以下、添付した図面を参照して、本発明について説明する。なお、以下の実施形態又は実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態又は実施例における構成要素には、当業者が置換可能であって置換容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
(第1の実施形態)
図1は、原料として褐炭を使用する本実施形態に係る褐炭供給装置及び流動層乾燥装置を適用できる一例として、石炭ガス化複合発電設備(以下、IGCCと称する場合もある)の一構成例を示す工程図である。本実施形態に係る乾燥設備1A及び流動層乾燥装置10Aを利用する石炭ガス化複合発電設備100は、空気を酸化剤としてガス化炉で原料として石炭等の固体炭素質燃料をガス化して石炭ガスを生成する空気燃焼方式を採用し、ガス精製装置で精製した後の石炭ガスを燃料ガスとしてガスタービン設備に供給して発電を行っている。すなわち、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備100は、一例として空気燃焼方式(空気吹き)の発電設備を示しているが、酸化剤として酸素濃度の高いガスを用いる酸素吹き方式でもよい。
本実施形態において、図1に示すように、石炭ガス化複合発電設備100は、給炭装置11A、流動層乾燥装置10Aを備えた乾燥設備1A、微粉炭機(ミル)113、石炭ガス化炉114、チャー回収装置115、ガス精製装置116、ガスタービン設備117、蒸気タービン設備118、発電機119、排熱回収ボイラ(HRSG:Heat Recovery Steam Generator)120を有している。
給炭装置11Aは、原炭バンカ121と、石炭供給機122と、クラッシャ123とを有している。原炭バンカ121は、例えば水分含量の多い湿潤燃料である褐炭(原料)を貯留可能であって、所定量の褐炭を石炭供給機122に投下する。石炭供給機122は、原炭バンカ121から投下された褐炭をコンベアなどにより搬送し、クラッシャ123に投下する。このクラッシャ123は、投下された褐炭を細かく破砕して細粒化されることで、粉体状の褐炭とすることができる。この粉体状の褐炭とは、液体状でなく、また未破砕状態などのために数cm以上の大きな固体サイズでないものを示している。また、褐炭は含水した湿潤状態であるために、破砕してある程度の塊となったものも含めて、粉体状と表記する。
乾燥設備1Aは、給炭装置11Aのクラッシャ123で粗粉砕された褐炭を搬送する褐炭供給装置210と、流動層乾燥装置10Aと、流動層乾燥装置10Aから排出される蒸気を褐炭供給装置210に供給する蒸気供給ライン203と、を有している。
流動層乾燥装置10Aは、褐炭供給装置(原料供給装置)210から供給された褐炭に対して過熱蒸気等の乾燥用蒸気を供給することで、褐炭を流動させながら加熱乾燥し、褐炭が含有する水分を除去する。この流動層乾燥装置10Aには、下部から取り出された乾燥済の褐炭(乾燥炭)を冷却する冷却器131が設けられ、乾燥冷却済の乾燥炭が乾燥炭バンカ132に貯留される。また、流動層乾燥装置10Aには、上部から取り出された蒸気から乾燥炭の粒子を分離する乾燥炭サイクロン133と乾燥炭電気集塵機134とが設けられ、蒸気から分離された乾燥炭の粒子が乾燥炭バンカ132に貯留される。なお、乾燥炭電気集塵機134で乾燥炭が分離された蒸気は、パージガス噴射手段を介して給炭管(原料供給管)212へ送られるが、一部蒸気は、流動層乾燥装置10Aの乾燥槽211内に流動化ガスとして戻すことができる。給炭管212及び乾燥槽211のいずれかへ蒸気を戻す場合は蒸気圧縮機135を適宜使用することができる。
微粉炭機113は、流動層乾燥装置10Aにより乾燥された褐炭(乾燥炭)を細かい粒子状に粉砕して微粉炭を製造するものである。すなわち、微粉炭機113は、乾燥炭バンカ132に貯留された乾燥炭が石炭供給機136により投下されると、この乾燥炭を所定粒径以下の微粉炭とする。そして、微粉炭機113で粉砕後の微粉炭は、微粉炭バグフィルタ137a,137bにより搬送用ガスから分離され、微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される。
石炭ガス化炉114は、微粉炭機113で処理された微粉炭が供給されると共に、チャー回収装置115で回収された未反応チャーが供給される。
石炭ガス化炉114は、ガスタービン設備117(圧縮機161)から圧縮空気供給ライン141が接続されており、このガスタービン設備117で圧縮された圧縮空気が供給可能となっている。空気分離装置142は、大気中の空気から窒素と酸素を分離生成するものであり、第1窒素供給ライン143が石炭ガス化炉114に接続され、この第1窒素供給ライン143に微粉炭供給ホッパ138a,138bからの給炭ライン144a,144bが接続されている。また、第2窒素供給ライン145も石炭ガス化炉114に接続され、この第2窒素供給ライン145にチャー回収装置115からのチャー戻しライン146が接続されている。更に、酸素供給ライン147は、圧縮空気供給ライン141に接続されている。この場合、窒素は、石炭やチャーの搬送用ガスとして利用され、酸素は、酸化剤として利用される。
