JP6133809B2 - メッキ用回転バレルのリード線支持構造 - Google Patents

メッキ用回転バレルのリード線支持構造 Download PDF

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この発明は例えば0.2〜1mmサイズに形成された微小サイズの電子部品等のメッキ対象物(ワーク)にメッキ加工を施す際に使用されるメッキ用回転バレルのリード線支持構造に関する。
従来上記のような微小サイズのワークのメッキには、例えば特許文献1の図1,図2に示されるような回転バレル式のメッキ装置が知られている。上記装置ではメッキ液中でワークを収容した状態で、回転バレル内にカソード電極用のリード線をバレルの支持軸内に回転規制状態で挿通してカソード電極を支持している。
そしてバレルと共にバレル内でリード線を支えながらリード線まわりを回転し且つバレル内に露出するリード線支持部には、リード線支持部の回転側とリード線の固定側との境界部や摩耗やワークとの接触による損耗等によって増大する隙間にワークが入り込んだり挟み込まれたりする欠点を防止するための回転ブッシュ(ブッシュ32)と固定ブッシュ(カラー12)が回転側(ボス状部材311)とリード線10側との間に相互に嵌合され、固定ブッシュと回転ブッシュとが回転自在に嵌合しており、固定ブッシュ12は交換可能に構成されている。
特開2005−23361号公報
上記特許文献1のリード線支持部に固定ブッシュと回転ブッシュを介在させたものは、両ブッシュの加工寸法の管理が容易で固定ブッシュが摩耗した場合に取換え交換が可能な点でこれらを備えていないものに比して優れている。
しかし、固定ブッシュと回転ブッシュ間のクリアランス(嵌め合い公差)はワークの挟み込み防止のために、支持軸4とボス状部材311間のクリアランスより小さく且つ可能な限り小さくする必要があり、バレルの荷重がかかり易く磨耗も激しいという欠点がある。特に固定ブッシュが長時間使用によって摩耗した時は従前のように微小ワークが挟み込まれたり、ワークの接触により両ブッシュの境界部の隙間がさらに増大する欠点があるほか、境界部の隙間を小さくするための嵌め合い公差の加工管理に厳密さを要し、交換頻度も多くなるという問題がある。
上記のような問題点を解消するための本発明は第1に、ワークを収容するバレル1の端部と該バレル1を支持する支持フレーム4との間に中空の軸支部7を設けて上記バレル1を回転駆動可能に支持し、バレル1内の電極9に通電するリード線11を上記軸支部7の中空部内に回転規制状態で挿通し、バレル1と共に回転し軸支部7のバレル1側内部に露出するリード線支持部22の内周とリード線11の被覆層28の外周との間にリード線11側に固定される固定ブッシュ21を位置決めして嵌合したリード線支持構造において、上記リード線支持部22と固定ブッシュ21とが接触し合ってバレル1内に露出する端面の境界部20を覆うリング状の鍔部21cを固定ブッシュ21の外周に突出させて設けた
ことを特徴としている。
第2に、軸支部7がフレーム4側に取付けられる固定軸14と、該固定軸14に回転自在に嵌合され、バレル1と共に回転しバレル1内の端部の中空部8にリード線支持部22を設けた回転軸17とを備えたことを特徴としている。
第3に、リード線支持部22に、回転軸17のバレル1内の端部の中空部8内に位置決め状態で嵌合されると共にリード線11の被覆層28に固定的に嵌合される固定ブッシュ21を設けたことを特徴としている。
第4に、被覆層(28)を弾力性を備えた材質とし、固定ブッシュ(21)を被覆層(28)の外周に弾力的に且つ密着させて嵌合したことを特徴としている。
第5に、前記リード線支持部22は、回転軸17のバレル1内の端部の中空部8内で回転軸17側に嵌合固定される回転ブッシュ19と、該回転ブッシュ19の内周面側で相対回転可能に嵌合された前記固定ブッシュ21とから構成され、前記回転ブッシュ19の材質を固定ブッシュ21の材質より低摩擦の材質としたことを特徴としている。
第6に、固定ブッシュ21の周面にリード線支持部22に対して鍔部21cと共に軸方向の移動を規制して固定ブッシュ21の位置決めを行う係合部21bを設けてなることを特徴としている。
