JP6129951B6 - 新規ピリド[3,4−c][1,9]フェナントロリンおよび11,12ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリン誘導体、ならびに、特にがんを治療するためのその使用 - Google Patents

新規ピリド[3,4−c][1,9]フェナントロリンおよび11,12ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリン誘導体、ならびに、特にがんを治療するためのその使用 Download PDF

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本発明は、新規芳香族複素環、それらを調製するための方法、ならびに、これら複素環を含有する薬剤に関する。
現在、多くのがん疾患は、活性剤を選択的に作用させることでは治療不可能である。世界保健機関(WHO)によれば、2000年には世界で約1000万人ががんと診断され、約600万人が死亡している(世界がん報告2003、www.iarc.fr/IARCPress/pdfs/wcr/WorldCancerReport.pdf)。がん疾患による死亡数は2030年までに年間約1150万に増加するとWHOは推定している(世界保健統計2007、www.who.int/whosis/whostat2007_10-highlights.pdf)。がんに罹患している多くの人々が、既存の薬剤の効能が乏しいために特定のタイプのがんの治療に関して好ましくない予後や副作用および使用する薬剤に対する耐性を生じることを鑑みると、新たながん薬剤に対する緊急の必要性がある。
6−アミノベンゾ[c]フェナントリジン類は、特許文献1から知られており、それらの一部は抗腫瘍性、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性および抗炎症性を有する。しかしながら、前述の化合物は、薬理学的特性における欠点、特に水溶性が低いという欠点を有する。
DE19538088A1
故に、本発明の目的は、新規薬剤を提供することである。更に、本発明の目的は、特にがん疾患に対する療法のための新規薬剤を提供することである。本発明の更なる目的は、医薬的に許容可能な水溶性を有する新規薬剤、ならびに本発明による化合物を得ることができる以下に記載されるような製造方法を提供することである。
この目的は、請求項および本記載に示す実施形態によって解決される。従属請求項および例は本発明の有利な実施形態を特定する。
1つの態様において、本発明は、一般式IまたはII
Figure 0006129951
但し、式中のRは、Cl、BrまたはIからなる群から選択される少なくとも1つの置換基Rをメタ位置に有する下記式のフェニル環に等しい、
Figure 0006129951
但し、式中のRは、同じでも異なっていてもよく、H、OH、OMe、OEtまたはハロゲンに等しい、
であるフェナントロリン誘導体;
ならびに一般式IIIまたはIV
Figure 0006129951
但し、式中のRは、少なくとも1つの置換基Rをメタ位置に有する下記式のフェニル環に等しく、
Figure 0006129951
但し、式中のRは、同じでも異なっていてもよく、H、OH、OMe、OEtまたはハロゲンに等しいか、または下記式の5員芳香族複素環に等しい、
Figure 0006129951
但し、式中のWは、O、SまたはNHに等しい、
であるフェナントロリン誘導体;
但し、式中のZは、H、F、Cl、Br、I、NHX、OXまたはSXに等しく、
但し、式中のXは、H、ジメチルアミノアルキル、ジエチルアミノアルキル、ω−(1,3−ジアゾール−1−イル)−アルキル−、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、チオアルキルまたはアルキルチオアルキル基に等しく、
ここで、アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルに等しく、および
Aは、OまたはSに等しい:
ならびにそれらの医薬的に許容可能な塩、溶媒和物およびプロドラッグを提供することに関する。
更なる態様において、本発明は、
(i)非プロトン性二極性溶媒中、塩基の存在下で、下記一般式:
Figure 0006129951
の置換4−メチルピリジン−3−カルボニトリルで、一般式R−CHO(V)の置換アルデヒドを変換し、下記一般式:
Figure 0006129951
の化合物を得る工程、
(ii)生成物を単離し、式I〜IVの6位にAまたはZ置換を有する誘導体に残基Rを挿入することによって6位誘導体化を行う工程、
