JP6136770B2 - 質量分析データ解析装置及び解析方法 - Google Patents

質量分析データ解析装置及び解析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6136770B2
JP6136770B2 JP2013178769A JP2013178769A JP6136770B2 JP 6136770 B2 JP6136770 B2 JP 6136770B2 JP 2013178769 A JP2013178769 A JP 2013178769A JP 2013178769 A JP2013178769 A JP 2013178769A JP 6136770 B2 JP6136770 B2 JP 6136770B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tag
peptide
database
mass
sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013178769A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015049056A (ja
Inventor
ジンウェン ヤオ
ジンウェン ヤオ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2013178769A priority Critical patent/JP6136770B2/ja
Priority to US14/471,825 priority patent/US10796784B2/en
Publication of JP2015049056A publication Critical patent/JP2015049056A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6136770B2 publication Critical patent/JP6136770B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J49/00Particle spectrometers or separator tubes
    • H01J49/0027Methods for using particle spectrometers
    • H01J49/0036Step by step routines describing the handling of the data generated during a measurement
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16BBIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
    • G16B30/00ICT specially adapted for sequence analysis involving nucleotides or amino acids
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16BBIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
    • G16B40/00ICT specially adapted for biostatistics; ICT specially adapted for bioinformatics-related machine learning or data mining, e.g. knowledge discovery or pattern finding
    • GPHYSICS
    • G16INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR SPECIFIC APPLICATION FIELDS
    • G16BBIOINFORMATICS, i.e. INFORMATION AND COMMUNICATION TECHNOLOGY [ICT] SPECIALLY ADAPTED FOR GENETIC OR PROTEIN-RELATED DATA PROCESSING IN COMPUTATIONAL MOLECULAR BIOLOGY
    • G16B40/00ICT specially adapted for biostatistics; ICT specially adapted for bioinformatics-related machine learning or data mining, e.g. knowledge discovery or pattern finding
    • G16B40/10Signal processing, e.g. from mass spectrometry [MS] or from PCR

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Medical Informatics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Theoretical Computer Science (AREA)
  • Evolutionary Biology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Data Mining & Analysis (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Evolutionary Computation (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Databases & Information Systems (AREA)
  • Computer Vision & Pattern Recognition (AREA)
  • Bioethics (AREA)
  • Artificial Intelligence (AREA)
  • Software Systems (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Signal Processing (AREA)
  • Other Investigation Or Analysis Of Materials By Electrical Means (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)

