JP6154103B2 - 弾性表面波センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、検体試料である液体の性質あるいは液体に含まれる成分を測定することができる弾性表面波センサおよびその製造方法に関するものである。
弾性表面波素子を用いて、検体である液体の性質もしくは液体の成分を測定する弾性表面波センサが知られている。
弾性表面波センサは、圧電基板上に検体試料に含まれる成分と反応する検出部を設け、この検出部を伝搬した弾性表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)の変化に基く電気
信号を測定することによって検体である液体の性質あるいは成分を検出するものである。
SAWは圧電基板の上面に設けられた一対の櫛歯状電極からなるIDT電極によって発生する。このIDT電極の腐食などを防止するためにIDT電極をSiOなどからなる保護膜によって被覆する技術が知られている(例えば、特許文献1)。またIDT電極において発生するSAWの励振を妨げないようにIDT電極を密閉する振動空間を有した封止部材を設ける技術も知られている(例えば、特許文献2)。
特許文献1、2に開示されているSAWセンサはいずれも検体液を検出部に滴下して検出を行うものであるが、このように検出部に検体液を滴下する方法では検体液の量および滴下位置が不均一になりやすい。検体液の量や滴下位置が不均一になると検体液中に含まれる標的物質の量などがばらつくため測定感度にばらつきが生じる。
そこで測定する検体液の量を一定化する方法として、検体液が流れる流路を設けるようにした技術が知られている(例えば、特許文献3)。流路は容積が一定のため、そこを流れる検体液の量を一定化することができる。
特開平5−240762号公報 特開2006−184011号公報 国際公開第2008/120511号
IDT電極を保護しつつ、検出感度を向上させるためには上記の特許文献1〜3に示されるような従来の技術を組み合わせてSAWセンサを構成すればよいと考えられる。
しかしながら、本願発明者が検討を重ねた結果、従来知られている技術を単純に組み合わせただけででは依然として検出感度のばらつきが大きくなることが見出された。
そこで、IDT電極を保護しつつ検出感度のばらつきの小さい弾性表面波センサおよびその製造方法の提供が望まれる。
本発明の一態様に係る弾性表面波センサは、圧電基板と、該圧電基板の上面に配置された第1IDT電極と、前記圧電基板の上面のうち、前記第1IDT電極によって励振され
る弾性表面波の伝搬路上に配置された第2IDT電極と、前記第1IDT電極および前記第2IDT電極ならびに前記圧電基板の上面のうち少なくとも前記第1IDT電極と前記第2IDT電極との間の領域である第1領域を被覆している保護膜と、前記第1IDT電極、前記第2IDT電極および前記第1領域を覆うように前記圧電基板の上面に配置された、前記圧電基板の上面との間の第1空間内に前記第1IDT電極を収容する第1凹部、前記圧電基板の上面との間の第2空間内に前記第2IDT電極を収容する第2凹部および前記第1領域上の前記保護膜の一部を露出する貫通部を有する板状体と、前記貫通部内に露出している前記保護膜を被覆している金属膜を含む検出部と、前記板状体の少なくとも前記貫通部を覆うように前記板状体および前記圧電基板の少なくとも一方の上面に配置された、前記板状体の上面との間に前記検出部への検体液の流路となる空間を有するとともに該空間への前記検体液の流入口となる貫通孔を有するカバーとを備えたものである。
また本発明の一態様に係る弾性表面波センサの製造方法は、圧電基板の上面に、第1IDT電極および該第1IDT電極によって励振される弾性表面波の伝搬路上に配置された第2IDT電極を形成する工程と、前記第1IDT電極および前記第2IDT電極ならびに前記圧電基板の上面のうち少なくとも前記第1IDT電極と前記第2IDT電極との間の領域である第1領域を被覆する保護膜を形成する工程と、第1凹部、第2凹部および貫通部を有する板状体を、前記第1凹部と前記圧電基板の上面との間の第1空間内に前記第1IDT電極を収容し、前記第2凹部と前記圧電基板の上面との間の第2空間内に前記第2IDT電極を収容し、前記貫通部内に前記第1領域上の前記保護膜の一部を露出させて、前記第1IDT電極、前記第2IDT電極および前記第1領域を覆うように前記圧電基板の上面に配置する工程と、前記貫通部に対応する開口部を有するマスクを介して、前記貫通部内に露出している前記保護膜を被覆する金属膜を形成する工程と、前記板状体の少なくとも前記貫通部を覆うように、前記板状体の上面との間に前記金属膜への検体液の流路となる空間を有するとともに該空間への前記検体液の流入口となる貫通孔を有するカバーを、前記板状体および前記圧電基板の少なくとも一方の上面に配置する工程とを備えたものである。
上記の弾性表面波センサによれば、IDT電極を保護しつつ検出感度のばらつきを小さくすることができる。
