まず、本発明の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1(以下、パチンコ機1と略称する)を正面からみた正面図である。尚、以下の説明において、図1の手前側(遊技者側)をパチンコ機1の前面側、奥側(内方側)を背面側として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ機1の前面とは、遊技者側からパチンコ機1を見たときに該遊技者と対向する対向面である。
図1及び図2に示すように、パチンコ機1は、縦長の方形状に形成された外枠100と、この外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠(図示略)と、で主に構成されている。この前面枠の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ一側を中心に開閉可能に設けられている。
図1に示すように、ガラス扉枠102の下方に取り付けられた下扉枠103の前面上部には、遊技媒体(遊技球)としてのパチンコ球(打球)を貯留可能な遊技球貯留部としての打球供給皿(上皿とも言う)3が上面に形成された上皿部3aが、パチンコ機1の前方(パチンコ機1の前面方向)に向けて突設されている。また、この上皿部3aの下方には、後述する操作レバー600が揺動自在に軸支されるとともに、上面に余剰球貯留皿(下皿とも言う)4が形成された下皿部4a(突出部)が、パチンコ機1の前方(パチンコ機1の前面方向)に向けて突設されている。その右側方には、パチンコ球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。
操作レバー600は、遊技者が把持する操作桿を含み、操作桿の所定位置(例えば遊技者が操作桿を把持したときに操作手の人差し指が掛かる位置など)には、トリガースイッチが内設されたトリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者が操作レバー600の操作桿を操作手(例えば左手など)で把持した状態において、所定の操作指(例えば人差し指など)で押引操作することなどにより所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作レバー600の下部における下皿4の本体内部などには、操作桿に対する傾倒操作を検知するために四方向に配置されたレバースイッチ510a〜510dが設けられていればよい。
また、上皿3を形成する部材には、例えば上皿3本体の上面における手前側の所定位置(例えば操作レバー600の上方)などに、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能な操作ボタン516が設けられている。操作ボタン516は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。操作ボタン516の設置位置における上皿の本体内部などには、操作ボタン516に対してなされた遊技者の操作行為を検知するボタンスイッチ516a(図3を参照)が設けられていればよい。
下扉枠103の前面左右側には、後述する左右一対のスピーカ27a、27bが配設されている。
ガラス扉枠102の背面には、前面枠101に対して着脱可能に取り付けられた遊技盤6が配置されている。尚、遊技盤6は、それを構成する板状体と、その板状体に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。また、遊技盤6の前面には遊技領域7が形成されている。
遊技盤6は、遊技領域7が遊技盤面(前面)側に形成されたベニヤ板からなり、遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技盤ユニット260が一体的に組み付けられている(図2参照)。
遊技領域7の中央付近には、演出用の飾り図柄(演出図柄ともいう)を変動表示(可変表示ともいう)する複数の変動表示領域を含む演出表示装置9(可変表示装置)が、遊技盤6の開口の臨むように設けられている。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(図3参照)によって制御される。
尚、本実施例では、不透明な遊技盤6を使用しているので演出表示装置9を、遊技盤6の図示しない開口に臨むように配置しているが、透明な遊技盤6を使用する場合には、透明な遊技盤を通して演出表示装置9の表示を遊技者が視認できるので、開口を設けないようにしても良い。
遊技盤6の所定箇所には、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての特別図柄を変動表示する特別図柄表示器(特別図柄表示装置)8(図3参照)が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示領域(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、特別図柄表示器8による特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄であって、各々を識別可能な複数種類の識別情報としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の変動(可変)表示を行う。演出表示装置9は、後述する演出制御基板80(演出実行手段)に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81(図3参照)等の各デバイスによって制御される。
特別図柄表示器8は、例えば0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。特別図柄表示器8には、第1識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aと、第2識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。
第1特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第1始動口15aに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動時間(可変表示時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第2始動口15bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、変動時間(可変表示時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
これら第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bにおける変動表示と演出表示装置9における演出図柄の変動(可変)表示とは、後述するように、該第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bにおける変動表示が開始されること連動して開始され、該第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bにおける変動表示が停止されることと連動して停止されるように同期しており、これら演出表示装置9における識別情報である演出図柄の変動(可変)表示も、変動表示の実行条件である第1始動条件または第2始動条件が成立(例えば、遊技球が後述する第1始動口15aまたは第2始動口15bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(演出図柄の組合せによる停止図柄)を導出表示する。
演出表示装置9の下方には、パチンコ球を受け入れ可能な入賞領域としての第1始動口15aおよび第2始動口15bを有する始動入賞装置15が設けられている。始動入賞装置15では、上部に第1始動口15aが設けられ、その下部に第2始動口15bが設けられている。第2始動口15bの左右には、開閉動作をすることが可能な態様で一対の可動片13、13が設けられている。第1始動口15aは、上方を向いて開口しており、常にパチンコ球の進入(受け入れ)が可能な状態となっている。一方、第2始動口15bは、上方に第1始動口15aの周囲の構造物が設けられ、左右に可動片13、13が設けられているため、可動片13、13が閉状態であるときにパチンコ球の進入(受け入れ)が不可能な状態となり、可動片13、13が開状態であるときにパチンコ球の進入(受け入れ)が可能な状態となる。このように、第1始動口15aは入賞のしやすさが変化せず、第2始動口15bは可動片13、13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する。
尚、始動入賞装置15は、可動片13、13が閉状態になっている状態において、第2始動口15bに入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、パチンコ球が入賞しにくい)ように構成されていても良い。また、始動入賞装置15は、始動口として、入賞のしやすさが変化しない第1始動口15aのみが設けられたものであっても良く、可動片13、13の開閉動作によって入賞のしやすさが変化する第2始動口15bのみが設けられたものであっても良い。
始動入賞装置15の可動片13、13は、後述する開放条件が成立したときに、ソレノイド16によって駆動されることにより、閉状態から所定期間開状態とされた後、閉状態とされる。始動入賞装置15の可動片13、13が開状態となることにより、パチンコ球が第2始動口15bに入賞し易くなり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態(第1の状態)となる。一方、始動入賞装置15の可動片13、13が閉状態となることにより、パチンコ球が第2始動口15bに入賞しなくなり(始動入賞しにくくなり)、遊技者にとって不利な状態(第2の状態)となる。第1始動口15aに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。また、第2始動口15bに入った入賞球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ14bによって検出される。
遊技盤6の所定箇所には、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bに入った有効入賞球の記憶数すなわち保留記憶(始動記憶または始動入賞記憶ともいう)数を表示する4つの特別図柄保留記憶表示器18(図3参照)が設けられている。特別図柄保留記憶表示器18は、保留記憶数を入賞順に4個まで表示する。特別図柄保留記憶表示器18は、第1始動口15aまたは第2始動口15bに始動入賞があるごとに、保留記憶の記憶データが1増えて、点灯状態のLEDの数を1増やす。そして、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、保留記憶の記憶データが1減って、点灯状態のLEDの数を1減らす(すなわち1つのLEDを消灯する)。具体的には、特別図柄保留記憶表示器18は、特別図柄表示器8で変動表示が開始されるごとに、点灯状態をシフトする。尚、この例では、第1始動口15aまたは第2始動口15bへの入賞による保留記憶数に上限数(4個まで)が設けられている。しかし、これに限らず、保留記憶数の上限数は、4個以上の値にしても良く、4個よりも少ない値にしても良い。
始動入賞装置15の下部には、ソレノイド21によって開閉される開閉板を用いた特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は、開閉板によって開閉される大入賞口が設けられており、大当り遊技状態において開閉板が遊技者にとって有利な開状態(第1の状態)に制御され、大当り遊技状態以外の状態において開閉板が遊技者にとって不利な閉状態(第2の状態)に制御される。このように、特別可変入賞球装置20は、大当り遊技状態となるときに開放条件が成立する。特別可変入賞球装置20に入賞し遊技盤6の背面に導かれた入賞球のうち一方(V入賞領域:特別領域)に入った入賞球及び他方の領域に入ったパチンコ球は、そのままカウントスイッチ23で検出される。遊技盤6の背面には、大入賞口内の経路を切り替えるためのソレノイド21a(図3参照)も設けられている。
パチンコ球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、複数種類の識別情報としての普通図柄を変動表示する普通図柄表示器10における変動表示が開始される。この実施例では、図示しない左右のLED(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行なわれ、例えば、変動表示の終了時に左側のLEDが点灯すれば当りになる。そして、普通図柄表示器10における停止図柄が所定の図柄(当り図柄)となったときに、始動入賞装置15の可動片13、13の開放条件が成立し、始動入賞装置15における可動片13、13が所定回数、所定時間だけ開状態になる。普通図柄表示器10の近傍には、ゲート32を通過した有効通過球の記憶数、すなわち、始動通過記憶数を表示する4つのLEDによる表示部を有する普通図柄保留記憶表示器41(図3参照)が設けられている。ゲート32へのパチンコ球の通過があるごとに、始動通過記憶の記憶データが1増えて、普通図柄保留記憶表示器41は点灯するLEDを1増やす。そして、普通図柄表示器10における変動表示が開始されるごとに、始動通過記憶の記憶データが1減って、点灯するLEDを1減らす。
遊技盤6には、パチンコ球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域として、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30よりなる複数の通常入賞口が設けられる。第1通常入賞口29へのパチンコ球の入賞は、第1入賞口スイッチ29aによって検出される。第2通常入賞口30へのパチンコ球の入賞は、第2入賞口スイッチ30aによって検出される。尚、第1始動口15a、第2始動口15b、および、大入賞口も、パチンコ球を受け入れて入賞を許容する入賞装置の入賞領域を構成する。また、遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aが内蔵される装飾発光部25L、25Rが設けられ、下部には、入賞しなかったパチンコ球を回収するアウト口26がある。
遊技領域7の外側の左右上部には、効果音を発する2つのスピーカ27L、27Rが設けられ、左右下部には、効果音を発する2つのスピーカ27a、27bが設けられている。尚、以下の説明では、スピーカ27L、27R、27a、27bと総称してスピーカ27と表記する場合がある。遊技領域7の外周には、回転体用LED等の各種LEDが内蔵される天ランプモジュール530と、左枠LED28b(図3参照)が内蔵される左発光部28Lおよび右枠LED28c(図3参照)が内蔵される右発光部28Rが設けられている。さらに、遊技領域7における各構造物(大入賞口等)の周囲には装飾LEDが設置されている。これら回転体用LED、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾用LEDは、パチンコ機1に設けられている装飾発光体の一例である。
そして、この例では、左発光部28Lの所定箇所に、賞球払出中に点灯する賞球LED51が設けられ、右枠LED28cの所定箇所に、補給球が切れたときに点灯する球切れLED52が設けられている。
賞球LED51、球切れLED52、装飾LED25a、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530内の各LED等の各種発光手段は、主基板31から出力される演出制御コマンドに基づき演出制御用マイクロコンピュータ81から出力される信号に基づいて、LED制御基板500によって点灯制御(LED制御)される。また、スピーカ27L、27R、27a、27bからの音発生制御(音制御)は、演出制御用マイクロコンピュータ81により実施される。
遊技者の打球操作ハンドル5の操作により図示しない打球発射装置から発射されたパチンコ球は、打球誘導レール(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を流下してくる。パチンコ球が、第1始動口15aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されるか、または、第2始動口15bに入り第2始動口スイッチ14bで検出されると、特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば、特別図柄表示器8において特別図柄が変動表示を始める。特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、保留記憶数を1増やす。
特別図柄表示器8並びに演出表示装置9における図柄の変動表示は、変動表示が行なわれるごとに設定された変動表示時間が経過したときに停止する。停止時の図柄(停止図柄)が特定表示結果としての大当り図柄(大当り表示結果ともいう)であると、大当りとなり、大当り遊技状態に移行する。大当り遊技状態においては、特別可変入賞球装置20が、一定時間経過するまで、または、所定個数(例えば10個)のパチンコ球が入賞するまで開放する。そして、特別可変入賞球装置20の開放中にパチンコ球がV入賞領域に入賞しカウントスイッチ23で検出されると、継続権が発生し特別可変入賞球装置20の開放が再度行なわれる。継続権の発生は、例えば15ラウンドのような所定回数を上限値として許容される。このような制御は、繰返し継続制御と呼ばれる。繰返し継続制御において、特別可変入賞球装置20が開放されている状態がラウンドと呼ばれる。
停止時の特別図柄表示器8並びに演出表示装置9における図柄が大当り図柄のうちの予め定められた特別な大当り図柄(確変大当り図柄)である場合には、大当り遊技状態後に大当りとすると判定される確率(大当り確率)が、大当り遊技状態と異なる通常状態である通常遊技状態よりも高くなる確率変動状態(以下、確変状態と呼ぶ)という遊技者にとってさらに有利な状態になる。以下、確変状態は、高確率状態(高確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。また、非確変状態は、低確率状態(低確状態と略称で呼ぶ場合もある)ともいう。
また、特別図柄表示器8並びに演出表示装置9での変動表示の停止時における図柄の表示結果が、確変大当り図柄である場合には、大当り遊技状態後に変動時間短縮状態である時短状態に所定期間に亘り制御される。時短状態とは、通常遊技状態に比べて、特別図柄表示器8、演出表示装置9、および、普通図柄表示器10のそれぞれの変動表示時間(変動開始時から表示結果の導出表示時までの時間)を短縮して早期に表示結果を導出表示させる制御状態をいう。さらに、時短状態中には、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められるとともに、始動入賞装置15の可動片13、13の開放時間が長くされ、開放回数が増加させられる、いわゆる電チューサポート制御が実行される。時短状態中では、図柄の変動表示時間が短縮されるので、後述する保留記憶数が早期に消化され、保留記憶数の上限(例えば「4」)を超えて発生した始動入賞が無効になってしまう状態を減少でき、短期間に頻繁に表示結果を導出表示して早期に大当り表示結果を導出表示しやすくなるので、時間効率的な観点で変動表示の表示結果が大当り図柄の表示結果となりやすくなり、遊技者にとって有利な遊技状態となる。このように、確変大当りの場合は、大当り遊技状態の終了後の所定期間において、高確率状態かつ時短状態に制御されることとなる。大当り遊技状態の終了後の所定期間に亘る時短状態は、次の大当り遊技状態が発生するか、または、特別図柄および演出図柄の変動表示が所定回数(例えば100回)行なわれるまでの、いずれか一方の条件が成立するまで継続される。
また、入賞に応じたパチンコ球の払出しの面から考えると、時短状態は、非時短状態と比べて、普通図柄の変動表示時間が短縮され、普通図柄表示器10における停止図柄が当り図柄になる確率が高められ、当り時における始動入賞装置15の可動片13、13の開放時間が長くされ、当り時における始動入賞装置15の可動片13、13の1度の開放回数が多くされることに基づいて、通常遊技状態と比べて始動入賞装置15の可動片13、13が開放状態となりやすい。したがって、時短状態では、第2始動口15bへの入賞(始動入賞が有効である場合と無効である場合との両方を含む)が生じやすくなるため、遊技領域7へ打込んだパチンコ球数(打込球数)に対して、入賞に応じた賞球として払出されるパチンコ球数(払出球数)の割合が、通常遊技状態と比べて多くなる。一般的に、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合は、「ベース」と呼ばれる。例えば、100球の打込球数に対して40球の払出球数があったときには、ベースは40(%)となる。この実施例の場合では、例えば通常遊技状態のような非時短状態よりもベースが高い時短状態を高ベース状態と呼び、逆に、そのような高ベース状態と比べてベースが低い通常遊技状態のような非時短状態を低ベース状態と呼ぶ。
このように、発射球数に対する入賞による賞球の払出球数の割合が一般的に「ベース」と呼ばれるが、例えば1分間等の単位時間におけるパチンコ球の最大発射数は、一定数に制限されている。このため、「ベース」は、単位時間において、遊技領域に設けられた複数の入賞口への入賞による賞球の払出球数の合計値によっても示すことができる。例えば、単位時間におけるパチンコ球の最大発射数を100球とすると、単位時間における入賞による賞球の払出球数の合計値は、一般的な「ベース」の値と一致することとなる。このような関連性に基づいて、本実施形態では、第1始動口15a、第2始動口15b、第1通常入賞口29、第2通常入賞口30のそれぞれを異常監視対象入賞口としており、該異常監視対象入賞口の入賞による賞球の払出球数の合計値は、ベースと呼ばれ、入賞に関する異常監視の対象として用いられる。
