JP6149122B2 - タバコ材料の処理 - Google Patents

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Description

本発明はタバコ材料の処理方法に関する。
タバコ材料から特定の成分の含量を低減させた後に、そのタバコ材料を紙巻きタバコ等の喫煙品に配合することが望ましい場合がある。
第1の態様によれば、タバコ材料をイオン性液体で処理することを含む方法が提供される。
ある実施態様では、タバコ材料をイオン性液体で処理することによって、タバコ材料中の1種以上の化学物質の含量を低減させる。
更なる実施形態では、前記1種以上の化学物質は、タンパク質および/またはポリフェノールを含む。
ある実施態様では、本発明の方法によって、タバコ材料中のニコチン量が実質的に低減することはない。
ある実施態様では、用いるイオン性液体は深共晶溶媒(Deep Eutectic Solvent)である。深共晶溶媒は、例えば、塩化コリンと様々な水素供与体を含んでいてもよく、および/またはこれらを用いて形成されていてもよい。
ある実施態様では、イオン性液体のタバコ材料に対する重量比は少なくとも1:1である。
ある実施態様では、少なくとも1時間かけてタバコ材料をイオン性液体で処理する。
ある実施態様では、周囲温度より高い温度にてタバコ材料をイオン性液体で処理する。
ある実施態様では、イオン性液体で処理したタバコ材料を、次にそのイオン性液体から分離する。この分離では、例えば、濾過および/または遠心分離を用いてもよい。
ある実施態様では、イオン性液体で処理した後、タバコ材料を水で洗浄する。
タバコ材料をイオン性液体で処理することに加え、本発明の方法は、タバコ材料を1種以上の非イオン性液体、例えば、水で処理すること、タバコ材料を1種以上の酵素で処理すること、タバコ材料を1種以上の界面活性剤で処理すること、および/または、タバコ材料を1種以上の吸着剤で処理することを更に含んでもよい。
第2の態様によれば、第1の側面に係る方法で処理されたタバコ材料またはその派生物が提供される。
第3の態様によれば、第2の側面に係るタバコ材料またはその派生物を含む喫煙品が提供される。
第4の態様によれば、タバコ材料からタンパク質および/またはポリフェノールを除去するためのイオン性液体の使用が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施態様について説明するが、これらは単なる例示に過ぎない。
図1は、2種類のイオン性液体、即ち、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム([BMIM]Cl)及びギ酸3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミニウム([DMAPA]FA)がいかにして合成し得るかを示す。 図2は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた実験で検出及び測定された4種類の参照ポリフェノール化合物、即ち、スコポレチン、コーヒー酸、クロロゲン酸及びルチンの化学構造を示す。 図3は、4種類の参照ポリフェノール化合物を各々100ppmの濃度で含有する試料について得られたHPLCスペクトルを示す。 図4は、実験試料の1種から得られたHPLCスペクトルを示し、4種類のポリフェノール化合物に起因するピークが表示されている。 図5は、本発明の実施態様に係る処理済みタバコ材料を含む喫煙品の概略側面図である。
イオン性液体でタバコ材料を処理することを含む方法を提供する。
従来、タンパク質やポリフェノールの除去を試みる方法が提案されているが、これらの方法は複雑で費用が掛かる傾向にある。
タバコ材料を適切に改変する目的のために、イオン性液体を用いてタバコ材料を処理してもよい。ある実施態様では、イオン性液体を用いたタバコ材料の処理によって1種以上の化学物質が除去される。特にある実施態様では、イオン性液体を用いたタバコ材料の処理によって、タバコ材料中で望ましくない場合がある1種以上の化学物質が除去される。ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理によって、1種以上のタンパク質および/またはポリフェノールが除去される。
イオン性液体によるタバコ材料の処理は、如何なる適切なタバコ材料に応用してもよい。タバコ材料は、タバコ属の任意の適切なタバコ植物の如何なる適切な部分に由来してもよい。タバコ材料は適切に処理してもよく、任意の適切な保存方法で保存した後にイオン性液体で処理してもよい。しかし、ある実施態様では、イオン性液体で処理するタバコ材料は既に保存されており、保存切断片および/または保存全葉タバコであってもよい。イオン性液体で処理することが可能なタバコの例としては、バージニアやバーレー、メリーランド、オリエンタル、ルスティカが挙げられるが、これらに限定されない。
イオン性液体によるタバコ材料の処理によって、タバコ材料から1種以上の化学物質が除去され得る。ある実施態様では、タバコ材料から除去される1種以上の化学物質はタンパク質および/またはポリフェノールである。
イオン性液体によるタバコ材料の処理には、タバコ材料をイオン性液体で処理する工程が少なくとも1つ含まれるが、タバコ材料をイオン性液体で処理する工程が2つ以上含まれていてもよい。タバコ材料をイオン性液体で処理する工程が2つ以上ある場合には、各工程で用いるイオン性液体は同一であっても異なっていてもよく、用いる条件も同一であっても異なっていてもよい。
前記処理によって除去し得るポリフェノールとしては、クロロゲン酸やコーヒー酸、ルチン、スコポレチン、ケルセチンが挙げられるが、これらに限定されない。様々なポリフェノールが可溶化すると思われる。
ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理、特に、イオン性液体でタバコ材料を処理する工程によって、様々な理由から除去したくない化学物質の少なくとも一部の除去が抑制されるか、または最小限に抑えられる。理由の一つとしては、例えば、このような化学物質が、処理済みタバコ材料を含む喫煙品を吸うことに対し積極的に貢献することが挙げられる。
ニコチンはこのような物質の一例として挙げられ、従って、ある実施態様では、ニコチン分子を除去することは望ましくない。ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理によってタバコ材料から除去されるニコチンの量は、50%、40%、30%、20%、10%または5%未満であり、更なる実施態様では、この処理によってタバコ材料から除去されるニコチンの量は、2%、1%、0.5%または0.1%未満であり、更なる実施態様では、この処理によってタバコ材料からニコチンが除去されることは基本的にない。
イオン性液体によるタバコ材料の処理によってタバコ材料から1種以上の化学物質が除去される実施態様では、処理後に1種以上の化学物質をタバコ材料に再導入してもよく、1種以上の化学物質は除去したくない物質(例えば、ニコチン)であってもよい。
タバコ材料から1種以上の化学物質を選択的に除去するにはイオン性液体を用いることが有利となり得る。その理由としては、イオン性液体が、ある物質に対しては良溶媒であるが、ある物質に対しては貧溶媒であることが多いためである。従って、タバコ材料中で除去したい化学物質(例えば、タンパク質および/またはポリフェノール)に対しては良溶媒であると同時に、タバコ材料中で除去したくない化学物質(例えば、ニコチン)に対しては貧溶媒であるイオン性液体を選択すればよい。
イオン性液体とは、液相中で陰イオンと陽イオンから成るイオン性化学物質である。イオン性液体によるタバコ材料の処理では、任意の適切なイオン性液体を用いてもよく、任意の適切なイオン性液体の混合物を用いてもよく、任意の適切な数のイオン性液体を用いてもよい。
前記処理で用いるイオン性液体は、如何なる適切な特性を有していてもよい。例えば、ある実施態様では、イオン性液体の融点は周囲温度より低くてもよい。更なる実施態様では、イオン性液体は、ある状況下で有益となり得る特性が備わるようになっていてもよく、および/またはそのような特性が備わるような添加剤を含んでいてもよい。ある実施態様では、イオン性液体は、その融点および/または溶媒和特性を改変するような1種以上の溶質を含んでいてもよい。ある実施態様では、イオン性液体のpHを調整してその溶媒和特性を改変し、例えば、タンパク質および/またはポリフェノール化合物に対してより良い溶媒になるようにしてもよい。
前記処理に用いるイオン性液体は、有機イオンおよび/または無機イオンを含んでいてもよい。更に、ある実施態様では、イオン性液体は、改変し得る化学官能性を有するイオンを含んでいて、イオン性液体の1種以上の特性を変えるようになっていてもよく、ある実施態様では、イオン性液体の1種以上の特性を予測可能に変えるようになっていてもよい。イオン性液体の陽イオンおよび/または陰イオンは、例えば、1種以上のアルキル置換基および/またはアリール置換基を含んでいてもよく、この1種以上の置換基は長さを変えるか、および/または機能化させてイオン性液体の溶媒和特性を改変するようにしてもよい。
ある実施態様では、前記処理に用いるイオン性液体は深共晶溶媒(DES)、即ち、共晶組成のイオン性溶媒であり、この溶媒は2種以上の成分を含んでいるが、その融点は、別々に存在している時よりも混合している時の方が低い。様々な理由から、前記処理に用いる1種以上のイオン性液体はDESであることが有利となり得る。第1には、例えば、イオン性液体は融点が高い場合が多いが、DESは共晶であるため、他のイオン性液体よりも融点が低い傾向にあり、有用である可能性が高い。第2には、例えば、DESは他のイオン性液体と比べて合成が容易であり、安価で製造できることが多い。
イオン性液体によるタバコ材料の処理では、任意の適切なDESを用いてもよく、任意の適切なDESの混合物を用いてもよく、任意の適切な数のDESを用いてもよい。適切なDESは例えば、塩を含み、その陰イオンおよび/または陽イオンと複合体を形成することが可能な種が塩と混合されていて、融点が低くなるようになっていてもよい。前記処理に用いる1種以上のDESは、例えば、タイプI(金属塩&有機塩)、タイプII(金属塩水和物&有機塩)、タイプIII(有機塩&水素結合供与体)および/またはタイプIV((金属塩または金属塩水和物)&水素結合供与体)であってもよい。
ある実施態様では、前記処理に用いるDESは、塩化コリンまたはその任意の適切な誘導体を含んでいるが、その理由としては、塩化コリンは毒性がなく、安価であり且つ生分解性を示すことに加え、多くの化学種と混合させて様々なDESを形成することができ、また、そのDESの多くはポリフェノール化合物を効果的に溶解することが分かっているためである。適切な塩化コリン含有DESの例としては、酢酸:塩化コリン(例えば、2:1の比率)や乳酸:塩化コリン(例えば、2:1の比率)、尿素:塩化コリン(例えば、2:1の比率)が挙げられる。
上で例示したDESイオン性液体の他に、適切な非DESイオン性液体としては、リン酸塩やリン酸水素塩、リン酸二水素塩、ギ酸3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミニウム([DMAPA]FA)等のジメチルアミノプロピルアミン([DMAPA])塩、塩化1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム([BMIM]Cl)等の1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム([BMIM])塩が挙げられるが、これらに限定されない。