本発明の第1の実施形態に係るSAWセンサの斜視図である。 図1に示すSAWセンサの一部を破断した状態の斜視図である。 図3(a)は図1のIIIa−IIIa線における断面図、図3(b)は図1のIIIb−IIIb線における断面図である。 板状体の斜視図である。 板状体の分解斜視図である。 図1に示すSAWセンサのカバーを外した状態における平面図である。 図1に示すSAWセンサの平面図である。 (a)乃至(c)は図1に示すSAWセンサの変形例を示す断面図である。 図1のSAWセンサの製造方法を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B’線における断面図である。 図1のSAWセンサの製造方法を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B’線における断面図である。 図1のSAWセンサの製造方法を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B’線における断面図である。 図1のSAWセンサの製造方法を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B’線における断面図である。 図1のSAWセンサの製造方法を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B’線における断面図である。 図1のSAWセンサの製造方法を説明する断面図である。 図1に示すSAWセンサの別の変形例を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るSAWセンサの斜視図である。 図17(a)は図16のA−A’線における断面図、図17(b)は図16のB−B’線における断面図である。 図16に示すSAWセンサの分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るSAWセンサの斜視図である。 図20(a)は図19のA−A’線における断面図、図20(b)は図19のB−B’線における断面図である。 図19に示すSAWセンサの分解斜視図である。
以下、本発明にかかるSAWセンサの実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する各図面において同じ構成部材には同じ符号を付すものとする。また、各部材の大きさや部材同士の間の距離などは模式的に図示しており、現実のものとは異なる場合がある。
また、SAWセンサ100は、いずれの方向が上方または下方とされてもよいものであるが、以下では、便宜的に、直交座標系xyzを定義するとともにz方向の正側を上方として、上面、下面などの用語を用いるものとする。
<第1の実施形態>
(SAWセンサの構造)
SAWセンサ100は、図1の斜視図に示すように外観上は主に圧電基板1とカバー3とで構成されている。カバー3には、検体液の流入口である第1貫通孔18と空気孔もしくは検体液の流出口である第2貫通孔19が設けられている。
図2にカバー3の片側半分を取り除いたときのSAWセンサ100の斜視図を示す。同図に示すようにカバー3の内部には検体液の流路となる空間20が形成されている。第1貫通孔18はこの空間20に繋がっている。すなわち、第1貫通孔18から入った検体液は空間20に流れ込むようになっている。
空間20に流れ込んだ検体液には標的物質が含まれており、その標的物質が圧電基板上に形成された金属膜7などからなる検出部と反応する。
圧電基板1は、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO)単結晶,ニオブ酸リチウム(LiNbO)単結晶、水晶などの圧電性を有する単結晶の基板からなる。圧電基板1の平面形状および各種寸法は適宜に設定されてよい。一例として、圧電基板1の厚みは、0.3mm〜1.0mmである。
図3にSAWセンサ100の断面図を示す。図3(a)は図1のIIIa−IIIa線における断面図であり、図3(b)は図1のIII−IIIb線における断面図である。
図3(a)に示すように圧電基板1の上面には、第1IDT電極5および第2IDT電極6が形成されている。第1IDT電極5は所定のSAWを発生させるためのものであり、第2IDT電極6は、第1IDT電極5で発生したSAWを受信するためのものである。第1IDT電極5で発生したSAWを第2IDT電極6が受信できるように第2IDT電極は、第1IDT電極で発生したSAWの伝搬路上に配置されている。
第1IDT電極5および第2IDT電極6は、1対の櫛歯電極を有する(図9(a)参照)。各櫛歯電極は、互いに対向する2本のバスバーおよび各バスバーから他のバスバー側へ延びる複数の電極指を有している。そして、1対の櫛歯電極は、複数の電極指が互いに噛み合うように配置されている。第1IDT電極5および第2IDT電極6は、トランスバーサル型のIDT電極を構成している。
第1IDT電極5および第2IDT電極6の電極指の本数、隣接する電極指同士の距離、電極指の交差幅などをパラメータとして周波数特性を設計することができる。IDT電極によって励振されるSAWとしては、レイリー波、ラブ波、リーキー波などが存在するが、検出素子3においては、ラブ波を利用している。
第1IDT電極5および第2IDT電極6のSAWの伝搬方向における外側の領域にSAWの反射抑制のための弾性部材を設けてもよい。SAWの周波数は、例えば、数メガヘルツ(MHz)から数ギガヘルツ(GHz)の範囲内において設定可能である。なかでも、数百MHzから2GHzとすれば、実用的であり、かつ圧電基板1の小型化ひいてはSAWセンサ100の小型化を実現することができる。
第1IDT電極5および第2IDT電極6はそれぞれ配線8を介してパッド9に接続されている。これらのパッド9および配線8を介して外部から第1IDT電極5に信号が入力され、第2IDT電極6から外部に信号が出力される。
