JP6145881B2 - ラマン分光画像取得システムおよびラマン分光画像取得方法 - Google Patents

ラマン分光画像取得システムおよびラマン分光画像取得方法 Download PDF

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Description

本発明は、被検体に特有のピーク波長を有するラマン散乱光を測定するラマン顕微分光装置を備えたラマン分光画像取得システムおよびラマン分光画像取得方法に関するものである。
従来、被検体を構成する物質の同定などを行う方法としてラマン分光法が提案されている。ラマン分光法は、物質に単波長光を照射して得られる散乱光を分光して、ラマン散乱光のスペクトル(ラマンスペクトル)を得る方法であり、このスペクトルのピーク波長を解析することによって物質の同定などを行うことができる。
上述したラマン分光法としては、微弱なラマン散乱光を増強するため、局在プラズモン共鳴によって増強された光電場を利用した、いわゆる表面増強ラマン(SERS)と呼ばれる方法が知られている。
この方法は、金属体、特に表面にナノオーダの凹凸を有する金属体に物質を接触させた状態で光を照射すると、局在プラズモン共鳴による光電場増強が生じ、金属体表面に接触された試料のラマン散乱光の強度が増強されるという原理を利用したものである。被検体を担持する担体(基板)として、表面に金属凹凸構造を備えた基板を用いることにより表面増強ラマン分光法を実施することができる(特許文献1等)。
表面増強ラマン分光法を用いない場合にはラマン散乱光は非常に微弱であり、また、表面増強ラマン分光法を用いた場合であっても検体濃度が極端に薄い場合には増強してもなおラマン散乱光は非常に微弱であるため、イメージングにより得られる画像の解像度やコントラストが低く、検体の空間分布情報が十分に得られない。そのため、ラマン散乱光検出して得られる画像と別途に照明光が照射されて取得された試料の明視野像との比較を行うことで、詳細な空間分布情報の取得が行われている。例えば、特許文献2では、先に取得した明視野画像において、位置の基準となる基準点Pを設定し、分光画像取得前に基準点Pを基準として升目状にデータを取得する区画を設定し、分光画像と明視野画像とを空間的に対応づける方法が記載されている。
特開2012−063294号公報 特開2012−202717号公報
しかしながら、特許文献2の方法では、基準点Pの設定、分光画像取得の区画設定などの複雑の工程を経て明視野画像と分光画像との対比がなされており、簡易な方法とは言えない。
本発明は、上記事情に鑑み、ラマン分光画像と正確にかつ容易に重ね合わせることが可能な明視野像を取得することができるラマン分光画像取得システムおよびラマン分光画像取得方法を提供することを目的とする。
本発明のラマン分光画像取得システムは、被検体が載置される基板、励起光を出射する光源、被検体から発せられる光を分光し、励起光波長から被検体のラマン散乱光ピーク波長を含む所定波長範囲のスペクトルを測定する分光器、励起光を被検体に照射し、励起光の照射により被検体から発せられる光を分光器に導く共焦点光学系、被検体と分光器との間に配置され、分光器に入射する被検体から発せられる光のうち励起光波長の光量を分光器の飽和光量の80%以下に調整する光量調整機構、および励起光を二次元走査する機構を備えた顕微分光装置と、
顕微分光装置により取得されたスペクトルに基づく画像を表示するモニタと、
顕微分光装置による励起光の二次元走査に伴い測定された各スペクトルの励起光波長のデータから被検体の明視野像を求め、ラマン散乱光ピーク波長のデータから被検体のラマン分光画像を求め、モニタに明視野像とラマン分光画像とを重ねて表示させる制御部とを備えてなることを特徴とする。
ここで、「励起光の照射によって被検体から生じた光」には、励起光の照射によって被検体から生じるラマン散乱光、レーリー散乱光等の散乱光に加え、励起光の被検体表面もしくは基板と被検体との境界での正反射光を含むものとする。
また、「分光器の飽和光量」とは、分光器内の光検出器の光電変換特性における入力光量(照度×蓄積時間)に対する出力信号の関係において、これ以上光量を増加しても出力量が飽和する光量をいう。
光量調整機構により、分光器に入射する被検体から発せられる光のうち励起光波長の光量を分光器の飽和光量の80%以下に調整するのは、二次元画像取得前に一度行えばよく、励起光による二次元画像中に調整する必要はなく、一端調整した後は、分光器に入射する励起光波長の光量が分光器の飽和光量の80%を超えても構わない。
なお、光量調整機構は、励起光波長の光の出力信号(シグナルS)が、分光器のノイズNに対しS/Nが100以上となるように励起光波長の光量を調整するものであることが望ましい。分光器のノイズNは分光器自体、顕微鏡構成、被検体、環境等の状態により変動するため、測定毎に変化し得るものであるが、各システムにおいて、ラマン分光画像取得前にS/N測定を行えばよい。
