以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の一態様に係る発光装置10および10aは、青色光を発する発光素子11と、青色光により励起されて緑色光を発する緑色蛍光体13と、青色光により励起されて赤色光を発する赤色蛍光体12とを備えている。本発明の一態様では、緑色蛍光体13としてMn2+賦活γ−AlON蛍光体が用いられ、赤色蛍光体12としてMn4+賦活蛍光体が用いられる。そして、上記Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルのピーク波長は、518nm以上528nm以下である。
本発明者らは、鋭意研究の末、上記蛍光体の組合せにおいて、上記ピーク波長が上記範囲内である場合に、NTSCの色域およびAdobeRGBの色域に対するカバー率を高くすることができることを見出した。以下、詳細に説明する。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1について、図1〜図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、画像表示装置のバックライトとして用いることで、発光効率が高く、かつ色再現域が広い画像表示装置を実現することができる発光装置10について説明する。
(発光装置10)
図1は、発光装置10を示す断面図である。図1に示すように、発光装置10は、発光素子11と、赤色蛍光体12と、緑色蛍光体13と、プリント配線基板14と、樹脂枠15と、分散材16とを備える。
(発光素子11)
発光素子11は、青色光を発する発光素子である。発光素子11としては、緑色蛍光体13であるMn2+賦活γ−AlON蛍光体、および赤色蛍光体12であるMn4+賦活蛍光体に吸収されて蛍光が生じる青色光からなる一次光(励起光)を発するものであれば、特に限定されない。発光素子11として、例えば窒化ガリウム(GaN)系半導体を用いることができる。
発光素子11から発せられる一次光(励起光)のピーク波長は、420nm以上480nm以下であることが好ましく、440nm以上460nm以下であることがより好ましい。
発光素子11から発せられる一次光(励起光)のピーク波長が420nm以上480nm以下である場合、赤色蛍光体12および緑色蛍光体13の励起効率が高いため、発光素子11の発光効率が高い。また、一次光(励起波長)のピーク波長が440nm以上かつ460nm以下である場合には、発光素子11の発光効率が特に高く、かつ後述する赤色蛍光体12の励起スペクトルおよび後述する青色カラーフィルタ126bの透過スペクトルとの波長整合性がよいため、発光装置10の発光効率をより向上することができる。
(赤色蛍光体12)
赤色蛍光体12は、発光素子11が発する青色光により励起されて赤色光を発する波長変換部材であり、Mn4+賦活蛍光体である。
Mn4+賦活蛍光体としては、Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体、Mn4+賦活酸化物蛍光体、Mn4+賦活酸フッ化物蛍光体等から適宜選択できるが、その中でもMn4+賦活フッ素錯体蛍光体が好ましい。Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体が発する赤色光の発光スペクトルの半値幅は例えば10nm以下と狭く、赤色領域の色再現性に優れているためである。また、Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体は、青色光に対する励起効率が高いためである。
赤色蛍光体12として用いるMn4+賦活フッ素錯体蛍光体としては、例えば、以下の一般式(A)または一般式(B)で表わされる蛍光体を用いることができる。Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体は、一般式(A)および一般式(B)のいずれの式で示されるものであっても、上記した通り、発光スペクトルの半値幅は10nm以下と極めて狭い。これは、発光イオンであるMn4+の性質に起因するものである。
一般式(A):MI2(MII1−hMnh)F6
上記一般式(A)において、MIはLi、Na、K、RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属元素である。MIIはGe、Si、Sn、TiおよびZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の4価の金属元素である。また、0.001≦h≦0.1であることが好ましい。
一般式(A)において、発光強度の高さ、および蛍光体結晶の安定性が高いことから、MIはKであることが好ましい。また、同様の理由から、MIIはTiまたはSiを含むことが好ましい。
また、一般式(A)において、hの値はMnの組成比(濃度)、すなわちMn4+の濃度を示す。hの値が0.001未満である場合には、発光イオンであるMn4+の濃度が足りず、十分な明るさが得られないという不具合がある。一方、hの値が0.1を超える場合には、濃度消光などにより、明るさが大きく低下するという不具合がある。
すなわち、一般式(A)で表されるMn4+賦活フッ素錯体蛍光体は、K2(Ti1−hMnh)F6またはK2(Si1−hMnh)F6であり、hは0.001以上かつ0.1以下であることが好ましい。
一般式(B):MIII(MII1−hMnh)F6
上記一般式(B)において、MIIIはMg、Ca、SrおよびBaからなる群より選ばれる少なくとも1種のアルカリ土類金属元素である。MIIはGe、Si、Sn、TiおよびZrからなる群より選ばれる、少なくとも1種の4価の金属元素である。また、0.001≦h≦0.1であることが好ましい。
一般式(B)において、蛍光体の発光効率が高く、熱および外力により劣化しにくいことから、MIIIは少なくともBaを含むことが好ましい。同様の理由で、MIIはTiまたはSiを含むことが好ましい。
特に、Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体が一般式(A)および(B)のいずれの形で表される場合であっても、MIIがSiであれば、蛍光体の水に対する溶解度が低く、蛍光体の耐水性が高くなるため、より好ましい。また、一般式(B)において、Mnの組成比(濃度)を示すhの値は、上述した一般式(A)におけるhと同じく0.001≦h≦0.1であることが好ましい。
(緑色蛍光体13)
緑色蛍光体13は、発光素子11が発する青色光により励起されて緑色光を発する波長変換部材であり、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体である。
本実施形態で緑色蛍光体13として用いられるMn2+賦活γ−AlONは、組成式MaAbAlcOdNe(MはMn、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、GD、Tb、Dy、Tm、YbのうちMnを少なくとも含む1種以上の金属元素であり、AはM、Al以外の1種以上の金属元素であり、式中a+b+c+d+e=1とする)で示される。Mn2+賦活γ−AlONとしては、以下の(1)〜(5)の条件を全て満たす値から選ばれる範囲の組成を示すものが好適に用いられる。
0.00001≦a≦0.1 (1)
0≦b≦0.40 (2)
0.10≦c≦0.48 (3)
0.25≦d≦0.60 (4)
0.02≦e≦0.35 (5)。
そして、緑色蛍光体13として用いられるMn2+賦活γ−AlON蛍光体は、緑色光の発光スペクトルのピーク波長が518nm以上(好ましくは520nm以上)528nm以下である。換言すれば、緑色蛍光体13として用いられるMn2+賦活γ−AlON蛍光体は、上記緑色光の発光スペクトルの半値幅が35nm以上50nm以下(好ましくは45nm以下)である。
Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルのピーク波長を518nm以上528nm以下とし、半値幅を35nm以上50nm以下とするには、例えばMn2+賦活γ−AlON蛍光体の設計組成または焼成条件などの製造条件を適切に制御することで実現することができる。
また、上記範囲のピーク波長および半値幅は、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の結晶中に取り込まれたMnの濃度を1.5wt%(重量%)以上4.5wt%以下(好ましくは3.1wt%以下)とすることで実現することができる。なお、上記Mnの濃度を少なくとも1.5重量%以上とする場合も、例えばMn2+賦活γ−AlON蛍光体の設計組成または焼成条件などの製造条件を適切に制御する。すなわち、緑色蛍光体13として用いられるMn2+賦活γ−AlON蛍光体に含まれているMnの濃度(すなわち、最終製品としてのMn2+賦活γ−AlON蛍光体の結晶中に取り込まれているMnの濃度)は、1.5wt%以上4.5wt%以下であるといえる。
このように、発光装置10では、波長変換部材として用いられる緑色蛍光体13であるMn2+賦活γ−AlON蛍光体の発光スペクトルを上記のように適切に制御している。そのため、画像表示装置に発光装置10を備えることにより、後述するように、NTSCの色域およびAdobeRGBの色域等の広い色域に対するカバー率が高い画像表示装置を実現することが可能となる。すなわち、発光装置10を画像表示装置に用いることにより、例えば図12の(b)〜(f)および(h)に示すように、画像表示装置として好適な形状(すなわち、上記カバー率が高い)色度図を得ることができる。
ここで、画像表示装置の色域を調整する手法としては、下記(1)および(2)に示す2種類の手法AおよびBが考えられる。すなわち、上記手法としては、(1)例えば発光装置が備える波長変換部材が発する光(例えば、波長変換部材に含まれる蛍光体が発する蛍光)の発光スペクトルを調整する手法Aがある。また、上記手法としては、(2)カラーフィルタの含有色素を調整することにより、カラーフィルタを透過する透過光の透過スペクトルを調整する手法Bがある。なお、手法Bは、例えば特許文献3に開示されている。