圧電基板1の上面のうち第1IDT電極5と第2IDT電極6との間の領域である第1領域1aには短絡電極10が形成されている。この短絡電極10は、圧電基板1の上面のうちSAWの伝搬路となる部分を電気的に短絡させるためのものである。この短絡電極10を設けることによってSAWの種類によってはSAWの損失を小さくすることができる。なお、SAWとして特にリーキー波を使用したときに短絡電極10による損失抑制効果が高いと考えられる。
短絡電極10は、例えば、第1IDT電極5から第2IDT電極へ向かうSAWの伝搬路に沿って伸びた長方形状とされている。短絡電極10のSAWの伝搬方向と直交する方向(y方向)における幅は、例えば、第1IDT電極5の電極指の交差幅と同じである。また、短絡電極10のSAWの伝搬方向と平行な方向(x方向)における第1IDT電極側の端部は、第1IDT電極5の端部に位置する電極指の中心からSAWの半波長分だけ離れた場所に位置している。同様にして、短絡電極10のx方向における第2IDT電極側の端部は、第2IDT電極6の端部に位置する電極指の中心からSAWの半波長分だけ離れた場所に位置している。
短絡電極10は、電気的に浮き状態とされていてもよいし、グランド電位用のパッド9を設け、これに接続してグランド電位としてもよい。短絡電極10をグランド電位とした場合には、第1IDT電極5と第2IDT電極6との間の電磁結合による直達波の伝搬を抑制することができる。
第1IDT電極5、第2IDT電極6、短絡電極10、配線8およびパッド9は、例えば、アルミニウム、アルミニウムと銅との合金などからなる。またこれらの電極は、多層構造としてもよい。多層構造とする場合は、例えば、1層目がチタンまたはクロムからなり、2層目がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる。
第1IDT電極5、第2IDT電極6、短絡電極10および配線8は、保護膜4によって覆われている。保護膜4は各電極および配線の酸化防止などに寄与するものである。保
護膜4は酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化珪素、またはシリコンなどからなる。SAWセンサ100では、保護膜4として二酸化珪素(SiO)を使用している。
保護膜4は、パッド9を露出するようにして、圧電基板1の上面全体にわたって形成されている。第1IDT電極5および第2IDT電極6はこの保護膜4によって被覆されている。これにより、IDT電極が腐食するのを抑制することができる。
保護膜4の厚さは、例えば100nm〜10umである。なお、保護膜4は必ずしも圧電基板1の上面全体にわたって形成する必要はなく、例えば、パッド9を含む圧電基板1の上面の外周に沿った領域が露出するように圧電基板1の上面中央付近のみを被覆するように形成してもよい。
図3(a)に示すように第1IDT電極5は第1振動空間11に収容され、第2IDT電極6は第2振動空間12に収容されている。これにより第1IDT電極5および第2IDT電極6が外気および検体液と隔離され、水分などの腐食物質から第1IDT電極5および第2IDT電極6を保護することができる。また、第1振動空間11および第2振動空間12が確保されることによって第1IDT電極5、第2IDT電極6においてSAWの励振が大きく阻害されない状態とすることができる。
第1振動空間11および第2振動空間12は、これら振動空間を構成するための凹部を有した板状体2を圧電基板1に接合することによって形成することができる。図4は板状体2を下面側から見たときの斜視図である。図4に示すように板状体2の下面には第1振動空間11を形成するための第1凹部13と第2振動空間12を形成するための第2凹部14が設けられている。このような第1凹部13および第2凹部14を有する板状体2を圧電基板1に接合することによって、第1凹部13の内周面および底面と圧電基板1の上面とで囲まれた空間が第1振動空間11となり、第2凹部14の内周面および底面と圧電基板1の上面とで囲まれた空間が第2振動空間12となる。
SAWセンサ100の第1振動空間11および第2振動空間12は、直方体状の空間であるが、振動空間の形状は直方体状に限らず、例えば、断面視したときにドーム状のもの、平面視したときに楕円状のものなどIDT電極の形状・配置などに合わせて適宜変更してよい。
板状体2の第1凹部13と第2凹部14との間には、板状体2を厚み方向に貫通している部分である貫通部15が形成されている。この貫通部15はSAWの伝搬路上に金属膜7を形成するために設けられたものである。すなわち、板状体2を圧電基板1に接合したときに第1IDT電極11から第2IDT電極12に伝搬するSAWの伝搬路の少なくとも一部が貫通部15から露出し、その露出部に金属膜7が形成される。
このように第1凹部13、第2凹部14および貫通部15を有する板状体2は、例えば、図5に示すように2枚の板部材を重ね合わせることによって形成することができる。具体的には、第1凹部13、第2凹部14、貫通部15を形成するための3つの貫通孔が形成された第1板部材16に第2板部材17を重ね合わせることによって形成されている。第1板部材16には3つの貫通孔が設けられているが、第2板部材17には、第1板部材16の中央の貫通孔に対応する貫通孔が1つだけ設けられている。このような第2板部材17を第1板部材16に重ね合わせることによって、第1板部材16の両側の貫通孔が第2板部材によって塞がれて、それぞれ第1凹部13、第2凹部14となり、第1板部材16の中央の貫通孔は第2板部材17の中央の貫通孔と重なって貫通部15となる。
