JP6127688B2 - 光ファイバマイクロ波伝送装置 - Google Patents
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このため、復調されたマイクロ波信号の位相安定性を高めるためには、伝送路である光ファイバの光路長の変動を補償する必要がある。
この特許文献1に開示された従来の光路長変動補償方式では、まず、レーザから出力されたレーザ光が、第1の光分配器により2分岐される。そして、分岐された一方のレーザ光は、光周波数シフタにより、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)から出力されたマイクロ波信号の周波数だけ周波数がシフトされる。このレーザ光と、分岐された他方のレーザ光とは、光合波器により合成され、光サーキュレータ、光ファイバを介して遠方に伝送される。
ここで、伝送路である光ファイバの温度変化に伴う実長、屈折率変化などにより光路長が変動した場合、光電変換手段から出力されるマイクロ波信号の位相が変動する。
ここで、このマイクロ波信号と基準マイクロ波信号の位相を比較し、ループフィルタを介して、VCOへ誤差信号を入力することにより、往復した変調光(マイクロ波信号に相当)と、基準信号との間で位相同期回路が構成される。
このようにして、従来の光路長安定化装置では、伝送路である光ファイバを往復したマイクロ波信号の位相変動を補正する帰還回路が形成されることで、伝送路である光ファイバの光路長変動の補償制御を行い、伝送先で高い位相安定性を得ている。
しかしながら、通常VCOはCW(Continuous Wave:連続波)しか出力できないため、パルス変調信号や周波数チャープ信号などの各種の変調信号に対して適用することができない。
このように、特許文献1に開示される従来の装置では、特に、伝送できる信号がCWに限定されてしまうという課題が生じる。
IF信号である第1の高周波信号を出力するIF信号源と、
入力される電圧に応じた所定の周波数を有する第2の高周波信号を出力する電圧制御発振器と、
前記第1の高周波信号と前記第2の高周波信号を合成する高周波合成手段と、
前記高周波合成手段で合成された高周波信号で強度変調した変調光を出力する第1の電光変換手段と、
前記第1の電光変換手段で出力した前記変調光を伝送する光伝送路と、
前記光伝送路を伝送した前記変調光の一部を反射させ、他の一部を通過させる光部分反射手段と、
前記光部分反射手段を通過した前記変調光を高周波信号に復調する第1の光電変換手段と、
前記第1の光電変換手段の前段に設けられた光帯域阻止フィルタと、
前記第1の光電変換手段を出力した高周波信号から、所望の周波数帯域の高周波信号を抽出する第1のマイクロ波帯域通過フィルタと、
前記第1の電光変換手段で出力された前記変調光を前記光伝送路に出力するとともに、前記光部分反射手段で反射し前記光伝送路を往復した前記変調光を、前記第1の電光変換手段とは異なる方向に光路を切り替えて出力する光サーキュレータと、
前記光サーキュレータで光路が切り換えられた前記変調光を高周波信号に復調する第3の光電変換手段と、
前記第3の光電変換手段で復調された前記高周波信号から所望の周波数帯域の高周波信号を抽出する第2のマイクロ波帯域通過フィルタと、
前記第2のマイクロ波帯域通過フィルタを出力した前記高周波信号と前記電圧制御発振器を出力した第2の高周波信号とを入力として、これら各高周波信号の和周波数信号を出力する第2の周波数変換手段と、
基準周波数を有する基準信号を出力する基準信号源と、
前記第2の周波数変換手段を出力した前記和周波数信号の周波数を、前記基準周波数と同じ周波数帯の高周波信号に変換する第3の周波数変換手段と、
前記第3の周波数変換手段で周波数変換された高周波信号と前記基準信号とを比較し、その差周波数成分に応じた電圧を有する誤差信号を出力するとともに、この誤差信号を前記電圧制御発振器に入力して前記第2の高周波信号の周波数を制御する位相比較手段と、
を備えたことを特徴とするものである。
図1はこの発明の実施の形態1に係る光ファイバマイクロ波伝送装置(以下、略してRoF(Radio over Fiber)装置と表記する)の全体構成を示すブロック図である。