本実施形態における石炭ガス化炉114は、例えば、噴流床形式のガス化炉であって、内部に供給された石炭、チャー、空気(酸素)、またはガス化剤としての水蒸気を燃焼・ガス化すると共に、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(生成ガス、石炭ガス)が発生し、この可燃性ガスをガス化剤としてガス化反応が起こる。なお、石炭ガス化炉114は、微粉炭の混入した異物を除去する異物除去装置148が設けられている。この場合、石炭ガス化炉114は噴流床ガス化炉に限らず、流動床ガス化炉や固定床ガス化炉としてもよい。そして、この石炭ガス化炉114は、チャー回収装置115に向けて可燃性ガスのガス生成ライン149が設けられており、チャーを含む可燃性ガスが排出可能となっている。この場合、ガス生成ライン149にガス冷却器を設けることで、可燃性ガスを所定温度まで冷却してからチャー回収装置115に供給するとよい。
チャー回収装置115は、集塵装置151と供給ホッパ152とを有している。この場合、集塵装置151は、1つまたは複数のバグフィルタやサイクロンにより構成され、石炭ガス化炉114で生成された可燃性ガスに含有するチャーを分離することができる。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン153を通してガス精製装置116に送られる。供給ホッパ152は、集塵装置151で可燃性ガスから分離されたチャーを貯留するものである。なお、集塵装置151と供給ホッパ152との間にビンを配置し、このビンに複数の供給ホッパ152を接続するように構成してもよい。そして、供給ホッパ152からのチャー戻しライン146が第2窒素供給ライン145に接続されている。
ガス精製装置116は、チャー回収装置115によりチャーが分離された可燃性ガスに対して、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物を取り除くことで、ガス精製を行うものである。そして、ガス精製装置116は、可燃性ガスを精製して燃料ガスを製造し、これをガスタービン設備117に供給する。なお、このガス精製装置116では、チャーが分離された可燃性ガス中にはまだ硫黄分(H2S)が含まれているため、アミン吸収液によって除去することで、硫黄分を最終的には石膏として回収し、有効利用する。
ガスタービン設備117は、圧縮機161、燃焼器162、タービン163を有しており、圧縮機161とタービン163は、回転軸164により連結されている。燃焼器162は、圧縮機161から圧縮空気供給ライン165が接続されると共に、ガス精製装置116から燃料ガス供給ライン166が接続され、タービン163に燃焼ガス供給ライン167が接続されている。また、ガスタービン設備117は、圧縮機161から石炭ガス化炉114に延びる圧縮空気供給ライン141が設けられており、圧縮空気供給ライン141に昇圧機168が介設されている。従って、燃焼器162では、圧縮機161から供給された圧縮空気とガス精製装置116から供給された燃料ガスとを混合して燃焼し、タービン163にて、発生した燃焼ガスにより回転軸164を回転することで発電機119を駆動することができる。
蒸気タービン設備118は、ガスタービン設備117における回転軸164に連結されるタービン169を有しており、発電機119は、この回転軸164の基端部に連結されている。排熱回収ボイラ120は、ガスタービン設備117(タービン163)からの排ガスライン170に設けられており、高温の排ガスとの間で熱交換を行うことで、蒸気を生成するものである。そのため、排熱回収ボイラ120は、蒸気タービン設備118のタービン169との間に蒸気供給ライン171が設けられると共に、蒸気回収ライン172が設けられ、蒸気回収ライン172に復水器173が設けられている。従って、蒸気タービン設備118では、排熱回収ボイラ120から供給された蒸気によりタービン169が駆動し、回転軸164を回転することで発電機119を駆動することができる。
そして、排熱回収ボイラ120で熱が回収された排ガスは、ガス浄化装置174により有害物質を除去され、浄化された排ガスは、煙突175から大気へ放出される。
ここで、本実施形態に係る石炭ガス化複合発電設備100の作動について説明する。
石炭ガス化複合発電設備100において、給炭装置11Aにて、原炭(褐炭)が原炭バンカ121に貯留されており、この原炭バンカ121の褐炭が石炭供給機122によりクラッシャ123に投下され、ここで所定の大きさに破砕される。そして、破砕された褐炭は、乾燥設備1Aを構成する流動層乾燥装置10Aにより加熱乾燥された後、冷却器131により冷却され、乾燥炭バンカ132に貯留される。また、流動層乾燥装置10Aの上部から取り出された蒸気は、乾燥炭サイクロン133及び乾燥炭電気集塵機134により乾燥炭の粒子が分離され、蒸気圧縮機135で圧縮されてから流動層乾燥装置10Aに乾燥用蒸気として、更にはパージガス噴射手段を介して給炭管212へパージガスとして戻される。一方、蒸気から分離された乾燥炭の粒子は、乾燥炭バンカ132に貯留される。