Description

本発明は、ペプチドやタンパク質を含む被検試料に対してMSn分析(ただしnは2以上の整数)を実行して収集されたデータを解析処理することにより、被検試料中のペプチドやタンパク質を同定する質量分析データ解析装置及び解析方法に関する。
近年、ポストゲノム研究としてタンパク質の構造や機能の解析が急速に進められている。このようなタンパク質の構造・機能解析手法(プロテオーム解析)の一つとして、質量分析計を用いたタンパク質の発現解析や一次構造解析が広く行われるようになってきており、四重極型イオントラップなどにおける特定イオンの捕捉と衝突誘起解離(CID)等のイオン解離とを行う、いわゆるMSn分析が威力を発揮している。
MSn分析を利用してタンパク質を同定する一般的な手法としては、まず、タンパク質を化学的に又は酵素消化により分解することでペプチド断片の混合物を調製し、このペプチド断片混合物を質量分析に供してマススペクトル(MS1スペクトル)を取得する。続いて、ペプチド断片混合物のマススペクトルデータの中から、単一のペプチドに由来する一組の同位体ピーク群をプリカーサイオンとして選択し、該プリカーサイオンに対し衝突誘起解離を実施し、解離により生じたフラグメントイオンの質量分析、つまりMS2分析を実行する。衝突誘起解離により、特定のペプチドを構成するアミノ酸配列の様々な位置で結合が切れ、異なるアミノ酸残基を持つフラグメント(断片)が生じる。そのため、特定のペプチドのアミノ酸配列や構造を反映したMS2スペクトルが得られる。
こうしたMS2スペクトルからペプチドやタンパク質を直接的に同定する手法として最も広く利用されている方法は、MS/MSイオンサーチ法である。MS/MSイオンサーチ法では、タンパク質データベースに登録されているタンパク質を試料調製に使用した酵素によって消化して得られるペプチドに対しコンピュータ内で断片化を計算することで仮想CIDスペクトルを求め、実測により得られたMS2スペクトルとの一致度が高い仮想CIDスペクトルが得られるペプチドをデータベース内から検索する。そして、ペプチドの分子量情報(つまりはプリカーサイオンの質量情報)も利用してスペクトルの一致度の信頼性を示す期待値を計算し、この期待値に基づいてペプチドを同定する。このようなMS/MSイオンサーチを行うツール(コンピュータソフトウエア)としては、「X!tandem」や英国マトリクスサイエンス社が提供する「Mascot MS/MS ion search」がよく知られている。
こうしたMS/MSイオンサーチ法では、データベース検索を行う際の制約条件を課すことで探索空間を限定し、それによって偽陽性を減らして同定の信頼度を上げることができる。データベース検索における重要な制約条件の一つが、酵素消化によるタンパク質の切断箇所の指定である。
しかしながら、全てのペプチドについて切断箇所の指定が可能であるわけではない。例えば生体内で前駆体タンパク質より産生される生理活性ペプチド(内因性ペプチド)などのペプチドは特定の消化酵素等で切断されたものでないため、こうしたペプチドをMS/MSイオンサーチ法により同定する際に、酵素等による切断箇所を指定することはできない。そのため、上述したような一般的なペプチド同定方法では、生理活性ペプチドなどを高い信頼度で以て同定することは困難である。また、生理活性ペプチドでは翻訳後修飾(PTM=Post-Translational Modification)や変異が頻繁に起こるが、上記同定方法では、未知の翻訳後修飾や変異が起こった場合に探索空間が広くなるので、ペプチドを正しく同定することは一層困難となる。これに対し、生理活性ペプチドを同定する方法として、以下のような方法が知られている。
(1)SwePep法(非特許文献1参照)
この方法では、標準的なタンパク質データベースの代わりに、既知の生理活性ペプチドのアミノ酸配列を収録したデータベース(SwePepデータベース)を作成しておく。そして、目的ペプチドを実測して得られたマススペクトルにおいて検出されるピークの質量電荷比とSwePepデータベース内のアミノ酸配列の理論的断片の質量電荷比とを照合することによって、候補ペプチドを求める。
(2)IggyPep法(非特許文献2参照)
この方法では、標準的なタンパク質データベースの代わりに、ゲノムを翻訳して作成したタンパク質のアミノ酸配列のデータベース(IggyPepデータベース)を作成しておく。そして、目的ペプチドを実測して得られたマススペクトルにおいて検出されるピークの質量電荷比とIggypepデータベース内のアミノ酸配列の理論的断片の質量電荷比とを照合することによって、候補ペプチドを求める。
(3)HomClus法(非特許文献3参照)
この方法では、目的ペプチドを実測して得られたマススペクトルと既知ペプチドのマススペクトルとの類似性を参考にして、実測したペプチドのアミノ酸配列候補を求める。また、両マススペクトルに現れるピークのシフト量に基づいて、翻訳後修飾や変異を推定する。
しかしながら、こうした方法でも、次のような理由により生理活性ペプチドを的確に同定することは容易ではない。
即ち、SwePep法やIggyPep法ではMS/MSイオンサーチ法と同様に、予め作成されたデータベースに登録されているペプチドのアミノ酸配列のみを探索の対象としている。そのため、翻訳後修飾や変異を受けたペプチドのアミノ酸配列がデータベースに登録されていないと、ペプチドを正確に同定することは難しい。特に生理活性ペプチドでは翻訳後修飾や変異が起こり易い上にそれが多様であるために、翻訳後修飾や変異を受けたペプチドがデータベースに登録されていない場合が多くなり、結果として同定に至らないケースが多くなってしまう。
一方、HomClus法はデータベース検索によらないので、SwePep法やIggyPep法のような問題はないものの、そもそもマススペクトルの類似性を調べる最適な計算方法が確立されているとはいえない。そのため、実際に同定を試みると、正しい候補ペプチドがリストアップされないというケースが頻発し、同定の信頼性の点で問題がある。
ファルス(M. Falth)、ほか5名、「バリデイション・オブ・エンドジーナス・ペプタイド・アイデンティフィケイション・ユージング・ア・データベース・オブ・タンデム・スペクトラ(Validation of Endogenous Peptide Identifications Using a Database of Tandem Mass Spectra)」、ジャーナル・オブ・プロテオーム・リサーチ(Journal of Proteome research)、2008年、Vol.7、pp.3049-3053 メンスチャート(G. Menschaert)、ほか7名、「ア・ハイブリッド、デ・ノボ・ベースド・ゲノム-ワイド・データベース・サーチ・アプローチ・アプライド・トゥー・ザ・シー・アーチン・ニューロペプタイドーム(A Hybrid, de Novo Based, Genome-Wide Database Search Approach Applied to the Sea Urchin Neuropeptidome)」、ジャーナル・オブ・プロテオーム・リサーチ(Journal of Proteome research)、2010年、Vol.9、pp.990-996 