本発明に基づいた実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。実施の形態の説明において、個数および量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数およびその量などに限定されない。実施の形態の説明において、同一の部品および相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
(湿式画像形成装置100)
図1を参照して、実施の形態における湿式画像形成装置100について説明する。湿式画像形成装置100は、搬送経路(矢印AR50参照)に沿って搬送される記録媒体50上に画像を形成する。具体的には、湿式画像形成装置100は、現像装置10、感光体20(潜像担持体)、帯電装置21、露光装置22、クリーニングブレード24、中間転写ローラー25、クリーニングブレード26、加圧ローラー27、定着装置30、画像濃度検知センサー41(画像濃度検知手段)、および制御装置60(制御手段)を備える。
現像装置10は、現像槽11S、供給装置11T,11C、汲み上げローラー11、規制ブレード11B、供給ローラー12、現像ローラー13(現像剤担持体)、クリーニング装置13B、および帯電チャージャー13C(帯電量制御手段)を含む。供給装置11T,11Cは、トナーおよびキャリア液等を現像槽11S内に供給する。トナーおよびキャリア液は、混合されたのち液体現像剤11Dとして現像槽11S内に貯留される。液体現像剤11Dは、キャリア液である絶縁性液体と、着色剤および樹脂により形成されたトナー(トナー粒子ともいう)と、トナーをキャリア液中に分散させる分散剤とを主要成分として含んでいる。
汲み上げローラー11は、現像槽11S内の液体現像剤11Dに接触するように配置される。汲み上げローラー11としては、ウレタン製のローラー、NBR(Nitrile Butadiene Rubber)製のゴムローラー、または表面に凹部を設けたアニロックスローラー等を用いることができる。汲み上げローラー11の回転によって、液体現像剤11Dは汲み上げローラー11の表面に汲み上げられる。
液体現像剤11Dは、汲み上げローラー11に担持されたのち、規制ブレード11Bによって余剰の分量が掻き落とされ、一定の膜厚となるように規制される。液体現像剤11Dは、汲み上げローラー11の回転によって、汲み上げローラー11と供給ローラー12とが相互に対向している部分(転接部)に向かって搬送される。
供給ローラー12は、汲み上げローラー11に当接している。供給ローラー12としては、ウレタン製のローラー、またはNBR製のゴムローラーを用いることができる。供給ローラー12および汲み上げローラー11は、転接部においてこれらのローラーの表面同士が同じ方向(図中矢印方向)に移動するように回転している。
転接部(ニップ部)に到達した液体現像剤11Dの一部は、汲み上げローラー11と供給ローラー12との接触により、供給ローラー12上に移動する。転接部(ニップ部)に到達した液体現像剤11Dの他の一部は、転接部をそのまま通過し、汲み上げローラー11上に残留する。供給ローラー12上に移動した液体現像剤11Dは、供給ローラー12の回転によって、供給ローラー12と現像ローラー13とが相互に対向している部分(転接部)に向かって搬送される。
現像ローラー13は、供給ローラー12に当接している。現像ローラー13としては、ウレタン製のローラー、またはNBR製のゴムローラーを用いることができる。現像ローラー13および供給ローラー12は、転接部においてこれらのローラーの表面同士が反対方向(図中矢印方向)に移動するように回転している。
転接部(ニップ部)に到達した液体現像剤11Dは、供給ローラー12と現像ローラー13との接触により、現像ローラー13上に移動する。供給ローラー12および現像ローラー13の回転方向が反対方向(カウンター回転方向)であることにより、液体現像剤11Dは転接部に侵入することがほとんどない。供給ローラー12に担持されている液体現像剤11Dの略全部は、現像ローラー13上に移動し、現像ローラー13上には長手方向に厚さが均一になるように調節された液体現像剤11Dの薄層が形成される。
薄層を形成した液体現像剤11D中のトナーは、現像ローラー13と帯電チャージャー13Cとが対向している部分に搬送される。トナーは、帯電チャージャー13Cから現像ローラー13へと流れ込む電流により帯電する。液体現像剤11Dは、現像ローラー13の回転によって、現像ローラー13と感光体20とが相互に対向している部分(現像部23)に向かってさらに搬送される。
(搬送量制御手段)
詳細は後述されるが、現像ローラー13の回転により現像部23に搬送される液体現像剤11D(トナー薄層)の量は、トナー搬送量設定フローFL1(図11参照)を経ることによって適切な値に設定される。現像部23に搬送される液体現像剤11D(トナー薄層)を増減するためには、たとえば現像ローラー13の回転速度と、汲み上げローラー11および供給ローラー12の回転速度との間に差を設ける方法があげられる。
現像ローラー13に供給される液体現像剤11Dの量は、現像ローラー13の回転速度に対する汲み上げローラー11および供給ローラー12の回転速度に応じて変化する。たとえば、供給ローラー12と現像ローラー13との間の転接部において、現像ローラー13の表面の移動速度に比べて、供給ローラー12の表面の移動速度の方が速くなるようにすると、転接部に供給される液体現像剤の量が多くなり、現像ローラー13上の液体現像剤11Dの搬送量は多くなる。汲み上げローラー11および供給ローラー12の回転速度を変化させることによって現像ローラー13に供給される液体現像剤11Dの量(現像部23に搬送される液体現像剤11Dの搬送量)を増減する場合、汲み上げローラー11および供給ローラー12が搬送量制御手段に相当する。
このような構成に限られず、供給ローラー12と現像ローラー13との間に電位差を設け、供給ローラー12上の液体現像剤中のトナーを予め帯電させるようにしてもよい。この場合、供給ローラー12と現像ローラー13との間の転接部において、液体現像剤が供給ローラー12から現像ローラー13に電気的に移動する。ローラー間の電位差を制御することにより、供給ローラー12から現像ローラー13への液体現像剤11Dの移動量を調節でき、ひいては現像部23に搬送される液体現像剤11Dの搬送量を増減できる。この場合、供給ローラー12と、供給ローラー12および現像ローラー13の間に電位差を設ける手段と、供給ローラー12上の液体現像剤中のトナーを予め帯電させる手段とが、搬送量制御手段に相当する。