乾燥炭バンカ132に貯留される乾燥炭は、石炭供給機136により微粉炭機113に投入され、ここで、細かい粒子状に粉砕されて微粉炭が製造され、微粉炭バグフィルタ137a,137bを介して微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される。この微粉炭供給ホッパ138a,138bに貯留される微粉炭は、空気分離装置142から供給される窒素により第1窒素供給ライン143を通して石炭ガス化炉114に供給される。また、後述するチャー回収装置115で回収されたチャーが、空気分離装置142から供給される窒素により第2窒素供給ライン145を通して石炭ガス化炉114に供給される。更に、後述するガスタービン設備117から抽気された圧縮空気が昇圧機168で昇圧された後、空気分離装置142から供給される酸素と共に圧縮空気供給ライン141を通して石炭ガス化炉114に供給される。
石炭ガス化炉114では、供給された微粉炭及びチャーが圧縮空気(酸素)により燃焼し、微粉炭及びチャーがガス化することで、二酸化炭素を主成分とする可燃性ガス(石炭ガス)を生成することができる。そして、この可燃性ガスは、石炭ガス化炉114からガス生成ライン149を通して排出され、チャー回収装置115に送られる。
このチャー回収装置115にて、可燃性ガスは、まず、集塵装置151に供給され、集塵装置151は、可燃性ガスに含まれるチャーを分離する。そして、チャーが分離された可燃性ガスは、ガス排出ライン153を通してガス精製装置116に送られる。一方、可燃性ガスから分離した微粒チャーは、供給ホッパ152に堆積され、チャー戻しライン146を通して石炭ガス化炉114に戻されてリサイクルされる。
チャー回収装置115によりチャーが分離された可燃性ガスは、ガス精製装置116にて、硫黄化合物や窒素化合物などの不純物が取り除かれてガス精製され、燃料ガスが製造される。そして、ガスタービン設備117では、圧縮機161が圧縮空気を生成して燃焼器162に供給すると、この燃焼器162は、圧縮機161から供給される圧縮空気と、ガス精製装置116から供給される燃料ガスとを混合し、燃焼することで燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスによりタービン163を駆動することで、回転軸164を介して発電機119を駆動し、発電を行うことができる。
そして、ガスタービン設備117におけるタービン163から排出された排気ガスは、排熱回収ボイラ120にて、熱交換を行うことで蒸気を生成し、この生成した蒸気を蒸気タービン設備118に供給する。蒸気タービン設備118では、排熱回収ボイラ120から供給された蒸気によりタービン169を駆動することで、回転軸164を介して発電機119を駆動し、発電を行うことができる。
その後、ガス浄化装置174では、排熱回収ボイラ120から排出された排気ガスの有害物質が除去され、浄化された排ガスが煙突175から大気へ放出される。
以下、上述した石炭ガス化複合発電設備100における乾燥設備1Aを構成する流動層乾燥装置10Aについて詳細に説明する。図2は、本実施形態に係る流動層乾燥装置10Aを中心に乾燥設備1Aを模式的に表した概略構成図である。流動層乾燥装置10Aは、水分含量が高い石炭である褐炭を、流動化ガスにより流動させながら、加熱乾燥させるものである。
図2に示すように、本実施例に係る乾燥設備1Aは、クラッシャ123で粉砕された水分含有量が高い粉体状の褐炭101Aを供給する褐炭供給装置210と、褐炭供給装置210から供給された褐炭を乾燥する乾燥槽211を形成する流動層乾燥装置10Aと、流動層乾燥装置10A内に設けられ、管状の内部に過熱蒸気(例えば150℃の蒸気)Aを供給して褐炭101A中の水分を除去する伝熱部材(加熱手段)103と、前記伝熱部材103によって褐炭101Aが乾燥される際に発生する発生蒸気104を流動層乾燥装置10Aの外部に排出する発生蒸気ライン129と、前記発生蒸気ライン129に介装され、発生蒸気104中の粉塵を除去するサイクロン133及び集塵装置134と、前記流動層乾燥装置10Aから抜き出された乾燥炭101Bを冷却する冷却器131と、を備えるものである。
乾燥設備1Aにおいて、褐炭101は、供給ホッパによりクラッシャ123に供給され、粉砕され、粉体状の褐炭101Aとされる。この粉体状の褐炭101Aは、流動層乾燥装置10Aの投入口から内部に投入され、流動層乾燥装置10A内に別に導入される流動化ガス(本実施形態においては流動化蒸気)107により流動されて流動層111を形成する。流動層乾燥装置10Aは、乾燥槽211の流動層111の形成される空間の下面に整流板112が配置されている。整流板112は、乾燥槽211に供給される流動化蒸気107を整流する。
伝熱部材103は、この流動層111内に配置されている。伝熱部材103内には、例えば150℃の乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aが供給され、その高温の乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aの潜熱を利用して褐炭101Aを間接的に乾燥させるようにしている。乾燥に利用された乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aは、例えば150℃の凝縮水Bとして流動層乾燥装置10Aの外部に排出されている。
すなわち、加熱手段である伝熱部材103内面では、乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aが凝縮して液体(水分)になるので、この際に放熱される凝縮潜熱を、褐炭101Aの乾燥の加熱に有効利用している。なお、高温の乾燥用蒸気(過熱蒸気)A以外としては、相変化を伴う熱媒であれば何れでも良く、例えばフロンやペンタンやアンモニア等を例示することができる。また、伝熱部材103として熱媒体を用いる以外に電気ヒータを設置してもよい。