を少なくとも含む、上述のような本発明に係る化合物を調製するための方法であって、
は、H、単置換または多置換された環式または非環式の分岐または直鎖脂肪族炭化水素残基、単置換または多置換された芳香族炭素環または複素環残基であり、
およびRは、同じでも異なっていてもよく、H、アルキルオキシ残基、アルキレンオキシ残基、ハロゲン原子またはニトロ基であり、
は、H、モノアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、(ジアルキル)アミノアルキルアミン((dialkyl)aminoalkylamin)、アルキル、アルコキシ、(ジアルキル)アミノアルキルオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルオキシ、チオール、(ジアルキル)アミノアルキルチオ、チオアルキル、アルキルチオアルキル基またはハロゲン原子である、方法に関する。
方法工程(ii)に相当する、6位にAまたはZ置換を有する誘導体に残基Rを挿入することによる後続の6位誘導体化により、一般式IIIまたはIVに示されるような本発明による化合物が得られる。
故に、本発明は、2つの工程(i)および(ii)の間に、任意に、
(i.a.)下記一般式:
Figure 0006129951
の、生じた生成物を脱水および単離する方法工程が導入され得る、上述のような化合物を調製するための方法に関する。
特に、本発明は、非プロトン性二極性溶媒が、好ましくは、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホラシドトリスミドなどのアミド、またはテトラメチルウレア、1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジン−2−オンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンまたはジメチルスルホキシドなどの尿素であり、塩基が、アルカリまたはアルカリ土類水素化物(水素化ナトリウムなど)、アルカリアミド(ナトリウムアミド、ナトリウムメチルアセトアミドなど)、アルカリ、アルカリ土類またはアルミニウムアルコラート(カリウムtert−ブチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートまたはアルミニウムエチラートなど)である、上述のような方法に関する。
6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド−[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からの白血病の腫瘍についての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からの非小細胞肺がんについての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からの大腸がんについての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からのCNSがんについての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からの黒色腫についての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からの腎細胞がんについての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からの卵巣がんについての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からの前立腺がんについての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する5用量アッセイ(NCI)からの乳がんについての用量反応曲線を示す。 6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4,−c][1,9]フェナントロリンのpH依存性溶解度を示す。 図10−1の続き。 11位の残基に依存する対数P値を示す。
本発明に従って行われる実験において、驚くべきことに、対応して置換された4−メチルピリジン−3−カルボニトリルで、対応して置換されたアルデヒドを単純に変換することにより、本発明によるフェナントロリン誘導体を得ることが可能である、ということが示された。
反応手順は以下のように表すことができる:
Figure 0006129951
