本明細書で説明する様々な実施の形態は、応用や代替的な形態への変更が可能であり、その態様を例として図面に示すとともに、詳細に説明する。しかしながら、本発明は、説明される具体的な実施に形態に当該発明を限定するものではない点、理解されるところである。これに対し、本開示の目的は、特許請求の範囲によって画定される態様を含む本開示の技術的観点に包含される全ての応用、均等、及び代替をカバーすることである。また、本出願全体に渡り使用する用語「例」は、限定ではなく例示の意味のみである。
本開示の態様は、様々な合成化合物及びその形成方法、並びに質量分析によって互いに区別可能である合成化合物のライブラリを生成する方法に適用可能である。ある実施例では、ライブラリの各化合物は、化合物を形成する分子の質量分析特性の識別によって配列することができる。例えば、ライブラリは、異なる官能基から形成される複数の分子を用いて設計され、各分子は、他の複数の分子と比較して区別可能な質量分析特性を有する。導出される化合物は、次に、どの区別可能な質量分析特性が存在するかを識別するために質量分析を行うことで、配列することができる。本発明は当該用途に必ずしも限定されていないが、発明の様々な態様が、本文脈を用いて、様々な実施例の説明を介して明らかとなる。
従って、以下の説明において、様々な具体的な詳細が、本明細書で示す具体的な実施例を説明するように記載される。しかしながら、当業者にとっては、以下で説明する全ての具体的な詳細なしでもこれらの例についての1つ以上の他の例及び/又は応用が実施し得る点、明らかである。他の例においては、よく知られている特徴については、本明細書における例についての説明の明瞭化のため、詳細には説明しない。理解の容易化のため、同一要素又は同一要素の追加の例について、異なる図面において同一の参照符号を付す場合がある。
本開示に係る様々な実施の形態は、スクリーニング又は他の目的のために用いられる合成化合物のライブラリを設計及び/又は形成する技法に関する。ライブラリは、複数のポリマービーズを含み、各ビーズは、それに付着する異なる化合物を有する。より具体的には、ライブラリは、複数の分子の異なる配列の組み合わせを含む複数の合成化合物を含む。ライブラリは、ターゲットに対する化合物の反応又は相互作用をスクリーニングし、診断分析を生成し、及び/又は特定の官能性を提供する新たな化合物を識別することに用いることができる。各化合物は、公知の質量分析特性であって、他の複数の分子の質量分析特性に対して区別可能(例えば、固有)な質量分析特性を有する複数の異なる分子から形成される。区別可能又は固有な質量分析特性は、本明細書で用いるように、分子及び/又はサブ基のセットにおける他の値からの閾値によって分離可能な質量分析特性の値を含み、又は指す。(例えば、ターゲットに反応する)ヒットである各化合物は、化合物を形成する分子の質量分析特性によって識別され、当該化合物は、分析、治療、又は他の目的に使用され得る。
ヒットである化合物の分子の質量分析特性は、質量分析を行うことで読み出されるバーコードとして作用する。例えば、ライブラリにおける各化合物を形成するために用いられる分子は、質量分析を用いて識別可能な異なる(及び公知の)分子量、フラグメンテーションパターン、溶出時間、及び/又は同位体分布を有する。各質量分析特性は、例えば、マップ、キー、又は他の関連付けを介して各分子をマッピングすることができ、各分子は、ライブラリにおいて形成される化合物の配列内の位置に割り当てられる。本明細書でさらに示すように、分子は、様々な官能基等の複数のサブ基から形成される。各サブ基は、追加で、区別可能な質量分析特性を有し、ライブラリにおける分子の配列内の位置に割り当てられる。質量分析特性は、従って、分子自体、化合物の配列内の分子の位置、さらには分子を形成するサブ基の配列を識別する。
反応させたビーズは、開裂及び質量分析の実行を介してビーズから化合物及び分子を互いに分離することにより、各化合物を区別するために用いることができる。識別された質量分析特性は、ライブラリにおける潜在的な分子の潜在的な、又は、公知の質量分析特性と比較され、化合物の配列(例えば、各分子を形成するサブ基の配列における識別を含む、化合物を形成する複数の分子の配列)を識別するために用いられる。本開示に係る、形成されるライブラリは、10^8から10^9又はそれより多い化合物上にあり、直径10ミクロン等のサブ90ミクロン直径のビーズを含むことができる。ライブラリは、本明細書でさらに説明するように、光学式スキャナを用いてスクリーニング可能である。
上記ライブラリを形成するために、様々な実施の形態は、ミクロンサイズのビーズ上の合成化合物のライブラリを設計しスクリーニングする、ことを含む。ライブラリは、医薬品、試薬、センサ、又は物質等の様々な機能を区別するためスクリーニングすることができる。合成化合物は、ポリマー又はオリゴマーを含み、本明細書で「分子」と称される複数の開裂可能なフラグメントから形成される。開裂可能なフラグメントは、化合物を形成する分子の配列を画定する質量分析特性を有する。ライブラリは、異なるサブ基から形成される分子(例えば、開裂可能なフラグメント)を設計する論理回路を用いて、複数の分子を分析してその質量分析特性を決定し、その質量分析特性に基づいてライブラリにおいて用いる少なくともいくつかの分子を選択し、ライブラリにおける化合物の配列内の位置に選択された各分子を割り当てることで形成可能である。分子は、論理回路のメモリ回路において、割り当てられた位置と関連付けされる。ライブラリは、選択した分子を用いて、それらの割り当てられた位置に基づいて複数の化合物を合成することにより、及び/又は選択した分子及び割り当てられた位置を用いて、メモリ回路に記憶されるデータオブジェクトとして複数の化合物のそれぞれを定義することにより、形成可能である。分子は、選択した分子の全ての質量分析特性が、例えば、それらの分子量が少なくとも5パーツパーミリオン(ppm)離間するように、他の選択された分子から区別可能であることを確実にするために選択可能である。実施の形態はこの場合に限定されず、質量分析特性を分ける異なる閾値を含むことができる。用いる分子を選択し、各位置を割り当てた後、化合物は、少なくともいくつかの分子間に位置する開裂可能基を備えた複数の分子からなるビーズ上の化合物を合成するために混合及び分離合成の組み合わせによって合成可能である。開裂可能基は、化合物のバックボーンに挿入され、合成における各混合及び分離ステップで各分子(例えば、PTych)間に位置することができる。
理解され得るところであるが、ライブラリは、メモリ回路内にデータとして設計されて記憶することができる、及び/又は物理的な化合物となり得る。例えば、ライブラリは、論理回路を用いて設計することができ、論理回路のメモリ回路データに(例えば、データオブジェクトとして)記憶することができる、及び/又は、当該論理回路で通信可能である。他の実施例において、ライブラリは、物理的に形成された化学構造(データに格納されないが、形成される物理的な化学構造の集合物である)のライブラリを含むように設計及び物理的に形成される。
様々な実施の形態において、分子は、1セットの候補となる分子を設計して当該1セットの候補となる分子から複数の分子を選択することで選択される。各分子は、複数のサブ基から形成される単一の単位へと開裂されるように設計される。互いに対して区別可能な質量特性を示す複数のサブ基が選択され、複数のサブ基のそれぞれは、候補となる分子のセットの配列における位置に割り当てられ、及び/又は、(割り当てられた)位置はメモリ内で関連付けされる。上記のように、区別可能な質量分析特性を示す複数の分子が、候補となる分子から選択される。複数の実施の形態において、分子及び/又は化合物の設計(例えば、サブ基を選択すること、異なる候補となる分子を設計するため分子内の位置にサブ基を関連付けすること、分子を選択すること、及び化合物内の位置に分子を関連付けすること)は、論理回路を用いて行うことができ、上記のようにメモリ回路に記憶可能である。しかしながら、実施の形態はこの場合に限定されない。
