JP6143500B2 - 温度式膨張弁 - Google Patents

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Description

本発明は、カーエアコン等の空調装置に装備されて、冷媒の温度に応じて蒸発器(エバポレータ)へ供給される冷媒の流量を制御する温度式膨張弁に関する。
この種の温度式膨張弁にあっては、蒸発器へ送られる冷媒の流量を制御する弁機構を備える冷媒の通路と、蒸発器から圧縮機側へ戻る冷媒の戻り通路を有する弁本体を備える。そして、弁本体の戻り通路の上部に装備される弁体の駆動装置であるパワーエレメントにより操作される作動棒が蒸発器へ向かう冷媒の通路と戻り通路を貫通して弁室内の弁体に当接して弁の開度を制御する。
下記の特許文献1は、作動棒の外周部に防振部材(防振ばね)を配置して高圧冷媒の圧力変動に対する弁動作を安定させることを開示している。
特開2006−3056号公報
本発明の目的は、防振部材の防振性能を向上することによって、膨張弁としての動作の安定化を更に向上させることにある。
上記目的を達成するために、本発明の温度式膨張弁は、エバポレータから戻ってくる冷媒の温度及び圧力に感応して冷媒の絞り・膨張を行う弁部材の弁リフトを制御するパワーエレメントを弁本体に備え、前記弁本体は、コンプレッサ及びコンデンサを経て供給される高圧冷媒用の高圧入口側流路と、該高圧入口側流路に連通する弁室と、該弁室に連通するとともに弁座を有する弁孔と、該弁孔で膨張した冷媒をエバポレータに向けて導出する低圧出口側流路と、前記エバポレータから戻ってくる冷媒を通過させる戻り冷媒通路とを備える。
そして、前記弁座に対向して前記弁室内に配置される前記弁部材を開閉させるべく前記パワーエレメントの作動に追従して進退する作動棒と、該作動棒の外周に嵌装されて該作動棒の振動を防止する防振部材とが備わっており、該防振部材は、細長い板状の弾性素材を環状に弾性変形させた環状部と、前記弾性素材の一部に切り込みを入れて内側に折り曲げて形成する複数本の防振ばねを有し、防振ばねそれぞれは、前記作動棒の軸方向に2段組となるようにさらに1つの切り込みを入れてあることを特徴とする。
本発明の温度式膨張弁は以上の手段を備えることにより、防振部材が作動棒に対して適切な摩擦抵抗を発生させて、振動を防止する。
本発明の温度式膨張弁の説明図。 本発明の防振部材の折り曲げ前の展開平面図。 本発明の防振部材の斜視図。 防振部材の組込み状態を示す要部拡大断面図。
図1は、本発明を適用する冷凍サイクルの概要と温度式膨張弁の構成を示す説明図である。
コンプレッサ1で加圧された冷媒は、コンデンサ2で液化され、膨張弁3に送られる。膨張弁3で断熱膨張した冷媒はエバポレータ4に送り出され、エバポレータ4で熱交換される。エバポレータ4から戻る冷媒は膨張弁3を通ってコンプレッサ1側へ戻される。
温度式膨張弁3は弁本体10を有し、コンデンサ2からの高圧の冷媒が供給される高圧冷媒入口側通路20に連通する弁室22を備える。
弁室22内には弁部材40が弁座24に対向して配置され、弁部材40はサポート42に支持され、サポート42はスプリング44を介して弁室22を封止するプラグ46で支持される。弁部材40と弁座24の間で流量を制御された冷媒は、弁孔26、低圧出口側通路28を通ってエバポレータ4へ送り出される。
エバポレータ4から出た冷媒は、弁本体10の戻り冷媒通路30を通過してコンプレッサ1へ戻される。弁本体10の頂部にはパワーエレメント50が装備されている。
パワーエレメント50はダイアフラム54で形成される作動ガス室52を有し、ダイアフラム54の下面は支持部材56で支持される。ダイアフラム54の下面には戻り冷媒通路30の冷媒が開口部32を介して作用する。
ダイアフラム54の変位は支持部材56を介して作動棒60に伝達され、作動棒60は弁部材40を操作する。作動棒60は細い棒状の部材であって、弁本体10に形成した貫通穴70に挿入される。作動棒60は貫通穴70内で摺動するので、作動棒60の振動を防止するために、防振部材挿入穴72が形成されて防振部材挿入穴72内に防振部材100が嵌装される。
図2は、防振部材100の折曲げ前の状態を示す展開平面図である。
防振部材100は、細長い弾性金属板である素材板110にプレス加工や折り曲げ加工、湾曲加工を施して製造される部材である。