確変状態(高確率状態)と非確変状態(低確率状態)とのどちらの状態であるかは、確変状態においてセットされるフラグである確変フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。また、時短状態(高ベース状態)と非時短状態(低ベース状態)とのどちらの状態であるかは、時短状態においてセットされるフラグである時短フラグがセットされているか否かに基づいて判断される。
また、前述の時短状態に制御されていない状態においては、特別図柄の保留記憶数が所定個数以上となるごとに、特別図柄および演出図柄の変動表示時間を短縮する記憶変動短縮状態に制御する記憶変動短縮制御が行なわれる。記憶変動短縮制御は、特別図柄の保留記憶数が所定個数未満となった段階で終了する。したがって、時短状態に制御されていない状態においても、特別図柄および演出図柄の変動表示時間が短縮される場合がある。
演出表示装置9において変動表示される演出図柄は、特別図柄表示器8における特別図柄の変動表示の装飾効果を高めるために、特別図柄の変動表示と所定の関係を有して変動表示される装飾的な意味合いがある図柄である。このような図柄についての所定の関係には、例えば、特別図柄の変動表示が開始されたときに演出図柄の変動表示が開始する関係、および、特別図柄の変動表示の終了時に特別図柄の表示結果が導出表示されるときに演出図柄の表示結果が導出表示されて演出図柄の変動表示が終了する関係等が含まれる。特別図柄表示器8により予め定められた大当り図柄が表示結果として導出表示されるときには、演出表示装置9により、左、中、右図柄がゾロ目となる大当り図柄の組合せが表示結果として導出表示される。このような特別図柄による大当り図柄の表示結果および演出図柄による大当り図柄の組合せの表示結果は、大当り表示結果という。
特別図柄表示器8と演出表示装置9とは変動表示結果が前述したような対応関係になるため、以下の説明においては、これらをまとめて変動表示部と呼ぶ場合がある。
次に、リーチ表示態様(リーチ)について説明する。本実施形態におけるリーチ表示態様(リーチ)とは、停止した図柄が大当り図柄の一部を構成しているときに未だ停止していない図柄については変動表示が行なわれていること、および、すべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態である。
例えば、演出表示装置9において、図柄が停止することで大当りとなる有効ライン(本実施例の場合は横1本の有効ライン)が予め定められ、その有効ライン上の一部の表示領域に予め定められた図柄が停止しているときに未だ停止していない有効ライン上の表示領域において変動表示が行なわれている状態(例えば、演出表示装置9における左、中、右の変動表示領域のうち左、右の表示領域に同一の図柄が停止表示されている状態で中の表示領域は未だ変動表示が行なわれている状態)、および、有効ライン上の表示領域のすべてまたは一部の図柄が大当り図柄のすべてまたは一部を構成しながら同期して変動表示している状態(例えば、演出表示装置9における左、中、右の表示領域のすべてに変動表示が行なわれており、常に同一の図柄が揃っている状態で変動表示が行なわれている状態)をリーチ表示態様またはリーチという。
また、リーチの際に、通常と異なる演出がLEDや音で行なわれることがある。この演出をリーチ演出という。また、リーチの際に、キャラクタ(人物等を模した演出表示であり、図柄(演出図柄等)とは異なるもの)を表示させたり、演出表示装置9の背景画像の表示態様(例えば、色等)を変化させたりすることがある。このキャラクタの表示や背景の表示態様の変化をリーチ演出表示という。また、リーチの中には、それが出現すると、通常のリーチに比べて、大当りが発生しやすいように設定されたものがある。このような特別(特定)のリーチをスーパーリーチという。
また、演出表示装置9については、大当りを発生させる契機となる変動表示において、大当りとなる可能性がある旨を報知する擬似連等の大当り予告演出が行なわれる場合がある。
この実施例の場合は、大当りとして、後述するように通常大当りCおよび確変大当りAというような複数種類の大当りが設けられている。以下の説明においては、大当りの種類を特定せずに単に「大当り」と示すときは、これら複数種類の大当りを代表して示す場合である。
通常大当りCは、大当り遊技状態の終了後に前述した確変状態にならず、かつ、時短状態にならないことにより、低確率状態、かつ、低ベース状態となる大当り(非確変大当り)である。このような、低確率状態かつ低ベース状態となった状態は、低確低ベース状態と呼ばれる。確変大当りAは、大当り遊技状態の終了後に確変状態になり、かつ、所定期間に亘り時短状態になる高確率状態、かつ、高ベース状態となる大当りである。このような、高確率状態かつ高ベース状態となった状態は、高確高ベース状態と呼ばれる。確変大当りとなった後においては、所定期間が経過すると時短状態が終了し、高確率状態、かつ、低ベース状態になる。このような、高確率状態かつ低ベース状態となった状態は、高確低ベース状態と呼ばれる。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2及び図5を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット(図示略)、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板(図示略)、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されており、演出制御基板80は基板収納ケース270に収納されている。これら基板収納ケース150,270は、いずれも透光性を有するアクリル板等の部材により構成されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80、払出制御基板37、LED制御基板500)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLED(発光ダイオード)などの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置である。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(例えば、始動口信号等)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
図3は、主基板31及び演出制御基板80における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、図3には、パチンコ機1に搭載されている払出制御基板37、LED制御基板500、及び、演出制御基板80も示されている。主基板(遊技制御基板)31には、プログラムにしたがってパチンコ機1を制御する基本回路(遊技制御手段に相当)となる遊技制御用マイクロコンピュータ156と、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14b、カウントスイッチ23、第1入賞口スイッチ29a、第2入賞口スイッチ30aからの信号のほか、電源断信号およびクリア信号、リセット信号等の各種信号を遊技制御用マイクロコンピュータ156に与える入力回路58と、始動入賞装置15の可動片13、13を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21、および、大入賞口内の経路を切り替えるためのソレノイド21aを遊技制御用マイクロコンピュータ156からの指令にしたがって駆動する出力回路59と、が搭載されている。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段(変動データを記憶する変動データ記憶手段)としてのRAM55、およびプログラムにしたがって制御動作を行うプロセッサであるCPU56、および、I/Oポート57を含む。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。
遊技制御用マイクロコンピュータ156においては、CPU56がROM54に格納されているプログラムにしたがって制御を実行する。したがって、以下に説明するような遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的にはCPU56がプログラムにしたがって制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。また、遊技制御手段は、CPU56を含む遊技制御用マイクロコンピュータ156で実現されている。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、クロック信号を発生させるクロック回路、システムリセット手段として機能するリセットコントローラ、乱数回路、および、CPU56に割込要求信号を送出するCTCを内蔵する。
乱数回路は、特別図柄および演出図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否かを判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。この乱数回路は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則にしたがって更新させていき、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ14bへの始動入賞が生じたときに乱数回路から数値データを乱数値R(ランダムR)として読出し、その数値データに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを判定する。そして、大当りとすると判定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。尚、大当りとするか否かの判定は、実際には特別図柄および演出図柄の変動表示の開始時に、始動入賞時に抽出した乱数値に基づいて実行される。また、乱数回路が発生させた乱数は、確変とするか否かを決定するための確変判定用乱数や、特別図柄の変動パターンを決定する変動パターン決定用乱数など、大当りとするか否かの判定以外の判定用乱数として用いても良い。
クロック回路は、システムクロック信号をCPU56に出力し、このシステムクロック信号を分周して生成した所定の周期の基準クロック信号CLKを、各乱数回路に出力する。リセットコントローラは、ローレベルの信号が一定期間入力されたとき、CPU56および各乱数回路に所定の初期化信号を出力して、遊技制御用マイクロコンピュータ156をシステムリセットする。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板(図示略)において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、パチンコ機1に対する電源電力の供給が停止したときである電源断時でも、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグ等)と未払出賞球数を示すデータとは、バックアップデータとして、RAM55に保存される。制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。
さらに、電源基板(図示略)からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力回路58に入力される。電源断信号は、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力回路58に入力される。クリア信号は、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに入力される。
尚、本実施の形態では、主基板31とともに、演出制御基板80にもバックアップ電源が供給されていて、演出制御基板80についても主基板31と同様にバックアップされている。また、本実施の形態では、電断信号の出力回路やバックアップ電源の電源回路を電源基板に設けた形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの電断信号の出力回路やバックアップ電源の電源回路を主基板31に設けるようにしても良いし、主基板31と演出制御基板80とに個別の電断信号の出力回路やバックアップ電源の電源回路を設けるようにしても良い。
また、複数のスイッチのそれぞれは、入力回路58を介して、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートに接続されている。これにより、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、複数のスイッチのそれぞれから各スイッチの入力状態を示す入力検出信号を受ける。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156が搭載する出力回路78は、CPU56が出力する演出制御コマンドを演出制御基板80に送信(出力)する。また、出力回路78は、CPU56が出力する制御信号を、特別図柄表示器8や特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄表示器10、普通図柄保留記憶表示器41に送信(出力)する。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、演出制御基板80に表示制御、音制御、および、LED制御を含む演出制御を指令するための制御信号としての演出制御コマンド(演出制御信号)を、出力回路78を介して送信する。
遊技制御用マイクロコンピュータ156が演出制御基板80に対して送信する演出制御コマンドには、客待ちデモ指定コマンドや変動表示コマンドが含まれる。
客待ちデモ指定コマンドは、遊技制御用マイクロコンピュータ156が客待ちデモンストレーション時の表示を指定する演出制御コマンド(客待ちデモ指定コマンド)であり、特別図柄の変動が終了してから所定時間が経過したことに応じて送出され、該客待ちデモ指定コマンドが演出制御基板80に対して送出されたときには、演出表示装置9に所定の客待ちデモ画面が表示される。つまり、通常においては、遊技者が交替するときには、遊技者が不在となる期間が存在するので、これら客待ちデモ指定コマンドは、遊技者が交替することで遊技者が不在となったと想定されるときに出力される。
尚、本実施の形態の遊技制御用マイクロコンピュータ156は、特別図柄の変動が終了してから所定時間が経過することで演出制御基板80に対して客待ちデモ指定コマンドを送出しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、始動入賞が発生せず保留記憶数が0且つ大当り遊技中でなければ、特別図柄の変動終了後、前記所定時間の経過を待たずして直ぐに演出制御基板80に対して客待ちデモ指定コマンドを送出するようにしても良い。このように遊技制御用マイクロコンピュータ156が特別図柄の変動終了後、前記所定時間の経過を待たずして直ぐに演出制御基板80に対して客待ちデモ指定コマンドを送出する場合、演出制御基板80は、コマンド解析処理において受信した演出制御コマンドを客待ちデモ指定コマンドと判定した時点から前記所定時間の計測を開始し、該所定時間が経過することで演出表示装置9に所定の客待ちデモを表示させるようにすれば良い。
尚、本実施の形態では、パチンコ遊技機1において遊技者が遊技を行なっていない状態の他、遊技者が遊技を行なっていても、始動入賞が発生せず保留記憶数が0且つ大当り遊技中でないことで演出表示装置に客待ちデモが表示されている状態を非遊技状態として定義する。
また、変動表示コマンドは、特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9において変動表示される演出図柄の変動パターンを指定するために、変動開始時に送信される演出制御コマンドであり、変動開始を指定するためのコマンドである。
演出制御基板80には、遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドを受信し、演出表示装置9での演出表示の表示制御や効果音(演出音)の出力制御を行う演出制御用マイクロコンピュータ81等の電気部品制御手段が搭載されている。また、演出制御基板80には、時刻情報やカレンダ情報等を出力可能なRTC(リアルタイムクロック)200と、パチンコ遊技機1における後述する各種設定を設定するための設定切替スイッチ300と、が搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81が、遊技制御用マイクロコンピュータ156からの演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9の表示制御、並びにスピーカ27L、27R、27a、27bからの音出力制御を行う。
また、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ81が、レバースイッチ510a〜510dやボタンスイッチ516aからの検出信号を検知することで、操作レバー600の操作や操作ボタン516の遊技者による操作を検知する。
また、演出制御用マイクロコンピュータ81は、遊技盤6に設けられているステージ装飾LED25bの表示制御を行うとともに、枠側に設けられている賞球LED51、球切れLED52、左枠LED28b、右枠LED28c、並びに天ランプモジュール530内の各LEDの点灯制御を行う。また、該設定切替スイッチ300が操作されることで演出表示装置9に各種設定画面を表示する。設定切替スイッチ300は、演出制御基板80にパチンコ遊技機1の背面方向を向くように配置されており(図17参照)、基板収納ケース270に形成された切欠部270aを介して遊技盤ユニット260の外方から操作可能となっている。
図20(A)は、この実施の形態で用いられる演出制御コマンドの内容の一例を示す説明図である。演出制御コマンドは、例えば2バイト構成であり、1バイト目はMODE(コマンドの分類)を示し、2バイト目はEXT(コマンドの種類)を表す。MODEデータの先頭ビット(ビット7)は必ず「1」とされ、EXTデータの先頭ビットは「0」とされる。なお、図20(A)に示されたコマンド形態は一例であって、他のコマンド形態を用いてもよい。また、この例では、制御コマンドが2つの制御信号で構成されることになるが、制御コマンドを構成する制御信号数は、1であってもよいし、3以上の複数であってもよい。
図20(A)に示す例において、コマンド8001Hは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームにおける変動開始を指定する第1変動開始コマンドである。コマンド8002Hは、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームにおける変動開始を指定する第2変動開始コマンドである。コマンド81XXHは、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9で変動表示される演出図柄などの変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドである。ここで、XXHは不特定の16進数であることを示し、演出制御コマンドによる指示内容に応じて任意に設定される値であればよい。変動パターン指定コマンドでは、指定する変動パターンなどに応じて、異なるEXTデータが設定される。
コマンド8CXXHは、特別図柄や演出図柄などの変動表示結果を指定する変動表示結果通知コマンドである。変動表示結果通知コマンドでは、例えば図20(B)に示すように、変動表示結果が「ハズレ」であるか「大当り」であるかの決定結果(事前決定結果)や、変動表示結果が「大当り」となる場合の大当り種別を複数種類のいずれとするかの決定結果(大当り種別決定結果)に応じて、異なるEXTデータが設定される。より具体的には、コマンド8C00Hは、変動表示結果が「ハズレ」となる旨の事前決定結果を示す第1変動表示結果通知コマンドである。コマンド8C01Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「非確変」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第2変動表示結果通知コマンドである。コマンド8C02Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「確変」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第3変動表示結果通知コマンドである。コマンド8C03Hは、変動表示結果が「大当り」で大当り種別が「突確」となる旨の事前決定結果及び大当り種別決定結果を通知する第4変動表示結果通知コマンドである。コマンド8C04Hは、変動表示結果が「小当り」となる旨の事前決定結果を示す第5変動表示結果通知コマンドである。
コマンド8F00Hは、演出表示装置9で演出図柄の変動停止(確定)を指定する図柄確定コマンドである。コマンド95XXHは、パチンコ遊技機1における現在の遊技状態を指定する遊技状態指定コマンドである。遊技状態指定コマンドでは、例えばパチンコ遊技機1における現在の遊技状態に応じて、異なるEXTデータが設定される。具体的な一例として、コマンド9500Hを時短制御と確変制御がいずれも行われない遊技状態(低確低ベース状態、通常状態)に対応した第1遊技状態指定コマンドとし、コマンド9501Hを時短制御が行われる一方で確変制御は行われない遊技状態(低確高ベース状態、時短状態)に対応した第2遊技状態指定コマンドとする。また、コマンド9502Hを確変制御が行われる一方で時短制御は行われない遊技状態(高確低ベース状態、時短なし確変状態)に対応した第3遊技状態指定コマンドとし、コマンド9503Hを時短制御と確変制御がともに行われる遊技状態(高確高ベース状態、時短付確変状態)に対応した第4遊技状態指定コマンドとする。