画像表示装置の発光効率と色再現域との向上を両立させるためには、手法Aに示すように、緑色蛍光体13の発光スペクトルを調整する方法で緑色の色域を調整することが好ましい。また、その調整の精度は、1nmオーダーで精密に微調整されることが好ましい。
図2に示すように、ヒトの視感度曲線のピーク波長は555nmであり、緑色の領域に存在する。そのため、例えば緑色カラーフィルタの透過率を調整して緑色の色域を広げた場合(すなわち、手法Bを用いた場合)、発光装置の発光スペクトルにおいて視感度の高い緑色領域のスペクトル成分が、緑色カラーフィルタによって削られてしまう。そのため、上記手法Bのようにカラーフィルタの透過スペクトルを調整する場合、発光装置を備える画像表示装置の発光効率が低下してしまう可能性がある。
そこで、本発明者らは、手法Aのように緑色蛍光体13の発光スペクトルを調整して、色再現域の広い(すなわち、NTSCの色域およびAdobeRGBの色域に対するカバー率の高い)の画像表示装置を実現できる発光装置の製造を試みた。すなわち、本発明者らは、緑色蛍光体であるMn2+賦活γ−AlON蛍光体を繰り返し試作するとともに、試作したMn2+賦活γ−AlON蛍光体とMn4+賦活蛍光体とを組み合わせた発光装置と、当該発光装置を備えた画像表示装置を繰り返し試作した。そして、本発明者らは、鋭意研究の末、試作したMn2+賦活γ−AlON蛍光体、発光装置、および画像表示装置の発光スペクトルの測定結果から、以下の課題を見出した。
すなわち、上記発光装置において、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の半値幅がある値より狭い場合、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルのピーク波長が好ましい波長より短波長となり、画像表示装置のNTSCの色域またはAdobeRGBの色域に対するカバー率が低下するという課題を見出した。
より具体的には、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルの半値幅が35nm未満である場合、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体のピーク波長が上記好ましい波長よりも短波長となり、上記カバー率が低下するという課題を見出した。上記半値幅が35nm未満で、上記ピーク波長が好ましい波長より短波長となった場合に上記カバー率が低下してしまうのは、画像表示装置から出射される光の発光スペクトルにおける緑色の色度点(緑色点)の色度座標CIExが小さくなってしまうためである。
すなわち、本発明者らは、上記半値幅が35nm未満である場合に、上記NTSCの色域またはAdobeRGBの色域における緑色領域に対する色再現性が低下することを見出した。逆にいえば、本発明者らは、上記半値幅が35nm以上、上記ピーク波長が518nm以上であるとき、そして上記Mnの濃度が1.5wt%以上であるときに、上記カバー率を向上させ、画像表示装置の色再現域を広げることができることを見出した。
また、Eu賦活βSiAlON蛍光体等の従来公知の緑色蛍光体においても、結晶中に取り込まれる賦活剤の濃度を高くすることにより、発光スペクトルのピーク波長が長波長化し、半値幅が広くなるなど、発光スペクトルが変化することは一般的に知られている。しかしながら、発光スペクトルの変化に対する賦活剤の濃度の依存性は、賦活剤の種類及び母体材料の種類によって様々であり、各賦活剤と母体材料との組み合わせによって大きく異なる。
例えば、本願で用いているMn2+賦活γ−AlON蛍光体は、図4に示すように、結晶中に取り込まれるMnの濃度が高くなるに従って、発光スペクトルのピーク波長は長波長化し、半値幅は概ね広くなる傾向にある。しかしながら、例えば製造例P2と製造例P3とを比較すると、発光スペクトルのピーク波長は長波長化しているが、半値幅は逆に狭くなっているといった、一般的な挙動とは逆の挙動も示す。本発明者らは、Mn2+賦活γ−AlON特有の特性についても着目して、上記範囲を特定した。
また、一般的には、赤色、緑色および青色の各色の発光スペクトルの半値幅が狭いほど、画像表示装置の色再現域を広げることができると考えられている。すなわち、従来公知の技術常識においては、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体のMnの濃度が低く値に限定されている方が、画像表示装置の色再現域を広げるという目的においては、発光スペクトルの形状として好ましいと言える。そのため、上記のように、緑色蛍光体の発光スペクトルの半値幅がある一定の値以上となるように、Mnの濃度が高い値に限定された緑色蛍光体を作製するという設計思想は、従来の発光元素賦活型蛍光体を用いた発光装置および画像表示装置の設計思想と相反するものである。この相反する理由としては、本願のMn2+賦活γ−AlON蛍光体については、賦活剤の濃度を高くすることに伴う発光スペクトルの変化において、ピーク波長の変化の方が半値幅の変化より、画像表示装置の特性に及ぼす影響が大きいためであると考えられる。
また、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルの半値幅が50nmを超える場合(すなわち、上記ピーク波長が528nmを超える場合)も、上記カバー率が低下する。その理由は以下のとおりである。すなわち、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の半値幅が上記値を超えると(すなわち、上記ピーク波長が528nmを超えると)、画像表示装置の表示可能な色域の面積が狭くなり、上記カバー率が低下する。また、この場合、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体に含まれているMnの濃度は4.5wt%を超える値となっている。
このように、本実施形態では、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルの半値幅は35nm以上50nm以下であり、ピーク波長は518nm以上528nm以下である。また、このような半値幅およびピーク波長を実現するために、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体に含まれているMnの濃度は、1.5wt%以上4.5wt%以下である。
このような発光スペクトルを有するMn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光は、緑色カラーフィルタの透過スペクトルとの波長整合性(マッチング)が良好である。そのため、発光装置10を備えた画像表示装置の発光効率を向上させることが可能となる。
加えて、上記のようなピーク波長を有するMn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の色度座標のx座標であるCIExは、後述するように0.180以上0.260以下(好ましくは0.225以下)の値となる。そのため、当該Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光は、AdobeRGBの色域またはNTSCの色域等の色域における緑色点(緑色ポイント)との波長整合性が良好である。そのため、画像表示装置が発光装置10を備えることにより、従来の画像表示装置よりも、AdobeRGBの色域またはNTSCの色域に対してカバー率の高い画像表示装置を実現することが可能となる。
また、本実施形態のようにMn2+賦活γ−AlONが発する緑色光の発光スペクトルの半値幅を35nm以上と広くし、かつ当該発光スペクトルのピーク波長を518nm以上と長波長化しても、画像表示装置の、AdobeRGBの色域またはNTSCの色域における緑色および赤色の色再現性は低下しにくい。これは、赤色蛍光体12として、赤色光の発光スペクトルの半値幅が特に狭いMn4+賦活蛍光体を使用していることに起因するものである。
さらに、上記半値幅が35nm以上で、上記ピーク波長が518nm以上の発光スペクトルを有する緑色光を発するMn2+賦活γ−AlONを用いることにより、上述の効果に加えて、画像表示装置の色安定性が高まるという別の効果も奏する。
上記半値幅およびピーク波長の発光スペクトルを有する緑色光を発するMn2+賦活γ−AlON蛍光体の場合、その励起スペクトルにおいて、青色光での励起において重要な(すなわち、青色光の波長範囲内である)445nm付近のピーク波長(励起ピーク波長)の半値幅が広がる。そのため、温度や駆動電流等の環境変化の影響により発光素子11から出射された青色光のピーク波長が変動しても、緑色蛍光体13の励起効率が変動しにくい。すなわち、発光装置10から発せられる光の色度が変動しにくい。そのため、画像表示装置の色安定性が高めることができる。
様々な蛍光体の中でも、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の励起スペクトルはピーク形状がシャープであり、その中でも445nmの励起帯では特に半値幅が狭い。そのため、上記のように励起スペクトルにおける445nm付近のピーク波長の半値幅を広がるということは、実用上特に重要な特性である。
また、上述のとおり、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体に含まれているMnの濃度は、1.5wt%以上である。すなわち、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の結晶中にMnがより多く取り込まれているといえる。この場合、Mn2+賦活γ―AlON蛍光体の励起光の吸収率が向上するため、発光装置10の発光効率が向上するという効果もさらに得られる。
上記範囲の濃度でγ−AlON結晶中にMnをより多く取り込むためには、上記組成式MaAbAlcOdNeのAとして、Mg、Zn、Ca等の2価の金属元素を添加することが好ましく、その中でもMgが特に好ましい。
