JP6154671B2 - 有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法及び有機ハロゲン化合物無害化剤 - Google Patents

有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法及び有機ハロゲン化合物無害化剤 Download PDF

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Description

本発明は、有機ハロゲン化合物を含有する土壌、焼却灰、焼却飛灰、汚泥などの固体を無害化する有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法、及び有機ハロゲン化合物無害化剤に関する。
ベンゼンヘキサクロリド(Benzene hexachloride:BHC)は分子式CClで示される物質で、シクロヘキサン環の6つの炭素にそれぞれ塩素が一置換した構造である。BHCには塩素の配向の違いにより異性体が存在し、なかでもα−BHC、β−BHC、及びγ−BHC(この異性体はリンデンと呼ばれる)の毒性が高いことが知られている。特に、リンデンは有機塩素系殺虫剤として利用された経緯があり、GABA受容体に作用して神経を興奮させることで痙攣を起こし殺虫作用を示す。そのため、土壌中害虫及び植物加害害虫に効果を示し、種子処理や倉庫内の作物保管用に使用されていた。
上述の通りBHCは、“ある限定的な領域”では有用であったが,その高い毒性故に現在では規制対象物質となっている。日本では平成13〜14年度にPOPs廃農薬(BHCを含む)の処理に関して、(1)環境省廃棄物リサイクル対策部の委託によるPOPs廃棄物処理基準等検討会、(2)環境省水環境部の委託によるPOPs無害化処理技術検討会、(3)農林水産省生産局の委託による使用残農薬適正処理技術検討会で実証試験の検討が行われ、技術的留意事項では焼却等8技術が示されている(例えば非特許文献1参照)。その概要を表1にまとめた。
Figure 0006154671
表1に示すようにいずれの技術も過剰なエネルギーを投入する技術であり,今後はできるだけ脱塩素化効率を維持しつつ投入エネルギー量の最小化を達成可能な新技術の開発が望まれている。このようなグリーンケミストリー的な流れを受け、バイオレメディエーションやファイトレメディエーションに期待が集まるものの、未だ十分な成果が得られない。その主な理由は、生物の至適環境の維持管理が困難であり、さらに環境中の夾雑物の影響を強く受けてしまうことが挙げられる。
そこで生物学的な手法に比較して外部要因の影響が少なく、かつ低エネルギー投入型の化学的手法が注目されている。以下に最近の研究事例をまとめた。例えば、酸性溶媒中で金属粉末を混合撹拌する方法(Zn/CHCOOH)(例えば非特許文献2参照)、バーチ還元の応用により脱塩素化する方法(Na/NH)(例えば非特許文献3参照)、あるいはアセトン水溶液中で還元力の高いMg粉末をZnClと混合する方法(例えば非特許文献4参照)などがある。これらの手法は還元性物質を共存させたり、使用条件を制御して還元性物質の活性を高めた脱塩素化法である。
さらに、触媒を用いる方法(Ti/NaBH(例えば非特許文献5参照)、Pd−C/Alkaline Sub.+Alcohol(例えば非特許文献6参照)、Pd/biomass(例えば非特許文献7参照))などが開発されているが、貴金属触媒の利用はコスト高に繋がることが課題となっている。そこでより安価な元素として鉄粉が利用されている。ナノ粒子化したゼロ価の鉄粉(ZVI)を用いる方法(例えば非特許文献8参照)やPdを組み合わせたバイメタル法(Pd/Fe)(例えば非特許文献9、10参照)が、その代表例である。但し、後者の効果及び反応機構は学術的に議論を呼んでおり、C.Noubactep博士とV.Nagpal博士の見解は分かれており、2010年よりJournal of Hazardous Materials誌上でディベートが続けられている。
日本でもPdを用いないバイメタル法の開発に成功している。DOWAエコシステム株式会社は、常温常圧下、特殊鉄粉(Fe/Cu)による分解法を開発した(例えば非特許文献11参照)。使用する鉄粉のd50は30.2μmであり、BHCアルコール溶液に1wt%程度添加混合することで99%以上の分解効率を達成している。しかしながら、汚染土壌の直接処理を行うと90%程度に分解率が低下する。そこで、抽出/特殊鉄粉還元法を組み合わせた改良法も提案されたが課題も多く、実用化までにはさらなるブラシュアップが必要である。いずれにせよ、これまで紹介した手法は、たとえ土壌処理であっても、過剰の溶媒中に懸濁させた汚染土壌を処理する技術であって、ドライな環境で利用できる処理技術ではない。
一方、本発明者らはこれまでに,金属カルシウムをナノ粒子化した薬剤(Ca/CaO)を用いて、常温常圧下、ポリクロロビフェニル類(Polychlorinated biphenyls:PCBs)を99%以上の高効率で脱塩素化処理を行う乾式技術(例えば特許文献1参照)を開発した(以下、金属カルシウム法とする)。本法は、土壌に含まれる水分によって分解活性が影響を受けるものの、土壌中のどの有機・無機系夾雑物に対しても比較的耐性があり、短時間に脱塩素化反応を完了できる特徴を有する。
特開2011−161218号公報
