JP6124741B2 - 田植機 - Google Patents
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Description
そのため、密植状態を基準にして、植付爪を圃場からより迅速に逃げ移動させるべく疎植の際に、不等速機構を設けて、植付爪を支持するロータリ式植付アーム軸の一回転中の角速度(回転速度)を変化させる方法がある。
そこで、本発明は、植付アーム軸に生じるトルク変動を打ち消すトルクを与えて、トルク変動を平準化し、位相のズレを改善することで、植付爪の軌跡を適正化し、植付不良を防ぐ田植機を提供する。
田植機1は、エンジン2の動力により前輪3及び後輪4を駆動させて走行しながら、植付部5により植付作業を行う。エンジン2からの動力はミッションケース6を経て前輪3及び後輪4に、並びに、ミッションケース6及び株間変更装置9を経て植付部5にそれぞれ伝達される。
植付部5は、植付センターケース10、植付ベベルケース11、ロータリケース12、植付アーム13、苗載台14、及び、複数のフロート15を具備する。
植付センターケース10から分岐される植付横軸20から、植付ベベルケース11内でベベルギア21a・21bを介して植付縦軸22に伝達される。植付縦軸22には、トルクリミッタ26が取付けられ、植付縦軸22に所定以上の負荷がかかると動力伝達が遮断される。そして、不等速ベベルギア23a・23bを介して植付縦軸22からユニットクラッチ24に伝達される。
ユニットクラッチ24の断接に応じて接続状態となった場合に、植付アーム軸25に動力が伝達される。他方、ユニットクラッチ24が切断状態となった場合は、植付アーム軸25に動力は伝達されない。
植付部5へ動力を伝達する株間変更装置9の内部に含まれる不等速機構、及び、植付部5の植付ベベルケース11内の不等速ベベルギア23a・23bを含む不等速機構によって、植付アーム軸25が不等速で回転運動する。
すなわち、植付爪34が苗載台14から苗を取る時、及び、苗の植付後に植付爪34を圃場から素早く引き抜くとともに植付爪34に残る苗を振り落とす時にロータリケース12の回転駆動を速くするとともに、圃場へ苗を植付ける前、及び、植付爪34を苗載台14に差し込む時にロータリケース12の回転速度を緩めている。
このように、不等速機構を介して植付アーム軸25に動力が伝達され、周期的な加減速を伴って回転駆動される。これにより、植付アーム軸25に不等速運動に起因するトルク変動が発生する。具体的には、各植付爪34の苗取時と植付時を基準にそれぞれ加減速しているので、不等速運動に起因するトルク変動は、ロータリケース12が一回転する間に二回のピークを有する周期的な変動となる。
なお、密植時等、株間変更装置9にて設定される株間数によっては、等速で動力が伝達される場合もあり、常に不等速で動力が伝達されるとは限らない。
図2に示すように、クランク・バネ方式のトルク平準化機構40が植付ベベルケース11内の植付縦軸22に設けられる。植付縦軸22は、クランク状に屈曲されて形成されるクランク部41を有し、クランク部41にコイルバネ42が取付けられる。
図3及び図4に示すように、植付ベベルケース11は、トルク平準化機構40を収容するハウジング部45及びハウジング部45に設けられる開口を塞ぐ蓋46を有する。
コイルバネ42は、金属線を円筒形状に巻くことにより構成される一般的なコイルバネであり、上方に延出された上端は曲げられてバネフック44が設けられるとともに、下端は円筒形状に巻かれた状態が維持されている。コイルバネ42の下端にはフック43が固定される。
曲面部43aの側面断面におけるクランク部41との接触は、真円の半分程度であり、クランク部41に対して下側から引っ掛けることができるように上方側がクランク部41の軸径分だけ開放される形状に形成される。
なお、トルク平準化機構40の組付作業は、蓋46を外して植付ベベルケース11のハウジング部45を開けた状態で、開口部45aを通じて行われる。
また、ハウジング部45の一側面に、一面全体が開口する開口部45aを設けて蓋46によって開口部45aを開閉可能とすることで、組立時には開口部45aを通じて容易に組付作業を行うことができ、作業性が向上するとともに、メンテナンス時には蓋46を取り外して開口部45aを通じて容易にメンテナンスを行うことができ、メンテナンス性も向上する。
