JP6148491B2 - 分析方法、ライブラリーの作成方法、及び、分析装置 - Google Patents

分析方法、ライブラリーの作成方法、及び、分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、分析方法、ライブラリーの作成方法、及び、分析装置に関する。
近年、EO(エチレンオキサイド、又は、オキシエチレン基と呼ばれる)及び/又はPO(プロピレンオキサイド、又は、オキシプロピレン基と呼ばれる)をその親水基部分に含む界面活性剤、特にAE(アルコールエトキシレート、又は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルと呼ばれる)に類似の構造をもつものは、いくつかの特殊な性質(たとえば低流動点、相図における小さな液晶領域、低い起泡性など)を有するため、大きな興味を引いている。
市販されている洗浄剤には、EO及び/又はPOをその親水基部分に含む界面活性剤やAE類似の構造を有する界面活性剤が配合されているといわれている。
当業者が新たな洗浄剤を開発するためには、市販されている洗浄剤に含まれる界面活性剤の構造を分析し、界面活性剤の構造と特性との関係を明らかにすることにより、所望の特性を有する界面活性剤を開発するというアプローチをとることが有効と考えられる。
しかしながら、市販されている洗浄剤に含まれる界面活性剤の成分は明らかにされておらず、界面活性剤の構造と特性の関係も明らかになっていない。
界面活性剤の構造分析方法として、特許文献1に示されるような、1次元LCMS(液体クロマトグラフ及び質量分析計)を用いた分析方法が知られていた。
特開2010−96577号公報
本発明者らは、EO及び/又はPOをその親水基部分に含む界面活性剤について、横軸にm/zを採った1次元LCMSを用いた分析を試みた。
まず、構造式が下記式で表される化合物について分析を行った。
R−O(EO)x(Rは炭素数1以上の炭化水素基、EOはオキシエチレン基、xは1以上の整数)
すると、Rに含まれる炭素数(メチレン基の数)が一定で、EOの数(xの値)が変化したピークがm/z=44おきに観察され、これらのピーク位置と構造式との関係を決定することは可能であった。
また、EOの数(xの値)が一定でRに含まれる炭素数(メチレン基の数)が変化したピークがm/z=14おきに観察され、これらのピーク位置と構造式との関係を決定することは可能であった。
続いて、構造式が知られておらず、EOとPOを共に含むとされている界面活性剤について分析を行った。この場合、多くのピークが重なり合うように複雑に観察され、各ピークと構造式との関係を決定することができなかった。
この原因としては、CHのm/zが14、EOのm/zが44、POのm/zが58であり、POのm/zとEOのm/zの差が14であるため、CHが1つ増えた場合とEOがPOに置換された場合は同じm/zの差となるために、あるピークと隣接するピークの間にm/z=14の差がある場合に、CHが一つ増えた場合とEOがPOに置換された場合との区別がつかなくなることが考えられた。
すなわち、EOとPOを共に含むとされている界面活性剤については、横軸にm/zを採った1次元LCMSを用いた分析は困難であった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、構造未知の化合物の構造を同定することのできる分析方法を提供すること、構造未知の化合物の構造を同定する分析方法に用いるためのライブラリーの作成方法を提供すること、及び、分析装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いて得たマススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得て、2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されたライブラリーと照合することによって、構造未知の化合物の構造を同定することができることを発見し、本発明に想到した。
すなわち、本発明の分析方法は、構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
上記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
上記2次元プロットをライブラリーと照合して上記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
上記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
上記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を上記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定することを特徴とする。
本発明の分析方法では、構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いて得たマススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る。
2次元プロットにおいては、同じm/zを有する構造であっても、保持時間が異なれば異なる位置にプロットがなされるので、m/zのみで区別する1次元プロットを行う場合に比べてより詳細に構造の同定を行うことができる。
本発明の分析方法では、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されたライブラリーを用い、2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間をライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定する。
照合の具体的な手順の例としては、以下の手順が挙げられる。
まず、2次元プロットに含まれる、照合対象のプロットのm/zとライブラリーに含まれる構造式のm/zを比較し、m/zが一致する構造式を選択する。
次に、照合対象のプロットの保持時間と、選択された構造式の保持時間を比較し、保持時間が一致する構造式を選択する。
上記手順で選択された構造式は、照合対象のプロットと一致するm/zと保持時間を有する構造式であるため、照合対象のプロットの構造式と一致する構造式となる。
また、上記手順において、保持時間を先に比較し、その後にm/zを比較するようにしてもよい。
また、ライブラリーとして、測定対象となる構造未知の化合物に含まれると予想される構造(例えば、化合物に含まれると予想される親水性基の種類、疎水性基の種類など)に応じた構造についてのm/z及び保持時間が関連付けて格納されたライブラリーを用いると、構造の同定を効率よく行うことができる。
本発明の分析方法においては、上記試料には、特定の構造の繰り返し数が異なる他は同じ構造式を有する同系統の化合物が複数種類含まれており、
上記2次元プロットには、上記複数種類の化合物に由来する複数のプロットが含まれており、
上記2次元プロットに含まれるプロットのm/z及び保持時間を上記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより少なくとも1つのプロットと構造式の関係を決定した後に、
上記特定の構造の数の違いに対応して上記2次元プロットに表れる軸の有無を判別し、
上記軸が有る場合は以下のステップ(a)、(b)によって各プロットと構造式の関係を決定する工程を含むことが望ましい。
(a)同一の上記軸に属する同系統の化合物においてm/z及び保持時間が変化する法則性と上記特定の構造との関係を決定する。
(b)構造式が既に決定されたプロットと同一の軸に属する、構造式が決定されていないプロットについて、上記m/z及び保持時間が変化する法則性と上記特定の構造との関係に基づき各プロットと構造式の関係を決定する。
上記分析方法によると、ライブラリー中に全てのプロットに対応するm/z及び保持時間が格納されていない場合であっても、全てのプロットのm/z及び保持時間をライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することなく、各プロットと構造式の関係を決定することができる。
本発明の分析方法においては、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(1)で表される構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計及びx、yの数がそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
−O−(EO)x−(PO)y−R (1)
(式中、R及びRは水素原子又は直鎖若しくは分岐アルキル基であり、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数である)
上記一般式(1)で表される界面活性剤では、R及びRに含まれるCHのm/zが14、EOのm/zが44、POのm/zが58である。
POのm/zとEOのm/zの差が14であり、この差はCHのm/z=14と同じである。
ここで、ある2次元プロットに対応する構造から、R又はRに含まれるCHの数が1つ増えた場合、EOがPOに置換された場合に観察されるプロット位置をそれぞれ考えると、これら2つの場合はm/zが14増加する点では一致するものの、保持時間の変化量は一致しない。
そのため、これら2つの場合では2次元プロット上のプロット位置が一致しないため、構造の変化ごとにプロット位置を区別することが可能となる。
すなわち、本発明の分析方法は、上記一般式(1)で表される界面活性剤の構造を同定する方法として適している。
なお、上記一般式(1)における−(EO)x−(PO)y−の構造は、EOとPOがブロック重合した構造でもよく、ランダム重合した構造でもよく、EOとPOの並び順が限定されるものではない。
本発明の分析方法では、上記一般式におけるxの値及びyの値を同定することができる。xの値、yの値とは、EOとPOがブロック重合した場合であればEOブロック中のEOの数、POブロック中のPOの数を示す。EOとPOがランダム重合した場合であれば、ランダム重合部分に含まれるEOの数の合計数、POの数の合計数を示す。
また、xの値、yの値が同じであるとき、EOとPOがブロック重合した構造とEOとPOがランダム重合した構造とでは保持時間が異なるため、一般式(1)で表される界面活性剤中のEOとPOがブロック重合した構造であるかランダム重合した構造であるかを判別することが可能である。
本発明の分析方法においては、上記2次元プロットにおいて、上記Rに含まれる炭素数及び上記Rに含まれる炭素数の合計の増減に対応して現れる軸、上記xの増減に対応して現れる軸、上記yの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
上記R及びR、EO、POのそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するRの炭素数とRの炭素数の合計、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記R及びR、EO、POのそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するRの炭素数とRの炭素数の合計、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
上記一般式(1)で表される界面活性剤について、Rの炭素数とRの炭素数の合計、EOの数、POの数を示す3つの変数のうち2つを固定し、1つを増減させて2次元プロットを得た場合には、変化させた変数に対応して軸が明確に観察される。
この軸は、構造未知の界面活性剤について2次元プロットを得た際にも観察され、構造未知の界面活性剤において、Rの炭素数とRの炭素数の合計、EOの数、POの数を示す3つの変数のうちの複数の変数が変化する場合には、複数の軸の存在の影響が混在した形状の2次元プロットが観察される。
2次元プロットから、軸の有無及び本数を判別することにより、Rの炭素数とRの炭素数の合計、EOの数、POの数のうちどの数が一定値であり、どの数が一定値でないかを判定することができる。
この判定により、2次元プロット上の全てのプロットと構造式の照合を行う前に、分析対象の界面活性剤の構造を大まかに把握することができる。
例えば、EOの数が一定値でない場合に対応して観察される軸を有することがわかれば、測定対象の界面活性剤においてEOの数が異なる複数通りの構造が含まれていると把握することができる。
軸の有無及び本数を判別する方法の例としては、Rの炭素数とRの炭素数の合計、EOの数、POの数を示す3つの変数のうち2つを固定し、1つを増減させた場合のm/z及び保持時間をライブラリーから抽出して、構造未知の界面活性剤について得た2次元プロット上のm/z及び保持時間と照合する方法を挙げることができる。
ライブラリーから抽出した、軸に対応するm/z及び保持時間のいくつかが、構造未知の界面活性剤について得た2次元プロット上に存在していれば、その軸を有すると判別することができる。
本発明の分析方法において、上記液体クロマトグラフで使用するカラムは、逆相クロマトグラフ法用充填剤カラムであることが望ましい。
また、上記充填剤カラムは、C又はC18で修飾したカラムであることが望ましい。
これらのカラムを用いると疎水基(例えばアルキル鎖やPO)はその増加と共に保持時間が長くなる。一方、親水基(例えばEO)はその増加と共に保持時間が短くなる。そのため、疎水基の増減に由来する軸と親水基の増減に由来する軸の方向を異なる方向にすることができ、構造未知の化合物の構造の同定が容易になる。