Mn2+賦活γ−AlON蛍光体にMgが含まれていることにより、γ−AlON結晶の結晶構造が安定化して結晶中にMnが取り込まれやすくなる。そのため、Mn2+賦活γ−AlONの発光効率をより向上させることが可能となる。
ここで、上記結晶中に取り込まれたMnの濃度という指標は、原料粉体の混合比率から算出される設計組成におけるMnの濃度とは異なる指標である。すなわち、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体に含まれているMnの濃度とは、最終製品としてのMn2+賦活γ−AlON蛍光体の結晶中に取り込まれているMnの濃度を指す。
Mnは揮発性が高いので、高温の焼成プロセス中に容易に揮発してγ−AlON結晶外のガラス相または異相に取り込まれやすい。そのため、γ−AlON結晶中に実際に取り込まれ、かつ発光に寄与するMnの濃度については、設計組成より算出した値を上記指標とするのではなく、例えば、Mn2+賦活γ−AlONの結晶の断面におけるMnの濃度を直接測定した値を上記指標とすることが好ましい。すなわち、上記指標としては、実際に結晶中に取り込まれているMnの濃度を算出したものを用いることが好ましい。
(発光装置10を構成する他の部材)
プリント配線基板14は、発光素子11が載置されるとともに、発光素子11を駆動させる電気回路が形成されている基板である。樹脂枠15は、プリント配線基板14上に載置された、樹脂製の枠である。
分散材16は、発光素子11を封止する部材である。赤色蛍光体12および緑色蛍光体13は、共通の分散材16中に分散されている。分散材16は、樹脂枠15の内側に充填されている。
分散材16の材質は、特に限定されないが、例えばメチル系シリコーン樹脂、フェニル系シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの透光性を有する樹脂材料、低融点ガラスなどのガラス材料、有機無機ハイブリッドガラスなどを適宜用いることができる。特に、分散材16が樹脂材料で構成される場合、分散材16の製造時の温度が、他の材料に比べて低温であるため好ましい。
分散材16に分散させる赤色蛍光体12および緑色蛍光体13の混合比率は、特に制限されない。上記混合比率は、発光装置10を画像表示装置に用いた場合において、例えばカラーフィルタをフルオープンしたときに、所望の白色点を示す発光スペクトルが得られるように、適宜決定されればよい。
(緑色蛍光体の作製)
次に、緑色蛍光体13の製造例およびその比較例について、図3および図4を用いて説明する。図3の(a)は、比較製造例P0に係る緑色蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルを示すグラフであり、図3の(g)は、比較製造例P6に係る緑色蛍光体の発光スペクトルおよび励起スペクトルを示すグラフである。図3の(b)〜(f)および(h)は、各製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13の発光スペクトルおよび励起スペクトルを示すグラフである。すなわち、図3の(b)は製造例P1、図3の(c)は製造例P2、図3の(d)は製造例P3、図3の(e)は製造例P4、図3の(f)は製造例P5、図3の(h)は製造例P7にそれぞれ対応する。図4は、比較製造例P0およびP6に係る緑色蛍光体と、各製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13との、原料粉末の混合比率と測定結果とを示す表である。具体的には、図4には、上記各発光スペクトルのピーク波長、半値幅および色度座標と、上記各励起スペクトルにおける445nm近傍のピーク波長の半値幅と、上記各緑色蛍光体の結晶中に取り込まれたMnの濃度とが示されている。
なお、図6の(a)および(b)は、図3および図5(後述の赤色蛍光体12の発光スペクトルおよび励起スペクトル)に示すグラフを統合したものである。具体的には、図6の(a)は、比較製造例P0に係る緑色蛍光体および各製造例P1〜P5に係る緑色蛍光体13の発光スペクトルと、赤色蛍光体12の励起スペクトルとを示すグラフである。図6の(b)は、比較製造例P0に係る緑色蛍光体および各製造例P1〜P5に係る緑色蛍光体13の発光スペクトルと上記赤色蛍光体の発光スペクトルを示すグラフである。
また、図3および図6のグラフにおいて、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。
(比較製造例P0:Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の調製)
まず、本実施形態に係る緑色蛍光体13と比較するための緑色蛍光体の製造例(比較製造例P0)を、図3の(a)を参照して説明する。
比較製造例P0に係るMn2+賦活γ−AlON蛍光体を作製するために、窒化アルミニウム粉末、酸化アルミニウム粉末および炭酸マンガン粉末を、図4に示す混合比率で混合した。
すなわち、まず、窒化アルミニウム粉末12.66質量%、酸化アルミニウム粉末81.78質量%および炭酸マンガン粉末5.56質量%の組成となるように所定量秤量した。次に、窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用いて10分以上混合し、粉体凝集体を得た。そして、この粉体凝集体を、直径20mm、高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて入れた。
次に、該るつぼを、黒鉛抵抗加熱方式の加圧電気炉にセットした。そして、当該加圧電気炉に純度が99.999体積%の窒素を導入し、当該加圧電気炉内の圧力を0.5MPaとした後、毎時500℃の温度上昇率で1800℃まで昇温した。そして、上記るつぼを当該加圧電気炉内に1800℃で2時間保持して、蛍光体試料を得た。
得られた蛍光体試料をメノウの乳鉢を用いて粉砕し、開口100μmのふるいにより粗大粉を取り除くことにより、蛍光体粉末を得た。
得られた蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD;X-ray diffraction)を行った。その結果、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全て、当
該蛍光体粉末がγ―AlON構造を示していることを確認できた。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を照射した結果、緑色に発光することを確認できた。すなわち、上記の工程を経て、比較製造例P0に係るMn2+賦活γ−AlON蛍光体粉末を得た。
その後、得られた比較製造例P0に係る緑色蛍光体に対して445nmの光を照射することにより、図3の(a)に示す発光スペクトルを得た。具体的には、この発光スペクトルは、分光光度計(大塚電子製:MCPD−7000)を用いて、上記緑色蛍光体に445nmの光を照射して、当該緑色蛍光体を励起することにより測定された。また、励起スペクトルは、発光スペクトルのピーク波長をモニターして得られたものである。
図3の(a)に示す発光スペクトルを解析した結果、図4に示すように、比較製造例P0に係る緑色蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は515nm、半値幅は33nmであった。また、上記発光スペクトルから色度座標を計算したところ、CIE1931色度座標で(CIEx,CIEy)=(0.143,0.727)であった。
次に、比較製造例P0に係る緑色蛍光体の結晶中に取り込まれたMnの濃度を測定した。
ここで、緑色蛍光体の結晶中に取り込まれたMnの濃度は、以下のように算出した。すなわち、まず、エポキシ樹脂(日本電子製)に、上記の工程を経て得られた蛍光体粉末を分散させた。次に、断面加工装置(日本電子製)を用いて、蛍光体粉末を分散させたエポキシ樹脂にArイオンビームを照射することによって、エポキシ樹脂に埋め込まれた蛍光体を切断した。その後、複数の切断面について、SEM(Scanning Electron Microscope)装置に付属のEDX(Energy dispersive X-ray spectrometry)検出器(エネルギー分散型X線分析装置;アメテック製)を用いてMnの濃度を測定し、その平均値を算出した。そして、その平均値をMnの濃度として算出した。
上記の方法により算出された、比較製造例P0に係る緑色蛍光体の結晶中に取り込まれたMnの濃度は、図4に示すように、0.45wt%であった。
また、図4に示すように、比較製造例P0に係る緑色蛍光体の励起スペクトルにおける445nm近傍のピーク波長の半値幅は、22nmであった。
(比較製造例P6:Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の調製)
次に、本実施形態に係る緑色蛍光体13と比較するための緑色蛍光体の別の製造例(比較製造例P6)を、図3の(g)を参照して説明する。
比較製造例P6に係る緑色蛍光体についても、比較製造例P0と同様の工程を経て作製された。すなわち、比較製造例P6に係る緑色蛍光体は、窒化アルミニウム粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末およびフッ化マンガン粉末を、図4に示す混合比率で混合して作製された。その後、比較製造例P6に係る緑色蛍光体に対して445nmの光を照射することにより、図3の(g)に示す発光スペクトルを得た。具体的には、この発光スペクトルは、比較製造例P0と同様、分光光度計(大塚電子製:MCPD−7000)を用いて、上記緑色蛍光体に445nmの光を照射して、当該緑色蛍光体を励起することにより測定された。また、励起スペクトルは、発光スペクトルのピーク波長をモニターした得られたものである。さらに、比較製造例P6に係る緑色蛍光体の結晶中に取り込まれたMnの濃度についても、比較製造例P0と同様の方法で算出した。