詳細には、本手法は、非プロトン性二極性溶媒中、塩基の存在下で、式VI:
Figure 0006129951
式中のRおよびRは、同じでも異なっていてもよく、H、アルキルオキシ残基、アルキレンオキシ残基、ハロゲン原子またはニトロ基を表す、
の2モルの4−メチルピリジン−3−カルボニトリルで、下記式
Figure 0006129951
式中のRは、水素、単置換または多置換されていてもよい環式または非環式の分岐または直鎖脂肪族炭化水素残基、ならびに単置換または多置換され得る芳香族炭素環または複素環残基であってもよい、
のアルデヒドを変換し、式VIIの6−アミノ−11,12−ジヒドロピリド[3,4−c][1,9]フェナントロリンを得るようなものである。
遊離塩基の沈殿による単離、ろ過および後続の精製、例えば再結晶化(Organikum,第21版、2001、Wiley−VCH)の後、式VIIのこれら誘導体は、式IまたはIIの誘導体に対する1以上の工程において、相当する6位の残基Rに関して、Organikum、第21版、2001、Wiley−VCHまたはOrganic Chemistry、K. Peter C. Vollhardt、第3版、2000などから当業者に知られている、対応する化学法(ジアゾ化、無機酸塩化物によるカルボン酸誘導体の変換、求核芳香族置換、チオン/チオールの合成および還元反応、例えば脱硫など)によって、変換されるか、または、溶媒の不在下または存在下で、好適な脱水素化剤を用いて、当業者に一般的に知られている(”Comprehensive Organic Transformations”、Richard C. Larock、1989などの)方法に従って脱水素化を行って、式VIIIの対応する6−アミノピリド[3,4−c][1,9]フェナントロリンを得てもよく、これらの化合物は、単離の後に、式IIIまたはIVの誘導体に対する1以上の工程において、相当する6位の残基Rに関して、当業者に既知の化学法(Organikum、第21版、2001、Wiley−VCH; Organic Chemistry、K. Peter C. Vollhardt、第3版、2000)によって変換されてもよく、ここで、Rは、水素原子、モノアミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、(ジアルキル)アミノアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、(ジアルキル)アミノアルキルオキシ基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキルアミノ基、ヒドロキシアルキルオキシ基、チオール基、(ジアルキル)アミノアルキルチオ基、チオアルキルアミノ基、チオールアルキルチオ基ならびにハロゲン原子であってもよい。6位のN置換アルキレンジアミン側鎖の選択は、Genes (Genes et al.、Eu. J. Med. Chem. (46)、2011、2117−2131)などに示されている。酸素、硫黄および炭素求核試薬の輸入は、Cherng(Cherng、Tetrahedron 58、2002、4931−4935)などによって記載される通りであり、更に、Organikum、第21版、2001、Wiley−VCHまたはOrganic Chemistry、K. Peter C. Vollhardt、第3版、2000に記載される芳香族化合物での一般に適用可能な求核置換方法が当業者に知られている。
式VIIの、対応して置換された6−アミノ−11,12−ジヒドロピリド[3,4−c][1,9]フェナントロリンを調製するための本発明による反応用非プロトン性二極性溶媒として、好ましくは、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホラシドトリスミドなどのアミド、またはテトラメチルウレア、1,3−ジメチルテトラヒドロ−ピリミジン−2−オンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンまたはジメチルスルホキシドなどの尿素を使用することができる。
塩基として、例えば、以下のものを使用することができる:
アルカリまたはアルカリ土類水素化物(水素化ナトリウムなど)、アルカリアミド(ナトリウムアミド、ナトリウムメチルアセトアミドなど)、アルカリ、アルカリ土類またはアルミニウムアルコラート(カリウムtert−ブチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートまたはアルミニウムエチラートなど)。
反応は以下のように実施されてもよい:好適な二極性溶媒中に塩基を溶解させた溶液に、同溶媒中に化合物VおよびVIを溶解させた溶液を、不活性ガス下でゆっくりと滴加する。不活性ガス下で25〜40℃にて数時間撹拌した後、混合物を氷水上に注ぎ、残渣を濾過する。濾過した溶液を好適な有機溶媒を用いて振とう(shaken out)する。有機相をかなりの程度まで濃縮し、その後、真空蒸留する。複合残渣を好適な溶媒中で再結晶化により精製してもよい。次いで、不活性溶媒の存在または不在下で、好適な脱水素剤を用いて、一般に適用可能な方法(Comprehensive Organic Transformations、Richard C. Larock、1989)に従って、6−アミノ−11,12−ジヒドロピリド[3,4−c][1,9]フェナントロリンVIIを脱水して6−アミノ−ピリド[3,4−c][1,9]フェナントロリンVIIIにしてもよい。一般に適用可能な化学法(Organikum、第21版、2001、Wiley−VCH; Organic Chemistry、K. Peter C. Vollhardt、第3版、2000)を用いて、1以上の工程において、6位のアミノ基を上述の残基Rで置換してもよく、それにより、式IまたはIIに到達し、または、11,12−脱水素化誘導体の場合には式IIIまたはIVに到達する。
本発明による方法において特に注目すべきは、11位に脂肪族残基ならびに置換または非置換芳香族残基の両方を有するフェナントロリン誘導体の合成を可能にするということである。驚くべきことに、上述の単純な反応による合成が可能であり、この反応においては、使用されるアルデヒド出発材料に起因して、得られる生成物が大幅に変わる。更に、6位では、上述の残基に対してアミノ基を置換する可能性に起因して、かなりのバラエティーが生じる。両可変位置の組み合わせに基づいて、非常に広範囲の化合物および潜在的に細胞増殖抑制的に有効な物質の大きなライブラリーを構築する可能性が得られる。
1つの態様において、本発明はまた、上述のような方法によって得ることができる化合物に関する。
更なる態様において、本発明はまた、薬剤としての使用のための、特にがん治療における使用のための、上記化合物に関する。
上述のような本発明による化合物は、微生物疾患、真菌性疾患(fungicidal)、ウイルス性疾患および/または炎症性疾患からなる群から選択される疾患の治療における使用のためのものであるのが好ましい。
更に、本発明はまた、1つの態様において、がん治療における使用のための、上述のような本発明による化合物に関する。
好ましくは、がんは、白血病、黒色腫または乳がんからなる群から選択される。
更に、本発明は、好適な賦形剤と組み合わせた、上述のような化合物を少なくとも1つ含む医薬組成物に関する。
本発明に従って実施された実験において、上述のフェナントロリン誘導体が抗腫瘍特性を有することが示されている。それらの構造類似性から、それらもまたベンゾ[c]フェナントリジン類と同様、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性および抗炎症性を有することが想定される。薬理学的特性を調べるために、国立がん研究所(NCI)(米国メリーランド州ベセスダ)の「in vitro抗腫瘍性スクリーニング」において、一般式IおよびIIの化合物ならびに物質クラスIIIの化合物を調査した。9つのタイプのがん(白血病、非小細胞肺がん、大腸がん、CNSがん、黒色腫、卵巣がん、腎がん、前立腺がん、乳がん)に由来する60の異なるヒト病原性腫瘍細胞系を試験した。効能を測定するために、腫瘍細胞を2日間化合物に暴露し、その後、スルホローダミンB(SRB)を用いたタンパク質バイオマスの測定により成長阻害を間接的に測定する。未処理培養物は対照として使用する。
Figure 0006129951
国立がん研究所(NCI)での本発明による式IおよびIIのフェナントロリン誘導体の試験化合物の構造式.
本発明による分析において、60の細胞系に対して1μMの濃度で誘導体を最初に試験した。いくつかの誘導体について成長阻害を観察することができた。驚くべきことに、本発明による化合物は、抗腫瘍性化合物のカテゴリー外の活性を示し、同様に試験されると、全く新しい有効なスペクトルが得られる。
表Iは、11位および6位に異なる残基を有する式IおよびIIの本発明によるフェナントロリン誘導体の7つの異なる誘導体について選択された本試験の結果を示す。それぞれの残基が最初の2つの横列に示されている。左欄には3つの選択された腫瘍タイプ、すなわち、白血病、黒色腫ならびに乳がん由来の使用された細胞系が示されている。この表はそれらの異なる残基を持った対応する誘導体の成長阻害効果について述べている。
