JP6136048B2 - レシプロ式機械装置の状態監視システムとその方法とそのプログラム - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1に開示される技術は、ディーゼル機関のピストンリングの摺動状態、燃焼状態及びシリンダ投入空気状態に関連する複数の計測値毎に状態判定を行ってそれぞれの状態指数fを算出し、これに基づいて最適経済運転に必要となるシリンダに対する潤滑油の注油率の推奨値、燃料噴射時期の推奨値及びシリンダ投入空気温度の推奨値を算出して、この推奨値に見合った制御信号を制御装置からディーゼル機関へ出力するというものである。
このようなディーゼル機関の状態監視運転方法によれば、それぞれの推奨値に基づいて経済的運転を行うことができ、運転コスト低減を図ることが可能である。
このように構成される機器設備の監視システムにおいては、前記の状態量のうち少なくとも1つ以上の検出が可能になるため、回転体や摺動部材を含む機械装置の状態を確実に監視することができるとともに、回転体や摺動部材を含む機械設備の欠陥又は異常を確実に検査することが可能である。
上記構成のレシプロ式機械装置状態監視システムにおいては、超音波センサで受信された振動波のパワースペクトル信号を周波数で積分して得られるパワースペクトル面積値から、潤滑油の劣化度の指標としての油膜厚さと計数汚染度という2つの状態量を評価することでレシプロ式機械装置の状態を監視するという作用を有する。パワースペクトル面積値と油膜厚さ及び計数汚染度の関係は予め試験等によって求めておき、これを関数化しておく。すなわち、油膜厚さと計数汚染度をパワースペクトル面積値の関数として表現しておくことで、これらの関数が、パワースペクトル面積値という1つの状態量から潤滑油の異なる2つの状態量を評価するように作用する。
また、温度センサは油膜厚さ評価部に対して温度情報を供給するように作用し、油膜厚さ評価部はその温度情報を基に、油膜厚さの評価に用いられる粘性を補正するように作用する。
発明者らは、レシプロ式機械装置の摺動部の潤滑状態(油膜厚さ)と潤滑油性状(計数汚染度)の両方がピストンとシリンダの直接接触等の原因となること、そして、この直接接触等の初期の異常時の段階で発する高周波数振動と油膜厚さ及び計数汚染度の両方に関係があることを鋭意研究の結果突き止め、これを定量的に評価している。
上記構成のレシプロ式機械装置状態監視システムにおいては、請求項1に記載の発明に作用に加えて、状態評価部は、油膜厚さと計数汚染度がそれらのしきい値を超えた場合に警報を発することでレシプロ式機械装置のユーザに注意を喚起するように作用する。また、油膜厚さと計数汚染度という2つの状態量に対して、しきい値の設定を行うことが可能であり、しきい値の設定について裕度を備えている。
上記構成のレシプロ式機械装置状態監視方法においては、請求項1に記載されるレシプロ式機械装置状態監視システムを方法発明として捉えたものであり、その作用は請求項1記載のレシプロ式機械装置状態監視システムと同様である。
上記構成のレシプロ式機械装置状態監視方法においては、請求項2に記載されるレシプロ式機械装置状態監視システムを方法発明として捉えたものであり、その作用は請求項2記載のレシプロ式機械装置状態監視システムと同様である。
上記構成のレシプロ式機械装置状態監視プログラムにおいては、請求項3に記載されるレシプロ式機械装置状態監視方法をプログラム発明として捉えたものであり、その作用は請求項3記載のレシプロ式機械装置状態監視方法と同様である。
上記構成のレシプロ式機械装置状態監視プログラムにおいては、請求項4に記載されるレシプロ式機械装置状態監視方法をプログラム発明として捉えたものであり、その作用は請求項4記載のレシプロ式機械装置状態監視方法と同様である。