平成14年度POPs廃棄物処理基準検討調査報告書、環境省大臣官房廃棄物リサイクル対策部、平成15年3月 Raju, Jaishree; Gupta, V. K., Asian Environment, 1988, 10(3), 45-52. b) Dangwal, S. K., American Industrial Hygiene AssociateJournal, 1982, 43(12), 912-914. Pittman, Charles U. Jr.; He, Jinbao;Sun, Guang-Ri, Preprintsof Extended Abstracts presented at the ASC National meeting, American ChemicalSociety, Division of Environmental Chemistry, 2000, 40(2), 784-787. Begum, Asfiya; Gautam,Sumit, Kumar, WaterResearch, 2011, 45(7),2383-2391. Schwarts, Jefffrey;Liu, Yumin, PCTInt. Appl., 1993, WO9321117 A119931028. Ukisu, Y.; Miyadera, T., OrganohalogenCompounds, 2006, 68, 1492-1495. Hennebel, Tom; Simoen, Henri; Verhagen, Pieter; Windt, Win; Dick, Jan; Weise, Cristian;Pietschner, Frank; Boon, Nico;Verstraete, Willy, Environmental Chemistry Letter, 2011, 9(3), 417-422. Wang, Zhiyuan; Peng,Ping’an; Huang, Weilin, Jounal of Hazardous Materials, 2009, 166(2-3), 992-997. Fernando, Quintus; Muftikian, Rosy;Korte, Nic, U. S. Patent, 1997, US 5616253 A 19970401. Fernando, Quintus; Muftikian, Rosy;Korte, Nic, PCT Int. Appl., 1996, WO 9620137 A1 19960704. http://www.dowa-ecoj.jp/catalog/2011/pdf/20110801.pdf
本発明者らが開発した金属カルシウム法は、脱塩素化処理技術として優れた方法であるが、含水率が高い条件下であっても脱塩素化をより高分解率で、より迅速に進める方法の開発が待たれている。
本発明の目的は、簡単な操作でより迅速により高い分解率が得られる有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法及び有機ハロゲン化合物無害化剤を提供することである。
本発明は、有機ハロゲン化合物を含有する固体と薬剤とを接触させ、前記薬剤により前記有機ハロゲン化合物を還元し無害化する、メカノケミカル処理によらない有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法であって、前記薬剤が、少なくとも一部はナノサイズの金属を水分調整機能を有し水素源として作用する水を吸着する酸化カルシウム中に分散させた金属分散体であり、前記金属が鉄及び金属カルシウムで、鉄と金属カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:10であり、前記金属と酸化カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:1000であり、前記金属カルシウムと前記酸化カルシウムとで濃淡電池を形成し、前記鉄は、前記固体に対して電極として作用し有機ハロゲン化合物に電子を供与することを特徴とする有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法である。
本発明の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法において、前記金属に代えて、前記金属が鉄で、鉄と酸化カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:1000であり、前記鉄が濃淡電池を形成し、かつ前記固体に対して電極として作用することを特徴とする。
本発明の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法において、前記金属分散体は、前記金属と酸化カルシウムとの混合物を、金属の少なくとも一部がナノサイズとなるまで粉砕し得られることを特徴とする。
本発明の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法において、前記金属分散体は、ナノサイズの金属の表面を前記酸化カルシウムがコーティングし、ナノサイズの金属の大部分が酸素、二酸化炭素又は水と直接接触することを阻止することを特徴とする。