板状体2は、例えば、感光性のレジストを用いて形成することができる。具体的には、第1板部材16となるフィルム状の感光性レジストにフォトリソグラフィ法によって第1凹部13、第2凹部14および貫通部15となる貫通孔を形成した後、これに第2板部材17となるフィルム状の感光性レジストを積層し、積層されたフィルム状の感光性レジストにフォトリソグラフィ法によって貫通部15となる貫通孔を形成し、両者を加熱して接合することによって形成することができる。
板状体2の貫通部15から露出する金属膜7は、検体液の検出部を構成する。金属膜7は、例えば、クロムおよびクロム上に成膜された金の2層構造となっている。金属膜7の表面には、例えば、核酸やペプチドからなるアプタマーが固定化されている。このようにアプタマーが固定化された金属膜7に検体液が接触すると検体液中の特定の標的物質がその標的物質に対応するアプタマーと結合する。
SAWを利用して検体液の性質などを測定するには、まず、第1IDT電極5に、パッド9および配線8を介して外部の測定器から所定の電圧を印加する。そうすると、第1IDT電極5の形成領域において圧電基板1の表面が励振され、所定の周波数を有するSAWが発生する。発生したSAWはその一部が第1IDT電極5と第2IDT電極との間の領域である第1領域1aを通過し、第2IDT電極6に到達する。このとき第1領域1a上に位置している金属膜7では、金属膜7に固定化されたアプタマーが検体液中の特定の標的物質と結合し、結合した分だけ金属膜7の重さが変化するため、金属膜7の下を通過するSAWの位相特性などが変化する。このように特性が変化したSAWが第2IDT電極6に到達すると、それに応じた電圧が第2IDT電極6に生じる。この電圧が配線8およびパッド9を介して外部に出力され、それを外部の測定器で読み取ることによって検体液の性質や成分を調べることができる。
アプタマーを使用して測定を行う場合は、同じ空間20にアプタマーが固定化されていない別の金属膜7を設け、これを参照用の検出部として使用してもよい。
このようにSAWを利用して測定を行う場合、上述したようにIDT電極などを保護するために酸化珪素などの保護膜を設ける必要があるが、本願発明者が調べた結果、このような保護膜が検体液の流路内に露出していると検出感度のばらつきが大きくなる、あるいは検出感度が低下するといった不具合が生じやすくなることが判明した。
そのような不具合が生じる原因は必ずしも明らかではないが、貫通部15から保護膜4が露出していると金属膜7にアプタマーを固定化する際にアプタマーが保護膜4に付いてしまい金属膜7に所望の量のアプタマーが固定化されない、あるいは検体液を空間20に充填した際に標的物質が保護膜4に付着するといった現象が起こっていることによるものである可能性が高いと考えられる。
そこでSAWセンサ100では、流路となる空間20内に保護膜4が露出されないような構造としている。図6はSAWセンサ100においてカバー3を外した状態における平面図である(金属膜7をわかりやすくするため金属膜7に斜線を引いている)。この図に示すようにSAWセンサ100では、金属膜7が貫通部15の底に敷き詰められるようにして形成されている。これによって貫通部15の底に位置する保護膜4が金属膜7に覆われた状態となる。貫通部15から露出する保護膜4がないため、保護膜4へのアプタマーや標的物質の付着を抑制することができる。実際にこの構造とすることによって、検出感度のばらつきの抑制および検出感度の向上を確認することができた。
測定時の検体液の量を均一化するためにSAWセンサ100では、検体液の流路となる空間20が設けられている。SAWセンサ100における空間20は、カバー3の内面、
板状体2の外面および金属膜7の上面によって囲まれた空間である。
このような空間20は基本的には容積一定のため、この空間20の中に検体液を充填することによって、測定時の検体液の量を均一化することができる。
検体液を空間20に充填させる際、SAWセンサ100では毛細管現象を利用する。具体的には、検体液の流入口である第1貫通孔18の大きさ(径など)と検体液の流路である空間20の大きさ(幅、高さなど)を検体液の種類、カバー3の材質などを考慮して所定の値に設定することによって、流入口から流路にかけて毛細管現象を生じさせることができる。空間20の幅w(図3(b))は、例えば、0.5mm〜3mmであり、高さh(図3(a))は、例えば、0.05mm〜0.5mmである。第1貫通孔18の直径は例えば50μm〜500μmである。
このような第1貫通孔18および空間20を形成することによって、第1貫通孔18の開口部に検体液を接触させれば、その後は毛細管現象によって検体液が空間20の内部へ自動的に吸い込まれて空間20に満たされる。よってSAWセンサ100によれば、それ自体が検体液の吸引機構を備えているため、ピペットなどの器具を使用することなく検体液の吸引を行うことができる。なお、検体液の流入口となる第1貫通孔18の形状は円筒状に限らず、第1貫通孔18の径が空間20に向かうにつれて漸次小さくなるように、あるいは漸次大きくなるようにしてもよいし、開口部の形状を矩形状としてもよい。また、第1貫通孔18の形成位置はカバー3の天井部に限らずカバー3の側壁に設けるようにしてもよい。
カバー3には第1貫通孔18の他にも第2貫通孔19が設けられている。第2貫通孔19は第1貫通孔18とは反対側の端部に配置され空間20と繋がっている。このような第2貫通孔19を設けておくことによって、検体液が空間20に入ってきたときにもともと空間20内に存在していた空気が第2貫通孔19から外部へ放出されるため、検体液が空間20内に入り込みやすくなる。
