JP6152745B2 - ギヤポンプ - Google Patents
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Description
この種のギヤポンプにおいて、インナロータを高速で回転駆動すると、吸入ポート溝から内歯と外歯との間のギヤ室内に対するオイルの吸入量が不足しやすくなる。そして、内歯と外歯との間のギヤ室内に対するオイルの吸入不足等によって、キャビテーションが発生し、これによって、オイルの吐出量が低下したり、油圧振動や異音等が発生する。
ギヤポンプのギヤ室内に対するキャビテーションの発生を抑制するために、例えば、特許文献1に開示さたギヤポンプが知られている。
これにおいては、ポンプギヤを収容するポンプボディおよびポンプカバーに設けられた吸入ポートの底に、ポンプギヤの回転方向に延びる段差を有している。吸入ポートの段差より内周側の底の深さは、吸入ポートの段差より外周側の底の深さより深くなるように設定されている。
外周側溝部内で高圧化されたオイルは、連通部を通して吸入ポート溝の終端壁部から吸入ポート溝側で最も近い位置に構成される内歯と外歯との間のギヤ室内に流入する。
これによって、吸入ポート溝の終端壁部から吸入ポート溝側で最も近い位置に構成される内歯と外歯との間のギヤ室内のオイルを高圧化することができる。
引き続くギヤポンプの作動によって、前記高圧化されたギヤ室内のオイルが吐出ポート溝に吐出される。
前記したように、ギヤ室内のオイルを高圧化することで、キャビテーションの発生を良好に抑制することができる。
この結果、キャビテーションが原因となるオイルの吐出量の低下、油圧振動、異音等の発生を抑制することができる。
図1と図2に示すように、ギヤポンプは、ポンプボディ10と、ポンプカバー20と、アウタロータ40と、インナロータ45と、駆動軸1とを備える。
ポンプボディ10は、円板状の底壁11と、この底壁11の周縁部に沿って円筒状に形成された周壁13とを備え、これら底壁11と周壁13によって一端側に開口する凹部14が形成されている。
また、底壁11には、その中心から次に詳述するアウタロータ40とインナロータ45との偏心量Aに相当する分だけ偏心した位置に中心をもつ貫通孔12が形成されている。
ポンプカバー20は、ポンプボディ10の周壁13の端面にボルト等(図示しない)によって密封状に取り付けられ、ポンプボディ10の凹部14を閉じてロータ組込室15を構成する。
インナロータ45は、アウタロータ40の内周面に偏心量Aだけ偏心した状態で組み込まれ、その外周面の周方向には、アウタロータ40の複数の内歯41に噛み合う複数の外歯46が形成されている。そして、アウタロータ40の内歯41とインナロータ45の外歯46との間にはオイル室50が拡開及び縮小可能に形成される。
インナロータ45の中心部には非円形の軸孔47が形成され、この軸孔47には、ポンプボディ10の貫通孔12を通して駆動軸1の先端軸部2がトルク伝達可能に嵌挿される。
この実施例1において、駆動軸1の先端軸部2外周面の軸方向に面取り加工された平坦面3が形成され、軸孔47の内周面には、平坦面3に対向する位置において軸孔47の円弧の弦をなすようにして平坦部分48が形成されている。
そして、駆動軸1のトルク伝達を受けてインナロータ45が回転することで、このインナロータ45の外歯46にアウタロータ40の内歯41が噛み合った状態でアウタロータ40が追従回転し、これによってポンプ作用をなす。
なお、吸入ポート溝22は、図示しない吸入系経路に接続され、吐出ポート溝31は、図示しない吐出系経路に接続される。
また、中間仕切壁60の吸入ポート溝22の終端壁部27に近い部分には、外周側溝部61と内周側溝部62とを連通する連通部63が形成されている。
