JP6152016B2 - 多共振アンテナ - Google Patents
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Description
図18に示す多共振アンテナ200は、グランド上に直立している給電素子201と、グランド上に直立して給電素子201に近接して配置され、一端がグランドに接続されている長さの異なる第1アース素子202と第2アース素子203とから構成されている。給電素子201はユニポールアンテナを構成しており、給電素子201の下端とグランド間に給電部204が設けられ、給電素子201は給電部204から給電される。第1アース素子202と第2アース素子203の一端はグランドに接続され、給電素子201とそれぞれ電磁結合されて給電されるようになる。給電素子201は、その長さが約1/4波長に相当する周波数に共振し、第1アース素子202および第2アース素子203も、その長さが約1/4波長に相当する周波数に共振するようになる。この場合、給電素子201の長さが一番長く、次に第1アース素子202の長さが長く、第2アース素子203の長さが一番短くされて、給電素子201と第1アース素子202と第2アース素子203とは、それぞれ異なる周波数で共振するようになる。これにより、多共振アンテナ200は複数の周波数で共振するようになり、広帯域で動作するようになる。
一端がアースに接続された無給電素子を給電素子に近接して配置するアンテナは、特許文献1および特許文献2に記載されている。なお、特許文献2には、長さの異なる給電素子を複数設けることにより動作周波数帯域を広帯域化することも記載されている。
そこで、本発明は700MHz〜2800MHzや400MHz〜2600MHzの広帯域の周波数帯域において複数の帯域に共振させることができる多共振アンテナを提供することを目的としている。
図1に示すように、第1実施例の多共振アンテナ1は、グランド上に直立している第1給電素子10と、一端が第1給電素子10の下部に接続されているL字状の第2給電素子11と、グランド上に直立して第1給電素子10に近接して配置され、一端がグランドに接続されている長さの異なる第1アース素子12と第2アース素子13とから構成されている。第1給電素子10は、直線部10aと、直線部10aの上端に設けられている矩形ループ状のループ部10bとから構成されている。また、第1アース素子12は直線部10aに近接して平行に配置され、その先端はループ部10bの下面と対向している。第2アース素子13もは直線部10aに近接して平行に配置されていると共に、第1アース素子12に対面して配置されている。第1給電素子10および第2給電素子11はユニポールアンテナを構成しており、第1給電素子10の下端とグランド間に給電部14が設けられ、第1給電素子10および第2給電素子11は給電部14から給電されている。また、第1アース素子12と第2アース素子13の一端はグランドに接続され、第1給電素子10とそれぞれ電磁結合されて給電されるようになる。
第1実施例の多共振アンテナ1は、テフロン基板やガラスエポキシ基板等の高周波特性の良好な絶縁性のアンテナ基板の表面と裏面とにプリントパターンを形成することにより構成することができる。この場合、アンテナ基板の表面に第1給電素子10、第2給電素子および第1アース素子12のプリントパターンを形成し、アンテナ基板の裏面に第2アース素子13のプリントパターンを第1アース素子12に対面するよう形成するのが好適とされる。このように絶縁性のアンテナ基板の表面と裏面とにプリントパターンにより、第1給電素子10と第2給電素子11と第1アース素子12と第2アース素子13とを形成する場合は、アンテナ基板の誘電率の影響を受けて波長が短縮される。波長が短縮されない場合は電気長と物理長とは等しいが、波長が短縮された場合は、電気長で表した各素子の長さは、波長短縮された分だけ物理長より短くなる。
図2(a)に示すように、第1給電素子10の直線部10aの下端からループ部10bをほぼ一周した下端までの長さがA、第1給電素子10の直線部10aの下端からループ部10bの上端までの長さがB、第1アース素子12の長さがC、第1給電素子10の下端から先端までの第2給電素子11の長さがD、第2アース素子13の長さがEと表記される。これらの寸法A〜Eの一例が図2(b)に示されており、長さAは主に700MHz、2500MHz、2800MHzの電気特性に影響を与え、700MHzの波長をλ1とした時に電気長Aは約0.3λ1、2500MHzの波長をλ8とした時に電気長Aは約1.06λ8、2800MHzの波長をλ3とした時に電気長Aは約1.18λ9とされる。長さBは主に800MHzの電気特性に影響を与え、800MHzの波長をλ2とした時に電気長Bは約0.22λ2とされる。長さCは主に1000MHzの電気特性に影響を与え、1000MHzの波長をλ3とした時に電気長Cは約0.16λ3とされる。長さDは主に1700MHz、2200MHzの電気特性に影響を与え、1700MHzの波長をλ6とした時に電気長Dは約0.17λ6、2200MHzの波長をλ7とした時に電気長Dは約0.23λ7とされる。長さEは主に1250MHz、1450MHzの電気特性に影響を与え、1250MHzの波長をλ4とした時に電気長Eは約0.12λ4、1450MHzの波長をλ5とした時に電気長Eは約0.14λ5とされる。
