JP6152233B1 - 二次電池スラリー用分散剤組成物及びその利用 - Google Patents

二次電池スラリー用分散剤組成物及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】 分散安定性が良好な二次電池スラリー用分散剤組成物と、塗布性及び被膜の乾燥性が良好な二次電池スラリー組成物と、塗布性及び被膜の乾燥性が良好な二次電池スラリー組成物の製造方法と、該二次電池スラリー組成物を用いた電池とを提供する。【解決手段】 特定の化合物の群から選ばれる成分(A)および高分子粒子成分(B)を含有し、特定の低起泡性を示し、前記成分(A)と前記成分(B)とを特定の比率で含有する、二次電池スラリー組成物。【化1】【選択図】 なし

Description

本発明は、二次電池スラリー用分散剤組成物及びその利用に関する。さらに詳細には、スラリーの分散安定性が良好な二次電池スラリー用分散剤組成物、塗布性、被膜の乾燥性が良好な二次電池スラリー組成物、耐熱性および保液性に優れた二次電池用被膜、およびその製造方法に関する。
近年、電子機器において、充電により繰り返し使用が可能である、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池等の二次電池や電気二重層キャパシタ等のキャパシタが用いられている。二次電池は、携帯用電子機器やハイブリッド自動車などに用いるための電池として、急速に開発が進められている。たとえば、リチウムイオン二次電池は、主に正極、負極、セパレータ、非水電解質溶液から構成されており、電池特性の向上の為に様々な検討がなされている。
たとえば、正極としては、正極活物質、溶媒を含有する正極用二次電池スラリーを集電体に塗布、乾燥して製造される。負極としては、負極活物質、溶媒を含有する負極用二次電池スラリーを集電体に塗布、乾燥して製造される。セパレータは、正極と負極を隔絶し電池の安全性を向上させることができる材料であり、たとえば、ポリオレフィンの多孔質膜が優れた特性を有する。また、ポリオレフィンの多孔質膜などのセパレータ基材表面にさらに有機粒子や無機粒子を含有するセパレータ用二次電池スラリーを塗布、乾燥して表面コートされたセパレータも開発されている。しかしながら、さらに大容量の二次電池が求められている状況では、さらに安全性を高めることができる二次電池用材料が要望されていた。
安全性の確保手段としては、たとえば、異常発熱の際に、上述したセパレータにより正−負極間のイオンの通過を遮断して、さらなる発熱を防止するシャットダウン機能を付与する方法がある。シャットダウン機能とは、異常発熱時にセパレータが溶融・無孔化し、イオンの通過を遮断し、さらなる発熱を抑制することができる。たとえば、ポリオレフィン製の多孔質フィルムからなるセパレータは、電池の異常発熱時には、約80〜180℃で溶融・無孔化することでイオンの通過を遮断(シャットダウン)することにより、さらなる発熱を抑制する。しかしながら、発熱が激しい場合などには、前記多孔質フィルムからなるセパレータは、収縮や破膜等により、正極と負極が直接接触して、短絡を起こすおそれがある。このように、ポリオレフィン製の多孔質フィルムからなるセパレータは、形状安定性が不十分であり、短絡による異常発熱を抑制できない場合があった。
たとえば、特許文献1には微粒子のフィラーを含む耐熱層と、基材としてのポリオレフィンを主体とする多孔質フィルム(以下、「基材多孔質フィルム」と称する場合がある)とが積層されてなる積層多孔質フィルムからなる非水電解液二次電池用セパレータ;特許文献2にはセパレータの耐熱層として表面を修飾した微粒子フィラーを使用する方法;特許文献3にはバインダー樹脂の化学構造に特徴を持たせフィラーを結着させる方法等が開示されている。しかしながら、これらの方法は、二次電池スラリーにおける無機粒子の分散性、二次電池スラリーの保存安定性、二次電池スラリーの被膜形成性が、塗布膜の乾燥性、均一性および耐熱性を解決するものではなく、さらなる性能の向上が求められている。
特開2004−227972号公報 特開2007−311151号公報 特開2006−331760号公報
本発明の目的は、分散安定性及び濡れ性が良好な二次電池スラリー用分散剤組成物と、塗布性及び被膜の乾燥性が良好な二次電池スラリー組成物と、該二次電池スラリー組成物を用いて作製された二次電池用材料及び二次電池を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討をした結果、特定の成分(A)と高分子粒子成分(B)とを特定の重量比で含み、特定の低起泡性を示す二次電池スラリー用分散剤組成物であれば、本願課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、成分(A2)、成分(A3)、成分(A5)及び成分(A6)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、高分子粒子成分(B)とを含む二次電池スラリー用分散剤組成物であって、
ロスマイルス試験法による25℃における有効濃度0.1重量%の起泡力が、流下直後において50mm以下、かつ、流下直後から5分後において20mm以下であり、
前記成分(A)の含有量を100重量部としたときに、前記成分(B)が100〜3000重量部であり、
前記成分(A2)が、下記一般式(1)で表される硫黄含有化合物成分(A2−1)及び下記一般式(2)で表される硫黄含有化合物成分(A2−2)から選ばれる少なくとも1種である硫黄含有化合物成分であり、
Figure 0006152233
(式(1)中、a及びbは、0以上の整数であって、a+b=5〜17を満たす整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
Figure 0006152233
(式(2)中、c、d及びeは、0以上の整数であって、c+d+e=4〜16を満たす整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
前記成分(A3)が、下記一般式(3)で表されるリン含有化合物成分(A3−1)及び下記一般式(5)で表されるリン含有化合物成分(A3−2)から選ばれる少なくとも1種であり、
Figure 0006152233
(但し、Qはフェニル基または下記一般式(4)で表される有機基を示す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。xは1または2である。)
{RO−[(PO)m1/(EO)n1]}− (4)
(但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m1およびn1は、各々の平均付加モル数を示し、m1=0〜30およびn1=0〜50である。[(PO)m1/(EO)n1]はm1モルのPOとn1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
Figure 0006152233
(但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。Qは、水素原子、アルカリ金属、NRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。Qは、ヒドロキシル基、QO、フェニル基または下記一般式(6)で表される有機基を示す。r1は、1または2である。)
{RO−[(PO)m2/(EO)n2]}− (6)
(但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
前記成分(A5)が下記一般式(7)で表されるアルキレンオキサイド付加物成分であり、
O−[(PO)p1/(EO)q1]−Q (7)
(但し、Rは下記一般式(8)で表される基を示す。Qは、水素原子又はSOで示される基である。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。p1およびq1は、各々の平均付加モル数を示し、p1=0〜20、q1=0〜50、p1+q1>0である。[(PO)p1/(EO)q1]はp1モルのPOとq1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
Figure 0006152233
(但し、n3は、0〜3の整数である。)
前記成分(A6)が、水中で解離可能な水素原子を含む官能基を有する配位子(A6−1)及びポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(A6−2)からなり、前記配位子(A6−1)が下記式(II)を満たす、二次電池スラリー用分散剤組成物である。
0.005 < a/M < 0.035 (II)
(式(II)中、aは前記配位子(A6−1)が有する水中で解離可能な水素原子の数を示す。Mは、前記配位子(A6−1)の分子量を示す。)
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、次の1)〜4)のいずれかを満たすと好ましい。
1)成分(A1)、成分(A2)及び成分(A3)を必須に含み、前記成分(A1)が、ブチルジグリコール法(BDG法)により測定される曇点が20〜95℃であるアルキレンオキサイド付加物成分(A1−1)及び有効濃度が1重量%の水溶液の曇点が30℃以上であるアルキレンオキサイド付加物成分(A1−2)からなり、
前記成分(A1−1)のHLBをHLB(A1−1)、前記成分(A1−2)のHLBをHLB(A1−2)とし、下記数式(I)を満足する。
2<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<14 (I)
2)前記成分(A1)、前記成分(A2)、前記成分(A3)及び成分(A4)を必須に含み、前記成分(A4)が変性ポリシロキサンである。
3)前記成分(A1−1)が下記一般式(10)、前記成分(A1−2)が下記一般式(11)で示される。
O−[(PO)p3/(EO)q3]−H (10)
(Rは、活性水素含有化合物由来の有機基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。p3およびq3は、各々の平均付加モル数を示し、p3=0〜30およびq3=1〜50である。但し、p3=0のときはq3=1〜5である。[(PO)p3/(EO)q3]はp3モルのPOとq3モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
O−(EO)n4−H (11)
(Rは、活性水素含有化合物由来の有機基、EOはオキシエチレン基を示す。n4は、EOの平均付加モル数を示し、n4=6〜100である。)
4)前記成分(A3)が、前記成分(A3−1)であり、Qは前記一般式(4)で表される有機基であり、前記Rは水素原子、m1=0およびn1=0であり、前記分散剤組成物の有効濃度が20%濃度におけるpHが6.0〜10.0である。
本発明の二次電池スラリー組成物は、成分(A2)、成分(A3)、成分(A5)及び成分(A6)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、高分子粒子成分(B)と、無機粒子とを含有する二次電池スラリー組成物であって、前記無機粒子の含有量を100重量部としたときに、それぞれの含有量が、前記成分(A)が0.01〜10重量部、前記成分(B)が0.1〜50重量部であり、
ロスマイルス試験法による25℃における有効濃度0.1重量%の起泡力が、流下直後において50mm以下、かつ、流下直後から5分後において20mm以下であり、
前記成分(A2)が、下記一般式(1)で表される硫黄含有化合物成分(A2−1)及び下記一般式(2)で表される硫黄含有化合物成分(A2−2)から選ばれる少なくとも1種である硫黄含有化合物成分であり、
Figure 0006152233
(式(1)中、a及びbは、0以上の整数であって、a+b=5〜17を満たす整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
Figure 0006152233
(式(2)中、c、d及びeは、0以上の整数であって、c+d+e=4〜16を満たす整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
前記成分(A3)が、下記一般式(3)で表されるリン含有化合物成分(A3−1)及び下記一般式(5)で表されるリン含有化合物成分(A3−2)から選ばれる少なくとも1種であり、
Figure 0006152233
(但し、Qはフェニル基または下記一般式(4)で表される有機基を示す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。xは1または2である。)
{RO−[(PO)m1/(EO)n1]}− (4)
(但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m1およびn1は、各々の平均付加モル数を示し、m1=0〜30およびn1=0〜50である。[(PO)m1/(EO)n1]はm1モルのPOとn1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
Figure 0006152233
(但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。Qは、水素原子、アルカリ金属、NRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。Qは、ヒドロキシル基、QO、フェニル基または下記一般式(6)で表される有機基を示す。r1は、1または2である。)
{RO−[(PO)m2/(EO)n2]}− (6)
(但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
前記成分(A5)が下記一般式(7)で表されるアルキレンオキサイド付加物成分であり、
O−[(PO)p1/(EO)q1]−Q (7)
(但し、Rは下記一般式(8)で表される基を示す。Qは、水素原子又はSOで示される基である。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。p1およびq1は、各々の平均付加モル数を示し、p1=0〜20、q1=0〜50、p1+q1>0である。[(PO)p1/(EO)q1]はp1モルのPOとq1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
Figure 0006152233
(但し、n3は、0〜3の整数である。)
前記成分(A6)が、水中で解離可能な水素原子を含む官能基を有する配位子(A6−1)及びポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(A6−2)からなり、前記配位子(A6−1)が下記式(II)を満たす、二次電池スラリー組成物である。
0.005 < a/M < 0.035 (II)
(式(II)中、aは前記配位子(A6−1)が有する水中で解離可能な水素原子の数を示す。Mは、前記配位子(A6−1)の分子量を示す。)
本発明の二次電池用正極は、集電体上に正極用被膜を有する二次電池用正極であって、前記被膜が、上記二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる。
本発明の二次電池用負極は、集電体上に負極用被膜を有する二次電池用負極であって、前記被膜が、上記二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる。
本発明の二次電池用セパレータは、セパレータ用被膜を有するセパレータであって、前記被膜が、上記二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる。
本発明の二次電池は、負極、正極、セパレータ及び電解液を含む二次電池であって、前記負極、前記正極及び前記セパレータのうちの少なくとも1つが、上記二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる被膜を有する。
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物を含むスラリーは、分散安定性及び濡れ性が良好である。本発明の二次電池スラリー組成物は塗布性及び被膜の乾燥性に優れる。本発明の二次電池スラリー組成物を用いて製造した二次電池は耐熱性及び保液性に優れる。
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、成分(A1)、成分(A2)、成分(A3)、成分(A4)、成分(A5)、成分(A6)及び成分(A7)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、高分子粒子成分(B)とを含む。
まず、二次電池スラリー用分散剤組成物を構成する各成分を詳しく説明する。
〔成分(A1)〕
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物に用いられる成分(A1)は、ブチルジグリコール法(BDG法)により測定される曇点が20〜95℃であるアルキレンオキサイド付加物成分(A1−1)及び有効濃度が1重量%の水溶液の曇点が30℃以上であるアルキレンオキサイド付加物成分(A1−2)からなり、
前記成分(A1−1)のHLBをHLB(A1−1)、前記成分(A1−2)のHLBをHLB(A1−2)とし、下記数式(I)を満足する。なお、ここでいうHLB値は、グリフィン法に基づくものであり、下記式により算出したものである。
HLB値=(アルキレンオキサイド付加物の分子量のうちの親水基部分の分子量/アルキレンオキサイド付加物の分子量)×20
式中、親水基部分とは、たとえば、アルキレンオキサイド付加物を構成するエチレンオキサイド付加の部分を示す。
2<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<14 (I)
成分(A1−1)及び成分(A1−2)は、アルキレンオキサイド付加物であり、活性水素含有化合物に1種以上のアルキレンオキサイドを付加反応して得られる。
活性水素含有化合物としては、たとえば、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、アミド基等の活性水素基を分子中に1個以上有する化合物であればよい。活性水素含有化合物としては、たとえば、アルコール類、フェノール類、アミン類、カルボン酸類、アミド類等が挙げられ、これらの化合物を1種または2種以上を併用してもよい。
上記アルコール類としては、特に限定はないが、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、へキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ノナデカノール、エイコサノール、ヘネイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、ヘプタコサノール、オクタコサノール、ノナコサノールおよびトリアコサノール等の直鎖アルカノール;2−エチルへキサノール、2−プロピルヘプタノール、2−ブチルオクタノール、1−メチルヘプタデカノール、2−ヘキシルオクタノール、1−ヘキシルヘプタノール、イソデカノール、イソトリデカノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール等の分岐アルカノール;ヘキセノール、ヘプテノール、オクテノール、ノネノール、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、へキサデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール、エイセノール、ドコセノール、テトラコセノール、ペンタコセノール、ヘキサコセノール、ヘプタコセノール、ヘプタコセノール、オクタコセノール、ノナコセノールおよびトリアコンセノール等の直鎖アルケノール;イソヘキセノール、2−エチルへキセノール、イソトリデセノール、1−メチルヘプタデセノール、1−ヘキシルヘプテノール、イソトリデセノールおよびイソオクタデセノール等の分岐アルケノール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリアルキレングリコールラウリルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル;ブチルエチルプロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,6−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,15−ペンタデカンジオール、1,16−ヘキサデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール、シクロヘキサンジメタノール等の炭素数4〜20のアルカンジオール;ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸とのモノまたはジエステル化物、β,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジエノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール類;トリメチロールエタン、ジメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールヘキサン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、果糖、ショ糖、デキストロース、フラクトース、メチルグルコシド、ヒドロキシエチルグルコシド、ひまし油、硬化ひまし油等の3価以上のアルコール類;ポリビニルアルコール;これらの上記化合物が有する酸素原子の1個以上が硫黄原子に置換したチオアルコール類等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。上記アルコール類のうちでも、直鎖アルカノール、直鎖アルケノール、分岐アルカノール、分岐アルケノール、アルキレングリコールモノアルキルエーテルが好ましく、1種または2種以上を併用してもよい。さらには、上記アルコール類が第二級アルコールであると特に好ましい。
アルコールの製品の具体例としては、特に限定はないが、たとえば、ヤシアルコール、パームアルコール等の天然油脂由来の高級アルコールや、カルコールシリーズ(花王製)、コノールシリーズ(新日本理化製)、オキソコールシリーズ(協和発酵ケミカル製)、ネオドールシリーズ(シェル化学製)、ALFOLシリーズ(Sasol製)、EXXALシリーズ(エクソン・モービル製)、ソフタノールシリーズ(日本触媒製)等が挙げられる。これらの高級アルコールの製品は、1種または2種以上を併用してもよい。
上記フェノール類としては、特に限定はないが、たとえば、フェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ジノニルフェノール、ナフトール、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、トリフェノール、テトラフェノール、ノボラック、レゾール、レゾルシン、マンニッヒ化合物等;これらの上記化合物が有する酸素原子の1個以上が硫黄原子に置換したチオフェノール類等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
上記アミン類としては、特に限定はないが、たとえば、アンモニア;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミンおよびブタノールアミン等のアルカノールアミン;メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクタデシルアミン、ラウリルアミン、エイコシルアミン、ヤシ油アミン、牛脂アミン、パーム油アミン、大豆油アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、2−エチルヘキシルメチルアミン、メチルオクタデシルアミンおよびオクタデシルエチルアミン等のジアルキルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ジエチレントリアミンおよびトリエチレンテトラミン等のアルキレンポリアミン等の脂肪族アミン;アニリン、N−メチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、N−エチルトルイジン、p−トルイルアミン、2,3−キシリノアミン、2,4−キシリノアミン、ジフェニルアミン、メチルフェニルアミン、エチルフェニルアミン、ジ−o−トルイルアミンおよびフェニルトルイルアミン等のアリールアミン、ベンジルアミン、ベンジルメチルアミンおよびo−トルイルメチルアミン等のアリールアルキルアミン、フェニレンジアミン、ジアミノトルエン、キシリレンジアミン、メチレンジアニリンおよびジフェニルエーテルジアミン等のアリーレンポリアミン等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
上記カルボン酸類としては、特に限定はないが、たとえば、脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸等が挙げられ、脂肪族カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、ラウリン酸、2−エチルヘキサン酸、オクタデカン酸、ステアリン酸及びエイコサン酸等のモノカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸およびマレイン酸等のジカルボン酸;ヘキサントリカルボン酸、オクタントリカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸等が挙げられる。また、芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、4−メチル安息香酸、2,3,4−トリクロロ安息香酸およびナフタレンカルボン酸等のモノカルボン酸;例えば、フタル酸、テレフタル酸およびトリクロロベンゼンジカルボン酸、m−トルエンジカルボン酸およびナフタレンジカルボン酸等のジカルボン酸;トリメリット酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、ベンゼンヘキサカルボン酸およびナフタレンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
上記アミド類としては、特に限定はないが、たとえば、アセトアミド、プロパンアミド、メチルエチルアミド、ブチルアミド、ベンゾアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
アルキレンオキサイドとしては、特に限定はないが、たとえば、エチレンオキサイド(EO)、プロピレンオキサイド(PO)、ブチレンオキサイド(BO;たとえば、1,2−ブチレンオキサイド、2,3−ブチレンnオキサイド、イソブチレンオキサイド等)、1−ブテンオキサイド、2−ブテンオキサイド、トリメチルエチレンオキサイド、テトラメチルエチレンオキサイド、α−オレフィンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピフルオロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシドール、メチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−クロルエチルグリシジルエーテル、o−クロロフェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、メタクリルクロリドエポキシド、シクロヘキセンオキシド、ジヒドロナフタリンオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1、4−エポキシシクロヘキサン、トリフルオロプロピレンオキサイド、ブタジエンモノオキサイド、1、1−ジフェニルエチレンオキサイド等が挙げられる。
アルキレンオキサイドが、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドおよびブチレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種であると汎用性に優れるので好ましい。
活性水素含有化合物に対して供給するアルキレンオキサイドの付加モル数としては、特に限定はないが、活性水素含有化合物1モルに対して、好ましくは1〜100モル、より好ましくは1〜50モル、さらに好ましくは2〜30モル、特に好ましくは3〜20モル、最も好ましくは4〜15モルである。アルキレンオキサイドの付加モル数が1未満であると、分散性が十分ではないことがある。一方、アルキレンオキサイドの平均付加モル数が100超であると、ハンドリング性が低いことがある。
アルキレンオキサイド付加物の製造方法は、特に限定はなく、活性水素含有化合物、触媒等の原料を反応容器に仕込み、そしてその反応容器にアルキレンオキサイドを供給して付加反応した後脱ガス処理や脱水処理が行われる方法など一般的な方法が適用できる。触媒はアルカリ(土類)金属の酸化物、アルカリ(土類)金属の炭酸塩など一般的な化合物が使用できる。脱ガス処理は、たとえば減圧脱気方式、真空脱気方式等で行われる。また、脱水処理は、たとえば加熱脱水方式、減圧脱水方式、真空脱水方式等で行われる。製造形式については特に限定はなく、連続式でもバッチ式でもよい。反応容器については、特に限定はないが、たとえば、攪拌翼を備えた槽型反応容器やマイクロリアクター等を挙げることができる。攪拌翼としては、特に限定はないが、マックスブレンド翼、トルネード翼、フルゾーン翼、パドル多段翼、タービン翼等を挙げることができる。
