JP6130301B2 - 金属処理 - Google Patents

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Description

本発明は、金属物質に殺菌性の性質を与えるための金属物体の処理方法に関する。特に、しかし排他的でなく、発明は、複数の金属物体を同時に処理する方法に関する。処理は、物体が外科手術によって埋め込まれるときに、減少した感染のリスクを提供する物体を提供する。発明はまた、金属物体を陽極酸化する方法、及び金属物体を処理するためのプラントに関する。
外科手術において、金属インプラントは、体の組織内、軟組織又は硬組織内のいずれか、に挿入され得る。例えば、骨の癌治療の場合、癌性骨組織は除去され、補綴金属インプラントを使用して除去された骨の部分を置き換える。インプラントは、間接(例えば股関節)における骨の部分的又は完全な置換のためにも使用され、また、歯科及び顎顔面の外科手術のような他の分野においても使用される。前記の(及び他の)使用のためのインプラントは、チタン金属又はチタン合金であってもよい。チタン金属及びチタン合金は、生物学的適合性であり、比較的強く、且つ、比較的軽い。
金属インプラントの表面では、感染の持ち込み又は感染の発生のリスクがある。この感染のリスクを抑えるようにインプラントを処理する方法は、国際公開第2010/112908号パンフレットに記載されている。この方法は、典型的に100Vまでの電圧で、そして次により低い正の電圧、続いて小さな負の電圧の短い適用で、インプラントを陽極酸化して、硬い酸化物層を生成すし、その中にはイオン吸収性の金属を含むピットがあり、続いてその中に銀イオンを吸収する工程を含む。インプラントが十分に陽極酸化されており、十分なレベルの銀イオンを吸収することを保証するために、2〜5クーロン/cm2の陽極酸化電荷が通過されるべきであると言われ、これは微視的表面積に基づいて計算される。微視的表面積は、金属物体を電解液中に浸漬して、界面静電容量を測定することによって決定され得る。界面静電容量は、金属表面での酸化物の静電容量に相当し、溶液中の二重層静電容量と連続する。前者は酸化物の厚さに依存し、後者は電解液の組成に依存し、且つ、両方が微視的表面積に依存する。従って、表面積の計算は、初期の表面酸化物の厚さ(表面が陽極酸化される前)についてのデータを必要とするが、初期の酸化物の厚さは、金属物体がどのように前もって処理されたかに依存することが見出されている。特に、物体が水酸化ナトリウム溶液(苛性ソーダ)を用いる処理によって調整される(condition)場合、結果として生じる初期の酸化物の厚さは、水酸化ナトリウム溶液の温度に有意に依存することが見出されている。酸化物層の厚さのあらゆる不確実性が、計算される表面積の不確実性を導く。
従って、第一の特徴において、本発明は、金属物体を陽極酸化する方法であって、以下の工程、
前記金属物体を陽極酸化電解液に接触させ、表面をプレ陽極酸化して表面に薄い酸化物膜を成長させる工程、
前記プレ陽極酸化工程の間又は後のいずれかに前記薄い酸化物膜について電気的測定を行ない、その後、前記金属物体の表面積を推定する工程、及び
次に、前記金属物体を陽極酸化する工程、
を含む方法を提供する。
第二の特徴において、発明は、金属物体を処理し、表面に殺菌性物質を浸出され得る形態で組み込む方法であって、以下の工程、
前記金属物体を陽極酸化電解液に接触させ、表面をプレ陽極酸化して表面に薄い酸化物膜を成長させる工程、
前記プレ陽極酸化工程の間又は後のいずれかに前記薄い酸化物膜について電気的測定を行ない、その後、前記金属物体の表面積を推定する工程、
次に、前記金属物質を陽極酸化して一体の表面層を形成し、前記一体の表面層を貫いてピットを形成する工程、及び次に、
前記陽極酸化された金属物体を殺菌性物質を含む溶液に接触させて、前記殺菌性物質を表面層中に組み込む工程、
を含む方法を提供する。
発明は、チタン及びチタンの合金のような金属、又はオニブ、タンタル若しくはジルコニウム若しくはそれらの合金のような他のバルブ金属で形成される金属物体、及びまたそのような金属又はそれらの合金によってメッキされる又は被覆される金属物体に適用できる。そのため、発明は金属インプラントの処理に適している。この目的のための一つの標準的な合金は、6%のアルミニウム及び4%のバナジウムを有する90%チタン(英国規格7252)である。
金属インプラントの幾何学的な表面積は、従来の方法によって測定され得る。しかしながら、従来の方法は、金属の微視的表面の特徴又は表面粗さを考慮しない。実際の微視的面積の幾何学的面積に対する比は、表面粗度係数として知られ、研磨された表面は典型的に2未満の表面粗度係数を有する。微視的表面積は、例えば界面静電容量から測定され得る。表面のプレ陽極酸化は一定の(consistent)酸化物の厚さ、そしてそのため微視的表面積の正確な測定を保証する。