本発明の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法において、有機ハロゲン化合物を含有する固体と前記薬剤とを、導電材共存下で接触させ、前記金属及び前記導電材は、固体に対して電極として作用し有機ハロゲン化合物に電子を供与することを特徴とする。
本発明の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法において、前記導電材が活性炭であることを特徴とする。
本発明の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法において、前記有機ハロゲン化合物を含有する固体が、土壌、焼却灰、焼却飛灰、汚泥又はこれら2種以上の混合物であることを特徴とする。
本発明の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法において、前記有機ハロゲン化合物が、脂肪族塩素化物であることを特徴とする。
本発明は、有機ハロゲン化合物を含有する固体と接触させ前記有機ハロゲン化合物を還元し無害化させる、少なくとも一部はナノサイズの金属を水分調整機能を有し水素源として作用する水を吸着する酸化カルシウム中に分散させた金属分散体からなり、前記金属が鉄及び金属カルシウムで、鉄と金属カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:10であり、前記金属と酸化カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:1000であり、前記金属カルシウムと前記酸化カルシウムとで濃淡電池を形成し、前記鉄は、前記固体に対して電極として作用し、又は前記金属が鉄で、鉄と酸化カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:1000であり、前記鉄が濃淡電池を形成し、かつ前記固体に対して電極として作用し、有機ハロゲン化合物に電子を供与する有機ハロゲン化合物無害化剤である。
本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法は、有機ハロゲン化合物を含有する固体と、少なくとも一部がナノサイズの鉄及び金属カルシウムを酸化カルシウムに分散させた金属分散体、又は少なくとも一部がナノサイズの鉄を酸化カルシウムに分散させた金属分散体とを接触させ有機ハロゲン化合物を還元し無害化する方法であり、鉄及び金属カルシウム、又は鉄が金属分散体中で濃淡電池を形成し、かつ固体に対して電極として作用し有機ハロゲン化合物に電子を供与するので、簡単な操作で高い分解率、分解速度を実現することができる。本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法は、含水率の高い有機ハロゲン化合物を含有する固体に対しても効果的である。また本発明に係る有機ハロゲン化合物無害化剤を、有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化に好適に使用することができる。
本発明に係る第1実施形態の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法は、有機ハロゲン化合物を含有する固体と薬剤とを接触させ、前記薬剤により前記有機ハロゲン化合物を還元し無害化する、メカノケミカル処理によらない有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法である。本方法において前記薬剤には、少なくとも一部はナノサイズの金属を酸化カルシウム中に分散させた金属分散体を用い、前記金属が、前記金属分散体中で濃淡電池を形成し、かつ前記固体に対して電極として作用し有機ハロゲン化合物に電子を供与することを特徴とする。
本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法の被処理物としては、脂肪族塩素化物、ダイオキシン類、PCBなどPOPsに汚染された土壌、焼却灰、焼却飛灰、汚泥又はこれら2種以上の混合物が挙げられる。
濃淡電池を形成し、かつ有機ハロゲン化合物を含有する固体に対して電極として作用する金属として、鉄Feと金属カルシウムCaとの組合せが挙げられる。鉄Feと金属カルシウムCaとの割合は、重量比で1:1〜1:10とすることができる。
金属は、少なくとも一部がナノサイズの粒子を使用する。ここでナノサイズとは、粒径が数nm〜サブミクロンの大きさをいう。このような金属粒子は、固形状の金属と、水分調整機能を有し水素源として作用する水を吸着する酸化カルシウムCaOとの混合物を、粉砕機で固形状の金属の少なくとも一部がナノサイズとなるまで粉砕し得ることが好ましい。金属と酸化カルシウムとの混合割合は、重量比で1:1〜1:10が好ましいがこの割合に限定されるものではなく、重量比で1:20〜1:1000、さらに金属の混合割合を少なくしてもよい。
このようにして得られる粉砕物は、ナノサイズの金属粒子を含む金属粒子が、酸化カルシウムに分散した金属分散体である。金属分散体において、ナノサイズの金属粒子の表面は酸化カルシウムでコーティングされている。一般的に金属をナノサイズまで微細化すると、環境中では酸化し失活するが、金属分散体においては、ナノサイズの金属粒子の表面を覆う酸化カルシウムが、該金属粒子の大部分が酸素、二酸化炭素又は水と直接接触することを阻止するので、ナノサイズの金属粒子は、大気中においても高い活性を維持することができる。