コマンドA0XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態の開始を示す演出画像の表示を指定する当り開始指定コマンド(「ファンファーレコマンド」ともいう)である。コマンドA1XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態において、大入賞口が開放状態となっている期間であることを通知する大入賞口開放中通知コマンドである。コマンドA2XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態において、大入賞口が開放状態から閉鎖状態に変化した期間であることを通知する大入賞口開放後通知コマンドである。コマンドA3XXHは、大当り遊技状態や小当り遊技状態の終了時における演出画像の表示を指定する当り終了指定コマンドである。
当り開始指定コマンドや当り終了指定コマンドでは、例えば変動表示結果通知コマンドと同様のEXTデータが設定されることなどにより、事前決定結果や大当り種別決定結果に応じて異なるEXTデータが設定されてもよい。あるいは、当り開始指定コマンドや当り終了指定コマンドでは、事前決定結果及び大当り種別決定結果と設定されるEXTデータとの対応関係を、変動表示結果通知コマンドにおける対応関係とは異ならせるようにしてもよい。大入賞口開放中通知コマンドや大入賞口開放後通知コマンドでは、例えば通常開放大当り状態や短期開放大当り状態におけるラウンドの実行回数(例えば「1」〜「15」)に対応して、異なるEXTデータが設定される。
コマンドB100Hは、第1始動口15aを通過(進入)した遊技球が第1始動口スイッチ14aにより検出されて始動入賞(第1始動入賞)が発生したことに基づき、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームを実行するための第1始動条件が成立したことを通知する第1始動口入賞指定コマンドである。コマンドB200Hは、第2始動口15bを通過(進入)した遊技球が第2始動口スイッチ14bにより検出されて始動入賞(第2始動入賞)が発生したことに基づき、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立したことを通知する第2始動口入賞指定コマンドである。
コマンドC1XXHは、始動入賞記憶表示エリア5Hなどにて特図保留記憶数を特定可能に表示するために、第1特図保留記憶数を通知する第1保留記憶数通知コマンドである。コマンドC2XXHは、始動入賞記憶表示エリア5Hなどにて特図保留記憶数を特定可能に表示するために、第2特図保留記憶数を通知する第2保留記憶数通知コマンドである。第1保留記憶数通知コマンドは、例えば第1始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第1始動条件が成立したことに基づいて、第1始動口入賞指定コマンドが送信されるときに、主基板11から演出制御基板80に対して送信される。第2保留記憶数通知コマンドは、例えば第2始動入賞口を遊技球が通過(進入)して第2始動条件が成立したことに基づいて、第2始動口入賞指定コマンドが送信されるときに、主基板11から演出制御基板80に対して送信される。また、第1保留記憶数通知コマンドや第2保留記憶数通知コマンドは、第1開始条件と第2開始条件のいずれかが成立したときに、特図ゲームの実行が開始されることなどに対応して送信されるようにしてもよい。
第1保留記憶数通知コマンドは、第1始動入賞の発生により第1始動条件が成立したときに、第1特図保留記憶数の増加を通知するものとして送信される。また、第2保留記憶数通知コマンドは、第2始動入賞の発生により第2始動条件が成立したときに、第2特図保留記憶数の増加を通知するものとして送信される。
この実施の形態では、保留記憶情報として、第1始動入賞口と第2始動入賞口とのいずれに始動入賞したかを指定する第1始動口入賞指定コマンドや第2始動口入賞指定コマンドを送信するとともに、第1特図保留記憶数や第2特図保留記憶数を指定する第1保留記憶数通知コマンドや第2保留記憶数通知コマンドを送信する。なお、保留記憶数が増加したときに、第1特図保留記憶数または第2特図保留記憶数が増加したことを示す保留記憶数加算指定コマンド(第1保留記憶数加算指定コマンドまたは第2保留記憶数加算指定コマンド)を送信する一方、保留記憶数が減少したときに、第1特図保留記憶数または第2特図保留記憶数が減少したことを示す保留記憶数減算指定コマンド(第1保留記憶数減算指定コマンドまたは第2保留記憶数減算指定コマンド)を送信するようにしてもよい。
第1保留記憶数通知コマンドや第2保留記憶数通知コマンドに代えて、合計保留記憶数を通知する合計保留記憶数通知コマンドを送信するようにしてもよい。すなわち、合計保留記憶数の増加(または減少)を通知するための合計保留記憶数通知コマンドが用いられてもよい。
コマンドC4XXHおよびコマンドC6XXHは、入賞時判定結果の内容を示す演出制御コマンド(入賞時判定結果指定コマンド)である。このうち、コマンドC4XXHは、入賞時判定結果として、変動表示結果が「大当り」となるか否かや「小当り」となるか否か、大当り種別の判定結果を示す図柄指定コマンドである。また、コマンドC6XXHは、入賞時判定結果として、変動パターン種別決定用の乱数値がいずれの決定値の範囲となるかの判定結果(変動パターン種別の判定結果)を示す変動カテゴリコマンドである。
この実施の形態では、第1始動口スイッチ通過処理または第2始動口スイッチ通過処理(図22参照)において、始動入賞の発生に基づき、変動表示結果が「大当り」に決定されるか否かや「小当り」に決定されるか否か、大当りの種別、変動パターン種別決定用の乱数値がいずれの決定値の範囲になるかを判定する。そして、図柄指定コマンドのEXTデータに、変動表示結果が「大当り」や「小当り」に決定されることを指定する値や、大当り種別を指定する値を設定し、演出制御基板80に対して送信する制御を行う。また、変動カテゴリコマンドのEXTデータに判定結果としての乱数値が含まれる決定値の範囲を指定する値を設定し、演出制御基板80に対して送信する制御を行う。演出制御基板80に搭載された演出制御用マイクロコンピュータ81のCPU86は、図柄指定コマンドに設定されている値に基づいて、変動表示結果が「大当り」や「小当り」に決定されるか否か、大当り種別を認識できるとともに、変動カテゴリコマンドに設定されている値に基づいて、変動パターン種別決定用の乱数値が所定範囲の決定値に含まれる場合には変動パターン種別を認識できる。
尚、図20に示す演出制御コマンドは、本パチンコ遊技機1において主基板31から演出制御基板80に送信される演出制御コマンドの一部を示すものであり、これらの演出制御コマンド以外の演出制御コマンドも、演出制御基板80に送信される。
図4に示すように、演出制御基板80は、ROM84、CPU86、RAM85、I/Oポートを含む演出制御用マイクロコンピュータ81を搭載している。演出制御基板80において、CPU86は、内蔵のROM84に格納されたプログラムに従って動作し、入力回路260を介して演出制御コマンドを受信する。このうち、ROM84には、各種の演出において演出表示装置9に表示する画像に関するデータや表示の開始タイミングや終了タイミング等のタイムチャート等が演出の種別毎に記憶されている。また、CPU86は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)262に、演出表示装置9に表示する画像の生成やバックライト9cの発光強度の調整等の演出表示装置9の表示制御を行わせる表示制御処理を実施する。
この実施例では、演出制御用マイクロコンピュータ81と共動して演出表示装置9の表示制御を行うVDP262が演出制御基板80に搭載されている。VDP262は、演出制御用マイクロコンピュータ81とは独立したアドレス空間を有し、そこにVRAMをマッピングする。VRAMは、画像データを展開するためのバッファメモリである。そして、VDP262は、VRAM内の画像データを、フレームメモリを介して演出表示装置9に出力する。
VDP262は、図4に示すように、スプライト画像として用いる画像要素データとしてのキャラクタ(人物、動物、文字、図形、記号等の画像データ、CGデータとも呼ぶ)などのデータが格納されるCGROM205、フレームバッファ領域(VRAM領域)として使用されるSDRAM210(シンクロナスDRAM)とともに表示制御回路を構成する。
CPU86は、受信した演出制御コマンドに従ってCGROM(図示せず)から必要なデータを読み出すための指令をVDP262に出力する。CGROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データや動画像データ、具体的には、人物、文字、図形や記号等(飾り図柄を含む)、および背景画像のデータをあらかじめ格納しておくためのROMである。VDP262は、CPU86の指令に応じて、CGROMから画像データを読み出す。そして、VDP262は、読み出した画像データにもとづいて表示制御を実行する。
また、この実施の形態では、演出制御用マイクロコンピュータ81(CPU86)と共動して、各スピーカ27R、27L、27a、27bから出力する音を生成する音声処理IC173とD/AコンバータIC177並びに該D/AコンバータIC177にてアナログ信号に変換された音信号(生成音)を増幅するデジタルアンプ175が演出制御基板80に搭載されており、CPU86は、主基板31からの演出制御コマンドにもとづいて音番号(ID)データを音声処理IC173に出力して、該音番号(ID)データに対応する音を音声処理IC173に生成させる。
音声処理IC173は、演出制御用マイクロコンピュータ81から音番号データが入力されると、該入力された音番号データに応じた音声や効果音を、各スピーカ27R、27L、27a、27b毎に個別に生成しデジタルアンプ175に出力する。デジタルアンプ175は、D/AコンバータIC177の出力レベルを、演出制御用マイクロコンピュータ81(CPU86)により設定されている音量レベルに応じた音量に増幅して各スピーカ27R、27L、27a、27bに出力する。
音声処理IC173には、図4及び図5に示すように、外部ROM174がローカルに接続されている。この外部ROM174には、音番号(ID)データに対応付けて該音番号(ID)データが該当する演出コマンドにより実施される各種演出に対応した音を出力するための各スピーカ27R、27L、27a、27b毎の音制御データが格納されている。つまり、これら音制御データは、演出期間(例えば飾り図柄の変動期間)において各スピーカ27R、27L、27a、27bから出力する効果音または音声の出力態様(音量レベル、音像を定位される位置、エコー等のエフェクトの有無等)が時系列的に音源データとともに記述されたデータの集まりである。
このように、本実施の形態では、図4及び図17に示すように、演出制御基板80には演出制御用マイクロコンピュータ81、音声処理IC173、VDP262が個別に搭載されている。
また、演出制御用マイクロコンピュータ81には、前述したRTC200、設定切替スイッチ300がローカルに接続されており、RTC200から出力される時刻データが演出制御用マイクロコンピュータ81に入力され、設定切替スイッチ300からの信号が演出制御用マイクロコンピュータ81に入力される。
また、本実施例の外部ROM174には、上記した音源データを含む音制御データとともに、図5に示すように、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量の音量レベル毎に、周波数特性補正データや位相特性補正データが格納(記憶)されている。尚、図6に示すように、本実施例における位相特性補正データには、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量の音量レベル1〜音量レベル8に対応する位相特性補正データ1〜8が含まれている。また、図7に示すように、本実施例における周波数特性補正データには、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量の音量レベル1〜音量レベル8に対応する周波数特性補正データ1〜8が含まれている。
ここで、本実施例に用いた音声処理IC173の構成について、図5に基づき説明すると、本実施例の音声処理IC173は、具体的には、各種のデジタルフィルタ等をプログラムにて形成可能なデジタルシグナルプロセッサ(DSP)にて構成されている。
音声処理IC173の内部には、図5に示すように、システムバスが設けられており、システムバスにはCPUインターフェイス221を介して演出制御用マイクロコンピュータ81のCPU86と接続されている。
システムバスには、CPUインターフェイス221とともに、音声処理IC173における処理をコントロールするためのコントロールプロセッサ220、外部ROM174が接続されるメモリインターフェイス(I/F)222、高速動作可能な揮発性メモリから成る内部RAM203、外部ROM174に記憶されている音源データをデコードして生成音の波形に対応する音ストリームデータを生成するデコーダ224と、デコーダ224にて生成された音(音ストリームデータ)の位相を補正する位相補正処理(図9)や振幅を補正する振幅補正処理(図10)を実施する第1DSP部225、第1DSP部225において補正された音(音ストリームデータ)に各種のエフェクトを付加する第2DSP部226が接続されている。
よって、コントロールプロセッサ220は、システムバスを通じてデコーダ224、第1DSP部225、第2DSP部226に、各種の指示(コマンド)を出力することで、これらデコーダ224における音(音ストリームデータ)の生成や、第1DSP部225、第2DSP部226における各種のフィルタ処理をコントロールすることが可能とされている。
尚、第2DSP部226には、該第2DSP部226にて処理された音(音ストリームデータ)をD/AコンバータIC177に出力する音データ出力インターフェイス(I/F)227がローカルに接続されている。
また、内部RAM223には、図5に示すように、CPUインターフェイス221を介して演出制御用マイクロコンピュータ81(CPU86)から入力される指示コマンドが順次格納されるコマンドレジスタ、音制御データに含まれる制御データに基づく制御を行うための各種制御フラグやパチンコ遊技機1における遊技状態を示す遊技状態フラグデータ等が格納されるシステムレジスタが設けられているとともに、後述するように起動処理において外部ROM174から読み出された周波数特性補正データ並びに位相特性補正データや、パチンコ遊技機1におけるスピーカ27L,27R、27a,27bの音量レベルを示す音量レベルデータが記憶されており、第1DSP部225がシステムバスを介してこれら周波数特性補正データ並びに位相特性補正データにアクセスして、該周波数特性補正データ並びに位相特性補正データの読み出しを実施できるようになっている。
デコーダ224は、所定のデータ圧縮方式にて圧縮されている音源データから、音の波形に対応した例えばPCMデータ等のストリームデータを、音量レベルデータから特定される音量レベルに対応した音の大きさにて生成するものであり、使用するデータ圧縮方式のデータをデコードできるものを使用すれば良い。つまり、デコーダ224は、システムバスを介して内部RAM223に記憶されている音量レベルデータにアクセス可能とされており、生成する音の大きさを音量レベルデータから特定される音量レベルに応じて変更するようになっていて、該音量レベルデータの設定を変更することで、該設定された音量レベルに対応した大きさの音が生成されるようになっている。
第1DSP部225は、プログラムに従って信号処理を高速にて行うDSPコアが内蔵されており、図5に示すように、予め書き込み記憶されている帯域分割(イコライザ)フィルタプログラム、有限インパルス応答(FIR)フィルタプログラム、振幅補正フィルタプログラム、帯域統合(ミキサ)フィルタプログラムを実行することで、各種のフィルタ機能をデジタル信号処理にて提供可能とされている。
帯域分割(イコライザ)フィルタプログラムを実行することで形成される帯域分割(イコライザ)フィルタは、デコーダ224で生成された音ストリームデータに基づき特定される音波形を、図6に示す各音量レベル毎に設けられている位相特性補正データ1〜8のそれぞれにおけるCH1〜CH9までの各周波数帯の9つのチャンネルについての波形成分のストリームデータに分割する機能を有するフィルタであり、これら帯域分割を各スピーカ27R、27L、27a、27bの各音について実施する。
有限インパルス応答(FIR)フィルタプログラムを実行することで形成されるFIRフィルタは、公知の無限インパルス応答(IIR)フィルタと同様に、信号遅延を行うためのフィルタであり、CH1〜CH9までの各周波数帯の音信号を位相特性補正データに基づいて信号遅延させることにより、各チャンネルの音を基準筐体における適正位相(図12参照)にて遊技者に到達するようにするためのフィルタである。
尚、本実施例では、これら遅延フィルタをデジタル信号処理によるデジタルフィルタにて形成することで、回路の小型化と安定した処理を可能としている。
つまり、従来のアナログフィルタにおいてカットオフ周波数や遅延特性等を変化させるには、これらアナログフィルタを構成するコンデンサ、抵抗、オペアンプ等の構成分品の静電容量や抵抗値等を可変させる必要があるために回路規模も大きくなり、また部品自体のバラツキや経年変化によりカットオフ周波数や遅延特性が変化して適切なフィルタ処理ができなくなってしまうのに対し、これらのフィルタをDSPにおける信号処理によるデジタルフィルタとすることで、回路の小型化と安定した処理を実施できるようになる。
尚、本実施例では、これらデジタルフィルタとしてFIR型(Finite・Impulse・Response:有限インパルス応答)のフィルタを使用することで、各チャンネルの位相補正を高精度で実施できるようになっている。つまり、IIR型(Infinite・Impulse・Response:無限インパルス応答)のフィルタは、従来の一般的なアナログフィルタと動作的にはほぼ同じであって、定減衰特性(例えば-12dB/oct)を有しており、各周波数成分における遅延時間が異なるので、これらの違いを考慮してフィルタを使用する必要があるのに対し、FIR型(Finite・Impulse・Response:有限インパルス応答)のフィルタは、従来のアナログフィルタでは近似的にしか実現できなかった、位相特性がどの周波数に対しても直線となるリニアフェーズ(定遅延)特性が実現できる、つまり、全ての周波数成分が同じ時間だけ遅延するので、周波数の違いで波形が乱れることなく忠実な波形の再現ができる。
よって、本実施例のように、異なる周波数帯のCH1〜CH9に対して遅延処理を行う場合には、処理するチャンネルの周波数を考慮することなく単純に遅延処理を行うことが可能となるので、これらFIR型(Finite・Impulse・Response:有限インパルス応答)のフィルタを用いることが好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、使用する音の周波数帯域の範囲に応じて、IIR型(Infinite・Impulse・Response:無限インパルス応答)のフィルタを使用するようにしても良い。
振幅補正フィルタプログラムを実行することで形成される振幅補正フィルタは、音の振幅を増減する公知のアナログフィルタと同様の機能を有するフィルタであり、後述する周波数特性補正データに基づいてCH1〜CH9の周波数成分の振幅(音量)を補正することで、筐体等による各スピーカ27R、27L、27a、27bの周波数特性を、各種の演出音の出力に最適化した基準筐体の周波数特性に補正するためのフィルタである。
帯域統合(ミキサ)フィルタプログラムを実行することで形成される帯域統合(ミキサ)フィルタは、補正処理されたCH1〜CH9の各周波数成分のストリームデータに基づく波形を混成して1つのストリームデータに統合するためのフィルタである。
また、第2DSP部226にも第1DSP部225と同様に、プログラムに従って信号処理を高速にて行うDSPコアが内蔵されており、図5に示すように、予め書き込み記憶されている各種エフェクト用フィルタプログラム、具体的には、音像の定位位置を変化させるための音像変位フィルタプログラムやエコー効果を付与するためのエコーフィルタプログラム等を実行することで、各種のフィルタ機能をデジタル信号処理にて提供可能とされている。
尚、本実施例では、これら各種エフェクト用フィルタによる処理を第1DSP部225にて位相や振幅が補正された音ストリームデータに対して実施するようにしており、このようにすることは、これら各種エフェクト用フィルタにより音像変位の効果やエコー効果が付与された音ストリームデータを補正する場合に比較して、これら補正により、付与された音像変位の効果やエコー効果が低下してしまうことを回避でき、良好なエフェクトを再現性良く得ることができることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら各種エフェクト用フィルタプログラムによる処理を第1DSP部225にて実施し、位相や振幅の補正処理を第2DSP部226にて実施するようにしても良い。
また、図5においては、FIRフィルタや振幅補正フィルタを模式的に1つのみ記載しているが、実際には、高速処理を実施することで、各スピーカ27R、27L、27a、27bから出力される音のCH1〜CH9の周波数成分についてリアルタイムにて処理がなされていくので、実質的には、スピーカ数(4)×チャンネル数(9)=36のFIRフィルタや振幅補正フィルタが設けられていることと等価である。
尚、本実施例では、これらCH1〜CH9の周波数としては、図6に示すように、周波数が高くなるに従って累進的に広い周波数範囲となるように設定されている。