アルキレンオキサイドを供給する方法については特に限定はないが、アルキレンオキサイドを供給ラインから活性水素含有化合物に対して連続的に供給する方法等が挙げられる。アルキレンオキサイドの付加反応後は、濾過などを行い触媒残差の分離除去を行ってもよい。
本発明に使用するアルキレンオキサイド付加物としては、下記する成分(A1−1)及び成分(A1−2)の各物性および数式(I)を満足すればよく、たとえば、ラウリルアルコールなど高級アルコールにエチレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物(エマルゲンシリーズ、花王株式会社)、合成アルコールや天然アルコールにアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物(ノイゲンシリーズ、第一工業製薬株式会社)、炭素数12〜14の第2級アルコールにエチレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物(ソフタノールシリーズ、株式会社日本触媒)、炭素数11〜15の第2級アルコールにアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物(タージトールシリーズ、ダウケミカル株式会社)、合成アルコールや天然アルコールにアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物(エマルミンシリーズ、ナロアクティーシリーズ、三洋化成工業株式会社)、オクチルフェノールにエチレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド付加物(トライトンシリーズ、ダウケミカル株式会社)など市販されているアルキレンオキサイド付加物を使用しても構わない。
〔成分(A1−1);ブチルジグリコール法(BDG法)により測定される曇点が20〜95℃である、アルキレンオキサイド付加物〕
成分(A1−1)のアルキレンオキサイド付加物は、二次電池用スラリーの塗布性に寄与する成分である。前記成分(A1−1)は、ある特定の範囲の曇点であるとよい。
前記成分(A1−1)が二次電池用スラリーの塗布性に優れる理由は定かではないが、被塗布材および無機粒子に対する高い親和性によるものと推定している。
前記成分(A1−1)はBDG法により測定される曇点が特定の範囲にあればよく、特に限定はないが、下記一般式(10)で表される化合物であると好ましい。前記成分(A1−1)は、疎水性が強いため、1重量%濃度水溶液の曇点は30℃未満であり、後述する成分(A1−2)とは全く別の成分である。前記成分(A1−1)を1重量%濃度水溶液で測定しても測定不能であるか、測定可能であっても測定値の信頼性に欠ける。
下記一般式(10):
O−[(PO)p3/(EO)q3]−H (10)
(POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。p3およびq3は、各々の平均付加モル数を示し、p3=0〜30およびq3=1〜50である。[(PO)p3/(EO)q3]はp3モルのPOとq3モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
は、前記した活性水素含有化合物由来の有機基であって、特に限定はないが、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、アルキルフェニル基が分散性に優れるので好ましい。アルキル基、アルケニル基から構成されると、ハンドリング性に優れるのでさらに好ましい。
アルキル基またはアルケニル基の炭素数としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜30、好ましくは8〜25、さらに好ましくは9〜20、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは11〜16である。Rの炭素数が30超であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の疎水性が増大する。また、アルキル基またはアルケニル基は直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。
POはオキシプロピレン基であり、p3はオキシプロピレン基の平均付加モル数を表す。オキシプロピレン基の平均付加モル数p3としては、特に限定はないが、通常0〜30、好ましくは0〜20、より好ましくは0〜15、さらに好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5、最も好ましくは1〜5である。一方、オキシプロピレン基の平均付加モル数p3が30超であると、疎水性が強くなりすぎることがある。
EOはオキシエチレン基であり、q3はオキシエチレン基の平均付加モル数を示す。オキシエチレン基の平均付加モル数q3としては、特に限定はないが、通常1〜50、好ましくは1〜20、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは2〜9、特に好ましくは3〜8、最も好ましくは3〜7である。オキシエチレン基の平均付加モル数が1未満であると、親水性や無機粒子の分散性が十分ではない場合がある。一方、オキシエチレン基の平均付加モル数が50超であると、親水性が強くなりすぎることがある。但し、前記オキシプロピレン基の平均付加モル数p3が0のときは、オキシエチレン基の平均付加モル数q3が1〜5であると塗布性に優れるので好ましい。
[(PO)p3/(EO)q3]は、p3モルのオキシプロピレン基とq3モルのオキシエチレン基とが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。このポリオキシアルキレン基の一方の末端は、エーテル結合を介してR基と結合しており、他方の末端は水酸基となっている(以下では、この水酸基を末端水酸基ということがある。)。本発明でランダム付加とは、オキシプロピレン基およびオキシエチレン基が無秩序に共重合して配列された付加状態になっていることを言う。
前記成分(A1−1)のHLB(以下、HLB(A1−1)とする)としては、好ましくは1〜14、より好ましくは2〜13、さらに好ましくは4〜12、特に好ましくは6〜11、最も好ましくは8〜10である。HLB(A1−1)が1未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。一方、アルキレンオキサイド付加物A1−1のHLBが14超であると、塗布性に優れないことがある。
なお、前記成分(A1−1)が複数からなる場合には、成分(A1−1)のHLBは、前記成分(A1−1)の加重平均のHLBを意味する。
前記成分(A1−1)の重量平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜4000、さらに好ましくは300〜3000、特に好ましくは300〜2000、最も好ましくは500〜1500である。重量平均分子量が200未満であると、塗布性が十分ではないことがある。重量平均分子量が5000超であると、ハンドリング性が低いことがある。重量平均分子量の測定方法は、実施例で詳しく説明する。
前記成分(A1−1)の曇点は、以下の実施例で詳しく説明するブチルジグリコール法(BDG法)により測定した値とする。BDG法により測定した前記成分(A1−1)の曇点は、好ましくは0〜95℃、より好ましくは10〜90℃、さらに好ましくは20〜80℃、特に好ましくは25〜70℃、最も好ましくは30〜65℃である。BDG法により測定した曇点が0℃未満であると、二次電池用スラリーの分散性が十分ではないことがある。一方、BDG法により測定した曇点が95℃超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。
前記成分(A1−1)の起泡力は、以下の実施例で詳しく説明する濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により測定した値とする。アルキレンオキサイド付加物Aの流下直後の起泡力は、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、特に好ましくは20mm以下、最も好ましくは10mm以下である。流下直後から5分後の起泡力は、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下、最も好ましくは5mm以下である。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が50mm超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。一方、流下直後から5分後の起泡力が25mm超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。
好ましい下限値はいずれも0mmである。
前記成分(A1−1)の表面張力は、好ましくは20〜45mN/m、より好ましくは22〜45mN/m、さらに好ましくは22〜40mN/m、特に好ましくは25〜40mN/m、最も好ましくは25〜35mN/mである。前記成分(A1−1)の表面張力が20mN/m未満であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。一方、アルキレンオキサイド付加物の表面張力が45mN/m超であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。本発明において表面張力は、以下の実施例で詳しく説明するように、有効濃度が0.1重量%、温度25℃の測定条件下でウィルヘルミー法により測定した値とする。
前記成分(A1−1)の水への溶解度に関しては、特に限定はないが、たとえば、好ましくは10g/1000ml以下、より好ましくは5g/1000ml以下、さらに好ましくは1g/1000ml以下、特に好ましくは0.5g/1000ml以下、最も好ましくは0.1g/1000ml以下である。アルキレンオキサイド付加物A1−1の水への溶解度が10g/1000ml超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。前記成分(A1−1)の水への溶解度の好ましい下限値は0g/1000mlである。
〔成分(A1−2);1重量%濃度水溶液の曇点が30℃以上である、アルキレンオキサイド付加物A1−2〕
成分(A1−2)のアルキレンオキサイド付加物は下記一般式(11)で表され、無機粒子の分散性に寄与する成分である。成分(A1−2)はある特定の範囲の曇点であるとよい。
前記成分(A1−2)は1%濃度水溶液の曇点が特定の範囲にあればよく、特に限定はないが、下記一般式(2)で表される化合物であると好ましい。
下記一般式(11):
O−(EO)n5−H (11)
(EOはオキシエチレン基を示す。n5は、EOの平均付加モル数を示し、n5=5〜100である。)
は、前記した活性水素含有化合物由来の有機基であって、特に限定はないが、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、アルキルフェニル基が分散性に優れるので好ましい。アルキル基、アルケニル基から構成されると、ハンドリング性に優れるのでさらに好ましい。
アルキル基またはアルケニル基の炭素数としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜30、好ましくは8〜25、さらに好ましくは9〜20、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは11〜16である。Rの炭素数が30超であると、得られるアルキレンオキサイド付加物の疎水性が増大する。また、アルキル基またはアルケニル基は直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。
EOはオキシエチレン基であり、n5はオキシエチレン基の平均付加モル数を示す。オキシエチレン基の平均付加モル数n5としては、特に限定はないが、通常6〜100、好ましくは7〜60、より好ましくは8〜50、さらに好ましくは8〜30、特に好ましくは9〜20、最も好ましくは10〜15である。オキシエチレン基の平均付加モル数n5が5未満であると、親水性や無機粒子の分散性が十分ではない場合がある。一方、オキシエチレン基の平均付加モル数n5が100超であると、親水性が強くなりすぎることがある。
成分(A1−2)のアルキレンオキサイド付加物A1−2のHLB(以下、HLB(A1−2)とする)としては、好ましくは8〜20、より好ましくは10〜19、さらに好ましくは11〜17、特に好ましくは12〜16、最も好ましくは13〜15である。HLB(A1−2)が8未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。一方、HLB(A1−2)が20超であると、ハンドリング性に優れないことがある。
なお、前記成分(A1−2)が複数のアルキレンオキサイド付加物A1−2からなる場合には、前記成分(A1−2)の加重平均のHLBを意味する。
前記成分(A1−2)の重量平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜4000、さらに好ましくは300〜3000、特に好ましくは300〜2000、最も好ましくは500〜1500である。重量平均分子量が200未満であると、塗布性が十分ではないことがある。重量平均分子量が5000超であると、ハンドリング性が低いことがある。重量平均分子量の測定方法は、実施例で詳しく説明する。
前記成分(A1−2)の曇点は、通常、前記成分(A1−2)の1重量%水溶液を調製し加温して一旦液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とする方法を用いて測定する。上記曇点としては、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましくは50℃以上、特に好ましくは60℃以上、最も好ましくは70℃以上である。上記曇点が30℃未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。前記成分(A1−2)の曇点の好ましい上限は、水の沸点付近の99℃である。ただし、前記成分(A1−2)の中には、1重量%水溶液の曇点が99℃を超過するものも存在する。
本発明では、上記曇点が99℃超である場合は、曇点が測定不能であるので、上記に示す曇点の測定方法とは異なる以下に示す測定方法を選択し、その測定方法で得られた値を曇点とすることができる。
上記曇点が99℃超の場合は、前記成分(A1−2)の曇点は、以下の実施例で詳しく説明する硫酸カリウム水溶液を溶媒とした方法(硫酸カリ法)により測定した値とする。硫酸カリ法により測定した前記成分(A1−2)の曇点は、好ましくは30〜99℃、より好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは50〜85℃、特に好ましくは55〜80℃、最も好ましくは60〜75℃である。硫酸カリ法により測定した曇点が30℃未満であると、前記成分(A1−2)の乳化性が低いことがある。一方、硫酸カリ法により測定した曇点が99℃超であると、前記成分(A1−2)のハンドリング性が低いことがある。
前記成分(A1−2)の起泡力は、以下の実施例で詳しく説明する濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により測定した値とする。前記成分(A1−2)の流下直後の起泡力は、好ましくは10〜200mm、より好ましくは20〜190mm、さらに好ましくは30〜180mm、特に好ましくは40〜170mm、最も好ましくは50〜160mmである。流下直後から5分後の起泡力は、好ましくは1〜200mm、より好ましくは5〜180mm、さらに好ましくは10〜160mm、特に好ましくは15〜150mm、最も好ましくは15〜140mmである。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が200mm超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。流下直後の起泡力が10℃未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。一方、流下直後から5分後の起泡力が200mm超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。流下直後から5分後の起泡力が1℃未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。
前記成分(A1−2)の表面張力は、好ましくは20〜50mN/m、より好ましくは22〜45mN/m、さらに好ましくは22〜40mN/m、特に好ましくは25〜40mN/m、最も好ましくは25〜35mN/mである。前記成分(A1−2)の表面張力が20mN/m未満であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。一方、前記成分(A1−2)の表面張力が50mN/m超であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。
前記成分(A1−2)の臨界ミセル濃度(CMC)は、特に限定はないが、好ましくは5〜300mg/l、より好ましくは10〜290mg/l、さらに好ましくは15〜250mg/l、特に好ましくは20〜200mg/l、最も好ましくは25〜160mg/lである。前記成分(A1−2)の臨界ミセル濃度が5mg/l未満であると、分散性が十分ではないことがある。一方、前記成分(A1−2)の臨界ミセル濃度が100mg/l超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。
前記成分(A1−2)の水への溶解性に関しては、特に限定はないが、水溶性を示す方が無機粒子の分散性に優れるので好ましい。
前記成分(A1−2)の水への溶解度に関しては、特に限定はないが、たとえば、好ましくは1000g/1000ml以上、より好ましくは5000g/1000ml以上、さらに好ましくは9000g/1000ml以上、特に好ましくは20000g/1000ml以上、最も好ましくは99000g/1000ml以上である。前記成分(A1−2)の水への溶解度が1000g/1000ml未満であると、二次電池用スラリーの分散性が十分ではないことがある。
前記成分(A1−1)と前記成分(A1−2)の重量比(A1−1/A1−2)としては、特に限定はないが、たとえば、A1−1/A1−2が通常0.01〜100、好ましくは0.05〜20、より好ましくは0.1〜15、さらに好ましくは0.5〜10、特に好ましくは0.8〜7.5、最も好ましくは1.5〜2である。A1−1/A1−2が0.01未満であると、塗布性に優れないことがある。一方、A1−1/A1−2が100超であると、分散性が十分ではないことがある。
本発明では、成分(A1−1)と成分(A1−2)のHLBが下記数式(I)を満足する。
2<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<14 (I)
下記数式(I)としては、好ましくは3<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<12、より好ましくは4<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<10、さらに好ましくは5<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<9、特に好ましくは6<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<8である。最も好ましくは6<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<7である。(HLB(A1−2)−HLB(A1−1))が2以下であると、得られる二次電池スラリー用分散剤組成物の分散性が優れないことがある。一方、(HLB(A1−2)−HLB(A1−1))が14以上であると、得られる二次電池スラリー用分散剤組成物の塗布性が低いことがある。
〔成分(A2)〕
本発明で用いられる硫黄含有化合物成分(A2)は、上記一般式(1)で表される硫黄含有化合物成分(A2−1)及び上記一般式(2)で表される硫黄含有化合物成分(A2−2)から選ばれる少なくとも1種である。
一般式(1)中、a及びbは、0以上の整数であって、a+b=5〜17を満たす整数である。a+bが5未満の場合、塗布性が優れない。一方、a+bが17超の場合、ハンドリング性に優れない。a+bは7〜17が好ましく、10〜15がさらに好ましい。
は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は、1〜24が好ましく、1〜20がより好ましく、1〜18がさらに好ましい。
NRaRbRcRdで示される基としては、例えばアンモニウム基、メチルアンモニウム基、エチルアンモニウム基、プロピルアンモニウム基、ブチルアンモニウム基、ヘキシルアンモニウム基、オクチルアンモニウム基、ジメチルアンモニウム基、ジエチルアンモニウム基、ジプロピルアンモニウム基、ジブチルアンモニウム基、ジヘキシルアンモニウム基、ジオクチルアンモニウム基、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリプロピルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、トリヘキシルアンモニウム基、トリオクチルアンモニウム基、テトラメチルアンモニウム基、テトラエチルアンモニウム基、テトラプロピルアンモニウム基、テトラブチルアンモニウム基、テトラヘキシルアンモニウム基、テトラオクチルアンモニウム基、エチルトリメチルアンモニウム基、プロピルトリメチルアンモニウム基、ブチルトリメチルアンモニウム基、ヘキシルトリメチルアンモニウム基、オクチルトリメチルアンモニウム基、メタノールアンモニウム基、エタノールアンモニウム基、プロパノールアンモニウム基、ブタノールアンモニウム基、ヘキサノールアンモニウム基、オクタノールアンモニウム基、ジメタノールアンモニウム基、ジエタノールアンモニウム基、ジプロパノールアンモニウム基、ジブタノールアンモニウム基、ジヘキサノールアンモニウム基、ジオクタノールアンモニウム基、トリメタノールアンモニウム基、トリエタノールアンモニウム基、トリプロパノールアンモニウム基、トリブタノールアンモニウム基、トリヘキサノールアンモニウム基、トリオクタノールアンモニウム基、(EO6)ブチルアミノエーテル基、(EO6)ヘキシルアミノエーテル基、(EO6)オクチルアミノエーテル基、(EO6)デシルアミノエーテル基、(EO6)ラウリルアミノエーテル基、(EO6)テトラデシルアミノエーテル基、(EO6)ヘキサデシルアミノエーテル基、(EO6)オレイルアミノエーテル基、(EO6)ステアリルアミノエーテル基、(EO6)ガドレイルアミノエーテル基、(EO6)テトラコシルアミノエーテル基、(EO10)オレイルアミノエーテル基、(EO10)オレイルアミノエーテル/エルカ酸塩、(EO3)ラウリルアミノエーテル基、(EO3)ラウリルアミノエーテル基、(EO7)ラウリルアミノエーテル基、(EO15)オレイルアミノエーテル基、(PO3、EO5)ステアリルアミノエーテル基、(PO5、EO3)ステアリルアミノエーテル基が挙げられる。
上記一般式(2)中、c、d及びeは、0以上の整数であって、c+d+e=4〜16を満たす整数である。c+d+eが4未満の場合、塗布性が優れない。一方、c+d+eが17超の場合、ハンドリング性が優れない。c+d+eは6〜16が好ましく、9〜14がさらに好ましい。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。Mについての詳細は、一般式(1)のところで説明したMと同様である。
硫黄含有化合物成分(A2)の重量平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜4000、さらに好ましくは400〜3000、特に好ましくは500〜2000、最も好ましくは600〜1500である。重量平均分子量が200未満であると、塗布性が十分ではないことがある。重量平均分子量が5000超であると、ハンドリング性が低いことがある。重量平均分子量の測定方法は、実施例で詳しく説明する。
硫黄含有化合物成分(A2)の曇点は、通常、硫黄含有化合物成分(A2)の1重量%水溶液を調製し加温して一旦液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とする方法を用いて測定する。上記曇点としては、通常100℃以下、好ましくは0〜95℃、より好ましくは10〜95℃、さらに好ましくは20〜95℃、特に好ましくは30〜95℃、最も好ましくは40〜80℃である。前記曇点が100℃超であると、塗布性が優れないことがある。前記成分(A2)の中には、1重量%水溶液の曇点が0℃以下のものも存在する。
本発明では、上記曇点が0℃以下である場合は、曇点が測定不能であるので、上記に示す曇点の測定方法とは異なる以下に示す測定方法を選択し、その測定方法で得られた値を曇点とすることができる。
上記曇点が0℃以下の場合は、硫黄含有化合物成分(A2)の曇点は、以下の実施例で詳しく説明するBDG法により測定した値とする。BDG法により測定した前記成分(A2)の曇点は、好ましくは0〜99℃、より好ましくは20〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃、特に好ましくは40〜70℃、最も好ましくは50〜60℃である。BDG法により測定した曇点が0℃未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。一方、BDG法により測定した曇点が99℃超であると、前記成分(A2)のハンドリング性が低いことがある。
硫黄含有化合物成分(A2)の起泡力は、以下の実施例で詳しく説明する濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により測定した値とする。硫黄含有化合物の流下直後の起泡力は、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、特に好ましくは20mm以下、最も好ましくは10mm以下である。流下直後から5分後の起泡力は、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下、最も好ましくは5mm以下である。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が50mm超であると、塗布性に優れないことがある。一方、流下直後から5分後の起泡力が25mm超であると、塗布性に優れないことがある。
硫黄含有化合物成分(A2)の表面張力は、好ましくは20〜80mN/m、より好ましくは20〜50mN/m、さらに好ましくは20〜40mN/m、特に好ましくは20〜35mN/m、最も好ましくは25〜30mN/mである。硫黄含有化合物の表面張力が20mN/m未満であると、乾燥性が悪いことがある。一方、硫黄含有化合物の表面張力が80mN/m超であると、塗布性及び分散性が十分でないことがある。
硫黄含有化合物(A2)は、その製法に起因して硫酸ナトリウム及び/又は塩化ナトリウムが含まれていてもよい。硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムの比率は、イオンクロマトグラフ法によって、原料から検出される硫酸イオンや塩素イオンの重量割合から算出できる。
本発明の硫黄含有化合物(A2)では、硫酸ナトリウムや塩化ナトリウムの含有量が少ないことが好ましい。具体的には、硫黄含有化合物(A2)の合計量に対して、イオンクロマトグラフ法によって検出される硫酸イオンの重量割合が、5000ppm以下、塩素イオンの重量割合が5000ppm以下となることが好ましい。
本願効果をより発揮させる点から、当該硫酸イオンの重量割合は、4000ppm以下がより好ましく、3000ppm以下がさらに好ましく、2000ppm以下が特に好ましい。同様に、当該塩素イオンの重量割合は、4000ppm以下がより好ましく、3000ppm以下がさらに好ましく、2000ppm以下が特に好ましい。
硫黄含有化合物(A2−1)と硫黄含有化合物(A2−2)の重量割合(A2−1/A2−2)は、相溶性の観点から、50/50〜99/1が好ましく、70/30〜99/1がより好ましく、80/20〜98/2がさらに好ましい。
〔成分(A3)〕
本発明で用いられるリン含有化合物成分(A3)は、上記一般式(3)で表されるリン含有化合物成分(A3−1)及び上記一般式(5)で表されるリン含有化合物成分(A3−2)から選ばれる少なくとも1種を含む。
一般式(3)中、Qはフェニル基または上記一般式(4)で表される有機基を示す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。xは1または2である。