酸化カルシウムは、汚染土壌など被処理物に含まれる水分を吸着する水分調整剤として機能すると共に吸着した水を脱着させる。この水は水素源として作用する。
次に、BHCを含む土壌(以下、汚染土壌と記す)を例にとり、これを、ナノサイズの鉄及び金属カルシウムを酸化カルシウム中に分散した金属分散体を用いて無害化する方法を説明する。
汚染土壌に金属分散体を添加し、これらを必要に応じて攪拌混合し、汚染土壌と金属分散体とを接触させる。これによりBHCは、脱ハロゲン化、環還元反応等により還元され無害化される。これら操作は室温下で行うことが可能であり、外部から積極的に加熱しなくてもよい。
金属分散体の汚染土壌に対する添加割合は、汚染土壌に含まれるBHCの量により異なるが、重量比で1/1〜1/20程度の量とすることができる。この値は、従来の酸化カルシウムを用いたメカノケミカル法で使用する酸化カルシウムの量に比較して少ない。この結果、汚染土壌を処理した後の量が、処理前の汚染土壌の量と比較しほとんど増加しない。この点は、本発明の特徴の一つである。
汚染土壌に含まれるBHCの分解速度(無害化速度)、分解率(無害化率)を高めるには、汚染土壌中のBHCと金属分散体との接触機会を高めることが重要である。このため汚染土壌と金属分散体とを攪拌混合することが好ましく、汚染土壌及び/又は金属分散体の表面を更新しながら汚染土壌と金属分散体とを攪拌混合することがより好ましい。このため粉砕機能を備えるミルは攪拌混合機として好ましい。
攪拌混合は、汚染土壌中のBHCと金属分散体との接触機会を高めるために行う操作であるから、攪拌強度は小さくてもよい。このため公知の粉体混合装置を使用することができる。また混合装置としてミルを使用する場合であっても遊星ボールミルに比較してミル内のエネルギー密度が小さいミルを使用して行うことができる。このようなミルとしてローラーミル、タワーミルが挙げられる。遊星ボールミルは、高いエネルギーを加えることが可能な一方で、所要動力が大きく、大型化も困難である。これに対してローラーミルは、石炭焚火力発電所の石炭の粉砕にも使用されていることからも分かるように、大型化の実績もあり、所要動力が小さい点に特徴があり(例えば化学工学便覧、改訂六版、846頁)、汚染土壌の処理を大規模に進めて行くには好ましいミルと言える。
メカノケミカル処理法の場合、BHCの分解に必要なエネルギーをミルを通じて与える必要があるが、本方法において、攪拌混合操作は、汚染土壌と金属分散体との接触機会を高めることができればよく、BHCの無害化に必要なエネルギーを攪拌混合操作を通じて与える必要はない。本方法では、ナノサイズに微細化した所定の金属を使用することで低エネルギー投入条件下でも、BHCを無害化させることができる。一般的にナノサイズに微細化した金属は、高い活性、反応性が得られる一方で、その高い活性、反応性により大気中の酸素、二酸化炭素又は水と反応し失活する。このためナノサイズに微細化した金属をそのまま使用してもBHCを無害化できない。しかしここでは、前記金属分散体を使用することで、ナノサイズに微細化した金属の活性を高い状態に維持し、低エネルギー投入条件下でも、BHCを無害化させることができる。
また攪拌混合操作も以下のように行うことができる。汚染土壌に含まれるBHCは土壌表面に存在することが多いことから、汚染土壌中のBHCの含有量が少ないときは、BHCの殆どは汚染土壌表面に存在しているものと推察される。このような場合は、一度、汚染土壌と金属分散体とを均一に混合した後は、攪拌を停止してもよい。これについては、後述の実施例で実証済である。このとき初期のみ200℃以下の温度で加熱することで、汚染土壌中のBHCの無害化を一気に進め、その後は、加熱、攪拌を停止して残りのBHCを徐々に無害化させてもよい。
同様に、初期に反応促進剤を添加し、汚染土壌中のBHCの無害化を一気に進め、その後は、反応促進剤を添加することなく、攪拌を停止して残りのBHCを徐々に無害化させてもよい。初期にBHCの無害化を一気に進めておくことで、以降、BHCに対する金属分散体の濃度が相対的に高くなるので効率的に汚染土壌中のBHCを無害化することができる。加熱も初期しか行わないので、エネルギー消費量も非常に少なく、コスト的にも有利である。
一方、汚染土壌中のBHCの含有量が多いときは、汚染土壌内部にもBHCが存在すると推察されることから、汚染土壌及び/又は金属分散体の表面を更新するような攪拌混合を行うことが好ましい。
汚染土壌、汚泥は水分を含有していることが多く、焼却灰、焼却飛灰なども放置されることで空気中の水分を吸水し、又は飛散防止のために散水を行った結果、水分を含有する場合も多い。水分を含む汚染土壌等に含まれるBHCを上記方法で無害化するとき、水分濃度が30重量%程度以下であれば、そのまま上記方法で無害化させればよい。汚染土壌等に含まれる水、有機酸、アミン類、金属ヒドリド、及び/又はアルコール性ヒドロキシル基などは、上記無害化方法の処理過程で水素源として機能するので、これを除去する必要はない。
汚染土壌等に多くの水分を含む場合は、次の要領で無害化してもよい。汚染土壌等に多くの水分を含む場合、上記方法で無害化することは問題ないが、水分量が多い場合、金属分散体の添加量が増加する。このため上記無害化方法において、同時に酸化カルシウムを添加する。酸化カルシウムは、水分を吸収する水分調整剤として機能すると共に分解助剤として機能し、さらに酸化カルシウムが水と反応して水酸化カルシウムとなる際に発する熱は、無害化率を高めるように作用する。