上で具体的に挙げたイオン性液体と同様の結果をもたらすことが予想される類似のイオン性液体としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMIM)や関連する1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム(PMIM)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMIM)等の様々なイミダゾリウム陽イオンを有するものが挙げられる。適切な陰イオンとしては、全てのハロゲン化物(特にCl及びBr)や酢酸塩、カルボン酸塩、四フッ化ホウ酸塩(BF)、六フッ化リン酸塩(PF)が挙げられる。
同様の結果をもたらすことが予想される[DMAPA]FAの類似物としては、3−(ジメチルアミノ)−1−プロピルアミン(DMAPA)陽イオンが同様のジアミンまたはトリアミンで置換されたものが挙げられる。ギ酸(FA)に代わる陰イオンとして、例えば、酢酸やトリフルオロ酢酸を用いることもできよう。
前記処理に用いるイオン性液体は、任意の適切な合成方法によって合成してもよい。図1は、例えば、求核アミンと求電子クロロアルカンとの単純S2反応によって[BMIM]Clが生成し得る過程と、例えば、酸性カルボキシル基から塩基性アミノ基へのプロトンの移動によって[DMAPA]FAが生成し得る過程を示す。より具体的には、図1は、1−メチルイミダゾールを1−クロロブタンと90℃で72時間反応させて[BMIM]Clを合成し得る過程と、ジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)をギ酸(FA)と0℃で24時間反応させて「DMAPA]FAを合成し得る過程を示す。
ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理によって、1種以上のポリフェノールの抽出量が、未処理のタバコ材料のポリフェノール含量に対し、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%となる。
ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理によって、1種以上のポリフェノールの含量が、未処理のタバコ材料のポリフェノール含量に対し、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%低減する。
あるいは、またはそれに加えて、イオン性液体によるタバコ材料の処理によって、タンパク質含量が、未処理のタバコ材料のタンパク質含量に対し、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%低減する。
ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理によって、タンパク質の抽出量が、未処理のタバコ材料のタンパク質含量に対し、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%となる。
タバコ材料をイオン性液体で処理する場合、イオン性液体は任意の適切な重量を有してもよく、タバコ材料も任意の適切な重量を有してもよい。イオン性液体のタバコ材料に対する重量比は任意の適切な値であってもよい。ある実施態様では、タバコ材料のイオン性液体に対する比率に応じて、タバコ材料からタンパク質および/またはポリフェノールが除去される。ある実施態様では、ニコチン等の望ましい物質(除去したくない物質)の除去が最小限に抑えられるように、イオン性液体のタバコ材料に対する比率を選択する。ある実施態様では、望ましい物質の除去を可能な限り抑えつつ、タンパク質および/またはポリフェノールを除去するような比率を選択する。この比率は、イオン性液体やタバコ材料の種類に応じて変わり得る。
多くの実施態様では、イオン性液体の重量がタバコ材料の重量以上であると、大量のタンパク質および/またはポリフェノールが除去される可能性が高い。如何なる特定の理論にも制約されないが、この理由としては、イオン性液体の重量が多い程、その体積も大きくなり、イオン性液体の体積が大きくなると、より多くのタバコ材料がイオン性液体と接触するためであると推定される。更に、タバコ材料由来の化学物質がイオン性液体に溶解すると、その物質の濃度が低くなるため、溶解時の系のエントロピーがより大きくなる。従って、ある実施態様では、イオン性液体の重量はタバコ材料の重量以上であり、ある実施態様では、イオン性液体のタバコ材料に対する重量比は、少なくともまたは約1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1またはこれより高い任意の比率としてもよく、必要に応じて、最大比率を約3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1または35:1とする。