メンスチャート(G. Menschaert)、ほか4名、「スペクトルラル・クラスタリング・イン・ペプタイドミクス・スタディーズ・アロウズ・ホモロジー・サーチング・アンド・モデフィケイション・プロファイリング:オムクラス、ア・バーサティル・ツール(Spectral Clustering in Peptidomics Studies Allows Homology Searching and Modification Profiling: HomClus, a Versatile Tool)」、ジャーナル・オブ・プロテオーム・リサーチ(Journal of Proteome research)、2012年、Vol.11、pp.2774-2785 マン(M. Mann)、ほか1名、「エラー-トレラント・アイデンティフィケイション・オブ・ペプタイズ・イン・シーケンス・データベーシズ・バイ・ペプタイド・シーケンス・タグズ(Error-Tolerant Identification of Peptides in Sequence Databases by Peptide Sequence Tags)」、アナリティカル・ケミストリ(Analytical Chemistry)、1994年、Vol.66、pp.4390-4399
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、生理活性ペプチドのように消化酵素等によるアミノ酸配列の切断部位を指定することが難しいペプチドについても、従来の同定方法に比べて高い精度、信頼度で以てペプチドを同定することができる質量分析データ解析装置及び質量分析データ解析方法を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析データ解析装置は、被検試料に対してMSn分析(nは2以上の整数)を実行することで収集されたMSnスペクトルデータに基づいて、該被検試料中の目的ペプチドを同定する質量分析データ解析装置であって、
a)既知であるペプチドのアミノ酸配列及びMSnスペクトル情報から部分的なアミノ酸配列であるシーケンスタグと該シーケンスタグに対応するスペクトルピーク情報とを求めることで、予め、シーケンスタグについてのデータベースを構築しておくタグデータベース構築処理部と、
b)被検試料に対して得られた実測のMSnスペクトルから抽出されるピーク情報を前記タグデータベース内の情報と照合することにより、目的ペプチドのシーケンスタグを取得するシーケンスタグ取得処理部と、
c)前記シーケンスタグ取得処理部により得られた目的ペプチドに対するシーケンスタグと目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量とを検索条件として前記タグデータベース又はタンパク質データベースにおけるデータベース検索を行うことによりペプチドを同定するペプチド同定処理部と、
を備えることを特徴としている。
また上記課題を解決するために成された本発明に係る質量分析データ解析方法は、被検試料に対してMSn分析(nは2以上の整数)を実行することで収集されたMSnスペクトルデータに基づいて、該被検試料中の目的ペプチドを同定する質量分析データ解析方法であって、
a)既知であるペプチドのアミノ酸配列及びMSnスペクトル情報から部分的なアミノ酸配列であるシーケンスタグと該シーケンスタグに対応するスペクトルピーク情報とを求めることで、予め、シーケンスタグについてのデータベースを構築しておくタグデータベース構築処理ステップと、
b)被検試料に対して得られた実測のMSnスペクトルから抽出されるピーク情報を前記タグデータベース内の情報と照合することにより、目的ペプチドのシーケンスタグを取得するシーケンスタグ取得処理ステップと、
c)前記シーケンスタグ取得処理ステップにおいて得られた目的ペプチドに対するシーケンスタグと目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量とを検索条件として前記タグデータベース又はタンパク質データベースにおけるデータベース検索を行うことによりペプチドを同定するペプチド同定処理ステップと、
を有することを特徴としている。
本発明に係る質量分析データ解析方法を実施する本発明に係る質量分析データ解析装置において、ペプチド同定処理部は、被検試料に対して実測されたMSnスペクトルから得られる情報に基づいてペプチドを同定するために、シーケンスタグサーチ(Sequence Tag search)法を利用する。シーケンスタグサーチを実行するツールとしては例えば、英国マトリクスサイエンス社が提供する「Mascot Sequence Query」がよく知られている(非特許文献4参照)。
シーケンスタグは一般に、MSn分析の際のプリカーサイオンの質量電荷比、MSnスペクトル中の或るイオンP1の質量、MS2スペクトル中の別の或るイオンP2の質量、その二つのイオンP1、P2の質量の差分に対応した部分的なアミノ酸配列、を情報として含む。即ち、シーケンスタグサーチでは、プリカーサイオンの質量電荷比、部分的なアミノ酸配列、及び、その部分的なアミノ酸配列の開始点ピークと終点ピークの質量電荷比、を用いてペプチドを同定する。こうしたシーケンスタグサーチ法は、MS/MSイオンサーチと比較すると、少ないピークからでも高い信頼度で以てペプチドを同定することができるという特徴があるが、高い同定精度を確保するには高い信頼度のシーケンスタグを与える必要がある。
目的ペプチドを実測して得られたMS2スペクトルに現れるピークの間隔は1又は複数のアミノ酸残基の分子量に相当するから、一般的には、デノボシーケシングなどにより、各ピークの間隔からシーケンスタグを抽出する。これに対し、本発明に係る質量分析データ解析装置ではタグデータベース構築処理部が、アミノ酸配列等が既知である多数のペプチドに関する情報から予め、シーケンスタグに関するデータベースを構築しておく。このタグデータベースには例えば、上述したように、部分的なアミノ酸配列、プリカーサイオンの質量電荷比、その部分的なアミノ酸配列の開始点ピークの質量電荷比、及び、終点ピークの質量電荷比、さらには、その部分的なアミノ酸配列が抽出された元のペプチド、などを対応付けて格納しておけばよい。シーケンスタグのアミノ酸配列長は適宜に決めることができるが、短すぎると検索したときに候補の数が多くなりすぎ、一方、長すぎると、検索したときに該当する候補がなくなるおそれがある。そのため、アミノ酸配列長さを3〜5程度にしておくとよい。
なお、タグデータベース構築処理部は、タグデータベースに登録するシーケンスタグのアミノ酸配列が翻訳後修飾又は変異を受けたものであることが分かっている場合には、それを示す情報を該シーケンスタグに対応付けて記録することが好ましい。これにより、後述するシーケンスタグ取得処理部によるシーケンスタグ抽出の段階で、翻訳後修飾又は変異を受けたシーケンスタグも抽出することが可能となり、翻訳後修飾又は変異を受けたペプチドの同定が一層容易になる。