(帯電量制御手段)
同様に詳細は後述されるが、帯電チャージャー13C(帯電量制御手段)により帯電される液体現像剤11Dの帯電量も、トナー搬送量設定フローFL1(図11参照)を経ることによって適切な値に設定される。液体現像剤11D中のトナーの帯電量を調節する方法としては、トナーを帯電させている時に現像ローラー13に流れ込む電流を測定し、その測定結果に基づいて帯電チャージャー13Cの出力を増減させ、液体現像剤11D中のトナーの帯電量を調節する方法があげられる。この方法に限られず、現像ローラー13上の液体現像剤11Dの電位を直接測定し、その測定結果に基づいて帯電チャージャー13Cの出力を増減させ、液体現像剤11D中のトナーの帯電量を調節するようにしてもよい。
図2を参照して、湿式画像形成装置100(図1)には、現像装置10Aが採用されてもよい。上述の現像装置10(図1)は、3つのローラー11,12,13を備えるが、現像装置10Aは、汲み上げローラー11および現像ローラー13の2つを備える。現像装置10Aにおいては、汲み上げローラー11上の液体現像剤が現像ローラー13に移動することにより、現像ローラー13上にトナー薄層が形成される。この場合、現像ローラー13に供給される液体現像剤11Dの量は、現像ローラー13の回転速度に対する汲み上げローラー11の回転速度に応じて変化する。汲み上げローラー11の回転速度を変化させることによって現像ローラー13に供給される液体現像剤11Dの量(現像部23に搬送される液体現像剤11Dの搬送量)を増減する場合、汲み上げローラー11が搬送量制御手段に相当する。
図1に示すような3つのローラー11,12,13を含む現像装置10、および図2に示すような2つのローラー11,13を含む現像装置10Aは、いずれも実施の形態の一例である。ローラーの本数、各ローラーの回転方向、ローラーの回転速度、および、ローラーとローラーとの間に形成される電界などは、現像ローラー13上に均一なトナー薄層を形成するために適宜設定されればよい。
図3を参照して、図1に示す現像装置10および図2に示す現像装置10Aに適用可能な帯電チャージャー13Cは、たとえば次のような構成を有している。帯電チャージャー13Cは、現像ローラー13の長手方向(回転軸方向)に沿って延びるように設けられたワイヤー13C1と、ワイヤー13C1を現像ローラー13とは反対側から囲うように配置されたケーシング13C2とを含んでおり、ケーシング13C2は接地電位に接続されている。ワイヤー13C1は、図示しない電源に接続されており、ワイヤー13C1に電源から電流が供給された時、電流はワイヤー13C1から現像ローラー13およびケーシング13C2に流れ込む。
図4を参照して、電源からワイヤー13C1に供給される電流とワイヤー13C1から現像ローラー13に流れ込む電流とは、図4中の線LNに示すような比例関係(線形関係)を有する。線LNに示されるように、電源からワイヤー13C1に供給される電流が増加すると、ワイヤー13C1から現像ローラー13に流れ込む電流も増加する。すなわち、電源からワイヤー13C1に供給される電流を調節することで、帯電チャージャー13Cから現像ローラー13に流れ込む電流を制御すること(現像ローラー13上の液体現像剤11Dの帯電量を制御すること)ができる。同様に、電源から帯電チャージャー13Cに印加される電圧を制御することで、現像ローラー13に流れ込む電流を制御することができる。電源の電圧を調節することにより、現像ローラー13上の液体現像剤11Dの帯電量を制御してもよい。
(液体現像剤)
現像に用いる液体現像剤11Dについて説明する。液体現像剤11Dは、溶媒であるキャリア液と、キャリア液中に分散され、着色された高濃度のトナー粒子(トナー)とを含んでいる。液体現像剤11Dには、分散剤または帯電制御剤などの添加剤が添加されていてもよい。キャリア液としては、絶縁性の溶媒が用いられる。トナー粒子は、主として樹脂と着色のための顔料および/または染料とを含む。樹脂には、顔料および/または染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、記録媒体50に定着される際のバインダーとしての機能とを有する。
トナー粒子としては、一般に電子写真用の液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナー粒子用の結着樹脂としては、たとえばポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、およびその他の熱可塑性樹脂を用いることができる。これらの樹脂を複数、混合して用いることも可能である。
トナー粒子の着色に用いられる顔料および/または染料も、一般に市販されているものを用いることができる。トナー粒子の体積平均粒子径は、0.1μm以上、5μm以下の範囲が適当である。トナー粒子の平均粒子径が0.1μm以上であると、現像性が向上する。一方、平均粒子径が5μm以下であると、画像の品質が向上する。
液体現像剤11Dの調製方法としては、一般に用いられる技法に基づく調製方法を採用することができる。たとえば、結着剤樹脂と顔料とを所定の配合比で混合する。配合したものを、加圧ニーダまたはローラーミルなどを用いて溶融混練して均一に分散させる。得られた分散体をたとえばジェットミルによって微粉砕する。得られた微粉末をたとえば風力分級機などにより分級することで、所望の粒径を有する着色トナー粒子を得ることができる。
得られたトナー粒子とキャリア液としての絶縁性液体とを所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段により均一に分散させることにより、液体現像剤11Dを得ることができる。液体現像剤11Dに対するトナー粒子の割合は、約10質量%以上、約50質量%以下の範囲が適当である。
液体現像剤11Dに対するトナー粒子の割合が10質量%以上の場合、トナー粒子の沈降が生じにくく、長期保管時の経時的な安定性が得られる。さらに、少量の液体現像剤を供給することで必要な画像濃度を得ることができ、紙上に付着するキャリア液の量も減らすことができる。定着時の乾燥動作を少なくすることができ、蒸気が多量に発生することもない。液体現像剤11Dに対するトナー粒子の割合が50質量%以下の場合、液体現像剤11Dの粘度が高くなりすぎることもなく、製造上も、取り扱い上も都合がよい。
本実施の形態においては、ポリエステル樹脂を100部と銅フタロシアニンを15部とをヘンシェルミキサー(登録商標)で十分混合した後、この混合物に対して、ロール内の加熱温度が100℃に設定された同方向回転二軸押出し機を用いて溶融混練を行ない、得られた混合物を冷却および粗粉砕して粗粉砕トナー粒子を得た。