さらには、コイルバネ42とクランク部41との接続部分に別部材としてのフック43を設け、かつ、コイルバネ42とフック43を一体的に固定することで、クランク部41の回転運動の影響を直接的にコイルバネ42に与えることがなく、コイルバネ42の長寿命化も図ることができる。
なお、図8は前方から見た場合の図を示しており、植付縦軸22は、図示において時計回りに回転する。これにより、クランク部41は、植付縦軸22の回転軸を回転中心として時計回りに回転する。
このとき、クランク部41を含む植付縦軸22は、植付アーム軸25の回転数の二倍で回転するため、トルク平準化機構40には植付アーム軸25が一回転する間に二周期分のトルクが発生する。つまり、トルク平準化機構40は、不等速機構を介したロータリケース12の一回転の間に発生する二回のピークを有する周期的なトルク変動を打ち消して平準化するトルクを発生させることができる。
このように、トルク平準化機構40の周期を、不等速機構によるトルク変動の周期に合わせることで、トルクを合成して不等速機構に起因するトルク変動を抑えている。
この場合は、ハウジング上部の内部にバネかけ47を固定し、かつ、ハウジング上部をハウジング部の開口を塞ぐ蓋としても機能させることも可能である。また、ハウジング上部の上方を開口させて、別途の蓋によってそれを塞ぐことも可能である。この場合は、組立時の作業性を考慮して、蓋側にコイルバネ42のバネフック44を引っ掛けるバネかけ47を設けることが好ましい。
フック50は、平板をU字状に湾曲され、クランク部41に下方から係止されるフック部51と、U字状に湾曲されたフック部51の平面部分を貫通して固定されるピン52と、ピン52の外周に回転自在に設けられるコマ53を含んで構成される。このようなフック50を採用する場合には、コイルバネ42の下端に、上端と同様にバネフック54が設けられる。コマ53の中央には、バネフック54を引っ掛けるための溝が設けられる。
このような構成においては、トルク平準化機構40を植付横軸20に設ける、つまり、植付横軸20の一部をクランク状に形成してクランク部41を設け、クランク部41にフック43を介してコイルバネ42を取り付ける構成を採用できる。若しくは、植付アーム軸25に、植付アーム軸25の二倍で回転する軸(オプション軸)を追加して、当該オプション軸に同様にトルク平準化機構40を設けることで、本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。さらには、植付チェーンケース内のチェーンに従動スプロケットを追加し、該従動スプロケットの支持軸にクランク部41を設け、同様にフック43を介してコイルバネ42を配置することで、当該支持軸にトルク平準化機構40を設けることも可能である。
以上の実施形態では、ユニットクラッチ24を植付縦軸22と植付アーム軸25の間に設けているが、ユニットクラッチは、トルク平準化機構40の動力伝達経路における上流側に設けることがより好ましい。上流側に設けることで、トルク平準化機構40はユニットクラッチの接続に応じて作用する。すなわち、ユニットクラッチの切断時に平準化トルクは作用しないので、作動条数に応じた平準化トルクを適正に作用させることができる。
植付横軸20にはベベルギア21aが相対回転可能に支持される。ベベルギア21aは、ギア形成部の背面側に植付縦軸22に沿って延出される筒状部を有し、該筒状部の外周に可動クラッチ61がスプラインを介してスライド可能に支持される。可動クラッチ61の端部にはカム62が設けられる。このカム62に噛合可能な固定カム63が植付横軸20に固定されている。固定カム63は、植付横軸20に相対回転不能に支持される。ベベルギア21aと可動クラッチ61との間にはバネ64が介装され、バネ64の弾性力によって可動クラッチ61のカム62と植付横軸20の固定カム63とが噛み合うよう方向に押圧されている。
また、可動クラッチ61の外周にはフランジ65が突出して設けられる。このフランジ65にクラッチピン66が当接することで、バネ64を圧縮して可動クラッチ61のカム62が固定カム63と離れる方向に移動する。つまり、クラッチピン66によって、ユニットクラッチ60の断接が操作されるように構成されている。