タバコ材料をイオン性液体で処理する場合、この処理を任意の適切な温度で行なってもよく、処理時の温度は一定であっても可変であってもよい。ある実施態様では、タバコ材料からタンパク質および/またはポリフェノールが除去される温度で処理工程を行う。ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理は、1種以上のポリフェノールの含量が、未処理のタバコ材料のポリフェノール含量に対し、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%低減するような温度で行う。あるいは、またはそれに加えて、イオン性液体によるタバコ材料の処理は、1種以上のタンパク質の含量が、未処理のタバコ材料のタンパク質含量に対し、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%低減するような温度で行う。ある実施態様では、ニコチン等の望ましい物質(除去したくない物質)の除去が最小限に抑えられるように、イオン性液体でタバコ材料を処理する温度を選択する。ある実施態様では、望ましい物質の除去を可能な限り抑えつつ、タンパク質および/またはポリフェノールを除去するような温度を選択する。この温度は、イオン性液体やタバコ材料の種類に応じて変わり得る。
ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理を高温、即ち、周囲温度より高い温度で行うと、大量のタンパク質および/またはポリフェノールが除去される可能性が高い。このような実施態様では、タバコ材料またはイオン性液体を加熱してもよく、その両方を加熱してもよい。この理由としては、高温で処理することによって、第1には、熱力学的に良好な溶解が促進され、物質が正のエンタルピー変化を伴って溶解する可能性が高いためであり、第2には、動力学的に不利な溶解反応が生じやすくなり、この反応が熱力学的平衡に近づくためである。従って、ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理を周囲温度よりも高い温度で行い、ある実施態様では、その温度は、少なくともまたは約25℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃またはこれより高い任意の適切な温度としてもよく、必要に応じて、最高温度を70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃または130℃とする。また、必要に応じて、任意の適切な手段、例えば、周囲圧力の調整および/または任意の適切な化学物質の添加によってイオン性液体の沸点を変えてもよい。
タバコ材料をイオン性液体で処理する場合、タバコ材料を任意の適切な時間の長さで処理してもよい。ある実施態様では、処理する時間の長さに応じて、タバコ材料からタンパク質および/またはポリフェノールが除去される。ある実施態様では、タバコ材料をイオン性液体で処理する時間の長さは、1種以上のポリフェノールの含量が、未処理のタバコ材料のポリフェノール含量に対し、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%低減するように設定する。あるいは、またはそれに加えて、タバコ材料をイオン性液体で処理する時間の長さは、1種以上のタンパク質の含量が、未処理のタバコ材料のタンパク質含量に対し、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または少なくとも95%低減するように設定する。ある実施態様では、ニコチン等の望ましい物質(除去したくない物質)の除去が最小限に抑えられるように、タバコ材料をイオン性液体で処理する時間を選択する。ある実施態様では、望ましい物質の除去を可能な限り抑えつつ、タンパク質および/またはポリフェノールを除去するような処理時間を選択する。この処理時間は、イオン性液体やタバコ材料の種類に応じて変わり得る。
しかし、殆どの場合は、少なくとも1時間かけてタバコ材料をイオン性液体で処理すると、大量のタンパク質および/またはポリフェノールが除去される可能性が高い。如何なる特定の理論にも制約されないが、この理由としては、タバコ材料からの物質の除去はタバコ材料内で始まるため、反応時間を延長し、反応を熱力学的平衡に近づけることによって、イオン性液体に溶解する物質の濃度のみが上昇するためであると推定される。ある実施態様では、イオン性液体によるタバコ材料の処理は、少なくともまたは約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、少なくともまたは約10時間、またはこれより長い任意の適切な時間をかけて行う。必要に応じて、処理時間を最長で約3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間または12時間としてもよい。
タバコ材料をイオン性液体で処理する際には、得られた混合物を任意の適切な手段で適切にかき混ぜてもよい。例えば、任意の適切な装置を用い、適切に撹拌、振盪および/または揺動させて混合物をかき混ぜてもよい。小規模の作業の場合、標準的なガラスビーカー内で反応を行うことができ、磁気撹拌機またはオーバーヘッド撹拌機を用いて混合物をかき混ぜ、必要に応じてホットプレートで温度を制御する。
タバコ材料をイオン性液体で処理した後、残留タバコ材料をイオン性液体から分離してもよい。この分離では、任意の適切な濾過方法を用いてもよく、濾材の細孔径を任意の適切な値としてもよく、濾過工程を任意の適切な回数行ってもよい。例えば、タバコ材料の濾過は、ナノ濾過、精密濾過および/または限外濾過で行ってもよい。あるいは、またはそれに加えて、任意の適切な遠心分離装置を用い、任意の適切な角速度で遠心分離工程を任意の適切な回数行ってタバコ材料をイオン性液体から分離してもよい。
濾過および/または遠心分離によってイオン性液体から一旦分離すれば、タバコ材料を任意の適切な液体(例えば、水)で任意の適切な回数洗浄し、残留イオン性液体を除去してもよい。