一般式(4)中、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m1およびn1は、各々の平均付加モル数を示し、m1=0〜30およびn1=0〜50である。[(PO)m1/(EO)n1]はm1モルのPOとn1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。
xは1または2であるが、1と2の混合物であっても構わない。
一般式(4)中のRは、水素原子あるいは炭化水素基である。分散性に優れるのでRは炭化水素基であると好ましい。
の炭化水素基は、特に限定はないが、たとえば、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、スチレン化フェニル基、アルキルフェニル基が分散性に優れるので好ましい。アルキル基、アルケニル基又はスチレン化フェニル基から構成されると、ハンドリング性に優れるのでさらに好ましい。
アルキル基またはアルケニル基の炭素数としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜30、好ましくは8〜25、さらに好ましくは9〜20、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは11〜16である。Rの炭素数が30超であると、得られるリン含有化合物の疎水性が増大して本願効果が得られないことがある。また、アルキル基またはアルケニル基は直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。
m1はポリオキシアルキレン基([(PO)m1/(EO)n1])中のオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、n1はポリオキシアルキレン基([(PO)m1/(EO)n1])中のオキシエチレン基の平均付加モル数を表す。
オキシプロピレン基の平均付加モル数m1としては、特に限定はないが、通常0〜30、好ましくは1〜25、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは3〜15、特に好ましくは4〜12、最も好ましくは5〜10である。オキシプロピレン基の平均付加モル数m1が30超であると、分散性が優れないことがある。
オキシエチレン基の平均付加モル数n1としては、特に限定はないが、通常0〜50、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは3〜15、特に好ましくは4〜12、最も好ましくは5〜10である。オキシエチレン基の平均付加モル数n1が50超であると、塗布性が優れないことがある。
は、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。
アルカリ金属としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属としては、たとえば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等を挙げることができる。
Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基またはポリオキシアルキレン基である。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルカノール基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルカノール基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル機、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。ポリオキシアルキレン基の炭素数は、2〜4が好ましい。このようなポリオキシアルキレン基としては、たとえば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
上記一般式(5)中、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。Qは、水素原子、アルカリ金属、NRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。Qは、ヒドロキシル基、QO、フェニル基または下記一般式(6)で表される有機基を示す。r1は、1または2であるが、1と2の混合物であっても構わない。
上記一般式(6)中、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
一般式(5)中のRは、水素原子あるいは炭化水素基である。分散性に優れるのでRは炭化水素基であると好ましい。
の炭化水素基は、特に限定はないが、たとえば、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、スチレン化フェニル基、アルキルフェニル基が分散性に優れるので好ましい。アルキル基、アルケニル基、スチレン化フェニル基から構成されると、ハンドリング性に優れるのでさらに好ましい。
アルキル基またはアルケニル基の炭素数としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜30、好ましくは8〜25、さらに好ましくは9〜20、特に好ましくは10〜18、最も好ましくは11〜16である。Rの炭素数が30超であると、得られるリン含有化合物の疎水性が増大する。また、アルキル基またはアルケニル基は直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。
m2はポリオキシアルキレン基([(PO)m2/(EO)n2])中のオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、n2はポリオキシアルキレン基([(PO)m2/(EO)n2])中のオキシエチレン基の平均付加モル数を表す。
オキシプロピレン基の平均付加モル数m2としては、特に限定はないが、通常0〜30、好ましくは1〜25、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは3〜15、特に好ましくは4〜12、最も好ましくは5〜10である。オキシプロピレン基の平均付加モル数m2が30超であると、分散性が優れないことがある。
オキシエチレン基の平均付加モル数n2としては、特に限定はないが、通常0〜50、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは3〜15、特に好ましくは4〜12、最も好ましくは5〜10である。オキシエチレン基の平均付加モル数n2が50超であると、塗布性が優れないことがある。
リン含有化合物成分(A3)の重量平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜4000、さらに好ましくは400〜3000、特に好ましくは500〜2000、最も好ましくは600〜1500である。重量平均分子量が200未満であると、塗布性が十分ではないことがある。重量平均分子量が5000超であると、ハンドリング性が低いことがある。重量平均分子量の測定方法は、実施例で詳しく説明する。
リン含有化合物成分(A3)の曇点は、通常、リン含有化合物成分(A3)の1重量%水溶液を調製し加温して一旦液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とする方法を用いて測定する。上記曇点としては、通常100℃以下、好ましくは0〜95℃、より好ましくは10〜95℃、さらに好ましくは20〜95℃、特に好ましくは30〜95℃、最も好ましくは40〜80℃である。前記曇点が100℃超であると、塗布性が優れないことがある。前記成分(A3)の中には、1重量%水溶液の曇点が0℃以下のものも存在する。
本発明では、上記曇点が0℃以下である場合は、曇点が測定不能であるので、上記に示す曇点の測定方法とは異なる以下に示す測定方法を選択し、その測定方法で得られた値を曇点とすることができる。
上記曇点が0℃以下の場合は、前記成分(A3)の曇点は、以下の実施例で詳しく説明するBDG法により測定した値とする。BDG法により測定した前記成分(A3)の曇点は、好ましくは0〜99℃、より好ましくは20〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃、特に好ましくは40〜70℃、最も好ましくは50〜60℃である。BDG法により測定した曇点が0℃未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。一方、BDG法により測定した曇点が99℃超であると、前記成分(A3)のハンドリング性が低いことがある。
前記成分(A3)の起泡力は、以下の実施例で詳しく説明する濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により測定した値とする。リン含有化合物の流下直後の起泡力は、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、特に好ましくは20mm以下、最も好ましくは10mm以下である。流下直後から5分後の起泡力は、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下、最も好ましくは5mm以下である。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が50mm超であると、塗布性に優れないことがある。一方、流下直後から5分後の起泡力が25mm超であると、塗布性に優れないことがある。
前記成分(A3)の表面張力は、好ましくは20〜80mN/m、より好ましくは20〜60mN/m、さらに好ましくは20〜50mN/m、特に好ましくは20〜40mN/m、最も好ましくは25〜40mN/mである。前記成分(A3)の表面張力が20mN/m未満であると、乾燥性が悪いことがある。一方、前記成分(A3)の表面張力が80mN/m超であると、塗布性及び分散性が十分でないことがある。
〔変性ポリシロキサン成分(A4)〕
変性ポリシロキサン成分(A4)は、二次電池スラリーの分散性、塗布性や被膜形成性を向上させる成分である。
ポリシロキサンは、シロキサン結合(−Si−O−)を主骨格とする高分子化合物である。通常ストレートポリシロキサンと称される汎用的なポリシロキサンは側鎖及び/又は末端が全てメチル基であるジメチルポリシロキサンが挙げられる。
本発明に用いられる変性ポリシロキサン成分(A4)は、シロキサン結合(−Si−O−)を主骨格とし、その側鎖及び/又は末端にメチル基以外の官能基が結合した構造である。ここで官能基とは、水素原子基(−H)、炭化水素基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ポリエーテル基、フェニル基及びエポキシ基等の機能原子団;これらの機能原子団に結合した炭化水素基;単なる炭化水素基等を意味するものとする。変性ポリシロキサンは、たとえば、官能基が結合した位置によって、以下の1)〜4)に示す4種類の構造に分類される。
1)ポリシロキサンの側鎖の一部に官能基が結合した側鎖型変性ポリシロキサン(たとえば、下記一般式(12)で示されるポリシロキサン)
2)ポリシロキサンの両方の末端に官能基が結合した両末端型変性ポリシロキサン(たとえば、下記一般式(13)で示されるポリシロキサン)
3)ポリシロキサンのいずれか片方の末端に官能基が結合した片末端型変性ポリシロキサン(たとえば、下記一般式(14)で示されるポリシロキサン)
4)ポリシロキサンの側鎖の一部と両方の末端に官能基が結合した側鎖両末端型変性ポリシロキサン(たとえば、下記一般式(15)で示されるポリシロキサン)
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
(但し、一般式(12)〜(15)において、Xは官能基である。また、mは1〜10000の整数であり、nは1〜10000の整数である。)
変性ポリシロキサンは、上記一般式(12)〜(15)で分類される変性ポリシロキサンのいずれであってもよい。
変性ポリシロキサン成分(A4)の分子量は、通常、数平均分子量及び重量平均分子量のいずれでも表すことができる。また、数平均分子量と重量平均分子量との比を分散比とし、これが1に近いほど分子量分布が狭いことを示し単分散に近くなるが、ポリシロキサンの分子量分布について、特に限定はなく、単分散であってもよく、多分散であってもよい。
変性ポリシロキサン成分(A4)の数平均分子量は、好ましくは1,000〜10,000,000であり、さらに好ましくは1,500〜8,000,000であり、特に好ましくは2,000〜6,000,000であり、最も好ましくは3,000〜5,000,000である。数平均分子量が10,000,000超であると、本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物のハンドリング性が低下することがある。一方、数平均分子量が1,000未満であると、二次電池スラリー用分散剤組成物の被膜形成性が低下することがある。
変性ポリシロキサン成分(A4)のHLB(Hydrophile Lipophile Balance、以下HLB(A4)とする)は、特に限定はないが、たとえば、5〜18であり、より好ましくは7〜18、さらに好ましくは8〜17、特に好ましくは9〜16である。変性ポリシロキサンのHLB(A4)が18超であると、ハンドリング性に優れないことがある。一方、変性ポリシロキサンのHLB(A4)が5未満であると、被膜形成性に優れないことがある。上記HLB値は、以下の実施例で詳しく説明するグリフィンの式から計算される値を用いる。
なお、前記成分(A4)が複数の変性ポリシロキサンからなる場合には、前記成分(A4)の加重平均のHLBを意味する。
変性ポリシロキサンの25℃における粘度は、特に限定はないが、通常1〜1000000mPa・s、好ましくは1〜1000mPa・sであり、さらに好ましくは1〜500mPa・sであり、特に好ましくは5〜250mPa・sであり、最も好ましくは10〜100mPa・sである。25℃における粘度が1000000mPa・s超であると、本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物のハンドリング性が低下することがある。一方、25℃における粘度が1mPa・s未満であると、本発明の25℃における粘度の被膜形成性が低下することがある。
変性ポリシロキサンの起泡力は、以下の実施例で詳しく説明する濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により測定した値とする。変性ポリシロキサンの流下直後の起泡力は、好ましくは0〜500mm、より好ましくは10〜300mm、さらに好ましくは25〜200mm、特に好ましくは40〜150mm、最も好ましくは50〜100mmである。流下直後から5分後の起泡力は、好ましくは0〜300mm、より好ましくは10〜200mm、さらに好ましくは25〜150mm、特に好ましくは40〜100mm、最も好ましくは50〜90mmである。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が500mm超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。一方、流下直後から5分後の起泡力が300mm超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。
上記変性ポリシロキサンは、その表面張力が特定の範囲にあると塗布性に富み被膜形成に優れる。本発明に用いられる変性ポリシロキサンの0.1%濃度水溶液の表面張力は20〜45mN/mであり、さらに好ましくは20〜40mN/m、特に好ましくは20〜35mN/m、最も好ましくは20〜30mN/mである。0.1%濃度水溶液の表面張力が45mN/m超であると、被膜形成性に優れないことがある。0.1%濃度水溶液の表面張力が20mN/m未満であると、ハンドリング性に優れない。
変性ポリシロキサンの曇点は、以下の実施例で詳しく説明するブチルジグリコール法(BDG法)により測定した値とする。BDG法により測定した前記成分(A4)の曇点は、特に限定はないが、たとえば、好ましくは0〜95℃、より好ましくは20〜90℃、さらに好ましくは30〜85℃、特に好ましくは40〜80℃、最も好ましくは50〜75℃である。BDG法により測定した曇点が0℃未満であると、二次電池用スラリーの分散性が十分ではないことがある。一方、BDG法により測定した曇点が95℃超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではないことがある。
本発明に用いられる変性ポリシロキサンとしては、特に限定はないが、たとえば、ハイドロジェンポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、シラノール変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、フェニル変性ポリシロキサン、ビニル変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、アクリル変性ポリシロキサン、カルボン酸無水物変性ポリシロキサン、フロロアルキル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、高級脂肪酸エステル変性ポリシロキサン、アラルキル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリグリセリン変性ポリシロキサン等が挙げられ、1種又は2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、変性ポリシロキサンが、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリグリセリン変性ポリシロキサン、フェニル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサンから選ばれる少なくとも一種を必須成分として含むと塗布性に優れるので好ましい。
ポリエーテル変性ポリシロキサンは、一般式(12)〜(15)で示される場合、Xとしては−R(CO)(CO)R´(但し、Rは2価の炭化水素基であり、R´は水素基または1価の炭化水素基であり、R及びR´の炭素数は、好ましくは1〜30、さらに好ましくは1〜20である。aは、特に限定はないが、好ましくは1〜100である。bは、特に限定はないが、好ましくは1〜100である。)を挙げることができる。
ポリグリセリン変性ポリシロキサンは、一般式(12)〜(15)で示される場合、Xとしては−(CH(但し、xは、特に限定はないが、好ましくは1〜100である。)を挙げることができる。
アルキル変性ポリシロキサンは、一般式(12)〜(15)で示される場合、Xとしては−C2y+1(但し、アルキルの炭素数yは、特に限定はないが、好ましくは2〜30、さらに好ましくは2〜20である。)を挙げることができる。
〔成分(A5)〕
成分(A5)は、アルキレンオキサイド付加物成分であり、上記一般式(7)で表される。該成分(A5)が分散安定性に優れる理由は定かではないが、Rで表される有機基と被分散物がなじみやすいため分散性が向上すると推定している。
上記一般式(7)中、Rは上記一般式(8)で表される基を示す。
は、水素原子又はSOで示される基である。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。
アルカリ金属としては、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属としては、たとえば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等を挙げることができる。
Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。アルキル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アルカノール基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜10がさらに好ましい。このようなアルカノール基としては、たとえば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル機、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。ポリオキシアルキレン基の炭素数は、2〜4が好ましい。このようなポリオキシアルキレン基としては、たとえば、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基等が挙げられる。
これらの中でも、Mは、アルカリ金属、NRaRbRcRdで示される基が好ましく、アルカリ金属がさらに好ましい。
[(PO)p1/(EO)q1]はp1モルのPOとq1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。p1およびq1は、各々の平均付加モル数を示し、p1=0〜20、q1=0〜50、p1+q1>0である。
分散性の観点から、p1は、0〜20であり、1〜15が好ましく、2〜10がより好ましく、3〜8がさらに好ましく、4〜6が特に好ましい。
分散性の観点から、q1は、0〜50であり、1〜40が好ましく、5〜35がより好ましく、10〜30がさらに好ましく、15〜25が特に好ましい。
分散性の観点から、p+qは、15〜30が好ましい。
[(PO)p1/(EO)q1]はp1モルのPOとq1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基であり、POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。
成分(A5)は、前記一般式(8)においてn3=2であるアルキレンオキサイド付加物成分(A5−1)及び/又は前記一般式(8)においてn3=3であるアルキレンオキサイド付加物成分(A5−2)を必須に含むと、疎水性基の効果が増大することにより分散性が向上するため、好ましく、前記成分(A5−1)及び前記成分(A5−2)を含むと、疎水性と親水性のバランスがより安定化することにより分散性が向上するため、さらに好ましい。
前記成分(A5−1)及び前記成分(A5−2)を前記成分(A5)が必須に含有する場合、前記成分(A5−1)を100重量部としたときに、分散性向上の観点から、前記成分(A5−2)が50〜200重量部であると好ましく、60〜160重量部がより好ましく、70〜140重量部がさらに好ましく、80〜120重量部が特に好ましい。
成分(A5)に占める、前記成分(A5−1)及び前記成分(A5−2)の合計量が70〜100重量%であると、分散性向上の観点から好ましく、80〜99.9重量%がより好ましく、85〜99.0重量%がさらに好ましく、90〜98重量%が特に好ましい。
前記成分(A5)のHLBは、分散性向上の観点から、7〜20であると好ましく、8〜19が好ましく、10〜18がより好ましく、12〜17がさらに好ましく、14〜16が特に好ましい。なお、ここでいうHLB値は、グリフィン法に基づくものであり、実施例に記載する。
〔成分(A6)〕
成分(A6)は、水中で解離可能な水素原子を含む官能基を有する配位子(A6−1)及びポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(A6−2)からなり、前記配位子(A6−1)が下記式(II)を満たす。
0.005 < a/M < 0.035 (II)
(式(II)中、aは前記配位子(A6−1)が有する水中で解離可能な水素原子の数を示す。Mは、前記配位子(A6−1)の分子量を示す。)
〔配位子(A6−1)〕
配位子(A6−1)は、水中で解離可能な水素を含む官能基を有する化合物である。
配位子(A6−1)は、二次電池スラリー用分散剤組成物に必須に含まれる化合物であり、スラリー塗膜ひび割れ発生抑制の機能を有する。配位子(A6−1)が前記機能を有する要因は定かでないが、配位子(A6−1)と活物質中に含まれる多価金属イオンの親和性に起因すると推定している。
水中で解離可能とは、水中で水素イオンを放出可能であることを意味する。
水中で解離可能な水素原子を含む官能基としては、特に限定されないが、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、イミド基、アミド基、スルホン酸基、スルホンアミド基、チオール基、ホスフィノ基、ホスフィンオキシド基、ホスファイト基、ホスフェート基、チオホスフェート基、ホスフォリックアミド基、ボロン酸基、またはホウ素原子及びハロゲン原子を有する基等が挙げられる。
前記配位子(A6−1)の分子量であるMは、80〜1200が好ましく、80〜1000がより好ましく、80〜800がさらに好ましい。80未満では多価金属イオンとの親和性が不足することがあり、1200超では必要添加量が増えコストが上昇してしまう問題がある。
aは、配位子(A6−1)が1分子中に有する水中で解離可能な水素数を示し、3〜20が好ましく、3〜18がより好ましく、3〜15がさらに好ましく、3〜12が特に好ましい。3未満では多価金属イオンとの親和性が不足することがあり、20超では二次電池用スラリー組成物の安定性が低下することがある。
a/Mは、0.005<a/M<0.035を満たすが、0.010<a/M<0.035が好ましく、0.015<a/M<0.035がより好ましく、0.015<a/M<0.032がさらに好ましい。0.005以下では多価金属イオンとの親和性が不足し、0.035以上では二次電池用スラリー組成物の安定性が不足する。
配位子(A6−1)としては、特に限定されないが、例えば、リン酸(M:98、a:3)、ヒドロシキエチレンジホスホン酸(M:206、a:5)、ニトリロトリスメチレンホスホン酸(M:299、a:6)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸(M:270、a:5)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸(M:436、a:8)、イノシトール−1,4,5−3リン酸(M:420、a:6)、フィチン酸(M:660、a:12)、キナ酸(M:192、a:5)、シキミ酸(M:174、a:4)、グリセリン酸(M:106、a:3)、パントイン酸(M:148、a:3)、パントテン酸(M:176、a:4)、アスコルビン酸(M:176、a:4)、酒石酸(M:150、a:4)、メバロン酸(M:148、a:3)、クエン酸(M:192、a:4)、リンゴ酸(M:134、a:3)、エチレンジアミン四酢酸(M:292、a:4)、ニトリロ三酢酸(M:191、a:3)、エチレンジアミンテトラ酢酸4Na(M:452、a:0)、ニトリロトリ酢酸2Na(M:235、a:1)、ヘキサメタリン酸(M:611、a:6)、ゾレドロン酸(M:272、a:5)、リセドロン酸(M:283、a:5)、モノおよびジおよびトリヒドロキシ安息香酸誘導体、フェニル酢酸誘導体、ケイヒ酸およびヒドロケイヒ酸誘導体等が挙げられる。
配位子(A6−1)は、水中で解離可能な水素原子を含むことが必要であり、全ての水素原子が他の金属塩に置換した化合物は本願効果を発揮できない。
配位子(A6−1)の25℃における第1酸解離定数としては、0.05〜5.00が好ましく、0.10〜4.50がより好ましく、0.20〜4.00がさらに好ましい。0.05未満では、安定性が不足することがあり、5.00超では多価金属イオンとの親和性が不足することがある。
配位子(A6−1)は、下記化学式(16)、下記化学式(17)及び下記化学式(18)で示される化合物から選ばれる少なくとも1種であると、スラリー塗膜ひび割れ発生抑制の機能を発揮し易くなる。
Figure 0006152233
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化学式(16)中、mは2又は3である。
nは0〜8の整数であり、本願効果が得られやすい観点から、0〜6がより好ましく、0〜4がさらには好ましく、0〜3が特に好ましい。
XはCもしくはNを示し、Rは、COOH、CHCOOH、CCOOH、CHPO(OH)、CPO(OH)、OPO(OH)、H、CH及びOHから選ばれる少なくとも1種を示す。
配位子(A6−1)が、pHが1〜6の領域で水溶性を示すと、配位子(A6−1)と多価金属イオンとの親和性の観点から好ましい。
〔ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(A6−2)〕
界面活性剤(A6−2)は、ポリオキシアルキレン骨格を有する。
界面活性剤(A6−2)のHLBとしては、6〜18が好ましく、7〜17がより好ましく、8〜16がさらに好ましい。6未満では、分散性が不足することがあり、18超ではハンドリング性が不足することがある。
界面活性剤(A6−2)の重量平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは200〜6000、より好ましくは300〜5000、さらに好ましくは400〜4000、最も好ましくは400〜3000である。重量平均分子量が200未満であると、塗布性が十分ではないことがある。重量平均分子量が6000超であると、ハンドリング性が低いことがある。重量平均分子量の測定方法は、実施例で詳しく説明する。