伝熱部材103によって褐炭101Aが乾燥される際に発生する発生蒸気104は、流動層乾燥装置10A内において、流動層111の上部空間に形成されるフリーボード部Fから発生蒸気ライン129により流動層乾燥装置10Aの外部に排出される。この発生蒸気104は、褐炭101Aが乾燥し微粉化した乾燥炭が含まれているので、例えばサイクロン133及び集塵装置134により集塵して乾燥炭105を分離する。この乾燥炭105は、流動層乾燥装置10Aから抜き出された乾燥炭供給ラインに合流され、乾燥炭101Bと混合され、冷却器131で冷却され、その後石炭ガス化炉114に供給される。
集塵装置134により集塵された後の発生蒸気104は、例えば105〜110℃の蒸気であり、蒸気供給ライン106に介装された圧縮機135により適宜圧縮された後、分岐ライン108に介装された例えば循環ファン(不図示)により流動層乾燥装置10A内に流動化蒸気107として送られる。流動化蒸気107は、整流板112を介して乾燥漕211内に供給されて、乾燥漕211内の褐炭101Aを流動化させ流動層111を形成する。なお、流動層111を流動化させる流動化ガスとしては、発生蒸気104の一部を再利用しているが、これに限定されず、例えば窒素、その他不活性ガスもしくはこれらの混合ガスまたはこれらと蒸気との混合ガス、あるいは窒素、二酸化炭素等を含む低酸素濃度の空気を用いてもよい。また、圧縮機135により適宜圧縮された蒸気の一部である蒸気107aは、分岐ライン108と分かれた蒸気供給ライン203を通過し、褐炭供給装置210へ送られる。つまり、圧縮機135により適宜圧縮された蒸気は、流動層乾燥装置10Aと褐炭供給装置210の両方に供給される。
なお、上述した流動層乾燥装置10Aは、伝熱部材103として、本実施例はチューブ形状の伝熱部材を例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば板状の伝熱部材を用いるようにしてもよい。また、乾燥用蒸気(過熱蒸気)Aを伝熱部材103に供給して褐炭101Aを間接的に乾燥させる構成を説明したが、これに限らず、褐炭101Aの流動層111を流動させる流動化蒸気107により褐炭101Aを直接乾燥させる構成、さらに加熱用の流動化ガスを供給して乾燥させる構成としてもよい。
一方、乾燥槽211から排出された乾燥炭101Bは、集塵装置134から回収された乾燥炭105と合流した後、冷却器131で冷却され、乾燥炭バンカ132、石炭供給機136、微粉炭機113、バグフィルタ137(137a、137b)、及びホッパ138(138a、138b)を介して石炭ガス化炉114へ送られる。
次に、図2から図4を用いて、本発明の原料供給装置を褐炭供給装置210に適用して説明する。図3は、褐炭供給装置の一構成例を示す模式図である。図4は、図3に示す給炭管の一部を拡大した部分拡大図である。褐炭供給装置210は、クラッシャ123から供給された粉体状の褐炭101Aを流動層乾燥装置10Aの乾燥槽211に供給する。褐炭供給装置210は、給炭管212と、給炭管212内部にパージガスを噴射するパージガス噴射手段213と、を備える。
給炭管(原料供給管)212は、中空の管であり、一方の端部がクラッシャ123に接続され、他方の端部が乾燥槽211と接続されている。給炭管212は、管の中空部分で一方の端部から他方の端部に褐炭を案内することで、クラッシャ123から供給された粉体状の褐炭を乾燥槽211に供給する。ここで、給炭管212は、クラッシャ123側の一部が略鉛直方向に伸びており、乾燥槽211側の一部が水平方向及び鉛直方向に対して傾斜している。また、略鉛直方向に伸びた部分(鉛直部)と水平方向に対して傾斜している部分(傾斜部218)との間は屈曲した形状の部分(折曲部)で接続されている。したがって、クラッシャ123から供給された褐炭は、鉛直方向に落下した後、屈曲している部分または傾斜している部分の鉛直方向下側の領域等に接触し、傾斜している部分に沿って移動することで、乾燥槽211まで移動する。給炭管212は、内周面を粉体状の褐炭101Aが付着しにくい材料や表面性状で形成することが好ましい。また、給炭管212は、内周面に離型剤の塗布等、褐炭が付着しにくくなる処理を施すことがさらに好ましい。これにより、給炭管212に褐炭が付着しにくくなる。
次に、パージガス噴射手段213は、給炭管212の内部にパージガスを噴射するものであり、チャンバ214と、パージガス供給部216と、貫通口224と、を有する。なお、貫通口224は、給炭管212に形成されているものであり、パージガス噴射手段213に含めなくてもよい。
チャンバ(ジャケット)214は、給炭管212の外周に配置されている。本実施形態のチャンバ214は、給炭管212の傾斜部218に配置されている。ここで、チャンバ214は、図4に示すように、給炭管212の延在方向、給炭管の管路の中心軸に直交する断面において、給炭管212の外周の全周を覆っている。これにより、チャンバ214と給炭管212とは、二重管形状となる。また、チャンバ214は、給炭管212よりも径が大きい筒形状であり、チャンバ214の内周面と給炭管212の外周面が向かい合う面の間には、空間230が形成される。