Figure 0006129951
表I:NCIによる式IおよびIIの誘導体を用いた60腫瘍細胞系(c=1μM)の細胞毒性試験
最初の3つの誘導体は、例のために選択された腫瘍タイプの細胞上で著しい成長阻害を示すが、残り4つの誘導体は、これらの細胞上で成長阻害効果を全く有さない、またはごく僅かにしか有さない。これは、11位の3−ハロフェニル残基が式IおよびIIのフェナントロリン誘導体の成長阻害効果にとって必須であることを示唆している。2位または4位にハロゲン原子を有する誘導体(本例では、2−ブロモフェニルまたは4−ブロモフェニル)も、フェニル環または非置換フェニル環の3位に他の官能基を有する誘導体も、この範囲では成長阻害効果を示さない。表IIは、11位に異なる残基を有する本発明による式IIIのフェナントロリン誘導体の5つの異なる誘導体について選択された本試験の結果を示す。11位の残基が最初の横列に示されている。左欄には3つの選択された腫瘍タイプ、すなわち、白血病、黒色腫ならびに乳がん由来の使用された細胞系が示されている。この表はそれらの異なる残基を持った対応する誘導体の成長阻害効果について述べている。
Figure 0006129951
国立がん研究所(NCI)での式IIIの本発明によるフェナントロリン誘導体の試験化合物の構造式。
Figure 0006129951
表II:NCIによる式IIIの誘導体を用いた60腫瘍細胞系(c=1μM)の細胞毒性試験
表2は、11位にトリメトキシフェニル残基を有する誘導体に関する成長阻害効果についての最良の結果を示す。メタ位置に唯一のメトキシ基を有する誘導体も著しい成長阻害を達成する。11−フェニル誘導体の効果はごく小さいが、o位置での置換は、2,3−ジメトキシフェニル誘導体の例においては不利であることがわかる。これは、少なくとも11−フェニル環のメタ位置において置換基の存在が必要であることを暗示している。表Iの結果を鑑みると、メタ位置でのハロゲンによるメトキシの置換によって、同様に良好な成長阻害効果が得られることが予想される。5員芳香族複素環(five−membered heteroaromate)の代表として、11−フリル誘導体はここで良好な細胞毒性効果を示す。
更に、表IおよびIIから、ここで試験した本発明によるフェナントロリン誘導体が特定の腫瘍タイプに対する選択性を有することが分かる。最も顕著な成長阻害効果は、白血球の腫瘍細胞についてである。更に、黒色腫及び乳がん(mamma carcinoma)(乳がん(breast cancer))の腫瘍細胞に対してもある程度の選択性が見られる。これらの結果は、60細胞系全てに当てはまる。最も強力な化合物につき、更に用量反応関係を5つの濃度について測定した。GI50(成長阻害50%)は、本明細書では、細胞成長を50%阻害するのに必要な試験物質の濃度を表す。故に、試験対象物質に関する、60細胞系全ての平均反応の対数GI50値の平均に相当する、いわゆる「平均グラフ中点」(MG_MID)が測定される[Boyd and Paull、Drug. Develop. Res.、34、(1995) 91−109]。
Figure 0006129951
このサイズは、使用した試験系における化合物の活性の特徴付け、および、他の化合物の活性との定量比較を可能にする(表3)。以下の表は、平均グラフ中点を測定し、それからGI50値を計算したそれぞれの物質についての、式IおよびIIIの4つの誘導体をそれらの使用コードと共に示す。
Figure 0006129951
表3の凡例:
P4=6−アミノ−11,12−ジヒドロピリド[3,4−c][l,9]フェナントロリン、P5=6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロ−ピリド−[3,4−c][l,9]フェナントロリン、P5−O=11−(3−ブロモフェニル)−6−オキソ−5,6,11,12−テトラヒドロピリド[3,4−c][l,9]フェナントロリン、P16=6−アミノ−11−(3−クロロフェニル)−11,12 ジヒドロピリド−[3,4−c][l,9]フェナントロリン、P26=6−アミノ−11−(3,4−ジクロロフェニル)−11,12−ジヒドロピリド−[3,4−c][l,9]フェナントロリン。
本発明による化合物に加えて、ファガロニンを試験した。ファガロニンは薬草ベンゾ[c]フェナントリジンアルカノイドであり、合成ベンゾ[c]フェナントリジン誘導体開発のためのリード化合物として考えられている(Pommier, Y. Nat. Rev. Cancer、6、(2006)、789; Pommier, Y. Chem. Rev. 109、(2009)、2984)。用量反応曲線を測定した本発明によるフェナントロリン誘導体は全て、天然生成物ファガロニンよりも良好な成長阻害効果を示していることに留意されたい。
