した状態とを切り替える。
スイッチ(第3のスイッチ)SW3jは、入力側端子(第3の入力側端子)L3と出力側端子(第2の出力側端子)S、出力側端子(第3の出力側端子)T、及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW3jは、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L3を出力側端子Tに接続した状態と入力側端子L3をN相出力側端子Nに接続した状態と入力側端子L3を出力側端子Sに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW3jは、端子T30〜T33を有する。端子T30は、入力側端子L3に電気的に接続されている。端子T31は、出力側端子Tに電気的に接続されている。端子T32は、N相出力側端子Nに電気的に接続されている。端子T33は、出力側端子Sに電気的に接続されている。スイッチSW3jは、コントローラ200iによる制御に従い、端子T30が端子T31に接続された状態と端子T30が端子T32に接続された状態と端子T30が端子T33に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW3は、入力側端子L3を出力側端子Tに接続した状態と入力側端子L3をN相出力側端子Nに接続した状態と入力側端子L3を出力側端子Sに接続した状態とを切り替える。
また、コントローラ200iによる切り替え部63jの各スイッチSW1〜SW5の制御が、図7に示すように、次の点で実施の形態1と異なる。
ステップS25iにおいて、コントローラ200iは、スイッチボックス60iにおいて、ステップS24で特定された入力側端子がN相出力側端子Nに電気的に接続されるように繋ぎ直させるが、他の入力側端子については仮に接続しておく。
例えば、コントローラ200iは、入力側端子L4をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、スイッチSW2j,SW3jが入力側端子L2,L3をデフォルトの出力側端子S,Tに接続するように切り替える。
ステップS33iにおいて、コントローラ200iは、ステップS32で特定された結果に応じて、複数の入力側端子L1〜L4及び複数の出力側端子R〜Tの間の電気的に接続の繋ぎ直しを行う。
例えば、3つの入力側端子がL1〜L3である場合、入力側端子L1,L2,L3に、それぞれ、3相交流電源PSのR相端子PSr、S相端子PSs、T相端子PStが接続されているものと特定されれば、コントローラ200iは、図8(a)に示すようにスイッチボックス60jの各スイッチSW2j,SW3jを制御する。これに応じて、スイッチボックス60jの切り替え部63jは、スイッチSW2jが入力側端子L2を出力側端子Sに接続し、スイッチSW3jが入力側端子L3を出力側端子Tに接続した状態に維持する。
なお、R相、S相、T相の電圧位相が互いに対称であることを考慮すると、入力側端子L1,L2,L3にS相端子PSs、T相端子PSt、R相端子PSrが接続された場合、入力側端子L1,L2,L3にT相端子PSt、R相端子PSr、S相端子PSsが接続された場合についても、図8(a)の構成で対応することができる。
あるいは、例えば、3つの入力側端子がL1〜L3である場合、入力側端子L1,L2,L3に、それぞれ、3相交流電源PSのR相端子PSr、T相端子PSt、S相端子PSsが接続されているものと特定されれば、コントローラ200iは、S相とT相とが逆に接続されているものとして、図8(b)に示すようにスイッチボックス60jの各スイッチSW2j,SW3jを制御する。これに応じて、スイッチボックス60jの切り替え部63jは、スイッチSW2jが入力側端子L2を出力側端子Tに接続し、スイッチSW3jが入力側端子L3を出力側端子Sに接続するように切り替える。
なお、R相、S相、T相の電圧位相が互いに対称であることを考慮すると、入力側端子L1,L2,L3にT相端子PSt、S相端子PSs、R相端子PSrが接続された場合、入力側端子L1,L2,L3にS相端子PSs、R相端子PSr、T相端子PStが接続された場合についても、図8(b)の構成で対応することができる。
あるいは、例えば、3つの入力側端子がL1,L3,L4である場合、入力側端子L1,L3,L4に、それぞれ、3相交流電源PSのR相端子PSr、T相端子PSt、S相端子PSsが接続されているものと特定されれば、コントローラ200iは、図8(c)に示すようにスイッチボックス60jの各スイッチSW2j,SW3j,SW5を制御する。これに応じて、スイッチボックス60jの切り替え部63jは、スイッチSW2jが入力側端子L2をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW3jが入力側端子L3を出力側端子Sに接続し、スイッチSW5が入力側端子L4を出力側端子Tに接続するように切り替える。