具体的には、チャンネルCH1は31〜62Hzの周波数範囲とされ、チャンネルCH2は63〜125Hzの周波数範囲とされ、チャンネルCH3は126〜250Hzの周波数範囲とされ、チャンネルCH4は251〜500Hzの周波数範囲とされ、チャンネルCH5は501〜1000Hzの周波数範囲とされ、チャンネルCH6は1001〜2000Hzの周波数範囲とされ、チャンネルCH7は2001〜4000Hzの周波数範囲とされ、チャンネルCH8は4001〜8000Hzの周波数範囲とされ、チャンネルCH9は8001〜16000Hzの周波数範囲とされている。
本実施例では、1オクターブ周期で周波数が倍となるのと同様に、各チャンネルの周波数の上限値を下限値のほぼ倍の周波数とすることで、周波数が高いチャンネルほど累進的に広い周波数範囲となるようにしており、このようにすることは、周波数にかかわらずに均一の周波数範囲、例えば、周波数範囲を一律に100Hz幅とした場合には、16000Hzまでの周波数範囲において約160のチャンネルが必要となるのに比較して、補正を行う対象とする周波数帯の総数を9と著しく低減することができるので、これら各周波数帯毎に補正を行うための補正データのデータ容量を低減することができるようになる。
ここで、本実施例における位相特性補正データについて図6を用いて説明する。本実施例の各位相特性補正データには、前述したように、各音量レベルに対応した位相特性補正データ1〜8が含まれている。そして、図6に示すように、チャンネルCH1〜CH9に対応する遅延時間となる補正値(マイクロ秒;μs)が、スピーカ27L(Sp1が該当)、スピーカ27R(Sp2が該当)、スピーカ27a(Sp3が該当)、スピーカ27b(Sp4が該当)毎に格納(記憶)されており、例えば、スピーカ27L(Sp1)から出力される音のチャンネルCH1の位相を補正する場合には、「CH1」と「Sp1」とに対応する補正値(μs)を用いて補正を行えば良く、スピーカ27b(Sp4)から出力される音のチャンネルCH9の位相を補正する場合には、「CH9」と「Sp4」とに対応する補正値(μs)を用いて補正を行えば良い。
尚、これらの補正値は、実測した各周波数の位相と、音響性能が最適化された基準筐体による各周波数の位相(適正位相)との差分から作成された値が使用されており、これらデータは、図15に示すように、無音室内に実際のパチンコ機1と日本人の標準体格(男性)を有するマネキンを、実際の遊技状態における遊技者の位置、具体的には、演出表示装置9の水平方向の中心とマネキンの中心線とが一致するとともに、マネキンの目の高さ位置が演出表示装置9の垂直方向の中心位置と一致し、パチンコ機1の前面からのマネキンの耳までの水平方向距離が、遊技者とパチンコ機1の前面との平均距離である40センチメートルとなるように配置して、該マネキンの耳に測定用マイクを設けて測定される。尚、基準筐体についての各周波数の適正位相についても、パチンコ機1と同じく、図15に示すように基準筐体とマネキンを配置して測定したデータである。
これら位相の測定は、例えば、スピーカ27L(Sp1)であれば、該スピーカ27L(Sp1)から各チャンネルCH1〜CH9の周波数帯域の音を、順次、各音量レベルにて実際に出力させ、該スピーカ27L(Sp1)に近い、マネキン(遊技者)の左側の耳に設けたマイクにて時間軸上における振幅の変化を測定して、音の到達時間や到達時の位相のデータを収集し、該収集したデータと基準筐体における適正位相のデータとから、各スピーカ27R、27L、27a、27bからの同一チャンネルの音が、基準筐体における当該チャンネルの適正位相にて揃って到達するようにするための遅延時間を各チャンネルCH1〜CH9のそれぞれについて各音量レベル毎に特定し、該特定した各チャンネルCH1〜CH9の遅延時間が各チャンネルCH1〜CH9の補正値とされた各音量レベル毎の補正データが生成されて外部ROM174に記憶される。
これら位相特性補正データと同様に、本実施例における周波数特性補正データも、図15の測定によって作成される。
このようにして作成される周波数特性補正データとしては、小さい音については、図14(a)に示すように、各帯域の音圧を全体的に底上げする(音圧を上げる)ことにより基準筐体の周波数特定に近づくように補正する補正データとされているのに対し、大きい音については、図14(b)に示すように、各帯域の音圧を全体的に底下げする(音圧を下げる)ことにより基準筐体の周波数特定に近づくように補正する補正データとされている。尚、中音量の音の周波数特性補正データについては、音圧を上げるものも、音圧を下げるものも存在する。
つまり、小さい音については、スピーカ27L,27R,27a,27bの出力に余力があるので、全体的に底上げする(音圧を上げる)ことにより基準筐体の周波数特定に近づくように補正できるが、大きい音については、スピーカ27L,27R,27a,27bの出力に余力がないので、逆に、全体的に底下げする(音圧を下げる)ことにより基準筐体の周波数特定に近づくように補正するようになっている。
よって、このように設定された周波数特性補正データにより各音量レベルにおいて音が補正されることにより、音全体の音圧としては、図14(c)に示すように、小さい音量レベルの場合には、設定された音量レベルに対応する対応音圧X1よりも高い補正音圧X1’となる一方、大きい音量レベルの場合には、設定された音量レベルに対応する対応音圧X8よりも低い補正音圧X8’となり、補正によって、音量レベルの変化による音圧の変化の割合が緩やかになるようになっている。
また、大きい音量レベルについては、全体的に底下げする(音圧を下げる)ように補正される大きい音が多くなるため、音量レベルの変化による音圧の変化の増加率が、図14(c)に示すように、対数関数のように途中から漸減して、音圧の変化の傾きが小さくなる。
尚、周波数特性は、スピーカ27R、27L、27a、27bが設置される筐体が特定の周波数の振動を目標とする基準筐体よりも吸収し易いことで、実際にスピーカ27R、27L、27a、27bから出力される振幅(音量)が目標とする基準筐体の場合の振幅よりも小さく(音量が小さく)なったり、逆に特定の周波数の振動と共鳴し易いことで、出力される振幅(音量)が目標とする基準筐体の場合の振幅よりも大きく(音量が大きく)なることにより、最適化された基準筐体よりも音質が低下してしまうことを示す特性であるが、これらの特性は、スピーカが2つまでの場合には、他のスピーカから出力される音が1つだけであるので、干渉によって一部の周波数の音だけが相対的に振幅が小さくなったり、一部の周波数の音だけが相対的に振幅が大きくなったりすることは小さいのに対し、スピーカが3つ以上の場合には、他のスピーカから出力される音が複数となるので、他のスピーカから出力される複数の音の干渉等により、一部の周波数の音だけが相対的に振幅(音量)が小さくなったり、一部の周波数の音だけが相対的に振幅(音量)が大きくなって、見かけ上周波数特性が低下してしまう事態が発生し得る。
よって、例えば、単純に、スピーカ27L(Sp1)からだけ各チャンネルの音のみを振幅(音量)を変化させて出力し、該振幅が基準筐体における同じ振幅(音量)の場合との違いを測定して、これらの違いを補正値(補正利得)としても、他のスピーカ27R、27a、27bから出力される音の出力状況(音量)によっては、補正をしたにもかかわらず、見かけ上周波数特性が低下してしまうことが考えられるので、これら補正対象のスピーカ27L(Sp1)と、対象外の他の27R、27a、27bの音の出力状態(音量)に合致した補正を実施する必要がある。
よって、本実施例では、スピーカ27R、27L、27a、27bからの出力(音量)のレベルを、最小のAdBから最大のNdBの13段階に区分けして、これら出力レベルA〜Nの組合せ全てについて各音量レベル毎に測定して補正値(補正利得)を作成している。
つまり、スピーカ27L(Sp1)の出力レベル(印加レベル)をAdB(レベルA)とし、他のスピーカ27R(Sp2)とスピーカ27a(Sp3)の出力レベル(印加レベル)をAdB(レベルA)、他のスピーカ27b(Sp4)の出力レベル(印加レベル)を0dB(レベル0)の音として各音量レベルにて出力した場合においてマネキン(測定用マイク)に到達する音の音圧レベルを測定し、該到達した音圧が、基準筐体の同条件における測定音圧である目標の音圧レベルよりも低い場合には、該低くなっている音圧レベルを目標の音圧レベルとするために余分に出力する必要のある音圧レベル(音量)を補正利得とする一方、目標の音圧レベルよりも高い場合には、該高くなっている音圧レベルを目標の音圧レベルとするために低減する必要のある音圧レベル(音量)を補正利得として、該補正利得を、スピーカ27L(Sp1)の出力レベル「A」並びに他のスピーカの出力パターン「A.A.0」に対応する補正値として各音量レベルの補正データを作成し、周波数特性補正データとして外部ROM174に記憶する。
これら出力パターンは、図7及び図8に示すように、各音量レベル毎にスピーカ27L(Sp1)の出力レベル「A」に対して、「A.A.0」〜「N.N.N」の組合せが存在し、これらの組合せ全てについて各音量レベルにて測定を実施して補正データを作成する。
同様の測定を各音量レベル毎の他のチャンネルCH2〜CH9についても実施し補正データを作成することにより、図8に示す本実施例の周波数特性補正データを得ることができる。
尚、図8には、便宜上、音量レベル1におけるスピーカ27L(Sp1)のみの周波数特性補正データを示しているが、外部ROM174の周波数特性補正データには、音量レベル1におけるスピーカ27R(Sp2)、スピーカ27a(Sp3)、スピーカ27b(Sp4)と、音量レベル2〜8におけるスピーカ27L(Sp1)、スピーカ27R(Sp2)、スピーカ27a(Sp3)、スピーカ27b(Sp4)の周波数特性補正データも記憶されている。
次に、これら周波数特性補正データや位相特性補正データに基づいて第1DSP部225のFIRフィルタや振幅補正フィルタにおいて実施される位相補正処理と振幅補正処理について図9、図10を用いて説明する。
まず、FIRフィルタにて実施される位相補正処理について説明すると、外位相補性処理においては、図9に示すように、コントロールプロセッサ220は、内部RAM223のシステムレジスタに記憶されている遊技状態フラグデータを参照し、パチンコ遊技機1における遊技状態を特定し(ステップSp1)、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態であるか否かを判定する(ステップSp2)。尚、該遊技状態フラグデータは、演出制御基板80におけるCPU86が実行するコマンド解析処理(図26)において、演出制御基板80が受信した演出制御コマンドが遊技状態指定コマンドである場合に音声処理IC173に対して送信される各遊技状態を示す数値データであり、「00」であれば通常状態、「01」であれば時短状態、「02」であれば確変状態、「03」であれば大当り状態、「04」であれば小当り状態を示す。コントロールプロセッサ220は、該遊技状態フラグデータを受信することで、内部RAM223のシステムレジスタに記憶されている遊技状態フラグデータを、受信した遊技状態フラグデータに更新するようになっている。
パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態である場合は(ステップSp2;Yes)、内部RAM223に記憶されている音量レベルデータを読み出すことで、該音量レベルを特定する(ステップSp3)。尚、本実施例では、パチンコ遊技機1の電源投入時に実行されるサブCPUメイン処理(図24)実行時に、CPU86が音声処理IC173に対してホール(遊技場)の店員等が設定した音量レベルであるホール設定値のデータを送信する一方、演出設定調整処理(図27)実行時に、CPU86が音声処理IC173に対して遊技者が設定した音量レベルである遊技者設定値のデータを送信するようになっており、コントロールプロセッサ220は、これら受信したホール設定値または遊技者設定値のデータを内部RAM223に音量レベルデータとして記憶するようになっている。つまり、ステップSp3において読み出される音量レベルデータは、ホール設定値または遊技者設定値のデータである。
一方、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態でない場合は(ステップSp2;No)、内部RAM223から音量レベルデータを読み出した後(ステップSp4)、内部RAM223のシステムレジスタに記憶されている遊技状態フラグデータから特定されるその時点のパチンコ遊技機1の遊技状態が、時短状態または確変状態であるか否かを判定する(ステップSp5)。時短状態または確変状態である場合は(ステップSp5;Yes)、ステップSp4において読み出した音量レベルデータに基づく音量レベルに1を加算した音量レベルを特定する(ステップSp6)。また、パチンコ遊技機1における遊技状態が時短状態でも確変状態でもない場合(ステップSp5;No)、つまり、パチンコ遊技機1における遊技状態が大当り状態または小当り状態である場合は、ステップSp4において読み出した音量レベルデータに基づく音量レベルに2を加算した音量レベルを特定する。
ステップSp3、ステップSp6、ステップSp7のいずれかのステップを実行後、コントロールプロセッサ220は、図6に示す位相特性補正データ1〜8の中から、ステップSp3、ステップSp6、ステップSp7にて特定した音量レベルに対応した位相特性補正データを選択する(ステップSp11)。具体的には、特定した音量レベルが1であれば、位相特性補正データ1を選択し、特定した音量レベルが2であれば、位相特性補正データ2を選択し、特定した音量レベルが3であれば、位相特性補正データ3を選択し、特定した音量レベルが4であれば、位相特性補正データ4を選択し、特定した音量レベルが5であれば、位相特性補正データ5を選択し、特定した音量レベルが6であれば、位相特性補正データ6を選択し、特定した音量レベルが7であれば、位相特性補正データ7を選択し、特定した音量レベルが8であれば、位相特性補正データ8を選択する。
次いで、位相の補正を実施する対象の音ストリームデータが、帯域分割(イコライザ)フィルタにて分割された補正対象のチャンネル(CH1〜CH9のいずれか)と出力対象のスピーカ(Sp1〜Sp4のいずれか)であるか、つまり、補正対象とする音ストリームデータのチャンネルとスピーカとを特定する(ステップSp12)。
そして、特定した出力対象のスピーカ(Sp1〜Sp4)とチャンネル(CH1〜CH9)とに対応する補正値(遅延時間)を内部メモリに記憶されている位相特定補正データのうち、ステップSp11にて選択した位相特定補正データを内部RAM203から読み出し(ステップSp13)、読み出した補正値である遅延時間の期間分だけ、位相の時間軸を移動させるための遅延処理を実施し、当該補正対象としているチャンネルの音ストリームデータに基づく音が、他のスピーカの同じチャンネルの音ストリームデータに基づく音とともに、適正位相にて揃って遊技者に到達するように補正する(ステップSp14)。
そして、位相を補正した当該チャンネルの音ストリームデータを振幅補正フィルタに出力する(ステップSp15)。
尚、この位相補正処理は、4つの各スピーカ27R、27L、27a、27bについての全てのチャンネルCH1〜CH9について並行実施される。
これら位相補正処理が実施された場合の1つのチャンネルの波形について例示すると、図11に示すように、位相補正処理を実施しない場合には、図11(a)に示すように、各スピーカ27R、27L、27a、27bの配置位置の違いに基づく所定の聴聞位置からの距離の違いにより、各スピーカ27R、27L、27a、27bから同時に同位相の音を出力しても、所定の聴聞位置に到達する時期に微小な時間差が生じるとともに到達する地点における位相も揃っていないため、不自然な音質となる。
これに対し、位相補正処理を実施した場合には、図11(b)に示すように、各スピーカ27R、27L、27a、27bから出力される音が、所定の聴聞位置にほぼ同時に、位相が所定の適正位相に揃った状態にて到達するので、実際に点音源から発生する音を聴聞する場合と同じようになるので、自然な音質とすることができる。
図12は、位相補正処理をCH1〜CH9に実施した場合と、実施しない場合の1のスピーカにおける位相特性を示すグラフである。
図12において1点鎖線は、基準筐体における位相特性を示し、2点鎖線は位相補正処理を実施しない場合におけるパチンコ機1の筐体による位相特性を示している。位相補正処理を実施しない場合においてパチンコ機1の位相特性は、目標とする基準筐体における位相特性と大きくずれている(特に、低温域や高温域)ことが解る。
これに対し、位相補正処理を実施した場合の位相特性は、波線にて示すように、基準筐体における位相特性にほぼ沿った位相特性となり、これら基準筐体における位相特性である適正位相との位相差は、グラフ中の実線にて示すように、ほぼ全周波数帯域で0となり、位相補正処理を実施することで、各周波数成分の位相が適正位相に補正されていることが解る。
これら図12には、1のスピーカの位相特性を示し、その他のスピーカの位相特性を示していないが、補正前の各周波数成分における位相特性は、個々のスピーカで大きく異なっているが、位相補正処理を実施することで、これら各周波数成分における位相特性が大きく異なっていても、図12に示すように、各スピーカ27R、27L、27a、27bの位相特性が適正位相に補正される。
次に、これら位相補正処理が実施された音ストリームデータに対して振幅補正フィルタにて実施される振幅補正処理について説明すると、振幅補正処理においては、図10に示すように、コントロールプロセッサ220は、内部RAM223に記憶されている遊技状態フラグデータを参照し、パチンコ遊技機1における遊技状態を特定し(ステップSb1)、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態であるか否かを判定する(ステップSb2)。パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態である場合は(ステップSp2;Yes)、内部RAM223に記憶されている音量レベルデータを読み出すことで、該音量レベルを特定する(ステップSb3)。
一方、パチンコ遊技機1における遊技状態が通常遊技状態でない場合は(ステップSb2;No)、内部RAM223から音量レベルデータを読み出した後(ステップSb4)、
内部RAM223のシステムレジスタに記憶されている遊技状態フラグデータから特定されるその時点のパチンコ遊技機1の遊技状態が、時短状態または確変状態であるか否かを判定する(ステップSb5)。時短状態または確変状態である場合は(ステップSb5;Yes)、ステップSb4において読み出した音量レベルデータに基づく音量レベルに1を加算した音量レベルを特定する(ステップSb6)。また、パチンコ遊技機1における遊技状態が時短状態でも確変状態でもない場合(ステップSb5;No)、つまり、パチンコ遊技機1における遊技状態が大当り状態または小当り状態である場合は、ステップSb4において読み出した音量レベルデータに基づく音量レベルに2を加算した音量レベルを特定する。
ステップSb3、ステップSb6、ステップSb7のいずれかのステップを実行後、コントロールプロセッサ220は、図7に示す周波数特性補正データ1〜8の中から、ステップSb3、ステップSb6、ステップSb7にて特定した音量レベルに対応した周波数特性補正データを選択する(ステップSb11)。具体的には、特定した音量レベルが1であれば、周波数特性補正データ1を選択し、特定した音量レベルが2であれば、周波数特性補正データ2を選択し、特定した音量レベルが3であれば、周波数特性補正データ3を選択し、特定した音量レベルが4であれば、周波数特性補正データ4を選択し、特定した音量レベルが5であれば、周波数特性補正データ5を選択し、特定した音量レベルが6であれば、周波数特性補正データ6を選択し、特定した音量レベルが7であれば、周波数特性補正データ7を選択し、特定した音量レベルが8であれば、周波数特性補正データ8を選択する。
次いで、振幅の補正を実施する対象の音ストリームデータのチャンネルとスピーカとを特定する(ステップSb12)。
更に、補正対象のチャンネル、例えばCH1の出力音量(例えば、XdB)と他のスピーカの同一チャンネルであるCH1における出力音量を特定する(ステップSb13)。
そして、特定した出力音量の組合せに対応する補正値(補正利得)を内部RAM203に記憶されている周波数特性補正データのち、ステップSb11にて選択した周波数特性補正データを内部RAM203から読み出す(ステップSb14)。
具体的には、補正対象のスピーカがSp1(スピーカ27L)であって、補正対象のチャンネルCH1の出力音量がX1dBであれば、レベルA〜Nの中から該X1dBに最も近いレベル、例えばレベルDを特性する。同様に、他のスピーカであるSp2(スピーカ27R)のチャンネルCH1における出力音量がX2dBであれば、レベルA〜Nの中から該X2dBに最も近いレベル、例えばレベルAを特性し、他のスピーカであるSp3(スピーカ27a)のチャンネルCH1における出力音量がX3dBであれば、レベルA〜Nの中から該X3dBに最も近いレベル、例えばレベルBを特性し、他のスピーカであるSp3(スピーカ27b)のチャンネルCH1における出力音量がX4dBであれば、レベルA〜Nの中から該X4dBに最も近いレベル、例えばレベルCを特性し、特定した音量レベルの組合せであるSp1がD、出力パターンが「A.B.C」に対応する補正値(補正利得)を、選択した周波数特性補正データから読み出す。
そして、該読み出した補正値(補正利得)に基づいて、FIRフィルタから出力された当該補正対象チャンネルCH1の音ストリームデータの振幅が、当該補正値(補正利得)分だけ増大または低減するように、例えば、音ストリームデータの振幅値データに、該振幅値データの最大値が対応する最大利得によって補正値(補正利得)を除した割合に1を加算した値(補正値が正の値でれば、補正値が最大振幅利得に占める割合分だけ1より多い値となり、補正値が負の値でれば、補正値が最大振幅利得に占める割合分だけ1より少ない値となる)を乗じることにより補正する(ステップSb15)。