IPS2028(出光興産社製)75部、粗粉砕トナー粒子を25部、分散剤としてV216(IPS社製)を0.8部混合し、サンドミルにより4日間湿式粉砕し、液体現像剤11Dを得た。トナー粒子の粒径は2.0μmであった。このトナー粒子の粒径はレーザ回折式粒度分布測定装置(SALD−2200(島津製作所社製))にて測定した値である。
(像形成手段)
図1を再び参照して、感光体20は、ドラム状の形状を有し、図中の矢印方向に回転する。帯電装置21、露光装置22、現像装置10(現像ローラー13)、画像濃度検知センサー41、および中間転写ローラー25は、感光体20の周りに、感光体20の回転方向に沿ってこの順に配置される。帯電装置21は、感光体20の表面を一様に帯電させる。露光装置22は、感光体20の表面に所定の画像情報に基づいた光を照射する。感光体20の表面は露光され、感光体20の表面には静電潜像が形成される。
詳細は後述されるが、露光装置22は、通常の画像情報に基づいて露光量、露光範囲、および露光のタイミング等が制御されることに加えて、パッチ画像を形成するために必要な露光量、露光範囲、および露光のタイミング等の各値によっても制御される。露光装置22がこのように制御されることによって、感光体20の表面には、パッチ画像(詳細は後述する)に対応する静電潜像が形成される。
上述のとおり、現像装置10の現像ローラー13は、感光体20に対向するように配置される。現像ローラー13は、感光体20と現像ローラー13とが互いに対向する位置である現像部23に液体現像剤を搬送する。現像ローラー13と感光体20との間(現像部23)には、図示しない現像バイアス電源装置により、コントラスト電位(現像電位差)が設けられている。
現像部23に形成された電界の作用によって、液体現像剤は現像ローラー13から感光体20の表面上に静電移動する。液体現像剤(キャリア液およびトナー)は、感光体20の表面上に静電吸着する。感光体20に担持されていた静電潜像が顕像化されることによって、感光体20の表面には、静電潜像の形状に対応したトナー像(または後述するパッチ画像)が形成される。
現像ローラー13から感光体20に移動せずに現像ローラー13上に残留した液体現像剤11Dは、クリーニング装置13Bによって現像ローラー13の表面から掻き取られたのち回収される。回収された液体現像剤は、現像槽11S内の液体現像剤11Dとは異なるトナー濃度を有しているため、現像槽11Sとは別のタンク(図示せず)に送られ、トナー濃度を調節されたのち現像槽11Sに戻される。
本実施の形態における像形成手段は、静電潜像を顕像化してトナー像(およびパッチ画像)を感光体20上に形成するものとして、現像ローラー13、および、現像ローラー13と感光体20との間に電位差を形成する図示しない現像バイアス電源装置を含んでいる。
感光体20は、表面に形成されたトナー像を担持しつつ回転する。トナー像は、感光体20と画像濃度検知センサー41とが対向している部分に搬送される。詳細は後述されるが、画像濃度検知センサー41は、像形成手段によって感光体20の表面上に形成されたパッチ画像としてのトナー像の画像濃度を検知する。画像濃度検知結果は、制御装置60に送出される。
中間転写ローラー25は、感光体20と接触しながら回転する。感光体20と中間転写ローラー25との間のニップ部において、感光体20上のトナー像は、感光体20から中間転写ローラー25の表面上に転写される。転写されずに感光体20上に残存したキャリア液およびトナーは、クリーニングブレード24によって、感光体20の表面から除去される。
加圧ローラー27は、中間転写ローラー25に対向するように配置される。記録媒体50は、加圧ローラー27と中間転写ローラー25との間を通過する。加圧ローラー27と中間転写ローラー25との間のニップ部において、トナー像は、中間転写ローラー25から記録媒体50の記録面上に転写される。記録媒体50の記録面上には、トナー像が形成される。
転写されずに中間転写ローラー25上に残存したキャリア液およびトナーは、クリーニングブレード26によって、中間転写ローラー25の表面から除去される。トナー像を担持した記録媒体50は、定着装置30に向かって搬送される。定着装置30は、プレ加熱装置31および一対の定着ローラー32,33を含む。プレ加熱装置31は、記録媒体50を加熱し、トナー像の中のキャリア液、および記録媒体50の中に含浸したキャリア液を揮発させる。その後、記録媒体50上のトナー像は、定着ローラー32,33により加熱および溶融され、記録媒体50上に定着する。
図1に示す湿式画像形成装置100は、一組の現像装置10および感光体20を備えている。湿式画像形成装置100は、カラー画像を形成するために、複数組の現像装置10および感光体20を備えていてもよい。たとえば、これらを4組用意し、4つの感光体20上にCMYKの各色のトナー像をそれぞれ形成し、中間転写ローラー25上で各色のトナー像を重ね合わせるという構成を採用してもよい。中間転写ローラー25も、必須の構成ではなく、必要に応じて用いられるとよい。その他の公知の電子写真各プロセス技術も、目的に応じて本実施の形態の湿式画像形成装置100に適宜採用することができる。
(画像濃度検知手段)
図5を参照して、画像濃度検知手段としての画像濃度検知センサー41の構成について説明する。画像濃度検知センサー41は、いわゆる反射型光センサーであり、支持部材44、発光部45および受光部46を備える。発光部45は、たとえばLED(Light Emitting Diode)を含み、受光部46は、たとえばフォトダイオードを含む。発光部45は、検知光45Lを出射する。
検知光45Lは、感光体20の表面と、感光体20の表面に担持されるトナー像(パッチ画像)とに入射角θ1で照射される。感光体20の表面および感光体20上のトナー像(パッチ画像)に対して反射角θ2で反射した反射光46Lは、受光部46によって受光される。受光部46が受光した受光量に応じた電圧が、センサー出力Sとして出力され、制御装置60に送出される。
発光部45から出射される検知光45Lの光軸と、感光体20の表面に対する法線との間には、入射角θ1が形成される。受光部46に向かう反射光46Lの光軸と、感光体20の表面に対する法線との間には、反射角θ2が形成される。本実施の形態においては、入射角θ1および反射角θ2が略同一の値となるように、発光部45および受光部46が配置されている。支持部材44には、検知光45Lおよび反射光46Lの光軸に沿ってそれぞれ延びるように細い孔が設けられており、発光部45および受光部46は、その細い孔の底部にそれぞれ配設されている。
