JP6146164B2 - テトラリン骨格を有する新規アルデヒド、およびその製造方法。 - Google Patents

テトラリン骨格を有する新規アルデヒド、およびその製造方法。 Download PDF

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Description

本発明は、各種の工業化学原料、医薬、農薬、光学機能性材料や電子機能性材料の製造原料として有用なテトラリン骨格を有するアルデヒド、およびその製造方法に関する。
芳香族アルデヒドはその反応性の高さから、有機合成におけるいわゆるbuilding blockとして、広く用いられている。例えば、医農薬の中間体や光学機能性材料の製造原料として有用な芳香族ニトリルやアセタール基を有するイリデン化合物を高収率で誘導化している(特許文献1、特許文献2)。
一方、テトラリン誘導体は、抗酸化活性を有することや神経因性疼風の予防又は治療に有効であることが知られている(特許文献3、特許文献4)。
特開2000−239247号公報 特開2004−210735号公報 特開2000−316546号公報 WO2006/054514号公報
本発明の課題は、各種の工業化学原料、医薬、農薬、光学機能性材料や電子機能性材料の製造原料として有用なテトラリン骨格を有するアルデヒド、およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、式(1)で表されるテトラリン骨格を有するアルデヒドを製造する方法について検討を行った結果、式(3)で表わされるアセナフテンと水素を反応させる等の方法によって得られる式(2)で表わされるテトラヒドロアセナフテンを、フッ化水素(以下HFと称することもある)および三フッ化ホウ素(以下BFと称することもある)の存在下、一酸化炭素と反応させ、式(1)で表されるテトラリン骨格を有するアルデヒドを製造できることが判明した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]一般式(1)で表されるテトラリン骨格を有するアルデヒド。
[2]フッ化水素および三フッ化ホウ素の存在下、式(2)で表わされるテトラヒドロアセナフテンを一酸化炭素と反応させ、式(1)で表されるテトラリン骨格を有するアルデヒドを製造することを特徴とする、テトラリン骨格を有するアルデヒドの製造方法。
[3]式(2)で表わされるテトラヒドロアセナフテンを、式(3)で表わされるアセナフテンと水素を水素添加触媒の存在下で反応させて得ることを特徴とする、[2]に記載のテトラリン骨格を有するアルデヒドの製造方法。
本発明は、各種の工業化学原料、医薬、農薬、光学機能性材料や電子機能性材料の製造原料として有用なテトラリン骨格を有する新規アルデヒドを工業的に有利な方法で製造することを可能にするものである。
実施例で得られた成分1についてのCOSY−NMR測定の結果を示す。 図1における1.0〜3.5ppm部分の測定結果の拡大図である。 実施例で得られた成分1についてのHSQC−NMR測定の結果を示す。 図3における1.0〜3.5ppm部分の測定結果の拡大図である。 実施例で得られた成分1についてのH2BC−NMR測定の結果を示す。 図5における1.0〜3.6ppm部分の拡大図である。 実施例で得られた成分1についてのHMBC−NMR測定の結果を示す。 図7における1.0〜3.5ppm、21〜45ppm部分の測定結果の拡大図である。 図7における2.0〜3.5ppm、123〜150ppm部分の測定結果の拡大図である。 図7における6.9〜10.3ppm部分の測定結果の拡大図である。 実施例で得られた成分2についてのCOSY−NMR測定の結果を示す。 図11における1.0〜3.6ppm部分の測定結果の拡大図である。 実施例で得られた成分2についてのHSQC−NMR測定の結果を示す。 図13における1.0〜3.6ppm部分の測定結果の拡大図である。 実施例で得られた成分2についてのH2BC−NMR測定の結果を示す。 図15における1.0〜3.6ppm部分の拡大図である。 実施例で得られた成分2についてのHMBC−NMR測定の結果を示す。 図17における1.0〜3.6ppm、20〜46ppm部分の測定結果の拡大図である。 図17における2.0〜3.6ppm、118〜155ppm部分の測定結果の拡大図である。 図17における7.0〜10.5ppm部分の測定結果の拡大図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
