JP6962273B2 - 内在性ペプチド同定用スペクトルライブラリ作成方法、内在性ペプチド同定方法、及び内在性ペプチド同定装置 - Google Patents
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a)アミノ酸配列が未知である又は既知であるライブラリ作成用内在性ペプチドを含む試料に対しMS1測定を実行しMS1スペクトルを取得するMS1測定実行ステップと、
b)前記ライブラリ作成用内在性ペプチドを含む試料に対し、後記プリカーサイオン選定ステップで選定されたプリカーサイオンについてのMS2(=MS/MS)測定を実行しMS2スペクトルを取得するMS2測定実行ステップと、
c)前記MS2測定実行ステップで得られた実測MS2スペクトルに対して網羅的なペプチド同定手法による同定処理を実施することにより、前記ライブラリ作成用内在性ペプチドのアミノ酸配列を同定する又は確認するペプチド同定ステップと、
d)前記ペプチド同定ステップにおいてアミノ酸配列の同定が可能であった又はアミノ酸配列が正当であることが確認されたときに、同一ペプチド由来のMS2スペクトルの中から同定信頼度の高さ若しくは同定時に帰属されたピークの品質の高さを示す指標値に基づいて、相対的に若しくは絶対的に品質が高いMS2スペクトルを選別して、又は、相対的に若しくは絶対的に品質が高い複数のMS2スペクトルを結合し合成することで、品質を向上させた新たなMS2スペクトルを作成し、該選別した又は作成したMS2スペクトルに基づく情報をスペクトルライブラリに登録するライブラリ登録ステップと、
e)前記ライブラリ作成用内在性ペプチドについてのMS1スペクトルに基づいてMS2測定でターゲットとするプリカーサイオンを選定するものであって、前記ライブラリ登録ステップにおいて、既に実施されたMS2測定で得られたMS2スペクトルの品質が相対的に若しくは絶対的に低いと判定された場合、又は、同定の結果、帰属されたプロダクトイオンが少なく部分構造情報量が少ないと判定された場合に、前記MS2測定実行ステップによるMS2測定を再度実施するためのプリカーサイオンを新たに選定するプリカーサイオン選定ステップと、
を有することを特徴としている。
a)スペクトル検索法によるペプチド同定時に参照される、アミノ酸配列が既知である内在性ペプチドのMS2スペクトルが収録されているスペクトルライブラリと、
b)MS1測定及びMS2測定が可能である質量分析部と、
c)アミノ酸配列が未知である又は既知であるライブラリ作成用内在性ペプチドを含む試料に対しMS1測定を実行してMS1スペクトルを取得するように前記質量分析部を制御するMS1測定実行制御部と、
d)前記ライブラリ作成用内在性ペプチドを含む試料に対し、後記プリカーサイオン選定部により選定されたプリカーサイオンをターゲットとするMS2測定を実行しMS2スペクトルを取得するように前記質量分析部を制御するMS2測定実行制御部と、
e)前記MS2測定実行制御部の制御の下で得られた実測MS2スペクトルに対して網羅的なペプチド同定手法による同定処理を実施することにより、前記ライブラリ作成用内在性ペプチドのアミノ酸配列を同定する又は確認するペプチド同定部と、
f)前記ペプチド同定部によりアミノ酸配列の同定が可能であった又はアミノ酸配列が正当であることが確認されたときに、同一ペプチド由来のMS2スペクトルの中から同定信頼度の高さ若しくは同定時に帰属されたピークの品質の高さを示す指標値に基づいて相対的に若しくは絶対的に品質が高いMS2スペクトルを選別して、又は、相対的に若しくは絶対的に品質が高い複数のMS2スペクトルを結合し合成することで、品質を向上させた新たなMS2スペクトルを作成し、該選別した又は作成したMS2スペクトルに基づく情報を前記スペクトルライブラリに登録するライブラリ登録部と、
g)前記ライブラリ作成用内在性ペプチドについてのMS1スペクトルに基づいてMS2測定でターゲットとするプリカーサイオンを選定するものであって、前記ライブラリ登録部において、既に実施されたMS2測定で得られたMS2スペクトルの品質が相対的に若しくは絶対的に低いと判定された場合、又は、同定の結果、帰属されたプロダクトイオンが少なく部分構造情報量が少ないと判定された場合に、前記MS2測定実行制御部による制御の下でMS2測定を再度実施するためのプリカーサイオンを新たに選定するプリカーサイオン選定部と、
を備えることを特徴としている。
a)目的の内在性ペプチドを含む試料に対しMS2測定を実行してMS2スペクトルを取得するMS2測定実行ステップと、