さらに水分量が多く、水分濃度が40重量%を越えるような汚染土壌などを無害化させるときは、2ステップ方式で行なうことが好ましい。2ステップ方式とは、第1ステップとして、必要に応じてろ過操作等で脱水された後の水分を含む汚染土壌などに酸化カルシウムを添加して水分調整を行なった後、第2ステップとして金属分散体を加え、前記方法で無害化させる方式である。第1ステップでの水分調整も、汎用の混練装置又はローラーミルを用いかつ外部から強制的に加熱することなく行うことが可能で、第2ステップでの無害化処理も、第1ステップの水分調整処理に引続き、汎用の混練装置又はローラーミル内に金属分散体を加え行えばよい。酸化カルシウムを添加し水分調整を行う工程と、金属分散体を加え無害化する工程を分離することで、金属分散体の添加量をより低減させることができる。
本実施形態におけるBHCの無害化メカニズムは、次のように考えられる。金属分散体において、鉄及び金属カルシウムは、酸化カルシウムで取り囲まれており、高い活性を維持している。また金属分散体の内部において、金属カルシウムと酸化カルシウムとは濃淡電池を形成している。一方、金属分散体の表面は、汚染土壌と接触することで汚染土壌中の水分と反応し、水酸化カルシウムに変化している。このためBHCに、分解に必要な電子を供与するには、金属分散体内部から電子を取り出す手段が必要となる。
金属分散体の表面の水酸化カルシウムを破壊し、汚染土壌と金属カルシウムとを直接接触させればよいが、この方法の場合、内部の酸化カルシウム及び金属カルシウムがBHCの他、水とも接触するため失活し易く効率が悪い。さらに漸次、表面の水酸化カルシウムを破壊する必要があり操作が大変である。
本方法の場合、鉄が存在するため鉄が金属分散体の表面と内部とを連絡する連絡路となる。さらに金属分散体の表面に分散している鉄が汚染土壌と接触することで、電極(陰極)として作用する。これにより金属分散体の表面が、水酸化カルシウムで覆われていても、BHCに電子を供与し続けることができる。本方法は、金属分散体の表面が酸化カルシウムで覆われていても、必ずしも表面の水酸化カルシウムを破壊する必要はないので、操作が簡単であり、かつBHCの分解速度も速い。
次に、本発明に係る第2実施形態の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法を、汚染土壌を例にとり説明する。本方法と第1実施形態の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法とは、使用する金属分散体が異なる他は同一である。
第2実施形態の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法では、少なくとも一部はナノサイズの大きさからなる鉄を酸化カルシウム中に分散させた金属分散体を使用する。ここでも第1実施形態で使用した金属分散体と同様に、固形状の鉄粉と、水分調整機能を有し水素源として作用する水を吸着する酸化カルシウムCaOとの混合物を、粉砕機で鉄粉の少なくとも一部がナノサイズとなるまで粉砕し得ることが好ましい。鉄と酸化カルシウムとの混合割合は、重量比で1:1〜1:10が好ましいがこの割合に限定されるものではなく、重量比で1:20〜1:1000、さらに鉄の混合割合を少なくしてもよい。
第2実施形態の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法における、有機ハロゲン化合物の無害化メカニズムは、次のように考えられる。金属分散体において、鉄の一部は、酸化鉄、水酸化鉄に変化している。このため金属分散体の内部において、鉄と酸化鉄及び/又は水酸化鉄とからなる濃淡電池が形成される。つまり金属に鉄のみを使用しても、金属に鉄及び金属カルシウムを使用した金属分散体と同様に濃淡電池が形成される。鉄が金属分散体の表面と内部とを連絡する連絡路となり、さらに金属分散体の表面に分散している鉄が汚染土壌と接触することで、電極(陰極)として作用し、BHCに電子を供与する点は、金属に鉄及び金属カルシウムを使用した金属分散体と同じである。
以上のように鉄を酸化カルシウムに分散させた金属分散体と、鉄及び金属カルシウムを酸化カルシウムに分散させた金属分散体とは、同じメカニズムによりBHCを無害化する。このため同じように使用することができる。なお、鉄及び金属カルシウムを酸化カルシウムに分散させた金属分散体では、金属カルシウムと酸化カルシウムとによる濃淡電池作用の他、異種金属である鉄と金属カルシウムとの腐食機構により濃淡電池と同様の作用が発揮されると考えられる。また、鉄を酸化カルシウムに分散させた金属分散体では、鉄と酸化鉄及び/又は水酸化鉄とからなる濃淡電池作用の他、異種材料である鉄と酸化カルシウムとの腐食機構により濃淡電池と同様の作用が発揮されると考えられる。
鉄を酸化カルシウムに分散させた金属分散体と、鉄及び金属カルシウムを酸化カルシウムに分散させた金属分散体とを比較すると、前者は、金属カルシウムを含まないため後者に比較して初期活性は低いが、逆に水と接しても失活し難い。このため鉄を酸化カルシウムに分散させた金属分散体は、水分を比較的多く含む有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化に適している。