本発明で用いられるポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(A6−2)は、本願効果を発揮する観点から、下記一般式(19)で表される化合物(A6−2−1)であると好ましい。
O−[(PO)p4/(EO)q4]−H (19)
一般式(19)中のRは、水素原子あるいはアルキル基またはアルケニル基である。分散性に優れる観点から、Rはアルキル基またはアルケニル基であると特に好ましい。
p4はポリオキシアルキレン基([(PO)p4/(EO)q4])中のオキシプロピレン基の平均付加モル数を表し、q4はオキシエチレン基の平均付加モル数を表す。p4=0の場合は、アルキレンオキサイド付加物において(ポリ)オキシプロピレン基((PO)p4)が存在しないことになる。
オキシプロピレン基の平均付加モル数p4としては、特に限定はないが、通常0〜50、好ましくは0〜40、より好ましくは0〜30、さらに好ましくは0〜20、最も好ましくは0〜10である。オキシプロピレン基の平均付加モル数p4が50超であると、分散性が優れないことがある。
EOはオキシエチレン基であり、q4はオキシエチレン基の平均付加モル数を示す。オキシエチレン基の平均付加モル数q4としては、特に限定はないが、通常0〜50、好ましくは1〜40、より好ましくは1〜30、さらに好ましくは2〜20、最も好ましくは4〜20である。オキシエチレン基の平均付加モル数q4が50モル超であると、塗布性が優れないことがある。
[(PO)p4/(EO)q4]は、p4モルのオキシプロピレン基とq4モルのオキシエチレン基とがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。このポリオキシアルキレン基の一方の末端は、エーテル結合を介してR基と結合している。ここでランダム付加とは、オキシプロピレン基およびオキシエチレン基が無秩序に共重合して配列された付加状態になっていることを言う。
前記界面活性剤(A6−2)の曇点は、通常、界面活性剤(A6−2)の1重量%水溶液を調製し加温して一旦液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とする方法を用いて測定する。上記曇点としては、好ましくは0〜100℃、より好ましくは10〜90℃、さらに好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜70℃、最も好ましくは40〜60℃である。上記曇点が100℃超であると、ハンドリング性に優れないことがある。界面活性剤(A6−2)の中には、1重量%水溶液の曇点が0℃以下のものも存在する。
本発明では、上記曇点が0℃以下である場合は、曇点が測定不能であるので、上記に示す曇点の測定方法とは異なる以下に示す測定方法を選択し、その測定方法で得られた値を曇点とすることができる。
上記曇点が0℃以下の場合は、前記界面活性剤(A6−2)の曇点は、以下の実施例で詳しく説明するBDG法により測定した値とする。BDG法により測定した前記界面活性剤(A6−2)の曇点は、好ましくは0〜99℃、より好ましくは20〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃、特に好ましくは40〜70℃、最も好ましくは50〜60℃である。BDG法により測定した曇点が0℃未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。一方、BDG法により測定した曇点が99℃超であると、前記界面活性剤(A6−2)のハンドリング性が低いことがある。
前記界面活性剤(A6−2)の起泡力は、以下の実施例で詳しく説明する濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により測定した値とする。前記界面活性剤(A6−2)の流下直後の起泡力は、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、特に好ましくは20mm以下、最も好ましくは10mm以下である。流下直後から5分後の起泡力は、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下、最も好ましくは5mm以下である。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が50mm超であると、塗布性に優れないことがある。一方、流下直後から5分後の起泡力が25mm超であると、塗布性に優れないことがある。
前記界面活性剤(A6−2)の表面張力は、好ましくは20〜80mN/m、より好ましくは20〜60mN/m、さらに好ましくは20〜50mN/m、特に好ましくは20〜40mN/m、最も好ましくは25〜40mN/mである。前記界面活性剤(A6−2)の表面張力が20mN/m未満であると、塗膜の乾燥性が悪いことがある。一方、前記界面活性剤(A6−2)の表面張力が80mN/m超であると、塗布性及び分散性が十分でないことがある。
本発明に用いられる界面活性剤(A6−2)は、アルコールに1種以上のアルキレンオキサイドを付加反応して得られる。一般式(19)中のRは、水素である場合のアルコール原料としては、特に限定はないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種または2種以上を併用してもよい。
一般式(19)中のRがアルキル基またはアルケニル基である場合のアルコール原料は、特に限定はないが、たとえば一価アルコールである。
界面活性剤(A6−2)の原料となる一価アルコールROHは、Rが炭化水素基であり直鎖または分枝鎖のいずれの構造であってもよいが、汎用性に優れるので直鎖の構造であると好ましい。
の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは8〜20、よりさらに好ましくは10〜20、特に好ましくは12〜18、最も好ましくは13〜14である。Rの炭素数が30超であると、ハンドリング性が十分ではないことがある。
上記アルコールとしては、成分(A1)で記載したものと同じものを採用できる。
アルコールが炭素数10〜20のアルケノールであると塗布性およびハンドリング性に優れるので好ましい。炭素数10〜20のアルケノールとしては、上記で例示したアルコールのうちで、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、へキサデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール、エイセノール等を挙げることができる。
前記界面活性剤(A6−2)の製造方法は、上記(A1)で記載したものと同じ方法が採用できる。
界面活性剤(A6−2)の重量割合については、塗布性が良好となる観点から、前記配位子(A6−1)を100重量部としたときに、前記界面活性剤(A6−2)を50〜300重量部が好ましく、50〜250重量部がより好ましく、50〜200重量部がさらに好ましく、50〜150重量部が特に好ましい。
〔成分(A7)〕
成分(A7)は、上記一般式(9)で表されるアルキレンオキサイド付加物である。
O−[(PO)p2/(EO)q2]−(PO)r2−H (9)
一般式(9)中のRは、水素あるいはアルキル基またはアルケニル基である。分散性に優れる観点から、Rはアルキル基またはアルケニル基であると特に好ましい。
一般式(9)中のRがアルキル基またはアルケニル基である場合のRに対しては、下記に示すアルコールROHを構成するRの説明をそのまま適用できる。Rの具体例としても、下記で具体的に例示した種々のアルコールからOH基を除いたアルキル基またはアルケニル基を例示することができる。
p2、q2はポリオキシアルキレン基([(PO)p2/(EO)q2])中のオキシプロピレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数を表し、r2はポリオキシアルキレン基に結合する(ポリ)オキシプロピレン基((PO)r2)中のオキシプロピレン基の平均付加モル数を表す。但し、r2=0の場合は、アルキレンオキサイド付加物において(ポリ)オキシプロピレン基((PO)r2)が存在しないことになる。ここでポリオキシプロピレン基((PO)r2)について、(ポリ)オキシアルキレン基に結合していない他方の末端は水酸基となっている(以下では、この水酸基を末端水酸基ということがある。)。
オキシプロピレン基の平均付加モル数p2としては、特に限定はないが、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10、さらに好ましくは2〜10、特に好ましくは3〜10、最も好ましくは4〜10である。オキシプロピレン基の平均付加モル数p2が1未満であると、塗布性が優れないことがある。一方、オキシプロピレン基p2の平均付加モル数が20超であると、分散性が優れないことがある。
オキシプロピレン基の平均付加モル数r2としては、特に限定はないが、通常0〜20、好ましくは1〜10、より好ましくは2〜10、さらに好ましくは3〜10、よりさらに好ましくは3〜9、特に好ましくは3〜8、最も好ましくは4〜8である。オキシプロピレン基r2の平均付加モル数が20超であると、分散性が優れない。
EOはオキシエチレン基であり、q2はオキシエチレン基の平均付加モル数を示す。オキシエチレン基の平均付加モル数q2としては、特に限定はないが、通常0〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18、さらに好ましくは2〜16、特に好ましくは3〜13、最も好ましくは4〜10である。オキシエチレン基の平均付加モル数q2が30モル超であると、塗布性が優れないことがある。
p2、q2およびr2の和(p2+q2+r2)としては、特に限定はないが、分散安定性を考慮すると、通常70≧(p2+q2+r2)>2、好ましくは60≧(p2+q2+r2)>5、より好ましくは50≧(p2+q2+r2)>6、さらに好ましくは40≧(p2+q2+r2)>8、よりさらに好ましくは30≧(p2+q2+r2)>10、特に好ましくは30≧(p2+q2+r2)>12、最も好ましくは20≧(p2+q2+r2)>14である。p2、q2およびr2の和が2以下であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、p2、q2およびr2の和が70超であると、分散安定性と塗布性が優れないことがある。
[(PO)p2/(EO)q2]は、p2モルのオキシプロピレン基とq2モルのオキシエチレン基とがランダム付加してなるポリオキシアルキレン基である。このポリオキシアルキレン基の一方の末端は、エーテル結合を介してR基と結合している。ここでランダム付加とは、オキシプロピレン基およびオキシエチレン基が無秩序に共重合して配列された付加状態になっていることを言う。
アルキレンオキサイド付加物成分(A7)は、ランダム付加してなるポリオキシアルキレン基のp2とq2の商が特定の範囲にあると、塗布性に優れる場合があるので好ましい。p2とq2の商としては、たとえば、塗布性を考慮すると、好ましくは0.5≦p2/q2≦2.0、より好ましくは0.5≦p2/q2≦1.6、さらに好ましくは0.6≦p2/q2≦1.5、よりさらに好ましくは0.6≦p2/q2≦1.4、特に好ましくは0.7≦p2/q2≦1.3、最も好ましくは0.8≦p2/q2≦1.2である。p2とq2の商が0.5未満であると、塗布性が優れないことがある。p2とq2の商が2.0超であると、分散安定性及び塗布性が十分ではないことがある。
アルキレンオキサイド付加物成分(A7)の重量平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは200〜5000、より好ましくは300〜4000、さらに好ましくは400〜3000、特に好ましくは500〜2000、最も好ましくは600〜1500である。重量平均分子量が200未満であると、塗布性が十分ではないことがある。重量平均分子量が5000超であると、ハンドリング性が低いことがある。重量平均分子量の測定方法は、実施例で詳しく説明する。
アルキレンオキサイド付加物成分(A7)の曇点は、通常、アルキレンオキサイド付加物成分(A7)の1重量%水溶液を調製し加温して一旦液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とする方法を用いて測定する。上記曇点としては、通常100℃以下、好ましくは0〜95℃、より好ましくは10〜90℃、さらに好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜70℃、最も好ましくは40〜60℃である。前記曇点が100℃超であると、塗布性が優れないことがある。
本発明では、上記曇点が0℃以下である場合は、曇点が測定不能であるので、上記に示す曇点の測定方法とは異なる以下に示す測定方法を選択し、その測定方法で得られた値を曇点とすることができる。
上記曇点が0℃以下の場合は、前記成分(A7)の曇点は、以下の実施例で詳しく説明するBDG法により測定した値とする。BDG法により測定した前記成分(A7)の曇点は、好ましくは0〜99℃、より好ましくは20〜90℃、さらに好ましくは30〜80℃、特に好ましくは40〜70℃、最も好ましくは50〜60℃である。BDG法により測定した曇点が0℃未満であると、無機粒子の分散性に優れないことがある。一方、BDG法により測定した曇点が99℃超であると、前記成分(A7)のハンドリング性が低いことがある。
前記成分(A7)の起泡力は、以下の実施例で詳しく説明する濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により測定した値とする。アルキレンオキサイド付加物の流下直後の起泡力は、好ましくは50mm以下、より好ましくは40mm以下、さらに好ましくは30mm以下、特に好ましくは20mm以下、最も好ましくは10mm以下である。流下直後から5分後の起泡力は、好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下、最も好ましくは5mm以下である。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が50mm超であると、塗布性に優れないことがある。一方、流下直後から5分後の起泡力が25mm超であると、塗布性に優れないことがある。
前記成分(A7)の表面張力は、好ましくは20〜80mN/m、より好ましくは20〜60mN/m、さらに好ましくは20〜50mN/m、特に好ましくは20〜40mN/m、最も好ましくは25〜40mN/mである。前記成分(A7)の表面張力が20mN/m未満であると、セメント組成物の乾燥性が悪いことがある。一方、前記成分(A7)の表面張力が80mN/m超であると、塗布性及び分散性が十分でないことがある。
本発明に用いられる成分(A7)は、アルコールに1種以上のアルキレンオキサイドを付加反応して得られる。一般式(9)中のRが水素である場合のアルコール原料としては、特に限定はないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種または2種以上を併用してもよい。
一般式(9)中のRがアルキル基またはアルケニル基である場合のアルコール原料は、特に限定はないが、たとえば一価アルコールである。
成分(A7)の原料となる一価アルコールROHは、Rが炭化水素基であり直鎖または分枝鎖のいずれの構造であってもよいが、汎用性に優れるので直鎖の構造であると好ましい。
の炭素数は、好ましくは1〜30、より好ましくは2〜20、さらに好ましくは8〜20、よりさらに好ましくは10〜18、特に好ましくは12〜16、最も好ましくは13〜14である。Rの炭素数が30超であると、塗布性に優れないことがある。
また、Rはアルキル基またはアルケニル基であると、汎用性に優れるために好ましい。Rとしては、炭素数10〜20のアルケニル基が好ましく、塗布性およびハンドリンド性に優れる。
上記アルコールとしては、成分(A1)で記載したものと同じものを採用できる。
アルコールが炭素数10〜20のアルケノールであると塗布性およびハンドリンド性に優れるので好ましい。炭素数10〜20のアルケノールとしては、上記で例示したアルコールのうちで、デセノール、ウンデセノール、ドデセノール、トリデセノール、テトラデセノール、ペンタデセノール、へキサデセノール、ペンタデセノール、ヘキサデセノール、ヘプタデセノール、オクタデセノール、ノナデセノール、エイセノール等を挙げることができる。
前記成分(A7)の製造方法は、上記(A1)で記載したものと同じ方法が採用できる。
〔高分子粒子成分(B)〕
成分(B)である高分子粒子は、本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物に必須に含まれる。前記成分(B)は、無機粒子の分散助剤、二次電池スラリー組成物の塗布性向上剤として機能する。また、二次電池用スラリーを基材に塗布して水を乾燥した後の無機粒子同士の結着剤としても機能する。本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物が含有する前記成分(B)としては、特に限定はなく、二次電池スラリー組成物の分散性あるいは塗布性や水を除去した後の無機粒子の相互の結着を阻害しない化合物であれば、特に制限はない。
前記成分(B)としては、特に限定はないが、たとえば、ポリイソブチレン等のイソブチレン系高分子粒子;ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体等のジエン系高分子粒子;フッ化ビニリデン系高分子、フッ化エチレン−プロピレン共重合体等のフッ素系高分子粒子;アクリル系高分子粒子;ジメチルポリシロキサン等のポリシロキサン系高分子粒子;ポリ酢酸ビニル、ポリステアリン酸ビニル等のビニル系高分子粒子;スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体等のスチレン系高分子粒子;ウレタン系高分子粒子;フェノール系高分子粒子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン等のオレフィン系高分子粒子;ケトン系高分子粒子;アミド系高分子粒子;ポリフェニレンオキサイド系高分子粒子;エポキシ系高分子粒子;天然ゴム;セルロース系高分子粒子;ポリペプチド;蛋白質等が挙げられる。なかでも、水中での分散性および水を除去した後の無機粒子の結着性に優れるので、アクリル系高分子粒子が好ましい。
アクリル系高分子粒子としては、特に限定はないが、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のカルボキシル基含有単量体;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマロニトリル等のニトリル系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸セチル、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−β−メチルグリシジル、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル単量体単位;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アセトンアクリルアミド、N、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ニトロフェニル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド単量体単位;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体およびハロゲン化ビニリデン系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ネオデカン酸ビニルエステル等のビニルエステル系単量体;等のアクリル酸誘導体単量体単位から選ばれる少なくとも一種の単量体単位から構成される高分子粒子等が挙げられる。なかでも、分散性と結着性に優れるのでカルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、(メタ)アクリルアミド単量体単位から選ばれる少なくとも一種を構成成分として含むと好ましい。
アクリル系高分子粒子は、さらに上記以外のその他の単量体単位を含んでいてもよい。その他の単量体単位としては、特に限定はないが、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド等のマレイミド系単量体;アクロレイン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン等の不飽和有機シラン等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
前記成分(B)を構成する単量体単位が含有するカルボキシル基含有単量体の重量割合としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは4〜10重量%、特に好ましくは5〜10重量%、最も好ましくは6〜8重量%である。高分子粒子を構成する単量体単位が含有するカルボキシル基含有単量体単位の重量割合が1重量%未満であると、分散性が十分ではないことがある。一方、カルボキシル基含有単量体単位の重量割合が50重量%超であると、塗布性に優れないことがある。
前記成分(B)を構成する単量体単位が含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の重量割合としては、特に限定はないが、たとえば、通常10〜99重量%、好ましくは20〜95重量%、より好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは50〜85重量%、特に好ましくは60〜85重量%、最も好ましくは70〜85重量%である。高分子粒子を構成する単量体単位が含有する(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の重量割合が10重量%未満であると、塗布性が十分ではないことがある。一方、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の重量割合が99重量%超であると、分散性に優れないことがある。
前記成分(B)を構成する単量体単位が含有する(メタ)アクリルアミド単量体単位の重量割合としては、特に限定はないが、たとえば、通常0.01〜99重量%、好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%、特に好ましくは1.5〜10重量%、最も好ましくは2〜5重量%である。高分子粒子を構成する単量体単位が含有する(メタ)アクリルアミド単量体単位の重量割合が0.01重量%未満であると、塗布性が十分ではないことがある。一方、(メタ)アクリルアミド単量体単位の重量割合が99重量%超であると、分散性に優れないことがある。
本発明の高分子粒子では、重合性単量体とともに、重合性二重結合を2個以上有する重合性単量体(架橋剤)を含み構成された重合体であってもよい。
架橋剤としては、特に限定はないが、たとえば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1、9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
本発明の成分(B)としては、たとえば、KFポリマー(ポリフッ化ビニリデン樹脂、株式会社クレハ)、カイナーシリーズ(ポリフッ化ビニリデン樹脂、アルケマ株式会社)、ソレフシリーズ(ポリフッ化ビニリデン樹脂、ソルベイ株式会社)、アルマテックスシリーズ(アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、三井化学株式会社)、ケミパールシリーズ(ポリオレフィン水性ディスパージョン、三井化学株式会社)、ボンロンシリーズ(アクリルエマルション、三井化学株式会社)、オレスターシリーズ(ポリウレタン樹脂、三井化学株式会社)、ユーバンシリーズ(アミノ樹脂、三井化学株式会社)、エポキーシリーズ(エポキシ樹脂、三井化学株式会社)、Nipolシリーズ(スチレン・ブタジエン系ラテックス、アクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス、アクリレート系ラテックス、日本ゼオン株式会社)、ザイクセンシリーズ(ポリオレフィン樹脂、住友精化株式会社)、セポルジョンシリーズ(ナイロンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、住友精化株式会社)、セポレックスシリーズ(ポリイソプレンラテックス、クロロスルホン化ポリエチレンラテックス、住友精化株式会社)、フローセンリーズ(ポリエチレン、住友精化株式会社)、フローブレンリーズ(ポリプロピレン、住友精化株式会社)、SBラテックス(スチレン・ブタジエン系ラテックス、JSR株式会社)、アクリルエマルションAEシリーズ(アクリルエマルション、株式会社イーテック)、ボンコートシリーズ(アクリル系エマルジョン、アクリル−スチレン系エマルジョン、DIC株式会社)、ボンディックシリーズ(ポリウレタンディスパージョン、DIC株式会社)、ラックスターシリーズ(ブタジエン樹脂ラテックス、DIC株式会社)、ALシリーズ(スチレン・ブタジエン系ラテックス、アクリレート系ラテックス、日本エイアンドエル株式会社)など市販されている高分子粒子を使用しても構わない。
前記成分(B)の平均粒子径については、特に限定されないが、好ましくは0.001〜100μm、さらに好ましくは0.01〜10μm、特に好ましくは0.05〜1μm、最も好ましくは0.1〜0.8μmである。前記成分(B)の平均粒子径が0.001μm未満の場合、製造が困難となり好ましくない場合がある。一方、前記成分(B)の平均粒子径が100μm超の場合、乳化安定性が悪くなり好ましくない場合がある。
前記成分(B)のガラス転移点として、特に限定はないが、たとえば、好ましくは−100〜100℃、より好ましくは−90〜50℃、さらに好ましくは−80〜25℃、特に好ましくは−70〜10℃、最も好ましくは−60〜0℃である。高分子粒子のガラス転移点が−100℃未満であると、ハンドリング性に優れないことがある。一方、高分子粒子のガラス転移点が100℃超であると、二次電池用スラリーの結着性が十分ではないことがある。
前記成分(B)の熱重量測定(TGA、パージガスとして乾燥空気を導入、および40℃から昇温10℃/minで加熱)による200℃の重量減少としては、特に限定はないが、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下、最も好ましくは3重量%以下である。高分子粒子の熱重量測定による200℃の重量減少が20重量%超であると、結着性が十分でないことがある。
本発明の高分子粒子のゼータ電位が特定の範囲にあると分散性に優れるので好ましい。
測定温度25℃における5重量%濃度水分散液のゼータ電位が、好ましくは−10〜−100mV、より好ましくは−10〜−90mV、さらに好ましくは−20〜−80mV、特に好ましくは−30〜−70mV、最も好ましくは−35〜−65mVである。高分子粒子の5重量%濃度水分散液のゼータ電位が−100mV未満であると、ハンドリング性に優れないことがある。一方、高分子粒子の5重量%濃度水分散液のゼータ電位が−10mV超であると、二次電池用スラリーの分散性が十分ではないことがある。
前記成分(B)の水への溶解性に関しては、特に限定はないが、非水溶性を示す方が分散性および耐熱性に優れるので好ましい。
前記成分(B)の水への溶解度に関しては、特に限定はないが、たとえば、好ましくは10g/1000ml以下、より好ましくは5g/1000ml以下、さらに好ましくは1g/1000ml以下、特に好ましくは0.5g/1000ml以下、最も好ましくは0.1g/1000ml以下である。前記成分(B)の水への溶解度が10g/1000ml超であると、二次電池用スラリーの結着性が十分ではないことがある。前記成分(B)の水への溶解度の好ましい下限値は0g/1000mlである。
前記成分(B)の水への膨潤度に関しては、特に限定はないが、たとえば、好ましくは10.0倍以下、より好ましくは7.5倍以下、さらに好ましくは5.0倍以下、特に好ましくは2.0倍以下、最も好ましくは1.5倍以下である。前記成分(B)の水への膨潤度が10倍超であると、二次電池用スラリーの結着性が十分ではないことがある。前記成分(B)の水への膨潤度の好ましい下限値は1.0倍である。
前記成分(B)の無機酸化物板に対する接触角が特定の範囲にあると分散性に優れるので好ましい。測定温度25℃における5重量%濃度水分散液を無機酸化物板に滴下する動的接触角において、特に限定はないが、好ましくは100msec経過時で50〜70°、1600msec経過時で40〜60°、より好ましくは100msec経過時で55〜70°、1600msec経過時で40〜58°、さらに好ましくは100msec経過時で55〜70°、1600msec経過時で40〜57°、特に好ましくは100msec経過時で55〜70°、1600msec経過時で40〜56°、最も好ましくは100msec経過時で55〜65°、1600msec経過時で45〜55°である。無機酸化物板に対する100msec経過時の接触角が50°未満であると、ハンドリング性に優れない場合がある。100msec経過時の接触角が70°超であると、分散性に優れない場合がある。無機酸化物板に対する1600msec経過時の接触角が40°未満であると、ハンドリング性に優れない場合がある。無機酸化物板に対する1600msec経過時の接触角が60°超であると、ハンドリング性に優れない場合がある。