[テトラヒドロアセナフテン合成工程]
本実施形態において用いるアセナフテンは、沸点279℃(常圧下)、融点90〜94℃の白色の公知物質である。アセナフテンの製造方法は特に限定されず、タール留分、石油留分から分離する方法、ナフタレンとエチレンを赤熱管に通しアセナフチレンに水素添加する方法により得られる。
本実施形態において用いる水素化触媒は、通常不飽和結合の水素化に用いられる触媒であれば特に限定されないが、第8〜11属金属から選ばれる少なくとも1種を含有する触媒が好ましい。具体的には鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金のうち少なくとも1種を含有する触媒が挙げられる。触媒は、固体触媒でも均一系触媒でも良いが、反応物との分離性の観点から固体触媒が好ましい。固体触媒としては、非担持型金属触媒や担持金属触媒などが例示され、非担持型金属触媒としてはラネーニッケル、ラネーコバルト、ラネー銅などのラネー触媒や白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの酸化物やコロイド触媒が好ましい。担持金属触媒としては、マグネシア、ジルコニア、セリア、ケイソウ土、活性炭、アルミナ、シリカ、ゼオライト、チタニアなどの担体に鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、オスミウム、イリジウム、白金、金のうち少なくとも1種を担持あるいは混合したものが例示され、ニッケル−珪藻土触媒、ニッケル−マグネシア触媒、ニッケル−アルミナ触媒、銅−クロム触媒(Adkins触媒)、銅−亜鉛触媒、銅−鉄等の銅触媒および/あるいはこれらを含む銅触媒を担体に担持した触媒、Pt/活性炭やPt/アルミナ等の白金触媒、Pd/活性炭やPd/アルミナ等のパラジウム触媒、Ru/活性炭やRu/アルミナ等のルテニウム触媒、Rh/活性炭やRh/アルミナ等のロジウム触媒等が好ましい。
水素化触媒の使用量は触媒の種類によって異なるが、原料に対して0.001から100質量%、好ましくは0.01から30質量%、さらに好ましくは0.1から20質量%が適当である。
水素の圧力は、常圧、加圧下のいずれにおいても行うことができるが、通常、常圧〜20MPaが挙げられ、好ましくは0.1〜10MPaの範囲である。水素圧力を常圧以上とすることで水素化反応が十分に進行し、良好な収率が得られるので好ましい。また水素圧力を20MPaより高くしても、反応上のメリットは得られず、耐圧性能がより高い装置を必要とする等の不具合をきたす。
反応は無溶媒で行うことができるが溶媒を使用しても良く、溶媒として水、ギ酸、酢酸などの有機酸類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、o-ジクロロベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合物類、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル類あるいはこれらの混合物が挙げられる。
溶媒を使用する際の量は、反応基質に対し、通常0.1〜30重量倍の範囲を用いる事ができるが、好ましくは0.2〜20重量倍が挙げられる。
反応温度は、通常−90℃から280℃で行うことができるが、好ましくは20℃から250℃、さらに好ましくは100℃から200℃が挙げられる。
反応時間は、0.5〜5時間である。この範囲にすることにより、十分なアセナフテンの転化率が得られ好ましい。
反応の形式は、接触還元反応が可能であれば特に限定されるものでなく、通常用いられる公知のものでよい。例えば触媒を流体で流動化させて接触還元反応を行う懸濁床反応器、触媒を充填固定化し流体を供給することで接触還元反応を行う固定床反応器等が挙げられる。