第7に、係合部21bが固定ブッシュ21の鍔部21cの反対側の端部の外周側に突出してリード線支持部22の内部側の端面に係合する突起であることを特徴としている。
第8に、固定ブッシュ21の鍔部21cとは反対側の端部である係合部21b側の周壁に端部が開放される軸心方向のスリット21aを形成し、固定ブッシュ21の係合部21b側の外径を中心方向に弾力的に縮小可能に構成したことを特徴としている。
以上のように構成される本発明は以下のような効果を奏する。
(1)バレルと共に回転するリード線支持部の内周と、リード線に外装嵌合してリード線と共に回転規制される固定ブッシュの外周との嵌合面の円形の境界部は、固定ブッシュの外周方向(径方向)に突出する鍔部によってカバーされているので、ワークが撹拌されているバレル内には露出しない。このためワークの接触による境界部の摩耗や損傷及びワークの挟み込みや入り込みも防止できる。
(2)上記境界部は径方向に厚みを有して突出する鍔部に覆われているので、多少の隙間やクリアランスがあっても又回転による摩耗が殆んどなく、仮に磨耗により隙間が拡大してもワークと接触することはなく、リード線支持部内径や固定ブッシュの加工精度の管理も容易であるほか、固定ブッシュの交換頻度も少なくて済む利点がある。また鍔部の背面とリード線支持部の端面との間には殆んど荷重がかからないので、固定ブッシュの寿命に影響を及ぼすことはない。
(3)軸支部に固定軸と回転軸を嵌合させて設けることにより、回転軸の材質を適切に選択することにより、回転軸側に直接固定ブッシュを回転可能に嵌合することによって回転ブッシュを省略することもでき、回転ブッシュを介在させることにより、回転ブッシュのみの材料選択で足りるほか、回転ブッシュ自体を交換する構成にできる。
(4)固定ブッシュは鍔部のほかにその周面に係合部として凹凸を設け(その場合はこれと係合する凹凸を回転ブッシュの内周に形成すればよい)、又は鍔部の反対側の端部に外周に突出する突起を設けて実施例に示すようにリード線支持部の内側の内端に係合させることができる。この構造により位置決め部の加工精度の管理も緩やかなものにできる。また固定ブッシュの鍔部と反対側の周壁に端部が開放されたスリットを設けることにより、固定ブッシュの組立を容易にし且つ交換可能にすることができる。
本発明を適用する回転バレルの支持構造を示す全体正面図である。 (A),(B)はそれぞれバレルの回転入力側と他方の支持側の軸支部の要部を示す拡大断面図である。 軸支部内の回転ブッシュと固定ブッシュの構造と組立状態を示す拡大断面図である。 リード線の構造を示す拡大断面図である。
図面は本発明の1実施例を示すもので、図1はバレル1の全体構造を示す正面図である。この例ではワークを通さない網目のメッシュ状の篭状周壁2と端板3を備えており、左右で平行に連結された縦方向のフレーム4に所定の傾斜角を有して回転自在に軸支されている。6はフレーム4の連結杆であり、バレル1は左右のフレーム4に対して軸支部7を介して軸支されている。
各軸支部7は中空部8(図2参照)に、図4に示すようなカソード電極9のリード線11を回転規制状態で挿通して支持しており、電極9はバレル1内の略中央部の中心付近で左右から向き合うように支持されている。回転入力側の軸支部7には回転駆動用のギヤ12が取付けられ、入力側フレームに軸支された中継ギヤ13を介して回転入力される。中継ギヤ13は図示しないモーター等の原動機から回転入力を受けている。
図2の(A)はバレル1の回転入力側の軸支部7を、(B)は他方の側の軸支部7の機構をそれぞれ示しており、次に述べる固定軸14がギヤ12を軸装する部分の長さが異なる以外は左右の機構は共通である。
軸支部7はフレーム4の外側からスリーブ状の固定軸14が挿入されてボルト16により取付けられ、その内向きの先端にはバレル1と一体的に回転するハウジング状の回転軸17が回転可能に嵌合されている。上記回転軸17の外側端部外周にはバレル1の傾斜角に対応すべく内端面が軸心に対して傾斜している傾斜カラー18が嵌合され、上記内端面に沿ってバレル1の端板3が取付けられるとともに、傾斜カラー18の外端面にはバレル回転駆動用のギヤ12がバレル1側に固定されて固定軸14まわりに取付けられている。