また、潤滑油の劣化度の指標として油膜厚さと計数汚染度という異なる2つの状態量を独立に評価可能であることから、より精度良く状態を監視することができる。そして、温度センサによって潤滑油の温度に関する情報を得ることが可能であるので、その粘性をより精度良く評価することが可能である。従って、油膜厚さに関する評価の精度も高くすることができる。
さらに、超音波センサは機械装置の外部に設置可能であることから、既存のレシプロ式機械装置にも容易に設置することが可能で導入コストが低いので、費用対効果の点からも有利である。
また、油膜厚さと計数汚染度という2つの状態量に対して、独立にしきい値の設定を行うことが可能であるので、レシプロ式機械装置個々の性質を考慮しながらいずれかに重きを置くような設定も可能であり、状態監視の自由度が高い。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレシプロ式機械装置状態監視システムのシステム構成図であり、図2は本実施の形態に係るレシプロ式機械装置状態監視システムにおける信号処理のフローチャートである。さらに、図3は本発明の実施の形態に係るレシプロ式機械装置状態監視システムの成立性を評価するための試作装置を含む試験システム構成図である。
振動波形データベース11には振動波形信号15及びフィルタ処理後振動波形信号16が読み出し可能に格納され、スペクトルデータベース12には、振動波形スペクトル信号17、振動波形パワースペクトル信号18及びパワースペクトル面積値19が格納されている。指標値データベース13には油膜厚さ対パワースペクトル面積値関数20、計数汚染度対パワースペクトル面積値関数21、油膜厚さ値22及び計数汚染度23が格納されており、評価データベース14には油膜厚さしきい値24、計数汚染度しきい値25及び評価結果26が格納されている。
これらの構成要素からなる動的設備の状態監視システム1において、超音波振動センサ2は1つのみならず複数設けてもよく、また、振動周波数測定部3から出力部10は個別に設けてもコンピュータのように汎用性のある処理装置を用いて機能的に実現されてもよい。
ピストン部32へは、保温が可能なオイルバス33に貯留された潤滑油が、潤滑油圧送用ポンプ35や潤滑油供給ライン34,36を介して供給される。
超音波振動センサ37で検出された高周波振動は、センサ信号ケーブル38を介して信号増幅器39に送信されて信号増幅され、信号増幅器39から信号ケーブル40を介してA/D変換器41でA/D変換され、A/D変換器41から信号ケーブル42を介して解析用コンピュータ43に送信されて処理される。なお、図3に示される信号増幅器39とA/D変換器41は、図1において直接的には記載されていないものの、振動周波数測定部3あるいはフィルタ処理部4に含めることができるものである。また、解析用コンピュータ43によって処理される内容は、図1におけるフィルタ処理部4から出力部10が行う処理内容と同等である。
次に、この往復摺動摩擦試験機30を用いて実施したレシプロ式機械装置状態監視システムの成立性試験の条件と実施要領について説明する。
オイルバス33は潤滑油温度が60℃、90℃、120℃、150℃の4条件となるように設定した。潤滑油には新日本石油株式会社(現JX日鉱日石エネルギー株式会社)製無添加タービンオイル46(ISO粘度グレード46)を使用した。
オイルバス33で油温を設定し、潤滑油はボア径0.8μmのフィルタでろ過した新油を使用した。潤滑油圧送用ポンプ35による潤滑油流量は約17.4cc/分となるように調節した。ピストン部32には荷重部31による鉛直方向5455g重の荷重が載荷されている。また、その状態で往復摺動摩擦試験機30では、荷重部31は図3中の矢印Xの方向に駆動し、レシプロ式機械装置を模した供試体44は、図3中の矢印Yの方向にピストンのストローク20mm、摺動速度150rpmで摺動する。このピストン部32は、実際のエンジンのピストンとピストンリングを用いて製作され、供試体44は、実際のエンジンのシリンダライナーを用いて製作されており、より実機条件に近い状態で試験を実施している。