パージガス供給部216は、チャンバ214と給炭管212との間に形成された空間230にパージガスとなる蒸気107aを供給する機構であり、ジョイント部222を有する。ジョイント部222は、空間230と繋がっており、蒸気供給ライン203と接続されている。蒸気供給ライン203は、流動層乾燥装置10Aから排出される蒸気が流れている配管である。また、ジョイント部222は、チャンバ214の内周面と給炭管212の外周面とが向かい合っている面の間に形成された空間230の延在方向の一方の端部(クラッシャ123側の端部)に設けられており、チャンバ214の端部と給炭管212との間の隙間をシールしている。つまり、ジョイント部222は、ジョイント部222が設けられている端部において、蒸気供給ライン203と接続している部分は、実質的に気体が流通しないように密閉している。
貫通口224は、給炭管212の傾斜部218に形成された穴であり、空間230から給炭管212の外周面から内部に向けて貫通している。貫通口224は、給炭管212のチャンバ214に覆われた領域、つまり、空間230に給炭管212の外周面が露出している領域のみに形成されている。本実施形態では、わかりやすく示すため貫通口224を大きく図示しているが、基本的に貫通口224は、給炭管212を移動する褐炭よりも径が小さい穴である。本実施形態においては、貫通口224は、給炭管212の外周面が空間230に露出している領域の全域に分散して形成されている。
パージガス噴射手段213は、パージガス供給部216からチャンバ214と給炭管212との間の空間230に蒸気107aを供給する。パージガス噴射手段213は、空間230に蒸気107aを供給し続けることまたは圧力の高い蒸気107aを供給することで、貫通口224を通過させて、空間230蒸気を給炭管212の内部に噴射させる。
褐炭供給装置210は、給炭管212の外周面にチャンバ214を配置して空間230を形成し、貫通口224を設けて、貫通口224からパージガスを給炭管212内に噴射させる。これにより、給炭管212内に褐炭が付着することを抑制し、給炭管212内の閉塞が生じることを抑制することができる。
また、褐炭供給装置210は、貫通口224からパージガスを噴射させることで、つまり、給炭管212に設けた穴からパージガスを給炭管212内へと噴射させることで、パージガスの供給部分が給炭管212内を通過する褐炭の流れを積極的に支援することができる。
また、褐炭供給装置210は、パージガス噴射手段213が蒸気供給ライン203から供給される蒸気107aをパージガスとして供給することで、つまりパージガスとして蒸気107aを用いることで、褐炭の乾燥に用いる蒸気107aの一部をパージガスとして用いることができる。これにより、蒸気107aで褐炭を乾燥させることができ、給炭管212に褐炭が付着しにくい状態とすることができ、給炭管212に接触している褐炭が給炭管212から剥がれやすくすることができる。また、給炭管212に供給されたパージガスが乾燥槽211に流入しても、もともと流動層乾燥装置10Aに供給して、褐炭の乾燥に用いる蒸気であるため、流動層乾燥装置10Aに悪影響を与えることがない。また、褐炭供給装置210に供給された蒸気107aが流動層乾燥装置10Aから排出される蒸気とすることで、流動層乾燥装置10Aに供給される蒸気と同様に蒸気を循環させることができる。これにより、蒸気の熱を効率よく利用することができる。
ここで、褐炭供給装置210は、パージガスを給炭管212の内部に噴射し続けてもよいが、弁等を設けて、パージガスの噴射のタイミングや、噴射の時間間隔を制御するようにしてもよい。この場合は、空間230に供給するパージガスを制御することで、貫通口224から噴射するパージガスを調整することができる。また、パージガスの噴射タイミングは、連続で噴射させても間歇的に噴射させてもよい。また、噴射量、つまり噴射圧力を調整してもよい。
ここで、給炭管212の傾斜部218は、傾斜角(傾斜部の鉛直方向下側の面と水平面(水平方向)とのなす角)を褐炭の安息角以上とすることが好ましい。給炭管212の傾斜角を褐炭の安息角以上とすることで、褐炭を給炭管内に付着しにくくすることができる。なお、給炭管212の傾斜角を褐炭の安息角以上とすることが好ましいが、本実施形態の褐炭供給装置210は、貫通口224からパージガスを噴射することで、褐炭の付着を抑制できるため、給炭管212の傾斜角を褐炭の安息角以下としても好適に用いることができる。
なお、給炭管212の形状は特に限定されず、種々の形状とすることができる。例えば、傾斜部を備えず、鉛直部のみで構成された形状としてもよい。また、傾斜角が異なる傾斜部を複数連結した形状としてもよい。なお、給炭管212は、一方の端部から他方の端部に向かった場合、中心線が徐々に低くなる形状とすることが好ましい。これにより、給炭管212内で褐炭が閉塞することを抑制することができる。
また、チャンバ214は、給炭管212の褐炭の接触する領域の少なくとも一部に対面して設ければよく、配置位置、形状も種々の形状とすることができる。例えば、本実施形態の褐炭供給装置210は、管路の延在方向に直交する断面において、給炭管212の外周面の全域を覆う形状としたが、外周面の一部を覆う形状としてもよい。この場合、給炭管212の外周面の鉛直方向の最も下側の位置を含む領域を覆うことが好ましい。