次に、本発明に係る第3実施形態の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法を、汚染土壌を例にとり説明する。本方法では、汚染土壌と金属分散体とを活性炭共存下で撹拌混合する。ここで使用する金属分散体は、第1実施形態、第2実施形態で使用した金属分散体を使用することができる。また被処理物である有機ハロゲン化合物を含有する固体も第1実施形態に示したものと変わるところはない。
活性炭は、公知の活性炭を使用することができる。汚染土壌と金属分散体とを活性炭共存下で撹拌混合すると、活性炭は、汚染土壌及び金属分散体の一部を吸着し、汚染土壌及び金属分散体の一部は活性炭の細孔内に取り込まれる。また活性炭は、導電物質であるから金属分散体の鉄と同様に電極として作用する。
活性炭及び金属分散体と接触している汚染土壌、あるいは活性炭の細孔内に取り込まれた汚染土壌は、第1及び第2実施形態の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法と同様に、金属分散体に含まれる鉄を電極として電子を受け取り、汚染土壌に含まれるBHCが還元される。さらに本方法では、活性炭が電極として作用するため金属分散体と直接接触していない汚染土壌も、活性炭を介して電子を受け取ることができる。特に、活性炭の細孔内に取り込まれた汚染土壌は、非常に狭い空間内で金属分散体及び活性炭と接触するため確実に無害化される。
以上のように活性炭を共存させる本方法は、汚染土壌に対して効率的に電子を供与することができ効率的である。なお、汚染土壌に導電性の有機物等が含まれていれば、これらは活性炭と同様に電極として作用し、これを介して汚染土壌に電子を供与することもできる。さらに活性炭と導電性の有機物等を共存させてもよい。
汚染土壌と金属分散体と活性炭とを一度に撹拌混合する方法の他、先に活性炭と汚染土壌とを撹拌混合し、活性炭に汚染土壌を吸着させ、その後、汚染土壌を吸着した活性炭と金属分散体とを撹拌混合するようにしてもよい。
以上、第1から第3実施形態に示すように本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法は、外部から強制的に加熱する必要がなく、また攪拌混合に使用する装置も、汎用の撹拌混合装置、ローラーミルなど消費動力の少ない装置を使用することができるので、簡単に実施することができる。消費動力が少なく、温和な操作条件ながら、ナノサイズの金属を酸化カルシウムに分散させた金属分散体、特に金属が金属分散体中で濃淡電池を形成し、かつ固体に対して電極として作用し有機ハロゲン化合物に電子を供与する金属分散体を使用することで高い分解率、分解速度を実現することができる。
また汎用装置を使用して本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法を実施することができるので、大型化、大容量化も容易であり、実機での処理コストも安価となる。また本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法は、無害化処理に先立ち汚染土壌等を洗浄する必要がない。これも本無害化方法の特徴の一つと言える。
本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法では、撹拌混合操作による摩擦力、せん断力による発熱、還元力を有する金属の水和熱さらには、酸化カルシウムの水和熱により温度は上昇するが、外部から強制的に加熱して熱を加える方法と異なり、温度を200℃以下にすることが可能であり、350〜500℃で夾雑物と塩素分などが反応してダイオキシン類が生成する可能性を排除することができる。
さらにナノサイズの所定の金属を酸化カルシウムに分散させた金属分散体は、本発明に係る有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法の無害化剤として好適に使用することができるので、当該金属分散体を調製しておくことで、簡単に有機ハロゲン化合物を含有する固体を無害化処理することができる。
Fe−Ca/CaO金属分散体の調製
ステンレス製(SUS304)のジャー(内容量80mL)にステンレス製ボール(φ=10mm)を20個入れ、さらに50gの乾燥済み酸化カルシウム、及び20gの金属カルシウム、20gの鉄粉の順で加えた。ジャー内部をアルゴンガスで十分に置換し、しっかり蓋をした後に、600rpmで30分間、遊星ボールミルで粉砕処理を行った。粉砕後、事前にアルゴン置換したグローブボックス内でジャーを開封し、微粉末粒子と微細化されていない残渣の質量をそれぞれ測定し、微粉末化したFe−Ca/CaO金属分散体のみ密閉容器に入れて保管した。保管は,デシケーター(CaOとシリカゲルで乾燥)で行った。得られたFe−Ca/CaO金属分散体について,単位質量のFe−Ca/CaO金属分散体を水に浸漬した際に生じる水素量から金属カルシウム含有量を求めた。発生水素量は、28mL/0.3g−Fe−Ca/CaO金属分散体であった。
Fe/CaO金属分散体の調製
30gの乾燥済み酸化カルシウムと6gの鉄粉とを用い、上記、Fe−Ca/CaO金属分散体の調製方法と同じ要領で、Fe/CaO金属分散体を調製した。
供試土壌の調製
供試土壌には、α−BHC及びγ−BHCを含有する土壌を使用した。土壌のBHC濃度について簡易分析を行った結果、α−BHC/γ−BHC=91/9のピーク面積比であった。簡易分析法は、後述する。