具体的な実施の形態として、ライブラリが10の分子から形成される化合物とともに設計されており、各分子が3つのサブ基から形成される場合を想定する。また、ライブラリは、合計35のサブ基とともに設計されており、5つの潜在的なサブ基が分子の5つの第1の位置にあり、15の潜在的なサブ基が分子の第2及び第3の位置にある場合を想定する。分子内の各位置における潜在的なサブ基のセットを用いて、サブ基の配列及び分子の質量分析特性を有する候補となる分子のセットが設計され、これは、分子を形成するサブ基の質量分析特性の総計に基づいている。ライブラリにおいて、用いられる区別可能な質量分析特性を有する複数の候補となる分子のセットが選択される。上記のように、当該実施例において、ライブラリ内の各化合物は、分子について10の位置を有し、第1の位置がビーズに最も近く、第10の位置がビーズから最も遠い。各位置は、10の潜在的な分子を有するように設計され、それによって固有の分子量及び/又は他の異なる質量分析特性を有する合計100(例えば、10×10)の異なる分子が得られる。さらに、各化合物は、合計30のサブ基(例えば、1の分子当たり10の分子×3つのサブ基)を含む。所望の機能が得られると考えられる特定の化合物を区別するために、ライブラリは、1010の異なる化合物を含むことができるが、100の異なる質量分析特性のみ(例えば、100の分子量、100のフラグメンテーションパターン、又は100の同位体分布、及び/又は、分子量、フラグメンテーションパターン、溶出時間及び/又は同位体分布の様々な組み合わせ)がスキャンされ、これは、各分子が特定の位置に関連付けされているため、100の異なる分子を表わす。質量分析特性は、分子の固有性及び化合物内の分子の位置の両方をマッピングし、化合物の全組成を識別するために用いることができる。例えば、各分子は、メモリ回路に格納されたマップのように、分子を形成するサブ基の配列にマッピングすることができる。質量分析特性が分子の配列及び分子を形成するサブ基の配列における両方を包む合成化合物の組成を識別することに用いられるので、検出感度は、現在の検出を1fmolに制限可能な質量分析装置及び/又は技法(例えば質量分析計)の機能であるか、又は、それによって制限される。当該検出感度は、90ミクロン未満のビーズ、例えば、10ミクロンのビーズを用いることを許容し、また、寸法が10^8又は10^9(例えば、数百万又は数十億)の化合物のライブラリのスクリーニングを許容する。
様々な関連する実施の形態において、ライブラリを形成するために用いられる分子は、ライブラリを形成する前にパターン化され、エラー制御として用いられる。例えば、質量分析は、ライブラリの後のスクリーニングのための比較用の基準を形成するために、選択された各分子に実行することができる。結果は、分子量、フラグメンテーションパターン、溶出時間、同位体分布、及び/又は同位体分布に関連する場合にクロマトグラフィー保持時間についての基準を提供することができる。これらの基準は、結果がバックグラウンドノイズではないことを確実なものとするために用いることができる。このように、連続的にスクリーニングを実行することができ、化合物の形成は、いくつかの実施の形態において、分子量、フラグメンテーションパターン・同位体分布及び/又はクロマトグラフィー保持時間によって識別可能である。
合成化合物のライブラリは、特定の機能を有する新たな化合物についてのスクリーニングのために用いることができる。ライブラリは、ターゲットへのスクリーニング化合物の反応又は相互作用をスクリーニングし、スクリーニングの目的のために診断分析を生成し、及び/又は特定の機能を提供する新たな化合物を識別するために用いることができる。(例えば、ターゲットに対して反応する)ヒットである各スクリーニング化合物は、分離した分子へと化合物を開裂し、導出される溶液に対して質量分析を実行することにより識別される。例えば、ライブラリ内の各化合物は、複数の分子のサブセットの固有の配列から形成され、各分子は、複数のサブ基のサブセットの固有の配列から形成される。各質量(又は、導出されるフラグメンテーションパターン、溶出時間、同位体分布、及び/又はクロマトグラフィー保持時間)は、マップ、キー又は他の関連付けを介して、例えば、各分子、化合物配列における分子の位置、及び分子を形成するサブ基の配列にマッピング可能である。反応させたビーズは、ビーズからの化合物を分離し、溶液内で化合物を形成する各分子を互いに分離し、溶液に質量分析を行ない、また分子のサブセットを示す質量を識別することにより、化合物、化合物の配列における各位置(へのマッピング)、さらには分子を形成するサブ基の配列を識別することに用いられる。
複数の具体的な実施の形態において、上記方法及び/又はポリマービーズは、10^8から10^9(又はそれ以上)の合成化合物のライブラリを生成するために用いることができる。各化合物は、単一のポリマービーズに付着される。ライブラリは、光学式スキャナ等を用いてターゲットに対するヒットについてスクリーニングすることができる。光学式スキャナの一例は、光ファイバースキャナであり、光ファイバー束のアレイ、レーザ、及び光ファイバー配列スキャン技術(FAST)等のイメージング回路(例えば、カメラ)を含む。FAST技術は、スキャンレーザでビーズを含む平面を「複写」するコンセプトに基づき、高密度にパッケージ化された光ファイバーアレイの束を用いてプレートの高解像度画像を収集する。FASTシステムは、毎分100万~2500万個のセルの速度での急速スキャンを許容する。FASTシステムの例についてのより具体的かつ一般的な情報については、HsiehHB、MaRRiNucciD、BeThelK et al.「循環腫瘍細胞の高速検出」、バイオセンサ及びバイオエレクトロニクス、2006年、21:1893-1899及びKRivacicRT、LadaNyiA、CuRRyDN et al.の「癌についての稀な細胞の検出器」、PROcNaTlAcadSciUSA、2004年、101:10501-10504を参照し、それらの全体が参照として本明細書に組み込まれる。
分析は、特定の機能を示す化合物を識別するためにビーズを用いて実行することができる。具体例において、分析は、タンパク質への結合、酵素の抑制、細胞を中和又は殺す、その他の機能について用いることができる。分析は、特定の機能を示す化合物を識別するためにスクリーニングでき、識別された化合物は、分離することができる。例えば、検出された活動は、光学式スキャナを用いて分析の蛍光性の読み出しによって評価される。特定の機能又は活動を示し得る識別されたビーズは、スキャンに基づいて識別され、スキャンプレートから除去され、選択回路を用いてウェル又はチューブ内に配置される。除去したビーズは、ビーズ上に化合物をリリースし、かつ上記のように開裂によって化合物を形成するために用いられる分子を分離するためさらに処理される。分子の各質量分析特性は、マップ、キー又は他の関連付けによって、例えば分子及び化合物の配列における位置にマッピングされ、これは、合成化合物を配列するために用いられる。
様々な関連する実施の形態においては、合成化合物は、スクリーニングする化合物を識別するためのバーコードとして用いられる。「合成コード化化合物」とも称される合成化合物は、固有の質量分析特性を有する複数の分子のサブセットから形成され、ライブラリにおいてビーズの内部に位置する。合成物である、スクリーニング化合物は、ビーズの外部に位置する。合成コード化化合物の各質量分析特性は、スクリーニング化合物にマッピングすることができ、ライブラリのスクリーニングに反応する特定の機能を示すスクリーニング化合物を配列するために用いられる。
本明細書において明らかとなり、また用いられるように、ポリマービーズは、円錐、楕円、偏球、及び長球形状等の三次元の形状に形成された高分子材料を含み、又は指す。化合物(「スクリーニング化合物」とも称する)は、ターゲットへの結合、ターゲットを中和又は殺し、及び/若しくは物理的特性の提供、その他の機能等の異なる機能について試験をするために用いられる、ライブラリ内に形成されるオリゴマー又はポリマーを含み、又は指す。合成化合物のライブラリは、上記のように、複数の合成化合物を含み、又は指し、メモリ回路内にデータとして設計されて記憶可能であり、及び/又は、様々な機能についてスクリーニングするために合成されて用いられる物理的な化学物質であり得る。いくつかの具体的な実施の形態において、物理的な化学物質は、それぞれ、ポリマービーズに接続される。従って、ある具体的な実施の形態においては、合成化合物のライブラリは、複数の異なるポリマービーズを含み、各ビーズは、異なる物理的に形成された合成化合物に結合される。「Ptych」とも称される分子は、互いに結合した1セットのサブ基を含み、又は指す。本明細書において説明するように、分子は、質量分析特性を介して互いに区別可能であり、複数のサブ基から形成可能である。サブ基は、モノマー又は官能基を含み、又は指す。複数のサブ基は、異なる機能的な特性を示す。官能基は、分子の特徴的な化学反応の原因である、分子(例えば、ポリマービーズ)内の原子及び/又は結合の基を含み、又は指す。開裂可能基は、化学的に互いから分離した分子及び/又はビーズからの化合物へと開裂する官能基を含み、又は指す。様々な実施の形態においては、開裂可能基は、複数の分子の1つ以上のサブ基である。