基板を励起光およびラマン散乱光に対して透明なものとし、光学系を励起光を基板の裏面に向けて照射するものとし、分光器が基板の裏面側から放射された被検体から発せられる光を分光測定するものとすることができる。
光量調整機構にバンドパスフィルタを備え、バンドパスフィルタの、被検体から発せられる光が分光器に向かう光軸に対する傾きを変化させて、励起光波長の光量を調整してもよい。
光量調整機構が検光子を備え、検光子を励起光の偏光方向に対し回転させることで、励起光波長の光量を調整してもよい。
「偏光方向に対し回転させる」とは、直線偏光の励起光の偏光振動の方向と検光子の透過軸とのなす角度を変化させることを意味する。
光量調整機構に複数枚のシャープカットフィルタまたは複数枚のバンドパスフィルタを備え、シャープカットフィルタまたはバンドパスフィルタの枚数を変えることで、励起光波長の光量を調整してもよい。
基板が表面に金属の微細凹凸構造を備えてなる光電場増強デバイスであることが好ましい。
制御部が、光量調整機構を制御して、励起光波長の光量を調整するものとすることができる。
本発明のラマン分光画像取得方法は、被検体に対して励起光を照射し、励起光の照射により被検体から発せられる光を分光器により分光測定し、分光器に入射する被検体から発せられる光のうち励起光波長の光量初期値が、分光器の飽和光量の80%以下となるように分光器に入射する光の励起光波長の光量を調整し、
分光器に入射する励起光波長の光量を調整した状態で、励起光の照射位置を二次元走査させて、励起光の二次元走査に伴い測定される各スペクトルの励起光波長のデータから被検体の明視野像を求め、ラマン散乱光ピーク波長のデータから被検体のラマン分光画像を求め、
モニタに明視野像とラマン分光画像とを重ねて表示させることを特徴とする。
本発明のラマン分光画像取得装置および方法によれば、分光器に入射する被検体から発せられる光のうち励起光波長の光量を、分光器の飽和光量の80%以下に調整し、分光器に入射する励起光波長の光量を調整した状態で、励起光の照射位置を二次元走査させて、励起光の二次元走査に伴い測定される各スペクトルの励起光波長のデータから被検体の明視野像を求め、ラマン散乱光ピーク波長のデータから被検体のラマン分光画像を求めており、明視野像をラマン光と同一測定点からの信号をラマン光と同時に検出している励起光波長のデータから求めているため、モニタに明視野像とラマン分光画像を容易に重ねて表示することができる。
励起光の照射を受け、ラマン散乱光と同一測定点から発生られる励起光の戻り光は、ラマン光などと比べ桁違いに強く、通常はこの戻り光が分光器(の光検出器)に入射しないように励起光カットフィルタ等により減光されるが、本発明では、分光器に入射する光のうち励起光波長の光量を分光器の飽和光量の80%以下に調整した上で、二次元走査して画像を取得するので、分光器の光検出器を飽和させることなく、かつ試料の鮮明な明視野像を得ることができる。
本発明のラマン分光画像取得システムの第1の実施形態の概略構成を示す図 図2に示す構成のシステムの分光器および従来システムの分光器により検出されたスペクトルを示すグラフ 本発明のラマン分光画像取得システムの第2の実施形態の概略構成を示す図 図3に示すラマン散乱光測定装置に備えられた光電場増強基板を示す斜視図 図4に示した光電場増強基板の側面の一部Vの拡大図 図3に示す構成のシステムにおいて分光器に入射する励起光波長の調整前後に分光器により検出されたスペクトルを示すグラフ 本発明のラマン分光画像取得システムの第3の実施形態の概略構成を示す図 本発明のラマン分光画像取得システムの第4の実施形態の概略構成を示す図
以下、本発明のラマン分光画像取得システムおよびラマン分光画像取得方法の第1の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本実施形態のラマン分光画像取得システム1の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態のラマン分光画像取得システム1は、図1に示すように、被検体Sが載置される基板10、励起光Lを出射する光源11、被検体Sから発せられる光を分光し、励起光波長から被検体Sのラマン散乱光ピーク波長を含む所定波長範囲のスペクトルを測定する分光器12、励起光Lを被検体Sに照射し、励起光Lの照射により被検体Sから発せられる光を分光器12に導く共焦点光学系13、被検体Sと分光器12との間に配置され、分光器12に入射する被検体Sから発せられる光のうち励起光波長の光量を分光器12の飽和光量の80%以下に調整する光量調整機構14、および励起光Lを二次元走査する機構15を備えた顕微分光装置2と、顕微分光装置2により取得されたスペクトルに基づく画像を表示するモニタ3と、顕微分光装置2による励起光Lの二次元走査に伴い測定された各スペクトルの励起光波長のデータから被検体の明視野像を求め、ラマン散乱光ピーク波長のデータから被検体Sのラマン分光画像を求め、モニタ3に明視野像とラマン分光画像とを重ねて表示させる制御部4とを備えている。