空間20のうちカバー3の内面によって規定される部分の角部は丸みを帯びている。例えば、図3の断面図に示すように第1貫通孔18と空間20とのつなぎ目部分、第2貫通孔19と空間20とのつなぎ目部分、カバー3の内周面と板状体2とのつなぎ目部分がいずれも丸みを帯びている。
図7はSAWセンサ100を上面側からみたときの平面図である。この平面図において板状体2の上面に位置しているカバー3の内周面3iの位置を破線で示す。図6に示すように、空間20を平面視したときも空間20のうちカバー3の内周面3iによって規定される部分の角部は丸みを帯びている。
検体液の流路である空間20の角部が角張っているとその部分に検体液が滞留し、検体液の淀みができやすい。検体液の淀みができると、例えば、空間20に充填された検体液中の標的物質の濃度が場所によって異なり、検出感度の低下などを招く。これに対し、SAWセンサ100のように空間20の角部が丸みを帯びるようにすれば、検体液の淀みができにくく、空間20内における標的物質の濃度を均一化することができる。
また検体液の滞留を防止する観点から、検体液の流入口である第1貫通孔18は空間20の出来る限り端に位置するようにして形成するとよい。
カバー3は、例えば、ポリジメチルシロキサンからなる。カバー3の材料としてポリジメチルシロキサンを用いることによって、角部が丸みを帯びた形状など、カバー3を任意
の形状にすることができる。また、ポリジメチルシロキサンを用いれば、カバー3の天井部や側壁を比較的簡単に分厚く形成することができる。カバー3の天井部および側壁の厚みは、例えば、1mm〜5mmである。
SAWセンサ100においてカバー3は、その下面外周部が板状体2の周囲に位置している保護膜4に接しており、その部分で保護膜4と接合されている。換言すれば、カバー3は保護膜4を介して圧電基板1に接合されていると捉えることもできる。カバー3がポリジメチルシロキサンからなり、保護膜4がSiOからなる場合、カバー3の保護膜4への接触面に酸素プラズマ処理を施しておくことによって、接着剤などを用いることなくカバー3と保護膜4とを直接接合することができる。そのようにカバー3と保護膜4とを直接接合できる理由は必ずしも明らかではないが、カバー3と保護膜4との間にSiとOとの共有結合が形成されることによるものと考えられる。
図3または図7に示すように、カバー3はその内周面3iが板状体2の外周面2oより内側に位置するようにして形成されている。カバー3の内周面3iが板状体2の外周面2oより外側に位置していると、カバー3の内周面3iと板状体2の外周面2oとの間に隙間が形成されることになるが、そのような隙間があると検体液を空間20に入れた際にその隙間に検体液が入り込むため、その部分で検体液が滞留してしまう。これに対し、SAWセンサ100によればカバー3の内周面3iと板状体2の外周面2oとの間に隙間が形成されにくくなり検体液の滞留が発生するのを抑制することができる。
図8にカバー3の形状の変形例を示す。図8において(a)乃至(c)は、図3(a)に相当する部分の断面図である。
図8(a)は、カバー3の内周面3iが板状体2の外周面2oと同一面内に位置するようにしたものである。
図8(b)は、カバー3が板状体2の上面に配置されるようにしたものである。カバー3を板状体2の上面に配置した場合には、カバー3と板状体2との間に接着剤を介在させることによって、カバー3を板状体2に接合することができる。接着剤としては、例えば、シランカップリング剤を使用することができる。
図8(c)は、カバー3の内周面3iが板状体2の内周面より内側に位置するようにしたものである。板状体2が、アプタマーや検体液中の標的物質が付着しやすい材料からなる場合、図8(c)に示すようにカバー3を形成することによって、検体液の流路内に板状体2の露出部分が殆どなくなるため、板状体2へのアプタマーや検体液中の標的物質の付着を抑制することができる。
図15は、SAWセンサ100のさらに別の変形例を示す断面図である。図15に示すSAWセンサは、カバー3の内周面3iを板状体2の開口部15(板状体2の内周面)とほぼ一致するようにしたものである。すなわち、板状体2の外周面および上面がカバー3によって被覆された状態となっている。カバー3を図15に示す形状とすることによって、板状体2の露出部を少なくすることができるとともに、SAWの伝搬路上にカバー3が配置されないようにすることができる。これによって、板状体2へのアプタマーや検体液中の標的物質の付着を抑制しつつ、SAWの伝搬をカバー3によって阻害するのを抑制することができる。
(SAWセンサの製造方法)
図9〜図14は、SAWセンサ100の製造方法を説明する図である。図9から図13の各図において、(a)は平面図であり、(b)は(a)の平面図のB−B’線における断
面図である。例えば、図9において図9(b)は図9(a)のB−B’線における断面図である。製造工程は、図9(a)から図14まで順に進んでいく。
まず、図9に示すように、圧電基板1の上面に第1IDT電極5、第2IDT電極6、短絡電極10、配線8およびパッド9などを形成する。具体的には、まず、スパッタリング法、蒸着法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の薄膜形成法によって、
圧電基板1の上面に金属層が形成される。次に、金属層に対して、縮小投影露光機(ステッパー)とRIE(Reactive Ion Etching)装置とを用いたフォトリソグラフィ法等によりパターニングが行われる。金属層をパターニングすることによって各種の電極や配線などが形成される。このとき第2IDT電極6は、第1IDT電極5の電極指が伸びている方向と直交する方向、すなわちSAWの伝搬路上に位置するように形成される。また、短絡電極10は第1IDT電極5と第2IDT電極6との間の領域である第1領域1a内に位置するように形成される。