そして、該振幅を補正した当該チャンネルの音ストリームデータを帯域統合(ミキサ)フィルタに対して出力する(ステップSb16)。これにより、振幅補正処理後の各CH1〜CH9の音ストリームデータが混成されてCH1〜CH9の全周波数成分を含む音ストリームデータに統合されて第2DSP部226に出力される。
図13は、これらチャンネルCH1〜CH9の各周波数帯域について振幅補正処理を実施することによるスピーカ27R、27L、27a、27bの周波数特性の変化を示すグラフである。
図13は、本実施例のパチンコ機1の筐体についての各周波数における振幅特性から成る周波数特性の測定結果と、各周波数における振幅特性を最適化した基準筐体における周波数特性(振幅特性)とを示すグラフであり、本実施例の筐体においては、低音の音の吸収が基準筐体よりも大きい(利得が低)く、中音位域についても、やや吸収が高い(利得が低い)領域があるとともに、中高音域にかけて共振等により基準筐体に比較してやや音圧(利得)が高い領域があることが解る。
この筐体にスピーカ27R、27L、27a、27bをセットして実際の使用状態とした状態において、1のスピーカであるスピーカ27Lについて周波数特性を測定した結果が図13(b)であり、図13(a)と比較して解るように、基準筐体の周波数特性と比較して、筐体による吸収等の影響による考えられる低音の音圧低下や中温位置での音圧低下や、中高音域にかけての音圧上昇が見られる。
これに対し、振幅補正処理を実施した場合には、図13(c)に示すように、吸収等により利得が低下している領域については、測定により作成された補正利得により出力音量が増大されて到達音圧が大きくなることにより、基準筐体の周波数特性の該当音圧(適正音圧)との差が0dB、つまり該適正音圧に近づき、共振等により利得が増加している領域については、測定により作成された補正利得により出力音量が低減されて到達音圧が小さくなることにより、基準筐体の周波数特性の該当音圧(適正音圧)との差が0dB、つまり該適正音圧に近づくことで、低音から高音までの各周波数成分についてほぼ目標とする適正音圧に近い周波数特性が得られることで、最適化された基準筐体と同様の周波数特性が得られていることが解る。
次に、これら位相補正処理や振幅補正処理に使用される位相特性補正データや周波数特性補正データが、外部ROM174から内部RAM223に記憶される、音声処理IC173が実施する起動処理について、図16を用いて説明する。
音声処理IC173は、電源投入に応じて図16の起動処理を実施する。この起動処理において音声処理IC173(コントロールプロセッサ220)は、まず、システムチェックを実施する(ステップSk1)。
このシステムチェックは、システムバスに接続されている各部が正常に動作可能であるかを確認する。
そして、システムチェックにおいてシステム異常があるか否かを判定し(ステップSk2)、システム異常がある場合には、ステップSk20に進んで演出制御用マイクロコンピュータ81(CPU86)に対しエラー通知を出力するエラー通知処理を実施する。
一方、システム異常がない場合には、ステップSk3に進んで内部RAM223へのアクセスを禁止した後、該内部RAM223のメモリチェックを実施する(ステップSk4)。
そして、該メモリチェックにおいてメモリ異常があるか否かを判定し、メモリ異常がある場合には、ステップSk20に進んでエラー通知処理を実施し、メモリ異常がない場合には、ステップSk6に進んで外部ROM174へのアクセスを実施する。
そして、外部ROM174へのアクセスが可能であるか否かを判定し(ステップSk7)、外部ROM174へのアクセスが可能である場合には、ステップSk8に進んで、外部ROM174に記憶されている位相特性補正データや周波数特性補正データを読み出して内部RAM223に格納した後、該格納した位相特性補正データや周波数特性補正データのチェック処理を実施する(ステップSk9)。
具体的に、このチェック処理においては、位相特性補正データに関しては、4スピーカ×9チャンネル=36個の全ての補正値が存在するかとともに、該補正値(遅延時間)が、適正範囲内の正常値であるか否かを判定する。また、周波数特性補正データに関しても、全てのスピーカ27R、27L、27a、27bに対応するデータとして所定数の補正値を含むデータが存在するかとともに、該補正値(補正利得)が、所定の適正範囲内の正常値であるか否かを判定する。
そして、チェック処理において位相特性補正データや周波数特性補正データに異常があるか否かを判定し、異常がない場合には、ステップSk11に進んで、ステップSk6にて実施した内部RAM223へのアクセス禁止を解除して当該処理を終了する一方、異常がある場合には、ステップSk30に進んで、位相特性補正データや周波数特性補正データとして、FIRフィルタや振幅補正フィルタが実施する補正を無効として、補正がされていない音ストリームデータが各FIRフィルタや振幅補正フィルタから出力されるようにするための補正無効化データ(例えば補正値が0のデータ等)に、異常な位相特性補正データや周波数特性補正データを更新して当該処理を終了する。
また、データ損傷やハードの不具合等により外部ROM174へのアクセスが不能であるためにステップSk7の判定において「No」と判定された場合にもステップSk30に進んで、補正無効化データを格納して当該処理を終了する。
このように、外部ROM174へのアクセスが不能で、位相特性補正データや周波数特性補正データを内部RAM223に格納できない場合や、格納した位相特性補正データや周波数特性補正データが正常ではない場合には、FIRフィルタや振幅補正フィルタが実施する補正を無効として、補正されない音ストリームデータが第1DSP部225から出力されるようにするための補正無効化データが内部RAM223に格納されるので、これら外部ROM174へのアクセスが不能である場合や、格納した位相特性補正データや周波数特性補正データが正常ではない場合において、第1DSP部225におけるFIRフィルタや振幅補正フィルタの処理が実施されないことで、スピーカ27R、27L、27a、27bから音が出力されなくなってしまうことを防止できるようになっている。
次に、設定切替スイッチ300について説明する。図18に示すように、設定切替スイッチ300は、0〜Fまでの計16個のチャンネルを備えており、これらチャンネルをツマミ301を回動操作することで切り替えるセレクタスイッチである。本実施の形態では、図19(A)に示すように、ホール(遊技場)の店員等が設定切替スイッチのツマミ301をチャンネル0〜Bのいずれかに切り替えた後にパチンコ遊技機1の電源を入れることで、遊技者が遊技を可能な遊技モードと、ホール(遊技場)の店員等が設定切替スイッチのツマミ301をチャンネルD〜Fのいずれかに切り替えた後にパチンコ遊技機1の電源を入れることで、ホール(遊技場)の店員がパチンコ遊技機1の各種設定を行うための設定モードと、を選択可能となっている。尚、本実施の形態では、チャンネルCは予備チャンネルであるため特定の機能を有していないが、パチンコ遊技機1の仕様によってはチャンネルCに特定の機能を与えるようにしても良い。
具体的には、チャンネル0〜Bは、遊技モードに割り当てられている。図19(B)及び図19(C)に示すように、この遊技モードにおいて、チャンネル0及びチャンネル6は、各スピーカ27R、27L、27a、27bからの音出力の音量レベルを、最も小さいレベル1(ボリューム1)に設定するチャンネルである。また、チャンネル1及びチャンネル7は、各スピーカ27R、27L、27a、27bからの音出力の音量レベルを、レベル1よりも大きいレベル2(ボリューム2)に設定するチャンネルであり、チャンネル2及びチャンネル8は、各スピーカ27R、27L、27a、27bからの音出力の音量チャンネルを、レベル2よりも大きいレベル3(ボリューム3)に設定するチャンネルである。
更に、チャンネル3及びチャンネル9は、各スピーカ27R、27L、27a、27bからの音出力の音量レベルを、レベル3よりも大きいレベル4(ボリューム4)に設定するチャンネルであり、チャンネル4及びチャンネルAは、各スピーカ27R、27L、27a、27bからの音出力の音量レベルを、レベル4よりも大きいレベル5(ボリューム5)に設定するチャンネルであり、チャンネル5及びチャンネルBは、各スピーカ27R、27L、27a、27bからの音出力の音量レベルを、レベル5よりも大きいレベル6(ボリューム6)に設定するチャンネルである。本実施の形態ではレベル6(ボリューム6)が最も大きい音量レベルである。
また、チャンネル0〜Bのうち、設定切替スイッチ300がチャンネル0〜5に設定されている場合には、遊技者がパチンコ遊技機1における遊技中に、各スピーカ27R、27L、27a、27bからの音出力の音量と、装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530等の各種発光手段の光量とを調整することが可能となっている。尚、設定切替スイッチ300がチャンネル0〜5に設定されている場合に遊技者が設定可能な音量レベルの最大値(最大レベル)は、各チャンネルに応じたレベル(ボリューム)までであり、該最大値の範囲内においてのみ遊技者が設定可能とされている。
尚、本実施例では、図19(B)及び図19(C)に示すように、ホール(遊技場)の店員が設定する音量レベルと遊技者が設定する音量レベルとは、ともに最大で6までとなっているが、位相補正処理(図9)及び図振幅補正処理(図10)に示したように、パチンコ遊技機1の遊技状態が時短状態または確変状態である場合は、設定されている音量レベル(内部RAM233に音量レベルデータとして記憶されている音量レベル)に1を加算した音量レベルにおいて音声が補正され、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力されるようになっており、パチンコ遊技機1の遊技状態が大当り状態または小当り状態である場合は、設定されている音量レベル(内部RAM233に音量レベルデータとして記憶されている音量レベル)に2を加算した音量レベルにおいて音声が補正され、スピーカ27L,27R,27a,27bから出力されるようになっているため、実際にスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量レベルは、最大で8までとなっている。
また、チャンネル0〜Bのうち、設定切替スイッチ300がチャンネル6〜Bに設定されている場合には、遊技者がパチンコ遊技機1における遊技中に、装飾LED25a、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530等の各種発光手段の光量のみ調整することが可能となっていて、音量レベルの設定は不能とされている。尚、各種発光手段の光量の調整は、設定切替スイッチ300がチャンネル0〜5に設定されている場合とチャンネル6〜Bに設定されている場合のいずれにおいても4段階まで可能であり、遊技場が設定の上限を設定することはできないが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら光量の調整についても、音量の場合と同様に、遊技場が遊技者による設定の上限を設定できるようにしても良い。尚、本実施の形態では、設定切替スイッチ300がチャンネル6〜Bに設定されている場合には、上述したように、光量の調整のみが可能であって音量の調整が不能とされているが、本発明はこれに限定されるものではなく、設定切替スイッチ300がこれらチャンネル6〜Bに設定されている場合において、音量の調整のみを可能として光量の調整を不能としても良いし、音量の調整並びに光量の調整の双方を不能としても良い。
一方、図19(A)に示すように、チャンネルD〜Fは、設定モードに割り当てられている。このうちチャンネルDは、パチンコ遊技機1の機種毎の固有な設定を行う機種固有設定処理に割り当てられており、チャンネルEは、バックアップデータの詳細設定やバックアップデータのクリア等を実行する特殊設定処理に割り当てられている。更に、図19(D)に示すように、チャンネルFは、RTCの時刻情報の設定等を実行するホール向け設定処理に割り当てられている。
次に、パチンコ機1の動作について説明する。パチンコ機1に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降の図示しないメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。なお、割込モード2は、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号(クリア信号)の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理(ステップS10〜S15)を実行する。
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。尚、バックアップRAM領域とは、RAM55の所定領域に設けられた記憶領域である。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。この実施例では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを送信する(ステップS43)。そして、ステップS14に移行する。なお、この実施例では、CPU56は、ステップS43の処理において、バックアップRAMに保存されていた合算保留記憶数カウンタの値を設定した合算保留記憶数指定コマンドも演出制御基板80に対して送信する。
なお、この実施例では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否か確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、遊技状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。なお、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS12)。
ステップS11およびS12の処理によって、例えば、普通図柄当り判定用乱数カウンタ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
また、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ156が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)をサブ基板に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御用マイクロコンピュータ81は、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。
また、CPU56は、乱数回路503を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS14)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路503にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
そして、ステップS15において、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行う。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施例では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
初期化処理の実行(ステップS10〜S15)が完了すると、CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS19)。この実施例では、表示用乱数とは、大当りとしない場合の特別図柄の停止図柄を決定するための乱数や大当りとしない場合にリーチとするか否かを決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。この実施例では、初期値用乱数とは、普通図柄に関して当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ156が、遊技機に設けられている演出表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、普通図柄当り判定用乱数のカウント値が1周(普通図柄当り判定用乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
なお、この実施例では、リーチ演出は、演出表示装置9において変動表示される演出図柄(飾り図柄)を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数を用いた抽選によって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータ81である。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図21に示すステップS20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14bおよびカウントスイッチ23の検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、特別図柄保留記憶表示器18、普通図柄保留記憶表示器41の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび普通図柄表示器10については、ステップS32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24,S25)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータ81に対して、変動パターン設定処理において送信設定がなされた演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14bおよびカウントスイッチ23の検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ14bおよびカウントスイッチ23のいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
この実施例では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bにおける第1特別図柄および第2特別図柄の変動表示を実行する。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
その後、割込許可状態に設定し(ステップS34)、処理を終了する。
以上の制御によって、この実施例では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。なお、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S33(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、この実施例では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび演出表示装置9にハズレ図柄が停止表示される場合には、演出図柄の変動表示が開始されてから、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態にならずに、リーチにならない所定の演出図柄の組合せが停止表示されることがある。このような演出図柄の変動表示態様を、変動表示結果がハズレ図柄になる場合における「非リーチ」(「通常ハズレ」ともいう)の変動表示態様という。
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび演出表示装置9にハズレ図柄が停止表示される場合には、演出図柄の変動表示が開始されてから、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態となった後にリーチ演出が実行され、最終的に大当り図柄とはならない所定の演出図柄の組合せが停止表示されることがある。このような演出図柄の変動表示結果を、変動表示結果が「ハズレ」となる場合における「リーチ」(「リーチハズレ」ともいう)の変動表示態様という。
この実施例では、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bに大当り図柄が停止表示される場合には、演出図柄の変動表示状態がリーチ状態になった後にリーチ演出が実行され、最終的に演出表示装置9における「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアに、演出図柄が揃って停止表示される。
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bに小当りである所定の図柄(小当りの種別に対応する所定記号)が停止表示される場合には、演出表示装置9において、演出図柄の変動表示態様が後述する「確変大当りB」である場合と同様に演出図柄の変動表示が行われた後、所定の小当り図柄(確変大当りB図柄と同じ図柄。例えば「355」等)が停止表示されることがある。第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bに小当り図柄である所定の図柄(記号)が停止表示されることに対応する演出表示装置9における表示演出を「小当り」の変動表示態様という。