質量分析特性は、化合物、分子、及び/又は分子の混合物に質量分析を行うことで観察される特性又は値を含み、又は指す。質量分析特性の例は、分子量、フラグメンテーションパターン、溶出時間、同位体分布、及びクロマトグラフィー保持時間(例えば、クロマトグラフィー維持同位体分布)を含む。合成コード化化合物とも称されるコード化化合物は、ペプチド、オリゴマー、ポリマー、又はスクリーニングされる各化合物をラベリングする化合物若しくは分子その他の配列を含み、又は指す。様々な実施の形態において、コード化化合物は、区別可能な分子を用いて設計された上記の化合物である。合成スクリーニング化合物とも称されるスクリーニング化合物は、タンパク質に結合する等の活動の機能をスクリーニングするために用いられる化合物を含み、又は指す。スクリーニング化合物は、様々な実施の形態において、区別可能な分子を用いて設計された上記の化合物を含む。他の実施の形態において、スクリーニング化合物は、他の技法を用いて設計される。位相的に分離した旨の表現は、異なる分子及び/又は化合物を含む、内面及び外面を有するポリマービーズを含む又は指す。ポリマービーズの外面は、ポリマービーズの外部を含む又は指し、これは、周辺環境及び/又は溶液と接し得る。ポリマービーズの内面は、ポリマービーズの内部を含む又は指す。例えば、内面は、中空ビーズの中空凹部として定義することができる。保護基は、官能基(例えばNH2)の化学的改良によって続く化学反応において化学選択性を得るために別の化合物及び/又は分子へ導入される化合物及び/又は分子を含み、又は指す。保護された基は、保護基によって保護される分子又は化合物を含む又は指し、官能基又はそのフォームを含んでよく、「保護された官能基」とも同義で称される。脱保護基は、保護基を除去するために用いられる化合物及び/又は分子を含む又は指す。例えば、脱保護基は、化学的に化合物及び/又は保護基を変化させて保護基を除去、及び/又は官能基(例えば、脱保護された基)を得ることに用いることができる。脱保護された基は、「脱保護された官能基」とも同義で称される。脱保護された基又は脱保護された官能基は、脱保護基と、保護された基を有する別の分子又は化合物を反応させることにより形成される、導出される分子又は化合物を含み、又は指し、これは、官能基を露出させる。保護された基及び脱保護された基(例えば、保護又は保護されない官能基)は、それぞれ、NHやNH2等のアミン基の異なるフォームを含んでよい。分子内の位置にサブ基を割り当て及び/又は化合物内の位置に分子を割り当てることは、各サブ基又は分子が、関係付けされた位置の識別又は選択を含み、又は指す。メモリ回路において、分子内の位置へサブ基を相関させる及び/又は化合物内の位置へ分子を相関させることは、メモリ回路において、サブ基/分子と各位置との関連付け(例えば、データオブジェクト、表、マップ)を記憶することを含む又は指す。
ここで、図面を参照すると、図1は、様々な実施の形態に係る、複数の分子を含む化合物100の一例を示す。化合物100は、複数の分子T1~T8から形成され、ポリマービーズ102に結合される合成高分子又はオリゴマーを含む。分子T1~T8は、化合物の鎖に沿って分子T1~T8のうち少なくともいくつかの間に開裂可能基を導入することで、化学的に多様であり、配列することができるように設計される。図3に詳細に示されるように、各分子は、化学的多用性を提供する複数のサブ基を含む。
様々な実施の形態は、ライブラリとして、複数の異なる化合物を形成することを含む。当該ライブラリは、10^8又は10^9(例えば、数百万又は数十億)の化合物のサイズであり、少なくとも1つのターゲットに対する反応又は相互作用のためのスクリーニング、診断分析の生成、又は他の目標とする目的/機能について用いることができる。ライブラリは、区別可能な質量分析特性を備えるフラグメントへと化合物を開裂できるようにコンピュータ設計アプローチを用いて設計される。複数の合成化合物は、複数の分子の異なる配列における組み合わせを含むことができる。いくつかの実施の形態においては、ライブラリにおける各化合物は、既知の混合及び分離合成技法を用いて形成される少なくともいくつかの分子の間に位置する開裂可能基を備える複数の分子を含む。化合物は、「Ptych」とも称される場合があり、それぞれが異なる質量分析特性、例えば分子量、フラグメンテーションパターン、溶出時間、及び同位体分布等、を有する複数の分子を用いて形成される。様々な実施の形態において、分子は、また、異なるクロマトグラフィー保持時間を有し得る。ライブラリは、区別可能な質量分析特性を備える各分子がライブラリにおける化合物の配列における異なる位置又は順序に関連付けされるように、設計される。いくつか例において、分子の質量分析についての解析(例えば、特定の分子量の読み出し)は、分子を形成するサブ基の配列を含む、分子の組成又は同一性と、化合物における分子の位置を識別する。
図2は、様々な実施の形態に係る、図1に示す化合物100の複数の開裂分子T1~T8の一例を示す。ライブラリの化合物は、異なる機能についてスクリーニングし、また特定の機能を示すことが可能な新たな化合物を識別するために用いることができる。上記のように、化合物は、分子のうちの少なくともいくつかの間に開裂可能基を持つよう設計される。機能を示す化合物は、ビーズから化合物を除去し、及び/又は、複数の分子T1~T8を互いに分離するよう1つ以上の開裂を行って、溶液に質量分析を実行することにより、質量分析を介して配列することができる。具体例として、化合物が付着された、図1に示す化合物100を有する分離されたビーズは、溶液内で互いに分離された分子T1~T8の溶液203となる、化合物を開裂する溶液に接するよう配置される。開裂は、化学的、物理的(例えば、温度)、光誘起、及び/又は生物学的/酵素的方法、その他の技法によって行うことができる。溶液の一例は、NaOH及びトリフルオロ酢酸(TFA)、その他の開裂溶液である。
分子T1~T8の混合物を包む溶液203は、化合物の組成を識別するために分析可能である。例えば、溶液203内の質量分析特性を識別するために、溶液203に質量分析を行う。各割り当てられた位置において、複数の潜在的な分子の既知の質量分析特性を検索することができる。マッチングに応じて、質量分析特性は、化合物の配列順序及び分子を形成するサブ基の配列順序の両方における分子の位置と、分子を識別する。
図1及び2に示す例を用いると、化合物100は、8つの異なる位置に8つの分子(例えば、分子T1~T8)を含む。8つの位置のそれぞれにおいて、化合物のライブラリが1セットの8つの潜在的な分子を含むと仮定する。溶液203に対して質量分析を実行することに応じて、化合物100の組成を識別するため、64(例えば8つの潜在的な分子×8つの位置)の異なる質量分析特性が、質量分析結果と比較される。当該例の数を用いて生成されたライブラリは、他方では、88の異なる化合物を含むことができる。図2に示す例において、質量分析結果は、化合物の配列における特定の位置及び各分子T1~T8を形成するサブ基の配列にそれぞれマッピングされる分子T1~T8を識別する。当該結果は、図1に示す化合物100の配列を、複数の分子T1~T8(質量分析結果を得るのに必ずしも正しい順序である必要はない)の混合物を含む溶液203から識別することを許容する。
質量分析特性(例えば、分子量、フラグメンテーションパターン、溶出時間及び/又は同位体分布)は、従って分子の同一性及び化合物内の分子の位置の両方をマッピングし、化合物を形成するサブ基の配列における順序を含む化合物の完全な組成を識別可能である。このように、分子の質量分析特性は、合成化合物の組成を識別するバーコードとして作用することができる。
図3は、様々な実施の形態に係る、複数のサブ基310、312、314及び316を含む分子の例307を示す。上記のように、ライブラリは、区別可能な質量分析特性を有する複数の異なる分子の設計により形成される。異なる分子は、サブ基(例えば、官能基又はモノマー)から形成される。1つ以上のサブ基は、異なる機能を発揮するか、又は化学的多様性を提供するように設計される。
分子又はptychsは、分子内のサブ基の数を示すPtychの前のプレフィックスとともに称することができる。例えば、4つのサブ基(例えば、官能基又はモノマー)から形成される分子は、Tetraptychと称することができ、3つのサブ基から形成される分子は、Triptychと称することができる。図3の具体例に示すように、分子307は、4つのサブ基310、312、314及び316を含み、ポリマービーズ308に結合される。サブ基310、312、314及び316のそれぞれ又は少なくともいくつかは、異なる機能を提供する。例えば、第1のサブ基310は、配列における位置を示す基を含み、第2のサブ基312は、DHQモノマーを含み、第3のサブ基314は、アミノ酸(Dアミノ酸)を含み、第4のサブ基316は、開裂可能基を含むことができる。提供される様々な機能は、開裂、タンパク質への結合、他のターゲットへの結合等、を含むことができる。開裂可能基は、具体的な実施の形態において、溶液に対する反応に応じて開裂される基である。別の開裂可能基は、ポリマービーズ308に分子307を結合することができる。開裂可能基の一例は、NaOHを含む溶液に接するよう配置されることに応じて開裂可能なポリアクリルアミド(PAM)である。