そして、内歯41と外歯46との間のギヤ室50内で遠心力の作用を受けて高圧化されたオイルの一部が外周側溝部61に流入し、かつ連通部63を通して終端壁部27から吸入ポート溝22側で最も近い位置に構成される内歯41と外歯46との間のギヤ室50内に流入してオイルを高圧化する構成にしてある。
したがって、ポンプ作動時には、駆動軸1のトルク伝達を受けてインナロータ45が、図1に向かって時計回り方向の矢印P方向へ回転駆動され、これに伴ってアウタロータ40が追従回転する。そして、アウタロータ40の内歯41とインナロータ45の外歯46との間のオイル室50が拡開及び縮小されることで、吸入ポート溝22に供給されたオイルがアウタロータ40の内歯41とインナロータ45の外歯46との間のギヤ室50に吸入された後、ギヤ室50のオイルが吐出ポート溝31に吐出される。
すなわち、吸入ポート溝22側の低圧のオイルがギヤ室50内に吸入されると、吸入されたオイルは遠心力の作用を受けて外周側へ流れて高圧化される。
高圧化されたオイルの一部は、吸入ポート溝22の中間仕切壁60によって区画された外周側溝部61に流れる。そして、外周側溝部61に流れた高圧化されたオイルが吸入ポート溝22の終端壁部27に向けて流れ、吸入ポート溝22の終端壁部27の近傍のオイルが高圧化される。
このため、吸入ポート溝22の終端壁部27から吸入ポート溝22側で最も近い位置に構成される内歯41と外歯46との間のギヤ室50内のオイルが高圧化される。これによって、ギヤ室50内のオイル中にキャビテーションが発生することを良好に抑制することができる。
この結果、キャビテーションが原因となるオイルの吐出量の低下、油圧振動、異音等の発生を抑制することができる。
図6に示すように、この実施例2においては、吸入ポート溝122の溝底面に形成されて吸入ポート溝122を外周側溝部161と内周側溝部162とに区画する中間仕切壁160が、吸入ポート溝122の終端壁部127から延出された第1の壁部160bと、この第1の壁部160bの延出端部との間に連通部163を隔てて形成された第2の壁部160cとを有して構成されている。
また、中間仕切壁160の基端部160aは、吸入ポート溝122の終端壁部127から複数の内歯41の1ピッチ分に相当する距離、又はそれ以上の距離を隔てて吸入ポート溝122の外周側壁部25の部分に連結されている。
この実施例2のその他の構成は、実施例1と同様に構成されるため、同一構成部分に対し、同一符号を付記してその説明は省略する。
すなわち、吸入ポート溝122側の低圧のオイルがギヤ室50内に吸入されると、吸入されたオイルは遠心力の作用を受けて外周側へ流れて高圧化される。
高圧化されたオイルの一部は、吸入ポート溝122の中間仕切壁160を構成する第1、第2の壁部160b、160cによって区画された外周側溝部161に流れる。そして、外周側溝部161に流れた高圧化されたオイルが連通部163を通して内周側溝部162に向けて流れることで、吸入ポート溝122の終端壁部127の近傍のオイルが高圧化される。
このため、吸入ポート溝122の終端壁部127から吸入ポート溝122側で最も近い位置に構成される内歯41と外歯46との間のギヤ室50内のオイルが高圧化される。これによって、ギヤ室50内のオイル中にキャビテーションが発生することを良好に抑制することができる。
この結果、キャビテーションが原因となるオイルの吐出量の低下、油圧振動、異音等の発生を抑制することができる。
図7に示すように、この実施例3においては、中間仕切壁260は、吸入ポート溝222の始端壁部228に基端部260aで連結され、その基端部260aから吸入ポート溝222の終端壁部227に向けて円弧状に延出されて構成されている。そして、中間仕切壁260が形成される部分において、吸入ポート溝222が、外周側溝部261と内周側溝部262と区画されると共に、中間仕切壁260の延出端と終端壁部227との間に連通部263が形成されている。