このように、図1に示す構成とされた第1実施例の多共振アンテナ1では、その各寸法を図2(b)に示す寸法とすることにより、700MHz〜2800MHzの周波数帯域において複数の帯域に共振するようになり、この広帯域の周波数帯域を利用する各種通信方式において動作するようになる。
図4に示す寸法では、長さAは主に420MHzの電気特性に影響を与え、420MHzの波長をλ10とした時に電気長Aは約0.3λ10とされる。長さBは主に500MHz、2445MHz、2580MHzの電気特性に影響を与え、500MHzの波長をλ11とした時に電気長Bは約0.22λ11、2445MHzの波長をλ17とした時に電気長Bは約1.06λ17、2580MHzの波長をλ18とした時に電気長Bは約1.18λ18とされる。長さCは主に614MHzの電気特性に影響を与え、614MHzの波長をλ12とした時に電気長Cは約0.16λ12とされる。長さDは主に1420MHz、1695MHzの電気特性に影響を与え、1420MHzの波長をλ15とした時に電気長Dは約0.17λ15、1695MHzの波長をλ16とした時に電気長Dは約0.23λ16とされる。長さEは主に820MHz、1180MHzの電気特性に影響を与え、820MHzの波長をλ13とした時に電気長Eは約0.12λ13、1180MHzの波長をλ14とした時に電気長Eは約0.14λ14とされる。
このように、図1に示す構成とされた第1実施例の多共振アンテナ1では、その各寸法を図4に示す寸法とすることにより、400MHz〜2600MHzの周波数帯域において複数の帯域に共振するようになり、この広帯域の周波数帯域を利用する各種通信方式において動作するようになる。
図6(b)を参照すると、700MHzにおいて約2.85のVSWRが得られ、周波数が上がっていくとVSWRが改善されて815MHzにおいて約1.78のVSWRが得られる。周波数がさらに上がり960MHzになるとさらにVSWRは改善され約1.34のVSWRが得られる。そして、1000MHzを超えると急激にVSWRが劣化して、1250MHzにおいてVSWRは回復するものの約7.53のVSWRしか得られないようになる。しかし、約1250MHzを超えるとVSWRは急激に改善されて、1575MHzにおいて約1.18の良好なVSWRが得られる。1575MHzを超えて約2700MHzの帯域においては3.00以下のVSWRが得られるようになり、1700MHzにおいて約2.22、2200MHzにおいて約1.14、2400MHzにおいて約1.47、2700MHzにおいて約1.53の良好なVSWRが得られる。
しかしながら、ループ部10bの内部の切欠を省略して、図6(a)に示す板状のループ部10b’の構成とすると、全体の共振が高い方へシフトして、700MHz〜2800MHzの周波数帯域において必要とされる複数の帯域に共振できないようになる。従って、700MHz〜2800MHzの周波数帯域において複数の帯域に共振させるには、図1に示すループ部10bの構成とするのが良い。また、400MHz〜2600MHzの周波数帯域において複数の帯域に共振させる場合も、図1に示すループ部10bの構成とするのが良い。
図10に示すように、第2実施例の多共振アンテナ2は、主に次の部品から構成されている。表面と裏面に図1に示す多共振アンテナ1と同様の各アンテナ素子が形成されているテフロン基板やガラスエポキシ基板等の高周波特性の良好な絶縁性のアンテナ基板25と、アンテナ基板25を内部に収納する樹脂製の上ケース21と下ケース22と、同軸プラグを構成する回転軸23cおよび六角ナット24cとから主に第2実施例の多共振アンテナ2は構成されている。
これらの図に示すように、下ケース22は樹脂製とされ両端が半円状の形状とされた細長い矩形状の本体部22aと、本体部22aの下面の一端部から下方へ延伸するよう形成された円筒状突出部22iとを備えている。本体部22aの下面には下側に膨らんだ膨出部22jが形成されており、本体部22aの外縁は上方へ向かうよう屈曲されて形成され、内部に収納空間が作られている。また、本体部22aの外縁を全周縁にわたり突出させる段部22hが形成されている。この本体部22aの収納空間において、ほぼ中央に細い幅の中央リブ22eが本体部22aの長軸方向に円筒状突出部22iの部位を除くほぼ全体にわたり形成され、中央リブ22eの両側に細い幅の2本の中間リブ22dが中央リブ22eとほぼ同じ長さで形成され、本体部22aの外縁より内側であって中間リブ22dの両外側に細い幅の2本の外側リブ22cがそれぞれ形成されている。