JP6130544B1 - 複合構造体の製造方法及び離型剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリウレタンの表面に良好に光触媒を分散させることができる技術を提案する。【解決手段】 光触媒を含有する複合構造体の製造方法であって、樹脂形成用の型の表面に、離型剤を含む離型剤層を形成する離型剤層形成工程と、離型剤層上に、光触媒粒子を含有する接合剤を含む接合剤層を形成する接合剤層形成工程と、接合剤層上に、ウレタン樹脂塗料を含む塗料層を形成する塗料層形成工程と、ウレタン原料を型の内部に投入する投入工程と、を備える。上記接合剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びシロキサン を含む群から選択される少なくともいずれか1種を含み、上記離型剤は、石油系溶剤、ワックス系離型剤、シリコン系離型剤、並びに、灯油及び軽油の何れか一方を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒を含有する複合構造体の製造方法に関する。
光触媒を様々な材料に含有させる研究が行われている。例えば特許文献1には、光触媒を含むポリウレタン含有遷移構造物を用いた水着が提案されている。
特開2003−183912号公報
ポリウレタンの表面に光触媒を分散させたポリウレタン組成物を生成するにあたって、ポリウレタン成形品に光触媒を塗布する後塗装工程が考えられる。しかしながらこの方法ではウレタン成形品表面の光触媒層はウレタンとの密着性が低くなり、剥がれ等の問題が生じやすかった。また、光触媒の分散性が低くなってしまう問題も生じやすかった。また、金型に光触媒を塗布する方法においても、金型に光触媒が残りやすいという問題が生じやすかった。
本発明の目的は、ポリウレタンの表面に良好に光触媒を分散させ、安定定着させることの出来る技術を提案することである。
本開示の一態様は、光触媒を含有する複合構造体の製造方法であって、樹脂形成用の型の表面に、離型剤を含む離型剤層を形成する離型剤層形成工程と、前記離型剤層形成工程にて形成された前記離型剤層上に、光触媒粒子を含有する接合剤を含む接合剤層を形成する接合剤層形成工程と、前記接合剤層形成工程にて形成された前記接合剤層上に、ウレタン樹脂塗料を含む塗料層を形成する塗料層形成工程と、ウレタン原料を、前記離型剤層形成工程から前記塗料層形成工程までの工程が行われた前記型の内部に投入する投入工程と、を備え、前記接合剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びシロキサンを含む群から選択される少なくともいずれか1種を含み、前記離型剤は、石油系溶剤、ワックス系離型剤、シリコン系離型剤、並びに、灯油及び軽油のうちの少なくとも何れか一方を含む、複合構造体の製造方法である。
このような製造方法であれば、光触媒の露出度が高く、分散性が良く、また光触媒が脱落しにくい複合構造体を製造することができる。
なお、上述した複合構造体の製造方法において、前記接合剤層形成工程は、前記離型剤層に対してスプレーガンにより前記接合剤を塗布することにより前記接合剤層を形成する工程であってもよいし、前記塗料層形成工程は、前記接合剤層に対してスプレーガンにより前記ウレタン塗料を塗布することにより前記塗料層を形成する工程であってもよい。
スプレーガンを用いることで、容易かつ適切に離型剤層及び塗料層を形成することができる。
また、上述した複合構造体の製造方法においては、離型剤全体を100重量%としたときに、前記石油系溶剤は50重量%以上90重量%以下であり、前記ワックス系離型剤は10重量%以上40重量%以下であり、前記シリコン系離型剤は1重量%以上20重量%以下であり、前記灯油は、0.5重量%以上10重量%以下であるように構成してもよい。
また、上述した複合構造体の製造方法において前記複合構造体における光触媒粒子は、粒子径が0.5μm〜10μmの範囲である凝集体を形成していてもよい。
本開示の他の態様は、光触媒を含有するポリウレタン組成物を形成する金型の表面に塗布される離型剤であって、前記離型剤が、石油系溶剤、ワックス系離型剤、シリコン系離型剤、及び灯油を含む、離型剤である。
このように構成された離型剤であれば、光触媒を含有するポリウレタン組成物を製造するにあたって、ポリウレタン組成物の金型からの取り出しを良好に実現することができる。