植付横軸20にはベベルギア21aが相対回転可能に支持される。ベベルギア21aは、ギア形成部の背面側に植付縦軸22に沿って延出される筒状部を有し、該筒状部の外周に可動クラッチ61がスプラインを介してスライド可能に支持される。また、ベベルギア21aの筒状部の端部は植付横軸20に固定される止め輪67に当接する。可動クラッチ61の端部にはカム62が設けられる。このカム62に噛合可能な固定カム63が植付横軸20に固定されている。固定カム63は、植付横軸20に相対回転不能に支持される。ベベルギア21aと可動クラッチ61との間にはバネ64が介装され、バネ64の弾性力によって可動クラッチ61のカム62と植付横軸20の固定カム63とが噛み合うよう方向に押圧されている。
また、可動クラッチ61の外周にはフランジ65が突出して設けられる。このフランジ65にクラッチピン66が当接することで、バネ64を圧縮して可動クラッチ61のカム62が固定カム63と離れる方向に移動する。つまり、クラッチピン66によって、ユニットクラッチ60の断接が操作されるように構成されている。
植付横軸20にはベベルギア21aが相対回転可能に支持される。ベベルギア21aは、ギア形成部側に植付縦軸22に沿って、植付縦軸22側のベベルギア21b側に延出される筒状部を有し、該筒状部の外周に可動クラッチ61がスプラインを介してスライド可能に支持される。また、ベベルギア21aのギア形成部の背面部は植付横軸20に固定される止め輪68に当接する。可動クラッチ61の端部にはカム62が設けられる。このカム62に噛合可能な固定カム63が植付横軸20に固定されている。固定カム63は、植付横軸20に相対回転不能に支持される。ベベルギア21aの筒状部の外周側にバネ座69が固定され、バネ座69と可動クラッチ61との間にはバネ64が介装される。バネ64の弾性力によって可動クラッチ61のカム62と植付横軸20の固定カム63とが噛み合うよう方向に押圧されている。
また、可動クラッチ61の外周にはフランジ65が突出して設けられる。このフランジ65にクラッチピン66が当接することで、バネ64を圧縮して可動クラッチ61のカム62が固定カム63と離れる方向に移動する。つまり、クラッチピン66によって、ユニットクラッチ60の断接が操作されるように構成されている。
トルクリミッタ26のクラッチと噛合可能なカムを有する筒状部材71が植付縦軸22の外周に相対回転不能に支持されている。筒状部材71の外周には、ベベルギア21bが相対回転可能に支持されるとともに、可動クラッチ72がスプラインを介してスライド可能に支持される。可動クラッチ72の端部にはカム73が設けられる。このカム73に噛合可能な固定カム74がベベルギア21bに固定されている。可動クラッチ72と筒状部材71との間にはバネ75が介装され、バネ75の弾性力によって可動クラッチ72のカム73とベベルギア21bの固定カム74とが噛み合う方向に押圧されている。
また、可動クラッチ72の外周にはフランジ76が突出して設けられている。このフランジ76にクラッチピン77が当接することで、バネ75を圧縮して可動クラッチ72のカム73が固定カム74と離れる方向に移動する。つまり、クラッチピン77によって、ユニットクラッチ70の断接が操作されるように構成されている。
Claims (4)
- ロータリケースを支持する植付アーム軸に不等速機構を介して動力を伝達する田植機であって、
前記不等速機構によって生じるトルク変動を打ち消すトルクを付与するトルク平準化機構を設け、
前記トルク平準化機構は、前記植付アーム軸に動力を伝達する植付縦軸の一部をクランク状に形成したクランク部と、該クランク部に取り付けられるバネとを有し、該バネによって前記トルクを付与することを特徴とする田植機。 - 前記トルク平準化機構は、前記植付縦軸を収容する植付ベベルケースに設けられ、
前記植付ベベルケースは、前記トルク平準化機構を収容するハウジング部を有し、該ハウジング部は、一面に開閉可能な開口部が設けられるとともに、
前記トルク平準化機構は、前記開口部を通じて前記ハウジング部に組み付けられる請求項1に記載の田植機。 - 前記ハウジング部は、前記植付ベベルケースと一体成形することにより当該植付ベベルケースと一体的に設けられる請求項2に記載の田植機。
- 前記植付アーム軸に動力を伝達する経路における前記トルク平準化機構よりも上流側に、該植付アーム軸への動力伝達を断接するユニットクラッチが設けられる請求項1から3の何れか一項に記載の田植機。
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