高周波振動の計測時間(潤滑油の採取までの時間)は28.75分としたので、この供試体44におけるピストンの総往復摺動回数は、150rpmに28.75分を掛け合わせて4312.5回となる。潤滑油は約950−1600ccの量を採取した。
以下、第1の実施の形態に係るレシプロ式機械装置状態監視システム1の構成について図1乃至図3を参照しながら説明する。
振動周波数測定部3は、この超音波振動センサ2からの高周波振動波を処理して振動波形信号15を得る(図2におけるステップS1)。この振動周波数測定部3で生成された振動波形信号15は、振動周波数測定部3によって振動波形データベース11に読み出し可能に格納される(図2におけるステップS1)。振動周波数測定部3のサンプリング周波数としては例えば500kHzがある。
図3に示される試験システムで得られた振動波形信号を図4に示す。この図4に示される振動波形信号の取得の際のサンプリング周波数も500kHzである。
フィルタ処理部4はいわゆるローパスフィルタとハイパスフィルタを組み合わせたものであり、5kHzから200kHzの領域で後段の信号処理が可能なように設定されている。もちろん、これらの数値は一例であるので、実際に用いられるレシプロ式機械装置の種類や容量(規模)などに合せて適宜設定するとよい。このフィルタ処理部4は必ずしも必要ではないと考えられるが、レシプロ式機械装置状態監視システム1による初期異常という小さな予兆を精度高く監視するためには、設けておくことが望ましい。
フィルタ処理部4で生成されたフィルタ処理後振動波形信号16は、フィルタ処理部4によって振動波形データベース11に読み出し可能に格納される(図2におけるステップS2)。
フィルタ処理部4で生成されたフィルタ処理後振動波形信号16は、あるいはフィルタ処理部4を備えていない場合は、振動周波数測定部3で生成された振動波形信号は、高速フーリエ変換処理部5によってフィルタ処理部4あるいは振動周波数測定部3から直接又は振動波形データベース11から読み出され、高速フーリエ変換処理部5に入力される(図2におけるステップS3)。
図3に示される試験システムで得られた振動波形パワースペクトル信号を図5に示す。図5に示される振動波形パワースペクトル信号18も、前述した5−200kHz間の領域で解析されている。
この高速フーリエ変換処理部5で生成された振動波形スペクトル信号17及び振動波形パワースペクトル信号18は、高速フーリエ変換処理部5によってスペクトルデータベース12に読み出し可能に格納される(図2におけるステップS3a,S3b)。
なお、図2に示されるとおり、ステップS1からステップS3a,S3bまでを繰り返し実施して平均値を取り、SN比の向上を図ってもよいし、前述のとおり複数の超音波振動センサ2を設けてそれぞれから検出される振動波形信号を平均化処理することでSN比の向上を図ってもよい。
パワースペクトル積分処理部6で得られたパワースペクトル面積値19は、パワースペクトル積分処理部6によってスペクトルデータベース12に読み出し可能に格納される(図2におけるステップS4)。
そもそも油膜厚さは、レシプロ式機械装置内の摺動面における潤滑油の膜厚さであり、これは弾性流体潤滑理論を適用することで求められることが知られている。具体的には、油膜厚さをhoとする式(1)で示されるGrubinの式を用いることが可能である。
発明者らは、図3に示される試験システムを用いて直接接触の初期状態で発生する超音波振動波形を測定してパワースペクトル面積値を求め、その際の油膜厚さを演算して、発生した超音波振動波形のパワースペクトル面積値と油膜厚さの関係を求めた。