素材板110の長手方向の一方側の端部には舌片112を有し、長手方向の反対側の端部には、素材板110を円筒形状に湾曲させたときに舌片112を受け入れる舌片受け部114が形成される。凸部116は素材板110を円筒形状に湾曲加工するときなどに使用される。
素材板110には、2段組の防振ばねが長手方向(周方向)に3ヶ所の切込み加工により形成されている。
第1の2段組の防振ばね120、124は切込み128により形成され、防振ばね120、124の各先端部には凸状当接部122、126がプレス加工により設けられる。
第2の2段組の防振ばね130、134は切込み138により形成され、防振ばね130、134の各先端部には凸状当接部132、136がプレス加工により設けられる。
第3の2段組の防振ばね140、144は切込み148により形成され、防振ばね140、144の各先端部には凸状当接部142、146がプレス加工により設けられる。
図2に示す防振部材100は、図3に示すように円筒形状に湾曲させて使用される。すなわち、第1の2段組の防振ばね120、124、第2の2段組の防振ばね130、134、第3の2段組の防振ばね140、144を内側に折り曲げられて防振部材100が完成する。舌片112は舌片受け部114に重ね合わされて、外周面は滑らかな円筒形を形成する。
第1の2段組の防振ばね120、124、第2の2段組の防振ばね130、134、第3の2段組の防振ばね140、144は内側に折り曲げられるが、凸状当接部122、126、凸状当接部132、136、凸状当接部142、146は、円周を3等分した位置になるように設計されている。そして、凸状当接部122、126、凸状当接部132、136、凸状当接部142、146の頂部を結ぶ円の直径寸法は、作動棒60の直径寸法より小さな寸法に形成される。
図4に示すように、防振部材100は防振部材挿入穴72内に挿入した状態で、カシメ加工部Kにより防振部材挿入穴72内に固定される。
作動棒60は、防振部材100の第1の2段組の防振ばね120、124、第2の2段組の防振ばね130、134、第3の2段組の防振ばね140、146内に挿入されて、パワーエレメント50の作用により上下に変位する。作動棒60は、第1の2段組の防振ばね120、124、第2の2段組の防振ばね130、134、第3の2段組の防振ばね140、144の合計6枚のばね力により安定的に支持され、防振作用を効果的に発揮する。
なお、上述した実施例においては、3本の防振ばねを2段組にした例を示したが、防振ばねの本数は4本など適宜に選択できる。
本発明の温度式膨張弁によれば、作動棒の防振性が更に向上し、高圧冷媒の圧力変動に対する動作安定性が更に高まる。
1 コンプレッサ
2 コンデンサ
3 温度式膨張弁
4 エバポレータ
10 弁本体
20 高圧冷媒入口側通路
22 弁室
24 弁座
26 弁孔
28 低圧出口側通路
30 戻り冷媒側通路
32 開口部
40 弁部材
42 サポート
44 スプリング
46 プラグ
50 パワーエレメント
52 作動ガス室
54 ダイアフラム
56 支持部材
60 作動棒
70 貫通穴
72 防振部材挿入穴
100 防振部材
110 素材板
112 舌片
114 舌片受け部
120、124 第1の2段組の防振ばね
130、134 第2の2段組の防振ばね
140、144 第3の2段組の防振ばね

Claims (1)

  1. エバポレータから戻ってくる冷媒の温度及び圧力に感応して冷媒の絞り・膨張を行う弁部材の弁リフトを制御するパワーエレメントを弁本体に備える温度式膨張弁であって、
    前記弁本体は、コンプレッサ及びコンデンサを経て供給される高圧冷媒用の高圧入口側流路と、該高圧入口側流路に連通する弁室と、該弁室に連通するとともに弁座を有する弁孔と、該弁孔で膨張した冷媒をエバポレータに向けて導出する低圧出口側流路と、前記エバポレータから戻ってくる冷媒を通過させる戻り冷媒通路とを備え、
    前記弁座に対向して前記弁室内に配置される前記弁部材を開閉させるべく前記パワーエレメントの作動に追従して進退する作動棒と、該作動棒の外周に嵌装されて該作動棒の振動を防止する防振部材とが備わっており、
    該防振部材は、細長い板状の弾性素材を環状に弾性変形させた環状部と、前記弾性素材の一部に切り込みを入れて内側に折り曲げて形成する複数本の防振ばねを有し、
    防振ばねそれぞれは、前記作動棒の軸方向に2段組となるようにさらに1つの切り込みを入れてある
    ことを特徴とする温度式膨張弁。
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