まず、基板10、光源11、分光器12、共焦点光学系13、光量調整機構14、および励起光Lを二次元走査する機構15を備えた顕微分光装置2の各要素について説明する。
基板10は、本例では励起光を基板10裏面から入射させて被検体Sに照射し、被検体Sから発せられる光を基板10裏面から検出するため、励起光からラマン散乱光を含む所定波長範囲の光に対して透明である。ここで透明とは、入射する光の50%以上を透過するものとする。
なお、基板10の表面側から励起光を照射し、散乱光を検出する構成の顕微鏡であれば、基板は必ずしも透明である必要はない。
光源11は、単波長の励起光Lを射出する光源であれよい。ここでは、光源11は、85nmの励起光を射出するファイバーカップルDFB(分布帰還型)半導体レーザであり、射出された励起光Lは光ファイバ21を通り、その先端21aから出射されるよう構成されている。光ファイバ21としては、例えば、コア直径5.5μmの偏波保持シングルモードファイバを用いる。
分光器12は、被検体から発せられた光を分光する回折格子と、該分光されたスペクトルを検出するためのマルチチャネルCCD等からなる検出器とを含んでいる。なお、検出器は微弱なラマン光を精度よく検出するため冷却機構が搭載されていることが好ましい。分光器12は、励起光波長から被検体Sのラマン散乱光ピーク波長を含む所定波長範囲のスペクトルを測定可能に構成されていれば、どのような構成であっても構わない。本構成においては、光ファイバ29により導光された光を分光してスペクトル測定を行うよう構成されている。
共焦点光学系13は、励起光Lを被検体Sに照射し、励起光Lの照射により被検体Sから発せられる光を分光器12に導くための光学系であり、複数の光学部材から構成される。本実施形態においては、光源11から射出され光ファイバ21の先端21aから出射された励起光Lをコリメートする非球面レンズ22と、アイソレータ23と、スペクトル先鋭化のためのバンドパスフィルタ24と、励起光波長以下の光を反射し、それより長波の光を透過する特性を有するダイクロイックミラー25と、誘電体ミラー26と、被検体の所定位置に焦点を絞って励起光を照射すると共に、被検体から発せられる光を検出するための対物レンズ27と、集光レンズ28と、集光レンズ28により集光された光を分光器に導光する光ファイバ29を備えている。集光レンズ28は、対物レンズ27を経てミラー26で反射され、ダイクロイックミラー25を透過し、さらに光量調整機構14を透過した光を光ファイバ29の先端に集光するものであり、光ファイバ29のコア端面29aが共焦点系のアパーチャとして機能する。
光量調整機構14は、被検体Sと分光器12との間、ここでは上述の共焦点光学系13内に配置され、分光器12に入射する被検体Sから発せられる光のうち励起光波長の光量を分光器12の飽和光量の80%以下の所定値に調整するものである。また、光量調整機構は、励起光波長の光の出力信号(シグナルS)が、分光器のノイズNに対しS/Nが100以上となるように励起光波長の光量を調整するものとする。S/Nが100以上であれば、鮮明な明視野像を得ることが可能である。分光器に入射する励起光波長の光量は飽和光量の10%以上とすることが好ましく、さらには40%以上、60%以下の所定値であることがより好ましい。特には飽和光量の半分程度とすることが好ましい。
本実施形態においては、励起光波長の光量を大幅に減衰させ、励起光波長より長波長側のラマン散乱光波長(ストークス光)を透過するロングパスフィルタ31(バンドパスフィルタの一種である。)と、このフィルタ31を支持すると共にフィルタ31の光軸に対する傾きを変化させるフィルタ駆動部32とを備えている。フィルタ駆動部32は、フィルタ31の光入射面に光軸が垂直となる状態からその光入射面と光軸とのなす角度が小さくなる方向(図中R方向)にフィルタ31の傾きを変化させるものである。ロングパスフィルタ31の傾きを変化させることによりラマン散乱光波長の透過量をほとんど変化させることなく、励起光波長の光量の透過量を変化させることができる。ロングパスフィルタ31としては、傾きを変化させることによる波数100cm−1以上の波長における透過量の変化量がラマン散乱ピークにおいて最大透過光量の20%以内に抑えられるものを用いることが好ましい。
励起光Lを二次元走査する機構15は、励起光Lを所定範囲で二次元走査できる構成であれば特に限定されるものではないが、本実施形態においては、基板10を保持するとともに、X方向およびY方向(紙面奥行き方向)に基板10を移動させる移動ステージ(XYステージ)15より構成されている。