金型に離型剤層を形成する工程を説明する図である。 接合剤層を形成する工程を説明する図である。 塗料層を形成する工程を説明する図である。 金型への芯材の配置を説明する図である。 ウレタン原料を注入する工程を説明する図である。 キュアー工程を説明する図である。 金型から複合構造体を取り出す工程を説明する図である。 金型から取り出した状態の複合構造体を示す模式的な断面図である。 離型剤を除去した複合構造体を示す模式的な断面図である。
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお以下の実施形態は本発明の一形態に過ぎず、本発明は以下の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
[1.複合構造体の製造に用いる材料]
本実施形態の複合構造体は、光触媒と、ポリウレタン樹脂と、を含む構造体である。複合構造体の製造には、少なくとも、離型剤、接合剤、光触媒、ウレタン樹脂塗料、ウレタン原料が用いられる。以下、これらについて詳細に説明する。
(1.1)離型剤
離型剤は、(i)石油系溶剤、(ii)ワックス系離型剤、(iii)シリコン系離型剤、及び、(iv)灯油及び軽油の少なくとも何れか一方、を含む。
(i)石油系溶剤としては、例えば、消防法の危険物第四類第1石油類に該当する石油系溶剤を用いることができる。
具体的には、JX日鉱日石エネルギー株式会社製のカクタスソルベントRSN、三協化学株式会社PLソルベント(いずれも商品名)などを用いることができる。
また、JIS K 2201に記載される石油系溶剤を用いることができるが、その場合には、特に、4号及び5号に該当するソルベントが適している。
(ii)ワックス系離型剤としては、特に限定されないが、例えば、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油ワックス等の植物系ワックス、みつろう、鯨ろう等の動物系ワックス、モンタン系ワックス等の鉱物系ワックス、パラフィン系ワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス等のポリオレフィン系ワックス、酸化型ポリエチレンワックスおよび酸化型ポリプロピレンワックス等の酸化型ポリオレフィン系ワックス、高級脂肪酸系ワックス、高級脂肪酸エステル系ワックス、ひまし油、植物油などを用いることができる。これらのワックスは単独で用いてもよく、または二種以上組合せて用いてもよい。
具体的には、中京油脂株式会社製 M−933(商品名)やBASF INOAC ポリウレタン株式会社製N-748(商品名)などを用いることができる。
(iii)シリコン系離型剤は、特にその種類を限定されないが、市販されるシリコン形離型剤や、金型を用いた成型加工にて使用可能なシリコン系離型剤であればよい。
具体的には、例えば、中京油脂株式会社製 A−630、M-725(いずれも商品名)などを用いることができる。
(iv)灯油は、例えば、JIS K2203にて規定される1号灯油を用いることができる。もちろん2号灯油であってもよい。なお、ケロシンを主成分とする(例えば90質量%以上含む)材料であってもよい。
また軽油は、例えばJIS K2204にて規定される軽油を用いることができる。
なお、灯油と軽油の両方を用いてもよいし、いずれか一方のみを用いてもよい。
これら(i)〜(iv)は、以下のように配合することが望ましい。離型剤全体を100重量%としたときに、(i)は、50〜90重量%とすることができる。望ましくは60重量%以上、さらに望ましくは65重量%以上であり、また、望ましくは80重量%以下、さらに望ましくは75重量%以下である。
また上記(ii)は、10〜40重量%とすることができる。望ましくは15重量%以上、さらに望ましくは20重量%以上である。また、望ましくは30重量%以下、さらに望ましくは25重量%以下である。
また上記(iii)は、1〜20重量%とすることができる。望ましくは2重量%以上、さらに望ましくは4重量%以上である。また、望ましくは10重量%以下、さらに望ましくは7重量%以下である。
また上記(iv)は、0.5〜10重量%とすることができる。望ましくは1.5重量%以上であり、また、5重量%以下、さらに望ましくは3重量%以下である。
離型剤の配合を上記の範囲とすることにより、後述する取出工程において光触媒粒子の接合剤層からの脱落を抑制しつつ、スムーズな取り出しを実現することができる。
(1.2)接合剤
接合剤により形成される接合剤層は、光触媒を内包し、またポリウレタン組成物の最表面となる部分であるため、この接合剤層と下地のウレタン層との間の接合力は十分強固であることが必要である。