被検試料に対して得られた実測のMSnスペクトルデータが与えられると、シーケンスタグ取得処理部は、その実測MSnスペクトルから求まるピーク情報等をタグデータベース内の情報と照合し、目的ペプチドに対応するシーケンスタグを取得する。このときには、ペプチドのアミノ酸配列全体ではなく一部の配列のみを対象にピーク質量の一致性を評価するので、その配列以外の部分が相違するペプチドもヒットし、通常、複数のシーケンスタグが抽出される。そのため、正解のペプチド由来ではないシーケンスタグも抽出されるが、該シーケンスタグ以外の部分で翻訳後修飾や変異を受けている正解のペプチド由来ではないシーケンスタグもほぼ漏れなく抽出されることになる。つまり、偽のシーケンスタグが含まれる可能性は高いものの、正解のシーケンスタグが欠落する可能性は小さく、その点で抽出されたシーケンスタグの信頼性は高いということができる。
そして、ペプチド同定処理部はシーケンスタグサーチ法を用い、上記シーケンスタグ取得処理部により得られたシーケンスタグに基づいてペプチドを同定する。その際には、タグデータベース構築処理部において作成されたタグデータベースを用いてもよいし、一般的なタンパク質データベースを用いてもよい。ただし、それらデータベースには翻訳後修飾や変異を受けたペプチドが全て登録されているわけではないから、翻訳後修飾や変異を受けた可能性が高い場合には、それを条件としたデータベース検索を行うことが望ましい。
そこで、上記ペプチド同定処理部は、目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量とタグデータベースに登録されているプリカーサイオンの質量との差がある場合に、その差に相当する翻訳後修飾又は変異を受けているとの条件を付してデータベース検索を行うようにするとよい。
また、上述したように、タグデータベースには、シーケンスタグ毎に部分的なアミノ酸配列の開始点ピークと終点ピークの質量電荷比とが登録されており、これを実測MSnスペクトルから得られるピークの質量電荷比と比較することで、プリカーサイオンの質量差がシーケンスタグのアミノ酸配列の相違によるものか、或いはシーケンスタグ以外のアミノ酸配列の相違によるものかを識別することが可能である。そこで、上記ペプチド同定処理部は、目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量と上記タグデータベースに登録されているプリカーサイオンの質量との差がある場合に、その差がシーケンスタグに対応するアミノ酸配列部分か否かを識別し、シーケンスタグに対応するアミノ酸配列部分に上記質量差がある場合には、その差に相当する翻訳後修飾又は変異を受けているように該シーケンスタグのアミノ酸配列を修正したうえでデータベース検索を行うようにするとよい。
これにより、シーケンスタグサーチに使用されるデータベースに、翻訳後修飾や変異を受けた目的ペプチドが登録されていない場合であっても、また、その翻訳後修飾や変異を受けているアミノ酸配列がペプチドのアミノ酸配列全長のいずれに存在する場合でも、正解の目的ペプチドを正しく同定できる可能性を高めることができる。
本発明に係る質量分析データ解析装置及び解析方法によれば、ペプチドを同定する際に用いられるデータベースに翻訳後修飾や変異を受けた目的ペプチドが登録されていない場合でも、目的ペプチドを高い確度で同定することができる。また、本発明に係る質量分析データ解析装置及び解析方法によれば、目的ペプチドに対して高い信頼度のシーケンスタグを求めてシーケンスタグサーチに供することができるので、翻訳後修飾や変異を受けているかいないかにかかわらず、高い精度で以てペプチドを同定することができる。
本発明に係る質量分析データ解析装置を含むタンパク質同定システムの一実施例の全体構成図。 本実施例のタンパク質同定システムにおける概略的なタンパク質同定処理の流れを示すフローチャート。 図2中のステップS1における処理の詳細なフローチャート。 タグデータベースに含まれる情報の一例を示す図。 図2中のステップS3における処理の詳細なフローチャート。 図2中のステップS4における処理の詳細なフローチャート。 図2中のステップS5の処理の結果、表示部の画面上に表示される表示例を示す図。 図2中のステップS5の処理の結果、表示部の画面上に表示される他の表示例を示す図。
以下、本発明に係る質量分析データ解析装置を含むタンパク質同定システムの一実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例のタンパク質同定システムの全体構成図である。
本実施例のタンパク質同定システムは、質量分析計1と、スペクトルデータ収集部2と、データ解析部3と、入力部4と、表示部5と、タンパク質データベース6と、を備える。データ解析部3が本発明に係る質量分析データ解析装置に相当する要素であり、データ解析部3は、タグデータベース構築処理部31、タグデータベース32、シーケンスタグ取得処理部33、ペプチド同定処理部34、解析結果表示処理部35、などの機能ブロックを含む。なお、図1ではデータ解析部3に含まれていないタンパク質データベース6を、データ解析部3に含むようにしてもよい。ここで、タンパク質データベース6は一般に公開されている様々なデータベース(例えばSwiss-Protデータベースなど)を利用することができる。
また、質量分析計1以外は、コンピュータを中心に構成することができ、主要な機能はコンピュータにインストールされた専用の制御・処理用ソフトウエアをコンピュータ上で実行することにより実現されるものとすることができる。
質量分析計1は特にその構成を問わないが、高い質量精度、質量分解能が要求される。例えば、エレクトロスプレイイオン化(ESI)イオン源やMALDIイオン源を用いたイオントラップ飛行時間型質量分析計又はTOF/TOF質量分析計などが用いられる。また、インソース分解を利用してもよい。
図2は、本システムにおける概略的なタンパク質同定処理の流れを示すフローチャートである。
このタンパク質同定システムでは、事前に、つまり目的とする被検試料中の未知ペプチドの同定の実行前に、タグデータベース構築処理部31は、同定済みペプチドのアミノ酸配列及び実測MSnスペクトル情報、並びにタンパク質データベース6に格納されている情報に基づいてタグデータベース32を構築しておく(ステップS1)。
タグデータベース32が構築されている状況の下で、質量分析計1により未知ペプチドを含む被検試料が測定され、スペクトルデータ収集部2は質量分析計1によって得られたマススペクトルデータ、MSnスペクトルデータを収集して記憶する(ステップS2)。典型的にはnは2であるMS2スペクトルデータを収集すればよいが、場合によっては、nが3以上のMSnスペクトルデータが必要となる。
シーケンスタグ取得処理部33は実測されたMSnスペクトルデータを読み込み、該スペクトルから抽出したピーク情報についてタグデータベース32を用いたデータベース検索を行うことにより、実測データに対応する、つまりは同定対象である目的ペプチドに対応するシーケンスタグを求める(ステップS3)。通常、ここでは複数のシーケンスタグが求まる。
得られたシーケンスタグはペプチド同定処理部34に引き渡され、ペプチド同定処理部34はこのシーケンスタグの情報とMSn分析実行時のプリカーサイオンの質量などの情報を用いたシーケンスタグサーチによるデータベース検索を行うことによって、目的ペプチドを同定する(ステップS4)。そして、解析結果表示処理部35は、ペプチド同定処理部34において同定されたペプチドについてタグデータベース32を参照してタンパク質情報を取得し、ペプチドとタンパク質情報とを解析結果として表示部5に表示する(ステップS5)。