顕微分光装置2においては、ファイバーカップルDFB半導体レーザ11からの785nmの励起光Lを焦点距離10mmの非球面レンズ22を用いてコリメートする。コリメートされた励起光Lはアイソレータ23を通過した後に、さらにスペクトル先鋭化のためのバンドパスフィルタ24を通過する。ダイクロイックミラー25および誘電体ミラー26によって対物レンズ27に導かれ、ガラス基板10上の被検体(サンプル)Sに集光される。ガラス基板10は二次元走査機構を構成するXYステージ15上に固定されている。被検体Sからのラマン光および励起光の戻り光は対物レンズ27によってコレクトされ、誘電体ミラー26によりダイクロイックミラー25に導かれる。ダイクロイックミラー25は励起波長以下の光を反射し、それより長波の光を透過する特性を有するため、ラマン光(ストークス光)はダイクロイックミラー25を低ロスで透過するが、励起光の戻り光のほとんどが光源11側に反射される。ここで、励起光の戻り光とは、励起光の照射により被検体Sから発せられる光のうちの励起光波長の光を総称するものであり、レーリー散乱および励起光の正反射光を含むものである。ダイクロイックミラー25において励起光は多くが反射されるが、ダイクロイックミラー25を透過した励起光でさえ、ラマン散乱光に対し桁違いに大きな光量となっている。
ダイクロイックミラー25を透過した光は、励起光波長の光量を調整する光量調整機構のロングパスフィルタ31を通過する。駆動部32により、分光器12で検出される励起光波長の光量が分光器12の検出器の飽和光量の80%以下の所定値となるように二次元走査前にロングパスフィルタ31の傾きが調整され、ロングパスフィルタ31を透過したラマン光および励起光の戻り光は焦点距離90mmの集光レンズ28によって、コア直径50μmのマルチモードファイバ29に結像される。マルチモードファイバ29は分光器12に接続されており、ファイバ29を通ってきたラマン散乱光および励起光の戻り光を含む光が、分光器12によって、分光されてスペクトル測定がなされる。
上記の顕微分光装置2のデータからラマン分光画像を取得して表示するモニタ3と制御部4は、例えば、パーソナルコンピュータにより構成される。分光器12とXYステージ15は、コンピュータ内のハードディスク等にインストールされたプログラムに基づいて、制御部4により駆動制御されており、XYステージ15により励起光を被検体Sの所望の位置に移動した後、ラマン光と励起光の戻り光を含む所定の波長範囲のスペクトルを分光器12によって取得する。制御部4では、顕微分光装置2による励起光Lを被検体Sの所望の範囲内を二次元走査させ、励起光の二次元走査に伴い測定された各スペクトルの励起光波長(波数:0cm−1)のデータから被検体Sの明視野像を求め、ラマン散乱光の特定のピーク波長のデータから被検体Sのラマン分光画像を求め、モニタ3に明視野像とラマン分光画像とを重ねて表示させる。ここで、重ねて表示とは、明視野像とラマン分光画像とを位置合わせした状態で同時に表示することを意味する。
次に、本ラマン分光画像取得システム1による分光画像取得方法について説明する。
ラマン分光画像取得を開始する前に、まず、分光器12により受光される光の励起光波長の光量調整を行う。被検体Sを基板10上に載置した状態で、被検体Sの任意の位置に対して励起光Lを照射する。ここでは、二次元画像を取得するため、被検体Sと基板10との界面に焦点位置がくるように調整して励起光Lを照射する。このとき、励起光波長の光量(シグナルS)が、分光器12のノイズNに対しS/Nが100以上となるように調整し、かつ飽和信号値の80%以下の所定値、例えば50%となるように光量調整機構14のフィルタ駆動部32によりフィルタ31を回転させて励起光波長の分光器12への入射光量を調整する。入射光量の調整は、自動で行っても手動で行ってもよい。すなわち、制御部4が検出器における飽和光量と受光光量とを比較しつつ駆動部32によるフィルタ31の回転量を調整するように構成されていてもよいし、分光器12により測定されるスペクトルをモニタ3に表示させ、駆動部32によるフィルタ31の回転量を操作者が調整するようにしてもよい。
上記のような分光器12への励起光波長の光量調整は、基本的に、被検体毎および/または励起光出力、共焦点光学系等の調整後、ラマン分光画像取得前に1度行えばよく、二次元走査中には行う必要はない。
分光器に入射する励起光波長の光量を初期状態で上述の通り、飽和信号値の80%以下の所定値に調整した状態で、励起光Lを被検体Sの所望の範囲に二次元走査させて、各箇所において励起光波長から所定のラマン散乱ピーク波長を含む波長範囲のスペクトルを測定する。分光器に入射する励起光波長の光量は、二次元走査中に変動する可能性があるが、その変動は概ね20%未満であるため、分光器の検出器の飽和光量に達することなく、
測定が可能である。この二次元走査に伴い測定されるスペクトルの励起光波長のデータから被検体の明視野像を求め、ラマン散乱光ピーク波長のデータから被検体のラマン分光画像を求め、モニタ3に明視野像とラマン分光画像とを重ねて表示させる。