b)前記MS2測定実行ステップで得られた実測MS2スペクトルについてスペクトルライブラリを用いたスペクトル検索を行うことでペプチドを推定するものであって
b1)スペクトルライブラリに収録されているMS2スペクトルに対応するプリカーサイオンのアミノ酸配列のN末端側及びC末端側の一若しくは複数のアミノ酸残基を除去する又は一若しくは複数のアミノ酸残基を付加しつつ、MS2測定のターゲットであるプリカーサイオンの質量電荷比と一致するものを探索することで、ペプチドバリアントのアミノ酸配列を推定するバリアント配列推定ステップと、
b2)前記バリアント配列推定ステップによるペプチドバリアントのアミノ酸配列推定に利用された元のMS2スペクトルに基づいて、該ペプチドバリアントに対応するMS2スペクトルを生成するスペクトル生成ステップと、
b3)前記スペクトル生成ステップにおいて得られたMS2スペクトルと前記実測MS2スペクトルとを照合して類似度を求め、該類似度に基づいて前記ペプチドバリアントのアミノ酸配列を推定する類似度算出ステップと、
を有することを特徴としている。
a)前記スペクトル検索法に利用される既知の内在性ペプチドのMS2スペクトルが収録されているスペクトルライブラリと、
b)MS2測定が可能である質量分析部と、
c)目的とする内在性ペプチドを含む試料に対してMS2測定を実施してMS2スペクトルを取得するように前記質量分析部を制御するMS2測定実行制御部と、
d)前記MS2測定実行制御部の制御の下で得られた実測MS2スペクトルについてスペクトルライブラリを用いたスペクトル検索を行うことでペプチドを推定するものであって
d1)スペクトルライブラリに収録されているMS2スペクトルに対応するプリカーサイオンのアミノ酸配列のN末端側及びC末端側の一若しくは複数のアミノ酸残基を除去する又は一若しくは複数のアミノ酸残基を付加しつつ、MS2測定のターゲットであるプリカーサイオンの質量電荷比と一致するものを探索することで、ペプチドバリアントのアミノ酸配列を推定するバリアント配列推定部と、
d2)前記バリアント配列推定部によるペプチドバリアントのアミノ酸配列推定に利用された元のMS2スペクトルに基づいて、該ペプチドバリアントに対応するMS2スペクトルを生成するスペクトル生成部と、
d3)前記スペクトル生成部において得られたMS2スペクトルと前記実測MS2スペクトルとを照合して類似度を求め、該類似度に基づいて前記ペプチドバリアントのアミノ酸配列を推定する類似度算出部と、
を備えることを特徴としている。
図1は本実施例による内在性ペプチド同定システムのブロック構成図である。
次に、本実施例の内在性ペプチド同定システムにおける特徴的な処理動作を説明する。
本実施例の内在性ペプチド同定システムでは、まず、アミノ酸配列が既知である又は未知であるライブラリ作成用内在性ペプチドを実測し同定した結果に基づいて、スペクトルライブラリ25を作成しておく。このスペクトルライブラリ作成処理について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
上記手順によるスペクトルライブラリ作成の具体的な一例を説明する。ここでは、質量分析部1としてMALDI−TOFMS又はLC−IT−TOFMSを用い、ヒトの尿由来の試料に対しMS2測定を実施しMS2スペクトルを取得した。このMS2スペクトルに基づいて既存の内在性ペプチド同定用配列データベース検索ソフトウェアを用いてペプチドの同定を試みた結果、下の表1に示す価数が2である二種のウロモジュリンペプチド(ペプチドバリアント)が同定された。ここで使用した内在性ペプチド同定用配列データベース検索ソフトウェアは本発明者らが開発したものであり、特許文献1及び非特許文献3に記載のものである。
次に、事前にスペクトルライブラリ25が構築されている状態の下で実施される目的とする内在性ペプチドの同定処理について図3に示すフローチャートを参照して説明する。
上記手順によるスペクトル検索によるペプチド同定処理の具体的な一例を説明する。ここでは、ヒトの尿由来の試料に対してMS2測定を行うことで得られたMS2スペクトルをスペクトル検索の照合元とする。いま、このMS2スペクトルは、[M+H]+=m/z 982.6をターゲットとするものであるとする。また、スペクトルライブラリ25上に登録されている[M+H]+=m/z 1510.9のウロモジュリンペプチド[配列:SVIDQSRVLNLGPI](2価)のMS2スペクトルを照合先としてスペクトル検索を試みたものとする。
