JP6144521B2 - 超電導ケーブルの冷却装置 - Google Patents
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Description
冷却装置1は、超電導ケーブルを冷却する冷媒が循環する循環回路2と、冷却対象である超電導ケーブル3と、循環回路2上を流れる冷媒を貯留するリザーバタンク4と、循環回路2中の冷媒を循環させる循環ポンプ5と、冷媒を冷却するための複数台の冷凍機6(符号6a乃至6fで示す合計6台)とを含んで構成されている。冷却装置1では複数の冷凍機6を備えることにより、超電導ケーブル3の熱負荷の変動に応じて冷凍機の稼働台数を調整する。また、一部の冷凍機6が故障した場合には、代替的に他の冷凍機を稼働することによって運転を継続できる。
このように特許文献1では複数の冷凍機を備えることにより上記メリットがあるものの、敷設スペースが増加してしまうこと、及び、装置構成が複雑化することによって信頼性が低くなってしまう可能性があった。このような問題に鑑み、非特許文献1では、冷凍機の台数を削減可能な冷却装置が開示されている。
冷却装置1´では、循環回路2を流れる冷媒を冷却する構成要素としてサブクーラーユニット8を備えている。サブクーラーユニット8には循環回路2を流れる冷媒を冷却する冷媒が貯留されており、該貯留された冷媒はケーブル熱負荷により蒸発しガス化するが、このガスを冷凍機6(図2では符号6a乃至6dで示す合計4台)で再凝縮し冷却する(図2では符号6a乃至6dで示す合計4台)。このようにサブクーラーユニット8で冷却された冷媒は、循環回路2上に設けられた循環ポンプ5によって超電導ケーブル3に圧送される。
尚、冷却装置1´ではケーブルの動作圧力や温度を変更しても、ケーブルを流れる冷媒流量が過不足無く常に一定量を確保できるように、循環回路2には補充用の冷媒を貯蔵するリザーバタンク4が設けられている。
本態様によれば、冷凍機の正常運転時には、冷媒は冷却ユニットの熱交換部において、冷凍機によって冷却された二次冷媒と熱交換することによって冷却される。一方、冷凍機が動作不能な場合には、減圧槽に導入した冷媒を減圧することによって寒冷を発生させることによって、循環ポンプユニットから圧送された冷媒を冷却する。これにより、冷凍機が動作不能の状態であっても冷媒の冷却を継続することができる。その結果、異常運転時に備えて予備用の冷凍機を用意する必要がなくなるので、冷却装置全体のサイズを更にコンパクト化することができる。
尚、本願明細書において二次冷媒とは、超電導ケーブルの冷却回路を流れる冷媒と熱交換することにより、該冷媒を冷却するための二次冷媒を広く意味しており、例えば、冷凍機としてブレイトン冷凍機を使用する場合には、ネオンやヘリウム等の極低温ガスを用いることができる。
減圧槽で冷媒を減圧して寒冷を発生させる場合には、寒冷によって熱交換器の表面で冷媒が凝固することにより、熱交換効率が悪化し、冷却能力が低下する可能性がある。この態様では、熱交換器を囲むように設けた外套部との間に形成された隙間に、超電導ケーブルの冷却に使用されることによって温度が上昇した冷媒で流れを形成することによって、冷媒の凝固を防止でき、良好な冷却性能を達成できる。
従来、冷媒を貯蔵するタンクは、大気圧以上の圧力を有する循環回路上に冷媒を供給するために、高圧に設定される場合が多かった。一方、本態様では、冷凍機の作動不能時には減圧槽が減圧されて大気圧未満となるため、該減圧槽に冷媒を供給するための冷媒貯蔵タンクの圧力を、従来に比べて低圧(大気圧)に設定できる。このように低圧な冷媒貯蔵タンクを備えることによって、保守管理負担が軽減できる。
リザーバタンクから循環ポンプユニットに取り込まれた冷媒は、チャンバ内に設けられたポンプ装置によって、吐出管を介して冷却ユニットに圧送される。ポンプ装置は機械動作しているため、他の機器に比べて寿命が短く、故障が発生しやすい傾向にある。本態様では、ポンプ装置に故障が発生した場合には、遮断弁によってチャンバ内部をリザーバタンクから隔離した上で、蓋部に設けられた支持部材によって支持されているポンプ装置を、アクセスしやすい位置に容易に移動できる。ポンプ装置の排出側には吐出管が接続されているが、該吐出管は弾性的に接続されているので、このようなチャンバ内におけるポンプ装置の移動を妨げない。このような構成を有することにより、ポンプ装置に異常が発生した場合には、ポンプ装置をアクセスしやすい位置に移動して、交換や修理などのメンテナンス作業を行ない、迅速な復旧が可能となる。