接触角測定に使用する無機酸化物板の原料はアルミナ(酸化アルミニウム)である。
前記成分(B)は、高分子粒子が水に分散した高分子粒子エマルションの状態であってもよい。高分子粒子エマルションの場合の高分子粒子の濃度としては、特に限定はないが、たとえば、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは15〜60重量%、特に好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは30〜40重量%である。高分子粒子エマルションの場合の高分子粒子の濃度が1重量%未満であると分散性に優れないことがある。一方、高分子粒子の濃度が80重量%超であるとハンドリング性に優れないことがある。
高分子粒子の製造方法は、特に限定はないが、たとえば、通常各種単量体を乳化重合することによって得られる。
乳化重合に用いる開始剤としては、特に限定はないが、たとえば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物類;アゾビスジイソブチロニトリル、2、2´−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]塩酸塩等のアゾ化合物類;クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエート等の有機過酸化物類等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
また、上記無機過酸化物類と還元性物質を組み合わせてレドックス重合を行ってもよい。無機過酸化物類と組み合わせる還元性物質としては、特に限定はないが、たとえば、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
また、前記乳化重合では連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、特に限定はないが、たとえば、α−メチルスチレンダイマー、n−ブチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
また、前記乳化重合では乳化剤を使用してもよい。乳化剤としては、界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、1種または2種以上を含んでいてもよい。界面活性剤が非イオン界面活性剤および/または陰イオン界面活性剤であると好ましい。
高分子粒子エマルションが含有する水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよい。
高分子粒子エマルションに含まれる水の含有量は、単量体の合計を100重量部としたときに、10〜10000重量部、好ましくは50〜10000重量部、さらに好ましくは75〜5000重量部、特に好ましくは100〜1000重量部、最も好ましくは150〜500重量部である。水の含有量が10重量部未満であると、乳化安定性が十分ではないことがある。一方、水の含有量が10000重量部超であると、生産効率が悪くなる。
高分子粒子エマルションは、上記で説明した各成分以外に、消泡剤、中和剤、保護コロイド剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤、酸化防止剤、消臭剤、架橋剤、各種触媒、各種有機溶剤、キレート剤等をさらに含有していてもよい。
消泡剤としては特に限定はないが、たとえば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコール、ジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;3−ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3−ヘプチルカルビトールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウムなどの硫酸エステル系消泡剤;ジメチルポリシロキサンなどのポリシロキサン系消泡剤;鉱物油等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なお、ここに記載した消泡剤は後述する消泡剤(D)としての機能を発揮する。
前記成分(B)の含有量としては、成分(A)の合計含有量を100重量部としたときに、通常100〜3000重量部、好ましくは150〜2000重量部、より好ましくは200〜1000重量部、さらに好ましくは250〜500重量部である。前記成分(B)の含有量が100重量部未満であると、分散安定性が十分ではない。一方、前記成分(B)の含有量が3000重量部超であると、塗布性に優れない。
〔消泡剤成分(D)〕
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、消泡剤成分(D)を含有すると、二次電池スラリーのハンドリング性向上および塗布性向上の観点から、好ましい。
前記成分(D)としては特に限定はないが、たとえば、ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油などの油脂系消泡剤;ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸などの脂肪酸系消泡剤;ステアリン酸イソアミル、こはく酸ジステアリル、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸ブチルなどの脂肪酸エステル系消泡剤;ポリオキシアルキレンモノハイドリックアルコール、ジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプタノール、2−エチルヘキサノールなどのアルコール系消泡剤;3−ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3−ヘプチルカルビトール、ポリアルキレングリコールなどのエーテル系消泡剤;トリブチルホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェートなどのリン酸エステル系消泡剤;ジアミルアミンなどのアミン系消泡剤;ポリアルキレンアミド、アシレートポリアミンなどのアミド系消泡剤;ラウリル硫酸エステルナトリウムなどの硫酸エステル系消泡剤;ジメチルポリシロキサンなどのポリシロキサン系消泡剤;パラフィン系鉱物油、シクロペンテン、シクロヘキサン、フイヒテライト、オレアナンなどのナフテン系鉱物油などの鉱物油;シリカ微粉末系消泡剤等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも消泡剤が、ポリシロキサン系消泡剤、シリカ微粉末から選ばれる少なくとも1種以上であると、消泡性に優れるので好ましい。
消泡剤の形状としては、特に限定はないが、たとえば、オイル型、オイルコンパウンド型、溶液型、粉末型、固形型、自己乳化型、エマルション型等が挙げられ、乳化剤、水、有機溶剤等を含有していてもよい。
ポリシロキサン系消泡剤はシロキサン結合(−Si−O−)を主骨格とし、その側鎖及び/又は末端に官能基が結合した構造である。ここで官能基とは、水素原子基(−H)、メチル基等の単なる炭化水素基等が挙げられる。
ポリシロキサン系消泡剤の25℃における粘度としては、特に限定はないが、好ましくは10〜100000mPa・s、さらに好ましくは100〜50000mPa・s、特に好ましくは500〜10000mPa・s、最も好ましくは1000〜5000mPa・sである。10mPa・s未満では、塗布性に優れないことがある。100000mPa・s超では、ハンドリング性が悪いことがある。
前記成分(D)の含有量としては、特に限定はないが、成分(A)を100重量部としたときに、通常1〜1000重量部、好ましくは2〜100重量部、さらに好ましくは3〜75重量部、特に好ましくは4〜50重量部、最も好ましくは5〜30重量部である。1重量部未満であると、消泡性が十分ではないことがある。一方、1000重量部超であると、塗布性に優れないことがある。ここでいう、成分(D)は有効成分を意味する。
〔分散助剤成分(E)〕
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、二次電池スラリーの分散を補助し、二次電池スラリーの安定性を高める観点から、分散助剤成分(E)を含むと好ましい。
前記成分(E)としては、特に限定はないが、たとえば、アセトン、アセチルアセトン、ジピバロイルメタン、マロン酸ジエチル等のケトン化合物;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール等のアルコール化合物;マレイン酸等の有機酸;塩化水素等の無機酸等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも分散助剤が無機酸、有機酸から選ばれる少なくとも1種以上であると、分散安定性に優れるので好ましい。
前記成分(E)の分子量としては、特に限定はないが、たとえば、通常10〜2000、好ましくは20〜1000、さらに好ましくは30〜500、特に好ましくは40〜300、最も好ましくは50〜200である。分散助剤の分子量が10未満であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、分散助剤の分子量が2000超であると、分散性が十分でないことがある。
前記成分(E)の含有量としては、特に限定はないが、成分(A)と成分(B)の合計含有量を100重量部としたときに、通常1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは50〜300重量部、特に好ましくは70〜200重量部、最も好ましくは90〜150重量部である。分散助剤の含有量が1重量部未満であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、分散助剤の含有量が1000重量部超であると、塗布性に優れないことがある。
〔pH調整剤成分(F)〕
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、分散安定性を高める目的でpH調整剤成分(F)をさらに含んでもよい。
前記成分(F)としては、特に限定はないが、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ(土類)金属の水酸化物;アンモニア;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩;酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化銀、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ビスマス等の金属酸化物;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、スペルミン、アニリン、トルイジン、ピロリジン、モルホリン、イミダゾール、アミノ酸等のアミン化合物等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでもpH調整剤がアルカリ(土類)金属の水酸化物から選ばれる少なくとも1種以上であると、汎用性に優れるので好ましい。ここで、アルカリ(土類)金属とは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。
前記成分(F)の分子量としては、特に限定はないが、たとえば、通常10〜2000、好ましくは15〜1000、さらに好ましくは20〜500、特に好ましくは25〜200、最も好ましくは30〜100である。前記成分(F)の分子量が10未満であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、pH調整剤の分子量が2000超であると、ハンドリング性が十分でないことがある。
前記成分(F)の含有量としては、特に限定はないが、成分(A)と成分(B)の合計含有量を100重量部としたときに、通常1〜1000重量部、好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは50〜300重量部、特に好ましくは70〜200重量部、最も好ましくは90〜150重量部である。前記成分(F)の含有量が1重量部未満であると、分散安定性が十分ではないことがある。一方、前記成分(F)の含有量が1000重量部超であると、塗布性に優れないことがある。
〔その他の成分〕
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物は、二次電池スラリーのレオロジーを調整する目的でその他の成分を含有しても構わない。その他の成分としては適宜選択され、特に限定はないが、たとえば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン・ポリプロピレンブロックポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ゼラチン、コーンスターチ、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子が挙げられる。
〔二次電池スラリー用分散剤組成物、その製造方法と形態〕
二次電池スラリー用分散剤組成物の製造方法は、特に限定はなく、成分(A)、成分(B)等を混合する方法等を挙げることができる。
二次電池スラリー用分散剤組成物の製造方法において、混合順序等については特に限定はなく、全成分を同時に混合してもよく、成分ごとに順番に混合してもよく、予めいくつかの成分を混合しておいて残りの成分を後で添加混合してもよい。たとえば、成分(B)と、成分(A)とを直接混合すると成分(B)が凝集する場合があるので、その場合は、たとえば、予め水に成分(A)を分散したものに成分(B)を混合すると二次電池スラリー用分散剤組成物および二次電池スラリーの安定性がよい。
二次電池スラリー用分散剤組成物は、少なくとも2つの剤の組合せから構成される形態であって、後述する二次電池スラリー組成物を製造する直前に二次電池スラリー用分散剤組成物を構成する2つ以上の剤を混ぜて使用しても構わない。二次電池スラリー用分散剤組成物は、少なくとも2つの剤に分けた形態である方が、保管特性に優れ好ましい場合もある。
二次電池スラリー用分散剤組成物が成分(D)、成分(E)を含む場合には、その組合せとしては、特に限定はないが、たとえば、成分(A)と成分(E)とを含有する第1A剤と、成分(B)と成分(D)とを含有する第2A剤であってもよいし、成分(A)と成分(D)とを含有する第1B剤と、成分(B)と成分(E)と水とを含有する第2B剤であってもよい。
混合については、特に限定はなく、容器と攪拌翼といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。攪拌翼としては、特に限定はないが、マックスブレンド翼、トルネード翼、フルゾーン翼等を挙げることができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える混合機を用いてもよい。混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える混合機を挙げることができる。また、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)、フィルミクス(プライミクス株式会社)、ジェットペースタ(日本スピンドル製造株式会社)、KRCニーダ(株式会社栗本鐵工所製)、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー、株式会社写真化学)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミルなどの粉砕機を用いてもよい。
また、超音波乳化機、連続式二軸混練機、高圧乳化機やマイクロリアクター等を用いてもよい。
二次電池スラリー用分散剤組成物の有効濃度が0.1重量%水溶液の表面張力としては、特に限定はないが、好ましくは20〜50mN/m、さらに好ましくは25〜45mN/m、特に好ましくは25〜40mN/m、最も好ましくは25〜35mN/mである。20mN/m未満では、乾燥性に優れないことがある。50mN/m超では、塗布性が悪いことがある。
二次電池スラリー用分散剤組成物は、以下の実施例で詳しく説明する濃度0.1重量%、温度25℃の測定条件下でロスマイルス試験法により起泡力を測定するが、二次電池スラリー用分散剤組成物の流下直後の起泡力は、50mm以下、好ましくは40mm以下、より好ましくは30mm以下、さらに好ましくは20mm以下、特に好ましくは10mm以下である。流下直後から5分後の起泡力は、20mm以下、好ましくは15mm以下、より好ましくは10mm以下、さらに好ましくは5mm以下、特に好ましくは0mmである。ロスマイルス試験法により流下直後の起泡力が50mm超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではない。また、流下直後から5分後の起泡力が20mm超であると、二次電池用スラリーの塗布性が十分ではない。
二次電池スラリー用分散剤組成物の測定温度25℃におけるゼータ電位としては、特に限定はないが、好ましくは−20〜−100mV、さらに好ましくは−25〜−80mV、特に好ましくは−30〜−70mV、最も好ましくは−35〜−60mVである。−100mV未満では、ハンドリング性が悪いことがある。−20mV超では、分散性に優れないことがある。
二次電池スラリー用分散剤組成物の有効濃度が20重量%水分散液におけるpHとしては、特に限定はないが、好ましくは4.0〜12.0、さらに好ましくは5.0〜11.0、特に好ましくは6.0〜10.0、最も好ましくは7.0〜9.0である。pHが4.0未満では、塗布性が悪いことがある。12.0超では、ハンドリング性が悪いことがある。
二次電池スラリー用分散剤組成物のポリオレフィン樹脂表面に対して二次電池スラリー用分散剤組成物の液滴を落としてから1600msec後の接触角としては、特に限定はないが、好ましくは10〜60°、さらに好ましくは15〜60°、特に好ましくは20〜50°、最も好ましくは30〜40°である。10°未満では、分散性に優れないことがある。60°超では、塗布性が悪いことがある。
二次電池スラリー用分散剤組成物の無機酸化物板表面に対して二次電池スラリー用分散剤組成物の液滴を落としてから1600msec後の接触角としては、特に限定はないが、好ましくは10〜60°、さらに好ましくは15〜60°、特に好ましくは20〜50°、最も好ましくは30〜40°である。10°未満では、分散性に優れないことがある。60°超では、塗布性が悪いことがある。
接触角測定に使用する無機酸化物板の原料はアルミナ(酸化アルミニウム)である。詳細は実施例に記載する。
二次電池スラリー用分散剤組成物の有効濃度としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜90%、好ましくは10〜80%、さらに好ましくは20〜70%、特に好ましくは30〜60%、最も好ましくは35〜55%である。1%未満では、分散性に優れないことがある。90%超では、安定性が悪いことがある。
二次電池スラリー用分散剤組成物は、前記成分(A1)、前記成分(A2)及び前記成分(A3)を必須に含むと、分散性向上の観点から好ましい。
二次電池スラリー用分散剤組成物は、前記成分(A1)、前記成分(A2)、前記成分(A3)及び前記成分(A4)を必須に含むと、塗工性向上の観点から好ましい。
前記成分(A1)、前記成分(A2)及び前記成分(A3)を必須に含む場合、〔(A1)+(A2)〕/(A3)が特定の範囲にあると、分散性向上の観点から好ましい。本発明の〔(A1)+(A2)〕/(A3)としては、通常0.4〜2.0、好ましくは0.5〜1.8、より好ましくは0.6〜1.6、さらに好ましくは0.7〜1.4、特に好ましくは0.8〜1.2、最も好ましくは0.9〜1.1である。2.0超では分散性に優れないことがある。0.4未満では塗工性に優れないことがある。
前記成分(A1)、前記成分(A2)、前記成分(A3)及び前記成分(A4)を必須に含む場合、〔(A1)+(A2)+(A3)〕/(A4)が特定の範囲にあると、塗工性向上の観点から好ましい。本発明の〔(A1)+(A2)+(A3)〕/(A4)としては、通常1〜20000、好ましくは5〜10000、より好ましくは10〜5000、さらに好ましくは40〜3000、特に好ましくは60〜500、最も好ましくは80〜110である。20000超では塗工性に優れないことがある。1未満では分散性に優れないことがある。
〔二次電池スラリー組成物、その製造方法および用途〕
本発明の二次電池スラリー組成物は、上記で説明した二次電池スラリー用分散剤組成物の存在下、無機粒子を溶媒に分散させる製造方法によって得られる。
本発明の二次電池スラリー組成物は、上記成分(A)と、上記成分(B)と、無機粒子とを含有する。
本発明の二次電池スラリー組成物の製造方法としては、特に限定はないが、たとえば、前記二次電池スラリー用分散剤組成物と溶媒とを混合する分散剤調整工程と、前記分散剤調整工程により得られた混合液に無機粒子を分散させる無機粒子分散工程を含む製造方法等が挙げられる。
無機粒子は、二次電池スラリー組成物の用途によって異なるので後で説明する。
二次電池スラリー組成物における二次電池スラリー用分散剤組成物の含有量としては、特に限定はないが、無機粒子100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜40重量部、特に好ましくは15〜30重量部、最も好ましくは20〜30重量部である。二次電池スラリー用分散剤組成物の含有量が無機粒子100重量部に対して100重量部超であると、電池性能が優れない場合がある。一方、二次電池スラリー用分散剤組成物の含有量が1重量部未満であると、塗布性が十分でない場合がある。
二次電池スラリー組成物の比重としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜4、好ましくは1.1〜3、より好ましくは1.2〜2.5、さらに好ましくは1.3〜2、特に好ましくは1.4〜1.9、最も好ましくは1.5〜1.8である。二次電池スラリー組成物の比重が4超であると、分散安定性に優れない場合がある。一方、二次電池スラリー組成物の比重が1未満であると、塗布性に優れでない場合がある。
二次電池スラリー組成物の20重量%水分散液におけるpHとしては、特に限定はないが、好ましくは4.0〜12.0、さらに好ましくは5.0〜11.0、特に好ましくは6.0〜10.0、最も好ましくは7.0〜9.0である。pHが4.0未満では、塗布性が悪いことがある。12.0超では、ハンドリング性が悪いことがある。
無機粒子を分散させる溶媒としては、特に限定はなく、有機溶剤でも水でも構わないが、コストが小さく有害性リスクの少ないことから水が好ましい。
本発明の二次電池スラリー組成物が含有する水は、水道水、イオン交換水、蒸留水等のいずれでもよい。
二次電池スラリー組成物における溶媒の含有量としては、特に限定はないが、たとえば、無機粒子100重量部に対して、1〜10000重量部、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは50〜500重量部、さらに好ましくは60〜300重量部、特に好ましくは80〜200重量部、最も好ましくは100〜150重量部である。二次電池スラリー組成物における溶媒の含有量が無機粒子100重量部に対して10000重量部超であると、電池性能が優れない場合がある。一方、二次電池スラリー組成物における溶媒の含有量が無機粒子100重量部に対して溶媒の含有量が1重量部未満であると、塗布性が十分でない場合がある。
本発明の二次電池スラリー組成物は、上記で説明した各成分以外に、ハイドロトロープ剤、保護コロイド剤、抗菌剤、防黴剤、着色剤、酸化防止剤、消臭剤、架橋剤、触媒、乳化安定剤、キレート剤等をさらに含有していてもよい。
本発明の二次電池スラリー組成物を得るために、二次電池スラリー用分散剤組成物、無機粒子、水等の各成分を混合する方法については、特に限定はなく、容器と攪拌翼といった極めて簡単な機構を備えた装置を用いて行うことができる。攪拌翼としては、特に限定はないが、マックスブレンド翼、トルネード翼、フルゾーン翼等を挙げることができる。また、一般的な揺動または攪拌を行える混合機を用いてもよい。混合機としては、たとえば、リボン型混合機、垂直スクリュー型混合機等の揺動攪拌または攪拌を行える混合機を挙げることができる。また、攪拌装置を組み合わせたことにより効率のよい多機能な混合機であるスーパーミキサー(株式会社カワタ製)およびハイスピードミキサー(株式会社深江製)、ニューグラムマシン(株式会社セイシン企業製)、SVミキサー(株式会社神鋼環境ソリューション社製)、フィルミクス(プライミクス株式会社)、ジェットペースタ(日本スピンドル製造株式会社)、KRCニーダ(株式会社栗本鐵工所製)、自転・公転ミキサー(株式会社シンキー、株式会社写真化学)等を用いてもよい。他には、たとえば、ジョークラッシャー、ジャイレトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、インパクトクラッシャー、ハンマークラッシャー、ロッドミル、ボールミル、振動ロッドミル、振動ボールミル、円盤型ミル、ジェットミル、サイクロンミルなどの粉砕機を用いてもよい。また、超音波乳化機、連続式二軸混練機、高圧乳化機やマイクロリアクター等を用いてもよい。
また、本発明の二次電池スラリー組成物の製造方法は、二次電池スラリー用分散剤組成物を構成する各成分を別々に溶媒に分散させる工程を含んでも構わない。尚、別々に溶媒に分散させる際の各成分の量は、前記した二次電池スラリー組成物の各成分含有量に従う。
二次電池スラリー用分散剤組成物を構成する各成分を別々に溶媒に分散させる工程としては、特に限定はないが、たとえば、前記成分(A)と溶媒を混合して混合液を得る工程(a)と、前記混合液及び前記成分(B)を混合して分散剤組成物を得る工程(b)と、前記分散剤組成物と無機粒子とを混合してスラリー組成物を得る工程(c)を含む製造方法が挙げられる。成分(D)、成分(E)及びその他の成分から選ばれる少なくとも1種を用いる場合には、成分(D)、成分(E)及びその他の成分から選ばれる少なくとも1種を混合する工程は、工程(a)、工程(b)、工程(c)のいずれでも構わないが、工程(a)で混合すると、分散剤組成物が均一となることにより本願効果が得られやすいため、好ましい。
本発明の二次電池スラリー組成物の用途としては、特に限定はないが、正極用途、負極用途、正極、負極、セパレータ等の表面コート用途等が挙げられる。
以下、各種用途について、詳しく説明する。
(二次電池正極用途)
本発明の二次電池スラリー組成物は、二次電池正極用途として利用することができる。二次電池スラリー組成物が二次電池正極用途として用いられる場合の二次電池正極用スラリー組成物の無機粒子としては、正極活物質、導電助剤等が挙げられる。二次電池正極用途の二次電池スラリー組成物は、通常集電体シートに塗布、乾燥して薄膜化して正極用被膜を形成し二次電池用正極として使用できる。
正極活物質としては、特に限定はないが、たとえば、リン酸鉄リチウム(LiFePO)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO)、ピロリン酸鉄(LiFeP)、コバルト酸リチウム複合酸化物(LiCoO)、スピネル型マンガン酸リチウムコバルト酸リチウム複合酸化物(LiMn)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMnO)、ニッケル酸リチウム複合酸化物(LiNiO)、ニオブ酸リチウム複合酸化物(LiNbO)、鉄酸リチウム複合酸化物(LiFeO)、マグネシウム酸リチウム複合酸化物(LiMgO)、カルシウム酸リチウム複合酸化物(LiCaO)、銅酸リチウム複合酸化物(LiCuO)、亜鉛酸リチウム複合酸化物(LiZnO)、モリブテン酸リチウム複合酸化物(LiMoO)、タンタル酸リチウム複合酸化物(LiTaO)、タングステン酸リチウム複合酸化物(LiWO)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.05)、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNi0.33Co0.33Mn0.33、LiNi0.8Co0.1Mn0.1)、酸化マンガンニッケル(LiNi0.5Mn1.5)、酸化マンガン(MnO)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、リチウム過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物、バナジウム系酸化物、硫黄系酸化物、シリケート系酸化物等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
導電助剤としては、特に限定はないが、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;グラフェン;カーボンナノ繊維、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブ;銀、銅、錫、亜鉛、酸化亜鉛、ニッケル、マンガン等の金属微粒子;酸化インジウムスズなどの複合金属微粒子等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