図22および図23は、主基板31に搭載される遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)が実行する特別図柄プロセス処理(ステップS26)のプログラムの一例を示すフローチャートである。上述したように、特別図柄プロセス処理では第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を制御するための処理が実行される。特別図柄プロセス処理において、CPU56は、第1始動口15aに遊技球が入賞したことを検出するための第1始動口スイッチ14aがオンしていたら、すなわち、第1始動口15aへの始動入賞が発生していたら、該始動入賞に対応する変動表示において、大当りとなるかやスーパーリーチとなるか等を判定し、該判定結果を含む始動入賞時判定結果指定コマンドを送信する第1始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS311,S312)。また、CPU56は、第2始動口15bに遊技球が入賞したことを検出するための第2始動口スイッチ14bがオンしていたら、すなわち第2始動口15bへの始動入賞が発生していたら、大当りとなるかやスーパーリーチとなるか等を判定し、該判定結果を含む始動入賞時判定結果指定コマンドを送信する第2始動口スイッチ通過処理を実行する(ステップS313,S314)。そして、ステップS300〜S310のうちのいずれかの処理を行う。第1始動入賞口スイッチ13aまたは第2始動口スイッチ14bがオンしていなければ、内部状態に応じて、ステップS300〜S310のうちのいずれかの処理を行う。
ステップS300〜S310の処理は、以下のような処理である。
特別図柄通常処理(ステップS300):特別図柄プロセスフラグの値が0であるときに実行される。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、特別図柄の変動表示が開始できる状態になると、保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数(合算保留記憶数)を確認する。保留記憶数バッファに記憶される数値データの記憶数は合算保留記憶数カウンタのカウント値により確認できる。また、合算保留記憶数カウンタのカウント値が0でなければ、第1特別図柄または第2特別図柄の変動表示の表示結果を大当りとするか否かを決定する。大当りとする場合には大当りフラグをセットする。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS301に応じた値(この例では1)に更新する。なお、大当りフラグは、大当り遊技が終了するときにリセットされる。
変動パターン設定処理(ステップS301):特別図柄プロセスフラグの値が1であるときに実行される。また、変動パターンを決定し、その変動パターンにおける変動時間(可変表示時間:変動表示を開始してから表示結果を導出表示(停止表示)するまでの時間)を特別図柄の変動表示の変動時間とすることに決定する。また、特別図柄の変動時間を計測する変動時間タイマをスタートさせる。そして、演出制御用マイクロコンピュータ81に対して各種演出制御コマンドを送信するための送信設定を行うとともに、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS302に対応した値(この例では2)に更新する。
表示結果指定コマンド送信処理(ステップS302):特別図柄プロセスフラグの値が2であるときに実行される。演出制御用マイクロコンピュータ81に、表示結果指定コマンドを送信する制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS303に対応した値(この例では3)に更新する。
特別図柄変動中処理(ステップS303):特別図柄プロセスフラグの値が3であるときに実行される。変動パターン設定処理で選択された変動パターンの変動時間が経過(ステップS301でセットされる変動時間タイマがタイムアウトすなわち変動時間タイマの値が0になる)すると、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS304に対応した値(この例では4)に更新する。
特別図柄停止処理(ステップS304):特別図柄プロセスフラグの値が4であるときに実行される。第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bにおける変動表示を停止して停止図柄を導出表示させる。また、演出制御用マイクロコンピュータ81に、図柄確定指定コマンドを送信する制御を行う。そして、大当りフラグがセットされている場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。また、小当りフラグがセットされている場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に対応した値(この例では8)に更新する。大当りフラグおよび小当りフラグのいずれもセットされていない場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。なお、演出制御用マイクロコンピュータ81は、遊技制御用マイクロコンピュータ156が送信する図柄確定指定コマンドを受信すると演出表示装置9において演出図柄が停止されるように制御する。
大入賞口開放前処理(ステップS305):特別図柄プロセスフラグの値が5であるときに実行される。大入賞口開放前処理では、大入賞口を開放する制御を行う。具体的には、カウンタ(例えば、大入賞口に入った遊技球数をカウントするカウンタ)などを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放状態にする。また、タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS306に対応した値(この例では6)に更新する。なお、大入賞口開放前処理は各ラウンド毎に実行されるが、第1ラウンドを開始する場合には、大入賞口開放前処理は大当り遊技を開始する処理でもある。
大入賞口開放中処理(ステップS306):特別図柄プロセスフラグの値が6であるときに実行される。大当り遊技状態中のラウンド表示の演出制御コマンドを演出制御用マイクロコンピュータ81に送信する制御や大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS305に対応した値(この例では5)に更新する。また、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS307に対応した値(この例では7)に更新する。
大当り終了処理(ステップS307):特別図柄プロセスフラグの値が7であるときに実行される。大当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータ81に行わせるための制御を行う。また、遊技状態を示すフラグ(例えば、確変フラグや時短フラグ)をセットする処理を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。
小当り開放前処理(ステップS308):特別図柄プロセスフラグの値が8であるときに実行される。小当り開放前処理では、大入賞口を開放する制御を行う。具体的には、カウンタ(例えば、大入賞口に入った遊技球数をカウントするカウンタ)などを初期化するとともに、ソレノイド21を駆動して大入賞口を開放状態にする。また、タイマによって大入賞口開放中処理の実行時間を設定し、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS309に対応した値(この例では9)に更新する。なお、小当り開放前処理は各ラウンド毎に実行されるが、第1ラウンドを開始する場合には、小当り開放前処理は小当り遊技を開始する処理でもある。
小当り開放中処理(ステップS309):特別図柄プロセスフラグの値が9であるときに実行される。大入賞口の閉成条件の成立を確認する処理等を行う。大入賞口の閉成条件が成立し、かつ、まだ残りラウンドがある場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS308に対応した値(この例では8)に更新する。また、全てのラウンドを終えた場合には、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS310に対応した値(この例では10(10進数))に更新する。
小当り終了処理(ステップS310):特別図柄プロセスフラグの値が10であるときに実行される。小当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を演出制御用マイクロコンピュータ81に行わせるための制御を行う。そして、内部状態(特別図柄プロセスフラグ)をステップS300に対応した値(この例では0)に更新する。
次に、演出制御手段である演出制御基板80の動作を説明する。図24は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ81(具体的には、CPU86)が実行するサブCPUメイン処理を示すフローチャートである。
サブCPUメイン処理において、CPU86は、まず、割込禁止に設定する(ステップSs1)。次に、マスク可能割込の割込モードを設定し(ステップSs2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップSs3)。なお、ステップSs2では、演出制御用マイクロコンピュータ81の特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)から合成されるアドレスが、割込番地を示すモードに設定する。また、マスク可能な割込が発生すると、CPU86は、自動的に割込禁止状態に設定するとともに、プログラムカウンタの内容をスタックにセーブする。
次いで、内蔵デバイスレジスタの設定(初期化)を行う(ステップSs4)。ステップSs4の処理によって、内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の設定(初期化)がなされる。
この実施の形態で用いられる演出制御用マイクロコンピュータ81は、I/Oポート(PIO)およびタイマ/カウンタ回路(CTC)(いずれも図示せず)も内蔵している。
次いで、CPU86は、RAM85をアクセス可能状態に設定し(ステップSs5)、設定切替スイッチ300のチェック処理に移行する。
設定切替スイッチ300のチェック処理において、CPU86は、設定切替スイッチ300のチャンネルがD〜Fのいずれかに設定されているか否かを判定する(ステップSs6)。設定切替スイッチ300のチャンネルがD〜Fのいずれかに設定されている場合は(ステップSs6;Yes)、ホール(遊技場)の店員等がパチンコ遊技機1の各種設定を行う演出設定処理(図21参照)を実行し、設定切替スイッチ300のチャンネルがD〜Fのいずれにも設定されていない場合は(ステップSs6;No)、バックアップ処理として、後述する電源断検出処理におけるステップSd2及びステップSd3の処理が実行されているか否かを、所定のバックアップ領域にチェックデータが格納されているか否かに基づいて判定する(ステップSs7)。
バックアップ処理が実行されていない場合(チェックデータが格納されていない場合)は(ステップSs7;No)、ステップSs11に進み、バックアップ処理が実行されている場合(チェックデータが格納されている場合)は(ステップSs7;Yes)、RAM85の所定領域に設けられたバックアップデータ記憶領域のデータチェック(この例ではパリティチェック)を行う(ステップSs8)。この実施の形態では、クリアデータ(00)をチェックサムデータエリアにセットし、チェックサム算出開始アドレスをポインタにセットする。また、チェックサムの対象になるデータ数に対応するチェックサム算出回数をセットする。そして、チェックサムデータエリアの内容とポインタが指すRAM領域の内容との排他的論理和を演算する。演算結果をチェックサムデータエリアにストアするとともに、ポインタの値を1増やし、チェックサム算出回数の値を1減算する。以上の処理が、チェックサム算出回数の値が0になるまで繰り返される。チェックサム算出回数の値が0になったら、CPU86は、チェックサムデータエリアの内容の各ビットの値を反転し、反転後のデータをチェックサムにする。
後述する電源断検出処理において、上記の処理と同様の処理によってチェックサムが算出され、チェックサムはチェックデータとしてバックアップデータ記憶領域に保存される。ステップSs8では、算出したチェックサムとチェックデータとして保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップデータ記憶領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップデータ記憶領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっている可能性があることを意味する。そのような場合には、バックアップデータ記憶領域に誤ったバックアップデータが記憶されていることになるので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される後述する初期化処理(ステップSs11〜Ss12の処理)を実行する。
チェック結果が正常であれば(ステップSs8;Yes)、CPU86は、演出制御基板80を電力供給停止時の状態に戻すための復旧処理を行う。具体的には、RAM85のバックアップデータ記憶領域に格納されているバックアップデータにより、遊技者が遊技中に設定した装飾LED25a,左枠LED28b,右枠LED28c,天ランプモジュール内の各LED等の光量及びスピーカ27L,27R,27a,27bから発せられる音量等の設定データを復旧し(ステップSs9)、RAM85のバックアップデータ記憶領域に格納されているバックアップデータをクリアする(ステップSs10)。そして、ステップSs13の処理に移行する。
尚、本実施の形態では、演出制御基板80の復旧処理において遊技者が遊技中に設定した光量及び音量等の設定データを復旧した後、バックアップデータをクリアしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技者が遊技中に設定した光量及び音量等の設定データを復旧した後もバックアップデータは保持したままであっても良いし、これらバックアップデータは、SRAMに記憶されることで消えないものであっても良い。また、本実施の形態におけるバックアップデータとは、前述の遊技者が遊技中に設定した光量及び音量等の設定データ、電源断検出処理が実行された時点での所定個数(例えば50個)の演出制御コマンドの受信履歴、保留記憶数、パチンコ遊技機1の電源が投入されている累計時間、遊技球の総発射数、パチンコ遊技機1におけるベースや大当り当選確率等の遊技データ、総出玉数等を含んでいる。
初期化処理では、CPU86は、RAMクリア処理を行う(ステップSs11)。そして、装飾LED25a,ステージ装飾LED25b,左枠LED28b,右枠LED28c,天ランプモジュール530等の各種発光手段におけるLEDの光量及びスピーカ27L,27R,27a,27bから発せられる音量等の設定データを、初期化する。ステップSs10またはステップS12の処理の実行後、CPU86は、ホール(遊技場)の店員が設定する音量及び光量のホール設定値が存在する場合は、初期値として、該ホール設定値を作業領域に順次設定する一方、ホール(遊技場)の店員が設定する音量及び光量のホール設定値が存在しない場合(工場の出荷時の状態で、ホールによって設定が実施されていない状態の場合)は、初期値として、予め設定されている初期レベルを作業領域に順次設定する。(ステップSs13)。
尚、本実施の形態では、後述するように、遊技者設定値を無効化する設定無効化処理をサブCPUタイマ割込処理にて実施することで、営業が終了して電源をOFFする前に遊技者設定値がクリアされるので、営業開始前の起動時においては、遊技者設定値が記憶されていないのが通常であるが、これら設定無効化処理が何らかの理由により、遊技者設定値が消去されていない可能性もあるので、例えば、ステップSs13の処理を実行する前に、遊技者設定値が記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合には、該遊技者設定値を消去して無効化するようにしても良い。また、ステップSs38の処理を実施せずに、上記したステップSs13の処理の前においてのみ、遊技者設定値を無効とするようにしても良い。
この実施の形態では、設定切替スイッチ300が工場の出荷時の状態である設定の値を初期値として、ホールの設定値とは区別しているが、これら設定切替スイッチ300を変更しないで使用することも、ホールが初期値を選択したことになるので、これら初期値もホール(遊技場)の店員が設定する音量及び光量のホール設定値に含めるようにしても良い。尚、工場の出荷時の設定としては、設定切替スイッチ300を、音量及び光量が最小となる位置にて出荷することが好ましい。
また、ホール(遊技場)による設定切替スイッチ300の操作の有無にかかわらず、設定切替スイッチ300の位置による設定値を、一義的に設定するようにしても良い。
尚、これら設定切替スイッチ300による設定は、電源投入時おいてのみ可能であって、電源投入時おいて設定切替スイッチ300の位置により設定されている設定値が、電源投入後に電源が切れるまで有効とされる。
また、CPU86は、演出図柄の変動表示中に実行される演出の決定等に使用するために演出制御基板80に搭載されている乱数回路(図示せず)を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップSs14)。そして、CPU86は、音声処理IC173とVDP262の初期化処理を開始する(ステップSs15)。
次いで、CPU86は、音声処理IC173及びVDP262の初期化処理が完了したか否かを判定する(ステップSs17)。これらの初期化の完了判断は、例えば、初期化が完了して動作可能状態に移行したことを示す所定の信号が音声処理IC173やVDP262から出力されてきたか否かを判定することにより判定すれば良い。音声処理IC173及びVDP262の初期化処理が完了していない場合は(ステップSs17;No)、ステップSs17の処理を音声処理IC173及びVDP262の初期化処理の完了まで巡回実施し、音声処理IC173及びVDP262の初期化処理が完了した場合は(ステップSs17;Yes)、音声処理IC173及びCDP262の初期化完了報知をスピーカ27L,27R,27a,27bにおける一定音量の報知音の出力により開始する(ステップSs17a)。そして、該初期化完了報知の報知期間が終了したか否かを判定する(ステップSs17b)。尚、本実施の形態における初期完了報知の報知音は音量レベル4、報知期間は10秒に設定されている。初期化完了報知の報知期間が終了していない場合は(ステップSs17b)、ステップSs17bの処理を初期化完了報知期間が終了するまで巡回実施する。
尚、この実施の形態では、上記したように、初期化処理において初期化完了報知を実行する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら初期化完了報知を、サブCPUタイマ割込処理やループ処理において実行することで、これら音声処理IC173及びVDP262の初期化の期間中においてCPU86が、タイマ割込によって、初期化以外の処理を実行できるようにしても良い。
そして、初期化完了報知の報知期間が終了した場合は(ステップSs17b;Yes)、設定データに基づいて音量の設定値(音量レベル)及び光量の設定値(光量レベル)とを設定する(ステップSs19)。該設定により設定された音量レベルに対応するボリューム(増幅率)がデジタルアンプ175に設定されて、該設定された音量レベルに対応した音量の音がスピーカ27L,27R,27a,27bから出力されるようになるとともに、該設定により設定された光量レベルがLED制御基板500に設定されて、該設定された光量レベルに対応した光量が装飾LED25a,ステージ装飾LED25b,天ランプモジュール530,左枠LED28b,右枠LED28cが出力されるようになる。
尚、このステップSs19において設定される音量の設定値(音量レベル)は、ステップSs11及びステップSs12が実行されているときはホール(遊技場)の店員等が設定切替スイッチ300を用いて設定したホール設定値のデータが音声処理IC173に送信され、ステップSs9及びステップSs10が実行されているときは遊技者が遊技中に設定した遊技者設定値のデータが音声処理IC173に送信されるようになっている。そして、ホール設定値または遊技者設定値のデータを受信した音声処理IC173は、該受信したホール設定値または遊技者設定値を音量レベルデータとして内部RAM223に記憶する。また、本実施の形態における光量の設定値は、ステップSs11及びステップSs12が実行されている場合とステップSs9及びステップSs10が実行されている場合とのいずれにおいても、最大値(後述する4)に設定されるようになっている。
また、本実施例では、音声処理IC173及びVDP262の初期化を同時に実行する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、音声処理IC173の初期化とVDP262の初期化と初期化の完了判断とを個別に実施するとともに、各初期化の終了報知にてスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される一定音量の報知音を異ならせるようにして、音声処理IC173の初期化とVDP262のいずれの初期化が完了したかを報知するようにしても良い。
ステップSs19の実行後、CPU86は、所定時間(例えば4ms)ごとに定期的にタイマ割込がかかるように演出制御用マイクロコンピュータ81に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行なうタイマ割込設定処理を実行する(ステップSs20)。すなわち、初期値として例えば4msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。この実施の形態では、4msごとに定期的にタイマ割込がかかるとする。