タバコ材料をイオン性液体で処理することに加え、タバコ材料処理方法は、更なる処理工程を含んでいてもよい。更なる適切な処理工程としては、1種以上の適切な非イオン性液体(例えば、水)でタバコ材料を処理することや、ポリフェノールやタンパク質の改変を触媒する1種以上の酵素(例えば、フェノール酸化酵素やタンパク質分解酵素)でタバコ材料を処理すること、任意の適切な溶媒中、1種以上の適切な界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))でタバコ材料を処理すること、必要に応じて任意の適切な溶媒中、1種以上の適切な吸着材(例えば、ポリビニルポリピロリドン(PVPP)や水酸燐灰石、ベントナイト、活性炭、アタパルジャイト)でタバコ材料を処理することが挙げられるが、これらに限定されない。
あるいは、またはそれに加えて、イオン性液体で処理したタバコ材料を、引き続き更なる抽出プロセスに付してもよい。
本発明の方法に係る上述の処理工程のいずれかを行った後、タバコ材料を乾燥させ、更に適切に改変した後に喫煙品に配合してもよい。例えば、風味材料(現地の規制により許可される場合)等の特定の化学物質をタバコ材料に添加してもよく、タバコ材料を切断および/または細断した後に、任意の適切な配合方法によって喫煙品に配合してもよい。
本明細書で用いる「喫煙品」という用語は、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代替物を元にしているかどうかに関わらず、紙巻きタバコや葉巻、シガリロ等の喫煙可能な製品を包含し、更には加熱・非燃焼方式(heat-not-burn)製品も包含する。喫煙品には喫煙者が吸い込む気体流用のフィルタを設けてもよい。
本明細書で用いる「香料」や「風味材料」という用語は、現地の規制によって許可される場合において、成人消費者向けの製品に所望の味や芳香をつけるのに用いることが可能な材料を意味する。このような香料や風味材料としては、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、オオガシワ(Japanese white bark magnolia leaf)、カモミール、コロハ、クローブ、メンソール、ハッカ、アニス果実、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、ピーチ、アップル、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウィスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエキス、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイランノキ、セージ、フェンネル、ピメント、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、またはハッカ属の任意の種由来のミント油)、香料増強剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤または感覚受容体部位刺激剤、砂糖および/または砂糖代替品(例えば、スクラロースやアセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラメート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、マンニトール)、炭やクロロフィル、ミネラル類、植物類、口臭防止剤等の他の添加剤が挙げられる。これらは、模倣成分、合成成分または天然成分であってもよく、その混合物であってもよい。これらは、任意の好適な形態、例えば、油、液体または粉体であってもよい。
例示的実施態様では、保存全葉タバコの試料をイオン性液体[DMAPA]FAに60℃の温度で添加し、タバコ材料のイオン性液体に対する重量比を1:10とする。次いで、イオン性液体とタバコ材料の混合物を1時間放置させ、その後、タバコ材料をイオン性液体から濾過し、乾燥及び洗浄を行い、任意の適切な方法で改変した後、喫煙品に配合する。
図5に示す(限定ではなく例示の目的のために示す)ように、本発明の例示的実施態様に係る喫煙品1は、フィルタ2と円柱棒状の喫煙材3(例えば、本明細書に記載の本発明によって処理されたタバコ)とを含み、棒状喫煙材3はその一端がフィルタ2の端部に当接するようにフィルタ2と一直線になっている。フィルタ2はプラグラッパー(図示せず)に包まれており、棒状喫煙材3は、従来通りにチッピング紙(図示せず)によってフィルタ2と連結されている。
ある実施態様では、本明細書に記載の方法は、タバコ材料を適切に改変するための更なる工程を1つ以上含んでもよい。例えば、タバコ材料を改変して、タバコ材料に望ましい1種以上の特性を付与してもよい。例えば、処理済みのタバコ材料を紙巻きタバコ等の喫煙品に配合する場合、燃焼時に発生する風味を改変するためにタバコ材料を処理してもよく、および/または1種以上の化学物質を除去するためにタバコ材料を処理してもよい。
実施例
一連の実験を行い、イオン性液体によるタバコ材料の処理がタバコ材料のタンパク質含量、ポリフェノール含量及びニコチン含量に対してどのように影響を及ぼし得るか検討した。開示された実験研究によって本発明の範囲が限定されるものではない。
2種類のイオン性液体、即ち、DESイオン性液体及び非DESイオン性液体について検討した。
DESイオン性液体
3種類の深共晶溶媒(DES)について試験し、これらがタバコ材料のタンパク質含量、ポリフェノール含量及びニコチン含量に対してどのように影響を及ぼすか確認した。3種類の試験したDESは次の通りである。酢酸:塩化コリン(比率2:1、AA/CC)、乳酸:塩化コリン(比率2:1、LA/CC)及び尿素:塩化コリン(比率2:1、U/CC)。
実験