IDT電極5などが形成されると、図10に示すように保護膜4が形成される。なお、以下の図10〜図12の平面図では保護膜4をわかりやすくするために断面図における保護膜4の模様と同じ模様を平面図の保護膜4にも付している。
保護膜4を形成するには、まず、保護膜4となる薄膜を形成する。薄膜形成法は、例えば、スパッタリング法もしくはCVDである。次に、パッド7が露出するように、RIE等によって薄膜の一部が除去される。これにより、保護膜4が形成される。
保護膜4が形成されると、図11に示すように板状体2となる第1板部材16が形成される。第1板部材16は、感光性レジストからなる。第1板部材16は、保護膜4と同様の薄膜形成法によって形成されてもよいし、その他、スピンコート法などによって形成してもよい。その後、第1板部材16を所定の形状にパターニングすることによって第1凹部13を形成するための貫通孔、第2凹部14を形成するための貫通孔、貫通部15を形成するための貫通孔を形成する。パターニングはフォトリソグラフィ法によって行われる。
第1板部材16が形成されると、図12に示すように第2板部材17が形成される。第2板部材17は、例えば、第1板部材16と同じ材料からなる。第2板部材17を形成するには、まず、ベースフィルムに貼り付けられた状態の感光性レジストを第1板部材16に置き、第2板部材17を加熱することによって第2板部材17となる感光性レジストと第1板部材16とを接着する。
その後、ベースフィルムを剥がし、フォトリソグラフィ法によって第2板部材17となる感光性レジストのうち貫通部15となる部分が除去され第2板部材17形成される。第2板部材17が形成されることによって、第1板部材16と第2板部材17となからなる板状体2が形成されることとなる。この段階で保護膜4のうち第1領域1aを被覆している部分が貫通部15から露出している。
板状体2が形成されると、図13に示すように金属膜7を形成する。金属膜7を形成するには、まず、板状体2の貫通部15と平面視における形状が同一形状の開口部22を有するマスク25を用意し、貫通部15と開口部22が一致するようにしてマスク25を板状体2に置く。そしてマスク25を介して金属膜7となる金属材料を蒸着法、スパッタリング法などによって、貫通部15から露出する保護膜4に成膜する。これによって貫通部15から露出する保護膜4全体を被覆する金属膜7を形成することができる。なお、マスク25の開口部22は貫通部15より小さくならなければ必ずしも同一形状でなくてもよく、例えば、開口部22が貫通部15より若干大きくてもよい。なお、図13(a)の平
面図において金属膜7には断面図における金属膜7と同じ模様を付すとともに、マスク25が載置されている部分、すなわち板状体2の上面に相当する部分に斜線を引いている。
最後に図14に示すようにカバー3を圧電基板1に取り付ける。カバー3を形成するには、まず、ポリジメチルシロキサンなどからなる流動物を所定の鋳型に流し込み、これを固め、圧電基板1に取り付ける前のカバー3を形成する。その後、カバー3のうち少なくとも保護膜4と接触する部分に酸素プラズマ処理を施し、続いて、カバー3の下面の一部が板状体2の周囲に位置する保護膜4に接触するようにして、カバー3を圧電基板1に接合する。このときポリジメチルシロキサンからなるカバー3に酸素プラズマ処理を施しておくことによって、別途接着材などを使用することなくカバー3を圧電基板1に接着させることができる。
以上の工程を経てSAWセンサ100が完成する。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るSAWセンサ200について図16乃至図18を用いて説明する。図16は第2の実施形態に係るSAWセンサ200の斜視図、図17(a)は図16のA−A’線における断面図、図17(b)は図16のB−B’線における断面図、図18はSAWセンサ200の分解斜視図である。なお、図18に示した破線は、分解した部材を積層したときの部材間の位置関係を示すものである。
第1の実施形態に係るSAWセンサ100では、検体液の流入口である第1貫通孔18がカバー3の上面に形成されていたが、第2の実施形態に係るSAWセンサ200では、図16に示すようにカバー3の側面に形成されている。
また、第1の実施形態に係るSAWセンサ100では、第1貫通孔18から空間20に検体液が入ったときの検体液の進行方向と第1IDT電極11から第2IDT電極12に向かって伝搬するSAWの進行方向とがほぼ平行となるように第1貫通孔18および流路が形成されていたのに対し、第2の実施形態に係るSAWセンサ200では、第1貫通孔18から空間20に検体液が入ったときの検体液の進行方向と第1IDT電極11から第2IDT電極12に向かって伝搬するSAWの進行方向とがほぼ垂直になるように第1貫通孔18および流路が形成されている。
また、第1の実施形態に係るSAWセンサ100では、板状体2を構成する第1板部材16および第2板部材17がいずれも感光性レジストからなる例について示したが、SAWセンサ200では、第1板部材16を感光性レジストで形成し、第2板部材17を感光性レジスト以外の材料で形成している。第2板部材17は、例えば、ポリジメチルシロキサンからなる。