図1において、1はIF信号源、2は第1の電光変換手段である第1のE/O変換手段、3は基準信号源、4は位相比較手段、5はループフィルタ、6は電圧制御発振器であるVCO、7は第2の電光変換手段である第2のE/O変換手段、8は光サーキュレータ、9は第3の光電変換手段である第3のO/E変換手段、10は第2の周波数変換手段であるマイクロ波周波数ミキサ、11は第3の周波数変換手段である分周手段、12は光伝送路である光ファイバ、13は第1の光電変換手段である第1のO/E変換手段、14は光部分反射手段、15は第2の光電変換手段である第2のO/E変換手段、16は第1の周波数変換手段であるマイクロ波周波数ミキサである。
RoF装置は、送信元に入力されたマイクロ波信号で変調した変調光を、光ファイバを介して遠方にある送信先に伝送し、出力するものである。
送信先側には、第1のO/E変換手段13、光部分反射手段14、第2のO/E変換手段15、マイクロ波周波数ミキサ16から構成されている。
それぞれ、送信元、送信先の間は光ファイバ12により接続されている。
なお、図中、実線は電気信号の伝送路を、破線は光信号の伝送路(光ファイバなど)を示す。
IF信号源1から出力した電気信号は、第1のE/O変換手段2で、入力電気信号で変調された変調光(たとえば強度変調光)として出力され、この変調光信号は光ファイバ12を介して送信先に伝送され、第1のO/E変換手段13で電気信号(IF信号)に復調される。
送信先では、光部分反射手段14によりその変調光信号の一部を反射し、残りは第2のO/E変換手段15によりLO信号に復調される。光部分反射手段14としては、ハーフミラーなど種々の実現手段がある。
送信先では、マイクロ波周波数ミキサ16にて、前記のIF信号は前記のLO信号により周波数変換(アップコンバート)され、RF(Radio Frequency)信号となって出力される。
sin{2π(fIF+fLO)・t+2π(fIF+fLO)・(L+ΔL)/c}となる。
ここで、fLO>>fIFとすると、光路長変動ΔLに伴う位相変動はfLOによる成分が支配的となる。
よって、LO信号が重畳された光路による位相変動を補償することにより、送信先の位相変動を抑えることができる。
一方、IF信号の周波数fIFを100MHzとすると、波長は3mとなるので、1mmの光路長変動が生じても、位相変動は0.12度であり、多くの用途では無視できるオーダとなる。
このようにLO信号の位相変動が支配的になるので、LO信号の位相変動のみを補償してもRF信号の位相誤差を抑えることが可能である。
送信先に伝送された変調光は前記のように光部分反射手段14でその一部が反射され、光ファイバ12を往復し、光サーキュレータ8を介して第3のO/E変換手段9によりLO信号に復調される。
第3のO/E変換手段9より出力したLO信号とVCO6から出力したLO信号とをマイクロ波ミキサ10により合成し、周波数がLO信号の2倍となるマイクロ波信号を出力する。
このLO信号と同じ周波数を有する信号は伝送路である光ファイバ12の光路長変動に起因する位相変動を受けている。このため、位相比較手段4により基準信号源3からの信号(この場合はLO信号と同一の周波数信号)と位相差を比較し、その誤差信号に応じた電気信号を位相比較手段4から出力し、ループフィルタ5で帯域を制限し、VCO6へ制御電圧として印加する。こうして、LO信号に対して、送信元から送信先にかけてのPLL(Phase Locked Loop:位相同期)回路が構成される。
sin{2πfLO・t+φ(t)+2πfLO・2(L+ΔL)/c}
とおける。L、ΔLは前述のように光ファイバの光路長Lと、その変動量ΔLである。なお、式中(L+ΔL)を2倍しているのは、光が光ファイバ12を往復しているからである。
sin{2(2πfLO)・t+2φ(t)+2πfLO・2(L+ΔL)/c}
これが分周手段11により周波数が1/2倍されて、
sin{2πfLO・t+φ(t)+2πfLO・(L+ΔL)/c}
として出力される。
sin(2πfLO・t)
とおくと、前記の2式を比較し、
φ(t)+2πfLO・(L+ΔL)/c=0
となるようにPLLで制御すると
φ(t)=−2πfLO・(L+ΔL)/c
となるので、