タイマ割込の設定が完了すると、CPU86は、まず、割込禁止状態にして(ステップSs21)、表示用乱数更新処理(ステップSs22)初期値用乱数更新処理(ステップSs23)とを実行して、再び割込許可状態にする(ステップSs24)。すなわち、CPU86は、初期値用乱数更新処理および表示用乱数更新処理が実行されるときには割込禁止状態にして、初期値用乱数更新処理および表示用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態にする。
尚、表示用乱数更新処理とは、大当り図柄決定用乱数などの乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理を実行するであり、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。初期値用乱数とは、例えば、演出図柄の変動中における演出の態様を決定するための判定用乱数を発生するためのカウンタ等のカウント値の初期値を決定するための乱数である。
タイマ割込が発生すると、CPU86は、図25に示すステップSs30〜ステップSs39のサブCPUタイマ割込処理を実行する。サブCPUタイマ割込処理において、まず、RAM85の所定領域に記憶されているタイマ割込フラグをクリアし(ステップSs30)、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップSs31)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU86は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップデータ記憶領域に保存する。次いで、コマンド解析処理を実行する(ステップSs32)。ステップSs32にて実行されるコマンド解析処理では、例えば主基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156から送信されて演出制御コマンド受信用バッファに格納されている各種の演出制御コマンドを読み出した後に、その読み出された演出制御コマンドに対応した設定や制御などが行われる。
ステップSs32にてコマンド解析処理を実行した後には、演出制御プロセス処理を実行する(ステップSs33)。ステップSs33の演出制御プロセス処理では、例えば演出表示装置9の表示領域における演出画像の表示動作、スピーカ27,27R,27a,27bからの音声出力動作、装飾LED25a及びステージ装飾LED25bといった装飾発光体における点灯動作、演出用模型における駆動動作といった、各種の演出装置を用いた演出動作の制御内容について、主基板31から送信された演出制御コマンド等に応じた判定や決定、設定などが行われる。
次いで、大当り図柄決定用乱数などの乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップSs34)その後、演出設定調整処理を実行する(ステップSs37)。ステップSs37の演出設定調整処理では、パチンコ遊技機1における装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530等の装飾発光体の光量及びスピーカ27L,27R,27a,27bの音量の調整を遊技者の操作により受け付けて設定する。そして、ステップSs37の演出設定調整処理の終了後は、演出制御基板80に搭載されているRTC200の出力に基づいてその時点の時刻を特定し、該特定した時刻がホール(遊技場)の閉店後の所定時刻である場合において、遊技者によって設定された音量及び光量の設定値を無効化し、ホール(遊技場)の設定値、または、予め設定されている初期レベルに設定する処理が行われる(ステップSs38)。その後、ホール(遊技場)の店員や遊技者によって変更された音量の設定値(ホール設定値または遊技者設定値)に基づいてスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音量レベルを変更する音量レベル変更処理を実行した後、割込許可状態に設定し(ステップSs39)、処理を終了する。
図26は、図25に示されたサブCPUタイマ割込処理におけるコマンド解析処理(ステップSs32)を示すフローチャートである。コマンド解析処理では、CPU86は、先ず、コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されているか否か確認する(ステップS611)。格納されているか否かは、コマンド受信個数カウンタの値と読出ポインタとを比較することによって判定される。両者が一致している場合が、受信コマンドが格納されていない場合である。コマンド受信バッファに受信コマンドが格納されている場合には、CPU86は、コマンド受信バッファから受信コマンドを読み出す(ステップS612)。なお、読み出したら読出ポインタの値を+2しておく(ステップS613)。+2するのは2バイト(1コマンド)単位にて読み出すからである。
受信した演出制御コマンドが変動パターン指定コマンドであれば(ステップS614)、CPU86は、その変動パターン指定コマンドを、RAM85に形成されている変動パターン指定コマンド格納領域に格納する(ステップS615)。そして、変動パターン指定コマンド受信フラグをセットする(ステップS616)。
受信した演出制御コマンドが表示結果指定コマンドであれば(ステップS617)、CPU86は、その表示結果指定コマンド(表示結果1指定コマンド〜表示結果5指定コマンド)を、RAM85に形成されている表示結果指定コマンド格納領域に格納する(ステップS618)。
受信した演出制御コマンドが図柄確定指定コマンドであれば(ステップS619)、CPU86は、図柄確定コマンド受信フラグをセットする(ステップS620)。
受信した演出制御コマンドが遊技状態指定コマンドであれば(ステップS621)、CPU86は、セットされている遊技状態指定コマンド受信フラグを、今回受信した遊技状態指定コマンドが示す遊技状態に応じた遊技状態指定コマンド受信フラグに更新し(ステップS622)、該更新した遊技状態指定コマンド受信フラグに応じた状態フラグデータを音声処理IC173に送信する(ステップS623)。
受信した演出制御コマンドが第1図柄変動指定コマンドであれば(ステップS631)、第1図柄変動指定コマンド受信フラグをセットする(ステップS632)。受信した演出制御コマンドが第2図柄変動指定コマンドであれば(ステップS633)、第2図柄変動指定コマンド受信フラグをセットする(ステップS634)。
受信した制御コマンドがその他の定義コマンドであれば(ステップS636)、CPU86は、受信したコマンドに対応するフラグをセットする(ステップS637)。
図27は、図25に示されたサブCPUタイマ割込処理における演出設定調整処理(ステップSs37)を示すフローチャートである。演出設定調整処理では、CPU86は、先ず、演出図柄プロセスフラグが0であるか否かを判定する(ステップSh1)。演出図柄プロセスフラグが0でない場合は(ステップSh1;No)、ステップSh17に進み、演出図柄プロセスフラグが0である場合は(ステップSh1;Yes)、保留記憶があるか否かを判定する(ステップSh2)。保留記憶数の有無は、主基板31から受信した演出制御コマンドに含まれる第1保留記憶数通知及び第2保留記憶数通知のコマンドを参照すれば良い。保留記憶がある場合は(ステップSh2;Yes)、ステップSh17に進み、保留記憶数が無い場合は(ステップSh2;No)、コマンド受信バッファに未解析コマンドが有るか否かを判定する(ステップSh3)。コマンド受信バッファに未解析コマンドがある場合は(ステップSh3;Yes)、ステップSh17に進み、コマンド受信バッファに未解析コマンドが無い場合は(ステップSh3;No)、遊技者によって操作ボタン516の長押し操作有りか否かを判定する(ステップSh4)。
操作ボタン516の長押し操作が無い場合は(ステップSh4;No)、ステップSh17に進み、操作ボタン516の長押し操作が有る場合は(ステップSh4;Yes)、ユーザー調整可能設定有り否か、つまり、設定切替スイッチ300のチャンネルが遊技者により音量の設定値を調整可能な0〜5のいずれかに設定されているか否かを判定する(ステップSh5)。尚、ステップSh4において一度操作ボタン516の長押し操作が有ると判定された場合(ステップSh4;Yes)には、次回のサブCPUタイマ割込処理内で実行される演出設定調整処理でのステップSh4の判定においても、操作ボタン516の長押し操作有り(ステップSh4;Yes)と判定する。このようにステップSh4の処理を実行することで、複数回のサブCPUタイマ割込処理に亘って実行される演出設定調整処理において、操作ボタン516の長押し操作を継続して判定することができる。ユーザー調整可能設定無しの場合は(ステップSh5;No)、ステップSh13に進み、ユーザー調整可能設定有りの場合は(ステップSh5;Yes)、演出表示装置9に図34(A)に示すように、スピーカ27L,27R,27a,27bの音量及び装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530等の各種発光手段の光量を調整可能な設定調整画面を表示し(ステップSh6)、遊技者による操作レバー600及び操作ボタン516の操作により音量・光量の調整操作を受け付ける第1設定操作受付処理を実行する(ステップSh7)。
尚、本実施の形態における音量のレベル(選択数値)は、設定切替スイッチ300のチャンネル0〜Bと同様にレベル1からレベル6までの6段階に設定されており、光量のレベルは、レベル1〜レベル4までの4段階に設定されている。また、光量のレベルはレベル1が最も小さく、レベル4が最も大きく設定されている。このステップSh6及びステップSh7の設定調整画面では、具体的には、図34(A)に示すように、スピーカ27L,27R,27a,27bの音量のレベル1〜6までを操作レバー600によって選択可能なダイアログと、各種発光手段の光量のレベル1〜4までを操作レバー600によって選択可能なダイアログとが表示されている。遊技者は、操作レバー600を前後に傾動させることで両ダイアログの内から1のダイアログを選択可能となっているとともに、操作レバー600を左右に移動させることで、選択したダイアログにおける音量または光量のレベルを変更可能となっている。そして、遊技者は、最後に操作ボタン516を操作することで、スピーカ27L,27R,27a,27bの音量及び各種発光手段の光量の決定操作を実行可能となっている。
Sh7の処理の実行後、CPU86は、第1設定操作受付処理において音量・光量の調整を決定する決定操作が有りか否かを判定する(ステップSh8)。決定操作が無い場合は(ステップSh8;No)、ステップSh19に進み、決定操作が有る場合は(ステップSh8;Yes)、音量の選択数値は上限以下か、つまり、遊技者が選択した音量のレベル(設定値)が設定切替スイッチで設定されている図33に示すホール設定値以下であるか否かを判定する(ステップSh9)。音量の選択値が上限以下である場合は(ステップSh9;Yes)、音量として遊技者が選択した選択値を特定して(ステップSh10)ステップSh12に進み、音量の選択値が上限を超えている場合は(ステップSh9;No)、音量としてホール設定値でもある上限値を特定する(ステップSh11)。そして、ステップSh10またはステップSh11で特定された数値(遊技者の選択数値またはホール設定値)を、図33に示すように、音量の遊技者設定値として更新する(ステップSh12)。尚、ステップSh11において、ホール設定値が設定されていない場合は、予め設定されている初期レベルをホール設定値である上限値として特定し、ステップSh12の処理で該初期レベルの音量を、音量の遊技者設定として更新する。
ステップSh12の実行後、CPU86は、音量の遊技者設定値を音量レベルデータとして音声処理IC173に送信し(ステップSh12+)、光量として遊技者が選択した選択値を特定した後(ステップSh16−)、光量の遊技者設定値を更新する(ステップSh16)。そして、光量の遊技者設定値を光量レベルデータとしてLED制御基板500に送信して処理を終了する(ステップSh16+)。尚、LED制御基板500は、該送信した光量レベルデータに基づいて光量レベルを特定し、該特定した光量レベルに対応して装飾LED25a,ステージ装飾LED25b,天ランプモジュール530,左枠LED28b,右枠LED28cを発光させる。
また、ステップSh8において、決定操作が無い場合は(ステップSh8;No)、遊技者の操作レバー600及び操作ボタン516の操作によって設定調整画面に表示されている「メニューに戻る」等が選択入力されることで、設定操作受付処理を終了することが選択されたか否かを判定する(Sh19)。設定操作受付処理を終了することが選択されていない場合は(ステップSh19;No)、処理を終了し、設定操作受付処理を終了することが選択された場合は(ステップSh19;Yes)、ステップSh18に進む。
また、ステップSh5において、ユーザー調整可能設定無しの場合には(ステップSh5;No)、演出表示装置9に図34(B)に示すように、ステージ装飾LED25b、天ランプモジュール530、左枠LED28b、右枠LED28c等の各種発光手段の光量のみを調整可能な設定調整画面を表示し(ステップSh13)、遊技者による操作レバー600及び操作ボタン516の操作により光量の調整操作のみを受け付ける第2設定操作受付処理を実行する(ステップSh14)。このステップSh13及びステップSh4の設定調整画面では、具体的には、図34(B)に示すように、各種発光手段の光量のレベル1〜4までを操作レバー600によって選択可能なダイアログが表示されている。遊技者は、操作レバー600を左右に移動させることで、街ダイアログにおける光量のレベルを変更可能となっている。そして、遊技者は、最後に操作ボタン516を操作することで、各種発光手段の光量の決定操作を実行可能となっている。
Sh14の処理の実行後、CPU86は、第2設定操作受付処理において光量の調整を決定する決定操作が有りか否かを判定する(ステップSh15)。決定操作が無い場合は(ステップSh15;No)、処理を終了し、決定操作が有る場合は(ステップSh15;Yes)、ステップSh16−に進む。
更に、ステップSh1において演出図柄プロセスフラグが0でない場合(ステップSh1;No)、ステップSh2において保留記憶が有る場合(ステップSh2;Yes)、ステップSh3において未解析コマンド有りの場合(ステップSh3;Yes)、ステップSh4において操作ボタン516の長押し操作が無い場合(ステップSh4;No)のいずれかの後は、ステップSh7の第1設定操作受付処理またはステップSh14の第2設定操作受付処理の実行中であるか否かを判定する(ステップSh17)。
第1設定操作受付処理とステップSh14の第2設定操作受付処理のいずれも実行中でない場合は(ステップSh17;No)、演出設定調整処理を終了し、第1設定操作受付処理またはステップSh14の第2設定操作受付処理の実行中である場合は(ステップSh17;Yes)、実行中の第1設定操作受付処理または第2設定操作受付処理を終了して(ステップSh18)、演出設定調整処理を終了する。
尚、本実施の形態では、ステップSh9において音量の選択数値が上限以下であるか否かを判定することで、設定可能な音量の範囲を上限値以下に限定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、設定切替スイッチ300の設定されているチャンネルに応じてそれぞれ音量の下限値を設けることで、該下限値と上限値との間で音量を設定可能としても良い。
また、本実施の形態では、図34に示すように、設定調整画面においてスピーカ27L,27R,27a,27bの音量のレベル1〜6までを操作レバー600によって選択可能なダイアログ及び各種発光手段の光量のレベル1〜4までを操作レバー600によって選択可能なダイアログを表示し、操作レバー600の操作によって各ダイアログから音量及び光量のレベルを選択した後に操作ボタン516を操作することで、音量及び光量の調整を行なっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、パチンコ遊技機1の上皿部3a等に音量及び光量のレベルを直接調整可能な調整パネルを設け、該調整パネルを遊技者が操作することによって音量及び光量の調整を行うようにしても良い。
また、本実施の形態では、ステップSh9において音量の選択数値が設定切替スイッチ300の設定されているチャンネルに応じた上限値以下であるか否かを判定することで、音量を上限値の範囲内で設定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ステップSh6以降の処理においては、音量は上限値を設けずに更新するようにしても良い。
図28は、図25に示されたサブCPUタイマ割込処理における設定無効化処理(ステップSs38)を示すフローチャートである。設定無効化処理では、CPU86は、先ず、スピーカ27R、27L、27a、27bからの音出力の音量と装飾LED25a、ステージ装飾LED25b、左枠LED28b、右枠LED28c、天ランプモジュール530等の各種発光手段の光量に遊技者による調整設定が有るか否かを判定する(ステップSr1)。遊技者による調整設定が有るか否かは、図33に示すように、RAM85の所定領域に遊技者設定値が記憶されているか否かで判定すれば良い。遊技者による調整設定値が無い場合は(ステップSr1;No)、処理を終了し、遊技者による調整設定値が有る場合は(ステップSr1;Yes)、RTC200の出力に基づいて現在時刻を特定する(ステップSr2)。
そして、ステップSr2で特定した時刻がホール(遊技場)の閉店後の所定時刻であるか否かを判定する(ステップSr3)。この本実施の形態における所定時刻とは、ホール(遊技場)の閉店時刻から閉店作業等が完了するまでの期間、つまり、閉店時間を過ぎてからパチンコ遊技機1の電源が確実に投入されている時刻に設定することが望ましい。ステップSr2で特定した時刻がホール(遊技場)閉店後の所定時刻でない場合は(ステップSr3;No)、処理を終了し、ステップSr2で特定した時刻がホール(遊技場)閉店後の所定時刻である場合は(ステップSr3;Yes)、RAM85の所定領域に記憶されている光量、または音量及び光量の遊技者設定値(図33参照)をクリアするとともに(ステップSr4)、音量・光量を設定切替スイッチ300によって設定されているホール設定レベル(ホール設定値)、または、音量・光量のホール設定値が設定されていない場合は、音量・光量の設定レベル(設定値)を予め設定されている初期レベルに設定して処理を終了する。
尚、本実施の形態では、設定無効化処理をサブCPUタイマ割込処理が実行される毎に実行しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、設定無効化処理は、ホール(遊技場)の開店時間直前等の電源投入時においてのみ実行されるようにしても良い。
図29は、図25に示されたサブCPUタイマ割込処理における演出制御プロセス処理(ステップSs33)を示すフローチャートである。演出制御プロセス処理では、CPU86は、演出制御プロセスフラグの値に応じてステップS800〜S806のうちのいずれかの処理を行う。各処理において、以下のような処理を実行する。なお、演出制御プロセス処理では、演出表示装置9の表示状態が制御され、演出図柄(飾り図柄)の変動表示が実現されるが、第1特別図柄の変動に同期した演出図柄(飾り図柄)の変動表示に関する制御も、第2特別図柄の変動に同期した演出図柄(飾り図柄)の変動表示に関する制御も、一つの演出制御プロセス処理において実行される。
変動パターン指定コマンド受信待ち処理(ステップS800):遊技制御用マイクロコンピュータ156から変動パターン指定コマンドを受信しているか否か確認する。具体的には、コマンド解析処理でセットされる変動パターン指定コマンド受信フラグがセットされているか否か確認する。変動パターン指定コマンドを受信していれば、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動開始処理(ステップS801)に対応した値に変更する。
演出図柄変動開始処理(ステップS801):演出図柄(飾り図柄)の変動が開始されるように制御する。そして、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動中処理(ステップS802)に対応した値に更新する。
演出図柄変動中処理(ステップS802):変動パターンを構成する各変動状態(変動速度)の切替タイミング等を制御するとともに、変動時間の終了を監視する。そして、変動時間が終了したら、演出制御プロセスフラグの値を演出図柄変動停止処理(ステップS803)に対応した値に更新する。
演出図柄変動停止処理(ステップS803):全図柄停止を指示する演出制御コマンド(図柄確定指定コマンド)を受信したことにもとづいて、演出図柄(飾り図柄)の変動を停止し表示結果(停止図柄)を導出表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を当り表示処理(ステップS804)または変動パターン指定コマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
当り表示処理(ステップS804):変動時間の終了後、演出表示装置9に大当り或いは小当りの発生を報知するための画面を表示する制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を当り遊技中処理(ステップS805)に対応した値に更新する。