<実施例1>
10mLのガラス製サンプルチューブに1gの供試土壌(含水率2重量%)、1gのFe−Ca/CaO金属分散体を加えて約1分間撹拌した。このとき、処理土壌の表面温度を熱電対温度計で測定した。次に、サンプルチューブに蓋をして遮光のため金属ボックスに入れて放置した。放置後、1週間毎にサンプルチューブ内の試料を0.1g採取し、30mL容の褐色瓶に入れた。試料を入れた褐色瓶にジエチルエーテルを10mL、0.1M塩酸を10mL加えて良く撹拌混合した。上層を分離して水で洗浄した後、この有機層を脱水し、シリンジフィルタで濾過してGC/QMSで分析を行った。なお、未処理の供試土壌を分析する場合も、0.1gの土壌に対して同様の処理を行った。
表2に示すGC/QMS構成で分析を行った。各異性体の保持時間は次のとおりである。
二塩素体:9.53min、9.71min、10.06min、
三塩素体:10.76mi、11.53min、11.92min
四塩素体:12.67min、13.28min
五塩素体:13.85min〜14.92min であった。
Figure 0006154671
<実施例2〜5>
含水率の異なる供試土壌を用いて、実施例1と同じ要領で実験を行った。結果を表3に示した。表3に示す分解率は、処理前の全BHC量から分解処理後の全BHC量を減算し、この値を処理前の全BHC量で除算し求めた。
<比較例1〜5>
薬剤にCa/CaO金属分散体を使用し、実施例1〜5と同じ要領で実験を行った。Ca/CaO金属分散体は、30gの乾燥済み酸化カルシウムと6gの金属カルシウムとを用い、上記、Fe−Ca/CaO金属分散体の調製方法と同じ要領で調製した。
実施例1では、比較例1と同じく、ほとんど発熱もなく良好に脱塩素化反応が進行した。1週間後の分解率は100%であった。含水率が高くなるに従って(実施例2〜4)、徐々に分解率が低下した。興味深いことに土壌含水率が24重量%を超えても(実施例4、5)、比較例4、5で見られた大幅な落ち込みは認められず、3週間時点で80%以上の分解率を維持していた。実施例4の分解生成物を確認したところ、大部分は1,3,5−トリクロロベンゼンへ変換していた(反応前後でトータルイオンクロマトTICがほぼ維持されていることを根拠にする)。
Figure 0006154671
以上のことより、比較例であるCa/CaO金属分散体は、低含水率で強力に脱塩素化反応を進めることが明らかとなった。分解生成物もジクロロベンゼン、クロロベンゼン、ベンゼン、及び塩素部分でカップリングしたビフェニルなどが確認された(但し、定量的検討はまだ不十分である)。しかしながら高含水条件では失活し、大きな発熱が認められた。
一方、鉄Feを添加したFe−Ca/CaO金属分散体は、高含水土壌の処理を促進する効果が認められた。また、分解率及び反応時間について、Fe−Ca/CaO金属分散体は、鉄粉法などの既報の方法に比較して著しい分解促進効果が認められた。明らかに、Fe/Pd系バイメタル法や鉄粉法よりも反応速度が速く、分解効率もよい。
<実施例6〜10>
薬剤にFe/CaO金属分散体を使用し、実施例1〜5と同じ要領で実験を行った。結果を表4に示した。
Figure 0006154671
実験の結果、Fe/CaO金属分散体を使用すると、Fe−Ca/CaO金属分散体を使用する場合に比較して発熱が抑制された。分解率は、含水率18重量%までは(実施例6〜8)、ほぼ定量的に100%を達成した。一方、含水率24重量%(実施例9)及び含水率31重量%(実施例10)において極端に分解率が低下した。但し、同じ含水率である比較例4、5に比較する分解率が向上しており、より長期間の実験で分解率が向上することは期待できる。以上のようにFe/CaO金属分散体では、非常に温和な条件下でいずれの含水率の土壌でも分解が進むものの含水率が24%を超えると大幅に分解速度が低下し、分解生成物は、1,3,5−トリクロロベンゼンであり、芳香族塩素化物から脱塩素化反応を起こすことはなかった。
<実施例11〜13、比較例6〜8>
土壌に対する薬剤添加量の影響について検討した。使用した供試土壌の含水率は18%である。結果を表5に示した。
汚染土壌1gに対して薬剤量を変化させ、分解率が低下する比率を求めた。その結果、Fe/CaO金属分散体を使用する場合、土壌1gに対して薬剤量は0.1g、即ち、土壌に対して10重量%付近にリミテイションが認められた。但し、低含水土壌が対象であれば、さらに薬剤使用量を削減することが可能と考えられる。
Figure 0006154671
<実施例14〜17>
Fe/CaO金属分散体におけるFeの含有量が分解率に与える影響を検討した。Fe/CaO金属分散体におけるFeの含有量を0.02、0.1、0.2、0.4重量%とした(実施例14〜17)。使用した供試土壌の含水率は18%である。結果を表6に示した。
表6に示した通り、Fe/CaO金属分散体におけるFeの含有量は、0.1〜0.2重量%の間に閾値がありそうだが、反応時間を延ばせば反応率の低下分を補える可能性がある。
Figure 0006154671