感光体20の表面(裸面または地肌面ともいう)は、平滑な形状を有している。発光部45から出射された検知光45Lのうち、感光体20の表面に照射されたものは、感光体20の表面で鏡面反射(正反射)されやすい。検知光45Lのうちの感光体20の表面に照射されたものは感光体20の表面で鏡面反射するため、受光部46で受光される反射光46Lの受光量が多くなる。感光体20の表面のうち、トナー粒子が存在している部分の面積に比べて感光体20の表面が露出している部分の面積の方が大きい領域については、受光部46での受光量が多くなり、センサー出力Sも高くなる。
一方で、発光部45から出射された検知光45Lのうち、感光体20の表面上に存在しているトナー粒子に照射されたものは、トナー粒子の表面で乱反射されたり、トナー粒子およびトナー粒子中の顔料に吸収されたりする。検知光45Lのうちの感光体20上のトナー粒子に照射されたものについては、受光部46で受光される反射光46Lの受光量は少なくなる。感光体20の表面のうち、トナー粒子が存在している部分の面積に比べて感光体20の表面が露出している部分の面積の方が小さい領域については、受光部46での受光量が少なくなり、センサー出力Sも低くなる。
画像濃度検知センサー41からのセンサー出力Sに基づいて、感光体20上に形成されたトナー像(パッチ画像)の画像濃度を検知することができる。画像濃度検知センサー41としては、正反射方式および乱反射方式のうちのいずれの構成が採用されてもよい。いずれの方式が採用された場合であっても、感光体20の表面では検知光45Lは反射しやすく、トナー被覆面では検知光45Lは乱反射しやすい。トナーの被覆率の大小に応じて受光部46での受光量が変化することを利用して、ある面積におけるトナーの被覆率を、トナー像の画像濃度として検知することができる。
図1を参照して、画像濃度検知センサーがトナー像(パッチ画像)の画像濃度を検知するためには、符号42で示す部分に画像濃度検知センサーが配置されていてもよい。この場合、画像濃度検知センサーは、中間転写ローラー25上に担持されているトナー像の画像濃度を検知する。画像濃度検知センサーとしては、正反射方式および乱反射方式に加えて、透過方式のものを採用することができる。
画像濃度検知センサーがトナー像(パッチ画像)の画像濃度を検知するためには、符号43で示す部分に画像濃度検知センサーが配置されていてもよい。この場合、画像濃度検知センサーは、記録媒体50上に定着されたトナー像の画像濃度を検知する。画像濃度検知センサーとしては、正反射方式および乱反射方式に加えて、透過方式のものを採用することができる。画像濃度検知センサーは、記録媒体50上に転写された定着前のトナー像の画像濃度を検知するようにしてもよい。図1中では符号41〜43の3つを説明上の便宜のため図示しているが、画像濃度検知センサーとしては、トナー像の画像濃度を検知するために、符号41〜43のうちの少なくともいずれか1つの位置に配置されていればよい。
(画像濃度の不均一)
図6〜図8を参照して、画像濃度検知センサー41が検知するトナー像(パッチ画像)の画像濃度の詳細について説明する。図6は、現像部23において液体現像剤11Dが現像ローラー13から感光体20に静電移動する際の様子を模式的に示す図である。
上述のとおり、現像ローラー13および感光体20は、現像部23において表面同士が同じ方向に移動するように回転する。現像ローラー13上の液体現像剤11Dは、現像部23上において現像ローラー13から感光体20上に移動する。感光体20上の静電潜像は、液体現像剤11Dの供給により顕像化(現像)される。
液体現像剤11Dが現像ローラー13から感光体20に移動する際、現像部23に搬送される液体現像剤11Dの中のトナー粒子の帯電量が不足していると、次のような現象が生じやすくなる。すなわち、トナー粒子の帯電量が不足している場合、トナー粒子が電界から受ける力が弱くなり、トナー粒子の移動速度も不足する。トナー粒子の感光体に対する押し付け力が不十分となる結果、トナー粒子の感光体20への圧縮(静電吸着力)が弱くなる。
現像ローラー13と感光体20との間の現像部23(ニップ部)の出口付近において、液体現像剤の粘性により液体現像剤の挙動が乱れる。液体現像剤は、感光体20上に移動して現像に供されるもの(液体現像剤11E)と、現像ローラー13上に残留するものとに分かれる。この際、現像ローラー13と感光体20との間には、液柱11Fが形成される。
図7を参照して、トナー粒子の帯電量が足りている場合、感光体20上で顕像化されたトナー像(パッチ画像)は、図7に示すように一様な濃淡を有する均一な画像となる。一方で図8を参照して、トナー粒子の帯電量が不足していると、感光体20上で顕像化されたトナー像(パッチ画像)は、図8に示すように感光体20の表面の移動方向に対して垂直な方向(図中の横方向)に濃淡のムラ(縦筋状の乱れ)を有する画像となる。この画像の中では、トナーの集まる凸部(濃い部分)と、トナーが集まっていない凹部(薄い部分)との分布が形成される。
この縦筋状の乱れは、リブ(もしくはリブレット等)と呼ばれている。リブの無い均一なパッチ画像が感光体20上に形成された場合、感光体20上のパッチ画像が形成された部分はトナーに被覆されており、感光体20の裸面の露出面積は小さくなる。画像濃度検知センサー41の受光部46(図5参照)での受光量は少なくなり、センサー出力Sも小さくなる。結果として、画像濃度検知センサー41で検知した検知結果としては、画像濃度は高く検知される。
しかし、リブを有するパッチ画像が感光体20上に形成された場合、感光体20上のパッチ画像が形成された部分はトナーに部分的にのみ被覆されていることになる。現像ローラー13から感光体20に移動するトナーの量がリブの無い場合とリブの有る場合とで同じであっても、リブが形成された画像の中の濃淡ムラの凹部(薄い部分)においては、感光体20の裸面の露出面積が大きくなる。画像濃度検知センサー41の受光部46(図5参照)での受光量は多くなり、センサー出力Sも大きくなる。結果として、現像ローラー13から感光体20に移動するトナーの量がリブの無い場合とリブの有る場合とで同じであっても、画像濃度検知センサー41で検知した画像濃度の検知結果としては、リブの有る場合には画像濃度は低く検知される。
現像部23に搬送される液体現像剤の中のトナー粒子の帯電量が不足していると、液体現像剤の乱れに従ってトナーも乱れ、画像の濃淡ムラ(リブ)も形成されやすくなる。リブが多く形成されると、トナー粒子の集まっている凸部(濃い部分)とトナー粒子が集まっていない凹部(薄い部分)とのコントラストがより強調される。受光部46での受光量はさらに多くなり、センサー出力Sもより大きくなる。結果として、トナー像(パッチ画像)の画像濃度もさらに低く検知されることになる。