SAWセンサ200においては、空間20の内面に、この例ではカバー3の天井面に親水性のフィルム21が貼り付けられている。カバー3の天井面に親水性を有するフィルム21が存在することによって、検体液が水系の場合には、空間20の内部が検体液で効率よく満たされるようになるので、検体液を検出部に効率よく供給できるようになり、安定した検出を行なうことができるようになる。また、空間20の高さが低くて毛細管現象が起きるような狭い空間である場合には、毛細管現象が起きやすくなり、検体液の流入口である第1貫通孔18から空間20内に検体液が吸引されやすくなるので、微小な検体液でも効率よく検出を行なうことができるようになる。ここで、親水性のフィルム21は、水との接触角が60°以下のものを用いるのが好ましい。接触角が60°以下であれば、空間20内を水系の検体液で満たしやすくなって検出部の効率よく供給できるようになり、また毛細管現象がより起こりやすくなって、検体液を流入口に接触させたときの検体液の
流路内への吸引がより確実なものとなる。
カバー3が疎水性の材料からなる場合は、水系の検体液に対して空間20への供給が安定しにくくなったり、毛細管現象が起きにくくなったりすることがあるが、空間20の内面となっているカバー3の内面に親水性のフィルム21を設けておけば、カバー3が疎水性の材料からなる場合であっても、検体液の供給を安定させやすくなり、毛細管現象が起こりやすくなる。従って、空間20の内面に親水性のフィルム21を設けることによって、カバー3に使用することができる材料の選択肢が増える。このような親水性のフィルム21を設けることによる効果は、空間20の内面を構成する第1板部材16および第2板部材17または板状体2の表面についても同様である。
親水性のフィルム21としては、例えば、親水化処理が施された市販のポリエステル系のフィルム、あるいはポリエチレン系のフィルムなどを使用することができる。
SAWセンサ200を作製するには、第1板部材16を形成する工程までは、第1の実施形態のSAWセンサ100と同様の工程を採用でき、第1板部材16を形成した後は、第2板部材17、フィルム21、カバー3の順に形成していく。第2板部材17は、例えば、ポリジメチルシロキサンを用いて第1板部材16の平面形状とほぼ同形状に加工し、これを第1板部材16に接着剤などを介して接合することによって形成される。このとき第1板部材16の両サイドに形成された貫通孔が第2板部材17によって塞がれることで第1凹部13と第2凹部14とが形成される。
第2板部材17を形成した後、親水性のフィルム21を第2板部材17に積層する。フィルム21は、例えば、平面形状が矩形状であり、その大きさは第2板部材17の貫通部よりも一回り大きく、かつ第2板部材17よりも一回り小さい。このようなフィルム21を第2板部材17に積層することによって、第1板部材16および第2板部材17の貫通部が塞がれて流路となる空間20が形成される。
フィルム21を形成した後、カバー3を形成する。カバー3は、例えば、第2板部材17と同じくポリジメチルシロキサンからなり、硬化前のポリジメチルシロキサンをフィルム21を覆うようにして塗布し、熱を印加して硬化させる。ここで、フィルム21は第2板部材17より一回り小さく形成されているため、第2板部材17の外周領域はカバー3と接触することになる。よって、第2板部材17とカバー3とを同一材料で形成しておけば、第2板部材17とカバー3との接触部分が、カバー3を熱硬化した際に強固に接合される。これにより、フィルム21がカバー3あるいは第2板部材17と接合しにくい材料であっても、強固に接合されたカバー3と第2板部材17とに挟まれた状態となるため固定化することができる。
SAWセンサ200では、カバー3の天井面に親水性のフィルム21を形成するようにしたが、これに代えてカバー3の天井面に親水性処理を施すようにしてもよい。カバー3の天井面に親水性処理を施すには、例えば、カバー3の天井面を酸素プラズマによってアッシングした後、シランカップリング剤を塗布し、最後にポリエチレングリコールを塗布すればよい。その他にも、カバー3の天井面をホスホリルコリンを有する処理剤を用いて表面処理するという方法もある。また、カバー3自体を親水性の材料で形成するようにしてもよい。また、空間20の内面となっているカバー3の天井面以外の面、例えば内周面にフィルム21を貼り付けてもよいし、内周面に親水化処理を施してもよい。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係るSAWセンサ300について図19乃至図21を用いて説明する。図19は第3の実施形態に係るSAWセンサ300の斜視図、図20(a)は図
19のA−A’線における断面図、図20(b)は図19のB−B’線における断面図、図21はSAWセンサ300の分解斜視図である。なお、図21に示した破線は分解した部材を積層したときの部材間の位置関係を示すものである。
第3の実施形態に係るSAWセンサ300は、第1板部材16の上に第2板部材17を介さずにカバー3を直接積層した構造となっている。これは第2の実施形態におけるSAWセンサ200において、第2板部材17を省いた構造に対応する。
第1の実施形態のSAWセンサ100および第2の実施形態のSAWセンサ200では、第1板部材16の3つの貫通孔のうち両サイドに形成された貫通孔を第2板部材17で塞ぐことによって第1振動空間11および第2振動空間12を確保していたが、SAWセンサ300では、図21に示すように、第1IDT電極5に対応する位置に形成された第1貫通部27および第2IDT電極6に対応する位置に形成された第2貫通部28をカバー3によって直接塞ぐことで第1振動空間11および第2振動空間12が確保されている。また、流路となる空間20は、第1板部材16の中央に形成された第3貫通部29がカバー3によって塞がれることで確保される。