図4は、様々な実施の形態に係る、開裂可能基414の一例を示す。図示するように、開裂可能基414は、NaOHを含む溶液に接するよう配置された際に開裂可能なPAMを含む。異なる種類のPAMは、図4に示すように異なるR基を含むことができる。
図5A~5Bは、様々な実施の形態に係る、複数の化合物のライブラリを形成するプロセスの一例を示す。図5Aに示すように、520において、異なるサブ基を含む、複数の異なる分子が設計される。複数の異なる分子は、図5Bに関連してさらに図示及び説明するように、化学的な多様性を提供するように設計することができる。522において、複数の分子のサブセットは、それらの分子の分光測定特性に基づいて選択される。例えば、サブセットは、複数の分子の分子量の計算、及び互いに区別可能な分子量を有する分子の選択により、選択可能である。いくつかの実施の形態において、選択された分子は、他の選択された分子の分子量から少なくとも5ppm分離した分子量を有する。実施の形態は当該具体的な実施の形態に限定されず、質量分析を複数の分子に対して行ってよく、サブセットは、区別可能なフラグメンテーションパターン又は溶液時間に基づいて選択される。
様々な具体的な実施の形態において、質量分析は、分子のサブセットに対して行われ、エラー制御として用いられる。例えば、質量分析をすることで、フラグメンテーションパターン、溶出時間、及び同位体分布等の質量分析特性を識別することができ、これは、続く質量分析解析でのバックグラウンドノイズからの区別に用いることができる。
選択された分子は、各化合物が同数の分子によって形成された状態で、複数の異なる化合物を形成するよう用いられる。実施の形態はこの場合に限定されず、化合物は、異なる数の分子から形成することもできる。ライブラリは、524において、各化合物について連続する分子の数(例えば、各化合物がどれだけの数の分子で形成されるか)を選択し、候補となる化合物の配列における位置に各分子を割り当てることで設計される。各位置は、当該位置に割り当てられる1セットの潜在的な分子を有することができる。例えば、化合物は、図5Aの例示的な実施の形態に示すように、順に5つの分子を有するよう選択される。ビーズに最も近い第1の位置は、1セットの潜在的な分子3、10、12、及び17を有する。第2の位置は、1セットの潜在的な分子1、4、9、及び15を有する。第3の位置は、1セットの潜在的な分子5、7、14、及び19を有する。第4の位置は、1セットの潜在的な分子2、8、13、及び20を有し、また、第4の位置は、1セットの潜在的な分子6、11、16、及び18を有する。
次に、分子は、各位置での潜在的な分子のセットを用いて化合物を設計することにより、化合物のライブラリを形成するよう用いられる。図5Aに示す例を用いて、ライブラリは、55の異なる化合物を有することができる。例えば、526において、化合物は、異なるサブ基及び/又は分子を互いに結合するカップリング化学を用いて形成される。各分子間には、溶液内で各分子を分離するために用いることが可能な開裂基を含む。
選択された分子は、各化合物が同数の分子によって形成された状態で、複数の異なる化合物を形成するよう用いることができる。例えば、複数の化合物は、5つの分子の連続によって形成される。図5Aの実施の形態は、各化合物を形成するため特定の数の分子を図示しているが、実施の形態はこの場合に限定されず、異なる化合物を形成する、異なる数の分子を含むこともできる。更に、実施の形態は、図示するように、各位置における分子の数及び/又は潜在的な分子の数に限定されない。様々な実施の形態は、(各位置における潜在的な分子の数)の(化合物における位置の数)でのべき乗に基づいたサイズで形成されるライブラリを含む。化合物は、様々な実施の形態において、ポリマー又はオリゴマーであってよく、2-40以上の分子長の間にあってよい。
図5Bは、例えば図5Aの520において示した異なるサブ基を含む複数の異なる分子を設計するプロセスの一例を示す。521において、複数の異なるサブ基が識別される。複数の異なるサブ基は、互いに対して区別可能な質量分析特性(例えば、質量)を有する。他の実施の形態において、区別可能な質量分析特性を有する複数のセットが選択される。523において、区別可能な質量分析特性を有する複数のサブ基のそれぞれは、候補となる分子の配列における位置に割り当てられる。図5Bに示す具体例として、各分子には、3つのサブ基があり、3つの潜在的なサブ基が第1の位置(例えば、サブ基A、C、及びH)にあり、5つの潜在的なサブ基が第2の位置(例えば、サブ基B、D、F、J、及びK)にあり、5つの潜在的なサブ基が、第3の位置(例えば、サブ基E、G、I、L、及びM)にある。Triptychとも称することができる各分子は、候補となる75の選択肢(例えば、3×5×5)のうちの1つとなり得る。
525において、区別可能な質量分析特性を示す、候補となる分子のセットのサブセットが選択される。例えば、候補となる分子のセット内の分子についての質量分析特性は、各分子を形成するサブ基の質量分析特性を合計することで決定される。閾値によってサブセット内の他の分子の質量分析特性とは異なる、又は分離可能な質量分析特性を示す、候補となる分子のサブセットが選択される。例えば、各候補となる分子についての最も近い質量分析価値の違いが計算され、サブセットを選択するために用いられる。質量分析特性は、分子の配列及び分子を形成するサブ基の配列における両方を含む合成化合物の組成の識別に用いられるので、検出感度は、質量分析方法の機能、又は能力の制限であり、これは、現在、検出を1fmolに制限する。
具体例として、表1は、化合物のライブラリを形成するために用いられる分子を設計するために用いられる1セットのサブ基の設計例を示す。
表に示すように、サブ基は、3つのサブ基を有する分子を形成するために用いられ、各サブ基は、候補となる分子内の位置(例えば、位置1、位置2、及び位置3)に割り当てられる。サブ基の割り当てられた位置は、例えば、メモリ回路に表1を記憶することにより、論理回路のメモリ回路内で相関させることができる。表1は、従って、候補となる分子を形成するために用いられるサブ基の1セット、候補となる分子内のそれらの割り当てられた位置、及びそれらの質量分析特性を識別する。分子を用いて、合計で1125個の候補となる分子(例えば、5×15×15)、及びそれらの算出された質量分析特性(例えば、各分子を形成するサブ基の質量の合計)となる、候補となる分子のセットを含む別の表を形成可能である。さらに、候補となる分子の質量分析特性は、区別可能な質量分析特性を有する候補となる複数の分子を識別するため比較することができる。いくつかの具体的な実施の形態においては、各分子の質量分析特性と、別の候補となる分子の最も近い質量分析特性との間のppmの相違が判別され、閾値(例えば、他の質量より少なくとも5ppm異なる質量)だけ互いに異なる又は分離可能な質量分析特性を有する分子を選択するために用いることができる。
ライブラリを設計するプロセスは、複数のサブ基を含む複数の分子を、論理回路を用いて選択し、論理回路のメモリ回路内において複数の合成化合物の配列における位置に複数の分子を関連付けさせ、カップリング化学又は特定の機能のスクリーニングを介して、他の回路と通信して複数の分子を形成するため当該分子の相関位置を用いてメモリ回路内の質量分析を介して配列可能な複数の合成化合物を定義する(又は、当該合成化合物を含むデータオブジェクトを形成する)、ことを含む。いくつかの実施の形態においては、論理回路は、ライブラリを形成及び/又はスクリーニングするため用いることができる、及び/又は論理回路は、ライブラリの形成及び/又はスクリーニングのため他の(外部の)回路と通信可能である。例えば、論理回路は、他の回路に、定義された複数の合成化合物、及び配列における位置を有する分子の相関を含む1つ以上のデータオブジェクトを通信可能である。本明細書で用いるように、データオブジェクトは、データ構造、機能、又は、テーブル、インデックス、及び/又は値を有して識別子によって識別されるメモリ内の位置等の変数や所定の位置にデータを記憶又は参照する方法、を含む又は指す。他の回路又は論理回路は、カップリング化学を介して、メモリ回路内の定義に基づいて複数の合成化合物を形成し、及び/又は特定の機能について複数の合成化合物のライブラリをスクリーニングするために用いることができる。