上記実施形態のラマン分光画像取得システムおよび方法によれば、明視野像は、ラマン光と同一測定点からの励起光の戻り光のデータに基づいて取得するので、モニタ上に明視野像とラマン分光画像を容易に重ねて表示することができる。
励起光の照射を受け、ラマン散乱光と同一測定点から発生られる励起光の戻り光は、ラマン光などと比べ桁違いに強く、通常はこの戻り光が分光器(の光検出器)に入射しないように励起光カットフィルタ等により減光されるが、本発明では、分光器に入射する光のうち励起光波長の光量を分光器の飽和光量の80%以下に調整するので、分光器の光検出器を飽和させることなく、かつ試料(被検体)の鮮明な明視野像を得ることができる。
ラマン散乱光の検出と同時に共焦点用のアパーチャを通過させ、分光器で励起光波長を検出しているので、従来の顕微分光装置に検出部や別途の照明光を追加することなく、高分解能かつ高コントラストな明視野像を得ることができる。光量調整をせず分光器に励起光波長が入射してしまうと、励起光波長の戻り光はラマン光に比較して非常に大きいため、にラマンスペクトル上に励起光によるバックグラウンドが重なり、ラマン信号のS/Nが大きく低下し、また、励起光波長を受光する受光素子の出力信号が飽和する。そのため、従来は、分光器に入射する前に、励起光カットフィルタによって励起光のみを大幅に減少させている。本発明は、検出器に入射する励起光波長の光量を検出器の飽和光量の80%以下に調整することにより、さらに、励起光波長の光量(シグナルS)が、分光器12のノイズNに対しS/Nが100以上となるように調整することにより、検出器を飽和させることなく、バックグラウンドの上昇を抑制すると共に、位置情報を正確に示す程度の高いコントラストの明視野像を得ることができる。
図2に、被検体Sとしてシリコンを用いてロングパスフィルタ31を回転させた前後でのスペクトルを示す。図2中のインセットのスペクトルは、縦軸に示す信号強度を拡大して示したものである。グラフ濃い実線Aで示されているのがロングパスフィルタ31を光軸に対して垂直に配置した場合であり、薄い実線Bで示されているのがロングパスフィルタ31の光軸に対する傾きを調整して飽和光量の50%程度に調整した場合である。
回転前後で、816nmのシリコンラマンピーク強度の変化はほとんどないのに対し、785nmの励起光波長の信号強度が大きく変化していることがわかる。すなわち、ロングパスフィルタ31を光軸に対して垂直に配置した場合には、励起光波長がほとんどカットされて励起光波長の光量が非常に小さいのに対し、ロングパスフィルタ31の傾きを調整した後は、十分に大きな励起光波長の信号が得られている。
このようなS/Nの良い励起光波長の信号を得ることができれば、励起光波長のデータから被検体の明視野像としてS/Nの良い画像を得ることができる。
次に、本発明のラマン分光画像取得システムおよび方法の第2の実施形態について説明する。図3は本実施形態のラマン分光画像取得システム5の概略構成を示すブロック図である。上述した第1の実施形態のラマン分光画像取得システム1と第2の実施形態のラマン分光画像取得システム5とは、顕微分光装置2の基板と光量調整機構の構成が異なる。
第1の実施形態においては、ガラス基板10が用いられているが、第2の実施形態においては、光電場増強基板50が用いられている。また、第1の実施形態においては、光量調整機構として、ロングパスフィルタとその光軸に対する傾きを変化させる駆動部とを備えるものとしたが、図3に示すように、第2の実施形態においては光量調整機構40が、検光子41と検光子41を光軸に対して回転駆動する回転駆動部42を備えた構成である。
まず、光電場増強基板50について説明する。図4は、光電場増強基板50を示す斜視図であり、図5は、図4に示した光電場増強基板50の側面の一部Vの拡大図である。
光電場増強基板50は、図4および図5に示すように、ガラスなどからなる透明基板51と、透明基板51の表面に形成された微細凹凸構造52と、微細凹凸構造52の表面に形成された金属膜53とからなるものである。
本実施形態における微細凹凸構造52は、ベーマイトから形成されるものである。微細凹凸構造52は、その表面に金属膜53を形成した場合の金属微細凹凸構造の凸部の深さの平均およびピッチの平均が、励起光Lの波長より短くなるように形成されるものであるが、金属微細凹凸構造の表面に局在プラズモンを生じさせうるものであればよい。特に、微細凹凸構造52は、凸部頂点から隣接する凹部の底部までの深さの平均が200nm以下、凹部を隔てた最隣接凸部の頂点同士のピッチの平均が200nm以下であることが望ましい。
金属膜53は、微細凹凸構造52の表面に沿って形成されるものであり、これにより上述した金属微細凹凸構造が形成される。そして、光電場増強基板50は、この金属微細凹凸構造によって局在プラズモン共鳴による光電増強効果を得ることができるものである。