計8種類の実験を行った。各実験では、タバコ材料を3種類のDESの内の1種で処理し、濾過を行った後、洗浄した。この手順に従って3種類の試料、即ち、残留タバコ材料、イオン性液体抽出物及び水性洗浄抽出物を用意し、タバコ材料のタンパク質含量、ポリフェノール含量及びニコチン含量の変化について確認するための解析を行った。
各実験では、5種類の変数、即ち、DES溶媒(AA/CC、LA/CCまたはU/CC)、タバコの種類(全葉または切断片)、タバコ材料/イオン性溶媒比率(3:10または1:10)及び温度(60℃または120℃)を様々に組み合わせて用いた。各実験で用いた条件を下の表1に詳述する。
Figure 0006149122
解析:ポリフェノール含量
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、8種類の実験の各々でタバコ材料から除去されたポリフェノール化合物の量の指標を得た。
この指標を得るため、得られた3種類の試料の内の2種、即ち、イオン性液体抽出物及び水性洗浄抽出物に対してHPLCを行い、4種類の参照ポリフェノール化合物、即ち、スコポレチン、コーヒー酸、クロロゲン酸及びルチンの濃度を測定した。
この4種類の参照ポリフェノール化合物の化学構造を図2に示す。
4種類の参照ポリフェノール化合物の濃度を測定するのに用いることができたのはHPLCのみであったため、この解析方法を用いてこれらの濃度を定量した。各ポリフェノール化合物はHPLCスペクトルの特定の位置にピークを示すが、重要なのは、このピーク位置が4種類の参照ポリフェノール化合物に対してのみ既知であることであった。従って、HPLCによって4種類の参照ポリフェノールの濃度を求めることができたのは、得られたスペクトル中のピークを、既知濃度の4種類の参照ポリフェノール化合物を含む試料のスペクトル中のピークと比較した場合のみであった。
4種類の参照ポリフェノールを各々100ppmの濃度で含有する試料について得られたHPLCスペクトルを図3に示す。スペクトル中の各ピークの相対位置と積分値を用いて、実験試料中の4種類の参照ポリフェノールを定性的且つ定量的に測定した。
各実験において、2種類の抽出物、即ち、イオン性液体抽出物及び水性洗浄抽出物中で測定した4種類の参照ポリフェノールの濃度を下の表2に詳述する。
Figure 0006149122
実験試料の1種、即ち、実験7から得られたHPLCスペクトルの一例を図4に示す。この図で示すように、4種類の参照ポリフェノール化合物に帰属するピークの他に幾つかのピークが検出されたが、その内の一部はタバコ材料から除去された他のポリフェノール化合物である可能性が高い。
4種類の参照ポリフェノール化合物の濃度をHPLCで測定したら、これを質量に換算し、その後、元のタバコ材料の質量に対する割合を乾燥重量基準で算出した(%DWB)。
各抽出物中で測定される4種類の参照ポリフェノールの総量は、イオン性液体によってタバコ材料から除去された4種類の参照ポリフェノールの総量の指標と見なすことができよう。更には、タバコ材料から除去された4種類の参照ポリフェノールの総量は、イオン性液体によってタバコ材料から除去された全種類のポリフェノールの量の指標と見なすことができよう。従って、この4種類のポリフェノールは参照化合物としての役割を果たす。
各実験においてイオン性液体抽出物及び水性洗浄抽出物中で測定された4種類のポリフェノール化合物の量(%DWB)を下の表3に詳述する。
Figure 0006149122
表3に示す結果から、DESでタバコ材料を処理することによって、実際にポリフェノール化合物が除去されることが分かる。
更に、この結果から、試験に用いた変数がタバコ材料からのポリフェノール化合物の除去に対してどのように影響を及ぼすかが分かる。この結果から導き出され得る結論を以下に記載するが、これらに限定されない。溶媒LA/CCがタバコ材料のポリフェノール含量を低減させるのに最も効果的なDESであると思われる。前記方法では、全葉タバコよりも切断片タバコのポリフェノール含量が低減すると思われる。比率が高い(1:10)と、比率が低い場合(3:10)に比べてタバコ材料のポリフェノール含量が低減すると思われる。温度が高い(120℃)と、温度が低い場合(60℃)に比べてタバコ材料のポリフェノール含量が低減すると思われる。反応時間が長い(2時間)と、反応時間が短い場合(1時間)に比べてタバコ材料のポリフェノール含量が低減すると思われる。
解析:タンパク質含量
得られた試料の全窒素含量を測定し、簡易換算手順を用いて、全葉タバコ材料から除去された全タンパク質量の指標を得た。
タンパク質はアミノ酸から成る分子であり、その各々は一般構造中に1個の窒素原子を含んでいるが、R基に1個以上の窒素原子を含んでいる場合もある。従って、試料の全窒素含量を測定し、適切な換算係数(ジョーンズ係数として知られる)を用いて全窒素含量を全タンパク質含量に換算して全タンパク質含量を見積もることができよう。
実験ではジョーンズ係数として6.25を用いたが、この値は、タンパク質の種類を考慮せずにタンパク質試料に用いられる標準値である。しかし、この換算係数を単独で用いた場合、各試料中のタンパク質含量をかなり過剰に見積もることになろうが、それは、各試料にはタンパク質の他に多くの窒素含有化合物が存在するためである。最も重要なのは、試験したDESイオン性液体毎に窒素原子が含まれていることである。従って、タンパク質含量のより正確な推定値を得るため、各試料中のDESに起因する窒素含量を算出して換算に組み込んだ。
抽出物中で測定される全タンパク質量は、イオン性液体によってタバコ材料から除去されるタンパク質量の指標と見なすことができよう。2種類の抽出物及び残留タバコ材料中で測定されるタンパク質量(%DWB)を下の表4に詳述する。
Figure 0006149122
表4に示す結果から、DESでタバコ材料を処理することによって、実際にタンパク質が除去されることが分かる。