[テトラヒドロアセナフテンのホルミル化反応工程]
テトラヒドロアセナフテンのホルミル化反応は、HFおよびBF触媒の存在下で一酸化炭素により実施する。この製造方法により、収率良くテトラリン骨格を有する芳香族アルデヒドを得ることが可能である。また、触媒として使用したHFおよびBFは揮発性が高いため、回収し再利用することができる。このことから使用した触媒を廃棄する必要がなく、経済的に非常に優れると同時に環境に対する負荷も軽減される。
この際に用いる一酸化炭素は、窒素やメタン等の不活性ガスが含まれていても良いが、一酸化炭素分圧として0.5〜5MPaが好ましく、さらに好ましくは1〜3MPaの範囲で実施する。一酸化炭素分圧0.5MPa以上とすることでホルミル化反応が十分に進行し、異性化や重合等の副反応を抑えて良好な収率が得られるので好ましい。また一酸化炭素分圧をこの範囲より高くしても、反応上のメリットは得られず、耐圧性能がより高い装置を必要とする等の不具合をきたす。
本実施形態の方法で用いるHFとしては、実質的に無水のものが好ましい。テトラヒドロアセナフテンに対するHFの使用量は、テトラヒドロアセナフテン1モルに対し10モル以上30モル以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは15モル以上25モル以下の範囲である。HF使用量を10モル以上とすることで、効率的にホルミル化反応が進行する。また、原料コスト及び生産性の観点から30モル倍以下のHFの使用が好ましい。(
また、BFの使用量は、テトラヒドロアセナフテン1モルに対し1.5モル以上3.5モル以下が好ましく、さらに好ましくは2.0モル以上3.0モル以下の範囲である。BFが1.5モル未満では、ホルミル化反応が遅くなり、BFが3.5モルを超えると気相中の一酸化炭素分圧が低くなり、上記一酸化炭素分圧が低すぎる場合と同様に収率低下を招くので好ましくない。
本実施形態において、ホルミル化反応は、−50℃以上30℃以下、好ましくは−30℃以上20℃以下、より好ましくは−20℃以上10℃以下の範囲で実施する。反応温度が30℃以下にすることで、重合生成物の副生による収率低下を抑えることができるので好ましい。
反応時間は、原料供給と後反応を合わせ1〜5時間である。この範囲にすることにより、十分なテトラヒドロアセナフテンの転化率が得られ好ましい。
本実施形態において、原料のテトラヒドロアセナフテンと溶解性で、テトラヒドロアセナフテンやHF及びBFに対して不活性な反応溶媒、たとえばヘキサン、ヘプタン、デカン等の飽和脂肪族炭化水素等を使用しても良い。反応溶媒を使用する場合には更に重合反応が抑制され収率が向上するが、大量の溶媒を使用すると反応の容積効率の低下、分離に要するエネルギー原単位の悪化を招くので、使用の有無・使用量は適宜選択される。
本実施形態の方法におけるホルミル化反応形式は、液相と気相が充分に混合できる反応方法であれば特に制限はなく、回分式,半回分式,連続式等いずれの方法も採用できる。
例えば、回分式では、撹拌装置付反応器に、溶媒に溶かしたテトラヒドロアセナフテン、無水HFおよびBFを仕込み、内容物を撹拌し液温を−50℃以上30℃以下に保った後、一酸化炭素により0.5〜5MPaに昇圧し、その後そのままの圧力、液温を保った状態で、一酸化炭素が吸収されなくなるまで1〜5時間保持した後、反応生成液を抜き出し、テトラリン骨格を有するアルデヒドを得ることが出来る。
また、半回分式では、撹拌装置付反応器に無水HFおよびBFを仕込み、内容物を撹拌し液温を−50℃以上30℃以下に設定し、温度を一定に保つような状態にした後、一酸化炭素により0.5〜5MPaに昇圧し、圧力を一定に保つように一酸化炭素を供給できる状態にする。その後、溶媒に溶かしたテトラヒドロアセナフテンを供給し、その供給終了後一酸化炭素の吸収が停止するまで0.1〜1時間保った後、反応生成液を抜き出し、テトラリン骨格を有するアルデヒドを得ることが出来る。