具体的には、光電場増強基板50は、金属膜53が形成された微細凹凸構造52(金属微細凹凸構造)への励起光Lの照射によって局在プラズモン共鳴が誘起され、この局在プラズモン共鳴により金属膜53の表面に増強された光電場を生じさせるものである。
金属膜53は、励起光Lの照射を受けて局在プラズモンを生じうる金属からなるものであればよいが、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Pt、およびこれらを主成分とする合金からなる群より選択される少なくとも1種の金属からなるものである。特には、AuあるいはAgが好ましい。
金属膜53の膜厚は、金属膜53が微細凹凸構造52の表面に形成された場合に、金属微細凹凸構造として励起光Lの照射を受けて局在プラズモンを生じうる凹凸形状を維持することができる程度の厚みであれば特に制限はないが、10nm〜100nmであることが好ましい。
次に本実施形態の励起光波長の光量調整機構40について説明する。光量調整機構40は、既述の通り、検光子41と検光子41を光軸に対して回転駆動する(光軸を中心にR方向に回転させる)駆動部42を備えた構成である。
励起光Lはレーザ光であり直線偏光であるので、戻り光のうち少なくとも正反射光は直線偏光である。直線偏光の振動方向と検光子41の透過軸とが一致したとき、直線偏光は検光子41をほぼ透過し、検光子41の透過軸の、直線偏光の振動方向となす角度を大きくするにつれ透過光量は小さくなり、直線偏光の振動方向と検光子の透過軸とが直交するとき、直線偏光はほぼ遮断されて透過しなくなる。すなわち、検光子の透過軸の、直線偏光の振動方向となす角度を変化させることにより、検光子を透過する直線偏光の光量を調整することができる。光軸に対して面が垂直となるように配置された検光子41をその光軸に対して回転させることは、直線偏光の振動方向と検光子の透過軸とのなす角度を変化させていることに等しい。
本実施形態においては検光子41を光軸中心に回転させることにより励起光波長の光量を分光器の光検出器(CCD)の飽和光量の80%以下の所定値となるように調整する。分光器に入射する励起光波長の光量は飽和光量の10%以上、より好ましくは40%以上、60%以下の所定値となるように調整する。最も好ましいのは飽和光量の半分程度である。
上記以外の構成および画像取得方法は第1の実施形態のシステムおよび方法と同様であり、同様の効果を得ることができる。
図6に、被検体SとしてR6Gを用いて回転駆動部42により検光子41を回転させる前後のスペクトルを示す。図6中のインセットのスペクトルは、縦軸に示す信号強度を拡大して示したものである。濃い実線Aで示されているのが回転前であり、薄い実線Bで示されているのが回転後である。回転前とは、検光子41の透過軸を、励起光の直線偏光光と振動方向を一致させた状態、すなわち励起光波長の直線偏光光が全透過した場合であり、本例では、分光器の飽和光量の90%程度であった。また、回転後は、分光器の飽和光量の40%程度としている。
回転前後で、R6Gのラマンピーク強度(図中864nm、870nm近傍に矢印で示すピークはラマンピークの例示である。)に大きな変化がないのに対し、励起光波長である785nmの信号強度が大きく変化していることがわかる。ここでは検光子41は、励起光波長の信号強度が検出器の飽和光量の40%程度となるように調整しているが、飽和光量の10〜80%程度の所定値となるように調整すればよい。ラマン分光画像としては、785〜930nmのいずれかのラマンピークの信号強度をラマン分光画像に用いることができ、いずれのピーク波長のデータを用いるかは適宜選択すればよい。
次に、本発明のラマン分光画像取得システムおよび方法の第3の実施形態について説明する。図7は本実施形態のラマン分光画像取得システム7の概略構成を示すブロック図である。上述した第2の実施形態のラマン分光画像取得システム5と第3の実施形態のラマン分光画像取得システム6とは、顕微分光装置2の光量調整機構の構成が異なる。
第2の実施形態においては光量調整機構40が、検光子41と検光子41を光軸に対して回転駆動する駆動部42を備えた構成であるが、図7に示すように、第3の実施形態においては、光量調整機構60が、複数のバンドパスフィルタ61a、61b、61cを備え、そのバンドパスフィルタ61a、61b、61cの光軸上から抜き差しすることにより光軸上に配置するフィルタ数を変化させ、励起光波長の光量を調整するよう構成されている。バンドパスフィルタ61a、61b、61cとしては、励起光波長よりも長波長側の少なくともラマン散乱ピーク波長を含む所定の波長域の波長を透過させ、それ以外の波長に対する透過率が低いフィルタを用いる。光路上のバンドパスフィルタ数が増えるほど、励起光波長の光の透過率をより小さくすることができる。すなわち、本実施形態においては、被検体Sから発せられる光の分光器12に至る光路上におけるフィルタの数を増減させることにより分光器12に入射する励起光波長の光量を増減させ、分光器の光検出器(CCD)の飽和光量の80%以下の所定値となるように調整する。分光器に入射する励起光波長の光量は飽和光量の10%以上、より好ましくは40%以上、60%以下の所定値となるように調整する。最も好ましいのは飽和光量の半分程度である。第1、第2の実施形態と比較すると、回転駆動が不要であるため、構成が簡単になるが、フィルタの数の増減では光量を連続的に調整はできず、光量調整は不連続なものとなる。