また、本実施形態における褐炭供給装置210は、チャンバ214を傾斜部218のみに設けたがこれに限定されない。図5Aは、褐炭供給装置の他の構成例を模式的に示す断面図である。図5Bは、図5AのA−A線断面図である。図5A及び図5Bに示す褐炭供給装置301は、給炭管312とパージガス噴射手段313と、を有する。パージガス噴射手段313は、チャンバ314とパージガス供給部316と、貫通口と、を有する。図5A及び図5Bでは、貫通口の図示を省略している。褐炭供給装置301は、パージガス噴射手段313のチャンバ314の構造以外は、基本的に褐炭供給装置210と同様である。以下、褐炭供給装置301に特有の点を重点的に説明する。ここで、パージガス供給部316は、ジョイント部324がチャンバ314に接続されている。ジョイント部324は、蒸気供給ラインと接続されている。
給炭管312は、管路の中心線が略鉛直方向である鉛直部340(上流部)と、管路の中心線(もしくは給炭管312の管路の鉛直方向下側の面)が水平面に対して傾斜する傾斜部344と、鉛直部340と傾斜部344を連結する折曲部342とを有する。また、傾斜部344は、水平方向に対して、角度θ(傾斜角度)傾斜している。角度θは、90°未満の角度である。ここで、本実施形態の給炭管312における鉛直部340と傾斜部344は直管形状であり、この中心軸に直交する面によって、折曲部342との境界端部として規定する。従って、給炭管312の折曲部342は、鉛直部340側の褐炭の流れ方向上流側の他方の端部S1と傾斜部344側の褐炭の流れ方向下流側の一方の端部S2とで囲まれた部分となる。一方、端部S1は、折れ曲っていて短い側の鉛直部340と傾斜部344と交点Pを通る。また、端部S2は、折れ曲っていて短い側の鉛直部340と傾斜部344と交点Pを通る。さらに、交点Pと、鉛直部340の中心軸と傾斜部344の中心軸の交点を通る延長線上に、折れ曲っていて長い側の鉛直部340と傾斜部344との交点P1を規定する。言い換えると、鉛直部340の中心軸と傾斜部344の中心軸との交点を含み、折曲部342の管路の中心軸に直交する方向の断面で、折曲部342の管路の長い側の外周面となる位置が交点P1となる。ここで、端部S1と端部S2とのなす角は、αとなる。給炭管312に供給される褐炭は、鉛直部340の褐炭の流れ方向上流側の一方の端部から褐炭が供給され、傾斜部344の褐炭の流れ方向下流側の他方の端部から排出する。つまり、給炭管312に供給された褐炭は、鉛直部340、折曲部342、傾斜部344の順に通過し、乾燥漕211内に供給される。
チャンバ314は、図5Bに示すように給炭管312の管路の中心軸に直交する断面において、傾斜部344の外周のうち、給炭管344の中心を通り傾斜角度θと平行な面より鉛直方向下側の領域350に配置されている。また、チャンバ314は、傾斜部344と対面する領域と、折曲部342と対面する領域の両方に配置されている。
給炭管312の折曲部342と対面する領域でのチャンバ314を配置する範囲は、折れ曲っていて長い側の鉛直部340と傾斜部344との交点であるP1を通り、端部S1と平行になる面から鉛直方向上側に距離Hとなる範囲まで配置されている。また、傾斜部344の管路や折曲部342の管路や鉛直部340の管路が真円とは限らず、各管の中心軸が特定できない場合もある。別の視点からは、傾斜部344の折れ曲っていて長い側の変曲点をP1に規定してもよい。すなわち、折曲部342の管路の折れ曲っていて長い側の管表面の接線が傾斜部344の管路の長手方向となす角度と、接線が鉛直部340の管路の長手方向となす角度が同一になる点をP1とすることができる。チャンバ314は、給炭管312を覆っている領域のP1から鉛直方向上側の端部までの距離をHとしてもよい。
ここで、チャンバ314は、管路内面の直径をDとすると、0.3≦H/D≦0.5とすることが好ましい。チャンバ314は、H/Dを0.3以上とすることで、給炭管312の内部にパージガスを噴射が必要性な鉛直部340と折曲部342の配管の内部での褐炭の付着を好適に抑制することができる。またチャンバ314は、H/Dを0.5以下とすることで、給炭管312の内部にパージガスを噴射する必要性の少ない鉛直部340の管路を覆う領域が多くなることを抑制でき、効果の高い範囲に配置することができる。効果的にパージガスを供給することができる。チャンバ314を0.3≦H/D≦0.5と範囲に設けることで、褐炭の付着を好適に抑制することができる。
折曲部342と対面する領域のチャンバ314は、折れ曲っていて長い側の鉛直部340の傾斜部344との交点P1を通り端部S1と平行な面から鉛直方向上側に距離Hとなる範囲から、交点P1を通り端部S2までの間の領域Lの全域に設けることが好ましい。なお、チャンバ314は、少なくとも折曲部342の管路の中心軸に直交する方向の断面おける鉛直方向下側半分の外周面領域の全域を覆って配置されていることが好ましい。
チャンバ314を上記範囲に設けることで、褐炭の付着を好適に抑制することができる。なお、チャンバ314が設けられている領域の折曲部342には、貫通口を分散して配置することが好ましい。これにより、褐炭の付着を的確に抑制することができる。