本発明の分析方法において、上記液体クロマトグラフで使用する移動相は、揮発性緩衝液を含有する溶液であり、グラジエント溶離法を用いて溶出を行うことが望ましい。
グラジエント溶離法を用いた溶出では、試料中に含まれる化合物の分離を効率的に行うことができる。
本発明の分析方法においては、構造既知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得て、
上記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得て、
上記2次元プロット中の各プロットにおけるm/zの値と、上記構造既知の化合物の構造から考えられ得る構造式とを関連付け、さらにそのプロットの保持時間を読み取って、構造式、m/z及び保持時間の3つからなるデータを関連付けて格納することによりライブラリーを作成し、
作成した上記ライブラリーを用いて上記構造未知の化合物の分析を行うことが望ましい。
また、本発明の分析方法において、構造既知の化合物を含む試料についてマススペクトルデータを得る際の液体クロマトグラフ及び質量分析計の測定条件は、
構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る際の液体クロマトグラフ及び質量分析計の測定条件と同一であることが望ましい。
構造既知の化合物を含む試料と構造未知の化合物を含む試料をそれぞれ分析するときに液体クロマトグラフ及び質量分析計の測定条件が同一であると、ライブラリーを用いて構造未知の化合物の構造を同定する際に、構造未知の化合物の2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間とライブラリーに格納されたm/z及び保持時間とを照合する際の照合の精度が高くなる。そのため、分析の精度を向上させることができる。
本発明のライブラリーの作成方法は、液体クロマトグラフと質量分析計を用いて構造未知の化合物の構造を同定する分析方法に用いるためのライブラリーを作成する方法であって、
構造既知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得て、
上記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得て、
上記2次元プロット中の各プロットにおけるm/zの値と、上記構造既知の化合物の構造から考えられ得る構造式とを関連付け、さらにそのプロットの保持時間を読み取って、構造式、m/z及び保持時間の3つからなるデータを関連付けて格納することによりライブラリーを作成することを特徴とする。
上記方法によると、構造既知の化合物の構造式とその構造式に由来するm/z及び保持時間を関連付けて格納してライブラリーを作成することができる。
このようにして作成されたライブラリーは、本発明の分析方法に好適に使用することができる。
本発明のライブラリーの作成方法において、上記液体クロマトグラフで使用するカラムは、逆相クロマトグラフ法用充填剤カラムであることが望ましい。
また、本発明のライブラリーの作成方法において、上記充填剤カラムは、C又はC18で修飾したカラムであることが望ましい。
また、本発明のライブラリーの作成方法において、上記液体クロマトグラフで使用する移動相は、揮発性緩衝液を含有する溶液であり、グラジエント溶離法を用いて溶出を行うことが望ましい。
本発明の分析装置は、構造未知の試料についてマススペクトルデータを得るための、液体クロマトグラフと質量分析計を有する測定データ取得手段と、
上記マススペクトルから縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得るための解析手段と、
構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されたライブラリーを記録しておくための記憶手段と、
上記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を上記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定する構造同定手段とを備えることを特徴とする。
本発明の分析装置は、本発明の分析方法の実施に適した装置であり、測定データ取得手段、解析手段、記憶手段、構造同定手段のそれぞれを用いて本発明の分析方法の各工程を行うことができる。
また、構造既知の試料について測定データ取得手段を用いてマススペクトルデータを得て、解析手段を用いて2次元プロットを得て、構造式、m/z及び保持時間を関連付けて格納することによってライブラリーを作成することができるので、本発明の分析装置は本発明のライブラリーの作成方法の実施にも適した装置である。
本発明の分析方法によると、構造未知の化合物の構造を同定することができる。
また、本発明のライブラリーの作成方法によると、構造既知の化合物の構造式とその構造式に由来するm/z及び保持時間を関連付けて格納してライブラリーを作成することができ、このようにして作成されたライブラリーは、本発明の分析方法に好適に使用することができる。
さらに、本発明の分析装置は、本発明の分析方法の実施及び本発明のライブラリーの作成方法の実施に適している。
図1は本発明の分析装置の一例を模式的に示す概略構成図である。 図2は、化合物(2)と化合物(3)の混合物の2次元プロットである。 図3は、本発明の分析方法による分析手順の一例を示すフローチャートである。 図4は、構造未知の化合物を含む試料の2次元プロットである。 図5は、図4の一部を拡大した2次元プロットである。 図6は、別の構造未知の化合物を含む試料の2次元プロットである。 図7は、図6の一部を拡大した2次元プロットであり、一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示す図である。 図8は、図7の2次元プロットをさらに詳細に分析した様子を示す図である。 図9(a)は、一般式(13)で示される化合物の2次元プロットであり、図9(b)は、図9(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図10(a)は、一般式(14)で示される化合物の2次元プロットであり、図10(b)は、図10(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図11(a)は、一般式(15)で示される化合物の2次元プロットであり、図11(b)は、図11(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図12(a)は、一般式(16)で示される化合物の2次元プロットであり、図12(b)は、図12(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図13(a)は、一般式(17)で示される化合物の2次元プロットであり、図13(b)は、図13(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図14(a)は、一般式(18)で示される化合物の2次元プロットであり、図14(b)は、図14(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図15(a)は、一般式(19)で示される化合物の2次元プロットであり、図15(b)は、図15(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図16(a)は、一般式(20)で示される化合物の2次元プロットであり、図16(b)は、図16(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図17(a)は、一般式(21)で示される化合物の2次元プロットであり、図17(b)は、図17(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図18(a)は、一般式(22)においてR12がメチル基、R13が水素原子である化合物の2次元プロットであり、図18(b)は、図18(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。 図19(a)は、一般式(22)においてR12がメチル基、R13がメチル基である化合物の2次元プロットであり、図19(b)は、図19(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
以下、本発明の分析方法、ライブラリーの作成方法、及び、分析装置について図面を用いて説明する。
図1は本発明の分析装置の一例を模式的に示す概略構成図であり、該分析装置は、本発明の分析方法及びライブラリーの作成方法で使用可能な装置である。
図1に示す分析装置1は、測定データ取得手段としての液体クロマトグラフ(LC)10及び質量分析計(MS)20を備える。
液体クロマトグラフ10には分析対象の試料を導入可能である。
液体クロマトグラフの種類は、特に限定されるものではないが、HPLC(高速液体クロマトグラフ)又はUPLC(超高速液体クロマトグラフ)が好適に使用可能である。
カラムとしては逆相クラマトグラフ用充填剤カラムが好ましく、C又はC18で修飾したカラムが特に好ましい。
質量分析計20の種類は特に限定されるものではないが、イオン化法としてESI(エレクトロスプレーイオン化法)を用いた質量分析計が好ましい。ESI法を用いると分析対象の化合物がフラグメントに分離しにくいため好ましい。
質量分析計20には液体クロマトグラフ10のカラム出口が接続され、液体クロマトグラフで成分分離された試料が連続的に導入されるようになっている。
分析装置1は、測定データ取得手段で得られた測定データを処理する処理部30を有する。処理部30には、解析手段としてのスペクトル作成部31及び2次元プロット作成部32、記憶手段としてのライブラリー34、並びに、構造同定手段としてのライブラリー照合部33を備える。また、処理部30には、ユーザーインターフェースとしての入力部35及び表示部36が接続されており、入力部35を通して分析者の操作を受け付ける一方、構造同定結果等の分析結果を表示部36より出力する。
なお、処理部30の機能の大部分は、処理ソフトウェアを搭載したパーソナルコンピュータにより具現化することができる。
ライブラリー34には、構造既知の化合物の構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されている。また、当該ライブラリーが作成された際のLC−MSスペクトル作成条件も合わせて記録されている。
例えば、(構造式;m/z;保持時間(min);LC−MSスペクトル作成条件)=(H−(CH12−O−(EO)−(PO)−H;628.50104;25.45;カラム種類、流量、移動相種類等の条件・・・)のように一組のデータとして記録しておけばよい。
また、LC−MSスペクトル作成条件については「構造式、m/z及び保持時間」の組み合わせのそれぞれに関連付けられて記録されていてもよく、また、「特定のLC−MSスペクトル作成条件のもとで作成されたライブラリー」を規定しておき、そのライブラリーに含まれる「構造式、m/z及び保持時間」の組み合わせは全てその特定のLC−MSスペクトル作成条件と関連付けられて記録されているとしてもよい。
ライブラリー34はハードディスク、CD、DVD、FD等の記録媒体の中に記録させておくことができる。
本発明の分析方法で用いるライブラリーは、本発明のライブラリーの作成方法によって作成することができる。
ライブラリーを作成する方法の例として、構造既知の化合物として下記式(2)で表される化合物(2)及び式(3)で表される化合物(3)を用いた例について説明する。
H−(CH12−O−(EO)x−H (2)
H−(CH14−O−(EO)x−H (3)
化合物(2)及び(3)は、それぞれEO付加モル数の異なる化合物を複数種類含む混合物である。
図2は、化合物(2)と化合物(3)の混合物の2次元プロットである。
LC−MS測定条件は以下のとおりである(以下、図2、4〜8に示すLC−MS測定条件は特に記載がない限り全て下記条件である)。
液体クロマトグラフ装置:Accela(Thermo Fisher Scientific Inc.製)
質量分析計:Exactive(Thermo Fisher Scientific Inc.製)
試料濃度:アセトニトリル(ACN)に対し0.1mg/ml
液体クロマトグラフ条件
カラム:ODSカラム
温度:30℃
移動相:A)5mM酢酸アンモニウム水溶液、B)ACN/THF(体積比1:1)をグラジエント条件A%=90(0−3min)−40(15min)−20(50−55min)−90(55.1−60min)に設定
注入量:10μl
流量:0.2ml/min
質量分析条件
イオン化法:ESI正イオンモード
Spray voltage:4.50kV
Capillary temp:250℃
Capillary voltage:60.00V
Tube lens voltage:140.00V
Skimmer voltage:15.00V
図2に示す2次元プロットは、上記条件でLC−MS測定を行い得られたマススペクトルデータから、縦軸はm/z、横軸に保持時間(min)を取ることで得られる。
なお、m/zは「質量/電価数」を示す。図2に示す測定では付加イオンとしてNH が用いられており、電価数は1価である。
図2には左側(保持時間が短い側)に化合物(2)に由来するプロット群が存在し、右側(保持時間が長い側)に化合物(3)に由来するプロット群が存在している。