上記以外の構成および画像取得方法は第2の実施形態のシステムおよび方法と同様であり、同様の効果を得ることができる。
なお、バンドパスフィルタに代えて、シャープカットフィルタを複数枚備え、シャープカットフィルタの数を変化させてもよい。なお、シャープカットフィルタとしては、励起光波長以下を急峻に遮断し長波長側のみを通すものを用いればよい。シャープカットフィルタを用いてもバンドパスフィルタを用いた場合と同様に光路上におけるフィルタ数を変化させることにより励起光波長の光量を変化させることができる。
また、単数もしくは複数のバンドパスフィルタと、単数もしくは複数のシャープカットフィルタを備え、組合せや数を変化させることによって光量を調整するよう構成してもよい。
以上の第1〜第3の実施形態のラマン分光画像取得システムにおいては、励起光の戻り光の分光器への入射光量を調整する光量調整機構を備え、二次元画像の測定前に予めに分光器への励起光波長の入射光量を分光器の光検出器の飽和光量の80%以下、また、励起光波長の光の出力信号(シグナルS)が、分光器のノイズNに対しS/Nが100以上となるように、好ましくは分光器の光検出器の飽和光量の10%以上、より好ましくは40%以上60%以下に調整しておくことにより、その後の二次元走査によりラマン分光画像を取得する際に、同時に被検体の明視野画像を取得することができ、両画像を容易に、かつ精度よく重ねて表示することができる。励起光波長の光量を分光器の光検出器の飽和光量の80%以下に調整しておけば、二次元走査の間に励起光波長の受光量に20%程度の変動が生じても光検出器を飽和させることなく信号取得を行うことができる。励起光波長の光の出力信号が分光器のノイズNに対してS/Nが100以上であれば、励起光波長の光量が1%程度の変動であっても検出可能であるため、十分に鮮明な明視野画像を取得することができる。
上記第1から第3の実施形態において、二次元走査を行う機構としては、基板10、50を保持するとともに、X方向およびY方向(紙面奥行き方向)に基板10を移動させる移動ステージ15に限るものではなく、基板10は固定した状態とし、たとえば2軸式ガルバノミラー(ガルバノスキャナ)などを用いることによって被検体S上を励起光Lによって二次元状に走査するようにしてもよい。
図8は、本発明の第4の実施形態のラマン分光画像取得システム8の概略構成を示すブロック図である。本実施形態のシステム8は、第1の実施形態のシステム1とは励起光を二次元走査させる機構が異なる。本実施形態のシステム8は、第1の実施形態のシステム1において、励起光Lを二次元走査させる機構としてのXYステージ15に代えて、ガルバノミラーを備えた二次元走査機構70と基板10を支持する基板支持台75とを備えたものである。本実施形態において二次元走査機構70は、基板面においてXY方向に励起光を走査するための2軸式ガルバノミラー71および走査系の光学レンズ対72を備えてなる。光源11から射出され光ファイバ21の先端21aから出射された励起光Lは、非球面レンズ22、アイソレータ23およびバンドパスフィルタ24を果てガルバノミラー71に入射し、ガルバノミラー71により反射され、レンズ対72を経てダイクロイックミラー25、誘電体ミラー26、対物レンズ27を経て被検体Sに照射される。他の構成は図1に示した第1の実施形態の構成と同様であり、作用効果も同様である。
上記第1から第4の実施形態においては、共焦点光学系13を基板10、50の裏面側に配置し、基板10、50の裏面側から励起光Lを照射する構成であるが、これに限らず、共焦点光学系13を、基板10、50の表面側(被検体配置面側)に配置し、基板10の表面側から励起光Lを照射する構成としてもよい。なお、光電場増強基板50の金属微細凹凸構造に対しては、表裏のいずれから励起光Lが入射されても同様に局在プラズモン共鳴を誘起することができ、光電場増強効果を得ることができる。
しかしながら、裏面照射であれば、二次元走査の際の励起光照射深さ(焦点位置)を変化させる必要がないため、より好ましい。なお、光電場増強基板の表面は微細凹凸構造を有しているが、数百nmオーダーであり、コンフォーカル(共焦点)の大きさは1μm程度であるから、微細凹凸に沿った共焦点位置の調整は特に必要ない。