プレ陽極酸化は、陽極酸化の間に使用される電圧未満の電圧で実施される。例えば、プレ陽極酸化は10V以下、好ましくは5V未満、例えば2.5Vの電圧を用いて行なわれてもよい。このことは、低い電圧のため、陽極酸化によって従来法で形成される酸化物層よりもかなり薄い、薄い酸化物層を形成するが、層は一定の厚さである。陽極酸化が2Mのリン酸水溶液中、約20℃で実施されるならば、1ボルトにつき約1.4nmの膜厚を形成するので、10Vでの陽極酸化は約14nmの酸化物膜厚を形成し、2.5Vでの陽極酸化は約3.5nmの膜厚を形成し、及び1.75Vでの陽極酸化は約2.5nmの膜厚を形成する。硫酸のような異なる電解液が使用されるならば、厚さはわずかに異なり得る。従って、プレ陽極酸化電圧は、異なる基質及び異なる電解液に対して変化してもよい。好ましくは、電圧は徐々に増加する方法で適用され、例えば0.2V/s以下、好ましくは0.1V/s以下、例えば0.01V/sの速度でピーク又は最大値まで増加させ、次に電流が有意に減少するまでこの値で維持する。好ましくは、電圧はピーク又は最大値で2分以下、例えば30s維持される。好ましくは、このプレ陽極酸化段階は10分以下、より好ましくは5分以下、例えば2分を要する。
電圧傾斜率は、電流がポテンショスタット電源の定格電流を超えないようにあるべきであり、これは広い表面積のインプラント、例えばプラズマスプレーされた表面を有するインプラントで問題であり得る。例えば、0.007V/sの傾斜率で、微視的表面の1cm2につき0.024mAの電流が観測されている。典型的に、0.1V/sの傾斜率で、研磨された表面に関して約0.3mA/cm2の膜成長電流があり、電流は傾斜率に直接比例する。これらの電流はまた、材料及び陽極酸化条件に依存する。例えば、それぞれ4000cm2の微視的表面積の20のインプラントが同時にプレ陽極酸化されるならば、0.01V/sの傾斜率は約2.4A(十分に10A電源の電流容量の範囲内)のネット膜成長電流を与えるであろう。
プレ陽極酸化は、微視的表面積を測定することを可能にする。好ましくは、測定は、プレ陽極酸化が行なわれる電解液から金属物体を除去することなしに行なわれる。測定は、プレ陽極酸化された表面の界面静電容量を測定することによって、プレ陽極酸化の後になされてもよく、これは三角波形又は正弦波形のような変動電圧波形を適用することにより行なわれてもよく、この波形は、平均電圧及び最大電圧の両方が、プレ陽極酸化の間に使用されるピーク電圧未満であるようにあるべきである。更に、最小電圧は、水素放出が起こらないことを保証するために、約−0.5Vで有意になる水素放出のための電圧を十分に上回っているべきである。従って、好ましくは、変動電圧波形は正のバイアス電圧と組み合わされて、最小電圧がゼロより大きくなるようにし、測定の正確さを保証する。そのような測定から、界面静電容量、及びそのため微視的表面積は、構成標準との比較によって推定され得る。典型的に、これは研磨された表面との比較によって行なわれ、そのため結果として生じる微視的表面積値(「研磨微視的表面積」と称されてもよい)は、同じ界面静電容量を有するであろう研磨された面積の値である。プレ陽極酸化は、均一及び一定の酸化物の厚さを保証し、そのため、微視的表面積の正確な測定が可能である。
あるいは、微視的表面積は、プレ陽極酸化工程の間の電流の測定から推定され得る。プレ陽極酸化の間に電圧が徐々に及び着実に増大する場合、電流は、ある電圧の範囲に亘って実質的に一定の値又はプラトー値を有することが見出されている。例えば、プレ陽極酸化の間に電圧が0から2.5Vまで徐々に及び着実に上げられるならば、約1.0V〜2.0Vの電圧に対して実質的に一定の電流値があり得ることが見出されており、同様に、プレ陽極酸化の間に電圧が0から1.75Vまで徐々に及び着実に上げられるならば、約1.5V〜1.7Vの電圧に対して実質的に一定の電流値があることが見出されている。この一定の電流値は、微視的表面積に直接比例する。従って、校正によって、微視的表面積は、一定の電流値から推定され得る。校正が研磨された表面に対する比較によるならば、推定される表面積(「研磨微視的表面積」と称されてもよい)は、プレ陽極酸化の間、同じ電流を引き起こすであろう研磨された表面積である。
界面静電容量測定から推定される微視的表面積は、プレ陽極酸化の間のプラトー電流から推定される微視的表面積と同じであることが見出されている。このことは、界面静電容量及びプラトー電流の両方が微視的表面積に比例することを示唆する。
好ましくは、陽極酸化工程は、金属物体を陽極酸化して、一体の表面層を形成することにより金属物体を不動態化する工程、陽極酸化電圧の適用を継続して前記一体の表面層を貫くピットを形成する工程、及び次に、電解液又は溶液との接触での電気化学的又は化学的還元によって、水和した金属酸化物又は金属リン酸塩をピット中に生成する工程、を含む。金属物体を陽極酸化した後、殺菌性物質を含む溶液と接触させる前に、金属物体を電解液又は溶液から除去又は分離し、リンスする。
この陽極酸化手段は、陽極酸化された表面における満足なイオン陽極酸化容量を保証する。ピット形成の間に適用される電圧は、不動態化の間に適用される最大電圧未満であってよい。ピット形成は、好ましくは不動態化の間に使用された電解液と同じ電解液を使用するが、代わりとして、表面を一種の電解液中で不動態化し、次に物体をピット形成用の第二の電解液と接触させてもよい。
不動態化の間、適用される最大電圧は酸化物膜の厚さを決定する。後に適用されるより低い電圧は、膜の厚さに影響しない。最大電圧は、2000Vの高さであってもよいが、より典型的には30V〜150V、例えば100Vである。不動態化の間の電圧は、時間と共に最大の極限値まで直線的に増加する電圧として適用されてもよく、又は代わりに、電圧は最大値まで段階的に増加してもよい。