2次元プロットを行うと各プロットは横向きに幅を持って検出されるが、図2ではプロットの位置を見えやすくするために○で囲んでいる。また、各プロットにおける保持時間は、プロットの幅の左端(保持時間が最も短い点)をその値とする。
以下、図2の左側に示される、化合物(2)に由来するプロット群について説明する。
2次元プロットに表れる複数のプロットは、それぞれEO付加モル数の異なる化合物に対応しており、m/z≒44おきにプロットされている。これは、EOの式量(CHCHO)=44.0262に対応している。
上記式(2)においてx=5、x=10、x=20に対応するm/zを有するプロットを明示した。
EOは極性が高いため、EO付加モル数が多いと移動相との親和性が大きくなり、保持時間が短くなる。そのため、EO付加モル数が多くなるほどプロット位置が左上の方向へ向かい、EOの付加モル数の増減に対応して現れる軸として観察される。
図2に示す2次元プロットから、EO付加モル数の異なる複数種類の化合物、具体的には式(2)においてx=5〜20である化合物の構造式、m/z、保持時間の3つからなるデータが関連付けて得られる。そのため、これらのデータを関連付けて格納することにより式(2)においてx=5〜20である16種の化合物の同定に利用可能なライブラリーを作成することができる。
次に、右側に示される、化合物(3)に由来するプロット群について説明する。
化合物(3)はアルキル基の炭素数が14である点で化合物(2)と異なる(化合物(2)のアルキル基の炭素数は12である)。
アルキル基は極性が低いためアルキル基の炭素数が多いと移動相との親和性が小さくなり、保持時間が長くなる。そのためアルキル基の炭素数が多くなるほどプロット位置が右上の方へ向かう。そのため、化合物(3)に由来するプロット群は化合物(2)に由来するプロット群の右側に表れる軸として観察される。
化合物(3)に由来するプロット群においても、各プロットはそれぞれEO付加モル数の異なる化合物に対応しており、m/z≒44おきにプロットされている。
上記式(3)においてx=4、x=10、x=16に対応するm/zを有するプロットを図示した。化合物(3)に由来するプロット群においても、化合物(2)に由来するプロット群の場合と同様にEO付加モル数の増加と共にプロット位置は左上の方向へ向かい、EOの付加モル数の増減に対応して現れる軸として観察される。
図2に示す2次元プロットから、式(3)においてx=4〜16である化合物の構造式、m/z、保持時間の3つからなるデータが関連付けて得られる。そのため、これらのデータを関連付けて格納することにより式(3)においてx=4〜16である13種の化合物の同定に利用可能なライブラリーを作成することができる。
結果として、図2に示す2次元プロットからは式(2)又は式(3)に示す構造式を有する29種の化合物についてのライブラリーが得られる。
このようにして、構造既知の化合物を用いることによりライブラリーを作成することができる。
上記例で示した化合物(2)及び(3)は、下記一般式(1)において、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計が12又は14、POの数yが一定(ゼロ)であり、EOの数xが変化する場合に相当する。
−O−(EO)x−(PO)y−R (1)
上記一般式(1)において、例えば、EOの数xを一定、POの数yを一定とし、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計を変化させた場合には、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計が多くなるほどプロット位置が右上の方へ向かい、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計の増減に対応して現れる軸として観察される。
また、m/zについてはm/z≒14おきにプロットされており、これはCHの式量=14.0157に対応する。
一般式(1)においてEOの数xを一定、POの数yを一定とし、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計を変化させたような化合物についても構造既知の化合物を用いることによりライブラリーを作成することができる。
また、上記一般式(1)において、例えば、EOの数xを一定、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計を一定とし、POの数yを変化させた場合には、POの数yが多くなるほどプロット位置が右上の方へ向かい、POの数の増減に対応して現れる軸として観察される。
POは極性が低いためPOの数が多いと移動相との親和性が小さくなり、保持時間が長くなる。ただし、アルキル基に比べると極性が高く、アルキル基よりも繰り返し単位の式量が大きいため、POの数の増減に対応して現れる軸と、アルキル基の炭素数の増減に対応して現れる軸とは向きが異なる。
POの数yを増減させた場合、m/z≒58おきにプロットされており、これはPOの式量(CH CHCH O)=58.0419に対応している。
一般式(1)において、EOの数xを一定、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計を一定とし、POの数yを変化させたような化合物についても構造既知の化合物を用いることによりライブラリーを作成することができる。
続いて、上記ライブラリー及び本発明の分析装置を用いて構造未知の化合物の構造を同定する、本発明の分析方法について、図3に従って説明する。図3は、本発明の分析方法による分析手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、試料に含まれる構造未知の化合物の構造の同定を行う場合を例に挙げて説明する。
はじめに、構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る(ステップS1)。すなわち、液体クロマトグラフ10では試料に含まれる化合物が分離されて、各化合物に固有の保持時間に応じて質量分析計20に導入される。質量分析計20では各化合物に対する質量分析が実行され、検出信号が処理部30に送られる。処理部30では、スペクトル作成部31において上記検出信号に基づいてマススペクトルを作成する。
続いて、上記マススペクトルから、2次元プロット作成部32において2次元プロットを得る(ステップS2)。
図4は、構造未知の化合物を含む試料の2次元プロットである。
試料に含まれる化合物の構造は2次元プロットを行った時点では未知であるが、2次元プロットからはプロットの並び方に一定の法則性が見て取れる。以下、2次元プロットから構造未知の化合物の構造を同定する手順を説明する。
図4に示す2次元プロットには、付加イオンの価数が1価であるプロットと2価であるプロットと3価であるプロットが混在しており、上段に位置するプロット群は付加イオンの価数が1価の群、中段に位置するプロット群は付加イオンの価数が2価の群、下段に位置するプロット群は付加イオンの価数が3価の群に対応する。
この現象は、同じ化合物に対して付加イオンであるNH が付加した数が異なるイオンが複数種類生成し、生成した各イオンがそれぞれ分離されて検出されることにより生じる。
化合物の構造の同定においては、1価の群に属するプロットのみを考慮すればよい。
まず、2次元プロットから1つのプロットを選択する(ステップS3)。そして、選択したプロットのm/z及び保持時間をライブラリー34に格納されたm/z及び保持時間と照合する(ステップS4)。
以下、最初に選択するプロットとして図5において点Aで示すプロットを選択した場合を例にして手順を説明する。
図5は、図4の一部を拡大した2次元プロットであり、図4で四角形で囲んだ領域を拡大して示している。
上記推定を踏まえ、点Aで示すプロットに対応する化合物の構造を同定する。
具体的には、点Aのm/z及び保持時間をライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合し、ライブラリーに格納された化合物のうち、m/z及び保持時間が一致するものの構造が点Aで示すプロットに対応する化合物の構造であると同定する。
点Aで示すプロットのm/z=1661.2166であり、保持時間=34.3minである。このm/z及び保持時間をライブラリーと照合することによって、対応する化合物は、HO−(PO)28−H(以下、化合物(4)とする)であることが分かる。
m/zの内訳を表す式は、
1661.2166≒18.0344+18.0106+58.0419×28 である。
18.0344は付加イオンのNH 、18.0106は末端のHとOHの和、58.0419はPOの、それぞれの式量である。
なお、LC−MS測定に用いた装置及び測定条件が同じであれば、m/z及び保持時間はほとんど同じになる。ライブラリーとの照合にあたりm/z及び保持時間が一致しているか異なるかの判断は、m/zの差が0.5以内、保持時間が1分以内である場合にそれぞれ一致していると判断することができる。
次に、未選択のプロットがあるかを判定する(ステップS5)。
現時点では点Aで示すプロット以外のプロットは全て未選択であるので、未選択のプロットがあると判定する(ステップS5でYes)。
続いて、2次元プロットから1つのプロット(未選択のプロット)を選択する(ステップS6)。ここでは、点Aで示すプロットの隣の左上に位置する、点AE1を選択したこととする。選択するプロットの位置は任意であるが、構造を同定したプロットの近くのプロットを選択することが望ましい。
次に、2次元プロットに軸が有るかを判定し、選択されたプロットが軸上にあるかを判定する(ステップS7)。
軸が有るかを判定するため、点Aと点AE1を含む隣接する数個のプロットの並び方に一定の法則性があるかを検討する。
以下の例では、点Aで示すプロットの隣の左上に位置する、点AE1、点AE2、点AE3で示すプロットに着目する。
点AE1で示すプロットのm/z=1705.2428であり、保持時間=33.2minであり、点AE2で示すプロットのm/z=1749.2690であり、保持時間=32.2minであり、点AE3で示すプロットのm/z=1793.2952であり、保持時間=31.2minである。
図5を見ると分かるように、点A、点AE1、点AE2、点AE3はほぼ一直線上に並んでおり、その間隔が、保持時間≒1.0min、m/z≒44となっていることから、プロットがほぼ等間隔で並んでいるといえる。
このようにほぼ等間隔で並んでいるプロットがある場合には、2次元プロットには軸が現れていると判定する。また、選択したプロット(点AE1)が軸上にあると判定する(ステップS7でYes)。
なお、軸の形状は直線とは限らず、プロットがほぼ等間隔で並んで曲線を描く場合もある。
そして、同一の軸に属する点A、点AE1、点AE2、点AE3は特定の構造の繰り返し数が異なる他は同じ構造式を有する同系統の化合物に由来するプロットであると考えられる。
これらのプロットについて、m/z及び保持時間が変化する法則性と特定の構造との関係を決定する(ステップS8)。
上述したとおり、点A、点AE1、点AE2、点AE3はほぼ一直線上に並んでおり、その間隔が、保持時間≒1.0min、m/z≒44となっている。
ここで、上述したライブラリーの作成時に2次元プロットを行った構造既知の化合物(2)及び化合物(3)に由来するプロット群において、EO付加モル数の増減に対応してm/z≒44おきにプロットが並んでいたことを踏まえると、点Aを基準として、左上にある点AE1、AE2・・・と並んでいるプロットは、EOの数の増加に対応するものと考えられる。EOの付加モル数が増えるとプロット位置が左上方向に向かうという特徴も一致している。また、既存化合物のなかでm/z≒44おきに繰り返す構造としてEO以外の構造は考えられない。
そのため、点A、点AE1、点AE2、点AE3はEO付加モル数の異なる同系統の化合物に由来するプロットであると考えられる。
続いて、m/z及び保持時間が変化する法則性と特定の構造との関係に基づき構造式を決定する(ステップS9)。上述した検討により、点AE1は点Aに対応する化合物であるHO−(PO)28−H(化合物(4))にEOが1個付加した化合物と考えられるので、対応する化合物が、HO−EO−(PO)28−H(以下、化合物(5)とする)であることがわかる。
また、点AE2に対応する化合物が、HO−(EO)−(PO)28−H(以下、化合物(6)とする)であり、点AE3に対応する化合物が、HO−(EO)−(PO)28−H(以下、化合物(7)とする)であることもわかる。
このように、m/z及び保持時間が変化する法則性と特定の構造との関係に基づき構造式を決定する場合、各プロットのm/z及び保持時間をライブラリーと対比して構造を同定する方法に代えて、ライブラリーとの対比を行わずに各プロットに対応する化合物と構造の関係を同定することができる。
続いて、ほかに未選択のプロットがあるかを判定する(ステップS10)。
この例では、他にも未選択のプロットがあるのでステップS6に戻る(ステップS10でYes)。
未選択のプロットとして、点Aで示すプロットの右上に位置する、点AP1を選択したとする(ステップS6)。
以下、点AE1を選択した場合と同様にして、2次元プロットに軸が有るかを判定し、選択されたプロットである点AP1が軸上にあるかを判定する(ステップS7)。
点Aを基準として、右上にある点AP1、AP2・・・とほぼ等間隔でプロットが並んでおり、点Aと点AP1の間のm/z≒58、点AP1と点AP2の間のm/z≒58となっている。すなわち、右上方向に軸が現れていると判定する。