接合剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びシロキサンを含む群から選択される少なくともいずれか1種を含むものである。これらはともにシリコンを含みウレタンとの脱水界面反応により強固な共有結合を形成する。具体的には、C−Si−C,C−Si−O等の結合が接合剤層とウレタン樹脂塗料との間で形成されていると考えられる。
シランカップリング剤は特殊な構造を有する有機ケイ素化合物であり、一般式として、X−Si−Yと表現され、X−加水分解性基、Y−有機官能基、樹脂と反応する。通常の場合、Xは塩素基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ、アセトキシ基等であり、これらの基が加水分解を起こすと、シラノール(Si(OH))に変わる。無機物質と組み合わせる場合は、シロキサンに形成される。Yはビニル基、アミノ基、エポキシ基、メタクリロイルオキシ基、スルフヒドリル基或はウレイド基であり、これらの反応基が有機物質と反応することができる。従って、シランカップリング剤を使用することによって、有機物質と無機物質の界面間に"分子橋"を架けることができる。
ウレタン樹脂接合用シランカップリング剤としては、イソシアネート系(一例として、信越化学工業製 KBE-9007等)を用いることができるが、その他エポキシ系(信越化学工業製 KBM-403)、アミノ系(信越化学工業製 KBM-903)等を用いてもよい。いずれも、ケイ素部分でのアミノ反応、エポキシ反応、チオール反応により接合する。また、シランカップリング反応によりシロキサン構造が形成され接合に至ることもある。
チタネートカップリング剤にもアルコキシド系、キレート系、等がありそれぞれ化学名として前者にはテトライソプロピルチタネート、ブチルチタネート等がまた後者にはチタンアセチルアセテート、チタンエチルアセテート等がある。ウレタン樹脂には主としてチタンエチルアセテートを用いる。
シロキサンとしては、シロキサン結合を有する様々な組成物を用いることができる。
(1.3)光触媒
光触媒の構成は特に限定されない。例えば、酸化チタンを主成分とする一般的な光触媒材料を用いることができる。なお、光触媒は粒子として接合剤に配合される。なお接合剤の内部で凝集が起こり、凝集体が生成される可能性がある。凝集体の二次粒子径は0.5μm〜10μmの範囲としてもよい。また、10%粒子径と90%粒子径がこの範囲に含まれるような凝集体を形成する光触媒を用いてもよい。
(1.4)ウレタン樹脂塗料
ウレタン樹脂塗料は、ウレタン結合の骨格を持つ塗料であって、本体となるポリウレタンの表面を塗装するための塗料である。
ウレタン樹脂塗料の種類は特に限定されないが、例えばアクリルポリオールを原料とするアクリル系ウレタン塗料を用いることができる。
(1.5)ウレタン原料
ウレタン原料は、ポリオール成分を有する第1原料と、イソシアネート成分を有する第2原料と、を含む。
第1原料の種類は特に限定されないが、一例として、BASF INOAC ポリウレタン製 SK6−1、SK6−2、SK3−1、SK3−2、SK3−3(いずれも商品名)などを用いることができる。
第2原料の種類は特に限定されないが、一例として、BASF INOAC ポリウレタン製 フォームライト3020B、フォームライトBI−301Bなどを用いることができる。
第1原料と第2原料の比率は、その組み合わせにより定まる一般的な範囲で設定することができる。
[2.複合構造体の製造工程]
図1〜図9に基づいて、複合構造体の製造工程を説明する。なお図1〜図9では、金型1及び複合構造体7を、模式的な断面図として示している。
(2.1)離型剤層形成工程
図1に示す金型1は、キャビティーが形成された下型3と、上型5と、を有しており、アルミ等の金属により形成される。この金型1が、樹脂形成用の型である。
まず、金型1を45℃に加熱する。なお、40〜50℃の範囲において、加熱温度を調整してもよい。
続いて、スプレーガン11aにより、離型剤を塗布する。離型剤は、下型3のキャビティー内と、上型5における下型3と空洞を形成する部分と、に塗布される。スプレーガン11aによる塗布の後、ウエスにて塗布された離型剤が均一となるように拭き取りを行う。これにより、金型1の表面に離型剤層21が形成される。なお、スプレーガン11aはカップガンであり、以下の説明にて登場するスプレーガンも同様である。
(2.2)接合剤層形成工程
図2に示すように、続いて、スプレーガン11bにより、離型剤層21の表面に接合剤を塗布する。但し、ここでは下型3のキャビティー内にのみ塗布する。これにより、離型剤層21上に接合剤層23が形成される。