冷却装置10は、冷却対象である超電導ケーブル11に冷媒を循環供給することによって極低温状態に冷却する冷却装置である。冷却装置10で使用される冷媒は、超電導ケーブル11が超電導特性を発揮可能な極低温領域まで冷却可能なものである範囲において限定されないが、本実施例では、超電導ケーブル11は液体窒素の沸点77K以上の温度領域で超電導特性を示す、いわゆる高温超電導材料から形成されており、冷媒として液体窒素を使用している。
従来の冷却装置において冷媒を貯留するタンク(具体的には図1及び図2に示すリザーバタンク4)は大気圧以上の冷媒回路に冷媒を圧入するために高圧に設定されていたが、本実施例ではこのように大気圧に設定可能であるため、保守管理負担が少ない。
またリザーバタンク12はサブタンク15を介して間接的に大気開放されているため、リザーバタンク12を直接的に大気開放する場合に比べて、大気中に含まれる水分や空気が冷媒の循環経路内に侵入することによって、冷却能力が低下することも防止できる。
ここで冷凍機21は冷媒をサブクール冷却可能なものである範囲で限定されないが、例えばブレイトン冷凍機、スターリング冷凍機、GM冷凍機、パルスチューブ冷凍機などを使用できる。尚、冷凍機21としてブレイトン冷凍機を使用する場合には、ネオンやヘリウム等の極低温ガスを二次冷媒として用いることができる。
また本実施例では冷凍機21として1台の冷凍機を使用する場合を示しているが、図1や図2に示すように複数の冷凍機からなるユニットを用いてもよい(但し、従来比べて冷凍機の台数を抑制できるメリットがある)。
循環ポンプユニット13は、FRPやポリプロピレン等の熱絶縁特性に優れた材料を用いたクライオスタットとして形成されており、チャンバ22内にポンプ装置18を有している。チャンバ22は遮断弁17を介してリザーバタンク12に通じており、該遮断弁17は正常運転時において「開」状態に設定されている。尚、後述するように、異常発生時には遮断弁17を「閉」状態に切り換えることによって、チャンバ22内部をリザーバタンク12から隔離できるようになっている。
また蓋部23には容器加圧ライン27が設けられており、該容器加圧ライン27に設けられた弁20bを開くことによって、チャンバ22内に暖気を導入してチャンバ22内を昇圧し、冷媒排出ライン25からの冷媒の排出を促進できるようになっている。
ここで、ポンプ装置18の排出側には冷媒ライン16cに接続された吐出管19が取り付けられているが、該排出管19は螺旋形状(スプリング形状)に形成されているため弾性的に変形可能であり、チャンバ22内におけるポンプ装置18の移動を妨げない。このようにメンテナンス作業員にとってアクセスが難しい狭いチャンバ22内に配置されたポンプ装置18を上方に引き上げ可能に構成することで、ポンプ装置18の交換や修理などのメンテナンス作業負担を効果的に軽減できる。
冷却ユニット14は冷却対象である冷媒を冷凍機21で冷却された二次冷媒と熱交換させるための熱交換部28を有している。該熱交換部28は、冷却対象である冷媒が流れるライン(図5においてドット表示したライン)と、冷凍機21によって冷却される二次冷媒が流れる二次冷媒ライン29(図5において斜線表示したライン)とが、交互に螺旋状に巻きつけられることによって、互いに熱交換可能に構成されている。循環ポンプユニット13から圧送された冷媒は、このような熱交換部28に冷媒ライン16cを通じて取り込まれ、二次冷媒と熱交換されることによりサブクール状態に冷却されて、冷媒ライン16dから超電導ケーブル11に供給される。
減圧槽31の内部は冷却ユニット14が正常に作動している場合には空(若しくは冷媒ガスが存在していてもよい)になっている。一方、冷凍機21の故障などによって冷却ユニット14の正常な作動が困難な状況に陥った場合には、冷媒ライン16fを介して冷媒貯蔵タンク26から減圧槽31内に弁16f'を介して冷媒が導入される。そして、減圧槽31を減圧装置30で減圧することにより、減圧槽31に導入された冷媒の飽和温度を下げ、寒冷を発生させる。
尚、減圧槽31に冷媒を導入して減圧すると、減圧装置30から冷媒の一部が排出されることによって消費されるが、この消費量mは次式
m=Q/λ (2)
により得られる。ここでλは液体窒素の蒸発潜熱である。
11 超電導ケーブル
12 リザーバタンク
13 循環ポンプユニット
14 冷却ユニット
16 冷媒ライン
17 遮断弁
18 ポンプ装置
19 吐出管