この軸に存在するプロットは、式量≒58を有する構造の繰り返し数が異なる他は同じ構造式を有する同系統の化合物に由来するプロットであると考えられる。
そして、この軸は式量≒58であるPOの付加モル数の増加に対応するものと考えられる既存化合物のなかでm/z≒58おきに繰り返す構造としてPO以外の構造は考えられない。(ステップS8)。
そのため、点A、点AP1、点AP2はPO付加モル数の異なる同系統の化合物に由来するプロットであると考えられる。
上述した検討により、点AP1は点Aに対応する化合物であるHO−(PO)28−H(化合物(4))にPOが1個付加した化合物に由来するプロットと考えられるので、対応する化合物が、HO−(PO)29−H(以下、化合物(8)とする)であることがわかる。
また、点AP2に対応する化合物が、HO−(PO)30−H(以下、化合物(9)とする)であることもわかる(ステップS9)。
以下、未選択のプロットが無くなるまで上記工程を繰り返し行い、未選択のプロットが無くなった場合(ステップS10でNo)、全てのプロットの構造式から試料全体に含まれる化合物の構造を表示する(ステップS11)。
化合物の構造の表示は、全ての化合物の構造を表示する形式でもよいし、一般式の形にして表示する形式でもよい。
今回測定した試料に含まれる化合物の構造を一般式の形で表示すると、
H−O−(EO)x−(PO)y−H (10)
(x=0〜20の整数、y=15〜41の整数)となる。
上記手順により構造未知の化合物の構造の同定を終了する。
ここで、ステップS7で2次元プロットに軸がないと判定された場合、又は、選択されたプロットが軸上にないと判定された場合(ステップS7でNo)は、ステップS4に移り、選択したプロットのm/z及び保持時間をライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより、選択されたプロットの構造式を決定する(ステップS4)。
そして、未選択のプロットが無くなった場合(ステップS5でNo)、ステップS11に移り、全てのプロットの構造式から試料全体に含まれる化合物の構造を表示して、構造未知の化合物の構造の同定を終了する。
なお、今回の例ではステップS7でYesと判定した場合には、軸上にあるプロットに対応する化合物について、ライブラリーとの照合を行うことなく構造式を決定したが、軸上にあるプロットに対応する化合物についてライブラリーとの照合を行うことによって構造式を決定してもよい。
今回測定した試料は、製品として販売されているプルロニック型の界面活性剤である。
上記化合物(10)の構造式も、プルロニック型の界面活性剤の構造に対応している。
製品として販売されているプルロニック型界面活性剤は、EOとPOを含むことは知られていたものの、その具体的な構造は知られていなかった。本発明の分析方法を用いることにより、EOを0〜20個、POを15〜41個有する多くの化合物の混合物であることが判明した。
化合物(10)はEOの数x及びPOの数yが一定値でない、変数を2つ有する化合物であり、2つの変数に対応して、図4に示す2次元プロットには、EOの数の増加に伴い左上に向かう軸及びPOの数の増加に伴い右上方向へ向かう軸の2本の軸が存在する。このような2つの軸を持つ2次元プロットを示す化合物の構造を分析する方法として、本発明の分析方法は好適に使用することができる。
次に、本発明の分析方法を用いて、3つの軸を持つ2次元プロットを示す試料に含まれる化合物の構造を分析した例について説明する。
図6は、別の構造未知の化合物を含む試料の2次元プロットである。
図7は、図6の一部を拡大した2次元プロットであり、一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示す図である。
図8は、図7の2次元プロットをさらに詳細に分析した様子を示す図である。
この例では、図6に示す2次元プロットに見られる一部のプロットに対応する構造未知の化合物の構造の同定を行う場合を例に挙げて説明する。
図7は、図6に示す2次元プロットにおいて四角で囲んだ領域を拡大して示す図である。
図7には、一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
ライブラリーとしては図2に示した化合物(2)及び化合物(3)に対応するライブラリーを使用している。
左に示す丸印(白抜き)の並びが化合物(2)(H−(CH12−O−(EO)x−H (x=5〜20))に対応しており、EOの数の増減に対応して現れる軸(A)を示している。
右に示す丸印(塗りつぶし)の並びが化合物(3)(H−(CH14−O−(EO)x−H (x=4〜16))に対応しており、EOの数の増減に対応して現れる軸(a)を示している。
図7には、アルキル基に含まれる炭素数の増減に対応して現れる軸の例も示されている。
図7に示す点A5及び点a5、点A10及び点a10、点A15及び点a15は、それぞれ、アルキル基に含まれる炭素数が12個であるか14個であるか以外は同じ構造を有する化合物の組み合わせである。
点A5から点a5に引いた矢印、点A10から点a10に引いた矢印、点A15から点a15に引いた矢印はそれぞれアルキル基に含まれる炭素数の増減に対応して現れる軸の例である。
点A5及び点a5、点A10及び点a10、点A15及び点a15のm/zの差はそれぞれ(CHの式量に対応する28.0314であり、3本の軸の傾きはほぼ等しくなっている。
今回測定した試料には、式(2)及び(4)で表される化合物においてアルキル基に含まれる炭素数が13個である場合に相当するプロットが見られないことから、そのような化合物は試料中に存在しないことが推測される。
図8は、図7の2次元プロットをさらに詳細に分析した様子を示す図である。
図8には、分析の結果として判明した、(A)〜(E)及び(a)〜(d)で示す9本の軸を明示している。軸(A)及び軸(a)は図7に示す2本の軸と同じである。
軸(A)の右に位置する軸(B)は、軸(A)に属する各プロットよりもm/z≒58だけ大きいプロットにより構成される。例えば、軸(A)に属する点A7よりもm/z≒58だけ大きいプロットは点B7である。
m/z≒58は式量58であるPOの付加モル数の増加に対応している。
すなわち、軸(B)に属する各プロットに対応する化合物は、軸(A)に属する各プロットに対応する化合物(2)にPOが1個付加した化合物である。
同様に、軸(C)、軸(D)、軸(E)も、それぞれ、m/z≒58ずつ増加したプロットであるので、軸(A)に属する各プロットに対応する化合物(2)にそれぞれPOが2個、3個、4個付加した化合物である。
このような規則性が見出された場合、例えば点C7で示すプロットは点A7で示すプロットの構造式「H−(CH12−O−(EO)−H(化合物(11))」にPOが2個付加した構造に対応すると考えられるため、その構造式が「H−(CH12−O−(EO)−(PO)−H(化合物(12))」であることが判明する。
図8にはアルキル基の炭素数が12、EO付加モル数が7で、PO付加モル数が0〜4である化合物によって構成される軸(点A7、点B7、点C7、点D7、点E7によって構成される軸)を示している。
軸(a)と軸(b)、軸(c)、軸(d)の関係も、軸(A)と軸(B)〜(E)の関係と同様であり、軸(b)、軸(c)、軸(d)に属する各プロットに対応する化合物は、軸(a)に属する各プロットに対応する化合物(3)にそれぞれPOが1個、2個、3個付加した化合物である。
例えば、点a8、点b8、点c8、点d8はそれぞれ、アルキル基の炭素数が14、EO付加モル数が8で、PO付加モル数が0〜3である化合物に対応しており、図8にはこの4つのプロットによって構成される軸を示している。
図8には、アルキル基に含まれる炭素数の増減に対応して現れる軸の例も示されている。
図8に示す点A7とa7は、EO付加モル数が7、PO付加モル数が0で、アルキル基に含まれる炭素数がそれぞれ12、14である化合物に対応しており、この2点を結んだ線はアルキル基に含まれる炭素数の増減に対応して表わされる軸となる。
また、点B13と点b13は、EO付加モル数が13、PO付加モル数が1で、アルキル基に含まれる炭素数がそれぞれ12、14である化合物に対応しており、この2点を結んだ線もアルキル基に含まれる炭素数の増減に対応して表わされる軸となる。
上記のように解析すると、EOの数の増減に対応して現れる軸、POの数の増減に対応して現れる軸、アルキル基に含まれる炭素数の増減に対応して現れる軸の3本の軸を持つ2次元プロットを示す試料に含まれる化合物の構造を分析することができる。
すなわち、この試料に含まれる化合物の構造は、下記化学式で表わされ、Rに含まれる炭素数及び上記Rに含まれる炭素数の合計、EOの数x、POの数yがいずれも一定値でない化合物の混合物である。
−O−(EO)x−(PO)y−R (1)
(式中、R及びRは水素原子又は直鎖若しくは分岐アルキル基であり、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数である)
今回の分析により、Rに含まれる炭素数及び上記Rに含まれる炭素を合計で12個又は14個、EOを1〜24個、POを0〜4個有する多くの化合物の混合物であることが判明した。
なお、本発明の分析方法で上記一般式(1)の界面活性剤を分析する場合、R及びRは直鎖アルキル基でも分岐アルキル基でもよい。炭素数及び2重結合数が同じであれば直鎖アルキル基でも分岐アルキル基であっても、m/zは同じとなる。保持時間は直鎖アルキル基と分岐アルキル基では厳密には異なるため、液体クロマトグラフの分析条件によっては明確に分離可能である。
明確に分離可能になる分析条件で測定を行った場合、アルキル基の構造の情報も含むライブラリーとの照合を行うことによって直鎖アルキル基であるか分岐アルキル基であるかを同定することができる。
また、本発明の分析方法で上記一般式(1)の界面活性剤を分析する場合、R及びRには2重結合が含まれていてもよい。
及びRに2重結合を含むことが既知である化合物を用いたライブラリーを作成し、そのライブラリーと対照を行うことによってR及びRの詳細な構造についても同定を行うことができる。
また、本発明の分析方法で上記一般式(1)の界面活性剤を分析する場合、R及びRは炭素及び水素のみからなる厳密な意味でのアルキル基に限定されるわけではなく、その水素の一部がハロゲン、ヒドロキシル基等で置換された構造であってもよい。
また、R及びRは鎖状脂肪族炭化水素基に限定されるわけではなく、芳香環を含んでもよく、環状炭化水素基を含んでもよく、エーテル結合を含む環状炭化水素基を含んでいてもよい。
本発明の分析方法は、一般式(1)の界面活性剤以外にも適用可能である。以下に各種化合物について本発明の分析方法を適用した結果を示す。
以下、図9、10、11、12、15、17、18及び19に示すLC−MS測定条件は特に記載がない限り全て下記条件である。
液体クロマトグラフ装置:Acquity UPLC H−Class(Waters Corporation製)
質量分析計:Micromass ZQ(Waters Corporation製)
試料濃度:アセトニトリル(ACN)に対し0.1mg/ml
液体クロマトグラフ条件
カラム:ODSカラム
温度:40℃
移動相:10mM酢酸アンモニウム水溶液とアセトニトリルのグラジエント溶液
注入量:10μl
流量:0.2ml/min
質量分析条件
イオン化法:ESI正イオンモード
図13及び14に示すLC−MS測定条件は、イオン化法をESI負イオンモードとした他は図9の条件と同じである。
また、図16に示すLC−MS測定条件は、移動相を水/メタノール溶液に変更し、試料濃度をメタノールに対し0.1mg/mlに変更した他は図9の条件と同じである。
(脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(13)で表される、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数の合計(y1+y2)、POの数の合計(z1+z2)がそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
(式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y1、y2、z1、z2はそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記(y1+y2)の数の合計の増減に対応して現れる軸、上記(z1+z2)の数の合計の増減に対応して現れる軸、の有無をそれぞれ判別し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図9(a)は、一般式(13)で示される化合物の2次元プロットであり、図9(b)は、図9(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図9(a)には、一般式(13)においてRがH−(CH)xである場合の構造式を例示している。
図9(b)の左側に示す丸印(白抜き)の並びが図9(a)に示す構造式においてメチレン基数x=15である場合に対応しており、EOの数の合計(y1+y2)の増減(5〜10)に対応して現れる軸を示している。また、右側に示す丸印(塗りつぶし)の並びがメチレン基数x=23である場合に対応しており、EOの数の合計(y1+y2)の増減(6〜12)に対応して現れる軸を示している。
また、三角印(白抜き)の並びはEOの数の合計(y1+y2)が7である場合に対応しており、メチレン基数がそれぞれ13〜25の範囲で変化した構造を示している。メチレン基数が偶数である場合に相当するプロットは観察されなかったことから、そのような化合物は試料中に存在しないことが推測される。