接合剤には、シランカップリング剤と、光触媒粒子と、が含まれている。光触媒粒子は、石原産業製ST−01を用いた。ST−01の原材料は7nm以下の粒径を有するが、シランカップリング剤と混合の過程で凝集が起こり、塗布時は0.5〜10μmの塊となっている。また、接合剤に含まれる光触媒粒子は、例えば3〜5重量%程度の範囲とすることができる。
(2.3)塗料層形成工程
図3に示すように、続いて、スプレーガン11cにより、下型3のキャビティー内に形成された接合剤層23の表面にウレタン樹脂塗料を塗布する。また、上型5における離型剤層21の表面にもウレタン樹脂塗料を塗布する。これにより、下型3のキャビティー内においては接合剤層23上にウレタン樹脂塗料を含む塗料層25が形成され、上型5では離型剤層21上に塗料層25が形成される。
(2.4)芯材のセット
図4に示すように、続いて、上型5の塗料層25の表面に、芯材27を配置する。この芯材27は、例えば金属により構成されたものを用いることができる。なお、芯材が不要であれば、本工程は行う必要はない。その場合、最終製品において芯材は含まれない。
(2.5)ウレタン原料投入工程
図5に示すように、続いて、ウレタン注入機13からウレタン原料29を金型1に投入する。より具体的には、ウレタン原料29を下型3のキャビティー内に投入する。このときのウレタン原料29の温度は25℃とする。なお、20〜30℃の範囲において、加熱温度調整してもよい。
(2.6)ポリウレタンの発泡及び硬化
図6に示すように、続いて、ウレタン原料29を発泡させる。発泡時間は適宜調整することができるが、例えば30秒としてもよい。
ウレタン原料29を発泡させた後、金型1の温度を45℃に変更し、発泡したウレタン原料29を硬化させる。40〜50℃の範囲において加熱温度を調整してもよい。硬化時間は適宜調整することができるが、例えば5分以上としてもよい。
これらの操作により、ウレタン原料29が発泡及び硬化したウレタン層31が形成される。
(2.7)取出工程(脱型)
図7に示すように、続いて、金型1から光触媒を含有する生成物である複合構造体7を取り出す。複合構造体7は、図8に示すように、ウレタン層31の表面に、ウレタン層31側から順に塗料層25、接合剤層23、離型剤層21が形成されている。
(2.8)後処理
上述したように、金型1から取り出した複合構造体7の表面には離型剤層21が形成されているため、離型剤層21を拭き取る。これにより、図9に示すように、芯材27側を除く表面の一部において光触媒が分散して配置された複合構造体7が生成される。
[3.生成された複合構造体の評価]
[3−1.実施例]
<実施例1>
離型剤として、(i)石油系溶剤を69.7重量%、(ii)ワックス系離型剤を22.5重量%、(iii)シリコン系離型剤を5.6重量%、(iv)灯油2.2重量%配合した。
上述した工程により構成された複合構造体7において、光触媒粒子全体のうちの表面に露出する粒子の割合である表面露出度は50%と高いものとなった。なお、一部の光触媒粒子は、塗料層25にまで到達し、塗料層25の内部にまで入り込んでいる状態となっていた。光触媒粒子の塗料層25への進入を促進するためには接合剤層23を薄く形成すればよく、進入を抑制するためには接合剤層23を厚く形成すればよい。
また、複合構造体7において、光触媒粒子は偏って存在することなく良好に分散した。
また、複合構造体7は、表面に光触媒を強固に固定することができる。その理由は、C−Si−C,C−Si−O等の結合が接合剤層とウレタン樹脂塗料との間で形成されているためであると考えられる。
<実施例2,3>
上記実施例1の離型剤における(i)の石油系溶剤の配合量を変更し、上述した製造工程により複合構造体を製造した。石油系溶剤の配合量を60重量%以上とすると、離型剤が積もることが抑制された。また石油系溶剤の配合量を80重量%以下とすると、薄くなり過ぎることなく、離型剤としての機能を十分に発揮することができた。なお、50重量%〜90重量%の範囲で、適当に製造を行うことができた。
<参考例1>
離型剤として、上記実施例1の構成から石油系溶剤を除いた構成の離型剤を用い、上述した製造工程により複合構造体を製造した。この場合は、金型へ離型剤を塗布した際に、離型剤濃度が高すぎることにより、金型へ離型剤が積もり厚い層が形成された。これにより、脱型後に金型に離型剤が多く残ることとなるが、残った離型剤は厚さが不均一であるため金型の連続的に使用に適さず、金型の洗浄頻度が高くなってしまうという問題が生じた。
<実施例4,5>
上記実施例1の離型剤における(ii)のワックス系離型剤の配合量を変更し、上述した製造工程により複合構造体を製造した。ワックス系離型剤の配合量を15重量%以上とすると、シリコンによるはじきを抑制でき、かつ金型から製品を取り出す際の十分な離型性を保つことができた。また、ワックス系離型剤の配合量を30重量%以下とすると、離型剤層が厚く積層してしまうことを抑制できた。なお、10〜40重量%の範囲で、十分な効果を奏した。