更に、この結果から、試験に用いた変数の各々がタバコ材料からのタンパク質の除去に対してどのように影響を及ぼすかが分かる。この結果から導き出され得る結論を以下に記載するが、これらに限定されない。溶媒AA/CCがタバコ材料のタンパク質含量を低減させるのに最も効果的なDESであると思われる。比率が高い(1:10)と、比率が低い場合(3:10)に比べてタバコ材料のタンパク質含量が低減すると思われる。温度が高い(120℃)と、温度が低い場合(60℃)に比べてタバコ材料のタンパク質含量が低減すると思われる。反応時間が長い(2時間)と、反応時間が短い場合(1時間)に比べてタバコ材料のタンパク質含量が低減すると思われる。
解析:ニコチン含量
HPLCを用い、全葉タバコ材料から除去されたニコチン量の指標を得た。
4種類の参照ポリフェノール化合物と同様に、ニコチン分子はHPLCによって得られるHPLCスペクトルの既知の位置にピークを示すため、各解析試料のニコチン量は、得られたHPLCスペクトルのピークサイズを、既知濃度のニコチンを含有する試料のスペクトルにおけるピークサイズと比較して測定することができよう。
抽出物中で測定されたニコチンの総量は、イオン性液体によってタバコ材料から除去されたニコチン量の指標と見なすことができよう。
各実験において2種類の抽出物、即ち、イオン性液体抽出物及び水性洗浄抽出物中で測定されたニコチン量(%DWB)を下の表5に詳述する。
Figure 0006149122
表5に示す結果から、DESでタバコ材料を処理することによってかなりの量のニコチンが除去されることが分かるが、ある条件下ではタバコ材料から除去されるニコチンの量は少なくなることも分かる。
この結果から、DESイオン性液体による処理を高温でおよび/または長時間かけて行うと、タバコ材料から大量のニコチンが除去されることが分かる。
非DESイオン性液体
2種類の非DESイオン性液体、即ち、[DMAPA]FA及び[BMIM]Clについて試験を行い、これらがタバコ材料のタンパク質含量、ポリフェノール含量及びニコチン含量に対してどのように影響を及ぼすか確認した。
実験
2種類の実験を行った。各実験では、2種類のイオン性液体の内の1種でタバコ材料を処理し、濾過した後、洗浄した。この手順に従って3種類の試料、即ち、残留タバコ材料、イオン性液体抽出物及び水性洗浄抽出物を用意し、タバコ材料のタンパク質含量、ポリフェノール含量及びニコチン含量の変化について確認するための解析を行った。
DESイオン性液体を用いた実験によって、様々な変数がタバコ材料からのタンパク質、ポリフェノール及びニコチンの抽出に影響を及ぼし得ることが既に分かっていたため、非DESイオン性液体に関する実験では、様々な変数を組み合わせることはしなかった。その代わり、本実験の目的は、2種類の非DESイオン性液体がタンパク質、ポリフェノール及びニコチンの除去に対して如何に効果的であるかを検討することであった。
各実験で用いた条件を下の表6に詳述する。
Figure 0006149122
解析:ポリフェノール含量
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、2種類の実験の各々でタバコ材料から除去されたポリフェノール化合物の量の指標を得た。
HPLCを用い、イオン性液体抽出物中の4種類の参照ポリフェノール化合物、即ち、スコポレチン、コーヒー酸、クロロゲン酸及びルチンの濃度を測定した。
抽出物中で測定される4種類の参照ポリフェノールの総量は、イオン性液体によってタバコ材料から除去された4種類の参照ポリフェノールの総量の指標と見なすことができよう。更には、タバコ材料から除去された4種類の参照ポリフェノールの総量は、イオン性液体によってタバコ材料から除去された全種類のポリフェノールの量の指標と見なすことができよう。
各実験におけるイオン性液体中の4種類のポリフェノール化合物の量(%DWB)及びイオン性液体中に存在する4種類のポリフェノールの内の2種の濃度を下の表7に詳述する。
Figure 0006149122
表7に示す結果から、試験した2種類の非DESイオン性液体のいずれでタバコ材料を処理した場合も、タバコ材料のポリフェノール含量はDESイオン性液体の場合と同程度には低減しないことが分かる。
両方の実験において、4種類のポリフェノール化合物の内、クロロゲン酸とルチンのイオン性液体抽出物中の濃度が最も高かったことも注目に値するが、これによって、この2種のポリフェノールがタバコ材料中で最も豊富であることが示唆されよう。また、この結果から、2種類の実験の各々で測定されたクロロゲン酸とルチンの濃度が非常に異なっていたことも分かり、[DMAPA]FAの場合には測定されたクロロゲン酸の濃度はルチンよりも高かったが、[BMIM]Clの場合にはルチンよりも低かった。
解析:タンパク質含量
タバコ材料のタンパク質含量の低減については、DESイオン性液体の場合と同様に確認した。即ち、得られた試料の全窒素含量を測定し、簡易換算手順を用いて、全葉タバコ材料から除去された全タンパク質量の指標を得た。
前述の通り、2種類のイオン性液体溶媒は窒素を含んでいるため、溶媒に起因する窒素含量を算出して換算手順に組み込み、タンパク質含量のより良い推定値を得た。
抽出物中で測定される全タンパク質量は、イオン性液体によってタバコ材料から除去されるタンパク質量の指標と見なすことができよう。
2種類の抽出物及び残留タバコ材料中で測定されるタンパク質量を下の表8に詳述する。
Figure 0006149122
タンパク質含量データは、[BMIM]Clについては得られなかったが、[DMAPA]FAについては得られた。測定した窒素含量からタンパク質含量を見積もるには、イオン性液体中の可溶化タバコ材料の量を推定する必要があった。