図6は、褐炭供給装置の他の構成例を模式的に示す断面図である。図6に示す褐炭供給装置301aは、チャンバ314aを複数に分割した点を除いて他の構成は、褐炭供給装置301と同様である。図6に示す褐炭供給装置301は、給炭管312とパージガス噴射手段313aと、を有する。パージガス噴射手段313aは、チャンバ314aとパージガス供給部316aと、貫通口と、を有する。図6では、貫通口の図示を省略している。図6に示すように、チャンバ314aは、分割チャンバ352、354、356を有する。分割チャンバ352は、折曲部342に配置され、分割チャンバ354、356は、傾斜部344に配置されている。分割チャンバ356は、分割チャンバ354よりも褐炭の流れ方向の下流側に配置されている。また、分割チャンバ352、354、356は、それぞれ、ジョイント部324a、324b、324cと接続され、ジョイント部324a、324b、324cからパージガスが供給される。
褐炭供給装置301aは、チャンバ314aを複数の分割チャンバ352、354、356に分割することでも同様に褐炭の付着を抑制することができる。また、チャンバ314aは、複数に分割することで、それぞれの領域でのパージガスの供給量、圧力を調整することができる。また、分割チャンバ352、354、356は、給炭管312の中心軸方向において、互いに接する位置に配置することが好ましい。これにより、給炭管312の中心軸方向においてチャンバが配置されていない領域に褐炭が付着、蓄積することを抑制できる。
次に、図7Aから図9を用いて、貫通口について説明する。ここで貫通口は、少なくとも1つ設ければよいが、複数設けることが好ましく、さらに分散して設けることが好ましい。図7Aは、貫通口が形成された給炭管の一例を示す模式図である。図7Bは、図7Aに示すB−B線断面図であり、給炭管の中心軸に直交する方向の断面である。図8は、貫通口が形成された給炭管の一例を示す断面図である。図9は、貫通口の構成を説明するための説明図である。
図7A及び図7Bに示す給炭管412は、複数の貫通口424が外周面の周方向に等間隔に配置されている。また、給炭管412は、複数の貫通口424が中心軸方向にも等間隔で配置されている。このように、複数の貫通口424を等間隔で配置することで、給炭管412の褐炭の通過する位置に配慮することなく、給炭管412内の一部に褐炭が蓄積することを抑制できる。給炭管412は、周囲をチャンバ414で覆われている。
また、図7A及び図7Bに示す給炭管412は、複数の貫通口424を等間隔で配置したがこれに限定されない。給炭管412は、位置、領域によって貫通口424の配置間隔、密度を変化させても良い。例えば、給炭管412は、褐炭が通過する位置、特に褐炭が蓄積し易い個所、または、特に褐炭が蓄積する懸念がある個所における、貫通口424の配置間隔を狭くしたり、貫通口424の密度を高くしたりしてもよい。また、給炭管412は、中心軸方向おいて、折曲部など特に褐炭が蓄積し易い個所には、貫通口424をさらに密に、つまり貫通口424の配置間隔を狭くしたり、貫通口424の密度を高くしたりして配置してもよい。給炭管412は、外周面の周方向においても、鉛直方向下側など特に褐炭が蓄積し易い個所には、貫通口424をさらに密に、つまり貫通口424の配置間隔を狭くしたり、貫通口424の密度を高くしたりして配置してもよい。逆に、給炭管412は、外周面の周方向において、鉛直方向上側の半分の周領域など褐炭が蓄積し難い個所がある場合には、当該箇所における貫通口424の間隔を広くしたり密度を粗にしたりしてもよい。また、給炭管412は、たとえば、給炭管412の配置により褐炭の通過する位置や、褐炭が蓄積し難い個所や、褐炭が蓄積する懸念が無い個所が予め判明している場合、当該個所には貫通口424を設けなくてもよい。このように貫通口424の配置は、適宜選択することができる。
図8に示す給炭管412aは、複数の貫通口424aが外周面の周方向に等間隔に配置されている。給炭管412aは、周囲をチャンバ414で覆われている。また、貫通口424aは、貫通口424aの中心軸(パージガスの噴射方向)が、給炭管412aの中心軸から外周面へ向かう放射方向に対して所定角度傾斜している。言い換えると、給炭管412a周囲の接線に対して所定角度傾斜している。また、給炭管412aの周方向に配置された複数の貫通口424aは、給炭管412aの中心軸から外周面へ向かう放射方向に対して同じ方向に傾斜している。このように、複数の貫通口424aを給炭管412aの中心軸から外周面へ向かう放射方向に対して同じ方向に傾斜させることで、給炭管412aの内部に噴射したパージガスの流れで、給炭管412aの内部に旋回流を形成することができる。これにより、給炭管412a流通する褐炭に旋回力を付加させるので、褐炭が付着することをより確実に抑制することができる。
また、貫通口の断面形状(給炭管の内周面における貫通口の形状)は、特に限定されず、長円形、円、三角以上の多角形、スリット等種々の形状とすることができる。
次に、図9は、給炭管412bの長手方向に平行で中心軸を通る断面における貫通口の傾斜角(給炭管412bの中心軸に向かう管壁に垂直な方向に対するパージガスの流れ方向側の角度)を種々とした貫通口を示している。図9は、鉛直方向下側の給炭管412bの管壁の断面であるが、給炭管412bの周方向のいずれの位置の管壁の断面でもよく、特定するものではない。貫通口424bは、給炭管412bの中心軸に向かう管壁に垂直な方向に対して貫通口424bの中心軸(パージガスの噴射方向)が平行となるように形成されている。これにより、パージガスは、矢印D1に示すように給炭管412bの中心軸に向かう管壁に垂直な方向に噴射される。貫通口424cは、給炭管412bの中心軸に向かう管壁に垂直な方向に対して、褐炭の流れ方向の下流側に向かって傾斜している。これにより、パージガスは、矢印D2に示すように褐炭の流れ方向の下流側に向かって噴射される。貫通口424dは、給炭管412bの中心軸に向かう管壁に垂直な方向に対して、褐炭の流れ方向の上流側に向かって傾斜している。これにより、パージガスは、矢印D3に示すように褐炭の流れ方向の上流側に向かって噴射される。