また、図9(b)に示すプロットにおいてPOの数の合計(z1+z2)は0であり、測定した化合物にはPOは含まれていないことが推測される。
一般式(13)で表される脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤の場合、マススペクトル上では(EO)y1で表されるオキシエチレン基と(EO)y2で表されるオキシエチレン基の区別がつかない。そのため、EOの付加数はy1+y2の合計値として求められる。
なお、(PO)z1で表されるオキシプロピレン基と(PO)z2で表されるオキシプロピレン基の関係も同様である。
以上の結果から、分析した化合物は一般式(13)で表される脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、Rに含まれる炭素数xが13,15,17,19,21,23又は25、(y1+y2)が5〜12、かつ、(z1+z2)が0である化合物を含む混合物であるといえる。
(脂肪酸N−メチルアミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(14)で表される、脂肪酸N−メチルアミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、上記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
(式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記yの増減に対応して現れる軸の有無、上記zの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図10(a)は、一般式(14)で示される化合物の2次元プロットであり、図10(b)は、図10(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図10(a)には、一般式(14)においてRがH−(CH)xである場合の構造式を例示している。
図10(b)の左側に示す丸印(白抜き)の並びは、EOの数yが1である場合に対応しており、図10(a)に示す構造式においてメチレン基数xの増減(11〜23)に対応して現れる軸を示している。
メチレン基数が偶数である場合に相当するプロットは観察されなかったことから、そのような化合物は試料中に存在しないことが推測される。
また、図10(b)に示すプロットにおいてPOの数zは0であり、測定した化合物にはPOは含まれていないことが推測される。
さらに、図10(b)に示す三角印(白抜き)はRに含まれる炭素数xが19であり、2重結合の数が1個(C19)、2個(C19)のプロットであると推測される。
以上の結果から、分析した化合物は一般式(14)で表される脂肪酸N−メチルアミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、Rに含まれる炭素数xが11,13,15,17,19,21又は23、yが1、かつ、zが0である化合物を含む混合物であるといえる。
(グリセリン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(15)で表される、グリセリン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数の合計(y1+y2)、POの数の合計(z1+z2)がそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
(式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y1、y2、z1、z2はそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記(y1+y2)の数の合計の増減に対応して現れる軸、上記(z1+z2)の数の合計の増減に対応して現れる軸、の有無をそれぞれ判別し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図11(a)は、一般式(15)で示される化合物の2次元プロットであり、図11(b)は、図11(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図11(a)には、一般式(15)においてRがH−(CH)xである場合の構造式を例示している。
図11(b)の左側に示す丸印(白抜き)の並びが図11(a)に示す構造式においてメチレン基数x=17である場合に対応しており、EOの数の合計(y1+y2)の増減(5〜12)に対応して現れる軸を示している。また、右側に示す丸印(塗りつぶし)の並びがメチレン基数x=23である場合に対応しており、EOの数の合計(y1+y2)の増減(6〜15)に対応して現れる軸を示している。
また、三角印(白抜き)の並びはEOの数の合計(y1+y2)が7である場合に対応しており、メチレン基数がそれぞれ15〜25の範囲で変化した構造を示している。メチレン基数が偶数である場合に相当するプロットは観察されなかったことから、そのような化合物は試料中に存在しないことが推測される。
また、図11(b)に示すプロットにおいてPOの数の合計(z1+z2)は0であり、測定した化合物にはPOは含まれていないことが推測される。
一般式(15)で表されるグリセリン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤の場合、マススペクトル上では(EO)y1で表されるオキシエチレン基と(EO)y2で表されるオキシエチレン基の区別がつかない。そのため、EOの付加数はy1+y2の合計値として求められる。
なお、(PO)z1で表されるオキシプロピレン基と(PO)z2で表されるオキシプロピレン基の関係も同様である。
以上の結果から、分析した化合物は一般式(15)で表されるグリセリン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、Rに含まれる炭素数xが15,17,19,21,23又は25、(y1+y2)が5〜15、かつ、(z1+z2)が0である化合物を含む混合物であるといえる。
なお、一般式(15)における、四角で囲ったCの部分は、グリセリンの3つの水酸基と結合する3箇所の結合部位のうちの任意の部位に結合していることを示している。
(ソルビタン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(16)で表される、ソルビタン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数の合計(y1+y2+y3)、POの数の合計(z1+z2+z3)がそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
(式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y1、y2、y3、z1、z2、z3はそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記(y1+y2+y3)の数の合計の増減に対応して現れる軸の有無、上記(z1+z2+z3)の数の合計の増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図12(a)は、一般式(16)で示される化合物の2次元プロットであり、図12(b)は、図12(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図12(a)には、一般式(16)においてRがH−(CH)xである場合の構造式を例示している。
図12(b)の左側に示す丸印(白抜き)の並びが図12(a)に示す構造式においてメチレン基数x=11である場合に対応しており、EOの数の合計(y1+y2+y3)の増減(24〜28)に対応して現れる軸を示している。また、右側に示す丸印(塗りつぶし)の並びがメチレン基数x=19である場合に対応しており、EOの数の合計(y1+y2+y3)の増減(14〜32)に対応して現れる軸を示している。
また、三角印(白抜き)の並びはEOの数の合計(y1+y2+y3)が24である場合に対応しており、メチレン基数がそれぞれ9〜19の範囲で変化した構造を示している。メチレン基数が偶数である場合に相当するプロットは観察されなかったことから、そのような化合物は試料中に存在しないことが推測される。
また、図12(b)に示すプロットにおいてPOの数の合計(z1+z2+z3)は0であり、測定した化合物にはPOは含まれていないことが推測される。
一般式(16)で表されるソルビタン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤の場合、マススペクトル上では(EO)y1で表されるオキシエチレン基、(EO)y2で表されるオキシエチレン基、(EO)y3で表されるオキシエチレン基の区別がつかない。そのため、EOの付加数はy1+y2+y3の合計値として求められる。
なお、(PO)z1で表されるオキシプロピレン基、(PO)z2で表されるオキシプロピレン基、(PO)z3で表されるオキシプロピレン基の関係も同様である。
以上の結果から、分析した化合物は一般式(16)で表されるソルビタン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、Rに含まれる炭素数xが9,11,13,15,17又は19、(y1+y2+y3)が14〜32、かつ、(z1+z2+z3)が0である化合物を含む混合物であるといえる。
なお、一般式(16)における、四角で囲ったCOの部分は、ソルビタンの4つの水酸基と結合する4箇所の結合部位のうちの任意の部位に結合していることを示している。
(ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩構造を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(17)で表される、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
(式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、Mは陽イオンであり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記yの増減に対応して現れる軸の有無、上記zの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図13(a)は、一般式(17)で示される化合物の2次元プロットであり、図13(b)は、図13(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図13(a)には、一般式(17)においてRがH−(CH)xである場合の構造式を例示している。
図13(b)の左側に示す丸印(白抜き)の並びが図13(a)に示す構造式においてメチレン基数x=12である場合に対応しており、EOの数yの増減(0〜6)に対応して現れる軸を示している。また、右側に示す丸印(塗りつぶし)の並びがメチレン基数x=18である場合に対応しており、EOの数yの増減(0〜3)に対応して現れる軸を示している。
また、三角印(白抜き)の並びはEOの数yが2である場合に対応しており、メチレン基数がそれぞれ12〜18の範囲で変化した構造を示している。メチレン基数が奇数である場合に相当するプロットは観察されなかったことから、そのような化合物は試料中に存在しないことが推測される。
また、図13(b)に示すプロットにおいてPOの数zは0であり、測定した化合物にはPOは含まれていないことが推測される。
以上の結果から、分析した化合物は一般式(17)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩構造を有する界面活性剤であり、Rに含まれる炭素数xが12,14,16又は18、yが0〜6、かつ、zが0である化合物を含む混合物であるといえる。
(ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩構造を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(18)で表される、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
(式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、Mは陽イオンであり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記yの増減に対応して現れる軸、上記zの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図14(a)は、一般式(18)で示される化合物の2次元プロットであり、図14(b)は、図14(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図14(a)には、一般式(18)においてRがH−(CH)xである場合の構造式を例示している。
図14(b)の左側に示す丸印(白抜き)の並びが図14(a)に示す構造式においてメチレン基数x=12である場合に対応しており、EOの数yの増減(0〜11)に対応して現れる軸を示している。また、右側に示す丸印(塗りつぶし)の並びがメチレン基数x=14である場合に対応しており、EOの数yの増減(0〜9)に対応して現れる軸を示している。