また、上記第2および第3の実施形態においては、光電場増強基板50の微細凹凸構造52は、ベーマイトにより構成されるものとしたが、ベーマイト以外の透明な材料により構成されていてもよい。例えば、アルミニウム基体に対して、陽極酸化処理を施してその上層部に多数の微細孔を有する陽極酸化アルミナを作製し、陽極酸化されていないアルミニウム部分を除去した陽極酸化アルミナ層を微細凹凸構造52とし、これを透明基板51上に固定してもよい。
また、微細凹凸構造は透明基板と異なる材料により構成されたもののみならず、透明基板の表面を加工することにより基板と同一の材料により構成されていてもよい。例えば、ガラス基板の表面をリソグラフィーとドライエッチング処理することにより、表面に微細凹凸構造を形成したものを用いてもよい。
1、5、6、8 ラマン分光画像取得システム
2 顕微分光装置
3 モニタ
4 制御部
10 基板
14、40、60 光量調整機構
31 バンドパスフィルタ
32 フィルタ駆動部
41 検光子
42 回転駆動部
50 光電場増強基板
51 透明基板
52 微細凹凸構造
53 金属膜
61a、61b、61c バンドパスフィルタ
励起光
S 被検体

Claims (8)

  1. 被検体が載置される基板、励起光を出射する光源、前記被検体から発せられる光を分光し、前記励起光波長から前記被検体のラマン散乱光ピーク波長を含む所定波長範囲のスペクトルを測定する1つの分光器、前記励起光を前記被検体に照射し、該励起光の照射により前記被検体から発せられる光を前記分光器に導く共焦点光学系、前記被検体と前記分光器との間に配置され、前記被検体から発せられる光のうち前記励起光波長の光量を前記分光器の飽和光量の80%以下、かつ、前記励起光波長の前記光量をS、前記分光器のノイズをNとしたとき、S/Nが100以上となるように調整する光量調整機構、および前記励起光を二次元走査する機構を備えた顕微分光装置と、
    該顕微分光装置により取得されたスペクトルに基づく画像を表示するモニタと、
    前記顕微分光装置による前記励起光の二次元走査に伴い前記分光器により測定された各スペクトルの前記励起光波長のデータから前記被検体の明視野像を求め、前記分光器により測定された各スペクトルの前記ラマン散乱光ピーク波長のデータから前記被検体のラマン分光画像を求め、前記モニタに前記明視野像と前記ラマン分光画像とを重ねて表示させる制御部とを備えてなるラマン分光画像取得システム。
  2. 前記基板が前記励起光および前記ラマン散乱光に対して透明であり、
    前記光学系が前記励起光を前記基板の裏面に向けて照射するものであり、
    前記分光器が前記基板の裏面側から放射された前記被検体から発せられる光を分光測定するものである請求項1記載のラマン分光画像取得システム。
  3. 前記光量調整機構がバンドパスフィルタを備え、該バンドパスフィルタの、前記被検体から発せられる光が分光器に向かう光軸に対する傾きを変化させて、前記励起光波長の光量を調整する請求項1または2記載のラマン分光画像取得システム。
  4. 前記光量調整機構が検光子を備え、該検光子を前記励起光の偏光方向に対し回転させることで、前記励起光波長の光量を調整する請求項1または2記載のラマン分光画像取得システム。
  5. 前記光量調整機構が複数枚のシャープカットフィルタまたは複数枚のバンドパスフィルタを備え、該シャープカットフィルタまたはバンドパスフィルタの枚数を変えることで、前記励起光波長の光量を調整する請求項1または2記載のラマン分光画像取得システム。
  6. 前記基板が表面に金属の微細凹凸構造を備えてなる光電場増強デバイスである請求項1から5いずれか1項記載のラマン分光画像取得システム。
  7. 前記制御部が、前記光量調整機構を制御して、前記励起光波長の光量を調整するものである請求項1から6いずれか1項記載のラマン分光画像取得システム。
  8. ラマン分光画像取得方法において、
    被検体に対して励起光を照射し、該励起光の照射により前記被検体から生じた光を1つの分光器により分光測定し、該分光器に入射する前記光のうち励起光波長の光量が該分光器の飽和光量の80%以下、かつ、前記励起光波長の前記光量をS、前記分光器のノイズをNとしたとき、S/Nが100以上となるように前記分光器に入射する前記光の前記励起光波長の光量を調整し、
    前記分光器に入射する前記励起光波長の光量を調整した状態で、前記励起光の照射位置を二次元走査させて、該励起光の二次元走査に伴い前記分光器により測定され各スペクトルの前記励起光波長のデータから前記被検体の明視野像を求め、前記分光器により測定された各スペクトルの前記ラマン散乱光ピーク波長のデータから前記被検体のラマン分光画像を求め、
    前記モニタに前記明視野像と前記ラマン分光画像とを重ねて表示させることを特徴とするラマン分光画像取得方法。
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