その結果が、図6に示されるグラフである。図6の横軸はピストンの1摺動当たりの出力(電圧)[V/(Nh/2)]を示しており、縦軸は油膜厚さ[mm]を示している。この出力の単位について説明を加える。Nはレシプロ式機械装置の単位時間当たりの回転数[rpm]を表し、hは回転時間[分]を表している。従って、新品のオイルに交換してから、レシプロ式機械装置の総往復摺動回数(経過時間)を表す指標が[N・h]となり、計数汚染度は総往復摺動回数に比例して変化するため、これを1摺動当たりとして定量化するためにNhで除している。また、実際の超音波振動の出力測定ではレシプロ式機械装置1摺動当たり(1回転の1/2分)の電圧を測定していることから、1/2で除している。
図6によれば超音波振動波形のパワースペクトル面積値が増加するにつれて油膜厚さは減少していることが理解される。しかも、その減少は0.002から0.005までの範囲で急激に変化していることが理解できる。
このような関係を関数化して油膜厚さ対パワースペクトル面積値関数20として指標値データベース13に格納しておくことで、レシプロ式機械装置状態監視システム1においては、超音波振動センサ2で測定した振動波形信号15を用いて演算処理することで、油膜厚さ評価部7で油膜厚さ値22を求めることができるのである。
この油膜厚さ評価部7で生成された油膜厚さ値22は、油膜厚さ評価部7によって読み出し可能に分離振動波形データベース13に格納される(図2におけるステップS5)。
なお、本第1の実施の形態では、後程説明する第2の実施の形態で付加される温度センサを備えていないので、式(2)中の潤滑油の絶対温度Tには正常時の仕様値や設計値、あるいは概略値を適宜選択して入力するとよい。
計数汚染度は潤滑油100ml中の摩耗粒子の数で定義され、レシプロ式機械装置内部の摩耗進行度を評価することが可能な状態量である。なお、この計数汚染度を用いた潤滑油分析法自体は既存の技術である。
発明者らは、前述の油膜厚さと同様に、図3に示される試験システムを用いて超音波振動波形のパワースペクトル面積値と計数汚染度の関係を求めた。
その結果が、図7に示されるグラフである。図7の横軸は計数汚染度[個数/100ml]を示しており、縦軸はピストンの1摺動当たりの出力(電圧)[V/(Nh/2)]を示している。
図7によれば計数汚染度が高まるにつれて超音波振動波形のパワースペクトル面積値が増加していることが理解される。この増加の傾斜は計数汚染度が2000を超えると徐々に急となり、データのばらつきも大きくなっていることがわかった。
このような関係を関数化して計数汚染度対パワースペクトル面積値関数21として指標値データベース13に格納しておくことで、レシプロ式機械装置状態監視システム1においては、超音波振動センサ2で測定した振動波形信号15を用いて演算処理することで、計数汚染度評価部8で計数汚染度23を求めることができるのである。
計数汚染度評価部8で生成された計数汚染度23は、計数汚染度評価部8によって読み出し可能に指標値データベース13に格納される(図2におけるステップS6)。
なお、本実施の形態では油膜厚さ値22を演算する油膜厚さ評価部7と計数汚染度23を演算する計数汚染度評価部8を別個に設けたが、潤滑油劣化度評価部などのようなものを1つ設けてパワースペクトル面積値19を用いて、油膜厚さ値22と計数汚染度23を同時に演算してもよい。その場合には、例えば超音波振動センサ2で測定された振動波形信号から得られたパワースペクトル面積値と油膜厚さと計数汚染度の関係関数をまとめて3次元で表現することも考えられる。
この評価結果26は状態評価部9によって読み出し可能に評価データベース14に格納される(図2におけるステップS7)。
これらの他の実施の形態の内容については図2に記載されるステップ(工程)の流れに示すとおりである。
すなわち、ステップS1からステップS8までのステップを実行することでレシプロ式機械装置状態監視方法に関する実施の形態となり、さらに、これらの工程をコンピュータで実行させることでレシプロ式機械装置状態監視プログラムとなるのである。以下に具体的に説明するが、各工程における処理内容の説明については、既にレシプロ式機械装置状態監視システム1の説明の際に実施明しているので省略する。