また、三角印(白抜き)の並びはEOの数yが2である場合に対応しており、メチレン基数がそれぞれ12〜16の範囲で変化した構造を示している。メチレン基数が奇数である場合に相当するプロットは観察されなかったことから、そのような化合物は試料中に存在しないことが推測される。
また、図14(b)に示すプロットにおいてPOの数zは0であり、測定した化合物にはPOは含まれていないことが推測される。
以上の結果から、分析した化合物は一般式(18)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩構造を有する界面活性剤であり、Rに含まれる炭素数xが12,14又は16、yが0〜11、かつ、zが0である化合物を含む混合物であるといえる。
(ポリオキシアルキレン脂肪酸メチルエステル構造(ポリオキシアルキレンメチルエーテル脂肪酸エステル構造)を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(19)で表される、ポリオキシアルキレン脂肪酸メチルエステル構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
(式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記yの増減に対応して現れる軸の有無、上記zの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図15(a)は、一般式(19)で示される化合物の2次元プロットであり、図15(b)は、図15(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図15(a)には、一般式(19)においてRがH−(CH)xである場合の構造式を例示している。
図15(b)に示す丸印(白抜き)の並びが一般式(19)においてメチレン基数x=11である場合に対応しており、EOの数yの増減(5〜13)に対応して現れる軸を示している。
この2次元プロットでは、メチレン基数がx=11である以外の軸は表れていないことから、メチレン基数x=11である化合物のみが試料中に存在していることが推測される。また、図15(b)に示すプロットにおいてPOの数zは0であり、測定した化合物にはPOは含まれていないことが推測される。
以上の結果から、分析した化合物は一般式(19)で表されるポリオキシアルキレン脂肪酸メチルエステル構造を有する界面活性剤であり、Rに含まれる炭素数xが11、yが5〜13、かつ、zが0である化合物を含む混合物であるといえる。
(ポリグリセリン脂肪酸エステル構造を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(20)で表される、ポリグリセリン脂肪酸エステル構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、R10に含まれる炭素数x、グリセリンユニットの数yがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。
(式中、R10は2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記yの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
上記R10に含まれる炭素数、グリセリンユニットの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するR10に含まれる炭素数、グリセリンユニットの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記R10に含まれる炭素数、グリセリンユニットの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するR10に含まれる炭素数、グリセリンユニットの数がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図16(a)は、一般式(20)で示される化合物の2次元プロットであり、図16(b)は、図16(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図16(a)には、一般式(20)においてR10がH−(CH)xである場合の構造式を例示している。
図16(b)に示す丸印(白抜き)の並びが図16(a)に示す構造式においてメチレン基数x=9である場合に対応しており、グリセリンユニット数yの増減(2〜5)に対応して現れる軸を示している。
この2次元プロットでは、メチレン基数がx=9である以外の軸は表れていないことから、メチレン基数x=9である化合物のみが試料中に存在していることが推測される。
以上の結果から、分析した化合物は一般式(20)で表されるポリグリセリン脂肪酸エステル構造を有する界面活性剤であり、R10に含まれる炭素数xが9、かつ、yが2〜5である化合物を含む混合物であるといえる。
(ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル構造を有する界面活性剤)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(21)で表される、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル構造を有する界面活性剤であり、
上記ライブラリーには、R11に含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。

(式中、R11は2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記yの増減に対応して現れる軸の有無、上記zの増減に対応して現れる軸をそれぞれ判別し、
上記R11に含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記界面活性剤が有するR11に含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記R11に含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記界面活性剤が有するR11に含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
図17(a)は、一般式(21)で示される化合物の2次元プロットであり、図17(b)は、図17(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
このプロットにはR11に含まれる2重結合が0個、1個、2個である化合物に由来するプロットが含まれている。以下、R11に含まれる炭素数xと2重結合の数nをCで表す。例えば、C16はR11に含まれる炭素数が16個であり2重結合の数が1個であることを表す。
図17(b)に示す丸印(白抜き)の並びはR11に含まれる炭素数が14個、2重結合の数が0個(C14)である場合に対応しており、EOの数yの増減(7〜11)に対応して現れる軸を示している。
図17(b)に示す四角印(白抜き)の並びはR11に含まれる炭素数が16個、2重結合の数が1個(C16)である場合に対応しており、EOの数yの増減(8〜10)に対応して現れる軸を示している。
図17(b)に示す三角印(白抜き)の並びはR11に含まれる炭素数が18個、2重結合の数が2個(C18)である場合に対応しており、EOの数yの増減(7〜10)に対応して現れる軸を示している。
図17(b)に示す四角印(塗りつぶし)の並びはR11に含まれる炭素数が16個、2重結合の数が0個(C16)である場合に対応しており、EOの数yの増減(7〜12)に対応して現れる軸を示している。
図17(b)に示す三角印(塗りつぶし)の並びはR11に含まれる炭素数が18個、2重結合の数が1個(C18)である場合に対応しており、EOの数yの増減(5〜13)に対応して現れる軸を示している。
また、図17(b)に示すプロットにおいてPOの数zは0であり、測定した化合物にはPOは含まれていないことが推測される。
これらの結果から、分析した化合物は一般式(21)で表されるポリオキシアルキレン脂肪酸エステル構造を有する界面活性剤であり、R11に含まれる炭素数xが14,16又は18であり、R11に含まれる2重結合が0個、1個又は2個であり、yが5〜13であり、かつ、zが0である化合物を含む混合物であるといえる。
また、これらの結果から、2重結合の数によって保持時間が変化し軸の位置が動くことが分かるが、2重結合の数によらず、同系統の化合物はEOの数の増減に対応する軸を有するため、炭化水素鎖に2重結合がある化合物についても本発明の分析方法を適用することによってその構造を推定することができる。
(ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)構造を有する化合物)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(22)で表される、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)構造を有する化合物であり、
上記ライブラリーには、アルキル(メタ)アクリレートユニットの数xが変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。

(式中、xは1以上の整数であり、R12は2重結合を含んでいてもよい炭化水素基であり、R13は水素原子又はメチル基である。)
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸の有無を判別し、
上記アルキル(メタ)アクリレートユニットの数について、対応する軸を有する場合は、上記化合物が有するアルキル(メタ)アクリレートユニットの数が一定値ではないと判定し、
上記アルキル(メタ)アクリレートユニットの数について、対応する軸を有さない場合は、上記化合物が有するアルキル(メタ)アクリレートユニットの数が一定値であると判定することが望ましい。
図18(a)は、一般式(22)においてR12がメチル基、R13が水素原子である化合物の2次元プロットであり、図18(b)は、図18(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図18(b)に示す丸印(白抜き)の並びが一般式(22)においてアルキル(メタ)アクリレートユニットであるメチルアクリレートユニット数の増減(6〜10)に対応して現れる軸を示している。
この2次元プロットでは、メチルアクリレートユニット数の増減にのみ対応したプロットが表れている。
以上の結果から、図18(a)及び(b)で分析した化合物は一般式(22)で表されるポリ(メチルアクリレート)構造を有する界面活性剤であり、メチルアクリレートユニットの数xが6〜10である化合物を含む混合物であるといえる。
また、図19(a)は、一般式(22)においてR12がメチル基、R13がメチル基である化合物の2次元プロットであり、図19(b)は、図19(a)に示される一部のプロットをライブラリーと照合した様子を示している。
図19(b)に示す丸印(白抜き)の並びが一般式(22)においてアルキル(メタ)アクリレートユニットであるメチルメタクリレートユニット数の増減(6〜16)に対応して現れる軸を示している。
上記丸印(白抜き)の並びで表される軸は、付加イオンの価数が1価であるプロットで構成される軸である。
図19(b)において三角印(白抜き)の並びで表される軸は、付加イオンの価数が2価であるプロットである。図19(b)においてはx=20の点を例示している。
この2次元プロットでは、メチルメタクリレートユニット数の増減にのみ対応したプロットが表れている。
以上の結果から、図19(a)及び(b)で分析した化合物は一般式(22)で表されるポリ(メチルメタクリレート)構造を有する界面活性剤であり、メチルメタクリレートユニットの数xが6〜16である化合物を含む混合物であるといえる。
(カルボン酸系共重合体)
本発明の分析方法において、上記試料に含まれる構造未知の化合物は、下記一般式(23)で表される単量体(a)と下記一般式(24)で表される単量体(b)を含む共重合体構造を有する化合物であり、
上記ライブラリーには、単量体(a)の数x、単量体(b)の数yがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されていることが望ましい。

(式中、xは1以上の整数であり、R14は2重結合を含んでいてもよい炭化水素基であり、R15及びR16は、それぞれ同一又は異なって、水素原子又はメチル基であり、Qは水素原子、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基、又は、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基でエステル化されたカルボキシル基である。)

(式中、yは1以上の整数であり、R17及びR18は、それぞれ同一又は異なって、水素原子又はメチル基である。Q及びQは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基、又は、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基でエステル化されたカルボキシル基、又は、置換基を有してもよいアリール基である。)