2…データ処理部
21…スペクトル解析部
22…プリカーサイオン選定部
23…ペプチド同定部
231…データベース(DB)検索実行部
232…スペクトル検索実行部
2321…バリアント配列推定部
2322…スペクトル合成部
2323…類似度算出部
24…ライブラリ登録処理部
25…スペクトルライブラリ
26…解析結果出力部
3…タンパク質配列データベース
Claims (6)
- 試料中の内在性ペプチドのアミノ酸配列を質量分析を利用したスペクトル検索法により推定して該ペプチドを同定する際に参照されるスペクトルライブラリを作成する内在性ペプチド同定用スペクトルライブラリ作成方法であって、
a)アミノ酸配列が未知である又は既知であるライブラリ作成用内在性ペプチドを含む試料に対しMS1測定を実行しMS1スペクトルを取得するMS1測定実行ステップと、
b)前記ライブラリ作成用内在性ペプチドを含む試料に対し、後記プリカーサイオン選定ステップで選定されたプリカーサイオンについてのMS2(=MS/MS)測定を実行しMS2スペクトルを取得するMS2測定実行ステップと、
c)前記MS2測定実行ステップで得られた実測MS2スペクトルに対して網羅的なペプチド同定手法による同定処理を実施することにより、前記ライブラリ作成用内在性ペプチドのアミノ酸配列を同定する又は確認するペプチド同定ステップと、
d)前記ペプチド同定ステップにおいてアミノ酸配列の同定が可能であった又はアミノ酸配列が正当であることが確認されたときに、同一ペプチド由来のMS2スペクトルの中から同定信頼度の高さ若しくは同定時に帰属されたピークの品質の高さを示す指標値に基づいて、相対的に若しくは絶対的に品質が高いMS2スペクトルを選別して、又は、相対的に若しくは絶対的に品質が高い複数のMS2スペクトルを結合し合成することで、品質を向上させた新たなMS2スペクトルを作成し、該選別した又は作成したMS2スペクトルに基づく情報をスペクトルライブラリに登録するライブラリ登録ステップと、
e)前記ライブラリ作成用内在性ペプチドについてのMS1スペクトルに基づいてMS2測定でターゲットとするプリカーサイオンを選定するものであって、前記ライブラリ登録ステップにおいて、既に実施されたMS2測定で得られたMS2スペクトルの品質が相対的に若しくは絶対的に低いと判定された場合、又は、同定の結果、帰属されたプロダクトイオンが少なく部分構造情報量が少ないと判定された場合に、前記MS2測定実行ステップによるMS2測定を再度実施するためのプリカーサイオンを新たに選定するプリカーサイオン選定ステップと、
を有することを特徴とする内在性ペプチド同定用スペクトルライブラリ作成方法。 - 請求項1に記載の内在性ペプチド同定用スペクトルライブラリ作成方法であって、
前記プリカーサイオン選定ステップでは、プリカーサイオンの価数と、同定された又は正当であることが確認されたライブラリ作成用内在性ペプチドのアミノ酸組成と、の少なくともいずれかを利用してMS2測定を再度実施するためのプリカーサイオンを新たに選定することを特徴とする内在性ペプチド同定用スペクトルライブラリ作成方法。 - 試料中の内在性ペプチドのアミノ酸配列をスペクトル検索法により推定して該ペプチドを同定する内在性ペプチド同定装置であって、
a)スペクトル検索法によるペプチド同定時に参照される、アミノ酸配列が既知である内在性ペプチドのMS2スペクトルが収録されているスペクトルライブラリと、
b)MS1測定及びMS2測定が可能である質量分析部と、
c)アミノ酸配列が未知である又は既知であるライブラリ作成用内在性ペプチドを含む試料に対しMS1測定を実行してMS1スペクトルを取得するように前記質量分析部を制御するMS1測定実行制御部と、
d)前記ライブラリ作成用内在性ペプチドを含む試料に対し、後記プリカーサイオン選定部により選定されたプリカーサイオンをターゲットとするMS2測定を実行しMS2スペクトルを取得するように前記質量分析部を制御するMS2測定実行制御部と、
e)前記MS2測定実行制御部の制御の下で得られた実測MS2スペクトルに対して網羅的なペプチド同定手法による同定処理を実施することにより、前記ライブラリ作成用内在性ペプチドのアミノ酸配列を同定する又は確認するペプチド同定部と、