6−アミノ11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド[3,4−c][1,9]フェナントロリンの例が、図1〜9に示す用量反応曲線である。9つの異なる図は、様々なタイプのがんを包含する。化合物の濃度に依存する成長%がプロットされている(モル濃度のlog10として)。各タイプのがんに関する個々の曲線は、このタイプのがんの異なる細胞系(それらの通常の略語で凡例として示される)である。図中の水平な線は、パーセント成長+100、+50、0、−50、−100を表す。100%成長は、例えば、物質を添加せずに2日後に成長の変化がないことを意味する。各曲線において、物質濃度が高くなるにつれ、パーセント成長が減少することが分かる。
本発明によるフェナントロリン誘導体の特に有利な点は、6−アミノベンゾ[c]フェナントリジンと比較して水溶性が向上している点である。特に、得られる酸性水性媒体中の溶解度(pH2のリン酸緩衝液中では2〜20mMまたはpH4のリン酸緩衝液中では0.01〜0.5mmol)がこれにより示されており、これは2つの更なるプロトン付加可能な窒素原子に起因する。pH7.4では、多くの誘導体の溶解度は低いマイクロモル範囲(<1〜15μM)にみられ、このpHでの6−アミノベンゾ[c]フェナントリジンの溶解度は主にナノモル範囲にある。図10は、4つの個々のグラフを示しており、これらは異なるpH値を有する4つのリン酸緩衝系を表す。ここで、本発明による新規6−アミノ−11,12−ジヒドロピリド−[3,4,−c][1,9]フェナントロリンの溶解度はy軸にプロットされ、一方、x軸には、11位に異なる残基を有する多様な誘導体(3a:R=フェニル、3b:R=3−メトキシフェニル、3d:R=2,3−ジメトキシフェニル、3e:R=3,5−ジメトキシフェニル、3f:R=3,4,5−トリメトキシフェニル、3g:R=2,4,6−トリメトキシフェニル、3h:R=フリル、3i:R=チエニル、3j:R=3−ブロモフェニル、3k:R=4−ブロモフェニル、3l:R=3−クロロフェニル、3m:R=4−フルオロフェニル、3n:R=ビフェニル、3o:R=プロピル)が見られる。
更に、本発明によるフェナントロリン誘導体の対数P値が、物質クラスの親油性の尺度として測定された。それにより、11位に異なる残基を有する6つの異なる6−アミノ−11,12−ジヒドロピリド−[3,4,−c][1,9]フェナントロリンを、対応するベンゾ[c]フェナントリジンと比較した。図11は、2つの比較した物質クラスに関し、11位の6つの指定された残基の点で異なる誘導体に対する対数P値をそれぞれy軸上に示している。更に、平均(MW)が示されている。
グラフから、本発明による6−アミノ−11,12−ジヒドロピリド−[3,4−c][1,9]フェナントロリンの対数P値が、対応するベンゾ[c]フェナントリジンの平均よりもおよそ値2だけ低いことが分かる。
これは、薬剤としての物質クラスの好適性および特にその経口バイオアベイラビリティを考慮すると、非常に重要である。潜在的な薬剤の経口バイオアベイラビリティ予測のための一般に認知された経験則であるLipinskiの「5の法則(Rule of Five)」(Lipinski, C. A.; Lombardo, F.; Dominy, B. W.; Feeney, P. J. Adv. Drug. Deliv. Rev. 46 (2001), 3−26)によれば、5を超える水素結合ドナー(OHまたはNH基など)、10以下の水素結合アクセプター(酸素または窒素原子など)、500g/モル以下の分子量、ならびに最大5のオクタノールと水との間の分配係数(対数P)を有していない場合、物質は経口バイオアベイラブルである。本発明による調査された誘導体は全て「5の法則」の閾値内にあり、その後、溶液、錠剤、カプセルなどの形状をなす経口薬剤として適用可能である。
図面は、6−アミノ−11−(3−ブロモフェニル)−11,12−ジヒドロピリド−[3,4,−c][1,9]フェナントロリンに関する、5用量アッセイ(NCI)からの9つの異なる腫瘍タイプの用量反応曲線を示す。

Claims (9)

  1. 一般式IまたはII
    Figure 0006129951
    但し、式中のRは、Cl、BrまたはIからなる群から選択される少なくとも1つの置換基Rをメタ位置に有する下記式のフェニル環に等しい、
    Figure 0006129951
    但し、式中のRは、同じでも異なっていてもよく、H、OH、OMe、OEtまたはハロゲンに等しい、