また、連続式では、まず始めに撹拌装置付反応器に、無水HFおよびBFを仕込み、内容物を撹拌し液温を−50℃以上30℃以下に設定し、温度を一定に保つような状態にした後、一酸化炭素により0.5〜5MPaに昇圧し、圧力を一定に保つように一酸化炭素を供給できる状態にする。その後、溶媒に溶かしたテトラヒドロアセナフテンを供給する半回分式の反応を行う。さらに続けて、無水HFおよびBFも供給開始し、反応生成液を連続的に抜き出す。反応液が反応器中に滞留する時間は、1〜5時間が好ましい。滞留時間を1〜5時間とすることで効率よくテトラリン骨格を有するアルデヒドを製造できる。
得られた式(1)で表されるテトラリン骨格を有するアルデヒドを含む反応液からHFおよびBFを留去した後、蒸留や抽出等の常法により精製することが出来る。
以下に、実施例を以って本発明の方法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<分析方法、条件>
(1)ガスクロマトグラフィー分析条件
装置 :島津製作所製GC−17A
カラム:信和化工製キャピラリーカラムHR-1(0.32mmφ×25m)
昇温条件:100℃から320℃まで5℃/分で昇温
(2)GC−MS
装置 :Agilent社製Agilent5975C MSD Inert XL with TAD
(3)液体クロマトグラフィー
装置 :島津製作所製LC−6AD
(4)NMR
装置 :Bruker Avance 600II(600MHz−NMR)
モード:Proton、Carbon、COSY、HSQC、H2BC、HMBC
溶媒 :CDCl3(重クロロホルム)
内部標準物質:テトラメチルシラン
[テトラヒドロアセナフテン合成]

磁力誘導式撹拌機と上部に3個の入口ノズル、底部に1個の抜き出しノズルを備え、ジャケットにより内部温度を制御できる内容積5Lのステンレス製オートクレーブに、ニッケル−珪藻土触媒(日揮触媒化成株式会社製N−103B)を20.0g、ヘプタン(和光純薬工業製特級)を500g仕込み、200℃、水素圧2MPa下で3時間の活性化を行った。冷却後アセナフテン(東京化成(株)製)を500g仕込み、150℃、水素圧2MPa、1時間攪拌して還元反応を行った。反応液を濾過して触媒を除き、テトラヒドロアセナフテン濃度49.8%、パーヒドロアセナフテン濃度1.5%、アセナフテン濃度0.1%、ヘプタン濃度47.9%含有反応液を991.9g得た(純度95.5%、収率96.2%(仕込みのアセナフテン基準))。
[テトラヒドロアセナフテンのホルミル化反応工程]

磁力誘導式撹拌機と上部に3個の入口ノズル、底部に1個の抜き出しノズルを備え、ジャケットにより内部温度を制御できる内容積500mlのステンレス製オートクレーブを用いて実験を行った。
まずオートクレーブ内部を一酸化炭素で置換した後、HF180g(9.0モル)、BF76.3g(1.1モル)を仕込み、液温5℃とした後、一酸化炭素にて2MPaまで加圧した。反応温度を5℃に保持し、かつ反応圧力を2MPaに保ちながら、調製した反応液(テトラヒドロアセナフテン濃度49.8%、パーヒドロアセナフテン濃度1.5%、アセナフテン濃度0.1%、ヘプタン濃度47.9%)148.6g(テトラヒドロアセナフテン:0.45モル)をオートクレーブ上部より1時間かけて供給し、一酸化炭素の吸収が認められなくなるまで約10分間撹拌を継続した。
反応液をオートクレーブ底部より氷水中に抜き出し、油相と水相を分離した後、油相を2%苛性ソーダ水溶液100mlで2回,蒸留水100mlで2回洗浄し、10gの無水硫酸ナトリウムで脱水した。
得られた油層をガスクロマトグラフィーで分析して反応成績を求めたところ、テトラヒドロアセナフテン転化率99.7%、テトラヒドロアセナフテンのホルミル化生成物の合計収率97.1%(テトラヒドロアセナフテン基準)であった。なお、下記で同定される主生成物のヘキサヒドロアセナフチレン−5−カルバルデヒドの収率51.6%(テトラヒドロアセナフテン基準、異性体比51.9%)、副生成物のヘキサヒドロアセナフチレン−3−カルバルデヒドの収率45.5%(テトラヒドロアセナフテン基準、異性体比45.8%)、その他異性体の収率2.3%(テトラヒドロアセナフテン基準、異性体比2.3%)であった。