図4に示すように、比較製造例P6に係る緑色蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は529nm、半値幅は51nmであった。また、上記発光スペクトルから色度座標を計算したところ、CIE1931色度座標で(CIEx,CIEy)=(0.262,0.690)であった。また、比較製造例P6に係る緑色蛍光体の結晶中に取り込まれたMnの濃度は、4.56wt%であり、当該緑色蛍光体の励起スペクトルにおける445nm近傍のピーク波長の半値幅は、25.5nmであった。
(製造例P1〜P5およびP7:Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の調製)
次に、本実施形態に係る緑色蛍光体13の製造例(製造例P1〜P5およびP7)を、図3の(b)〜(f)および(h)を参照して説明する。
製造例P1〜P5およびP7に係るMn2+賦活γ−AlON蛍光体(緑色蛍光体13)は、比較製造例P0と同様の工程を経て作製された。すなわち、製造例P1に係る緑色蛍光体13は、窒化アルミニウム粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末および炭酸マンガン粉末を、図4に示す混合比率で混合して作製された。製造例P2に係る緑色蛍光体13は、窒化アルミニウム粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末および酸化マンガン粉末を、図4に示す混合比率で混合して作製された。製造例P3〜5およびP7に係る緑色蛍光体13は、窒化アルミニウム粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末およびフッ化マンガン粉末を、図4に示す混合比率で混合してそれぞれ作製された。
その後、得られた製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13のそれぞれに対して445nmの光を照射することにより、図3の(b)〜(f)および(h)に示す発光スペクトルを得た。具体的には、この発光スペクトルは、比較製造例P0と同様、分光光度計(大塚電子製:MCPD−7000)を用いて、上記緑色蛍光体に445nmの光を照射して、当該緑色蛍光体を励起することにより測定された。また、励起スペクトルは、発光スペクトルのピーク波長をモニターした得られたものである。さらに、製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13の結晶中に取り込まれたMnの濃度についても、比較製造例P0と同様の方法で算出した。
図4に示すように、製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13では、比較製造例P0およびP6と異なり、発光スペクトルの半値幅が35nm以上50nm以下となっていることが分かる。また、当該発光スペクトルのピーク波長が518nm以上528nm以下となっていることが分かる。さらに、色度座標のx座標であるCIExは、0.180以上0.260以下となっていることが分かる。また、上記Mnの濃度は、1.5wt%以上4.5wt%以下となっていることが分かる。
したがって、製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13を用いることにより、従来の画像表示装置よりも、AdobeRGBの色域またはNTSCの色域に対してカバー率が高く、かつ発光効率が良い画像表示装置を実現することが可能となる。
また、製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13においては、比較製造例P0に比べ、発光スペクトルの半値幅が広くなっている。それに伴い、製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13の励起スペクトルにおける445nm近傍のピーク波長の半値幅は23nm〜25.5nmと、比較製造例P0に比べ広くなっていることが分かる。そのため、製造例P1〜P5およびP7に係る緑色蛍光体13を用いることにより、画像表示装置の色安定性を向上させることができる。
(赤色蛍光体の作製)
次に、赤色蛍光体12について、図5を用いて説明する。図5は、製造例R1に係る赤色蛍光体12の発光スペクトルおよび励起スペクトルを示すグラフである。製造例R1では、赤色蛍光体12としてMn4+賦活K2SiF6蛍光体を作製している。
(製造例R1:Mn4+賦活K2SiF6蛍光体の調製)
上記のMI2(MII1−hMnh)F6で表わされる組成式(A)において、MIがKであり、MIIがSiであり、h=0.06となるMn4+賦活フッ素錯体蛍光体を、以下の手順により調製した。
まず、塩化ビニル樹脂製の反応槽の中央に、フッ素樹脂系イオン交換膜の仕切り(隔膜)を設け、イオン交換膜を挟む2室の各々に、いずれも白金板からなる陽極と陰極とを設置した。反応槽の陽極側に、フッ化マンガン(II)を溶解させたフッ化水素酸水溶液、陰極側にフッ化水素酸水溶液を入れた。
上記陽極および陰極を電源につなぎ、電圧3V、電流0.75Aで電解を行った。電解を終えた後、陽極側の反応液に、フッ化水素酸水溶液に飽和させたフッ化カリウムの溶液を過剰に加えると、K2MnF6が黄色の固体生成物として生成された。生成された黄色の固体生成物をろ別、回収することで、K2MnF6を得た。
次に、4.8gの二酸化ケイ素を、100cm3の48質量%フッ化水素酸水溶液に溶解させ、フッ化ケイ素を含む水溶液を調製した。当該水溶液を室温まで放冷した後、ふた付きの樹脂容器に入れ、70℃に保った水浴中で1時間以上保持し、加温した。このフッ化ケイ素を含む水溶液に、上記の調製したK2MnF6粉末を1.19g加えて撹拌して溶解させ、フッ化ケイ素とK2MnF6を含む水溶液(第1溶液)を調製した。
また、13.95gのフッ化カリウムを、40cm3の48質量%フッ化水素酸水溶液に溶解させ、室温まで放冷し、フッ化カリウムを含む水溶液(第2溶液)を調製した。
その後、撹拌した第1溶液に、第2溶液を約2.5分間かけて少しずつ加え、10分間程度撹拌すると、淡橙色の固体が生成された。この固体生成物をろ別し、ろ別した固体生成物を、少量の20質量%フッ化水素酸水溶液で洗浄した。その後、固体生成物をさらにエタノールで洗浄した上で、真空乾燥した。その結果、製造例R1に係るMn4+賦活K2SiF6蛍光体粉末が得られた。
得られた蛍光体粉末について、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行った。その結果、当該蛍光体粉末から得られたチャートは全て、当該蛍光体粉末がK2SiF6構造を示していることを確認できた。また、当該蛍光体粉末に、波長365nmの光を照射した結果、赤色に発光することを確認できた。
その後、得られた製造例R1に係る赤色蛍光体12に対して445nmの光を照射することにより、図5に示す発光スペクトルを得た。具体的には、この発光スペクトルは、分光光度計(大塚電子製:MCPD−7000)を用いて、上記赤色蛍光体12に445nmの光を照射して、当該赤色蛍光体を励起することにより測定された。また、励起スペクトルは、発光スペクトルのピーク波長をモニターして得られたものである。
図5から、製造例R1に係る赤色蛍光体12の発光スペクトルは、図10に示す赤色カラーフィルタ126rと波長整合性が良いことが分かる。また、図5に示す発光スペクトルを解析した結果、製造例R1に係る赤色蛍光体12の発光スペクトルのピーク波長は630nm、半値幅は8nmであった。また、上記発光スペクトルから色度座標を計算したところ、CIE1931色度座標で(CIEx,CIEy)=(0.691,0.307)であった。
(発光装置の実施例および比較例)
次に、発光装置10およびその比較例について、図7および図8を用いて説明する。図7の(a)は、比較例D0に係る発光装置の発光スペクトルを示すグラフであり、図7の(g)は、比較例D6に係る発光装置の発光スペクトルを示すグラフである。図7の(b)〜(f)および(h)は、各実施例D1〜D5およびD7に係る発光装置10の発光スペクトルを示すグラフである。すなわち、図7の(b)は実施例D1、図7の(c)は実施例D2、図7の(d)は実施例D3、図7の(e)は実施例D4、図7の(f)は実施例D5、図7の(h)は実施例D7にそれぞれ対応する。図7のグラフにおいて、縦軸は発光強度(任意単位)、横軸は波長(nm)である。また、図8は、各実施例D1〜D5およびD7に係る発光装置10と各比較例D0およびD6とにおいて、分散材(樹脂)の内部に分散させる赤色蛍光体および緑色蛍光体の混合比率、並びに、分散材と赤色蛍光体および緑色蛍光体との混合比率を示す表である。
(比較例D0)
まず、本実施形態に係る発光装置10と比較するための発光装置の製造例(比較例D0)を、図7の(a)および図8を参照して説明する。
比較例D0に係る発光装置は、図1に示す構造を有する発光装置10と同様の構造を有する。比較例D0に係る発光装置において、発光素子は、発光ピーク波長445nmの青色LED(Cree社製)である。赤色蛍光体は、上記製造例R1で得られたMn4+賦活K2SiF6蛍光体である。緑色蛍光体は、上記比較製造例P0で得られたMn2+賦活γ−AlON蛍光体である。分散材は、シリコーン樹脂(信越化学工業(株)製:KER−2500)である。
まず、シリコーン樹脂に分散させる蛍光体として、上記製造例R1のMn4+賦活K2SiF6蛍光体と上記比較製造例P0のMn2+賦活γ−AlON蛍光体とを1:38の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。
次に、この蛍光体混合物をシリコーン樹脂中に分散させて、蛍光体分散樹脂を得た。具体的には、この蛍光体分散樹脂は、上記蛍光体混合物とシリコーン樹脂とを1:0.5の重量比率で混合することにより得られた。
その後、得られた発光装置を駆動電流20mAで駆動させ、分光光度計(大塚電子製:MCPD−7000)により発光スペクトルを測定したところ、図7の(a)に示す発光スペクトルが得られた。なお、比較例D0において、Mn4+賦活K2SiF6蛍光体およびMn2+賦活γ−AlON蛍光体の分散量は、図7の(a)に示す発光スペクトルが後述する図10に示す透過スペクトルのカラーフィルタを含む液晶パネルを透過した時に、白色点が10,000K付近の白色となるように調整されている。