ピット形成の間、適用される電圧は、より低い値を有してもよい。このことは、ピット発達の速度及び範囲の両方を増大する効果を有する。好ましくは、ピット形成の間に適用される電圧は、15V〜80V、例えば25、30、又は75Vである。望ましくは、電圧は20V〜60V、例えば25V、27V又は30Vである。ピット成長はまた、複数回なされてもよい陽極酸化工程を再開することによって促進されてもよい。
発明は、好ましくは、陽極酸化の間中、物体に提供される電流をモニターする工程も含む。好ましくは、陽極酸化の間、電流は、低い値、高電力抵抗器(例えば、1Ω)によって金属物体に供給される。従って、その金属物体に供給される電流は、抵抗器をまたぐ電圧降下によってモニターされ得る。方法が複数の金属物体に同時に適用されるとき、それぞれの金属物体は、好ましくはそれぞれの抵抗器によって電流源に接続され、それぞれの金属物体に供給される電流をモニターし得る。抵抗器の代わりに異なる電流検出装置が使用されてもよく、例えばホール効果電流検出器、又は電流ホロワ(follower)のような検出回路である。
好ましくは、物体は、陽極酸化電解液に接触される前に、十分に洗浄される。洗浄手段は、好ましくは、適切な洗剤又は溶媒、例えばアセトン、中で脱脂する工程、水でリンスする工程、苛性ソーダと接触する工程、及び更に水でリンスする工程、を含む。典型的に0.5〜2.0M、例えば1Mの苛性ソーダ、すなわち水性水酸化ナトリウム溶液は、あらゆる微量の油脂を除去し、また、細菌、プリオン又は内毒素を破壊することによって金属物体上の汚染微生物数を減らす援助をする。苛性ソーダはまた、表面を調整する。
好ましくは、それぞれのリンス工程は、流水(好ましくは<1μS/cmまで脱イオンされた)を用いて行なわれる。リンスがイオン性物質の除去を意図される場合、リンス水は、中に伝導率測定電極がある管を通して通過されてもよく、リンス工程は、伝導率が清浄水を示す閾値の下に落ちるときに終わる。
電解液は、酸性又はアルカリ性であってもよい。例えば、電解液は、水のような溶媒中、0.01M〜5.0M、典型的には0.1M〜3.0M及び特に1.8〜2.2Mの濃度のリン酸であってもよい。硫酸、リン酸塩溶液又は酢酸のような他の電解液が使用されてもよい。好ましくは、酸性電解液のpHは0.5<pH<2.0の範囲内に、より理想的には0.75<pH<1.75の範囲内に維持されるべきである。アルカリ性電解液が使用される場合には、pHは好ましくは9より大きく、より典型的にはpHは10〜14の範囲内である。アルカリ性電解液はNa3PO4のようなリン酸塩であり得、又は水酸化ナトリウム、NaOHであってもよい。
本発明はまた、そのような方法によって製造される金属インプラントを提供する。本発明はまた、方法を実施するためのプラントを提供する。
発明によるインプラントは、全部の又は一部の股関節置換、顎顔面、傷、オーソドンタル(orthodontal)及び整形外科的な応用に有用なインプラント、並びに歯科インプラントを含む、多くの内科的及び外科的目的のために使用され得る。
発明は、例のみの目的で、添付の図面を参照して、更に且つより詳しく記載される。
図1は、インプラントを処理して殺菌特性を有する表面を提供するためのプラントの図式の側面図を示す。 図2は、図1の矢印Aの方向の図を示し、バスバー(bus bar)を示す。 図3は、図2の線3−3における横断面図を示す。 図4は、ディスクのプレ陽極酸化の間の電気パラメータの変化を図表で示す。 図5は、内腔(lumen)を有する釘のプレ陽極酸化の間の電気パラメータの変化を図表で示す。
インプラント処理プラント
図1を参照すると、股関節インプラントのようなインプラント12を処理するためのプラント10が示されている。同一の特徴がプラント10の一つより多い部分に存在する場合、それらは同じ参照数字によって言及される。インプラント12はチタン合金であってもよい。プラント10は、連続する段階の処理のための8つの異なるタンク16、17、18、19、20、21、22及び23を含み、いくつかのインプラント12がそれぞれの段階で同時に処理されることを可能にする。それぞれの場合において、インプラント12がそれぞれのタンク16〜23内にあるように、一つ以上のインプラント12がバスバー25によって支えられ得る。図2に示されるように、bus bar25に沿って離れて間隔をあけられた異なる位置に取り付けられるいくつかのインプラント12があってもよい。