ステップS3bでは、高速フーリエ変換処理部5が、振動波形スペクトル信号17の実効値(二乗平均値)を演算して、振動波形パワースペクトル信号18を得て、スペクトルデータベース12に読み出し可能に格納する。
前述のとおり、ステップS1からステップS3を所望の回数繰り返し実施して平均値を取り、SN比の向上を図るとよい。
また、しきい値を設けることで出力部10によって警報等を発することが可能であることから、常時監視する必要がなく目的に応じたしきい値を設けることで目的に沿ったタイミングで警報を発生させて作業員等のユーザに注意を喚起することができる。
図9において、図1に示される第1の実施の形態に係るレシプロ式機械装置状態監視システムと同一の構成要素には同一の符号を付してその構成の説明は省略する。
本図で示される第2の実施の形態に係るレシプロ式機械装置状態監視システム51は、超音波振動センサ2の他に温度センサ27を備えるものである。温度センサ27から得られる温度28を用いて油膜厚さ評価部7が油膜厚さ値22を演算する。油膜厚さは潤滑油の粘性に影響を受けるため、粘性が影響を受ける温度を含めて油膜厚さを演算する方がより精度の高い評価を実施できるためである。
この場合、油膜厚さ対パワースペクトル面積値関数20に温度を変数として含めることや油膜厚さ対パワースペクトル面積値関数20を温度毎に複数設けて温度センサ27で測定された温度に近い関数を選択することなどが考えられる。
温度センサ27の設置場所はレシプロ式機械装置によるが、摺動部の近傍に設置する場合や潤滑油の貯留タンク等に設置してもよい。また、潤滑油の油温を測定するための温度計が予め設置されるような場合にはその温度信号を用いてもよいことは言うまでもない。その場合には信号を取り出すだけでよく、新たにレシプロ式機械装置の状態監視のための温度計を設置する必要もなく、既存のレシプロ式機械装置に対して導入コストを抑制し易く容易に精度の高い状態監視を行うことが可能となる。
この温度センサ27による温度測定は、図2のステップS5に含まれることになる。また、油膜厚さ評価部7が温度センサ27で測定された温度28を読み出し可能に指標値データベース13に格納する。油膜厚さ評価部7は、油膜厚さ値22を演算する際に、温度28を温度センサ27から直接又は指標値データベース13から読み出すかして用いる。
本実施の形態では、レシプロ式機械装置状態監視システム51は、温度センサ27を備えていることから、予め例えば油温60℃の時の摺動性の超音波振動に対するパワースペクトル面積値(V0)を基準にして実際の監視時における油温を温度センサから取得して、その油温におけるパワースペクトル面積値(V)を用いて、デシベル値(20*log10(V/V0))で表現することができる。このようにある油温における超音波振動に対するパワースペクトル面積値を基準にすれば、一般性を持たせることも可能であり、より実用性を持たせることができる。本実施の形態では油温60℃の際の摺動性の超音波振動に対するパワースペクトル面積値をV0として基準値に用いたが、この基準値は特定のものである必要はなく他の油温のものでもよいし、他の条件のものでもよい。
Claims (6)
- レシプロ式機械装置の潤滑油の劣化度を振動波計測によって評価することで前記レシプロ式機械装置の状態監視をするシステムであって、
前記レシプロ式機械装置の振動波を計測する超音波センサと、
前記超音波センサで受信された振動波を処理して振動波形信号を得る周波数測定部と、
前記周波数測定部で得られた振動波形信号を高速フーリエ変換(以下、高速フーリエ変換をFFTと呼ぶこともある)処理してスペクトル信号とそのパワースペクトル信号を生成する高速フーリエ変換処理部と、
前記高速フーリエ変換処理部で得られたパワースペクトル信号を周波数積分してパワースペクトル面積値を演算するパワースペクトル積分処理部と、