(比較例D6)
次に、本実施形態に係る発光装置10と比較するための発光装置の別の製造例(比較例D6)を、図7の(g)および図8を参照して説明する。
比較例D6に係る発光装置は、図1に示す構造を有する発光装置10と同様の構造を有する。比較例D6に係る発光装置において、発光素子は、発光ピーク波長445nmの青色LED(Cree社製)である。赤色蛍光体は、上記製造例R1で得られたMn4+賦活K2SiF6蛍光体である。緑色蛍光体は、上記比較製造例P6で得られたMn2+賦活γ−AlON蛍光体である。分散材は、シリコーン樹脂(信越化学工業(株)製:KER−2500)である。
比較例D6に係る発光装置では、シリコーン樹脂に分散させる蛍光体として、上記製造例R1のMn4+賦活K2SiF6蛍光体と上記比較製造例P6のMn2+賦活γ−AlON蛍光体とを1:20.5の重量比率で混合し、蛍光体混合物を得た。
次に、この蛍光体混合物をシリコーン樹脂中に分散させて、蛍光体分散樹脂を得た。具体的には、この蛍光体分散樹脂は、上記蛍光体混合物とシリコーン樹脂とを1:0.80の重量比率で混合することにより得られた。
その後、比較例D0に係る発光装置と同様に発光スペクトルを測定したところ、図7の(g)に示す発光スペクトルが得られた。なお、比較例D6においても、Mn4+賦活K2SiF6蛍光体およびMn2+賦活γ−AlON蛍光体の分散量の調製は、比較例D0と同様に行われている。
(実施例D1〜D5およびD7)
次に、本実施形態に係る発光装置10の製造例(実施例D1〜D5およびD7)を、図7の(b)〜(f)および(h)および図8を参照して説明する。
各実施例D1〜D5およびD7に係る発光装置10は、図1に示す構造を有する。各実施例D1〜D5およびD7に係る発光装置10において、発光素子11は、発光ピーク波長445nmの青色LED(Cree社製)である。赤色蛍光体12は、上記製造例R1で得られたMn4+賦活K2SiF6蛍光体である。緑色蛍光体13は、上記各製造例P1〜P5およびP7で得られたMn2+賦活γ−AlON蛍光体である。分散材16は、シリコーン樹脂(信越化学工業(株)製:KER−2500)である。
比較例D0と同様、シリコーン樹脂に分散させる蛍光体として、上記製造例R1のMn4+賦活K2SiF6蛍光体と上記各製造例P1〜P5およびP7のMn2+賦活γ−AlON蛍光体とを図8に示す重量比率で混合し、蛍光体分散樹脂を得た。
図8では、赤色蛍光体12に対する緑色蛍光体13の重量比率を示している。例えば、実施例D1では、製造例R1に係るMn4+賦活K2SiF6蛍光体と製造例P1に係るMn2+賦活γ−AlON蛍光体とを1:27.8の重量比率で混合した。
次に、この蛍光体混合物をシリコーン樹脂中に分散させて、蛍光体分散樹脂を得た。具体的には、この蛍光体分散樹脂は、上記蛍光体混合物とシリコーン樹脂とを図8に示す重量比率で混合することにより得られた。
図8では、赤色蛍光体12および緑色蛍光体13に対するシリコーン樹脂の重量比率を示している。例えば、実施例D1では、製造例R1に係るMn4+賦活K2SiF6蛍光体および製造例P1に係るMn2+賦活γ−AlON蛍光体と、シリコーン樹脂とを、1:0.54の重量比率で混合した。
その後、得られた発光装置を駆動電流20mAで駆動させ、分光光度計(大塚電子製:MCPD−7000)により発光スペクトルを測定したところ、図7の(b)〜(f)および(h)に示す発光スペクトルが得られた。なお、各実施例D1〜D5およびD7においても、比較例D0と同様、Mn4+賦活K2SiF6蛍光体およびMn2+賦活γ−AlON蛍光体の分散量は、図7の(b)〜(f)および(h)に示す発光スペクトルが後述する図10に示す透過スペクトルのカラーフィルタを含む液晶パネルを透過した時に、白色点が10,000K付近の白色となるように調整されている。
このように得られた発光装置10を画像表示装置のバックライトとして用いることで、発光効率が高く、かつ色再現域が広い画像表示装置を実現することができる。詳細については、実施形態2において述べる。
〔実施形態2〕
実施形態2について、図9〜図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、実施形態1に係る発光装置10を備える画像表示装置100について説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(画像表示装置100)
図9の(a)は、本実施形態に係る画像表示装置の一例である画像表示装置100の分解斜視図である。図9の(b)は、図9の(a)に示されている画像表示装置100が備える液晶表示装置120aの分解斜視図である。図10は、画像表示装置100が備えるカラーフィルタの透過スペクトルを示すグラフである。
図9の(a)に示すように、画像表示装置100は、発光装置10と、導光板110と、液晶表示部120とを備える。導光板110は、透明または半透明の導光板である。液晶表示部120は、画像を表示する表示部であり、複数の液晶表示装置120aを備える。
画像表示装置100では、導光板110の側面に、発光装置10が複数配置されている。本実施形態では、図9の(a)に示すように、6個の発光装置10が配置されている。また、導光板110に隣接して、複数の液晶表示装置120aで構成された液晶表示部120が設けられている。発光装置10からの出射光130は、導光板110内で散乱され、散乱光140として液晶表示部120の全面に照射されるように構成されている。
(液晶表示装置120a)
図9の(b)に示すように、液晶表示部120を構成する液晶表示装置120aは、偏光板121と、透明導電膜123a(薄膜トランジスタ122を有する)と、配向膜124aと、液晶層125と、配向膜124bと、上部薄膜電極123bと、色画素を表示するためのカラーフィルタ126と、上部偏光板127とが順次積層されてなる。
カラーフィルタ126は、透明導電膜123aの各画素に対応する大きさの部分に分割されている。また、カラーフィルタ126は、赤色光を透過する赤色カラーフィルタ126r、緑色光を透過する緑色カラーフィルタ126gおよび青色光を透過する青色カラーフィルタ126bを備えている。
本実施形態に係る画像表示装置100は、図9の(b)に示すカラーフィルタ126のように、それぞれ赤色光、緑色光、青色光を透過するフィルタを備えることが好ましい。この場合、各色カラーフィルタは、例えば図10に示した透過スペクトルを示すものを好適に用いることができる。後述の実施例においても、図10に示した透過スペクトルを示すカラーフィルタを用いている。
ここで、本実施形態の緑色カラーフィルタ126gの透過率は、一般的に広色域液晶ディスプレイに用いられる緑色カラーフィルタの透過率よりも高い。より具体的には、緑色カラーフィルタ126gの、520nm以上540nm以下の波長域の光の透過率は、80%以上である。
一般的に、上記のように緑色カラーフィルタの透過率が高い場合、緑色の色再現性が低下してしまう。一方、本実施形態の画像表示装置100が備える発光装置10では、緑色蛍光体13として上述のMn2+賦活γ−AlON蛍光体を用いている。そのため、緑色カラーフィルタ126gとして上記のように透過率の高い緑色カラーフィルタを用いた場合であっても、画像表示装置100の色再現域を広くすることができる。また、緑色カラーフィルタ126gとして透過率の高い緑色カラーフィルタを用いることができるため、画像表示装置100の輝度を向上させることができる。すなわち、画像表示装置100では、画像表示装置100が表示する画像の明るさと、広い色再現域との両方を実現させることができる。
(画像表示装置の実施例及び比較例)
次に、画像表示装置100の実施例およびその比較例について、図11および図12を用いて説明する。図11は、本実施形態の各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7に係る画像表示装置100と、その比較例DIS0およびDIS6の画像表示装置とのカバー率、面積比率および色度座標を示す表である。図12は、本実施形態の各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7に係る画像表示装置100、またはその比較例DIS0およびDIS6の画像表示装置の色域と、NTSCおよびAdobeRGBの色域とを比較するグラフである。
(比較例DIS0およびDIS6)
比較例DIS0およびDIS6に係る画像表示装置は、図9に示す構造を有する画像表示装置100と同様の構造を有する。比較例DIS0に係る画像表示装置において、バックライトとしては、比較例D0の発光装置を用いた。また、比較例DIS6に係る画像表示装置において、バックライトとしては、比較例D6の発光装置を用いた。また、比較例DIS0およびDIS6に係る画像表示装置において、カラーフィルタとしては、図10に示す透過率を有するものを用いた。すなわち、赤色カラーフィルタ126r、緑色カラーフィルタ126gおよび青色カラーフィルタ126bを備えるカラーフィルタ126を用いた。
(実施例DIS1〜DIS5およびDIS7)
実施例DIS1〜DIS5およびDIS7に係る画像表示装置100は、図9に示す構造を有する。バックライトとしては、実施例D1〜D5およびD7の発光装置10をそれぞれ用いた。また、カラーフィルタとしては、図10に示す透過率を有するカラーフィルタ126を用いた。
(画像表示装置の色再現域の比較)
各実施例および各比較例の画像表示装置における、(1)画面上表示光のCIE1931色度座標での白色点、赤色点、緑色点、青色点の色度座標、(2)NTSCカバー率および面積比率、(3)AdobeRGBカバー率および面積比率を図11に示す。