得られた液を理論段数20段の精留塔を使用して精留したところ、主留分(150〜152℃/10torr)として、ヘキサヒドロアセナフチレン−5−カルバルデヒドが52.0質量%、ヘキサヒドロアセナフチレン−3−カルバルデヒドが45.9質量%、その他異性体が2.1質量%のものが65.2g(単離収率77.9mol%、テトラヒドロアセナフテン基準)得られた。蒸留による異性体比率の変動はほとんどなかった。
[生成物の同定]
主生成物について、液体クロマトグラフィーにより、2成分(成分1及び2)を分取した。2成分は、GC−MSで測定した分子量がいずれも186であった。
また、各成分について、前記NMR装置を用いて、H−NMR測定、13C−NMR測定、COSY−NMR測定、HSQC−NMR測定、H2BC−NMR測定、HMBC−NMR測定を行った。H−NMR測定及び13C−NMR測定の結果を以下に示し、COSY−NMR測定、HSQC−NMR測定、H2BC−NMR測定及びHMBC−NMR測定の結果を図1〜20に示す。
<成分1のNMR測定結果>
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS、ppm)δ:1.18〜1.26(m,1H)、1.55〜1.62(m,1H)、1.75〜1.84(m,1H)、2.06〜2.12(m,1H)、2.17〜2.22(m,1H)、2.40〜2.46(m,1H)、2.66〜2.74(m,1H)、2.88〜2.92(m,2H)、2.98〜3.06(m,1H)、3.32〜3.38(m,1H)、7.06〜7.08(d,1H)、7.54〜7.56(d,1H)、10.90(s,1H)
13C−NMR(600MHz、CDCl、TMS、ppm)δ:23.40、27.10、28.93、30.86、34.94、41.45、126.04、129.39、130.13、141.11、145.67、146.33、192.40
図1、図2は、成分1についてのCOSY−NMR測定の結果を示す(図2は、図1における1.0〜3.5ppm部分の測定結果の拡大図である)。隣り合う炭素原子の水素原子の相関が示され、水素原子1−5、1−10、1−15、3−12、3−15、3−20、3−21、5−7、5−13、5−16、12−20、13−16、20−21、23−25、等の相関について把握することができる。
図3、図4は、成分1についてのHSQC−NMR測定の結果を示す(図4は、図3における1.0〜3.5ppm部分の測定結果の拡大図である)。各炭素原子と結合する水素原子の相関が示され、1−f、3−i、5−a、7−a、10−f、12−i、13−d、15−k、16−d、20−g、21−g、23−n、25−o、27−y、等の相関について把握することができる。
図5、図6は、成分1についてのH2BC−NMR測定の結果を示す(図6は、図5における1.0〜3.6ppm部分の拡大図である)。C−Hの2結合のみの相関が示され等の相関が示され、1−a、1−k、3−g、3−k、5−d、5−f、7−d、7−f、12−k、13−a、15−f、15−i、16−a、20−i、21−i、23−o、25−n、等の相関について把握することができる。
図7、図8、図9、図10は、成分1についてのHMBC−NMR測定の結果を示す(図8は、図7における1.0〜3.5ppm、21〜45ppm部分の測定結果の拡大図、図9は、図7における2.0〜3.5ppm、123〜150ppm部分の測定結果の拡大図、図10は、図7における6.9〜10.3ppm部分の測定結果の拡大図である)。各炭素原子と2結合離れた水素原子について把握され、23−d、1−k、3−f、3−g、3−k、7−f、10−a、12−g、12−k、13−a、15−a、15−f、16−a、16−f、20−i、21−i、21−k、10−w、12−u、12−w、13−n、13−t、13−w、15−t、15−w、16−n、16−t、16−w、20−u、21−u、21−w、23−p、23−w、25−t、25−u、25−y、27−p、27−u、27−y、等の相関について把握することができる。