配信先で第2のO/E変換手段15から出力されるLO信号は
sin{2πfLO・t+φ(t)+2πfLO・(L+ΔL)/c}=sin(2πfLO・t)
となり、基準信号源3からの信号と位相を含めて同一の信号となる。
これによって、光伝送路の変動の影響を低減し、送信する信号を安定させることができる。
なお、伝送路中に電気部品、光部品による透過位相の成分は省略しているが、これらを省略しても上記の説明への影響は生じない。
図2はこの発明の実施の形態2における第2のRoF装置の構成を示すブロック図である。図2に示す実施の形態2は、図1に示す実施の形態1において送信元と送信先のファイバ伝送路部を光波長多重により共通化したものである。その他の構成は同様であり、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2において、17は第1の光波長合分波手段、18は第2の光波長合分波手段である。
ここでは、第1のE/O変換手段2から出力された光は、第2の光波長合分波手段18により第1のO/E変換手段13へ伝送され、第2のE/O変換手段7から出力された光は、第2の光波長合分波手段18により光部分反射手段14および第2のO/E変換手段15へと伝送する。
その他の動作は、実施の形態1に示したものと同様である。
図3はこの発明の実施の形態3におけるRoF装置の構成を示すブロック図であり、図4は図3中の主な位置における電気信号あるいは光信号の周波数配置を示した模式図である。図3中、図1から図2と同一構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図3において、19は高周波合成手段であるマイクロ波合成手段、20は第2のマイクロ波帯域通過フィルタである第2のマイクロ波帯BPF、21は第1のマイクロ波帯域通過フィルタである第1のマイクロ波帯BPFである。
また、送信元、送信先の間は光ファイバ12により接続されている。
図4の各スペクトル配置は、各々図3のかっこ内の記号の場所における配置である。
IF信号源1から出力した電気信号(周波数fIF)と、VCO6から出力されたLO信号(周波数fLO)をマイクロ波合成手段19で合成すると、それぞれの成分を含む電気信号が出力される(図4(c)参照)。
これらが、光ファイバ12で伝送され、送信先の光部分反射手段14で一部は反射され、他は第1のO/E変換手段13で光電変換される。
各電気信号を第1のマイクロ波帯BPF21により、fRF成分を選択出力させる(図4(f)参照)。
第3のO/E変換手段9では前記と同様に、多数の電気信号が出力されるので、第2のマイクロ波帯BPF20により、fLO成分を選択出力させる(図4(h)参照)。
以下、前記の実施の形態1から2と同様の構成をとることにより、LO信号に対してPLLを構築することが可能となる。
図5はこの発明の実施の形態4におけるRoF装置の構成を示すブロック図であり、図6は図5中の主な位置における電気信号あるいは光信号の周波数配置を示した模式図である。図5中、図3と同一構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図5において、22は光帯域阻止フィルタである光フィルタである。
これが、第1のO/E変換手段13で光電変換されると、各スペクトルの差周波成分が電気信号として出力され、図6(e)のように、2fIF、fLO−fIF、fLO+fIF(=fRF)、2fLO、の各成分が出力される。
前記実施の形態3と同様に、これらのスペクトルからfRF(=fLO+fIF)を取り出し(図6(f))出力する。
図7はこの発明の実施の形態5におけるRoF装置の構成を示すブロック図であり、図8は図7中の主な位置における電気信号あるいは光信号の周波数配置を示した模式図である。図7中、図3または図5と同一構成要素に関しては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図7において、23は周波数逓倍器である。
このようなバイアス点での変調は一般的にCS−DSB(Carrier Suppression−Double Side Band、キャリア抑圧両側波帯)変調として知られている。