21 冷凍機
22 チャンバ
23 蓋部
24 支持部材
26 冷媒貯蔵タンク
28 熱交換部
30 減圧装置
31 減圧槽
34 外套部
Claims (6)
- 送電に使用する超電導ケーブルに冷媒を循環供給することにより冷却を行う超電導ケーブルの冷却装置において、
冷凍機と、
前記冷媒を貯留するリザーバタンクと、
前記冷媒が貯留された前記リザーバタンク内に設けられ、該リザーバタンクに貯留された冷媒を圧送する循環ポンプユニットと、
前記冷媒が貯留された前記リザーバタンク内に設けられ、前記循環ポンプユニットから圧送された冷媒を冷却後、前記超電導ケーブルに供給する冷却ユニットと
を備え、
前記冷却ユニットは、
前記冷媒が貯留された前記リザーバタンク内に設けられ、前記循環ポンプユニットからの前記冷媒を前記超電導ケーブルに導く冷媒ラインと、
前記冷媒が貯留された前記リザーバタンク内に設けられ、前記冷凍機からの二次冷媒が流れる二次冷媒ラインと、
を含み、
前記冷却ユニットは、前記冷媒が貯留された前記リザーバタンク内において、前記二次冷媒ラインを流れる前記二次冷媒により前記冷媒ラインを流れる前記冷媒を冷却するように構成された
ことを特徴とする超電導ケーブルの冷却装置。 - 送電に使用する超電導ケーブルに冷媒を循環供給することにより冷却を行う超電導ケーブルの冷却装置において、
前記冷媒を貯留するリザーバタンクと、
前記リザーバタンク内に収納され、該リザーバタンクに貯留された冷媒を圧送する循環ポンプユニットと、
前記リザーバタンク内に収納され、前記循環ポンプユニットから圧送された冷媒を冷却後、前記超電導ケーブルに供給する冷却ユニットと
を備え、
前記冷却ユニットは、
前記循環ポンプユニットから圧送された冷媒を、冷凍機によって冷却された二次冷媒と熱交換することによって冷却する熱交換部と、
前記熱交換部の内部に該熱交換部と熱交換可能に構成され、導入された冷媒を減圧装置で減圧することによって寒冷を発生させる減圧槽と
を備えたことを特徴とする超電導ケーブルの冷却装置。 - 前記冷却ユニットは前記熱交換部を囲むように設けられた外套部を備えており、
前記超電導ケーブルの冷却に使用された冷媒は、前記熱交換部及び前記外套部間に形成された隙間を流れた後、前記リザーバタンクに供給されることを特徴とする請求項2に記載の超電導ケーブルの冷却装置。 - 前記減圧槽には、大気圧の冷媒が貯蔵された冷媒貯蔵タンクから冷媒が供給可能に接続されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の超電導ケーブルの冷却装置。
- 送電に使用する超電導ケーブルに冷媒を循環供給することにより冷却を行う超電導ケーブルの冷却装置において、
前記冷媒を貯留するリザーバタンクと、
前記リザーバタンク内に収納され、該リザーバタンクに貯留された冷媒を圧送する循環ポンプユニットと、
前記リザーバタンク内に収納され、前記循環ポンプユニットから圧送された冷媒を冷却後、前記超電導ケーブルに供給する冷却ユニットと
を備え、
前記循環ポンプユニットは、
前記リザーバタンクから導入された冷媒を貯留し、上方の開口部が蓋部によって閉じられたチャンバと、
前記蓋部から下方に延在する支持部材によって支持され、前記チャンバに貯留された冷媒を圧送するポンプ装置と、
前記ポンプ装置によって圧送された冷媒を前記冷却ユニットに導く吐出管と
を備え、
前記吐出管は前記ポンプ装置が前記チャンバ内で移動可能なように、前記ポンプ装置に弾性的に接続されていることを特徴とする超電導ケーブルの冷却装置。 - 送電に使用する超電導ケーブルに冷媒を循環供給することにより冷却を行う超電導ケーブルの冷却装置において、
前記冷媒を貯留するリザーバタンクと、
前記リザーバタンク内に設けられ、該リザーバタンクに貯留された冷媒を圧送する循環ポンプユニットと、
前記リザーバタンク内に設けられ、前記循環ポンプユニットから圧送された冷媒を冷却後、前記超電導ケーブルに供給する冷却ユニットと
を備え、
前記循環ポンプユニットは、
前記冷媒が貯留された前記リザーバタンク内に設けられるチャンバと、
前記チャンバ内に設けられるポンプ装置と、
前記リザーバタンクと前記チャンバ内が連通した状態と、前記リザーバタンクから前記チャンバ内部が隔離された状態とを切り替えるための遮断弁と、
を含む
ことを特徴とする超電導ケーブルの冷却装置。
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