様々な実施の形態において、ライブラリを設計及び/又はスクリーニングするプロセスは、他の設計技法又は他の設計されたライブラリよりも、より少ない論理回路の処理リソース及びメモリリソースを利用可能である。ライブラリは、(各位置での潜在的な分子の数)を(化合物における位置の数)でべき乗の関数として定義されるサイズで形成できるが、生成及び/又は記憶されたマッピングデータの量は、用いられた分子の数の関数であり、これは、各化合物及び/又は分子を形成するサブ基の各配列へのマッピングと比べて少ないデータサイズである。マッピングデータは、分子、化合物の配列における分子の位置、及び分子を形成するサブ基の配列を識別する。いくつかの実施の形態においては質量分析回路と通信する同一の論理回路又は他の回路を含む、ライブラリのスクリーニングからの結果を分析する回路は、質量分析結果を、質量分析特性を分子、配列における位置及び分子の配列におけるサブ基に相関させるマップと比較することができる。論理回路と同様に、質量分析結果を回路で分析することに用いられる処理リソースについては、回路が複数の潜在的な分子の既知の質量分析特性をサーチし、及び/又は質量解析結果と比較するので、他の設計されたライブラリと比べて減らすことができる。具体例として、ライブラリは、所望の機能があると考えられる特性の化合物を識別するため、1010の異なる化合物を含むことができるが、100の異なる質量分析特性(例えば、100の分子量、100のフラグメンテーションパターン、100の溶出時間、100の同位体分布、及び/又はそれらの様々な組み合わせ)がスキャンされる。
図6は、様々な実施の形態に係る、複数の化合物のライブラリをスクリーニングするプロセスの一例を示す。ライブラリ630は、図5A及び5Bに示すプロセスを用いて形成されたライブラリを含むことができる。631において、化合物のライブラリを、ターゲットと反応させ、これは、ラベリングされ得る。分析等のスクリーニングプレート上で化合物を反応させることができ、反応させなかった物質は洗い流される。633において、スクリーニングプレートは、光学式スキャナを用いて、ヒットについてスクリーニングされる。例えば、スクリーニングプレートは、ラベリングされたターゲットへの結合等の特定の機能を示す化合物を識別するためスキャン可能である。635において、ヒットが識別され、化合物が選択回路を用いて取り除かれて固定される。選択回路の一例は、(例えば、マニュアルピッキングのための)グラスキャピラリ、及び/又は、ALSCellCelector又は蛍光活性化された細胞ソーティング機器を用いるフローソーティング等の、自動ピッキングのためのキャピラリエクストラクタを含む。637において、分離された化合物は、ビーズから化合物を除去及び/又は分子を互いに分離するために開裂される。開裂は、化学的、物理的(例えば、温度)、光誘起、及び/又は生物学的/酵素的方法を介して行うことができる。開裂により、溶液内で互いに分離された分子の混合物が得られる。当該混合物は、化合物を形成する分子の質量分析特性を識別するため639で質量分析を行うことで、化合物の配列(例えば、化合物において分子がどの順序にあるか)を識別するために用いることができる。641において、質量分析特性は、化合物内の分子、化合物の配列における各分子の位置、及び各分子を形成するサブ基の配列順序の識別を含む、化合物の順序付けに用いられる。例えば、上記のように、質量分析特性は、分子、化合物の配列における各位置及びサブ基の各配列における識別をマッピングする。
図7は、本開示に係る、複数の化合物のライブラリをスクリーニングするために用いられるシステムの一例を示す。図示するように、システム750は、光学式スキャナ752と、スクリーニングプレート758と、選択回路754と、ウェル及び/又はチューブ759と、質量分析回路756と、を備える。上記の方法及び/又はポリマービーズは、10^8から10^9(又はそれ以上)の化合物のライブラリを生成するため用いることができる。ライブラリを、光学式スキャナ752を用いて、ターゲットに対するヒットについてスクリーニングすることができる。光学式スキャナの一例は、上記のように、光ファイバー束アレイを含む光ファイバースキャナ、レーザ、及びFAST等のイメージング回路(例えば、カメラ)である。分析は、化合物を識別するために、特定の機能についてビーズを用いて行うことができる。分析は、タンパク質を結合、酵素を抑制、及び/又は細胞を中和若しくは殺す、その他の機能について用いることができる。検出された活動は、光学式スキャナ752を用いて、分析の蛍光性の読み取りによって評価される。特定の機能又は活動を示すと考えられる、識別されたビーズは、スキャンに基づいて識別され、スクリーニングプレート758から除去され、選択回路754(例えば、ロボット)を用いてウェル又はチューブ759に配置される。除去されたビーズは、さらに、ビーズから化合物を解離し、任意であるが、個々の分子となるように、さらに処理される。次に、溶液内の分子は、分子、化合物の配列における各分子のそれぞれの位置、及び各分子を形成するサブ基の各配列を識別するために、質量分析回路756を用いて読み取られる。
上記のように、論理回路等の回路は、質量分析回路756と通信可能であり、質量分析プロセスの結果を受信可能である。回路は、ライブラリの化合物の各位置における潜在的な分子及び各質量分析特性を識別するマップを受信する又は備える。マップ及び/又はデータは、また、潜在的な各分子を形成するサブ基の配列を識別可能である。質量分析回路756から結果を受信することに応じて、回路は、化合物内の分子の配列順序、及び化合物を形成するサブ基の配列順序を識別するために、マップ内の質量分析特性と受信した結果とを比較する。
本開示に係る実施の形態は、合成化合物のライブラリ、当該ライブラリを形成する方法、及び特定の機能を有する新たな化合物を識別するためライブラリを用いる方法、を含む。ライブラリは、完全な質量分析塩基のフラグメンテーションを必要とせずに、オリゴマー又はポリマーを直接分析するため質量分析配列アプローチを用いて設計可能である。化合物は、化学的に多様で、かつポリマー鎖に沿って開裂元素の導入を介して容易に配列されるよう設計された複数の分子から形成される。分子は、開裂可能で単一のビーズからの質量分析解析によって直接読み取ることができる。上記のように、ライブラリは、論理回路を用いて設計され、論理回路のメモリ回路内にデータとして記憶され、及び/又は論理回路に通信される。様々な実施の形態において、設計されたライブラリが形成され、それによって物理的に形成された合成化合物のライブラリが得られる。
(より詳細な実験的な実施の形態)
上記のように、10^8から10^9又はより多くの単位の化合物のライブラリをスクリーニングするために、サブ90ミクロンのポリマービーズが用いられる。様々な実験的な実施の形態において、ビーズサイズが10ミクロン直径の樹脂を含む。当該サイズのビーズを用いて形成されたライブラリをスクリーニングするために、質量対電荷比に基づいて、分子をイオン化し当該イオンをソートする質量分析技法を用いて導出される化合物を解析可能である。化合物を配列するのに必要な材料の量は、制限となり得る。上記のように、様々な実施の形態は、化合物の配列を識別するために用いられるバーコードとして効果的に作用する既知で(互いに対して)固有の質量分析特性を有する分子を用いる、ことを含む。いくつかの実験的な実施の形態においては、サブfmol量の材料は、質量分析によって測定することができる。ライブラリの組成は、質量分析によって互いに区別可能な固有の質量分析特性を有する分子の配列(例えば、開裂可能なフラグメント)として設計される。ミックスインスプリット合成の組み合わせは、少なくともいくつかの分子の間の開裂可能基を備える分子の複数からなる化合物を合成するために用いられる。特定の機能を示す化合物を有するビーズをスクリーニングして選択した後、選択されたビーズは、分離されて分子へと開裂される。導出されるフラグメントは、例えば、化合物を配列するために化合物の組成を識別するため質量分析を介して分析される。