このとき、MZ変調器を出力した光信号のスペクトルは図8(d)のように、fc成分が抑圧されたものとなる。
このとき、第1のO/E変換手段13、第3のO/E変換手段9から出力される電気信号は、図8(e)、(g)のようになり、図4(e)、(g)に対し、不要信号(例えば、fIF、fLOなど)が抑圧されている。
従って、所望のRF信号(fRF=fLO+fIF)を取り出すための第1のマイクロ波BPF21に対する要求を緩和することができる。
第3のO/E変換手段9を出力した電気信号は第2のマイクロ波帯BPF20により周波数2fLOの成分を取り出す。
一方、VCO6から出力したLO信号に対しては、逓倍手段23で周波数を2倍に変換する。こののち、前記の実施の形態1から4と同様に、第2のマイクロ波周波数ミキサ10において、2逓倍したLO信号で第2のマイクロ波帯BPF20を出力した電気信号を周波数変換する。
sin{2π(2fLO)・t+2φ(t)+2π(2fLO)・2(L+ΔL)/c}
とおける。前述のように、Lは光ファイバの光路長、ΔLはその変動量である。
なお、この信号の周波数がfLOに対して2倍となっているので、φ(t)も2倍となっている。
次に、VCO6から出力したLO信号 sin{2πfLO・t+φ(t)}は、周波数逓倍手段23によりその周波数が2倍の信号である sin{2π(2fLO)・t+2φ(t)}へと変換される。
sin{2π(4fLO)・t+4φ(t)+2π(2fLO)・2(L+ΔL)/c}
これが分周手段により周波数を1/4倍とされることにより、
sin{2πfLO・t+φ(t)+2πfLO・(L+ΔL)/c}
として出力され、前記の実施の形態1から4と同様に基準信号源3からの基準信号と比較でき、PLL回路を構築することが可能となる。
以上の実施の形態2から5では、LO信号の位相を安定化させる構成を示してきたが、位相比較手段4からの出力信号から光路長変動分を換算し、IF信号のオフセット位相を制御してもよい。
Claims (1)
- IF信号である第1の高周波信号を出力するIF信号源と、
入力される電圧に応じた所定の周波数を有する第2の高周波信号を出力する電圧制御発振器と、
前記第1の高周波信号と前記第2の高周波信号を合成する高周波合成手段と、
前記高周波合成手段で合成された高周波信号で強度変調した変調光を出力する第1の電光変換手段と、
前記第1の電光変換手段で出力した前記変調光を伝送する光伝送路と、
前記光伝送路を伝送した前記変調光の一部を反射させ、他の一部を通過させる光部分反射手段と、
前記光部分反射手段を通過した前記変調光を高周波信号に復調する第1の光電変換手段と、
前記第1の光電変換手段の前段に設けられた光帯域阻止フィルタと、
前記第1の光電変換手段を出力した高周波信号から、所望の周波数帯域の高周波信号を抽出する第1のマイクロ波帯域通過フィルタと、
前記第1の電光変換手段で出力された前記変調光を前記光伝送路に出力するとともに、前記光部分反射手段で反射し前記光伝送路を往復した前記変調光を、前記第1の電光変換手段とは異なる方向に光路を切り替えて出力する光サーキュレータと、
前記光サーキュレータで光路が切り換えられた前記変調光を高周波信号に復調する第3の光電変換手段と、
前記第3の光電変換手段で復調された前記高周波信号から所望の周波数帯域の高周波信号を抽出する第2のマイクロ波帯域通過フィルタと、
前記第2のマイクロ波帯域通過フィルタを出力した前記高周波信号と前記電圧制御発振器を出力した第2の高周波信号とを入力として、これら各高周波信号の和周波数信号を出力する第2の周波数変換手段と、
基準周波数を有する基準信号を出力する基準信号源と、
前記第2の周波数変換手段を出力した前記和周波数信号の周波数を、前記基準周波数と同じ周波数帯の高周波信号に変換する第3の周波数変換手段と、
前記第3の周波数変換手段で周波数変換された高周波信号と前記基準信号とを比較し、その差周波数成分に応じた電圧を有する誤差信号を出力するとともに、この誤差信号を前記電圧制御発振器に入力して前記第2の高周波信号の周波数を制御する位相比較手段と、
を備えたことを特徴とする光ファイバマイクロ波伝送装置。
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