パッチ画像の画像濃度が不均一である場合(リブが多く形成されている場合)、画像濃度の検知結果としては低い値が出力される。このパッチ画像の画像濃度の濃度検知結果に基づいて現像部23に搬送される液体現像剤の搬送量を制御すると、適切な搬送量よりも多くなるように制御されてしまう可能性がある。したがって、現像部23に搬送される液体現像剤の搬送量を制御する際には、画像濃度の不均一が発生していない状態(リブがほとんど形成されていない状態)を得るためにも、現像部23に搬送される液体現像剤11Dの中のトナー粒子の帯電量は所定値よりも高くする必要がある。
(現像効率の低下)
図9を参照して、現像電位差ΔVとパッチ画像の画像濃度との関係について説明する。図1を参照して上述したように、現像ローラー13と感光体20との間には、図示しない現像バイアス電源装置により、現像電位差ΔV(コントラスト電位)が設けられている。
たとえば、現像部23に搬送される液体現像剤の量およびトナー粒子の帯電量が一定の値に設定された状態(線L1参照)で、現像ローラー13に印加される現像バイアスを増加させ、現像ローラー13と感光体20(露光後の電位)との間の現像電位差ΔVを増加させたとする。この場合、現像部23に発生する電界が増加することに伴って、現像ローラー13から感光体20へ移動するトナーの量も増加する。感光体20上に形成されるトナー像(パッチ画像)の画像濃度も上昇する。現像電位差ΔVがある値VA以上となったのちは、トナーはそれ以上には移動することができず、トナー像(パッチ画像)の画像濃度もそれ以上には上昇しなくなり飽和する。
図9中の点線で示す現像電位差VA(飽和コントラスト電位ともいう)以上の範囲では、トナー像の画像濃度が飽和している。現像バイアス、帯電バイアス、および露光エネルギーなどの画像形成条件が多少変動したとしても、現像電位差VA以上の範囲で形成したトナー像(パッチ画像)の画像濃度はほとんど変化しないこととなる。湿式電子写真方式においては、一般的に、現像電位差は飽和コントラスト電位VA以上に設定される。
図9中の線L2も、現像電位差とパッチ画像の画像濃度との関係を示している。線L2で示す特性は、線L1の場合に比べて、現像部23に搬送される液体現像剤中のトナーの帯電量を大きくしたときの現像電位差とパッチ画像の画像濃度との関係を示している。トナーの帯電量が大きくなると、トナー1つ1つ当たりの帯電量が大きくなるため、少ないトナーの量で現像電位差が埋まることになる。したがってこの場合、現像ローラー13から感光体20へのトナーの移動量が低下する。換言すると、現像ローラー13上のトナーの、感光体20への移動率を表わす現像効率が低下する。現像効率が低下した場合、感光体20上に移動(現像)するトナー量が少なくなるため、図9中の線L1に比べて線L2のように現像電位差に対する画像濃度は小さく、傾きが小さくなる。
現像電位差ΔVが一定の値に設定された状態(たとえば飽和コントラスト電位VAに設定された状態)で、現像部23に搬送される液体現像剤中のトナーの帯電量を大きくし続けた場合、トナーの帯電量が所定の値を超えるとトナーの移動量が低下し始める。トナーの移動量が低下することに伴って、トナー像の画像濃度は低下することとなる。この状態は、図10を参照しながら詳細は後述するが、傾斜部L13,L23(図10参照)として現れることになる。
現像効率が低い状態でパッチ画像を形成した場合と、現像効率が高い状態でパッチ画像を形成した場合とを比較する。これらの各場合で現像部23に搬送されるトナーの搬送量が同じであるとすると、感光体20上に現像されるパッチ画像の画像濃度は、現像効率が低い状態でパッチ画像を形成した場合の方が、画像濃度検知センサーで検知する画像濃度は低くなる。現像効率が低い状態で形成されたパッチ画像の画像濃度検知結果に基づいてトナーの搬送量を制御すると、適切な搬送量よりも多くなるように制御されてしまう可能性がある。したがって、現像部23に搬送される液体現像剤の搬送量を制御する際には、現像効率の低下が発生していない状態を得るためにも、現像部23に搬送される液体現像剤11Dの中のトナー粒子の帯電量は所定値よりも低くする必要がある。
図10を参照して、トナー帯電量とパッチ画像の画像濃度との関係について説明する。図10は、現像電位差(コントラスト電位)を一定の値に設定した場合の、現像部でのトナー帯電量の変化に対するパッチ画像の画像濃度の変化を示す図である。
上述のとおり、現像電位差(コントラスト電位)を一定の値に設定した状態でトナーの帯電量を大きくしていくと、現像効率は、図9中の線L1に示す特性から同図中の線L2に示す特性に変化する。現像電位差が、線L1の状態でトナー像の画像濃度が飽和するような現像電位差に設定されていたとする。この状態でトナーの帯電量を大きくしていくと、ある帯電量まではトナー像の画像濃度は飽和したままであるが、さらに帯電量を大きくすると、現像効率が低下しトナー像の画像濃度は低下する。
図10に示すように、現像部23に搬送される液体現像剤中のトナーの帯電量が大きくなるにつれて、感光体20上に形成されるパッチ画像の画像濃度の検知結果は、右肩下がりの傾斜部L13,L23を形成する。傾斜部L13,L23においては、トナーの帯電量が上昇するとともに、検知結果としてのトナー像の画像濃度は低くなるという特性を示す。
現像部23に搬送される液体現像剤の搬送量を多くすると、これに伴って現像部23に搬送されるトナーの量も増加するため、線L10に示す特性は線L20に示す特性へと変化する。トナー像の画像濃度が飽和するときの画像濃度は、線L20に示す特性の方が、線L10に示す特性に比べて高くなる。
現像ローラー13から感光体20へのトナーの移動は、現像電位差により生じた電界から受ける力により行なわれるが、電位差は移動したトナーの電荷が埋めていくことで減少する。上述のとおり、トナー帯電量が高い場合、少ないトナー量で現像電位差が埋まるため、現像効率が小さくなる(図9参照)。現像効率が低下する右肩下がりの傾斜部L13,L23においては、現像ローラー13により現像部23に搬送されるトナーの搬送量に関わらず、現像ローラー13から感光体20に移動可能なトナー量は、現像電位差とトナー帯電量とで決まる。傾斜部L13,L23を示す直線が互いに重なって示されているように、現像効率が低下する右肩下がりの傾斜部L13,L23においては、現像ローラー13により現像部23に搬送されるトナーの搬送量の大小に関わらず、トナー帯電量に対する画像濃度は同じになる。