外側リブ22cは所定長さ毎に区切られて形成されており、外側リブ22cの高さが一番高く、次いで、中間リブ22dの高さが高くされ、中央リブ22eの高さが一番低くされている。また、円筒状突出部22iには本体部22aを貫通する貫通孔22bが形成されており、円筒状突出部22iの中途の外径が一段絞られている。なお、貫通孔22bは上部の内径より下部の内径が絞られており、貫通孔22bの上部と下部との間には円から矩形状の断面形状とされた異形孔22kが形成されている。さらに、本体部22aの両側の中央にそれぞれ断面円形の小さな係合孔22fが形成されており、一方の外側リブ22cの両端に断面円形の細い凸部22gがそれぞれ形成されている。
これらの図に示すように、上ケース21は樹脂製とされ両端が半円状の形状とされた細長い矩形状の本体部21aを備えている。上ケース21の投影形状は下ケース22の投影形状と同様とされている。本体部21aの上面には上側に膨らんだ膨出部21gが形成されており、本体部21aの外縁は下方へ向かうよう屈曲されて形成され、内部に収納空間が作られている。また、本体部21aの外縁の内側が全周縁にわたり突出する突条部21fが形成されている。この本体部21aの収納空間において、ほぼ中央に細い幅の中央リブ21dが本体部21aの長軸方向にほぼ全体にわたり形成され、中央リブ21dの両側に細い幅の2本の中間リブ21cが中央リブ21dとほぼ同じ長さで形成され、本体部21aの外縁より内側であって中間リブ21cの両外側に細い幅の2本の外側リブ21bがそれぞれ形成されている。外側リブ21bは所定長さ毎に区切られて形成されており、外側リブ21bの高さが一番高く、次いで、中間リブ21cの高さが高くされ、中央リブ21dの高さが一番低くされている。また、本体部21aの内側の両端中央にそれぞれ断面円形の細い係合突起21eが形成されている。
これらの図に示すようにアンテナ基板25は細長い矩形状とされており、下部は半円状の形状とされ、上部の角は面取りがされている。アンテナ基板25の下部には断面が楕円形状の取付孔25aが形成されており、側部の一側の上下に位置決め溝25bがそれぞれ形成されている。図15(a)に示すように、アンテナ基板25の表面には第1給電素子30と、一端が第1給電素子30の下部に接続されているL字状の第2給電素子31と、第1給電素子30に近接してほぼ平行に配置された第1アース素子32のプリントパターンが形成されている。第1給電素子30は、アンテナ基板25のほぼ中央であって取付孔25aの直上から直線状に延伸された直線部30aと、直線部30aの上端に接続されアンテナ基板25の上端まで形成されている矩形ループ状のループ部30bとのプリントパターンから構成されている。第2給電素子31のプリントパターンは、直線部30aの下部に一端が接続されL字状に折曲されてアンテナ基板25の側部の他側に沿って形成されている。第1アース素子32のプリントパターンは、上端がループ部30bの下端とわずかな間隔で対向すると共に直線部30aに近接して平行に配置され、アンテナ基板25の側部の一側に沿ってアンテナ基板25の下部まで形成されている。また、アンテナ基板25の下部には半円状の縁部に沿って取付孔25aを囲むようにアース部32aのプリントパターンが形成されており、アース部32aの一端は第1アース素子32の下端と接続され、他端は第2給電素子31の下端と所定距離を持って対面している。なお、直線部30aにはジグザグ状のミアンダ部30cが設けられて、直線部30aの高さを低くできるようにされており、これにより、アンテナ基板25の高さを低くすることができる。第1給電素子30および第2給電素子31はユニポールアンテナを構成しており、第1給電素子30の下端とアース部32a間に給電部34が設けられ、第1給電素子30および第2給電素子31は給電部34から給電されている。
上ケース21は下ケース22に嵌合されることにより、アンテナケース20が構成されるが、アンテナケース20の収納空間には図15(a)(b)に示す構成のアンテナ基板25が収納される。収納する際にはアンテナ基板25を下ケース22内に載置し、アンテナ基板25の側部の一側に設けられている2つの位置決め溝25bを下ケース22の内側に形成されている2つの凸部22gに係合させる。これにより、下ケース22に対してアンテナ基板25が位置決めされて、アンテナ基板25の取付孔25aが下ケース22の貫通孔22bに臨むようになる。なお、下ケース22の円筒状突出部22iにはアンテナ基板25を載置する前に回転軸23cが組み付けられている。