初めの4つのタンク16〜19は、インプラント12の洗浄及び調整用であり、インプラント12が既に十分にきれいであるならば、初めの4つのタンク16〜19は必要とされないことが理解されるであろう。第一のタンク16において、インプラント12を適切な洗浄剤又はアセトン26中に浸漬して、その表面からあらゆる油脂を溶解する。インプラントを超音波に曝して洗浄工程を向上させてもよく、例えばタンク16の壁に取り付けられた超音波振動子(図示せず)を用いる。タンク16から除去されると、インプラントはタンク16内への清潔な洗浄剤又はアセトンで洗い流され、蒸発によってあらゆるロスト(lost)を置き換え、あらゆる残留物を除去する。次に、インプラント12は第二のタンク17に移され、その中でインプラントは噴射口27からの清浄水でリンスされ、リンス水はタンク17の底からの廃棄物へと通過する。次に、インプラント12は、水酸化ナトリウム水溶液28(0.2〜2.0M、好ましくは0.8〜1.2Mの範囲)を含む第三のタンク18に移される。これは残存するあらゆる微量の油脂の除去を保証し、表面を調整し、存在し得るあらゆるプリオン及び内毒素を破壊する。インプラントを水酸化ナトリウム溶液中に浸漬する間に超音波に曝して洗浄工程を向上させてもよく、例えば、タンク18の壁に取り付けられた超音波振動子(図示せず)を用いる。次に、インプラント12は、第四のタンク19に移され、その中でインプラントは噴射口27からの脱イオン水でリンスされる。リンス水は、中に伝導率検出器30があるU字管29を通ってタンク19の底の外へ流れる。伝導率が閾値より下に下がると、リンス工程が終わる。タンク16〜19における洗浄及び調整は、代わりに異なる液体を使用してもよいことが理解されるであろう。
次に、インプラント12は、第五のタンク20に移され、その中で陽極酸化が実施される。このタンク20は電解液32、この例においては水中に2.1Mのリン酸(すなわち水溶液)、を含む。インプラント12は電解液32中に浸漬され、更に白金メッキチタン電極34もまた電解液32中に浸漬されて対電極として作用する。バスバー25及び電極34は、電圧供給モジュール36の出力端子に接続される。陽極酸化工程は以下により詳細に記載される。
陽極酸化が完了すると、次に、インプラント12は第六のタンク21に移され、その中でインプラントは噴射口27からの脱イオン水でリンスされる。リンス水は中に伝導率検出器30があるU字管29を通ってタンク21の底の外へ流れる。伝導率が閾値の下に下がると、このリンス工程は完了する。次に、インプラント12は、硝酸銀水溶液38を含む第七のタンク22に移され、穏やかに攪拌しながら、典型的に0.5時間〜2時間、例えば1時間、浸漬される。溶液38は0.001〜10Mの範囲、例えば0.01〜1.0M、例えば、およそ0.1Mの銀濃度を有する。特定の例において、インプラント12は、0.1Mの硝酸銀溶液38中に1時間浸漬されるであろう。必要な時間は、例えば、硝酸のような酸を加えることによって、又は水酸化ナトリウムのようなアルカリを加えることによって、又は硝酸銀溶液を水酸化銀に接触させることによって、硝酸銀溶液のpHを変えることで変更されてもよい。
次に、インプラント12は、その中でインプラントが噴射口27からの脱イオン水でリンスされる第八のタンク23に移されることにより、再びリンスされる。リンス水は、中に銀イオン特異的電極40があるU字管29を通ってタンク23の底の外へ流れる。リンス水中の銀イオンのレベルが閾値の下に下がると、リンス工程は完了する。次に、インプラント12は、放置されて周囲条件下で乾燥されてもよく、又は空気ジェット(図示せず)によってブロードライ(blow dry)されてもよい。インプラントは、追加の洗浄段階を受けて更に汚染微生物数を制御されてもよく、インプラントは真空オーブン乾燥によって乾燥されてもよく、インプラントは貯蔵又は輸送のために滅菌状態で包装されてもよく、及びインプラントは殺菌、例えばガンマ線照射を受けてもよい。
図3を参照すると、それぞれのインプラント12は、バスバー25を貫く穴を通る支持ロッド42によって、バスバー25に接続されている。支持ロッド42の頭部はネジ状であり、バスバー25の下には支持ロッド42に結合されるナット43がある。フランジを有する絶縁スリーブ44が穴の中に位置し、フランジはバスバー25の下側からナット43を離す。バスバー25の上には絶縁ワッシャー45及びナット46があり、支持棒42は、ナット46を固く締めることによってバスバー25にしっかりと締め付けられ得る。支持ロッド42の上端は1Ω抵抗器48を介してバスバー25に電気的に接続される。図1に示されるように、陽極酸化タンク20内に設置されるとき、バスバー25及び電極34は、電圧供給モジュール36の出力端子に接続される。陽極酸化タンク20はまた、例えばAg/AgCl電極であってもよい標準参照電極50、又は一定の適用電流下、二つの白金ワイヤ間の電解液の電気分解に由来する動的参照電極を提供される。コンピュータ及びデータ自動記録器55を配置して、電圧供給モジュール36によってバスバー25に供給され、従ってインプラント12に供給される電圧をモニター及び記録し、且つ、コンピュータ及びデータ自動記録器55を配置して、それぞれの1Ω抵抗器48をまたぐ電圧、及び従ってそれぞれ個別のインプラントに供給される電流及び電荷をモニターする。バスバー25は、電気的に接地され(従って対電極は負の電圧である)、高い電圧がコンピュータ及びデータ自動記録器55に適用されないことを保証してもよい。
プレ陽極酸化工程