次に、図2中の各ステップについて詳細に説明する。図3は、主としてタグデータベース構築処理部31により実施されるステップS1における処理の詳細なフローチャートである。
タグデータベース構築処理部31はまず、既に同定された一つのペプチドの実測MSnスペクトルにおいて検出されたピーク(フラグメントピーク)の情報(質量電荷比、信号強度など)を含むピークリスト、及び該ペプチドの同定されたアミノ酸配列を、そのペプチド及び該ペプチドを含むタンパク質の情報とともに読み込む(ステップS101)。次にタグデータベース構築処理部31は、新たに読み込んだペプチドが含まれるタンパク質が既にタグデータベース32に登録されているタンパク質であるか否かをチェックする(ステップS102)。未登録である場合には該タンパク質を登録対象とし(ステップS103)、次に読み込んだペプチドがタグデータベース32に登録されているペプチドであるか否かをチェックする(ステップS104)。未登録である場合には該ペプチドを登録対象とし(ステップS105)ステップS106以降へと進む。ステップS104で既に登録済みのペプチドであると判定された場合には、ステップS104からS101へと戻り、別の同定済みのペプチドについて同じ処理を実施する。
一方、タグデータベース32に未登録のペプチドであると判定されると、タグデータベース構築処理部31は、そのペプチドのアミノ酸配列から理論的なフラグメントイオンの質量電荷比を計算する(ステップS106)。またタグデータベース構築処理部31は、実測に基づくピークリスト中で主要なピークを抽出する。典型的には、信号強度が大きい順に所定の個数のピークを抽出し、各ピークの質量電荷比と信号強度を求めればよい(ステップS107)。そして、ペプチドのアミノ酸配列、理論的なフラグメントイオンの質量電荷比情報、及び実測に基づくピーク情報に基づいて、実測上観察される所定の配列長(所定のアミノ酸残基個数)の部分的アミノ酸配列を求め、これをシーケンスタグとして、該シーケンスタグに対応するb系列イオンの質量電荷比、y系列イオンの質量電荷比などの情報を収集する(ステップS108)。
次いで、求めたシーケンスタグが翻訳後修飾又は変異を含むアミノ酸配列であるか否かを判定し(ステップS109)、翻訳後修飾又は変異を含むシーケンスタグである場合にはその旨を示すフラグを付加する(ステップS110)。そして、求めたシーケンスタグのアミノ酸配列と、そのシーケンスタグが得られたペプチドのアミノ酸配列やプリカーサイオンの質量、該ペプチドを含むタンパク質などの情報とを併せて、タグデータベース32に登録する。この際、翻訳後修飾又は変異を含むシーケンスタグであることを示すフラグが付加されている場合には、その情報も併せて登録する(ステップS111)。そのあと、同定済みの他のペプチドがあればステップS112からS101へと戻り、上述の処理を繰り返すし、他のペプチドがなければ処理を終了する。
図4はタグデータベース32に登録される情報の一例を示す図である。この例では、シーケンスタグのアミノ酸配列長をアミノ酸残基3個に限っており、一つのシーケンスタグの情報は、アミノ酸残基3文字で表されるタグ名称(図4中の「Tag」)、b系列のフラグメントイオンの質量電荷比とピーク強度(図4中の「MassIonB」)、y系列のフラグメントイオンの質量電荷比とピーク強度(図4中の「MassIonY」)、「Tag」に関連する最大強度のピークの質量電荷比(図4中の「PilotPeak1」)、「Tag」に関連する2番目に大きい強度のピークの質量電荷比(図4中の「PilotPeak2」)、翻訳後修飾や変異の有り/無し情報(図4中の「Modification Tag」)、タンパク質の識別番号(図4中の「ProteinID」)、及び、ペプチドの識別番号(図4中の「PeptideID」)、を含む。
図4から、同一タンパク質(つまり「ProteinID」が同一であるタンパク質)に含まれる同一のペプチド(つまり「PeptideID」が同一であるペプチド)から、複数のシーケンスタグが生成されていることが分かる。例えば図4において、「Tag」がDPH、PHA、HAC、ACY、CYS、YSTである6種類のシーケンスタグはいずれも、ProteinID=1であるタンパク質に含まれ、PeptideID=6であるペプチドから生成されたシーケンスタグである。このうち、「Tag」がHAC、ACY、CYSである3種類のシーケンスタグは、翻訳後修飾又は変異を受けているシーケンスタグである。
上述したようにタグデータベース32に含まれる情報は実際に同定されたペプチドに基づいて作成されたものであるから、高い信頼性を有している。もちろん、シーケンスタグのアミノ酸配列は短いので、シーケンスタグとペプチドとは一対一の関係とはならず、図4に例示したように、一つのペプチドに複数のシーケンスタグが対応付けられ、また逆に、異なる複数のペプチドに「Tag」が同一であるシーケンスタグが対応付けられる。
図5は、主としてシーケンスタグ取得処理部33により実施されるステップS3における処理の詳細なフローチャートである。
シーケンスタグ取得処理部33はまず、アミノ酸配列が未知である目的ペプチドに対して実測されたMSnスペクトルにおいて検出されたピークの情報(質量電荷比、信号強度など)を含むピークリストを読み込む(ステップS201)。次いで、読み込んだピークリストの中で信号強度が最大であるピークと信号強度が2番目に大きいピークとの二つのピークについて質量電荷比を求め、これら値がタグデータベース32に登録されている「PilotPeak1」及び「PilotPeak2」に一致する(厳密には所定許容範囲内に収まる)ようなシーケンスタグをタグデータベース32から抽出する(ステップS202)。
さらに、タグデータベース32から抽出された複数のシーケンスタグについて、タグデータベース32中の「MassIonB」及び「MassIonY」と質量電荷比が一致する実測ピークリスト中のピークの信号強度値に応じて、シーケンスタグ毎にスコアをつける(ステップ203)。そして、最終的に、先に抽出されたシーケンスタグの中でスコアが高いシーケンスタグを、目的のペプチドに対応するシーケンスタグとして選択する(ステップS204)。一般的には、一つのシーケンスタグが他のシーケンスタグよりも有意にスコアが高ければ、その一つのシーケンスタグを目的ペプチドに対応するシーケンスタグとして選択すればよいが、複数のシーケンスタグのスコアが近く有意な差がつかない場合には、複数のシーケンスタグを目的ペプチドに対応するシーケンスタグとして選択するとよい。
図6は、主としてペプチド同定処理部34により実施されるステップS4における処理の詳細なフローチャートである。
ペプチド同定処理部34は、ステップS3において決定された1又は複数のシーケンスタグに対応付けてタグデータベース32に登録されているペプチドの質量Ptを該タグデータベース32から取得する(ステップS301)。そして、そのペプチドの質量Ptと目的ペプチドをMS2分析したときのプリカーサイオンの質量Piとに差があるか否かを判定する。即ち、質量差ΔP=|Pi−Pt|を計算し(S302)、このΔPが所定許容値以下であるか否かを判定することにより質量差があるか否かを判断する(ステップS303)。