f)前記ペプチド同定部によりアミノ酸配列の同定が可能であった又はアミノ酸配列が正当であることが確認されたときに、同一ペプチド由来のMS2スペクトルの中から同定信頼度の高さ若しくは同定時に帰属されたピークの品質の高さを示す指標値に基づいて相対的に若しくは絶対的に品質が高いMS2スペクトルを選別して、又は、相対的に若しくは絶対的に品質が高い複数のMS2スペクトルを結合し合成することで、品質を向上させた新たなMS2スペクトルを作成し、該選別した又は作成したMS2スペクトルに基づく情報を前記スペクトルライブラリに登録するライブラリ登録部と、
g)前記ライブラリ作成用内在性ペプチドについてのMS1スペクトルに基づいてMS2測定でターゲットとするプリカーサイオンを選定するものであって、前記ライブラリ登録部において、既に実施されたMS2測定で得られたMS2スペクトルの品質が相対的に若しくは絶対的に低いと判定された場合、又は、同定の結果、帰属されたプロダクトイオンが少なく部分構造情報量が少ないと判定された場合に、前記MS2測定実行制御部による制御の下でMS2測定を再度実施するためのプリカーサイオンを新たに選定するプリカーサイオン選定部と、
を備えることを特徴とする内在性ペプチド同定装置。 - 請求項3に記載の内在性ペプチド同定装置であって、
前記プリカーサイオン選定部は、プリカーサイオンの価数と、同定された又は正当であることが確認されたライブラリ作成用内在性ペプチドのアミノ酸組成と、の少なくともいずれかを利用してMS2測定を再度実施するためのプリカーサイオンを新たに選定することを特徴とする内在性ペプチド同定装置。 - 試料中の内在性ペプチドのアミノ酸配列を質量分析を利用したスペクトル検索法により推定して該ペプチドを同定する内在性ペプチド同定方法であって、
a)目的の内在性ペプチドを含む試料に対しMS2測定を実行してMS2スペクトルを取得するMS2測定実行ステップと、
b)前記MS2測定実行ステップで得られた実測MS2スペクトルについてスペクトルライブラリを用いたスペクトル検索を行うことでペプチドを推定するものであって
b1)スペクトルライブラリに収録されているMS2スペクトルに対応するプリカーサイオンのアミノ酸配列のN末端側及びC末端側の一若しくは複数のアミノ酸残基を除去する又は一若しくは複数のアミノ酸残基を付加しつつ、MS2測定のターゲットであるプリカーサイオンの質量電荷比と一致するものを探索することで、ペプチドバリアントのアミノ酸配列を推定するバリアント配列推定ステップと、
b2)前記バリアント配列推定ステップによるペプチドバリアントのアミノ酸配列推定に利用された元のMS2スペクトルに基づいて、該ペプチドバリアントに対応するMS2スペクトルを生成するスペクトル生成ステップと、
b3)前記スペクトル生成ステップにおいて得られたMS2スペクトルと前記実測MS2スペクトルとを照合して類似度を求め、該類似度に基づいて前記ペプチドバリアントのアミノ酸配列を推定する類似度算出ステップと、
を有することを特徴とする内在性ペプチド同定方法。 - 試料中の内在性ペプチドのアミノ酸配列をスペクトル検索法により推定して該ペプチドを同定する内在性ペプチド同定装置であって、
a)前記スペクトル検索法に利用される既知の内在性ペプチドのMS2スペクトルが収録されているスペクトルライブラリと、
b)MS2測定が可能である質量分析部と、
c)目的とする内在性ペプチドを含む試料に対してMS2測定を実施してMS2スペクトルを取得するように前記質量分析部を制御するMS2測定実行制御部と、
d)前記MS2測定実行制御部の制御の下で得られた実測MS2スペクトルについてスペクトルライブラリを用いたスペクトル検索を行うことでペプチドを推定するものであって
d1)スペクトルライブラリに収録されているMS2スペクトルに対応するプリカーサイオンのアミノ酸配列のN末端側及びC末端側の一若しくは複数のアミノ酸残基を除去する又は一若しくは複数のアミノ酸残基を付加しつつ、MS2測定のターゲットであるプリカーサイオンの質量電荷比と一致するものを探索することで、ペプチドバリアントのアミノ酸配列を推定するバリアント配列推定部と、
d2)前記バリアント配列推定部によるペプチドバリアントのアミノ酸配列推定に利用された元のMS2スペクトルに基づいて、該ペプチドバリアントに対応するMS2スペクトルを生成するスペクトル生成部と、
d3)前記スペクトル生成部において得られたMS2スペクトルと前記実測MS2スペクトルとを照合して類似度を求め、該類似度に基づいて前記ペプチドバリアントのアミノ酸配列を推定する類似度算出部と、
を備えることを特徴とする内在性ペプチド同定装置。
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