陽極酸化を行なう前に、インプラント12が陽極となるように、バスバー25(及び従ってインプラント)と対電極34との間に電圧を適用することによって、インプラント12をプレ陽極酸化する。インプラントとAg/AgCl参照電極50との間の電圧が約1.75V又は2.5Vに達するように、適用電圧はピーク又は最大値まで徐々に増加され、次に電流が無視し得る値まで減少するまでこの電圧で維持される。好ましくは、電圧は合計で10分以下適用される。例えば、電圧は0.1V/sで2.5Vまで、従って25秒かけて、勾配をなされ(ramp)、更に60秒維持されてもよい。これは表面を不動態化し、厚さ3.5nmの均一な酸化物層を形成する。あるいは、電圧は0.01V/sで1.75Vまで、従って175sかけて、勾配をなされ、次に1.75Vで更に120s維持されてもよく、これは厚さ約2.5nmの酸化物層を形成するであろう。プレ陽極酸化及び表面積測定、及び電圧反転の間中、見積もられる全ての電圧は、標準水素電極と対比して約+0.22VであるAg/AgCl電極50を参照し。異なる参照電極が使用されるならば、電圧値はそれに応じて調整される必要があるであろう。
微視的表面積の測定(1)
次に、適用電圧を1.0Vまで下げ、典型的に0.5Hz〜2.5Hzの振動数で、ピークからピークまでが0.1Vである、すなわち0.95V〜1.05Vの間で変化する三角波電圧変動を適用することによって、それぞれのインプラント12の微視的表面積がその場で測定される。そのような電圧変動の間にインプラント12まで又はインプラント12から移動する電荷から、界面静電容量、及びその後推定される微視的表面積が計算され得る。単位面積当たりの静電容量は、電解液濃度、及び温度に加えて、酸化物の厚さに依存し、これらの依存は、標準試料を用いる校正によって決定され得る。
より大きなインプラント12に関する場合、より低い振動数を用いることが好ましく、より小さいインプラントに対してはより高い振動数が必要であり得、好ましくは10Hz以下、より好ましくは5Hz以下である。代わりの測定方法においては、正弦波電圧変動が適用され、電圧変動に対する直交電流(current in quadrature)の成分が測定され、及び界面静電容量に関係し得る。三角波電圧を用いるとき、電圧がゼロ線と交差しないならば、測定は最も正確であり、従って三角波電圧変動がバイアス電圧に沿って適用される。
界面静電容量のそのような測定からの微視的表面積の推定は正確な結果を提供するが、インプラント12が内部の穴又は内腔を規定(define)するならば、必ずしも適用可能ではない。これは、穴又は内腔がこの測定に適切であるような振動数で伝達線路として作用し、穴の表面積の一部のみが測定され得るからである。
微視的表面積の測定(2)
微視的表面積を推定する代替の方法は、プレ陽極酸化工程の間の電流の測定に基づく。電圧が徐々に増加するにつれて、酸化物膜の厚さもまた増加し、従って酸化物を形成する電流は実質的に一定である。他の電気分解過程も起こる場合、その結果電流は増加し、例えば酸素発生が起こると、その結果電流は上がるであろう。これは約2.5Vより上で起こることが典型的に見出されている。酸素発生が起こらず、従って電気分解の唯一の効果が酸化物膜の発達である限り、その結果電流は一定であろう。
ところで、図4を参照すると、これは、研磨されたTi6Al4V合金ディスクのプレ陽極酸化の間の電気的パラメータ(電流、I、及び電圧、V)の変化を時間、t、と共に図表で示す。下のグラフは電圧の変化を示し、電圧はゼロで始まり、0.1V/sで最大値の2.5Vまで25秒に亘って着実に増加する。上のグラフは、この過程の間の電流、I、の変化を示す。電流は、初めは徐々に、次により早く、開始後約5秒の最初のピークまで増加し、次にプラトー値又は一定の値まで減少する。最大電圧に達する前の最後の数秒間、おそらくは酸素発生の開始のため、電流はごくわずかに増加する。図4に示されていないが、次に電圧は最大値、2.5Vで、更に120秒維持され、電流は急速に減少する。
この例において、1.5V、又は垂直な破線P1及びP2によって示されるような1.0V〜2.0Vの平均値での電流の値として取られ得るプラトー電流の値は、それぞれの試料の微視的表面積の正確な指標を提供することが見出されている。合金Ti4%Al6%Vの試料に関して、2.1Mのリン酸水溶液中20℃で、及び0.1V/sの電圧傾斜率で、電流のプラトー値は微視的表面積の1cm2あたり0.34mAである(既に議論されたように、研磨された表面に対して校正される)。プラトー電流から推定される表面積の測定は、典型的に2%よりもよい正確さで、静電容量測定から推定される表面積と一致すると見出されている。
このプラトー電流からの表面積の測定は、プラトーが達せられることが求められる。試料が硝酸で前処理されている場合、ある程度まで既に酸化物コーティングを有し、この場合電流変化においてプラトーに達するために、3.5又は4Vのようなわずかにより高い最大電圧までプレ陽極酸化を行なうことが必要であり得る。
ところで、図5を参照すると、これは同じTi6Al4V合金の釘に関する電流及び電圧変化の対応するグラフを示し、釘は中心の内腔又は穴を有する。この場合、表面積は図4に関連して記載されるディスクに関するよりもより大きく、従って電圧をわずか0.02V/sで増加した(電流が25mA/cm2を超えないことを保証するため)。0〜2.5Vへの増加は、結果として125秒を要した。電流グラフは二つの連続するプラトー、約1.3V〜1.6Vの第一のプラトー(垂直な破線P3及びP4で示される)、及び約2.2V〜2.5Vの第二のプラトー(垂直な破線P5及びP6で示される)、を示す。第一のプラトーは、釘の外表面のみにおける酸化物形成に相当するが、電圧が十分に高いとき、次に、膜成長が内表面(内腔の表面)において始まり、従って電流の第二のプラトーは、外表面及び内表面の両方における酸化物形成に相当する。