上記回転軸17,傾斜カラー18,ギヤ12は共に固定軸14に対してバレル1と共に一体回転し、バレル1が図1に示すように回転軸心に対して傾斜しているためバレル1は左右端が交互に逆方向に偏心回転し、内部に収容されたワークは回転と左右での昇降作動による揺動を受け、液面L.L下のメッキ液中で撹拌されて均一なメッキが行われる。
軸支部7の中空部8内には既述のようにリード線11がフレーム4の外側からバレル1の内部に向って挿通されるが、回転軸17の先端(バレル側端部)はバレル1内に臨んでおり、その先端内側の内周面とリード線11の外周との間には、回転軸17側に嵌合固定される回転ブッシュ19と、リード線11外周に嵌合固定される固定ブッシュ21とが相対回転可能に嵌合されている。この例では互に一体回転する回転軸17と回転ブッシュ19はリード線支持部22を構成しており、リード線11はその外周に固定的に嵌合された固定ブッシュ21を介して支持され、これより内側の部分は電極9を先端に支持しながらバレル1内に下向きに折り曲げられて臨んでいる。また回転ブッシュ19と固定ブッシュ21間のクリアランス(公差)は固定軸14と回転軸17間のそれより大きくとることが望ましい。
図3は上記回転ブッシュ19と固定ブッシュ21自体の構造と組立て構造を示す断面図で、このうち回転ブッシュ19は、例えばポリアセタール(POM)等の摩擦係数が低い低摩擦で耐摩耗性を備え且つ自己潤滑性を備えた樹脂からなり、固定ブッシュ21は汎用樹脂である例えばポリプロピレン製のものが用いられる。このため後述するように弾力性のあるリード線11の絶縁被膜層28に弾力的に密着嵌合された固定ブッシュ21が、リード線11に対して固定性が高く、且つ両者の嵌合面間にはクリアランスはなく、ワークの挟み込みも生じない。同時に回転ブッシュ19との関係では回転ブッシュ19が低摩擦材であるためスムースな回転が確保される。そして固定ブッシュ19が耐摩耗材なので摩耗による交換は概ね固定ブッシュ21のみで足りる。
上記回転ブッシュ19は図2に示すように回転軸17内に嵌合された時、両者の嵌合面に形成されたリング状の凹凸からなる係合部23が係合し合って軸線方向に位置決め固定される。そして回転ブッシュ19の回転軸側の端部周壁には端部が開放された複数本(図示する例では4本)のスリット19aが形成され、この部分の周壁は内側に弾力的に押圧することにより径が縮小され、係合部23が係合することによって嵌合状態になる。
一方固定ブッシュ21にも同様な複数本(図示する例では2本)のスリット21aが形成されていて挿入嵌合時には、挿入端外周に突出形成したリング状の突起21bが外周からの弾力的な押圧(図3の矢印参照)により外径を縮小され回転ブッシュ19内に挿入される。この時固定リング21が最深部まで挿入されると突起21aが回転ブッシュ19の内周から外れてブッシュの端部径が復元し、突起21bが回転ブッシュ19の内部端面に係合する状態になる。上記突起21bは必ずしもリング状突起である必要はなく、お互いの嵌合面に凹凸を形成して回転軸17と回転ブッシュ19との場合と同様に嵌合時に係合し合う構造のものでも良い。
また固定ブッシュ21のバレル1側端部には、外周方向にリング状に突出する鍔部21cが突設され、上記突起21bと共に回転ブッシュ19の両端側に係合して回転ブッシュ19に対する位置決め部材となる。この時回転ブッシュ19の全長に対して突起21bと鍔部21c間の間隔を僅かに(例えば0.15mm程度)のクリアランスを設け、嵌合時の上記係合を容易にするとともに加工誤差の許容度を大きくしている。
そして上記鍔部21cは固定ブッシュ21の外周より突出しているため、バレル1内に露出する固定ブッシュ21と回転ブッシュ19の嵌合境界部20を覆う構造となる。その結果バレル1の回転中にその内部で撹拌されるワークは、上記嵌合面の境界部20に接触することなく、当該接触による嵌合面の境界部20の損傷や摩耗による隙間の拡大が防止され、この隙間へのワークの挟み込み等も防止される。尚、上記鍔部21cは回転ブッシュ19のバレル側端部に近接又は接触していればよいので、厳密に固定ブッシュ21のバレル側の端部に設置される必要はない。また、鍔部21cの外周断面はその外周にワークが乗らないように軸心側に向って傾斜面を形成している。