褐炭供給装置は、給炭管412bの長手方向に平行で中心軸を通る断面における貫通口の傾斜角を種々の組み合わせとすることができる。また、目的に応じて、貫通口の組み合わせを調整することで、好適な効果を得ることができる。ここで、方向D1にパージガスを供給する貫通口424bは、効果的に給炭管内の褐炭の乾燥を促進でき、方向D2にパージガスを供給する貫通口424cは、給炭管内における褐炭の搬送性を向上させることができ、方向D3にパージガスを供給する貫通口424dは、搬送方向と逆向きに褐炭に衝突することによって管内部での褐炭の凝集、付着による閉塞防止効果をもたらす。
また、例えば複数の貫通口424bから424dの内、方向D1にパージガスを供給する貫通口424bの占める割合を100%とすることで、乾燥促進効果をより大きくすることができる。また、方向D2にパージガスを供給する貫通口424cの占める割合を100%とすることで、搬送性向上効果をより大きくすることができる。また、方向D1にパージガスを供給する貫通口424bの占める割合を20%以上30%以下、方向D2にパージガスを供給する貫通口424cの占める割合を80%以上70%以下とすることで、乾燥促進効果と搬送性向上効果との良好なバランスが得られる。更には方向D1にパージガスを供給する貫通口424bの占める割合を15%以上30%以下、方向D2にパージガスを供給する貫通口424cの占める割合を80%以上60%以下、方向D3にパージガスを供給する貫通口424dの占める割合を5%以上10%以下とすることで、乾燥促進、搬送性向上の二つの効果に加え、閉塞防止効果が得られる。
図10は、他の実施形態に係る褐炭供給装置の一構成例を示す模式図である。図10に示す褐炭供給装置501は、回転機構518を備えている以外は、基本的に褐炭供給装置210と同様である。褐炭供給装置501は、給炭管512とパージガス供給装置513と、回転機構518と、を有する。給炭管512は、パージガス供給装置513のチャンバ514と対面する領域である管路512aを有する。また、管路512aは、一方の端部がジョイント部540に接続されており、他方の端部が回転機構518のギア553に接続されている。管路512aは、給炭管512の管路512a以外の管に対して回転可能な状態で支持されている。パージガス供給装置513は、チャンバ514とパージガス供給部516と、貫通口(不図示)と、を有する。ジョイント部540は、パージガス供給部516の一部であり、かつ、管路512aを回転自在な状態で支持しながら、パージガスを漏れないようシールするロータリージョイントである。
回転機構518は、モータ550とギア552、553とベルト554と、を有する。また、ジョイント部540を回転機構518の一部としてもよい。モータ550は、回転軸にギア552が連結されている。また、ギア553は、少なくとも管路512aとともに回転させる。なお、管路512aとともにチャンバ514を回転させてもよい。ギア552とギア553には、ベルト554がかけられている。これにより、モータ550を回転させるとギア552が回転し、この回転力がベルト554を介してギア553を回転させる。これにより、ギア553が連結されている管路512aが回転する。
このように、給炭管512の管路512aを回転機構518で回転させることによって給炭管512の内面にて褐炭が接触する領域を変化させることができる。これにより、褐炭をより付着しにくくすることができる。回転機構518は、少なくとも給炭管512の管路512aを回転させればよい。また、図10は、給炭管512の管路512aは上下方向に配置したものを示しているが、鉛直方向に対して傾斜していてもよく、また水平でもよく、特定するものではない。
なお、上記実施形態では、いずれもパージガスとして流動層乾燥装置10Aを循環する蒸気を用いたが、これに限定されない。流動層乾燥装置10Aが蒸気以外の気体で褐炭を乾燥させる場合、当該気体(例えば窒素)を用いてもよい。褐炭供給装置は、流動層乾燥装置10Aで乾燥、流動化に用いられる気体を用いることで上述したように熱効率の向上等の効果を得ることができる。また、褐炭供給装置は、パージガスとして流動層乾燥装置10Aを循環する気体とは別の気体を用いるようにしてもよい。例えば、蒸気、窒素ガス、その他の不活性ガスまたはこれらの混合ガスを使用することができる。なお、パージガスは、常温よりも加熱された気体、具体的には、蒸気と同様に100℃以上に加熱された気体を用いることが好ましい。
また、上記実施形態では、湿潤燃料として褐炭を適用したが、水分含量の高いものであれば、亜瀝青炭等を含む低品位炭や、スラッジ等の泥炭を適用してもよく、また、高品位炭であっても適用可能である。また、湿潤燃料として、褐炭等の石炭に限らず、再生可能な生物由来の有機性資源として使用されるバイオマスであってもよく、例えば、間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ及びこれらを原料としたリサイクル燃料(ペレットやチップ)などを使用することも可能である。また、原料は、湿潤燃料に限るものではなく、粉体状の種々の物質を用いることができる。