この実施例3のその他の構成は、実施例1と同様に構成されるため、同一構成部分に対し、同一符号を付記してその説明は省略する。
高圧化されたオイルの一部は、吸入ポート溝222の中間仕切壁260によって区画された外周側溝部261に流れる。そして、外周側溝部261に流れた高圧化されたオイルが連通部263を通して内周側溝部262に向けて流れることで、吸入ポート溝222の終端壁部227の近傍のオイルが高圧化される。
このため、吸入ポート溝222の終端壁部227から吸入ポート溝222側で最も近い位置に構成される内歯41と外歯46との間のギヤ室50内のオイルが高圧化される。これによって、ギヤ室50内のオイル中にキャビテーションが発生することを良好に抑制することができる。
この結果、キャビテーションが原因となるオイルの吐出量の低下、油圧振動、異音等の発生を抑制することができる。
例えば、前記実施例2においては、中間仕切壁160の基端部160aが、吸入ポート溝122の終端壁部127から複数の内歯41の1ピッチ分に相当する距離、又はそれ以上の距離を隔てて吸入ポート溝22の外周側壁部25の部分に連結される場合を例示したが、中間仕切壁160の基端部160aが吸入ポート溝22の始端壁部に連結されてもよい。
また、前記実施例1〜3においては、ポンプボディ10及びポンプカバー20の両部材に対し、吸入ポートを構成する吸入ポート溝22(122、222)と、吐出ポートを構成する吐出ポート溝31とがそれぞれ形成される場合を例示したが、ポンプボディ10と、ポンプカバー20とのうち、一方の部材に対し、吸入ポート溝22(122、222)と吐出ポート溝31とが形成される場合においてもこの発明を実施することができる。
15 ロータ組込室
20 ポンプカバー
22 吸入ポート溝
25 外周側壁部
26 内周側壁部
27 終端壁部
31 吐出ポート溝
40 アウタロータ
41 内歯
45 インナロータ
46 外歯
50 ギヤ室
60 中間仕切壁
61 外周側溝部
62 内周側溝部
63 連通部
Claims (4)
- ポンプボディと、ポンプカバーとによって構成されたロータ組込室内に対し、複数の内歯を有するアウタロータと、前記内歯との間にギヤ室を構成し、かつ前記内歯と噛み合って回転駆動される外歯を有するインナロータとが配設され、前記ポンプボディと、前記ポンプカバーとのうち、少なくとも一方の部材に対し、吸入ポートを構成する吸入ポート溝と、吐出ポートを構成する吐出ポート溝とがそれぞれ形成されたギヤポンプであって、
前記吸入ポート溝の溝底面には、前記吸入ポート溝を外周側溝部と内周側溝部とに区画する中間仕切壁が形成され、
前記中間仕切壁の前記吸入ポート溝の終端壁部に近い部分には、前記外周側溝部と前記内周側溝部とを連通する連通部が形成され、
前記内歯と前記外歯との間のギヤ室内で遠心力の作用を受けて高圧化されたオイルが前記外周側溝部を流れ、かつ前記連通部を通して前記終端壁部から前記吸入ポート溝側で最も近い位置に構成される前記内歯と前記外歯との間のギヤ室内に流入してオイルを高圧化する構成にしてあることを特徴とするギヤポンプ。 - 請求項1に記載のギヤポンプであって、
中間仕切壁の基端部は、吸入ポート溝の外周側壁部、又は前記吸入ポート溝の始端壁部に連結されていることを特徴とするギヤポンプ。 - 請求項1に記載のギヤポンプであって、
中間仕切壁は、吸入ポート溝の終端壁部から延出された第1の壁部と、この第1の壁部の延出端部との間に連通部を隔てて形成された第2の壁部とを有していることを特徴とするギヤポンプ。 - 請求項3に記載のギヤポンプであって、
中間仕切壁の第2の壁部の基端部は、吸入ポート溝の外周側壁部、又は前記吸入ポート溝の始端壁部に連結されていることを特徴とするギヤポンプ。
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