微視的面積、Am、及びプラトー電流、Ip、の間の関係は、電圧が増加する傾斜率、R、に依存する。それは、
Ip=k×R×Am 及び従って、 Am=IP/(k×R)
として表され得、式中、kは材料に依存する定数である。既に議論されたように、校正が研磨された表面への参照による場合、その結果、チタン合金Ti6Al4Vについて、値は
k=3.4mA.s/(cm2.V)
であり、一方で、化学的に純粋なチタンについて、値は
k=2.97mA.s/(cm2.V)
である。
陽極酸化工程
次に、陽極酸化工程が実施され得る。例えば、インプラント12を、100Vの最大電圧を用いて陽極酸化して、耐摩耗性の陽極酸化された酸化物表面層を形成してもよい。この例において、電解液32は約20℃で2.1Mのリン酸であり、電圧は、陽極としてのインプラント12及び陰極としての電極34によって(図1に示されるように)、例えば1V/sで最大値まで徐々に増加してもよい。あるいは、標的又は最大電圧は、例えば5mA/cm2を超えないように微視的電流密度を制限することによって達せられてもよい。陽極酸化電流は、結果としてチタン金属基質と一体の酸化物層の形成を生じ、表面を不動態化する。電流は、一旦最大電圧が達せられると低いレベルまで、例えば(微視的面積の)1cm2あたり1mA未満まで下がり、この低いレベルの電流は不動態化が完了したことを示唆する。
次に、陽極酸化電圧は維持されて表面にピットを形成し、ピットは典型的に1〜3μmの範囲の深さを有し、外側の受動的な(passive)硬い酸化物層(100Vで0.14μmの厚さである)を通って基質へと貫通し、1〜5μmの典型的な直径を有する。ピットは、硬い表面層の耐摩耗性に有意には影響しないように、表面積のおよそ5〜20%を占めてもよい。陽極酸化電圧が最大値、100V、で維持される場合、ピット形成は典型的に更に2又は3時間を要し、一方で、例えば、不動態化の後で電圧が27Vまで減らされる場合、ピット形成はより急速であり、0.5時間未満で完了し得るが、これは合金の組成に依存する。いくつかの応用について、そのような耐摩耗性表面よりむしろ高い銀負荷(loading)が求められる場合、ピット形成工程は、ピットが表面積の50%までを占めるように、より長く実施されてもよい。
一旦不動態化及び望まれる形式でのピットの形成が完了すると、インプラント12は短い電圧反転に曝される、すなわち、インプラント12を陰極にし、対電極34を陽極にする。電解液32を用い、反転電圧は−0.2〜−0.7V、例えば約−0.45V(Ag/AgCl標準参照電極50に対して測定される)であり、溶媒、水、は電解されないが、還元工程が起こり得ることを保証する。この反転電圧の期間、特定のチタン種は、高い表面積、低い溶解度の、水和した酸化チタン種にピット内で電気化学的に還元されて、ピットはこの高い表面積の無機媒体で満たされ、インプラントを通過する電流は減少し、最終的にゼロ又は実質的にゼロまで下がる。反転電圧工程は60〜180sを要してもよい。
コンピュータ及びデータ自動記録器55を配置して、プレ陽極酸化工程及び陽極酸化工程の両方の間、適用される電圧、測定される静電容量、及び陽極酸化電流並びにそれらの変化を時間と共にそれぞれのインプラント12についてモニター及び記録する。従って、コンピュータ及びデータ自動記録器55は、それぞれのインプラント12について、陽極酸化のそれぞれの段階の間、単位面積(微視的ベースで)当たりの電荷を推定し得る。このことは、製造方法の品質保証を提供する。更に、それぞれのインプラント12が十分にrinseされているという保証を提供するためのリンス水伝導率検出器30に加えて、コンピュータ及びデータ自動記録器55を配置して、方法の他の段階からの測定(例えば、濃度、温度及びpHの指標としての伝導率)をモニター及び記録してもよい。
図1においてタンク20は、インプラント12を運ぶただ一つのバスバー25だけを入れるように示されているが、タンク20は、いくつかのバスバー25に接続されるインプラント12を同時に含み及び処理するように十分に大きくてもよいこと、及びタンク20は一つより多い対電極34を含んでもよいことが理解されるであろう。別の変更として、バスバー25に沿ったそれぞれの位置で接続される単独のインプラント12を有するよりむしろ、ピンやネジのような小さな物品(item)を処理するときは、一つより多くの物品がそれぞれの位置に接続されてもよいが、このことは、電流がそれら個々の物品に対して別々にはモニターされないという不利点を有する。上記の白金メッキチタン対電極34の代わりに、対電極34は、金でコーティングされたチタンのような異なる材料、又は固体白金、又はチタンについての混合酸化物(イリジウム/チタン又はIr/Pt/チタン酸化物)、又はガラス状炭素の対電極であってもよく、いずれにしても、対電極は電解液と反応してはならず、且つ、負又は正の適用される電圧によって影響されてはならない。