当り遊技中処理(ステップS805):大当り遊技中或いは小当り遊技中の制御を行う。例えば、大入賞口開放中指定コマンドや大入賞口開放後指定コマンドを受信したら、演出表示装置9におけるラウンド数の表示制御等を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を当り終了演出処理(ステップS806)に対応した値に更新する。
当り終了演出処理(ステップS806):演出表示装置9において、大当り遊技状態或いは小当り遊技状態が終了したことを遊技者に報知する表示制御を行う。そして、演出制御プロセスフラグの値を変動パターン指定コマンド受信待ち処理(ステップS800)に対応した値に更新する。
図30は、図25に示されたサブCPUタイマ割込処理における電源断検出処理(ステップSs31)を示すフローチャートである。電源断検出処理では、CPU86は、先ず、電源基板(図示略)からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号の入力が有るか否かを判定する(ステップSd1)。電源断信号の入力が無い場合は(ステップSd1;No)、処理を終了し、電源断信号の入力が有る場合は(ステップSd1;Yes)、図33に示す音量及び光量の遊技者設定データを含むバックアップデータを特定し(ステップSd2)、該特定したバックアップデータをRAM85に設けられたバックアップデータ記憶領域に格納する(ステップSd3)。そして、バックアップデータを復旧させるときに用いるチェックデータを前述したように作成し、バックアップデータ記憶領域に格納した後(ステップSd4)、パチンコ遊技機1が電断するまでいずれの処理も実行しないループ処理に移行する。
図31は、図24に示されたサブCPUメイン処理における演出設定処理(Sa25)を示すフローチャートである。演出設定処理では、CPU86は、先ず、設定切替スイッチ300のチャンネルがDに設定されているか否かを判定する(St1)。設定切替スイッチ300のチャンネルがDに設定されている場合は(ステップSt1;Yes)、パチンコ遊技機1の機種毎の固有な設定を行う機種固有設定処理を実行し(ステップSt3)、設定切替スイッチ300のチャンネルがDに設定されていない場合は(ステップSt1;No)、設定切替スイッチ300のチャンネルがEに設定されているか否かを判定する(ステップSt2)。設定切替スイッチ300のチャンネルがEに設定されている場合は(ステップSt2;Yes)、例えば、バックアップデータの詳細設定やバックアップデータのクリア等を実行する特殊設定処理(St4)を実行し、設定切替スイッチ300のチャンネルがEに設定されていない場合は(ステップSt4;No)、設定切替スイッチ300のチャンネルがFに設定されていると判定され、RTCの時刻情報の設定等を実行するホール向け設定処理(ステップSt5)を実行する。このステップSt5におけるホール向け設定処理では、ホール(遊技場)の店員が操作レバ−600及び操作ボタン516を操作することでRTC200の時刻情報の設定等の操作が可能となっている。
図32は、図25に示されたサブCPUタイマ割込処理における音量レベル変更処理(Ss38+)を示すフローチャートである。音量レベル変更処理では、CPU86は、先ず、遊技状態指定コマンド受信フラグを参照することで現在の遊技状態を特定し(ステップSu1)、遊技状態が通常状態であるか否かを判定する(ステップSu2)。遊技状態が通常状態である場合は(ステップSu2;Yes)、音量の遊技者設定値が有るか否かを判定する(ステップSu3)。音量の遊技者設定値が有る場合は(ステップSu3;Yes)、音量レベルを遊技者設定値に設定して(ステップSu4)音量レベル変更処理を終了し、音量の遊技者設定値が無い場合には(ステップSu3;No)、音量レベルをホール設定値に設定して(ステップSu5)音量レベル変更処理を終了する。
また、ステップSu2において遊技状態が通常状態でない場合は(ステップSu2;No)、遊技状態が時短状態または確変状態であるか否かを判定する(ステップSu6)。遊技状態が時短状態または確変状態である場合は(ステップSu6;Yes)、音量の遊技者設定値が有るか否かを判定する(ステップSu7)。遊技者設定値が有る場合は(ステップSu7;yes)、音量レベルを遊技者設定値に1加算して設定して(ステップSu8)音量レベル変更処理を終了し、遊技者設定値が無い場合は(ステップSu7;No)、音量レベルをホール設定値に1加算して設定して(ステップSu9)音量レベル変更処理を終了する。
更に、ステップSu6において遊技状態が時短状態でも確変状態でない場合には(ステップSu6;No)、遊技者設定値が有るか否かを判定する(ステップSu10)。遊技者設定値が有る場合は(ステップSu10;Yes)、音量レベルを遊技者設定値に1加算して設定して(ステップSu11)音量レベル変更処理を終了し、遊技者設定値が無い場合は(ステップSu10;No)、音量レベルをホール設定値に2加算して設定して(ステップSu12)音量レベル変更処理を終了する。
以上、本実施例によれば、音出力部であるスピーカ27R、27L、27a、27bの位置や向き、或いは音出力部表面の意匠、例えば、図35に示す他の筐体のパチンコ機1’におけるスピーカ27R’、27L’、27a’、27b’のように、スピーカの手前側に保護や装飾用の覆いやメッシュメタル等があるもののように、これら音出力部を設計において異なるものとしても、これら設計が異なる各音出力部についての周波数特性補正データ(出力音量補正データ)や位相特性補正データ(出力位相補正データ)を補正データ記憶手段となる外部ROM174に記憶することにより、各スピーカ27R、27L、27a、27bから出力される各チャンネルCH1〜CH9の音量や位相が、外部ROM174から複写記憶された内部RAM203に記憶されている周波数特性補正データ(出力音量補正データ)や位相特性補正データ(出力位相補正データ)に基づいて各スピーカ27R、27L、27a、27b毎に補正されることで、各音出力部から出力される遊技関連音である、遊技における演出に伴う各種のBGMや効果音等の演出音について、各周波数帯のチャンネルCH1〜CH9の音圧が適正音圧や適正位相に補正されるので、パチンコ機1の設計の自由度を低下させることなく良好な音響を得ることができるとともに、遊技関連音である各種のBGMや効果音のそれぞれの音データが補正されていなくても、これら補正されていない音データに基づいて各スピーカ27R、27L、27a、27bから出力される遊技関連音の各周波数帯の音圧や位相が周波数特性補正データ(出力音量補正データ)や位相特性補正データ(出力位相補正データ)に基づいて適正音圧並びに適正位相に補正されるので、遊技関連音の音データの補正に要する労力も低減することができる。
つまり、従来においては、各種のBCMや効果音のそれぞれについて、パチンコ機1のスピーカ27R、27L、27a、27bから各種のBGMや効果音を実際に音を個別に出し、その時の聞こえ方に基づいて音データ自体を補正することで、当該音を良好に聴くことができるようにすることが多く実施されているが、この場合には、遊技機の興趣向上のための演出の多様化に伴い、使用されるBGMや効果音の種類が非常に多くなってきており、これら多数のBGMや効果音のそれぞれについて音データ自体を補正することが、非常に大きな労力と時間を要してしまうとともに、遊技においては、複数の演出、例えば、キャラクタの演出におけるBGMと、遊技者による操作レバー600の操作に基づくキャラクタのセリフ音声とが同時に出力される場合においては、セリフ音声がBGMとの同時出力によって聞こえ難くなってしまう場合があり、これら同時出力に関する補正を行う必要が生じるところ、出力されるタイミングが遊技者による操作等によるものである場合には、同時に出力されるタイミングが不定であるが故に、補正を実施することが困難となってしまうのに対し、本発明によれば、どのようなタイミングで同時に出力される場合であっても、同時に出力される音が適正音圧や適正位相に補正されるので、これら同時出力に伴う補正等についても音データに対して実施しなくても、良好な音響を得ることができるので、これら音データの補正に要する労力を著しく低減することが可能となる。
尚、本実施例では、振幅補正処理と位相補正処理とを共に実施するようにしており、このようにすることは、位相補正処理を実施することにより、各スピーカ27R、27L、27a、27bから聴聞位置に到達する各チャンネルの音の位相が同一チャンネルにおいて揃うことで、これら位相が異なる、例えば180度ずれていることにより、相互の音の振幅が相殺されてしまい当該チャンネルの音の音圧が著しく低下してしまう等のような現象の発生を回避でき、振幅補正が複雑化してしまうことを防止することが可能となるという相乗効果を得ることができることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではなく、振幅補正処理または位相補正処理のいずれか一方のみを実施するようにしても良い。
以上、本実施例におけるパチンコ遊技機1においては、スピーカ27L,27R,27a,27bの位置や向きやスピーカ27L,27R,27a,27b表面の意匠等を設計において異なるものとしても、これら設計が異なる各スピーカ27L,27R,27a,27bについての出力音量補正データであって、設定された音量レベルに対応した複数種類の出力音量補正データを外部ROM174に記憶することにより、各スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される各周波数帯の音圧が、外部ROM174に記憶されている出力音量補正データのうち、設定された音量レベルに対応する出力音量補正データに基づいて各スピーカ27L,27R,27a,27b毎に補正されることで、各スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される遊技関連音の各周波数帯の音圧が適正音圧となるので、遊技機の設計の自由度を低下させることなく良好な音響を得ることができるとともに、遊技関連音の音データが補正されていなくても、これら補正されていない音データに基づいて各スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される遊技関連音の各周波数帯の音圧が出力音量補正データに基づいて適正音圧に補正されるので、遊技関連音の音データの補正に要する労力も低減することができる。
また、スピーカ27L,27R,27a,27bの位置や向きやスピーカ27L,27R,27a,27b表面の意匠等を設計において異なるものとしても、これら設計が異なる各スピーカ27L,27R,27a,27bについての出力位相補正データであって、設定された音量レベルに対応した複数種類の出力位相補正データを外部ROM174に記憶することにより、各スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される遊技関連音の各周波数帯の位相が、外部ROM174に記憶されている出力位相補正データのうち、設定された音量レベルに対応する出力位相補正データに基づいて各スピーカ27L,27R,27a,27b毎に補正されることで、各音スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される遊技関連音の各周波数帯の位相が所定の聴聞位置において適正位相となるので、遊技機の設計の自由度を低下させることなく良好な音響を得ることができるとともに、遊技関連音の音データが補正されていなくても、これら補正されていない音データに基づいて各スピーカ27L,27R,27a,27bから出力される遊技関連音の各周波数帯の位相が適正位相に補正されるので、遊技関連音の音データの補正に要する労力も低減することができる。
また、本実施例におけるパチンコ遊技機1によれば、各音量レベル及び遊技状態に応じた好適な補正を実施できる。
また、周波数が高くなるに従って累進的に広い周波数範囲とすることで、周波数にかかわらずに均一の周波数範囲とした場合に比較して、補正を行う対象とする周波数帯の総数を低減することができるので、これら各周波数帯毎に補正を行うための補正データのデータ容量を低減することができる。
また、第1DSP部225として機能する音声処理IC173内に、補正データが不揮発データとして記憶されていないので、これら補正データが異なるパチンコ遊技機1についても、これら第1DSP部225として機能する音声処理IC173を共通して使用することが可能となる。
また、第2DSP部226においては、第1DSP部225により補正された補正済みの音又は補正済みの音データに対して音響効果が付加されるので、これら付加される音響効果の再現性を高めることができる。
また、前記スピーカが3以上、つまり、第1DSP部225が補正の対象とするスピーカ以外に複数のスピーカが存在する場合には、これら複数の他のスピーカから出力される遊技関連音の相互干渉等により、単純に補正の対象とするスピーカからの出力音量のみを補正しても、遊技者が聴聞する音圧が適切に補正されない場合があるのに対し、他のスピーカからの遊技関連音の出力音量に対応付けられた出力音量補正データを用いて補正することで、これら相互干渉を加味した補正を行うことが可能となるので、3以上の前記スピーカを有していても適切な音圧の補正を実施できる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、営業終了後において遊技者の設定をクリアする時刻を、RTC200から出力される時刻情報により特定するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの時刻を、起動時においてRTC200から出力される時刻情報から特定される時刻と遊技者の設定をクリアする時刻との時間差に該当するカウンタ値を設定しておき、該カウンタ値がカウントアップしたときに、遊技者の設定をクリアする時刻となったと判断するようにしても良い。
また、前記実施例では、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示に対応して演出表示装置9で変動表示される演出図柄などの変動パターンをCPU86に通知するために、変動を開始するときに1つの変動パターン指定コマンドを送信する例を示したが、2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンをCPU86に通知するようにしてもよい。具体的には、2つのコマンドにより通知する場合、CPU56は、1つ目のコマンドでは擬似連や滑り演出等の有無、リーチとなる以前(リーチとならない場合には所謂第2停止の前)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信し、2つ目のコマンドではリーチの種類や再抽選演出の有無等、リーチとなった以降(リーチとならない場合には所謂第2停止の後)の変動時間や変動態様を示すコマンドを送信するようにしてもよい。この場合、CPU86は2つのコマンドの組合せから導かれる変動時間に基づいて変動表示における演出制御を行うようにすればよい。
尚、CPU56の方では2つのコマンドのそれぞれにより変動時間を通知し、それぞれのタイミングで実行される具体的な変動態様についてはCPU86の方で選択を行うようにしてもよい。2つのコマンドを送る場合、同一のタイマ割込内で2つのコマンドを送信するようにしてもよく、1つ目のコマンドを送信した後、所定期間が経過してから(例えば次のタイマ割込において)2つ目のコマンドを送信するようにしてもよい。尚、それぞれのコマンドで示される変動態様はこの例に限定されるわけではなく、送信する順序についても適宜変更可能である。このように2つ乃至それ以上のコマンドにより変動パターンを通知する様にすることで、変動パターン指定コマンドとして記憶しておかなければならないデータ量を削減することができる。
また、前記実施例では、音声処理IC173とVDP262とを個別の集積回路とした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら音声処理IC173とVDP262とを単一の集積回路(IC)としたものであっても良い。
また、前記実施例では、スピーカの数を4つとした形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらスピーカの数は少なくとも2以上であれば良く、2つや3つ、或いは6つとしても良い。
また、前記実施例では、遊技状態が時短状態または確変状態である場合は、読み出した音量レベルに1を加算した音量レベルを特定し、遊技状態が大当り状態または小当り状態である場合は、読み出した音量レベルに2を加算した音量レベルを特定し、該特定した音量レベルに対応した位相特性補正データまたは周波数特性補正データを用いてスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音声の補正を実行しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、リーチ演出等の特定の演出が実行される場合においても、読み出した音量レベルに1または2を加算した音量レベルを特定し、該特定した音量レベルに対応した位相特性補正データまたは周波数特性補正データを用いてスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音声の補正を実行するようにしても良い。
また、前記実施例では、遊技状態が時短状態または確変状態である場合は、読み出した音量レベルに1を加算した音量レベルを特定し、遊技状態が大当り状態または小当り状態である場合は、読み出した音量レベルに2を加算した音量レベルを特定しているが、本発明はこれに限定されず、該読み出した音量レベルに加算する値は、ホール(遊技場)の店員等が設定切替スイッチ300を操作することにより適宜変更可能とするようにしても良い。
また、前記実施例では、遊技状態が時短状態または確変状態である場合は、読み出した音量レベルに1を加算した音量レベルを特定し、遊技状態が大当り状態または小当り状態である場合は、読み出した音量レベルに2を加算した音量レベルを特定しているが、本発明はこれに限定されず、遊技状態が時短状態、確変状態、大当り状態、小当り状態のいずれかである場合は、内部RAM223に記憶されている音量レベルデータに基づく音量レベルに拘らず、所定の音量レベルを特定し、該特定した所定の音量レベルに対応した位相特性補正データまたは周波数特性補正データを用いてスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音声の補正を実行するようにしても良い。
また、前記実施例では、電源投入時に音声処理IC173が実行する起動処理において、外部ROM174に記憶されている位相特性補正データ及び周波数特性補正データを読み出すとともに、該位相特性補正データ及び周波数特性補正データを内部RAM223に格納し、位相補正処理及び振幅補正処理では、特定した音量レベルに対応した位相特性補正データまたは周波数特性補正データを内部RAM223から選択しているが、本発明はこれに限定されず、起動処理では、外部ROM174に記憶されている位相特性補正データ及び周波数特性補正データを読み出さない一方、位相補正処理及び振幅補正処理では、特定した音量レベルに応じた位相特性補正データまたは周波数特性補正データのみを外部ROM174から読み出し、該特定した音量レベルに応じた位相特性補正データまたは周波数特性補正データを内部RAM223に格納してスピーカ27L,27R,27a,27bから出力される音声の補正を実行するようにしてもよい。このように特定した音量レベルに応じた位相特性補正データまたは周波数特性補正データのみを内部RAM223に格納することで、内部RAM223の容量を小さくすることができる。
また、前記実施例では、遊技機として、遊技媒体であるパチンコ玉が払い出されるパチンコ機1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら遊技媒体としてメダルを使用するスロットマシンや、これら遊技媒体が、遊技機内部に内封され、貸し出されたパチンコ玉やメダルの数や、入賞に応じて付与されたパチンコ玉やメダルの数が加算される一方、遊技に使用されたパチンコ玉やメダルの数が減算されて記憶される封入式遊技機や、パチンコ玉やメダルを用いずに、例えば貸出要求に応じて貸し出されたポイントや点数等の価値や入賞に応じて付与されたポイントや点数等の価値を全てクレジットとして記憶し、クレジットとして記憶された価値のみを使用して遊技を行うことが可能な遊技機であっても良い。尚、この場合には、これらポイントや点数等が遊技媒体に相当し、クレジットが遊技用価値となる。
また、前記実施例では、音量の設定を複数のレベルに設定可能とした形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの音量を所定レベルではなく、無段階にて設定できるようにしても良く、この場合にあっては、所定の設定音量までの音量範囲については、第1の位相特性補正データ及び第1の周波数特性補正データを用い、所定の設定音量を越える音量範囲については、第2の位相特性補正データ及び第2の周波数特性補正データを用いるようにすれば良い。また、これら所定の設定音量を複数設けるようにしても良い。
また、前記実施例では、設定される音量レベル1〜8のそれぞれに対応した周波数特性補正データ1〜音量レベル8に対応する周波数特性データを記憶する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら周波数特性データの容量を削減するために、例えば、音量レベル1と音量レベル2については周波数特性補正データAを使用して補正し、音量レベル3と音量レベル4については周波数特性補正データBを使用して補正し、音量レベル5と音量レベル6については周波数特性補正データCを使用して補正し、音量レベル7と音量レベル8については周波数特性補正データDを使用して補正する等のように、連続する複数の音量レベルに対応して出力音量補正データである周波数特性補正データを記憶するようにしても良い。尚、これら各周波数特性補正データに対応する音量レベルは、上記した2つのレベルよりも多く(3つのレベルや4つのレベル)しても良い。