正極の集電体としては、電子伝導性を有し正極材料に通電し得る材料であればよく、特に限定はないが、たとえば、C、Cu、Ti、Cr、Mo、Ru、Rh、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au、Al、Ni等の導電性物質、これら導電性物質の二種類以上を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)を使用し得る。電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、集電体としてはC、Al、Ni、ステンレス鋼等が好ましく、さらに材料コストの観点からAl等が好ましい。集電体の形状には、特に限定はなく、たとえば、箔状基材、三次元基材などを用いることができる。集電体表面上には、あらかじめプライマー層が形成されていてもよく、プライマー層に導電助剤を含んでいてもよい。
二次電池正極用スラリー組成物を正極の集電体に塗布する方法としては、均一にウェットコーティングできる方法であればよく、特に限定はないが、たとえば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。
塗膜から溶媒を除去する方法は、乾燥による方法が一般的である。乾燥方法としては、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥、ホットプレート乾燥、マイクロ波乾燥、高周波乾燥、加熱蒸気乾燥等が挙げられる。溶媒の乾燥温度は、特に限定はないが、通常、10〜200℃、好ましくは30〜190℃、さらに好ましくは50〜180℃、特に好ましくは80〜170℃、最も好ましくは90〜160℃である。溶媒の乾燥温度が200℃超の場合、正極の機能が低下し好ましくない場合がある。
集電体表面に本発明の二次電池正極用スラリー組成物を塗布、乾燥して形成する表面コート被膜は、集電体のどちらか片面に形成させてよく、両面に形成させてもよい。
集電体表面に本発明の二次電池正極用スラリー組成物を塗布、乾燥して形成された片面分の正極被膜の膜厚としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜500μm、好ましくは10〜400μm、さらに好ましくは20〜300μm、特に好ましくは30〜200μm、最も好ましくは50〜150μmである。片面分の正極被膜の膜厚が1μm未満の場合電池性能が悪くなり好ましくない場合がある。片面分の表面コート被膜の膜厚が500μm超の場合、ハンドリング性が低下し好ましくない場合がある。
(二次電池負極用途)
本発明の二次電池スラリー組成物は、二次電池負極用途として利用することができる。二次電池スラリー組成物が二次電池負極用途として用いられる場合の二次電池負極用スラリー組成物の無機粒子としては、負極活物質、導電助剤等が挙げられる。二次電池負極用途の二次電池スラリー組成物は、通常集電体シートに塗布、乾燥して薄膜化して負極用被膜を作製し二次電池用負極として使用できる。
二次電池負極用スラリー組成物の無機粒子としては、負極活物質、導電助剤等が挙げられる。
負極活物質としては、特に限定はないが、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、活性炭、カーボンファイバー、コークス、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料;シリコン系;SiO、SnO、SnO、CuO、LiTi12等の金属酸化物系;Si−Al、Al−Zn、Si−Mg、Al−Ge、Si−Ge、Si−Ag、Zn−Sn、Ge−Ag、Ge−Sn、Ge−Sb、Ag−Sn、Ag−Ge、Sn−Sb等の合金;リン酸スズガラス系等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
導電助剤としては、特に限定はないが、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック;グラフェン;カーボンナノ繊維、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等のカーボンナノチューブ;銀、銅、錫、亜鉛、酸化亜鉛、ニッケル、マンガン等の金属微粒子;酸化インジウムスズなどの複合金属微粒子等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
負極の集電体としては、電子伝導性を有し正極材料に通電し得る材料であればよく、特に限定はないが、たとえば、Cu、Ni、C、Ti、Cr、Mo、Ru、Rh、Ta、W、Os、Ir、Pt、Au、Al等の導電性物質、これら導電性物質の二種類以上を含有する合金(例えば、ステンレス鋼)を使用し得る。電気伝導性が高く、電解液中の安定性と耐酸化性がよい観点から、集電体としてはCu、C、Al、ステンレス鋼等が好ましく、さらに材料コストの観点からCu等が好ましい。集電体の形状には、特に限定はなく、たとえば、箔状基材、三次元基材などを用いることができ、具体的には圧延銅箔、電解銅箔等が好ましい。集電体表面上には、あらかじめプライマー層が形成されていてもよく、プライマー層に導電助剤を含んでいてもよい。
二次電池負極用スラリー組成物を負極の集電体に塗布する方法としては、均一にウェットコーティングできる方法であればよく、特に限定はないが、たとえば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。
塗膜から溶媒を除去する方法は、乾燥による方法が一般的である。乾燥方法としては、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥、ホットプレート乾燥、マイクロ波乾燥、高周波乾燥、加熱蒸気乾燥等が挙げられる。溶媒の乾燥温度は、特に限定はないが、通常、10〜200℃、好ましくは30〜190℃、さらに好ましくは50〜180℃、特に好ましくは80〜170℃、最も好ましくは90〜160℃である。溶媒の乾燥温度が200℃超の場合、負極の機能が低下し好ましくない場合がある。
集電体表面に本発明の二次電池負極用スラリー組成物を塗布、乾燥して形成する表面コート被膜は、集電体のどちらか片面に形成させてよく、両面に形成させてもよい。
集電体表面に本発明の二次電池負極用スラリー組成物を塗布、乾燥して形成された片面分の負極被膜の膜厚としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜500μm、好ましくは10〜400μm、さらに好ましくは20〜300μm、特に好ましくは30〜200μm、最も好ましくは50〜150μmである。片面分の負極被膜の膜厚が1μm未満の場合電池性能が悪くなり好ましくない場合がある。片面分の表面コート被膜の膜厚が500μm超の場合、ハンドリング性が低下し好ましくない場合がある。
(表面コート用途)
本発明の二次電池スラリー組成物は、セパレータの表面コート用途、また上述した正極あるいは負極の表面コート用途として利用することができる。二次電池スラリー組成物が表面コート用途として用いられる場合の二次電池スラリー組成物の無機粒子としては、非導電性粒子等が挙げられる。非導電性粒子としては、特に限定はないが、たとえば、シリカ(酸化ケイ素)、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θアルミナ、δアルミナ等のアルミナ(酸化アルミニウム)、チタニア(酸化チタン)、マグネシア(酸化マグネシウム)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化スズ、酸化ストロンチウム、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化タングステン、酸化インジウム、酸化ガリウム、酸化イットリウム、酸化鉄、酸化アンチモン、ホワイトカーボン等の無機酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの無機窒化物微粒子;フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫化バリウム、硫化カルシウム等のイオン結晶微粒子;シリコン、ダイヤモンドなどの共有結合性結晶微粒子;マイカ、タルク、ベントナイト、カオリン、ケイ酸アルミニウム、セリサイト等のケイ酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。なかでもα−アルミナが熱的および化学的安定性が特に高いため、好ましい。
非導電性粒子の平均粒子径については、特に限定されないが、通常0.001〜100μm、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜1μm、特に好ましくは0.1〜0.8μm、最も好ましくは0.2〜0.7μmである。非導電性粒子の平均粒子径が0.001μm未満の場合、製造が困難となり好ましくない場合がある。一方、非導電性粒子の平均粒子径が100μm超の場合、分散性が低下し、好ましくない場合がある。
非導電性粒子のBET比表面積としては、特に限定はないが、たとえば、通常0.1〜30m/g、好ましくは1〜18m/g、さらに好ましくは4〜14m/g、特に好ましくは5〜10m/g、最も好ましくは8〜10m/gである。非導電性粒子のBET比表面積が0.1m/g未満の場合被膜形成性が悪くなり好ましくない場合がある。一方、非導電性粒子のBET比表面積が30m/g超の場合、ハンドリング性が悪くなり好ましくない場合がある。
非導電性粒子の電気伝導度としては、特に限定はないが、たとえば、好ましくは100μS/cm以下、さらに好ましくは80μS/cm以下、特に好ましくは40μS/cm以下、最も好ましくは20μS/cm以下である。好ましい下限値は0μS/cmである。非導電性粒子の電気伝導度が100μS/cm超の場合、電池性能が悪くなり好ましくない場合がある。
非導電性粒子は遊離の金属(あるいは金属イオン)を含有していてもよい。遊離の金属としては、特に限定はないが、たとえば、鉄、シリカ、マグネシウム、ナトリウム、銅、ニッケル、クロム等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
遊離の金属の含有量としては、特に限定はないが、たとえば、通常10000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは10ppm以下、最も好ましくは1ppm以下である。好ましい下限値は0ppmである。遊離の金属の含有量が10000ppm超の場合、電池性能が悪くなり好ましくない場合がある。
表面コート用途の二次電池スラリー組成物のゼータ電位としては、特に限定はないが、測定温度25℃における5重量%濃度水分散液のゼータ電位が、好ましくは−10〜−100mV、より好ましくは−10〜−90mV、さらに好ましくは−20〜−80mV、特に好ましくは−30〜−70mV、最も好ましくは−35〜−65mVである。5重量%濃度のセパレータ表面コート用途の二次電池スラリー組成物のゼータ電位が−100mV未満であると、ハンドリング性に優れないことがある。一方、5重量%濃度のセパレータ表面コート用途の二次電池スラリー組成物のゼータ電位が−10mV超であると、分散性が十分ではないことがある。
ここで、本発明の二次電池スラリー組成物が二次電池セパレータの表面コート用途として用いられる場合について詳しく述べる。二次電池では、通常、正極と負極の間の短絡を防ぐ為に、セパレータが用いられている。たとえば、リチウムイオン電池の場合、セパレータは、電池内部で短絡が発生した場合、セパレータの有するシャットダウン機能によって、セパレータの孔が塞がって、短絡した部分のリチウムイオンの移動ができなくなり、短絡部位の電池機能を失わせることにより、リチウムイオン二次電池の安全性を保持する役割を担っている。しかしながら、瞬間的に発生する発熱によって電池温度が例えば150℃を超えると、セパレータは急激に収縮して、正極と負極の短絡部位が拡大することがある。この場合、電池温度は数百℃以上にまで異常過熱された状態に至ることがあり、安全性の面で問題となっている。そこで、上記問題点を解決する手段として、リチウムイオン二次電池を構成する正極または負極ないしはセパレータの表面に、絶縁性を有する無機酸化物フィラーを含む無機酸化物多孔膜を形成させる。
二次電池セパレータコート用スラリー組成物をセパレータに塗布する方法としては、均一にウェットコーティングできる方法であればよく、特に限定はないが、たとえば、キャピラリーコート法、スピンコート法、スリットダイコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、バーコーター法、グラビアコーター法、ダイコーター法などを採用することができる。
塗膜から溶媒を除去する方法は、乾燥による方法が一般的である。乾燥方法としては、熱風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥、ホットプレート乾燥、マイクロ波乾燥、高周波乾燥、加熱蒸気乾燥等が挙げられる。溶媒の乾燥温度は、セパレータの軟化点以下の温度が好ましく、通常、10〜200℃、好ましくは30〜150℃、さらに好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃、最も好ましくは60〜90℃である。溶媒の乾燥温度が200℃超の場合、セパレータの機能が低下し好ましくない場合がある。
セパレータの組成を構成する樹脂としては、特に限定はないが、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリアミドイミド系樹脂;ポリアセタール系樹脂;ポリスチレン系樹脂;メタクリル系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリフェニレンサルファイド系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられ、1種または2種以上でもよい。
セパレータの形状としては、特に限定はなく、たとえば微多孔膜フィルム、不織布等が挙げられる。
セパレータは、二次電池セパレータコート用スラリー組成物を塗布する前に、表面をポリフッ化ビニリデン樹脂やポリアラミド樹脂などで表面コートされていてもよい。
セパレータは、二次電池セパレータコート用スラリー組成物を塗布する前に親水化処理を行ってもよい。親水化処理としては、酸やアルカリ等による薬剤処理、コロナ処理、プラズマ処理が挙げられる。
セパレータ表面に本発明の二次電池セパレータコート用スラリー組成物を塗布、乾燥して形成する表面コート被膜は、セパレータのどちらか片面に形成させてよく、両面に形成させてもよい。
セパレータ表面に本発明の二次電池セパレータコート用スラリー組成物を塗布、乾燥して形成された片面分の表面コート被膜の膜厚としては、特に限定はないが、たとえば、通常0.1〜30μm、好ましくは0.3〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm、特に好ましくは1〜4μm、最も好ましくは1〜3μmである。片面分の表面コート被膜の膜厚が0.1μm未満の場合耐熱性が悪くなり好ましくない場合がある。片面分の表面コート被膜の膜厚が30μm超の場合、セパレータの機能が低下し好ましくない場合がある。
本発明の二次電池セパレータコート用スラリー組成物を塗布、乾燥して表面コートされたセパレータの膜厚としては、特に限定はないが、たとえば、通常1〜100μm、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜30μm、特に好ましくは15〜25μm、最も好ましくは20〜25μmである。表面コートされたセパレータの膜厚が1未満の場合耐熱性が悪くなり好ましくない場合がある。片面分の表面コート被膜の膜厚が100μm超の場合、セパレータの機能が低下し好ましくない場合がある。
本発明の二次電池セパレータコート用スラリー組成物を塗布、乾燥して表面コートされたセパレータに対する溶媒の接触角が特定の範囲にあると電池性能に優れるので好ましい。
本発明の二次電池セパレータコート用スラリー組成物を塗布、乾燥して表面コートされたセパレータに対する水の接触角としては、特に限定はないが、たとえば、水を滴下してから1600msec経過時で通常60°以下、好ましくは50°以下、より好ましくは40°以下、さらに好ましくは30°以下、特に好ましくは20°以下である。表面コートされたセパレータに対する水の接触角が60°超であると、電池性能に優れない場合がある。
本発明の二次電池セパレータコート用スラリー組成物を塗布、乾燥して表面コートされたセパレータに対する電解液の接触角としては、特に限定はないが、たとえば、水を滴下してから1600msec経過時で通常80°以下、好ましくは70°以下、より好ましくは60°以下、さらに好ましくは55°以下、特に好ましくは50°以下である。表面コートされたセパレータに対する水の接触角が80°超であると、電池性能に優れない場合がある。
本発明の接触角の測定に用いられる電解液は、プロピレンカーボネートである。
〔二次電池用材料及びその製造方法〕
本発明の二次電池用材料としては、上記二次電池スラリー組成物の各用途で既述した正極、負極、セパレータが挙げられる。すなわち、本発明の正極は、集電体上に正極用被膜を有する二次電池用正極であって、前記被膜が、上記二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる。本発明の負極は、集電体上に負極用被膜を有する二次電池用正極であって、前記被膜が、上記二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる。本発明のセパレータは、セパレータ用被膜を有するセパレータであって、前記被膜が、上記二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる。
本発明の二次電池用材料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、前記成分(A)と前記成分(B)と溶媒を混合して分散剤組成物を得る工程(a)と、前記分散剤組成物と無機粒子とを混合してスラリー組成物を得る工程(b)と、正極の集電体、負極の集電体、正極、負極及びセパレータから選ばれる少なくとも1種に前記スラリー組成物を塗布し乾燥して被膜を形成させる工程(c)を含む製造方法が挙げられる。前記成分(C)、前記成分(D)、前記その他の成分から選ばれる少なくとも1種を混合する工程は、工程(a)、工程(b)、工程(c)のいずれでも構わないが、工程(a)で混合すると、分散剤組成物が均一となることにより本願効果が得られやすいため、好ましい。
なお、塗布方法及び乾燥方法については、上記二次電池スラリー組成物の各用途で既述した方法を採用できる。
〔二次電池〕
本発明の二次電池スラリー用分散剤組成物を用いて作製された正極、負極、セパレータを用いて、本発明の二次電池を作製することができ、その製造方法は特に限定されない。たとえば、上述した負極と正極とをセパレータを介して重ね合わせ電池形状に応じて巻いたり折ったり積層したりして電極体を作製し電池容器に入れ、電池容器に電解液を注入して封口してもよい。
電池形状は、特に限定はないが、たとえば、コイン型、円筒型、角型、シート型等が挙げられる。
電池の外装方法は、特に限定はないが、たとえば、金属ケース、モールド樹脂、アルミラミネートフィルム等が挙げられる。
二次電池の種類としては、特に限定はなく、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池等のリチウムイオン二次電池;ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等のアルカリ二次電池;ナトリウム硫黄電池;レドックスフロー電池;空気電池等が挙げられる。
電解液としては、特に限定はないが、リチウムイオン電池の場合は、たとえば、非水系の溶媒に支持電解質としてリチウム塩を溶解したものを使用できる。リチウム塩としては、たとえば、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSbF、LiAlCl、LiClO、CFSOLi、CSOLi、CFCOOLi、(CFCO)NLi、(CFSONLi、(CSONLiなどが挙げられ、1種または2種以上でもよい。電解液に使用する溶媒としては、支持電解質を溶解できるものであれば特に限定はなく、たとえば、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、メチルエチルカーボネート等のアルキルカーボネート化合物;γ−ブチロラクトン、ギ酸メチル等のエステル化合物;1、2ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等のエーテル化合物;スルホラン、ジメチルスルホキシド等の含硫黄化合物等が挙げられる。電解液には、その他添加剤が混合されていてもよく、たとえば、ビニレンカーボネートなどが挙げられる。
二次電池がニッケル水素電池の場合の電解液としては、特に限定はなくアルカリ性の水溶液であればよく、たとえば、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムを含む水溶液等が挙げられる。
本発明の二次電池は、様々な電気機器(電気を使用する乗り物を含む)の電源として利用することができる。
電気機器としては、例えば、エアコン、洗濯機、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、冷房機器、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、パソコンキーボード、パソコン用ディスプレイ、デスクトップ型パソコン、CRTモニター、パソコンラック、プリンター、一体型パソコン、マウス、ハードディスク、パソコン周辺機器、アイロン、衣類乾燥機、ウインドウファン、トランシーバー、送風機、換気扇、音楽レコーダー、音楽プレーヤー、オーブン、レンジ、洗浄機能付便座、温風ヒーター、カーコンポ、カーナビ、懐中電灯、加湿器、携帯カラオケ機、換気扇、乾燥機、乾電池、空気清浄器、携帯電話、非常用電灯、ゲーム機、血圧計、コーヒーミル、コーヒーメーカー、こたつ、コピー機、ディスクチェンジャー、ラジオ、シェーバー、ジューサー、シュレッダー、浄水器、照明器具、除湿器、食器乾燥機、炊飯器、ステレオ、ストーブ、スピーカー、ズボンプレッサー、掃除機、体脂肪計、体重計、ヘルスメーター、ムービープレーヤー、電気カーペット、電気釜、炊飯器、電気かみそり、電気スタンド、電気ポット、電子ゲーム機、携帯ゲーム機、電子辞書、電子手帳、電子レンジ、電磁調理器、電卓、電動カート、電動車椅子、電動工具、電動歯ブラシ、あんか、散髪器具、電話機、時計、インターホン、エアサーキュレーター、電撃殺虫器、複写機、ホットプレート、トースター、ドライヤー、電動ドリル、給湯器、パネルヒーター、粉砕機、はんだごて、ビデオカメラ、ビデオデッキ、ファクシミリ、ファンヒーター、フードプロセッサー、布団乾燥機、ヘッドホン、電気ポット、ホットカーペット、マイク、マッサージ機、豆電球、ミキサー、ミシン、もちつき機、床暖房パネル、ランタン、リモコン、冷温庫、冷水器、冷凍ストッカー、冷風器、ワープロ、泡だて器、電子楽器、オートバイ、おもちゃ類、芝刈り機、うき、自転車、自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車、鉄道、船、飛行機、非常用蓄電池などが挙げられる。
以下に、本発明の実施例を、その比較例とともに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[粘度の測定]
二次電池スラリー用分散剤組成物の20%濃度水分散液を調整し、25℃雰囲気下でB型粘度計((株)東京計器製:BL型)を用いて測定した。
〔重量平均分子量〕
アルキレンオキサイド付加物あるいは高分子粒子を有効濃度が約0.2質量%濃度となるようにテトラヒドロフランに溶かした後、以下の測定条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定した。次いで、分子量既知のポリエチレングリコールのGPC測定結果から、検量線を作成し、重量平均分子量を算出した。
(測定条件)
機器名:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:KF−G、KF−402HQ、KF−403HQ各1本ずつを直列に連結(いずれもShodex社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
注入量:10μl
溶離液の流量:0.3ml/分
温度:40℃
〔1%濃度水溶液の曇点測定〕
アルキレンオキサイド付加物の1重量%水溶液を調製し、加温して一旦液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度をアルキレンオキサイド付加物の曇点とした。
〔BDG法による曇点測定〕
n−ブチルジグリコール(別名:2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル)の25重量%水溶液にアルキレンオキサイド付加物を添加して曇点試験液を調製した。その際、曇点試験液中のアルキレンオキサイド付加物の濃度が10重量%となるように調整した。次いで、加温して一旦曇点試験液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とした。
(硫酸カリ法による曇点の測定)
硫酸カリウムの5重量%水溶液にアルキレンオキサイド付加物を添加して曇点試験液を調製した。その際、曇点試験液中のアルキレンオキサイド付加物の濃度が1重量%となるように調整した。次いで、加温して一旦曇点試験液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とした。
〔起泡力〕
JIS K3362の方法に準拠したロスマイルス試験法により温度25℃の測定条件下で測定した。組成物の有効濃度が0.1重量%水溶液を試験液とし、試験液の50mlをロスマイルス測定装置の管壁に沿って流し込み、上部の流下ピペットにも試験液の200mlを入れて準備した。ロスマイルス測定装置の円筒中央に試験液の液滴が落ちるようにピペットをセットし、90cmの高さから試験液を流下させ、流下が終わった直後(流下直後)の泡沫の高さと、流下直後から5分後の泡沫の高さを測定した。なお、本願において、有効濃度とは、組成物の重量に対して、組成物を105℃で熱処理して溶媒等を除去し、恒量に達した時の絶乾成分の重量割合をいい、当該絶乾成分を不揮発分という。
〔表面張力〕
有効濃度の0.1重量%水溶液を試験液とし、自動表面張力計(KRUSS社製、品番TensiometerK100)を用いて、ウィルヘルミー法により温度25℃の測定条件下で測定した。
〔臨界ミセル濃度(CMC)〕
自動表面張力計(KRUSS社製、品番TensiometerK100)を用いて、温度25℃の測定条件下で測定した。
〔接触角〕
二次電池スラリー用分散剤組成物の有効濃度5重量%水溶液を試験液とし、接触角計(協和界面科学株式会社製、品番DM−901)を用いて測定した。アルミナ板は、緻密質アルミナ板(50×50×2mm、販売元アズワン)を使用した。
〔HLB値〕
実施例及び比較例で用いたアルキレンオキサイド付加物のHLB値は、グリフィン法に基づくものであり、下記式により算出した。
HLB値=(アルキレンオキサイド付加物の分子量のうちの親水基部分の分子量/アルキレンオキサイド付加物の分子量)×20
式中、親水基部分とは、たとえば、アルキレンオキサイド付加物を構成するエチレンオキサイド付加の部分を示す。
〔熱重量測定(TGA)の測定〕
示差熱天秤(リガク社製、品番Thermo plus EVO)を用いて、設定開始温度20℃、設定最終温度300℃、昇温速度毎分10℃の測定条件で測定した。
〔平均粒子径、ゼータ電位の測定〕
粒径・ゼータ電位測定システム(大塚電子製、ELSZ−1000)を用いて測定した。
〔ガラス転移点の測定〕
動的粘弾性測定装置(ティ−・エイ・インスツルメント社製、品番Q800)を用いて測定した。
〔アルキレンオキサイド付加物A1−1〕
実施例および比較例で用いたポリアルキレンオキサイド付加物A1−1−1〜A1−1−8について、物性を表1に示す。また、それらの具体的な製造方法を以下の製造例A1−1−1〜A1−1−8に示す。
Figure 0006152233
〔アルキレンオキサイド付加物A1−2〕
実施例および比較例で用いたポリアルキレンオキサイド付加物A1−2−1〜A1−2−11について、物性を表2に示す。
Figure 0006152233
〔硫黄含有化合物成分(A2)〕
実施例および比較例で用いた硫黄含有化合物を以下に示す。
〔硫黄含有化合物成分(A2−1)〕
硫黄含有化合物A2−1−1:一般式(1)で、a+bの値が10〜14、MがNaである化合物(混合物)、0.1%水溶液の表面張力28mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)700mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)500mm
硫黄含有化合物A2−1−2:一般式(1)で、a+bの値が9〜13、MがNaである化合物(混合物)、0.1%水溶液の表面張力29mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)600mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)500mm