その一方で、傾斜部L23の方が傾斜部L13に比べて左上に延びて示されているように、現像部23へのトナーの搬送量が多いと、より小さなトナー帯電量で現像効率が低下することになるため、右肩下がりになる傾斜部としては、傾斜部L23で示す領域の方が傾斜部L13で示す領域に比べて広くなる。
上述のとおり、現像電位差(コントラスト電位)を一定の値に設定した状態でトナーの帯電量を小さくしていくと、現像効率は、図9中の線L2に示す特性は同図中の線L1に示す特性に変化する。図9のみを見た場合には、トナー帯電量を小さくしたとしても、現像効率は飽和しているためほぼすべてのトナーが現像ローラー13から感光体20に移動するものと考えられる。すなわち図9のみを見た場合には、トナー帯電量を小さくしたとしても、図10中の点線に示すように画像濃度は飽和した状態のままを保つものと考えられる。
しかしながら上述のように、トナー帯電量を小さくすると画像濃度の不均一(リブ)が発生する。画像濃度の検知結果としては、低い値が出力される。トナー帯電量が小さくなればなるほど、トナー粒子の感光体に対する押し付け力が不十分となる結果、トナー粒子の感光体20への圧縮(静電吸着力)が弱くなり、リブが形成されやすくなる。したがって図10に示すように、感光体20上に形成されるパッチ画像の画像濃度の検知結果は、右肩上がりの傾斜部L11,L21を形成する。傾斜部L11,L21においては、トナーの帯電量が上昇するとともに、検知結果としてのパッチ画像の画像濃度が高くなるという特性を示す。
現像部23に搬送される液体現像剤中のトナーの帯電量が適切であれば、画像濃度は飽和したままの状態となり、現像効率の低下も発生せず、画像濃度の不均一も発生していないこととなる。この場合、感光体20上に形成されるパッチ画像の画像濃度の検知結果は、平坦部L12,L22を形成する。平坦部L12,L22においては、パッチ画像の現像効率は飽和しているため、トナー帯電量が変化しても検知されるパッチ画像の画像濃度はほとんど変化せず、画像濃度は現像ローラー13上の搬送量に応じて変化することになる。
以上説明したとおり、湿式画像形成装置100においては、現像部23に搬送される液体現像剤中のトナーの帯電量と、感光体20上に形成されたパッチ画像の画像濃度とは、図10に示すような関係性を有している。したがって、2水準以上の画像濃度検知結果を取得することにより、現像効率の低下が発生しているか否か、および画像濃度の不均一が発生しているか否かを判断することができる。
具体的には、現像部23に搬送されるトナーの帯電量を変化させることにより、トナー像(パッチ画像)の画像濃度として、2水準以上の画像濃度検知結果を取得したとする。2水準以上の画像濃度検知結果(トナー帯電量と画像濃度との関係)が、トナーの帯電量を高くするほど画像濃度が低くなる関係を有している場合には、右肩下がりの傾斜部L13(または傾斜部L23)が検知されたことを示す。この場合、そのときのトナー搬送量の設定条件およびトナー帯電量の設定条件では、現像効率が低下している状態であり、適切な状態ではないことと判断できる。
一方で、2水準以上の画像濃度検知結果(トナー帯電量と画像濃度との関係)が、トナーの帯電量を高くするほど画像濃度が高くなる関係を有している場合には、右肩上がりの傾斜部L11(または傾斜部L21)が検知されたことを示す。この場合、そのときのトナー搬送量の設定条件およびトナー帯電量の設定条件では、画像濃度の不均一が発生している状態であり、適切な状態ではないことと判断できる。
これらに対して、2水準以上の画像濃度検知結果(トナー帯電量と画像濃度との関係)が、トナーの帯電量を高くしたとしても画像濃度がほとんど変化しないという関係を有している場合には、平坦部L12(または平坦部L22)が検知されたことを示す。この場合、そのときのトナー搬送量の設定条件およびトナー帯電量の設定条件では、現像効率の低下が発生しておらず、画像濃度の不均一も発生していない状態であり、適切な状態であることと判断できる。
2水準以上の画像濃度検知結果に基づいて現像効率の低下および画像濃度の不均一のいずれもが発生していないと判断できたとき(平坦部であることを検知したとき)、そのときのパッチ画像の画像濃度(2水準以上の画像濃度検知結果)に基づいて現像部23に搬送されるトナーの搬送量を調節することにより、トナーの搬送量を適切な値に設定することが可能となる。上述のように、パッチ画像の画像濃度が不均一である状態のままで現像部23に搬送されるトナーの搬送量を調節すると、適切な搬送量よりも多くなるようにしてしまうことがあるが、本実施の形態によればそのような誤差が発生することを抑制することができる。
ここで、画像濃度検知センサーの検知精度×1倍の範囲を基準(閾値)として、平坦部を検知したかどうかを判断したとする。この場合、画像濃度検知センサーの検知精度(同じパッチ画像に対して許容される検知誤差を含む)×1倍を超える値に画像濃度が変化すると、画像濃度が変化したこと、つまり傾斜部を検知したことを判断できる。しかしながら、平坦部を検知したと判断できる画像濃度の範囲(幅)が狭いと、種々の誤差などの原因により検知した画像濃度が平坦部の画像濃度幅をはみ出してしまい、平坦部を検知したと判断できるまで繰り返し画像濃度形成条件を変更しながら画像濃度を検知することになり、画像濃度形成条件の設定フローに時間がかかることになる。
平坦部を検知したと判断できる画像濃度の範囲は、可能な範囲で広く取る方が好ましい。一方、この画像濃度の範囲を広く取りすぎると、現像効率低下や画像不均一が発生しているにもかかわらず、画像濃度検知結果から平坦部とみなすことになる。これらのことを勘案しつつ、平坦部を検知したと判断できる画像濃度の範囲は装置に合わせて適宜設定するのが良く、たとえば、画像濃度検知センサー41の検知精度の×1倍からの×2倍の範囲内の画像濃度を検知したとき、平坦部を検知したと判断するのが良い。
本実施の形態では、一例として、画像濃度検知センサー41の検知精度が出力値に対して±5.0%である場合にこれの×1.5倍の範囲内(7.5%以下)の画像濃度を検知したとき、平坦部を検知したと判断するものとしている。これは×3倍とした場合には、現像効率低下あるいは画像不均一が発生したにもかかわらず平坦部と判断する誤判断が生じ、×2倍とした場合には、現像効率低下が発生したにもかかわらず平坦部と判断する誤判断が生じたからである。以下、本実施の形態におけるトナー搬送量設定フローFL1(図11参照)の詳細について具体的に説明する。
(トナー搬送量設定フローFL1)