    の化合物;
    ならびに一般式IIIまたはIV
    Figure 0006129951
    但し、式中のRは、少なくとも1つの置換基Rをメタ位置に有する下記式のフェニル環に等しく、
    Figure 0006129951
    但し、式中のRは、同じでも異なっていてもよく、H、OH、OMe、OEtまたはハロゲンに等しく、或いはRは下記式の5員芳香族複素環に等しい、
    Figure 0006129951
    の化合物;
    但し、式中のWは、O、SまたはNHに等しく、
    但し、式中のZは、H、F、Cl、Br、I、NHX、OXまたはSXに等しく、
    但し、式中のXは、H、ジメチルアミノアルキル、ジエチルアミノアルキル、ω−(1,3−ジアゾール−1−イル)−アルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、チオアルキルまたはアルキルチオアルキル基に等しく、
    ここで、アルキルは、メチル、エチルまたはプロピルに等しく、および
    Aは、OまたはSに等しい:
    ならびにそれらの医薬的に許容可能な塩、および溶媒和物。
  2. (i)非プロトン性二極性溶媒中、塩基の存在下で、下記一般式:
    Figure 0006129951
    の置換4−メチルピリジン−3−カルボニトリルで、一般式R−CHO(V)の置換アルデヒドを変換し、下記一般式:
    Figure 0006129951
    の化合物を得る工程、
    (ii)生成物を単離し、式I〜IVの6位にAまたはZ置換を有する誘導体に残基Rを挿入することによって6位誘導体化を行う工程、
    を少なくとも含む、請求項1に記載の化合物を調製するための方法であって、
    は、H、単置換または多置換された環式または非環式の分岐または直鎖脂肪族炭化水素残基、単置換または多置換された芳香族炭素環または複素環残基であり、
    およびRは、同じでも異なっていてもよく、H、アルキルオキシ残基、アルキレンオキシ残基、ハロゲン原子またはニトロ基であり、
    は、H、モノアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、(ジアルキル)アミノアルキルアミン((dialkyl)aminoalkylamin)、アルキル、アルコキシ、(ジアルキル)アミノアルキルオキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキルアミノ、ヒドロキシアルキルオキシ、チオール、(ジアルキル)アミノアルキルチオ、チオアルキル、アルキルチオアルキル基またはハロゲン原子である、方法。
  3. 2つの工程(i)および(ii)の間に、任意に、
    (i.a.)下記一般式:
    Figure 0006129951
    の、生じた生成物を脱水素および単離する方法工程が導入されてもよい、請求項2に記載の方法。
  4. 非プロトン性二極性溶媒が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホラシドトリスアミドなどのアミド、またはテトラメチルウレア、1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジン−2−オンおよび1,3−ジメチルイミダゾリジノンまたはジメチルスルホキシドなどの尿素であり、
    塩基が、アルカリまたはアルカリ土類水素化物(水素化ナトリウムなど)、アルカリアミド(ナトリウムアミド、ナトリウムメチルアセトアミドなど)、アルカリ、アルカリ土類またはアルミニウムアルコラート(カリウムtert−ブチラート、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラートまたはアルミニウムエチラートなど)である、
    請求項2または3に記載の方法。
  5. 薬剤としての使用のための、請求項1に記載の化合物。
  6. 微生物疾患、真菌性疾患(fungicidal)、ウイルス性疾患および/または炎症性疾患からなる群から選択される疾患の治療における使用のための、請求項1に記載の化合物。
  7. がん治療における使用のための、請求項1に記載の化合物。
  8. がんが、白血病、黒色腫または乳がんからなる群から選択される、請求項に記載の化合物。
  9. 好適な賦形剤と組み合わせた、請求項1、5〜のいずれか一項に記載の化合物を少なくとも1つ含む医薬組成物。
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