上記単量体(a)の例としては、α、β−不飽和カルボン酸類に由来する単量体が挙げられ、具体的には、アルキル(メタ)アクリレートに由来する単量体、カルボキシル基が炭化水素基でエステル化されたマレイン酸又はフマル酸に由来する単量体等が挙げられ、これらの単量体の有するC−C間2重結合が−C−C−となった構造が挙げられる。
より具体的には、メチルエステルであるメチルアクリレート、メチルメタクリレート、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル等に由来する単量体が挙げられる。
上記単量体(b)の例としては、アルキル(メタ)アクリレートに由来する単量体、オレフィン系単量体、カルボキシル基が炭化水素基でエステル化されたマレイン酸又はフマル酸に由来する単量体、スルホン酸基が炭化水素基でエステル化されたスチレンスルホン酸に由来する単量体等が挙げられる。
具体的には、これらの単量体の有するC−C間2重結合が−C−C−となった構造が挙げられる。
より具体的には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、スチレン、スチレンスルホン酸メチル等に由来する単量体が挙げられる。
上記単量体(a)と(b)の組み合わせによる共重合体構造の例としては、下記化学式(25)〜(28)で示される化合物等が挙げられる。
(R19はオレフィンの残基であり、水素原子又は炭化水素基である。)
(R19はオレフィンの残基であり、水素原子又は炭化水素基である。)
化学式(25)で示される化合物は、単量体(a)がメチルアクリレートに由来する単量体であり、単量体(b)がオレフィンに由来する単量体である共重合体構造を有する化合物である。
化学式(26)で示される化合物は、単量体(a)がメチルアクリレートに由来する単量体であり、単量体(b)がメチルメタクリレートに由来する単量体である共重合体構造を有する化合物である。
化学式(27)で示される化合物は、単量体(a)がメチルアクリレートに由来する単量体であり、単量体(b)がマレイン酸ジメチル又はフマル酸ジメチルに由来する単量体である共重合体構造を有する化合物である。
化学式(28)で示される化合物は、単量体(a)がマレイン酸ジメチル又はフマル酸ジメチルに由来する単量体であり、単量体(b)がオレフィンに由来する単量体である共重合体構造を有する化合物である。
また、上記2次元プロットにおいて、上記xの増減に対応して現れる軸、上記yの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
上記単量体(a)の数、単量体(b)の数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、上記化合物が有する単量体(a)の数、単量体(b)の数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
上記単量体(a)の数、単量体(b)の数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、上記化合物が有する単量体(a)の数、単量体(b)の数がそれぞれ一定値であると判定することが望ましい。
上記共重合体構造で表される化合物を分析する場合、単量体(a)の数が変化した場合に対応する軸を有しているか、単量体(b)の数が変化した場合に対応する軸を有しているかを判別する。そして、各プロットのm/z及び保持時間をライブラリーと照合することによって単量体(a)の数xと単量体(b)の数yを決定することで、試料に含まれている共重合体の構造を同定することができる。
なお、試料に含まれる構造未知の化合物が、カルボキシル基又はそれらの塩を有し、上記カルボキシル基又はそれらの塩をエステル化試薬を用いてエステル化することにより上記一般式(22)で表されるポリ(アルキル(メタ)アクリレート)構造を有する化合物又は上記一般式(23)で表される単量体(a)及び一般式(24)で表される単量体(b)を含む共重合体構造を有する化合物となる化合物である場合、上記カルボキシル基又はそれらの塩をエステル化試薬を用いてエステル化した後に本発明の分析方法を用いて分析を行うことにより、上記一般式(22)で表されるポリ(アルキル(メタ)アクリレート)構造を有する化合物の分析方法又は上記一般式(23)で表される単量体(a)と上記一般式(24)で表される単量体(b)とを含む共重合体構造を有する化合物の分析方法と同様にして分析を行うことができる。
エステル化の方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができるが、例えば、酸触媒−無水アルコール溶液(塩化水素・メタノール溶液、三塩化ホウ素・メタノール溶液等)によるエステル化、ジメチルホルムアミドジアルキルアセタール(ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、ジメチルホルムアミドジブチルアセタール等)によるエステル化、1−アルキル−3−p−トリルトリアゼンによるエステル化、ジアゾメタン類(トリメチルシリルジアゾメタン等)によるエステル化等の方法を挙げることができる。
エステル化を行うことにより、LCMSによる分析を好適に行うことができ、エステル化に用いたエステル化試薬が分かっていれば、エステル化を行う前の化合物の構造(カルボキシル基又はそれらの塩を有する構造)を同定することができる。
なお、本発明の分析方法で上記一般式(13)〜(22)で表される化合物、化学式(25)若しくは(28)で表される化合物、又は、上記一般式(23)で表される単量体(a)と下記一般式(24)で表される単量体(b)を含む共重合体構造を有する化合物を分析する場合、各化合物に含まれるR〜R12、R14及びR19で表される炭化水素基並びにQ〜Qに含まれる炭化水素基は直鎖炭化水素基でも分岐炭化水素基でもよい。炭素数及び2重結合数が同じであれば直鎖炭化水素基でも分岐炭化水素基であっても、m/zは同じとなる。保持時間は直鎖炭化水素基と分岐炭化水素基では厳密には異なるため、液体クロマトグラフの分析条件によっては明確に分離可能である。
明確に分離可能になる分析条件で測定を行った場合、炭化水素基の構造の情報も含むライブラリーとの照合を行うことによって直鎖炭化水素基であるか分岐炭化水素基であるかを同定することができる。
また、各化合物に含まれるR〜R12、R14及びR19で表される炭化水素基並びにQ〜Qに含まれる炭化水素基には2重結合が含まれていてもよい。
〜R12、R14及びR19並びにQ〜Qに2重結合を含むことが既知である化合物を用いたライブラリーを作成し、そのライブラリーと対照を行うことによってR〜R12、R14、及びR19並びにQ〜Qの詳細な構造についても同定を行うことができる。
また、各化合物に含まれるR〜R19及びQ〜Qに含まれる水素の一部がハロゲン、ヒドロキシル基等で置換された構造であってもよい。
また、各化合物に含まれるR〜R12、R14及びR19で表される炭化水素基並びにQ〜Qに含まれる炭化水素基は鎖状脂肪族炭化水素基に限定されるわけではなく、芳香環を含んでもよく、環状炭化水素基を含んでもよく、エーテル結合を含む環状炭化水素基を含んでいてもよい。
1 分析装置
10 液体クロマトグラフ(LC)
20 質量分析計(MS)
34 ライブラリー

Claims (31)

  1. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(1)で表される構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数及びRに含まれる炭素数の合計及びx、yの数がそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    −O−(EO)x−(PO)y−R (1)
    (式中、R及びRは水素原子又は直鎖若しくは分岐アルキル基であり、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基であり、x、yはそれぞれ0以上の整数である)
  2. 前記2次元プロットにおいて、前記Rに含まれる炭素数及び前記Rに含まれる炭素数の合計の増減に対応して現れる軸、前記xの増減に対応して現れる軸、前記yの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
    前記R及びR、EO、POのそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するRの炭素数とRの炭素数の合計、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記R及びR、EO、POのそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するRの炭素数とRの炭素数の合計、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定する、請求項に記載の分析方法。
  3. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(13)で表される、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数の合計(y1+y2)、POの数の合計(z1+z2)がそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y1、y2、z1、z2はそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
  4. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記(y1+y2)の数の合計の増減に対応して現れる軸、前記(z1+z2)の数の合計の増減に対応して現れる軸、の有無をそれぞれ判別し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値であると判定する、請求項に記載の分析方法。
  5. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(14)で表される、脂肪酸N−メチルアミドアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、前記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
  6. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記yの増減に対応して現れる軸の有無、前記zの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定する、請求項に記載の分析方法。
  7. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(15)で表される、グリセリン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数の合計(y1+y2)、POの数の合計(z1+z2)がそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y1、y2、z1、z2はそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
  8. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記(y1+y2)の数の合計の増減に対応して現れる軸、前記(z1+z2)の数の合計の増減に対応して現れる軸、の有無をそれぞれ判別し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値であると判定する、請求項に記載の分析方法。
  9. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(16)で表される、ソルビタン脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数の合計(y1+y2+y3)、POの数の合計(z1+z2+z3)がそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y1、y2、y3、z1、z2、z3はそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
  10. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記(y1+y2+y3)の数の合計の増減に対応して現れる軸の有無、前記(z1+z2+z3)の数の合計の増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数の合計、POの数の合計がそれぞれ一定値であると判定する、請求項に記載の分析方法。
  11. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(17)で表される、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、Mは陽イオンであり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
  12. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記yの増減に対応して現れる軸の有無、前記zの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定する、請求項11に記載の分析方法。