湿式画像形成装置100においては、記録媒体50上に通常の画像を形成する際に品質の高い画像を得ることを目的として、以下に説明するトナー搬送量設定フローFL1(図11参照)が実施される。トナー搬送量設定フローFL1においては、現像効率の低下および画像濃度の不均一のいずれもが発生していないと判断したのちに、現像部23に搬送されるトナーの搬送量が適切な値に設定される。
トナー搬送量設定フローFL1は、たとえば、湿式画像形成装置100の電源が投入された直後、湿式画像形成装置100によって所定の枚数の画像が形成された後、およびまたは、湿式画像形成装置100によって画像が形成されてから所定の時間が経過した後に実施される。トナー搬送量設定フローFL1が実施されるタイミングは、湿式画像形成装置100内のたとえば主制御部(図示せず)に接続されたメモリー(図示せず)内に記憶される。所定の条件が満足されたことを主制御部が判断したとき、主制御部は、湿式画像形成装置100を構成する各機器に対してトナー搬送量設定フローFL1を実施するための指示を送出する。
図11を参照して、具体的には、トナー搬送量設定フローFL1の開始の指示がくると(S100)、トナーの帯電量が制御され、まずは初期値に設定される(S101)。本実施の形態においては、帯電チャージャー13Cから現像ローラー13に流れ込む電流が制御される。
トナー搬送量設定フローFL1を開始した直後の1回目のトナー帯電量としては、今回のフロー以前に行なわれたトナー搬送量設定フローFL1で設定された条件に基づく値を設定値として採用してもよいし、図示しない環境センサーや印字カウンターなどから得られる温湿度情報や、感光体20や現像ローラー13などの寿命情報などと予め記憶されたテーブルとを照らし合わせて求まる条件に基づく値を設定値として採用してもよい。
次に、設定した条件の下で感光体20上にパッチ画像が形成される(S102)。画像濃度検知センサー41は、パッチ画像の画像濃度を検知する(S103)。画像濃度検知結果は、メモリーに保存される(S104)。図示しない制御装置は、画像濃度の検知回数が所定の回数nに達したか否かを判断する。
画像濃度の検知回数が所定の回数nに達していない場合(S105においてNOの場合)、ステップS101に戻る。トナーの帯電量が1回目の値とは異なる値に設定され、ステップS102〜S104が再び行なわれる。所定の回数nを2以上とすることにより、2水準以上の帯電設定でパッチ画像が形成されるとともに、2水準以上の画像濃度検知結果を得ることができる。
画像濃度の検知回数が所定の回数nに達している場合(S105においてYESの場合)、メモリーから読み出したn個の画像濃度データにより、現時点での帯電設定で平坦部が検知されたか否かが判断される(S106)。上述のとおり、本実施の形態では、n個の画像濃度データが画像濃度検知センサー41の検知精度×1.5倍の画像濃度の範囲内に含まれているか否かに基づいて、平坦部を検知したか否かが判断される。
平坦部を検知していたら(S106においてYESの場合)、平坦部を検知したときのトナーの帯電量における画像濃度と目標濃度範囲とが比較され、平坦部を検知したときの画像濃度が目標濃度範囲内であるか否かが判断される(S107)。平坦部を検知したときの画像濃度が目標濃度範囲内である場合(S107においてYESの場合)、トナー搬送量設定フローFL1は終了する(S108)。このときのトナーの搬送量は、現像効率の低下および画像濃度の不均一のいずれもが発生していないと判断された上で確認されたものであり、適切な値となっている。
平坦部を検知したときの画像濃度が目標濃度範囲内でない場合(S107においてNOの場合)であって、かつ目標濃度範囲よりも低い場合(S109においてYESの場合)、現像部23に搬送されるトナーの搬送量が増やされる(S109a)。ステップS101に戻り、トナーの帯電量が初期値(1回目の値)に設定され、ステップS102〜S106が再び行なわれ、平坦部の検知が続けられる。
平坦部を検知したときの画像濃度が目標濃度範囲内でない場合(S107においてNOの場合)であって、かつ目標濃度範囲よりも高い場合(S109においてNOの場合)、現像部23に搬送されるトナーの搬送量が減らされる(S110)。トナーの帯電量は変更しないままの状態でパッチ画像を形成し(S111)、そのパッチ画像の画像濃度が検知される(S112)。その後、画像濃度が目標濃度範囲内であるか否かが再び判断される(S107)。
図10および図12に示すように、トナー(液体現像剤)の搬送量が少ない方が、トナー(液体現像剤)の搬送量が多い場合に比べて平坦部となる範囲が広い。したがって、図12中の点線で示すように、トナーの搬送量を減らすように制御した場合は、トナー帯電量を変更しなくても(同一のトナー帯電量のままでも)、搬送量の制御した後の画像濃度を平坦部とすることができる。
すなわち、パッチ画像の画像濃度が目標画像濃度範囲よりも高い場合には、トナーの搬送量を減少させるという動作(S110)と、他のパッチ画像を形成するという動作(S111)と、他のパッチ画像の画像濃度を検知するという動作(S112)とが、検知する画像濃度が目標画像濃度範囲内となるまで繰り返される。ステップS101に戻ってトナー帯電量を変えることなく平坦部の画像濃度を目標画像濃度範囲内とすることができるため、フローに必要な時間を短縮できる。
図11および図13を参照して、平坦部を検知していなかったとする(S106においてNOの場合)。この場合、制御装置は現像効率の低下および画像濃度の不均一のいずれかが発生していると判断する。本実施の形態では、トナー帯電量とパッチ画像の画像濃度とが、たとえば図13中の線LLで示すような関係性を有していたとする。傾斜部LLのうち、たとえば最も低い画像濃度を示したときの画像濃度検知結果が、目標濃度範囲内であるか否かが判断される(S113)。
画像濃度検知結果が、目標濃度範囲よりも高い場合(S113においてNOの場合)には、現像部23に搬送されるトナーの搬送量が減らされ(S114)、ステップS102において他のパッチ画像が形成された後、ステップS103〜S106が再び行なわれ、平坦部の検知が続けられる。他のパッチ画像を形成するという動作と、2水準以上の他の画像濃度検知結果を取得するという動作とが、現像効率の低下および画像濃度の不均一のいずれもが発生していないと判断されるまで繰り返される。
図13に示すように、トナーの搬送量を減らすことに関して、傾斜部L31,L33が検知されたときの画像濃度に比べて、平坦部L32が検知されたときの画像濃度の方が高くなる。したがって、傾斜部LLで検知した画像濃度が目標濃度範囲よりも高い場合には、平坦部L32での画像濃度も目標濃度範囲より高くなる。したがって、傾斜部LLを検知したのちに画像濃度検知結果が目標濃度範囲よりも高いと判断した場合には、その直後に現像部23に搬送されるトナーの搬送量を減らすことにより(S114)、フローの効率化を図ることができる。