上記記載は例示目的であることが理解されるであろう。特に、陽極酸化は異なる電圧値を用いて行なわれてもよいが、不動態化については、電圧は好ましくは35Vより大きく、より好ましくは75Vより大きい。既に暗示したように、ピット形成は不動態化段階よりもより低い電圧で実施されてもよい。不動態化及びピット形成工程の両方において陽極酸化が100Vで実施される場合、典型的に通過する総電荷は2〜5C/cm2の範囲であるが、ピット形成がより低い電圧で実施される場合、方法はより低い電圧で幾分かより効果的であるので、幾分か低い電荷、例えば微視的面積の1cm2あたり0.5Cに至るまで、について満足な結果が得られ得る。
陽極酸化の第三段階は、表面層において水和した金属酸化物又はリン酸塩を生成するための還元であり、これは好ましくは、上記のように金属物体を陽極酸化電解液に接触させたまま、不動態化及びピット形成の後に負の電圧を金属物体に適用する工程を含む。このことは、いかなる追加の電解液又は溶液に対する必要を回避する。第二の選択肢として、不動態化及びピット形成を受けた金属物体を、次に、チタン又は基質金属の還元可能な水溶性の塩を含む電解質溶液と接触させ、負の電圧に曝して電気化学的還元を引き起こしてもよい。第三の選択肢として、電気化学的還元を行なう代わりに、金属物体を化学的還元剤と接触させてもよい。
適切な銀の表面濃度は、幾何学ベースで、1〜30μg/cm2の範囲、より典型的には1〜15μg/cm2の範囲、好ましくは2〜10μg/cm2の範囲であり、そのような濃度は、感染の抑制において有効であるが、有毒でない。いくつかの状況において、より高い銀負荷が望ましくてもよく、それは感染の抑制において有効であるが、有毒でないことが理解されるであろう。処理されたインプラント12の使用において、体液に曝される間、表面から、陽極酸化された層から、銀種の遅い浸出があり、金属物体の周辺の細菌、酵母又は真菌のような微生物の成長が阻害されると考えられる。浸出は、金属物体に接触する体液中のナトリウムのようなカチオンとの金属物体上の銀のイオン交換によって達成されると考えられる。局在化する酸素レベルの結果として水和した金属酸化物中に保持されるあらゆる光還元(photo-reduced)銀のイオン種に対する酸化のような、他のメカニズムが起こって放出銀イオンを生成し得、銀イオンは次に微生物の成長又はバイオフィルム形成を止め又は抑制し得る。銀イオンが表面から浸出される速度、及び表面における最初の銀の量は、埋め込みの後数週間、インプラントが殺菌性効果を有することを保証するのに十分である。
本願における殺菌性金属としての銀への言及は、銅、金、白金、パラジウム又はそれらの混合物のような他の殺菌性金属に対して、単独又は他の殺菌性金属との組み合わせにおいてのいずれにも適用されることが理解される。
追加のコーティング、例えばリン酸三カルシウム又はキドロキシアパタイトのような骨結合を高めるためのものは、上記のような陽極酸化に続いてインプラントの表面上に提供されてもよいことが理解される。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕金属物体を陽極酸化する方法であって、以下の工程、
前記金属物体を陽極酸化電解液に接触させ、表面をプレ陽極酸化して表面に薄い酸化物膜を成長させる工程、
前記プレ陽極酸化工程の間又は後のいずれかに前記薄い酸化物膜について電気的測定を行ない、その後、前記金属物体の表面積を推定する工程、及び
次に、前記金属物体を陽極酸化する工程、
を含む方法。
〔2〕金属物体を処理し、表面に殺菌性物質を浸出され得る形態で組み込む方法であって、以下の工程、
前記金属物体を陽極酸化電解液に接触させ、表面をプレ陽極酸化して表面に薄い酸化物膜を成長させる工程、
前記プレ陽極酸化工程の間又は後のいずれかに前記薄い酸化物膜について電気的測定を行ない、その後、前記金属物体の表面積を推定する工程、
次に、前記金属物質を陽極酸化して一体の表面層を形成し、前記一体の表面層を貫いてピットを形成する工程、及び次に、
前記陽極酸化された金属物体を殺菌性物質を含む溶液に接触させて、前記殺菌性物質を表面層中に組み込む工程、
を含む方法。
〔3〕前記プレ陽極酸化が、10V以下、好ましくは5V未満の電圧で行なわれる、前記〔1〕又は〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記電圧が、最大値まで徐々に増加する方法で適用される、前記〔3〕に記載の方法。
〔5〕前記プレ陽極酸化が、10分以下を要さない、前記〔3〕又は〔4〕に記載の方法。
〔6〕前記表面積が、前記プレ陽極酸化された表面の界面静電容量の測定から推定される、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔7〕前記界面静電容量が、平均電圧及び最大電圧の両方がプレ陽極酸化の間に用いられるピーク電圧未満であるように、変動電圧波形を金属物体に適用することによって測定される、前記〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記変動電圧波形が、最小電圧がゼロより大きいように、正のバイアス電圧と組み合わされる、前記〔7〕に記載の方法。
〔9〕前記表面積が、前記プレ陽極酸化工程の間の電流の測定から推定される、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の方法。
〔10〕前記電流の測定が、電流変動のプラトー部分に亘る平均電流である、前記〔9〕に記載の方法。