図8A乃至8Cは、様々な実施の形態に係る、化合物の例及び化合物の開裂分子を示す。図8Aに示す化合物は、4つの分子T1~T4の配列を含む。4つの分子T1~T4は、複数のサブ基(例えば、それぞれ4つのサブ基)を含むことができる。開裂可能基は、ビーズに化合物を付着させて第1の分子T1に結合させることに用いることができる。第1の分子T1は、サブ基Ala-DHQY-ALA-PAMの配列を含むことができる。第2の分子T2は、サブ基Ala-DHQB-LYS-PAMの配列を含むことができ、第3の分子T3は、サブ基ALA-DHQF-ALA-PAMの配列を含むことができ、第4の分子T4は、サブ基ALA-DHQF-ALAの配列を含むことができる。図示するように、複数の分子T1~T4は、開裂可能基を含む。より具体的には、開裂可能基、例えば、PAMは、少なくともいくつかの分子T1~T4の間に位置し、分子T1~T4互いに結合させるために用いることができる。
ビーズに付着させた化合物は、第1の開裂溶液に接するように配置することができる。第1の開裂溶液は、トリフルオロ酢酸(TFA)を含むことができ、図8Bに示すように、これは、ビーズから化合物を開裂する。化合物は、さらに、NaOH等の第2の開裂溶液に接するよう配置することができ、図8Cに示すように、これは、分子を互いに開裂する。
実施の形態は、分子、サブ基、化学的開裂の数、又は図8A~8Cに示す特定のサブ基に限定されない点、理解され得るところである。むしろ、図8A~8Cは、説明のために提供されるものであり、限定を目的としていない。さらに、開裂は他の種の方法、例えば、物理的(例えば、温度)、光誘起、及び/又は生物学的/酵素的方法及び/又は説明された以外の溶液等、を含む。
図9A~9Cは、様々な実施の形態に係る、化合物の例及びビーズから開裂された化合物の導出される質量分析特性を示す。図9Aに示すように、化合物962は、例えば、TFAを含む溶液等の開裂溶液を用いて、ビーズ960から開裂可能である。図9Bは、図9Aに示す開裂された化合物の高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析の一例を示す。HPLC結果は、混合物における成分の純度を示す。図9Cは、図9Aに示す開裂された化合物の質量分析結果の一例を示す。図示するように、質量分析結果は、化合物を正しく識別する、予期されるパターンを示す。
図10A~10Cは、様々な実施の形態に係る、化合物の例及びビーズから開裂した化合物の導出される質量分析特性を示す。図10Aに示すように、化合物は、NaOHを含む溶液等の開裂溶液を用いて、ビーズ1060から個別の分子1063、1064、1065、及び1066へ開裂可能である。図10B~10Cは、図10Aに示す開裂分子の質量分析結果の一例を示す。図示するように、質量分析結果は、化合物を正しく識別する、予期されるパターンを示す。
図11は、様々な実施の形態に係る、10の分子を有する化合物の質量分析特性の一例を示す。化合物のライブラリは、10の位置のそれぞれにおいて、6つの潜在的な分子があるように設計される。グラフは、Y軸が異なる潜在的な分子を示し、X軸が化合物の配列における位置を示す。ライブラリは610個の潜在的な化合物を含むことができるが、質量分析結果は、60(6×10)の異なる質量分析特性、例えば実験的な実施の形態における分子量についてかチェックされる。質量分析結果を用いて、分子は、化合物の配列における各位置で識別される。
図12は、様々な実施の形態に係る、8つの分子を有し、10ミクロンのビーズから開裂された化合物の質量分析特性の一例を示す。図11と同様に、化合物となり得るライブラリは、8つの位置のそれぞれにおいて、8つの潜在的な分子があるよう設計される。グラフは、Y軸が異なる潜在的な分子を示し、X軸が化合物の配列における位置を示す。ライブラリは、88個の潜在的な化合物を含むことができるが、質量分析結果は、64(8×8)の異なる質量分析特性、例えば、実験的な実施の形態における分子量についてチェックされる。質量分析結果を用いて、分子は、化合物の配列における各位置で識別される。
図13A~13Bは、様々な実施の形態に係る、8つの分子から形成される、1セットの化合物の一例を示す。より具体的には、図13Aは、化合物1370、1372、1374、1376、1378、1380、1382、及び1384の各1セットの例を示し、これは、それぞれが4つのサブ基を含む、1セットの分子を用いて設計することができる。導出される化合物は、配列において8つの分子を含むことができる。図示するように、各分子は、化合物の配列順序における8つの位置のうちの1つに割り当てられることができる。複数(例えば、64)の分子の分子量又は他の質量分析特性は、既知であり、互いに区別可能である。図13Aの実施の形態は、8つの化合物を示すが、分子は、88個の潜在的な化合物のライブラリを形成するために用いることができる。8つの化合物の1セットは、化合物の配列能を示すために用いることができる。例えば、図13Bに示すように、8つの化合物は、複数の分子(例えば、合計64の分子)から合成される。合成された8つの化合物は、複数の潜在的な分子のそれぞれを含むことができる。
図14A~14Hは、様々な実施の形態に係る、図13A~13Bに示す化合物のセットからの質量分析結果の一例を示す。より具体的には、図14A~14Hは、試験した各化合物の質量分析結果が、各化合物の正しい配列を識別することを示す。様々な実施の形態において、当該プロセスは、制御情報を識別するため行うことができる。例えば、質量分析結果は、フラグメンテーションパターン、溶出時間、及び/又は同位体分布についての基準点(例えば、質量分析結果が予期される時間ウインドウ)を提供するとともに、分子量を識別可能である。当該値は、誤検出を減らすために用いることができる。例えば、各分子についてのフラグメンテーションパターン、溶出時間、及び/又は同位体分布を含む基準を記憶することができる。導出される質量分析特性は、正しいパターンを識別するための基準と比較することができる。
図15A~15Dは、様々な実施の形態に係る、他の質量分析特性によって区別される、区別不可な分子量を有する2つの分子の質量分析特性の一例を示す。上記のように、様々な実施の形態において、ライブラリの分子及び/又はサブ基を互いに区別するために用いる質量分析特性は、同一の特徴(例えば、全てが分子量、フラグメンテーションパターン、溶出時間、及び/又は同位体分布によって区別される)を有し、又は、分子のサブセットは、区別不可の第1の質量分析特性と、区別可能な第2の質量分析特性と、を含み得る。一例として、ライブラリにおける複数の分子は、異なる原子結合性(例えば、サブ基の異なる配列順序)を有するサンプルサブ基組成を有することができる。当該例においては、2つ以上の分子は、同一の分子量及び/又は互いに閾値内の分子量、及び/又は互いに区別不可な分子量を有し得る。分子は、衝突活性化解離、表面誘起解離、電子伝導解離、光解離、及びイオン/分子反応化学を含むがこれらに限定されないタンデム式質量分析技法を用いて区別可能である。
具体的には、図15A及び図15Cは、同一のサブ基組成、例えば、それぞれグラフ1583及び1587に示すように同一の分子量を有する2つの分子を示す。図15B及び15Dに示すように、2つの分子は、グラフ1585及び1589に示すように衝突活性化解離に基づいて区別可能である。
様々な実施の形態において、1つ以上の質量分析特性は、質量分析計によって測定可能であり、さらに適切に重み付けがされると、化合物配列データに統計的な信頼度を割り当てることに用いることができる。例えば、配列分析が、タンデム式質量分析とともに結合液体クロマトグラフィー及び質量分析(LC-MS及びLC-MS/MS)を用いて行われた場合、検出される各潜在的な分子について取得されたデータは、クロマトグラフィー保持時間、正確な測定質量、及びイオンフラグメンテーションパターンを含むことができる。これらの測定は、それぞれ、各分子の割り当てに統計的な有意性を割り当てるために用いることができるアルゴリズムを導出するため用いることができる。
図16は、様々な実施の形態に係る、位相的に分離したポリマービーズの一例を示す。様々な実施の形態において、上記の化合物は、合成コード化化合物として用いることができる。合成コード化化合物を形成する分子は、スクリーニングする化合物を識別するためのバーコードとして作用することができる。合成コード化化合物は、固有の質量分析特性を有する複数の分子のサブセットから形成され、ライブラリにおいてビーズの内側に位置する。合成物でもあるスクリーニングする化合物は、ビーズの外部に位置する。合成コード化化合物の各質量分析特性は、スクリーニング化合物にマッピングすることができ、ライブラリのスクリーニングに反応する特定の機能を示すスクリーニング化合物を配列するために用いることができる。