〔硫黄含有化合物成分(A2−2)〕
硫黄含有化合物A2−2−1:一般式(2)で、c+d+eの値が8〜12、MがNaである化合物(混合物)、0.1%水溶液の表面張力33mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)600mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)500mm
リン含有化合物A2−2−2:一般式(2)で、c+d+eの値が7〜11、MがNaである化合物(混合物)、0.1%水溶液の表面張力33mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)600mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)500mm
〔リン含有化合物成分(A3−1)〕
実施例および比較例で用いたリン含有化合物を以下に示す。
〔リン含有化合物成分(A3−1)〕
リン含有化合物A3−1−1:一般式(3)で、Mは水素原子、xは1と2の混合物、Qは一般式(4)、Rが炭素数12〜14の混合2級アルキル基、m1=0、n1=3、0.1%水溶液の表面張力34mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)200mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)50mm、曇点(BDG法)63℃
リン含有化合物A3−1−2:一般式(3)で、Mはカリウム、xは1と2の混合物、Qは一般式(4)、Rが炭素数12のアルキル基(直鎖)、m1=2、n1=7、0.1%水溶液の表面張力33mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)250mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)100mm、曇点(1%水溶液)58℃
リン含有化合物A3−1−3:一般式(3)で、Mは水素原子、xは1と2の混合物、Qは一般式(4)、Rがノニルフェニル基、m1=0、n1=9、0.1%水溶液の表面張力29mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)300mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)100mm、曇点(1%水溶液)70℃
リン含有化合物A3−1−4:一般式(3)で、Mは水素原子、xは1と2の混合物、Qは一般式(4)、Rがスチレン化フェニル基、m1=0、n1=10、0.1%水溶液の表面張力30mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)350mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)100mm、曇点(1%水溶液)74℃
リン含有化合物A3−1−5:一般式(3)で、Mは水素原子、xは1と2の混合物、Qは一般式(4)、Rが炭素数18のアルケニル基、m1=4、n1=6、0.1%水溶液の表面張力33mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)100mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)50mm、曇点(BDG法)52℃
リン含有化合物A3−1−6:一般式(3)で、Mは水素原子、xは1と2の混合物、Qは一般式(4)、Rが炭素数12のアルキル基(分岐)、m1=0、n1=0、0.1%水溶液の表面張力34mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)15mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)33℃
リン含有化合物A3−1−7:一般式(3)で、MはNRaRbRcRdで示される基でRa、Rb、Rc、Rdは各々水素原子である。xは1と2の混合物、Qは一般式(4)、Rが炭素数8のアルキル基(直鎖)、m1=0、n1=0、0.1%水溶液の表面張力43mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)10mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)21℃
リン含有化合物A3−1−8:一般式(3)で、Mは水素原子、xは1と2の混合物、Qは一般式(4)、Rが炭素数1のアルキル基、m1=0、n1=0、0.1%水溶液の表面張力48mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)<0℃
リン含有化合物A3−1−9:一般式(3)で、Qはフェニル基、Mは水素原子、xは1、0.1%水溶液の表面張力54mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)<0℃
リン含有化合物A3−1−10:一般式(3)で、Qは一般式(4)、Rが水素原子、m1=0、n1=0、Mは水素原子、0.1%水溶液の表面張力68mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)5mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)<0℃
リン含有化合物A3−1−11:一般式(3)で、Qは一般式(4)、Rが水素原子、m1=0、n1=0、Mはナトリウム、0.1%水溶液の表面張力65mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)5mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)<0℃
〔リン含有化合物成分(A3−2)〕
リン含有化合物A3−2−1:一般式(5)で、Rが炭素数12〜14の混合2級アルキル基、Qは水素原子、r1は1と2の混合物、Qは一般式(6)、m2=0、n2=3、0.1%水溶液の表面張力35mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)50mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)10mm、曇点(BDG法)40℃
リン含有化合物A3−2−2:一般式(5)で、Rがノニルフェニル基、Qは水素原子、r1は1と2の混合物、Qは一般式(6)、m2=0、n2=9、0.1%水溶液の表面張力38mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)50mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)10mm、曇点(BDG法)48℃
リン含有化合物A3−2−3:一般式(5)で、Rが炭素数18のアルケニル基、Qは水素原子、r1は1と2の混合物、Qは一般式(6)、m2=4、n2=6、0.1%水溶液の表面張力38mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)50mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)10mm、曇点(BDG法)32℃
リン含有化合物A3−2−4:一般式(5)で、Rが炭素数12のアルキル基(分岐)、Qは水素原子、r1は1と2の混合物、Qは一般式(6)、m2=0、n2=0、0.1%水溶液の表面張力34mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)15mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)33℃
〔変性ポリシロキサン(A4)〕
実施例および比較例で用いたポリシロキサンを以下に示す。
変性ポリシロキサンA4−1:ポリエーテル変性ポリシロキサン、一般式(13)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度20mPa・s、HLB12、0.1%水溶液の表面張力23mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)200mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)50mm、曇点(BDG法)62℃
変性ポリシロキサンA4−2:ポリエーテル変性ポリシロキサン、一般式(13)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度10mPa・s、HLB16、0.1%水溶液の表面張力25mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)250mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)100mm、曇点(BDG法)71℃
変性ポリシロキサンA4−3:ポリエーテル変性ポリシロキサン、一般式(13)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度1500mPa・s、HLB7、0.1%水溶液の表面張力28mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)150mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)30mm、曇点(BDG法)50℃
変性ポリシロキサンA4−4:ポリグリセリン変性ポリシロキサン、一般式(13)でXにポリグリセリル基を含むポリシロキサン、粘度100mPa・s、HLB10、0.1%水溶液の表面張力30mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)150mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)50mm、曇点(BDG法)61℃
変性ポリシロキサンA4−5:ポリエーテル基を有するポリシロキサン、一般式(13)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度200mPa・s、HLB4、0.1%水溶液の表面張力30mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)10mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)22℃
変性ポリシロキサンA4−6:ポリエーテル基を有するポリシロキサン、一般式(13)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度20mPa・s、HLB6、0.1%水溶液の表面張力34mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)15mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)5mm、曇点(BDG法)43℃
変性ポリシロキサンA4−7:ポリエーテル基を有するポリシロキサン、一般式(13)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度20mPa・s、HLB3、0.1%水溶液の表面張力41mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)10mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)5mm、曇点(BDG法)21℃
変性ポリシロキサンA4−8:ポリエーテル基を有するポリシロキサン、一般式(13)でXにポリエーテル基を含むポリシロキサン、粘度20mPa・s、HLB1、0.1%水溶液の表面張力45mN/m、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)5mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、曇点(BDG法)5℃
変性ポリシロキサンA4−9:アルキル基を有するポリシロキサン、一般式(13)でXにアルキル基を含むポリシロキサン、アルキルの炭素数12、粘度100mPa・s、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm
変性ポリシロキサンA4−10:アルキル基を有するポリシロキサン(アルキルの炭素数12〜14)、一般式(13)でXにアルキル基を含むポリシロキサン、粘度1000mPa・s、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm
変性ポリシロキサンA4−11:フェニル基を有するポリシロキサン、一般式(13)でXにフェニル基を含むポリシロキサン、粘度100mPa・s、官能基当量1000g/mol、流下直後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm、流下直後から5分後の起泡力(ロスマイルス試験)0mm
〔成分(A5)〕
実施例および比較例で用いた成分(A)を以下に示す。
アルキレンオキサイド付加物A5−1:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=0、q1=18、n3=1である化合物。HLB16.3
アルキレンオキサイド付加物A5−2:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=0、q1=24、n3=1である化合物。HLB17.1
アルキレンオキサイド付加物A5−3:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=5、q1=10、n3=1である化合物。POとEOの付加形態はランダム付加形態である。HLB9.7
アルキレンオキサイド付加物A5−4:一般式(7)中、QはSOで、MはNRaRbRcRdで、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ水素原子であって、p1=0、q1=12、n3=1である化合物。
〔n=2であるアルキレンオキサイド付加物成分(A5−1)〕
アルキレンオキサイド付加物A5−1−1:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=0、q1=18、n3=2である化合物。HLB14.7
アルキレンオキサイド付加物A5−1−2:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=0、q1=24、n3=2である化合物。HLB15.7
アルキレンオキサイド付加物A5−1−3:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=5、q1=0、n3=2である化合物。
アルキレンオキサイド付加物A5−1−4:一般式(7)中、QはSOで、MはNRaRbRcRdで、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ水素原子であって、p1=0、q1=12、n3=2である化合物。
〔n=3であるアルキレンオキサイド付加物成分(A5−2)〕
アルキレンオキサイド付加物A5−2−1:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=0、q1=18、n3=3である化合物。HLB13.4
アルキレンオキサイド付加物A5−2−2:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=0、q1=24、n3=3である化合物。HLB14.6
アルキレンオキサイド付加物A5−2−3:一般式(7)中、Qは水素原子で、p1=5、q1=0、n3=3である化合物。
アルキレンオキサイド付加物A5−2−4:一般式(7)中、QはSOで、MはNRaRbRcRdで、Ra、Rb、Rc及びRdはそれぞれ水素原子であって、p1=0、q1=12、n3=3である化合物。
〔配位子(A6−1)〕
実施例および比較例で用いた配位子A6−1−1〜A6−1−8について、その一般名と分子量:M、及び水中で解離可能な水素数:aを表3に示す。
Figure 0006152233
尚、A6−1−1〜A6−1−8は、pH6以下でも水溶性を示す。
〔ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(A6−2)〕
実施例および比較例で用いた界面活性剤A6−2−1〜A6−2−7について、その一般式と物性を以下及び表4に示す。尚、曇点はBDG法によって測定した。
界面活性剤A6−2−1:C1225O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H、重量平均分子量652、曇点43.9℃
界面活性剤A6−2−2:C1021O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H、重量平均分子量1003、曇点40.1℃
界面活性剤A6−2−3:C1327O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H、重量平均分子量1266、曇点37.5℃
界面活性剤A6−2−4:C1021O−[(PO)/(EO)]−H、重量平均分子量799、曇点48.1℃
界面活性剤A6−2−5:C1633O−[(PO)10/(EO)]−(PO)10−H、重量平均分子量1741、曇点45.6℃
界面活性剤A6−2−6:C1835O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H、重量平均分子量1027、曇点44.9℃
界面活性剤A6−2−7:C2041O−[(PO)/(EO)]−(PO)12−H、重量平均分子量1359、曇点41.0℃
Figure 0006152233
〔アルキレンオキサイド付加物成分(A7)〕
実施例および比較例で用いたアルキレンオキサイド付加物A7−1〜A7−15について、その一般式と物性を以下及び表5、表6に示す。それらの具体的な製造方法を以下の製造例A7−1〜A7−15に示す。
アルキレンオキサイド付加物A7−1:C1225O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H、重量平均分子量652、曇点43.9℃
アルキレンオキサイド付加物A7−2:C1021O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H、重量平均分子量1003、曇点40.1℃
アルキレンオキサイド付加物A7−3:C1327O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H、重量平均分子量1266、曇点37.5℃
アルキレンオキサイド付加物A7−4:C1021O−[(PO)/(EO)]−H、重量平均分子量799、曇点48.1℃
アルキレンオキサイド付加物A7−5:C1633O−[(PO)10/(EO)]−(PO)10−H、重量平均分子量1741、曇点45.6℃
アルキレンオキサイド付加物A7−6:C1835O−[(PO)/(EO)]−(PO)−H、重量平均分子量1027、曇点44.9℃
アルキレンオキサイド付加物A7−7:C2041O−[(PO)/(EO)]−(PO)12−H、重量平均分子量1359、曇点41.0℃
アルキレンオキサイド付加物A7−8:CHO−[(PO)/(EO)]−H、重量平均分子量652、曇点48.1℃
アルキレンオキサイド付加物A7−9:CO−[(PO)/(EO)]−H、重量平均分子量234、曇点38.1℃
アルキレンオキサイド付加物A7−10:HO−[(PO)12/(EO)]−H、重量平均分子量934、曇点37.5℃
アルキレンオキサイド付加物A7−11:HO−(PO)10−H、重量平均分子量673、曇点41.0℃
アルキレンオキサイド付加物A7−12:C1225O−(PO)−(EO)−H、重量平均分子量667、曇点71.3℃
アルキレンオキサイド付加物A7−13:C1225O−(EO)−(PO)−H、重量平均分子量730、曇点48.8℃
アルキレンオキサイド付加物A7−14:C1225O−[(PO)/(EO)]−(EO)−H、重量平均分子量616、曇点82.9℃
アルキレンオキサイド付加物A7−15:C1021O−[(PO)/(EO)]−(EO)−H、重量平均分子量928、曇点92.5℃
なお、アルキレンオキサイド付加物A7−12および13では、POおよびEOはランダム状ではなく、ブロック状に付加している。
Figure 0006152233
Figure 0006152233
〔高分子粒子(B)〕
実施例および比較例で用いた高分子粒子成分(B)について、それらの具体的な製造方法および物性を以下の表7と、製造例B−1〜B−8とに示す。
〔消泡剤(D)〕
実施例および比較例で用いた消泡剤を以下に示す。
ポリシロキサン系消泡剤1:ジメチルポリシロキサン、粘度100mPa・s
ポリシロキサン系消泡剤2:ジメチルポリシロキサン、粘度1000mPa・s
シリカ微粉末系消泡剤:トリメチルエトキシシランにより疎水化処理されたシリカ微粉末
鉱物油系消泡剤:パラフィン系鉱物油
〔無機粒子〕
実施例および比較例で用いた無機粒子を以下に示す。
αアルミナ1:一次粒子径0.3μm、BET比表面積8.4m/g
αアルミナ2:一次粒子径0.8μm、BET比表面積4.9m/g
γアルミナ:一次粒子径0.3μm、BET比表面積4.7m/g
θアルミナ:一次粒子径0.3μm、BET比表面積5.3m/g
シリカ:一次粒子径0.3μm、BET比表面積5.4m/g
チタニア:一次粒子径0.6μm、BET比表面積3.4m/g
マグネシア:一次粒子径0.6μm、BET比表面積2.5m/g
ジルコニア:一次粒子径0.5μm、BET比表面積3.5m/g
コバルト酸リチウム;一次粒子径7.3μm、BET比表面積0.4m/g
リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNi0.33Co0.33Mn0.33;一次粒子径11.5μm、BET比表面積0.3m/g
マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMnO);一次粒子径10.1μm、BET比表面積0.3m/g
リン酸鉄リチウム(LiFeO);一次粒子径12.1μm、BET比表面積0.3m/g
グラファイト;一次粒子径11.1μm、BET比表面積0.4m/g
ハードカーボン;一次粒子径13.3μm、BET比表面積0.2m/g
アセチレンブラック;平均粒子径70.1nm、BET比表面積68m/g
カーボンナノ繊維:繊維系150.0nm、BET比表面積13m/g
〔製造例A1−1−1〕
(アルキレンオキサイド付加物A1−1−1の製造)
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの供給ラインを各々接続した1Lのオートクレーブに、ラウリルアルコール(分子量186)100gと、水酸化カリウム0.3gとを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ80℃で減圧脱水を行った。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを同時に供給開始した。エチレンオキサイドでは、約170分間で総量47gを供給した。プロピレンオキサイドでは、約170分間で総量312gを供給した。
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させ、80℃まで冷却した。後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))3gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、アルキレンオキサイド付加物を得た。
得られたアルキレンオキサイド付加物のプロピレンオキサイド付加モル数(p3)は10であり、エチレンオキサイド付加モル数(q3)は2であった。アルキレンオキサイド付加物A1−1−1の重量平均分子量は854、BDG法により測定される曇点は35℃、HLBは2.1、水への溶解性は0.05g/1000ml、表面張力は31.3mN/m、CMCは35mg/l、起泡力は直後の値が5mm、5分後の値が0mmであった。
〔製造例A1−1−2〜A1−1−8〕
製造例A1−1−2〜A1−1−8では、製造例1において、表1に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、製造例A1−1−1と同様にアルキレンオキサイド付加物をそれぞれ得て、物性等も製造例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
〔製造例A1−2−1〕
(アルキレンオキサイド付加物A1−2−1の製造)
エチレンオキサイドの供給ラインを接続した1Lのオートクレーブに、ラウリルアルコール(分子量186)100gと、水酸化カリウム0.3gとを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ80℃で減圧脱水を行った。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつ、約120分間でエチレンオキサイド237gを供給した。
エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させ、80℃まで冷却した。後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))3gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、アルキレンオキサイド付加物A1−2−1を得た。
得られたアルキレンオキサイド付加物A1−2−1のエチレンオキサイド付加モル数(n4)は10であった。アルキレンオキサイド付加物A1−2−1は水溶性を示し、重量平均分子量は626、1%水溶液の曇点は68℃、HLBは14.0、表面張力は30.1mN/m、CMCは89mg/l、起泡力は直後の値が140mm、5分後の値が90mmであった。
〔製造例A1−2−2〜A1−2−11〕
製造例A1−2−2〜A−2−11では、製造例A1−2−1において、表2に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、製造例A1−2−1と同様にアルキレンオキサイド付加物をそれぞれ得て、物性等も製造例A1−2−1と同様に評価した。
〔製造例A7−12〕
1Lのオートクレーブに、ラウリルアルコール(分子量186)100gと、水酸化カリウム0.3gとを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ80℃で減圧脱水を行った。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつ、約150分間でプロピレンオキサイド94gを供給した。内圧が低下して一定になるまで熟成させた後、約150分間でエチレンオキサイド166gを供給した。
エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させ、80℃まで冷却した。後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))3gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、アルキレンオキサイド付加物を得た。
得られたアルキレンオキサイド付加物はPOとEOのブロック付加体であり、エチレンオキサイド付加モル数は7であり、プロピレンオキサイド付加モル数は3であった。
得られたアルキレンオキサイド付加物A7−12の重量平均分子量は667であった。曇点については、BDG法で測定して84℃であった。起泡力は、流下直後が20mm、流下直後から5分後が5mmであった。表面張力は33.8mN/mであった。
〔製造例A7−13〕
1Lのオートクレーブに、ラウリルアルコール(分子量186)100gと、水酸化カリウム0.3gとを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ80℃で減圧脱水を行った。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつ、約150分間でエチレンオキサイド166gを供給した。内圧が低下して一定になるまで熟成させた後、約150分間でプロピレンオキサイド94gを供給した。
プロピレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させ、80℃まで冷却した。後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))3gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、アルキレンオキサイド付加物を得た。
得られたアルキレンオキサイド付加物はEOとPOのブロック付加体であり、エチレンオキサイド付加モル数は7であり、プロピレンオキサイド付加モル数は3であった。