活性炭吸着物となったBHCの分解実験を、以下の要領で行った。BHC汚染土壌に抽出溶媒として水を加え、20LのBHC溶出液を得た。溶出液を静置後、上澄み液を回収し、ろ過した。ろ液に粉末活性炭(DCP−30、ダイネン株式会社)75gを投入し、1時間攪拌した。静置後、上澄み液を捨て、沈降した活性炭を回収した。乾燥機(50℃)で乾燥し、実験用試料(活性炭吸着物)を得た。活性炭吸着物中のBHC濃度は、分析の結果、12mg/kgであった。分析は、試料(活性炭吸着物)をジエチルエーテル(γ−BHCの溶解性:20.8mg/L at25℃、出典:環境省編「農薬等の環境残留実態調査分析法」)で抽出し、GC/MS分析により行った。なお、ジエチルエーテルで反応前後の試料からBHCが十分に溶出することは、予備実験で確認済である。
試料に薬剤を添加、混合しBHCを分解させた。使用した薬剤は、Fe−Ca/CaO金属分散体、Fe/CaO金属分散体、Ca/CaO金属分散体の3種類である。
その結果、GC/MSの検出下限ではほとんど確認できないほど全BHCが消失していることが明らかとなった。そのうち、Ca/CaO金属分散体、Fe−Ca/CaO金属分散体を使用した場合、殆どベースラインにピークが隠れてしまうほど分解が進んでおり、Fe/CaO金属分散体の場合、検出は辛うじて可能(S/N比で1〜3)であるが、定量は困難であった(S/N比で5以下)。

Claims (9)

  1. 有機ハロゲン化合物を含有する固体と薬剤とを接触させ、前記薬剤により前記有機ハロゲン化合物を還元し無害化する、メカノケミカル処理によらない有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法であって、
    前記薬剤が、少なくとも一部はナノサイズの金属を水分調整機能を有し水素源として作用する水を吸着する酸化カルシウム中に分散させた金属分散体であり、
    前記金属が鉄及び金属カルシウムで、鉄と金属カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:10であり、
    前記金属と酸化カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:1000であり、
    前記金属カルシウムと前記酸化カルシウムとで濃淡電池を形成し、前記鉄は、前記固体に対して電極として作用し有機ハロゲン化合物に電子を供与することを特徴とする有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法。
  2. 前記金属に代えて、前記金属が鉄で、鉄と酸化カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:1000であり、前記鉄が濃淡電池を形成し、かつ前記固体に対して電極として作用することを特徴とする請求項1に記載の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法。
  3. 前記金属分散体は、前記金属と酸化カルシウムとの混合物を、金属の少なくとも一部がナノサイズとなるまで粉砕し得られることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法。
  4. 前記金属分散体は、ナノサイズの金属の表面を前記酸化カルシウムがコーティングし、ナノサイズの金属の大部分が酸素、二酸化炭素又は水と直接接触することを阻止することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法。
  5. 有機ハロゲン化合物を含有する固体と前記薬剤とを、導電材共存下で接触させ、前記金属及び前記導電材は、固体に対して電極として作用し有機ハロゲン化合物に電子を供与することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法。
  6. 前記導電材が活性炭であることを特徴とする請求項に記載の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法。
  7. 前記有機ハロゲン化合物を含有する固体が、土壌、焼却灰、焼却飛灰、汚泥又はこれら2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法。
  8. 前記有機ハロゲン化合物が、脂肪族塩素化物であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の有機ハロゲン化合物を含有する固体の無害化方法。
  9. 有機ハロゲン化合物を含有する固体と接触させ前記有機ハロゲン化合物を還元し無害化させる、少なくとも一部はナノサイズの金属を水分調整機能を有し水素源として作用する水を吸着する酸化カルシウム中に分散させた金属分散体からなり、
    前記金属が鉄及び金属カルシウムで、鉄と金属カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:10であり、前記金属と酸化カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:1000であり、前記金属カルシウムと前記酸化カルシウムとで濃淡電池を形成し、前記鉄は、前記固体に対して電極として作用し、
    又は前記金属が鉄で、鉄と酸化カルシウムとの割合が重量比で1:1〜1:1000であり、前記鉄が濃淡電池を形成し、かつ前記固体に対して電極として作用し、
    有機ハロゲン化合物に電子を供与する有機ハロゲン化合物無害化剤。
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