<参考例2>
離型剤として、上記実施例の構成からワックス系離型剤を除いた構成の離型剤を用い、上述した製造工程により複合構造体を形成した。この場合は、離型剤塗布後、塗料を塗布する際に、金型表面が離型剤のシリコンの影響で塗料をはじいてしまい、接合剤層の形成や光触媒の分布に偏りが生じてしまうという問題が生じた。
<実施例6,7>
上記実施例1の離型剤における(iii)のシリコン系離型剤の配合量を変更し、上述した製造工程により複合構造体を製造した。
実施例6では、実施例1と比較すると、製造上問題にならない程度に相対的に脱型性が低下したが、光触媒の脱落は十分に抑制できた。つまり、シリコン系離型剤の配合量を2重量%以上、望ましくは4重量%以上とすると、脱型の際の十分な離型性を確保でき、また光触媒の脱落も抑制できる。
実施例7では、実施例1と比較すると、製造上問題にならない程度に僅かに塗料のハジキが発生した。つまり、つまり、シリコン系離型剤の配合量を10重量%以下、望ましくは7.5重量%以下とすると、塗料層のはじきを抑制して、光触媒が複合構造体表面での偏在を抑制することができる。なお、1〜20重量%の範囲で、十分な効果を奏した。
<参考例3>
離型剤として、上記実施例の構成からシリコン系離型剤を除いた構成の離型剤を用い、上述した製造工程により複合構造体を形成した。この場合は、脱型の際に光触媒及び接合剤層が金型に貼りつき、脱型が困難となった。また、金型へ多くの光触媒が残ってしまうという問題が生じた。
<実施例8,9>
上記実施例1の離型剤における(iv)の灯油の配合量を変更し、上述した製造工程により複合構造体を製造した。灯油の配合量を0.5重量%以上とすると、十分な拭き取り性能を発揮できた。また灯油の配合量を5重量%以下とすると、灯油成分の残存による影響を低減できた。
<参考例4>
離型剤として、上記実施例の構成から灯油を除いた構成の離型剤を用い、上述した製造工程により複合構造体を形成した。この場合は、塗布した離型剤をふき取る際に、その他の溶剤の揮発が早く、均一にふき取りが実施できないという問題が生じた。
表1に、参考例と実施例の結果を示す。なお評価の欄において、「◎」は、光触媒の分散性、定着性に問題が無く、かつ、金型に離型剤が多く残るといった製造工程上の問題も生じないことを意味する。また「○」は、製造された複合構造体又は製造工程のいずれかにおいて、「◎」と比較すると若干劣る部分があるが、実質的には問題がないことを意味する。一方、「△」は、上記のいずれか1つ以上に問題があることを意味する。
[4.効果]
(4a)複合構造体の製造工程において、本実施形態にて説明した離型剤による離型剤層を金型に形成することにより、光触媒の露出度が高く、また分散性の良い複合構造体を製造することができる。
本実施形態の離型剤は、金型からの高い脱型性を奏する。そのため、光触媒粒子が離型剤層側に多く存在しているにもかかわらず、脱型工程において光触媒粒子が金型に残りにくくなる。よって、多くの光触媒粒子を複合構造体の表面に配した状態とすることができる。なお、このように脱型性が高くなる理由は、離型剤に配合されるシリコン系離型剤と、灯油と、の作用ではないかと考えられる。また灯油が配合されることにより離型剤の揮発が抑制され、離型剤を金型全体につけることができるためであると考えられる。
また、本実施形態の離型剤は、接合剤になじみやすいため、接合剤を離型剤層の表面に塗布したときのハジキの発生を抑制し、離型剤層の表面に均一に塗布することができる。その結果、離型剤層上に接合剤層が偏在してしまうことが抑制され、即ち複合構造体表面における接合剤層の偏在が抑制され、接合剤層に含まれる光触媒粒子の分散性が高くなる。なお、このように接合剤へのなじみやすさが高くなる理由は、離型剤に配合される石油系溶剤の作用ではないかと考えられる。
また、本実施形態の離型剤は、接合剤層からの除去が容易である。そのため、複合構造体を金型から取り出し、拭き取り等により離型剤を除去する場合に、その除去をスムーズに行うことができ、光触媒粒子の脱落を抑制できる。なお、このように離型剤の除去性が高くなる理由は、離型剤に配合されるシリコン系離型剤と、灯油の作用ではないかと考えられる。特に、灯油を配合することにより揮発点を下げることができ、スムーズな拭き取りを実現できるようになったと考えられる。
また、離型剤を除去するためのふき取りを、離型剤配合時と同じ石油系溶剤で実施することにより、全体に希釈され、除去しやすくなる。