得られたアルキレンオキサイド付加物A7−13の重量平均分子量は665であった。曇点については、BDG法で測定して75℃であった。起泡力は、流下直後が30mm、流下直後から5分後が10mmであった。表面張力は34.8mN/mであった。
〔製造例A7−14〕
1Lのオートクレーブに、ラウリルアルコール(分子量186)100gと、水酸化カリウム0.3gとを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ80℃で減圧脱水を行った。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを同時に供給開始した。エチレンオキサイドでは、約100分間で総量62gを供給した。また、プロピレンオキサイドでは、約100分間で総量95gを供給した。
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつ約130分間でエチレンオキサイド71gを供給した。
エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させ、80℃まで冷却した。後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))9gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、アルキレンオキサイド付加物を得た。
得られたアルキレンオキサイド付加物A7−14の重量平均分子量は616であった。曇点は82.9℃であった。起泡力は、流下直後が20mm、流下直後から5分後が5mmであった。表面張力は33.5mN/mであった。
〔製造例A7−15〕
1Lのオートクレーブに、デカノール(分子量159)100gと、水酸化カリウム0.3gとを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ80℃で減圧脱水を行った。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを同時に供給開始した。エチレンオキサイドでは、約180分間で総量166gを供給した。また、プロピレンオキサイドでは、約180分間で総量219gを供給した。
エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。
次いで、130℃まで昇温した後、反応温度145±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつ約130分間でエチレンオキサイド111gを供給した。
エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させ、80℃まで冷却した。後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))9gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、アルキレンオキサイド付加物を得た。
得られたアルキレンオキサイド付加物A7−15の重量平均分子量は928であった。曇点は92.5℃であった。起泡力は、流下直後が25mm、流下直後から5分後が10mmであった。表面張力は34.2mN/mであった。
〔製造例B−1〕
まず、重合性単量体として、5gのアクリル酸および95gのアクリル酸ブチルを準備し、乳化剤として、2.0gのアルキルベンゼンスルホン酸ソーダ塩を準備した。
上記で準備した重合性単量体および乳化剤と、150gのイオン交換水とをホモジナイザーで混合攪拌し、500mlのセパラブルフラスコ中で窒素気流下、80℃で3時間反応してアクリル系高分子粒子B−1のエマルションを得た。このアクリル系高分子粒子B−1のエマルションは、非水溶性であって、不揮発分濃度40.3重量%、粘度2mPa・s、平均粒子径164nm、ゼータ電位−45mV、熱重量測定0.1%、ガラス転移点−14℃、無機酸化物板としてアルミナ板への接触角が100msec経過時で58°、1600msec経過時で45°であった。
〔製造例B−2〜B−8〕
製造例B−2〜B−8では、製造例B−1において、表7に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、製造例B−1と同様に高分子粒子エマルションをそれぞれ得て、物性等も製造例B−1と同様に評価した。
Figure 0006152233
〔製造例S1−1〕
成分(A1−1)であるアルキレンオキサイド付加物A1−1−1を60gと、成分(A1−2)であるアルキレンオキサイド付加物A1−2−1を40gと、成分(B)であるアクリル系高分子粒子B−1を300g含むアクリル系高分子粒子エマルションの750gと、成分(A6−1)であるデヒドロ酢酸の10gと成分(D)であるポリシロキサン系消泡剤1の10gと成分(F)である水酸化ナトリウムの2gとイオン交換水50gを均一に混合して、二次電池スラリー用分散剤組成物を得た。イオン交換水の量はアクリル系高分子粒子B−1エマルションに含まれるイオン交換水と合算して500gであった。二次電池スラリー用分散剤組成物は、有効濃度44.8%、粘度5mPa・s、pH8.2、表面張力35.2、ゼータ電位−55mV、起泡力は直後の値が10mm、5分後の値が0mm、無機酸化物板としてアルミナ板への接触角が1600msec経過時で61°、ポリオレフィン樹脂への接触角が1600msec経過時で18°であった。
〔製造例S1−2〜S1−9、S2、S3、S4、S5、S6、S7及びS8〕
製造例S1−2〜S1−9(表8)、製造例S2(表9)、製造例S3(表10、11)製造例S4(表12、13)、製造例S5(表14、15)、製造例S6(表16)、製造例S7(表17)、製造例S8(表18)では、表8〜18に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、製造例S1−1と同様に二次電池スラリー用分散剤組成物をそれぞれ得て、物性等も製造例S1−1と同様に評価した。その結果を、上記括弧内の表に示す。
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
〔製造比較例SR1、SR2、SR3、SR4、SR5、SR6及びSR7〕
製造比較例SR1(表19)、製造比較例SR2(表20)、製造比較例S3(表21)、製造比較例SR4(表22)、製造比較例SR5(表23)、製造比較例SR6(表16)、製造比較例SR7(表24)では、表16及び表19〜24に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、製造例S1−1と同様に二次電池スラリー用分散剤組成物をそれぞれ得て、物性等も製造例S1−1と同様に評価した。その結果を、上記括弧内の表に示す。
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
Figure 0006152233
〔実施例J1−1〕
無機粒子であるαアルミナ1の100gと分散剤である二次電池スラリー用分散剤組成物S1−1の25gとイオン交換水100gを均一に混合して、二次電池スラリー組成物を得た。
得られた二次電池スラリー組成物は、有効濃度44.6重量%、粘度400mPa・s、平均粒子径350nm、ゼータ電位−60mV、起泡力は直後の値が15mm、5分後の値が0mmであった。
この二次電池スラリー組成物を用いて、二次電池スラリー用分散剤組成物の分散安定性を評価したところ、沈降物の重量が5重量%未満であり分散安定性に優れていた。
上記で得られた二次電池スラリー組成物を膜厚20μmのポリオレフィン樹脂系セパレータに塗布し、80℃のオーブン中で乾燥させた。乾燥後セパレータ表面を表面コートした被覆面積は95%以上であり塗布性に優れていた。表面コート膜厚は5μmであった。セパレータ表面を表面コートしたセパレータ用被膜は収縮率が95%以上であり、耐熱性に優れる。
〔実施例J1−2〜J1−20〕
実施例J1−2〜20では、実施例J1−1において、表25、26に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、実施例J1−1と同様に二次電池スラリー組成物をそれぞれ得て、物性等も実施例J1−1と同様に評価した。その結果を表25及び26に示す。
〔実施例J1−21〕
実施例J1−21は、2つの剤(X剤およびY剤)の組合せから構成される二次電池スラリー用分散剤組成物とそれを用いた二次電池スラリー組成物の製造に関する実施例である。
成分(A1−1)であるアルキレンオキサイド付加物A1−1−1の60g、成分(A1−2)であるアルキレンオキサイド付加物A1−2−1の40g、成分(D)であるデヒドロ酢酸の10g、水酸化ナトリウムの2g、イオン交換水50gを混合してX剤を得た。X剤の有効濃度69.1重量%であった。次に、成分(B)であるアクリル系高分子粒子1を300g含むアクリル系高分子粒子B−1エマルションの750gと成分(D)であるポリシロキサン系消泡剤1の10gとを混合してY剤を得た。
上記で得たX剤およびY剤を混合して得られた二次電池スラリー用分散剤組成物の25gと無機粒子であるαアルミナ1の100gとイオン交換水100gを均一に混合して、二次電池スラリー組成物を得た。得られた二次電池スラリー組成物は、有効濃度44.5重量%、粘度390mPa・s、平均粒子径340nm、ゼータ電位−60mV、起泡力は直後の値が15mm、5分後の値が0mmであった。
この二次電池スラリー組成物を用いて、二次電池スラリー用分散剤組成物の分散安定性を評価したところ、沈降物の重量が5重量%未満であり分散安定性に優れていた。
上記で得られた二次電池スラリー組成物を膜厚20μmのポリオレフィン樹脂系セパレータに塗布し、80℃のオーブン中で乾燥させた。乾燥後セパレータ表面を表面コートした被覆面積は95%以上であり塗布性に優れていた。表面コート膜厚は5μmであった。セパレータ表面を表面コートしたセパレータ用被膜は収縮率が95%以上であり、耐熱性に優れる。
〔実施例J2、実施例J3、実施例J4、実施例J5、実施例J6、実施例J7、実施例J8〕
実施例J2、実施例J3、実施例J4、実施例J5、実施例J6、実施例J7及び実施例J8では、実施例J1−1において、表27〜44に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、実施例J1−1と同様に二次電池スラリー組成物をそれぞれ得て、物性等も実施例J1−1と同様に評価した。その結果を表27〜44に示す。
Figure 0006152233
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〔比較例R1−1〕
無機粒子であるαアルミナ1の100gと分散剤である二次電池スラリー用分散剤組成物SR1−10の25gとイオン交換水100gを均一に混合して、二次電池スラリー組成物を得た。
得られた二次電池スラリー組成物は、有効濃度44.5重量%、粘度300mPa・s、平均粒子径350nm、ゼータ電位−10mV、起泡力は直後の値が20mm、5分後の値が0mmであった。
この二次電池スラリー組成物を用いて、二次電池スラリー用分散剤組成物の分散安定性を評価したところ、沈降物の重量が10重量%以上30重量%未満であり、分散安定性に劣る。
上記で得られた二次電池スラリー組成物を膜厚20μmのポリオレフィン樹脂系セパレータに塗布し、80℃のオーブン中で乾燥させた。乾燥後セパレータ表面を表面コートした被覆面積は80%未満であり、塗布性に劣る。表面コート膜厚は2μmであった。セパレータ表面を表面コートした二次電池用被膜は収縮率が80%未満であり、耐熱性に劣る。
〔比較例R1−2〜7〕
比較例R1−2〜7では、比較例R1−1において、表45に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、比較例R1−1と同様に二次電池スラリー用分散剤組成物をそれぞれ得て、物性等も比較R1−1と同様に評価した。その結果を表45に示す。
〔比較例R2、比較例R3、比較例R4、比較例R5、比較例R6、比較例R7〕
比較例R2、比較例R3、比較例R4、比較例R5、比較例R6及び比較例R7では、比較例R1−1において、表46〜55に示すように原料をそれぞれ変更する以外は、比較例R1−1と同様に二次電池スラリー用分散剤組成物をそれぞれ得て、物性等も比較例R1−1と同様に評価した。その結果を表46〜55に示す。
Figure 0006152233
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表25〜55を見て分かる通り、実施例J1−1〜J8−7までに係る二次電池スラリー分散剤組成物は、特定の成分(A)と、特定の成分(B)を含み、ロスマイルス試験法による25℃における有効濃度0.1重量%の起泡力が、流下直後において50mm以下、かつ、流下直後から5分後において20mm以下であり、前記成分(A)の含有量を100重量部としたときに、前記成分(B)が100〜3000重量部であるために、本願効果である、分散安定性に優れる。
一方、比較例R1−1〜R7−16までに係る二次電池スラリー分散剤組成物は、成分(A)又は成分(B)がないために、本願課題のいずれかが解決できていない。
〔分散安定性の評価〕
作製した二次電池スラリー組成物を100mlの遠沈管にとって室温で24時間保管した後の沈降物の重量を測定した。分散安定性の評価基準は以下のとおり。
◎:沈降物の重量が5重量%未満であり、分散安定性に優れる。
〇:沈降物の重量が5重量%以上10重量%未満であり、分散安定性に優れる。
△:沈降物の重量が10重量%以上30重量%未満であり、分散安定性に劣る。
×:沈降物の重量が30重量%以上であり、分散安定性に劣る。
〔塗布性の評価〕
(セパレータの場合)
二次電池スラリー組成物をポリオレフィン系セパレータ表面に15g/m塗布して、80℃の温度に加熱して乾燥した。セパレータ表面を表面コートした被覆面積を測定した。塗布性の評価基準は以下のとおり。
◎:被覆面積が95%以上であり、塗布性に優れる。
〇:被覆面積が90%以上95%未満であり、塗布性に優れる。
△:被覆面積が80%以上90%未満であり、塗布性に劣る。
×:被覆面積が80%未満であり、塗布性に劣る。
(正極および負極の場合)
二次電池スラリー組成物を集電体表面に10mg/cm塗布して、150℃の温度に加熱して乾燥した。集電体表面を表面コートした被覆面積を測定した。塗布性の評価基準は以下のとおり。
○:被覆面積が95%以上であり乾燥時に塗布表面のひび割れなく、塗布性に優れる。
×:乾燥時に塗布表面のひび割れ発生し被覆面積が95%未満であり、塗布性に劣る。
〔乾燥性の評価〕
(セパレータの場合)
二次電池スラリー組成物をポリオレフィン系セパレータ表面に15g/m塗布して、80℃の温度で塗布表面が乾くまでの時間を目視にて測定する。乾燥性の評価基準は以下のとおり。
○:乾燥時間が30秒以下であれば、待ち時間が少なく乾燥性が良い。
×:乾燥時間が30秒超であれば、待ち時間が長く作業性に支障をきたすため乾燥性が良くない。
(正極および負極の場合)
二次電池スラリー組成物を集電体表面に10mg/cm塗布して、150℃の温度で塗布表面が乾くまでの時間を目視にて測定する。乾燥性の評価基準は以下のとおり。
○:乾燥時間が300秒以下であれば、待ち時間が少なく乾燥性が良い。
×:乾燥時間が300秒超であれば、待ち時間が長く作業性に支障をきたすため乾燥性が良くない。
〔耐熱性の評価〕
作製した表面コートセパレータの試料縦10cm×横10cmを120℃の恒温槽中に8時間保管して加温した後、試料の縦横それぞれの長さを測定して収縮率を算出した。耐熱性の評価基準は以下のとおり。表面コートセパレータの耐熱性は縦あるいは横のいずれか小さい方の収縮率で評価した。
収縮率(%)=(8時間加温後の表面コートセパレータの縦あるいは横の長さ/10)×100
◎:収縮率が95%以上であり、耐熱性に優れる。
〇:収縮率が90%以上95%未満であり、耐熱性に優れる。
△:収縮率が80%以上90%未満であり、耐熱性に劣る。
×:収縮率が80%未満であり、耐熱性に劣る。
〔水の保液性の評価〕
接触角計(協和界面科学株式会社製、品番DM−901)を用いて、表面コートセパレータに水を滴下後1600msec経過時の接触角を測定して評価した。
◎:接触角が20°未満であり、水の保液性に優れる。
〇:接触角が20°以上30°未満であり、水の保液性に優れる。
△:接触角が30°以上40°未満であり、水の保液性に劣る。
×:接触角が40°以上であり、水の保液性に劣る。
〔電解液の保液性の評価〕
接触角計(協和界面科学株式会社製、品番DM−901)を用いて、表面コートセパレータ、正極、負極のいずれかににエチレンカーボネートとジメチルカーボネートの当量混合液を滴下して1600msec経過時の接触角を測定して評価した。
◎:接触角が20°未満であり、電解液の保液性に優れる。
〇:接触角が20°以上30°未満であり、電解液の保液性に優れる。
△:接触角が30°以上40°未満であり、電解液の保液性に劣る。
×:接触角が40°以上であり、電解液の保液性に劣る。

Claims (10)

  1. 成分(A2)、成分(A3)、成分(A5)及び成分(A6)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、高分子粒子成分(B)とを含む二次電池スラリー用分散剤組成物であって、
    ロスマイルス試験法による25℃における有効濃度0.1重量%の起泡力が、流下直後において50mm以下、かつ、流下直後から5分後において20mm以下であり、
    前記成分(A)の含有量を100重量部としたときに、前記成分(B)が100〜3000重量部であり、
    前記成分(A2)が、下記一般式(1)で表される硫黄含有化合物成分(A2−1)及び下記一般式(2)で表される硫黄含有化合物成分(A2−2)から選ばれる少なくとも1種である硫黄含有化合物成分であり、
    Figure 0006152233
    (式(1)中、a及びbは、0以上の整数であって、a+b=5〜17を満たす整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
    Figure 0006152233
    (式(2)中、c、d及びeは、0以上の整数であって、c+d+e=4〜16を満たす整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
    前記成分(A3)が、下記一般式(3)で表されるリン含有化合物成分(A3−1)及び下記一般式(5)で表されるリン含有化合物成分(A3−2)から選ばれる少なくとも1種であり、
    Figure 0006152233
    (但し、Qはフェニル基または下記一般式(4)で表される有機基を示す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。xは1または2である。)
    {RO−[(PO)m1/(EO)n1]}− (4)
    (但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m1およびn1は、各々の平均付加モル数を示し、m1=0〜30およびn1=0〜50である。[(PO)m1/(EO)n1]はm1モルのPOとn1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
    Figure 0006152233
    (但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。Qは、水素原子、アルカリ金属、NRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。Qは、ヒドロキシル基、QO、フェニル基または下記一般式(6)で表される有機基を示す。r1は、1または2である。)
    {RO−[(PO)m2/(EO)n2]}− (6)
    (但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
    前記成分(A5)が下記一般式(7)で表されるアルキレンオキサイド付加物成分であり、
    O−[(PO)p1/(EO)q1]−Q (7)
    (但し、Rは下記一般式(8)で表される基を示す。Qは、水素原子又はSOで示される基である。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。p1およびq1は、各々の平均付加モル数を示し、p1=0〜20、q1=0〜50、p1+q1>0である。[(PO)p1/(EO)q1]はp1モルのPOとq1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
    Figure 0006152233
    (但し、n3は、0〜3の整数である。)
    前記成分(A6)が、水中で解離可能な水素原子を含む官能基を有する配位子(A6−1)及びポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(A6−2)からなり、前記配位子(A6−1)が下記式(II)を満たす、二次電池スラリー用分散剤組成物。
    0.005 < a/M < 0.035 (II)
    (式(II)中、aは前記配位子(A6−1)が有する水中で解離可能な水素原子の数を示す。Mは、前記配位子(A6−1)の分子量を示す。)
  2. 前記成分(A)が、成分(A1)、前記成分(A2)及び前記成分(A3)を必須に含み、
    前記成分(A1)が、ブチルジグリコール法(BDG法)により測定される曇点が20〜95℃であるアルキレンオキサイド付加物成分(A1−1)及び有効濃度が1重量%の水溶液の曇点が30℃以上であるアルキレンオキサイド付加物成分(A1−2)からなり、
    前記成分(A1−1)のHLBをHLB(A1−1)、前記成分(A1−2)のHLBをHLB(A1−2)とし、下記数式(I)を満足する、請求項1に記載の二次電池スラリー用分散剤組成物。
    2<HLB(A1−2)−HLB(A1−1)<14 (I)
  3. 前記成分(A1)、前記成分(A2)、前記成分(A3)及び成分(A4)を必須に含み、
    前記成分(A4)が変性ポリシロキサンである、請求項2に記載の二次電池スラリー用分散剤組成物。
  4. 前記成分(A1−1)が下記一般式(10)、前記成分(A1−2)が下記一般式(11)で示される、請求項2又は3に記載の二次電池スラリー用分散剤組成物。
    O−[(PO)p3/(EO)q3]−H (10)
    (Rは、活性水素含有化合物由来の有機基、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。p3およびq3は、各々の平均付加モル数を示し、p3=0〜30およびq3=1〜50である。但し、p3=0のときはq3=1〜5である。[(PO)p3/(EO)q3]はp3モルのPOとq3モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
    O−(EO)n5−H (11)
    (Rは、活性水素含有化合物由来の有機基、EOはオキシエチレン基を示す。n5は、EOの平均付加モル数を示し、n5=6〜100である。)
  5. 前記成分(A3)が、前記成分(A3−1)であり、Qは前記一般式(4)で表される有機基であり、前記Rは水素原子、m1=0およびn1=0であり、前記分散剤組成物の有効濃度が20%濃度におけるpHが6.0〜10.0である、請求項1〜4に記載の二次電池スラリー用分散剤組成物。
  6. 成分(A2)、成分(A3)、成分(A5)及び成分(A6)から選ばれる少なくとも1種である成分(A)と、高分子粒子成分(B)と、無機粒子とを含有する二次電池スラリー組成物であって、
    前記無機粒子の含有量を100重量部としたときに、それぞれの含有量が、前記成分(A)が0.01〜10重量部、前記成分(B)が0.1〜50重量部であり、
    ロスマイルス試験法による25℃における有効濃度0.1重量%の起泡力が、流下直後において50mm以下、かつ、流下直後から5分後において20mm以下であり、
    前記成分(A2)が、下記一般式(1)で表される硫黄含有化合物成分(A2−1)及び下記一般式(2)で表される硫黄含有化合物成分(A2−2)から選ばれる少なくとも1種である硫黄含有化合物成分であり、
    Figure 0006152233
    (式(1)中、a及びbは、0以上の整数であって、a+b=5〜17を満たす整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
    Figure 0006152233
    (式(2)中、c、d及びeは、0以上の整数であって、c+d+e=4〜16を満たす整数である。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。)
    前記成分(A3)が、下記一般式(3)で表されるリン含有化合物成分(A3−1)及び下記一般式(5)で表されるリン含有化合物成分(A3−2)から選ばれる少なくとも1種であり、
    Figure 0006152233
    (但し、Qはフェニル基または下記一般式(4)で表される有機基を示す。Mは、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。xは1または2である。)
    {RO−[(PO)m1/(EO)n1]}− (4)
    (但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m1およびn1は、各々の平均付加モル数を示し、m1=0〜30およびn1=0〜50である。[(PO)m1/(EO)n1]はm1モルのPOとn1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
    Figure 0006152233
    (但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。Qは、水素原子、アルカリ金属、NRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。Qは、ヒドロキシル基、QO、フェニル基または下記一般式(6)で表される有機基を示す。r1は、1または2である。)
    {RO−[(PO)m2/(EO)n2]}− (6)
    (但し、Rは水素原子あるいは活性水素含有化合物由来の有機基を示す。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を各々示す。m2およびn2は、各々の平均付加モル数を示し、m2=0〜30およびn2=0〜50である。[(PO)m2/(EO)n2]はm2モルのPOとn2モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
    前記成分(A5)が下記一般式(7)で表されるアルキレンオキサイド付加物成分であり、
    O−[(PO)p1/(EO)q1]−Q (7)
    (但し、Rは下記一般式(8)で表される基を示す。Qは、水素原子又はSOで示される基である。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はNRaRbRcRdで示される基である。Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルカノール基又はポリオキシアルキレン基である。POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基を示す。p1およびq1は、各々の平均付加モル数を示し、p1=0〜20、q1=0〜50、p1+q1>0である。[(PO)p1/(EO)q1]はp1モルのPOとq1モルのEOとが付加してなるポリオキシアルキレン基である。POとEOの付加形態はランダム付加形態、ブロック付加形態いずれでも良い。)
    Figure 0006152233
    (但し、n3は、0〜3の整数である。)
    前記成分(A6)が、水中で解離可能な水素原子を含む官能基を有する配位子(A6−1)及びポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(A6−2)からなり、前記配位子(A6−1)が下記式(II)を満たす、二次電池スラリー組成物。
    0.005 < a/M < 0.035 (II)
    (式(II)中、aは前記配位子(A6−1)が有する水中で解離可能な水素原子の数を示す。Mは、前記配位子(A6−1)の分子量を示す。)
  7. 集電体上に正極用被膜を有する二次電池用正極であって、前記被膜が、請求項6に記載の二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる、二次電池用正極。
  8. 集電体上に負極用被膜を有する二次電池用負極であって、前記被膜が、請求項6に記載の二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる、二次電池用負極。
  9. セパレータ用被膜を有するセパレータであって、前記被膜が、請求項6に記載の二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる、二次電池用セパレータ。
  10. 負極、正極、セパレータ及び電解液を含む二次電池であって、前記負極、前記正極及び前記セパレータのうちの少なくとも1つが、請求項6に記載の二次電池スラリー組成物の不揮発分により形成されてなる被膜を有する、二次電池。
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