興味深いことに、表8に示す結果から、抽出物中のタンパク質量が0%未満であったことが示唆されるが、これは明らかにあり得ないことである。この負の値は単にタンパク質含量の算出に用いた方法の結果に過ぎず、この方法で測定したタンパク質量が単に近似値であるのに過ぎないことを示している。それでも、このような近似値は有用であり、このような低い割合が得られても有用な情報がもたらされる。抽出物中のタンパク質量は少なく、残留タバコ材料中のタンパク質量は多かったことが示唆されるが、これは、タンパク質含量を窒素含量から算出したことに起因する。
重要なのは、表7の結果から示唆されるのが、タバコ材料からのタンパク質の除去に関して、非DESイオン性液体はDESイオン性液体に比べて効果的ではないということである。
解析:ニコチン含量
タバコ材料のニコチン含量の低減については、DESイオン性液体の場合と同様に確認した。即ち、HPLCを用い、全葉タバコ材料から除去されたニコチン量の指標を得た。
各実験において2種類の抽出物、即ち、イオン性液体抽出物及び水性洗浄抽出物中で測定されたニコチン量(%DWB)を下の表9に詳述する。
Figure 0006149122
ニコチン含量データは、[BMIM]Clについては得られなかったが、[DMAPA]FAについては得られた。
表9に示す結果から、非DESイオン性液体でタバコ材料を処理すると、ある条件下では大量のニコチンが除去され得ることが分かる。[DMAPA]FAに関するデータは得られていないが、この結果から、非DESイオン性液体がタバコ材料のニコチン含量に対して影響を及ぼし得ることが暫定的に結論付けられよう。
解析:全葉タバコの回収
2種類の実験の各々において、洗浄後に残った残留全葉タバコ材料を計量し、処理後に残った材料の割合を求めた。
2種類の実験の各々で回収された残留タバコ材料の量(%DWB)を下の表10に詳述する。
Figure 0006149122
表10に示す結果から、[DMAPA]FAには、[BMIM]Clに比べて全葉タバコの大部分が溶解することが分かる。如何なる特定の理論にも制約されないが、このような大きな差が生じる理由としては、[BMIM]Clが[DMAPA]FAよりも効果的に植物細胞壁の化学成分(例えば、セルロース)を溶解し、これによって植物細胞を開き、かなりの化学物質の除去を促進することができるためである。
種々の問題に対処し本技術を促進するため、本開示の全体は、種々の実施態様を一例として示す。その実施態様の中で特許請求の範囲に記載の1つ以上の発明が実践され、優れたタバコ処理、タバコ材料及びタバコ材料を組み込んだ製品が提供される。本開示の利点及び特徴は、単に実施態様の代表的事例であって、これらに限定されるものではない。これらは単に特許請求された特徴の理解を助け、教示するために提示される。本開示の利点、実施態様、実施例、機能、特徴、構造、および/または他の態様は、特許請求の範囲で規定される本開示またはその均等物を限定するものではなく、本開示の範囲および/または概念から逸脱することなく他の実施態様を利用し、改変してもよいことを理解されたい。種々の実施態様は、開示された要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段等の種々の組み合わせを適切に含んでいても、それらで構成されていても、または本質的にそれらで構成されていてもよい。更に本開示には、現在特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明も含まれる。

Claims (10)

  1. タバコ材料から1種以上の化学物質を除去するための方法であって、タバコ材料を深共晶溶媒であるイオン性液体で処理することを含み、前記1種以上の化学物質は、タンパク質および/またはポリフェノールを含む方法。
  2. タバコ材料中のニコチン量を実質的に低減させないことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記深共晶溶媒は、塩化コリンと様々な水素供与体を含む、および/またはこれらを用いて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. イオン性液体のタバコ材料に対する重量比は少なくとも1:1であることを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の方法。
  5. 少なくとも1時間かけてタバコ材料をイオン性液体で処理することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の方法。
  6. 周囲温度より高い温度にてタバコ材料をイオン性液体で処理することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の方法。
  7. イオン性液体で処理したタバコ材料を、次にそのイオン性液体から濾過および/または遠心分離によって分離することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の方法。
  8. イオン性液体で処理した後、タバコ材料を水で洗浄することを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の方法。
  9. 水等の1種以上の非イオン性液体、1種以上の酵素、1種以上の界面活性剤および/または1種以上の吸着剤でタバコ材料を処理することを更に含むことを特徴とする請求項1乃至いずれか1項記載の方法。
  10. タバコ材料からタンパク質および/またはポリフェノールを除去するための深共晶溶媒であるイオン性液体の使用。
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