SAWセンサ300によれば、第2板部材17がないため、第2板部材17の厚み分だけSAWセンサ300を低背化することができる。また、第2板部材17の形成工程が省かれるため、生産効率がよい。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、上述した実施形態に係るSAWセンサにおいては、検出部が金属膜7と金属膜7の表面に固定化されたアプタマーからなるものについて説明したが、検体液中の標的物質が金属膜7と反応する場合には、アプタマーを使用せず金属膜7だけで検出部を構成してもよい。
また上述した実施形態に係るSAWセンサにおいて、カバー3は一体形成されたものであったが、複数の板部材を張り合わせて形成したものであってもよい。
また上述したSAWセンサ100の製造方法では、マスク25を介して金属膜7となる金属材料の成膜を行ったが、開口部15を有する板状体2を形成した後、マスク25を使用せずに圧電基板1の上面側からスパッタリング法などにより直接金属材料の成膜を行ってもよい。この場合は、板状体2の上面などにも金属材料は成膜されるものの、開口部15から露出する保護膜4を覆う金属膜7を形成できる点においてはマスク25を使用する場合と変わりはない。
また、各実施形態において説明した技術は、適宜他の実施形態のSAWセンサにも適用可能である。例えば、第2の実施形態において説明した親水性のフィルムや親水化処理を施す技術は、第1の実施形態に係るSAWセンサ100および第3の実施形態に係るSAWセンサ300にも適用可能である。
1・・・圧電基板
2・・・板状体
3・・・カバー
4・・・保護膜
5・・・第1IDT電極
6・・・第2IDT電極
7・・・金属膜
8・・・配線
9・・・パッド
10・・・短絡電極
11・・・第1振動空間
12・・・第2振動空間
13・・・第1凹部
14・・・第2凹部
15・・・貫通部
20・・・空間

Claims (4)

  1. 圧電基板と、
    該圧電基板の上面に配置された第1IDT電極と、
    前記圧電基板の上面のうち、前記第1IDT電極によって励振される弾性表面波の伝搬路上に配置された第2IDT電極と、
    前記第1IDT電極および前記第2IDT電極ならびに前記圧電基板の上面のうち少なくとも前記第1IDT電極と前記第2IDT電極との間の領域である第1領域を被覆している保護膜と、
    前記第1IDT電極、前記第2IDT電極および前記第1領域を覆うように前記圧電基板の上面に配置された、前記圧電基板の上面との間の第1空間内に前記第1IDT電極を収容する第1凹部、前記圧電基板の上面との間の第2空間内に前記第2IDT電極を収容する第2凹部および前記第1領域上の前記保護膜の一部を露出する貫通部を有する板状体と、
    前記貫通部内に露出している前記保護膜を被覆している金属膜を含む検出部と、
    前記板状体の少なくとも前記貫通部を覆うように前記板状体および前記圧電基板の少なくとも一方の上面に配置された、前記金属膜の上面との間に前記検出部への検体液の毛細管流路となる空間を有するとともに、該空間への前記検体液の流入口となる貫通孔を端部に有するカバーと、を備え、
    前記カバーは、前記空間の前記圧電基板または前記板状体側の内周面が、前記板状体の外周面と同一面または前記外周面よりも内側に位置している、弾性表面波センサ。
  2. 前記保護膜は、前記圧電基板の上面のうち前記第1IDT電極、前記第2IDT電極および前記第1領域以外の領域であって前記板状体の周囲に位置する第2領域も被覆しており、前記カバーは、前記保護膜のうち前記第2領域を被覆している部分に接合されている請求項1に記載の弾性表面波センサ。
  3. 前記空間の内面に貼り付けられた親水性のフィルムをさらに備えた請求項1または2に記載の弾性表面波センサ。
  4. 圧電基板の上面に、第1IDT電極および該第1IDT電極によって励振される弾性表面波の伝搬路上に配置された第2IDT電極を形成する工程と、
    前記第1IDT電極および前記第2IDT電極ならびに前記圧電基板の上面のうち少なくとも前記第1IDT電極と前記第2IDT電極との間の領域である第1領域を被覆する保護膜を形成する工程と、
    第1凹部、第2凹部および貫通部を有する板状体を、前記第1凹部と前記圧電基板の上面との間の第1空間内に前記第1IDT電極を収容し、前記第2凹部と前記圧電基板の上面との間の第2空間内に前記第2IDT電極を収容し、前記貫通部内に前記第1領域上の前記保護膜の一部を露出させて、前記第1IDT電極、前記第2IDT電極および前記第1領域を覆うように前記圧電基板の上面に配置する工程と、
    前記貫通部内に露出している前記保護膜を被覆する金属膜を形成する工程と、
    前記板状体の少なくとも前記貫通部を覆うように、前記板状体の上面との間に前記金属膜への検体液の毛細管流路となる空間を有するとともに該空間への前記検体液の流入口となる貫通孔を端部に有するカバーを、前記板状体および前記圧電基板の少なくとも一方の上面に、前記カバーの前記空間の前記圧電基板または前記板状体側の内周面が、前記板状体の外周面と同一面または前記外周面よりも内側に位置するように配置する工程と、備えた弾性表面波センサの製造方法。
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