〔11〕前記陽極酸化工程が、前記金属物質を陽極酸化して、一体の表面層を形成することにより不動態化する工程、陽極酸化電圧の適用を継続して前記一体の表面層を貫いてピットを生成する工程、及び次に、電解液又は溶液との接触での電気化学的又は化学的還元によって、水和した金属酸化物又は金属リン酸塩を生成する工程、を含む、前記〔1〕〜〔10〕のいずれか1項に記載の方法。
〔12〕前記金属物体を陽極酸化した後、殺菌性物質を含む溶液と接触させる前に、前記金属物体を電解液又は溶液から除去又は分離し、リンスする、前記〔2〕又は前記〔2〕に従属する場合には前記〔3〕〜〔11〕のいずれか1項に記載の方法。
〔13〕陽極酸化の間、前記物体に与えられる電流をモニターする工程を含む、前記〔1〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の方法。
〔14〕前記陽極酸化工程の間、前記電流が抵抗器を通して前記金属物体に供給される、前記〔13〕に記載の方法。
〔15〕前記〔1〕〜〔14〕のいずれか1項に記載の方法によって金属物体を処理するためのプラント。

Claims (14)

  1. 金属物体を陽極酸化する方法であって、以下の工程、
    前記金属物体を陽極酸化電解液に接触させ、表面をプレ陽極酸化して表面に薄い酸化物膜を成長させる工程であって、電圧が、10V以下の最大値まで徐々に増加する方法で、10分以下の時間適用される、工程、
    前記プレ陽極酸化工程の間又は後のいずれかに前記薄い酸化物膜について電気的測定を行ない、その後、前記金属物体の表面積を推定する工程、及び
    次に、前記推定された表面積に基づいて決定される条件下で前記金属物体を陽極酸化する工程、
    を含む方法。
  2. 金属物体を処理し、表面に殺菌性物質を浸出され得る形態で組み込む方法であって、以下の工程、
    前記金属物体を陽極酸化電解液に接触させ、表面をプレ陽極酸化して表面に薄い酸化物膜を成長させる工程であって、電圧が、10V以下の最大値まで徐々に増加する方法で、10分以下の時間適用される、工程、
    前記プレ陽極酸化工程の間又は後のいずれかに前記薄い酸化物膜について電気的測定を行ない、その後、前記金属物体の表面積を推定する工程、
    次に、前記推定された表面積に基づいて決定される条件下で前記金属物質を陽極酸化して一体の表面層を形成し、前記一体の表面層を貫いてピットを形成する工程、及び次に、
    前記陽極酸化された金属物体を殺菌性物質を含む溶液に接触させて、前記殺菌性物質を表面層中に組み込む工程、
    を含む方法。
  3. 前記プレ陽極酸化が、5V未満の最大値を有する電圧で行なわれる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記プレ陽極酸化が、2.5V未満の最大値を有する電圧で行なわれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記電圧を0.2V/s以下の速度で最大値まで増加させる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記表面積が、前記プレ陽極酸化された表面の界面静電容量の測定から推定される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記界面静電容量が、変動電圧波形の平均電圧及び最大電圧の両方がプレ陽極酸化の間に用いられる電圧の最大値未満であるように、変動電圧波形を金属物体に適用することによって測定される、請求項6に記載の方法。
  8. 前記変動電圧波形が、最小電圧がゼロより大きいように、正のバイアス電圧と組み合わされる、請求項7に記載の方法。
  9. 前記表面積が、前記プレ陽極酸化工程の間の電流の測定から推定される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記電流の測定が、電流変動のプラトー部分に亘る平均電流である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記陽極酸化工程が、前記金属物質を陽極酸化して、一体の表面層を形成することにより不動態化する工程、陽極酸化電圧の適用を継続して前記一体の表面層を貫いてピットを生成する工程、及び次に、電解液又は溶液との接触での電気化学的又は化学的還元によって、水和した金属酸化物又は金属リン酸塩を前記ピット中に生成する工程、を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記金属物体を陽極酸化した後、殺菌性物質を含む溶液と接触させる前に、前記金属物体を電解液又は溶液から除去又は分離し、リンスする、請求項2又は請求項2に従属する場合には請求項3〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 陽極酸化の間、前記物体に与えられる電流をモニターする工程を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記陽極酸化工程の間、前記電流が抵抗器を通して前記金属物体に供給される、請求項13に記載の方法。
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