ステップS303において質量差が無いと判定された場合には、決定されたシーケンスタグは適切であると判断できる。そこで、上記ステップS3で選択されたシーケンスタグ、即ち「Tag」で示される部分的アミノ酸配列を含み、プリカーサイオンの質量電荷比、「Tag」で示される部分的アミノ酸配列からC末端方向の質量電荷比、及び、N末端方向の質量電荷比がいずれも一致するペプチドをタグデータベース32から検索する(ステップS306)。
具体的には、例えば「Mascot Sequence Query」などのシーケンスタグサーチを実行すればよい。「Mascot Sequence Query」を用いる場合、データベース検索によりヒットしたペプチドにはその検索の信頼度を表すスコアや期待値などが付される。そこで、複数のペプチドがヒットした場合でも或る一つのペプチドの信頼度指標値が他のペプチドの信頼度指標値に比べて有意に高い場合には、そのペプチドのみを、同定したペプチドとして挙げればよい。一方、信頼度指標値に有意な差がつかない等、唯一のペプチドを同定できない場合には、可能性のある複数のペプチドを上記信頼度指標値とともに候補として選出すればよい。
一方、ステップS303において質量差ΔPがあると判定された場合には、この質量差が翻訳後修飾又は変異によるものである可能性がある。そこで、b系列、y系列それぞれのフラグメントイオンの質量電荷比に同じ質量差ΔPがあるか否かを判定することにより、シーケンスタグの部分に翻訳後修飾又は変異があるか否かを判定する(ステップS304)。フラグメントイオンの質量電荷比に質量差ΔPがあると判定された場合には、シーケンスタグに翻訳後修飾又は変異があるものと判断できる。そこで、その質量差に応じて翻訳後修飾又は変異を想定してシーケンスタグのアミノ酸配列を修正し(ステップS305)たうえで、上述したステップS306へと進む。一方、フラグメントイオンの質量電荷比に上記質量差ΔPがないと判定された場合、つまりシーケンスタグには翻訳後修飾や変異がないと判定された(ステップS304でNo)場合には、その質量差から想定される既知の翻訳後修飾又は変異があるとの条件を付けて、シーケンスタグサーチ法などを用いたデータベース検索により、該当するペプチドを探索する(ステップS307)。
以上のようにして、本実施例のタンパク質同定システムにおけるデータ解析処理では、ペプチドに翻訳後修飾又は変異がある場合でも、該修飾や変異を受けた部分を或る程度推定したうえでデータベース検索によりペプチド探索を行うことができるので、高い精度での同定が期待できる。
図7及び図8はそれぞれ、ステップS4の処理の結果、表示部5の画面上に表示される表示例である。
この結果表示画面100において、左上部のタグ検索結果表示欄101には、ステップS3における検索の結果として得られたシーケンスタグが一覧表示される。また右上部のペプチド検索結果表示欄102には、ステップS4における検索によって得られたペプチドのアミノ酸配列が一覧表示される。また、参考情報として、左下部には、このペプチドを含むタンパク質を示すタンパク質情報表示欄103が配置され、右下部には、タンパク質情報表示欄103中に表示された又はその中で選択されたタンパク質全体のアミノ酸配列を示すタンパク質アミノ酸配列表示欄104が配置されている。
図7に示した例では、目的ペプチドに対するMS2分析の際のプリカーサイオンの質量電荷比は1544Daである。
図7中のタグ検索結果表示欄101には、ランク1位でヒットしたシーケンスタグのアミノ酸配列はSGPでその検索の信頼度を示すスコアは37であり、そのシーケンスタグはアミノ酸配列がQEYDESGPSIVHR(質量1516.86)であるペプチドの実測結果及び同定結果に基づいてタグデータベース32に登録されたことが示されている。また、ペプチドの検索結果表示欄102には、アミノ酸配列がQEYDESGPSIVHRであるペプチドに対しシーケンスタグに相当する部分からN末端側に27.838Daの翻訳後修飾又は変異を受けた(本例ではFormyl(N-term)と呼ぶ翻訳後修飾を受けた)ものがヒットしていることが示されている。
また、タンパク質アミノ酸配列表示欄104には、タンパク質のアミノ酸配列の中で検索によりヒットしたペプチド部分が赤文字でカラー表示されている(なお、図7ではカラー表示に代えて下線を付している)。これによって、同定されたペプチドがタンパク質全長の中でどの部分であるのかも、直感的に理解することができる。
図8に示した例では、目的ペプチドに対するMS2分析の際のプリカーサイオンの質量電荷比は1502Daである。
この例では、アミノ酸配列がAGPであるシーケンスタグが1位でヒットしているが、これはタグデータベース32に登録されているアミノ酸配列SGPが変異を受けたものである。実測のプリカーサイオンの質量電荷比は1502Daであるが、これはプロトン1個分の質量(約1Da)だけ大きいので、シーケンスタグサーチ法によるデータベース検索では−16.16Da(=1500.7−1516.86)の翻訳後修飾又は変異を受けているとの条件の下にデータベース検索を行い、QEYDESGPSIVHRであるアミノ酸配列のN末端から6番目のアミノ酸残基SがAに変異したペプチドを同定した。
タンパク質アミノ酸配列表示欄104には、タンパク質のアミノ酸配列の中で、検索によりヒットしたペプチド部分が赤文字でカラー表示されていることは図7と同様である。
このようにして、本実施例のタンパク質同定システムでは、翻訳後修飾や変異を受けたペプチドについても、ペプチドが的確に同定され、そのペプチドのアミノ酸配列や、該ペプチドを含むタンパク質の情報、さらにはタンパク質のアミノ酸配列中における同定されたアミノ酸配列の位置などが、結果表示画面100により分かり易く分析者に提示される。
なお、このように同定されたペプチドに関する情報は、図3に示したフローチャートに従ってタグデータベース32に登録されることが好ましい。それによって、新たなペプチドが同定される毎にタグデータベース32自体が充実してゆくことになり、同定の精度向上が期待できる。
上記実施例では、目的ペプチドに対応するシーケンスタグが得られあとに、該シーケンスタグを用いたシーケンスタグサーチ法によるデータベース検索をタグデータベース32に対して実行していた。これに対し、シーケンスタグを用いたシーケンスタグサーチ法によるデータベース検索を、一般のタンパク質データベース6に対して行うようにしてもよい。タグデータベース32には同定されたペプチドに基づく情報しか登録されていないが、タンパク質データベース6にはより広範な情報が登録されているので、広範なタンパク質を検索対象とすることができる。これによって、例えば、マウスのタンパク質データベースを使用して、相同性の高いラットのタンパク質を同定することが可能になる。
また、上記実施例は本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加等を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
1…質量分析計
2…スペクトルデータ収集部
3…データ解析部
4…入力部
5…表示部
6…タンパク質データベース
31…タグデータベース構築処理部
32…タグデータベース
33…シーケンスタグ取得処理部
34…ペプチド同定処理部
35…解析結果表示処理部
100…結果表示画面
101…タグ検索結果表示欄
102…ペプチド検索結果表示欄
103…タンパク質情報表示欄
104…タンパク質アミノ酸配列表示欄