図4はカソード電極9とリード線11の構造例を示す拡大断面図で、中心部の導電材である心線24に対し、その基端部側には電源への接続端子用の金具26が固着され、先端側にはハンダ付されたボルト27を介して電極9がねじ込み固定されている。
そして電極9と端子金具26との間の外周にはウレタン樹脂又はシリコン樹脂等からなる一定の弾力性,可撓性を備えた絶縁被覆層28が装着されるとともに、該被覆層28の先端部と電極9の基端部周面には、メッキ液が被覆層28内に浸入するのを防止するために熱収縮樹脂製のシール用チューブ29が装着されている。
前記固定ブッシュ21は上記弾力性を備えた被覆層28の外周に嵌合されるため、嵌合時の摩擦力と回転ブッシュ19の低摩擦性により回転ブッシュ21が回転しても常にリード線11側に固定された状態を保っている。
1 バレル
4 フレーム
7 軸支部
8 中空部
9 電極
11 リード線
12,13 ギヤ
14 固定軸
17 回転軸
19 回転ブッシュ(リード線支持部)
20 境界部
21 固定ブッシュ
21a スリット
21b 突起(係合部)
21c 鍔部
22 リード線支持部
23 係合部
24 心線
28 被膜層

Claims (8)

  1. ワークを収容するバレル(1)の端部と該バレル(1)を支持する支持フレーム(4)との間に中空の軸支部(7)を設けて上記バレル(1)を回転駆動可能に支持し、バレル(1)内の電極(9)に通電するリード線(11)を上記軸支部(7)の中空部内に回転規制状態で挿通し、バレル(1)と共に回転し軸支部(7)のバレル(1)側内部に露出するリード線支持部(22)の内周とリード線(11)の被覆層(28)の外周との間にリード線(11)側に固定される固定ブッシュ(21)を位置決めして嵌合したリード線支持構造において、上記リード線支持部(22)と固定ブッシュ(21)とが接触し合ってバレル(1)内に露出する端面の境界部(20)を覆うリング状の鍔部(21c)を固定ブッシュ(21)の外周に突出させて設けたメッキ用回転バレルのリード線支持構造。
  2. 軸支部(7)がフレーム(4)側に取付けられる固定軸(14)と、該固定軸(14)に回転自在に嵌合され、バレル(1)と共に回転しバレル(1)内の端部の中空部(8)にリード線支持部(22)を設けた回転軸(17)とを備えた請求項1に記載のメッキ用回転バレルのリード線支持構造。
  3. リード線支持部(22)に、回転軸(17)のバレル(1)内の端部の中空部(8)内に位置決め状態で嵌合されると共にリード線(11)の被覆層(28)に固定的に嵌合される固定ブッシュ(21)を設けた請求項2に記載のメッキ用回転バレルのリード線支持構造。
  4. 被覆層(28)を弾力性を備えた材質とし、固定ブッシュ(21)を被覆層(28)の外周に弾力的に且つ密着させて嵌合した請求項3に記載のメッキ用回転バレルのリード線支持構造。
  5. 前記リード線支持部(22)は、回転軸(17)のバレル(1)内の端部の中空部(8)内で回転軸(17)側に嵌合固定される回転ブッシュ(19)と、該回転ブッシュ(19)の内周面側で相対回転可能に嵌合された前記固定ブッシュ(21)とから構成され、前記回転ブッシュ(19)の材質を固定ブッシュ(21)の材質より低摩擦の材質とした請求項3又は4に記載のメッキ用回転バレルのリード線支持構造。
  6. 固定ブッシュ(21)の周面にリード線支持部(22)に対して鍔部(21c)と共に軸方向の移動を規制して固定ブッシュ(21)の位置決めを行う係合部(21b)を設けてなる請求項1〜5のいずれかに記載のメッキ用回転バレルのリード線支持構造。
  7. 係合部(21b)が固定ブッシュ(21)の鍔部(21c)の反対側の端部の外周側に突出してリード線支持部(22)の内部側の端面に係合する突起である請求項6に記載のメッキ用回転バレルのリード線支持構造。
  8. 固定ブッシュ(21)の鍔部(21c)とは反対側の端部である係合部(21b)側の周壁に端部が開放される軸心方向のスリット(21a)を形成し、固定ブッシュ(21)の係合部(21b)側の外径を中心方向に弾力的に縮小可能に構成した請求項6又は7に記載のメッキ用回転バレルのリード線支持構造。
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