ここで、赤色点、緑色点、青色点とは、ディスプレイ上(画面上)にそれぞれ赤色カラーフィルタ、緑色カラーフィルタ、青色カラーフィルタを透過する光のみを表示させた場合のディスプレイ上の色度点である。白色点とは、それぞれのカラーフィルタを透過する光をすべて同時に表示させた場合のディスプレイ上の色度点である。NTSCカバー率とは、NTSCの色域の面積に対する、上記赤色点、緑色点、青色点で囲まれる色域がカバーする面積の割合である。NTSC面積比率とは、NTSCの色域の面積に対する、上記赤色点、緑色点、青色点で囲まれる色域の面積の割合である。同様に、AdobeRGBカバー率とは、AdobeRGBの色域の面積に対する、上記赤色点、緑色点、青色点で囲まれる色域がカバーする面積の割合である。AdobeRGB面積比率とは、AdobeRGBの色域の面積に対する、上記赤色点、緑色点、青色点で囲まれる色域の面積の割合である。
なお、図11に示される色度点と、NTSCカバー率および面積比率と、AdobeRGBカバー率および面積比率とは、大塚電子製MCPD−7000を用いて測定したスペクトルデータから計算した。
図11に示す各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7と比較例DIS0とのパラメータから、各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置100のNTSC面積比率およびAdobeRGB面積比率は、それぞれ比較例DIS0の画像表示装置のNTSC面積比率およびAdobeRGB面積比率よりも低くなっていることが分かる。一方、各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置100のNTSCカバー率およびAdobeRGBカバー率は、それぞれ比較例DIS0の画像表示装置のNTSCカバー率およびAdobeRGBカバー率よりも高くなっていることが分かる。
上記効果を図12の(a)〜(f)および(h)を用いて説明する。図12の(a)は比較例DIS0の画像表示装置の色域と、NTSCおよびAdobeRGBの色域とを比較するグラフである。図12の(b)〜(f)および(h)は、それぞれ実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置の色域と、NTSCおよびAdobeRGBの色域とを比較するグラフである。
図12の(a)〜(f)および(h)のそれぞれにおいて、(CIEx,CIEy)=(0.2,0.7)の近傍の色域が、緑色の色域である。図12の(a)と、図12の(b)〜(f)および(h)とを比較すると、各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置100は、比較例DIS0の画像表示装置と比較して、緑色の色域においてNTSCの色域およびAdobeRGBの色域とマッチングがよいことが分かる。より具体的には、図12の(a)において、比較例DIS0に示す画像表示装置の色域は、緑色のポイントが図中の左側、すなわちCIExが小さい方向に寄りすぎており、NTSC及びAdobeRGBの色域から大きく外れた領域に緑色のポイントが存する。よって、比較例DIS0に示す画像表示装置の色域は、面積は広いが、NTSC及びAdobeRGBの色域に対するカバー率は低い。
また、青色の色域に関しても、図12の(a)〜(f)および(h)から、各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置100の色域が、比較例DIS0の画像表示装置の色域よりも、NTSCの色域およびAdobeRGBの色域に近似していることが分かる。
さらに、図11に示す実施例DIS1〜DIS5およびDIS7と比較例DIS6とのパラメータから、各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置100のNTSC面積比率およびAdobeRGB面積比率は、それぞれ比較例DIS6の画像表示装置のNTSC面積比率およびAdobeRGB面積比率よりも高くなっている。また、各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置100のNTSCカバー率およびAdobeRGBカバー率についても、それぞれ比較例DIS6の画像表示装置のNTSCカバー率およびAdobeRGBカバー率よりも高くなっていることが分かる。
上記効果を図12の(b)〜(h)を用いて説明する。図12の(g)は比較例DIS6の画像表示装置の色域と、NTSCおよびAdobeRGBの色域とを比較するグラフである。
図12の(b)〜(h)のそれぞれにおいて、各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置100は、比較例DIS6の画像表示装置と比較して、緑色の色域においてNTSCの色域およびAdobeRGBの色域とマッチングがよいことが分かる。より具体的には、比較例DIS6に示す画像表示装置の色域は、緑色のポイントがNTSC及びAdobeRGBの色域から大きく外れることは無いものの、緑色のポイントが図中の右下側、すなわちCIExが大きくCIEyが小さい方向に寄りすぎている。よって、比較例DIS6に示す画像表示装置の色域は、面積が狭く、かつNTSC及びAdobeRGBの色域に対するカバー率も低くなる。
したがって、各実施例DIS1〜DIS5およびDIS7の画像表示装置は、比較例DIS0、DIS6の画像表示装置よりも実用性が高いということが分かる。
上記の結果は、本発明において使用したMn2+賦活γ−AlON蛍光体である緑色蛍光体13の発光スペクトルのピーク波長および半値幅が、Mn4+賦活蛍光体と組み合わせる構成において適切に設定されていることに起因する。また、本発明において使用したMn2+賦活γ−AlON蛍光体に含まれているMnの濃度についても、Mn4+賦活蛍光体と組み合わせる構成において適切に設定されていることに起因しているともいえる。
なお、特許文献2では、画像表示装置のNTSC面積比率のみが議論されている。しかしながら、実際に画像表示装置の色再現域を向上させるには、NTSCの色域およびAdobeRGB等の色域に対するカバー率を向上させることが重要となる。より具体的には、特許文献2の構成では、NTSC面積比率については向上しているが、実用上、NTSC面積比率より重要なNTSCカバー率について議論されておらず、実際のカバー率も高くない。そのため、特許文献2の画像表示装置を、NTSC、AdobeRGB等の規格に準拠した表示装置として用いた場合に、実質的に表示できる色域が狭くなってしまう可能性がある。
本実施形態の画像表示装置100は、実施形態1の発光装置10を備えている。すなわち、実施形態1で述べたように、発光装置10の波長変換部材として、発光スペクトルのピーク波長および半値幅が制御され、かつ結晶中に取り込まれたMnの濃度が制御されたMn2+賦活γ−AlON蛍光体を緑色蛍光体13として用いている。そして、この緑色蛍光体13を、赤色蛍光体12としてのMn4+賦活蛍光体と組み合わせて用いている。
それゆえ、上述のとおり、NTSCカバー率およびAdobeRGBカバー率が高く、かつ発光効率が良い画像表示装置100を実現することができる。
〔実施形態3〕
実施形態3について、図13に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、実施形態1で説明した発光装置10の別の実施形態に係る発光装置10aについて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(発光装置10a)
図13に示すように、発光装置10aは、発光素子11と、赤色蛍光体12と、緑色蛍光体13と、プリント配線基板14と、樹脂枠15と、分散材16と、光散乱材(散乱材)17とを備える。すなわち、本実施形態に係る発光装置10aは、光散乱材17を含んでいる点で、実施形態1に係る発光装置10とは異なる。
(光散乱材17)
光散乱材17は、発光素子11から発せられた青色光を散乱させるものである。光散乱材17は、赤色蛍光体12および緑色蛍光体13と共に、分散材16に均一に分散されている。光散乱材17としては、SiO2、Al2O3、Y2O3、Zr2O3、TiO2等の金属酸化物等を好適に用いることができる。その中でも、屈折率が高く、かつ可視光吸収率が低いAl2O3またはY2O3を、光散乱材17としてより好適に用いることができる。
本実施形態では、光散乱材17の粒径は、50nm以上5μm以下である。光散乱材17の粒径が上記範囲を外れた場合、青色光の散乱効率が低下する可能性がある。それゆえ、光散乱材17としては、上記範囲内の粒径を有するものを好適に用いることができる。
以上のように、本実施形態の発光装置10aは、光散乱材17を含んでいるため、発光素子11から発せられた青色光(励起光)を効率良く散乱させることができる。すなわち、発光装置10aは、上記青色光を、赤色蛍光体12および緑色蛍光体13により効率的に照射することができる。そのため、発光装置10aに用いられる赤色蛍光体12および緑色蛍光体13の使用量(すなわち、赤色蛍光体12および緑色蛍光体13の重量)を低減させることができる。したがって、発光装置10aの軽量化、ひいては発光装置10aを備えた画像表示装置の軽量化を図ることができる。
また、実施形態1の発光装置10、および本実施形態に係る発光装置10aは、緑色蛍光体13としてMn2+賦活γ−AlON蛍光体、赤色蛍光体12としてMn4+賦活蛍光体を用いている。すなわち、発光装置10、10aでは、発光元素として間接遷移型のMnを用いている。そのため、赤色蛍光体12および緑色蛍光体13の光吸収における遷移確率が低くなる。当該遷移確率を向上させることにより発光効率を向上させるためには、分散材16の内部に分散させる赤色蛍光体12および緑色蛍光体13の量を増やす必要がある。
発光装置10aでは、光散乱材17を分散材16の内部に分散させているので、上記のように赤色蛍光体12および緑色蛍光体13の使用量を低減させることができる。そのため、遷移確率の低下に伴う上記使用量の増大を抑制することができる。すなわち、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体およびMn4+賦活蛍光体を用いた発光装置において、光散乱材17は重要な役割を果たすといえる。
〔実施形態4〕
実施形態4について説明する。実施形態4は、実施形態1で説明した発光装置の別実施形態である。本実施形態に係る発光装置は、発光素子11以外については発光装置10と同じであるため、説明を省略する。