これらの測定結果から総合的に判断して、成分1はヘキサヒドロアセナフチレン−3−カルバルデヒドであると同定された。
<成分2のNMR測定結果>
H−NMR(600MHz、CDCl、TMS、ppm)δ:1.18〜1.26(m,1H)、1.54〜1.62(m,1H)、1.74〜1.80(m,1H)、2.12〜2.18(m,2H)、2.34〜2.40(m,1H)、2.78〜2.84(m,1H)、2.86〜2.96(m,3H)、3.36〜3.44(m,1H)、7.20〜7.23(d,1H)、7.58〜7.61(d,1H)、10.15(s,1H)
13C−NMR(600MHz、CDCl、TMS、ppm)δ:23.39、25.28、28.38、32.22、34.94、42.21、121.69、131.72、132.83、136.54、146.09、150.47、192.96
図11、図12は、成分2についてのCOSY−NMR測定の結果を示す(図12は、図11における1.0〜3.6ppm部分の測定結果の拡大図である)。隣り合う炭素原子の水素原子の相関が示され、水素原子2−6、2−8、2−9、2−18、4−11、4−14、4−17、4−18、6−8、6−9、6−19、6−22、8−18、9−19、11−17、11−18、19−22、24−26、等の相関について把握することができる。
図13、図14は、成分2についてのHSQC−NMR測定の結果を示す(図14は、図13における1.0〜3.6ppm部分の測定結果の拡大図である)。各炭素原子と結合する水素原子の相関が示され、2−e、4−j、6−b、8−e、9−b、11−j、14−h、17−h、18−l、19−c、22−c、24−m、26−r、28−z、等の相関について把握することができる。
図15、図16は、成分2についてのH2BC−NMR測定の結果を示す(図16は、図15における1.0〜3.6ppm部分の拡大図である)。C−Hの2結合のみの相関が示され等の相関が示され、2−b、2−l、4−h、4−l、6−c、6−e、9−c、11−l、14−j、17−j、18−e、18−j、19−b、22−b、24−r、26−m、等の相関について把握することができる。
図17、図18、図19、図20は、成分2についてのHMBC−NMR測定の結果を示す(図18は、図17における1.0〜3.6ppm、20〜46ppm部分の測定結果の拡大図、図19は、図17における2.0〜3.6ppm、118〜155ppm部分の測定結果の拡大図、図20は、図17における7.0〜10.5ppm部分の測定結果の拡大図である)。各炭素原子と2結合離れた水素原子について把握され、2−b、2−l、4−e、4−h、4−l、8−c、8−l、8−v、9−c、9−s、9−l、11−h、11−l、11−v、11−x、14−j、14−l、14−m、14−v、14−x、17−j、17−v、17−x、18−b、18−j、18−s、18−v、18−x、19−b、19−s、19−v、22−b、22−e、22−s、22−v、24−h、24−q、24−v、26−s、26−x、26−z、28−q、28−s、28−z、等の相関について把握することができる。
これらの測定結果から総合的に判断して、成分2はヘキサヒドロアセナフチレン−5−カルバルデヒドであると同定された。
本発明で得られる新規テトラリン骨格を有するアルデヒドは、各種の工業化学原料、医薬、農薬、光学機能性材料や電子機能性材料の製造原料として有用である。

Claims (3)

  1. 一般式(1)で表されるテトラリン骨格を有するアルデヒド。
  2. フッ化水素および三フッ化ホウ素の存在下、式(2)で表わされるテトラヒドロアセナフテンを一酸化炭素と反応させことを特徴とする、式(1)で表されるテトラリン骨格を有するアルデヒドの製造方法。
  3. 式(2)で表わされるテトラヒドロアセナフテンを、式(3)で表わされるアセナフテンと水素を水素添加触媒の存在下で反応させて得ることを特徴とする、請求項2に記載のテトラリン骨格を有するアルデヒドの製造方法。
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