以上のように、実施の形態2では、3相スイッチ整流器100jのスイッチボックス60jにおいて、切り替え部63jが、複数の入力側端子L1〜L4と複数の出力側端子R〜Tとの電気的な接続をさらに切り替える。これにより、3相スイッチ整流器100iの入力側において3相交流電源PSの3相の端子PSr〜PStを誤接続した場合に、3相の端子PSr〜PStが接続された入力側端子を適正な出力側端子に繋ぎ直すことができる。
したがって、例えば、スイッチボックス60jの出力側端子R〜Tに複数の機器MC−1〜MC−7を接続した場合に、スイッチボックス60jからの出力電力の電力供給先である複数の機器MC−1〜MC−7の劣化又は破壊も防止できる。なお、コンプレッサMC−1及び室外ファンMC−7のそれぞれにおけるモータMとして、例えば、スイッチボックス60jから出力された交流電力で動作するACモータを用いることができる。基板電源PS2は、例えば、コンバータをさらに有し、スイッチボックス60jから出力された交流電力をコンバータで直流電力に変換することで実施の形態1における基板電源PS2と同様の動作を実現できる。
また、実施の形態2では、3相スイッチ整流器100jのスイッチボックス60jにおいて、切り替え部63jがスイッチSW2j,SW3jを有する。スイッチSW2jは、入力側端子L2と出力側端子S、出力側端子T、及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW3jは、入力側端子L3と出力側端子S、出力側端子T、及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。これにより、複数の入力側端子L1〜L4と複数の出力側端子R〜Tとの電気的な接続を切り替えることができる。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3にかかる3相スイッチ整流器100kについて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1では、スイッチボックス60iの切り替え部63iを3極型のスイッチSW1〜SW4及び5極型のスイッチSW5を用いて構成しているが、実施の形態3では、スイッチボックス60kの切り替え部63kにおいて5極型のスイッチを用いずに3極型のスイッチSW1〜SW4,SW6〜SW8を用いて構成する。
具体的には、3相スイッチ整流器100kは、スイッチボックス60i(図2参照)に代えて、図10に示すようなスイッチボックス60kを備える。スイッチボックス60kの切り替え部63kは、5極のスイッチSW5(図2参照)に代えて、複数の3極型のスイッチSW6〜SW8を有する。複数の3極型のスイッチSW6〜SW8は、スイッチSW4と出力側端子R〜T及びN相出力側端子Nとの間において、カスケード接続されている。
スイッチ(第6のスイッチ)SW6は、スイッチ(第4のスイッチ)SW4とノード(第1のノード)ND1及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW6は、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L4を出力側端子R〜Tに接続した状態と入力側端子L4をN相出力側端子Nに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW6は、端子T60〜T62を有する。端子T60は、スイッチSW4を介して入力側端子L4に電気的に接続されている。端子T61は、N相出力側端子Nに電気的に接続されている。端子T62は、ノードND1を介して出力側端子R〜Tに電気的に接続されている。スイッチSW6は、コントローラ200iによる制御に従い、端子T60が端子T61に接続された状態と端子T60が端子T62に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW6は、入力側端子L4をN相出力側端子Nに接続した状態と入力側端子L4を出力側端子R〜Tに接続した状態とを切り替える。
スイッチ(第7のスイッチ)SW7は、ノード(第1のノード)ND1と出力側端子R及びノード(第2のノード)ND2との間に電気的に接続されている。スイッチSW7は、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L4を出力側端子Rに接続した状態と入力側端子L4を出力側端子S,Tに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW7は、端子T70〜T72を有する。端子T70は、スイッチSW4,SW6を介して入力側端子L4に電気的に接続されている。端子T71は、出力側端子Rに電気的に接続されている。端子T72は、ノードND2を介して出力側端子S,Tに電気的に接続されている。スイッチSW7は、コントローラ200iによる制御に従い、端子T70が端子T71に接続された状態と端子T70が端子T72に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW7は、入力側端子L4を出力側端子Rに接続した状態と入力側端子L4を出力側端子S,Tに接続した状態とを切り替える。