なお、本発明にかかる多共振アンテナの各素子の電気長は、図2(b)および図4(b)に一例を示しており、実際の寸法は電気長から計算により求めることになる。ただし、周波数が低くなると素子間の容量成分が増加するため、素子長を若干長くしてインダクタンス成分を増加させることでインピーダンス調整を行う必要があることから、実際の寸法は、電気長から計算した計算値と若干異なるようになる。また、本発明の多共振アンテナの各素子の形状は、上記した形状に限定されることはないと共に、上記した各部の寸法以外の幅、長さ、間隔としてもよく、各素子の寸法を変化させることにより動作周波数帯域を700MHz〜2800MHzや400MHz〜2600MHz以外の周波数帯域としてもよい。
さらに、本発明にかかる多共振アンテナは、ユニポールアンテナとして動作しており、多共振アンテナを垂直に配置することにより垂直偏波受信用アンテナとすることができ、多共振アンテナを水平に配置することにより水平偏波受信用アンテナとすることができる。また、上記の説明では基板の表面および裏面にプリントパターンを形成することにより広帯域アンテナを構成したが、これに限ることはなく、例えば樹脂基板上に導体蒸着や板金貼付などにより多共振アンテナを構成するようにしてもよい。
Claims (4)
- 直線部と、該直線部の上端に設けられている矩形ループ状のループ部とから構成されて、グランド上に直立している第1給電素子と、
一端が前記直線部に接続されているL字状の第2給電素子と、
前記第1給電素子に近接してほぼ平行に配置され、一端が前記グランドに接続されて、他端が前記ループ部の下端と対向している第1アース素子と、
前記第1給電素子に近接してほぼ平行に配置されると共に、前記第1アース素子と対面して配置され、一端が前記グランドに接続されている第2アース素子と、
前記第1給電素子の下端と前記グランド間に設けられた給電部とを備え、
前記第1給電素子の前記直線部の下端から前記ループ部をほぼ一周した下端までの長さAが、700MHzの波長をλ 1 とした時に約0.3λ 1 とされ、前記第1給電素子の前記直線部の下端から前記ループ部の上端までの長さBが、800MHzの波長をλ 2 とした時に約0.22λ 2 とされ、前記第1アース素子の長さCが、1000MHzの波長をλ 3 とした時に約0.16λ 3 とされ、前記第1給電素子の下端から前記第2給電素子の先端までの長さDが、1700MHzの波長をλ 6 とした時に約0.17λ 6 とされ、前記第2アース素子の長さEが、1250MHzの波長をλ 4 とした時に約0.12λ 4 とされて、700MHz〜2800MHzの周波数帯域において複数の帯域に共振することを特徴とする多共振アンテナ。 - 直線部と、該直線部の上端に設けられている矩形ループ状のループ部とから構成されて、グランド上に直立している第1給電素子と、
一端が前記直線部に接続されているL字状の第2給電素子と、
前記第1給電素子に近接してほぼ平行に配置され、一端が前記グランドに接続されて、他端が前記ループ部の下端と対向している第1アース素子と、
前記第1給電素子に近接してほぼ平行に配置されると共に、前記第1アース素子と対面して配置され、一端が前記グランドに接続されている第2アース素子と、
前記第1給電素子の下端と前記グランド間に設けられた給電部とを備え、
前記第1給電素子の前記直線部の下端から前記ループ部をほぼ一周した下端までの長さAが、420MHzの波長をλ 10 とした時に約0.3λ 10 とされ、前記第1給電素子の前記直線部の下端から前記ループ部の上端までの長さBが、500MHzの波長をλ 11 とした時に約0.22λ 11 とされ、前記第1アース素子の長さCが、614MHzの波長をλ 12 とした時に約0.16λ 12 とされ、前記第1給電素子の下端から前記第2給電素子の先端までの長さDが、1420MHzの波長をλ 15 とした時に約0.17λ 15 とされ、前記第2アース素子の長さEが、820MHzの波長をλ 13 とした時に約0.12λ 13 とされて、400MHz〜2600MHzの周波数帯域において複数の帯域に共振することを特徴とする多共振アンテナ。 - 絶縁性のアンテナ基板の一面に、前記第1給電素子と前記第2給電素子と前記第1アース素子とのプリントパターンが形成され、前記アンテナ基板の他面に前記第2アース素子のプリントパターンが形成されており、
前記アンテナ基板の一端部に形成された前記グランドとされるアース部のプリントパターンに、前記第1アース素子と前記第2アース素子の一端が接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の多共振アンテナ。 - 前記アンテナ基板が、樹脂製のアンテナケース内に収納されており、
先端に同軸プラグを備える同軸構造とされた取付軸が、前記アンテナケースの下面から突出するよう設けられており、
前記同軸プラグが前記取付軸に対して回転可能に固着されることにより、前記同軸プラグに対して前記アンテナケースが回転可能に支持されていることを特徴とする請求項3に記載の広帯域アンテナ。
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