Claims (8)

  1. 被検試料に対してMSn分析(nは2以上の整数)を実行することで収集されたMSnスペクトルデータに基づいて、該被検試料中の目的ペプチドを同定する質量分析データ解析装置であって、
    a)既知であるペプチドのアミノ酸配列及びMSnスペクトル情報から部分的なアミノ酸配列であるシーケンスタグと該シーケンスタグに対応するスペクトルピーク情報とを求めることで、予め、シーケンスタグについてのデータベースを構築しておくタグデータベース構築処理部と、
    b)被検試料に対して得られた実測のMSnスペクトルから抽出されるピーク情報を前記タグデータベース内の情報と照合することにより、目的ペプチドのシーケンスタグを取得するシーケンスタグ取得処理部と、
    c)前記シーケンスタグ取得処理部により得られた目的ペプチドに対するシーケンスタグと目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量とを検索条件として前記タグデータベース又はタンパク質データベースにおけるデータベース検索を行うことによりペプチドを同定するペプチド同定処理部と、
    を備えることを特徴とする質量分析データ解析装置。
  2. 請求項1に記載の質量分析データ解析装置であって、
    前記タグデータベース構築処理部は、シーケンスタグのアミノ酸配列が翻訳後修飾又は変異を受けたものである場合に、それを示す情報を該シーケンスタグに対応付けて記録することを特徴とする質量分析データ解析装置。
  3. 請求項1又は2に記載の質量分析データ解析装置であって、
    前記ペプチド同定処理部は、目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量と前記タグデータベースに登録されているプリカーサイオンの質量との差がある場合に、その差に相当する翻訳後修飾又は変異を受けているとの条件を付してデータベース検索を行うことを特徴とする質量分析データ解析装置。
  4. 請求項3に記載の質量分析データ解析装置であって、
    前記ペプチド同定処理部は、目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量と前記タグデータベースに登録されているプリカーサイオンの質量との差がある場合に、その差がシーケンスタグに対応するアミノ酸配列部分か否かを識別し、
    シーケンスタグに対応するアミノ酸配列部分に前記差がある場合には、その差に相当する翻訳後修飾又は変異を受けているように該シーケンスタグのアミノ酸配列を修正したうえでデータベース検索を行うことを特徴とする質量分析データ解析装置。
  5. 被検試料に対してMSn分析(nは2以上の整数)を実行することで収集されたMSnスペクトルデータに基づいて、該被検試料中の目的ペプチドを同定する質量分析データ解析方法であって、
    a)既知であるペプチドのアミノ酸配列及びMSnスペクトル情報から部分的なアミノ酸配列であるシーケンスタグと該シーケンスタグに対応するスペクトルピーク情報とを求めることで、予め、シーケンスタグについてのデータベースを構築しておくタグデータベース構築処理ステップと、
    b)被検試料に対して得られた実測のMSnスペクトルから抽出されるピーク情報を前記タグデータベース内の情報と照合することにより、目的ペプチドのシーケンスタグを取得するシーケンスタグ取得処理ステップと、
    c)前記シーケンスタグ取得処理ステップにおいて得られた目的ペプチドに対するシーケンスタグと目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量とを検索条件として前記タグデータベース又はタンパク質データベースにおけるデータベース検索を行うことによりペプチドを同定するペプチド同定処理ステップと、
    を有することを特徴とする質量分析データ解析方法。
  6. 請求項5に記載の質量分析データ解析方法であって、
    前記タグデータベース構築処理ステップでは、シーケンスタグのアミノ酸配列が翻訳後修飾又は変異を受けたものである場合に、それを示す情報を該シーケンスタグに対応付けて記録することを特徴とする質量分析データ解析方法。
  7. 請求項5又は6に記載の質量分析データ解析方法であって、
    前記ペプチド同定処理ステップでは、目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量と前記タグデータベースに登録されているプリカーサイオンの質量との差がある場合に、その差に相当する翻訳後修飾又は変異を受けているとの条件を付してデータベース検索を行うことを特徴とする質量分析データ解析方法。
  8. 請求項7に記載の質量分析データ解析方法であって、
    前記ペプチド同定処理ステップでは、目的ペプチド由来のプリカーサイオンの質量と前記タグデータベースに登録されているプリカーサイオンの質量との差がある場合に、その差がシーケンスタグに対応するアミノ酸配列部分か否かを識別し、
    シーケンスタグに対応するアミノ酸配列部分に前記差がある場合には、その差に相当する翻訳後修飾又は変異を受けているように該シーケンスタグのアミノ酸配列を修正したうえでデータベース検索を行うことを特徴とする質量分析データ解析方法。
JP2013178769A 2013-08-30 2013-08-30 質量分析データ解析装置及び解析方法 Active JP6136770B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013178769A JP6136770B2 (ja) 2013-08-30 2013-08-30 質量分析データ解析装置及び解析方法
US14/471,825 US10796784B2 (en) 2013-08-30 2014-08-28 Mass spectrometric data analyzing apparatus and analyzing method