合成コード化化合物及びスクリーニング化合物は、位相的に分離したポリマービーズに結合可能である。図16は、様々な実施の形態に係る、位相的に分離したポリマービーズの一例を示す。ポリマービーズ1613は、外表面1617におけるスクリーニング化合物1614と、内表面1615におけるコード化スクリーニング化合物1614と、の選択的な結合によって位相的に分離される。具体的な実施の形態において、スクリーニング化合物1614は、脱保護された基(例えば第1の官能基/NH)に結合され、内表面1615は、コード化化合物1616に結合された別の脱保護された基(例えば、第2の官能基/NH)を含む。コード化化合物1616は、スクリーニング化合物1614をラベリングするために用いられる。例えば、複数のポリマービーズのライブラリがスクリーニングされた場合であって、スクリーニング化合物がヒットである場合、コード化化合物1616は、スクリーニング化合物1614の各配列を識別するために用いられる。上記のように、コード化化合物を形成する分子は、質量分析を用いて識別される。各コード化化合物1616は、特定のスクリーニング化合物にマッピングすることができる。そのため、コード化化合物の識別により、スクリーニング化合物の配列を識別できる。
図17は、様々な実施の形態に係る、ポリマービーズを位相的に分離するプロセスの一例を示す。スタートポリマービーズ1720は、M-NH2テンタゲルビーズを含む。ポリマービーズ1720は、1722において第1の溶液に接触させられる。第1の溶液は、「P」とラベリングされる、チオール不安定なアミン保護基を含むことができる。保護基は、2-4-ジニトロベンゼンスルホンアミド(DNs)及び/又は2-ニトロベンゼンスルホンアミド(Ns)を含むことができる。具体的な実施の形態において、第1の溶液は、保護基(例えば、DNs-塩化物又はDNs-CL、又は、Ns-塩化物又はNs-Cl)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)及ジクロロメタン(DCM)を含む。ビーズ1720を第1の溶液と接触させることにより、内及び外表面に保護基(例えば、P)を含む、導出されるビーズ1724が形成される。ポリマービーズ1720を第1の溶液と接触させることは、保護基でポリマービーズを反応させることを含み、これによって保護基はチオール類の存在において脱保護化する。
ポリマービーズ1724は、次に、1725において第2の溶液と接触させられる。第2の溶液は、内部アミンを脱保護せずに、選択的に表面アミンを脱保護するシステインを有するタンパク質等の脱保護基を含むことができる。タンパク質は、内部アミン(例えば、ウシ血清アルブミン(BSA))を脱保護するため、ポリマービーズ1724の孔を通過することができないサイズとなり得る。1725において、第2の溶液との接触によって、位相的に分離したポリマービーズ1726が得られ、これは、「ビーズシェービング」とも称することができる。位相的に分離したポリマービーズ1726は、外表面に脱保護された基(例えばNH2)を含み、内表面に保護基を含む。
図18A~18Bは、様々な実施の形態に係る、ポリマービーズを位相的に分離するプロセスの一例を示す。図18Aは、様々な実施の形態に係る、ポリマービーズを位相的に分離するプロセスの一例を示す。位相的に分離したポリマービーズ1830は、図17に示すプロセスを用いて生成されてよく、これは、さらに、外表面にスクリーニング化合物を有し、内表面にコード化化合物を有する修正された位相的に分離したポリマービーズ1838を、表面機能化基(例えば、自由アミン)を用いて生成するよう処理することができる。位相的に分離したポリマービーズ1830は、第1の溶液に接するように配置される。第1の溶液は、アミン保護基等の第2の保護基を含んでよい。参照の容易化のために、図18Aの実施の形態においては、図18Bに示すように、様々な実施の形態において各基は反応の配列における「第1」の保護基ではないが、他の保護基を「第1の保護基」と称する。他の保護基の一例は、フルオレニルメチルオキシカルボニル塩化物(Fmoc)である。第1の溶液に接するように位相的に分離したポリマービーズ1830を配置することで、ビーズ1832の外表面において第1の保護基(例えば、Fmoc)に二重結合したアミン基を有するポリマービーズ1832を得る化学反応を生じさせることができる。
ポリマービーズ1832は、次に、別の脱保護基を含む第2の溶液(第3の溶液とも称する)と接触させられる。他の脱保護基は、当該基がビーズの孔を通過できるが外表面において第1の保護基(例えば、Fmoc)を脱保護しないサイズとなり得る。第2の溶液は、チオフェノール溶液(例えば、チオフェノール(PhSH)を含むことができる。ポリマービーズ1832を第2の溶液と接触させることで、内表面において脱保護された基(例えば、NH2)を有するポリマービーズ1834として示すように、内表面における保護基の脱保護、及び外表面において第1の保護基に結合された保護された基(例えば、NHFmoc)を得られる。tert-ブチロキシカルボニル(Boc)等の追加の脱保護基は、内表面においてBocと結合された保護基(例えば、別のアミン基)を有するポリマービーズ1836として示すように、ポリマービーズ1834と反応させられ、内表面における脱保護された基(今は保護基)をBocに結合する。Boc基の一例は、Boc-Ala、及びBoc-Ala-PAMである。参照の容易化のために、図18Aの実施の形態においては、図18Bに示すように、様々な実施の形態において各基は反応の配列における「第2」の保護基ではないが、追加の保護基を「第2の保護基」と称する。
様々な実施の形態において、外表面の第1の保護基(例えば、Fmoc)及び内表面の第2の保護基(例えば、Boc)は、官能基(例えば、第1及び第2のアミン基)を、様々な条件で不活発にさせるために用いられる。例えば、外表面の第1の官能基は、スクリーニング化合物を構築するために用いられる。内表面の第2の官能基(例えば、アミン基)は、コード化化合物を構築するために用いられる。スクリーニング及びコード化化合物は、ペプチド化学、固相サポート化学を含む既存のカップリング化学等の、既存の化学反応及び技法によってアミン官能基を用いて作られる。技法の一例は、化学結合を変更するための熱、圧力及び触媒作用の分類された組み合わせ、線形技法、反復結合、その他の技法を含む。例えば、外表面にスクリーニング化合物を有し、内表面にコード化化合物を有するポリマービーズ1838を形成するために、官能基を反応させることができる。第1及び第2の保護基は、官能基の制御されたかつ選択的な反応を許容することで化学がどこで行われるか制御するために用いられる。Fmoc基は、第1のアミン基を露出させるためにピペリジン等の塩基を用いて除去可能であり、Boc基は、第2のアミン基を露出させるためにTFA等の酸を用いて除去可能である。コード化された化合物又はスクリーニング化合物が最初に作られるか否かによって、化学結合の位置は、各アミン基を露出させ、他のアミン基を保護されたまま残す酸又は塩基の脱保護によって制御される。
当該プロセスは、複数の異なるビーズを形成するために用いることができる。各ビーズは、異なるスクリーニング化合物、及びそれに付着されるコード化化合物を有する。具体的な実施の形態において、複数のビーズは、新たな機能を有する合成オリゴマー及びポリマーをスクリーニングして識別するために用いることが可能なスクリーニング化合物のライブラリを形成可能である。スクリーニングプロセスの一例は、タンパク質又は核酸等のターゲット分子に化学結合する化合物についてスクリーニングする、ことを含むことができる。別の例は、腫瘍細胞、ウィルス感染細胞及び/又はバクテリア細胞等のターゲットを中和又は殺す化合物についてスクリーニングする、ことを含む。ライブラリにおけるスクリーニング化合物は、調合薬、試薬、センサ、触媒、酵素、又は特定の目的に使用される材料を含む様々な機能に用いることができる。ライブラリは、異なるタイプの機能、例えば、治療、診断、及び/又は産業目的等について化合物(例えば、合成化合物)を識別するためにスクリーニング可能である。スクリーニング及び質量分析から選択及び識別された化合物、及び/又は化合物の共役形態は、特定の機能を提供するために(カップリング化学を用いて)形成及び用いることができる。