画像濃度検知結果が、目標濃度範囲よりも低い場合(S113においてYESの場合)には、メモリーからn個の画像濃度データが読み出され、現時点での画像形成条件(傾斜部LL)が現像効率の低下による傾斜部L33(右肩下がり)となっているか、もしくは画像濃度の不均一による傾斜部L31(右肩上がり)となっているかが判別される。
現像効率の低下による傾斜部L33(右肩下がり)の場合、ステップS101においてトナー帯電量が高くなる方に制御され、ステップS102〜S106が再び行なわれ、平坦部の検知が続けられる。画像濃度の不均一による傾斜部L31(右肩上がり)の場合、ステップS101においてトナー帯電量が低くなる方に制御され、ステップS102〜S106が再び行なわれ、平坦部の検知が続けられる。トナー帯電量と傾斜部との関係に基づいてトナー帯電量を増減させることで、画像形成条件を平坦部とすることの効率化が図れる。
以上のようなフローが繰り返されたのちに平坦部を検知した場合(S106においてYESの場合)、平坦部を検知したときの画像濃度と目標濃度範囲とが比較され、平坦部を検知したときの画像濃度が目標濃度範囲内であるか否かが判断される(S107)。平坦部を検知したときの画像濃度が目標濃度範囲内である場合(S107においてYESの場合)、トナー搬送量設定フローFL1は終了する(S108)。このときのトナーの搬送量は、現像効率の低下および画像濃度の不均一のいずれもが発生していないと判断された上で確認されたものであり、適切な値となっている。
(変形例)
図14および図15を参照して、実施の形態の変形例におけるトナー搬送量設定フローFL2について説明する。
まず、上述の実施の形態と同様に、ステップS113において、画像濃度検知結果が目標濃度範囲内であるか否かが判断される。実施の形態と同様に、画像濃度検知結果が目標濃度範囲よりも高い場合(S113においてNOの場合)には、現像部23に搬送されるトナーの搬送量が減らされ(S114)、ステップS102において他のパッチ画像が形成された後、ステップS103〜S106が再び行なわれ、平坦部の検知が続けられる。
本変形例では、画像濃度検知結果が目標濃度範囲よりも低い場合(S113においてYESの場合)には、n個(nは2以上)の画像濃度データが読み出され、現時点での画像形成条件が現像効率の低下による右肩下がりの傾斜部L43(図15参照)となっているか否かが判断される(S115)。
傾斜部LL1(図15)であることが判断された場合(S115においてYESの場合)には、n個のデータを読み出し、n個のデータに基づいて傾斜部LL1から傾斜部L43を線形近似により算出する。傾斜部L43は、現像効率の低下が発生していることを示すものである。このときのトナー帯電量に対する画像濃度の傾きを、傾斜部L43の傾きaとして算出し、メモリーに保存する(S116)。
傾斜部LL2(図15)であることが判断された場合(S115においてNOの場合)には、n個のデータを読み出し、n個のデータに基づいて傾斜部LL2から傾斜部L41を線形近似により算出する。傾斜部L41は、画像濃度の不均一が発生していることを示すものである。このときのトナー帯電量に対する画像濃度の傾きを、傾斜部L41の傾きbとして算出し、メモリーに保存する(S117)。
次に、傾きaおよび傾きbの双方が取得されているか否かが判断される(S118)。この判断は、ステップS100でトナー搬送量設定フローFL2がスタートしてからステップS118に到達した時点で、傾きa,bの双方に関する情報がメモリー内に保存されているか否かに基づいて判断される。傾きa,bの双方に関する情報がメモリー内に保存されている場合には、上書き保存によって、傾きa,bの双方に関する情報がメモリー内に保存されている場合であってもよい。傾きa,bの双方を取得するためには、画像情報に関するデータとしては、少なくとも4水準以上が必要である。
メモリー内に傾きaおよびbのうちのいずれか一方に関する情報しか保存されていない場合(S118においてNOの場合)には、ステップS101に戻る。現像効率の低下による傾斜部L43(右肩下がり)の情報を取得している場合、ステップS101においてトナー帯電量が高くなる方に制御され、ステップS102〜S106が再び行なわれ、平坦部の検知が続けられる。画像濃度の不均一による傾斜部L41(右肩上がり)の情報を取得している場合、ステップS101においてトナー帯電量が低くなる方に制御され、ステップS102〜S106が再び行なわれ、平坦部の検知が続けられる。
メモリー内に傾きaおよびbの双方に関する情報が保存されている場合(S118においてYESの場合)には、傾斜部L43,L41のそれぞれの傾きa,bと、これらの傾きを算出した根拠となるn個の画像濃度データとから、現像効率の低下による傾斜部L43(もしくはその近似線)と画像濃度の不均一による傾斜部L41(もしくはその近似線)との交点PRを算出するとともに、画像濃度が交点PRで示される値となるそのときのトナー帯電量を予測値CVとして取得する(S119)。
その後、ステップS101に戻り、ステップS119で取得した予測値CVをトナー帯電量の設定値として設定し、ステップS102〜S106が再び行なわれ、平坦部の検知が続けられる。図15に示すように、2つの傾斜部L41,L43の交点PR(もしくはこれらの傾斜部の近似線の交点)となるときのトナー帯電量を設定値として設定した場合、そのときのトナー帯電量の設定の下では平坦部を検知する可能性が高い。したがって、少ないステップ数で平坦部にたどりつける可能性が高くなり、フローに必要な時間を短縮できる。
以上説明したように、トナー搬送量設定フローFL1,FL2によれば、現像効率の低下および画像濃度の不均一のいずれもが発生していないと判断したのちに、現像部23に搬送されるトナーの搬送量が適切な値に設定される。パッチ画像の画像濃度が不均一であったり、現像効率の低下が発生している状態のままで現像部23に搬送されるトナーの搬送量を調節すると、適切な搬送量よりも多くなるようにしてしまうことがあるが、本実施の形態およびその変形例における湿式画像形成装置によればそのような誤差が発生することを抑制することができる。
以上、本発明に基づいた実施の形態および変形例について説明したが、今回開示された実施の形態および変形例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。