  13. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(18)で表される、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、Mは陽イオンであり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
  14. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記yの増減に対応して現れる軸、前記zの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定する、請求項13に記載の分析方法。
  15. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(19)で表される、ポリオキシアルキレン脂肪酸メチルエステル構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、Rに含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、Rは2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
  16. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記yの増減に対応して現れる軸の有無、前記zの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記Rに含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するRに含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定する、請求項15に記載の分析方法。
  17. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(20)で表される、ポリグリセリン脂肪酸エステル構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、R10に含まれる炭素数x、グリセリンユニットの数yがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、R10は2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数である。)
  18. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記yの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
    前記R10に含まれる炭素数、グリセリンユニットの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するR10に含まれる炭素数、グリセリンユニットの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記R10に含まれる炭素数、グリセリンユニットの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するR10に含まれる炭素数、グリセリンユニットの数がそれぞれ一定値であると判定する、請求項17に記載の分析方法。
  19. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(21)で表される、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル構造を有する界面活性剤であり、
    前記ライブラリーには、R11に含まれる炭素数x、EOの数y、POの数zがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、R11は2重結合を含んでいてもよい、炭素数xの炭化水素基又は水素原子であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基であり、xは1以上の整数であり、y、zはそれぞれ同一又は異なって0以上の整数である。)
  20. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記yの増減に対応して現れる軸の有無、前記zの増減に対応して現れる軸をそれぞれ判別し、
    前記R11に含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記界面活性剤が有するR11に含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記R11に含まれる炭素数、EOの数、POの数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記界面活性剤が有するR11に含まれる炭素数、EOの数、POの数がそれぞれ一定値であると判定する、請求項19に記載の分析方法。
  21. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、一般式(22)で表される、ポリ(アルキル(メタ)アクリレート)構造を有する化合物であり、
    前記ライブラリーには、アルキル(メタ)アクリレートユニットの数xが変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、xは1以上の整数であり、R12は2重結合を含んでいてもよい炭化水素基であり、R13は水素原子又はメチル基である。)
  22. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸の有無を判別し、
    前記アルキル(メタ)アクリレートユニットの数について、対応する軸を有する場合は、前記化合物が有するアルキル(メタ)アクリレートユニットの数が一定値ではないと判定し、
    前記アルキル(メタ)アクリレートユニットの数について、対応する軸を有さない場合は、前記化合物が有するアルキル(メタ)アクリレートユニットの数が一定値であると判定する、請求項21に記載の分析方法。
  23. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、下記一般式(23)で表される単量体(a)と下記一般式(24)で表される単量体(b)を含む共重合体構造を有する化合物であり、
    前記ライブラリーには、単量体(a)の数x、単量体(b)の数yがそれぞれ変化した場合の構造式に関連付けられたm/z及び保持時間が格納されている分析方法。
    (式中、xは1以上の整数であり、R14は2重結合を含んでいてもよい炭化水素基であり、R15及びR16は、それぞれ同一又は異なって、水素原子又はメチル基であり、Qは水素原子、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基、又は、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基でエステル化されたカルボキシル基である。)
    (式中、yは1以上の整数であり、R17及びR18は、それぞれ同一又は異なって、水素原子又はメチル基である。Q及びQは、それぞれ同一又は異なって、水素原子、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基、又は、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基でエステル化されたカルボキシル基、又は、置換基を有してもよいアリール基である。)
  24. 前記2次元プロットにおいて、前記xの増減に対応して現れる軸、前記yの増減に対応して現れる軸の有無をそれぞれ判別し、
    前記単量体(a)の数、単量体(b)の数のそれぞれについて、対応する軸を有する場合は、前記化合物が有する単量体(a)の数、単量体(b)の数がそれぞれ一定値ではないと判定し、
    前記単量体(a)の数、単量体(b)の数のそれぞれについて、対応する軸を有さない場合は、前記化合物が有する単量体(a)の数、単量体(b)の数がそれぞれ一定値であると判定する、請求項23に記載の分析方法。
  25. 構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る工程、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得る工程、
    前記2次元プロットをライブラリーと照合して前記試料に含まれる構造未知の化合物の構造を同定する工程を含む分析方法であって、
    前記ライブラリーには、構造式、m/z及び保持時間が関連付けて格納されており、
    前記2次元プロットに含まれる各プロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより各プロットと構造式の関係を決定し、
    前記試料に含まれる構造未知の化合物は、カルボキシル基又はそれらの塩を有し、前記カルボキシル基又はそれらの塩をエステル化試薬を用いてエステル化することにより記一般式(22)で表されるポリ(アルキル(メタ)アクリレート)構造を有する化合物又は記一般式(23)で表される単量体(a)及び一般式(24)で表される単量体(b)を含む共重合体構造を有する化合物となる化合物であって、
    前記カルボキシル基又はそれらの塩をエステル化試薬を用いてエステル化した後に請求項2124に記載のいずれかの分析方法により分析を行う分析方法。
    (式中、xは1以上の整数であり、R 12 は2重結合を含んでいてもよい炭化水素基であり、R 13 は水素原子又はメチル基である。)
    (式中、xは1以上の整数であり、R 14 は2重結合を含んでいてもよい炭化水素基であり、R 15 及びR 16 は、それぞれ同一又は異なって、水素原子又はメチル基であり、Q は水素原子、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基、又は、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基でエステル化されたカルボキシル基である。)
    (式中、yは1以上の整数であり、R 17 及びR 18 は、それぞれ同一又は異なって、水素原子又はメチル基である。Q 及びQ は、それぞれ同一又は異なって、水素原子、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基、又は、2重結合を含んでいてもよい炭化水素基でエステル化されたカルボキシル基、又は、置換基を有してもよいアリール基である。)
  26. 前記試料には、特定の構造の繰り返し数が異なる他は同じ構造式を有する同系統の化合物が複数種類含まれており、
    前記2次元プロットには、前記複数種類の化合物に由来する複数のプロットが含まれており、
    前記2次元プロットに含まれるプロットのm/z及び保持時間を前記ライブラリーに格納されたm/z及び保持時間と照合することにより少なくとも1つのプロットと構造式の関係を決定した後に、
    前記特定の構造の数の違いに対応して前記2次元プロットに表れる軸の有無を判別し、
    前記軸が有る場合は以下のステップ(a)、(b)によって各プロットと構造式の関係を決定する工程を含む、請求項1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23及び25のいずれかに記載の分析方法。
    (a)同一の前記軸に属する同系統の化合物においてm/z及び保持時間が変化する法則性と前記特定の構造との関係を決定する。
    (b)構造式が既に決定されたプロットと同一の軸に属する、構造式が決定されていないプロットについて、前記m/z及び保持時間が変化する法則性と前記特定の構造との関係に基づき各プロットと構造式の関係を決定する。
  27. 前記液体クロマトグラフで使用するカラムは、逆相クロマトグラフ法用充填剤カラムである請求項1〜26のいずれかに記載の分析方法。
  28. 前記充填剤カラムは、C又はC18で修飾したカラムである請求項27に記載の分析方法。
  29. 前記液体クロマトグラフで使用する移動相は、揮発性緩衝液を含有する溶液であり、グラジエント溶離法を用いて溶出を行う請求項1〜28のいずれかに記載の分析方法。
  30. 構造既知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得て、
    前記マススペクトルデータから、縦軸にm/z、横軸に保持時間を取った2次元プロットを得て、
    前記2次元プロット中の各プロットにおけるm/zの値と、前記構造既知の化合物の構造から考えられ得る構造式とを関連付け、さらにそのプロットの保持時間を読み取って、構造式、m/z及び保持時間の3つからなるデータを関連付けて格納することによりライブラリーを作成し、
    作成した前記ライブラリーを用いて前記構造未知の化合物の分析を行う、請求項1〜29のいずれかに記載の分析方法。
  31. 構造既知の化合物を含む試料についてマススペクトルデータを得る際の液体クロマトグラフ及び質量分析計の測定条件は、
    構造未知の化合物を含む試料について液体クロマトグラフと質量分析計を用いてマススペクトルデータを得る際の液体クロマトグラフ及び質量分析計の測定条件と同一である、請求項30に記載の分析方法。
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