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013178769A JP6136770B2 (ja) 2013-08-30 2013-08-30 質量分析データ解析装置及び解析方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015049056A JP2015049056A (ja) 2015-03-16
JP6136770B2 true JP6136770B2 (ja) 2017-05-31

Family

ID=52584373

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013178769A Active JP6136770B2 (ja) 2013-08-30 2013-08-30 質量分析データ解析装置及び解析方法

Country Status (2)

Country Link
US (1) US10796784B2 (ja)
JP (1) JP6136770B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20190041393A1 (en) * 2015-09-14 2019-02-07 Shimadzu Corporation Peptide assignment method and peptide assignment system
JP6962273B2 (ja) * 2018-05-18 2021-11-05 株式会社島津製作所 内在性ペプチド同定用スペクトルライブラリ作成方法、内在性ペプチド同定方法、及び内在性ペプチド同定装置
GB2577150B (en) * 2018-06-06 2022-11-23 Bruker Daltonics Gmbh & Co Kg Targeted protein characterization by mass spectrometry
US20220230708A1 (en) * 2019-05-10 2022-07-21 Shimadzu Corporation Method for detecting outlier of theoretical masses
CN111625161B (zh) * 2020-04-21 2021-06-22 武汉旷视金智科技有限公司 标签的处理方法、装置及电子设备
CN116486907B (zh) * 2023-01-10 2024-04-30 湖南工商大学 一种基于a星算法的蛋白质序列标签测序方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5764860B2 (ja) * 2010-04-01 2015-08-19 三井情報株式会社 タンパク質の同定装置、同定方法並びに同定プログラム及びこれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体
JP5776443B2 (ja) * 2011-08-29 2015-09-09 株式会社島津製作所 質量分析を用いた修飾タンパク質同定方法及び同定装置
JP5751126B2 (ja) * 2011-10-21 2015-07-22 株式会社島津製作所 質量分析データ解析方法及び解析装置

Also Published As

Publication number Publication date
US10796784B2 (en) 2020-10-06
JP2015049056A (ja) 2015-03-16
US20150066380A1 (en) 2015-03-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6136770B2 (ja) 質量分析データ解析装置及び解析方法
Giese et al. A study into the collision-induced dissociation (CID) behavior of cross-linked peptides
Nielsen et al. Improving protein identification using complementary fragmentation techniques in Fourier transform mass spectrometry
Baker et al. Modification site localization scoring integrated into a search engine
JP5299060B2 (ja) 糖ペプチド構造解析方法及び装置
US11295833B2 (en) Analysis method for glycoproteins
Ma Challenges in computational analysis of mass spectrometry data for proteomics
JP5776443B2 (ja) 質量分析を用いた修飾タンパク質同定方法及び同定装置
JP2014215172A (ja) ペプチド構造解析のための質量分析データ解析装置
JP5751126B2 (ja) 質量分析データ解析方法及び解析装置
Zhang et al. “De novo” peptide sequencing by MALDI-quadrupole-ion trap mass spectrometry: A preliminary study
JP5874587B2 (ja) アミノ酸配列解析方法及び装置
JP5696592B2 (ja) 質量分析データ解析方法及び解析装置
JP2015230262A (ja) 質量分析データ解析方法及び装置
JP6489224B2 (ja) ペプチド帰属方法及びペプチド帰属システム
JP5983371B2 (ja) ペプチド構造解析方法及び装置
Edwards Protein identification from tandem mass spectra by database searching
JP6003842B2 (ja) タンパク質の同定方法及び同定装置
JP2007010509A (ja) 解析支援システムおよび解析支援方法
JP2006284509A (ja) 質量分析システム
US20160275237A1 (en) Amino acid sequence analyzing method and system
Guingab-Cagmat et al. Uses and challenges of bioinformatic tools in mass spectrometric-based proteomic brain perturbation studies
Chamrad et al. In-depth protein characterization by mass spectrometry
JP2015031618A5 (ja)
JP2020024178A (ja) 分析制御装置、分析システムおよび分析方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151110

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160906

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161107

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170417

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6136770

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151