前記パワースペクトル面積値と前記潤滑油の油膜厚さの関係に係る関数を用いて油膜厚さを演算する油膜厚さ評価部と、
前記パワースペクトル面積値と前記潤滑油の計数汚染度の関係に係る関数を用いて計数汚染度を演算する計数汚染度評価部と、
を有し、
前記潤滑油の温度を計測する温度センサを有し、前記油膜厚さ評価部は、温度補正して前記油膜厚さを演算することを特徴とするレシプロ式機械装置状態監視システム。 - 前記油膜厚さ評価部で演算された油膜厚さがそのしきい値を超えた場合及び/又は前記計数汚染度評価部で演算された計数汚染度がそのしきい値を超えた場合に、前記レシプロ式機械装置の点検を促す警報を発する状態評価部を有することを特徴とする請求項1記載のレシプロ式機械装置状態監視システム。
- レシプロ式機械装置の潤滑油の劣化度を振動波計測によって評価することで前記レシプロ式機械装置の状態監視をする方法であって、
前記レシプロ式機械装置の振動波を超音波センサによって計測する振動波計測工程と、
前記超音波センサで受信された振動波を処理して振動波形信号を得る周波数測定工程と、
前記周波数測定工程で得られた振動波形信号を高速フーリエ変換処理してスペクトル信号とそのパワースペクトル信号を生成する高速フーリエ変換処理工程と、
前記高速フーリエ変換処理工程で得られたパワースペクトル信号を周波数積分してパワースペクトル面積値を演算するパワースペクトル積分処理工程と、
前記パワースペクトル面積値と前記潤滑油の油膜厚さの関係に係る関数を用いて油膜厚さを演算する油膜厚さ評価工程と、
前記パワースペクトル面積値と前記潤滑油の計数汚染度の関係に係る関数を用いて計数汚染度を演算する計数汚染度評価工程と、
を有し、
前記油膜厚さ評価工程は、温度センサを用いて前記潤滑油の温度を計測し、この温度センサで得られた潤滑油の温度を用いた温度補正を行って前記油膜厚さを演算することを特徴とするレシプロ式機械装置状態監視方法。 - 前記油膜厚さ評価工程で演算された油膜厚さがそのしきい値を超えた場合及び/又は前記計数汚染度評価工程で演算された計数汚染度がそのしきい値を超えた場合に前記レシプロ式機械装置の点検を促す警報を発する状態評価工程を有することを特徴とする請求項3記載のレシプロ式機械装置状態監視方法。
- コンピュータによって、レシプロ式機械装置の潤滑油の劣化度を振動波計測で評価して前記レシプロ式機械装置の状態監視をするために実行されるプログラムであって、
前記レシプロ式機械装置の振動波を超音波センサによって計測する振動波計測工程と、
前記超音波センサで受信された振動波を処理して振動波形信号を得る周波数測定工程と、
前記周波数測定工程で得られた振動波形信号を高速フーリエ変換処理してスペクトル信号とそのパワースペクトル信号を生成する高速フーリエ変換処理工程と、
前記高速フーリエ変換処理工程で得られたパワースペクトル信号を周波数積分してパワースペクトル面積値を演算するパワースペクトル積分処理工程と、
前記パワースペクトル面積値と前記潤滑油の油膜厚さの関係に係る関数を用いて油膜厚さを演算する油膜厚さ評価工程と、
前記パワースペクトル面積値と前記潤滑油の計数汚染度の関係に係る関数を用いて計数汚染度を演算する計数汚染度評価工程と、
を実行し、
前記油膜厚さ評価工程は、温度センサを用いて前記潤滑油の温度を計測し、この温度センサで得られた潤滑油の温度を用いた温度補正を行って前記油膜厚さを演算することを特徴とするレシプロ式機械装置状態監視プログラム。 - 前記油膜厚さ評価工程で演算された油膜厚さがそのしきい値を超えた場合及び/又は前記計数汚染度評価工程で演算された計数汚染度がそのしきい値を超えた場合に前記レシプロ式機械装置の点検を促す警報を発する状態評価工程を実行することを特徴とする請求項5記載のレシプロ式機械装置状態監視プログラム。
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