本実施形態に係る発光装置において、発光素子から発せられる一次光(励起光)のピーク波長は、420nm以上かつ440nm以下である。このようなピーク波長の一次光(励起光)を発する発光素子によっても、色再現域の広い画像表示装置を実現できる発光装置を提供することができる。
ただし、実施形態1の発光装置10は、上述した通り、一次光(励起光)のピーク波長と、赤色蛍光体12の励起スペクトルおよび青色カラーフィルタ126bの透過スペクトルとの波長整合性がよいため、本実施形態の発光装置より発光効率が高い。
(一次光のピーク波長と発光効率との関係)
ここで、一次光のピーク波長と発光効率との関係について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態の実施例D8およびD9に係る発光装置10の、分散材16の内部に分散させる緑色蛍光体13および赤色蛍光体12の混合比率、並びに、分散材16と緑色蛍光体13および赤色蛍光体12との混合比率、及び発光効率を示す表である。なお、発光効率の比較のために、図14では、実施形態1の実施例D5に係る発光装置10のデータについても示している。そして、図14には、実施例D5に係る発光装置10の光束値(発光効率)を100としたときの、各実施例に係る発光装置の光束値(相対値)が示されている。
図14に示すように、本実施形態の実施例D8では、発光素子11から発せられる一次光(励起光)のピーク波長は430nmである。本実施形態の実施例D9では、一次光のピーク波長は440nmである。また、本実施形態の実施例D8およびD9では、実施例D5と同様、緑色蛍光体13として製造例P5で製造されたものを使用しており、図14に示すような混合比率で、赤色蛍光体12および緑色蛍光体13が分散材16に分散されている。また、実施例D8およびD9の赤色蛍光体12、緑色蛍光体13および分散材16の混合量は、上記実施例D1〜D5およびD7と同様に、図10に示す透過スペクトルのカラーフィルタを含む液晶パネルを透過した時に、白色点を示す色度点が(CIEx,CIEy)=(0.281,0.288)付近の色温度10,000Kの白色となるように調整されている。
図14に示すように、実施例D8(発光素子11のピーク波長:430nm)の発光効率は、実施例D5(発光素子11のピーク波長:445nm)の発光効率を100とした場合において81である。このように、実施例D8の発光効率は、上述のように実施例D5の発光効率よりも低くなっている。しかしながら、実施例D8の発光効率は、本願の画像表示装置において実現され得る所望の発光効率を実現できる程度のものであるといえる。
また、実施例D9(発光素子11のピーク波長:440nm)の発光効率は、実施例D5の発光効率を100とした場合において96である。このように、実施例D9の発光効率は、実施例D5と同程度の発光効率を実現しているといえる。
図14の結果から、発光素子11から発せられる一次光のピーク波長が420nm以上かつ440nm以下である場合には、所定の発光効率を実現することができる。そのため、本実施形態に係る発光装置10を本願の画像表示装置に好適に使用することができる。
〔実施形態5〕
実施形態5について、図15〜図18に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施形態では、発光装置10を備える画像表示装置200について説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
(画像表示装置200)
図15の(a)は、本実施形態に係る画像表示装置の一例である画像表示装置200の分解斜視図である。図15の(b)は、図15の(a)に示されている画像表示装置200が備える液晶表示装置120bの分解斜視図である。図16は、画像表示装置200が備えるカラーフィルタ126’の透過スペクトルを示すグラフである。
図15に示すように、本実施形態における画像表示装置200は、液晶表示装置120bを含んでいる点で、実施形態2に係る画像表示装置100と異なる。具体的には、画像表示装置200は、赤色カラーフィルタ126r、緑色カラーフィルタ126g’および青色カラーフィルタ126b’を有するカラーフィルタ126’を備えている点で、画像表示装置100とは異なる。すなわち、画像表示装置200は、NTSC及びAdobeRGBの色域より広い色域に対応する画像表示装置を実現するために、画像表示装置100の緑色カラーフィルタ126gおよび青色カラーフィルタ126bを代えて、緑色カラーフィルタ126g’および青色カラーフィルタ126b’を備えている。
具体的には、本実施形態では、緑色カラーフィルタ126g’として、600nm以上680nm以下の波長域の光の透過率が10%以下であり、かつ透過スペクトルの半値幅が90nm以下のものが使用されている。また、緑色カラーフィルタ126g’として、470nm以下の波長域の光の透過率が10%以下であるものを好適に使用することができる。
また、本実施形態では、青色カラーフィルタ126b’として、520nm以上680nm以下の波長域の光の透過率が10%以下であり、かつ透過スペクトルの半値幅が100nm以下のものが使用されている。
このような緑色カラーフィルタ126g’および青色カラーフィルタ126b’の透過スペクトルの一例が図16に示されている。また、緑色カラーフィルタ126g’および青色カラーフィルタ126b’のような特性を有するカラーフィルタは、従来公知の方法で作製することができ、例えば特許文献4にその作製方法が記載されている。
(発光装置の実施例)
次に、図17に基づき、本実施形態に係る発光装置10の実施例D10について説明する。図17は、実施例D10に係る発光装置10の、分散材16の内部に分散させる緑色蛍光体13および赤色蛍光体12の混合比率、並びに、分散材16と緑色蛍光体13および赤色蛍光体12との混合比率を示す表である。
実施例D10に係る発光装置10は、赤色蛍光体12と緑色蛍光体13との重量比率、およびシリコーン樹脂と蛍光体との重量比率を図17に示す重量比率とした以外は、実施例D4に係る発光装置10と同様にして作製されている。なお、実施例D10における各重量比率(赤色蛍光体12、緑色蛍光体13および分散材16の混合量)は、図16に示す透過スペクトルを有するカラーフィルタを含む液晶パネルを透過した時に、白色点が10,000K付近の白色となるように調整されている。
(画像表示装置の実施例)
次に、画像表示装置200の実施例DIS10について、図18を用いて説明する。図18は、本実施形態の実施例DIS10に係る画像表示装置200のカバー率、面積比率および色度座標を示す表である。なお、図18では、比較のために、実施形態2の実施例DIS5に係る画像表示装置100のカバー率等を示している。
実施例DIS10に係る画像表示装置200は、図15に示す構造を有する。バックライトとしては、実施例D10の発光装置10を用いた。また、青色及び緑色カラーフィルタとしては図16に示す透過率を有する青色カラーフィルタ126b’及び緑色カラーフィルタ126g’を、赤色カラーフィルタとしては図10に示す透過率を有する赤色カラーフィルタ126rを用いた。
図18に示すように、実施例DIS10に係る画像表示装置200においては、NTSCカバー率およびAbobeRGBカバー率は、実施例DIS5に係る画像表示装置100とほぼ同じである(維持している)ことが分かる。一方、実施例DIS10に係る画像表示装置200においては、NTSC面積比率およびAbobeRGB面積比率は、実施例DIS5に係る画像表示装置100よりも大きくなっていることが分かる。すなわち、画像表示装置200においては、実施形態2に係る画像表示装置100に比べ、色再現域を大幅に拡大することができることが分かる。
以上より、本実施形態の画像表示装置200は、BT.2020等の次世代の色域に対応した画像表示装置として好適に用いることができる。
〔実施形態6〕
実施形態6について、図14を用いて説明すれば、以下のとおりである。図14は、本実施形態の実施例D11に係る発光装置10の、分散材16の内部に分散させる緑色蛍光体13および赤色蛍光体12の混合比率、並びに、分散材16と緑色蛍光体13および赤色蛍光体12との混合比率、及び発光効率を示す表である。本実施形態に係る発光装置は、発光素子11以外については発光装置10と同じであるため、説明を省略する。
本実施形態に係る発光装置において、発光素子から発せられる一次光(励起光)のピーク波長は、440nm以上460nm以下である。このようなピーク波長の一次光(励起光)を発する発光素子によっても、色再現域の広い画像表示装置を実現できる発光装置を提供することができる。
(一次光のピーク波長と発光効率との関係)
図14に示すように、本実施形態の実施例D11では、発光素子11から発せられる一次光(励起光)のピーク波長は460nmである。また、実施例D5と同様、緑色蛍光体13として製造例P5で製造されたものを使用しており、図14に示すような混合比率で、赤色蛍光体12および緑色蛍光体13が分散材16に分散されている。また、実施例D11の赤色蛍光体12、緑色蛍光体13および分散材16の混合量は、上記実施例D1〜D5およびD7と同様に、図10に示す透過スペクトルのカラーフィルタを含む液晶パネルを透過した時に、白色点を示す色度点が(CIEx,CIEy)=(0.281,0.288)付近の色温度10,000Kの白色となるように調整されている。
図14に示すように、実施例D11(発光素子11のピーク波長:460nm)の発光効率は、実施例D5(発光素子11のピーク波長:445nm)の発光効率を100とした場合において88である。このように、実施例D11の発光効率は、上述のように実施例D5の発光効率よりも低くなっている。しかしながら、実施例D11の発光効率は、本願の画像表示装置において実現され得る所望の発光効率を実現できる程度のものであるといえる。
また、実施形態4で述べたように、実施例D9(発光素子11のピーク波長:440nm)の発光効率は、実施例D5の発光効率を100とした場合において96である。このように、実施例D9の発光効率は、実施例D5と同程度の発光効率を実現しているといえる。