スイッチ(第8のスイッチ)SW8は、ノード(第2のノード)ND2と出力側端子S及び出力側端子Tとの間に電気的に接続されている。スイッチSW8は、コントローラ200iによる制御に従い、入力側端子L4を出力側端子Sに接続した状態と入力側端子L4を出力側端子Tに接続した状態とを切り替える。
例えば、スイッチSW8は、端子T80〜T82を有する。端子T80は、スイッチSW4,SW6,SW7を介して入力側端子L4に電気的に接続されている。端子T81は、出力側端子Sに電気的に接続されている。端子T82は、出力側端子Tに電気的に接続されている。スイッチSW8は、コントローラ200iによる制御に従い、端子T80が端子T81に接続された状態と端子T80が端子T82に接続された状態とを切り替える。これにより、スイッチSW8は、入力側端子L4を出力側端子Sに接続した状態と入力側端子L4を出力側端子Tに接続した状態とを切り替える。
また、図3に示すステップS25におけるスイッチボックス60kの動作が、図11に示すように実施の形態1と異なる。
例えば、コントローラ200iは、入力側端子L1をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、図11(a)に示すようにスイッチボックス60kの各スイッチSW1〜SW4,SW6〜SW8を制御する。これに応じて、スイッチボックス60kの切り替え部63kは、スイッチSW1が入力側端子L1をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW2〜SW4,SW6〜SW8が入力側端子L2〜L4を出力側端子R〜Tに接続するように切り替える。このとき、入力側端子L4は、スイッチSW4,SW6,SW7経由で出力側端子Rに接続される。
あるいは、例えば、コントローラ200iは、入力側端子L2をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、図11(b)に示すようにスイッチボックス60kの各スイッチSW1〜SW4,SW6〜SW8を制御する。これに応じて、スイッチボックス60kの切り替え部63kは、スイッチSW2が入力側端子L2をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW1,SW3〜SW4,SW6〜SW8が入力側端子L1,L3〜L4を出力側端子R〜Tに接続するように切り替える。このとき、入力側端子L4は、スイッチSW4,SW6,SW7,SW8経由で出力側端子Sに接続される。
あるいは、例えば、コントローラ200iは、入力側端子L3をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、図11(c)に示すようにスイッチボックス60kの各スイッチSW1〜SW4,SW6〜SW8を制御する。これに応じて、スイッチボックス60kの切り替え部63kは、スイッチSW3が入力側端子L3をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW1,SW2,SW4,SW6〜SW8が入力側端子L1,L2,L4を出力側端子R〜Tに接続するように切り替える。このとき、入力側端子L4は、スイッチSW4,SW6,SW7,SW8経由で出力側端子Tに接続される。
あるいは、例えば、コントローラ200iは、入力側端子L4をN相端子PSnが接続された入力側端子として特定した場合、図11(d)に示すようにスイッチボックス60kの各スイッチSW1〜SW4,SW6〜SW8を制御する。これに応じて、スイッチボックス60kの切り替え部63kは、スイッチSW4,SW6〜SW8が入力側端子L4をN相出力側端子Nに接続し、スイッチSW1〜SW3が入力側端子L1〜L3を出力側端子R〜Tに接続するように切り替える。このとき、入力側端子L4は、スイッチSW4,SW6経由でN相出力側端子Nに接続される。
以上のように、実施の形態3では、3相スイッチ整流器100kのスイッチボックス60kにおいて、切り替え部63kがスイッチSW1〜SW4,SW6〜SW8を有する。スイッチSW6は、スイッチSW4とノードND1及びN相出力側端子Nとの間に電気的に接続されている。スイッチSW7は、ノードND1と出力側端子R及びノードND2との間に電気的に接続されている。スイッチSW8は、ノードND2と出力側端子S及び出力側端子Tとの間に電気的に接続されている。これにより、5極型のスイッチを用いずに3極型のスイッチSW1〜SW4,SW6〜SW8を用いてスイッチボックス60kの切り替え部63kを構成できるので、例えば、3極型のスイッチSW1〜SW4,SW6〜SW8のそれぞれを汎用のスイッチで構成でき、スイッチボックス60kを低コストで構成することができる。