スクリーニングは、ビーズ外部に異なるスクリーニング化合物、ビーズ内部に異なるコード化化合物を有する複数の異なるビーズのライブラリを用いる、ことを含むことができる。分析が、特定の機能を示す、外部のスクリーニング化合物を識別するために行われる。具体的な実施の形態において、分析は、タンパク質へ化学結合、酵素の抑制、細胞を中和する又は殺す、その他の機能のために用いることができる。検出された活動は、(例えば、機能を示す合成化合物について分析をスクリーニングするため)光学式スキャナを用いて分析の蛍光性読み取りを介して評価される。特定の機能又は活動を示すと考えられる、識別されたビーズは、スキャンに基づいて識別され、スクリーニングプレートから除去されてウェル又はチューブに配置される。上記のように、除去されたビーズは、化学開裂を介してビーズからコード化化合物を取り除くためにさらに処理される。コード化化合物は、次に、各スクリーニング化合物にマッピングされるコード化化合物の複数の分子の配列を識別するために、質量分析等の分析技法を用いて読み取られる。例えば、上記のように、コード化化合物を形成する分子の質量分析特性は、ポリマービーズから開裂された分子の溶液に対して質量分析を行うことで識別される。分子の質量分析特性は、コード化化合物の配列の識別にマッピングされ、さらに、スクリーニング化合物の識別にマッピングされる。
図18Bは、様々な実施の形態に係る、ポリマービーズを位相的に分離するプロセスの一例を示す。図18Bの実施の形態は、図17及び図18Aに示すプロセスの組み合わせを示す。スタートポリマービーズ1839は、「P1」とラベリングされる第1の保護基を含む第1の溶液と接触させられる。上記のように、第1の保護基は、DNs又はNsを含むことができる。ビーズ1839を第1の溶液と接触させることにより、内及び外表面に第1の保護基(例えば、P1)を含むビーズ1842が導出される。
ポリマービーズ1842は、次に、第2の溶液と接触させられる。第2の溶液は、内部アミンを脱保護せずに選択的に表面アミンを脱保護するシステインを有するタンパク質等の第1の脱保護基を含むことができる。第2の溶液との接触により、位相的に分離したポリマービーズ1844が得られる。位相的に分離したポリマービーズ1844は、外表面に脱保護された基(例えば、NH2)を含み、内表面に第1の保護基(例えば、P1)を含む。
位相的に分離したポリマービーズ1844は、次に、第3の溶液に接触するよう配置される。第3の溶液は、「P2」としてラベリングされるアミン保護基等の第2の保護基を含む。第2の保護基の一例は、Fmocを含む。第3の溶液と接触するように位相的に分離したポリマービーズ1844を配置することで、ビーズ1846の外表面において第2の保護基(例えば、Fmoc)に二重結合されるアミン基、及び内表面において第1の保護基(例えば、DNs又はNs)に結合される別のアミン基を有するポリマービーズ1846を得られる化学反応が生じる。
次に、ポリマービーズ1846は、第2の脱保護基を含む第4の溶液と接触させられる。第2の脱保護基は、当該基がビーズの孔を通過できるが、外表面における第2の保護基(例えば、Fmoc)を脱保護しないサイズとなり得る。第4の溶液は、チオフェノール溶液(例えば、PhSH)を含むことができる。ポリマービーズ1846を第4の溶液と接触させることで、内表面に脱保護された基(例えばNH2)を有し、外表面に第2の保護基と結合される保護基(例えば、NHP2又はNHFmoc)を有するポリマービーズ1848として示すように、内表面における第2の保護基が脱保護される。次に、ポリマービーズ1848は、「P3」とラベリングされる第3の保護基を含む第5の溶液に接するように配置される。Boc基等の第3の保護基は、第3の保護基に、内表面における脱保護された基(今は保護基)を結合するために、ポリマービーズ1848と反応させられる。ポリマービーズ1850として示すように、導出されるビーズは、内表面において、第2の保護基に結合された第1の保護された基(例えば、アミン基)と、第3の保護基(例えば、Boc)に結合された第2の保護された基(例えば、別のアミン基)と、を有する。実施の形態のBOC基は、BOC-Ala及びBOC-Ala-PAMを含む。
上記のように、第2及び第3の保護基(P2及びP3)は、各アミン基について、制御された反応を許容するようにするために用いられる。カップリング化学がどこで行われるかを制御するため、酸又は塩基脱保護が行われる。具体的には、第2及び第3の保護基のうちの1つは、塩基で脱保護することができ、他方は酸で脱保護することができる。一例として、第2の保護基(P2)は、ピペリジン等の塩基で除去されるFmocであり、第3の保護基(P3)は、TFA等の酸で除去されるBocである。実施の形態はこの場合に限定されない。一例として、ポリマービーズ1850は、第3の脱保護基を含む第6の溶液に接するように配置される。この例における第3の脱保護基は、ポリマービーズ1852を形成するため、第2の保護基(P2)を除去する。ポリマービーズ1852は、外表面において露出される自由アミン基と、内表面における保護アミン基と、を有する。スクリーニング化合物は、外表面にスクリーニング化合物を有するポリマービーズ1854を形成するために、既存のカップリング化学を用いて作られ、保護された官能基は、内表面において第3の保護基と結合する。ポリマービーズ1854は、内部における第3の保護基(P3)を脱保護するために用いられる第4の脱保護基を有する第7の溶液と接触させられ、外表面にスクリーニング化合物を有し、内表面に自由アミン基を有するポリマービーズ1856が得られる。コード化化合物は、外表面にスクリーニング化合物を有し、内表面にコード化化合物を有するポリマービーズ1858を形成するための既存のカップリング化学を用いて作られる。例えば、開裂基を備える複数の分子を含む化合物の構築に関して上述したように、コード化化合物は、ミックスインスプリットカップリング化学を用いて作られる。
図18Bの実施の形態は、コード化化合物を後に続いてスクリーニング化合物が作られる例を示すが、実施の形態はこの場合に限定されない。様々な実施の形態において、第3の保護基が最初に除去され、コード化化合物は、第2の保護基の除去及びスクリーニング化合物の構築の後に、続けて作られる。さらに、様々な具体的な実施の形態は、互いに位相的に分離された内表面及び外表面を有するポリマービーズを含み、当該内表面は、コード化化合物を有し、外表面は、保護基(例えばFmoc)を有する。本開示に係る実施の形態は、図18Bに示す各ステップの実行に限定されず、図示する異なるサブステップの実行も包含する点、理解されるところである。さらに、様々な実施の形態は、図18Bに示す1つ以上のポリマービーズ(例えば、1842、1844、1846、1848、1850、1852、1854、1856、1858)に関する。例えば、プロセスは、図18Bに示すプロセスの異なるステップにおいて中断されてよく、異なるポリマービーズが得られる。
様々な実施の形態は、位相的に分離したポリマービーズの驚くべき結果を含む。具体的な実施の形態は、ビーズの表面にあるニトロベンゼンスルホンアミド基の脱保護のために、還元したBSAを用いて10ミクロンのテンタゲルビーズを空間的に分離する方法を含む。この方法は、外層にFmoc保護基を有し、内側にBoc基を有するポリマービーズの合成に適用可能である。
例えば、内、上、内部、の内、第1、第2、第3、第4,第5等の配置を例示するための用語については、本明細書においては、図面に示す様に構成要素の相対的な位置を参照するために用いられている。このような用語は、表記の便宜上用いられているだけであり、実際には、開示の構成は、図示する配列又は順序とは異なる配列又は順序であり得る点、理解されるところである。例えば、第2の脱保護基は、第3の脱保護基の後に用いられてもよい。従って、用語は限定的に解釈されるべきではない。
様々な実施の形態は、2017年4月26日になされた米国特許出願(第15/498145号)、発明の名称「位相的に分離されたポリマービーズ及びその方法」における実施の形態に応じて実施可能であり、この出願の全内容が参照として本明細書に組み込まれる。例えば、当該明細書で説明された実施の形態は、上記の実施の形態に対して様々な程度(完全に、を含む)で組み合わされてもよい。図16~18Bに関連して上述した特定の例として、少なくとも図1に示され、本明細書において様々な実施の形態として説明された、区別可能な質量分析特性を示す分子から形成される複数の化合物は、それぞれ、米国特許出願第15/498145号の図2に示されるとともに説明されるコード化化合物として実施され得る。これは、各スクリーニング化合物にマッピングするように用いられる。上記米国特許出願の実施の形態は、注記がない限り、どのような態様であっても全体的な技術開示又は特許請求の範囲に記載された発明の一部を限定することを意図していない。
上記及び説明した仮特許出願における様々な実施の形態は、共に、及び/又は他の手法で実施し得る。本開示及びその下地となった仮特許出願における1つ以上の事項は、個別に、又は、より統合的な手法で実施可能であり、特定のケースにおいては作用不能なように除去及び/又は取り除かれてよく、これは、特定の用途において有用である。本明細書における詳細な説明を鑑み、当業者は、本開示の技術的範囲から逸脱することなく様々な変更が可能である点を認識し得る。