(4b)複合構造体では、光触媒粒子はシランカップリング剤等により強固にウレタン樹脂塗料に接合される。よって、光触媒粒子の脱落を高度に抑制することができる。
(4c)上述した製造工程では、接合剤を、複合構造体の表面における所定の部分にのみ塗布することが可能となり、光触媒粒子の露出する領域を制御することができる。もちろん、複合構造体の表面全体に光触媒粒子を分散させても良い。
(4d)離型剤層形成工程、接合剤層形成工程、及び塗料層形成工程においては、スプレーガンにより各層を形成する。よって、容易かつ良好に各層を形成することができる。なお、接合剤層形成工程でスプレーガンを用いることにより、光触媒粒子の分散性を向上させることができる。
(4e)凝集体の二次粒子径を0.5μm〜10μmの範囲とすることで、光触媒粒子の機能を十分に発揮させつつ、光触媒粒子の脱落を抑制することができる。
[5.その他の実施形態]
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態において、離型剤層形成工程、接合剤層形成工程、及び塗料層形成工程ではスプレーガンによる塗布を例示したが、スプレーガン以外の様々な装置及び手法により各層を形成することができる。
また、金型の形状や材質も上記実施形態の構成に限定されない。
また、離型剤層21、複合構造体7を構成する接合剤層23、塗料層25、ウレタン層31を構成する原材料は上記実施形態の組成に限定されず、配合の変更、他の原材料の追加など、適宜調整を行うことができる。また各層間に、上述した層以外の層や物質が配置されていてもよい。
1…金型、3…下型、5…上型、7…複合構造体、11a,11b,11c…スプレーガン、13…ウレタン注入機、21…離型剤層、23…接合剤層、25…塗料層、27…芯材、29…ウレタン原料、31…ウレタン層

Claims (6)

  1. 光触媒を含有する複合構造体の製造方法であって、
    樹脂形成用の型の表面に、離型剤を含む離型剤層を形成する離型剤層形成工程と、
    前記離型剤層形成工程にて形成された前記離型剤層上に、光触媒粒子を含有する接合剤を含む接合剤層を形成する接合剤層形成工程と、
    前記接合剤層形成工程にて形成された前記接合剤層上に、ウレタン樹脂塗料を含む塗料層を形成する塗料層形成工程と、
    ウレタン原料を、前記離型剤層形成工程から前記塗料層形成工程までの工程が行われた前記型の内部に投入する投入工程と、を備え、
    前記接合剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、及びシロキサン
    を含む群から選択される少なくともいずれか1種を含み、
    前記離型剤は、消防法の危険物第四類第1石油類に該当する石油系溶剤、ワックス系離型剤、シリコン系離型剤、並びに、灯油及び軽油のうち少なくともいずれか一方、を含む、複合構造体の製造方法。
  2. 請求項1に記載の複合構造体の製造方法であって、
    前記接合剤層形成工程は、前記離型剤層に対してスプレーガンにより前記接合剤を塗布することにより前記接合剤層を形成する工程である、複合構造体の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の複合構造体の製造方法であって、
    前記塗料層形成工程は、前記接合剤層に対してスプレーガンにより前記ウレタン樹脂塗料を塗布することにより前記塗料層を形成する工程である、複合構造体の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合構造体の製造方法であって、
    離型剤全体を100重量%としたときに、前記石油系溶剤は50重量%以上90重量%以下であり、前記ワックス系離型剤は10重量%以上40重量%以下であり、前記シリコン系離型剤は1重量%以上20重量%以下であり、前記灯油は、0.5重量%以上10重量%以下である、複合構造体の製造方法。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の複合構造体の製造方法であって、
    前記複合構造体における光触媒粒子は、粒子径が0.5μm〜10μmの範囲である凝集体を形成している、複合構造体の製造方法。
  6. 光触媒を含有するポリウレタン組成物を形成する金型の表面に塗布される離型剤であって、
    前記離型剤は、消防法の危険物第四類第1石油類に該当する石油系溶剤、ワックス系離型剤、シリコン系離型剤、及び灯油を含む、離型剤。
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