図14の結果から、発光素子11から発せられる一次光のピーク波長が440nm以上かつ460nm以下である場合には、所定の発光効率を実現することができる。そのため、本実施形態に係る発光装置10を本願の画像表示装置に好適に用いることができる。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る発光装置(10、10a)は、青色光を発する発光素子(11)と、上記青色光により励起されて緑色光を発するMn2+賦活γ−AlON蛍光体(緑色蛍光体13)と、上記青色光により励起されて赤色光を発するMn4+賦活蛍光体(赤色蛍光体12)と、を備え、上記Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルのピーク波長は、518nm以上528nm以下である。
上記の構成によれば、青色光により励起されて緑色光を発する緑色蛍光体としてのMn2+賦活γ−AlON蛍光体と、青色光により励起されて赤色光を発する赤色蛍光体としてのMn4+賦活蛍光体とを組み合わせることで、波長変換部材を形成している。そして、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルのピーク波長は、518nm以上528nm以下である。
Mn2+賦活γ−AlON蛍光体とMn4+賦活蛍光体とを青色光によって励起する発光装置において、上記緑色光の発光スペクトルのピーク波長が518nm未満または528nmを超える場合には、NTSCの色域およびAdobeRGBの色域に対するカバー率が悪化するなど、画像表示装置の色再現性が悪くなる。すなわち、上記緑色光の発光スペクトルのピーク波長が518nm以上528nm以下であれば、NTSCの色域およびAdobeRGBの色域に対するカバー率を高くすることができる。
したがって、上記一態様に係る発光装置によれば、色再現域の広い画像表示装置を実現できるという効果を奏する。
また、上記構成によれば、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルのピーク波長が上記波長範囲である。そのため、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の励起スペクトルにおいて、445nm付近のピーク波長の半値幅が広がるので、青色光のピーク波長が変動しても、当該蛍光体の励起光率は変動しにくい。それゆえ、上記一態様に係る発光装置によれば、色再現域の変動(色変動)が少ない画像表示装置を実現できるという効果を奏する。
本発明の態様2に係る発光装置は、態様1において、上記Mn2+賦活γ−AlON蛍光体が発する緑色光の発光スペクトルの半値幅は、35nm以上50nm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の発光スペクトルの半値幅が35nm未満または50nmを超える場合には、上記緑色光の発光スペクトルのピーク波長が518nm未満または528nmを超えてしまう。そのため、NTSCの色域およびAdobeRGBの色域に対するカバー率が悪化する。すなわち、上記緑色光の発光スペクトルの半値幅が35nm以上50nm以下であれば、NTSCの色域およびAdobeRGBの色域に対するカバー率を高くすることができる。
したがって、上記一態様に係る発光装置によれば、色再現域の広い画像表示装置を実現できる。
本発明の態様3に係る発光装置は、態様1または2において、上記Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の結晶中に含まれているMnの濃度は、1.5wt%以上4.5wt%以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、MnがMn2+賦活γ−AlON蛍光体の結晶中に1.5wt%以上4.5wt%以下含まれていることにより、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体の青色光(励起光)の吸収率を向上させることができる。そのため、上記一態様に係る発光装置の発光効率を向上させることが可能となる。
本発明の態様4に係る発光装置は、態様1から3のいずれかにおいて、上記Mn2+賦活γ−AlON蛍光体は、Mgを含んでいることが好ましい。
上記の構成によれば、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体にMgが含まれていることにより、γ−AlON結晶の結晶構造が安定化する。そのため、当該蛍光体内にMnを取り込まれやすくすることができる。それゆえ、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体におけるMnの濃度を高めやすくすることが可能となるため、上記一態様に係る発光装置の発光効率を向上させることができる。
本発明の態様5に係る発光装置は、態様1から4のいずれかにおいて、上記Mn4+賦活蛍光体は、Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体であることが好ましい。
上記の構成によれば、Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体が発する赤色光の発光スペクトルの半値幅は狭く、青色光の励起効率が高い。それゆえ、上記一態様に係る発光装置の発光効率を向上させることができる。また、色再現域を赤色側に広げることが可能となるため、赤色領域の色再現性に優れた発光装置を実現することができる。
本発明の態様6に係る発光装置は、態様5において、上記Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体は、K2(Ti1−hMnh)F6またはK2(Si1−hMnh)F6であり、hは0.001以上かつ0.1以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体がK2(Ti1−hMnh)F6またはK2(Si1−hMnh)F6であり、hが0.001以上かつ0.1以下である場合、Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体の発光強度が高く、また蛍光体結晶の安定性が高い。そのため、上記一態様に係る発光装置の発光効率及び信頼性を向上させることができる。
本発明の態様7に係る発光装置は、態様5または6において、上記Mn4+賦活フッ素錯体蛍光体は、Mn4+賦活K2SiF6蛍光体であることが好ましい。
上記の構成によれば、Mn4+賦活K2SiF6蛍光体は、安定性(耐水性)が高い。そのため、上記一態様に係る発光装置の信頼性を向上させることができる。
本発明の態様8に係る発光装置は、態様1から7のいずれかにおいて、上記青色光のピーク波長は、440nm以上460nm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体およびMn4+賦活蛍光体の励起効率を高めることができる。また、青色光を透過する青色カラーフィルタとの波長整合性が良好である。それゆえ、発光装置の発光効率を向上させることができる。また、当該発光装置を備えた画像表示装置の輝度(表示の明るさ)を向上させることができる。
本発明の態様9に係る発光装置(10a)は、態様1から8のいずれかにおいて、上記Mn2+賦活γ−AlON蛍光体および上記Mn4+賦活蛍光体は、共通の分散材(16)中に分散されており、上記分散材に、上記発光素子から発せられた青色光を散乱させる散乱材(光散乱材17)が含まれていることが好ましい。
上記の構成によれば、発光素子から発せられた青色光(励起光)を散乱させる散乱材が、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体およびMn4+賦活蛍光体が分散されている分散材に含まれている。そのため、散乱材にて散乱させた青色光を、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体およびMn4+賦活蛍光体に、より効率的に照射することができる。そのため、Mn2+賦活γ−AlON蛍光体およびMn4+賦活蛍光体の使用量を削減することができる。また、発光装置の発光効率を向上させることができる。
本発明の態様10に係る画像表示装置(100、200)は、態様1から9のいずれかの発光装置を含んでいることが好ましい。
上記の構成によれば、色再現域の広い画像表示装置を実現できるという効果を奏する。
本発明の態様11に係る画像表示装置(100)は、態様10において、緑色光を透過する緑色カラーフィルタ(126g)を備え、上記緑色カラーフィルタの、520nm以上540nm以下の波長域の光の透過率は、80%以上であってもよい。
上記の構成によれば、緑色カラーフィルタの、520nm以上 540nm以下の波長域の光の透過率は80%以上である。上記発光装置では、緑色蛍光体としてMn2+賦活γ−AlON蛍光体を用いているため、このように透過率の高い緑色カラーフィルタを用いた場合であっても、画像表示装置の色再現域を広くすることができる。また、透過率の高い緑色カラーフィルタを用いることができるため、画像表示装置の輝度を向上させることができる。
本発明の態様12に係る画像表示装置(200)は、態様10において、緑色光を透過する緑色カラーフィルタ(126g’)と、青色光を透過する青色カラーフィルタ(126b’)と、を備え、上記緑色カラーフィルタの、600nm以上680nm以下の波長域の光の透過率は10%以下であり、かつ当該緑色カラーフィルタの透過スペクトルの半値幅は90nm以下であり、上記青色カラーフィルタの、520nm以上680nm以下の波長域の光の透過率は10%以下であり、かつ当該青色カラーフィルタの透過スペクトルの半値幅は100nm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、画像表示装置の色再現域をさらに広くすることができる。
本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。